キースイッチ構造
【課題】照光寿命が長くて比較的安価な、また均一で良好な照光状態の得られるキースイッチ構造を提供する。
【解決手段】キートップ11を透過性部材により形成するとともに、光透過性の抜き文字部11cを形成し、接点部を有し光透過性を有するメンブレンシート16の下部に透明部材からなるバックプレート17を配設する。バックプレート17の下部にはLED20を配置した印刷配線板19を設ける。LED20はキートップ11に形成された抜き文字部11cの直下に配設される。メンブレンシート16の表面およびバックプレート17の表面には凹凸16h、17cが形成され、LED20が発光されると、バックプレート17およびメンブレンシート16を光が通過する際に拡散され、キートップ11の下部に配設されたリンク部材等をすり抜けてキートップ11の抜き文字部11cを照光する。
【解決手段】キートップ11を透過性部材により形成するとともに、光透過性の抜き文字部11cを形成し、接点部を有し光透過性を有するメンブレンシート16の下部に透明部材からなるバックプレート17を配設する。バックプレート17の下部にはLED20を配置した印刷配線板19を設ける。LED20はキートップ11に形成された抜き文字部11cの直下に配設される。メンブレンシート16の表面およびバックプレート17の表面には凹凸16h、17cが形成され、LED20が発光されると、バックプレート17およびメンブレンシート16を光が通過する際に拡散され、キートップ11の下部に配設されたリンク部材等をすり抜けてキートップ11の抜き文字部11cを照光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器、測定機器、医療機器などにおける入力装置として用いられるキーボードのキースイッチ構造に関し、特に暗い環境下でも良好な操作性を確保できる照光機能を有するキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暗い環境下でも良好な操作性を確保できるキーボード装置の開発が行われており、例えば、図17に示す構造のものがある。図17を用いて説明すると、キートップ1の上面には文字や記号等が印刷され、キートップ1の下部には弾性部材2およびリンク機構3が設けられ、さらにその下部には接点部4を有するメンブレンシート5および補強板6が配設されている。メンブレンシート5の上部に、EL発光部7を有する
【0003】
EL発光部7は専用シート8上に印刷により形成されており、このEL発光部6によりキートップ1の裏側から光が照射される。キートップ1の裏側から光が照射されることにより、キートップ1に印刷された文字や記号等が明るく照らされて見える。このようなEL素子を使用してキートップ1を照光するキースイッチを開示するものとして、例えば特開2002−251937号公報が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002−251937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のEL素子を用いたキースイッチ構造のものは、EL素子の照光寿命が3000時間程度と比較的短いのが一般的であり、数年間の使用を保証する情報処理機器、測定機器または医療機器等には採用できないという問題があった。さらに、照光させるためには高周波・高電圧の交流を供給するインバータが必須であることにより、製品が高価になるという問題もあった。
【0006】
またノートパソコンに広く採用されているリンク機構部を有するキーボードにEL素子を設ける場合は、キートップの裏面に配設されたリンク機構部の直下にEL素子を設けることが難しく、リンク機構部の直下以外の箇所に配置せざるを得ない。そのため均一で良好なキートップへの照光を得ることが困難であるという問題もあった。
【0007】
そこで本発明は、照光寿命が長くて比較的安価な、また均一で良好な照光状態の得られるキースイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、光透過性の抜き文字部が形成されたキートップと、接点部を具備し、光透過性を有するメンブレンシートと、前記メンブレンシートの下部に配設され、光透過部を有するプレート部材と、前記プレート部材の下部に配設された光源とを備え、前記光源を発光させることにより前記プレート部材及び前記メンブレンシートを介して前記キートップの前記抜き文字部を照光することを特徴とするものである。そして光源として発光ダイオードを用いるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メンブレンシートを光透過性として形成し、またメンブレンシートの下部に配設されたプレート部材を光透過性に形成して、光源をキートップの略直下に配設しているので、均一で良好な照光状態が得られる。また光源として発光ダイオードを使用することにより、照光寿命が長く、安価な装置が得られる。
このようにした本発明は、審査等の内部処理が行われている間、他の顧客の処理を実行可能とすることにより、リモート窓口端末の運用効率をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図2】実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【図3】抜き文字部とLEDの位置関係を示す説明図である。
【図4】スイッチ閉状態を示す断面図である。
【図5】実施例1における照光状態を示す説明図である。
【図6】実施例2のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図7】キートップとLEDの位置関係を示す説明図である。
【図8】実施例2における照光状態を示す説明図である。
【図9】実施例3のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図10】実施例3における照光状態を示す説明図である。
【図11】実施例4のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図12】キートップと反射部の位置関係を示す説明図である。
【図13】実施例4における照光状態を示す説明図である。
【図14】実施例5のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図15】キートップと反射部の位置関係を示す説明図である。
【図16】実施例5における照光状態を示す説明図である。
【図17】従来のキースイッチ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明によるキースイッチ構造の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図であり、図2は実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【0013】
