キャップ構造
【課題】紛失・ちぎれを防止し、ユーザーが容易に開閉できるキャップ構造を提供する。
【解決手段】キャップ1を筐体2、3に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、キャップ1に、板状の弾性体で構成されてキャップ本体1dから突出する舌片部1aと、筐体(第2の外筐体)3に係合する係合部としての爪部とが備えられ、舌片部1aに長穴部1bが形成され、筐体3は、舌片部1aを挿入するための切欠穴3bと、切欠穴3bの奥に配設され、長穴部1bに対して長穴部1bの長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片3cと、キャップ1の爪部と係合してキャップ1を固定する被係合部とを備えている。そしてキャップ1を筐体2、3に対して閉じた状態では、抜止片3cが、長穴部1bに設けた突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に固定される。
【解決手段】キャップ1を筐体2、3に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、キャップ1に、板状の弾性体で構成されてキャップ本体1dから突出する舌片部1aと、筐体(第2の外筐体)3に係合する係合部としての爪部とが備えられ、舌片部1aに長穴部1bが形成され、筐体3は、舌片部1aを挿入するための切欠穴3bと、切欠穴3bの奥に配設され、長穴部1bに対して長穴部1bの長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片3cと、キャップ1の爪部と係合してキャップ1を固定する被係合部とを備えている。そしてキャップ1を筐体2、3に対して閉じた状態では、抜止片3cが、長穴部1bに設けた突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の外部端子を保護するために機器本体側に取り付けられて保持される外部端子のキャップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの情報機器は、他の周辺機器や電源装置等とケーブルを介して接続して使用するために、外部機器接続用端子(以下、外部端子と称す)が設けられる。この種の機器では、通常、他の周辺機器等に接続されていないときに、埃の侵入を防止したり、外部の物と衝突した際の衝撃による損傷を防止したりする等の理由から外部端子を保護したいとの要求があり、そのために、キャップを外部端子に被せている。キャップには、外部端子を使用しているときに機器から完全に取り外すタイプと、キャップの一部が機器に固定または係止されて取り外せないようにされたタイプとがある。ビデオカメラや携帯電話等の携帯型の機器では、機器を使用しているときにキャップを紛失することを防止するために、後者、すなわちキャップが機器に固定される構造になっていることが多い。
【0003】
従来のキャップ構造としては、例えば特許文献1のようなものがある。このような従来のキャップ構造は、フロントケースおよびリヤケースに切り欠き部を形成し、この切り欠き部の近傍にコネクタユニットを装着してコネクタを配置し、このコネクタを開閉するコネクタキャップを設けている。このコネクタキャップには、コネクタユニットに固定される固定部と、フロントケースおよびリヤケースの切り欠き部を開閉する薄板形状の板部と、この板部と固定部とを連結するとともに蝶番のように開閉動作させるために厚みを薄く形成したヒンジ部と、板部を閉めた状態にリヤケースの切り欠き部と係合してロックするツメ部とを一体に形成した構造となっている。キャップの固定部が、フロントケースとリヤケースとによりなるケース内でコネクタに固定されることで、前記ケースとコネクタとが別々に外れてしまうことを防止している。
【0004】
外部端子に外部機器とのケーブル端子を接続するために、コネクタキャップを開ける際には、ツメ部をリヤケースの切り欠き部から外した後、薄肉のヒンジ部を局部的に大きな角度で屈曲させてコネクタキャップを大きめに回動させることでコネクタキャップを開けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−195450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のキャップ構造では、キャップの一端に設けられた固定部がケースに完全に固定されており、かつ、ヒンジ部を大きく屈曲させるようにコネクタキャップを回動させる動作だけでコネクタキャップを開ける構造とされている。したがって、外部端子に外部機器からのケーブル端子を接続するために、キャップを開ける際には、キャップがケーブル端子あるいはケーブルと干渉するのを避けるべく、キャップの開閉動作を大きくしなければならなかった。この結果、厚みを薄く形成したヒンジ部に大きな負荷がかかって破れ、キャップのちぎれが発生するという問題点を有していた。
【0007】
また、この問題点を改善すべく、ヒンジ部の厚みを大きく形成する(すなわち厚肉にする)と、キャップの開閉動作を行う際に、大きな力が必要となって、操作性が悪くなる難点があった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点や難点を解決するもので、紛失・ちぎれを防止すると共にユーザーが容易に開閉できるキャップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明のキャップ構造は、キャップを筐体に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、前記キャップに、キャップ本体と、板状の弾性体で構成されてキャップ本体から突出する舌片部と、筐体に係合する係合部とが備えられ、前記舌片部に長穴部が形成され、前記筐体は、舌片部を挿入するための切欠穴と、切欠穴の奥に配設され、前記長穴部に対して長穴部の長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片と、前記キャップの係合部と係合して前記キャップを固定する被係合部とを備えたものである。
【0010】
上記構成により、キャップの舌片部に形成した長穴部に、筐体の抜止片が挿入された状態で、キャップが筐体に組み付けられているので、キャップを開ける際には、前記キャップを回動させることで、キャップの舌片部を引き出して湾曲させながらキャップを開けることができる。このように、長穴部が形成されている舌片部を引き出しつつ湾曲させながら、キャップを開けることができるので、例え、舌片部を厚肉にしてもキャップを容易に開けることができる。
