説明

ガングリオシドを抽出および精製する方法

GM1の安定かつ再生可能な供給源としての、GM1ガングリオシドーシスに冒されたヒツジから得られる細胞またはGM1ガングリオシドーシスのヒト患者から得られる細胞から、GM1ガングリオシドを精製および抽出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2009年9月1日出願の米国仮特許出願第61/238775号に対する優先権を請求する。本出願は、それぞれの全内容が参照により組み込まれている、米国仮特許出願第61/238735号;第61/238748号および第61/238726号に基づく、2010年9月1日出願のPCT出願第_号に関連する。
【0002】
本明細書では、ガングリオシド、例えばモノシアロガングリオシド(GM1)を抽出および精製する方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病(PD)は、臨床症状の時間依存的悪化をもたらす、徐々にではあるが絶え間なく進行性の神経変性障害である。臨床症状には、振戦、運動緩慢(遅い運動)、筋強剛、障害性の姿勢および平衡、自動運動の喪失、ならびに発声変化が含まれる。患者間でかなりの臨床的変動性が存在するが、現在の抗PD薬物の医療設備は、たとえ一時的であっても、大多数の患者における主要なパーキンソン病様徴候および症状の大半を効果的に回復させる。伝統的な薬物療法による一過性の症状の改善にもかかわらず、機能的障害は時間の経過とともに悪化する。
【0004】
レボドパ療法は、症状の進行を遅らせないが、この療法の出現は、PD患者の生存期間の延長と関連してきた。レボドパ、すなわちドーパミンの代謝前駆体(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)は、現在、PDの治療における唯一の最も効果的な薬剤である。トルカポン(tolcapone)およびエンタカポン(entacapone)などのカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤が、経口投与されるレボドパの異化を防止するためにレボドパと付随して投与される、;そのため、CNSに到達するレボドパの血漿内半減期および割合が増加する。レボドパ療法を継続する問題は、患者の長期効能期間後、症状を減少させる有効性が各投与後により短くなることである。さらに、ジスキネジアが時間の経過とともに起こる。レボドパの継続使用のこれらの効果は、進行性のドーパミン変性の結果である。
【0005】
PDの進行を確実に遅らせるもしくは停止する、またはPD患者の不可避の機能低下を実質的に未然に防ぐ薬物はまだ同定されていない。
【0006】
臨床的進行を修正する、運動もしくは認知障害を治療する、ドーパミン(「DA」)系の残存部分の機能を回復もしくは増強する、または代償機能を活性化することができる薬物が切実に必要とされている。しかしながら、現在までに研究された薬剤で、神経保護または疾患修飾の確かな証拠を得たものはなく、神経再生剤として研究された薬剤はない。
【0007】
前臨床インビトロおよびインビボ研究は、GM1が、損傷したDAニューロンを救助し、ドーパミン作動性ニューロンおよび機能的ドーパミン作動性終末の生存および修復を刺激し、線条体のDAレベルを増加させ、ならびに残存ニューロンのDA合成能力を上方制御することを示した。例えば、「GM1 Ganglioside in the Treatment of Parkinson’s Disease」、Schneider、Ann.N.Y.Acad.Sciences 845、363〜73(2006年2月)を参照されたい。PD患者におけるGM1の予備的臨床研究はまた、GM1の短期間使用による患者の臨床的効果および5年間にわたるGM1の使用による患者の副集団における最小限の症状の進行、その後の長期間のGM1使用の中断後の症状の有意な進行を示した。
【0008】
そのため、PDの治療に対する潜在的に実りあるアプローチは、GM1などの薬剤の投与からなり、これは損傷したもしくは瀕死のDAニューロンを安定化する、新しいドーパミン作動性線維および終末の新芽形成を刺激する、または残存ドーパミン作動性ニューロンの機能を増強する、または代償プロセスを刺激もしくは維持することができる。
【0009】
GM1、モノシアロガングリオシドは、神経細胞膜の正常な成分であり、いくつかの細胞表面および受容体の活性を調節する、ならびに神経分化および発達、タンパク質リン酸化、およびシナプス機能において重要な役割を果たすことが知られている。多数の前臨床研究において、中枢神経系への異なる種類の障害の後のGM1による慢性的治療が、生化学的および行動上の回復をもたらし、これらの効果は損傷DA系において特に印象的であった。
【0010】
今まで、臨床的に使用されるGM1の唯一の形態は、ウシ脳から得られてきた。脳1個当たり得られるGM1の限定された量および脳抽出手順に伴う費用が、市販品としてのその発展を制限してきた。さらに、GM1供給源としてのウシの脳の使用は、牛海綿状脳症(「狂牛病」)などのプリオン病に対するもっともな懸念を引き起こす。
【0011】
GM1を抽出および精製する新規な改善された方法、特に非ウシ供給源を使用する方法についての継続的かつ未だ対処されていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、非ウシ供給源からの、ガングリオシド、例えばモノシアロガングリオシドGM1を抽出および精製する新規な方法を開示する。
