説明

キノロンカルボキシレート誘導体の調製方法

本発明は、キノロンカルボキシレート誘導体を、大規模の大量生産に都合良く適用されるように、温和な条件下において高収率で調製する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、キノロン系抗細菌剤を調製するための中間体として有用なキノロンカルボキシレート誘導体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
キノロンカルボキシレート誘導体は、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、ゲミフロキサシン(gemifloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、テマフロキサシン(temafloxacin)、フレロキサシン(fleroxacin)、及びレボフロキサシン(levofloxacin)を含む、多様なキノロン系抗細菌剤の調製用中間体として有用である。
【0003】
キノロンカルボキシレート誘導体の調製のための従来の方法は、キノリン環の形成段階(すなわち、環形成段階)を含み、これは、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムのような塩基存在下で行われる(米国特許第5,639,886号;J.Med.Chem.,1989,32,1313−1318;国際公開広報第00/50428号;米国特許第4,795,751号;特開(JP Publication)第89/100165号;米国特許第4,730,000号;J.Med.Chem.,1986,29,2363−2369;米国特許第4,777, 253号参照)。
【0004】
炭酸カリウムは、顆粒の形態で市販されている。しかし、顆粒状の炭酸カリウムをキノリン環の環形成反応に使用する場合、反応が完了することができず、収率も20〜30%程と非常に低い。それ故、反応を完了させるためには、顆粒状の炭酸カリウムを粉末に粉砕しなければならず、それには追加の工程、過剰量の炭酸カリウム(約3〜5当量)、及び/または反応器で顆粒を摩砕するための装置を必要とする。また、炭酸カリウムを使用して高温で反応を行う場合、二酸化炭素(CO)ガスが発生することにより、工程を危険にする。従って、炭酸カリウムは、産業的規模の大量生産に適用し難い。
【0005】
一方、水素化ナトリウムは、水に非常に敏感であり、反応を激しく危険なものとする(例えば、爆発の可能性)。また、収率が約50%〜90%と非常に大きい変動を示すために、産業的規模の大量生産に適用し難い。
【発明の開示】
【0006】
発明の開示
本発明は、キノロンカルボキシレート誘導体を、大規模の大量生産に都合良く適用されるように、温和な条件下において高収率で調製する方法を提供する。
【0007】
本発明の一つの局面において、有機溶媒中で化学式(II)の化合物とリン酸三カリウム(KPO)を反応させる段階を含む、化学式(I)の化合物またはその塩の調製方法が提供される:

式中、Rは、シクロプロピル、2,4−ジフルオロフェニル、または1−アセトキシプロプ−2(S)−イルであり、R及びRは、独立的に水素、塩素、またはフッ素であり、かつAは、CH、CF、CNOまたはNである。
【0008】
本発明の上記および他の特徴ならびに有利な点は、本発明の望ましい態様を詳細に記述することにより、さらに明白になる。
【0009】
発明を実施するための最良の態様
本発明の一つの局面により、有機溶媒中で化学式(II)の化合物をKPOと反応させることにより、キノロンカルボキシレート誘導体が高収率で調製される。得られた化合物は、さらに精製され、かつ単離されてもよい。この工程は、下記反応式1のように図示される。
反応式1

上記反応式1において、A、R、R、及びRは、上記で定義されたものと同じである。
【0010】
化学式(II)の化合物は、当技術分野において公知の方法(米国特許第5,237,060号)により調製可能である。例えば、ジクロロメタン、アルコール、クロロホルム、シクロヘキサンまたはトルエン等の有機溶媒中で、下記化学式(III)の化合物と、アミン誘導体(NH−R)とを反応させて化学式(II)の化合物を調製できる。反応は、20℃〜25℃で行われもよい。