図1、図2において、実施例1のキースイッチ10は、キートップ11と、キートップ11に対して摺動可能に設けられた第1リンク部材12、キートップ11に対して回転可能に設けられて第2リンク部材13、キートップ11が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ11を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)14、第1、第2リンク部材12、13を保持するホルダー15、ラバードーム14の直下に接点部を有するメンブレンシート16、ホルダー15の溶着用ピン15aを固定する穴17aを有し、透過性を有する材料により形成されたバックプレート(プレート部材)17、およびバックプレート17の裏面側にスペーサ18(図2に示す)を介して配設された印刷配線板19とにより構成されている。
【0014】
キートップ11は、図2に示すように、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。なお抜き文字部11cは、キートップ11の上面に通常印刷される文字、記号、数字等をすべて含むものである。
【0015】
キートップ11の裏面には、第1リンク部材12の一端を回転可能に支持する回転支持部11dと、第2リンク部材13の一端を回転可能にかつ水平方向に移動可能に支持するスライド支持部11eが設けられている。第1リンク部材12は、一対の脚部12a、12bを有し、該脚部12a、12bの一端にはキートップ11の回転支持部11dに挿入支持される第1連結棒12cが脚部12a,12bを連結するように設けられ、同様に脚部12a,12bの他端には、第2連結棒12dが脚部12a,12bを連結するように設けられていて、更に、脚部12a,12bの各々の外面には、第1連結棒12cと第2連結棒12dとをつなぐ線上にあって、かつそれぞれの連結棒12c,12dに対して等距離となる位置に軸12e,12fが設けられている。
【0016】
第2リンク部材13は一対の脚部13a,13bを有し、該脚部13a,13bの一端にはキートップ11のスライド支持部11eに回転可能にかつ水平方向に平行移動可能に支持される第1支持突起13c,13dが外側に向けて設けられ、他端には第1リンク部材12の両連結棒12c,12d間と等しい距離に第2支持突起13e,13fが外側に向けて設けられている。また、第1支持突起13c,13dと第2支持突起13e,13fをつなぐ線上にあってかつ各々の支持突起13c,13d;13e,13fに対して等距離となる位置に軸穴13g,13hが設けられている。更に、脚部13a,13bは第1支持突起13c,13dよりも先端側において連結部13iにより連結されている。
【0017】
ラバードーム14は、ゴム等を素材として略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部14aが下方に向けて突出形成されている。ホルダー15は1キー単位に分割して枠状に形成され、その一端付近に第1リンク部材12の第2連結棒12dを回転可能にかつ水平方向に平行移動可能に支持するためのスライドガイド15bが設けられていて、他端付近には第2リンク部材13の第2支持突起13e,13fを回転自在に支持する回転ガイド15c,15dが設けられている。
【0018】
またホルダー15の両端中央には、ラバードーム14の外周部を固定する円弧形のガイド壁15eが対向するように設けられ、更にホルダー15の下面にはメンブレンシート16の貫通穴16fを囲うように複数個所に所定の長さの溶着用ピン15aが形成されている。
【0019】
メンブレンシート16は、図2に示すように、2枚の可撓性シート16a,16bと、この2枚の可撓性シート16a,16bに挟まれたスペーサシート16cから成り、このスペーサシート16cには複数のキーに対応して複数の貫通穴16fが設けられている。貫通穴16fは2枚の可撓性シート16a,16b間に空間を形成し、この空間内で互いに対向して位置するように、バックプレート17側の可撓性シート16bには固定接点16dが、ラバードーム14側の可撓性シート16aには可動接点16eがそれぞれ設けられている。
【0020】
固定接点16dおよび可動接点16eにより接点部を構成する。また貫通穴16fの周囲に位置するようにメンブレンシート16に複数の透孔16gが設けられている。メンブレンシート16は表面が凹凸形状に形成されているとともに、全体が光透過性部材から形成されている。
【0021】
バックプレート17は、以上の各部品を搭載するように下部に配置されもので、透過性部材により形成されている。このバックプレート17にはメンブレンシート16の透孔16gに対応してメンブレンシート16と同等の厚さのスペーサ突起17bが形成されており、各スペーサ突起17bの中央にホルダー15の溶着用ピン15aを通す穴17aが貫通するように設けられていて、更にバックプレート17の下面側において各穴17aの周囲に凹部(座ぐり)が形成されている。バックプレート17の上面は凹凸形状に形成され、下部から透過してきた光を上方へ拡散する。
【0022】
バックプレート17の下部には印刷配線板19が配設されている。印刷配線板19にはLED(発光ダイオード)20が設けられている。LED20は、図3に示すように、キースイッチ10が組み立てられた状態においてキートップ11の抜き文字部11cの直下に配置されている。図3はキートップ11の抜き文字部11cとLED20の位置関係を示す説明図である。図3(a)はLED20を横長に配置した例を示し、図3(b)はLED20を縦長に配置した例を示す。
【0023】
次に動作を説明する。図2において、キートップ11を上方から任意の荷重で押下すると、キートップ11は下方に移動し、これによりラバードーム14が屈曲し、ラバードーム14の接点押下部14aが、図4に示すように、メンブレンシート16の接点部16d、16eを押圧する。これによりスイッチ閉状態となる。また、第1リンク部材12および第2リンク部材13により、キートップ11の上部のどの部分を押下されても、キートップ11は水平状態を保ったまま下方に移動し、スイッチ閉状態が得られる。図4はスイッチ閉状態を示す断面図である。
【0024】
図5は実施例1における照光状態を示す説明図である。図5において、印刷配線板19に配設されたLED20は、図示しない電源が投入されると点灯する。LED20から発せられる光は、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0025】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0026】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が裏面から照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0027】
LED20から発せられる光は、きわめて指向性の強いものであるが、実施例1によれば、印刷配線板19上に配設されたLED20から発せられた光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する際にその表面の凹凸17cにより拡散され、さらにメンブレンシート16を通過する際にもその表面凹凸16hにより拡散されるので、メンブレンシート16の上部に設けられる第1、第2リンク部材12、13をすり抜けてキートップ11下面に到達することができる。その結果、キートップ11に形成された抜き文字部11cを照光することが可能となる。光が細かく拡散されることにより、抜き文字部11cに照光する光は均一となり、キートップ11の上部から見た場合、文字や記号等が見易くなる。