【0013】
本明細書では、組織からGM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中でGM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;培養液からGM1ガングリオシドを単離するステップとを含む、GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製することにより、GM1ガングリオシドを単離する方法が提供される。GM1産生細胞は神経細胞であり得る。別の態様では、該細胞は線維芽細胞であり得る。本明細書で使用するGM1産生細胞は、基礎的にまたは正常細胞と比較して上昇したレベルでGM1を発現する細胞である。
【0014】
別の実施形態では、本方法は、GM1−ガングリオシドーシスI型の被験体から収集した非ウシおよび非ブタ線維芽細胞から得られる神経細胞からGM1を単離するステップを含み得る。そのため、GM1はBSE汚染物質を含まない。
【0015】
別の実施形態では、GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製するステップと;前記組織からGM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中で前記GM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;前記培養液から前記GM1ガングリオシドを単離するステップとを含む本明細書で開示される方法により製造されるGM1ガングリオシド組成物が提供される。そのため、GM1ガングリオシドはBSE汚染物質を実質的に含まないまたは含まない。
【0016】
以下の詳細な説明および実施例を参照することにより、さらなる特徴が理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本明細書に記載の1型培地の低O培養液におけるヒツジ海馬細胞の伸長統計を列挙する表である。
【図2】海馬神経前駆細胞の累積集団倍加の線グラフである。
【図3】本明細書に記載の1型培地の低O培養液における海馬細胞の全体倍加および収量を列挙する表である。
【図4】本明細書に記載の1型培地の低O培養液におけるヒツジ線維芽細胞の伸長統計を列挙する表である。
【図5】ヒツジ線維芽細胞の累積集団倍加の線グラフである。
【図6】肺対硬膜外結合組織の伸長を示す棒グラフである。
【図7】肺対結合組織の線維芽細胞の伸長を列挙する表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書では、ここで、GM1の安定かつ再生可能な供給源としての、GM1ガングリオシドーシスに冒されたヒツジから得られる細胞またはGM1ガングリオシドーシスのヒト患者から得られる細胞から、GM1ガングリオシドを精製および抽出する新規な方法が記載される。
【0019】
本明細書では、組織からGM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中でGM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;培養液からGM1ガングリオシドを単離するステップとを含む、GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製することにより、GM1ガングリオシドを単離する方法が提供される。GM1産生細胞は神経細胞であり得る。別の態様では、該細胞は線維芽細胞であり得る。本明細書で使用するGM1産生細胞は、正常細胞と比較して上昇したレベルでGM1を発現する過剰産生細胞である。特に、このような細胞は、ガングリオシドーシスに冒されたヒツジおよび/またはヒトから得ることができる。
【0020】
細胞を単離および調製する組織には、半卵円中心、小脳皮質、海馬、尾状核頭、前頭葉、頭頂皮質、または脳の脳室壁、顆粒細胞下層もしくは脳室裏層領域が含まれる。本方法において、これらの異なる領域から抽出される細胞の任意の組み合わせが、伸長および培養され得る。GM産生細胞は、表皮組織または肺組織から得られる線維芽細胞であり、ここでGM1産生細胞には、コア脳組織細胞(core brain tissue cell)または前駆細胞が含まれる。
【0021】
さらに、開示される別の態様は、組織の一部を切除するステップと;前記組織を輸送培地中に固定するステップであって、該培地が、高グルコースDMEM;4mM L−グルタミン、5〜10%、10〜20%または20〜30%ウシ胎児血清、MEM非必須アミノ酸溶液1X、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン;アンホマイシンおよびゲンタマイシンであり得るステップと;前記細胞の伸長を維持するのに十分な温度で組織を冷蔵するステップとにより、非ウシまたは非ブタ組織を調製する方法である。
【0022】
一実施形態では、神経細胞は、GM1ガングリオシドが過剰発現している脳組織から得られるか、またはGM1ガングリオシドーシスに冒された脳から得られる。神経細胞は、正常細胞と比較してGM1の過剰発現につながるO−ガラクトシダーゼの欠損を有し得る。本方法で使用する神経細胞は、部分的a−ノイラミニダーゼ活性を有し得る。