化学式(III)の化合物において、A、R及びRは、上記で定義されたものと同じである。
【0011】
化学式(III)の化合物は、当技術分野において公知の方法によって調製可能である(J.Med.Chem.,1986,29,2363;J.Org.Chem.,1970,35,930;Organicum,3rd edition,1964,438;及び米国特許第5,237,060号)。
【0012】
本発明の方法において、リン酸三カリウムは、高収率で生成物を得るために化学式(II)の化合物1当量に対して、過剰量、すなわち、約1.5〜2.8当量、好ましくは1.5〜2.0当量で使用することができる。リン酸三カリウムを化学式(II)の化合物1当量に対して、1.5当量未満で使用する場合、未反応の化学式(II)の化合物が残留する可能性がある。
【0013】
本発明の方法は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート、メチルアセテート、トルエン、ベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を含む、多様な有機溶媒存在下で行うことができる。それらのうち、本発明に有用な溶媒は、好ましくはアセトニトリル、メチルエチルケトン、エチルアセテート、エチルアルコール、ジクロロエタン及びトルエンを含み、さらに好ましくはアセトニトリルを含む。
【0014】
反応温度が高いほど反応速度を速くできるが、高純度及び収率で生成物を得るために60℃〜82℃、好ましくは75℃〜80℃で反応を行うことができる。反応は、約1〜12時間、好ましくは約1〜3時間行うことができる。
【0015】
本発明の方法は、例えばリン酸二カリウム等の任意の副産物を除去するために、精製段階をさらに含むことができる。精製段階は、従来の方法によって行うことができる。例えば、上記で得られた反応混合物を濾過、好ましくは減圧濾過する。得られた濾液の濃縮物にジクロロメタン、エチルアセテート、またはそれらの混合物のような有機溶媒を加えた後、水で洗浄する。得られた有機層を濃縮して精製された生成物、すなわち化学式(I)の化合物を得る。
【0016】
本発明に従い、リン酸三カリウムを使用することにより、化学式(I)のキノロンカルボキシレート誘導体を、大規模の大量生産に都合よく適用されるように、温和な条件下において高収率で調製することができる。また、本発明の調製方法によって得られた3−キノロンカルボキシレート誘導体を使用し、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、トロバフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン等を含んだ、多様なキノロン系抗細菌剤調製用の中間体を、大規模大量生産において温和な条件下で都合良く調製できる。
【0017】
本発明を下記の実施例によりさらに例示および説明するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
実施例1.エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−シクロプロピルアミノ−2−ペンタフルオロベンゾイルアクリレート3.0gを、アセトニトリル15mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。3.28g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン30mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン30mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート2.74gが生じた(収率:96.9%)。

【0019】
実施例2.エチル7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−シクロプロピルアミノ−2−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−カルボニル)アクリレート7.0gを、アセトニトリル35mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。8.56g(2.0当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン77mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン77mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート6.17gが生じた(収率:98.5%)。

【0020】
実施例3.エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレートの調製
エチル2−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−カルボニル)−3−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)アクリレート6.0gを、アセトニトリル30mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。5.47g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧下で濾過し、ジクロロメタン66mlで洗浄した。濾液を減圧濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン66mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート5.25gが生じた(収率:95.8%)。

【0021】
実施例4.エチル1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル2−(2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイル−3−シクロプロピルアミノ)アクリレート10.0gを、アセトニトリル50mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。18.03g(2.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、2時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン60mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン300mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート8.77gが生じた(収率:98.7%)。

【0022】
実施例5.エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル2−(2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイル−3−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)アクリレート8.0gを、アセトニトリル80mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。11.84g(2.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、2時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン88mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート6.69gが生じた(収率:92%)。

【0023】
実施例6.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート8.0gを、アセトニトリル64mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。9.06g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン80mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン48mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート7.29gが生じた(収率:96.9%)。

【0024】
実施例7.(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレートの調製
(+)エチル2−(2,4−ジクロロ−3−ニトロ−5−フルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート3.0gを、アセトニトリル15mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。2.12g(1.5当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン60mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン50mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレート2.64gが生じた(収率:95.7%)。

