説明

ガラス基板リペア装置

【課題】 大画面液晶テレビ用のガラス基板リペア加工装置において、ステージの前後方向全長を増大させることなく、ガラス基板の大型化に対応すること。
【解決手段】 矩形の載物面を有するステージと、ステージの載物面上にあって、リペア対象となるガラス基板を保持する機能を有するスライド機構付のホルダユニットと、ステージの上方にあって、載物面に向けてレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニットと、ステージの載物面に沿って、光学ユニットを前後方向及び左右方向へと走査する機能を有する光学ユニット走査機構とを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルを構成するガラス基板上の欠陥箇所をレーザ照射によりリペア(修正)するガラス基板リペア装置に係り、特に、ガントリ型XYステージを有するガラス基板リペア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルを構成するガラス基板上の欠陥箇所をレーザ照射によりリペア(修正)するガラス基板リペア装置は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ガントリ型XYステージを使用したガラス基板リペア装置は、所定の前後方向長及び左右方向幅を有する載物面を有するステージと、ステージの載物面上にあって、リペア対象となるガラス基板を保持する機能を有するホルダユニットと、ステージの載物面の上方にあって、載物面に向けてレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニットと、ステージの載物面に沿って、光学ユニットを前後方向及び左右方向へと走査する機能を有する光学ユニット走査機構とを包含する。
【0004】
上述の光学ユニット走査機構は、載物面の左右両側縁部にあって、それぞれ所定の可動子を前後方向へと直動させる機能を有する左右の前後方向直動機構と、左右の前後方向直動機構の可動子間に跨って架け渡され、かつ前記レーザ光学ユニットを支持する所定の可動子をステージの左右方向へと直動させることが可能な左右方向直動機構を有する門型架橋部材(以下、「ガントリ部」と称する)とを包含する。
【特許文献1】特開2007−206641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第5世代、第6世代、第7世代とガラス基板が大型化するのに比例して、ガントリ型XYステージの前後方向の可動ストロークが長大化して、ガラス基板リペア装置の大型化が招来された。その結果、第7世代対応のガントリ部型XYステージにおいては、通常の搬送を支障なく行うことができる限界寸法に迫る装置サイズとなり、第8世代対応の液晶リペア装置を従来と同じ構成で開発すると、最早、搬入・搬出・輸送ができる装置サイズを遙かに超えてしまうと言った問題が発生するに至った。
【0006】
すなわち、従来のガントリ型XYステージを使用するガラス基板リペア装置においては、ガントリ部の前後方向移動ストロークはステージの前後方向全長により制限されるものであったため、リペア対象となるガラス基板の大型化に対応するためには、ステージそれ自体の前後方向全長も増大させねばならず、その結果、搬入・搬出・輸送に際する問題が生ずるのである。
【0007】
加えて、従来のガントリ部型XYステージを使用するガラス基板リペア装置にあっては、ステージ上においてリペア加工に使用可能な領域は、レーザ光軸の前後方向移動ストロークの後端位置よりも前方に限られていたため、レーザ光軸の前後方向移動ストロークの後端位置よりも後方領域はリペア加工不能なデッドスペースとなってしまい、所望のガラス基板サイズに対応するためには、デッドスペース分だけ、ステージの前後方向全長を増大させねばならないと言う問題点もあった。
【0008】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ステージの前後方向全長を増大させることなく、ガラス基板の大型化に対応することができ、それにより、搬入・搬出・輸送に際する問題を解消することができるガラス基板リペア装置を提供することにある。
【0009】
また、この発明の他の目的とするところは、従来サイズのガラス基板であれば、前後方向全長のより短いステージで対応することができるガラス基板リペア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の発明が解決しようとする課題は、以下の構成を有するガラス基板リペア装置によって解決することができるものと考えられる。