【0023】
別の実施形態では、本方法は、GM1−ガングリオシドーシスI型のヒト被験体から収集した非ウシおよび非ブタ線維芽細胞からGM1を単離するステップを含み得る。そのため、GM1はBSE汚染物質を含まない。本明細書で使用するBSE汚染物質は、任意の生体分子タンパク質、プリオンタンパク質(PrP)またはPrPタンパク質に対する抗体を通して検出され得る任意の生体分子を意味する。典型的には、GM1の商業的に入手可能な供給源はウシ由来のものであり、考えられる汚染物質を除去するために照射された形態で見られるが、このような供給源の治療上のリスクは残る。このような典型的なGM1供給源にはSigma Aldrichが含まれる。
【0024】
別の実施形態では、GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製するステップと;前記組織からGM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中で前記GM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;前記培養液から前記GM1ガングリオシドを単離するステップとを含む本明細書で開示される方法により製造されるGM1ガングリオシド組成物が提供される。そのため、GM1ガングリオシドはBSE汚染物質を実質的に含まないまたは含まない。
【0025】
本発明は、パーキンソン病および他の神経障害の治療で使用するための、商業的に実行可能な量のGM1ガングリオシドを得るための、GM1ガングリオシドーシスに冒されたヒツジから得られる細胞またはGM1ガングリオシドーシスのヒトから得られる細胞の使用を含む。ガングリオシドは、単独で、またはPD患者もしくは他の種類の神経変性疾患(それだけに限定されないが、ハンチントン舞踏病等を含む)の患者のための標準的な医療と共に投与され得る。
【0026】
GM1は、単独でまたは他のガングリオシドと組み合わせて、中でも皮下もしくは静脈内注射または経鼻もしくは粘膜投与を通して投与され得る。これはまた、持続性作用剤形を含んでもよく、薬物活性を延長するために放出制御製剤(リポソーム、ナノ粒子、マイクロスフェア)を使用してガングリオシドを投与してもよい。血液脳関門を通過するためにガングリオシドを適当な輸送分子と結合させてもよい。
【0027】
GM1ガングリオシドーシスに冒されたヒツジならびにこのような動物の脳からのGM1および他のガングリオシドの抽出は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5532141号に記載されている。これらの動物の疾患は、O−ガラクトシダーゼ活性の欠損および部分的a−ノイラミニダーゼ活性を特徴とし、その結果として、脳組織中に大量のGM1ガングリオシドが蓄積した(非罹患動物と比較して40倍までの増加)動物が得られる。最適化された抽出手順を使用すると、単一のガングリオシドーシスヒツジ脳は1〜2gのGM1をもたらすと推定される。1kgの罹患脳は約15gのGM1をもたらすとさらに推定される。比較すると、1kgのブタ脳は、250mgのGM1をもたらすと推定される。しかしながら、これらの増強された発現レベルでさえ、商業的な量のGM1を得るためには、1年当たり数十万頭のヒツジが必要であろう。
【0028】
細胞工学を使用して、GM1ガングリオシドーシスヒツジから得られるいくつかの潜在的な供給源からGM1を得ることができる。例えば、神経前駆細胞を成長および伸長させ、それらをニューロン表現型に駆動し、それらの成長および発達(およびおそらく、それだけに限定されないが、B系列ガングリオシド産生の阻害(例えば、GD3合成酵素を阻害することにより)、およびGM1でのA系列ガングリオシドの生合成経路の停止、したがってGM1に向かうより多くのガングリオシド産生の短絡を含む種々の操作を使用するGM1産生でさえ)を最適化し、次いで、培養された神経細胞からのGM1ならびに培地中に細胞により排出されたGM1を抽出することができる。ガングリオシド排出を増強し、培養された細胞からのガングリオシドの回収をさらに最適化するためにさらなる変更を行うこともできる。上で概説した一般的スキームの代わりに、またはこれと組み合わせて、線維芽細胞または肝細胞を、GM1の供給源として培養液中で培養し使用することもできる。
【0029】
本方法で使用される細胞は、それだけに限定されないが、半卵円中心、小脳皮質、海馬、尾状核、大脳皮質、脳室壁またはこれらの組み合わせを含む脳組織から得ることができる。
【0030】
GM1の別の潜在的供給源は、I型(小児型)GM1ガングリオシドーシスの患者由来の線維芽細胞(または肝細胞)である。GM1−ガングリオシドーシスI型の患者は、細胞内に正常な量の1%未満のガラクトシダーゼを有する傾向があり、したがって、これらの細胞は非常に高レベルのGM1ガングリオシドを産生する傾向がある。正常なヒト線維芽細胞は、タンパク質1mg当たりGM1約0.7nmolを含有し得る。GM1ガングリオシドーシス線維芽細胞は、タンパク質1mg当たりGM1 2.58nmolまでを含有し得る。培養されたヒトGM1ガングリオシドーシス線維芽細胞から得られるGM1の量は、最適な細胞成長パラメータ、培養液および栄養条件を使用して、GM1抽出用の細胞を収集するための最適な時間を決定することにより、最適化されるだろう。さらに、多数のサンプルをGM1I型患者ドナーからスクリーニングして、患者間で異なるβ−ガラクトシダーゼ欠損の重症度による最適なGM1蓄積を示す細胞系を発見するだろう。さらに、同一患者からの肝細胞を、GM1の代替または相補細胞供給源として使用することができる。
