説明

キシロースを含む培地における発酵培養方法

【課題】キシロース代謝能を付与した酵母におけるキシロース代謝能、特にキシロール取り込み速度を大幅に向上する。
【解決手段】アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)及びヒスチジン(His)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアミノ酸の濃度を高めたキシロース含有培地で、キシロース代謝能を有する酵母を培養する工程と、培地からアルコールを回収する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシロースを炭素源として利用する発酵培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木質系バイオマスから製造されるエタノール等の石油代替資源に大きな期待が寄せられている。すなわち、木質系バイオマスは、エタノール等の有用なアルコールや有機酸の原料として有効に利用されている。木質系バイオマスは、主としてセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されている。木質系バイオマスからエタノール等液体燃料を製造するためには、セルロースやヘミセルロースを構成単糖にまで加水分解(糖化)し、発酵によって単糖をエタノールに変換する。セルロースは主としてグルコースから構成され、ヘミセルロースは主としてアラビノースとキシロースから構成されている。したがって、木質系バイオマスを利用してエタノールを製造する際には、グルコースのみではなくキシロースも発酵の基質として有効に利用されることが望ましい。
【0003】
ところが、エタノール製造に利用される通常の酵母は、基質として5単糖のキシロースを利用することができない。そこで、キシロース代謝能を付与した酵母を利用してキシロースを基質として利用するといった技術が特許文献1及び2並びに非特許文献1に開示されている。しかしながら、キシロース代謝能を付与された酵母は、グルコースを基質としたエタノール発酵能を有するため、培地中にグルコースとキシロースとが含まれると、グルコース代謝が優先的に進行しキシロースの代謝遅延が発生するといった問題があった。
【0004】
また、非特許文献1には、キシロース・リダクターゼ遺伝子及びキシリトール・デヒドロゲナーゼ遺伝子を導入した組換え酵母(S. cerevisiae)について、培地の組成による増殖速度等を検討した結果が開示されている。より詳細には、当該組換え酵母をキシロース含有培地で培養した際の増殖速度やキシロール取り込み速度が、種々の培地組成においてどのように変化するか検討している。そして、非特許文献1によれば、酵母の最少培地(YNB培地)にアミノ酸混合物を添加しても、キシロール取り込み速度は向上しないことが理解できる(非特許文献1の表2参照)。
【0005】
なお、特許文献3には、炭水化物原料(特に、デンプン質原料)を用いた同時糖化-発酵プロセスにおいて、糸状菌をフスマ培地で培養した後の発酵産物を含む成分を添加剤として利用する技術が開示されている。また、添加剤としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びグルタミン酸といったアミノ酸を含むような構成であっても良いことが開示されている。しかし、特許文献3に開示された技術は、添加剤の主成分としては上述した発酵産物であり、アミノ酸を添加剤として単独で使用するといった技術を開示するものではない。また、特許文献3は、キシロース代謝能を有する酵母におけるキシロール取り込み速度を向上させる技術とは全く異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000−509988号
【特許文献2】特表2008−506383号
【特許文献3】特表2009−529903号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Barbel Hahn-Hagerdal et. al., Microbial Cell Factories 2005, 4:31,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したように、キシロース代謝能を付与した酵母におけるキシロース代謝能、特にキシロース取り込み速度を向上させる試みはあるものの、十分な効果を達成していないのが現状である。そこで、本発明は、キシロース代謝能を付与した酵母におけるキシロース代謝能、特にキシロール取り込み速度を大幅に向上できる発酵培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、所定のアミノ酸を含む培地において、キシロース代謝能を付与した酵母におけるキシロース取り込み速度が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を包含する。
【0010】
