説明

ガラス板の収納装置

【課題】 ガラス板にネジレや圧痕を生じさせることなく収納でき、輸送時には、振動を受けてもガラス板が波打ったり、磨耗粉を発生させないようにする。
【解決手段】 縦方向に沿って分離可能なケース本体2とケース蓋3とによって構成され、ガラス板14と保護シート13を交互に立位状態で重ね合わせて収納する収納ケース1と、ケース本体2の内底面及び一内側面部、さらに、ケース蓋3の天井面部及び一内側面部にそれぞれ配設され、高硬質性及び高滑性を有し、ガラス板14の周端面部を受けるガラス受け部5a,5b、8a,8bとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶セル(マザーガラス)を構成する大型薄板ガラスの輸送に適用されるガラス板の収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のガラス板の収納装置としては、例えば、図14、或いは図16に示すようなものが知れらている。
【0003】
図14に示すものは、上面が開口する収納ケース101が縦置きされ、この収納ケース101内に、ガラス板102を立位状態で複数枚収納するようになっている。
【0004】
図16に示すものは、上面が開口される収納ケース105が横置きされ、この収納ケース105内にガラス板102を水平状態に複数枚積層収納するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図14に示すものは、収納ケース101の内側壁面部に図15にも示すように凹部103を連続的に形成し、これら凹部103内にガラス板102の両側部を差し込んで収納するため、ガラス板102間に隙間Sが形成される。このため、輸送時にガラス板102が強く振動を受けると、波打って割れてしまう虞があり、割れない場合でも、磨耗粉が生じてガラス板102を汚損してしまう不都合がある。また、ガラス板102間に隙間Sが形成される分だけ収納枚数が低下するため、輸送効率が低下するという問題もある。
【0006】
図16に示すものは、ガラス板102を水平状態で上下方向に積層するため、上部側に位置するガラス板102の荷重が下部側に位置するガラス板102に強くかかり、下部側のガラス板102にネジレが発生する虞があるとともに、ガラス板102間にゴミなどが入った場合には、圧痕が生じて不良品になってしまうという不都合がある。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ガラス板にネジレや圧痕を生じさせることなく収納でき、輸送時には、振動を受けてもガラス板が波打ったり、磨耗粉を発生させたりすることのないようにしたガラス板の収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、縦方向に沿って分離可能な一対のケース片によって構成され、ガラス板と保護シートを交互に立位状態で重ね合わせて収納する収納ケースと、前記一方のケース片の内底面及び一内側面部、さらに、前記他方のケース片の天井面部及び一内側面部にそれぞれ配設され、高硬質性及び高滑性を有し、前記ガラス板の周端面部を受けるガラス受け部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収納ケース内に複数枚のガラス板と保護シートを立位状態で交互に重ね合わせて収納するため、ガラス板間に隙間が生じることがない。
【0010】
従って、輸送時に振動を受けてもガラス板が波打って割れてしまう虞がないとともに、収納枚数も増大でき、輸送効率を向上できる。
【0011】
また、ガラス板の周端面部は、高硬質性及び高滑性を有するガラス受け部によって受けるため、振動を受けても磨耗粉を発生することがなく、ガラス板を汚損することもない。
【0012】
さらに、複数枚のガラス板を立位状態で収納するため、ガラス板を水平状態に収納した場合のように、上部側のガラス板の荷重が下部側のガラス板にかかることがなく、自重のみがかかる。従って、ガラス板にネジレを発生させることもなく、また、ガラス板間にゴミなどが入った場合でも圧痕を生じることがなく、良好な収納が可能になる。
【0013】
また、収納ケース内に複数枚のガラス板を立位状態で重ね合わせて収納するため、収納ケースとガラス板に一体性を持たせて強度を高めることができ、その分、薄型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるガラス板の収納装置を分離して示す斜視図である。
【0015】
収納装置は収納ケース1を有し、この収納ケース1は縦置きされ、縦方向に沿って分離
可能な一対のケース片2,3によって構成されている。
【0016】
図2は一方のケース片(以下、ケース本体という)2を示す正面図で、図3はその側断面図、図4はその平断面図である。
【0017】
ケース本体2は、背面部2aと、この背面部2aの上部に形成される天井面部2bと下部に形成される底面部2cと、背面部2aの両側部に形成される側面部2d,2eとを有して構成されている。ケース本体2の背面部2aの内面側には緩衝材4が貼り付けられている。ケース本体2の底面部2cの上面と側面部2dの内面にはそれぞれ高硬質性及び高滑性を有する例えばポリプロピレン製のガラス受け部5a,5bが配設されている。また、ケース本体2の前端面部には、その全周に沿って四角形をなすように枠状の突起部6が一体に突設されている。
【0018】
なお、図5及び図6に示すようにケース本体2の背面部2aの正面下部側には溝部10aが水平方向に沿って形成され、一側部には溝部10bが垂直方向に沿って形成されている。上記したガラス受け部5aは、その後端部が溝部10aに嵌合されて固定され、ガラス受け部5bはその後端部が溝部10bに嵌合されて固定されるようになっている。
【0019】
図7は他方のケース片(以下、ケース蓋という)3を示す正面図で、図8はその側断面図、図9はその平断面図である。
【0020】
