説明

ギ酸メチルをベースとする発泡剤を用いて製造される膨張・押出ポリオレフィンフォーム

発泡剤として環境に優しい非VOCギ酸メチルを用いて膨張し押出したポリオレフィンフォームを得る。発泡剤は、物理共発泡剤(例えば、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、一つ又は複数の極性官能基を有する炭化水素、或いはこれらの任意の組み合わせ)、或いは化学共発泡剤、或いはこれらの組み合わせのいずれかである、好ましくは環境に優しい種(例えば非VOC)の少なくとも1種類の共発泡剤を更に含むブレンドであってよい。発泡剤ブレンドは、ギ酸メチル及び1種類以上の共発泡剤の任意の組み合わせを含んでいてよい。ポリマーフォームは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。ギ酸メチルをベースとする発泡剤ブレンドによって、容器、包装システムなどの種々の用途のため、並びに断熱及び保護緩衝材のための安定なフォームが製造される。かかるフォームを製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年2月22日に出願の米国仮特許出願番号60/775,962(その内容は、参照として本明細書中に明確に包含する)の優先権を主張する。
本発明は、概して、環境に優しい発泡剤を用いるポリオレフィンフォーム、並びにその製造方法に関する。特に、本発明は、ギ酸メチルをベースとする発泡剤を用いて製造される寸法安定性のポリオレフィンフォーム、並びにその製造方法に関する。ポリオレフィンフォームは、膨張ビーズ又は押出シート及び板材、並びにこれらから製造される物品の形態で種々の包装用途に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
アルケニル芳香族ポリマー(例えばポリスチレン)又はポリオレフィンポリマー(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)から製造されるフォームは、特に包装材、保護材、及び断熱材として、広範囲の用途が見出されている。ポリオレフィンフォームは、それらの高い使用温度に対する耐性のために特に有利である。ポリオレフィンフォームは、通常、膨張ビーズ、押出シート、又は押出板材として製造される。膨張フォームと押出フォームとの間の相違点は、連続シート又は板材の形態の押出フォームが単一工程プロセスで製造されるのに対して、不連続の小型片の形態の膨張フォームが多段階プロセスで製造される点にある。而して、膨張フォームの寸法は押出フォームの寸法よりも遙かに小さい。更に、膨張フォームは、ビーズ又はピーナッツ型の形態でなければならない必然性はなく、ペレット、ロッド、板状粒子、薄いシート又はフィルムから製造することもできる。便宜上、本出願の全体にわたって、「ビーズ」又は「ペレット」という用語は、ポリマー樹脂の小さな不連続粒子を用いて膨張フォームを製造することができる他の形状を包含するように用いられる。
【0003】
一般に、約1/2インチ未満の厚さを有するビーズ又はシートの形態のポリオレフィンフォームを用い、成形型内でビーズを融解させるか又はシートを熱成形して所望の形状の包装材料を形成することによって、熱いか又は冷たい飲料又は食品用の容器(カップ、ボウル、クラムシェル、ピクニック用チェスト)のような包装材料を製造することができる。また、フォームビーズをルースフィルのダンネージ材として用い、薄いシートを用いて保護包装を与えることによって、繊細で衝撃に敏感な物品の輸送用の保護材及び緩衝材としてかかるフォームを用いることができる。
【0004】
約0.5インチよりも大きな厚さを有する包装及び断熱フォーム製品は、厚板材(プランク)又は板材(ボード)と呼ばれる。かかるフォーム板材は、直接押出して必要な場合には切断するか、或いは膨張フォームビーズを融解させることによって、所望の形状及び寸法で製造される。フォーム板材は、断熱のため、自動車部品などにおいて機械エネルギーを放散させるため、或いはフロート材の緩衝のための種々の形状に板材をダイカットすることによって、保護包装用に用いることができる。かかる多様な用途において用いられるポリオレフィンフォームは寸法安定性であることが望ましく、この特性は、厚板材又は板材については更に望ましい。
【0005】
これらのポリマーフォーム及び他のポリマーフォームは、通常、発泡剤を充填した溶融樹脂を、加圧下で適当なダイを通してより低い圧力の雰囲気中に押出す連続プロセスを用いて製造される。あるいは、小さなポリマービーズ(粒子又はペレットとも称する)に発泡剤を含侵して、次にポリマー−発泡剤系のガラス転移温度又は結晶溶融温度の付近又はこれより高い温度まで急速に加熱することによって膨張させるか、或いはポリマー−発泡剤系のガラス転移温度又は結晶溶融温度以下の温度で外部圧縮応力を与えるバッチ又は段階的プロセスを用いることができる。
【0006】
