説明

キー入力装置

【課題】配列された複数のキーをそのキー名称を逐一視認することなく簡単かつ確実に識別し、これによりキー入力操作による情報入力時間を短縮して操作性の向上を図る。
【解決手段】キーパッド10の行方向については、中央部のキー21〜23,31〜33よりその両端部に位置するキー11〜13,41〜43の方が高くなるようにキートップ間に段差を設け、また列方向については、中央部のキー12〜42よりその両端部に位置するキー11〜41,13〜43の方が摩擦が大きくなるようにキートップ間に摩擦係数の差を設けるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばテレビジョン装置やゲーム機のリモートコントローラにおいてキーパッドとして使用されるキー入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インターネット上のWebサイト/Webページを閲覧しようとする場合にはパーソナル・コンピュータを使用し、ユーザはキーボード及びマウスを操作することにより所望のWebページ情報を取得して表示するようにしている。
一方、最近ではインターネットに接続するための機能がテレビジョン装置やゲーム機等にも搭載されるようになり、この種の装置を用いてWebサイト/Webページ情報を取得することが可能となっている。しかし、テレビジョン装置やゲーム機を使用する場合、ユーザはこれらの装置を離れた場所から見ることが多い。このため、Webアクセスのための情報を入力する場合に、ユーザがパーソナル・コンピュータのようにキーボードとマウスを使用することはほとんどなく、リモートコントローラを使用するのが普通である。ところが、リモートコントローラはキーボードに比べ少数のキーしか有していないため、Webアクセスのための情報を入力しようとすると多くの手間と時間がかかる。
【0003】
そこで、リモートコントローラを用いて素早くかつ簡単にWebアクセスのための情報入力を行えるようにする手法が提案されている。この手法は、例えばリモートコントローラに目を向けずにテレビジョン画面を見たまま文字や数字等の入力操作を行えるようにするものである(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−217228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の提案のように、リモコンに目を向けずとも文字等の入力ができれば大変便利である。なぜならば、リモートコントローラのキーパッドを常に見ながら文字等を入力すると、単語や文章の入力後にテレビ画面に視線を移して初めて入力ミスに気づくからである。また、検索サイトで検索ワードの入力を行なっても所望の検索結果が得られず、新しい検索ワードを再入力して検索し直すという操作を繰り返すことがある。このような場合ユーザは、操作を繰り返す度にテレビジョン画面とリモートコントローラのキーパッドとの間で視線を移動させることになり、文字等の入力操作が非常に面倒となる。
【0006】
そこで、リモートコントローラのキーパッドのうち特定のキーのキートップ形状のみを変えることにより、リモートコントローラにおいてブラインド操作を可能にすることが提案されている。このようなリモートコントローラは、健常者は勿論のこと、特に視覚障害者にとってより有効である。
【0007】
しかし、この種のリモートコントローラは、特定のキーについては確実に認識できるが、他のキーについては個々に識別することができない。このため、ユーザが特定のキーから他のキーに指を移動させると、指をどれだけ動かしたかを忘れてしまうことが多々ある。このため、誤入力を生じやすくなり、結局キーパッドを見ないで文字等を入力することは容易ではなかった。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、配列された複数のキーをそのキー名称を逐一視認することなく簡単かつ確実に識別できるようにし、これによりキー入力操作により情報入力時間を短縮して操作性の向上を図ったキー入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、互いに直交する第1及び第2の方向のうち、第1の方向に4個以上、第2の方向の1個以上のキーがそれぞれ配列されたキー入力装置において、上記第1の方向に配列された4個以上のキーのうち中央部に配置された隣接する2個の第1のキーに第1の高さを有するキートップをそれぞれ設け、かつ上記第1の方向に配列された4個以上のキーのうち上記第1のキーの両隣に位置する第2のキーに上記第1の高さと異なる第2の高さを有するキートップをそれぞれ設けたものである。
【0010】
このような構成であるから、第1の方向に配列された複数のキーのキートップ間には段差が形成される。このため、キー入力装置を操作する場合にユーザは、キートップに表示されたキー名称を逐一視認することなく、上記キートップ間の段差によりキーを識別することが可能となる。したがって、キー名を逐一視認する場合に比べて入力時間を短縮することが可能となり、これにより操作性を高めることができる。
