説明

キナーゼ阻害剤のプロファイリング方法

本発明は、多孔質マトリックス上に固定された基質、とりわけキナーゼ基質のアレイを使用する化合物の薬理学的プロファイリング方法に関する。本方法は、薬物応答の予測において、すなわち試験されるべき化合物での細胞、組織、器官若しくは温血動物の処理において応答体と非応答体の識別を可能にするために、および化合物の区別においてとりわけ有用と見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質マトリックス上に固定された基質、とりわけキナーゼ基質のアレイを使用する化合物の薬理学的プロファイリング方法に関する。より具体的には、薬物応答の予測において、すなわち、試験されるべき化合物での細胞、組織、器官若しくは温血動物の処理における応答体(responder)と非応答体(non−responder)の識別を可能にするために、および化合物の区別において有用な方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
薬物発見および開発の費用は増大しつつある一方、新薬承認の速度は減少している。in silicoおよびin vitro一次スクリーニングツールでの大きな技術的進歩と対照的に、完全に集成された生存する系に特徴的な複雑な生化学的ネットワークにおける剤の作用を確立するために利用可能なツールの制限された進歩のみが存在する。ゲノム学およびプロテオミクス技術における最近の進歩は、高度に生物学的に複雑なサンプル中の遺伝子転写およびタンパク質発現の変動をタンパク質レベルで解析することを可能にするツールを提供することにより、この課題を取り扱うことを開始した。例えば、ゲノムおよびプロテオミクスのシグネチャは、例えば、腫瘍浸潤(非特許文献1)を包含する癌の病理学(非特許文献2)のようなある範囲の生理学的および病理学的過程の分子機構への洞察を提供した。
【0003】
しかしながら、複雑な生物学的系における剤の作用のこれらの確立方法の一般的応用は、これらの方法が細胞過程におけるそれらの役割を推定するためにタンパク質の豊富さの変化に頼りそして従ってタンパク質の機能のダイナミクスの間接的推定値のみを提供することを考えることにより妨げられる。事実、タンパク質−タンパク質およびタンパク質−小分子相互作用を包含するいくつかの重要な形態の転写後調節がタンパク質機能を決定し、そして遺伝子発現シグネチャに直接反映される場合も若しくはされない場合もある。この問題を扱うため、活性部位に向けられたプローブを利用して複雑なプロテオーム中の酵素ファミリーの機能状態を直接プロファイリングする、活性に基づくタンパク質プロファイリング(ABPP)と称される化学的プロテオミクス戦略が出現した(非特許文献3;非特許文献4)。単なる豊富さよりむしろ共有される機能特性に基づきプロテオームの画分を捕捉する化学的プローブの開発により、ABPPは、他の大スケールプロファイリング方法が利用できない生体分子空隙の部分に応答指令信号を送る。全部の主要な分類のプロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼおよび酸化還元酵素を包含する12以上の酵素分類が現在ABPPにより取扱可能である。多数の細胞および動物モデルへのABPPの応用は、癌、マラリアおよび代謝障害を包含するある範囲の疾患と関連する酵素活性の同定において成功した。ABPP分子はまた、特徴付けられていない機能の酵素を包含する疾患関連酵素の選択的阻害剤の生成も容易にする。要するに、ABPPは、酵素スーパーファミリーのどのメンバーが特定の生理学的若しくは病理学的過程に関連するかを解明しかつ同時にこれらのタンパク質の機能を試験するための選択的化学試薬の創製を容易にする、強力な仮説生成技術エンジンを構成する。
【0004】
ヒトゲノムは、アデノシン5’−三リン酸(ATP)を1つ若しくは別の方法で利用する2,000種ほどのタンパク質を包含し、そしてこれらの500種ほどは、配列および構造が保存された触媒ドメインを共有するがしかしそれらの触媒作用がどのように調節されるかが顕著に異なるプロテインキナーゼ、すなわちプロテインチロシンおよびプロテインセリン/トレオニンキナーゼをコードする。これらの酵素による基質リン酸化は、細胞のシグナル伝達を組織化しかつ全般に生化学的過程を調節する自然の優勢な分子的方法である。従って、細胞タンパク質の異常なリン酸化が疾患の特質であること、ならびに、癌
、糖尿病、炎症および関節炎のような多くの疾患状態での治療的介入のための薬物としてのキナーゼ阻害剤の使用に増大しつつある興味が存在することは驚くべきでない。従って、キナーゼプロテオームに応答指令信号を送るための多数のABPPのアプローチが開発されたことは理解できる。一方法において、キナーゼ基質を蛍光標識し、そしてリン酸誘発性の蛍光変化が細胞ライセートおよび生存細胞双方でのプロテインキナーゼ活性のリアルタイム可視化を可能にする(非特許文献5)。別の方法において、ペプチド基質のリン酸化は蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して測定する(非特許文献6;非特許文献7)。
【0005】
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)はATPからポリペプチド中のチロシン残基へのリン酸の移動を触媒する酵素である。ヒトゲノムは、細胞の増殖、生存、分化および移動性を調節する約90種の機能的PTKを含有する。PTKファミリーの多くのメンバーが過去25年にわたり癌遺伝子として同定された。より最近、チロシンキナーゼ活性の阻害が癌を処置するための重要な新たな一経路となった。イマチニブ(Gleevec)はフィラデルフィア染色体(Ph)陽性の慢性骨髄性白血病(CML)を伴う患者を処置するために非常に有効な薬物であり;イマチニブは、Ph転座の結果として、bcr−abl融合遺伝子によりコードされる遺伝子産物BCR−ABLの構成的チロシンキナーゼ活性を阻害する。イマチニブはまた胃腸腫瘍(GIST)のための処置としても有効である。根底にある機構は、GISTはしばしば受容体チロシンキナーゼcKIT若しくはPDGFRα(その双方もまたイマチニブにより阻害される)の過剰活性化の結果であることである。しかしながら、イマチニブ処置と関連する重要な一問題は、CMLおよびGIST双方において長期の処置に際しての耐性の発生である。2種の他の承認された分子、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva))およびゲフィニチブ(イレッサ(Iressa))はEGFR受容体を主に標的とするチロシンキナーゼ阻害剤である。エルロチニブおよびゲフィニチブの臨床的有効性はこれまでのところイマチニブほど印象的でない。すなわち、選択されない非小細胞肺癌(NSCLC)患者集団におけるエルロチニブおよびゲフィニチブの奏功率は10と20%の間である。加えて、獲得耐性がEGFR阻害剤での処置の間に頻繁かつ迅速に発生する。これゆえに、処置の間の出現する耐性の早期の検出、およびキナーゼ阻害剤に応答することがありそうである薬物ナイーブな患者のそうでない者からの層別化が、患者を該問題を救うことができ、そして無益の治療を受ける貴重な時間(および代替処置を時宜を得て受ける機会を提供する)は、患者および償還機関にとって金を節約することができ、そしてより限定されたしかし十分に定義された患者集団での薬物の承認の機会を増大させることができる。加えて、薬物の臨床開発の間、これらの層別化ツールを、ありそうな応答体のとりわけ大きな部分で適応症について精査するのに使用し得る。
【0006】
こうした予測ツールのいくつかの例が開発され、そしていくつかは臨床で使用されている。Her2の細胞外ドメインに向けられたモノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチン(Herceptin))は、Her2を過剰発現する転移性乳癌患者にのみ投与される。EGFR中の突然変異を活性化することが、in vitroおよび診察室の双方でEGFR阻害剤に対する極めて鋭敏な感受性と相関した。逆に、EGFR中の二次的突然変異はエルロチニブおよび/若しくはゲフィニチブに対する獲得耐性と関連付けられており;同様に、BCR−ABL、cKITおよびPDGRαのキナーゼドメイン中の突然変異はイマチニブに対する耐性と関連付けられている。また、構成的過剰活性RASのようなRTK非依存性シグナル伝達を見込む受容体チロシンキナーゼシグナル伝達カスケード中の重要な下流の分子、および不活性化若しくは欠失されたPTEN(PI3ホスファターゼ)中の突然変異は、ときにRTK阻害剤に対する応答と逆相関する。ゲノム全体のプロファイリング技術の出現、および、多くのキナーゼ阻害剤が複数の標的を有しかつ処置の有効性に決定的に重要な関連標的が常に明確であるわけではないという認識により扇動されて、応答体および非応答体の不偏の層別化方法が示唆された。これらの方法の最
も喧伝されたものは遺伝子発現シグネチャの使用である。こうした場合、数種の応答体の全ゲノムの発現プロファイル(処置前)を数種の非応答体のものと比較し、そして該2群間で差別的に発現される遺伝子を使用して未知の症例の見込みを予測し得る。この方法の決定的に重要な一欠点は、それがキナーゼ阻害剤の作用機序に直接関係せず、そしてこれゆえにサンプルの応答性を評価するための間接的パラメータに頼ることである。さらに、この方法(および大部分の他の応答予測方法)は未処置サンプル中のパラメータ(この場合は遺伝子発現)のみに基づく。結果として、これらの方法は腫瘍の不均一性およびサンプルの質に非常に感受性である。
【0007】
ABPPのアプローチは、所定の薬物若しくは投与計画に対する患者応答を決定することの目的を伴い、化合物を薬理学的にプロファイリングするのにとりわけ有用であることが今や見出された。とりわけ腫瘍学において、ABPPの使用は、癌細胞株、異種移植腫瘍若しくは癌患者生検から調製した細胞ライセート中で治療薬に対する応答を予測し得る「指紋」を提供するのに有用と判明した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Gupta,G.P.ら Cold Spring Harb Symp Quant Biol.70:149−58(2005)
【非特許文献2】Vogelstein,B.、Kinzler,K.W.、Nat.Med.10(8)、789−99(2004)
【非特許文献3】Jessani,N.、Cravatt,B.F.、Curr Opin Chem Biol.Feb;8(1):54−9(2004)
【非特許文献4】Evans,M.J.、Cravatt,B.F.Chem.Rev.Aug;106(8):3279−301(2006)
【非特許文献5】Chen,CA.ら Biochim.Biophys.Acta.1697(1−2):39−51(2004)
【非特許文献6】van Beuningen,R.ら Clinical Chemistry 47:1931−1933(2001)
【非特許文献7】Schuller A.ら、11th Annual World Congres of Drug Discovery Technology(8−10 Aug 2006)、米国マサチューセッツ州ボストン
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の目的
本発明の目的は、キナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルの提供方法を提供することである。
【0010】
さらなる一目的は、特定のキナーゼ阻害剤に対する患者応答を確実に予測するための前記方法の使用を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、キナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを提供するためのツールを提供することである。
【0012】
発明の概要
本発明は、多孔質マトリックス上に固定された基質の第一および第二のアレイを使用するキナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを得る方法に関し、前記方法は後の;
(i)癌細胞株;初代および不死化組織細胞株を包含する細胞株;ヒト以外の動物モデルの生検および患者生検から細胞ライセートを調製する段階;
(ii)前記細胞ライセートを10ないし0.1マイクロメートル範囲のフィルターで濾
過して濾過した細胞ライセートを得る段階;
(iii)キナーゼ阻害剤の存在下で、前記濾過した細胞ライセートの第一の画分と基質の前記第一のアレイを接触させる段階、および前記第一のアレイの応答を測定する段階
(iv)キナーゼ阻害剤の非存在下で、前記濾過した細胞ライセートの第二の画分と基質の前記第二のアレイを接触させる段階、および前記第二のアレイの応答を測定する段階;ならびに
段階(iv)のアレイ基質応答に対する段階(iii)のアレイ基質応答の比として薬理学的プロファイルを得る段階
を含んでなる。
【0013】
好ましくは、前記基質はホルモン受容体、ペプチド、酵素、オリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、ハプテンおよびアプタマーよりなる群から選択される。
【0014】
より好ましくは前記基質はキナーゼ基質である。
【0015】
有利には、前記基質はペプチドキナーゼ基質である。
【0016】