現在では、ポリオレフィンフォームを製造するためにより通常的に用いられている物理発泡剤は、炭化水素、塩素化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又はこれらの組み合わせである。3つ以上の炭素原子を有する炭化水素は、スモッグの形成を引き起こす可能性がある揮発性有機化合物(VOC)と考えられている。更に、幾つかのハロゲン化炭化水素は、VOCであるか、或いは高いオゾン層破壊係数(ODP)又は地球温暖化係数(GWP)を有する可能性があるか、或いは有害大気汚染物質(HAP)である可能性があるか、場合によってはこれらのカテゴリーの2以上に分類される可能性がある。したがって、ポリマーフォームを製造するために炭化水素及びハロゲン化炭化水素発泡剤を用いることは、環境的に好ましくなく、製造プロセスに対して多くの制限が課され、したがって製造プロセスが複雑になり且つ製造コストが大きく増加する。例えば、ポリオレフィンフォーム(ビーズ又はシート)は、一般に、ブタンのようなVOC、或いはHAPであるか及び/又は高いODPを有する可能性があるか及び/又は高いGWPを有する可能性があるハロゲン化炭化水素のような化合物を用いて製造される。したがって、ポリオレフィンフォームを製造するための発泡剤としてかかる化合物を使用することを最小にするか又は完全に排除することが望ましい。
【0007】
ギ酸メチルは、非VOCとして分類されており(連邦公報69巻、228号、2004年11月29日)、非HAPであり、ゼロのODP及び無視できるGWPを有する。Kalinowskiらの米国特許6,753,357号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)においては、ギ酸メチルを用いて、安定な剛性のイソシアネート/ポリオールをベースとするポリウレタンフォームを製造することが記載されている。しかしながら、かかるポリウレタンフォームは熱硬化性であり、架橋及び硬化プロセスを用いて製造されることが言及されている。したがって、発泡剤の性質によって最終的なポリウレタンフォーム製品に与えられる寸法安定性又は不安定性は、ポリオレフィンフォームの場合とは全く異なる。
【0008】
Overcashierらの米国特許3,407,151号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、不溶の揮発性液体を用いて、膨張したか又は膨張性の熱可塑性材料、特に結晶質ポリプロピレンを製造することに関する。この方法は、溶融ポリマーのマトリクス中の発泡剤の微細な不連続塊の実質的に均一な分散液を調製し、微細塊を実質的に凝集させることなく分散液を押出及び冷却することを含む。ギ酸メチルは、この方法において用いることのできる見込みのある揮発性液体のリストに含まれている。更に、Overcashierには、単一の不溶液体を使用することが開示されており、液体ブレンドを使用することは開示も示唆もされていない。
【0009】
Matsunagaらの米国特許3,976,605号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、プルランタイプの樹脂及び熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の発泡プラスチックに関する。プルラン樹脂は、10,000〜5,000,000の分子量を有する高分子量線状ポリマーグルコースである。プルラン樹脂は、エーテル化プルラン及びエステル化プルランの両方を含む。この方法において用いるのに好適な見込みのある揮発性液体発泡剤のリストには、特に好適な低沸点エステルの例として、ギ酸メチルが含まれている。
【0010】
Luxらの米国特許3,281,259号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、固体又は発泡ポリオレフィンの表面中にオープンセルを生成させることによって、ポリエチレンフォームシートの表面を、印刷可能とするか又は他のポリマーによる被覆に対して受容性にする方法に関する。この方法は、(i)フォームシートの表面を加熱して多数の非常に微細な孔が形成された表面を生成させ;(ii)発泡ポリオレフィンの表面を冷却して非発泡ポリエチレンの「スキン」層を生成させ、これを次に表面層のみにオープンセルを生成させるのに十分に高い温度まで急速に加熱するか;或いは(iii)従来のクローズドセル発泡ポリオレフィンシートを、ミクロ精密表面研削機に通して、ポリマーの表面層のみを研磨除去して、スキン層の表面上に露出された泡の開放フラグメントを残留させる;ことを含むことができる。ギ酸メチルは、この方法において用いることのできる見込みのある揮発性液体発泡剤のリストに含まれている。
【0011】