【0031】
いったんガングリオシドーシスヒツジからの細胞を有すると、これらの細胞からのGM1収量をさらに増強するいくつかの可能な方法が存在する。一つの方法は、細胞を低濃度のクロロキン、弱塩基で処理するものであり、これはエンドソーム内および細胞表面上のGM1の顕著な蓄積を引き起こすだろう(Yuyama等、2006)。別の方法は、細胞を、全ての主要な脳複合ガングリオシド(例えば、GD1a、GD1bおよびGT1b)を完全細胞上のGM1に転換するシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)で処理するものである(Schauer等、1980)。別の方法は、主にGM1を得るためにポリシアル化ガングリオ−N−テトラオース系列ガングリオシドの高選択的脱シアリル化を触媒するDowex−50W−H+を使用する非酵素的方法を使用するものである(SchengrundおよびKovac、1999)。これらの方法を使用して、増強した量のGM1を細胞および膜から回収すること、ならびに培地中に排出されるおよび培地から回収されるGM1の量を増加させることが可能である。
【0032】
細胞工学によりGM1ガングリオシドを産生する追加の潜在的手段には、大腸菌にGM1ガングリオシドを産生させるための、多重ゲノム工学および加速させた進化による細胞のプログラミングが含まれ得る。多重自動ゲノム工学(「MAGE」)を使用して、GM1ガングリオシドを過剰産生するために大腸菌のGM1の生合成経路を操作することができる。例えば、GM1産生を最適化するおよび他のガングリオシドの産生を阻害するために、特定の関連遺伝子の発現を最適に調整することおよび特定の遺伝子を抑制または省略することにより、多くの遺伝子位置を同時に変更してGM1生合成を修飾することができる。当技術分野で既知の標準的方法を通してガングリオシド遺伝子を大腸菌系中に組み込む当業者に既知の方法により、大腸菌を修飾することができる。例として、標準的方法は、培養液中でGM1を産生するGM1合成酵素を発現するよう修飾されたプラスミドDNAを単離するステップを含む。他のガングリオシド産生遺伝子には、GD3合成酵素が含まれる。
【0033】
大腸菌は、必要に応じて、合成ラクトシルセラミド(LacCer、植物源)およびシアル酸(非動物源から入手可能であるか、合成することができる)などの前駆物質が培地中で利用可能である特定の条件下で培養することができる。酵素活性(例えば、シアリルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ)をMAGEプロセスにより微調整することができ、活性化因子(トランスフェラーゼ酵素の活性化のためのグアノシン三リン酸)を提供することができ、ならびにN−アセチルガラクトサミンおよびガラクトース(糖供与体として働くために、糖はそのヌクレオチド誘導体に転換される必要がある)を提供することができる。
【0034】
GM1は、現在、ウシまたはブタ脳から抽出されており、これは低収率で高価な方法である。本発明は、GM1ガングリオシドの安全かつ効率的な細胞ベースの産生を提供するだろう。本発明はまた、ヒトGM1ガングリオシドの初めての商業的供給源も提供するだろう。本技術により、GM1以外の他のガングリオシド種も産生することができ、GM1および他のガングリオシドは、パーキンソン病などの種々の神経障害における用途を有し得る。
【0035】
脳ガングリオシドを抽出、分離および精製する典型的な手順が記載され、それは以下を含む:緩衝テトラヒドロフランまたは当技術分野で既知の他の適当な溶媒による脳の徹底的抽出;最初にエチルエーテル、次いで、蒸留水による抽出物の分配;得られた水相の透析、およびシリカゲルカラムによる透析液のクロマトグラフィー。徹底的な抽出後の残渣は、全ての脳糖タンパク質を含有する。手順は、抽出プロセスのクロロホルム法を含む。
実施例
実施例1
【0036】
以下の組織供給源を含むヒツジ脳組織を入手した:半卵円中心、小脳皮質;海馬、尾状核、大脳皮質(例えば、前頭葉、頭頂部)および脳室壁。
【0037】
全組織を以下の方法を通して個々に処理した:PIPES緩衝液により各組織型を洗浄した;抗生物質/抗真菌剤を含むパパイン/DNアーゼ/ディスパーゼ(中性プロテアーゼ)の混合物中で各組織を消化し、酵素を中和し、解離細胞をセルストレーナーに通した;細胞を遠心分離し、抗生物質/抗真菌剤を含有する5%FBSを含有するDMEM/F12/N2に再懸濁した;細胞を数え上げ、次いでa.培地型番号1:抗生物質/抗真菌剤を含有する5%FBSを含有するDMEM/F12/N2中フィブロネクチン被覆フラスコ中に播種した;10ng/ml bFGFおよび20ng/ml EGFを補充した。Neurocult Proliferation−A培地;各培地型中の細胞を、低Oおよび比較用の高O下で、37℃加湿インキュベーター中で培養した。
【表1】

【0038】
上記表1は、種々の成長条件における細胞の増殖および伸長を説明したものである。Neurocult Proliferation−Aで培養した培養液は、あまり成長せず、そのため、P.0で収集した少数の細胞は凍結し、さらに伸長しなかった。
