説明

キーレスエントリシステム

【課題】認証用コードとしての信頼性が高い登録操作パターンを登録することが可能なキーレスエントリシステムの提供。
【解決手段】本発明によるキーレスエントリシステム1は、ドアロック開錠の際のメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンを検出する操作パターン検出手段70と、操作パターン検出手段70により検出された操作パターンが、事前に登録された登録操作パターンと対応するか否かを判定する認証手段60と、前記検出された操作パターンが前記登録操作パターンと対応すると認証手段60により判定された場合に、車両のセキュリティシステムの動作を抑制するボデーECU40とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のセキュリティシステムの動作を適切に抑制するキーレスエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアキーシリンダのシャッタの開状態を検出した後、ドアキー回転スイッチの回転検出信号をデータ要素としてこれらを時系列的に組み合わせてなる一連の回転検出信号がデータ要素の列としての登録コードと一致するときには、セキュリティシステムの起動状態を解除するようにした車両用盗難防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両用盗難防止装置では、登録コードは、例えば、ドアキーシリンダの回動方向をロック側にA回操作、アンロック側にB回操作、ロック側にC回操作、アンロック側にD回操作することで「ABCD」という4桁の各桁の回数を所望の値に設定するようになっている。また、登録コードは更新可能とされている。
【特許文献1】特許第2871413号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明では、メカニカルキーの一連の捻り回し操作のパターンのみに関する登録コードを認証用コードとして用いているが、一連の捻り回し操作のパターンだけでは登録コードのパターン(バリエーション)を増やすには限界があるので、認証用コードとしての信頼性が不十分であるという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、認証用コードとしての信頼性が高い登録操作パターンを登録することが可能なキーレスエントリシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るキーレスエントリシステムは、ドアロック開錠の際のメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンを検出する操作パターン検出手段と、
前記操作パターン検出手段により検出された操作パターンが、事前に登録された登録操作パターンと対応するか否かを判定する認証手段と、
前記認証手段により前記検出された操作パターンが前記登録操作パターンと対応すると判定された場合に、車両のセキュリティシステムの動作を抑制するセキュリティ解除手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係るキーレスエントリシステムにおいて、
登録モード中に前記操作パターン検出手段により検出される操作パターンを、前記登録操作パターンとして登録する登録手段を備えることを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1の発明に係るキーレスエントリシステムにおいて、
前記登録モードは、ユーザから指令を受けた場合に起動される、請求項1に記載のキーレスエントリシステム。これにより、ユーザは任意に登録操作パターンを更新できるので、登録操作パターンの秘匿性を高めることができる。
【0008】
第4の発明は、第1の発明に係るキーレスエントリシステムにおいて、
前記一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンのうちの抜き差し操作に係る部分は、前記メカニカルキーの挿入穴に対する抜き差し回数、差込み時間、連続する異なる操作間の時間間隔、差込み速度、抜き速度、及び、差込み深さのうちの少なくとも1つのパラメータにより定義されることを特徴とする。これにより、セキュリティ性の高い登録操作パターンを設定することができる。
【0009】
第5の発明は、第1の発明に係るキーレスエントリシステムにおいて、