好ましい一態様において、前記基質は、配列番号1ないし337をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2種のペプチドキナーゼ基質である。有利には、前記基質は、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質;配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138をもつペプチドキナーゼ基質;配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドキナーゼ基質;若しくは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドキナーゼ基質のいずれかよりなる。
【0017】
本発明の方法において、細胞ライセートは好ましくは癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製する。
【0018】
基質のアレイの応答を検出可能なシグナルを使用して測定することが好ましく、前記シグナルは、有利には検出可能に標識した抗体を使用する、より有利には蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用する基質のアレイとのサンプルの相互作用から生じる。
【0019】
本発明の別の局面は、キナーゼ阻害剤について細胞、組織、器官若しくは温血動物の処理における応答体と非応答体の識別を可能にするための本発明の方法により決定される薬理学的プロファイルの使用を包含する。
【0020】
好ましくは、試験されるべきキナーゼ阻害剤はMTKI1、605およびエルロチニブよりなる群から選択される。
【0021】
薬理学的プロファイルが配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質から選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【0022】
薬理学的プロファイルが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87
、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質;配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138をもつペプチドキナーゼ基質;配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドキナーゼ基質;若しくは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドキナーゼ基質のいずれかから選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【0023】
本発明はまた、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI 1);またはその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩;あるいはエルロチニブ若しくは化合物605での処置に対する非応答体細胞株および腫瘍からの応答体の識別を可能にする方法にも関し、前記方法は、
前記細胞株および/若しくは腫瘍からサンプルを提供すること;
MTKI1、エルロチニブ若しくは605の存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
MTKI1、エルロチニブ若しくは605の非存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、応答体は、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定する。
【0024】
応答体は、好ましくは、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定する。
【0025】
好ましくは、基質のアレイは、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低3ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイは、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質を含んでなり;より具体的には、基質のアレイは、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質よりなる。
【0026】
上の方法において、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、10
0、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群は、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群;配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群;若しくは配列番号5、10,38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群で置き換え得る。
【0027】
本発明のいずれの方法においても、基質のアレイの応答は、好ましくは、抗真菌剤を含まない溶液中で、具体的にはアジドを含まない溶液を使用して抗体を使用して測定する。
【0028】
本発明の方法において、60%、70%、好ましくは80%、または有利には90%若しくはそれ以上の全体的正確さを得ることができる。
【0029】
本発明の別の態様は、配列番号1ないし337をもつペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドを含んでなる基質のアレイに関するが、但し、前記アレイは配列番号1〜140をもつペプチドキナーゼ基質よりならない。
【0030】
基質の前記アレイは、配列番号1ないし337をもつペプチドキナーゼ基質、若しくは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドキナーゼ基質、若しくは配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138をもつペプチドキナーゼ基質、若しくは配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドキナーゼ基質、若しくは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドキナーゼ基質よりなることができる。
【0031】
本発明の別の局面は:
(i)正常および腫瘍組織を包含する癌患者生検から細胞ライセートを調製する段階、
(ii)キナーゼ阻害剤の存在下で、段階(i)の細胞ライセートの画分と本発明の基質の第一のアレイを接触させる段階;
(iii)キナーゼ阻害剤の非存在下で、段階(i)の細胞ライセート画分と基質の前記第一のアレイに同一の基質の第二のアレイを接触させる段階;および
基質の第二のアレイの応答に対する基質の第一のアレイの応答の比として前記患者の薬理学的プロファイルを得る段階(前記薬理学的プロファイルは可能なキナーゼ阻害剤応答を予測する)
を含んでなる、癌の処置における患者での可能なキナーゼ阻害剤応答の予測方法に関する。
【0032】
本発明は以下の図面および実施例でさらに解明されることができ、それらは請求の範囲により与えられる保護の範囲に制限しないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】細胞株NCI−H3255からの未処理に対する処理したライセート中の検出可能なペプチドのリン酸化の初期速度の比。左から右へ:DMSO、ラパチニブ/Tykerb、MTKI1/MTKI、ゲフィニチブ/イレッサ(Iressa)、エルロチニブ/タルセバ(Tarceva)、ZD6474/ザクチマ(zactima)。スケール:白=1(阻害なし);黒=0.1(10倍阻害)。
【図2】未処理に対する処理したDU145サンプル中のリン酸化の初期速度の比。すなわち、左3プロファイルはDMSO(外左レーン)、MTKI1(第二のレーン)若しくはヒストンデアセチラーゼ阻害剤(第三のレーン)での細胞処理に由来し;最も右の3レーンはDMSO(第一のレーン)、MTKI1(第二のレーン)およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤(第三のレーン)での未処理のDU145細胞のライセート処理に由来する。スケール:白=1(阻害なし);黒=0.1(10倍阻害)。
【図3】MTKI若しくはタルセバ(Tarceva)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度に対する溶媒(DMSO)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度の比;スケール:白=1(阻害なし);黒=0.25(4倍阻害)。
【0034】
発明の詳細な記述
本発明は、細胞株若しくは腫瘍サンプルから調製したライセート中の小分子化合物によるチロシンキナーゼ活性の阻害の測定方法を記述する。重要なことに、本方法はキナーゼ阻害剤の関連する作用機序を直接測定し、そして、応答状態と相関するパラメータは相対尺度(すなわち、化合物の非存在および存在下でのキナーゼ活性の比)である。27細胞株で82%という全体的正確さを伴い、これらのリンペプチドプロファイルに基づき応答体細胞株を非応答体細胞株と識別し得ることが多標的キナーゼ阻害剤MTKI−1について示される。これらのペプチドをリン酸化するキナーゼは該阻害剤の作用機序に緊密に関連する。加えて、異種移植腫瘍ライセートにおいて若しくは類似のキナーゼ阻害剤についてもまた、同一ペプチドの多くが応答体を非応答体と識別し得ることが示され、この技術が患者層別化に応用可能であるはずであることを示す。
【0035】
一態様において、本発明は、多孔質マトリックス上に固定された基質のアレイを使用する化合物の薬理学的プロファイリング方法を提供し、前記方法は;
(i)未処理サンプル若しくは試験されるべき化合物で前処理したサンプルいずれかと基質のアレイを接触させること;
(ii)未処理サンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(iii)前処理したサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
(iv)段階(ii)および段階(iii)でのアレイの応答の差違として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなる。
【0036】
本明細書で使用されるところの基質は、ホルモン受容体、ペプチド、酵素、オリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、ハプテンおよびアプタマーを包含することを意味している。とりわけ、使用される基質すなわちキナーゼ基質、より具体的にはペプチドキナーゼ基質、なおより具体的には表1のペプチドキナーゼ基質、最も具体的には表1のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、40、50、60、70、80、90、100、110、120若しくは130ペプチドを使用すること。なおさらなる一態様において、基質のアレイは配列番号4、19、24、69、113、114、136および138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなり;より具体的には、基質のアレイは配列番号4、19、24、69、113、114、136および138をもつペプチドよりなる。
【0037】
代替のさらなる一態様において、基質のアレイは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなり、より具体的には、基質のアレイは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなる。
【0038】
別の代替のさらなる態様において、基質のアレイは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなり、より具体的には、基質のアレイは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドよりなる。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
代替の一態様において、使用される基質はキナーゼ基質、より具体的にはペプチドキナーゼ基質、なおより具体的には表2のペプチドキナーゼ基質、最も具体的には表2のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、16、20、24、28、32、36、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、150、180、200、220若しくは240ペプチドを使用してである。なおさらなる一態様において、基質のアレイは配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなり;なおより具体的には、基質のアレイは、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドよりなる。
【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
【表9】