(1)アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)及びヒスチジン(His)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアミノ酸の濃度を高めたキシロース含有培地で、キシロース代謝能を有する酵母を培養する工程と、培地からアルコールを回収する工程とを含む発酵培養方法。
(2)上記キシロース含有培地は、キシロースを含む基本培地に上記アミノ酸を含む溶液を添加したものであることを特徴とする(1)記載の発酵培養方法。
(3)上記基本培地は、糖化処理した木質系バイオマスを含むことを特徴とする(2)記載の発酵培養方法。
(4)上記アミノ酸の濃度を高めたキシロース含有培地で上記酵母の培養を開始することを特徴とする(1)記載の発酵培養方法。
(5)キシロースを含む基本培地にて上記酵母を培養している途中の段階で、上記アミノ酸を含む溶液を添加することを特徴とする(1)記載の発酵培養方法。
(6)上記酵母は、Saccharomyces cerevisiaeにキシロース代謝関連遺伝子群を導入した組換え酵母であることを特徴とする(1)記載の発酵培養方法。
(7)上記組換え酵母は、β-グルコシダーゼ遺伝子を更に導入したものであることを特徴とする(6)記載の発酵培養方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発酵培養方法は、キシロース代謝能を有する酵母におけるキシロース代謝能を大幅に向上させることができる。これにより、本発明に係る発酵培養方法によれば、キシロース代謝能を有する酵母を利用して、キシロースを基質としたアルコールの製造効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】pXDI-HOR7p-ScTAL1-ScTKL1を模式的に示す構成図である。
【図2】pXEL-HOR7p-ScRPE1-ScRKI1を模式的に示す構成図である。
【図3】pXIH-HOR7p-XKS1を模式的に示す構成図である。
【図4】pRS524-HOR7p-PiXIを模式的に示す構成図である。
【図5】Real-time 定量PCRの解析結果であって、実施例で作製した各株における各遺伝子の発現量の相対比較を行った結果を示す特性図である。
【図6】pXLG-HOR7p-BGL1を模式的に示す構成図である。
【図7】キシロース含有培地に種々のアミノ酸を添加した際のキシロース取り込み量を比較した結果を示す特性図である。
【図8】キシロース含有培地に種々のアミノ酸を添加した際のグルコース減少量を比較した結果を示す特性図である。
【図9】キシロース含有培地に種々のアミノ酸を添加した際の生育速度を比較した結果を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る発酵培養方法は、キシロース代謝能を有する酵母を、キシロースを含む培地にて培養することでアルコール等を発酵生産する方法であって、当該酵母におけるキシロース代謝能を向上させる方法である。ここで、キシロース代謝能とは、培地に含まれるキシロースを代謝してアルコールとする発酵反応における効率を意味する。したがって、キシロース代謝能の向上とは、当該発酵反応における反応効率を向上させることと同義となる。酵母におけるキシロース代謝能は、例えば、培地に含まれるキシロースの取り込み速度を指標にして評価することができる。キシロースの取り込み速度は、培養開始時における既知濃度のキシロースの減少量を経時的に測定することで算出することができる。但し、キシロース代謝能は、キシロースを基質として産生されたアルコールを定量することによっても評価することができる。
【0014】
キシロース代謝能を有する酵母
本発明に係る発酵培養方法には、キシロース代謝能を有する酵母を使用する。本発明で使用する酵母は、本来的にキシロース代謝能を有する酵母でも良いし、所定の遺伝子を導入することでキシロース代謝能を付与又は強化された酵母でも良い。本来的にキシロース代謝能を有する酵母としては、特に限定されないが、Candida shehatae、Pachysolen tannophilius及びPichia stipitis等を挙げることができる。
【0015】
また、本来的にキシロース代謝能を有しない酵母に対して、当該酵母に対してキシロース代謝関連遺伝子を導入することでキシロース代謝能を付与することができる。キシロース代謝関連遺伝子とは、キシロースをキシリトールに変換するキシロースリダクターゼをコードするキシロースリダクターゼ遺伝子、キシリトールをキシルロースに変換するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードするキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子、キシロースをキシルロースに変換するキシロースイソメラーゼをコードするキシロースイソメラーゼ遺伝子、及びキシルロースをリン酸化してキシルロース5-リン酸を生成するキシルロキナーゼをコードするキシルロキナーゼ遺伝子を含む意味である。なお、キシルロキナーゼにより生成されたキシルロース5-リン酸は、ペントースリン酸経路に入り代謝されることとなる。
【0016】