実施例2
【0039】
以下の組織供給源を含むヒツジ組織を繊維芽細胞単離のために入手した:肺(左肺および右肺をプールした)、および硬膜外結合組織。
全組織を以下の方法を使用して個々に処理した:PIPES緩衝液により各組織型を洗浄した。抗生物質/抗真菌剤を含むDMEM中コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ(Hyaluronidase)中で各組織を消化し、10%FBSを含有するDMEM中で酵素を中和し、解離細胞をセルストレーナーに通した。細胞を遠心分離し、抗生物質/抗真菌剤を含有するFGM−2に再懸濁した。細胞を数え上げ、次いで、フラスコ中に播種し、残りの組織をFGM−2培地中培養皿中に入れた。細胞を、低O圧下でのみ、37℃加湿インキュベーター中で培養した。
【表2】

実施例3
【0040】
消化
標本を種々の遠心管に入れ、1〜10のラベルをつけ、外装箱から取り出し、きれいに拭き、50mL試験管立てに入れた。各管の画像を取得した。各管にエタノールを噴霧し、再度きれいに拭き、次いで、無菌処理のために安全キャビネットに移した。各管からの輸送培地を、清潔な10mLピペットを使用して慎重に吸引し、廃棄物容器中に排出した。過剰(40mL)PIPES溶液を各管へ移し、蓋を取り替え、管を穏やかに数回前後に反転させて組織から残留輸送媒体を洗い流した。次いで、10mLピペットを使用してこれを吸引し、廃棄物容器中に排出した。
【0041】
20mLの脳消化液を、脳組織を含有する管へ移し、各管に1〜6のラベルをつけた。各数字に対応する脳の領域を後で翻訳するための鍵を作った。20mLのコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ(1X)溶液を、他の器官からの組織を含有する管の各々に移した。滅菌25mlおよび50mlピペット、滅菌ピンセットおよびメスを使用して、管の各々からの組織を滅菌10cm皿に移し、消化液に浸し、非常に小さい断片に分割した。各皿の内容物(組織断片および消化液)を25mLまたは50mLピペットで吸い上げ、適当な管へ移し、蓋をし、全て37℃のインキュベーター中に45分間置いた。45分後、管を無菌的にフードへ移し、各々をそれぞれ滅菌25mLおよび10mLピペットを使用してすりつぶした。蓋を交換し、管を37℃インキュベーター中試験管立てに15分間戻した。インキュベーション後、管を無菌的にフードへ移した。25mLの中和媒体を10本の管の各々へ移し、管に蓋をし、各々を数回前後に反転させて混合した。管を200gで10分間遠心分離して細胞および残りの組織塊をペレットにした。管を無菌的にフードへ移し、いかなる組織断片または細胞も吸い上げられないようにして、各管から上清を慎重に吸引した。脳領域1〜6を含有する管に、40mL培地型番号1を入れ、細胞および残りの組織断片を再懸濁した。肺、硬膜外結合組織および骨結合組織を含有する管を、40mL FGM−2線維芽細胞成長培地に再懸濁した。再懸濁した細胞および組織を含む10本の管の各々を、ピペットで40umセルストレーナーを通し、新しいラベルをつけた50mL管へ移した。各管についてカウントおよび生存率調査を行った。
【0042】
低O伸長条件
脳の6つの異なる領域からの細胞を、100000個/cmで、15mLの培地型番号1または15mLの培地型番号2(Neurocult Proliferation−A培地)中6つのフィブロネクチン被覆T80フラスコに播種し、加湿37℃インキュベーター中、低酸素圧(4%O、5%COおよび窒素で釣り合わせた)でインキュベートした。2日毎に、培養培地の50%を新鮮な培地と交換した。培養液は不均一であった。コロニー形成細胞は、初期の頃に存在する細胞の少数であったが、数日後、これらの細胞はコロニー形成および成長を始めた。継代0培養液を9日目に収集した。収量については表1.0を参照されたい。
【0043】
6つの領域の各々について、第1継代細胞を、100個細胞/cmで、36mlの培地型番号1および培地型番号2の両方中2つのT225cmフィブロネクチン被覆フラスコに播種した。5日目に培養液に100%新鮮な培地を与えた。培養液はこの継代中はまだ不均一であったが、有意にきれいになり、この継代の初期でより多くのコロニー形成細胞が存在しており、これらの細胞は前の継代よりも早く成長した。6日目に4x、100x、200xで画像を取得した。培養液を6日目に収集した。
【0044】
6つの領域の各々について、第2継代細胞を、100個細胞/cmで、36mlの培地型番号1および培地型番号2の両方中2つのT225cmフィブロネクチン被覆フラスコに播種した。5日目に培養液に100%新鮮な培地を与えた。培養液は90%以上均一であった。培養液を6日目に収集した。次いで、培地型番号2中に維持した全培養液を凍結し、さらには伸長させなかった。培地型番号1中に維持した培養液(すなわち、海馬神経前駆細胞)を第6継代までさらに継代培養した(以下):
【0045】
第3継代細胞を、100個細胞/cmで、36mlの培地型番号1中2つのT225cmフィブロネクチン被覆フラスコに播種した。5日目に培養液に100%新鮮な培地を与えた。培養液は、この継代中均一であるように見えた。6日目に4x、100x、200xで画像を取得した。培養液を6日目に収集した。
【0046】