【0011】
すなわち、このガラス基板のリペア装置は、所定の前後方向長及び左右方向幅を有する載物面を有するステージと、ステージの載物面上にあって、リペア対象となるガラス基板を保持する機能を有するホルダユニットと、ステージの上方にあって、載物面に向けてレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニットと、ステージの載物面に沿って、前記光学ユニットを前後方向及び左右方向へと走査する機能を有する光学ユニット走査機構とを包含している。
【0012】
光学ユニット走査機構は、載物面の左右両側縁部にあって、それぞれ所定の可動子を前後方向へと直動させる機能を有する左右の前後方向直動機構と、左右の前後方向直動機構の可動子間に跨って架け渡され、かつレーザ光学ユニットを支持する所定の可動子をステージの左右方向へと直動させることが可能な左右方向直動機構を有するガントリ部とが包含されている。
【0013】
さらに、ホルダユニットは、載物面に固定されるホルダベースと、所定の前後方向長及び左右方向幅を有し、リペア対象となるガラス基板が載置固定されるテーブル板と、ホルダベースに対してテーブル板を前後方向へとスライドさせる機能を有する前後方向直動機構とを有し、かつテーブル板の前後方向長は、その前端位置が前記ステージの前端位置とほぼ一致するとき、その後端位置が前記レーザ光学ユニットの前後方向光軸ストロークの後端位置よりも、さらに、後方に位置するように定められている。
【0014】
このような構成によれば、テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したテーブル静止状態とすれば、ガントリ部を所定の前後方向ストローク内においてスライドさせることで、テーブル板上に保持されたガラス基板の後端位置から前方所定範囲内の領域をリペア加工することができる。
【0015】
また、テーブル板の前端位置がステージの前端位置と一致するまで、テーブル板を前記前後方向直動機構を介してステージの後方へとスライドさせたのちの静止状態において、ガントリ部を所定の前後方向ストローク内においてスライドさせれば、テーブル板上に保持されたガラス基板の前端位置から後方所定範囲内の領域をリペア加工することができる。
【0016】
一方、テーブル板の前端位置がステージの前端位置と一致するまで、テーブル板を前記前後方向直動機構を介してステージの後方へとスライドさせれば、装置全体の前後方向の全長は、ステージの前後方向全長そのものとなる。
【0017】
そのため、本発明によれば、ステージの前後方向全長を増大させることなく、ガラス基板の大型化に対応することができ、それにより、搬入・搬出・輸送に際する問題を解消することができる。
【0018】
加えて、本発明によれば、テーブル板の前後方向長は、その前端位置がステージの前端位置とほぼ一致するとき、その後端位置がレーザ光学ユニットの前後方向光軸ストロークの後端位置よりも、さらに、後方に位置するように定められていることから、従来問題とされたデッドスペースを活用することで、ステージの前後方向全長が従前と同じであっても、従来よりも前後方向全長が長いガラス基板に対応することができ、逆に、従来サイズのガラス基板であれば、前後方向長のより短いステージで対応することができる。
【0019】
上述のガラス基板リペア装置は、次のような運転方法によれば、目的とするガラス基板を効率よくリペア加工することができる。
【0020】
すなわち、このガラス基板リペア装置の運転方法は、第1〜第4のステップを包含している。
【0021】
第1のステップは、テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したガラス基板受け渡し位置に達するまで、テーブル板を前後方向直動機構を介してステージの前方へとスライド移動させて、加工対象となるガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板をテーブル板上に保持させる。
【0022】
第2のステップは、第1のステップにてガラス基板を受け取ったのち、テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したテーブル静止状態において、前記ガントリ部を所定の前後方向ストローク内においてスライドさながら、テーブル板上に保持されたガラス基板の後端位置から前方所定範囲内の領域をリペア加工する。
【0023】