Pontiffらの米国特許5,026,736号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、成形可能な収縮フォームビーズに関する。ビーズは、熱可塑性発泡性ポリマー及び発泡剤の混合物を押出し、溶融体を切断してフォームビーズを形成し、このビーズを所定の密度まで収縮させ、そして場合によっては化学的手段又は電磁波照射によってビーズを処理して熱可塑性ポリマーフォームを架橋させることによって製造される。発泡剤及びガス透過変性剤を適当に選択することにより、フォームビーズは、通常、押出及び切断の後、約15分以内で収縮する。「収縮」ビーズは、その最大膨張状態から収縮して表面のしわ、凹みなどを生成したものとして定義される。空気による置換よりも迅速な発泡構造体からの発泡剤の拡散、及び/又は発泡剤の低い室温蒸気圧のために、冷却が進行するにつれて気泡の容量が減少し、このために収縮が起こる。ギ酸メチルは、この方法において用いることのできる見込みのある揮発性有機発泡剤のリストに含まれている。
【0012】
Pontiffらの米国特許5,059,376号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、発泡熱可塑性ポリマーから製造された対象物から残留発泡剤を速やかに除去する方法に関する。この方法は、押出フォームを昇温温度にかけて、残留発泡剤の大部分を除去し、且つフォームの実質的な崩壊を引き起こさないように十分な空気をフォーム中に拡散させることを含む。Pontiffにおいて記載されている方法において用いられるフォームシートは、一般に、厚さ0.25インチ以下である。ギ酸メチルは、この方法において用いられるポリオレフィンフォームを製造するのに用いることのできる見込みのある揮発性有機発泡剤のリストに含まれている。このプロセスの後にフォーム中に残留する残留発泡剤の量は、用いる種々の発泡剤によって変動するが、一般に、フォーム生成物の2重量%未満である。
【0013】
Sakamotoらの米国特許5,391,335号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、ポリオレフィンフォームから形成された絶縁層を有する絶縁電線の製造方法に関する。発泡剤は、100℃以下の沸点を有するエーテル、エステル、ケトン、及び飽和炭化水素からなる群を含む1種類の化合物と、100℃より高いが150℃を超えない沸点を有するエーテル、エステル、ケトン、飽和炭化水素、及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種類の更なる液体化合物と、の少なくとも2種類の化合物の混合物である。樹脂、発泡剤、及び添加剤からなる溶融混合物を、ダイから、その中に連続的に誘導されている導線を有するクロスヘッド部分の中に押出す。これによって、溶融混合物が導線の周縁を被覆し、発泡して発泡絶縁層を形成する。
【0014】
Godbeyらの米国特許5,565,497号明細書(その全ての記載は参照として本明細書中に包含する)は、よく分散された充填剤を含むクローズドセル構造で剛性のポリマーフォームの製造方法に関する。フォームの断熱価を向上させるために、配合物中において非イオン性フルオロケミカル界面活性剤を用いて充填剤の分散を促進する。充填材料としては、粒子状クレー、炭素、金属、無機物、ポリマー材料、及び多様な化学化合物、並びにこれらの混合物などの種々の不活性で非反応性の物質を挙げることができる。ギ酸メチルは、この方法において用いられるポリオレフィンフォームを製造するために用いることのできる見込みのある揮発性有機発泡剤のリストに含まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、外観、機械的強度又は圧縮強度に関する生成物の品質を犠牲にすることなく、費用対効果が良好で多用途の製造プロセスを可能にする、安定なポリオレフィンフォームを製造するための発泡剤ブレンドの成分として、ギ酸メチル、及び環境に優しい共発泡剤、好ましくは非VOC共発泡剤を用いる発泡剤に関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、ポリオレフィンフォームを製造するために好ましい発泡剤はギ酸メチルである。発泡剤は、少なくとも1種類の共発泡剤を更に含むブレンドであってよい。本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは、実質的にポリマーと混和性である。共発泡剤は、物理共発泡剤(例えば、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、又はこれらの任意の組み合わせ)、化学共発泡剤、或いはこれらの組み合わせのいずれかである。フォームは、膨張ポリオレフィンフォーム構造体又は押出ポリオレフィンフォーム構造体であってよく、いずれも、包装用、保護用、又は断熱用フォームとして用いることができる。発泡剤は100%ギ酸メチルであってよく、或いは発泡剤は、ギ酸メチル及び1種類以上の共発泡剤の任意の組み合わせを含むブレンドであってよい。好ましい共発泡剤は、二酸化炭素、水、窒素、アルゴンのような無機薬剤;炭化水素、より好ましくは2〜5個の炭素原子を有する炭化水素、例えばエタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、イソペンタン;1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)のようなハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテルのようなエーテル;又はこれらの任意の組み合わせである。
