説明

キー入力装置

【課題】 キー入力装置におけるキーの配列をユーザが簡単に変更できるようにする。
【解決手段】 キー入力装置は、ICタグ情報受信部1と、キー2とを備えている。キー2は、接触ICタグ3を内蔵しており、バネ状の支持部材4により、ICタグ情報受信部1の上面に保持されている。キー2を下方に押下することにより、支持部材4が短縮され、接触ICタグ3がICタグ情報受信部1に接触し、接触ICタグ3が保持しているタグ情報がICタグ情報受信部1へ伝送される。キー2に設けられた接触ICタグ3が自身が識別情報を保持しているため、キーの位置を変更しても、キー2の位置とキー2の表記との対応関係を示すテーブルの変更、及びキー2の表記の変更が不要である。単一のキーに対して形状及びサイズの異なるキーカバーを着脱自在に構成すれば、キーの配列を変更するときに、キーカバーの形状及びサイズが異なるキーとも互いの位置を交換できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種家庭用電子機器、電話機などにおいて文字、数字、記号等の入力を行うためのキー入力装置に関し、詳細には、キー配列を簡単に変更できるキー入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキー入力装置 は、例えば図7に示すように、操作部51に配置されたキー52と、操作部52の下方に設けられたスイッチ基板54上に個々のキー52に対応して配置されたキースイッチ53とを備えており、キー52を押下することで、それに対応するキースイッチ53をオンにし、キートップ(上面)に表記されている情報の入力を行っている。キースイッチ53は例えばマトリックス状に配置されており、押下操作によりオン状態となったキースイッチの位置を図示されていない走査回路により判別し、キートップに表記されている情報を識別するようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−102231号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来のキー入力装置では、各キー52の配列をユーザの好みにより変更することが困難である。その理由は、従来のキー入力装置では、キースイッチ53の配置されている位置に基づいて入力情報を識別するため、キー52の位置を変更した場合、キースイッチ53の位置とキー52の表記との対応関係を示すテーブル(対応表)の変更が必要になるからである。また、キー52は操作部51に固定されているため、キー52自体を操作部51の別の位置に移動させることはできず、キー52を固定したまま、キートップにシールを貼る等、キー52の表記を変更する作業も必要になる。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、キー入力装置におけるキーの配列をユーザが簡単に変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、キー情報を保持する接触ICタグと、前記キー情報の表記部とを有するキーと、前記接触ICタグに保持されているキー情報を読み取るICタグ情報受信手段とを備え、前記キーの押下により前記接触ICタグと前記ICタグ情報受信手段とが接触し、前記キー情報が入力されることを特徴とするキー入力装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のキー入力装置において、前記キーは、底面に前記接触ICタグが設けられ、上面に前記表記部が設けられていることを特徴とするキー入力装置である。
請求項3に係る発明は、前記キーは、前記接触ICタグ及び標記部を有するキー本体と、該キー本体の上面に着脱自在に係合される透明なキーカバーとを備えたことを特徴とするキー入力装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3記載のキー入力装置において、前記キーカバーと前記キー本体の上面との係合部は異なるサイズ又は形状のキーカバーに対して共用可能であること特徴とするキー入力装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1記載のキー入力装置において、前記キーは、前記ICタグ情報受信手段の前記ICタグとの接触面に平行な軸線の回りに回転可能に構成された回転多面体を備え、該回転多面体の互いに対向する外周面に前記接触ICタグ及び前記表記部が対応付けて配置されていることを特徴とするキー入力装置である。
【0006】
(作用)
請求項1に係る発明によれば、キー情報を保持する接触ICタグと、前記キー情報の表記部とを有するキーを押下し、接触ICタグをICタグ情報受信手段に接触させることより、キー情報を入力する。
請求項2に係る発明によれば、底面にキー情報を保持する接触ICタグが設けられ、かつ上面に前記キー情報の表記部が設けられたキーを押下し、接触ICタグをICタグ情報受信手段に接触させることより、キー情報を入力する。
請求項3に係る発明によれば、キー本体の上面に、上面が透明なキーカバーを着脱でき、キーカバーを取り付けた状態で、その透明な上面を通して表記部を視認できる。
請求項4に係る発明によれば、異なるサイズ又と形状のキーカバーをキースイッチに着脱できる。
請求項5に係る発明によれば、回転多面体の回転角度に応じて、その上面に位置する表記部に表記されたキー情報をその底面に位置する接触ICタグから入力することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キーに設けられたICタグが保持する情報に基づいて、キー入力情報を識別するので、キーを移動させることにより、キーの配列をユーザが簡単に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係るキー入力装置の概略構成を示す図である。ここで、図1Aは側面図、Bは平面図である。
【0009】