前記一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンのうちの捻り回し操作に係る部分は、前記メカニカルキーの捻り回し方向、捻り回し方向の変化回数、捻り回し速度、捻り回し角度、連続する異なる操作間の時間間隔、及び、所定の捻り回し角度での保持時間うちの少なくとも1つのパラメータにより定義されることを特徴とする。これにより、セキュリティ性の高い登録操作パターンを設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、認証用コードとしての信頼性が高い登録操作パターンを登録することが可能なキーレスエントリシステムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0012】
先ず、本発明によるキーレスエントリシステム1の説明に先立って、車両のドアのドアアウトサイドハンドル付近の構成について説明する。図1は、車両のドアのドアアウトサイドハンドル付近の構成を示す図である。
【0013】
ドアのドアアウトサイドハンドル付近には、キーシリンダ(キー連動ドアロックスイッチ)80が設定される。キーシリンダ80は、通常通り、ドアのロック機構にリンクないしケーブルを介して機構的に接続されている。キーシリンダ80に対しては、通常通り、メカニカルキーのキープレートが抜き差しおよび捻り回し可能である。キーシリンダ80にメカニカルキーを差し込みドアアンロック方向にドアアンロック位置まで捻り回すと、ドアのロック機構を介してドアが機械的に開錠される。また、キーシリンダ80にメカニカルキーを差し込みドアロック方向にドアロック位置まで捻り回すと、ドアのロック機構を介してドアが機械的に施錠される。
【0014】
キーシリンダ80は、メカニカルキーのキープレートが挿入される穴の入口を開閉可能なシャッター(図示せず)を備える。キーシリンダ80には、シャッターの開閉状態に応じた電気信号を出力するシャッタスイッチ72(図2参照)が設けられている。また、キーシリンダ80には、捻り回し操作によるキーシリンダ80の回動位置に応じた電気信号を出力するドアキー回転スイッチ74(図2参照)が設けられている。本例では、ドアキー回転スイッチ74は、キーシリンダ80の回動位置がドアアンロック位置にあるときにアンロック信号を出力し、キーシリンダ80の回動位置がドアロック位置にあるときにロック信号を出力する。但し、ドアキー回転スイッチ74は、キーシリンダ80の回動位置(捻り回し角度)を、より高い分解能で検出するセンサないしスイッチであってもよい。
【0015】
図2は、本発明によるキーレスエントリシステム1の一実施例に関連する主要構成を示す図である。
【0016】
キーレスエントリシステム1は、図2に示すように、ユーザが携帯する携帯型の電子キー10と、車両に搭載される車載システム20とを備える。
【0017】
電子キー10は、車外において車載システム20との間で微弱電波により双方向通信を行う送受信機(トランスポンダ)12を備えている。送受信機12には、送受信アンテナ13が接続される。送受信機12には、所与の正当な暗号コード(IDコード)を記憶するメモリ14が接続される。
尚、電子キー10は、ユーザの操作により車両のドアの施錠及び開錠が可能なメカニカルキーを備えるメカニカルキー内蔵型のキーであってもよい。或いは、電子キー10は、メカニカルキーとは独立したキーであってもよい。
【0018】
車載システム20は、車外において電子キー10との間で微弱電波により双方向通信を行う車外通信用の送受信機22を備えている。送受信機22は、車両の適切な位置(例えば、車両の各ドア及びトランクに対応した位置)に配設されている。送受信機22には、送受信アンテナ25が接続される。
【0019】
車載システム20は、スマートECU30を備える。スマートECU30は、他のECUと同様、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。車載システム20には、ボデーECU40及びドアロックシステム60が接続されている。
【0020】
ボデーECU40には、後述の認証手段60、警報手段50、ドアロックの開錠及び施錠を実現する電子制御可能なドアロックアクチュエータ52、ドアの開閉状態に応じた電気信号を出力するカーテシスイッチ76、及び、ドアのドアアウトサイドハンドルに設けられるタッチセンサ78(図1も参照)が接続されている。
【0021】
警報手段50は、ボデーECU40からの警報指令(駆動信号)を受けて、ホーン、ライト、ハザードランプのような音や光(映像等を含む)による警報を車外に出力できる装置である。警報手段50は、正当なユーザの携帯電話や外部センタに“ドアが開放されたこと”を示す情報を、警報として送信する通信機能付きの装置であってもよい。
【0022】
ボデーECU40は、セキュリティモードがオン状態にあるとき、カーテシスイッチ76からの出力信号に基づいてドアの開放を検知すると、警報手段50に対して警報を出力するように警報指令を出す。ボデーECU40は、セキュリティモードがオフ状態にあるときは、かかる警報指令を警報手段50に対して出力しない。セキュリティモードのオン/オフ状態は、後述の認証手段60による認証結果及びスマートECU30による認証結果に基づいて切り替えられる。