第3のステップは、第2のステップに続いて、テーブル板の前端位置がステージの前端位置と一致するまで、テーブル板を前記前後方向直動機構を介してステージの後方へとスライド移動させたのち静止させたテーブル静止状態において、ガントリ部を所定の前後方向ストローク内においてスライド移動させながら、テーブル板上に保持されたガラス基板の前端位置から後方所定範囲内の領域をリペア加工する。
【0024】
第4のステップは、テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したガラス基板受け渡し位置に達するまで、テーブル板を前後方向直動機構を介してステージの前方へとスライドさせて、加工終了後のガラス基板を次工程へと受け渡す。
【0025】
このような構成によれば、テーブル板の前後方向へのスライド動作とガントリ部の前後方向へのスライド動作とを無駄なく協調させることにより、目的とするガラス基板を効率よくリペア加工することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ステージの前後方向全長を増大させることなく、ガラス基板の大型化に対応することができ、それにより、搬入・搬出・輸送に際する問題を解消することができ、逆に、従来サイズのガラス基板であれば、前後方向長のより短いガントリ型XYステージで対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係るガラス基板リペア装置並びに同装置の運転方法の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
本発明が適用されたガラス基板リペア装置の外観を斜めから見た斜視図が図1に、同リペア装置のガントリ型XYステージの外観を斜め前方から見た斜視図が図2に、同リペア装置のスライド機構付ホルダユニットの外観を斜め前方から見た斜視図が図3にそれぞれ示されている。
【0029】
この実施形態のガラス基板リペア装置1(図1参照)は、大画面用液晶テレビのガラス基板(例えば、サイズが2500mm×2200mmで、テレビ画面6個分が一括形成されたガラス基板)の欠陥箇所をレーザビーム照射によりリペアするものであって、ガントリ型XYステージ2(詳細は、図2を参照して後述)とガントリ型XYステージ上に装着されるスライド機構付ホルダユニット3(詳細は、図3を参照して後述)とから概略構成されている。
【0030】
ガントリ型XYステージ2は、図1に示されるように、所定の前後方向長及び左右方向幅を有する矩形の載物面22d(図2参照)を有するステージ22と、ステージ22の上方にあって、載物面22dに向けてレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニット4と、ステージ22の載物面22dに沿って、光学ユニット4を前後方向及び左右方向へと走査する機能を有する光学ユニット走査機構21とを包含している。
【0031】
ステージ22は、図2に示されるように、ステージ全体を支える9本の脚を有する架台22aと、9本の脚のそれぞれの位置に対応して設けられ、設置床からの振動を吸収する除振マウント22bと、除振マウント22bの上に載置される石定板22cとから構成され、石定板22cの上面が載物面22dとされている。
【0032】
光学ユニット走査機構21は、図1に示されるように、ステージ22の載物面22dの左右両側縁部にあって、それぞれ所定の可動子211d(詳細は図2参照)を前後方向へと直動させる機能を有する左右の前後方向直動機構211,211と、左右の前後方向直動機構211,211の可動子211d,211d間に跨って架け渡され、かつレーザ光学ユニット4を支持する所定の可動子212e(詳細は図2参照)をステージ22の左右方向へと直動させることが可能な左右方向直動機構を有するガントリ部212とが包含されている。
【0033】
左右の前後方向直動機構211,211のそれぞれは、図2に示されるように、石定板22c上の左右の側縁部に固定されたガイドベース211aと、ガイドベース211aの上に配置された互いに平行な2本の直動ガイドレール211b,211bと、ガイドベース211aの外側面に配置されたリニアモータ固定子211cと、リニアモータ固定子211cと協働しかつガイドレール211b,211bに案内されて直動するリニアモータ可動子211dと、ガイドレール211b,211bの間に配置されてガントリ部212の前後方向(Y方向)の位置を測定するためのリニアスケール211eとを含んで構成されている。
【0034】