酵母に導入されるキシロース代謝関連遺伝子としては、特に限定されないが、Pichia stipitis由来のキシロースリダクターゼ遺伝子及びキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子、Saccharomyces cerevisiae由来のキシルロキナーゼ遺伝子を挙げることができる(Eliasson A. et al., Appl. Environ. Microbiol, 66:3381-3386及びToivari MN et al., Metab. Eng. 3:236-249参照)。その他にも、キシロースリダクターゼ遺伝子としては、Candida tropicalisやCandida prapsilosis由来のキシロースリダクターゼ遺伝子を利用することができる。キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Candida tropicalisやCandida prapsilosis由来のキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子を利用することができる。キシルロキナーゼ遺伝子としては、Pichia stipitis由来のキシルロキナーゼ遺伝子を利用することもできる。なお、ストレプトマイセスムリナスクラスター又はピロミセス由来のキシロースイソメラーゼ遺伝子等を利用することもできる。
【0017】
また、キシロース代謝関連遺伝子を導入する対象となる酵母としては、特に限定されず、例えば、子嚢菌類(Ascomycota)の子嚢菌酵母、担子菌類(Basidiomycota)の担子菌酵母、又は不完全菌類(Fungi Imperfecti)の不完全菌酵母を用いることができる。好ましくは、子嚢菌酵母、特に出芽酵母であるサッカロマイセス・セレビシアエ、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)又はピキア・パストリス(Pichia pastris)等、分裂酵母であるシゾサッカロマイセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)等が用いられる。また、酵母としては、例えばサッカロマイセス・セレビシアエA451、YPH499、YPH500、W303-1A又はW303-1B株などが挙げられる。
【0018】
さらに、キシロース代謝能を有する酵母としては、βグルコシダーゼ遺伝子やキシラン分解酵素遺伝子を発現するよう導入され、βグルコシダーゼ活性やキシラン分解活性を示す酵母を使用することが好ましい。これらβグルコシダーゼ遺伝子やキシラン分解酵素遺伝子は、βグルコシダーゼやキシラン分解酵素を菌体外に分泌するようシグナル配列を有するかたちで酵母に導入されても良いし、βグルコシダーゼやキシラン分解酵素を細胞表層にディスプレイされるよう細胞表層局在タンパク質遺伝子と融合するかたちで酵母に導入されても良い。
【0019】
なお、βグルコシダーゼやキシラン分解酵素が細胞表層にディスプレイされるように、βグルコシダーゼ遺伝子やキシラン分解酵素遺伝子を導入する方法は、特に限定されず、例えばWO 2010-005044に記載された手法を採用することができる。また、βグルコシダーゼ遺伝子としては、特に限定されないが、例えば、Aspergillus aculeatus由来のβグルコシダーゼ遺伝子(Murai et al., Appl. Environ. Microbiol. 64:4857-4861)を挙げることができる。その他にも、βグルコシダーゼ遺伝子としては、Aspergillus oryzae由来のβグルコシダーゼ遺伝子、Clostridium cellulovorans由来のβグルコシダーゼ遺伝子及びSaccharomycopsis fibligera由来のβグルコシダーゼ遺伝子等を利用することができる。
【0020】
また、上述したキシロース代謝関連遺伝子や細胞表層提示型βグルコシダーゼ遺伝子及びキシラン分解酵素遺伝子を導入する方法としては、酵母の形質転換方法として知られている従来公知のいかなる手法をも適用することができる。具体的には、例えば、例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J.Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実施可能であるが、これに限定されない。
【0021】
また、これら遺伝子を導入する際には、酵母の形質転換に使用されているプラスミドDNAを使用することができる。プラスミドDNAとしては、例えばpRS413、pRS414、pRS415、pRS416、YCp50、pAUR112又はpAUR123などのYCp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pYES2又はYEp13などのYEp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pAUR101又はpAUR135などのYIp型大腸菌-酵母シャトルベクター、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pTV118N、pTV119N、pBluescript、pHSG298、pHSG396又はpTrc99AなどのColE系プラスミド、pACYC177又はpACYC184などのp15A系プラスミド、pMW118、pMW119、pMW218又はpMW219などのpSC101系プラスミド等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)、φX174、M13mp18又はM13mp19等が挙げられる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子などが挙げられる。YAC用ベクターとしてはpYACC2などが挙げられる。