【0023】
スマートECU30は、所与の正当な暗号コード(IDコード)を記憶するメモリ31を備えている。メモリ31には、電子キー10側のメモリ14に記憶される暗号コードと整合する正当な暗号コードが記憶される。例えば、メモリ31に記憶される暗号コードと電子キー10側のメモリ14に記憶される暗号コードとは、同一のコードであってよい。
【0024】
スマートECU30は、所定の状況下で、送受信機22に対してリクエスト信号を定期的に送信するように要求する。これを受けて、送受信機22は、車外の所定領域に向けてリクエスト信号を定期的に送信する。リクエスト信号は、例えば134.2kHzを使用帯域として送信され、電子キー10との通信距離が数m程度となる強度が与えられている。車外の所定領域に電子キー10が存在する場合には、リクエスト信号は電子キー10の送受信機12により送受信アンテナ13を介して受信される。電子キー10の送受信機12は、リクエスト信号に応答して、送受信アンテナ13を介して応答信号を送信する。応答信号には、メモリ14に記憶されている暗号コードが組み込まれる。送受信機22は、電子キー10からの応答信号を受信すると、電子キー10から受信した応答信号に対して増幅・復調等の所定の処理を施した後、当該復調した応答信号をスマートECU30に供給する。スマートECU30は、受信された応答信号に含まれる暗号コードと、メモリ31に記憶された暗号コードとを比較し、これらが一致する場合には、正規のユーザであるとの認証結果(キー認証)を、ボデーECU40に出力する。ボデーECU40は、スマートECU30からのキー認証を受けて、セキュリティモードをオフにする。また、ボデーECU40は、スマートECU30からのキー認証を受けて、ドアロックを開錠させるための待機状態に移行する。ボデーECU40は、この待機状態では、タッチセンサ78(図1も参照)からの出力信号に基づいてドアアウトサイドハンドルに対する操作を検知すると同時に、ドアロックアクチュエータ52の駆動によりドアロックを開錠させる。
【0025】
尚、電子キー10が、ユーザのボタン操作によりワイヤレス信号を送信する機能を備えている場合には、このワイヤレス信号に対しても、上述の応答信号に対する認証と同様の処理が実行されてもよい。即ち、スマートECU30は、ワイヤレス信号に含まれる暗号コードが正規の暗号コードである場合には、正規のユーザであるとの認証結果(キー認証)を、ボデーECU40に出力することとしてよい。この場合も、ボデーECU40は、スマートECU30からのキー認証を受けて、セキュリティモードをオフにすると共に、ドアロックアクチュエータ52の駆動によりドアロックを開錠させる。
【0026】
認証手段60には、ドアロック開錠の際のメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンを検出する操作パターン検出手段70、及び、登録操作パターンを記憶する書き換え可能なメモリ61が接続される。
【0027】
操作パターン検出手段70には、シャッタスイッチ72及びドアキー回転スイッチ74が接続される。操作パターン検出手段70は、シャッタスイッチ72及びドアキー回転スイッチ74からの出力信号に基づいて、キーシリンダ80(図1参照)に対するメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターン(以下、「操作パターン」という。)を検出する。操作パターン検出手段70により検出された操作パターンは、認証手段60に供給される。
【0028】
メモリ61には、操作パターン検出手段70により検出可能な所定の操作パターンが、登録操作パターンとして記憶される。登録操作パターンは、登録手段62により登録・更新可能とされる。登録手段62は、ユーザ又は正規のディーラーの作業者によりマニュアルで作成ないし入力された操作パターンを、登録操作パターンとしてメモリ61に書き込んでもよいし、或いは、登録モード中に操作パターン検出手段70により検出される操作パターンを、登録操作パターンとしてメモリ61に書き込んでもよい。後者の場合、登録モードは、ユーザにより任意に起動可能とされ、例えば、車両の所定箇所に設けられた登録モードスイッチをユーザが操作することにより起動されてもよい。或いは、登録モードは、ユーザがタッチスイッチ78に触れている間だけ形成されることとしてもよい。
【0029】
認証手段60は、操作パターン検出手段70により検出された操作パターンと、メモリ61に記憶された登録操作パターンとを比較し、これらが一致する場合には、正規のユーザであるとの認証結果(キー操作認証)を、ボデーECU40に出力する。ボデーECU40は、スマートECU30からのキー操作認証を受けて、セキュリティモードをオフにする。