ケース蓋3は、背面部3aと、この背面部3aの上部に形成される天井面部3bと下部に形成される底面部3cと、背面部3aの両側部に形成される側面部3d,3eとを有して構成されている。ケース蓋3の背面部3aの内面側には緩衝材7が貼り付けられている。ケース蓋3の天井面部3bの内面と側面部3dの内面にはそれぞれ高硬質性及び高滑性を有する例えばポリプロピレン製のガラス受け部8a,8bが配設されている。また、ケース蓋3の前端面部にはその全周に沿って四角形をなすように凹部11が形成されている。
【0021】
なお、図10に示すようにケース蓋3の背面部3aの正面一側部には溝部12が上下方向に沿って形成され、正面上部側には溝部(図示しない)が水平方向に沿って形成されている。上記したガラス受け材8bは溝部12にその後端部が嵌合されて固定され、上記したガラス受け材8aは上部側の溝部(図示しない)に後端部が嵌合されて固定されるようになっている。
【0022】
次に、ガラス板の梱包方法について説明する。
【0023】
まず、図11に示すように、収納ケース1をケース本体2とケース蓋3とに分離し、ケース本体2を縦置きする。そして、このケース本体2内に保護シート13を緩衝材4に沿うように収納したのち、一枚目のガラス板14を立位状態で収納する。こののち、一枚目のガラス板14上に保護シート13を重ね合わせ、ついで、二枚目のガラス板14をケース本体2内に収納する。以後、順次同様にして図12にも示すように保護シート13、ガラス板14の順で交互に収納する。そして、ガラス板14を所定枚数収納し終えたらケース本体2にケース蓋3を組み付けてその突起部6と凹部11とを互いに嵌合させて収納ケース1を構成する。このとき、収納された所定枚数のガラス板14の周端面部(上下端面及び両側端面)は、ガラス受け部5a,5b、8a、8bにそれぞれ接触されて受けられる。
【0024】
このように収納ケース1を構成したのちは、図13に示すように、プラスチイック製のバンド16で収納ケース1を縦横に結束して外装ケース17内に挿入して目的地へ輸送する。
【0025】
上記したように、この実施の形態によれば、収納ケース1内に複数枚のガラス板14と保護シート13を立位状態で交互に重ね合わせて収納するため、ガラス板14間に隙間が生じることがない。従って、輸送時に振動を受けてもガラス板14が波打って割れてしまう虞がないとともに、収納枚数も増大でき、輸送効率を向上できる。
【0026】
また、ガラス板14の周端面部は、高硬質性及び高滑性を有するガラス受け部5a,5b、8a,8bによって受けられるため、振動を受けても磨耗粉を発生することがなく、ガラス板14を汚損することもない。
【0027】
さらに、複数枚のガラス板14を立位状態で収納するため、ガラス板14を水平状態に収納した場合のように、上部側のガラス板の荷重が下部側のガラス板にかかることがなく、自重のみがかかる。従って、ガラス板14にネジレを発生させることがなく、また、ガラス板14間にゴミが入った場合でも圧痕を生じることがなく、良好な収納が可能になる。
【0028】
また、収納ケース1内に複数枚のガラス板14を立位状態で重ね合わせて収納するため、収納ケース1とガラス板14に一体性を持たせて強度を高めることができ、その分、収納ケースの薄型化が可能となる。
【0029】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態であるガラス板の収納ケースを分離して示す斜視図。
【図2】図1のケース本体を示す正面図。
【図3】図2のケース本体を示す側断面図。
【図4】図2のケース本体を示す平断面図。
【図5】図2のケース本体の一部を拡大して示す図。
【図6】図4のケース本体の一部を拡大して示す図。
【図7】図1のケース蓋を示す正面図。
【図8】図7のケース蓋を示す側断面図。
【図9】図7のケース蓋を示す平断面図。
【図10】図9のケース蓋の一部を拡大して示す図。
【図11】図1の収納ケースに対するガラス板の収納動作を示す図。
【図12】図11の収納ケースに収納されたガラス板の状態を示す図。
【図13】図11の収納ケースがバンドで結束されて外装ケースに収納される状態を示す図。
【図14】第1の従来例である収納ケースを示す斜視図。
【図15】図14の収納ケースの一部を拡大して示す平面図。
【図16】第2の従来例である収納ケースを示す斜視図。
【符号の説明】
【0031】
1…収納ケース、2…ケース本体(一方のケース片)、3…ケース蓋(他方のケース片)、5a,5b…ガラス受け部、8a,8b…ガラス受け部、13…保護シート、14…ガラス板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に沿って分離可能な一対のケース片によって構成され、ガラス板と保護シートを交互に立位状態で重ね合わせて収納する収納ケースと、
前記一方のケース片の内底面及び一内側面部、さらに、前記他方のケース片の天井面部及び一内側面部にそれぞれ配設され、高硬質性及び高滑性を有し、前記ガラス板の周端面部を受けるガラス受け部と
を具備することを特徴とするガラス板の収納装置。
【請求項2】
前記ガラス受け部は高硬質性及び高滑性を有し、振動を受けても磨耗粉を発生することがないことを特徴とする請求項2記載のガラス板の収納装置。
【請求項3】
前記ガラス板の収納時には、前記一対のヘース片は分離されて縦置きされ、一方のケー片の前面開口部から前記ガラス板を立位状態で収納させたのち、他方のケース片を一方のケース片に組み付けて前記収納ケースを構成することを特徴とする請求項1記載のガラス板の収納装置。
【請求項4】
前記ガラス板を収納した収納ケースは、縦置き状態で輸送されることを特徴とする請求項1記載のガラス板の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−91031(P2009−91031A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265627(P2007−265627)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(592184706)東芝物流株式会社 (15)
【Fターム(参考)】