【0011】
しかも、キー配列中で中央部に位置する2個のキーのキートップが最も低く或いは高く設定され、キー配列の端部になるに従いキートップの高さが高く或いは低くなる。このため、ユーザはキー配列中で中央部に位置する2個のキーを、そのキー名称を視認しなくてもいわゆるブラインドタッチにより簡単にかつ確実に認識することができ、この中央部のキーを基点にその周辺のキーを段差の違いにより明確に識別することが可能となる。
【0012】
この発明の第2の観点は、第2の方向に複数のキーが配列されている場合に、この第2の方向に配列された複数のキーに、当該第2の方向の複数のキーを識別するために摩擦係数の異なるキートップを設けたものである。
【0013】
このような構成であるから、第2の方向に配列された複数のキーのキートップ間には摩擦の違い、つまり手触りの違いが形成される。このため、キー入力装置を操作する場合にユーザは、第1の方向に配列された複数のキーについてはキートップ間の段差により識別することが可能となり、また第2の方向に配列された複数のキーについては上記キートップ間の摩擦の違いにより識別することが可能となる。したがって、複数のキーが二次元配列されたキー入力装置においても、キー名を逐一視認する場合に比べて入力時間を短縮することが可能となり、これにより操作性を高めることができる。
【0014】
この発明の第3の観点は、第2の方向に複数のキーが配列されている場合に、この第2の方向に配列された複数のキーに、当該第2の方向の複数のキーを識別するために表面形状の異なるキートップを設けたものである。
【0015】
このような構成であるから、第2の方向に配列された複数のキーのキートップ間には表面形状の違い、例えば凹部、凸部或いはこれらを組み合わせた凹凸部が形成される。このため、キー入力装置を操作する場合にユーザは、第1の方向に配列された複数のキーについてはキートップ間の段差により識別することが可能となり、また第2の方向に配列された複数のキーについてはキートップ間の表面形状の違いにより識別することが可能となる。したがって、複数のキーが二次元配列されたキー入力装置においても、キー名を逐一視認する場合に比べて入力時間を短縮することが可能となり、これにより操作性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
すなわちこの発明によれば、配列された複数のキーをそのキー名称を逐一視認することなく簡単かつ確実に識別できるようになり、これによりキー入力操作により情報入力時間を短縮して操作性の向上を図ったキー入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わるキー入力装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したキー入力装置の側面図である。
【図3】図2に示したキー入力装置に対する操作状態を示す図である。
【図4】図1に示したキー入力装置の使用例を示す図である。
【図5】図1に示したキー入力装置を使用して文字等を入力したときの入力時間を、従来のキー入力装置を使用して同じ文字を入力したときの入力時間と対比して示した図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係わるキー入力装置の構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は行方向を見たときの側面図、(c)は列方向を見たときの側面図である。
【図7】この発明のその他の実施形態に係わるキー入力装置の構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は行方向を見たときの側面図、(c)は列方向を見たときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わるキー入力装置の外観を示す斜視図、図2はその側面図である。
【0019】
第1の実施形態に係わるキー入力装置は、テレビジョン装置又はゲーム機で使用されるリモートコントローラである。このリモートコントローラ1は、薄型の長方体からなる筐体20の上面にキーパッド10を配設したものである。キーパッド10は、上記筐体20の長辺方向を行方向、短辺方向を列方向と定義したとき、4行×3列のマトリクス状に配置された12個の押しボタン型のキーを備える。これらのキーはほぼ正方形をなしかつ表面が平坦なキートップ11〜43を有する。
【0020】
ところで、上記キートップ11〜43のうち、第1行及び第4行にそれぞれ位置するキートップ11〜13,41〜43は、第2行及び第3行にそれぞれ位置するキートップ21〜23,31〜33に比べて、図2に示すようにキートップの高さが一定量だけ高くなるように設定されている。すなわち、第2行目のキートップ21〜23と第1行目のキートップ11〜13との間、及び第3行目のキートップ31〜33と第4行目のキートップ41〜43との間には、中央部に位置する第2行目及び第3行目のキートップ21〜23,31〜33より端部に位置する第1行目及び第4行目のキートップ11〜13,41〜43の方が高くなるように段差が設けられた構造となっている。