【0049】
【表10】

【0050】
【表11】

【0051】
【表12】

【0052】
【表13】

【0053】
【表14】

【0054】
本明細書で使用されるところのペプチド基質は後に続くとおり命名される;
該ヒトタンパク質のSwissProtエントリ名_完全長タンパク質内の該ペプチドの開始位置_完全長タンパク質内の終止位置_リン酸化され得るチロシン若しくはセリンの位置
【0055】
本明細書で使用されるところの多孔質マトリックスは、例えばPCT特許公開第WO 01/19517号に記述されるような当該技術分野で公知であるところの配向された貫通型チャンネル(oriented through−going channel)を有するいずれの素材でもあり得、そして典型的には金属酸化物、ガラス、酸化ケイ素若しくはセルロースから作成される。特定の一態様において、多孔質素材は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化チタンおよびタリウムよりなる群から選択される金属酸化物から作成され;より具体的な一態様において金属酸化物は酸化アルミニウムよりなる。
【0056】
本発明の方法で使用されるサンプルは、原則として、例えば血液、尿、唾液、組織生検若しくは剖検材料のようないかなる生物学的サンプル、およびその後はとりわけそれらの細胞ライセートであり得るが、しかし、典型的には、癌細胞株;初代および不死化組織細胞株を包含する細胞株;ヒト以外の動物モデルの生検および患者生検から調製される細胞ライセートよりなるとみられる。本発明の一態様において、細胞ライセートは癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製する。
【0057】
サンプルの好ましい前処理方法は試験されるべき特定の化合物および使用されるサンプルの型に依存するであろうことが認識されるであろう。最適の方法は慣習的方法を使用してかつ本明細書に示される情報を考慮して当業者により容易に決定し得る。例えば、細胞ライセートの処理において、試験されるべき化合物を細胞ライセートに直接添加することができ;ヒト以外の動物モデルにおいては、試験されるべき化合物は、場合によっては付加塩の形態でおよび/若しくは投与に望ましい製剤の形態に依存して多様な形態をとりうる製薬学的に許容できる担体と緊密な混合状態で組合せた特定の化合物の治療上有効な量で典型的に投与することができる。これらの製薬学的組成物は、望ましくは、好ましくは経口、経皮若しくは非経口投与のような全身投与;または吸入、鼻スプレー、点眼薬を介するか若しくはクリーム剤、ゲル剤、シャンプー剤などを介するような局所投与に適する単位投与剤形にある。最適の投与方法および順序ならびに投薬量および投与計画は、当業者によりおよび下の実施例により詳細に提供されるとおり容易に決定し得る。
【0058】
本発明の方法を使用してキナーゼ阻害剤を薬理学的にプロファイリングする本発明の態様において、試験されるべき化合物の存在下で基質のアレイを前処理したサンプルと接触させる。従って、多孔質マトリックス上に固定された基質のアレイを使用してキナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを得る方法を提供することが本発明の一目的であり、前記方法は;
(i)キナーゼ阻害剤の存在下でサンプルと基質のアレイを接触させること;
(ii)キナーゼ阻害剤の非存在下でサンプルと基質のアレイを接触させること;
(iii)段階(i)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(iii)および段階(iv)でのアレイの応答の差違として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなる。
【0059】
基質のアレイの応答は検出可能なシグナルを使用して測定し、前記シグナルは基質のアレイとのサンプルの相互作用から生じる。上で挙げられたとおり、基質のアレイとのサンプルの相互作用の測定において、シグナルは検出可能に標識された基質の物理若しくは化学特性の変化の結果、または間接的には基質に結合することが可能な検出可能に標識された分子との基質の相互作用の結果のいずれかである。後者について、目的の基質に特異的に結合する分子(例えば抗体若しくはポリヌクレオチドプローブ)を、原子(例えば放射核種)、分子(例えばフルオレセイン)、または物理若しくは化学特性により該分子の存在を示す複合体を含有することによって検出可能に標識し得る。分子は、それが基質に作用して検出可能な原子、分子若しくは他の複合体を生じる「レポーター」分子(例えば酵素のような生体分子)に共有結合若しくは別の方法で会合される場合にもまた検出可能に標識しうる。
【0060】
本発明での使用に適する検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免役化学的、電気的、光学的若しくは化学的手段により検出可能ないかなる組成物も包含する。本発明で有用な標識は、標識アビジン若しくはストレプトアビジン複合物での染色のためのビオチン、磁性ビーズ(例えばDynabeadsの)、蛍光色素(例えばフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、増強緑色蛍光タンパク質、リサミン、フィコエリトリン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、フルオルX(FluorX)[Amersham]、SyBRグリーンIおよびII[Molecular Probes]など)、放射標識(例えばH、125I、35S、14C若しくは32P)、酵素(例えば加水分解酵素、とりわけアルカリホスファターゼのようなホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、若しくは酸化還元酵素、とりわけワサビペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼなど)、基質、補助因子、阻害剤、化学発光基、色素生産剤、なら
びにコロイド状金または着色硝子若しくはプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)製ビーズのような比色標識を包含する。こうした標識の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号を包含する。
【0061】
こうした標識の検出手段は当業者に公知である。従って、例えば化学発光および放射活性標識を写真フィルム若しくはシンチレーションカウンターを使用して検出することができ、また、蛍光マーカーは発射される光を検出するための光検出器を使用して検出しうる(例えば蛍光標示式細胞分取でのような)。酵素標識は、典型的に、酵素に基質を提供すること、および該基質に対する該酵素の作用により産生される着色反応生成物を検出することにより検出する。比色標識は着色標識を単純に可視化することにより検出する。従って、例えば標識が放射活性標識である場合、検出のための手段はシンチレーションカウンター、オートラジオグラフィーでのような写真フィルム、若しくは貯蔵蛍光体画像化(storage phosphor imaging)を包含する。標識が蛍光標識である場合、それは、光の適切な波長で蛍光色素を励起すること、および結果として生じる蛍光を検出することにより検出されうる。蛍光は視覚的に、写真フィルムによって、電荷結合素子(CCD)若しくは光電子増倍管のような電子的検出器の使用によりなどで検出しうる。同様に、酵素標識は、適切な基質を酵素に提供すること、および結果として生じる反応生成物を検出することにより検出しうる。また、単純な比色標識は標識に関連する色を観察することにより検出しうる。蛍光共鳴エネルギー転移が未標識リガンドの結合を検出するように適合されており、それはアレイで有用でありうる。
【0062】
本発明の特定の一態様において、サンプルに対する基質のアレイの応答は、検出可能に標識した抗体;より具体的には蛍光標識した抗体を使用して測定する。基質がキナーゼ基質よりなる本発明の態様において、基質のアレイの応答は蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して測定する。下の実施例でより詳細に概説されるとおり、蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体の使用は基質活性のリアルタイム測定を可能にし、そして従ってアレイの活性を初期キナーゼ速度として表すことの可能性を提供する。本態様において、薬理学的プロファイルは、未処理サンプルに対するアレイ基質応答に対する(前)処理されたサンプルに対するアレイ基質応答の比として測定される。
【0063】
これゆえに、特定の一態様において、本発明は多孔質マトリックス上に固定された基質のアレイを使用するキナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを得る方法を提供し、前記方法は;
(i)キナーゼ阻害剤の存在下でサンプルと基質のアレイを接触させること;
(ii)キナーゼ阻害剤の非存在下でサンプルと基質のアレイを接触させること;
(iii)段階(i)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(iv)でのアレイ基質応答に対する段階(iii)でのアレイ基質応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなる。
【0064】
本態様のさらなる一局面および本発明の態様のいずれかにおいて;
−サンプルはいずれかの生物学的サンプル(上記)から得ることができる細胞ライセート、とりわけ、癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製した細胞ライセートよりなる。
−基質のアレイは、キナーゼ基質、とりわけペプチドキナーゼ基質よりなり、より具体的には表1のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130若しくは140ペプチドを含んでなる。なおさら
なる一態様において、基質のアレイは、配列番号4、19、24、69、113、114、136および138をもつペプチドよりなる群、若しくは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなる群、若しくは配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138をもつペプチドよりなる群、若しくは配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなる。あるいは、基質のアレイは、キナーゼ基質、より具体的にはペプチドキナーゼ基質、なおより具体的には表2のペプチドキナーゼ基質よりなり、最も具体的には表2のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、16、20、24、28、32、36、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、150、180、200、220若しくは240ペプチドを使用する。なおさらなる一態様において、基質のアレイ基質のアレイは配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドよりなる。
−基質のアレイの応答は抗体、とりわけ蛍光標識した抗体、より具体的には蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して;最も具体的には商業的に入手可能なPY20−FITC抗体を使用して測定する。サンプル中のアゾール若しくはアジドのような抗真菌化合物の存在がアレイ応答に影響し得ることが観察されており、従って、特定の一態様において、基質のアレイの応答は、上の態様のいずれにおいても、抗真菌剤を含まない溶液中で、とりわけアジドを含まない溶液を使用して抗体を使用して行う。
−サンプルは多孔質マトリックス上でのインキュベーション前に、すなわち段階(i)および(ii)双方でのサンプルとの基質アレイの接触の前に濾過する。サンプルの濾過は、例えば限定されるものでないが再生セルロース、セルロースエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ガラス、アノポア(anopore)若しくはテフロン(teflon)から作成されたフィルターメンブレンを挙げることができる技術既知の手順を使用して行い、典型的には、濾過範囲は多孔質マトリックスの配向された貫通型チャンネルに一致すべきであり、そして例えば10ないし0.1マイクロメートル範囲にある。とりわけ、無機0.2マイクロメートルフィルターを使用して、より具体的には下の実施例に提供されるところのアノポア(anopore)0.2マイクロメートルフィルターを使用して。
−段階(i)で使用される細胞ライセートはキナーゼ阻害剤とプレインキュベートする。細胞ライセートの好ましいプレインキュベーション方法は試験されるべき特定の化合物および使用される細胞ライセートの型に依存するであろうことが認識されるであろう。最適の方法は慣習的方法を使用して当業者により容易に決定し得るが、しかし典型的には、適切な緩衝液、例えばリン酸およびプロテアーゼ阻害剤を含有するM−PER緩衝液(PIERCE)中で試験されるべき化合物と細胞ライセートを30分〜60分の範囲の期間インキュベートすることよりなるとみられる。
【0065】
再度、インキュベーションは典型的に氷上で行う。
【0066】
これゆえに、さらなる一態様において、本発明は、多孔質マトリックス上に固定された基質のアレイを使用するキナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを得る方法を提供し、前記方法は;
(i)癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製した細胞ライセートを得;
(ii)10ないし0.1マイクロメートル範囲のフィルターで細胞ライセートを濾過し;
(iii)前記細胞ライセートの画分を試験されるべきキナーゼ阻害剤とインキュベート
し;
(iv)試験されるべきキナーゼ阻害剤の存在下で、段階(iii)のインキュベートした画分と基質のアレイを接触させ;
(v)試験されるべきキナーゼの非存在下で、キナーゼ阻害剤とインキュベートしなかった細胞ライセートの画分と基質のアレイを接触させ;
(vi)段階(iv)での前記アレイの応答を測定し;
(vii)段階(v)での前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)でのアレイ基質応答に対する段階(iv)でのアレイ基質応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなる。
【0067】
本態様、および本発明の態様のいずれかにおいて、以下のさらなる制限の1つ若しくはそれ以上が当てはまることがある;
−基質のアレイは、キナーゼ基質、とりわけペプチドキナーゼ基質よりなり、より具体的には表1のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130若しくは140ペプチドを含んでなる。なおさらなる一態様において、基質のアレイは、配列番号4、19、24、69、113、114、136および138をもつペプチドよりなる群;15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138よりなる群、15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133よりなる群、若しくは5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなる。あるいは、基質のアレイは、キナーゼ基質、より具体的にはペプチドキナーゼ基質、なおより具体的には表2のペプチドキナーゼ基質よりなり、最も具体的には表2のペプチドキナーゼ基質の最低2、6、12、16、20、24、28、32、36、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、150、180、200、220若しくは240ペプチドを使用する。なおさらなる一態様において、基質のアレイは、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドよりなる。
−基質のアレイの応答は、抗体、とりわけ蛍光標識した抗体、より具体的には蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して;最も具体的には商業的に入手可能なPY20−FITC抗体を使用して測定する。サンプル中のアゾール若しくはアジドのような抗真菌化合物の存在がアレイ応答に影響し得ることが観察されており、従って、特定の一態様において、基質のアレイの応答は、上の態様のいずれにおいても、抗真菌剤を含まない溶液中で、とりわけアジドを含まない溶液を使用して抗体を使用して行う。
−サンプルの濾過は、例えば限定されるものでないが再生セルロース、セルロースエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ガラス、アノポア(anopore)若しくはテフロン(teflon)から作成されたフィルターメンブレンを挙げることができる技術既知の手順を使用して行い、典型的には、濾過範囲は多孔質マトリックスの配向された貫通型チャンネルに一致すべきであり、そして例えば10ないし0.1マイクロメートル範囲にある。とりわけ、無機0.2マイクロメートルフィルターを使用して、より具体的には下の実施例で提供されるところのアノポア(anopore)0.2マイクロメートルフィルターを使用して。
【0068】
別の態様において、本発明は、試験されるべき化合物での細胞、組織、器官若しくは温血動物の処理における応答体と非応答体の識別を可能にするための本発明の方法を使用して決定される薬理学的プロファイルの使用を提供する。とりわけ、試験されるべき化合物
での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍との応答体の識別を可能にするため。
【0069】
下の実施例で概説されるとおり、PCT特許公開第WO 2004/10765号に多標的キナーゼ阻害剤(MTKI)として記述される下の大環状キナゾリン誘導体(I)の一分類での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍との応答体の識別を可能にする、表1の基質アレイ上の本明細書で「分子シグネチャ」若しくは「指紋」ともまた称される基質の特定の組の同定を提供することもまた、本発明の一目的であった。
【0070】
【化1】

