説明

キャパシタとその製造方法

【課題】従来よりも大きな容量を備えるキャパシタを提供する。
【解決手段】陽極層10、陰極層20、およびこれら電極層の間に配される硫化物系の固体電解質層3を備えるキャパシタである。このキャパシタ100における陽極層10と陰極層20の少なくとも一方は、硫化物固体電解質とこの硫化物固体電解質中に分散する導電微粒子とを含む。導電微粒子の平均粒径は、1nm〜50nmの微粒子である。電極層の硫化物固体電解質中に、電解質イオンを吸着する導電微粒子が微細に分散しているので、電極層における電解質イオンを吸着させることができる面積が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを蓄えるデバイスとして利用されるキャパシタとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを蓄えるデバイスとして、二次電池とキャパシタを挙げることができる。両者は共に、電解質層とこの電解質層を挟み込む2つの電極層とを備えるものの、その蓄電方式が異なる。二次電池は、電極層での化学反応により電気エネルギーを蓄えるのに対して、キャパシタは、電極層への電解質イオンの物理的吸着により電気エネルギーを蓄える。
【0003】
近年、電気機器の発達に伴い、上記キャパシタの構成を種々検討することが行われている。例えば、特許文献1では、電極層として粒状炭素を樹脂製バインダーで結着したものを使用することが提案されている。炭素は電解質イオンを吸着する能力に優れている。また、その炭素を粒子状とすることで、電極層における電解質イオンが吸着する面積を大きくし、キャパシタの容量を向上させることができる。
【0004】
一方、キャパシタの電解質層を固体とする技術も提案されている。固体電解質を用いることで、有機溶媒系の電解液を用いることに伴う不都合、例えば、電解液の漏れによる安全性の問題、高温時に有機電解液がその沸点を超えて揮発することによる耐熱性の問題などを解消することができる。使用する固体電解質としては、特に硫化物系の固体電解質が好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−278022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の粒状炭素を樹脂製バインダーで結着した電極層には次のような問題があった。
【0007】
まず、第一に、電極層を作製する際や、電極層の使用時に、バインダーから粒状炭素が離脱し易かった。その結果、キャパシタの容量が作製時の予想よりも低くなってしまうことがあり、安定した容量を有するキャパシタとならない虞がある。しかも、バインダーは、粒状炭素を保持する役割しかなく、キャパシタの性能に殆ど寄与しないため、バインダーの分だけキャパシタの性能(例えば、応答性)が低下するという問題もある。
【0008】
第二に、バインダーで粒状炭素を固めて電極層を作製する際、粒状炭素同士が凝集し易い。その結果、電解質イオンの吸着面積が減少し、キャパシタの容量が作製時の予想よりも低くなってしまうことがある。特に、粒状炭素の粒径を小さくするほど、粒状炭素同士が凝集し易くなる傾向にあり、キャパシタの容量を大きくするために粒状炭素の粒径を小さくしても、思うようにキャパシタの容量を大きくすることができない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、従来よりも大きな容量を備えるキャパシタを提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、従来よりも大きな容量を備えるキャパシタを安定して作製することができるキャパシタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明キャパシタは、陽極層、陰極層、およびこれら電極層の間に配される硫化物系の固体電解質層を備えるキャパシタであって、陽極層と陰極層の少なくとも一方の電極層は、硫化物固体電解質と、この硫化物固体電解質中に分散する導電微粒子と、を含む。そして、導電微粒子の平均粒径は1nm〜50nmであることを特徴とする。
【0012】
