説明

キュプレドキシン由来ペプチドの修飾及びそれを使用する方法

本発明は、薬物動態の特性が改善された薬理的な活性を有している修飾キュプレドキシン由来ペプチドに、および薬理的な活性に関連する様々なコンディションの哺乳類を処置するためにそれらを使用する方法を提供する。キュプレドキシン由来ペプチドの修飾体には、そのペプチドの血漿半減期を増加する, 薬理的活性の比活性を増加する, 免疫原性を減少する, 及びそのペプチド類の生体内変換を減少するアミノ酸配列バリアント及び構造上の誘導体が含まれる。修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、癌, 不適切な血管形成に関連するコンディション, ウイルス性および細菌性の感染(特にHIVおよびマラリア), エフリンシグナル伝達に関連するコンディションに関して哺乳類を治療する及びカーゴ化合物(診断上の化合物を含む)を癌細胞に送達する方法に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、35 U.S.C. §§ 119 および 120のもとで、米国仮出願第60/680,500号(2006年9月11日出願)の利益を請求する出願であり、この出願は米国特許出願第11/244,105号(2005年10月6日出願)の利益を請求し、この出願は米国仮出願第60/616,782(2004年10月7日出願), 米国仮出願第60/680,500(2005年5月13日出願)および米国仮出願第60/700,297(2005年7月19日出願)の利益を請求する。これらの出願の内容の全体は、参照によって本明細書中に完全に援用される。
【0002】
[政府の利益に関する陳述]
本出願の保護対象の発明は、米国メリーランド州ベセスダの国立衛生研究所(NIH)からの研究助成金(助成金番号ES04050-18)によって助成された。米国政府は、本発明に特定の権利を有している。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、薬物動態の特性が改善された薬理的な活性を有している修飾キュプレドキシン由来ペプチド(modified cupredoxin derived peptides)に、および薬理的な活性に関連する様々なコンディションの哺乳類を処置するためにそれらを使用する方法に関する。キュプレドキシン由来ペプチドの修飾体には、そのペプチドの血漿半減期を増加しえる, 薬理的活性の比活性を増加しえる, 免疫原性を減少しえる, 及び/又はそのペプチド類の生体内変換(biotransformation)を減少させえるアミノ酸配列バリアント及び構造上の誘導体(structural derivations)が含まれる。修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、癌, 不適切な血管形成に関連するコンディション, ウイルス性および細菌性の感染(特にHIVおよびマラリア), エフリンシグナル伝達に関連するコンディションに関して哺乳類を治療する及びカーゴ化合物(診断上の化合物を含む)を癌細胞に送達する方法に使用することができる。
【0004】
[背 景]
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からのキュプレドキシン アズリンは、有望な 新しい治療上および診断上の分子である。P.aeruginosaによって同化された二つのレドックスタンパク質〔キュプレドキシン アズリンおよびチトクロム c551 (Cyt c551)〕は、双方ともJ774細胞に進入し、正常細胞と比較してヒト癌細胞に対し有意な細胞毒性活性を示す。Zaborina et al., Microbiology 146: 2521-2530 (2000)。また、アズリンは、ヒトメラノーマUISO-Mel-2またはヒト乳癌MCF-7細胞に進入できる。Yamada et al., PNAS 99:14098-14103 (2002); Punj et al., Oncogene 23:2367-2378 (2004); Yamada et al., Cell. Biol. 7:14181431 (2005)。加えて、P.aeruginosaからのアズリンは、優先的にJ774マウス細網肉腫細胞に進入し、腫瘍抑制因子タンパク質p53と複合体を形成し、安定化し、p53の細胞内濃度を増加させ、アポトーシスを誘導する。Yamada et al., Infection and Immunity, 70:7054-7062 (2002)。また、アズリンは、非癌性細胞(non-cancerous cells)と比較してヒト骨肉腫細胞のアポトーシスの有意な増加を生じる。Ye et al., Ai Zheng 24:298-304 (2003)。また、チオバシラス・フェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)からのラスティシアニン(Rusticyanin)は、マクロファージに進入し、アポトーシスを誘発できる。Yamada et al., Cell Cycle 3:1182-1187 (2004); Yamada et al., Cell. Micro. 7:1418-1431 (2005)。また、ホルミジウム・ラミノサム(Phormidium laminosum)からのプラストシアニンおよびアクロモバクター・サイクロクラステス(Achromobacter cycloclastes)からのシュードアズリン(pseudoazurin)は、マクロファージに対し細胞毒性である。米国特許公開第20060040269号(2006年2月23日 公開)。
【0005】
現在、アズリンは、治療上重要な他の薬理的な活性を有していることも知られている。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVECs; human umbilical vascular endothelium cells)の血管形成を阻害することが知られている。米国特許出願第11/488,693号(2006年7月19日 出願)。また、P.aeruginosaからのアズリンは、末梢血単核球のHIV-1感染の成長を阻害する及びマラリア感染した哺乳類の赤血球の寄生虫血症を阻害する能力に関しても知られている。Chaudhari et al., Cell Cycle. 5: 1642-1648 (2006)。また、P.aeruginosaからのアズリンは、多様な哺乳類の細胞および組織でエフリンシグナル伝達に干渉することも知られている。米国特許出願第11/436,592号(2006年5月19日出願)。
【0006】
アズリン(特に、18-merおよび28-merのアズリンから由来する二つのペプチド)は、治療上および診断上で有用であることがみつけられた。しかしながら、患者の体における治療薬の有効性は、幾つかの因子に依存している。治療薬自身の活性に加えて、治療薬の薬物動態特性(pharmacokinetic properties)、薬が投与された後に起こる様々なプロセス(即ち、吸収, 分布, 代謝および排泄)にどのように薬が関連するかなども存在する。これらの薬の薬物動態特性によって、如何にして、どの程度まで、これらの生物学的なプロセスが投与された薬の有効性に影響するかが記載される。また、これらの特性には、血流中の薬の半減期、薬の肝臓初回通過代謝(hepatic first-pass metabolism)、薬の容積分布(volume distribution)、薬のアルブミン結合の度合などが含まれる。これらの薬物動態特性の各々は、薬の有効性に顕著な効果を有しえる。
【0007】
薬が患者の血流へと吸収される部位は、投与の経路に依存する。例えば、経口的に投与される薬物は、薬の化学的および物理的な性質により消化管の一つの部位以外に別の部位で吸収されてもよい。他方で、非経口投与による吸収は、経口投与よりはやいだけでなく、薬の血液レベルははるかに予想可能である。というのも、薬の損出が少ないからである(特に、静脈内投与において)。バイオアベイラビリティーは、体循環に到達する投与される薬のフラクション(fraction)である。
【0008】
血流から細胞外液(間質)および/または組織の細胞への薬の分布は、薬の様々な側面によって変更されえる。体における薬の分布は、「薬の容積分布」として表されてもよく、これは薬が広まる液体の仮定上の容積である。薬の構造は薬の分布に影響するであろう、疎水性の薬物は容易に大抵の生体膜を横切り移動し、組織の細胞内に分布するであろう。また、薬は、血液タンパク質に結合し、周囲の組織を通過し、遅延させるであろう。例えば、血流中にある場合、ナプロキセンは血漿タンパク質に99%結合し、ペニシリン Gは60%結合し、アモキシシリンわずか20%結合し、ミノキシジルは非結合性である。Howard C. Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Delivery Systems 129 (Lippincott, Williams and Wilkins 1999)。結合した薬は、体の解毒プロセスに暴露されず、腎糸球体をとおした濾過によって血流から除去もされない。結合した薬は不活性部(inactive portion)と称され、非結合性の部分は活性部(active portion)と考えられる。薬の結合した部分は薬の貯蔵所として働き、遊離した薬のレベルがタンパク質飽和を保証するのにもはや十分ではない場合に非結合性の活性型で血流に放出される。従って、血流において結合した薬は、体に長い時間残留し、あまり頻繁ではない投薬が必要とされる。
【0009】
また、患者における薬の代謝は、その有効性に影響する。多くの薬物は、体から排出される前に、生体内変換を経験する。薬の生体内変換によって、より水溶性で、金属イオン化(ore ionized)され、血漿および組織においてタンパク質と結合する能力が低く、細胞膜に浸透する能力が低い薬の形態、および薬理学的な活性が低い薬を作るとの他の側面がえられる。生体内変換した薬は、そのため毒性を低く、容易に排出させられえる。薬物が生体内変換する四つの主要な様式が存在する(即ち、酸化, 減少, 加水分解, および 抱合)。酸化反応は、主に肝臓細胞内の小胞体に結合するオキシダーゼによって触媒される。還元反応は、主に腸および肝臓においてレダクターゼによって触媒される。加水分解性の分解は、主に肝臓でエステラーゼによって触媒される。グルクロニド抱合(薬の生体内変換の最も通常の経路)は、薬とグルクロン酸の組み合わせによって発生し、容易に体から排除される薬のイオン性の形態が形成される。Christensen et al., J. Pharm. Pharmacol. 37:91-95 (1985)。排除を増加させる他の生体内変換プロセスには、アセチル化 および アシル化が含まれる。
【0010】
体からの薬の排泄は、様々な経路によって生じえる。腎臓は、尿における薬の排除に優位な役割を担っている。しかしながら、薬は、肝臓を通じて血漿から排除されえる。特に経口的に投与される薬物に関して、肝臓は薬の血漿半減期の決定に重要な役割を担いえる。
【0011】
要求とされるものは、キュプレドキシンの薬理的な活性を有し、哺乳類で薬物動態特性の改善を有しているキュプレドキシン由来ペプチドである。特に、患者の体において安定で、高い特異的な薬理的な活性が維持され、同様に、長い血漿半減期を有しているキュプレドキシン由来ペプチドは、特に有効な治療上および診断上の因子である。
【0012】
[発明の概要]
本発明の一つの側面は、キュプレドキシン由来ペプチドのバリアントまたは誘導体である単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドを提供する。態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、未修飾(unmodified)のキュプレドキシン由来ペプチドと比べて改善された薬物動態特性を有する。改善された薬物動態特性は、一または二以上の前記ペプチドが、(1) 患者における生体内変換に感受性が低いこと、(2) 遅い速度で患者の体から排出されること、(3) 三次構造の安定性が増加していること、および(4) 血漿半減期が長いことであってもよい。
【0013】
加えて、単離されたペプチドは、少なくとも一つのキュプレドキシンの薬理的な活性を有していてもよい。所望の特異的な薬理的な活性には、次の事項が含まれる:
(1) 哺乳類の癌細胞に進入すること、
(2) 非癌性の哺乳類細胞に進入しないこと、
(3) 前癌状態(pre-malignant)の哺乳類細胞に進入すること、
(4) 哺乳類の癌細胞を死滅させること、
(5) 前癌状態の哺乳類細胞を死滅させること、
(6) 哺乳類の癌細胞の成長を阻害すること、
(7) HIV-1感染を阻害すること、
(8) マラリア感染した赤血球細胞の寄生虫血症を阻害すること、
(9) エフリン情報伝達系に干渉すること、および
(10) 血管形成を阻害すること。
【0014】
修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa), Phormidium laminosum, Ulva pertussis, Thiobacillus ferrooxidans, Achromobacter cycloclastes, Pseudomonas syringa, 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis), 腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus), 気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica), 百日咳菌(Bordetella pertussis), Chloroflexus aurantiacusおよび淋菌(Neisseria gonorrhoeae)から由来してもよい。キュプレドキシンは、アズリン, プラストシアニン, ラスティシアニン, シュードアズリン, アウラシアニン ステラシアニン, キュウリ塩基性タンパク質(cucumber basic protein)またはアズリン様タンパク質(azurin-like protein)であってもよい。特定の態様において、キュプレドキシンは、配列番号1-12の一つであってもよい。
【0015】
単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシンの短縮(truncation)であってもよい。特定の態様において、前記ペプチドは、配列番号13-47の一つであってもよい。他の特定の態様において、配列番号1-12は、前記単離されたペプチドと少なくとも約 90% 同一である。
【0016】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、加水分解への感受性が低くてもよい。具体的には、前記単離されたペプチドは、一または二以上のアスパラギンまたはセリン残基がキュプレドキシン由来ペプチドの配列において別のアミノ酸残基(特に、グルタミン酸またはスレオニン残基)で置換されたものを有してもよい。
【0017】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、脱アミドへの感受性が低い。特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のグリシンは、別のアミノ酸残基(特に、スレオニンまたはアラニン残基)で置換される。幾つかの態様において、緑膿菌のアズリン(配列番号 1)の残基58または63と均等(equivalent)であるキュプレドキシン由来ペプチドにおける一または二以上のグリシン残基が、置換されてもよい。別の特定の態様において、単離されたペプチドは、配列番号30を具備してもよい。
【0018】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、酸化への感受性が低い。具体的には、前記単離されたペプチドは、一または二以上のキュプレドキシン由来ペプチドのメチオニンまたはシステイン残基が別のアミノ酸残基(特に、ロイシンまたはバリン残基)で置換されたものを有しえる。特定の態様において、緑膿菌のアズリン(配列番号 1)の残基56または64と均等であるキュプレドキシン由来ペプチドにおける一または二以上のメチオニン残基が、置換される。別の特定の態様において、単離されたペプチドは、配列番号31または配列番号32を具備してもよい。
【0019】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、ジケトピペラジンおよびピログルタミン酸の形成への感受性が低くてもよい。具体的には、前記単離されたペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション1, 2 または3におけるグリシン残基が別のアミノ酸残基で置換されたものを有しえる。さらに、前記単離されたペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション3におけるプロリン残基が別のアミノ酸残基で置換されたものを有しえる。さらに、前記単離されたペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端におけるアスパラギン残基が別のアミノ酸残基で置換されたものを有しえる。
【0020】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、ラセミ化への感受性が低くてもよい。具体的には、前記単離されたペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアミノ酸残基が、アミノ酸残基のD-異性体で置換されたものを有しえる。一つの特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの全てのアミノ酸残基は、D-異性体のアミノ酸残基で置換される。別の特定の態様において、単離されたペプチドは、配列番号45を具備する。
【0021】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、デグラデーション(degradation)への感受性が低くてもよい。具体的には、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端は、アセチル化されえる。さらに、キュプレドキシン由来ペプチドのC-末端は、アミド化されえる。一つの特定の態様において、単離されたペプチドは、配列番号33である。
【0022】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは修飾されて、その三次構造の安定性が増加する。具体的には、前記単離されたペプチドが修飾されて、最低一つのα-ヘリックスの安定性が増加しえる。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの少なくとも一つのグリシン, プロリン, セリン, アスパラギン酸, アラニン, スレオニン, バリン, グルタミン, アスパラギン, システイン, ヒスチジン, リジン, および アルギニンのアミノ酸残基は、ロイシン, イソロイシン, フェニルアラニン, グルタミン酸, チロシン, トリプトファンまたはメチオニンで置換される。特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53-56, 58-64 および 68-70に対して均等な残基内にあってもよい。
【0023】
他の特定の態様において、P.aeruginosaのアズリンの残基57と均等な残基でのグルタミンは、トリプトファン残基で置換されてもよい、
P.aeruginosaのアズリンの残基52と均等な残基でのスレオニンは、トリプトファン残基で置換されてもよい、
P.aeruginosaのアズリンの残基61と均等な残基でのスレオニンは、トリプトファン残基で置換されてもよい、および/または
P.aeruginosaのアズリンの残基63と均等な残基でのグリシンは、トリプトファン残基で置換される、
他の特定の態様において、前記単離されたペプチドは、配列番号34-44の一つを含む。
【0024】
他の態様において、単離されたペプチドは、二または三以上のキュプレドキシン由来ペプチドのリジン残基がi(i+4)のスペーシングでε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-リジン残基で置換されたものを有してもよい。具体的には、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53-56, 58-64 および 68-70と均等な残基内にあってもよい。
【0025】
他の態様において、単離されたペプチドは、i(i+4)スペーシングでキュプレドキシン由来ペプチドに置換されるヒスチジン-システインまたはヒスチジン-ヒスチジン残基のペア、および少なくとも一つのCu, Zn, Cd および Ruを有してもよい。特定の態様において、単離されたペプチドは、P.aeruginosaのアズリンの残基53-56, 58-64 および 68-70に対して均等な残基内でキュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基を有してもよい。
【0026】
別の態様において、単離されたペプチドは、一または二以上のキュプレドキシン由来ペプチドにおける本来(native)のアミノ酸残基のペアが、本来のアミノ酸に対応するオレフィン関連繋留(olefin-bearing tethers)を有しているα,α-二置換性の非天然アミノ酸で置換されたものを有してもよい。前記単離されたペプチドは、P.aeruginosaのアズリンの残基53-56, 58-64 および 68-70と均等な残基内にキュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基を有してもよい。
【0027】
幾つかの態様において、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドに共有結合性に結合された一または二以上の PEG (ポリエチレングリコール)分子を有してもよい。具体的には、前記単離されたペプチドは、一または二以上の PEG 分子がキュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のシステイン残基に共有結合性に結合されたものを有してもよい。特定の態様において、前記単離されたペプチドは、一または二以上の PEG 分子が、一または二以上の緑膿菌アズリン(配列番号 1)の残基3, 6, および 112と均等な一または二以上のシステイン残基に共有結合性に結合されたものを有してもよい。別の態様において、システイン残基は、キュプレドキシン由来ペプチドへと置換されてもよく、PEG 分子に共有結合性に結合されてもよい。
【0028】
別の態様において、単離されたペプチドは、リジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン, チロシン, N末端のアミノ基, またはC末端のカルボン酸で、キュプレドキシン由来ペプチドに共有結合性に結合された一または二以上の PEG 分子を有してもよい。特定の態様において、単離されたペプチドは、PEG 分子に共有結合性に結合された一または二以上のリジン残基またはC末端のカルボン酸を有する。別の態様において、一または二以上の リジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン および チロシン残基は、キュプレドキシン由来ペプチドにおいて置換されてもよく、PEG 分子に共有結合性に結合されてもよい。
【0029】
他の態様において、一または二以上の PEG 分子は、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアミノ基に共有結合性に結合されてもよい、またはキュプレドキシン由来ペプチドにランダムに共有結合性に結合されてもよい。
【0030】
キュプレドキシン由来ペプチドごとのPEG 分子の平均分子量は、約 200 〜 約 100,000 ダルトンであってもよい。キュプレドキシン由来ペプチドは、特に分枝状 PEG 分子が約 50 kDaである一または二以上の分枝状 PEG 分子に共有結合性に結合されてもよい。キュプレドキシン由来ペプチドは、特に直線状 PEG 分子が約 5 kDaである一または二以上の直線状 PEG 分子に共有結合性に結合されてもよい。
