説明

キートップ、キーシート、押釦装置、及びキートップの製造方法

【課題】 抜き文字状の表示部をレーザ光により形成した高明度の無彩色や高明度・低彩度の有彩色でなる薄色層を有するキートップについて、高明度の無彩色や高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現すること。
【解決手段】 抜き文字状の表示部を有するキートップについて、キートップ本体2に、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層3を有し、かつ抜き文字状の表示部5を、薄色層3を所定の抜き文字形状にレーザ光で除去した除去縁6にて形成した。そのため、ありそうでなかった真っ白い白色や鮮明な淡色のキートップが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機、PDA、カーナビゲーション装置、カーオーディオ装置など、各種の押釦装置の操作部に使用する押釦スイッチ用のキートップ、キーシート、押釦装置、及びキートップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前述の各種押釦装置にはキーシートが搭載されている。キーシートは、ゴム状弾性体(例えばシリコーンゴムや熱可塑性エラストマー)でなるベースシートに、複数のキートップを接着剤にて接着し配置した構成となっている。複数のキートップは、その押圧操作により入力ができるようになっており、したがって各キートップにはその押圧操作により入力可能な情報を表示するための表示部が、キートップの天面又は底面に設けられる。
【0003】
このうちキートップの天面に表示部を設けるものには、大別すると、前述の押釦装置の内部光源により照光させると、文字・記号・数字等を抜き文字状に表す抜き文字状の表示部が相対的に明るく見える文字照光タイプと、逆に表示部を除く残余の部分が全面的に相対的に明るく見える全面照光タイプとがある。このうち文字照光タイプは、抜き文字状の表示部を除く残余の面に遮光層を設けることで、キートップを下側から照光したときに、抜き文字状の表示部から光を透過させて、操作者が文字等を明瞭に視認できるようにしたものである。なお、遮光層は光を一切透過しない完全遮光という意味だけでなく、相対的に抜き文字状の表示部が明るく光るように見えるものであればよいので、光が透過するものであってもよい。
【0004】
こうした文字照光タイプにおける抜き文字状の表示部を有する遮光層の形成方法としては、(1)スクリーン印刷やパッド印刷によって抜き文字状にインクを塗布して形成する方法、(2)塗装によってインクを塗布してキートップの天面に全面的に遮光層を形成した後、レーザ光の照射によって文字部分の遮光層を抜き文字状に除去する方法(特許文献1)、とがある。このうち、後者のレーザ光方式は、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を容易に形成できることから、より好ましい方法とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話機等に代表されるように、優れた機能性だけでなく、デザインの独自性が商品力を決める無視できない要素となっている。特に、外観上、抜き文字状の表示部を有する印刷層の色を、純白のような高明度の無彩色としたり、淡い黄色やピンク色といった高明度・低彩度の有彩色とする文字照光タイプのキートップの要請が高くなっている。しかしながら、前述のレーザ光方式により、そのような無彩色や有彩色による薄色層にレーザ光を直接照射しても、除去しきれずに残ってしまうことがあり、要求品質を充足できる程度に美麗な抜き文字状の表示部を形成することが殆どできなかった。
【0006】
そこで本出願人は、そのような無彩色や有彩色による薄色層の裏面つまりキートップ側に黒色や灰色などの低明度で暗色の中間層を形成し、薄色層の側からレーザ光を低明度で暗色の中間層に対して照射することで、その中間層とともに薄色層を抜き文字状に除去する技術を開発し(特許文献2)、要求品質を充足できる程度に美麗な抜き文字状の表示部を形成することに成功した。ところが、この技術では、薄色層の裏面に低明度で暗色の中間層が存在しているため、中間層が裏写りするような格好で、薄色層が黒ずんだようにして見えてしまい、例えば純白のような高明度の無彩色や高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を得ることができない、という難点があった。
【特許文献1】特開平11−162278号公報
【特許文献2】特開平10−172378号公報
【0007】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、抜き文字状の表示部をレーザ光により形成した高明度の無彩色や高明度・低彩度の有彩色でなる薄色層を有するキートップについて、高明度の無彩色や高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく本発明は、以下のように構成される。