本発明キャパシタの構成では、電極層の硫化物固体電解質中に、電解質イオンを吸着する導電微粒子が微粒子の状態で分散しているので、当該電極層における電解質イオンを吸着させることができる面積が大きい。そのため、本発明キャパシタの容量は、樹脂製バインダーで導電微粒子を固めた従来のキャパシタよりも大きい。
【0013】
また、本発明キャパシタの構成では、導電微粒子が硫化物固体電解質で固められているため、電極層中の電解質イオンの移動が円滑である。そのため、本発明キャパシタは、電解質イオンの伝導性に乏しいバインダーを使用した従来のキャパシタよりも、優れた応答性を有する。
【0014】
(2)本発明キャパシタの一形態として、前記導電微粒子の構成元素は、C,Ni,Al,Pt,Auから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
上記列挙した構成元素は、硫化物と非常に反応し難いので、硫化物固体電解質中で安定して微粒子の状態を維持できる。列挙した構成元素のなかでも特に、電解質イオンの吸着能力、入手の容易性、コストなどの観点からすると、Cを構成元素として選択することが好ましい。
【0016】
(3)本発明キャパシタの一形態として、前記電極層に含まれる導電微粒子の数密度は、5×1015〜1×1021個/cmであることが好ましい。
【0017】
導電微粒子の数密度が上記範囲にあると、種々の用途に十分な容量を有するキャパシタとすることができる。因みに、数密度が上記範囲にあると、各導電微粒子の平均粒径が1〜50nmであるから、電解質イオンを吸着できる面積(吸着面積)は、理論上約6×10〜3×10cm/cmとなる。
【0018】
(4)本発明キャパシタの一形態として、電極層の硫化物固体電解質はLiS−Pを含有することが好ましい。
【0019】
硫化物固体電解質にLiS−Pを使用すれば、容量が大きなキャパシタとすることができる。なお、電極層に挟まれた硫化物系の固体電解質層にも、このLiS−Pを利用することが好ましい。
【0020】
(5)本発明キャパシタの製造方法は、陽極層、陰極層、およびこれら電極層の間に配される硫化物系の固体電解質層を備えるキャパシタの製造方法であって、以下の工程を備えることを特徴とする。
硫化物固体電解質と導電物質を、上記電極層の成膜原料として用意する工程。
用意した両成膜原料を用いたAr雰囲気下の気相法により、導電物質が微粒子の状態で硫化物固体電解質中に分散した電極層を成膜する工程。
【0021】
本発明キャパシタの製造方法によれば、キャパシタの電極層の形成に気相法を利用しているので、導電物質を微粒子の状態で硫化物固体電解質中に分散させつつ電極層を形成することができる。そのため、本発明キャパシタの製造方法によれば、硫化物固体電解質中に導電微粒子が微細に分散した状態の電極層を備える本発明キャパシタを製造することができる。
【0022】
また、気相法の成膜雰囲気をAr雰囲気とすることで、電極層中の導電微粒子を微細な状態とすることができる。これは、蒸発源(例えば、坩堝)から蒸発した導電物質の微粒子同士が雰囲気中で凝集することを、雰囲気中のArが阻害するからである。
【0023】
(6)本発明キャパシタの製造方法の一形態として、成膜する工程におけるArの雰囲気圧力は10-2〜1Paであることが好ましい。
【0024】
Arの雰囲気圧力を適切に制御することで、電極層における各導電微粒子の粒径のブレを抑制することができる。電極層中の導電微粒子の粒径は、蒸発源から蒸発した導電物質の微粒子の平均自由行程に大きく依存するため、Arの雰囲気圧力、即ち雰囲気中のAr濃度を調節することにより、雰囲気中での導電物質の微粒子同士の凝集を適切に制御できるからである。
【発明の効果】
【0025】
本発明キャパシタは、電極層における電解質イオンを吸着させることができる導電微粒子の総面積が大きいため、バインダーで導電微粒子を固めた従来のキャパシタよりも大きな容量を備える。従って、本発明キャパシタは、電気機器のバックアップ電源などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係るキャパシタの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明キャパシタとその製造方法の一例を図面に基づいて説明する。
【0028】
<全体構成>