ガントリ部212は、左右のリニアモータ可動子211d,211dと一体に固定された左右の支柱212a,212aと、それらの支柱212a,212aの間に跨って架け渡されたビーム212bと、ビーム212bの上に配置された互いに平行な3本のガイドレール212cと、上段に位置する2本のガイドレールの間に配置されたリニアモータ固定子212dと、リニアモータ固定子212dと協働しかつガイドレール212cに案内されて直動するリニアモータ可動子212eと、ビーム212bの前方側面に固定されてレーザ光学ユニット4の左右方向(X方向)の位置を測定するためのリニアスケール212fとを含んで構成されている。
【0035】
そして、載物面22dに向けて所定の光軸42(図4参照)に沿ってレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニット4は、移動ベース41を介してリニアモータ可動子212eに固定され、水平面内をX方向並びにY方向へと移動する。
【0036】
一方、本発明の要部であるスライド機構付ホルダユニット3は、図3に示されるように、ステージ22の石定板22c上に固定される左右のベース板32,32と、それらのベース板32,32上を前後方向(Y方向)へとスライドするスライド部材31とを含んで構成される。
【0037】
スライド部材31は、この例にあっては、加工対象となるガラス板(図示せず)を載置して保持するためのテーブル板31aと、左右の垂直な側面板31b,31bとからなる断面コの字状の構造体である。なお、図示しないが、ガラス板の保持のためには、公知の保持機構(例えば、真空チャック機構、その他各種の自動クランプ機構)が採用される。
【0038】
ベース板32側には、スライド部材31の左右の側面板31bの下縁内面と当接する複数のガイド突部32a,32a・・・と、前後方向へと延出されたリニアモータ固定子32bとが配置されており、スライド部材31の側面板31b側には、リニアモータ固定子32bと協働しかつガイド突部32a,32a・・・の配列に沿って直動するリニアモータ可動子31cと、テーブル板31aの前後方向(Y方向)の位置を測定するためのリニアスケール31dとが配置されている。
【0039】
そして、ホルダユニット3のスライド部材31の前後方向全長は、図4〜図9に示されるように、その前端位置がステージ22の前端位置とほぼ一致するとき、その後端位置がレーザ光学ユニット4の前後方向光軸ストロークLの後端位置よりも、さらに、後方に位置するように定められている。
【0040】
次に、以上の構成よりなるガラス基板リペア装置の運転方法について、図4〜図9の作用説明図、及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
同リペア装置の作用説明図(ガントリ部待機位置)が図4に示されている。同図に示されるように、最初のステップでは、ガントリ部212はステージ22の最後部に位置し、ホルダユニット3のスライド部材(すなわち、テーブル板31a)31はその前端位置がステージ22の前端位置とほぼ一致した状態にある(ステップ101)。このとき、ホルダユニット3のスライド部材31の後端位置は、光軸42の前後方向移動ストロークの後端位置よりも、さらに、後方の領域に位置する。
【0042】
この後方の領域(換言すれば、ガントリ部212の真下の領域)は、ホルダユニット3が前後方向へとスライドしない従来例にあっては、レーザ加工不能なデッドスペースとされていた。そのため、ステージ22上においてリペア加工に使用可能な前後方向領域は、上述のデッドスペースを除いた残りの領域だけとなり、加工対象となるガラス基板の前後方向全長に対応するためには、デッドスペース分だけ、ステージの前後方向全長を増大させねばならなかった。
【0043】
同リペア装置の作用説明図(ホルダユニット前進)が図5に示されている。同図に示されるように、次のステップでは、ガントリ部212はステージ22の最後部に残したままで、ホルダユニット3のスライド部材31の前端位置がステージ22の前端位置よりも所定距離突出(矢印で示す)したガラス基板受け渡し位置に達するに至るまで、ホルダユニット3のスライド部材31は、リニアモータ固定子32bとリニアモータ可動子31cとで構成されるリニアモータを介してステージ22の前方へとスライド移動される(ステップ102)。そして、この状態において、図示しないガラス基板の自動ローダとの間において、加工対象となるガラス基板の受け取りが行われ、受け取ったガラス板はホルダユニット3のスライド部材31のテーブル板31a上に図示しない真空チャック機構等で自動的に固定されて保持される(ステップ103)。
【0044】