第4継代細胞を、100個細胞/cmで、36mlの培地型番号1中2つのT225cmフィブロネクチン被覆フラスコに播種した。5日目に培養液に100%新鮮な培地を与えた。6日目に4x、100x、200xで画像を取得した。培養液を6日目に収集した。
【0047】
線維芽細胞
ヒツジ肺の消化により得られた細胞を100000個細胞/cmで播種し、硬膜外結合組織から得られた細胞を50000個細胞/cmでFGM−2培地に播種した。2日毎に培養液に50%新鮮な培地を与え、第0継代を5日目に収集した。両培養液をより低密度で継代培養し、残りを凍結し保管した。
【0048】
第1継代硬膜外および肺線維芽細胞を、100個細胞/cmで、T225cmフラスコ中FGM−2培地に播種した。5日目に培養液に100%新鮮なFGM−2培地を与え、7日目に収集した。肺培養液を継代培養し、残りを凍結し保管した。硬膜外線維芽細胞は全て凍結し保管した。
【0049】
第2継代肺線維芽細胞を、100個細胞/cmで、T225cmフラスコ中FGM−2培地に播種した。非常に重いので4日目に培養液に100%新鮮なFGM−2培地を与え、次いで、5日目に収集した。培養液を継代培養し、残りを凍結し保管した。
【0050】
第3継代肺線維芽細胞を、100個細胞/cmで、T225cmフラスコ中FGM−2培地に播種した。5日目に培養液に100%新鮮なFGM−2培地を与え、6日目に収集した。培養液を継代培養し、残りを凍結し保管した。
【0051】
高O条件(標準法)
6つの領域の各々からの細胞を、100000個/cmで、5mlの培地型番号1および13mlの培地型番号2中、4つのT25cmおよび1つのT80cm(全てフィブロネクチンで被覆されている)に播種し、加湿37℃インキュベーター中、18%O、5%CO(標準条件)でインキュベートした。5日目に培養液にそれぞれの培地を与え、次いで、24時間後の6日目に収集した。6日目の収集前に4x、100x、200xで画像を取得した。全領域からの細胞をカウントし、次いで、凍結し保管した。
【0052】
輸送培地
死後および輸送中に組織の保管のために使用する培地。成分:高グルコースDMEM(Invitrogen);4mM L−グルタミン(Hyclone);20%ウシ胎児血清(Hyclone);MEM非必須アミノ酸溶液、1X(Invitrogen、カタログ番号11140、100X溶液、ロット番号672555);ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(ug/ml)、アンホマイシン(/ml)(Stem Cell Technologies,Inc.、カタログ番号、100X溶液、ロット番号);ゲンタマイシン(50ug/ml)。
【0053】
消化液
脳:
高グルコース 1:1 DMEM:F12:4mM L−グルタミン;ディスパーゼ(1U/ml)(Roche、カタログ番号04942086001);DNアーゼ(250U/ml)(Invitrogen、カタログ番号18047−019);パパイン(2.5U/ml)(Sigma、カタログ番号76218);ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(ug/ml)、アンホマイシン(/ml)(Stem Cell Technologies,Inc.、カタログ番号、100X溶液);ゲンタマイシン(50ug/ml)(Sigma);
【0054】
肺、硬膜外および骨:
高グルコースDMEM:4mM L−グルタミン;コラゲナーゼ(300U/ml)/ヒアルロニダーゼ(100U/ml)(Stem Cell Technologies);ヒアルロニダーゼ(Stem Cell Technologies);ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(ug/ml)、アンホマイシン(/ml)(Stem Cell Technologies,Inc.);ゲンタマイシン(50ug/ml)。
4.培養培地 脳:
【0055】
a.培地型番号1
高グルコース 1:1 DMEM:F12;4mM L−グルタミン;N2サプリメント(100X)液体(Invitrogen);ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(ug/ml)、アンホマイシン(/ml)(Stem Cell Technologies,Inc.);ゲンタマイシン(50ug/ml);20ng/ml上皮増殖因子、ヒト、組換え体(rh EGF)(Stem Cell Technologies);10ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト、組換え体(rh bFGF)(Stem Cell Technologies)。
【0056】
b.培地型番号2
Neurocult NS−A増殖用培地。Neurocult NS−A基礎培地(ヒト)、450ml(Stem Cell Technologies);Neurocult NS−A増殖サプリメント(ヒト)、50ml(Stem Cell Technologies);ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(ug/ml)、アンホマイシン(/ml)(Stem Cell Technologies,Inc.);ゲンタマイシン(50ug/ml);20ng/ml上皮増殖因子、ヒト、組換え体(rh EGF)(Stem Cell Technologies);10ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト、組換え体(rh bFGF)(Stem Cell Technologies)。