【0022】
さらに、これら遺伝子を導入する際には、従来公知の選択マーカー遺伝子、恒常発現型プロモーター又は誘導発現型プロモーター等の転写プロモーター、エンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、転写ターミネーター等を適宜使用することができる。
【0023】
<エタノール製造>
以上で説明したキシロース代謝能を有する酵母を利用することで、キシロース等の糖を基質としたエタノール発酵を行うことができる。特に本発明に係る発酵培養方法では、特定のアミノ酸により、キシロース代謝能を有する酵母におけるキシロース代謝能を向上させる。ここで、特定のアミノ酸とは、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)及びヒスチジン(His)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアミノ酸である。
【0024】
本発明に係る発酵培養方法では、上記特定のアミノ酸の濃度が高められた培地にて上記酵母を培養する。上記特定のアミノ酸の濃度を高めた培地とは、基本となる培地に対して当該アミノ酸を添加した培地を意味する。基本となる培地とは、従来、酵母の培養に使用されている培地、木質系バイオマスを糖化処理して得られる溶液、及びこれらの混合物を含む意味である。このとき、基本となる培地は、上述した特定のアミノ酸を含む種々のアミノ酸成分を含む組成であっても良いし、アミノ酸成分を何ら含まない組成であっても良い。上記特定のアミノ酸を含む培地に対して当該アミノ酸を添加して得られる組成の培地も、当該特定のアミノ酸の濃度が高められた培地に含まれる。
【0025】
従来、酵母の培養に使用されている培地としては、特に限定されないが、SD培地、YPD培地、YPAD培地、YM培地及びYeast Nitrogen Baseを含む各種合成培地を挙げることができる。また、木質系バイオマスの糖化処理としては、特に限定されず従来公知の手法をなんら限定されることなく利用することができる。糖化方法としては、例えば、希硫酸又は濃硫酸を利用する硫酸法、セルラーゼやヘミセルラーゼを利用する酵素法等を挙げることができる。また、糖化処理に先立って、木質系バイオマスに対して従来公知の前処理を施しても良い。前処理としては、特に限定されないが、例えば、リグニンを微生物によって分解する処理や、木質系バイオマスの粉砕処理等を挙げることができる。
【0026】
特に、本発明に係る発酵培養方法は、上述した特定のアミノ酸を添加することで上記酵母におけるキシロース代謝能を向上させるため、培地にはキシロースが含まれる。しかし、培地中のキシロース濃度としては、特に限定されないが、0〜800g/lの範囲とすることが好ましく、0〜400g/lの範囲とすることがより好ましく、0〜200g/lの範囲とすることが更に好ましい。
【0027】
また、上述した特定のアミノ酸は、上記酵母の培養当初から培地に添加されていても良いし、上記酵母の培養過程における所望のタイミングで添加されても良い。例えば、培養初期の段階では上記特定のアミノ酸を培地に添加せず、主として、培地に含まれるグルコース等の六単糖を上記酵母に代謝させ、所定のタイミングで上記特定のアミノ酸を培地に添加することで、培地に含まれるキシロースの代謝速度を向上させても良い。
【0028】
なお、上述した酵母を用いたエタノール発酵に際しては、上述した酵母を至適条件下で培養することが好ましい。上記酵母の培養条件としては、例えば、温度を25〜35℃とし、pHを4〜6とすることが好ましい。また、培養に際して、攪拌や振とうしてもよい。
【0029】
また、本発明に係る発酵培養方法では、培地に含まれるキシロース等の炭素源から発酵生産されたエタノールを回収する。エタノールの回収方法は、特に限定されず、従来公知のいかなる方法も適用することができる。例えば、上述したエタノール発酵が終了した後、固液分離操作によってエタノールを含む液層と、組換え酵母や固形成分を含有する固層とを分離する。その後、液層に含まれるエタノールを蒸留法によって分離・精製することで、純度の高いエタノールを回収することができる。なお、エタノールの精製度は、エタノールの使用目的にあわせて適宜調整することができる。
【0030】
本発明に係る発酵培養方法によれば、酵母におけるキシロースの代謝能を大幅に向上させることができるため、キシロースを含む培地を用いたエタノール発酵においてエタノールの生産性を向上させることができる。したがって、本発明に係る発酵培養方法を、例えば、木質系バイオマスからエタノールを製造するシステムに適用した場合には、単位バイオマス量からのアルコール収率を向上させることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