【0009】
すなわち、本発明は、抜き文字状の表示部を有するキートップについて、キートップ本体に、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層を有し、かつ抜き文字状の表示部を、薄色層を所定の抜き文字形状にレーザ光で除去した除去縁にて形成したことを特徴とするキートップとして構成される。
【0010】
本発明によれば、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層の下側にはキートップ本体が位置する。したがって、薄色層が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。また、抜き文字状の表示部は、薄色層を所定の抜き文字形状にレーザ光で除去した除去縁にて形成されることから、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を実現できる。
【0011】
本発明は、抜き文字状の表示部を有するキートップについて、キートップ本体に、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層を有し、かつ抜き文字状の表示部を、所定の文字・記号・数字等でなる表示形状で該薄色層の下側に形成した除去層をレーザ光で照射してその上側の薄色層とともに除去してなる除去縁にて形成したことを特徴とするキートップとして構成される。
【0012】
本発明によれば、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層の下側にはキートップ本体が位置する。したがって、薄色層が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。また、抜き文字状の表示部は、所定の文字・記号・数字等でなる表示形状で薄色層の下側に形成した除去層をレーザ光で照射してその上側の薄色層とともに除去してなる除去縁にて形成される。このため、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を実現できる。またこのように、除去層が薄色層の下側に残らないために、薄色層が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。
【0013】
本発明は、複数のキートップをゴム状弾性体でなるベースシートに配置したキーシートについて、キートップとして前記何れかの本発明によるキートップを備えるキーシートとして構成される。
【0014】
本発明によれば、前記キートップによる作用・効果を備えるキーシートが得られる。すなわち、キートップに高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができ、また微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を実現できるキーシートが得られる。
【0015】
本発明は、複数のキートップをゴム状弾性体でなるベースシートに配置したキーシートと、キーシートを内蔵する筐体とを備え、該複数のキートップを筐体に貫通形成した透孔に配置して備える押釦装置について、キートップとして前記何れかの本発明によるキートップをキーシートに備え、少なくともキートップの配置面となる部分における筐体の色を、該キートップの薄色層による高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色と同色としたことを特徴とする押釦装置として構成される。
【0016】
本発明によれば、少なくともキートップの配置面となる部分における筐体の色を、該キートップの薄色層による高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色と同色としたため、当該部分における筐体の色とキートップの高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色とを同一色としたデザイン性の高い押釦装置を実現できる。なお、こうした押釦装置は、具体的には、携帯電話機、PDA、携帯型音楽再生装置等の携帯情報機器として、またカーナビゲーション装置、カーオーディオ装置などの据置型情報機器として実現される。
【0017】
本発明は、キートップ本体に、レーザ光の照射により除去可能な所定の文字・記号・数字等でなる表示形状の除去層と、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層とを積層させて形成し、該薄色層の上方から除去層に対してレーザ光を照射することで、除去層と薄色層における除去層との積層部分とを同時に除去し、抜き文字状の表示部を形成するキートップの製造方法として構成される。
【0018】