図1に示すキャパシタ100は、陽極1と陰極2とで固体電解質層(SE層3)を挟み込んだ構成を備える。陽極1は、陽極集電体1Bと陽極層10とを備え、陰極2は、陰極集電体2Bと陰極層20とを備える。本実施形態のキャパシタ100は、陽極集電体1Bを基板として、陽極層10→SE層3→陰極層20→陰極集電体2Bの順に形成する。以下、このキャパシタ100の各構成を詳細に説明する。
【0029】
≪陽極集電体≫
陽極集電体1Bは、キャパシタ100の各構成を積層する基板となる金属箔である。この金属箔には、例えば、AlやCu、Ni、Pt、Auなどを使用することができる。ここで、陽極集電体1Bとなる金属箔は、キャパシタ100の他の層を成膜する際の基板となるため、機械的強度を保証する厚さを有することが好ましい。具体的な金属箔の好ましい厚さは、金属箔の材質によって変化するが、概ね5〜50μmとすると良い。
【0030】
≪陽極層≫
陽極層10は、上記用意した金属箔の上に形成される層であって、硫化物固体電解質のマトリックス中に、微細な導電微粒子が分散した構造を有する。導電微粒子は、電解質イオンを吸着・保持するためのものである。この導電微粒子の構成元素としては、例えば、C,Ni,Al,Pt,Auから選択される少なくとも1種を用いることができる。また、硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−Pなどを好適に利用することができる。このLiS−Pに、Pなどの酸化物を添加して、硫化物固体電解質の化学的安定性を向上させても良い。その場合、硫化物固体電解質におけるOの含有量が10原子%を超えないようにすることが好ましい。O含有量が10原子%を超えると、導電微粒子の電解質イオン吸着能が低下する恐れがある。
【0031】
陽極層10における最も重要なパラメーターは、導電微粒子の平均粒径である。キャパシタ100の容量を決定する要素は、電解質イオンを吸着する導電微粒子の総表面積であるからである。そこで、本発明キャパシタ100では、陽極層10における導電微粒子の平均粒径を1〜50nmの範囲とする。この範囲の平均粒径を有する導電微粒子であれば、陽極層10における導電微粒子の総表面積(即ち、電解質イオンを吸着することができる面積:吸着面積)を十分に確保することができる。
【0032】
また、陽極層10の重要なパラメーターとして、陽極層10における導電微粒子の数密度を挙げることができる。具体的な導電微粒子の数密度は、5×1015〜1×1021個/cmとすることが好ましい。その場合、陽極層10の単位体積あたりの吸着面積は、理論上約6×10〜3×10cm/cmとなり、陽極層10における導電微粒子の体積割合は、約40〜60体積%となる。このような陽極層10であれば、種々の用途に十分対応できる容量を備えたキャパシタ100とすることができる。
【0033】
その他、陽極層10のパラメーターとして、陽極層10の厚さを挙げることができる。陽極層10の厚さは、キャパシタ100に要求される容量によって適宜選択すると良い。その際、導電微粒子の粒径と数密度を考慮することは言うまでもない。
【0034】
以上説明した陽極層10は、陽極集電体1Bを基板とするAr雰囲気下の気相法により形成することができる。気相法にはレーザーアブレーション法や真空蒸着法などの物理的気相法を利用することができる。
【0035】
気相法により陽極層10を作製するには、まず、電解質イオンを物理的に吸着する電極材料である導電物質と、硫化物固体電解質とを用意する。導電物質と硫化物固体電解質を用意したら、これら成膜原料を単一の蒸発源(坩堝)で同時に蒸発させるか、または異なる蒸発源で別個に蒸発させ、基板(陽極集電体1B)上に陽極層10として成膜する。ここで、上記列挙した導電物質は、硫化物固体電解質と非常に反応し難い元素であるため、成膜された陽極層10において、導電物質が微粒子の状態で硫化物固体電解質のマトリックス中に分散した構造となる。
【0036】
ところで、蒸発源から蒸発した導電物質は、微粒子となって基板に向かうが、その微粒子同士が蒸発源から基板に至る間に凝集して、大きな粒子となり易い。そのため、陽極層10中の導電微粒子の平均粒径を1〜50nmとするには、成膜雰囲気中で導電物質の粒子同士が凝集することを阻害する必要がある。本実施形態では、成膜雰囲気中にArが存在するので、導電物質の粒子同士が接触する機会が少なくなり、微粒子同士の凝集が阻害される。
【0037】
微粒子同士の凝集を阻害するArの雰囲気圧力には適切な範囲が存在する。具体的には、Arの雰囲気圧力を10-2〜1Paとすることが好ましい。この範囲の雰囲気圧力であれば、導電物質の粒子同士が凝集することを効果的に抑制することができる。