【0011】
なお、前記キャップの長穴部に、前記抜止片に当接可能な状態で突出して、前記キャップが前記長穴部の長手方向に移動することを規制する突起部が形成されていると好適である。さらに、前記突起部が、前記キャップを前記筐体に対して回動して閉じることが可能な状態で前記抜止片に当接して、前記キャップが前記筐体から引き出される方向に移動することを規制する収納固定用位置に形成されているとより好適である。
【0012】
この構成によれば、キャップを閉じる際に、キャップが閉じられるべき収納固定用位置まで押し込まれると、突起部が抜止片に当接して、一旦押し広げられるように変形した後、変形前の姿勢やこれに近い姿勢に戻ることになる。したがって、キャップが収納固定用位置まで押し込まれたことが、ユーザーに対してクリック感を与えることにより伝えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のキャップ構造によれば、舌片部を厚肉にした場合でも、キャップを容易に開けることができて、ユーザーに対して良好な操作性を維持できると同時に、キャップのちぎれや抜けによる紛失を防止することができて信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、キャップが筐体から引き出される方向に移動することを規制する突起部を、キャップの長穴部に形成することで、キャップの収納固定用位置を特定することも可能となり、キャップを閉じるときに、キャップの収納固定用位置までキャップが押し込まれた際にクリック感を出すことができる。したがって、ユーザーはキャップが収納固定用位置まで押し込まれたことを知ることができて、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るキャップ構造の構成を示す分解斜視図
【図2A】同キャップ構造のキャップの斜視図で、キャップを表面側(外側)から見た斜視図
【図2B】同キャップ構造のキャップの斜視図で、キャップを裏面側(内側)から見た斜視図
【図3】同キャップ構造の、キャップを閉めた状態の平面断面図
【図4】同キャップ構造の、キャップを閉めた状態におけるキャップと第2の外筐体とを裏面側(内側)から見た斜視図
【図5】同キャップ構造の、キャップの開閉動作を説明するための平面断面図で、キャップを閉めた状態から回動させて僅かに開け始めた状態
【図6】同キャップ構造の、キャップを引き出して開けている状態の平面断面図
【図7】同キャップ構造の、抜止片と突起部が嵌合する直前の状態のキャップの開閉動作を説明するための平面断面図
【図8】本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラの全体構成を示す斜視図
【図9】本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラにケーブル端子を接続した状態の全体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態のキャップ構造は、放送業務用ビデオカメラにおける外部端子のキャップ構造である。しかしながら、本実施の形態のキャップ構造はビデオカメラ以外の機器にも適用可能である。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るキャップ構造の構成を示す分解斜視図である。図1において、2は第1の外筐体、3は第2の外筐体で、これらの第1の外筐体2と第2の外筐体3とによりビデオカメラ本体の筐体を構成している。キャップ1は、第2の外筐体3に取り付けられ、外部端子(外部機器接続用端子)2aを保護するためのカバーの役割を果たす。第1の外筐体2には、その内側に配置された外部端子2aを外部に露出させるため、外部端子2aと対向する位置に第1の端子差込穴2bが設けられている。言い換えると、第1の外筐体2に開口した第1の端子差込穴2bの内側に、キャップ1によって保護される対象である外部端子2aが設けられている。
【0018】
第2の外筐体3は、第1の外筐体2で覆う領域のうち、少なくとも第1の端子差込穴2bを覆う位置に取り付ける筐体である。第2の外筐体3は、第1の端子差込穴2bに対向する位置に、ちょうどキャップ1が嵌まり込む形状の凹部3eを備えている。なお、凹部3eは、周囲が壁部により完全に囲まれて窪んだ形状でもよいし、図1に示すように一部の壁部がない形状(滑らかに第2の外筐体3の端縁部に続く形状など)でもよい。凹部3eには、外部端子2aおよび第1の端子差込穴2bに対向して開口した第2の端子差込穴3aが設けられている。第2の外筐体3における第2の端子差込穴3aの周りに形成されている内壁部には、キャップ1を係止した状態で固定するための被係合部3dを備えている(本実施の形態では2箇所の被係合部3dを備えているが、これに限るものではない)。なお、後述する図2Bなどに示すように、キャップ1の裏面には係合部としての爪部1eが設けられており、被係合部3dが爪部1eと係合することにより、キャップ1は第2の外筐体3に対して所定位置に固定される。また、第2の外筐体3の凹部3eに臨む内壁部には、第2の外筐体3の表面側から裏面側まで貫通し、キャップ1に設けられた舌片部1aを通すための長穴状の切欠穴3bが設けられている。切欠穴3bの長辺方向の長さは、舌片部1aの幅よりもわずかに長く、また短辺方向の長さは、舌片部1aの厚みよりわずかに長くなっている。第2の外筐体3の裏面における切欠穴3bの近傍で、切欠穴3bに対して第2の端子差込穴3aが設けられている箇所と反対側、すなわち切欠穴3bの奥には、裏面に突出した円柱形状の抜止片3cが設けられている。抜止片3cは、キャップ1を第2の外筐体3に組み付けたときに、キャップ1の長穴部1bに挿入される。また、抜止片3cは、第2の外筐体3を第1の外筐体2に対して組み付けたときに、その先端が第1の外筐体2に当接するような長さをもっており、抜止片3cにより、キャップ1が第2の外筐体3から抜け出て離脱することを防止している。なお、抜止片3cの先端と第1の外筐体2との間には隙間があってもよいが、その際の隙間は、キャップ1の舌片部1aの厚みよりも小さくする。抜止片3cとキャップ1との関係については後述する。
【0019】