【0031】
本発明の別の側面は、修飾キュプレドキシン由来ペプチドおよび薬学的に許容される担体を含みえる薬学的組成物である。
【0032】
本発明の別の側面は、哺乳類が患うコンディションを治療するための方法であり、該方法は哺乳類に治療上効果的な量の修飾キュプレドキシン由来ペプチドを投与することを備えてもよい。特定の態様において、前記哺乳類はヒトである。
【0033】
本発明の別の側面は、一の単離されたペプチドである;該ペプチドはX1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号:48)のアミノ酸配列を含むか又はその配列からなり、配列中の
X1は、Lおよびアセチル化されたLからなる群から選択される;
X2は、TおよびWからなる群から選択される;
X3は、M, L およびVからなる群から選択される;
X4は、QおよびWからなる群から選択される;
X5は、GおよびAからなる群から選択される;
X6は、TおよびWからなる群から選択される;
X7は、G, T およびWからなる群から選択される;
X8は、M, L およびVからなる群から選択される;および
X9は、Dおよびアミド化されたDからなる群から選択される。
【0034】
本発明の別の側面は、一の単離されたペプチドである;該ペプチドはX1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号:49)のアミノ酸配列を含むか又はその配列からなり、配列中の
X1は、Dおよびアセチル化されたDからなる群から選択される;
X2は、M, L およびVからなる群から選択される;
X3は、G, T およびWからなる群から選択される;
X4は、TおよびWからなる群から選択される;
X5は、GおよびAからなる群から選択される;
X6は、QおよびWからなる群から選択される;
X7は、M, L およびVからなる群から選択される;
X8は、TおよびWからなる群から選択される;および
X9は、Lおよびアミド化されたLからなる群から選択される。
【0035】
本発明の別の側面は、配列番号50-3506の配列を含んでいるか又はその配列からなる単離されたペプチドである。
【0036】
[配列の簡単な説明]
配列番号1は、緑膿菌のwt-アズリンのアミノ酸配列である。
【0037】
配列番号2は、Phormidium laminosumのプラストシアニンのアミノ酸配列である。
【0038】
配列番号3は、Thiobacillus ferrooxidansのラスティシアニンのアミノ酸配列である。
【0039】
配列番号4は、Achromobacter cycloclastesのシュードアズリンのアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号5は、Pseudomonas syringaeのアズリンのアミノ酸配列である。
【0041】
配列番号6は、Neisseria gonorrhoeaeからのLazのアミノ酸配列である。
【0042】
配列番号7は、Neisseria meningitidesからのLazのアミノ酸配列である。
【0043】
配列番号8は、腸炎ビブリオ菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0044】
配列番号9は、気管支敗血症菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0045】
配列番号10は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンAのアミノ酸配列である。
【0046】
配列番号11は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンBのアミノ酸配列である。
【0047】
配列番号12は、百日咳菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0048】
配列番号13は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0049】
配列番号14は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜67アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0050】
配列番号15は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜128アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0051】
配列番号16は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜89アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0052】
配列番号17は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0053】
配列番号18は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜50アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0054】
配列番号19は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜66アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0055】
配列番号20は、緑膿菌のwt-アズリンの67〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0056】
配列番号21は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンBの57〜89アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0057】
配列番号22は、百日咳菌のアズリンの50〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0058】
配列番号23は、髄膜炎菌のLazタンパク質の89〜115アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0059】
配列番号24は、緑膿菌のアズリンの53〜70アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0060】
配列番号25は、緑膿菌のアズリンの53〜64アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0061】
配列番号26は、緑膿菌のアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0062】
配列番号27は、Pseudomonas syringaeのアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0063】
配列番号28は、腸炎ビブリオ菌のアズリンの52〜78アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0064】
配列番号29は、気管支敗血症菌のアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0065】
配列番号30は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態(variant form)に関する人工的な配列である。
【0066】
配列番号31は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0067】
配列番号32は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0068】
配列番号33は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0069】
配列番号34は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0070】
配列番号35は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0071】
配列番号36は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0072】
配列番号37は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0073】
配列番号38は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0074】
配列番号39は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0075】
配列番号40は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0076】
配列番号41は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0077】
配列番号42は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態関する人工的な配列である。
【0078】
配列番号43は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0079】
配列番号44は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0080】
配列番号45は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0081】
配列番号46は、アズリンの保存されたアミノ酸配列である(Dはアスパラギン酸であり、Gはグリシンであり、Yはチロシンであり、Kはリジンであり、Xは任意のアミノ酸である)。
【0082】
配列番号47は、アズリンの保存されたアミノ酸配列である(Dはアスパラギン酸であり、Gはグリシンであり、Yはチロシンであり、Kはリジンであり、Xは任意のアミノ酸である)。
【0083】
配列番号48は、緑膿菌のアズリンの50〜77への修飾を含む人工的な配列である。
【0084】
配列番号49は、緑膿菌のアズリンの50〜77のD-異性体への修飾を含む人工的な配列である。
【0085】
配列番号 50-3506は、修飾キュプレドキシン由来ペプチドの人工的な配列である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、標識したp18を注射されたマウスのマウス全体のスキャンのイメージを示す。IRDye(登録商標)標識したp18(125 μg)を静脈内に注射し、胸腺欠損マウス(athymic mice)をOdyssey(登録商標)赤外イメージングシステムを用い腫瘍および器官における標識色素を検出するために指摘された時間でスキャンした。
【図2】図2は、標識したp18を注射されたマウスのマウス全体および器官のスキャンのイメージを示す。125 μgのIRDye(登録商標)で標識したp18で静脈内に注射後120 h(屠殺の直前)。摘出した器官をスキャンし、右に示す。p18のシグナルは、腎臓およびMel-2腫瘍に見られた。
【図3】Mel-2を注射3週後にi.v.で投与した125ugのIRDye(登録商標)標識したp18を有するMel-2皮下腫瘍、Odyssey(登録商標)赤外スキャンを48時間後に行った。800 nm チャンネルで記録されたイメージは、IRDye(登録商標)からの特異的なp18シグナルを表し、および700 nmチャンネルでのシグナルはバックグラウンドを表す。p18のシグナルは、腎臓およびMel-2腫瘍に見られた。
【0087】
[態様の詳細な説明]
定義
本明細書中に使用される「細胞」の用語には、特に「単一細胞(single cell)」として記載されないかぎり、該用語の単数形または複数形の両方が含まれる。
【0088】
本明細書中に使用される、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」の用語は、アミノ酸残基のポリマーを意味させるために互換的に使用される。前記用語は、一または二以上のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーに適用される。前記用語は、天然のアミノ酸ポリマーにも適用される。「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」の用語は、糖鎖形成、脂質付着(lipid attachment)、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化、ヒドロキシル化、およびADP-リボシル化を含む修飾をも包括的に含むが、これらに限定されない。ポリペプチドは、必ずしも全体的に直線状であるとはかぎらない。一例を挙げると、ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分枝してもよく、環状であってもよく(分枝の有無)、これは一般的には天然のプロセシングを含む翻訳後修飾イベントおよび天然では生じないヒトの操作によって生じるイベントの結果である。環状の、分枝状の、および分枝環状(branched circular)のポリペプチドは、非翻訳的な天然のプロセスによって及び完全に合成的な方法によって合成しえる。合成ペプチドは、細胞成分の援助なしで作出されたものである。ペプチドを作出する合成法は、当該技術分野において周知であり、商業的に利用可能である。さらに、本発明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有および無メチオニン(methionine-less)のアミノ末端のバリアントの両方の使用が意図される。
【0089】
本明細書中に使用される「コンディション(condition)」の用語には、生きている動物又はその一部の正常状態を失うこと、身体機能の実行の中断または修正から構成される正常からの解剖的な及び生理的な逸脱が含まれる。
【0090】
本明細書中に使用される「細胞成長を阻害する(inhibit cell growth)」の用語は、細胞分裂および/または細胞増大(cell expansion)の緩徐化または中止(ceasing)を意味する。本用語には、細胞発生の阻害または細胞死の増加も含まれる。
【0091】
本明細書中に使用される「に罹患している(suffering from)」の用語には、コンディションからの回復における及びコンディションから回復した、現在観察可能な症状(symptoms)なしであってもコンディションを有しているコンディションの症状を呈していることが含まれる。
【0092】
本明細書中に使用される「治療(treatment)」の用語には、前記コンディションの又は治療されるコンディションに関連している症状の進行または重症度を、予防すること、低下させること、停止させること、又は好転させること(reversing)が含まれる。同様に、本明細書中に使用される「治療」の用語には、必要に応じて、医療的(medical)な、療法的(therapeutic)な、および/または予防的(prophylactic)な投与が含まれる。
【0093】
「治療上効果的な量(therapeutically effective amount)」は、被験者が治療される特定のコンディションまたは特定のコンディションに存在している症状の発生を効果的に予防する、低下させる、停止させる、又は好転させるために或いは係るコンディションを部分的に又は全体的に軽減するために効果的な量である。治療上効果的な量の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0094】
本明細書中に使用される「薬理的な活性(pharmacologic activity)」の用語は、生物系(biological system)における薬または他の化学の効果を意味する。化学の効果は、有益(治療的)または有害(毒性)であってもよい。純粋な化学薬品(pure chemical)または混合物は、天然起源(植物, 動物, またはミネラル)であってもよい又は合成の化合物であってもよい。
【0095】
本明細書中に使用される「前悪性(premalignant)」の用語は、コントロールされずに分裂する前癌性の又は異常になる前の細胞を意味する。
【0096】
本明細書中に使用される「薬物動態特性(pharmacokinetic property)」の用語は、生物体または宿主における活性因子(active agent)または薬の性質を記載するパラメータを意味する。代表的な薬物動態特性には、血漿半減期, 肝臓の第一次通過代謝, 容積分布, 血清タンパク(例えば、アルブミン)の度合, 結合, などが含まれる。
【0097】
本明細書中に使用される「血漿半減期(plasma half-life)」の用語は、投与された薬の半分が患者の血漿から生物代謝(biometabolism), 排泄などの生物学的なプロセスをとおして排除される時間を意味する。
【0098】
本明細書中に使用される「容積分布(volume of distribution)」の用語は、生物体の様々な区画(例えば、細胞内および細胞外のスペース, 組織および器官)をとおした薬の分布および保持の度合を意味する。この因子は、「見かけ上の容積分布(apparent volume of distribution)」またはVdとして表され、薬が分布する体の見積もり容積(estimated volume)である。大きいVdによって、薬が体をとおして広く分布し、長い半減期と関連するだろうことが示唆される。というのも、より小さい部分の薬が血漿に存在し、除去ポイント(腎臓および肝臓)に送達されるだろうからである。
【0099】
本明細書中に使用される「血清結合の度合(degree of blood serum binding)」の用語は、血液の血清タンパク質(例えば、アルブミン)によって結合される薬の性向を意味する。
【0100】
本明細書中に使用される「有効性(efficacy)」の用語は、意図する目的のための活性因子の特定の有効性(即ち、所望の薬理的な効果を生じる所与の活性因子の能力)を意味する。
【0101】
本明細書中に使用される「比活性(specific activity)」の用語は、所与の時間、酵素のミリグラムごとの所与の条件下で、酵素によって形成される産物の量を意味する。比活性は、反応の容積を乗じ、酵素の量で除した反応の速度(rate of reaction)と等しい。輸送ペプチドの場合において、比活性は、所与の時間、輸送ペプチドまたは輸送ペプチドカーゴ複合体のミリグラムごとの所与の条件下で、細胞にインターナライズされる輸送ペプチドまたは輸送ペプチドカーゴ複合体(transport peptide-cargo complex)の量である。
【0102】
本発明のタンパク質または他の細胞の産物を修飾するために使用する場合、本明細書中に使用される「実質的に純粋(substantially pure)」の用語は、例えば、増殖培地または細胞内容物(cellular contents)から単離され、他のタンパク質および/または活性な阻害化合物から実質的に遊離されるか又は混ぜられていない(unadulterated)形態のタンパク質を意味する。「実質的に純粋(substantially pure)」の用語は、単離された分画の少なくとも約 75%の乾燥重量または少なくとも「75%実質的に純粋」な量の因子を意味する。より具体的には、「実質的に純粋」の用語は、活性な化合物の乾燥重量の少なくとも約 85%の又は少なくとも「85%の実質的に純粋」な化合物を意味する。最も具体的には、「実質的に純粋」の用語は、活性な化合物の乾燥重量の少なくとも約 95%の又は少なくとも「95%の実質的に純粋」な化合物を意味する。また、「実質的に純粋」の用語は、例えば、合成タンパク質が試薬から単離される及び合成反応の副産物である場合、合成的に作出されたタンパク質または化合物を修飾するためにも使用しえる。
【0103】
本発明のペプチドまたは化合物を意味する場合、本明細書中に使用される「医薬品グレード」の用語は、通常その天然の状態で見出される物質に伴う成分から実質的(substantially)に又は本質的(essentially)に単離されたペプチドまたは化合物(合成試薬および副産物が含まれる)であり、医薬品としての使用を損なわれないだろう成分から実質的に又は本質的に単離される。例えば、「医薬品グレード」のペプチドは、発癌物質から単離してもよい。幾つかの例において、「医薬品グレード」は、患者への静脈内投与に不適切な組成を与えるだろう任意の物質から実質的に又は本質的に単離されたペプチドまたは化合物を特定するための、意図した投与する方法によって修飾されてもよい(例えば、静脈内医薬品グレード)。例えば、「静脈内医薬品グレード」のペプチドは、洗剤(例えば、SDS)、および抗細菌剤(例えば、アジド)から単離されてもよい。
【0104】
「単離された(isolated)」、「精製された(purified)」、または「生物学的に純粋(biologically pure)」の用語は、通常本来の状態(native state)で見出される物質にともなう成分から実質的に又は本質的に遊離した物質を意味する。従って、本発明の単離されたペプチドは、好ましくは前記ペプチドとそれらのインサイチュー環境で通常関連する物質を含有しない。「単離された」領域は、前記領域が由来するポリペプチドの全配列(whole sequence)を含まない領域を意味する。「単離された」核酸、タンパク質、またはそれぞれのその断片は、当業者にヌクレオチドシークエンシング, 制限消化, 部位特異的突然変異誘発, および核酸断片の発現ベクターへのサブクローニング、同様に、タンパク質またはタンパク質フラグメントの実質的に純粋な品質での取得など(しかし、限定されない)によって操作されえるように、そのインビボ環境から実質的に除去される。
【0105】
本明細書中に使用される「野生型(wild-type)」の用語は、ペプチドを参照し、そのペプチドが天然のものと同じ配列を有することを意味する。
【0106】
ペプチドに関連して本明細書中に使用される「バリアント(variant)」の用語は、野生型ポリペプチドと比較して、置換され、欠失され、または挿入されたアミノ酸を有しえるアミノ酸配列バリアントを意味する。バリアントは、野生型ペプチドの短縮型(truncations)であってもよい。「欠失(deletion)」は野生型タンパク質内からの一または二以上のアミノ酸の除去であり、「短縮(truncation)」は野生型タンパク質の一または二以上の末端(ends)からの一または二以上のアミノ酸の除去である。従って、バリアントペプチドは、前記ポリペプチドをコード化している遺伝子を操作することによって作出されてもよい。バリアントは、基礎の組成物またはポリペプチドの特性を、変更させることで作出しえる(少なくとも幾つかのその基本的な薬理的な活性ではない)。例えば、緑膿菌の輸送ペプチドの「バリアント(variant)」は、癌細胞に進入する能力を保持している変異した緑膿菌輸送ペプチドであってもよい。幾つかのケースにおいて、バリアントペプチドは、ε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-Lys残基などの非天然のアミノ酸で合成される。(Ghadiri & Fernholz, J. Am. Chem. Soc., 112:9633-9635 (1990))。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して20, 19, 18, 17 または16アミノ酸以下が置換され、欠失され、または挿入される。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して15, 14, 13, 12 または11アミノ酸以下が置換され、欠失され、または挿入される。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して10, 9, 8または7アミノ酸以下が置換され、欠失され、または挿入される。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して6アミノ酸以下が置換され、欠失され、または挿入される。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して5または4アミノ酸以下が置換され、欠失され、または挿入される。幾つかの態様において、前記バリアントは、野生型ペプチド又はその部分と比較して3, 2 または1アミノ酸以