【0071】
とりわけ、式(I)の化合物[ここで;
ZはNHを表し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR13−C1−5アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−、−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−、若しくは−Het22−CH−CO−NH−C1−3アルキル−を表し;
はO若しくは−O−C1−2アルキル−を表し;
は直接結合、−C1−2アルキル−、O、−O−C1−2アルキル−、NR12若しくはNR12−C1−2アルキル−を表し;
は水素、シアノ、ハロ若しくはヒドロキシ、好ましくはハロを表し;
は水素、シアノ、ハロ若しくはヒドロキシを表し;
は水素を表し;
はC1−4アルキルオキシ−を表し;
12は水素若しくはC1−4アルキル−を表し;
13は水素若しくはC1−4アルキルを表し;
14は水素若しくはC1−4アルキルを表し;
Het20はピロリジニル、ピペラジニル若しくはピペリジニルを表し;および
Het22はピロリジニル、ピペラジニル若しくはピペリジニルを表す]
での処置に対して。
【0072】
とりわけ、
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI1);またはその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩
【0073】
【化2】

【0074】
での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍との応答体の識別を可能にするため。
【0075】
前述の定義および下で使用されるところの、
−ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードに包括的なものであり;
−C1−2アルキルはメチル若しくはエチルを定義し;
−C1−3アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピルなどのような1から3個までの炭素原子を有する直鎖および分枝状鎖飽和炭化水素基を定義し;
−C1−4アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1から4個までの炭素原子を有する直鎖および分枝状鎖の飽和炭化水素基を定義し;
−C1−5アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1から5個までの炭素原子を有する直鎖および分枝状鎖飽和炭化水素基を定義し;
−C3−9アルキルは、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどのような3から9個までの炭素原子を有する直鎖および分枝状鎖飽和炭化水素基を定義し;
−C1−4アルキルオキシは、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのような直鎖若しくは分枝状飽和炭化水素基を定義し;
−「CO」という用語はカルボニル基を指す。
【0076】
上で挙げられたところの製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩は、MTKI 1が形成することが可能である治療上活性の非毒性の酸および非毒性の塩基の付加塩を含んでなることを意味している。塩基の特性は、前記塩基の形態を適切な酸で処理することによりそれらの製薬学的に許容できる酸付加塩に転化し得る。適切な酸は、例えば、ハロ水素酸、例えば塩酸若しくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸および類似の酸のような無機酸;または例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および類似の酸のような有機酸を含んでなる。
【0077】
酸の特性は、前記酸の形態を適する有機若しくは無機塩基で処理することによりそれらの製薬学的に許容できる塩基付加塩に転化しうる。適切な塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0078】
酸若しくは塩基付加塩という用語は、MTKI 1が形成することが可能である水和物および溶媒付加形態もまた含んでなる。こうした形態の例は例えば水和物、アルコール和
物などである。
【0079】
表1の基質とともに本発明の薬理学的プロファイリング方法(上記)を使用して、MTKI1の「分子シグネチャ」が、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることが見出された。
【0080】
表2の基質とともに本発明の薬理学的プロファイリング方法(上記)を使用して、MTKI1の「分子シグネチャ」が、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることが見出された。
【0081】
従って、4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI 1);またはその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍との応答体の識別を可能にする方法を提供することが、本発明の一目的であり;前記方法は;
(i)前記細胞株および/若しくは腫瘍からサンプルを得ること;
(ii)MTKI1の存在下に基質のアレイを前記サンプルと接触させること;
(iii)MTKI1の非存在下に基質のアレイを前記サンプルと接触させること;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(v)段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが、配列番号4、19、24、69、113、114、136および138をもつペプチドよりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、応答体は配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドから選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定される。
【0082】
本態様において、以下のさらなる制限の1つ若しくはそれ以上が当てはまることがある;
−基質のアレイは、マトリックス、より具体的には、例えば限定されるものでないが、例えばPCT特許公開第WO 01/19517号に記述されるような当該技術分野で公知であるところの配向された貫通型チャンネルを有するいずれかの素材を挙げることができる多孔質マトリックス上に固定され、そして典型的には金属酸化物、ガラス、酸化ケイ素若しくはセルロースから作成される。特定の一態様において、多孔質素材は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化チタンおよびタリウムよりなる群から選択される金属酸化物から作成され;より具体的な一態様において金属酸化物は酸化アルミニウムよりなり;
−サンプルは、原則として例えば血液、尿、唾液、組織生検若しくは剖検材料のようないずれかの生物学的サンプル、およびその後とりわけそれらの細胞ライセートであり得るが、しかし、典型的には、癌細胞株;初代および不死化組織細胞株を包含する細胞株、;ヒト以外の動物モデルの生検および患者生検から調製した細胞ライセートよりなるとみられる。本発明の一態様において、細胞ライセートは、癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製し;
−基質のアレイは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなる群から選択される最低3、4、5、6若しくは7ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドを含んでなり;より具体的には、基質のアレイは配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドよりなり;
−基質のアレイの応答は検出可能なシグナルを使用して測定し、前記シグナルは基質のアレイとサンプルの相互作用から生じる。上で挙げられたとおり、基質のアレイとのサンプルの相互作用の測定において、シグナルは検出可能に標識された基質の物理若しくは化学特性の変化の結果、または、間接的に、基質に結合することが可能な検出可能に標識された分子と基質の相互作用の結果のいずれかである。なおさらなる一態様において、基質のアレイの応答は、抗体、具体的には蛍光標識した抗体、より具体的には蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して、最も具体的には商業的に入手可能なPY20−FITC抗体を使用して測定する。サンプル中のアゾール若しくはアジドのような抗真菌化合物の存在がアレイ応答に影響し得ることが観察され、従って特定の一態様において、基質のアレイの応答は、上の態様のいずれにおいても、抗真菌剤を含まない溶液中で、とりわけアジドを含まない溶液を使用して抗体を使用して測定する。
−応答体は、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133をもつペプチドから選択されるペプチドの最低3種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定される。
【0083】
前述の方法は、場合によっては以下の付加的な段階の1つ若しくはそれ以上を含み得る;
−サンプルの画分を基質のアレイへのその適用前にMTKI1とプレインキュベートする付加的な一段階。
−サンプルを基質のアレイへのそれらの適用前に濾過する付加的な一段階。サンプルの濾過は、例えば限定されるものでないが再生セルロース、セルロースエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ガラス、アノポア(anopore)若しくはテフロン(teflon)から作成されるフィルターメンブレンを挙げることができる技術既知の手順を使用して行い、典型的には、濾過範囲は多孔質マトリックスの配向された貫通型チャンネルに一致すべきであり、そして例えば10ないし0.1マイクロメートル範囲にある。とりわけ、無機0.2マイクロメートルフィルターを使用して、より具体的には下の実施例で提供されるところのアノポア(anopore)0.2マイクロメートルフィルターを使用して。
【実施例】
【0084】
実験データおよび実施例
材料および方法:
薬物応答の予測および化合物の区別でのPAMCHIPの使用。