【0017】
他の態様によれば、ポリオレフィンフォーム構造体は、ポリオレフィン及び発泡剤ブレンドを含む押出プロセスによって製造される。ポリオレフィンフォーム構造体は、ポリオレフィンを溶融し、有効量の発泡剤ブレンドを混合(例えば、溶解、含侵、又は封入)し、圧縮された混合物を、適当なダイを通して低圧領域中に押出してフォームシート又は板材を形成することによって製造する。発泡剤ブレンドは、100%のギ酸メチルを含んでいてよい。また、発泡剤ブレンドは、ギ酸メチル、及び少なくとも1種類の共発泡剤を含んでいてよい。本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは、実質的にポリマーと混和性である。共発泡剤は、物理共発泡剤(例えば、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、水、又はこれらの任意の組み合わせ)、化学共発泡剤、或いはこれらの組み合わせのいずれかである。好ましい共発泡剤は、二酸化炭素、水、窒素、アルゴンのような無機薬剤;炭化水素、より好ましくは2〜5個の炭素原子を有する炭化水素、例えばエタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、イソペンタン;1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)のようなハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテルのようなエーテル;又はこれらの任意の組み合わせである。好ましい態様によれば、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一般に、フォームシートは約0.5インチ未満の厚さを有し、フォーム板材は少なくとも約0.5インチ、好ましくは約0.5インチ〜約3インチの厚さを有する。
【0018】
更に他の態様によれば、ポリオレフィンフォーム構造体は、ポリオレフィン、及びギ酸メチルを含む発泡剤ブレンドを含む膨張性ポリオレフィン配合物から製造する。本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは実質的にポリマーと混和性である。この態様の一側面によれば、ポリオレフィンフォーム構造体は、ポリオレフィンを溶融し、有効量の発泡剤を混合(例えば、溶解、含侵、又は封入)し、圧縮された混合物を、適当なダイを通して低圧領域中に押出してフォームシート又は板材を形成するか、又は急冷温度の低温領域中に押出して膨張性ビーズを形成することによって製造する。この態様の他の側面においては、膨張性ビーズは、有効量の発泡剤をポリオレフィンポリマー中に溶解することによって製造する。更なる側面においては、膨張性ビーズは、発泡剤がポリマー中に溶解、含侵、又は封入されるように、発泡剤の存在下でポリマーを合成することによって製造する。ポリマーは、好ましくは約0.05インチ×0.05インチの寸法のペレット、ビーズ、又は粒子の形態であってよい。膨張フォーム構造体は、次に、ポリマー−発泡剤系のガラス転移温度又は結晶溶融温度の付近又はこれより高い温度に膨張性配合物を急速加熱して発泡ビーズを形成することによって得られ、これはそのままで用いるか、或いは更に所望の形状及び厚さに圧縮成形することができる。
【0019】
更に他の更なる側面においては、膨張フォーム構造体は、ビーズに、ポリマー−発泡剤系のガラス転移温度又は結晶溶融温度以下の温度で外部圧縮応力を与えることによって得られる。ポリオレフィンフォーム構造体を製造するために好ましい発泡剤はギ酸メチルである。発泡剤は、少なくとも1種類の共発泡剤を更に含むブレンドであってよい。共発泡剤は、物理共発泡剤(例えば、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、水、又はこれらの任意の組み合わせ)、化学共発泡剤、或いはこれらの任意の組み合わせのいずれかである。ポリオレフィンフォームは、膨張ポリオレフィンフォーム構造体又は押出ポリオレフィンフォーム構造体であってよく、いずれも、包装用、保護用、又は断熱用フォームとして用いることができる。発泡剤は100%ギ酸メチルであってよく、或いは発泡剤は、ギ酸メチル及び1種類以上の共発泡剤の任意の組み合わせを含むブレンドであってよい。