同リペア装置の作用説明図(略後半分リペア加工)が図6に示されている。同図に示されるように、次のステップでは、ガラス基板を受け取ったのち、スライド部材31の前端位置がステージ22の前端位置よりも所定距離突出したテーブル静止状態において、ガントリ部212を所定の前後方向ストロークL内において前方へスライドさながら、スライド部材31上に保持されたガラス基板の後端位置から前方所定範囲内の領域に関するリペア加工が行われる(ステップ104)。
【0045】
同リペア装置の作用説明図(ホルダユニット後退)が図7に示されている。同図に示されるように、次のステップでは、ホルダユニット3のスライド部材31の前端位置がステージの前端位置と一致するまで、スライド部材31をリニアモータを介してステージの後方へとスライド移動(矢印で示す)させたのち静止させる(ステップ105)。
【0046】
同リペア装置の作用説明図(略前半分リペア加工)が図8に示されている。同図に示されるように、次のステップでは、そのテーブル静止位置において、ガントリ部212を所定の前後方向ストロークL内において後方へスライドさながら、スライド部材31上に保持されたガラス基板の前端位置から後方所定範囲内の領域に関するリペア加工が行われる(ステップ106)。
【0047】
同リペア装置の作用説明図(基板送出及び待機位置復帰)が図9に示されている。同図に示されるように、次のステップでは、ガントリ部212をステージ22上の最後部へとスライド移動(矢印で示す)させると共に、ホルダユニット3のスライド部材31をその前端位置が所定の受け渡し位置に達するまで、スライド部材31を前進(矢印で示す)させて静止させ、その静止状態において、リペア加工が完了したガラス基板を自動ローダへと受け渡す。以後、以上の動作(ステップ101〜106)を繰り返す。
【0048】
上述の運転方法によれば、ガントリ部212及びスライド部材31はそれぞれ前後方向へと1往復するだけであるから、スライド部材31の前後方向へのスライド動作とガントリ部212の前後方向へのスライド動作とを無駄なく協調させることにより、目的とするガラス基板を効率よくリペア加工することができる。
【0049】
また、上述のガラス基板リペア装置によれば、ホルダユニット3のスライド部材31を後退させた状態では、その前端位置はステージ22の前端位置内に収まるため、搬入・搬出・輸送に際する問題を解消することができる。
【0050】
加えて、従来にあっては、加工対象となるガラス基板を侵入させることができなかったデッドスペースにも、ガラス基板を侵入させることができるため、逆に、従来サイズのガラス基板であれば、従来よりも前後方向長のより短いステージで対応することも可能となる。
【0051】
なお、以上の実施形態においては、大画面液晶ディスプレイのガラス基板リペアに本発明を適用したが、大画面プラズマディスプレイ等の他の形式のガラス基板リペアにも本発明は広く適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、大画面液晶テレビ用のガラス基板リペア加工装置において、ガントリ部型XYステージの前後方向全長を増大させることなく、ガラス基板の大型化に対応することができ、それにより、搬入・搬出・輸送に際する問題を解消することができ、逆に、従来サイズのガラス基板であれば、前後方向長のより短いガントリ部型XYステージで対応することが可能となる。より具体的には、大画面液晶ディスプレイ用のガラス基板に適用した場合、第8世代機にあっても、第7世代機とほぼ同等にまでサイズをコンパクト化し、また装置重量も軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明が適用されたガラス基板リペア装置の外観を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同リペア装置のガントリ部型XYステージの外観を斜め前方から見た斜視図である。
【図3】同リペア装置のスライド機構付ホルダユニットの外観を斜め前方から見た斜視図である。
【図4】同リペア装置の作用説明図(ガントリ部待機位置)である。
【図5】同リペア装置の作用説明図(ホルダユニット前進)である。
【図6】同リペア装置の作用説明図(略後半分リペア加工)である。
【図7】同リペア装置の作用説明図(ホルダユニット後退)である。
【図8】同リペア装置の作用説明図(略前半分リペア加工)である。
【図9】同リペア装置の作用説明図(基板送出及び待機位置復帰)である。
【図10】同リペア装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 ガラス基板リペア装置