【0025】
実施例8.(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレートの調製
(+)エチル2−(2,4−ジクロロ−3−ニトロ−5−フルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート45.69gを、アセトニトリル270mlに、70℃〜75℃に加温して溶解させた。32.25g(1.5当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、4時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン500mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン300mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレート46.2gが生じた(収率:95.4%)。
【0026】
実施例9.(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレートの調製
(+)エチル2−(2,4−ジクロロ−3−ニトロ−5−フルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート45.69gを、アセトニトリル270mlに、65℃〜70℃に加温して溶解させた。32.25g(1.5当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、4時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン500mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン300mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレート45.4gが生じた(収率:93.7%)。
【0027】
実施例10.(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレートの調製
(+)エチル2−(2,4−ジクロロ−3−ニトロ−5−フルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート45.69gを、アセトニトリル270mlに、78℃〜82℃に加温して溶解させた。32.25g(1.5当量)のKPO を反応混合物に分割投入した。1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン500mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン300mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレート46.0gが生じた(収率:95.0%)。
【0028】
実施例11.(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレートの調製
(+)エチル2−(2,4−ジクロロ−3−ニトロ−5−フルオロベンゾイル)−3−[(1−アセトキシプロプ−2(S)−イル)アミノ]アクリレート45.69gを、アセトニトリル270mlに、70℃〜75℃に加温して溶解させた。32.25g(1.5当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、12時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン500mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン300mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、(−)エチルN−(アセトキシ−プロプ−2(S)−イル)−6−フルオロ−7−クロロ−8−ニトロ−4−キノロン−3−カルボキシレート46.6gが生じた(収率:96.1%)。
【0029】
実施例12.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート1.0gを、メチルエチルケトン8mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。1.14g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン20mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート0.91gが生じた(収率:96.8%)。
【0030】
実施例13.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート1.0gを、エチルアセテート8mlに、70℃〜75℃に加温して溶解させた。1.14g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン20mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート0.90gが生じた(収率:95.7%)。
【0031】
実施例14.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート1.0gを、エタンオール8mlに、70℃〜75℃に加温して溶解させた。1.14g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、1.5時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン20mlに溶解した後、水で洗浄た。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート0.9gが生じた(収率:95.7%)。
【0032】
実施例15.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート1.0gを、1,2−ジクロロエタン8mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。1.14g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、3.0時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン20mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート0.89gが生じた(収率:94.7%)。
【0033】
実施例16.エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−(2−フルオロエチルアミノ)−2−(2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル)アクリレート1.0gを、トルエン8mlに、75℃〜80℃に加温して溶解させた。1.14g(1.8当量)のKPO を反応混合物に分割投入し、6.0時間等温で撹拌した。反応混合物を減圧濾過し、ジクロロメタン40mlで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。生じた残渣をジクロロメタン20mlに溶解した後、水で洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、エチル6,7,8−トリフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート0.89gが生じた(収率:94.7%)。
【0034】
比較実施例1.エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