【実施例2】
【0028】
次に実施例2を説明する。図6は実施例2のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図6において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0029】
ラバードーム24は、透明材料により略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24aが下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24の表面には細かい凹凸が形成されている。また最下層の印刷配線板19にはLED20が設けられている。LED20は、図7に示すように、キースイッチが組み立てられた状態においてキートップ11の中心の直下に配置されている。キートップ11の中心の直下にLED20を配置することにより、LED20はラバードーム24およびメンブレンシート16の接点部の直下に位置することになる。なお図7はキートップ11とLED20の位置関係を示す説明図である。図7(a)はLED20を横長に配置した例を示し、図7(b)はLED20を縦長に配置した例を示す。その他の構成は前記実施例1と同様である。
【0030】
次に動作を説明する。ここではLED20による照光について説明する。図8は実施例2における照光状態を示す説明図である。図8において、印刷配線板19に配設されたLED20は、図示しない電源が投入されると点灯する。LED20から発せられる光は、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0031】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光は、ラバードーム24の内側に入り、さらにラバードーム24を通過する。このとき通過する光は、ラバードーム24から出る際に、ラバードーム24表面の凹凸24bによりさらに拡散される。拡散された光は、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0032】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0033】
以上のように実施例2によれば、印刷配線板19上に配設されたLED20から発せられた光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する際にその表面の凹凸17cにより拡散され、またメンブレンシート16を通過する際にもその表面凹凸16hにより拡散され、さらにラバードーム24を通過する際にもその表面凹凸24bにより拡散されるので、メンブレンシート16の上部に設けられる第1、第2リンク部材12、13をすり抜けてキートップ11下面に到達することができる。その結果、キートップ11に形成された抜き文字部11cを、実施例1よりも更に均一に照光することが可能となる。
【0034】
なお上記実施例2では、LED20をキートップ11の中央の直下に設ける例を示したが、大型キーの場合はキートップ11上の文字や記号等が形成される位置とキートップの中央位置とが大きくかけ離れる場合があるので、この場合には文字や記号等の形成位置の略直下にLED20を配置するようにする。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3を説明する。図9は実施例3のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図9において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0036】
バックプレート17の下部にはバックライトユニット21が設けられている。バックライトユニット21はバックプレート17の下部全体に対して均一に光を照射するもので、発光源である蛍光管21aと反射板21bとから構成される。その他の構成は実施例1と同様である。
【0037】
図10は実施例3における照光状態を示す説明図である。図10において、バックライトユニット21の蛍光管21aは、図示しない電源が投入されると点灯する。蛍光管21aから発せられる光は反射板21bにより反射され、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に均一に通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0038】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0039】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0040】
実施例3においては、バックライトユニット21から発せられる光がバックプレート17を均一に通過し、その後実施例1と同様に拡散されてキートップ11の裏面に到達するので、実施例1に比較して更に均一に抜き文字部11cを照光することができる。なお実施例3においても、実施例2と同様にラバードーム14を透明材料で形成するようにしてもよい。またバックライトユニット21の構成として、発光源としての蛍光管21aを反射板21bの端部に設ける代わりに、複数の蛍光管を反射板の内部の複数個所に均等に配置する構成としても良い。
【実施例4】
【0041】
次に実施例4を説明する。図11は実施例4のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図11において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0042】
ラバードーム24は、透明材料により略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24aが下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24の表面には細かい凹凸が形成されている。
【0043】
バックプレート17の下部には導光板22が配設されている。導光板22は透過性の高い樹脂で形成されており、光が屈曲しながら内部を通過する。導光板22には複数の反射部23が形成されている。反射部23は図12に示すように、キートップ11の中央部の直下に設けられている。また反射部23は、図13に示すように、円錐形状に形成され、その上面23aおよび側面23bは光の反射面となっている。図12はキートップと反射部の位置関係を示す説明図、図13は実施例4における照光状態を示す説明図である。
【0044】
図11において、導光板22の一端部にはLEDアレイ24が設けられている。LEDアレイ24は複数のLED光源25を導光板22の面に沿って列状に配設しており、LEDアレイ24は導光板22の一側面22aに対して光を照射する。また導光板22の他の側面22b、22c、22dには反射部材26が設けられている。その他の構成は実施例1と同様である。