図2A、図2Bは、本実施の形態に係るキャップ構造のキャップ1の斜視図である。図2Aは、キャップ1の表面側(外側)から見た斜視図であり、図2Bは裏面側(内側)から見た斜視図である。キャップ1は、外部端子2aを保護するためのキャップ本体1dと、板状の舌片部1aとを備えている。舌片部1aは、平面視して略長方形の形状とされ、キャップ本体1dの厚み方向の下端、すなわちキャップ1を第2の外筐体3に組み付けたときに最も第2の外筐体3側になる位置から突出するように設けられている。キャップ1のうちの少なくとも舌片部1aは、熱可塑性のエラストマーやゴム等の弾性体で構成されている。舌片部1aには、この舌片部1aの長手方向に沿う方向に長い長穴部1bが設けられている。長穴部1bが形成されている箇所の内周壁の一部には、キャップ本体1d寄りの位置に対向して突出する一対の突起部1cが備えられている。突起部1cは、長穴部1bのキャップ本体1d側の端部から、抜止片3cの直径とほぼ同じかわずかに短い距離だけ離れた位置に設けられている。なお、長穴部1bのうち、突起部1cよりもキャップ本体1d寄りの部分を固定用穴部1b2、他の部分を引き出し用穴部1b1と呼ぶこととする。上述したように、キャップ本体1dの裏面には、キャップ本体1dを第2の外筐体3の凹部3eに嵌め込んだときに被係合部3dに係合する係合部としての爪部1eが、被係合部3dに対応して設けられている。
【0020】
ビデオカメラの組み立て時には、まずキャップ1を第2の外筐体3に対して組み付けた後、第2の外筐体3を第1の外筐体1に対して組み付ける。キャップ1の第2の外筐体3への組み付けにあたっては、まずキャップ1の舌片部1aを第2の筐体3の切欠穴3bに表面側から裏面側に向けて挿入する。このとき、例えば、第2の外筐体3を水平姿勢に保持した状態で、舌片部1aを切欠穴3bに斜め縦向きに挿入すると、舌片部1aを抜止片3cに干渉させずに挿入できる。次に、例えば、キャップ1を水平姿勢に回動させるなどして、第2の外筐体3の抜止片3cを、キャップ1の長穴部1bに挿入させる。このとき、抜止片3cが、キャップ1の長穴部1bにおける固定用穴部1b2に嵌まり込むようにする。抜止片3cが固定用穴部1b2に位置するときには、突起部1cが抜止片3cに当接して抜止片3cが固定用穴部1b2側に嵌合することで抜止片3cが固定用穴部1b2に固定(係止)される。また、この際、舌片部1aは切欠穴3bに完全に挿入され、キャップ本体1dは、ちょうど凹部3eと対向する位置に位置決めされる。この状態でキャップ本体1dを第2の外筐体3に向かって押し込んで凹部3eに収めると、ちょうどキャップ本体1dの裏面の爪部1eが、第2の外筐体3の被係号部3dに係合し、これによりキャップ1は第2の外筐体3に係合された状態で固定される。この後、第2の外筐体3を第1の外筐体2にビス等で組み付けると、抜止片3cが第1の外筐体2と当接し、舌片部1aが抜止片3cから脱落しない、すなわちキャップ1がビデオカメラの筐体から脱落しないようにすることができる。
【0021】
図8は、本実施の形態に係るキャップ構造を備えたビデオカメラにおいて、キャップ1を閉じた状態を示す全体構成の斜視図である。図8中のA1方向がビデオカメラにおける前方、A2方向が右方向、A3方向が上方となる。上記の手順でキャップ1を組み付けた状態においては、図8に示すようにキャップ1を閉じた状態となっている。
【0022】
図3は、キャップ1を閉めた状態におけるキャップ構造の平面断面図である。図3は、ビデオカメラを水平方向(A1方向に沿った平面)、すなわち図8におけるA3軸に垂直な平面で切った断面図である。図4は、同キャップ構造の、キャップを閉めた状態におけるキャップと第2の外筐体とを裏面側(内側)から見た斜視図である。図3、図4に示すように、キャップ1を閉めた状態では、キャップ1の舌片部1aは、第2の筐体3の切欠穴3bに対して前方から後方に向けて挿入されており、さらに第2の外筐体3の抜止片3cは、キャップ1の長穴部1bの固定用穴部1b2に挿入されている。突起部1cは抜止片3cよりも後方に位置し、抜止片3cを固定用穴部1b2に固定する役割を果たしている。
【0023】
次に、キャップ1を開ける動作について説明する。キャップ本体1dの後端(キャップ本体1dと舌片部1aとの接合部付近)を回動中心として、キャップ本体1dの前端を外側、すなわちA2方向に回動させ、キャップ本体1dを第2の外筐体3の凹部3eからわずかに浮かせるようにすると、キャップ本体1dの裏面の爪部1eと第2の外筐体3の被係合部3dとの係合状態が解除される。
【0024】
図5は、同キャップ構造におけるキャップ1を閉めた状態から回動させて僅かに開け始めた状態、すなわち、爪部1eと被係合部3dとの係合が解除された直後の状態を示す平面断面図である。この状態からキャップ本体1dの前端をさらにA2方向に回動させると、キャップ本体1dの後端のうち厚み方向の上端の角が第2の外筐体3の凹部3eの壁部に当接して支点となり、てこの原理により舌片部1aが切欠穴3bから引き出される。このとき突起部1cは抜止片3cを乗り越えてA1方向に引き出され、その結果、抜止片3cは切欠穴3bにおける引き出し部1b1に位置するようになる。さらにキャップ本体1dを引き出しつつ回動させることにより、舌片部1aが弾性変形によりたわみ、キャップ1を開けた状態とすることができる。
【0025】
図6は、同キャップ構造の、キャップ1を引き出して開けた状態の平面断面図である。キャップ1を完全に引き出した状態では、抜止片3cは長穴部1bにおける引き出し用穴部1b1のうち最もキャップ本体1dから遠いところに位置しているが、抜止片3cが第1の外筐体2に当接していることからキャップ1が完全に切欠穴3bから抜けてしまうことはない。
【0026】
図9は、本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラにおいてキャップ1を開き、ケーブル端子4を外部端子2aに接続した状態の全体構成を示す斜視図である。図9に示すように、外部端子2aに外部機器からのケーブル端子4を接続するときには、ケーブル端子4あるいはケーブル(図示せず)と干渉しない位置までキャップ1を引き出す。このように、弾性体である舌片部1aを引き出した状態で弾性変形させてたわませることによりキャップ1を大きく開くことができ、外部端子2aにケーブル端子4を容易に接続して使用することができる。
【0027】
次に、キャップ1を閉める動作について説明する。図9に示すように、キャップ1を開けた状態からケーブル端子4を取り外してキャップ1を放置すると、弾性変形していた舌片部1aが元の形状に戻る。
【0028】