本発明によれば、キートップ本体に、文字・記号・数字等でなる表示形状の除去層と薄色層とを積層させて形成し、レーザ光の照射により除去層を除去するとともにそれに重なる薄色層における積層部分を同時に除去することで、抜き文字状の表示部を形成するため、薄色層の下側に除去層が残らない。したがって、薄色層が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。また、レーザ光の照射により抜き文字状の表示部を形成するため、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を実現できる。さらに、除去層が文字・記号・数字等でなる表示形状で形成されるため、除去層以外にレーザ光があたっても、得られる抜き文字状の表示部の形状品質が損なわれることがない。つまり、レーザ光の照射制御に若干のブレが生じたり、高精度の照射制御でなくても、常に所定の抜き文字状の表示部を得ることができる。
【0019】
前記本発明における除去層は、レーザ光を吸収しやすい層、例えば黒色などの暗色インキや暗色塗料でなる暗色層や、金属粒子、メタリック顔料等を含有する高分子塗料でなる金属含有層にて構成される。これらの形成法として、印刷法であれば、例えばスクリーン印刷、パッド印刷、転写印刷などで実施することができ、塗布法であれば、例えば吹付け塗装、静電塗装、電着塗装などで実施することができる。こうして形成される層厚は、2μm〜20μmとするのが好ましい。層厚が2μm未満では、所々透けが生じ後工程でレーザ光の焼け残りが発生する原因となるからである。また、層厚が20μmを超えると、均一な厚みの層が得られにくくレーザ光による加工時間も長くなり、レーザ光の照射によっても完全に除去できずに抜け残りが生じる虞があるからである。
【0020】
以上のような本発明によるキートップ、キーシート、押釦装置、キートップの製造方法については、キートップ本体として、硬質樹脂の成形体でなるキートップや、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーといったゴム状弾性体の成形体でなるキートップにて構成できる。また、キートップ本体の天面に、薄色層を形成した場合には、キートップ本体の底面に着色層を設けることができる。これによれば、抜き文字状の表示部に着色層による色彩を付与することができる。さらに、キートップ本体の天面に、薄色層を形成した場合には、薄色層を被覆して損傷や摩耗を防ぐ透明保護層を設けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のキートップ、キーシート、押釦装置、キートップの製造方法によれば、抜き文字状の表示部を有する薄色層が、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色をあらわし、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部を有するキートップを実現できる。このため、ありそうでなかった真っ白い白色(高明度の無彩色)や鮮明な淡色(高明度・低彩度の有彩色)のキートップによって、デザイン性の独自性を追求した商品力の高いキーシート、押釦装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
キートップの実施形態〔図1〕; 本実施形態のキートップ1は、図1で示すように、キートップ本体2と、その底面を除く外表面を被覆する薄色層3と、薄色層3を被覆する透明保護層4と、で構成されている。
【0024】
そして、薄色層3には、抜き文字形状の表示部5が形成されている。この表示部5は、薄色層3を所定の抜き文字形状(図示の例では数字の「0」形状)にレーザ光で除去した除去縁6によって形成されている。前述の透明保護層4は、そこを目地埋めするように充填されることになる。
【0025】
キートップ本体2は、無色透明な硬質樹脂やゴム状弾性体の成形体にて構成される。こうした硬質樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などを使用することができ、またゴム弾性体としては、天然ゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、熱可塑性エラストマーを使用することができる。この中でもポリカーボネート樹脂は、透明度が特に高く光の透過損失が微小であるため、キートップ1を文字照光タイプのキートップとして使用する場合に、特に望ましい素材として使用することができる。
【0026】
薄色層3は、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによるインキや塗料によって形成した層である。高明度の無彩色でなる薄色層3は、例えば、スクリーン印刷、パッド印刷、転写印刷等の印刷法にて形成した白色インキや、吹付け塗装、静電塗装、電着塗装等の塗布法にて形成した白色塗料にて構成される。高明度・低彩度の有彩色でなる薄色層3も同様に、淡い色、例えば薄い黄色、薄い紅色、薄い緑色などのインキや塗料にて構成される。
【0027】