【0021】
一方、上記キートップ11〜43のうち、第2列に位置するキートップ12〜42の表面は第1の摩擦係数を持つように構成され、また第1列及び第3列に位置するキートップ11〜41,13〜43の表面は上記第1の摩擦係数より大きい第2の摩擦係数を持つように構成されている。例えば、第2列に位置するキートップ12〜42の表面は摩擦係数の低いプラスチック2より構成され、これに対し第1列及び第3列に位置するキートップ11〜41,13〜43の表面には摩擦係数の大きいゴム状の材料が被覆形成されている。
【0022】
このような構成であるから、ユーザがリモートコントローラ1を操作しようとするとき、先ずキーパッド10の行方向については次のようにキーを識別することができる。
すなわち、キーパッド10の第2行目及び第3行目のキートップ21〜23,31〜33は、第1行目及び第4行目のキートップ11〜13,41〜43より高さが相対的に低くなっている。このため、ユーザはキーパッド10を見なくても、第2行目及び第3行目のキートップ21〜23,31〜33を、つまりキーパッド10の中央部に位置するキーを、図3(b)に示すように自身の指の感触で簡単かつ確実に認識することができる。
【0023】
次に、上記中央部のキー位置を基点として指を筐体20の先端方向へ移動させると、第2行目のキートップ21〜23より第1行目のキートップ11〜13の方が高くなるように段差が形成されているため、ユーザは図3(a)に示すようにこの段差により第1行目のキートップ11〜13を指の感触だけで明確に認識することができる。
【0024】
これに対し、上記中央部のキー位置を基点として指を筐体20の基端方向へ移動させると、第3行目のキートップ31〜33より第4行目のキートップ41〜43の方が高くなるように段差が形成されているため、ユーザは図3(c)に示すようにこの段差により第4行目のキートップ41〜43を指の感触だけで明確に認識することができる。
【0025】
なお、第2行目のキートップ21〜23と第3行目のキートップ31〜33との間の識別は、指を行方向に少量移動させたときに第1行目のキートップ11〜13との段差に接触するか、或いは第4行目のキートップ41〜43との段差に接触するかにより、識別が可能である。
【0026】
一方、キーパッド10の列方向については以下のようにキーを識別することができる。
すなわち、キーパッド10の第2列目のキートップ12〜42は、第1列目及び第3列目のキートップ11〜41,13〜43より摩擦係数が大きくなるように表面加工されている。このため、ユーザはキーパッド10を見なくても、第2列目のキートップ12〜42を、つまりキーパッド10の中央部に位置するキーを自身の指の感触で簡単かつ確実に認識することができる。
【0027】
次に、上記中央部のキー位置を基点として指を筐体20の左方向へ移動させると、第2列目のキートップ12〜42よりも第1列目のキートップ11〜41の方が摩擦係数が高く設定されているため、ユーザはこの摩擦係数の違いにより第1列目のキートップ11〜41を指の感触だけで明確に認識することができる。
【0028】
これに対し、上記中央部のキー位置を基点として指を筐体20の右端方向へ移動させると、第2列目のキートップ12〜24より第3列目のキートップ13〜43の方が摩擦係数が大きくなるように設定されているため、ユーザはこの摩擦係数の違いにより第3行目のキートップ13〜43を指の感触だけで明確に認識することができる。
【0029】
以上のように、キーパッド10の行方向についてはキートップ間の段差により、また列方向についてはキートップ間の摩擦係数の違いによりそれぞれ識別することができ、これらの協同作用によりキーパッド10のすべてのキーを個別に識別することが可能となる。したがって、リモートコントローラ1を操作して例えば文字等を入力しようとする場合に、ユーザはキーパッド10のキー名称を逐一視認することなく、所望のキーを指の感触だけで識別し操作することが可能となり、これにより文字等の入力に要する時間を短縮することができる。
【0030】
以上の効果を確認するために、本発明者等は以下のような評価実験を行った。
すなわち、リモートコントローラ1のキーパッド10の12個のキーのうち、10個のキーに対し、図4の2aに示すように五十音の代表文字「あ」、「か」、「さ」、「た」、「な」、「は」、「ま」、「や」、「ら」、「わ」を割り当て、残りの2個のキーに対しそれぞれ「削除」、「決定」を割り当てる。入力方式としては、マルチタップ方式を使用する。マルチタップ方式とは、例えば「な」を入力する際には「な」に対応するキーを1回押下し、「つ」を入力する際には「た」に対応するキーを3回押下し、「め」を入力する際には「ま」に対応するキーを4回押下する方式である。
【0031】
そして、被験者4名が、テレビジョン装置1の文字入力エリア2bに、「なつめそうせき」という人名を以下の2つの条件の下で、10回ずつ入力することを試みた。
(1)第1の実施形態に係るリモートコントローラ1を使用し、キーパッド10を見ずにテレビジョン画面だけを見て入力操作する。