チロシンペプチドPAMCHIP96を使用するPAMGENE技術は、96ウェルプレートの3次元多孔質ウェルにスポットした144種のチロシンペプチドのリン酸化の動的検出を可能にする(www.pamgene.com)。この技術を使用して、精製したキナーゼの活性およびそれらに対するキナーゼ阻害剤の影響を測定し得る。ホスホチロシンペプチドは、蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体の混合物を使用して検出する。ペプチドのリン酸化は、蛍光抗体に結合したリンペプチドのCCDカメラ検出を可能にするためのポンピング機構(pumping mechanism)によりアッセイの間の数秒間反応混合物を除去することの可能性によりリアルタイムで追跡し得る。これらの連続的
データ点(定量化スポット画像)が各個々のペプチドの反応速度曲線を生成し、そして各個々のペプチドに関連する初期速度および終点の計算を見込む。
【0085】
この技術を、未処理および化合物で処理したライセート(癌細胞株、異種移植腫瘍および患者生検、腫瘍ならびに正常組織から調製したライセートは全部使用し得る)、ならびに処理および未処理の細胞株でのチロシンキナーゼ活性のプロファイリングを可能にするように改変した。これらのプロファイルの使用は、非応答体細胞株および腫瘍から化合物応答体を層別化すること、ならびにそれらの標的選択性およびATP競合性に基づくチロシンキナーゼ阻害剤の識別、ならびにキナーゼ活性に対するキナーゼ以外の阻害剤(ヒストンデアセチラーゼ阻害剤のような)の間接的影響の特徴付けにおいて示された。
【0086】
培養細胞ライセート
必要な場合は化合物で処理した、T175フラスコ中適切な培地中で培養した細胞は、70〜90%培養密度で収集する。
【0087】
培地を除去し、0.1mM NaVOを含有する10ml氷冷PBSで細胞を洗浄し、そしてホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(HALT、PIERCE)を含有する1mlのM−PER緩衝液(PIERCE)で溶解する。細胞を掻き取ることにより収集しそして12 000×gで10分間遠心分離する。上清ライセートを0.2マイクロメートルフィルター(Anotop 0.2μmアノポア(anopore)フィルター;Whatmann)で濾過する。ライセートを液体窒素中で急速凍結しかつ−80℃で保存する。
【0088】
腫瘍および組織ライセート
100mgの凍結腫瘍若しくは組織ブロックまたは切片を、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(HALT、PIERCE)を含有する1mlのM−PER緩衝液(PIERCE)に溶解する。該懸濁液はULTRA−TURRAXブレンダー(IKA werke)を使用して混合しそして12 000×gで10分間2回遠心分離する。上清ライセートを0.2マイクロメートルフィルター(Anotop 0.2μmアノポア(anopore)フィルター;Whatmann)を通して濾過する。ライセートを液体窒素中で急速凍結しかつ−80℃で保存する。
【0089】
PAMCHIP手順
PAMCHIP実験の直前に総タンパク質含量をライセート中で定量し、そしてライセートをM−PERホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(HALT、PIERCE)を含む総容量200μl中1mg/mlに希釈する。10μgの全ライセート(10μlに対応する)をPAMCHIP96のウェルあたりに使用することができる。
【0090】
全部の200μlライセートに10単位のベンゾナーゼ(Novagen)を添加し、そしてライセートを氷上で30分間さらにインキュベートし、そして次に12 000×gで10分間遠心分離する。上清をその後水で適切な濃度に希釈した化合物若しくはDMSOで1:1希釈し、そしてライセートを氷上で正確に60分さらにインキュベートする。その間、PAMCHIP96チロシンペプチドチップ(PAMGENE)を、PAMSTATION96(PAMGENE)の標準設定を使用して2%BSA(0.2μmアノポア(anopore)フィルターを通し濾過する;Whatmann)でブロッキングする。
【0091】
キナーゼ緩衝液の組成は後に続くとおりである。すなわち、1×ABL緩衝液(NEB)、0.5mg/ml BSA(10mg/ml NEBストックから)、100μM ATP(1×ABL緩衝液に溶解かつ希釈する)、5μg/ml PY20−FITC(
ExAlpha Biologicals、アジドを含まない調製物)。2倍濃縮したキナーゼ緩衝液を氷上で冷却して調製し、DMSO若しくは化合物を適切なように添加し、そして該溶液を(化合物で処理した)氷冷ライセートに1:1添加し、そして直ちにチロシンペプチドPAMCHIP96に適用する。アッセイは標準手順に従いPAMSTATION96で実施する。すなわち、プレートの負荷後に溶液をウェルに1回ポンピングし、最初の曝露を読み取り(150m秒)、そしてその後動的読み取りプログラム(5分ごとに150m秒間読み取る)を60分間実施する。ライセートを各条件について6個の技術的複製物で実験し;複製物はチップの垂直ストリップ効果を回避するために常に相互の隣に水平に適用する。
【0092】
データ解析
処理。
データ(スポット画像)はEVOLVE PAMGRIDソフトウェア(PAMGENE)を使用してさらに定量化しかつペプチド同一性と結び付ける。定量化データをその後、アッセイの最初の30分に適用したVinip2曲線当てはめアルゴリズムを使用するCurveFitHTソフトウェア(PAMGENE)を使用して曲線に当てはめ;初期速度を最初の動的時間点読み取りで得る。全部のその後のデータ解析は、ソフトウェアパッケージOmnivizおよびR(Ihaka,R.とGentlemen,R.(1996)R:a languate for data analysis and graphics.J.Comput.Graph.Stat.、5、299−314)を使用して初期速度(Vini)で行った。
【0093】
差別的に阻害されるペプチドについての試験。
0.1以下のViniを0.1により置き換えた後、正規化を扱うため全部のViniをlog2変換した。その後、Viniの化合物に誘発される低下が応答するおよび応答しない腫瘍の間で有意に異なったかどうかを検定した。この検定は、技術的変動(すなわち複製物間の変動)および生物学的変動(すなわち多様な応答するおよび応答しない細胞株若しくは腫瘍間の変動)双方の組み込みを可能にする混合モデル(Littell,R.C.、Milliken,G.A.、Stroup,W.W.、Wolfinger,R.D.1996.SAS system for mixed models.ノースカロライナ州カリー;SAS Institute Inc.)を使用し、各ペプチドについて個別に行った。ViniおよびViniに対する処理効果の細胞株若しくは腫瘍間の変動を、応答状態に入れ子にした(nested)細胞株若しくは腫瘍あたりの無作為の妨害および無作為の化合物効果ごとにそれぞれモデル化した。応答するおよび応答しない細胞株若しくは腫瘍の間のViniの化合物に誘発される低下の差違を、化合物処理と応答状態(双方とも固定効果としてモデル化した)の間の交互作用により検定した。この交互作用の検定のp値は疑陽性発見比率(False Discovery Rate)手順(Benjamini,Y.とHochberg,Y.1995.Controlling the False Discovery Rate:A Practical
and Powerful Approach to Multiple Testing.J.Roy.Stat.Soc.B、57(1):289−300)を使用して多重検定について補正して、いわゆるq値をもたらした。
【実施例1】
【0094】
MTKIについての27細胞株パネルでのシグネチャペプチドの生成。
Pamchipペプチドアレイが多標的キナーゼ阻害剤MTKIに対する細胞株の応答を予測するための有用なツールであるかどうかを試験した。MTKIは、広範に変動するIC50でin vitroである範囲の細胞株の増殖を阻害する。多彩な癌細胞型を表すこれら27種の細胞株から調製したライセートを、各条件につき6複製物で5μM MTKIの非存在若しくは存在下でペプチドアレイ上でプロファイリングした。このパネル
中で、13細胞株は応答体細胞株(IC50<3μM;細胞株は実施例1で増大するIC50に従って配列する)と定義された一方、14細胞株は「非応答体」細胞株(IC50>10μM)と分類される。中間細胞株、および高度に変動するIC50測定値を伴う細胞株は解析から省いた。該実験は変異体EGFR L858Rを過剰発現する高度に応答性のH3255肺癌細胞株を包含した。この変異体バリアントは、EGFRの活性コンホメーションに結合するATP競合化合物であるMTKIに高度に応答性である(エルロチニブおよびゲフィニチブに類似)。従って、ライセートキナーゼ活性のMTKIにより誘導される最も顕著な変化をこの高度に応答性の細胞株について観察し得る。
【0095】
MTKIによるリン酸化の阻害がライセートを調製した細胞株の応答状態と良好に相関するペプチドを同定するために、統計学的混合モデルを設定し、複製物間の変動性を考慮に入れて非応答体ライセートと比較して応答体細胞ライセートでMTKI処理後に変化することが最もありそうであるペプチドを同定した(統計学的検定のより詳細な記述については材料および方法の節を参照されたい)。非応答体に対し応答体でMTKI処理により変化することが最もありそうである16ペプチドを、0.01のカットオフp値を使用して実施例1に列挙する(この統計学的解析での多数の反復測定値の補正はこのp値が0.1というq値に変わることを示す)。所定のライセート中のこれらのペプチドのリン酸化の阻害がMTKIに対する対応する細胞株の応答と実際に相関することを具体的に説明するために、以下のカットオフを選んで応答体および非応答体を分類した。すなわち、該16ペプチドの一覧からの最少で4ペプチドは、応答体として分類するために0.8(20%阻害)未満の比で阻害されなければならない。全27細胞株にこの規則を適用することは82%の全体的な分類の正確さ(78%の感度および86%の特異度を伴う)を示す。興味深いことに、非応答体として誤って予測される3種の応答体からの2種(Colo699およびH2009)は全13応答体の最高のIC50を有する(すなわちこれらは「境界」応答体である)。これら20ペプチドの分類ツールとしての使用は必要とされる感度および特異度に従って最適化し得ることに注意されたい。
【0096】
MTKIの存在下でのペプチドリン酸化の初期速度に対する溶媒(DMSO)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度の比により表される結果を表3AないしDに示し;’NaNはDMSOの存在下で検出可能なリン酸化が存在しないことを示す。
【0097】
感受性若しくは特異度を特定の必要性(例えば疑陽性若しくはあるいは偽陰性を可能な限り多く除外するため)に適合させるために、当業者は、例えば応答体予測比を変更することにより該予測統計学を容易に適合させ得る。
【0098】
【表15】