【0038】
その他、導電物質の蒸発源(坩堝)から基板(陽極集電体1B)までの距離も、導電物質の粒子同士の凝集度合いに影響する要素である。そこで、上記距離は、10〜70mmの間とすることが好ましく、その場合、導電物質の粒子同士が凝集することを効果的に抑制しつつ、陽極層10を成膜することができる。
【0039】
≪SE層≫
陽極層10上に形成されるSE層3は、硫化物系の固体電解質を含む層であって、陽極層10と陰極層20とを絶縁する層である。硫化物固体電解質に求められる特性は低電子伝導性で、かつ電解質イオンを生じることである。SE層3を構成する硫化物系の固体電解質は、陽極層10の硫化物固体電解質と同じ材質とすることが好ましい。その場合、キャパシタ100全体で、電解質イオンの移動抵抗が均質的になるので、キャパシタ100の応答性などの性能を向上させることができる。
【0040】
上記SE層3の厚さは、およそ0.1〜10μmとすると良い。キャパシタ100の場合、電極間距離に相当するSE層3の厚さにより、キャパシタ100の容量が変化するので、キャパシタ100の用途に応じてSE層3の厚さを決定すると良い。
【0041】
以上説明したSE層3は、レーザーアブレーション法や真空蒸着法などの物理的気相法により形成することができる。ここで、SE層3を構成する硫化物系の固体電解質を、陽極層10の硫化物固体電解質と同じものとする場合、気相法により陽極層10の成膜に続いて、SE層3を気相法により成膜すると良い。その場合、陽極層10の厚さが所望の値となった頃に、導電物質の蒸発を停止し、硫化物固体電解質の蒸発を継続すれば良い。
【0042】
≪陰極層≫
本実施形態における陰極層20は、陽極層10と同じ構成を有し、陽極層10と同じ成膜条件により形成することができる。この場合、陰極層20からSE層3を介して陽極層10に至るまで共通の硫化物固体電解質が使用されることになるので、キャパシタ100の応答性などの性能を向上させることができる。
【0043】
なお、陰極層20を陽極層10と異なる材料、異なる成膜条件で作製しても良い。その他、陰極層20を陽極層10のような分極性電極とは全く構成の異なるファラデー電極(化学反応により電荷を蓄える電極)としても良い。その場合、キャパシタ100は、分極性電極とファラデー電極とを備えたハイブリッドキャパシタとなる。
【0044】
≪陰極集電体≫
陰極層20の上に形成される陰極集電体2Bは、陽極集電体1Bと同様の金属から構成すると良い。この陰極層20は、真空蒸着法などの気相法により形成することができる。陰極集電体2Bの厚さは、陽極集電体1Bに比べて非常に薄くて良く、例えば0.1〜1μm程度あれば良い。陰極集電体2Bが薄くても良いのは、陰極集電体2Bに対して、陽極集電体1Bのようにキャパシタ100の各層を成膜するための基板としての役割が求められず、純粋に集電機能だけが求められるからである。
【0045】
以上説明したように作製されたキャパシタ100は、電極層10,20の硫化物固体電解質中に、電解質イオンを吸着する導電微粒子が微粒子の状態で分散しているので、当該電極層における電解質イオンを吸着させることができる面積が大きいキャパシタとなる。そのため、キャパシタ100の容量は、バインダーで導電微粒子を固めた従来のキャパシタよりも大きい。
【0046】
なお、上記実施形態では陽極集電体1B側から作製したが、陰極集電体2B→陰極層20→SE層3→陽極層10→陽極集電体1Bの順に形成しても良い。その場合、陰極集電体2Bの厚さは、他の層の基板として求められる機械的強度を達成できる厚さとする。また、陽極集電体1Bは非常に薄くてもかまわない。
【実施例】
【0047】
図1に示すキャパシタ100を作製し、実際にそのキャパシタ100の容量(F)を測定した。
【0048】
まず、陽極集電体1Bとなる直径10mm×厚さ7μmのAl箔を用意し、そのAl箔上に直径9mm×厚さ5μmの陽極層10をレーザーアブレーション法により成膜した。レーザーアブレーション法の条件は、以下の通りである。
第1成膜原料…LiS−P(第1成膜原料専用の坩堝を使用)
第2成膜原料…C(第2成膜原料専用の坩堝を使用)
C用の坩堝からAl箔(基板)までの距離…50mm
成膜雰囲気…Ar
成膜圧力…10-1Pa
【0049】