【0030】
図3は、登録操作パターンの一例の説明図である。図3には、登録操作パターンが、シャッタスイッチ72及びドアキー回転スイッチ74からの出力信号の状態に基づいて表されている。
【0031】
図3に示す登録操作パターンは、シャッタスイッチ72の開閉操作、即ちメカニカルキーの抜き差し操作が計3回行われ、一回目の差し込み時にはメカニカルキーがロック位置まで捻り回された後にアンロック位置まで捻り回され、2回目の差し込み時にはメカニカルキーがロック位置まで捻り回され、3回目の差し込み時にはメカニカルキーがアンロック位置まで捻り回されることを表している。このような登録操作パターンの場合、認証手段60は、シャッタスイッチ72及びドアキー回転スイッチ74からの出力信号の発生状況が登録操作パターンに対応しているか否かを判定すればよい。
【0032】
このように本実施例では、メカニカルキーの捻り回し操作態様と、キーの抜き差し操作態様とを組み合わせて登録操作パターンを設定することにより、メカニカルキーの捻り回し操作態様のみにより登録操作パターンを設定する場合に比べて、登録操作パターンのバリエーションを増加させることができ、登録操作パターンの認証用コードとしての信頼性を高めることができる。また、登録操作パターンは、キーシリンダ80に対するメカニカルキーの単純な操作態様により定義されているので、ユーザに難しい操作を強いることもない。
【0033】
ここで、登録操作パターンは、セキュリティ性を高めるために、時間的な要素を加味したものであってもよい。抜き差し操作に関する時間的な要素としては、例えば、メカニカルキーの差込み時間、連続する差し込み動作間の時間間隔等がある。例えば、図3に示す例では、一回目の差し込み時のキーの差し込み時間は、シャッタスイッチ72の開信号が出力された時刻t0からシャッタスイッチ72の閉信号が出力された時刻t5までの時間として計測されてよい。差し込み時間に対する評価は、所定閾値に対して短いか遅いかを判断することで実現されてよい。連続する差し込み動作間の時間間隔は、例えば、図3に示す例では、一回目の差し込み動作終了時点t5から2回目の差し込み動作開始時点t6までの時間として計測されてよい。連続する差し込み動作間の時間間隔に対する評価は、所定閾値に対して長いか短いかを判断することで実現されてよい。
【0034】
また、捻り回し操作に関する時間的な要素としては、例えば、捻り回し速度、所定の捻り回し角度での保持時間等がある。例えば、図3に示す例では、捻り回し速度は、ロック信号が出力されなくなった時点t2からアンロック信号が出力される時点t3までの時間として計測されてよい。捻り回し速度に対する評価は、所定閾値に対して早いか遅いかを判断することで実現されてよい。所定の捻り回し角度での保持時間は、例えば、キーシリンダ80の回動位置がドアロック位置に保持されている時間であり、図3に示す例では、ロック信号が出力されている時間(t1〜t2)として計測されてよい。また、所定の捻り回し角度での保持時間は、例えば、キーシリンダ80の回動位置がドアアンロック位置に保持されている時間であり、図3に示す例では、アンロック信号が出力されている時間(t3〜t4)として計測されてよい。所定の捻り回し角度での保持時間に対する評価は、所定閾値に対して短いか遅いかを判断することで実現されてよい。
【0035】
また、その他の時間的な要素としては、抜き差し操作と捻り回し操作との間の操作間の時間間隔を含んでよい。例えば、差し込み操作と捻り回し操作との間の操作間の時間間隔は、例えば、図3に示す例では、差し込み操作時点t0から捻り回し操作時点t1までの時間として計測されてよい。抜き差し操作と捻り回し操作との間の操作間の時間間隔に対する評価は、所定閾値に対して長いか短いかを判断することで実現されてよい。
【0036】
また、登録操作パターンは、メカニカルキーの半差し込みないし半抜き操作や、半捻り回し操作を加味したものであってもよい。
【0037】
メカニカルキーの半差し込みないし半抜き操作は、メカニカルキーの差し込み深さを検出するセンサないしスイッチを用いて検出されてもよい。例えば簡易的に、中間シャッターをキーシリンダ80の深さの半分付近の位置に設定し、当該中間シャッターの開閉を同様のシャッタスイッチにより検出してもよい。かかるセンサないしスイッチを設定した場合には、差し込み速度や抜き速度が加味された登録操作パターンが用いられてもよい。例えば、シャッター(入口側のシャッター)が開となってから中間シャッターが開となるまでの時間により差し込み速度を評価してもよいし、中間シャッターが閉となってからシャッター(入口側のシャッター)が閉となるまでの時間により抜き速度を評価してもよい。差し込み速度や抜き速度の評価は、所定閾値に対して早いか遅いかを判断することで実現されてよい。