【0099】
【表16】

【0100】
【表17】

【0101】
【表18】

【0102】
R=MTKIに対する応答体
NR=MTKIに対する非応答体
応答体は最少で4ペプチドが比<0.8(太字で示される)を有する場合に予測される
全体的な予測の正確さ::82%(22/27)
感度(実際の応答体の数に対する予測された応答体の数):78%(10/13)
特異度(実際の非応答体の数に対する予測された非応答体の数):86%(12/14)
【実施例2】
【0103】
MTKIについての異種移植腫瘍中でのシグネチャペプチドの生成。
類似のアプローチが応答体および非応答体腫瘍の分類を見込むかどうかを探求するため、上と同一の戦略を12種の異なる異種移植腫瘍に適用し、それらはヒト癌細胞株からヌード免疫無防備状態マウスで皮下に増殖させた。これらの腫瘍は6種の応答性腫瘍および6種の非応答性腫瘍に分割し得る。応答性腫瘍は、H3255、A431およびH322腫瘍の突然の腫瘍退縮からDU145、SUM149およびBT474の腫瘍増殖の強力な阻害までの範囲にわたるin vivoでのMTKIに対するそれらの応答性に従って配置する。非応答性腫瘍(H460およびH441、HT29、PC3、SKOV3、H
1703)は全部in vivoでMTKIに非応答性である。均質化した凍結腫瘍ブロックからライセートを作成し、そして前のとおり5μM MTKIの非存在若しくは存在下で分析した。全体に、大部分のペプチドのリン酸化速度は、対応する細胞株に比較して腫瘍ライセート中で有意により速かった。にもかかわらず、ペプチドリン酸化プロファイルの阻害は、リン酸化の阻害がMTKIに対する腫瘍の応答性と相関したペプチドのサブセットが存在することを示した。統計学的検定をこのデータ組に適用し(27細胞株についての前と同様)、そして応答体と非応答体を最良に識別する21ペプチドを表4AおよびBに示す。この組に使用したカットオフp値は0.1である。応答体と非応答体腫瘍を識別するためのこれらのペプチドのp値は、腫瘍の数(12)が実施例1の細胞株の数(27)よりはるかにより小さいために細胞株について得られたものより有意により小さいことに注意されたい。この腫瘍シグネチャ組のペプチドの7種が16ペプチドの細胞株シグネチャ組(実施例1)でもまた見出され、同一の活性のいくつかの阻害がin vitroでの増殖の阻害と比較してin vivoの腫瘍増殖を低下させるのに決定的に重要であることを示すが、しかしまたin vivoの情況での他のキナーゼの重要性も示すことに注意されたい。重要なことに、多くのシグネチャペプチドについて、阻害の程度はMTKIに対する腫瘍の応答性と相関した。
【0104】
MTKIの存在下でのペプチドリン酸化の初期速度に対する溶媒(DMSO)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度の比により表される結果を表4A〜Bに示し;’NaNはDMSOの存在下で検出可能なリン酸化が存在しないことを示す。
【0105】
該感度若しくは特異度を特定の必要性(例えば、疑陽性若しくはあるいは偽陰性を可能な限り多く除外すること)に適合させるために、当業者は、例えば応答体予測比を変更することにより予測統計学を容易に適合させ得る。
【0106】
【表19】