図7は、キャップ1を閉めるときに抜止片3cが突起部1cを乗り越えて嵌合する直前の状態の平面断面図である。キャップ1を閉めていくとき、たわませていた舌片部1aが自然に元の状態(真直ぐな状態)に戻ることで図7に示すような状態となる。このとき、突起部1cは抜止片3cの手前側、すなわち抜止片3cに対してA1方向(A1軸の正方向)に位置しており、抜止片3cは引き出し用穴部1b1に位置している。この状態から舌片部1aを切欠穴3bの奥に向かって押し込むようにキャップ本体1dを押し込むと、舌片部1aの長穴部1bが外側に弾性変形することにより突起部1cが抜止片3cを乗り越えて奥側、すなわち抜止片3cに対してA1軸の負方向に移動する。その結果、抜止片3cは固定用穴部1b2に位置し(図5参照)、抜止片3cが突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に係止された状態で固定されることになる。
【0029】
キャップ1を閉めるときに抜止片3cと突起部1cとが嵌合した直後の状態は、さきほど示した図5の状態の通りとなる。図7に示す状態から図5に示す状態に移るときには、突起部1cが抜止片3cと接触し乗り越えて嵌合する際に、クリック感と吸い込み感が発生する。このように抜止片3cは、長穴部1bに沿ってキャップ1の動きを案内し、キャップ1を閉じるときに突起部1cと接触することでクリック感を発生させ、キャップ1を閉めたときに突起部1cと嵌合して長穴部1bの固定用穴部1b2に固定(係止)される。
【0030】
最後に図5に示す状態からキャップ本体1dを第2の外筐体3側(A2軸の負方向)に向かって押し込んで凹部3eに収めると、キャップ本体1dの裏面の爪部1eが、第2の外筐体3の被係号部3dに係合し、これによりキャップ1は第2の外筐体3に係合された状態で固定され、図3に示すようなキャップ1が閉じた状態となる。このとき、抜止片3cは引き続き、突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に係合(固定)されている。
【0031】
以上のような構成にすることで、部品構成が少なく、組み立て時にはまず第2の外筐体3とキャップ1とが閉じた状態で固定されるため、キャップ1を第2の外筐体3に組み込んでから、第2の外筐体3を第1の外筐体2に組み込むことができ、組み立てが容易になるという効果がある。
【0032】
また、キャップ1の舌片部1aの長穴部1bに、第2の外筐体3の抜止片3cが挿入されて、第2の外筐体3の抜止片3cに対して、キャップ1を長穴部1bに沿って移動可能な状態で係合された構造であり、キャップ1を少し開けると、キャップ1が第2の外筐体3に対して自由に移動できる領域が大きいので、キャップ1の舌片部1aを局部的に大きく曲げるなどしなくても、キャップ1を開ける際にキャップ1の姿勢を容易に変更できる。したがって、キャップ1の舌片部1aを厚肉にしてもキャップ1を容易かつ良好に開けることができる。つまり、キャップ1を開けたときにたわむ舌片部1aを厚肉にしても、キャップ1の開動作に支障をきたすことがないので、舌片部1aを厚肉にすることで、ヒンジを用いた従来のキャップ構造の場合と比較して、開閉動作を繰り返したことによるヒンジ部の破断等がなく、ちぎれを防止することができて、キャップ構造として良好な信頼性を得ることができる。また、クリック感を発生させる突起部1cの部分も含めて厚肉にできるので磨耗しにくく、継続使用してもクリック感が損なわれない。
【0033】
また、ユーザーがキャップ1を開ける場合に、キャップを引き出してから回動させるのではなくてA3方向の回動動作のみのワンアクションにより、キャップ1の舌片部1aがたわみ、突起部1cと抜止片3cの嵌合代が少なくなり、抵抗なくキャップ1を引き出して開けることができるため、ユーザーのキャップ開操作を容易にしている。また、キャップ1を閉める場合は、舌片部1aを第2の外筐体3へ押し込む負のA1方向への移動動作により、突起部1cのクリック感を発生させることでキャップ1が閉められたことを確認でき、またキャップ本体1dの位置決めも確実になるため、ユーザーがキャップ1を無理に閉めすぎてキャップ1に無理な負荷がかかることを防止できる効果もある。
【0034】
なお、本実施の形態では第2の外筐体3が外部端子2aを覆う形状であるとしたが、第2の外筐体3が外部端子2aを覆っている必要はなく、少なくとも抜止片3cと切欠穴3bとを備え、後述するように何らかの方法でキャップ1を係止することができればよい。
【0035】
また、本実施の形態では抜止片3cから舌片部1aが抜けることを防止するために、抜止片3cと第1の外筐体2とを当接させる構成としたが、抜止片3cを舌片部1aの長穴部1bに挿入した後で、抜止片3cに対して抜け止めのための部材を取り付けるようにしてもよい。そうすれば、抜止片3cと第1の外筐体2との位置関係を自由にすることができ、さらには第1の外筐体2および第2の外筐体3を一体に形成することもできる。すなわち、第1の外筐体2を省略し、第2の外筐体3が機器の筐体本体を構成するようにもできる。
【0036】
また、キャップ本体1dの爪部1eが第2の外筐体3の被係合部3dと係合することによりキャップ1と第2の外筐体3とが固定される構造としたが、この構造に限るものではない。例えばキャップ本体1dの裏側のピンを第2の外筐体3に設けられた穴に係合させて固定する方法や、キャップ本体1dが凹部3eに嵌まり込むこと自体によって固定する方法、キャップ本体1dと第2の外筐体3とを面ファスナーや磁石等で固定する方法等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施の形態に係るキャップ構造は、キャップのちぎれや抜けによる紛失を防止することができ、ユーザーの開閉動作を容易にすることができるため、機器の外部端子を保護するために本体側に取り付けられて保持される外部端子のキャップ等としても有用である。また、ビデオカメラ以外の各種機器にも同様な構造を適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 キャップ
1a 舌片部
1b 長穴部
1b1 引き出し用穴部
1b2 固定用穴部
1c 突起部
1d キャップ本体
1e 爪部(係合部)
2 第1の外筐体
2a 外部端子
2b 第1の端子差込穴
3 第2の外筐体
3a 第2の端子差込穴
3b 切欠穴
3c 抜止片
3d 被係合部