下が置換され、欠失され、または挿入される。
【0107】
本明細書で使用される「アミノ酸」の用語は、任意の天然の又は非天然の又は合成のアミノ酸残基〔即ち、直接的に1、2、3以上の炭素原子、典型的には1つの(α)炭素原子によって連結された少なくとも1つのカルボキシルおよび少なくとも1つのアミノ残基を含んでいる任意の部分〕を含むアミノ酸部分(amino acid moiety)を意味する。アミノ酸は、アミノ酸のL-異性体またはD-異性体であってもよい。
【0108】
ペプチドに関連して本明細書中に使用される「誘導体(derivative)」の用語は、被験者のペプチドに由来するペプチドを意味する。誘導(derivation)には、なおも前記ペプチドがある程度の基礎的な薬理的な活性を維持するようなペプチドの化学的な修飾が含まれる。例えば、緑膿菌の輸送ペプチドの「誘導体」は、癌細胞に進入する能力を保持している化学的に修飾された緑膿菌輸送ペプチドであってもよい。所望の化学的な修飾には、ペプチドのアミド化, アセチル化, 硫酸化(sulfation), ポリエチレングリコール(PEG)修飾, リン酸化またはグリコシル化が含まれるが、これらに限定されない。加えて、誘導体ペプチドは、化学物質(chemical compound)にポリペプチドを融合させたものであってもよく、例えば、別のペプチド, 薬分子(drug molecule)または他の療法的なもしくは薬学的な剤又は検出可能なプローブであるが、これらに限定されない。
【0109】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性〔percent (%) amino acid sequence identity〕」の用語は、2つの配列が整列された場合に、候補配列中のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド中のアミノ酸残基のパーセンテージとして規定される。%アミノ酸同一性を決定するために、配列が必要に応じて整列される。ギャップは、最大%配列同一性を達成するために導入される;保存性の置換は、配列同一性の一部として考慮されない。パーセント同一性を決定するためのアミノ酸配列アライメント処理は、当業者に周知である。しばしば、公共で利用可能なコンピュータソフトウェア〔例えば、BLAST, BLAST2, ALIGN2またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア〕を使用して、ペプチド配列が整列される。特定の態様において、Blastp(National Center for Biotechnology Information, Bethesda MDから利用可能)を、初期設定パラメータ〔long complexity filter, expect 10, word size 3, existence 11 and extension 1〕で使用した。
【0110】
アミノ酸配列が整列される場合に、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bと(所与のアミノ酸配列Bで、又は、所与のアミノ酸配列Bに対して)の%アミノ酸配列同一性〔これは、所与のアミノ酸配列Bと(所与のアミノ酸配列Bで、又は、所与のアミノ酸配列Bに対して)特定の%アミノ酸配列同一性を有する又は具備する所与のアミノ酸配列Aとして、代替的に表現してもよい〕は、以下のように計算することができる:
%アミノ酸配列同一性=X/Y*100
式中で
Xは、配列アラインメントプログラムの又はアルゴリズムのAおよびBのアライメントによって、同一性マッチ(identical matches)であると評価されたアミノ酸残基の数であり、
Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。
【0111】
アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AとBとの%アミノ酸同一性はBとAとの%アミノ酸同一性と等しくない。長配列(longer sequences)と短配列(shorter sequences)とを比較する場合、短配列は「B」配列である。例えば、短縮型ペプチド(truncated peptides)を対応する野生型ポリペプチドと比較する場合、短縮型ペプチドが「B」配列である。
【0112】
一般
本発明は、キュプレドキシンの一または二以上の薬理的な活性を維持するキュプレドキシン由来ペプチドに関し、これは改善した安定性, 比活性, 血流中の半減期, および/または減少した免疫原性などの改善した薬物動態特性を有するものであってもよい。加えて、本発明は、キュプレドキシンの一または二以上の薬理的な活性を維持し、改善した薬物動態特性を有する修飾キュプレドキシン由来ペプチドから由来する化合物に関する。最後に、本発明は、哺乳類の患者が患う様々なコンディションを治療および/または診断するための及び哺乳類の患者が患う様々なコンディションを研究するための、修飾キュプレドキシン由来ペプチド及びそれから作出された化合物を使用する方法に関する。
【0113】
組成物
本発明は、キュプレドキシン由来ペプチドの修飾体であるペプチドに関し、これは改善した薬物動態特性を有している。幾つかの態様において、これらの修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシンの少なくとも一つの薬理的な活性を保持する。幾つかの態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、単離された、実質的に純粋な、または医薬品グレードである。特定の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、静脈内医薬品グレードである。
【0114】
キュプレドキシン(および具体的には、緑膿菌からのアズリン)は、哺乳類の患者を治療および/または診断するために及び哺乳類の患者が患っているコンディションの研究を実施するために有用な幾つかの有用な薬理的な活性を有していることが知られている。例えば、多くのキュプレドキシンタンパク質(例えば、緑膿菌アズリン)は、多くのタイプの哺乳類の癌細胞に特異的に進入する及び殺傷する能力を有している。Yamada et al., Cell. Biol. 7:1418-1431 (2005); Hiraoka et al., PNAS 101:6427-6432 (2004); Hiraoka et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 338:1284-1290 (2005); 米国特許出願第11/244,105号(2005年10月6日出願); 米国特許出願第10/720,603号(2003年11月24日出願); 米国特許出願第 10/047,710号(2002年1月15日出願); 米国特許出願第 11/485,252号(2006年7月13日出願)、これらの全てが本明細書中に参照によってその全体が援用される。また、P.aeruginosaからのアズリンは、ウイルス性または細菌性の感染、および、より具体的には、末梢血単核球のHIV-1感染の成長を阻害すること及びマラリア感染した哺乳類の赤血球の寄生虫血症を阻害することも知られている。Chaudhari et al., Cell Cycle. 5:1642-1648 (2006); 米国特許出願第11/436,591号(2006年5月19日出願); 米国特許出願第11/436,590号(2006年5月19日出願)、これら両方が本明細書中に参照によってその全体が援用される。また、P.aeruginosaからのアズリンは、多様な哺乳類の細胞および組織でエフリンシグナル伝達に干渉することも知られている。米国特許出願第11/436,592(2006年5月19日出願)、この出願は本明細書中に参照によってその全体が援用される。さらに、P.aeruginosaのアズリンから由来するペプチドは、哺乳類細胞および具体的にはヒト臍静脈内皮細胞(HUVECs)における血管形成を阻害することが知られている。米国特許出願第11/488,693(2006年7月19日出願)、この出願は本明細書中に参照によってその全体が援用される。幾つかの態様において、本発明の修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、由来するキュプレドキシンの少なくとも一つの薬理的な活性を保持する。キュプレドキシンの薬理的な活性は、任意のキュプレドキシンの有用な活性であってもよい。特に所望の薬理的な活性には、哺乳類癌細胞に特異的に進入する能力、非癌性の哺乳類細胞に進入することが不能、前癌状態の哺乳類細胞に進入する能力、哺乳類癌細胞を殺傷する能力、前癌状態の哺乳類細胞を殺傷する能力、ウイルス性または細菌性の感染の成長を阻害する能力、末梢血単核球におけるHIV-1感染を阻害する能力、マラリア感染した赤血球におけるマラリアによる寄生虫血症を阻害する能力、および哺乳類細胞(特に、HUVECs)における血管形成を阻害する能力が含まれるが、これらに限定されない。前記ペプチドの薬理的な活性の量を測定する方法は、上記で参照した出願および文献に提供される。
【0115】
キュプレドキシン由来ペプチドは、任意のキュプレドキシン、またはキュプレドキシンのバリアント、誘導体もしくは構造上の均等物であってもよい。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシンの少なくとも一つの薬理的な活性を保持する。幾つかの態様において、前記キュプレドキシンは、アズリン, プラストシアニン, ラスティシアニン(rusticyanin), シュードアズリン, アウラシアニン(auracyanin)またはアズリン様タンパク質であってもよいが、これらに限定されない。
【0116】
キュプレドキシン由来ペプチドは任意の生物体からのものであってもよく、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa), Phormidium laminosum, Thiobacillus ferrooxidans, Achromobacter cycloclastes, Pseudomonas syringa, 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis), 腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus), 気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica), 百日咳菌(Bordetella pertussis), Chloroflexus aurantiacusおよび淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、キュプレドキシンはアズリンであってもよく、具体的にはPseudomonas syringae. 淋菌, 腸炎ビブリオ菌, または気管支敗血症菌が含まれるが、これらに限定されない生物体からのアズリンであってもよい。
【0117】
キュプレドキシン由来ペプチドは、任意のキュプレドキシンのバリアント、誘導体もしくは構造上の均等物であってもよい。キュプレドキシン由来ペプチドは、任意の当該技術分野において既知の及び/又は前の出願に記載されたキュプレドキシンペプチドであってもよく、これには以下のものなどが含まれる:
米国特許出願第 11/244,105号(2005年10月6日出願);
米国特許出願第 10/720,603号(2003年11月24日出願);
米国特許出願第 10/047,710号(2002年1月15日出願);
米国特許出願第 11/485,252号(2006年7月13日出願);
米国特許出願第 11/436,591号(2006年5月19日出願);
米国特許出願第 11/436,590号(2006年5月19日出願);
米国特許出願第 11/436,592号(2006年5月19日出願);
および;
米国特許出願第 11/488,693号(2006年7月19日出願)。全てのこれらの出願は、本明細書中にその全体が参照によって明示的に援用される。ある態様において、前記ペプチドは単離される。ある態様において、前記ペプチドは、実質的に純粋または医薬品グレードである。他の態様において、前記ペプチドは、前記ペプチドを含む又は前記ペプチドから本質的になる(consists essentially of)組成物に存在する。別の特定の態様において、前記ペプチドは、哺乳類(より具体的には、ヒト)の免疫応答を生じさせない。
【0118】
キュプレドキシン由来ペプチドは、野生型キュプレドキシンと比較して、置換され、欠失され、または挿入されたアミノ酸を有するアミノ酸配列バリアントであってもよい。これらのバリアントは、野生型キュプレドキシンの短縮型であってもよい。キュプレドキシン由来ペプチドは、完全長の野生型ポリペプチド未満であるキュプレドキシンの領域を含む。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、短縮型キュプレドキシンの約10残基以上、約15残基以上、または約20残基以上を含む。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、短縮型キュプレドキシンの約100残基以下, 約50残基以下, 約40残基以下, 約30残基以下または約20残基以下を含む。幾つかの態様において、キュプレドキシンは、キュプレドキシン由来ペプチド(より具体的には、配列番号1〜12)に対し、少なくとも約 70% アミノ酸配列同一性, 少なくとも約 80% アミノ酸配列同一性, 少なくとも約 90% アミノ酸配列同一性, 少なくとも約 95% アミノ酸配列同一性または少なくとも約 99% アミノ酸配列同一性を有する。
【0119】
特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、P.aeruginosaのアズリン残基50〜77, アズリン残基50〜67, またはアズリン残基36〜88を含む。他の態様において、キュプレドキシンのバリアントは、緑膿菌のアズリン残基50〜77, アズリン残基50〜67, またはアズリン残基36〜88からなる。他の特定の態様において、前記バリアントは、そのアズリンではないキュプレドキシンの均等な残基からなる。別のキュプレドキシンの均等な残基を決定するために、BLAST, BLAST2, ALIGN2 またはMegalign (DNASTAR)を用いて、対象のキュプレドキシンのアミノ酸配列を緑膿菌のアズリン配列と整列させ、緑膿菌アズリンのアミノ酸配列に局在する関連性のある残基、および対象のキュプレドキシン配列に見出される均等な残基、および均等なペプチドが設計される。
【0120】
本発明の一態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンBの少なくともアミノ酸57〜89を含む(配列番号21)。本発明の別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、Pseudomonas syringaeのアズリンの少なくともアミノ酸51〜77(配列番号27)を含む。本発明の別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、髄膜炎菌Lazの少なくともアミノ酸89〜115(配列番号23)を含む。本発明の別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、腸炎ビブリオ菌のアズリンの少なくともアミノ酸52〜78(配列番号28)を含む。本発明の別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、気管支敗血症菌のアズリンの少なくともアミノ酸51〜77(配列番号29)を含む。
【0121】
キュプレドキシン由来ペプチドには、合成のアミノ酸で作出された天然ではないペプチドも含まれる。例えば、非天然のアミノ酸をバリアントペプチドへと統合して、血流中の組成物の半減期を延長又は至適化しえる。係るバリアントには、D,L-ペプチド類(ジアステレオマー), (例えば、Futaki et al., J. Biol. Chem. 276(8):5836-40 (2001); Papo et al., Cancer Res. 64(16):5779-86 (2004); Miller et al, Biochem. Pharmacol. 36(1):169-76, (1987).を参照されたい);異常なアミノ酸を含んでいるペプチド(例えば、Lee et al., J. Pept. Res. 63(2):69-84 (2004)を参照されたい), オレフィンを含有している非天然アミノ酸を炭化水素ステープリング(hydrocarbon stapling)したもの(例えば、Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122:5891-5892 (2000); Walenski et al., Science 305:1466-1470 (2004)を参照されたい), およびε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-Lys残基を含んでいるペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシンの誘導体である。キュプレドキシンの誘導体は、なおも前記ペプチドがある程度の基礎的な薬理的な活性を維持するようなペプチドの化学的な修飾体である。例えば、アズリンの「誘導体」は、哺乳類の癌細胞の成長を阻害する能力を保持している化学的に修飾されたアズリンであってもよい。所望の化学的な化学的な修飾には、ペプチドの炭化水素ステープリング, アミド化, アセチル化, 硫酸化(sulfation), ポリエチレングリコール(PEG)修飾, リン酸化およびグリコシル化が含まれるが、これらに限定されない。加えて、誘導体ペプチドは、化学物質(chemical compound)にキュプレドキシン、またはそのバリアント、誘導体、または構造上の均等物を融合させたものであってもよく、例えば、別のペプチド, 薬分子(drug molecule)または他の療法的なもしくは薬学的な剤又は検出可能なプローブであるが、これらに限定されない。所望の誘導体には、本発明のペプチドおよび組成物の血流中の半減期が当業者に周知の幾つかの方法などによって延長させる又は至適化することができる化学的な修飾体が含まれ、これには環状化ペプチド〔例えば、Monk et al., BioDrugs 19(4):261-78, (2005); DeFreest et al., J. Pept. Res. 63(5):409-19 (2004)を参照されたい〕, N-およびC末端の修飾〔例えば、Labrie et al., Clin. Invest. Med. 13(5):275-8, (1990)を参照されたい〕, およびオレフィン含有非天然アミノ酸(olefin-containing non-natural amino acid)を炭化水素ステープリングしたもの〔例えば、Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122:5891-5892 (2000); Walenski et al., Science 305:1466-1470 (2004)を参照されたい〕が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
別の態様において、前記ペプチドは、キュプレドキシンの構造上の均等物またはキュプレドキシンの短縮型である。キュプレドキシンおよび他のタンパク質の間の有意な構造上の相同性を決定する試験の例には、Toth等〔Developmental Cell 1:82-92 (2001)〕が含まれる。具体的には、キュプレドキシンおよび前記構造上の均等物の間の有意な構造上の相同性は、VASTアルゴリズムを用いて決定される。Gibrat et al., Curr Opin Struct Biol 6:377-385 (1996); Madej et al., Proteins 23:356-3690 (1995)。特定の態様において、キュプレドキシンおよび前記構造上の均等物の構造比較からのVAST p値は、約10-3未満、約10-5未満、または約10-7未満である。他の態様において、キュプレドキシンおよび前記構造上の均等物の間の有意な構造上の相同性は、DALIアルゴリズムを用いて決定される。Holm & Sander, J. Mol. Biol. 233:123-138 (1993)。特定の態様において、ペアワイズ構造比較に関するDALI Zスコアは、少なくとも約3.5, 少なくとも約7.0, または少なくとも約10.0である。
【0124】
所望の一つの特定のキュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシンの進入ドメインとカーゴ化合物(cargo compound)との融合体である。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、哺乳類の癌細胞に特異的に進入しえるので、カーゴ化合物を細胞(特に、癌細胞)に送達するために使用しえる。キュプレドキシン輸送ペプチドは、キュプレドキシン進入ドメインを含む。「キュプレドキシン進入ドメイン(cupredoxin entry domain)」の用語は、キュプレドキシンが哺乳類癌細胞へと進入するために必要とされるアミノ配列を含むキュプレドキシンの断片を意味する。特定の態様において、キュプレドキシン輸送ペプチドは、配列番号13-17または別のキュプレドキシンからの均等な残基である。本発明は、薬物動態特性を改善するために修飾されているカーゴ化合物と複合体を形成しているキュプレドキシン輸送ペプチドを包含する。カーゴ化合物、同様に、キュプレドキシン輸送ペプチドは、薬物動態特性を改善する本明細書中に記載される方法によって修飾されえる。これらの複合体が本発明の方法に使用されて、カーゴ化合物を哺乳類の癌細胞に送達し、癌を患う患者を治療することができる。本発明の材料および方法によって送達されるカーゴ化合物には、タンパク質, リポタンパク質, ポリペプチド, ペプチド, ポリサッカライド, 核酸(アンチセンス核酸を含む), 色素, 蛍光および放射性のタグ, 微小粒子またはナノ粒子, 毒素, 無機および有機の分子, 小分子, および薬物が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、前記薬物および毒素は、腫瘍細胞を殺傷する。係るキュプレドキシン輸送ペプチド類とそれらで作出された複合体とは、本明細書中に参照によってその全体が援用される米国特許出願第11/244,105(2005年10月6日出願)に提供される。
【0125】
幾つかの態様において、所望の薬理的な活性を有しているキュプレドキシンのなかで保存されたキュプレドキシン由来ペプチドにおけるアミノ酸残基は、改善した薬物動態特性を有している修飾キュプレドキシン由来ペプチドにおいて保存されている。例えば、緑膿菌アズリンのキュプレドキシン進入ドメイン内で幾つかの残基が幾つかの種(緑膿菌, Pseudomonas syringae, 淋菌, 腸炎ビブリオ菌, およびBordetella bronchiseptica)のアズリンおよびアズリン様タンパク質の間で保存されていることが知られている。Yamada et al., Cell. Microbiol. 7:1418-1431 (2005)。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、P.aeruginosaのアズリン(配列番号1)の残基62, 63, 69, 72, 74 および 77に対応する一または二以上のアミノ酸残基を保持している。別の態様において、キュプレドキシンペプチドは、保存されたアミノ酸配列DGXXXXXDXXYXKXXD(配列番号46)またはDGXXXXDXXYXKXXD(配列番号47)を具備する(式中のDはアスパラギン酸であり, Gはグリシンであり, Yはチロシンであり, Kはリジンであり, およびXは任意のアミノ酸である)。