このキー入力装置は、ICタグ情報受信部1と、キー2とを備えている。ICタグ情報受信部1は、このキー入力装置のベースとなる部分である。また、キー2は、接触ICタグ3を内蔵しており、バネ状の支持部材4により、ICタグ情報受信部1の上面に保持されている。そして、キー2のキートップを押下することにより、支持部材4が短縮され、接触ICタグ3がICタグ情報受信部1のアンテナに接触し、接触ICタグ3が保持しているタグ情報がICタグ情報受信部1へ伝送される。図1Bに示すように、キー2は平面視円形、楕円形、矩形等各種形状が採用できる。キー2の押下を解除すると、支持部材4が元の長さに戻り、接触ICタグ3がICタグ情報受信部1のアンテナから離れるので、タグ情報の伝送は行われなくなる。なお、図1において、図7の操作部51に対応する部分は省略した。
【0010】
図2の分解斜視図、及び図3の断面図に示すように、キー2は、キー本体であるICタグ付キー21と、ICタグ付キー21に着脱自在なキーカバー22とを備えている。
ICタグ付キー22は直方体の上に小さな直方体を重ねた形状を有している。そして、底面には一対の支持部材4が取り付けられており、その底面の略中央には接触ICタグ3が固定されている。ここで、支持部材4はICタグ付キー22及びICタグ受信部1の上面の双方に対して着脱可能に構成されている。また、ICタグ付キー21の上面側に突出した部分(以下、凸部と言う)21aの両側面には、それぞれ1つずつ爪21bが設けられている。凸部21aの上面は、キー2が有する情報(文字、記号等)を表記するための表記部21cとなっており、ここに文字や記号等が印刷されている。
キーカバー22は、直方体の内部にICタグ付キー21の凸部21aを覆う空間22aを形成した略箱型のものであり、その空間22aの内部の対向する側面にはそれぞれ1つずつの爪22bが設けられている。また、ICタグ付キー21の表記部21cに印刷された文字や記号が見えるように、全体が透明樹脂で構成されている。
【0011】
このように構成されたキーカバー22をICタグ付キー21の凸部21aの上側から押し込むと、互いの爪が21b,22bが係合することで、キーカバー22がICタグ付キー21に装着される。
ここで、ICタグ付キー21は、図2の実線に示すような略直方体のキーカバー22、図2の一点鎖線に示すような略円板状のキーカバー22’の何れにも着脱自在である。つまり、キーカバー22、及び22’に形成されたICタグ付キー21の凸部21aを収納するための空間22a及び爪22bの形状サイズは同一(共通)である。従って、例えば図1Bの中央部に配置されている、キーカバーが平面視矩形のキー2を取り外し、そのICタグ付キー21を取り出し、図1Bの上下或いは左右に配置されているキー2のキーカバーを取り付け、その位置に配置換えすることができる。
【0012】
図4はICタグ情報受信部1の電気的構成を示すブロック図である。ICタグ情報受信部1は、このICタグ情報受信部1全体の制御等を行うCPU11と、それぞれCPU11に接続された変復調回路12、フラッシュメモリ13、SRAM14と、変復調回路12に接続されたアンテナ15とを備えている。また、CPU11は、このキー入力装置のキー情報を使用する機器(電話機等)のメイン制御部5に接続されている。
【0013】
アンテナ15は、キー2が押下されたとき、ICタグ付キー21の底面に設けられている接触ICタグ3と接触し、データの送受を行う機能を有する。変復調回路12は、CPU11で生成されたデータを変調し、アンテナ15を介して接触ICタグ3へ送信すると共に、接触ICタグ3により変調され、アンテナ15にて受信されたデータを復調してCPU11へ送る機能を有する。フラッシュメモリ13には、CPU11の動作に必要な各種プログラムやデータが記憶される。また、SRAM14には、CPU11の動作時に各種データが一時的に記憶される。
【0014】
接触ICタグ3は、ICタグ情報受信部1と同様、CPU、フラッシュメモリ、変復調回路、アンテナ等を備えており、キー2が押下され、内蔵するアンテナがICタグ情報受信部1のアンテナ15と接触すると、アンテナ15から出力された搬送波を整流して電源電力を生成すると共に、フラッシュメモリに保持されているタグ情報により搬送波を変調し、ICタグ情報受信部1へ送信することができる。
【0015】
以上の構成を有するICタグ情報受信部1においてキー2のキー情報を入力する手順について、図に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この図に示す処理は一定時間毎に実行される。
まず、CPU11は変復調回路12からタグ情報を読込み(ステップS1)、エラー等がなく読取可能であれば(ステップS2でYES)、メイン制御部5から、タグ情報とキー情報との対応表を取得し、SRAM14に記憶する(ステップS3)。次いで、ステップS2で読み取ったタグ情報と一致するものがステップS3にてSRAM14に記憶した対応表にあるか否かを判定し(ステップS4)、あった場合は、そのタグ情報に対応するキー情報をメイン制御部5へ送信した後に(ステップS5)処理を終了する。ステップS4にて一致するキー情報がなかった場合、及びステップS2にて読取不能であった場合は、エラーがあったものとして異常終了する(ステップS6、S7)。ここで、ステップS6の異常終了Aでは、図示されていない機器の表示部に「タグ情報読取不能」の文字を表示させると共に、警報音を出力させ、ステップS7の異常終了Bでは、「タグ情報なし」の文字を表示させると共に、警報音を出力させる。
【0016】
従って、例えば図1Bにおける右側に配置されているキー2が押下されているときに読取が正常に行われれば、そのキー2の表記部21cに印刷されている文字や記号がCPU11からメイン制御部5へ入力されることになる。また、そのキー2のキーカバーを取り外し、他のキー、例えば上部に配置されている楕円形のキーのキーカバーを取り付け、上部に配置することができる。このとき、配置換えする前に右側に配置されていたキーの表記が”1”であれば、配置換えした後の上部に配置されたキーの表記も同じ”1”になる。また、図1Bにおける上下のキー及び左右のキーのように、キーカバーの形状及びサイズが同じキーの場合には、キーカバーを取り換えずにキー配列を変更することができる。