【0038】
半捻り回し操作は、キーシリンダ80の回転角度を高分解能で検出するセンサないしスイッチを用いて検出されてもよい。例えば簡易的に、キーシリンダ80の回動位置が中立位置とドアアンロック位置の間の中間位置にあるときアンロック側中間位置信号を出力し、キーシリンダ80の回動位置が中立位置とドアロック位置の間の中間位置にあるときロック側中間位置信号を出力するセンサないしスイッチを設定してもよい。かかるセンサないしスイッチを設定した場合には、捻り回し速度が加味された登録操作パターンが用いられてもよい。例えば、アンロック側中間位置信号が出力された時点からアンロック信号が出力される時点までの時間によりアンロック方向の捻り回し速度を評価してもよいし、ロック側中間位置信号が出力された時点からロック信号が出力される時点までの時間によりロック方向の捻り回し速度を評価してもよい。捻り回し速度の評価は、所定閾値に対して早いか遅いかを判断することで実現されてよい。
【0039】
このように多様なパラメータを考慮した場合には、登録操作パターンのバリエーションを更に増加させることができ、登録操作パターンの認証用コードとしての信頼性を更に高めることができる。一例として、差し込み操作(速度低)、アンロック側への半捻り回し操作(速度低)、抜き操作(速度高)、差し込み操作(速度高)、ドアロック位置への捻り回し操作(速度高)、半抜き操作(速度低)、差し込み操作、ドアアンロック位置への捻り回し操作(速度高)といった具合に、比較的簡易な操作の組み合わせで登録操作パターンのバリエーションを増加させることも可能である。
【0040】
次に、以上説明した構成のキーレスエントリシステム1において実現される主要動作について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0041】
ステップ100では、ユーザにより電子キー10によるドアアンロック操作が実行される。尚、この段階では、セキュリティモードはオン状態である。
【0042】
ステップ110では、電子キー10から送られてくる応答信号に含まれる暗号コードに対してスマートECU30による認証が行われる。その結果、キー認証が得られた場合には、セキュリティモードがオフにされると共に、ユーザによるドアアウトサイドハンドルの操作と同時にドアロックが開錠(アンロック)されることになる。このようにしてドアロックが開錠された場合(ステップ110のYES判定)には、処理が終了される。ドアロックが開錠されなかった場合(ステップ110のNO判定)には、セキュリティモードはオン状態に維持されて、ステップ120に進む。
【0043】
ステップ120では、ユーザによりメカニカルキーを用いたドアアンロック操作が実行される。
【0044】
ステップ130では、上記のステップ120のドアアンロック操作過程において、メカニカルキーがキーシリンダ80に挿入されたことがシャッタスイッチ72の出力信号に基づいて検出されると、キーレスエントリシステム1は認証モードに移行する。認証モードでは、シャッタスイッチ72及びドアキー回転スイッチ74からの出力信号に基づいて、ユーザによるメカニカルキーを用いたドアアンロック操作の際の操作パターンが操作パターン検出手段70により検出・記憶される。
【0045】
ステップ140では、ユーザによりドアが開放される。
【0046】
ステップ150では、ボデーECU40によりカーテシスイッチ76からの出力信号に基づいてドアの開放が検知される。
【0047】
ステップ160では、認証手段60は、メモリ61から登録操作パターンを読み出し、上記のステップ130で検出された操作パターンと登録操作パターンとを比較する。
【0048】
ステップ170では、認証手段60は、上記のステップ160での比較結果をボデーECU40に通知する。
【0049】
ステップ180では、ボデーECU40は、認証手段60からの比較結果が登録操作パターンと検出された操作パターンとの一致を表している場合には、セキュリティモードをオフにして、処理が終了される。この場合、警報手段50を介して警報が出力されることは無い。これにより、正規のユーザは、例えば電子キー10の電池切れや通信異常等でメカニカルキーを用いてドアを開けなくてはならない状況となっても、把握している登録操作パターンに従ってメカニカルキーによるドアアンロック操作を行えば、警報を鳴らさずに車両に乗り込むことができる。一方、認証手段60からの比較結果が登録操作パターンと検出された操作パターンとの不一致を表している場合には、ステップ190に進む。
【0050】