【0126】
修飾
本発明はキュプレドキシン由来ペプチドの修飾に関し、その修飾はバリアントまたは誘導体であり、特定の態様において一または二以上の薬理的な活性が維持される、及び/又は前記ペプチドの薬物動態特性を改善する。これらの修飾には、哺乳類の癌細胞に進入するため及び/又は哺乳類の癌細胞の成長を阻害するためにキュプレドキシンの能力を保持している間に、安定性、比活性、血漿半減期を増加および/またはキュプレドキシン由来ペプチドの免疫原性を減少しえるペプチドのバリアントおよび誘導体が含まれるが、これらに限定されない。係るバリアントには、ペプチドの加水分解を減少させる、ペプチドの脱アミドを減少させる、酸化を減少させる、免疫原性を減少および/またはペプチドの構造上の安定性を増加させるものが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に記載される二または三以上の修飾が一つの修飾キュプレドキシン由来ペプチドで組み合される、同様に、本明細書中に記載される一または二以上の修飾と他の修飾とを組み合わせて当該技術分野において周知の薬物動態特性が改善されることが意図される。係るバリアントおよび誘導体を設計するための多くの方法は、当該技術分野において周知である。
【0127】
生体内変換
ペプチドの薬物動態特性を改善するための一つのアプローチは、生体内変換(biotransformation)への感受性が低いキュプレドキシン由来ペプチドのバリアントおよび誘導体を作出することである。生体内変換によって、前記ペプチドの薬理的な活性が減少しえる、同様に、患者の体から排除される割合が増加しえる。この事項を達成する一つの様式は、生体内変換される可能性が最も高いアミノ酸 および/またはアミノ酸配列を決定すること及びこれらのアミノ酸を特定の変形させることが可能なプロセスに感受性がないもので置換することである。
【0128】
加水分解は、一般にアスパラギン酸を含んでいるペプチドにおいて問題である。アスパラギン酸は環状イミド中間体を形成する脱水に感受性であり、アスパラギン酸が潜在的に不活性のイソ-アスパラギン酸アナログに転換され、最終的にはペプチド鎖が切断される。例えば、ペプチド配列におけるアスパラギン酸--プロリンの存在下で、環状イミド中間体の酸触媒形成によってペプチド鎖の切断が生じえる。同様に、ペプチド配列におけるアスパラギン酸--グリシンの存在下で、環状の中間体はオリジナルのアスパラギン酸形態(無害)に又はイソ-アスパラギン酸アナログに加水分解されえる。最終的に、全てのアスパラギン酸形態が、完全にイソ-アスパラギン酸アナログに転換されえる。同様に、セリンを有している配列も、脱水してペプチド鎖を切断できる環状イミド中間体を形成できる。ペプチドの切断は、血漿半減期の減少、同様に、ペプチドの特異的な薬理的な活性の減少を生じえる。
【0129】
キュプレドキシン由来ペプチドの配列における他のアミノ酸をアスパラギンおよび/またはセリンに置換することによって、ペプチドの長い血漿半減期および薬理的な活性の比活性の増加などの改善した薬物動態特性を有するペプチドを生じることが意図される。一つの意図されるバリアントにおいて、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアスパラギン残基は、別のアミノ酸残基(特に、グルタミン酸残基)で置換されてもよい。別の意図されるバリアントにおいて、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のセリン残基は、別のアミノ酸残基(特に、スレオニン残基)で置換されてもよい。キュプレドキシン由来ペプチドの幾つかのバリアントにおいて、一または二以上の アスパラギン残基および一または二以上のセリン残基が置換される。幾つかの態様において、保存性の置換がなされる。他の態様において、非保存性の置換がなされる。
【0130】
アミノ酸残基の脱アミドは、生体内変換において特に問題である。この塩基触媒反応(base-catalyzed reaction)は、頻繁にアスパラギン--グリシンまたはグルタミン--グリシンを含んでいる配列に発生し、上記のアスパラギン酸--グリシン配列に類似する機構にしたがう。アスパラギン--グリシン配列の脱アミド化によって、環状イミド中間体が形成され、引き続いて加水分解されてアスパラギン酸またはアスパラギンのイソ-アスパラート(asparate)アナログを形成する。加えて、環状イミド中間体によって、アスパラギンのD-アスパラギン酸またはD-イソ-アスパラギン酸アナログへのラセミ化を誘導できる(その全ては、潜在的に前記ペプチドの不活性形態を導くことができる)。
【0131】
キュプレドキシンペプチドにおける脱アミドは、キュプレドキシンのアスパラギン--グリシンまたはグルタミン-グリシン配列のグリシン, アスパラギンおよび/またはグルタミンを別のアミノ酸で置換することによって予防されえること並びに改善した薬物動態特性(例えば、ペプチドの長い血漿半減期および薬理的な活性の比活性の増加)を有するペプチドを生じえることが意図される。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のグリシン残基は、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のグリシン残基は、スレオニンまたはアラニン残基で置換される。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアスパラギンまたはグルタミン残基は、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアスパラギンまたはグルタミン残基は、アラニン残基で置換される。他の特定の態様において、P.aeruginosaアズリン(配列番号1)の残基58 および/または 63でのグリシン、または他のキュプレドキシンの均等なグリシンは、アラニンまたはスレオニンで置換される。他の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン(配列番号 1)の残基 59でのメチオニン、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等なメチオニン残基は、アラニン残基で置換される。他の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン(配列番号 1)の残基 63でのグリシン、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等なグリシン残基は、スレオニン残基で置換される。幾つかの態様において、保存性の置換がなされる。他の態様において、非保存性の置換がなされる。特定の態様において、本発明の修飾キュプレドキシン由来ペプチドは以下の配列を含み、その配列中の下線を付したアミノ酸は野生型の緑膿菌アズリン配列に置換される:
LSTAADMQAVVTDTMASGLDKDYLKPDD (配列番号30)。
【0132】
アミノ酸の可逆的および不可逆的な酸化は、キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性、および/または血漿半減期を減少させる問題がおきる可能性がある他の生体内変換プロセスである。システインおよびメチオニン残基は、可逆的な酸化を経験する主な残基である。システインの酸化は高いpHで促進的であり、この条件でチオールが容易に脱プロトン化され、容易に鎖内または鎖間のジスルフィド結合を形成する。これらのジスルフィド結合は、容易にインビトロでジチオスレイトール(DTT)またはトリス(2-カルボキシルエチルホスフィン)塩酸塩(TCEP)で処理することによってもとに戻すことができる。メチオニンは化学的な及び光化学的な経路で酸化されて、メチオニンスルフォキシドを形成し、さらにメチオニンスルホンを形成する(その双方をもとに戻すことはほとんど不可能である)。
【0133】
キュプレドキシン由来ペプチドにおける酸化が、メチオニン および/または システイン残基を他の残基で置換することによって予防されることが意図される。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のメチオニンおよび/またはシステイン残基は、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、メチオニン残基は、ロイシンまたはバリン残基で置換される。他の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン(配列番号 1)の残基56 および 64での一または二以上のメチオニン、または他のキュプレドキシン由来ペプチドにおける均等なメチオニン残基は、ロイシンまたはバリンで置換される。幾つかの態様において、保存性の置換がなされる。他の態様において、非保存性の置換がなされる。特定の態様において、本発明のキュプレドキシンペプチドは以下の配列の一つを含み、その配列中の下線を付したアミノ酸は野生型の緑膿菌アズリン配列に置換される:
LSTAADLQGVVTDGLASGLDKDYLKPDD (配列番号31)または
LSTAADVQGVVTDGVASGLDKDYLKPDD (配列番号32)。
【0134】
キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性, 血漿半減期および/または免疫原性に影響しえる別の生体内変換プロセスは、ジケトピペラジンおよびピログルタミン酸の形成である。通常、ジケトピペラジン形成は、グリシンがN-末端から第三のポジションにある場合(特に、プロリンまたはグリシンがポジション 1または2にある場合)に生じる。反応には第二および第三のアミノ酸の間のアミドカルボニルにおけるN末端窒素の求核攻撃が関与し、これによってジケトピペラジンの形態の最初の二つの切断が誘導される。他方で、グルタミンがN-末端にある場合、ピログルタミン酸形成は殆んど回避不能であろう。これは、N末端窒素がグルタミンのカルボニル炭素側鎖に攻撃して、脱アミノ化したピログルタミル化ペプチドアナログを形成する類似する反応である。この転換は、N末端においてアスパラギンを含んでいるペプチドにも生じるが、程度は低い。
【0135】
ジケトピペラジンおよびピログルタミン酸の形成が、キュプレドキシン由来ペプチドにおいて、ペプチドのN末端からポジション 1, 2, または3におけるグリシン, N末端からポジション 3におけるプロリン, またはN末端でのアスパラギンを別のアミノ酸残基で置換することによって減少しえることが意図される。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション1, 2 または3におけるグリシンは、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、グリシン残基は、スレオニンまたはアラニン残基で置換される。別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション3でのプロリンは、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、プロリンは、アラニン残基で置換される。別の態様において、N末端でのアスパラギンは、別のアミノ酸残基で置換される。特定の態様において、アスパラギン残基は、グルタミン残基で置換される。幾つかの態様において、保存性の置換がなされる。他の態様において、非保存性の置換がなされる。
【0136】
キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性, 血漿半減期および/または免疫原性に影響しえる別の生体内変換プロセスは、ラセミ化である。この用語を緩く使用して、アミノ酸またはペプチドのキラル統合(chiral integrity)の全体的な欠損が言及される。ラセミ化には、アミノ酸の一つの鏡像異性体(通常、L型)のL-およびD-エナンチオマーの1:1混合物への塩基触媒転換(base-catalyzed conversion)が関与する。一般的に、ペプチドの安定性を改善する一つの様式は、レトロインベルソ(D-異性体)ペプチドによってなされる。ペプチド構造の二重反転によって、しばしば側鎖は無傷(intact)の表面トポロジーのままである(これは生物学的に活性なペプチドを安定化するために広範に使用されてきた)。Snyder et al., PLoS Biol. 2:0186-0193 (2004)。D-アミノ酸置換したTatは、細胞にインターナライズされる(L-アミノ酸ペプチドと同様)。Futaki et al., J. Biol. Chem. 276:5836-5840 (2001); Huq et al., Biochemistry 38:5172-5177 (1999)。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアミノ酸残基は、そのアミノ酸残基のD-異性体で置換される。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの全てのアミノ酸残基は、これらの残基のD-異性体で置換される。一態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、キュプレドキシン由来ペプチドのレトロインベルソ(D-異性体)バージョンである。特定の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、
DDPKLYDKDLGSAMGDTVVGQMDAATSL (配列番号45)である。
【0137】
生体内変換性のデグラデーションからキュプレドキシン由来ペプチドを防御する他の方法は、N-アセチル化 および C-アミド化である。これらの誘導体によって、ペプチドをデグラデーションから防御しえる及び本来(native)のタンパク質におけるアルファーアミノおよびカルボキシル基の電荷状態を厳密に模倣するキュプレドキシン由来ペプチドを作出しえる。N-アセチル化 および/または C-アミド化を有するペプチドは、販売者によって提供されえる。本発明の一態様において、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端がアセチル化されえる。本発明の別の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドのC-末端がアミド化されえる。特定の一態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、
アセチル化-LSTAADMQGVVTDGMASGLDKDYLKPDD-アミド化 (配列番号33)である。
【0138】
三次構造安定化
キュプレドキシン由来ペプチドの三次構造の安定性は、とりわけ薬理的な活性, 血漿 半減期, および/または免疫原性を含む薬物動態の殆どの側面に影響する。Kanovsky et al., Cancer Chemother. Pharmacol. 52:202-208 (2003); Kanovsky et al., PNAS 23:12438-12443 (2001)を参照されたい。ペプチドのラセンはしばしばランダムコイルになり、プロテアーゼの攻撃に感受性となり、細胞膜を良好に浸透しない可能性がある。Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc. 122:5891-5892 (2000)。従って、ペプチドの全体構造を安定化する一つの様式は、ペプチドのαヘリックス構造を安定化することである。ヘリックス形成と関連する分子内の水素結合によって、極性のアミドバックボーンの曝露が減少し、輸送ペプチドにおける膜浸透への障壁が減少し、関連する薬理的な活性が増加し、ペプチドのプロテアーゼ切断に対する抵抗性が増加する(Id)。緑膿菌アズリン(配列番号 1)は、残基53-56, 58-64 および 68-70でαヘリックスを有する。
【0139】
αラセンを安定化する一つの方法は、αヘリックスにおけるヘリックス破壊アミノ酸残基(例えば、グリシン, プロリン, セリン および アスパラギン酸)、またはヘリックス中和性(helix neutral)のアミノ酸残基(例えば、アラニン, スレオニン, バリン, グルタミン, アスパラギン, システイン, ヒスチジン, リジン またはアルギニン)をヘリックス形成残基(例えば、ロイシン, イソロイシン, フェニルアラニン, グルタミン酸, チロシン, トリプトファン およびメチオニン)で置換することである。キュプレドキシン由来ペプチドのαヘリックスが、一または二以上の グリシン, プロリン, セリンおよび/またはアスパラギン酸残基を他のアミノ酸で置換することによって安定化されえることが意図される。特定の態様において、グリシン, プロリン, セリン, アスパラギン酸, アラニン, スレオニン, バリン, グルタミン, アスパラギン, システイン, ヒスチジン, リジン および/または アルギニン残基は、ロイシン, イソロイシン, フェニルアラニン, グルタミン酸, チロシン, トリプトファン および/または メチオニン残基で置換される。Lee et al., Cancer Cell Intl. 11:21 (2005)を参照されたい。他の特定の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドのαヘリックスにおける一または二以上のセリンまたはグルタミン残基が置換されてもよい。より具体的な特定の態様において、P.aeruginosa アズリン(配列番号 1)の残基53-56, 58-64 および 68-70におけるセリンおよび/またはグルタミン残基、または他のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基が、置換されてもよい別の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のアミノ酸残基 57でのグルタミン残基、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基は、置換されてもよい(より具体的には、トリプトファンで置換されてもよい)。別の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のアミノ酸残基 52でのスレオニン残基、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基は、置換されてもよい(より具体的には、トリプトファンで置換されても
よい)。別の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のアミノ酸残基 61でのスレオニン残基、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基は、置換されてもよい(より具体的には、トリプトファンで置換されてもよい)。別の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のアミノ酸残基 63でのグリシン残基、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基は、置換されてもよい(より具体的には、トリプトファンで置換されてもよい)。別の特定の態様において、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のアミノ酸残基 52, 57, 61 または63での一または二以上のスレオニン, グルタミン, またはグリシン残基、または別のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基は、置換されてもよい(より具体的には、トリプトファンで置換されてもよい)。特定の態様において、キュプレドキシンペプチドは以下の配列の一つを含み、その配列中の下線を付したアミノ酸は野生型の緑膿菌アズリン配列に置換される:
【0140】
LSWAADMQGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号34);
LSTAADMWGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号35);
LSTAADMQGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号36);
LSTAADMQGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号37);
LSWAADMWGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号38);
LSWAADMQGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号39);
LSWAADMQGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号40);
LSTAADMWGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号41);
LSTAADMWGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号42);
LSTAADMQGVVWDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号43);または
LSWAADMWGVVWDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号44)。
【0141】
他の態様において、他のキュプレドキシン由来ペプチドにおける均等なアミノ酸は、トリプトファンで置換される。
【0142】
αヘリックス三次構造を安定化するための別の方法には、πスタッキング(π-stacking)の能力のある非天然のアミノ酸残基を用いることが関与する。例えば、Andrews および Tabor (Tetrahedron 55:11711-11743 (1999))において、ペアのε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-Lys残基が、ペプチドのαヘリックス領域に異なるスペーシングで置換された。全体的な結果から、i,(i+4)のスペーシングが最も効果的に配列を安定化することが示された。水のパーセンテージを増加させると(90%まで)、ペプチドのヘリックス含有量が増加した。同じ i,(i+4) スペーシングにおけるペアのε-アシル-Lys残基は安定化効果がなく、多くの安定化がπ―π相互作用から生じることを示している。一態様において、キュプレドキシン由来ペプチドを、リジン残基がε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-Lys残基で置換されるように修飾してもよい。特定の態様において、リジン残基は、i,(i+4) スペーシングにおいてε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-Lysで置換されてもよい。
【0143】
αヘリックス三次構造を安定化するための別の方法は、αヘリックスにおける側鎖間の静電気的な相互作用を使用する。His-CysまたはHis-His 残基のペアをペプチドにおいてi,(i+4)配列で置換した場合、ペプチドはCu, Zn またはCdイオンが付加し、約50%のヘリックス状から約90%のヘリックス状に変化した。ルテニウム (Ru)塩がHis-His ペプチドに添加された場合、交換不活性複合体(exchange-inert complex)が形成された(大環状のシス-[Ru-(NH3)4L2]3+ 複合体、式中のL2は二つのヒスチジンであり、ヘリックスの安定性が改善される)。Ghadiri and Fernholz, J. Am. Chem. Soc. 112, 9633-9635 (1990)。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、大環状(macrocyclic)シス-[Ru-(NH3)4L2]3+ 複合体を具備してもよい(式中のL2は、二つのヒスチジンの側鎖である)。幾つかの態様において、一または二以上のヒスチジン-システインまたはヒスチジン-ヒスチジン残基のペアを、キュプレドキシン由来ペプチドのαヘリックスにi,(i+4) 配列で置換してもよい。他の態様において、一または二以上のヒスチジン-システインまたはヒスチジン-ヒスチジン残基のペアを、i,(i+4) 配列でP.aeruginosa アズリン(配列番号 1)の残基53-56, 58-64 および 68-70または他のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基に置換してもよい。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、さらにCu, Zn, Cd および/または Ruイオンを具備してもよい。