実施例4
【0057】
GM1でパーキンソン病患者を治療する臨床試験において、全機能査定(ベースラインおよびその後の全訪問の間)は、医薬品の投与前(事実上定義される「オフ」期間と考えられる)から、患者が最初に抗パーキンソン医薬品を服用する前および少なくとも12時間前の午前中に行った。以下の機能的測定にしたがって、ベースライン能力について、3回の別々の機会に(2週間以内)全患者を試験した:(1)一次および二次評価者により独立に評価される、統一パーキンソン病評価尺度(「UPDRS」);(2)実行する時間:20回の手の回内運動/回外運動;20回のかかと−つま先タップ;20回の親指−示指タップ;親指を順次他の指に10回あてる時間;可能な限り速く20フィート歩き、方向転換し、出発点に戻ってくる時間;単純な反応の時間の評価;(3)患者が体性感覚および固有受容フィードバックにのみ基づいて特定の運動を作り出す必要がある感覚運動統合の試験。この試験は、月に4回のフォローアップ訪問で行った。
【0058】
各患者についての平均ベースラインスコアを計算し、治療スコアとの比較に使用した。主要な効能測定は、標準的な臨床的評価手段であるUPDRSの運動要素における変化とした。GM1処理群(N=22)は、UPDRS運動スコアの有意な改善(4週で5.05ポイントおよび16週で7.53ポイントの平均的改善)を示した一方で、プラセボ処理群についての平均スコアは、処理の16週にわたって本質的に変化しなかった。4週(−5.95±1.12)、8週(−5.61±1.39)、12週(−5.37±1.30)および16週(−6.79±1.24)の処理効果量は、統計学的に有意であった(ANCOVA、p<0.0002)。運動機能の二次評価は、両群がベースラインで感覚運動統合課題に対する類似した数のエラーをした一方で(GM1=5.3±2.3;プラセボ=5.4±3.1)、GM1処理患者は、プラセボ処理患者(5.1エラー±3.1、p=0.0001)よりも、処理の16週後にしたエラーが有意に少なかった(0.7エラー±0.8)。GM1処理群はまた、プラセボ処理患者よりも、ベースラインと比較して、16週で有意に速く時限運動課題(すなわち、回内運動/回外運動(p=0.0001)、かかと/つま先タッピング(p=0.0008)、指タッピング(p=0.0001)、連続的指タッピング(p=0.0001)および歩行(p=0.02))を行った。患者は、5年間のGM1の公開使用の終わりで、事前ランダム化ベースラインにおけるよりも低いUPDRS運動スコアを有し、日常生活の「オフ」期間の活動で報告される問題がより少なかった。
【0059】
いったんベースライン試験が完了したら、患者は、50mL滅菌リンガー液中の1000mgGM1ガングリオシドまたはプラセボ(すなわち、GM1を含まない賦形剤)のいずれかの静脈内注入を受けた。患者は、皮下注射を自己投与するよう教えられ、同一の2.0mLバイアル中に提供されたGM1ガングリオシド(2.0mlのビヒクル中100mgのGM1/バイアル)またはプラセボのいずれかの4週間分を供給されて帰された。患者は、午前中に1回および夕方に1回、1日当たり2本のバイアルの内容物を投与するよう指示された(総一日量=200mg GM1)。併用医薬品は一定に保った。
【0060】
本記載は代表的な実施形態を参照してなされているが、本範囲を逸脱することなく、種々の変更を行うことができ、その要素の代わりに同等物を用いることができることが当業者により理解されよう。さらに、本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または物質をこの教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。また、図面および説明において、代表的な実施形態が開示されており、特定の用語が使用されてきたかもしれないが、それらは特に明記しない限り、一般的かつ説明的意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではなく、そのため、特許請求の範囲は限定されない。さらに、当業者は、本明細書で論じる方法の特定のステップを代わりの順序で順番付けることができる、またはステップを組み合わせることができることを認識するだろう。そのため、添付の特許請求の範囲は、本明細書で開示する特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
【0061】
この本文中に引用された出願および特許の各々、ならびにその出願および特許の各々に引用された各文書または参考文献(各登録特許の審査中を含む;「出願引用文書」)、ならびに任意のこれらの出願および特許に対応するおよび/またはそれらに基づく優先権を請求するPCTおよび外国の出願または特許の各々、ならびに出願引用文書の各々で引用または参照された文書の各々は、本明細書によって明確にその全内容が参照により本明細書に組み込まれている。より一般的に、文書または参考文献は、特許請求の範囲の前の参考文献一覧またはこの本文自体のいずれかにおいてこの本文に引用され;そして、これらの文書または参考文献(「本明細書中に引用された参考文献」)の各々ならびに本明細書中に引用された参考文献の各々において引用された各文書または参考文献(任意の製造業者の仕様書、説明書等を含む)は、本明細書によって明確に参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