〔実施例1〕
キシロース代謝能を有する酵母
先ず、本実施例では、Saccharomyces cerevisiae W303-1B株(ATCC number: 201238)を用いてキシロース代謝能を有する酵母を作製した。概略としては、W303-1B株のペントース-リン酸経路の4遺伝子(TAL1、TKL1、RPE1及びRKI1)及びキシルロースキナーゼ遺伝子XKS1の発現を強化し、アルドースレダクターゼ遺伝子GRE3を破壊し、Piromyces sp. E2株由来のキシロースイソメラーゼ(XI)遺伝子を染色体上に多コピー導入し、更にAspergillus aculeatus由来のβ-グルコシダーゼBGL1を分泌生産するよう導入した組換え酵母W801M株を作製した。
【0033】
詳細には、TAL1遺伝子、TKL1遺伝子、RPE1遺伝子、RKI1遺伝子、XKS1遺伝子及びPiXI遺伝子導入用のベクターを以下のように作製した。
【0034】
(1)TAL1、TKL1遺伝子導入用ベクター
S. cerevisiae由来のトランスアルドラーゼ(TAL1)遺伝子およびトランスケトラーゼ1(TKL1)遺伝子の酵母導入用ベクターであるpXDI-HOR7p-ScTAL1-ScTKL1を作製した(図1)。このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加された、S. cerevisiae S288 株由来のTAL1遺伝子(GenBank Accession:X15953)を含んでいる。また、このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加された、S. cerevisiae S288 株由来のTKL1遺伝子(GenBank:X73224)を含んでいる。さらに、このベクターは、酵母ゲノム上への相同組換え領域として、アルコールデヒドロゲナーゼ3(ADH3)遺伝子上流の非コード領域約500bpの領域のDNA配列(ADH3U)、及びその下流の非コード領域約500bpの領域のDNA配列(ADH3D)、並びにマーカーとして、ヒスチジン合成酵素遺伝子HIS3を含む遺伝子配列(HIS3)が含まれている。
【0035】
(2)RPE1、RKI1遺伝子導入用ベクター
S. cerevisiae由来のリブロースリン酸エピメラーゼ(RPE1)遺伝子およびリボースリン酸ケトイソメラーゼ(RKI1)遺伝子の酵母導入用ベクターであるpXEL-HOR7p-ScRPE1-ScRKI1を作製した(図2)。このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加された、S. cerevisiae S288 株由来のRPE1遺伝子(GenBank:X83571)を含んでいる。また、このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加された、S. cerevisiae S288 株由来のRKI1遺伝子(GenBank:Z75003)を含んでいる。さらに、このベクターは、酵母ゲノム上への相同組換えおよびアルドースレダクターゼ(GRE3)遺伝子を破壊するための領域として、GRE3遺伝子の上流約1000bpの遺伝子配列(GRE3D)、GRE3遺伝子の3’領域約500bpを含む約800bpの領域の遺伝子配列(GRE3U)、並びにマーカーとして、ロイシン合成酵素遺伝子LEU2を含む遺伝子配列(LEU2)が含まれている。
【0036】
(3)XKS1遺伝子導入用ベクター
酵母S. cerevisiae由来のキシルロキナーゼ(XKS1)遺伝子の酵母導入用ベクターであるpXIH-HOR7p-XKS1を作製した(図3)。このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加された、S. cerevisiae S288株由来のXKS1遺伝子(GeneBank:Z72979)を含んでいる。さらに、このベクターは、酵母ゲノム上への相同組換え領域として、ヒスチジン合成酵素(HIS3)遺伝子の上流約500bpの領域の遺伝子配列(HIS3U)、及びその下流の約500bpの領域の遺伝子配列(HIS3D)、並びにマーカーとして、5’側にTDH2プロモーター、3’側にCYC1ターミネーターが付加された、ハイグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ(hph)遺伝子(GeneBank:V01499)を含んでいる。
【0037】
(4)PiXI遺伝子導入用ベクター(マルチコピーインテグレーション)