【0017】
以上のように、本実施形態に係るキー入力装置によれば、キー2に設けられた接触ICタグ3が自身が識別情報を保持しているため、キーの位置を変更しても、キー2の位置とキー2の表記との対応関係を示すテーブルの変更、及びキー2の表記の変更作業が不要である。このため、ユーザが簡単にキーの配列を変更できる。また、単一のICタグ付キー21に対し、形状及びサイズの異なるキーカバーを着脱自在に構成したため、キーの配列を変更するときに、カバーの形状及びサイズが同じキーとは勿論、それらが異なるキーとも互いの位置を交換できる。また、接触ICタグ3はタグ情報の書替が可能であるため、キー配列変更の他に、データを書替えてキーの内容(入力情報)を変更したり、形状が同じで色、デザイン、標記等が異なる別のキーに取替えたりすることもできる。
【0018】
[第2の実施形態]
図6は本発明の第2の実施形態に係るキー入力装置の構成を概念的に示す図である。この図において、第1の実施形態と同一又は対応する構成要素には、第1の実施形態にてそれらの構成要素に用いた符号を付した。
【0019】
本実施形態に係るキー2は、その形状が直方体であり、かつキー2の両側を挟むように配置された一対の保持体23に設けられた軸受23aを通る、ICタグ情報受信部1の上面に平行な回転軸24の回りに回転可能に構成されている。また、キー2の直方体の外周面となる4つの面には、それぞれ接触ICタグ31〜34が取り付けられている。また、図示されていないが、接触ICタグ31〜34が取り付けられた面と対向する面には、接触ICタグ31〜34が保持するタグ情報と対応するキー情報が表記されている。図の場合、例えば下面に取り付けられた接触ICタグ33に対応する文字や記号が上面に表記されている。保持体23の底面には、一対の支持部材4が取り付けられている。
【0020】
図6において、キー2を押下すると、接触ICタグ33がICタク情報受信部1に接触するため、そのタグ情報がキー情報として入力される。また、図2の状態から、キー2を回転軸24の回りに180度回転させると、接触ICタグ31が取り付けられている面が下面となるため、その状態でキー2を押下すると、接触ICタグ31がICタク情報受信部1に接触するため、そのタグ情報がキー情報として入力される。つまり、キー2の回転角度に応じて、4つの異なるキー情報を入力することができる。ここでは、キー2の形状として、回転軸24に対する外周面の数が4個となる直方体としたか、外周面の数を増やすことで、さらに多くの異なるキー情報を入力することができる。即ち、例えば回転軸24の方向から見た形状を正六角形にすれば、6つの異なるキー情報を入力することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキー入力装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るキーの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るキーの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るICタグ情報受信部の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るキー入力装置においてキー情報を入力する手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るキー入力装置の構成を概念的に示す図である。
【図7】従来のキー入力装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ICタグ情報受信部、2・・・キー、3・・・接触ICタグ、21・・・ICタグ付キー、21a・・・凸部、21b,22b・・・爪、22・・・キーカバー、22a・・・空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー情報を保持する接触ICタグと、前記キー情報の表記部とを有するキーと、
前記接触ICタグに保持されているキー情報を読み取るICタグ情報受信手段とを備え、
前記キーの押下により前記接触ICタグと前記ICタグ情報受信手段とが接触し、前記キー情報が入力されることを特徴とするキー入力装置。
【請求項2】
請求項1記載のキー入力装置において、
前記キーは、底面に前記接触ICタグが設けられ、上面に前記表記部が設けられていることを特徴とするキー入力装置。
【請求項3】
請求項2記載のキー入力装置において、
前記キーは、前記接触ICタグ及び標記部を有するキー本体と、該キー本体に着脱自在に係合される上面が透明なキーカバーとを備えたことを特徴とするキー入力装置。
【請求項4】
請求項3記載のキー入力装置において、
前記キーカバーと前記キー本体の上面との係合部は異なるサイズ又は形状のキーカバーに対して共用可能であること特徴とするキー入力装置。
【請求項5】
請求項1記載のキー入力装置において、
前記キーは、前記ICタグ情報受信手段の前記ICタグとの接触面に平行な軸線の回りに回転可能に構成された回転多面体を備え、該回転多面体の互いに対向する外周面に前記接触ICタグ及び前記表記部が対応付けて配置されていることを特徴とするキー入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−94660(P2007−94660A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281834(P2005−281834)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】