(2)上記同様通常のリモートコントローラを使うが、そのキーパッドを見ないで入力操作する。
実験は、(1)→(2)の順に施行した。なお、テレビジョン装置2の画面には、上記図4に示したキー表示画像2aを表示しないようにした。
【0032】
図5は、上記(1),(2)それぞれの条件の下で入力操作したときの入力時間の平均値である。図5に示す通り、(1)の条件の下で、つまり第1の実施形態におけるリモートコントローラ1を用いたときの文字入力操作が平均5.5秒と最も速く入力できる。
【0033】
これに対し(2)の条件の下で、つまり通常のリモートコントローラを使用しかつキーパッドを見ないで入力操作を行った場合は、入力に平均14.5秒と非常に長い時間がかかった。特に、離れたキー間を移動するときに、通常のキーパッドではどのキーに指を置いているのか分かり難くなる。つまり、本評価実験の例でいうと、「なつめ」までは「な」と「た」と「ま」のキーが隣接しているため、(1)の条件の場合とほとんど変わらない速度で入力できるが、「なつめ」に続いて「そ」を入力するときに、「ま」と「さ」のキーが離れているため、指のキー間移動に時間がかかり、結果的に入力速度が遅くなってしまうと考えられる。
【0034】
以上の評価実験からも明らかなように、第1の実施形態のキー入力装置によれば、ユーザはキー配列中で中央部に位置するキーを、そのキー名称を視認しなくてもいわゆるブラインドタッチにより簡単にかつ確実に認識することができ、この中央部のキーを基点にその周辺のキーを段差及び摩擦の違いにより明確に識別することが可能となる。このため、4行×3列からなる12個のキーが配列されたキーパッド10において、キー名称を逐一視認する場合に比べて入力時間を短縮することが可能となり、これにより操作性を高めることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、キーパッドの列方向について、中央部に位置するキーのキートップは表面形状を平坦形状とし、その両端部に位置する各キーのキートップには表面に突出部を形成したものである。
【0036】
図6は、この発明の第2の実施形態に係わるキー入力装置の構成を示すもので、(a)はその平面図、(b)は行方向を見たときの側面図、(c)は列方向を見たときの側面図である。
本実施形態のキーパッド30も、4行×3列のマトリクス状に配置された12個の押しボタン型のキーを備える。そして、これらのキーのキートップ111〜143のうち、第1行及び第4行にそれぞれ位置するキートップ111〜113,141〜143は、第1の実施形態と同様に第2行及び第3行にそれぞれ位置するキートップ121〜123,131〜133に比べて、図6(b)に示すようにキートップの高さが一定量だけ高くなるように設定されている。すなわち、第2行目のキートップ121〜123と第1行目のキートップ111〜113との間、及び第3行目のキートップ131〜133と第4行目のキートップ141〜143との間には、中央部に位置する第2行目及び第3行目のキートップ121〜123,131〜133より端部に位置する第1行目及び第4行目のキートップ111〜113,141〜143の方が高くなるように段差が設けられた構造となっている。
【0037】
一方、上記キートップ111〜143のうち、中央部に位置する第2列目のキートップ112〜142はその表面が平坦に形成されている。これに対し、両端部に位置する第1列のキートップ111〜141及び第3列のキートップ113〜143の表面111a〜141a,113a〜143aには、それぞれ図6(c)に示すように半球状の突出部111b〜141b,113b〜143bが形成されている。
【0038】
このような構成であるから、ユーザがリモートコントローラ1を操作しようとするとき、先ずキーパッド30の行方向については、第1の実施形態と同様にキートップ間の高さの違いにより識別することが可能となる。一方、キーパッド30の列方向については、両端部に位置する第1列及び第3列のキートップ111〜141,113〜143の表面に形成された半球状の突出部111b〜141b,113b〜143bによりキーを識別することが可能となる。
【0039】
すなわち、キーパッド30の行方向についてはキートップ間の段差により、また列方向についてはキートップ間の表面形状の違いによりそれぞれ識別することができ、これらの協同作用によりキーパッド30のすべてのキーを個別に識別することが可能となる。したがって、リモートコントローラ1を操作して例えば文字等を入力しようとする場合に、ユーザはキーパッド30のキー名称を逐一視認することなく、所望のキーを指の感触だけで識別し操作することが可能となり、これにより文字等の入力に要する時間を短縮することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態ではキートップ11〜43に対しその行方向に段差を設けるとともに列方向に摩擦係数の差を設け、また第2の実施形態ではキートップ111〜143に対しその行方向に段差を設けるとともに列方向に表面形状の差(突出部111b〜141b,113b〜143bの有無)を設けた。