Piromyces sp. E2由来のXI遺伝子(PiXI)を染色体上に多コピー導入することが可能なベクターであるpRS524-HOR7p-PiXIを作製した(図4)。このベクターは、5’側にHOR7プロモーター、3’側にTDH3ターミネーターが付加されたPiXI遺伝子(GenBank:AJ249909)を含んでいる。さらに、このベクターは、酵母ゲノム上への相同組換え領域として、rRNA遺伝子(rDNA)との相同配列であるR45及びR67の遺伝子配列、並びにマーカーとして、プロモーター部分を欠失して発現量を低下させたTRP1dマーカーの遺伝子配列を含んでいる。これらR45及びR67の遺伝子配列により、PiXIを含む遺伝子配列を第12番染色体上のrDNA座に多コピーで導入することができる。さらに、TRP1dマーカーは多コピーで染色体上に導入された場合にはじめてマーカーとして機能するため、PiXIを含む遺伝子配列が多コピーで導入された形質転換体を選抜することができる。
【0038】
(5)キシロースを資化することができる酵母株の作製
上記(1)〜(4)で作製した各ベクターを用いてキシロースを資化することができる酵母株を作製した。酵母の形質転換はFrozen-EZ Yeast Transformation II(ZYMO RESEARCH)を用い、添付のプロトコルに従って行った。用いた培地組成を表1に示した。
【0039】
【表1】

【0040】
まず、S. cerevisiae S288 株由来のゲノムDNAをテンプレートとしてADE2遺伝子(GenBank:M59824)の全長をPCR増幅し、増幅産物を用いて酵母S. cerevisiae W303-1B株(Matα ade2 his3 leu2 trp1 ura3)の形質転換を行い、SD-A寒天培地に塗布して、生育したコロニーを新たなSD-A寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化されてアデニン要求性が相補された選択株をW303-1BA株と命名した。ADE2遺伝子のPCR増幅にはプライマーADE2+1F(5'-atggattctagaacagttggtatattagg-3':配列番号1)とADE2+1716R(5'-ttacttgttttctagataagcttcgtaacc-3':配列番号2)を用いた。
【0041】
次に、図1に示したpXDI-HOR7p-ScTAL1-ScTKL1ベクター約1μgを制限酵素Sse8387Iで消化した断片を用いて、宿主である酵母S. cerevisiae W303-1BA株の形質転換を行い、SD-AH寒天培地に塗布し、生育したコロニーを新たなSD-AH寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化された選択株をW200株と命名した。
【0042】
次に、図2に示したpXEL-HOR7p-ScRPE1-ScRKI1ベクター約1μgを制限酵素Sse8387Iで消化した断片を用いて、W200株の形質転換を行い、SD-AHL寒天培地に塗布し、生育したコロニーを新たなSD-AHL寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化された選択株をW500と命名した。
【0043】
次に、図3に示したpXIH-HOR7p-XKS1ベクター約1μgを制限酵素Sse8387Iで消化した断片を用いて、W500株の形質転換を行い、150 μg/mlのハイグロマイシンB(和光純薬)を含むYPD寒天培地(YPD+hyg)に塗布し、生育したコロニーを新たなYPD+hyg寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化された選択株をW600株と命名した。
【0044】
次に、図4に示したpRS524-HOR7p-PiXI約1μgを制限酵素FseIで消化した断片を用いて、W600株の形質転換を行い、SD-AHLW寒天培地に塗布し、生育したコロニーを新たなSD-AHLW寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化された選択株をW700M2株と命名した。さらに、W700M2株を、キシロースを炭素源としたSX-AHLW寒天培地に塗布し、30℃で48時間培養したところ、菌体の増殖が確認できた。
【0045】
(6)導入遺伝子の発現量の確認
作製した酵母株における、導入した遺伝子の発現量を以下の方法で定量し、比較した。宿主株であるW303-1B株、W200株、W500株、W600株およびW700M2株を、それぞれSD+all培地、SD-AH培地、SD-AHL培地、SD-AHL培地およびSD-AHLW培地5 mlで30℃、24時間培養した。菌体を回収し、滅菌水で洗浄後、OD600で10の濃度となるように滅菌水で懸濁した懸濁液をそれぞれ600μlずつエッペンチューブに分注し、500×gで2分間遠心して上清を除去した。回収した菌体から、YeaSter RNA Kit(ZYMO RESEARCH)を用いてtotal RNAを抽出した。さらに、抽出液中から残存DNAを除去するために、DNA-Free RNA Kit(ZYMO RESEARCH)を用いてDNAの分解、total RNAの精製を行った。精製したtotal RNA溶液は逆転写反応を行うまで−80℃のディープフリーザで保存した。
【0046】