【0045】
図13において、導光板22の一側面22aに対向して配設されたLEDアレイ24は、図示しない電源が投入されると点灯する。LEDアレイ24から発せられる光は、導光板22の内部を屈曲しながら通過する。キートップ11の中央部の直下に形成された反射部23の上面23aおよび側面23bに光が反射し、反射した光の一部はバックプレート17に入る。側面23bは斜めに傾斜して形成されているので、導光板22を通過してきた光がバックプレート17方向へ反射される。
【0046】
また反射部23に突き当たらない光は側面22b、22c、22dに設けられた反射部材26で反射される。反射部材26で反射された光は再び導光板22の内部を通過し、その一部は反射部23に反射される。これを繰り返し、比較的多量の光がバックプレート17へ入る。
【0047】
バックプレート17に入った光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に通過し、バックプレート17から出る際に凹凸形状17cにより拡散する。バックプレート17を通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム24の内側に入り、さらにラバードーム24を通過する。このとき通過する光は、ラバードーム24から出る際に、ラバードーム24表面の凹凸24bによりさらに拡散される。拡散された光は、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0048】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0049】
以上のように実施例4では、前記実施例2と同等の効果を奏することができる。また実施例4では、キーの数だけLEDを設ける実施例2に較べてLEDの数が少なくて済むので、LEDの費用とLEDを取付けるための費用の低減が可能となり、安価な照光キーボードを実現することができる。
【実施例5】
【0050】
次に実施例5を説明する。図14は実施例5のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図14において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0051】
バックプレート17の下部には、実施例4と同様に、導光板22が配設されている。導光板22は透過性の高い樹脂で形成されており、光が屈曲しながら内部を通過する。導光板22には複数の反射部27が形成されている。反射部27は図15に示すように、キートップ11の抜き文字部11cの直下に設けられている。また反射部27は、図16に示すように、円錐形状に形成され、その上面27aおよび側面27bは光の反射面となっている。図15はキートップと反射部の位置関係を示す説明図、図16は実施例5における照光状態を示す説明図である。
【0052】
図14において、実施例4と同様に、導光板22の一端部にはLEDアレイ24が設けられている。LEDアレイ24は複数のLED光源25を導光板22の面に沿って列状に配設しており、LEDアレイ24は導光板22の一側面22aに対して光を照射する。また導光板22の他の側面22b、22c、22dには反射部材26が設けられている。
【0053】
図16において、導光板22の一側面22aに対向して配設されたLEDアレイ24は、図示しない電源が投入されると点灯する。LEDアレイ24から発せられる光は、導光板22の内部を屈曲しながら通過する。キートップ11の抜き文字部11cの直下に形成された反射部27の上面27aおよび側面27bに光が反射し、反射した光の一部はバックプレート17に入る。側面27bは斜めに傾斜して形成されているので、導光板22を通過してきた光がバックプレート17方向へ反射される。
【0054】
また反射部27に突き当たらない光は側面22b、22c、22dに設けられた反射部材26で反射される。反射部材26で反射された光は再び導光板22の内部を通過し、その一部は反射部27に反射される。これを繰り返し、比較的多量の光がバックプレート17へ入る。
【0055】
バックプレート17に入った光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に通過し、バックプレート17から出る際に凹凸形状17cにより拡散する。バックプレート17を通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0056】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0057】
実施例5によれば、前記実施例1と同等の効果を奏することができる。また実施例5では、キーの数だけLEDを設ける実施例1に較べてLEDの数が少なくて済むので、LEDの費用とLEDを取付けるための費用の低減が可能となり、安価な照光キーボードを実現することができる。
【符号の説明】
【0058】
11 キートップ
11c 抜き文字部
14、24 ラバードーム
16 メンブレンシート
17 バックプレート
19 印刷配線板
20 LED
21 バックライトユニット
24 LEDアレイ
23,27 反射部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器、測定機器、医療機器などにおける入力装置として用いられるキーボードのキースイッチ構造に関し、特に暗い環境下でも良好な操作性を確保できる照光機能を有するキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暗い環境下でも良好な操作性を確保できるキーボード装置の開発が行われており、例えば、図17に示す構造のものがある。図17を用いて説明すると、キートップ1の上面には文字や記号等が印刷され、キートップ1の下部には弾性部材2およびリンク機構3が設けられ、さらにその下部には接点部4を有するメンブレンシート5および補強板6が配設されている。メンブレンシート5の上部に、EL発光部7を有する
【0003】
EL発光部7は専用シート8上に印刷により形成されており、このEL発光部6によりキートップ1の裏側から光が照射される。キートップ1の裏側から光が照射されることにより、キートップ1に印刷された文字や記号等が明るく照らされて見える。このようなEL素子を使用してキートップ1を照光するキースイッチを開示するものとして、例えば特開2002−251937号公報が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002−251937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のEL素子を用いたキースイッチ構造のものは、EL素子の照光寿命が3000時間程度と比較的短いのが一般的であり、数年間の使用を保証する情報処理機器、測定機器または医療機器等には採用できないという問題があった。さらに、照光させるためには高周波・高電圧の交流を供給するインバータが必須であることにより、製品が高価になるという問題もあった。
【0006】