【0144】
αヘリックス三次構造を安定化するための別の方法には、αヘリックスにおける側鎖間のジスルフィド結合の形成が関与する。ヘリックス構造をペプチド配列において分離された残基間の正式(formal)の共有結合によって安定化することも可能である。一般に行われる自然な方法は、ジスルフィド結合を使用することである。Pierret et al., Intl. J. Pept. Prot. Res., 46:471-479 (1995)。幾つかの態様において、一または二以上のシステイン残基のペアは、キュプレドキシン由来ペプチドのαヘリックスに置換される。他の態様において、一または二以上のシステイン残基のペアは、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)の残基53-56, 58-64 および 68-70または他のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基で置換される。
【0145】
αヘリックス三次構造を安定化するための別の方法は、全炭素クロスリンキング法(all-carbon cross-link method)である。全炭化水素クロスリンキング法(all-hydrocarbon cross-link method)は、ヘリックス構造, プロテアーゼ耐性および細胞透過性の安定化を増加することが証明された。Walensky et al., Science, 305, 1466-1470 (2004)。オレフィン関連繋留を含んでいるα,α-二置換性(α,α-disubstituted)の非天然アミノ酸が、ペプチドに導入される。ルテニウム触媒性オレフィンメタセシス(Ruthenium catalyzed olefin metathesis)によって、全炭化水素ステープル(all-hydrocarbon "staple")が発生してヘリックスがクロスリンクされる。Schafmeister et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 5891-5892 (2000); Walensky et al., id..オレフィン関連繋留を含んでいる非天然アミノ酸は、Schafmeister等(id.)およびWilliams and Im (J. Am. Chem. Soc., 113:9276-9286 (1991))において提供される方法論で合成しえる。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、全炭化水素ステープルによって安定化される。特定の態様において、一または二以上のペアの本来のアミノ酸に対応しているオレフィン関連繋留を含んでいるα,α-二置換性の非天然アミノ酸は、キュプレドキシン由来ペプチドのαヘリックスに置換される。他の態様において、一または二以上のペアの本来のアミノ酸に対応しているオレフィン関連繋留を含んでいるα,α-二置換性の非天然アミノ酸は、P.aeruginosaのアズリン(配列番号 1)の残基53-56, 58-64 および 68-70に又は他のキュプレドキシン由来ペプチドの均等な残基に置換される。
【0146】
幾つかの態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、X1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号:48)を含んでもよい(配列中のX1 はLまたはアセチル化-Lであり, X2はTまたはWであり, X3 はM, L またはVであり, X4 はQ またはWであり, X5 はG またはAであり, X6 はTまたはWであり, X7 はG, T またはWであり, X8 はM, L またはVであり, およびX9 はDまたはアミド化-Dである)。他の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、X1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号:48)からなるものであってもよい(配列中のX1 はLまたはアセチル化-Lであり, X2はTまたはWであり, X3 はM, L またはVであり, X4 はQ またはWであり, X5 はG またはAであり, X6 はTまたはWであり, X7 はG, T またはWであり, X8 はM, L またはVであり, およびX9 はDまたはアミド化-Dである)。他の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、X1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号:49)を含んでもよい(配列中のX1 はD またはアセチル化-Dであり, X2 はM, L またはVであり, X3 はG, T またはWであり, X4 はT またはWであり, X5 はG またはAであり, X6 はQ またはWであり, X7 はM, L またはVであり, X8 はT またはWであり, およびX9 はL またはアミド化-Lである)。他の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、X1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号:49)からなるものであってもよい(配列中のX1 はD またはアセチル化-Dであり, X2 はM, L またはVであり, X3 はG, T またはWであり, X4 はT またはWであり, X5 はG またはAであり, X6 はQ またはWであり, X7 はM, L またはVであり, X8 はT またはWであり, およびX9 はL またはアミド化-Lである)。具体的な所望されるペプチドは、表3にリストされる。
【0147】
PEG化
PEGの治療および診断に重要な薬物との共有結合性の付着は、インビボでの薬の血漿半減期を延長する及び/又はそれらの免疫原性および抗原性を減少させる。Harris and Chess, Nature Reviews Drug Discovery 2:214-221 (2003)。例えば、PEG付着によって、とりわけインターロイキン(Kaufman et al., J. Biol. Chem. 263:15064 (1988); Tsutsumi et al., J. Controlled Release 33:447 (1995)), インターフェロン(Kita et al., Drug Des. Delivery 6:157 (1990)), カタラーゼ(Abuchowski et al., J. Biol. Chem. 252:3582 (1977)), スーパーオキシドジスムターゼ(Beauchamp et al., Anal. Biochem. 131:25 (1983)), およびアデノシンデアミナーゼ(Chen et al., Biochem. Biophys. Acta 660:293 (1981))が含まれる多くの治療上のタンパク質の薬物動態特性が改善される。FDAは、食物, 化粧品および薬剤(注射可能, 局所, 直腸および鼻の製剤を含む)にビヒクルまたは基剤(base)として使用するためにPEGを承認した。PEGは、わずかな毒性を示し、体から腎臓(PEGs < 30 kDaに関して)または糞便(PEGs > 20 kDaに関して)に無傷(intact)で排除される。PEGは、水に高度に可溶性である。
【0148】
治療ペプチドのPEG化は、腎臓の限外濾過を減少させることによって患者の血流におけるペプチドの寿命を増加させるために使用でき、薬の体からの除去が減少する。電荷マスキング(Charge masking)は、腎臓の浸透性に影響しえる。電荷マスキングは、タンパク質のイオン化可能な官能基(すなわち、アミンまたはカルボキシル)のパラムケミカル(paramchemical)な修飾の結果であってもよい。特に、タンパク質―PEG誘導体を産生するための最も一般的な処理には、タンパク質アミノ基のアミドへの転換(正電荷が結果的に欠損する)が関与し、これによってタンパク質の限外濾過を変化させえる。というのも、陰イオン性の巨大分子は、中性または陽性のものよりも緩徐に腎臓の限外濾過によって排出されることが見出されており、アミノ基へのPEG抱合が血流におけるPEG化ペプチドの耐久性を引き延ばすことが期待できるだろう。
【0149】
また、分子サイズおよび球形の限外濾過は、治療上のペプチドの腎臓の 限外濾過に影響する可能性がある。本来の球状タンパク質の腎臓での除去に関する分子量カットオフは、血清アルブミンの分子量に近い約 70 kDaであると考えられる。従って、70 kDaを超える分子量を有するタンパク質は、主に体から肝臓での取り込み, タンパク分解性の消化および免疫系でのクリアランスなどの腎臓の限外濾過以外の経路で排除される。従って、PEG化による治療ペプチドのサイズの増加によって、患者の血流からのそのペプチドの腎臓での限外濾過が減少しえる。
【0150】
加えて、治療ペプチドのPEG化によって、そのペプチドの免疫原性が減少しえる、同様に、タンパク分解酵素, 食細胞, および治療ペプチドと直接接触することを必要とする他の因子からペプチドを防御しえる。特に、分枝PEGのアンブレラ様構造は、タンパク分解酵素, 抗体, 食細胞などの接近に対して直線状PEGよりも良好な防御を提供することが見出されている。Caliceti and Veronese, Adv. Drug. Deliv. Rev. 55:1261-12778 (2003)。
【0151】
幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは修飾されて、システイン分子に共有結合性に結合した一または二以上のPEG分子を有する。共有結合は必ずしもPEG分子からキュプレドキシン由来ペプチドへと直接的に共有結合される必要はなく、一または二以上の順に互いにおよび/またはキュプレドキシン由来ペプチドに結合するリンカー分子に共有結合性に結合されてもよい。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、部位特異的なPEG化を有する。特定の態様において、PEG分子(s)は、P.aeruginosa アズリン (配列番号 1)のシステイン残基 3, 26 および/または 112に共有結合性に結合してもよい。他の態様において、一または二以上のシステイン残基は、キュプレドキシン由来ペプチドに置換されてもよく、PEG化されてもよい。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドをPEG化するための方法は、NHS, 還元的アニメーション(reductive animation), マレイミドまたはエポキシドなどであってもよい。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上のリジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン, またはチロシン, またはN末端アミノ基またはC末端カルボン酸におけるPEG化であってもよい。より具体的な態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上のリジンまたはN末端アミノ基におけるPEG化であってもよい。他の態様において、一または二以上のリジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン, またはチロシン残基は、キュプレドキシン由来ペプチドに置換されてもよく、PEG化されてもよい。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上のアミノ基においてPEG化されてもよい。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、ランダムな, 非部位特異的な様式でPEG化されてもよい。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、約200 ダルトン〜約100,000 ダルトン, 約2,000 ダルトン〜約20,000 ダルトン, または約 2,000 ダルトン〜約 5,000 ダルトンのP
EGベースのポリマーの平均分子量を有していてもよい。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、分枝状(特に、約 50 kDaの分枝状PEG分子)である一または二以上のPEG分子から構成されてもよい。他の態様において、キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上の直鎖状PEG分子(特に、約 5 kDaの直鎖状PEG分子)を含んでもよい。
【0152】
キュプレドキシン
「キュプレドキシン(Cupredoxins)」は、電子伝達特性を有している小さい青色の銅含有タンパク質(10-20kDa)であり、細菌の酸化還元鎖または光合成などに関与する。銅イオンは、タンパク質マトリックスに単独で結合する。銅の周囲の2つのヒスチジンおよび1つのシステイナート(cysteinate)のリガンドに対する、特殊な歪んだ三方晶系の平面配置によって、金属部位の非常に特有な電気的特性を生じ、そして強度の青色を生じる。いくつかのキュプレドキシンは、中等度から高度の分解能で結晶学的に特徴づけられている。キュプレドキシンには、アズリン, プラストシアニン, ラスティシアニン, シュードアズリン, アウラシアニンおよびアズリン様タンパク質が含まれる。本明細書中に使用される「キュプレドキシン」の用語は、銅原子なしのタンパク質形態、同様に銅含有タンパク質を含む。
【0153】
アズリン
アズリンは、128アミノ酸残基の銅含有タンパク質であり、植物および特定の細菌における電子伝達に関与するキュプレドキシンファミリーに属する。アズリンには、P.aeruginosa (配列番号 1)("wt-アズリン"), A.xylosoxidans, および A.denitrificansからのものが含まれる。Murphy et al., J. Mol. Biol. 315:859-871 (2002)。アズリン間の配列相同性が60〜90%の間で変動するにもかかわらず、これらの分子間の構造上の相同性は高い。全てのアズリンはギリシャキーモチーフ(Greek key motif)を有する特徴的なβ-サンドイッチを有し、単一の銅原子はタンパク質の同じ領域に常に配置される。加えて、アズリンは、銅部位を取り囲む基本的に中性で疎水性のパッチを所有する(Id)。
【0154】
プラストシアニン
プラストシアニンは、真核生物の植物およびラン藻類において見出されるキュプレドキシンである。彼等は分子あたり1分子の銅を含有し、彼等の酸化型において青色である。彼等は、彼等が電子伝達体として機能する葉緑体中で生じる。ポプラのプラストシアニンの構造が1978に決定されてから、藻類(セネデスムス, アオノリ, コナミドリムシ)および植物(フランスマメ)のプラストシアニンの構造が結晶学又はNMR法によって決定されている(ポプラの構造は1.33Åの解像度で示されている)。配列番号2は、シアノバクテリア(Phormidium laminosum)のプラストシアニンのアミノ酸配列を表す。
【0155】
藻類および維管束植物の間の配列多様性(例えば、コナミドリムシおよびポプラのタンパク質間で62%の配列同一性)が存在するにもかかわらず、3次構造は保存されている(例えば、コナミドリムシおよびポプラのタンパク質間でCαポジションにおいて、0.76Å rmsの偏差)。構造上の特性には、八鎖の逆平行β-バレルの一端での歪んだ四面体の銅結合部位(distorted tetrahedral copper binding site)、明白な陰性のパッチ、および平坦な疎水性表面が含まれる。前記銅部位は、電子伝達機能に至適化されている。また、陰性の及び疎水性のパッチは、生理的な反応パートナーの認識に関与することが提案されている。化学修飾、クロス-リンキング、および部位特異的突然変異誘発実験によって、チトクロムfとの結合相互作用における陰性及び疎水性のパッチの重要性が確認され、プラストシアニンにおける2つの機能上の意味ある電子伝達経路のモデルが確認された。1つの推定上の電子伝達経路は、相対的に短く(約4Å)、疎水性パッチ中の溶媒に暴露された銅リガンド His-87が関与する;他方で、他のものは、より長く(約12〜15Å)、陰性パッチにおいてほぼ保存されている残基Tyr-83が関与する。Redinbo et al., J. Bioenerg. Biomembr. 26(1):49-66 (1994)。
【0156】
ラスティシアニン
ラスティシアニンは、硫黄菌属(thiobacillus)から得られた青色銅含有単一鎖ポリペプチドである。Thiobacillus ferrooxidansの極度に安定で高度に酸化されているキュプレドキシンラスティシアニンの酸化型(配列番号3)のX線結晶構造は、多波長異常分散法(multiwavelength anomalous diffraction)で1.9Åの解像度で決定された。ラスティシアニンは、6および7鎖のβシートから構成されるコアβ-サンドイッチフォールド(a core beta-sandwich fold)から構成される。他のキュプレドキシンのように、銅イオンは、特殊な歪んだ四面体に配置された4つの保存された残基(His 85, Cys138, His143, Met148)のクラスターによって配位される。Walter et al., J. Mol. Biol. 263:730-51 (1996)。
【0157】
アウラシアニン
アウラシアニンA, アウラシアニンB1、およびアウラシアニンB-2と称される3つの小さい青色銅タンパク質は、好熱性の緑色グライディング光合成細菌(Chloroflexus aurantiacus)から分離された。2つのB型は、互いにほとんど同一の特性を有しているが、A型とは別である。ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、14(A), 18(B-2), および22(B-1)kDaの見かけ上の単量体分子量が示される。
【0158】
アウラシアニンAのアミノ酸配列が決定され、アウラシアニンAが139残基のポリペプチドであることが示された。Van Dreissche et al, Protein Science 8:947-957 (1999)。His58, Cys123, His128, およびMet132は、それらが既知の小銅タンパク質(small copper proteins)プラストシアニンおよびアズリンとして進化上で保存された金属リガンドである場合、予想される様式で配置(spaced)される。また、二次構造予測によって、アウラシアニンが、緑膿菌からのアズリンおよびポプラ葉からのプラストシアニンのものと類似する全β-バレル構造を有することが指摘される。しかしながら、アウラシアニンは、両方の小銅タンパク質配列クラスの特性を有していると思われる。アズリンの共通配列との全体の類似度(overall similarity)は、プラストシアニンの共通配列とのものと大まかに同じである(すなわち、30.5%)。アウラシアニンのN末端配列領域1〜18には、グリシンおよびヒドロキシアミノ酸が著しく豊富に存在する(Id.)。Chloroflexus aurantiacusからのアウラシアニンの鎖Aに関して、例示的なアミノ酸配列 配列番号10を参照されたい(NCBIタンパク質データバンクアクセッションNo.AAM12874)。
【0159】
アウラシアニンB分子は、標準的なキュプレドキシンフォールドを有する。Chloroflexus aurantiacusからのアウラシアニンBの結晶構造が、試験された。Bond et al., J. Mol. Biol. 306:47-67 (2001)。付加的なN末端鎖を例外として、前記分子は、細菌性のキュプレドキシン(アズリン)のものと非常に類似している。他のキュプレドキシンでのように、Cuリガンドの1つは前記ポリペプチドの鎖4に存在し、他の3つは鎖7および8の間の大きいループに沿って存在する。Cu部位の配置は、後者の3つのリガンド間のアミノ酸スペーシングを参照して議論される。アウラシアニンBの結晶学的に特徴づけされたCu-結合ドメインは、おそらく幾つかの他の膜関連電子伝達タンパク質における既知の係留(tethers)と有意な配列同一性を呈するN末端尾部によって細胞質膜の周辺腔側へ係留される。B型のアミノ酸配列は、McManus等に記載される〔McManus et al. (J Biol Chem. 267:6531-6540 (1992))〕。Chloroflexus aurantiacusからのアウラシアニンの鎖Aに関して、例示的なアミノ酸配列 配列番号11を参照されたい(NCBIタンパク質データバンクアクセッションNo.1QHQA)。
【0160】
シュードアズリン
シュードアズリンは、青色銅含有単一鎖ポリペプチドのファミリーである。Achromobacter cycloclastesから得られたシュードアズリンのアミノ酸配列は、配列番号4に示される。シュードアズリンのX線構造分析によって、これらのタンパク質間の配列相同性が低いにもかかわらず、シュードアズリンがアズリンと類似する構造を有することが示される。2つの主な差は、シュードアズリンおよびアズリンの全体構造の間に存在する。アズリンと比較して、シュードアズリン中には2つのα-ヘリックスからなるカルボキシル末端の伸展が存在する。中間のペプチド領域(mid-peptide region)中に、アズリンは、短いα-ヘリックスを含んでいるフラップを形成する伸展したループを含有する(シュードアズリンでは短くなっている)。銅原子部位での唯一の大きな差異は、MET側鎖のコンホメーションおよびMet-S銅結合長(シュードアズリンではアズリンよりも有意に短い)である。
【0161】
修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、標準の技術によって合成されえる。バリアントは、本来の化合物から、直接的に又は修飾もしくは部分的な置換によって形成されたアミノ酸配列である。変化をキュプレドキシン由来ペプチドに導入し、キュプレドキシンの薬理的な活性を無効(nullify)にするキュプレドキシン由来ペプチドのアミノ酸配列における変更が生じてもよい。「非必須(non-essential)」なアミノ酸残基は、キュプレドキシン由来ペプチドの配列からその薬理的な活性を無効にすることなく変更できる残基である。他方で、「必須(essential)」なアミノ酸残基は、係る薬理的な活性に必要とされるものである。
【0162】
「保存された」置換をなすことができるアミノ酸は、当該技術分野において周知である。有用な保存的な置換は、表1の「好適な置換」に示される。1つのクラスのアミノ酸が同じクラスの別のアミノ酸で置換される保存的な置換は、該置換がキュプレドキシン由来ペプチドの所望の薬理的な活性を無効にしないかぎり、本発明の範囲内である。キュプレドキシン由来の薬理的な活性の変化を生じる係る交換は、係る薬理的な活性が認められるかぎり本発明の一部であることが意図される。幾つかの態様において、キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性は、由来する野生型のキュプレドキシンの比活性の約 5%低い, 約 10%低い, 約 25%低い, および約 50%低いものである。キュプレドキシン由来ペプチドにおける他の改善された性質(例えば、長い血漿半減期または減少した免疫原性)によって相殺される場合、キュプレドキシン由来ペプチドの比活性のある欠損が許容されえることが理解されるだろう。
【表1】