各サンプルのtotal RNA濃度を測定し、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits(Applied Biosystems)を用いてtotal RNAからの逆転写反応を行った。使用したTotal RNAは0.2μgで、その他の反応液組成は添付のプロトコルに従った。逆転写反応はGeneAmp PCR system 9700(Applied Biosystems)を用い、反応時間及び温度は添付のプロトコルに従って設定し、反応を行った。反応後のサンプルは使用するまで−20℃で保存した。定量する遺伝子は、PiXI遺伝子、XKS1遺伝子、TAL1遺伝子、TKL1遺伝子、RPE1遺伝子、RKI1遺伝子及びGRE3遺伝子とし、また対照とするハウスキーピング遺伝子としてTUB1とUBC6を選択した。Real-time 定量PCR用の反応試薬は、Power SYBR Green PCR Msater Mix(Applied Biosystems)を用い、反応液組成は添付のプロトコルに従った。用いたプライマーの配列は表2にまとめて示す。
【0047】
【表2】

【0048】
Real-time 定量PCRの解析結果から、各株における各遺伝子の発現量の相対比較を行った結果を図5に示す。この際、TUB1遺伝子とUBC6遺伝子を内部コントロールとして用い、サンプル間の発現量比の修正を行った。図5Aおよび図5Bから、W200株において、TKL1遺伝子およびTAL1遺伝子は、親株のW303-1B株に比べて高発現していることを確認した。つぎに、図5C、図5Dから、W500株において、RKI1遺伝子およびRPE1遺伝子は、W200株よりも発現量が向上していることを確認した。さらに、W500株ではGRE3遺伝子が発現していないことを確認した(図5E)。つぎに、図5Fから、W600株およびW700M2株ではXKS1遺伝子が発現していることを確認した。さらに図5GからW700M2株ではPiXI遺伝子が高発現していることを確認した。
【0049】
(7)β-グルコシダーゼBGL1遺伝子の導入
次に、上記(5)で作製されたW700M2株に対して、更にAspergillus aculeatus由来のβ-グルコシダーゼBGL1を分泌生産するようBGL1遺伝子を導入した組換え酵母W801M株を作製した。先ず、Aspergillus aculeatus由来のβ-グルコシダーゼ(BGL1)遺伝子の酵母導入用ベクターとしてpXLG-HOR7p-BGL1を作製した(図6)。このベクターは、Aspergillus aculeatus由来のBGL1(GeneBank:D64088)の成熟タンパク質をコードする配列にRhizopus oryzae由来のグルコアミラーゼ(GeneBank:D00049)の分泌シグナルをコードする配列を付加した遺伝子配列を含んでいる。また、このベクターは、当該遺伝子配列の5’側に付加されたHOR7プロモーター及び3’側に付加されたTDH3ターミネーターを含んでいる。さらに、このベクターは、酵母ゲノム上への相同組換え領域として、ロイシン合成酵素(LEU2)遺伝子の上流約500bpの領域の遺伝子配列(HIS3U)、及びその下流の約500bpの領域の遺伝子配列(LEU2D)、並びにマーカーとして、5’側にTDH3プロモーター、3’側にCYC1ターミネーターが付加された、ジェネティシン耐性遺伝子(G418)を含む遺伝子配列を含んでいる。
【0050】
次に、図6に示したpXLG-HOR7p-BGL1ベクター約1μgを制限酵素Sse8387Iで消化した断片を用いて、W700M2株の形質転換を行い、200 μg/mlのGenetcin Disulfide(和光純薬)を含むYPD寒天培地(YPD+G418)に塗布し、生育したコロニーを新たなYPD+G418寒天培地に画線培養してコロニーを純化した。純化された選択株をW801M株と命名した。
【0051】
(8)アミノ酸を添加した培地中でのグルコース・キシロース同時発酵試験
以上のように作製したW801M株を、試験管に調製したYNG+U(6.7 g/l Yeast Nitrogen Base without amino acids、20 g/l Glucose、20 mg/l ウラシル)液体培地5 mlで30℃、80 rpmで24時間培養したものを前々培養液とした。次に、バッフル付き三角フラスコに調製した新しいYNX+U液体培地250 mlに前々培養液5 mlを接種し、30℃、100 rpmで前培養を行った。培養48時間後、培養液を1000×g、室温で5分間遠心分離し、上清を除去した。
【0052】
前培養液中の基質の持ち込みを抑えるため、回収した菌体ペレットを滅菌水に懸濁し、1000×g、5分遠心を行い菌体を回収した。この洗浄操作は2回行い、洗浄後の菌体を滅菌水に懸濁したものを菌体液とした。発酵培地には発酵に伴う培地pHの低下を抑えるために酢酸ナトリウムバッファーを添加し、初発菌体濃度がOD600=10となるように菌体液を添加したYNGXAc+U培地(6.7 g/l Yeast Nitrogen Base without amino acids、10 g/l D-Xylose、10 g/l Glucose、25mM 酢酸ナトリウム、20 mg/l ウラシル、pH5.0)に所定の濃度となるように1種類のアミノ酸を添加したものを用いた。アミノ酸は最終濃度の10倍濃度で水に溶解しpH=5.0に調整したものを希釈して用いた。発酵試験はスクリューキャップ付き15 ml容プラスチックチューブに培養液を5ml入れ、キャップでチューブを密栓したのち30℃で振とう(100 rpm)して行った。経時的に培養液を分取し、液体クロマトグラフィーにより基質(キシロースおよびグルコース)および生産物(エタノール)の分析を行った。液体クロマトグラフィーはShim-pack SPR-Pbカラム(島津製作所)を80℃で使用し、検出器は示差屈折率検出器RID-10A(島津製作所)を用いた。移動相には水を用い、流速0.8ml/minで送液した。