作製した陽極層10の断面を電子顕微鏡で観察したところ、LiS−Pのマトリックス中にC粒子がほぼ均等に分散した状態となっていた。また、C粒子の平均粒径は、約10nmであった。平均粒径は、顕微鏡視野中の100個以上のC粒子について、各C粒子の面積から算出した円相当直径を平均することで求めた。さらに、顕微鏡視野におけるC粒子の面積割合(C粒子の面積/マトリックスの面積+C粒子の面積)から、陽極層におけるC粒子の数密度を算出したところ、約1018個/cmであった。
【0050】
次に、陽極層10の上に、レーザーアブレーション法により、直径10mm×厚さ1μmのSE層3を成膜した。SE層3は、上記第1成膜原料と同じLiS−Pであった。
【0051】
次に、SE層3の上に、直径8mm×厚さ5μmの陰極層20を成膜した。成膜条件は、陽極層10と同じであった。そのため、陰極層20における導電微粒子の形成状態、平均粒径、数密度は、正極層10と同じであると予想される。
【0052】
最後に、陰極層20の上に真空蒸着法により、直径8mm×厚さ0.1μmのAlからなる陰極集電体2Bを成膜して全固体型のキャパシタ素子を完成させた。そして、そのキャパシタ素子を耐熱性のボタンセルに封入してキャパシタ100を完成させた。
【0053】
作製したキャパシタ100に蓄電させたときの電圧と電流の値から、キャパシタ100の容量を測定したところ、0.0015Fであった。この数値は、電極層を観察することで求めたC粒子の数密度、電極層の体積、両電極層間の距離などから求められる理論値(=0.002F)に迫るものであった。つまり、電極層におけるC粒子の凝集が殆ど無く、狙い通りの容量を有するキャパシタを安定して製造することができた。
【0054】
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明キャパシタは、例えばICメモリや、点灯式道路標識、点灯式道路鋲などのバックアップ電源に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
100 キャパシタ
1 陽極
10 陽極層 1B 陽極集電体
2 陰極
20 陰極層 2B 陰極集電体
3 固体電解質層(SE層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極層、陰極層、およびこれら電極層の間に配される硫化物系の固体電解質層を備えるキャパシタであって、
陽極層と陰極層の少なくとも一方の電極層は、硫化物固体電解質と、この硫化物固体電解質中に分散する導電微粒子と、を含み、
前記導電微粒子の平均粒径は、1nm〜50nmであることを特徴とするキャパシタ。
【請求項2】
前記導電微粒子の構成元素は、C,Ni,Al,Pt,Auから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記電極層に含まれる導電微粒子の数密度は、5×1015〜1×1021個/cmであることを特徴とする請求項1または2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記電極層の硫化物固体電解質は、LiS−Pを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項5】
陽極層、陰極層、およびこれら電極層の間に配される硫化物系の固体電解質層を備えるキャパシタの製造方法であって、
硫化物固体電解質と導電物質を、前記電極層の成膜原料として用意する工程と、
用意した両成膜原料を用いたAr雰囲気下の気相法により、導電物質が微粒子の状態で硫化物固体電解質中に分散した電極層を成膜する工程と、
を備えることを特徴とするキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記Arの雰囲気圧力は10-2〜1Paであることを特徴とする請求項5に記載のキャパシタの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−233759(P2011−233759A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103667(P2010−103667)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】