【0107】
【表20】

【0108】
R=MTKIに対する応答体
NR=MTKIに対する非応答体
応答体は最少で7ペプチドが比<0.8(太字で示される)を有する場合に予測される。全体的な予測の正確さ:9/12(75%)
感度(実際の応答体の数に対する予測された応答体の数):4/6(67%)
特異度(実際の非応答体の数に対する予測された非応答体の数):5/6(83%)
【実施例3】
【0109】
ヒト凍結組織および腫瘍サンプル。
異種移植腫瘍ライセートについてと同一のアプローチをヒト組織(Proteogenexから購入した凍結組織)に適用した。急速凍結肺腫瘍および正常のマッチさせた組織を試験した。全部のサンプルが確実なシグナルを生じたこと、および異なる腫瘍がMTKI1処理に対する異なる応答をもたらしたことが見出され、この技術が一般に凍結ヒト組織に応用可能でありかつMTKI1若しくは他のチロシンキナーゼ阻害剤に対する腫瘍(および他組織)の応答を予測しうることを示唆する。
【実施例4】
【0110】
化合物の区別
PAMCHIPSは化合物をプロファイリングおよび区別するのにもまた使用し得る。5種のチロシンキナーゼ阻害剤(左から右へ:DMSO、ラパチニブ/Tykerb、MTKI1/MTKI、ゲフィニチブ/イレッサ(Iressa)、エルロチニブ/タルセバ(Tarceva)、ZD6474(ザクチマ(zactima))は応答性細胞株NCI−H3255から調製したライセート中で異なる阻害プロファイルをもたらす。同様に、化合物を区別するためにより少なく応答性の細胞株からプロファイルが生成されている。結果を図1に表す。
【0111】
化合物で処理した細胞からライセートを調製する場合にキナーゼ以外の阻害剤もまたPAMCHIPプロファイルに顕著な影響を有し得ることが見出された。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤若しくはMTKI1いずれかをDU−145前立腺癌細胞に5μMで20時間適用する一例を示す。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤の確実な効果が細胞処理後にPAMCHIPプロファイルで観察される一方、ライセートをヒストンデアセチラーゼ阻害剤で処理する場合に影響はほとんど見ることができず、この化合物が細胞の情況でキナーゼを間接的に阻害するという考えと矛盾しない。これは、いかなる化合物も細胞に適用される場合にPAMCHIPSを使用して潜在的にプロファイリングし得ることを具体的に説明する。結果を図2に表す。
【実施例5】
【0112】
新規256ペプチドアレイの設計−MTKIについての異種移植腫瘍中でのシグネチャペプチドの生成。
標準の140ペプチドアレイの特異度および従って応答体と非応答体を識別するペプチド組の能力を向上させるため、256ペプチドの新規組を選択した。以下の戦略を使用した。すなわち、第一にホスホチロシンペプチドを質量分析(Cell Signalling Technologiesと共同で)により2種の癌細胞株DU145およびNCI−N87のライセートで同定した。これは937種のリンペプチドを生じ、それらの多くは以前に決して記述されなかった。とりわけ興味深い63種のペプチド、すなわち既知の自己リン酸化部位若しくは該937ペプチド中で実際より少なく見積もられたチロシンキナーゼの他の基質を追加した。これら1000ペプチドの全部をその後SPOT方法論(JPT、独国ベルリンによる迅速な費用効率のよいペプチド合成手順)を使用して合成し、そして7種の異なる144ペプチドアレイにスポットした。これらのアレイをMTKIの非存在および存在下で32種の異なる細胞株および腫瘍のライセートとインキュベートした。(a)ライセートの最低1種での検出可能性、(b)ライセート全体での差別的リン酸化速度、および(c)多様なライセート中でのMTKIによる差別的阻害に基づき、これらのペプチドから194ペプチドを選択した。加えて、以前の実験で有用と見出された標準の140ペプチドアレイから62ペプチドを追加した(実施例1ないし4でのもののような)。選択した256ペプチドをその後JPTにより標準的高品質手順を使用して合成し(特注合成)、そしてPamgeneにより単一アレイとしてスポットした。この新たなアレイ(256ペプチド)を使用して、MTKIの非存在若しくは存在下で前のとおり12種の異種移植腫瘍ライセートをプロファイリングした。前と同一の混合モデル統計学的解析を使用して、非応答体に対し応答体腫瘍を識別するペプチドを選択した。そ
の解析の結果を表5に示す(P値<0.1を伴う28ペプチド)。MTKIによるこれらのペプチドの多くの阻害の倍数(fold inhibition)は、140ペプチドアレイから選択されるペプチドに比較してより高く(実施例2を参照されたい)、これらのペプチドが実際にある種のMTKI標的キナーゼに対しより選択的であることを示す。最も重要には、予測の正確さは該140ペプチド組由来のペプチド組に比較して大きく改善され、上述されたペプチド選択戦略の有用性を具体的に説明する。
【0113】
結果を表5AおよびBに示す。
【0114】
MTKIの存在下でのペプチドリン酸化の初期速度に対する溶媒(DMSO)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度の比;’NaNはDMSOの存在下で検出可能なリン酸化が存在しないことを示す
【0115】
【表21】

【0116】
【表22】

【0117】
【表23】

【0118】
【表24】

【0119】
【表25】

【0120】
R=MTKIに対する応答体
NR=MTKIに対する非応答体

応答体は最少で14ペプチドが比<0.7(太字で示される)を有する場合に予測される。
全体的正確さ:100%
【実施例6】
【0121】
MTKI由来シグネチャペプチドはタルセバ(Tarceva)(エルロチニブ)のような他のEGFR阻害剤に対する応答を予測するのにもまた使用し得る。
タルセバ(Tarceva)(エルロチニブ;OSI pharmaceuticals)のようなMTKIに関係する他のEGFR阻害剤もまたこの応答予測方法論に従うかどうかを試験するため、9細胞株をMTKI若しくはタルセバ(Tarceva)(双方の場合で5μM)の存在下でプロファイリングした。小さな差違がMTKIおよびタルセバ(Tarceva)プロファイルで検出可能である(例えば、MTKIはタルセバ(Tarceva)に比較してEGFR l858Rに対するより低いIC50と一致してH3255に対しわずかにより強力であり;MTKIは、MTKIがタルセバ(Tarceva)より良好な阻害剤であるHer2により主に駆動される細胞株N87に対してもまたより強力であり;他方、タルセバ(Tarceva)は未知の理由からMTKIに比較してGTL16ライセートで付加的な活性を有する)とは言え、全体としてMTKIとタルセバ(Tarceva)の間で阻害パターンに顕著な類似が存在する(図3を参照されたい)。以前に得られたMTKI予測ペプチドの値を表6AないしCに具体的に説明する。これらのペプチドに基づき、タルセバ(Tarceva)に対する応答もまたMTKIについてと同一の正確さを伴い(ならびにH2009およびMOLT4の場合は同一の誤った予測を伴い)予測し得る。これらの結果は、MTKIに対する応答と相関する16ペプチドがありそうにはタルセバ(Tarceva)(エルロチニブ)若しくはイレッサ(Iressa)(ゲフィニチブ;AstraZeneca)のような他のEGFR阻害剤に対する応答もまた予測することを具体的に説明する。
【0122】
MTKI若しくはタルセバ(Tarceva)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度に対する溶媒(DMSO)の存在下でのペプチドリン酸化の初期速度の比;’NaNはDMSOの存在下で検出可能なリン酸化が存在しないことを示す。
【0123】
【表26】

【0124】
【表27】

【0125】
【表28】

【0126】
応答体は最少で4ペプチドが<0.8の場合に予測される
MTKI:正確さ:78%(7/9);感度:86%(6/7);特異度:50%(1/2)
タルセバ(Tarceva):正確さ:78%(7/9);感度:86%(6/7);特異度:50%(1/2)
【実施例7】
【0127】
細胞ライセート中のcMetの阻害は特定のペプチド組に相関し得る。
Pamgeneからの現在利用可能な140種のチロシンペプチドのアレイが上述されたもの以外のキナーゼ活性もまた検出することができるかどうかを検査するため、別の化合物を同じ方法論を使用してプロファイリングし:;これはcMET受容体チロシンキナーゼの完璧に選択的な阻害剤であり(US2007 0203136 A1を参照されたい)、そして式:
【0128】
【化3】