【0053】
(9)一次スクリーニング
YNGXAc+U培地に何も添加しなかった場合をコントロールとし、カゼインを加水分解して得られるアミノ酸混合物であるカザミノ酸(CAA)20g/Lを添加したYNGXAc+U培地、カザミノ酸20g/Lに含まれるとされる濃度の18種類のアミノ酸若しくはカザミノ酸に含まれないとされる2種類のアミノ酸(グルタミン、アスパラギン)5 g/Lを添加したYNGXAc+U培地を用いて発酵試験をn=2で行った。発酵試験開始後8時間のキシロース減少量を測定した結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3から判るように、カザミノ酸を添加した場合には、キシロースの消費速度はあまり向上しないことが判った。一方、20種類のアミノ酸のうちチロシン、アスパラギン、セリン、トレオニン、ヒスチジンを添加した場合にコントロールと比べてキシロース消費速度が20%以上向上することが明らかとなった。なお、8時間後には全てのサンプルにおいてグルコースは完全に消費され、検出されなかった。
【0056】
(10)二次試験
一次スクリーニングで効果の高かったチロシン、アスパラギン、セリン、トレオニン、ヒスチジンについて、添加濃度を1 g/L又は0.3 g/Lとし、n=4で上記と同じ方法で発酵試験を行い、発酵試験開始後8時間のキシロース減少量を測定した結果を図7に示す。なお、8時間後には全てのサンプルにおいてグルコースは完全に消費され、検出されなかった。チロシンを0.3g/L添加した場合とヒスチジンを1g/L添加した場合を除いて、コントロールに比べて有意なキシロース消費速度向上効果が確認された。
【0057】
また、2時間後には全てのサンプルにおいてグルコースが残存していた。発酵開始後2時間のグルコース減少量を図8に示す。上記アミノ酸の添加によるグルコースの消費速度の向上は見られなかったことから、アミノ酸添加によってキシロースの消費速度が特異的に促進されることが明らかとなった。すなわち、キシロース含有培地にアスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)及びヒスチジン(His)から選ばれる少なくとも1種以上のアミノ酸を添加することで、キシロース取り込み速度が大幅に向上することが明らかとなった。
【0058】
また、22時間後にはグルコース、キシロース共に完全に消費されて検出されなかった。22時間後の菌体濃度(OD600)を測定した結果を図9に示す。この結果から、初発菌体濃度OD600=10から22時間後にはOD600=15前後まで菌体濃度が増大したことが分かる。しかしながら、コントロールと比べてアミノ酸を添加した場合の22時間後の菌体濃度は同等もしくはそれより低かったことから、アミノ酸添加により菌体増殖が促進されたわけではないことが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)及びヒスチジン(His)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアミノ酸の濃度を高めたキシロース含有培地で、キシロース代謝能を有する酵母を培養する工程と、
培地からアルコールを回収する工程とを含む、発酵培養方法。
【請求項2】
上記キシロース含有培地は、キシロースを含む基本培地に上記アミノ酸を含む溶液を添加したものであることを特徴とする請求項1記載の発酵培養方法。
【請求項3】
上記基本培地は、糖化処理した木質系バイオマスを含むことを特徴とする請求項2記載の発酵培養方法。
【請求項4】
上記アミノ酸の濃度を高めたキシロース含有培地で上記酵母の培養を開始することを特徴とする請求項1記載の発酵培養方法。
【請求項5】
キシロースを含む基本培地にて上記酵母を培養している途中の段階で、上記アミノ酸を含む溶液を添加することを特徴とする請求項1記載の発酵培養方法。
【請求項6】
上記酵母は、Saccharomyces cerevisiaeにキシロース代謝関連遺伝子群を導入した組換え酵母であることを特徴とする請求項1記載の発酵培養方法。
【請求項7】
上記組換え酵母は、β-グルコシダーゼ遺伝子を更に導入したものであることを特徴とする請求項6記載の発酵培養方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−120491(P2012−120491A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274415(P2010−274415)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】