3e 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の外部端子を保護するために機器本体側に取り付けられて保持される外部端子のキャップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの情報機器は、他の周辺機器や電源装置等とケーブルを介して接続して使用するために、外部機器接続用端子(以下、外部端子と称す)が設けられる。この種の機器では、通常、他の周辺機器等に接続されていないときに、埃の侵入を防止したり、外部の物と衝突した際の衝撃による損傷を防止したりする等の理由から外部端子を保護したいとの要求があり、そのために、キャップを外部端子に被せている。キャップには、外部端子を使用しているときに機器から完全に取り外すタイプと、キャップの一部が機器に固定または係止されて取り外せないようにされたタイプとがある。ビデオカメラや携帯電話等の携帯型の機器では、機器を使用しているときにキャップを紛失することを防止するために、後者、すなわちキャップが機器に固定される構造になっていることが多い。
【0003】
従来のキャップ構造としては、例えば特許文献1のようなものがある。このような従来のキャップ構造は、フロントケースおよびリヤケースに切り欠き部を形成し、この切り欠き部の近傍にコネクタユニットを装着してコネクタを配置し、このコネクタを開閉するコネクタキャップを設けている。このコネクタキャップには、コネクタユニットに固定される固定部と、フロントケースおよびリヤケースの切り欠き部を開閉する薄板形状の板部と、この板部と固定部とを連結するとともに蝶番のように開閉動作させるために厚みを薄く形成したヒンジ部と、板部を閉めた状態にリヤケースの切り欠き部と係合してロックするツメ部とを一体に形成した構造となっている。キャップの固定部が、フロントケースとリヤケースとによりなるケース内でコネクタに固定されることで、前記ケースとコネクタとが別々に外れてしまうことを防止している。
【0004】
外部端子に外部機器とのケーブル端子を接続するために、コネクタキャップを開ける際には、ツメ部をリヤケースの切り欠き部から外した後、薄肉のヒンジ部を局部的に大きな角度で屈曲させてコネクタキャップを大きめに回動させることでコネクタキャップを開けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−195450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のキャップ構造では、キャップの一端に設けられた固定部がケースに完全に固定されており、かつ、ヒンジ部を大きく屈曲させるようにコネクタキャップを回動させる動作だけでコネクタキャップを開ける構造とされている。したがって、外部端子に外部機器からのケーブル端子を接続するために、キャップを開ける際には、キャップがケーブル端子あるいはケーブルと干渉するのを避けるべく、キャップの開閉動作を大きくしなければならなかった。この結果、厚みを薄く形成したヒンジ部に大きな負荷がかかって破れ、キャップのちぎれが発生するという問題点を有していた。
【0007】
また、この問題点を改善すべく、ヒンジ部の厚みを大きく形成する(すなわち厚肉にする)と、キャップの開閉動作を行う際に、大きな力が必要となって、操作性が悪くなる難点があった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点や難点を解決するもので、紛失・ちぎれを防止すると共にユーザーが容易に開閉できるキャップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明のキャップ構造は、キャップを筐体に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、前記キャップに、キャップ本体と、板状の弾性体で構成されてキャップ本体から突出する舌片部と、筐体に係合する係合部とが備えられ、前記舌片部に長穴部が形成され、前記筐体は、舌片部を挿入するための切欠穴と、切欠穴の奥に配設され、前記長穴部に対して長穴部の長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片と、前記キャップの係合部と係合して前記キャップを固定する被係合部とを備えたものである。
【0010】
上記構成により、キャップの舌片部に形成した長穴部に、筐体の抜止片が挿入された状態で、キャップが筐体に組み付けられているので、キャップを開ける際には、前記キャップを回動させることで、キャップの舌片部を引き出して湾曲させながらキャップを開けることができる。このように、長穴部が形成されている舌片部を引き出しつつ湾曲させながら、キャップを開けることができるので、例え、舌片部を厚肉にしてもキャップを容易に開けることができる。
【0011】
なお、前記キャップの長穴部に、前記抜止片に当接可能な状態で突出して、前記キャップが前記長穴部の長手方向に移動することを規制する突起部が形成されていると好適である。さらに、前記突起部が、前記キャップを前記筐体に対して回動して閉じることが可能な状態で前記抜止片に当接して、前記キャップが前記筐体から引き出される方向に移動することを規制する収納固定用位置に形成されているとより好適である。
【0012】
この構成によれば、キャップを閉じる際に、キャップが閉じられるべき収納固定用位置まで押し込まれると、突起部が抜止片に当接して、一旦押し広げられるように変形した後、変形前の姿勢やこれに近い姿勢に戻ることになる。したがって、キャップが収納固定用位置まで押し込まれたことが、ユーザーに対してクリック感を与えることにより伝えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のキャップ構造によれば、舌片部を厚肉にした場合でも、キャップを容易に開けることができて、ユーザーに対して良好な操作性を維持できると同時に、キャップのちぎれや抜けによる紛失を防止することができて信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、キャップが筐体から引き出される方向に移動することを規制する突起部を、キャップの長穴部に形成することで、キャップの収納固定用位置を特定することも可能となり、キャップを閉じるときに、キャップの収納固定用位置までキャップが押し込まれた際にクリック感を出すことができる。したがって、ユーザーはキャップが収納固定用位置まで押し込まれたことを知ることができて、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るキャップ構造の構成を示す分解斜視図
【図2A】同キャップ構造のキャップの斜視図で、キャップを表面側(外側)から見た斜視図
【図2B】同キャップ構造のキャップの斜視図で、キャップを裏面側(内側)から見た斜視図
【図3】同キャップ構造の、キャップを閉めた状態の平面断面図