またノートパソコンに広く採用されているリンク機構部を有するキーボードにEL素子を設ける場合は、キートップの裏面に配設されたリンク機構部の直下にEL素子を設けることが難しく、リンク機構部の直下以外の箇所に配置せざるを得ない。そのため均一で良好なキートップへの照光を得ることが困難であるという問題もあった。
【0007】
そこで本発明は、照光寿命が長くて比較的安価な、また均一で良好な照光状態の得られるキースイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、光透過性の抜き文字部が形成されたキートップと、接点部を具備し、光透過性を有するメンブレンシートと、前記メンブレンシートの下部に配設され、光透過部を有するプレート部材と、前記プレート部材の下部に配設された光源とを備え、前記光源を発光させることにより前記プレート部材及び前記メンブレンシートを介して前記キートップの前記抜き文字部を照光することを特徴とするものである。そして光源として発光ダイオードを用いるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メンブレンシートを光透過性として形成し、またメンブレンシートの下部に配設されたプレート部材を光透過性に形成して、光源をキートップの略直下に配設しているので、均一で良好な照光状態が得られる。また光源として発光ダイオードを使用することにより、照光寿命が長く、安価な装置が得られる。
このようにした本発明は、審査等の内部処理が行われている間、他の顧客の処理を実行可能とすることにより、リモート窓口端末の運用効率をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図2】実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【図3】抜き文字部とLEDの位置関係を示す説明図である。
【図4】スイッチ閉状態を示す断面図である。
【図5】実施例1における照光状態を示す説明図である。
【図6】実施例2のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図7】キートップとLEDの位置関係を示す説明図である。
【図8】実施例2における照光状態を示す説明図である。
【図9】実施例3のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図10】実施例3における照光状態を示す説明図である。
【図11】実施例4のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図12】キートップと反射部の位置関係を示す説明図である。
【図13】実施例4における照光状態を示す説明図である。
【図14】実施例5のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図15】キートップと反射部の位置関係を示す説明図である。
【図16】実施例5における照光状態を示す説明図である。
【図17】従来のキースイッチ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明によるキースイッチ構造の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図であり、図2は実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【0013】
図1、図2において、実施例1のキースイッチ10は、キートップ11と、キートップ11に対して摺動可能に設けられた第1リンク部材12、キートップ11に対して回転可能に設けられて第2リンク部材13、キートップ11が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ11を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)14、第1、第2リンク部材12、13を保持するホルダー15、ラバードーム14の直下に接点部を有するメンブレンシート16、ホルダー15の溶着用ピン15aを固定する穴17aを有し、透過性を有する材料により形成されたバックプレート(プレート部材)17、およびバックプレート17の裏面側にスペーサ18(図2に示す)を介して配設された印刷配線板19とにより構成されている。
【0014】
キートップ11は、図2に示すように、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。なお抜き文字部11cは、キートップ11の上面に通常印刷される文字、記号、数字等をすべて含むものである。
【0015】
キートップ11の裏面には、第1リンク部材12の一端を回転可能に支持する回転支持部11dと、第2リンク部材13の一端を回転可能にかつ水平方向に移動可能に支持するスライド支持部11eが設けられている。第1リンク部材12は、一対の脚部12a、12bを有し、該脚部12a、12bの一端にはキートップ11の回転支持部11dに挿入支持される第1連結棒12cが脚部12a,12bを連結するように設けられ、同様に脚部12a,12bの他端には、第2連結棒12dが脚部12a,12bを連結するように設けられていて、更に、脚部12a,12bの各々の外面には、第1連結棒12cと第2連結棒12dとをつなぐ線上にあって、かつそれぞれの連結棒12c,12dに対して等距離となる位置に軸12e,12fが設けられている。
【0016】
第2リンク部材13は一対の脚部13a,13bを有し、該脚部13a,13bの一端にはキートップ11のスライド支持部11eに回転可能にかつ水平方向に平行移動可能に支持される第1支持突起13c,13dが外側に向けて設けられ、他端には第1リンク部材12の両連結棒12c,12d間と等しい距離に第2支持突起13e,13fが外側に向けて設けられている。また、第1支持突起13c,13dと第2支持突起13e,13fをつなぐ線上にあってかつ各々の支持突起13c,13d;13e,13fに対して等距離となる位置に軸穴13g,13hが設けられている。更に、脚部13a,13bは第1支持突起13c,13dよりも先端側において連結部13iにより連結されている。
【0017】
ラバードーム14は、ゴム等を素材として略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部14aが下方に向けて突出形成されている。ホルダー15は1キー単位に分割して枠状に形成され、その一端付近に第1リンク部材12の第2連結棒12dを回転可能にかつ水平方向に平行移動可能に支持するためのスライドガイド15bが設けられていて、他端付近には第2リンク部材13の第2支持突起13e,13fを回転自在に支持する回転ガイド15c,15dが設けられている。
【0018】
またホルダー15の両端中央には、ラバードーム14の外周部を固定する円弧形のガイド壁15eが対向するように設けられ、更にホルダー15の下面にはメンブレンシート16の貫通穴16fを囲うように複数個所に所定の長さの溶着用ピン15aが形成されている。
【0019】