好ましい共発泡剤は、二酸化炭素、水、窒素、アルゴンのような無機薬剤;炭化水素、より好ましくは2〜5個の炭素原子を有する炭化水素、例えばエタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、イソペンタン;1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)のようなハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテルのようなエーテル;又はこれらの任意の組み合わせである。好ましい態様においては、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一般に、フォームシート又はビーズは約0.5インチ未満の厚さを有し、フォーム板材は少なくとも約0.5インチ、好ましくは約0.5インチ〜約3インチの厚さを有する。
【0020】
本発明方法によって得られるポリオレフィンフォーム構造体は、好ましくは実質的にクローズドセルで寸法安定性の構造体である。本発明の配合物及び本発明の方法は、環境に優しい非VOCで非HAPの種を含む発泡剤を用い、したがって現在用いられている発泡剤と比較して大きな有利性を与える。
【0021】
本発明は種々の変更及び代替の形態が可能であるが、その特定の態様が一例として図面に示されており、以下に詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、それどころか、本発明は特許請求の範囲によって定義される発明の精神及び範囲内に含まれる全ての変更、均等範囲、及び代替法を包含するものであることを理解すべきである。
【0022】
実施態様の説明:
ここで、本発明の現在好ましい態様について詳細に言及する。その例を添付の図面に示す。本発明の方法及び対応する工程を、組成物の詳細な説明と組み合わせて説明する。
【0023】
ここで示す方法及び組成物は、フォームビーズ、シート、板材、又は厚板材を製造するために用いることができる。本発明は、減少したオゾン形成係数又はオゾン層破壊係数、並びに無視できる地球温暖化係数を有する発泡剤組成物に特に適している。
【0024】
本発明によれば、環境に優しい発泡剤を用いて安定な熱可塑性フォームが得られる。
発泡剤の有効性は、ポリマー中のその溶解性、並びに、例えば(押出物を与えるために)溶液を押出機に取り付けたダイから射出する際か或いは発泡剤を充填したポリマーを急速加熱する際のような、溶液を熱力学的不安定状態にかける際にポリマー−発泡剤溶液を膨張させるその能力に依存する。ポリマー−発泡剤溶液の膨張性は、ポリマーのガラス転移温度Tgと発泡剤の沸点Tbとの間の差に依存する。一般に、ポリマー中での発泡剤の溶解性はTgとTbとの間の差(Tg−Tb)に依存し、この差がより小さいと溶解性がより高い。ポリオレフィンのような半結晶質ポリマーの場合には、膨張性を決定する特性温度は結晶溶融温度Tmであり、発泡剤の溶解性を決定するものは(Tm−Tb)である。揮発性はTbと反比例関係であるので、温度及び圧力が同等の条件においては、より高い揮発性の発泡剤は、より低い揮発性の発泡剤と比較してより低い溶解性を有するであろう。したがって、より低い揮発性の発泡剤をより高い揮発性の発泡剤とブレンドすることによって、最適の溶解性及び膨張特性を有する発泡配合物を開発することができる。更に、現在用いられているVOC又はHAP発泡剤を同等の揮発性の非VOCで非HAPの発泡剤とブレンドすることによって、溶解性及び膨張特性を犠牲にすることなく放出を減少させることができる。
【0025】
本発明のフォーム及びプロセスは、1種類又は複数の発泡剤を用いて寸法安定性のポリオレフィンフォームを得る。本発明において用いるのに好ましい発泡剤としては、非VOCで非HAPであり、ゼロのODP及び無視できるGWPを有するギ酸メチルが挙げられる。したがって、HAPを排除し、製造プロセス及びそれから得られるフォームからのスモッグ形成傾向を最小にすることは、環境に優しいだけでなく、同時に現在用いられているある種の発泡剤組成物及びプロセスの欠点の多くを回避する。したがって、ギ酸メチルを単独で、又は同等の環境要素を有する1種類以上の好適な発泡剤と組み合わせて用いることにより、現在用いられている発泡剤に関係する有害な環境影響(ODP、HAP、VOC)の相殺を促進することができる。本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは、実質的にポリマーと混和性である。
【0026】