【図4】同キャップ構造の、キャップを閉めた状態におけるキャップと第2の外筐体とを裏面側(内側)から見た斜視図
【図5】同キャップ構造の、キャップの開閉動作を説明するための平面断面図で、キャップを閉めた状態から回動させて僅かに開け始めた状態
【図6】同キャップ構造の、キャップを引き出して開けている状態の平面断面図
【図7】同キャップ構造の、抜止片と突起部が嵌合する直前の状態のキャップの開閉動作を説明するための平面断面図
【図8】本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラの全体構成を示す斜視図
【図9】本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラにケーブル端子を接続した状態の全体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態のキャップ構造は、放送業務用ビデオカメラにおける外部端子のキャップ構造である。しかしながら、本実施の形態のキャップ構造はビデオカメラ以外の機器にも適用可能である。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るキャップ構造の構成を示す分解斜視図である。図1において、2は第1の外筐体、3は第2の外筐体で、これらの第1の外筐体2と第2の外筐体3とによりビデオカメラ本体の筐体を構成している。キャップ1は、第2の外筐体3に取り付けられ、外部端子(外部機器接続用端子)2aを保護するためのカバーの役割を果たす。第1の外筐体2には、その内側に配置された外部端子2aを外部に露出させるため、外部端子2aと対向する位置に第1の端子差込穴2bが設けられている。言い換えると、第1の外筐体2に開口した第1の端子差込穴2bの内側に、キャップ1によって保護される対象である外部端子2aが設けられている。
【0018】
第2の外筐体3は、第1の外筐体2で覆う領域のうち、少なくとも第1の端子差込穴2bを覆う位置に取り付ける筐体である。第2の外筐体3は、第1の端子差込穴2bに対向する位置に、ちょうどキャップ1が嵌まり込む形状の凹部3eを備えている。なお、凹部3eは、周囲が壁部により完全に囲まれて窪んだ形状でもよいし、図1に示すように一部の壁部がない形状(滑らかに第2の外筐体3の端縁部に続く形状など)でもよい。凹部3eには、外部端子2aおよび第1の端子差込穴2bに対向して開口した第2の端子差込穴3aが設けられている。第2の外筐体3における第2の端子差込穴3aの周りに形成されている内壁部には、キャップ1を係止した状態で固定するための被係合部3dを備えている(本実施の形態では2箇所の被係合部3dを備えているが、これに限るものではない)。なお、後述する図2Bなどに示すように、キャップ1の裏面には係合部としての爪部1eが設けられており、被係合部3dが爪部1eと係合することにより、キャップ1は第2の外筐体3に対して所定位置に固定される。また、第2の外筐体3の凹部3eに臨む内壁部には、第2の外筐体3の表面側から裏面側まで貫通し、キャップ1に設けられた舌片部1aを通すための長穴状の切欠穴3bが設けられている。切欠穴3bの長辺方向の長さは、舌片部1aの幅よりもわずかに長く、また短辺方向の長さは、舌片部1aの厚みよりわずかに長くなっている。第2の外筐体3の裏面における切欠穴3bの近傍で、切欠穴3bに対して第2の端子差込穴3aが設けられている箇所と反対側、すなわち切欠穴3bの奥には、裏面に突出した円柱形状の抜止片3cが設けられている。抜止片3cは、キャップ1を第2の外筐体3に組み付けたときに、キャップ1の長穴部1bに挿入される。また、抜止片3cは、第2の外筐体3を第1の外筐体2に対して組み付けたときに、その先端が第1の外筐体2に当接するような長さをもっており、抜止片3cにより、キャップ1が第2の外筐体3から抜け出て離脱することを防止している。なお、抜止片3cの先端と第1の外筐体2との間には隙間があってもよいが、その際の隙間は、キャップ1の舌片部1aの厚みよりも小さくする。抜止片3cとキャップ1との関係については後述する。
【0019】
図2A、図2Bは、本実施の形態に係るキャップ構造のキャップ1の斜視図である。図2Aは、キャップ1の表面側(外側)から見た斜視図であり、図2Bは裏面側(内側)から見た斜視図である。キャップ1は、外部端子2aを保護するためのキャップ本体1dと、板状の舌片部1aとを備えている。舌片部1aは、平面視して略長方形の形状とされ、キャップ本体1dの厚み方向の下端、すなわちキャップ1を第2の外筐体3に組み付けたときに最も第2の外筐体3側になる位置から突出するように設けられている。キャップ1のうちの少なくとも舌片部1aは、熱可塑性のエラストマーやゴム等の弾性体で構成されている。舌片部1aには、この舌片部1aの長手方向に沿う方向に長い長穴部1bが設けられている。長穴部1bが形成されている箇所の内周壁の一部には、キャップ本体1d寄りの位置に対向して突出する一対の突起部1cが備えられている。突起部1cは、長穴部1bのキャップ本体1d側の端部から、抜止片3cの直径とほぼ同じかわずかに短い距離だけ離れた位置に設けられている。なお、長穴部1bのうち、突起部1cよりもキャップ本体1d寄りの部分を固定用穴部1b2、他の部分を引き出し用穴部1b1と呼ぶこととする。上述したように、キャップ本体1dの裏面には、キャップ本体1dを第2の外筐体3の凹部3eに嵌め込んだときに被係合部3dに係合する係合部としての爪部1eが、被係合部3dに対応して設けられている。
【0020】
ビデオカメラの組み立て時には、まずキャップ1を第2の外筐体3に対して組み付けた後、第2の外筐体3を第1の外筐体1に対して組み付ける。キャップ1の第2の外筐体3への組み付けにあたっては、まずキャップ1の舌片部1aを第2の筐体3の切欠穴3bに表面側から裏面側に向けて挿入する。このとき、例えば、第2の外筐体3を水平姿勢に保持した状態で、舌片部1aを切欠穴3bに斜め縦向きに挿入すると、舌片部1aを抜止片3cに干渉させずに挿入できる。次に、例えば、キャップ1を水平姿勢に回動させるなどして、第2の外筐体3の抜止片3cを、キャップ1の長穴部1bに挿入させる。このとき、抜止片3cが、キャップ1の長穴部1bにおける固定用穴部1b2に嵌まり込むようにする。抜止片3cが固定用穴部1b2に位置するときには、突起部1cが抜止片3cに当接して抜止片3cが固定用穴部1b2側に嵌合することで抜止片3cが固定用穴部1b2に固定(係止)される。また、この際、舌片部1aは切欠穴3bに完全に挿入され、キャップ本体1dは、ちょうど凹部3eと対向する位置に位置決めされる。この状態でキャップ本体1dを第2の外筐体3に向かって押し込んで凹部3eに収めると、ちょうどキャップ本体1dの裏面の爪部1eが、第2の外筐体3の被係号部3dに係合し、これによりキャップ1は第2の外筐体3に係合された状態で固定される。この後、第2の外筐体3を第1の外筐体2にビス等で組み付けると、抜止片3cが第1の外筐体2と当接し、舌片部1aが抜止片3cから脱落しない、すなわちキャップ1がビデオカメラの筐体から脱落しないようにすることができる。