メンブレンシート16は、図2に示すように、2枚の可撓性シート16a,16bと、この2枚の可撓性シート16a,16bに挟まれたスペーサシート16cから成り、このスペーサシート16cには複数のキーに対応して複数の貫通穴16fが設けられている。貫通穴16fは2枚の可撓性シート16a,16b間に空間を形成し、この空間内で互いに対向して位置するように、バックプレート17側の可撓性シート16bには固定接点16dが、ラバードーム14側の可撓性シート16aには可動接点16eがそれぞれ設けられている。
【0020】
固定接点16dおよび可動接点16eにより接点部を構成する。また貫通穴16fの周囲に位置するようにメンブレンシート16に複数の透孔16gが設けられている。メンブレンシート16は表面が凹凸形状に形成されているとともに、全体が光透過性部材から形成されている。
【0021】
バックプレート17は、以上の各部品を搭載するように下部に配置されもので、透過性部材により形成されている。このバックプレート17にはメンブレンシート16の透孔16gに対応してメンブレンシート16と同等の厚さのスペーサ突起17bが形成されており、各スペーサ突起17bの中央にホルダー15の溶着用ピン15aを通す穴17aが貫通するように設けられていて、更にバックプレート17の下面側において各穴17aの周囲に凹部(座ぐり)が形成されている。バックプレート17の上面は凹凸形状に形成され、下部から透過してきた光を上方へ拡散する。
【0022】
バックプレート17の下部には印刷配線板19が配設されている。印刷配線板19にはLED(発光ダイオード)20が設けられている。LED20は、図3に示すように、キースイッチ10が組み立てられた状態においてキートップ11の抜き文字部11cの直下に配置されている。図3はキートップ11の抜き文字部11cとLED20の位置関係を示す説明図である。図3(a)はLED20を横長に配置した例を示し、図3(b)はLED20を縦長に配置した例を示す。
【0023】
次に動作を説明する。図2において、キートップ11を上方から任意の荷重で押下すると、キートップ11は下方に移動し、これによりラバードーム14が屈曲し、ラバードーム14の接点押下部14aが、図4に示すように、メンブレンシート16の接点部16d、16eを押圧する。これによりスイッチ閉状態となる。また、第1リンク部材12および第2リンク部材13により、キートップ11の上部のどの部分を押下されても、キートップ11は水平状態を保ったまま下方に移動し、スイッチ閉状態が得られる。図4はスイッチ閉状態を示す断面図である。
【0024】
図5は実施例1における照光状態を示す説明図である。図5において、印刷配線板19に配設されたLED20は、図示しない電源が投入されると点灯する。LED20から発せられる光は、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0025】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0026】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が裏面から照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0027】
LED20から発せられる光は、きわめて指向性の強いものであるが、実施例1によれば、印刷配線板19上に配設されたLED20から発せられた光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する際にその表面の凹凸17cにより拡散され、さらにメンブレンシート16を通過する際にもその表面凹凸16hにより拡散されるので、メンブレンシート16の上部に設けられる第1、第2リンク部材12、13をすり抜けてキートップ11下面に到達することができる。その結果、キートップ11に形成された抜き文字部11cを照光することが可能となる。光が細かく拡散されることにより、抜き文字部11cに照光する光は均一となり、キートップ11の上部から見た場合、文字や記号等が見易くなる。
【実施例2】
【0028】
次に実施例2を説明する。図6は実施例2のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図6において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0029】
ラバードーム24は、透明材料により略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24aが下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24の表面には細かい凹凸が形成されている。また最下層の印刷配線板19にはLED20が設けられている。LED20は、図7に示すように、キースイッチが組み立てられた状態においてキートップ11の中心の直下に配置されている。キートップ11の中心の直下にLED20を配置することにより、LED20はラバードーム24およびメンブレンシート16の接点部の直下に位置することになる。なお図7はキートップ11とLED20の位置関係を示す説明図である。図7(a)はLED20を横長に配置した例を示し、図7(b)はLED20を縦長に配置した例を示す。その他の構成は前記実施例1と同様である。
【0030】
次に動作を説明する。ここではLED20による照光について説明する。図8は実施例2における照光状態を示す説明図である。図8において、印刷配線板19に配設されたLED20は、図示しない電源が投入されると点灯する。LED20から発せられる光は、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0031】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光は、ラバードーム24の内側に入り、さらにラバードーム24を通過する。このとき通過する光は、ラバードーム24から出る際に、ラバードーム24表面の凹凸24bによりさらに拡散される。拡散された光は、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0032】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0033】
以上のように実施例2によれば、印刷配線板19上に配設されたLED20から発せられた光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を通過する際にその表面の凹凸17cにより拡散され、またメンブレンシート16を通過する際にもその表面凹凸16hにより拡散され、さらにラバードーム24を通過する際にもその表面凹凸24bにより拡散されるので、メンブレンシート16の上部に設けられる第1、第2リンク部材12、13をすり抜けてキートップ11下面に到達することができる。その結果、キートップ11に形成された抜き文字部11cを、実施例1よりも更に均一に照光することが可能となる。
【0034】
なお上記実施例2では、LED20をキートップ11の中央の直下に設ける例を示したが、大型キーの場合はキートップ11上の文字や記号等が形成される位置とキートップの中央位置とが大きくかけ離れる場合があるので、この場合には文字や記号等の形成位置の略直下にLED20を配置するようにする。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3を説明する。図9は実施例3のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図9において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0036】