本発明にしたがって発泡させることのできる樹脂としては、線状、分岐鎖、又は架橋であってよく、脂肪族又は脂環式1−オレフィンから誘導することのできるポリオレフィンポリマーが挙げられる。好適なポリオレフィンとしては、オレフィン系化合物のホモポリマー及びそのブレンド、オレフィン系化合物と共重合可能なオレフィン系モノマーとのコポリマーが挙げられる。最も通常的に用いられるポリオレフィンは、エチレン及び/又はプロピレン部分をベースとするものである。エチレン系ポリマー材料は、更に、小割合の非エチレン系ポリマーを含んでいてよい。エチレン系ポリマー材料は、専ら、1種類以上のエチレン系ホモポリマー、1種類以上のエチレン系コポリマー、それぞれ1種類以上のエチレン系ホモポリマー及びコポリマーのブレンド、或いは上記の任意のものと非エチレン系ポリマーとのブレンドから構成されていてよい。組成にかかわらず、エチレン系ポリマー材料は、好ましくは、50重量%より多く、より好ましくは70重量%より多いエチレン系モノマー単位を含む。最も好ましくは、エチレン系ポリマー材料は、完全にエチレン系モノマー単位から構成される。最も好ましいエチレン系ポリマーはポリエチレンホモポリマーである。ポリエチレンは、高密度、中密度、低密度、線状低密度、又は超低密度タイプのものであってよい。低密度ポリエチレンが最も好ましい。ポリエチレンは、線状、分岐鎖、又は架橋であってよい。バージンポリエチレン樹脂を、工業処理後又は使用後の源からの再生利用ポリエチレンと混合するか、或いは等級外のバージンポリエチレンと混合することができる。
【0027】
好適なエチレン系コポリマーは、エチレン系モノマー単位、及び少量、好ましくは20重量%以下のモノエチレン性不飽和モノマー単位又はそれと共重合できる単位から構成されていてよい。好適なコモノマーとしては、C〜Cアルキル酸及びエステル、イオノマー誘導体、C〜Cジエン、及びC〜Cオレフィンが挙げられる。好適なコモノマーの例としては、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、メタクリル酸、エタクリン酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアセテート、無水マレイン酸、アクリロニトリル、プロピレン、イソブチレン、及びブタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明において用いることのできる好適なプロピレン系ポリマー材料としては、ポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。プロピレンコポリマーとしては、プロピレンと、エチレン、C〜C10ジエンのようなオレフィンとのランダムコポリマー及びブロックコポリマー、並びにプロピレンと他の非プロピレン系の線状又は分岐鎖の1−オレフィンとのランダムターポリマーが挙げられる。プロピレンポリマーは、1種類以上のプロピレンホモポリマー、1種類以上のプロピレンコポリマーから構成されていてよく、或いは他のオレフィン系モノマーと共重合していてもよく、1種類以上のホモポリマー及びコポリマーのブレンドであってもよく、或いは任意のプロピレンポリマーと、ポリエチレン、ポリブチレン、オレフィン系ラバー、及びイオノマーのような非プロピレンポリマーとのブレンドであってもよい。かかるブレンド中のプロピレンポリマーの含量は、好ましくは50重量%より多く、より好ましくは75重量%より多く、プロピレンポリマーの大部分は高い溶融強度のポリマーでなければならない。本発明において好適な種々のポリプロピレンポリマーとしては、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、及び長鎖分岐のポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。ポリプロピレンは、線状、分岐鎖、又は架橋であってよい。ポリプロピレン樹脂は、更に、使用後又は工業処理後の源からの好適量の再生利用ポリプロピレンと混合するか、或いは等級外のバージンポリプロピレンと混合することができる。
【0029】
同様の考察が、ポリイソブチレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、又はより高級のオレフィンから製造されるポリマーのようなポリエチレンやポリプロピレンではないポリオレフィンに適用され、これらの任意の1種類以上を用いて本発明のポリオレフィンフォーム構造体を製造することができる。
【0030】
好ましい樹脂組成物としては、低密度ポリエチレン及び高溶融強度のポリプロピレンが挙げられる。これは、長鎖分岐によってこれらのポリマーに与えられた好ましい溶融伸展性のためである。これらの高溶融強度の樹脂は、低い溶融強度のその対応物よりも高価である傾向がある。好適には、アジド又はビニルシラン、有機過酸化物、多官能性ビニルモノマー、又は照射を用いることによるか、或いはポリ(スルホニルアジド)のようなカップリング剤又は橋架剤、或いは無水マレイン酸グラフトポリオレフィン又はアルケニル芳香族ポリマーのような相溶化剤を用いて高溶融強度樹脂及び低溶融強度樹脂をブレンドすることによって軽度の架橋又は分岐を誘発することによって、低溶融強度のポリオレフィンを用いた膨張性配合物を得ることができる。かかるカップリング剤及び相溶化剤によって、ポリオレフィンを非ポリオレフィンポリマーとブレンドすることが可能になる。フォームを製造するために配合することができる種々のポリオレフィンの例、並びにポリオレフィン又は他のポリオレフィン若しくは非ポリオレフィンポリマーとポリオレフィンとのブレンドの溶融強度を、架橋剤又はカップリング剤を用いて変性する方法の更なる例が、Chaudharyの米国特許6,395,791号明細書(その全ての記載は参照として明確に本明細書中に包含する)に開示されている。本発明の好ましい態様によれば、樹脂組成物はプルランタイプの樹脂を含まず、より好ましくは、10,000〜5,000,000の分子量を有するプルランタイプの樹脂を含まない。プルラン樹脂は、グルコースの三量体であるマルトトリオースの単位が三量体のものとは異なるα−1,6結合を介して繰り返し結合している高分子量線状ポリマーである。