ステップ190では、ボデーECU40は、セキュリティモードのオン状態を維持し、警報手段50を介して警報を鳴らして周囲に注意を喚起する。ここで、不正な侵入者は、登録操作パターンを知らないので、不正な手段によりドアを開放した際に、登録操作パターンに対応した操作パターンが検出されることは無い。従って、不正な侵入者に対しては、本ステップ190の警報出力が確実に実行されることになり、周囲の注意を喚起して当該不正な侵入者に盗難行為の実行を断念させることが可能となる。
【0051】
以上説明した本実施例によるキーレスエントリシステム1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0052】
上述の如く、セキュリティモードをオフさせるための認証用コードとして、キーシリンダ80に対するメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作に関する登録操作パターンを用いることで、認証用コードの信頼性を大きく高めることができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0054】
例えば、上述した実施例において、認証手段60、登録手段62、操作パターン検出手段70の機能及びメモリ61は、ボデーECU40やスマートECU30に組み込まれてもよい。
【0055】
また、上述した実施例において、登録操作パターンは、上述のメカニカルキーの操作パターンに加えて、ドアに設けられるタッチセンサ78やロックスイッチ90(図1参照)に対するユーザの操作パターンを付加して設定されてもよい。この場合にも、登録操作パターンの認証用コードとしての信頼性を大きく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】車両のドアのドアアウトサイドハンドル付近の構成を示す図である。
【図2】本発明によるキーレスエントリシステム1の一実施例に関連する主要構成を示す図である。
【図3】登録操作パターンの一例の説明図である。
【図4】キーレスエントリシステム1において実現される主要動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 キーレスエントリシステム
10 電子キー
12 送受信機
13 送受信アンテナ
14 メモリ
20 車載システム
22 送受信機
30 スマートECU
31 メモリ
40 ボデーECU
50 警報手段
52 ドアロックアクチュエータ
60 認証手段
61 メモリ
62 登録手段
70 操作パターン検出手段
72 シャッタスイッチ
74 ドアキー回転スイッチ
76 カーテシスイッチ
78 タッチセンサ
80 キーシリンダ
90 ロックスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアロック開錠の際のメカニカルキーの一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンを検出する操作パターン検出手段と、
前記操作パターン検出手段により検出された操作パターンが、事前に登録された登録操作パターンと対応するか否かを判定する認証手段と、
前記検出された操作パターンが前記登録操作パターンと対応すると前記認証手段により判定された場合に、車両のセキュリティシステムの動作を抑制するセキュリティ解除手段とを備えることを特徴とする、キーレスエントリシステム。
【請求項2】
登録モード中に前記操作パターン検出手段により検出される操作パターンを、前記登録操作パターンとして登録する登録手段を備える、請求項1に記載のキーレスエントリシステム。
【請求項3】
前記登録モードは、ユーザから指令を受けた場合に起動される、請求項1に記載のキーレスエントリシステム。
【請求項4】
前記一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンのうちの抜き差し操作に係る部分は、前記メカニカルキーの挿入穴に対する抜き差し回数、差込み時間、連続する異なる操作間の時間間隔、差込み速度、抜き速度、及び、差込み深さのうちの少なくとも1つのパラメータにより定義される、請求項1に記載のキーレスエントリシステム。
【請求項5】
前記一連の抜き差し操作及び捻り回し操作のパターンのうちの捻り回し操作に係る部分は、前記メカニカルキーの捻り回し方向、捻り回し方向の変化回数、捻り回し速度、捻り回し角度、連続する異なる操作間の時間間隔、及び、所定の捻り回し角度での保持時間うちの少なくとも1つのパラメータにより定義される、請求項1に記載のキーレスエントリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−190148(P2008−190148A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23378(P2007−23378)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】