しかし、これに限らず第1の実施形態の変形例として、キートップに対しその列方向に段差を設けるとともに行方向に摩擦係数の差を設け、また第2の実施形態の変形例として、キートップに対しその列方向に段差を設けるとともに行方向に表面形状の差(突出部の有無)を設けるように構成してもよい。また、キートップに対し行方向及び列方向の両方にそれぞれ段差を設けるようにしてもよい。さらに、キートップに対し行方向及び列方向にそれぞれ段差と摩擦係数又は表面形状の差の両方を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、キートップ表面に表面形状の差を設ける手法としては突出部以外に凹部を設けるようにしてもよい。図7はその構成の一例を示すもので、(a)はその平面図、(b)は行方向を見たときの側面図、(c)は列方向を見たときの側面図である。同図に示すようにこの実施形態のキーパッド40も、4行×3列のマトリクス状に配置された12個の押しボタン型のキーを備える。そして、中央部に位置する第2行目及び第3行目のキートップ121〜123,131〜133より、端部に位置する第1行目及び第4行目のキートップ111〜113,141〜143の方が、高くなるようにキートップ間に段差が設けられた構造となっている。
【0042】
また、上記キートップ111〜143のうち、中央部に位置する第2列目のキートップ112〜142はその表面が平坦に形成されている。これに対し、両端部に位置する第1列のキートップ111〜141及び第3列のキートップ113〜143の表面111a〜141a,113a〜143aには、それぞれ図7(c)に示すように凹部111c〜141c,113c〜143cが形成されている。
【0043】
このような構成であるから、ユーザがリモートコントローラ1を操作しようとするとき、先ずキーパッド40の行方向については、第2の実施形態と同様にキートップ間の高さの違いにより識別することが可能となる。一方、キーパッド40の列方向については、両端部に位置する第1列及び第3列のキートップ111〜141,113〜143の表面に形成された凹部111c〜141c,113c〜143cによりキーを識別することが可能となる。
【0044】
さらに、前記各実施形態では何れもテレビジョン装置又はゲーム機のリモートコントローラを例にとって説明したが、他にビデオプレーヤ/レコーダやセットトップボックス、カーナビゲーション機器のリモートコントローラにも適用することができ、さらには携帯電話機のダイヤルキーパッド等にも同様に適用可能である。
【0045】
また、キートップの表面に摩擦係数の差を設ける手法としてはキートップ表面に細かい凹凸や溝を形成する手法を採用してもよい。さらに、キートップ表面に設ける突出部又は凹部の設置数についても任意に設定してもよい。その他、キートップ間に設ける高さの差(段差)の値や摩擦係数の差の値、キーパッドのキーの数やその配置パターン、キートップの形状等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0046】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…リモートコントローラ、2…テレビジョン装置、2a…キー表示画像、2b…文字等の入力エリア、20…リモートコントローラの筐体、10,30,40…キーパッド、11〜43,111〜143…キートップ、111a〜143a…キートップ本体、111b〜143b…突出部、111c〜143c…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1及び第2の方向のうち、第1の方向に4個以上、第2の方向の1個以上のキーがそれぞれ配列されたキー入力装置において、
前記第1の方向に配列された4個以上のキーのうち中央部に配置された隣接する2個の第1のキーに、第1の高さを有するキートップをそれぞれ設け、
かつ前記第1の方向に配列された4個以上のキーのうち前記第1のキーの両隣に位置する第2のキーに、前記第1の高さと異なる第2の高さを有するキートップをそれぞれ設けたことを特徴とするキー入力装置。
【請求項2】
前記第2の方向に複数のキーが配列されている場合に、
前記第2の方向に配列された複数のキーに、当該第2の方向の複数のキーを識別するために摩擦係数の異なるキートップを設けたことを特徴とする請求項1記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記第2の方向に複数のキーが配列されている場合に、
前記第2の方向に配列された複数のキーに、当該第2の方向の複数のキーを識別するために表面形状の異なるキートップを設けたことを特徴とする請求項1記載のキー入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−70322(P2011−70322A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219618(P2009−219618)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】