バックプレート17の下部にはバックライトユニット21が設けられている。バックライトユニット21はバックプレート17の下部全体に対して均一に光を照射するもので、発光源である蛍光管21aと反射板21bとから構成される。その他の構成は実施例1と同様である。
【0037】
図10は実施例3における照光状態を示す説明図である。図10において、バックライトユニット21の蛍光管21aは、図示しない電源が投入されると点灯する。蛍光管21aから発せられる光は反射板21bにより反射され、まず透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に均一に通過する。バックプレート17の表面は凹凸形状17cになっているので、バックプレート17を通過した光はバックプレート17から出る際に矢印で示すように、拡散する。
【0038】
バックプレート17を拡散して通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0039】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0040】
実施例3においては、バックライトユニット21から発せられる光がバックプレート17を均一に通過し、その後実施例1と同様に拡散されてキートップ11の裏面に到達するので、実施例1に比較して更に均一に抜き文字部11cを照光することができる。なお実施例3においても、実施例2と同様にラバードーム14を透明材料で形成するようにしてもよい。またバックライトユニット21の構成として、発光源としての蛍光管21aを反射板21bの端部に設ける代わりに、複数の蛍光管を反射板の内部の複数個所に均等に配置する構成としても良い。
【実施例4】
【0041】
次に実施例4を説明する。図11は実施例4のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図11において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0042】
ラバードーム24は、透明材料により略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24aが下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24の表面には細かい凹凸が形成されている。
【0043】
バックプレート17の下部には導光板22が配設されている。導光板22は透過性の高い樹脂で形成されており、光が屈曲しながら内部を通過する。導光板22には複数の反射部23が形成されている。反射部23は図12に示すように、キートップ11の中央部の直下に設けられている。また反射部23は、図13に示すように、円錐形状に形成され、その上面23aおよび側面23bは光の反射面となっている。図12はキートップと反射部の位置関係を示す説明図、図13は実施例4における照光状態を示す説明図である。
【0044】
図11において、導光板22の一端部にはLEDアレイ24が設けられている。LEDアレイ24は複数のLED光源25を導光板22の面に沿って列状に配設しており、LEDアレイ24は導光板22の一側面22aに対して光を照射する。また導光板22の他の側面22b、22c、22dには反射部材26が設けられている。その他の構成は実施例1と同様である。
【0045】
図13において、導光板22の一側面22aに対向して配設されたLEDアレイ24は、図示しない電源が投入されると点灯する。LEDアレイ24から発せられる光は、導光板22の内部を屈曲しながら通過する。キートップ11の中央部の直下に形成された反射部23の上面23aおよび側面23bに光が反射し、反射した光の一部はバックプレート17に入る。側面23bは斜めに傾斜して形成されているので、導光板22を通過してきた光がバックプレート17方向へ反射される。
【0046】
また反射部23に突き当たらない光は側面22b、22c、22dに設けられた反射部材26で反射される。反射部材26で反射された光は再び導光板22の内部を通過し、その一部は反射部23に反射される。これを繰り返し、比較的多量の光がバックプレート17へ入る。
【0047】
バックプレート17に入った光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に通過し、バックプレート17から出る際に凹凸形状17cにより拡散する。バックプレート17を通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム24の内側に入り、さらにラバードーム24を通過する。このとき通過する光は、ラバードーム24から出る際に、ラバードーム24表面の凹凸24bによりさらに拡散される。拡散された光は、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0048】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0049】
以上のように実施例4では、前記実施例2と同等の効果を奏することができる。また実施例4では、キーの数だけLEDを設ける実施例2に較べてLEDの数が少なくて済むので、LEDの費用とLEDを取付けるための費用の低減が可能となり、安価な照光キーボードを実現することができる。
【実施例5】
【0050】
次に実施例5を説明する。図14は実施例5のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。図14において、キートップ11は、実施例1と同様に、光の透過度合いを任意に調整した透明あるいは半透明の樹脂により形成された本体部11aと、本体部11aの上部に形成され、光の透過を抑えるために調整された単色または多色の塗装を施した塗装部11b、およびレーザマーキングなどで文字や記号の形に塗装を取り除くことにより、抜き文字あるいは抜き記号を形成した抜き文字部11cとを有する。
【0051】
バックプレート17の下部には、実施例4と同様に、導光板22が配設されている。導光板22は透過性の高い樹脂で形成されており、光が屈曲しながら内部を通過する。導光板22には複数の反射部27が形成されている。反射部27は図15に示すように、キートップ11の抜き文字部11cの直下に設けられている。また反射部27は、図16に示すように、円錐形状に形成され、その上面27aおよび側面27bは光の反射面となっている。図15はキートップと反射部の位置関係を示す説明図、図16は実施例5における照光状態を示す説明図である。
【0052】
図14において、実施例4と同様に、導光板22の一端部にはLEDアレイ24が設けられている。LEDアレイ24は複数のLED光源25を導光板22の面に沿って列状に配設しており、LEDアレイ24は導光板22の一側面22aに対して光を照射する。また導光板22の他の側面22b、22c、22dには反射部材26が設けられている。