【0129】
をもつ。同様に、HGF誘発性コロニー形成におけるcMET阻害剤605に対する変動する応答性をもつある範囲の細胞株をプロファイリングした(この場合、1μMの化合物が応答体細胞ライセート中のペプチドリン酸化の有意の阻害に十分であった)。実施例7に示されるとおり、605によるペプチドリン酸化阻害の明確な差違を非応答体ライセートに対し応答体ライセートで同定し得た。cMetシグネチャペプチド組はcMetに対する最も近いホモログRon由来の2種のペプチドを特徴とすることに注意されたい。605は1μMで精製Ronキナーゼを全く阻害しない。しかしながら、これらのRon部位はcMetによるリン酸化の標的であることが示されている(Follenziら、2000、Oncogene 19、4041−3049)。605シグネチャペプチドは、MTKIと605の間のキナーゼ特異性のいかなる重なりの非存在と一致して、MTKIシグネチャペプチド組と重なりを全く示さない。これらのデータは、2つの型のチロシンキナーゼ阻害剤すなわち多標的EGFR阻害剤MTKI(およびタルセバ(Tarceva))ならびに選択的cMET阻害剤605について特定のペプチドを同定し得、サンプルライセート中のリン酸化速度の化合物に媒介されるその阻害が、本明細書に記述される方法論を使用して該化合物に対するこれらのサンプルの実際の生物学的応答を予測することを具体的に説明する。
【0130】
結果を表7AないしCに示す。
【0131】
【表29】

【0132】
【表30】

【0133】
【表31】

【0134】
R=cMETに対する応答体
NR=cMETに対する非応答体

応答体は最少で7ペプチドが比<0.8(太字で示される)を有する場合に予測される。全体的な予測の正確さ:12/13(92%)
感度(実際の応答体の数に対する予測された応答体の数):6/6(100%)
特異度(実際の非応答体の数に対する予測された非応答体の数):7/8(88%)
【0135】
前述の明細は具体的説明の目的上提供される実施例を伴い本発明の原理を教示する一方、本発明の実務は以下の請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にあるところの通常の変形、翻案、および/若しくは改変の全部を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質マトリックス上に固定された基質の第一および第二のアレイを使用するキナーゼ阻害剤の薬理学的プロファイルを得る方法であって、前記方法が以下の段階;
(i)癌細胞株;初代および不死化組織細胞株を包含する細胞株;ヒト以外の動物モデルの生検および患者生検から細胞ライセートを調製する段階;
(ii)前記細胞ライセートを10ないし0.1マイクロメートル範囲のフィルターで濾過して濾過した細胞ライセートを得る段階;
(iii)キナーゼ阻害剤の存在下で、前記濾過した細胞ライセートの第一の画分と基質の前記第一のアレイを接触させる段階、および前記第一のアレイの応答を測定する段階
(iv)キナーゼ阻害剤の非存在下で、前記濾過した細胞ライセートの第二の画分と基質の前記第二のアレイを接触させる段階、および前記第二のアレイの応答を測定する段階;ならびに
段階(iv)のアレイ基質応答に対する段階(iii)のアレイ基質応答の比として薬理学的プロファイルを得る段階
を含んでなる、上記方法。
【請求項2】
前記基質がホルモン受容体、ペプチド、酵素、オリゴヌクレオチド、モノクローナル抗体、ハプテンおよびアプタマーよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基質がキナーゼ基質である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基質がペプチドキナーゼ基質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基質が配列番号1ないし337のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2種のペプチドキナーゼ基質である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基質が配列番号15、16、22、34、62、83、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基質が配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記基質が配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記基質が配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
細胞ライセートが、癌細胞株;異種移植腫瘍、若しくは腫瘍および正常組織を包含する癌患者生検から調製される、先行する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
基質のアレイの応答が検出可能なシグナルを使用して測定され、前記シグナルが基質のアレイとのサンプルの相互作用から生じる、先行する請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
サンプルに対する基質のアレイの応答が検出可能に標識した抗体を使用して測定される、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
基質のアレイの応答が蛍光標識した抗ホスホチロシン抗体を使用して測定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
キナーゼ阻害剤について細胞、組織、器官若しくは温血動物の処理における応答体と非応答体の識別を可能にするための先行する請求項のいずれか1つに記載の方法により決定される薬理学的プロファイルの使用。
【請求項15】
試験されるべきキナーゼ阻害剤がMIKI1、605およびエルロチニブよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
薬理学的プロファイルが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質から選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【請求項17】
薬理学的プロファイルが、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質から選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【請求項18】
薬理学的プロファイルが、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質から選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【請求項19】
薬理学的プロファイルが、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質から選択される最低2ペプチドを含んでなる基質のアレイを使用して決定される、請求項14若しくは15のいずれか1つに記載の使用。
【請求項20】
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI 1);またはその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍からの応答体の識別を可能にする方法であって、前記方法が;
(vi)前記細胞株および/若しくは腫瘍からのサンプルを提供すること;
(vii)MTKI1の存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(viii)MTKI1の非存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(ix)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(x)段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、
87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、応答体が、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定される、上記方法。
【請求項21】
応答体が、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
基質のアレイが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低3ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質を含んでなり;より具体的には、基質のアレイが、配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI 1)、エルロチニブ若しくは605;またはそれらの製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍からの応答体の識別を可能にする方法であって、前記方法が;(i)前記細胞株および/若しくは腫瘍からのサンプルを提供すること;
(ii)MTKI1、エルロチニブ若しくは605の存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iii)MTKI1、エルロチニブ若しくは605の非存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(v)段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、応答体が、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定される、上記方法。
【請求項24】
応答体が、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
基質のアレイが、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136およ
び138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低3ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイが、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質を含んでなり;より具体的には、基質のアレイが、配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン、17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(MTKI 1)、エルロチニブ若しくは605、またはそれらの製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍からの応答体の識別を可能にする方法であって、前記方法が;(i)前記細胞株および/若しくは腫瘍からのサンプルを提供すること;
(ii)MTKI1、エルロチニブ若しくは605の存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iii)MTKI1、エルロチニブ若しくは605の非存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(v)段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定される、上記方法。
【請求項27】
応答体が、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基質のアレイが、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低3ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイが、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質を含んでなり、より具体的には、基質のアレイが、配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
;またはその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩での処理に対する非応答体細胞株および腫瘍からの応答体の識別を可能にする方法であって、前記方法が;
(i)前記細胞株および/若しくは腫瘍からのサンプルを提供すること;
(ii)605の存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iii)605の非存在下で前記サンプルと基質のアレイを接触させること;
(iv)段階(ii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;
(v)段階(iii)でのサンプルに対する前記アレイの応答を測定し;ならびに
段階(v)に対する段階(iv)でのアレイの応答の比として薬理学的プロファイルを得る
を含んでなり;基質のアレイが、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低2ペプチドを含んでなることを特徴とし;ならびに、応答体が、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(比<1.0)として同定される、上記方法。
【請求項30】
応答体が、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドの最低2種に対する応答における阻害(最低<0.80の比)として同定される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
基質のアレイが、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択される最低3ペプチドを含んでなり;とりわけ、基質のアレイが、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質を含んでなり、より具体的には、基質のアレイが、配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
基質のアレイの応答が抗真菌剤を含まない溶液中で、具体的にはアジドを含まない溶液を使用して抗体を使用して測定される、請求項1ないし13、20ないし31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
配列番号1ないし337のペプチドキナーゼ基質よりなる群から選択されるペプチドを含んでなる基質のアレイであるが、但し、前記アレイが配列番号1〜140のペプチドキナーゼ基質よりならない、上記アレイ。
【請求項34】
配列番号1ないし337のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項33に記載の基質のアレイ。
【請求項35】
配列番号15、16、22、34、62、83、86、87、100、105、108、110、113、125、129および133のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項33に記載の基質のアレイ。
【請求項36】
配列番号15、16、21、23、38、42、53、62、69、77、83、86、91、94、103、112、114、129、133、136および138のペプチ
ドキナーゼ基質よりなる、請求項33に記載の基質のアレイ。
【請求項37】
配列番号142、2、163、173、177、190、161、197、207、208、213、241、73、252、255、258、262、79、87、266、86、269、95、296、303、305、308および138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項33に記載の基質のアレイ。
【請求項38】
配列番号5、10、38、30、54、57、68、72、73、74、82、91、98、99、102、104、110、135、118、119、71、138のペプチドキナーゼ基質よりなる、請求項33に記載の基質のアレイ。
【請求項39】
(i)正常および腫瘍組織を包含する癌患者生検から細胞ライセートを調製する段階、
(ii)キナーゼ阻害剤の存在下で、段階(i)の細胞ライセートの画分と請求項33ないし38のいずれかに記載の基質の第一のアレイを接触させる段階;
(iii)キナーゼ阻害剤の非存在下で、段階(i)の細胞ライセートの画分と基質の前記第一のアレイに同一の基質の第二のアレイを接触させる段階;および
基質の第二のアレイの応答に対する基質の第一のアレイの応答の比として患者の薬理学的プロファイルを得る段階(前記薬理学的プロファイルは可能なキナーゼ阻害剤応答を予測する)
を含んでなる、癌の処置における患者での可能なキナーゼ阻害剤応答の予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−507384(P2010−507384A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533876(P2009−533876)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061614
【国際公開番号】WO2008/049930
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】