2 ガントリ型XYステージ
3 スライド機能付ホルダユニット
4 レーザ光学ユニット
21 光学ユニット走査機構
22 ステージ
22a 架台
22b 除振マウント
22c 石定板
22d 載物面
31 スライド部材
31a テーブル板
31b 側面板
31c リニアモータ可動子
31d リニアスケール
32 ベース板
32a リニアガイド突部
32b リニアモータ固定子
41 移動ベース
42 光軸
211 前後方向直動機構
211a ガイドベース
211b 直動ガイドレール
211c リニアモータ固定子
211d リニアモータ可動子
211e リニアスケール
212 ガントリ部
212a 支柱
212b ビーム
212c 直動ガイドレール
212d リニアモータ固定子
212e リニアモータ可動子
212f リニアスケール
L 光軸の前後方向移動ストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の前後方向長及び左右方向幅を有する載物面を有するステージと、前記ステージの載物面上にあって、リペア対象となるガラス基板を保持する機能を有するホルダユニットと、前記ステージの上方にあって、載物面に向けてレーザビームを照射する機能を有するレーザ光学ユニットと、前記ステージの載物面に沿って、前記光学ユニットを前後方向及び左右方向へと走査する機能を有する光学ユニット走査機構とを包含し、
前記光学ユニット走査機構は、
前記載物面の左右両側縁部にあって、それぞれ所定の可動子を前後方向へと直動させる機能を有する左右の前後方向直動機構と、
前記左右の前後方向直動機構の可動子間に跨って架け渡され、かつ前記レーザ光学ユニットを支持する所定の可動子をステージの左右方向へと直動させることが可能な左右方向直動機構を有するガントリ部とが包含されており、さらに
前記ホルダユニットは、
前記載物面に固定されるホルダベースと、
所定の前後方向長及び左右方向幅を有し、リペア対象となるガラス基板が保持されるテーブル板と、
前記ホルダベースに対して前記テーブル板を前後方向へとスライドさせる機能を有する前後方向直動機構とを有し、かつ
前記テーブル板の前後方向長は、その前端位置が前記ステージの前端位置とほぼ一致するとき、その後端位置が前記レーザ光学ユニットの前後方向光軸ストロークの後端位置よりも、さらに、後方に位置するように定められている、ことを特徴とするガラス基板リペア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス基板リペア装置の運転方法であって、
テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したガラス基板受け渡し位置に達するまで、テーブル板を前後方向直動機構を介してステージの前方へとスライドさせて、加工対象となるガラス基板を受け取り、受け取ったガラス基板をテーブル板上に保持させる第1のステップと、
前記第1のステップにてガラス基板を受け取ったのち、テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したテーブル静止状態において、前記ガントリ部を所定の前後方向ストローク内において前方へスライドさせて、テーブル板上に保持されたガラス基板の後端位置から前方所定範囲内の領域をリペア加工する第2のステップと、
前記第2のステップに続いて、テーブル板の前端位置がステージの前端位置と一致するまで、テーブル板を前記前後方向直動機構を介してステージの後方へとスライドさせたのちのテーブル静止状態において、前記ガントリ部を所定の前後方向ストローク内において後方へスライドさせて、テーブル板上に保持されたガラス基板の前端位置から後方所定範囲内の領域をリペア加工する第3のステップと、
テーブル板の前端位置がステージの前端位置よりも所定距離突出したガラス基板受け渡し位置に達するまで、テーブル板を前後方向直動機構を介してステージの前方へとスライドさせて、加工終了後のガラス基板を次工程へと受け渡す第4のステップとを包含する、ことを特徴とするガラス基板リペア装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−66691(P2010−66691A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234928(P2008−234928)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】