【0053】
図16において、導光板22の一側面22aに対向して配設されたLEDアレイ24は、図示しない電源が投入されると点灯する。LEDアレイ24から発せられる光は、導光板22の内部を屈曲しながら通過する。キートップ11の抜き文字部11cの直下に形成された反射部27の上面27aおよび側面27bに光が反射し、反射した光の一部はバックプレート17に入る。側面27bは斜めに傾斜して形成されているので、導光板22を通過してきた光がバックプレート17方向へ反射される。
【0054】
また反射部27に突き当たらない光は側面22b、22c、22dに設けられた反射部材26で反射される。反射部材26で反射された光は再び導光板22の内部を通過し、その一部は反射部27に反射される。これを繰り返し、比較的多量の光がバックプレート17へ入る。
【0055】
バックプレート17に入った光は、透明樹脂で形成されたバックプレート17を上方に通過し、バックプレート17から出る際に凹凸形状17cにより拡散する。バックプレート17を通過した光は、メンブレンシート16が光透過性であるためにメンブレンシート16を通過する。このとき通過する光は、メンブレンシート16から出る際に、メンブレンシート16表面の凹凸16hにより再度拡散される。そして拡散された光の一部は、ラバードーム14の外側から、第1リンク部材12および第2リンク部材13をすり抜けてキートップ11の裏面に到達する。
【0056】
キートップ11には抜き文字部11cが形成されており、この抜き文字部11cに光が照光されることにより、キートップ11上面に形成されている文字や記号の形に光って見える。
【0057】
実施例5によれば、前記実施例1と同等の効果を奏することができる。また実施例5では、キーの数だけLEDを設ける実施例1に較べてLEDの数が少なくて済むので、LEDの費用とLEDを取付けるための費用の低減が可能となり、安価な照光キーボードを実現することができる。
【符号の説明】
【0058】
11 キートップ
11c 抜き文字部
14、24 ラバードーム
16 メンブレンシート
17 バックプレート
19 印刷配線板
20 LED
21 バックライトユニット
24 LEDアレイ
23,27 反射部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の抜き文字部が形成されたキートップと、
接点部及び透孔部とを具備し、光透過性を有するメンブレンシートと、
突起部を具備し、光透過性を有するプレート部材と、
前記プレート部材の下部に配設された光源とを備え、
前記突起部が前記透孔部に対応して位置付けられることにより、前記プレート部材が、前記メンブレンシートの下部に配設され、
前記光源を発光させることにより、前記プレート部材及び前記メンブレンシートを介して前記キートップの前記抜き文字部を照光ことを特徴とするキースイッチ構造。
【請求項2】
前記キートップに対して摺動可能に設けたリンク部材を保持するホルダーを有し、
該ホルダーはピン部を設け前記突起部に前記ピン部が貫通することにより、前記ホルダーが前記プレート部材に固定されることを特徴とする請求項1記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記プレート部材の下部に導光板を設け、
前記光源は、前記導光板の一端部に配列され前記導光板の面方向に発光する発光素子部を設けた請求項1または2記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記導光板に前記発光素子部から発光される光を前記キートップの前記抜き文字部の方向に反射する反射部を設けた請求項3記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記キートップと前記メンブレンシートとの間に配設され、光透過部材から構成され、押下された前記キートップを元に位置に復帰させる弾性部材を有するとともに、前記導光板に前記発光素子部から発光される光を前記弾性部材の方向に反射する反射部を設けた請求項3記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記反射部は、円錐形状に形成されることを特徴とする請求項4または5記載のキースイッチ構造。
【請求項1】
光透過性の抜き文字部が形成されたキートップと、
接点部及び透孔部とを具備し、光透過性を有するメンブレンシートと、
突起部を具備し、光透過性を有するプレート部材と、
前記プレート部材の下部に配設された光源とを備え、
前記突起部が前記透孔部に対応して位置付けられることにより、前記プレート部材が、前記メンブレンシートの下部に配設され、
前記光源を発光させることにより、前記プレート部材及び前記メンブレンシートを介して前記キートップの前記抜き文字部を照光ことを特徴とするキースイッチ構造。
【請求項2】
前記キートップに対して摺動可能に設けたリンク部材を保持するホルダーを有し、
該ホルダーはピン部を設け前記突起部に前記ピン部が貫通することにより、前記ホルダーが前記プレート部材に固定されることを特徴とする請求項1記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記プレート部材の下部に導光板を設け、
前記光源は、前記導光板の一端部に配列され前記導光板の面方向に発光する発光素子部を設けた請求項1または2記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記導光板に前記発光素子部から発光される光を前記キートップの前記抜き文字部の方向に反射する反射部を設けた請求項3記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記キートップと前記メンブレンシートとの間に配設され、光透過部材から構成され、押下された前記キートップを元に位置に復帰させる弾性部材を有するとともに、前記導光板に前記発光素子部から発光される光を前記弾性部材の方向に反射する反射部を設けた請求項3記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記反射部は、円錐形状に形成されることを特徴とする請求項4または5記載のキースイッチ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−54573(P2011−54573A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250054(P2010−250054)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【分割の表示】特願2006−106655(P2006−106655)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【分割の表示】特願2006−106655(P2006−106655)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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