【0031】
発泡剤は、約1重量%〜約100重量%のギ酸メチルを含む。一態様においては、発泡剤は100重量%のギ酸メチルを含む。しかしながら、他の態様においては、発泡剤は、100重量%未満のギ酸メチルを含み、更に少なくとも1種類の共発泡剤を含むブレンドである。1種類より多い共発泡剤を発泡剤ブレンドにおいて用いることができると考えられる。本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは実質的にポリマーと混和性である。かかる1種類又は複数の共発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、又はその組み合わせであってよい。発泡剤ブレンドの組成は、製造する発泡構造体に依存する。一態様においては、発泡構造体がシート、板材、又は厚板材、或いは膨張性ビーズである場合には、発泡剤ブレンドは、約1重量%〜約100重量%のギ酸メチルを含む。しかしながら、他の態様においては、発泡構造体がシート、板材、又は厚板材、或いは膨張性ビーズである場合には、発泡剤ブレンドは、約1重量%〜約99重量%のギ酸メチル、及び少なくとも1種類の共発泡剤を含む。かかる1種類又は複数の共発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤、又はその組み合わせであってよい。共発泡剤は、一般に、純粋なギ酸メチルと比較して、迅速膨張性であるか、或いは同等の膨張特性を有する。共発泡剤は、有機化合物又は無機化合物であってよい。好ましくは、共発泡剤は非VOCである。物理共発泡剤の幾つかの非限定的な例としては、無機薬剤、有機薬剤(例えば、炭化水素、ハロゲン化飽和又は不飽和炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、及びケトン)、或いはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
幾つかの好適な無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、水、空気、窒素、アルゴン、キセノン、六フッ化イオウ、亜酸化窒素、アンモニア、四フッ化ケイ素、三フッ化窒素、三フッ化ホウ素、及び三塩化ホウ素、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一つの現在好ましい態様においては、無機薬剤は、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気などのような無機ガスである。現在好ましい無機ガスは二酸化炭素である。他の現在好ましい態様においては、無機薬剤は水である。
【0033】
本発明において用いることのできる有機物理共発泡剤の幾つかの例としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、極性基を有する流体、例えばエーテル、エステル、アセタール、カーボネート、アルカノール、アミン、及びケトン、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素の例としては、メタン、エタン、プロパン、シクロプロパン、n−又はイソ−ブタン、シクロブタン、ネオペンタン、n−又はイソ−ペンタン、及びシクロペンタン、或いはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。現在好ましいハロゲン化飽和炭化水素の例としては、フッ化メチル、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペルフルオロメタン、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、塩化メチレン、塩化エチル、フッ化エチル、1,2−ジフルオロエタン(HFC−152)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペルフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、及び1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、塩化イソプロピル、ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ペルフルオロプロパン、2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタン、及びフッ化ビニル、或いはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。