透明保護層4は、表示部5を目地埋めしつつ薄色層3を被覆するように形成される高分子塗料によって形成される。
【0028】
キートップの製造方法の実施形態〔図2〕; 次に、前記キートップ1の製造方法を図2に基づいて説明する。
【0029】
まず、キートップ本体2に、後述するレーザ光Lの照射により除去可能な除去層7を、文字・数字・記号等の表示形状として形成する(図2(a))。
【0030】
この除去層7は、レーザ光Lを吸収しやすい層、例えば黒色などの暗色インキや暗色塗料でなる暗色層や、金属粒子、メタリック顔料、パール顔料を含有する高分子塗料でなる金属含有層によって形成される。そして、印刷法であれば、例えばスクリーン印刷、パッド印刷、転写印刷などで形成し、塗布法であれば、例えば吹付け塗装、静電塗装、電着塗装などで形成する。
【0031】
また、除去層7の層厚は、2μm〜20μmとするのが好ましい。層厚が2μm未満では、所々透けが生じ後工程でレーザ光Lの焼け残りが発生する原因となるからである。また、層厚が20μmを超えると、均一な厚みの層が得られにくくレーザ光Lによる加工時間も長くなり、レーザ光Lの照射によっても完全に除去できずに抜け残りが生じる虞があるからである。
【0032】
以上のような除去層7を形成した後は、除去層7を含めてキートップ本体2に、薄色層3を、前述した印刷法又は塗布法にて形成する(図2(b))。
【0033】
次に、薄色層3の上方からレーザ光Lを除去層7に対して照射する(図2(b))。すると、除去層7とともに薄色層3が除去される(図2(c))。このようにして除去された跡の除去縁6によって抜き文字状の表示部5が形成されることになる。この後は、薄色層3の透明保護層4を形成することで、図1で示すようなキートップ1が得られることとなる。
【0034】
次に、前記実施形態による作用・効果を説明する。
【0035】
キートップ1における高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層3の下側には、無色透明のキートップ本体2が位置する。したがって、薄色層3が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。
【0036】
抜き文字状の表示部5は、所定の文字・記号・数字等でなる表示形状で薄色層3の下側に形成した除去層7をレーザ光Lで照射して、その上側の薄色層3とともに除去してなる除去縁6にて形成される。このため、微細な文字等であっても高品質な抜き文字状の表示部5を実現できる。
【0037】
前述の製造方法によれば、前述のように、除去層7を所定の文字・記号・数字等でなる表示形状で形成するため、除去層7が薄色層3の下側に残らない。このため、薄色層3が黒ずんだように見えることがなく、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色を実現することができる。
【0038】
前述の製造方法によれば、除去層7が文字・記号・数字等でなる表示形状で形成されるため、この除去層7以外にレーザ光Lがあたっても、得られる抜き文字状の表示部5の形状品質が損なわれることがない。つまり、レーザ光Lの照射制御に若干のブレが生じたり、高精度の照射制御でなくても、常に所定の抜き文字状の表示部5を形成することができる。
【0039】
キーシート及び携帯電話機の実施形態〔図3〕; 図3は、一実施形態によるキーシート8と、このキーシート8を備える「押釦装置」としての携帯電話機9の要部の概略拡大断面図である。
【0040】
キーシート8は、相互に狭間配置された複数のキートップ1とベースシート10とを備える。なお、図面上は3つのキートップ1が表れているが、実際にはベースシート10の面方向で多行多列で複数のキートップ1を備えている。複数のキートップ1には、それぞれ除去縁6による抜き文字形状が異なる表示部5が形成されている。これらキートップ1は透明接着層11によってベースシート10に固着されている。ベースシート10は、シリコーンゴムや熱可塑性エラストマー等の透光性のゴム状弾性体にて形成されている。このキーシート8は、携帯電話機9の筐体12に貫通形成した透孔12a内に複数のキートップ1を一括配置したいわゆる狭間キーシートである(関連する先行技術文献として特開2004−319396号公報を参照。)。このためベースシート10には、その上面側に硬質樹脂製の補強枠13が設けられており、ベースシート10に歪みが発生しないようにされている。
【0041】
ベースシート10の下には基板14が収容されている。基板14には、照光用光源14aが実装されており、これが発光することで光がベースシート10とキートップ本体2を透過し、抜き文字状の表示部5を通じて外部へと照光する。
【0042】
キーシート8と基板14とを収容する筐体12は、少なくともキートップ1の配置面側部分12bの色が、キートップ1の薄色層3による高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色と同色とした、硬質樹脂の成形体にて構成されている。