【0163】
(1)ポリペプチドバックボーンの構造(例えば、βシートまたはαヘリックス コンホメーション)、(2)荷電、(3)疎水性、又は(4)側鎖のバルク(bulk)に影響する「非保存的(Non-conservative)」な置換によって、キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性を修飾することができる。残基は、表2に記載の共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられる。非保存的な置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスへと交換することを伴う。
【0164】
1つのクラスのアミノ酸が異なるクラスの別のアミノ酸で置換される非保存的な置換は、該置換がキュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性を無効にしないかぎり、本発明の範囲内である。キュプレドキシン由来ペプチドの薬理的な活性の変化を生じる係る交換は、係る薬理的な活性が認められるかぎり本発明の一部であることが意図される。
【表2】

【0165】
キュプレドキシン由来ペプチドへの修飾は、当該技術分野において既知の方法〔例えば、オリゴヌクレオチド媒介性(部位特異的な)突然変異誘発, アラニンスキャンニング, およびPCR突然変異誘発〕を用いてなすことができる。部位特異的突然変異誘発(Carter, Biochem J. 237:1-7 (1986); Zoller and Smith, Methods Enzymol. 154:329-50 (1987)), カセット突然変異誘発(cassette mutagenesis), 制限選択突然変異誘発(Wells et al., Gene 34:315-23 (1985))または他の既知の技術を、クローン化したDNAに使用して、バリアント核酸をコード化しているキュプレドキシン由来ペプチドを産生することができる。加えて、キュプレドキシンの構造上の均等物であるキュプレドキシン由来ペプチドをコード化しているヌクレオチドは、当該技術分野において周知の方法によって合成しえる。さらに、修飾キュプレドキシン由来ペプチドであるタンパク質分子を、当該技術分野において周知の方法で合成しえる。
【0166】
キュプレドキシン進入ドメインおよびカーゴ化合物に連結させたキュプレドキシン進入ドメインの複合体をコード化している核酸
別の側面において、本発明は、本発明の修飾キュプレドキシン由来ペプチドをコード化している核酸分子を提供する。この核酸分子は、当該技術分野において既知の技術の組合せによって調製することができる。一例をあげると、修飾キュプレドキシン由来ペプチドに関する核酸配列は、化学的な合成またはクローニングによって個々に調製することができる。
【0167】
修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含んでいる薬学的組成物
修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含んでいる薬学的組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェー作出(dragee-making)、乳化、封入(encapsulating)、エントラッピング(entrapping)、または凍結乾燥処理などの任意の従来の様式にしたがって製造することができる。修飾キュプレドキシン由来ペプチドは、当該技術分野において周知の薬学的に認容される担体と容易に組み合わせることができる。係る担体によって、錠剤, ピル, ドラジェー, カプセル剤, 液体, ゲル, シロップ, スラリー, 懸濁液などとして製剤化する調製が可能となる。適切な賦形剤には、充填剤およびセルロース調製物なども含まれてもよい。他の賦形剤には、香味剤(flavoring agents)、発色剤、粘着防止剤(detackifiers)、増粘剤(thickeners)、および他の認容される添加物、アジュバント、または結合剤などが含まれてもよい。
【0168】
係る組成物は、例えば、癌の治療または診断, 不適切な血管形成の治療, HIVおよび/またはマラリアによる感染, およびエフリンシグナル伝達に関連するコンディションの治療に使用することができる。前記組成物を、患者が罹患している前記コンディションを予防または治療するために十分な量で投与することができる。典型的には、患者の生物体は、哺乳類、例えば、ヒトまたは動物である。
【0169】
キュプレドキシン進入ドメインを含有している組成物の投与
修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含有している組成物は、口、頬、吸入、舌下、直腸、膣、尿道、鼻、局所、経皮(percutaneous)、即ち、経皮(transdermal)または非経口〔静脈内、筋肉内、皮下および冠内(intracoronary)への投与を含む〕などの任意の適切な経路によって投与することができる。前記組成物及びその薬学的製剤は、その意図する目的を達成するために効果的な任意の量で投与することができる。あるコンディションに罹患している患者を治療するために投与される場合、前記組成物は治療上効果的な量で投与される。「治療上効果的な量(therapeutically effective amount)」は、治療される対象に存在している症状(symptoms)の発症を予防する又は軽減(alleviate)するために効果的な量である。治療上効果的な量の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0170】
様々な態様において、前記組成物は、担体および賦形剤(緩衝剤, 炭水化物, マンニトール, タンパク質, ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、 グリシン, 抗酸化剤, 静菌剤, キレート剤, 懸濁剤, 増粘剤および/または保存剤を含むが、これらに限定されない), 水, 油, 生理食塩水, 水性のデキストロースおよびグリセロール溶液, 薬理的な条件に近づけるために必要とされる他の薬学的に許容される補助的な物質(例えば、緩衝作用剤、張性調整剤、湿潤剤など)を含む。当業者に既知の適切な任意の担体を本発明の組成物を投与するために使用できるが、担体のタイプは投与のモード(mode)に依存して変化するだろうことが認識されている。化合物を、周知の技術を用いてリポソーム内に被包(encapsulated)させてもよい。生分解性ミクロスフェアを、本発明の組成物のための担体として用いてもよい。適切な生分解性ミクロスフェアは、米国特許第4,897,268, 5,075,109, 5,928,647, 5,811,128, 5,820,883, 5,853,763, 5,814,344 および5,942,252号などに示される。本明細書中に使用される「化合物(Compounds)」には、本発明のペプチド、アミノ酸配列、カーゴ化合物、および複合体が含まれる。
【0171】
本発明の組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌してもよい又は濾過滅菌してもよい。生じる水溶液は現状のままで使用のためにパックされるか又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製物は投与の前に滅菌水溶液と混合されてもよい。
【0172】
本発明の組成物は、注射(例えば、皮内, 皮下, 筋肉内, 腹腔内など)による、吸入による、局所的投与による、坐剤による、経皮性パッチによる又は口による様式を含む様々な様式で投与しえる。
【0173】
投与が注射によるものの場合、組成物は水溶液中に製剤化され、好ましくは生理学的に適合する緩衝液(例えば、ハンクス液、リンゲル溶液、または生理食塩緩衝液(physiological saline buffer)中に製剤化しえる。前記溶液は、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの製剤化の薬剤を含有してもよい。或いは、前記組成物は、使用前に、滅菌したパイロジェンが存在しない水などの適切なビヒクルで構成するための粉末形態であってもよい。
【0174】
投与が吸入によるものである場合、前記組成物を、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用することによって、加圧パックからのエアロゾルスプレーまたはネブライザーの形態で送達しえる。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位(dosage unit)は、一定量を送達するためのバルブを提供することによって決定されてもよい。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)に使用するためのゼラチンなどのカプセルまたはカートリッジを、タンパク質の粉末混合物および適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)を含有するよう製剤化しえる。
【0175】
投与が局所的投与によるものである場合、前記組成物を、当該技術分野において周知の溶液剤、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁剤などとして製剤化してもよい。幾つかの態様において、投与は経皮パッチ(transdermal patch)の手段による。投与が坐剤(例えば、直腸または膣)である場合、組成物は、従来の坐剤基剤を含有している組成物に製剤化してもよい。
【0176】
投与が経口である場合、前記組成物は、当該技術において公知の薬学的に許容された担体と組み合わせて容易に製剤化することができる。固形担体(例えば、マンニトール, ラクトース, マグネシウムステアラート, など)を用いてもよい;係る担体によって、ケモタキシン(chemotaxin)を、治療される対象による経口摂取のための、錠剤、丸剤、ドラジェー剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することが可能となる。経口の固形製剤(例えば、粉剤、カプセル、および錠剤)に関して、適切な賦形剤には、充填剤(例えば、糖、セルロース調製物、顆粒化剤、および結合剤)が含まれる。
【0177】
当該技術において周知の他の便利な担体には、多価担体、例えば、細菌性のカプセル性のポリサッカライド、デキストラン、または遺伝的に操作されたベクターも含まれる。加えて、前記組成物を含む徐放性製剤によって、長時間にわたる組成物の放出が許容される;持続性放出製剤無しでは、組成物は、対象の系から排出される、および/または治療効果を惹起する又は増強する前にプロテアーゼおよび単純な加水分解などによって分解される可能性がある。
【0178】
正確な製剤化、投与の経路、及び投与量は、典型的には患者のコンディションに応じて主治医によって決定される。投与量およびインターバルを個々に調整して、治療効果を維持するために十分である複合体の血漿レベルを提供することができる。一般に、所望の組成物は、意図する投与経路および標準的な薬務(pharmaceutical practice)に関して選択される薬学的な担体との混合物として投与される。
【0179】
適切な投与量は、使用するキュプレドキシン進入ドメインを含有している化合物、宿主、投与のモード、および治療される又は診断されるコンディションの性質および重症度などに応じて変化するだろう。しかしながら、本発明の方法の一態様において、ヒトにおいて満足な治療結果は、約0.001〜約20mg/kg体重の修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含有している化合物の1日投与量で得られることが指摘される。一態様において、ヒトの治療に関して指示される1日投与量は、約0.7mg〜約1400mgの修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含んでいる化合物の範囲であってもよく、一日用量(daily doses)、週用量(weekly doses)、月用量(monthly doses)、および/または連続的な用量などで都合がよいように投与される。一日用量は、1〜12回/日の別々の投与量であってもよい。或いは、用量は、隔日、三日毎、四日毎、五日毎、六日毎、週毎に、および同様に31日まで日数を増加させて投与することができる。投薬は、錠剤、パッチ、i.v.投与などを含む任意の適用可能な用量形態を用いる連続的、断続的、または単一用量の投薬であってもよい。より具体的には、前記組成物は、治療上効果的な量で投与される。特定の態様において、治療上効果的な量は、約0.01〜20mg/kg体重である。特定の態様において、用量レベルは、約10mg/kg/日, 約15mg/kg/日, 約20mg/kg/日, 約25mg/kg/日, 約30mg/kg/日, 約35mg/kg/日, 約40mg/kg/日, 約45mg/kg/日または約50mg/kg/日である。
【0180】
修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含有している化合物を患者へと導入する方法は、幾つかの態様において、前記コンディションを治療することが知られている他の薬物との共投与である。係る方法は、当該技術分野において公知である。特定の態様において、修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含有している化合物は、癌, HIV, マラリア, 不適切な血管形成, およびエフリンシグナル伝達に関連するコンディションを治療するための他の薬物を含有している又は該薬物と共に投薬されるカクテル又は共投薬(co-dosing)の一部である。多くの他の係る化合物は、当業者に知られており、参照によって明示的に援用される特許出願によって提供される。
【0181】
キュプレドキシン由来ペプチドまたはキュプレドキシン由来ペプチドおよびカーゴ化合物を組合せた融合タンパク質をコード化している核酸分子を、ベクターへと挿入し、遺伝子治療ベクターとして使用することができる。遺伝子治療ベクターを、例えば、静脈注射、局所投与〔Nabel等 米国特許第5,328,470号〕によって又はステレオタクティック注射(stereotactic injection)〔Chen et al., Proc Natl Acad Sci USA 91:3054-3057 (1994)〕によって対象へと送達することができる。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物(pharmaceutical preparation)は、認容される希釈剤を具備してもよい又は遺伝子送達ビヒクルが包埋された遅延放出性マトリックスを具備してもよい。或いは、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)から無傷(intact)の状態で産生することができる場合、薬学的調製物は遺伝子送達システムを産生する一または二以上の細胞を具備してもよい。
【0182】
一側面において、前記複合体がインサイチューで産生されるようなDNAとして前記組成物が送達される。一態様において、例えば、Ulmer等〔Science 259:1745-1749 (1993)〕に記載され、Cohen〔Science 259 1691-1692 (1993)〕で議論されたように、前記DNAは「裸(naked)」である。裸のDNAの取り込みは、細胞に効率的に輸送される担体(例えば、生分解性ビーズ)に前記DNAをコーティングすることによって増加しえる。係る方法において、前記DNAは、当業者に既知の任意の様々な送達システムに存在させてもよく、これには核酸発現系、細菌性の及びウイルス性の発現系が含まれる。DNAを係る発現系に導入するための技術は、当業者に公知である(例えば、WO90/11092、WO93/24640、WO93/17706、および米国特許第5,736,524号を参照されたい)。
【0183】
遺伝物質を生物体から生物体へとシャトルさせるために使用されるベクターは、2つの一般的なクラスに分けることができる:クローニングベクターは、適切な宿主細胞中での増幅に非必須の領域(この中に外来DNAを挿入することができる)を有している複製するプラスミドまたはファージである;外来DNAは、ベクターの構成要素であるかのように複製し、増殖する。発現ベクター(例えば、プラスミド、酵母、または動物ウイルスゲノム)を使用して、外来DNA(例えば、前記組成物のDNA)を転写する及び翻訳するために、外来性の遺伝物質を宿主の細胞または組織へと導入する。発現ベクターにおいて、導入されたDNAは、宿主細胞にシグナルを与えて挿入されたDNAを転写させるプロモーターなどの因子に動作可能に連結されている。幾つかのプロモーターは、特別に有用である(例えば、特定の因子に応答して、遺伝子転写を制御する誘導性プロモーター)。組成物ポリヌクレオチドを誘導性プロモーターへと動作可能に連結することによって、本発明の修飾キュプレドキシン由来ペプチドの発現をコントロールすることができる。伝統的な誘導性プロモーターの例には、α-インターフェロン、熱ショック、重金属イオン、およびステロイド、例えば、糖質コルチコイド〔Kaufman, Methods Enzymol. 185:487-511 (1990)〕およびテトラサイクリンに反応性のものが含まれる。他の望ましい誘導性プロモーターには、構築物が導入されている細胞に内在性(endogenous)ではないものが含まれる。しかしながら、誘導剤が外因的(exogenously)に供給される場合、それらのプロモーターはそれらの細胞中で反応性である。一般的には、有用な発現ベクターは、プラスミドである。しかしながら、発現ベクターの他の形態、例えば、ウイルス性のベクター(例えば、複製欠陥性レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)も意図される。
【0184】
ベクターの選択は、使用される生物体(organism)または細胞およびベクターの望まれる運命(fate)によって決定される。一般的には、ベクターは、シグナル配列、複製の起点、マーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモーター、および転写終結配列を具備する。
【0185】
修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含んでいるキット
別の側面において、本発明は、パッケージまたは容器に一または二以上の次のものを含んでいるキットを提供する:
(1) 修飾キュプレドキシン由来ペプチドを含んでいる試薬;
(2) 薬学的に許容されるアジュバントまたは賦形剤を含んでいる試薬;
(3) 投与のためのビヒクル(例えば、シリンジ);および
(4) 投与のための説明書。
【0186】
構成要素(1)〜(4)の2以上が同じ容器中にある態様も、意図される。
【0187】
キットが供給される場合、前記組成物の異なる構成要素を別々の容器にパッケージし、使用の直前に混合してもよい。構成要素のこのようなパッケージングによって、活性成分の機能を失うことなく、別々に長期間の保存が許容される。
【0188】
キットに含まれる試薬を、異なる要素の寿命が保持され、容器の材料によって吸収させられる又は変化させられることがない任意の種類の容器に供給することができる。例えば、封止されたガラスアンプルは、凍結乾燥されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、又は中性で非反応性のガス(例えば、窒素)でパッケージされている緩衝剤を含有してもよい。アンプルは、任意の適切な材料からなるものでよく、例えば、ガラス、有機物ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンなど、セラミック、金属、または類似する試薬を保持するために典型的に用いられる他の材料である。適切な容器の他の例には、アンプルなどの類似する物質から製造されえる単純なボトルおよびアルミニウムまたは合金などのホイル裏打ちされた内装を備えるエンベロープが含まれる。他の容器には、検査チュウブ、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどが含まれる。容器は、無菌のアクセスポートを有してもよく、例えば、皮下注射針で突き刺すことが可能なストッパーを有しているボトルである。他の容器は、除去する際に構成要素が混合されることを許容する容易に除去可能な膜によって分離された2つの区画を有してもよい。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであってもよい。
【0189】
キットには、説明用物品(instructional materials)が供給されていてもよい。説明書は、紙または他の物質に印刷されてもよく及び/又はフロッピー(登録商標)ディスク, CD-ROM, DVD-ROM, Zipディスク, ビデオテープ, 録音テープ, フラッシュメモリー装置などの電子的に読み込み可能な媒体として提供されてもよい。詳細な説明書は、キットに物理的に付属していなくてもよい;代わりに、使用者がキットの製造者またはディストリビューターによって特定されたインターネットウェブサイトに接続してもよい又は電子メールとして供給されてもよい。
【0190】
本発明の更に完全なる理解は、以下の特定の例を参照することによって得ることができる。例は、説明の目的でのみ記載され、本発明の範囲を限定するものではない。形態における変化および均等物での置換は、状況(circumstances)が手段(expedient)を示唆(suggest)する又は与える(render)ものとして企図される。特定の用語が本明細書中に用いられるが、係る用語は、説明の意味が企図され、限定することを目的としていない。本明細書などに記載した本発明の修飾およびバリエーションは、本発明の精神および範囲から逸脱せずになされる。従って、付属の態様によって指摘される限定のみが課されるべきであろう。
【0191】
[例]
例 1: インビボでの異種移植腫瘍モデルおよび輸送実験
Mel-2異種移植片を有している胸腺欠損マウスにおいてイメージング試験を行って、マウスの体におけるp18 (配列番号 14)の時間経過に伴う分布を決定した。雌性ヌードマウスに1 x 106のUISO-Mel-2細胞を横腹へ皮下注射した。腫瘍が(三つの直径の測定値の一つにおいて)0.5 mmのサイズに成長したとき、試験を標識 p18で開始した。p18を標識するために、p18をIRDye(登録商標) 800CW NHS Ester Infrared Dye(LI-心臓 Biosciences, Lincoln, Nebraska)で2 hrs、4°Cで連続的に撹拌してインキュベーションした。標識ペプチドを、非結合性の色素からSlide-A-Lyzer(登録商標)透析カセットでPBSに対して最低48 hrs透析することによって分離した。
【0192】
125 μg/マウスのIRDye(登録商標)標識p18(配列番号 14)を100 μlの無菌PBS (リン酸緩衝食塩水)に含むものを静脈内に注射し、腫瘍および器官における標識色素を検出するためにOdyssey(登録商標)Infrared Imaging Systemを用いてマウスを一日スキャンした。高分解能のスキャンを、皮下の腫瘍を検出するために1 および 1.5 mmの間の深さで取得した。800 nm チャンネル(緑色)で記録されたイメージは特異的なシグナルを表し、および700 nmチャンネル(赤色)でのシグナルはバックグラウンドを表す。
【0193】
最初の実験で、0.5 mmのMel-2腫瘍を有しているマウスを16日間スキャンしてIRDye(登録商標)の局在を決定した。図1。第二の実験で、0.5 mmのMel-2腫瘍を有しているマウスを、i.v.で125 μg/マウスのIRDye(登録商標)標識 p18を注射し、120 hrs後に屠殺した。マウス全体のスキャンをとり、器官および腫瘍を摘出し、スキャンしてIRDye(登録商標)の局在を決定した。摘出後に器官および切片(cross sections)の高分解能のスキャンを、0.1 および 0.5 mmの間の深さで取得した。図 2。第三の実験で、マウスにMel-2細胞および腫瘍を注射し、三週間成長させた。マウスに125 μg/マウスのIRDye(登録商標)標識 p18を注射し、48 時間後に屠殺し、スキャンしてIRDye(登録商標)の局在を決定した。
【0194】
これらの実験は、IRDye(登録商標) 標識 p18がマウスへの注射の5 時間後に直ちに腫瘍および腎臓に局在することを示す。図1を参照されたい。腎臓はIRDye-p18複合体を蓄積し、p18がマウスの血流から主に腎臓をとおした排泄によって除去されることを示唆している。図 2 および 図 3を参照されたい。
【0195】
例2: 癌に罹患している患者の修飾キュプレドキシン由来ペプチドでの治療
PEG化 p28(配列番号13)の融合体(試験薬)の第I/II相臨床試験を、癌を罹患している患者で行う。具体的には、緑膿菌からのp28がPEG化で修飾される。
【0196】
胸部、結腸、およびメラノーマの癌が組織学的に確証された四十九の成人患者であって、現行の利用可能なFDAが認可した化学療法薬および措置(regimen)で適切に処置された後に、臨床的な及び放射線での進行および再発を示している患者が、試験薬が投与されるオープンラベル前向き試験(open-label prospective study)に登録される。試験への登録に適格であるためには、全ての患者は、化学療法措置の承認された過程を完了した後に、計測可能な腫瘍の体積の増加を示すことが必要である。持続性の転移性の沈着物(deposits)および/またはサイズ又は体積の連続的な増加の証拠が、組織学的に樹立されていなければならない。この組織学的な証拠は、微細な針吸引(FNA;fine needle aspiration)バイオプシーによって得ることができる。
【0197】
治療プログラムは、イリノイ大学(シカゴ)およびFDAの施設内倫理委員会の承認に基づいて、全ての患者からインフォームドコンセントを得た後に開始される。前記患者は、提案された治療の効果への適切な評価に干渉する可能性のある、他の悪性疾患(malignancy)、以前の悪性疾患の既往歴、血液悪液質(blood dyscrasias)、インシュリン依存性糖尿病、または他の重篤な心臓疾患などの介入疾患(intercurrent illness)がない。肝機能試験を含む、基礎的な血液試験(全血球計算値[CBC]および血清化学試験)を、治療の開始前に行う。全ての適格な患者は、試験期間中に、如何なる癌の化学療法をも同時(concurrently)に投与されてはならない。
【0198】
試験薬は、試験薬の薬学的に許容される処方を、日単位で12週間静脈注射することによって投与される。被験者は、任意の用量制限毒性(dose limiting toxicity)に関して観察される。10mg/kg/日で開始される7つの用量レベルが存在し、50mg/kg/日の最大用量まで5mg/kg/日で増量される。
【0199】
各用量レベルの有効性は、進行した測定可能な癌(乳房、結腸、およびメラノーマ)を伴う7患者で記録される。
【0200】
応答性は、測定可能な腫瘍を2次元(aおよびb)で測定することによって推測される。
【0201】
1) 標的とする転移性腫瘍の全体的な消失は、完全なる応答性(CR;complete response)と考えられる;
2) 75%の減少は、良好な、部分的な応答性と考えられる(PR;partial response);および
3) 良好な応答性(PR)は、処理後の50%までのサイズの減少である。
【0202】
4) サイズの25%の減少は、安定的な疾患と考えられる(SD; stable disease)および
5) <25%は、応答なしと考えられる(NR;no response)。
【0203】
疾患の進行を示している患者はそれらの治療を停止されるが、付加的に12週を追跡される。
【0204】
全体的な消失(及び、標的の転移性腫瘍のサイズの任意の減少)によって、アズリン処理が癌を治療するために効果的であることが指摘される。PEG化 p28の治療が効果的であることの他の徴候は、新たな転移性腫瘍の消失の減少速度および腫瘍に関連する血管新生の減少である。
【0205】
本発明の記載された例およびシステムの様々な修飾およびバリエーションが、当業者には明らかであり、本発明の範囲および精神からは逸脱しない。本発明は特定の態様と関連して記載されるが、請求される発明が係る特定の態様に過度(unduly)に限定されるべきではない。実際、関連する技術分野における当業者に明らかな、本発明を実施するための記載された態様の様々な修飾は、本発明の態様に記載される範囲内であることが意図される。
【0206】
配列:
【0207】
配列番号1は、緑膿菌のwt-アズリンのアミノ酸配列である。
【0208】
Ala Glu Cys Ser Val Asp Ile Gln Gly Asn Asp Gln Met Gln Phe Asn
1 5 10 15