【0021】
図8は、本実施の形態に係るキャップ構造を備えたビデオカメラにおいて、キャップ1を閉じた状態を示す全体構成の斜視図である。図8中のA1方向がビデオカメラにおける前方、A2方向が右方向、A3方向が上方となる。上記の手順でキャップ1を組み付けた状態においては、図8に示すようにキャップ1を閉じた状態となっている。
【0022】
図3は、キャップ1を閉めた状態におけるキャップ構造の平面断面図である。図3は、ビデオカメラを水平方向(A1方向に沿った平面)、すなわち図8におけるA3軸に垂直な平面で切った断面図である。図4は、同キャップ構造の、キャップを閉めた状態におけるキャップと第2の外筐体とを裏面側(内側)から見た斜視図である。図3、図4に示すように、キャップ1を閉めた状態では、キャップ1の舌片部1aは、第2の筐体3の切欠穴3bに対して前方から後方に向けて挿入されており、さらに第2の外筐体3の抜止片3cは、キャップ1の長穴部1bの固定用穴部1b2に挿入されている。突起部1cは抜止片3cよりも後方に位置し、抜止片3cを固定用穴部1b2に固定する役割を果たしている。
【0023】
次に、キャップ1を開ける動作について説明する。キャップ本体1dの後端(キャップ本体1dと舌片部1aとの接合部付近)を回動中心として、キャップ本体1dの前端を外側、すなわちA2方向に回動させ、キャップ本体1dを第2の外筐体3の凹部3eからわずかに浮かせるようにすると、キャップ本体1dの裏面の爪部1eと第2の外筐体3の被係合部3dとの係合状態が解除される。
【0024】
図5は、同キャップ構造におけるキャップ1を閉めた状態から回動させて僅かに開け始めた状態、すなわち、爪部1eと被係合部3dとの係合が解除された直後の状態を示す平面断面図である。この状態からキャップ本体1dの前端をさらにA2方向に回動させると、キャップ本体1dの後端のうち厚み方向の上端の角が第2の外筐体3の凹部3eの壁部に当接して支点となり、てこの原理により舌片部1aが切欠穴3bから引き出される。このとき突起部1cは抜止片3cを乗り越えてA1方向に引き出され、その結果、抜止片3cは切欠穴3bにおける引き出し部1b1に位置するようになる。さらにキャップ本体1dを引き出しつつ回動させることにより、舌片部1aが弾性変形によりたわみ、キャップ1を開けた状態とすることができる。
【0025】
図6は、同キャップ構造の、キャップ1を引き出して開けた状態の平面断面図である。キャップ1を完全に引き出した状態では、抜止片3cは長穴部1bにおける引き出し用穴部1b1のうち最もキャップ本体1dから遠いところに位置しているが、抜止片3cが第1の外筐体2に当接していることからキャップ1が完全に切欠穴3bから抜けてしまうことはない。
【0026】
図9は、本実施の形態に係るキャップ機構を備えたビデオカメラにおいてキャップ1を開き、ケーブル端子4を外部端子2aに接続した状態の全体構成を示す斜視図である。図9に示すように、外部端子2aに外部機器からのケーブル端子4を接続するときには、ケーブル端子4あるいはケーブル(図示せず)と干渉しない位置までキャップ1を引き出す。このように、弾性体である舌片部1aを引き出した状態で弾性変形させてたわませることによりキャップ1を大きく開くことができ、外部端子2aにケーブル端子4を容易に接続して使用することができる。
【0027】
次に、キャップ1を閉める動作について説明する。図9に示すように、キャップ1を開けた状態からケーブル端子4を取り外してキャップ1を放置すると、弾性変形していた舌片部1aが元の形状に戻る。
【0028】
図7は、キャップ1を閉めるときに抜止片3cが突起部1cを乗り越えて嵌合する直前の状態の平面断面図である。キャップ1を閉めていくとき、たわませていた舌片部1aが自然に元の状態(真直ぐな状態)に戻ることで図7に示すような状態となる。このとき、突起部1cは抜止片3cの手前側、すなわち抜止片3cに対してA1方向(A1軸の正方向)に位置しており、抜止片3cは引き出し用穴部1b1に位置している。この状態から舌片部1aを切欠穴3bの奥に向かって押し込むようにキャップ本体1dを押し込むと、舌片部1aの長穴部1bが外側に弾性変形することにより突起部1cが抜止片3cを乗り越えて奥側、すなわち抜止片3cに対してA1軸の負方向に移動する。その結果、抜止片3cは固定用穴部1b2に位置し(図5参照)、抜止片3cが突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に係止された状態で固定されることになる。
【0029】
キャップ1を閉めるときに抜止片3cと突起部1cとが嵌合した直後の状態は、さきほど示した図5の状態の通りとなる。図7に示す状態から図5に示す状態に移るときには、突起部1cが抜止片3cと接触し乗り越えて嵌合する際に、クリック感と吸い込み感が発生する。このように抜止片3cは、長穴部1bに沿ってキャップ1の動きを案内し、キャップ1を閉じるときに突起部1cと接触することでクリック感を発生させ、キャップ1を閉めたときに突起部1cと嵌合して長穴部1bの固定用穴部1b2に固定(係止)される。
【0030】
最後に図5に示す状態からキャップ本体1dを第2の外筐体3側(A2軸の負方向)に向かって押し込んで凹部3eに収めると、キャップ本体1dの裏面の爪部1eが、第2の外筐体3の被係号部3dに係合し、これによりキャップ1は第2の外筐体3に係合された状態で固定され、図3に示すようなキャップ1が閉じた状態となる。このとき、抜止片3cは引き続き、突起部1cにより長穴部1bのキャップ本体1d側の端部に係合(固定)されている。
【0031】
以上のような構成にすることで、部品構成が少なく、組み立て時にはまず第2の外筐体3とキャップ1とが閉じた状態で固定されるため、キャップ1を第2の外筐体3に組み込んでから、第2の外筐体3を第1の外筐体2に組み込むことができ、組み立てが容易になるという効果がある。
【0032】