【0043】
次に、キーシート8及び携帯電話機9による作用・効果を説明する。
【0044】
本実施形態のキーシート8及び携帯電話機9によれば、前述した第1実施形態のキートップ1と同じ作用・効果を奏することができる。このことに加えて、携帯電話機9の筐体12は、キートップ1の配置面側部分12bの色が、キートップ1の薄色層3の高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色がもつ本来の発色と同じ色となっている。このため、筐体12の色とキートップ1の高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色とを同一色としたデザイン性の高い携帯電話機9を実現することができる。その具体例としては、例えば、外観上の携帯電話機9の筐体12とキートップ1の色とを、真っ白の白色(高明度の無彩色)に統一したデザインとしたり、あるいは淡い色、例えば薄い黄色、薄い紅色、薄い緑色などの淡色(高明度・低彩度の有彩色)にて統一したデザインとすることができる。
【0045】
実施形態の変形例; 以上説明した実施形態及び実施例は例示であって、様々な変形例による実施が可能である。その一例を説明すると、キートップ1では、キートップ本体2の天面に薄色層3を形成したが、底面に形成してもよい。すなわちこの場合には、例えばキートップ本体2の底面に薄色層3を形成してから、その薄色層3に所定の表示形状の除去層7を形成し、その後、キートップ本体2の上方からレーザ光Lを、キートップ本体2と薄色層3とを透過させて除去層7に照射し、これによって除去層7と薄色層3を除去することで、抜き文字状の表示部5を形成することができる。
【0046】
キートップ1については、キートップ本体2の底面に着色層を設けるようにしてもよい。こうした着色層を設けることで、抜き文字状の表示部5を通じてその下側が見えないように目隠しすることができたり、また抜き文字状の表示部5に色彩を付与することができ、さらにデザイン性を向上させることができる。この場合には、透明接着層11を有色の透明接着層として構成してもよい。
【0047】
キートップ1の薄色層3に積層形成した透明保護層4は省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態によるキートップを示す図で、分図(a)は平面図、分図(b)はSA−SA線断面図。
【図2】図1のキートップの製造工程を示す図。
【図3】一実施形態によるキーシート及び携帯電話機を示す要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0049】
1 キートップ
2 キートップ本体
3 薄色層
4 透明保護層
5 表示部
6 除去縁
7 除去層
8 キーシート
9 携帯電話機
10 ベースシート
11 透明接着層
12 筐体
12a 透孔
12b キートップの配置面
13 補強枠
14 基板
14a 照光用光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜き文字状の表示部を有するキートップにおいて、
キートップ本体に、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層を有し、かつ抜き文字状の表示部を、薄色層を所定の抜き文字形状にレーザ光で除去した除去縁にて形成したことを特徴とするキートップ。
【請求項2】
複数のキートップをゴム状弾性体でなるベースシートに配置したキーシートにおいて、
キートップとして請求項1記載のキートップを備えるキーシート。
【請求項3】
複数のキートップをゴム状弾性体でなるベースシートに配置したキーシートと、キーシートを内蔵する筐体とを備え、該複数のキートップを筐体に貫通形成した透孔に配置して備える押釦装置において、
キートップとして請求項1記載のキートップをキーシートに備え、少なくともキートップの配置面となる部分における筐体の色を、該キートップの薄色層による高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色と同色としたことを特徴とする押釦装置。
【請求項4】
キートップ本体に、レーザ光の照射により除去可能な所定の文字・記号・数字等でなる表示形状の除去層と、高明度の無彩色又は高明度・低彩度の有彩色の何れかによる薄色層とを積層させて形成し、該薄色層の上方から除去層に対してレーザ光を照射することで、除去層と薄色層における除去層との積層部分とを同時に除去し、抜き文字状の表示部を形成するキートップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−190498(P2006−190498A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381905(P2004−381905)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】