Thr Asn Ala Ile Thr Val Asp Lys Ser Cys Lys Gln Phe Thr Val Asn
20 25 30


Leu Ser His Pro Gly Asn Leu Pro Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp
35 40 45


Val Leu Ser Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met
50 55 60


Ala Ser Gly Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp Ser Arg Val
65 70 75 80


Ile Ala His Thr Lys Leu Ile Gly Ser Gly Glu Lys Asp Ser Val Thr
85 90 95


Phe Asp Val Ser Lys Leu Lys Glu Gly Glu Gln Tyr Met Phe Phe Cys
100 105 110


Thr Phe Pro Gly His Ser Ala Leu Met Lys Gly Thr Leu Thr Leu Lys
115 120 125
【0209】
配列番号2は、Phormidium laminosumのプラストシアニンのアミノ酸配列である。
【0210】
Glu Thr Phe Thr Val Lys Met Gly Ala Asp Ser Gly Leu Leu Gln Phe
1 5 10 15


Glu Pro Ala Asn Val Thr Val His Pro Gly Asp Thr Val Lys Trp Val
20 25 30


Asn Asn Lys Leu Pro Pro His Asn Ile Leu Phe Asp Asp Lys Gln Val
35 40 45


Pro Gly Ala Ser Lys Glu Leu Ala Asp Lys Leu Ser His Ser Gln Leu
50 55 60


Met Phe Ser Pro Gly Glu Ser Tyr Glu Ile Thr Phe Ser Ser Asp Phe
65 70 75 80


Pro Ala Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Cys Ala Pro His Arg Gly Ala Gly
85 90 95


Met Val Gly Lys Ile Thr Val Glu Gly
100 105
【0211】
配列番号3は、Thiobacillus ferrooxidansのラスティシアニンのアミノ酸配列である。
【0212】
Gly Thr Leu Asp Thr Thr Trp Lys Glu Ala Thr Leu Pro Gln Val Lys
1 5 10 15


Ala Met Leu Glu Lys Asp Thr Gly Lys Val Ser Gly Asp Thr Val Thr
20 25 30


Tyr Ser Gly Lys Thr Val His Val Val Ala Ala Ala Val Leu Pro Gly
35 40 45


Phe Pro Phe Pro Ser Phe Glu Val His Asp Lys Lys Asn Pro Thr Leu
50 55 60


Glu Ile Pro Ala Gly Ala Thr Val Asp Val Thr Phe Ile Asn Thr Asn
65 70 75 80


Lys Gly Phe Gly His Ser Phe Asp Ile Thr Lys Lys Gly Pro Pro Tyr
85 90 95


Ala Val Met Pro Val Ile Asp Pro Ile Val Ala Gly Thr Gly Phe Ser
100 105 110


Pro Val Pro Lys Asp Gly Lys Phe Gly Tyr Thr Asp Phe Thr Trp His
115 120 125


Pro Thr Ala Gly Thr Tyr Tyr Tyr Val Cys Gln Ile Pro Gly His Ala
130 135 140


Ala Thr Gly Met Phe Gly Lys Ile Val Val Lys
145 150 155
【0213】
配列番号4は、Achromobacter cycloclastesのシュードアズリンのアミノ酸配列である。
【0214】
Ala Asp Phe Glu Val His Met Leu Asn Lys Gly Lys Asp Gly Ala Met
1 5 10 15


Val Phe Glu Pro Ala Ser Leu Lys Val Ala Pro Gly Asp Thr Val Thr
20 25 30


Phe Ile Pro Thr Asp Lys Gly His Asn Val Glu Thr Ile Lys Gly Met
35 40 45


Ile Pro Asp Gly Ala Glu Ala Phe Lys Ser Lys Ile Asn Glu Asn Tyr
50 55 60


Lys Val Thr Phe Thr Ala Pro Gly Val Tyr Gly Val Lys Cys Thr Pro
65 70 75 80


His Tyr Gly Met Gly Met Val Gly Val Val Gln Val Gly Asp Ala Pro
85 90 95


Ala Asn Leu Glu Ala Val Lys Gly Ala Lys Asn Pro Lys Lys Ala Gln
100 105 110


Glu Arg Leu Asp Ala Ala Leu Ala Ala Leu Gly Asn
115 120
【0215】
配列番号5は、Pseudomonas syringaeのアズリンのアミノ酸配列である。
【0216】
Met Ala Ser Gly Gln Leu Leu Ala Ala Glu Cys Ser Ala Thr Val Asp
1 5 10 15


Ser Thr Asp Gln Met Met Tyr Asp Thr Lys Ala Ile Gln Ile Asp Lys
20 25 30


Ser Cys Lys Glu Phe Thr Leu Asn Leu Thr His Ser Gly Ser Leu Pro
35 40 45


Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp Val Leu Ser Lys Lys Ala Asp Ala
50 55 60


Ser Ala Ile Thr Thr Asp Gly Met Ser Val Gly Ile Asp Lys Asp Tyr
65 70 75 80


Val Lys Pro Asp Asp Thr Arg Val Ile Ala His Thr Lys Ile Ile Gly
85 90 95


Ala Gly Glu Asn Asp Ser Val Thr Phe Asp Val Ser Lys Leu Asp Pro
100 105 110


Ala Glu Asp Tyr Gln Phe Phe Cys Thr Phe Pro Gly His Ile Ser Met
115 120 125


Met Lys Gly Ala Val Thr Leu Lys
130 135
【0217】
配列番号6は、Neisseria gonorrhoeaeからのLazのアミノ酸配列である。
【0218】
Met Lys Ala Tyr Leu Ala Leu Ile Ser Ala Ala Val Ile Gly Leu Ala
1 5 10 15


Ala Cys Ser Gln Glu Pro Ala Ala Pro Ala Ala Glu Ala Thr Pro Ala
20 25 30


Gly Glu Ala Pro Ala Ser Glu Ala Pro Ala Ala Glu Ala Ala Pro Ala
35 40 45


Asp Ala Ala Glu Ala Pro Ala Ala Gly Asn Cys Ala Ala Thr Val Glu
50 55 60


Ser Asn Asp Asn Met Gln Phe Asn Thr Lys Asp Ile Gln Val Ser Lys
65 70 75 80


Ala Cys Lys Glu Phe Thr Ile Thr Leu Lys His Thr Gly Thr Gln Pro
85 90 95


Lys Ala Ser Met Gly His Asn Leu Val Ile Ala Lys Ala Glu Asp Met
100 105 110


Asp Gly Val Phe Lys Asp Gly Val Gly Ala Ala Asp Thr Asp Tyr Val
115 120 125


Lys Pro Asp Asp Ala Arg Val Val Ala His Thr Lys Leu Ile Gly Gly
130 135 140


Gly Glu Glu Ser Ser Leu Thr Leu Asp Pro Ala Lys Leu Ala Asp Gly
145 150 155 160


Asp Tyr Lys Phe Ala Cys Thr Phe Pro Gly His Gly Ala Leu Met Asn
165 170 175


Gly Lys Val Thr Leu Val Asp
180
【0219】
配列番号7は、Neisseria meningitidesからのLazのアミノ酸配列である。
【0220】
Met Lys Ala Tyr Leu Ala Leu Ile Ser Ala Ala Val Ile Gly Leu Ala
1 5 10 15


Ala Cys Ser Gln Glu Pro Ala Ala Pro Ala Ala Glu Ala Thr Pro Ala
20 25 30


Ala Glu Ala Pro Ala Ser Glu Ala Pro Ala Ala Glu Ala Ala Pro Ala
35 40 45


Asp Ala Ala Glu Ala Pro Ala Ala Gly Asn Cys Ala Ala Thr Val Glu
50 55 60


Ser Asn Asp Asn Met Gln Phe Asn Thr Lys Asp Ile Gln Val Ser Lys
65 70 75 80


Ala Cys Lys Glu Phe Thr Ile Thr Leu Lys His Thr Gly Thr Gln Pro
85 90 95


Lys Thr Ser Met Gly His Asn Ile Val Ile Gly Lys Thr Glu Asp Met
100 105 110


Asp Gly Ile Phe Lys Asp Gly Val Gly Ala Ala Asp Thr Asp Tyr Val
115 120 125


Lys Pro Asp Asp Ala Arg Val Val Ala His Thr Lys Leu Ile Gly Gly
130 135 140


Gly Glu Glu Ser Ser Leu Thr Leu Asp Pro Ala Lys Leu Ala Asp Gly
145 150 155 160


Glu Tyr Lys Phe Ala Cys Thr Phe Pro Gly His Gly Ala Leu Met Asn
165 170 175


Gly Lys Val Thr Leu Val Asp
180
【0221】
配列番号8は、腸炎ビブリオ菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0222】
Met Ser Leu Arg Ile Leu Ala Ala Thr Leu Ala Leu Ala Gly Leu Ser
1 5 10 15


Phe Gly Ala Gln Ala Ser Ala Glu Cys Glu Val Ser Ile Asp Ala Asn
20 25 30


Asp Met Met Gln Phe Ser Thr Lys Thr Leu Ser Val Pro Ala Thr Cys
35 40 45


Lys Glu Val Thr Leu Thr Leu Asn His Thr Gly Lys Met Pro Ala Gln
50 55 60


Ser Met Gly His Asn Val Val Ile Ala Asp Thr Ala Asn Ile Gln Ala
65 70 75 80


Val Gly Thr Asp Gly Met Ser Ala Gly Ala Asp Asn Ser Tyr Val Lys
85 90 95


Pro Asp Asp Glu Arg Val Tyr Ala His Thr Lys Val Val Gly Gly Gly
100 105 110


Glu Ser Thr Ser Ile Thr Phe Ser Thr Glu Lys Met Thr Ala Gly Gly
115 120 125


Asp Tyr Ser Phe Phe Cys Ser Phe Pro Gly His Trp Ala Ile Met Gln
130 135 140


Gly Lys Phe Glu Phe Lys
145 150
【0223】
配列番号9は、気管支敗血症菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0224】
Ala Glu Cys Ser Val Asp Ile Ala Gly Thr Asp Gln Met Gln Phe Asp
1 5 10 15


Lys Lys Ala Ile Glu Val Ser Lys Ser Cys Lys Gln Phe Thr Val Asn
20 25 30


Leu Lys His Thr Gly Lys Leu Pro Arg Asn Val Met Gly His Asn Trp
35 40 45


Val Leu Thr Lys Thr Ala Asp Met Gln Ala Val Glu Lys Asp Gly Ile
50 55 60


Ala Ala Gly Leu Asp Asn Gln Tyr Leu Lys Ala Gly Asp Thr Arg Val
65 70 75 80


Leu Ala His Thr Lys Val Leu Gly Gly Gly Glu Ser Asp Ser Val Thr
85 90 95


Phe Asp Val Ala Lys Leu Ala Ala Gly Asp Asp Tyr Thr Phe Phe Cys
100 105 110


Ser Phe Pro Gly His Gly Ala Leu Met Lys Gly Thr Leu Lys Leu Val
115 120 125


Asp
【0225】
配列番号10は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンAのアミノ酸配列である。
【0226】
Met Lys Ile Thr Leu Arg Met Met Val Leu Ala Val Leu Thr Ala Met
1 5 10 15


Ala Met Val Leu Ala Ala Cys Gly Gly Gly Gly Ser Ser Gly Gly Ser
20 25 30


Thr Gly Gly Gly Ser Gly Ser Gly Pro Val Thr Ile Glu Ile Gly Ser
35 40 45


Lys Gly Glu Glu Leu Ala Phe Asp Lys Thr Glu Leu Thr Val Ser Ala
50 55 60


Gly Gln Thr Val Thr Ile Arg Phe Lys Asn Asn Ser Ala Val Gln Gln
65 70 75 80


His Asn Trp Ile Leu Val Lys Gly Gly Glu Ala Glu Ala Ala Asn Ile
85 90 95


Ala Asn Ala Gly Leu Ser Ala Gly Pro Ala Ala Asn Tyr Leu Pro Ala
100 105 110


Asp Lys Ser Asn Ile Ile Ala Glu Ser Pro Leu Ala Asn Gly Asn Glu
115 120 125


Thr Val Glu Val Thr Phe Thr Ala Pro Ala Ala Gly Thr Tyr Leu Tyr
130 135 140


Ile Cys Thr Val Pro Gly His Tyr Pro Leu Met Gln Gly Lys Leu Val
145 150 155 160


Val Asn
【0227】
配列番号11は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンBのアミノ酸配列である。
【0228】
Ala Ala Asn Ala Pro Gly Gly Ser Asn Val Val Asn Glu Thr Pro Ala
1 5 10 15


Gln Thr Val Glu Val Arg Ala Ala Pro Asp Ala Leu Ala Phe Ala Gln
20 25 30


Thr Ser Leu Ser Leu Pro Ala Asn Thr Val Val Arg Leu Asp Phe Val
35 40 45


Asn Gln Asn Asn Leu Gly Val Gln His Asn Trp Val Leu Val Asn Gly
50 55 60


Gly Asp Asp Val Ala Ala Ala Val Asn Thr Ala Ala Gln Asn Asn Ala
65 70 75 80


Asp Ala Leu Phe Val Pro Pro Pro Asp Thr Pro Asn Ala Leu Ala Trp
85 90 95


Thr Ala Met Leu Asn Ala Gly Glu Ser Gly Ser Val Thr Phe Arg Thr
100 105 110


Pro Ala Pro Gly Thr Tyr Leu Tyr Ile Cys Thr Phe Pro Gly His Tyr
115 120 125


Leu Ala Gly Met Lys Gly Thr Leu Thr Val Thr Pro
130 135 140
【0229】
配列番号12は、百日咳菌のアズリンのアミノ酸配列である。
【0230】
Ala Glu Cys Ser Val Asp Ile Ala Gly Thr Asp Gln Met Gln Phe Asp
1 5 10 15


Lys Lys Ala Ile Glu Val Ser Lys Ser Cys Lys Gln Phe Thr Val Asn
20 25 30


Leu Lys His Thr Gly Lys Leu Pro Arg Asn Val Met Gly His Asn Trp
35 40 45


Val Leu Thr Lys Thr Ala Asp Met Gln Ala Val Glu Lys Asp Gly Ile
50 55 60


Ala Ala Gly Leu Asp Asn Gln Tyr Leu Lys Ala Gly Asp Thr Arg Val
65 70 75 80


Leu Ala His Thr Lys Val Leu Gly Gly Gly Glu Ser Asp Ser Val Thr
85 90 95


Phe Asp Val Ala Lys Leu Ala Ala Gly Asp Asp Tyr Thr Phe Phe Cys
100 105 110


Ser Phe Pro Gly His Gly Ala Leu Met Lys Gly Thr Leu Lys Leu Val
115 120 125


Asp
【0231】
配列番号13は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0232】
Leu Ser Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala
1 5 10 15