また、キャップ1の舌片部1aの長穴部1bに、第2の外筐体3の抜止片3cが挿入されて、第2の外筐体3の抜止片3cに対して、キャップ1を長穴部1bに沿って移動可能な状態で係合された構造であり、キャップ1を少し開けると、キャップ1が第2の外筐体3に対して自由に移動できる領域が大きいので、キャップ1の舌片部1aを局部的に大きく曲げるなどしなくても、キャップ1を開ける際にキャップ1の姿勢を容易に変更できる。したがって、キャップ1の舌片部1aを厚肉にしてもキャップ1を容易かつ良好に開けることができる。つまり、キャップ1を開けたときにたわむ舌片部1aを厚肉にしても、キャップ1の開動作に支障をきたすことがないので、舌片部1aを厚肉にすることで、ヒンジを用いた従来のキャップ構造の場合と比較して、開閉動作を繰り返したことによるヒンジ部の破断等がなく、ちぎれを防止することができて、キャップ構造として良好な信頼性を得ることができる。また、クリック感を発生させる突起部1cの部分も含めて厚肉にできるので磨耗しにくく、継続使用してもクリック感が損なわれない。
【0033】
また、ユーザーがキャップ1を開ける場合に、キャップを引き出してから回動させるのではなくてA3方向の回動動作のみのワンアクションにより、キャップ1の舌片部1aがたわみ、突起部1cと抜止片3cの嵌合代が少なくなり、抵抗なくキャップ1を引き出して開けることができるため、ユーザーのキャップ開操作を容易にしている。また、キャップ1を閉める場合は、舌片部1aを第2の外筐体3へ押し込む負のA1方向への移動動作により、突起部1cのクリック感を発生させることでキャップ1が閉められたことを確認でき、またキャップ本体1dの位置決めも確実になるため、ユーザーがキャップ1を無理に閉めすぎてキャップ1に無理な負荷がかかることを防止できる効果もある。
【0034】
なお、本実施の形態では第2の外筐体3が外部端子2aを覆う形状であるとしたが、第2の外筐体3が外部端子2aを覆っている必要はなく、少なくとも抜止片3cと切欠穴3bとを備え、後述するように何らかの方法でキャップ1を係止することができればよい。
【0035】
また、本実施の形態では抜止片3cから舌片部1aが抜けることを防止するために、抜止片3cと第1の外筐体2とを当接させる構成としたが、抜止片3cを舌片部1aの長穴部1bに挿入した後で、抜止片3cに対して抜け止めのための部材を取り付けるようにしてもよい。そうすれば、抜止片3cと第1の外筐体2との位置関係を自由にすることができ、さらには第1の外筐体2および第2の外筐体3を一体に形成することもできる。すなわち、第1の外筐体2を省略し、第2の外筐体3が機器の筐体本体を構成するようにもできる。
【0036】
また、キャップ本体1dの爪部1eが第2の外筐体3の被係合部3dと係合することによりキャップ1と第2の外筐体3とが固定される構造としたが、この構造に限るものではない。例えばキャップ本体1dの裏側のピンを第2の外筐体3に設けられた穴に係合させて固定する方法や、キャップ本体1dが凹部3eに嵌まり込むこと自体によって固定する方法、キャップ本体1dと第2の外筐体3とを面ファスナーや磁石等で固定する方法等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施の形態に係るキャップ構造は、キャップのちぎれや抜けによる紛失を防止することができ、ユーザーの開閉動作を容易にすることができるため、機器の外部端子を保護するために本体側に取り付けられて保持される外部端子のキャップ等としても有用である。また、ビデオカメラ以外の各種機器にも同様な構造を適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 キャップ
1a 舌片部
1b 長穴部
1b1 引き出し用穴部
1b2 固定用穴部
1c 突起部
1d キャップ本体
1e 爪部(係合部)
2 第1の外筐体
2a 外部端子
2b 第1の端子差込穴
3 第2の外筐体
3a 第2の端子差込穴
3b 切欠穴
3c 抜止片
3d 被係合部
3e 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを筐体に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、
前記キャップに、キャップ本体と、板状の弾性体で構成されてキャップ本体から突出する舌片部と、筐体に係合する係合部とが備えられ、
前記舌片部に長穴部が形成され、前記筐体は、前記舌片部を挿入するための切欠穴と、前記切欠穴の奥に配設され、前記長穴部に対して長穴部の長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片と、前記キャップの係合部と係合して前記キャップを固定する被係合部とを備えた
キャップ構造。
【請求項2】
前記キャップの長穴部に、前記抜止片に当接可能な状態で突出して、前記キャップが前記長穴部の長手方向に移動することを規制する突起部が形成されている
請求項1記載のキャップ構造。
【請求項3】
前記突起部が、前記キャップを前記筐体に対して閉じた状態で前記抜止片に当接して前記キャップが前記筐体から引き出される方向に移動することを規制する収納固定用位置に形成されている
請求項2記載のキャップ構造。
【請求項1】
キャップを筐体に取り付けて開閉動作を行うことが可能なキャップ構造であって、
前記キャップに、キャップ本体と、板状の弾性体で構成されてキャップ本体から突出する舌片部と、筐体に係合する係合部とが備えられ、
前記舌片部に長穴部が形成され、前記筐体は、前記舌片部を挿入するための切欠穴と、前記切欠穴の奥に配設され、前記長穴部に対して長穴部の長手方向に相対的に移動可能でかつ抜けない状態で挿入された抜止片と、前記キャップの係合部と係合して前記キャップを固定する被係合部とを備えた
キャップ構造。
【請求項2】
前記キャップの長穴部に、前記抜止片に当接可能な状態で突出して、前記キャップが前記長穴部の長手方向に移動することを規制する突起部が形成されている
請求項1記載のキャップ構造。
【請求項3】
前記突起部が、前記キャップを前記筐体に対して閉じた状態で前記抜止片に当接して前記キャップが前記筐体から引き出される方向に移動することを規制する収納固定用位置に形成されている
請求項2記載のキャップ構造。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−238660(P2010−238660A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31898(P2010−31898)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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