エチル3−シクロプロピルアミノ−2−ペンタフルオロベンゾイルアクリレート3.0g及び無水炭酸カリウム3.66g(3.1当量)をN,N−ジメチルホルムアミド22.2mlに加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を除去するため、反応混合物を減圧下で濃縮した。生じた残渣にジクロロメタン60mlを加え、50mlの水で2回洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、減圧濾過した。生じた濾液を減圧濃縮することにより、エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート2.59gが生じた(収率:91.5%)。
【0035】
比較実施例2.エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
無水テトラヒドロフラン36.4ml中のエチル3−シクロプロピルアミノ−2−ペンタフルオロベンゾイルアクリレート3.0gの溶液を10℃に冷却した。60%水素化ナトリウム0.41gを反応混合物に加え、室温で18時間撹拌した。反応混合物を5℃〜10℃に冷却した。36.4mlの水を反応混合物に加えた後、30分間撹拌した。有機層を減圧濾過し、水で洗浄した。生じたウェットケーキ(wet cake)を50℃で5時間減圧乾燥することにより、エチル1−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート2.01gが生じた(収率:71%)。
【0036】
比較実施例3.エチル7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレートの調製
無水テトラヒドロフラン36.4ml中のエチル3−シクロプロピルアミノ−2−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−カルボニル)アクリレート3.0gの溶液を10℃に冷却した。60%水素化ナトリウム0.36g(1.05当量)を反応混合物に加えた後、室温で18時間撹拌した。反応混合物を5℃〜10℃に冷却した。36.4mlの水を反応混合物に加えた後、30分間撹拌した。有機層を減圧濾過し、水で洗浄した。生じたウェットケーキを50℃で5時間減圧乾燥することにより、エチル7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート2.34gが生じた(収率:87.3%)。
【0037】
比較実施例4.エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレートの調製
無水テトロヒドロフラン 36.4ml中のエチル2−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−カルボニル)−3−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)アクリレート3.0gの溶液を10℃に冷却した。60%水素化ナトリウム0.3g(1.05当量)を反応混合物に加え、Nガス下で1時間還流させた。反応混合物を5℃〜10℃に冷却した。36.4mlの水を反応混合物に加えた後、30分間撹拌した。有機層を減圧濾過し、水で洗浄した。生じたウェットケーキを50℃で5時間減圧乾燥することにより、エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート2.33gが生じた(収率:82.0%)。
【0038】
比較実施例5.エチル1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン12ml中のエチル2−(2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイル)−3−シクロプロピルアミノアクリレート3.0gの溶液を100℃〜120℃に加温した。反応混合物に炭酸カリウム1.76g(1.4当量)を加え、4時間還流させた。反応は完了していなかった(TLCにより確認)。
【0039】
比較実施例6.エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレートの調製
無水テトラヒドロフラン30ml中のエチル2−(2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイル−3−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)アクリレート3.0gの溶液を10℃に冷却した。60%水素化ナトリウム0.3g(1.02当量)を加え、4.5時間還流させた。反応混合物を5℃〜10℃に冷却した。54.6mlの水を反応混合物に加えた後、30分間撹拌した。有機層を減圧濾過し、n−ヘキサンおよびエーテル(1/1)の混合溶液で洗浄した。生じたウェットケーキを40℃〜45℃で6時間減圧乾燥することにより、エチル1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキシレート2.26gが生じた(収率:82.8%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中で、化学式2の化合物とリン酸三カリウム(KPO)とを反応させる段階を含む、化学式1の化合物またはその塩の調製方法:

式中、Rは、シクロプロピル、2,4−ジフルオロフェニル、または1−アセトキシプロプ−2(S)−イルであり、R及びRは、独立的に水素、塩素、またはフッ素であり、Aは、CH、CF、CNO、またはNである。
【請求項2】
有機溶媒がアセトニトリル、メチルエチルケトン、エチルアセテート、エチルアルコール、ジクロロエタン、及びトルエンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
リン酸三カリウムの量が、化学式2の化合物1当量に対し、1.5当量〜2.8当量である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
反応が60℃〜85℃で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
反応が75℃〜80℃で行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
反応が約1〜12時間で完了する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
反応が約1〜3時間で完了する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の方法から得られた生成物を濾過して副生成物を除去する段階、生じた濾液を濃縮する段階、有機溶媒を濃縮物に加え、次いで水で洗浄する段階、および生じた有機層を濃縮する段階を含む精製段階をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
有機溶媒がジクロロメタン、エチルアセテート、またはそれらの混合物である、請求項8記載の方法。

【公表番号】特表2006−514033(P2006−514033A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562091(P2004−562091)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002785
【国際公開番号】WO2004/056781
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(305060718)ユハン コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】