Ser Gly Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp
20 25
【0233】
配列番号14は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜67アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0234】
Leu Ser Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala
1 5 10 15


Ser Gly
【0235】
配列番号15は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜128アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0236】
Pro Gly Asn Leu Pro Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp Val Leu Ser
1 5 10 15


Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser Gly
20 25 30


Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp Ser Arg Val Ile Ala His
35 40 45


Thr Lys Leu Ile Gly Ser Gly Glu Lys Asp Ser Val Thr Phe Asp Val
50 55 60


Ser Lys Leu Lys Glu Gly Glu Gln Tyr Met Phe Phe Cys Thr Phe Pro
65 70 75 80


Gly His Ser Ala Leu Met Lys Gly Thr Leu Thr Leu Lys
85 90
【0237】
配列番号16は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜89アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0238】
Pro Gly Asn Leu Pro Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp Val Leu Ser
1 5 10 15


Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser Gly
20 25 30


Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp Ser Arg Val Ile Ala His
35 40 45


Thr Lys Leu Ile Gly Ser
50
【0239】
配列番号17は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0240】
Pro Gly Asn Leu Pro Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp Val Leu Ser
1 5 10 15


Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser Gly
20 25 30


Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp
35 40
【0241】
配列番号18は、緑膿菌のwt-アズリンの36〜50アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0242】
Pro Gly Asn Leu Pro Lys Asn Val Met Gly His Asn Trp Val Leu
1 5 10 15
【0243】
配列番号19は、緑膿菌のwt-アズリンの50〜66アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0244】
Leu Ser Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala
1 5 10 15


Ser
【0245】
配列番号20は、緑膿菌のwt-アズリンの67〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0246】
Gly Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp
1 5 10
【0247】
配列番号21は、Chloroflexus aurantiacusのアウラシアニンBの57〜89アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0248】
His Asn Trp Val Leu Val Asn Gly Gly Asp Asp Val Ala Ala Ala Val
1 5 10 15


Asn Thr Ala Ala Gln Asn Asn Ala Asp Ala Leu Phe Val Pro Pro Pro
20 25 30


Asp
【0249】
配列番号22は、百日咳菌のアズリンの50〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0250】
Leu Thr Lys Thr Ala Asp Met Gln Ala Val Glu Lys Asp Gly Ile Ala
1 5 10 15


Ala Gly Leu Asp Asn Gln Tyr Leu Lys Ala Gly Asp
20 25
【0251】
配列番号23は、髄膜炎菌のLazタンパク質の89〜115アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0252】
IAKAEDMDGVFKDGVGAADTDYVKPDD
【0253】
配列番号24は、緑膿菌のアズリンの53〜70アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0254】
Glu Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser Gly
1 5 10 15


Leu Asp Lys Asp Tyr
20
【0255】
配列番号25は、緑膿菌のアズリンの53〜64アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0256】
Glu Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser
1 5 10 15
【0257】
配列番号26は、緑膿菌のアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0258】
Ser Thr Ala Ala Asp Met Gln Gly Val Val Thr Asp Gly Met Ala Ser
1 5 10 15


Gly Leu Asp Lys Asp Tyr Leu Lys Pro Asp Asp
20 25
【0259】
配列番号27は、Pseudomonas syringaeのアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0260】
Ser Lys Lys Ala Asp Ala Ser Ala Ile Thr Thr Asp Gly Met Ser Val
1 5 10 15


Gly Ile Asp Lys Asp Tyr Val Lys Pro Asp Asp
20 25
【0261】
配列番号28は、腸炎ビブリオ菌のアズリンの52〜78アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0262】
Ala Asp Thr Ala Asn Ile Gln Ala Val Gly Thr Asp Gly Met Ser Ala
1 5 10 15


Gly Ala Asp Asn Ser Tyr Val Lys Pro Asp Asp
20 25
【0263】
配列番号29は、気管支敗血症菌のアズリンの51〜77アミノ酸断片のアミノ酸配列である。
【0264】
Thr Lys Thr Ala Asp Met Gln Ala Val Glu Lys Asp Gly Ile Ala Ala
1 5 10 15


Gly Leu Asp Asn Gln Tyr Leu Lys Ala Gly Asp
20 25
【0265】
配列番号30は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態(variant form)に関する人工的な配列である。
【0266】
LSTAADMQAVVTDTMASGLDKDYLKPDD
【0267】
配列番号31は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0268】
LSTAADLQGVVTDGLASGLDKDYLKPDD (配列番号31)
【0269】
配列番号32は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0270】
LSTAADVQGVVTDGVASGLDKDYLKPDD (配列番号32)
【0271】
配列番号33は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0272】
アセチル化-LSTAADMQGVVTDGMASGLDKDYLKPDD-アミド化 (配列番号33)。
【0273】
配列番号34は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0274】
LSWAADMQGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号34)
【0275】
配列番号35は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0276】
LSTAADMWGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号35)
【0277】
配列番号36は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0278】
LSTAADMQGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号36);
【0279】
配列番号37は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0280】
LSTAADMQGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号37)
【0281】
配列番号38は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0282】
LSWAADMWGVVTDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号38)
【0283】
配列番号39は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0284】
LSWAADMQGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号39)
【0285】
配列番号40は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0286】
LSWAADMQGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号40)
【0287】
配列番号41は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0288】
LSTAADMWGVVWDGMASGLDKDYLKPDD (配列番号41)
【0289】
配列番号42は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0290】
LSTAADMWGVVTDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号42);
【0291】
配列番号43は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0292】
LSTAADMQGVVWDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号43)
【0293】
配列番号44は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0294】
LSWAADMWGVVWDWMASGLDKDYLKPDD (配列番号44)
【0295】
配列番号45は、緑膿菌アズリンの50〜77アミノ酸領域のバリアント形態に関する人工的な配列である。
【0296】
DDPKLYDKDLGSAMGDTVVGQMDAATSL (配列番号45)
【0297】
配列番号46は、アズリンの保存されたアミノ酸配列である(Dはアスパラギン酸であり、Gはグリシンであり、Yはチロシンであり、Kはリジンであり、Xは任意のアミノ酸である)。
【0298】
DGXXXXXDXXYXKXXD (配列番号46)
【0299】
配列番号47は、アズリンの保存されたアミノ酸配列である(Dはアスパラギン酸であり、Gはグリシンであり、Yはチロシンであり、Kはリジンであり、Xは任意のアミノ酸である)。
【0300】
DGXXXXDXXYXKXXD (配列番号47)
【0301】
配列番号48は、緑膿菌のアズリンの50〜77への修飾を含む人工的な配列である。
【0302】
X1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号48);
配列中のX1は、Lおよびアセチル化されたLからなる群から選択される;
配列中のX2は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX3は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX4は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX8は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX9は、Dおよびアミド化されたDからなる群から選択される。
【0303】
配列番号49は、緑膿菌のアズリンの50〜77のD-異性体への修飾を含む人工的な配列である。
【0304】
X1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号49);
配列中のX1は、Dおよびアセチル化されたDからなる群から選択される;
配列中のX2は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX3は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX4は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX8は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX9は、Lおよびアミド化されたLからなる群から選択される。
【0305】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【表3−14】

【表3−15】

【表3−16】

【表3−17】

【表3−18】

【表3−19】

【表3−20】

【表3−21】

【表3−22】

【表3−23】

【表3−24】

【表3−25】

【表3−26】

【表3−27】

【表3−28】

【表3−29】

【表3−30】

【表3−31】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
未修飾のキュプレドキシン由来ペプチドと比較して少なくとも一つの改善された薬物動態特性を有しえるキュプレドキシン由来ペプチドのバリアントまたは誘導体である、単離された修飾キュプレドキシン由来ペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、前記少なくとも一つの改善された薬物動態特性が以下からなる群から選択されるペプチド:
(1) 患者における生体内変換に感受性が低い、
(2) 遅い速度で患者の体から排出される、
(3) 三次構造の安定性が増加している、および
(4) 血漿半減期が長い。
【請求項3】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、少なくとも一つの野生型キュプレドキシンの薬理的な活性を有しているペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、少なくとも一つの以下からなる群から選択される薬理的な活性を有しているペプチド:
(1) 哺乳類の癌細胞に進入する、
(2) 非癌性の哺乳類細胞に進入しない、
(3) 前癌状態の哺乳類細胞に進入する、
(4) 哺乳類の癌細胞を死滅させる、
(5) 前癌状態の哺乳類細胞を死滅させる、
(6) 哺乳類の癌細胞の成長を阻害する、
(7) HIV-1感染を阻害する、
(8) マラリア感染した赤血球細胞の寄生虫血症を阻害する、
(9) エフリン情報伝達系に干渉する、および
(10) 血管形成を阻害する。
【請求項5】
前記キュプレドキシンが緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa), Phormidium laminosum Ulva pertussis, Thiobacillus ferrooxidans, Achromobacter cycloclastes, Pseudomonas syringa, 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis), 腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus), 気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica), 百日咳菌(Bordetella pertussis), Chloroflexus aurantiacusおよび淋菌(Neisseria gonorrhoeae)からなる群から選択される生物体に由来する、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項6】
前記キュプレドキシンがアズリン, プラストシアニン, ラスティシアニン, シュードアズリン, アウラシアニン, ステラシアニン, キュウリ塩基性タンパク質およびアズリン様タンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項7】
前記キュプレドキシンが配列番号1〜12からなる群から選択される、請求項6に記載の単離されたペプチド。
【請求項8】
キュプレドキシンの短縮型である、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項9】
請求項8に記載の単離されたペプチドであって、配列番号13〜47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド。
【請求項10】
少なくとも一つの配列番号1〜12からなる群から選択される配列が少なくとも90%同一性である、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項11】
加水分解への感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項12】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの配列において一または二以上のアスパラギンまたはセリン残基が別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項13】
請求項12に記載の単離されたペプチドであって、前記アスパラギンまたはセリン残基がグルタミン酸またはスレオニン残基で置換されたペプチド。
【請求項14】
脱アミドへの感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項15】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のグリシン残基が別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項16】
請求項15に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のグリシン残基がスレオニンまたはアラニン残基で置換されたペプチド。
【請求項17】
請求項16に記載の単離されたペプチドであって、緑膿菌のアズリン(配列番号 1)の残基58または63と均等であるキュプレドキシン由来ペプチドにおける一または二以上のグリシン残基が置換されたペプチド。
【請求項18】
配列番号 30を含む、請求項17に記載の単離されたペプチド。
【請求項19】
酸化への感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項20】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のメチオニンまたはシステイン残基が別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項21】
請求項20に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のグリシン残基がロイシンまたはバリン残基で置換されたペプチド。
【請求項22】
請求項21に記載の単離されたペプチドであって、緑膿菌のアズリン(配列番号 1)の残基56または64と均等であるキュプレドキシン由来ペプチドにおける一または二以上のメチオニン残基が置換されたペプチド。
【請求項23】
配列番号 31または配列番号 32を含む、請求項22に記載の単離されたペプチド。
【請求項24】
ジケトピペラジンおよびピログルタミン酸の形成への感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項25】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション1, 2 または3におけるグリシン残基は別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項26】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端からのポジション3におけるプロリン残基は別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項27】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端でのアスパラギン残基は別のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項28】
ラセミ化への感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項29】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のアミノ酸残基が、D-異性体のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項30】
請求項29に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの全てのアミノ酸残基は、D-異性体のアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項31】
配列番号 45を含む、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項32】
デグラデーションへの感受性が低い、請求項2に記載の単離されたペプチド。
【請求項33】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドのN-末端がアセチル化されたペプチド。
【請求項34】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドのC-末端がアミド化されたペプチド。
【請求項35】
配列番号 33で表される、請求項34に記載の単離されたキュプレドキシン由来ペプチド。
【請求項36】
請求項2に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドが修飾されて、その三次構造の安定性が増加するペプチド。
【請求項37】
請求項36に記載の単離されたペプチドであって、前記ペプチドが修飾されて、少なくとも一つのαヘリックスの安定性が増加するペプチド。
【請求項38】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、グリシン, プロリン, セリン, アスパラギン酸, アラニン, スレオニン, バリン, グルタミン, アスパラギン, システイン, ヒスチジン, リジン, および アルギニンからなる群から選択されるキュプレドキシン由来ペプチドの少なくとも一つのアミノ酸残基は、ロイシン, イソロイシン, フェニルアラニン, グルタミン酸, チロシン, トリプトファン および メチオニンからなる群から選択されるアミノ酸残基で置換されたペプチド。
【請求項39】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53〜56, 58〜64 および 68〜70と均等な残基内であるペプチド。
【請求項40】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、P.aeruginosaのアズリンの残基57と均等な残基でのグルタミンは、トリプトファン残基で置換されたペプチド。
【請求項41】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、P.aeruginosaのアズリンの残基52と均等な残基でのスレオニンは、トリプトファン残基で置換されたペプチド。
【請求項42】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、P.aeruginosaのアズリンの残基61と均等な残基でのスレオニンは、トリプトファン残基で置換されたペプチド。
【請求項43】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、P.aeruginosaのアズリンの残基63と均等な残基でのグリシンは、トリプトファン残基で置換されたペプチド。
【請求項44】
請求項38に記載の単離されたペプチドであって、配列番号34〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド。
【請求項45】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、二または三以上のキュプレドキシン由来ペプチドのリジン残基がi(i+4)のスペーシングでε-(3,5-ジニトロベンゾイル)-リジン残基で置換されたペプチド。
【請求項46】
請求項45に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53〜56, 58〜64 および 68〜70と均等な残基内であるペプチド。
【請求項47】
請求項39に記載の単離されたペプチドであって、ヒスチジン-システインまたはヒスチジン-ヒスチジン残基のペアが、i(i+4)スペーシングでキュプレドキシン由来ペプチドに置換され、該ペプチドはさらに少なくとも一つのCu, Zn, Cd および Ruからなる群から選択されるイオンを含んでいるペプチド。
【請求項48】
請求項47に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53〜56, 58〜64 および 68〜70と均等な残基内であるペプチド。
【請求項49】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のキュプレドキシン由来ペプチドにおける本来のアミノ酸残基のペアが、本来のアミノ酸に対応するオレフィン関連繋留を有しているα,α-二置換性の非天然アミノ酸で置換されたペプチド。
【請求項50】
請求項49に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドの置換された残基は、P.aeruginosaのアズリンの残基53〜56, 58〜64 および 68〜70と均等な残基内であるペプチド。
【請求項51】
請求項1に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドに共有結合性に結合された一または二以上の PEG 分子を有するペプチド。
【請求項52】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上の PEG 分子がキュプレドキシン由来ペプチドの一または二以上のシステイン残基に共有結合性に結合されたペプチド。
【請求項53】
請求項52に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上の PEG 分子が、一または二以上の緑膿菌アズリン(配列番号 1)のアミノ酸残基3, 6, および 112からなる群から選択される残基と均等なシステイン残基に共有結合性に結合されたペプチド。
【請求項54】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、システイン残基が、前記キュプレドキシン由来ペプチドへと置換され、PEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項55】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上の PEG 分子は、リジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン, チロシン, N末端のアミノ基, およびC末端のカルボン酸からなる群から選択される一または二以上の部位でキュプレドキシン由来ペプチドに共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項56】
請求項55に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のリジン残基またはC末端のカルボン酸がPEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項57】
請求項55に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のリジン, システイン, ヒスチジン, アルギニン, アスパラギン酸, グルタミン酸, セリン, スレオニン および チロシン残基からなる群から選択される残基が、前記キュプレドキシン由来ペプチドに置換され、PEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項58】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上のキュプレドキシン由来ペプチドのアミノ基がPEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項59】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、一または二以上の PEG 分子がランダムにキュプレドキシン由来ペプチドに共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項60】
請求項51に記載の単離されたペプチドであって、キュプレドキシン由来ペプチドごとのPEG 分子の平均分子量は、約 200 〜 約 100,000 ダルトンであるペプチド。
【請求項61】
請求項60に記載の単離されたペプチドであって、前記キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上の分枝状 PEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項62】
請求項61に記載の単離されたペプチドであって、前記分枝状 PEG 分子は約 50 kDaであるペプチド。
【請求項63】
請求項60に記載の単離されたペプチドであって、前記キュプレドキシン由来ペプチドは、一または二以上の直線状 PEG 分子に共有結合性に結合されるペプチド。
【請求項64】
請求項63に記載の単離されたペプチドであって、前記直線状 PEG 分子は約 5 kDaであるペプチド。
【請求項65】
請求項1に記載の単離されたペプチドおよび薬学的に許容される担体を含んでいる薬学的組成物。
【請求項66】
哺乳類に治療上効果的な量の請求項1に記載の単離されたペプチドを投与することを備える方法。
【請求項67】
前記哺乳類がヒトである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
以下のアミノ酸配列を含む単離されたペプチド:
X1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号48);
配列中のX1は、Lおよびアセチル化されたLからなる群から選択される;
配列中のX2は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX3は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX4は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX8は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX9は、Dおよびアミド化されたDからなる群から選択される。
【請求項69】
以下のアミノ酸配列からなる請求項68に記載の単離されたペプチド:
X1SX2AADX3X4X5VVX6DX7X8ASGLDKDYLKPDX9 (配列番号48);
配列中のX1は、Lおよびアセチル化されたLからなる群から選択される;
配列中のX2は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX3は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX4は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX8は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX9は、Dおよびアミド化されたDからなる群から選択される。
【請求項70】
以下のアミノ酸配列を含む単離されたペプチド:
X1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号49);
配列中のX1は、Dおよびアセチル化されたDからなる群から選択される;
配列中のX2は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX3は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX4は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX8は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX9は、Lおよびアミド化されたLからなる群から選択される。
【請求項71】
以下のアミノ酸配列からなる請求項70に記載の単離されたペプチド:
X1DPKLYDKDLGSAX2X3DX4VVX5X6X7DAAX8SX9 (配列番号49);
配列中のX1は、Dおよびアセチル化されたDからなる群から選択される;
配列中のX2は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX3は、G, T およびWからなる群から選択される;
配列中のX4は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX5は、GおよびAからなる群から選択される;
配列中のX6は、QおよびWからなる群から選択される;
配列中のX7は、M, L およびVからなる群から選択される;
配列中のX8は、TおよびWからなる群から選択される;
配列中のX9は、Lおよびアミド化されたLからなる群から選択される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−502765(P2010−502765A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528431(P2009−528431)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/078136
【国際公開番号】WO2008/033820
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(500106802)ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ (15)
【Fターム(参考)】