参考文献
Neeta S.Roy等。2000。J Neurosci 59:321〜31。
(Philip H.Schwartz等。2003。J Neurosci;74:838〜51。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製するステップと;前記組織から前記GM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中で前記GM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;前記培養液から前記GM1ガングリオシドを単離するステップとを含む、GM1ガングリオシドを単離する方法。
【請求項2】
前記GM1産生細胞が神経細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が線維芽細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組織が、半卵円中心、小脳皮質、海馬、尾状核頭、前頭葉、頭頂皮質、または脳の脳室壁、顆粒細胞下層もしくは脳室裏層領域、あるいはこれらの任意の組み合わせから調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記GM産生細胞が表皮組織または肺組織から得られる線維芽細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記GM1産生細胞がコア脳組織細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記GM1産生細胞が前駆細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
非ウシまたは非ブタ組織を調製するステップが、組織の一部を切除するステップと;前記組織を輸送培地中に固定するステップであって、前記培地が、高グルコースDMEM;4mM L−グルタミン、5〜10%、10〜20%または20〜30%ウシ胎児血清、MEM非必須アミノ酸溶液1X、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン;アンホマイシンおよびゲンタマイシンを含むステップと;前記細胞の伸長を維持するのに十分な温度で前記組織を冷蔵するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記神経細胞が、GM1ガングリオシドが過剰発現している脳組織から得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記神経細胞が、GM1ガングリオシドーシスに冒された脳から得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記神経細胞が、O−ガラクトシダーゼの欠損を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記神経細胞が、部分的a−ノイラミニダーゼ活性を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記神経細胞が、GM1−ガングリオシドーシスI型の被験体から収集したヒト線維芽細胞から得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記GM1がBSE汚染物質を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
GM1産生細胞を含む非ウシおよび非ブタ組織を調製するステップと;前記組織から前記GM1ガングリオシド産生細胞を単離するステップと;前記細胞の伸長を促進する適当な条件下、培養液中で前記GM1産生細胞を伸長させるステップと;適当な条件下、培養液中でGM1ガングリオシド発現を発現させるステップと;前記培養液から前記GM1ガングリオシドを単離するステップとを含む方法により製造されるGM1ガングリオシド組成物。
【請求項16】
前記GM1がBSE汚染物質を含まない、請求項15に記載のGM1ガングリオシド。
【請求項17】
GM1ガングリオシドを非ウシおよび非ブタ動物から単離するステップを含む、GM1ガングリオシドを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−503635(P2013−503635A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528008(P2012−528008)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047522
【国際公開番号】WO2011/028795
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512051435)エルゼット セラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】