現在好ましいハロゲン化不飽和炭化水素の例としては、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン、及び1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンが挙げられるが、これらに限定されない。極性基を有する流体としては、ジメチルエーテル、ビニルメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジメチルフロオロエーテル、ジエチルフルオロエーテル、及びペルフルオロテトラヒドロフランのようなエーテル;ジメチルアミン、トリメチルアミン、及びエチルアミンのようなアミン;アセトン、及びペルフルオロアセトンのようなケトン;ギ酸エチル及び酢酸メチルのようなエステル;メチラールのようなアセタール;ジメチルカーボネートのようなカーボネート;エタノール及びイソプロパノールのようなアルカノール、或いはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
化学共発泡剤は、化学反応、例えば分解を受けて、CO又はN及びCOのような無機ガスを形成する化合物である。好適な化学共発泡剤の非限定的な例としては、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、及び他のアゾ、N−ニトロソ、カーボネート、及びスルホニルヒドラジドが挙げられる。また、加熱するとガスに分解する種々の酸/ビスカーボネート混合物も存在する。例えば、HYDROCEROL(登録商標)の名称で販売されているクエン酸と重炭酸ナトリウムとの混合物を、化学共発泡剤として用いることができる。
【0035】
ポリオレフィンフォーム構造体を製造するのに用いるポリマー配合物中の発泡剤の全量は、発泡剤をポリマー中に溶解する温度及び圧力のような条件、用いる発泡剤の化学的及び熱物理的特性、並びに、発泡物品の所望の密度、及び断熱値、重量/強度の比、圧縮強度等のような関連する特性に依存する。発泡性又は膨張性配合物は、本発明においては、1種類又は複数の発泡剤、1種類又は複数のポリマー樹脂、及び任意の添加剤を含むものとして定義される。約1〜約15lb/ftの密度を有するフォームに関しては、配合物は、通常、約18〜約1重量%の発泡剤を含む。
【0036】
本発明において用いる発泡剤は100%ギ酸メチルを含むか、或いは発泡剤は、99重量%以下のギ酸メチルを、物理共発泡剤、化学共発泡剤、又はこれらの組み合わせであってよい1種類以上の共発泡剤と組み合わせて含むブレンドであってよい。発泡剤ブレンドは、一般に、約1重量%〜約99重量%のギ酸メチル、例えば約5重量%〜約75又は80重量%のギ酸メチル、或いは約20重量%〜約80又は85重量%のギ酸メチルを含む。発泡剤ブレンドは、より通常的には、約20又は25重量%〜約60重量%のギ酸メチルを含む。より具体的には、発泡剤ブレンドは、好ましくは、約20又は25重量%〜約50重量%のギ酸メチルを含む。
【0037】
与えられる場合には、発泡剤ブレンドは、一般に、少なくとも約20又は25重量%の1種類又は複数の共発泡剤を含む。発泡剤ブレンドは、より通常的には、約80又は75重量%〜約40重量%の1種類又は複数の共発泡剤を含む。より具体的には、発泡剤ブレンドは、好ましくは、約80又は75重量%〜約50重量%の1種類又は複数の共発泡剤を含む。
【0038】
例えば、且つ本発明の好ましい態様によれば、発泡剤ブレンドは、約30重量%〜約50重量%のギ酸メチル、及び約70重量%〜約50重量%の共発泡剤を含む。
本発明の更に他の態様によれば、発泡剤ブレンドは、約5〜約80重量%のギ酸メチル、及び約20〜約95重量%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤を含む。
【0039】
気泡形成を調節するその能力、モルホロジー、及び発泡物品の性能特性のような有利性を得るために、ポリマー発泡性配合物において成核剤又はかかる薬剤の組み合わせを用いることができる。用いる成核剤の量は、所望の気泡寸法、選択された発泡剤ブレンド、及び所望のフォーム密度、並びに発泡物品の性能特性に依存する。成核剤は、一般に、ポリマー樹脂配合物の約0.02〜約2重量%の量で加える。
【0040】
幾つかの考えられる成核剤としては、無機材料(好ましくは高いアスペクト比(>20)及びマイクロメートル〜マイクロメートル以下又はナノメートル(ナノ粒子)の範囲の粒径を有する小さな粒子状形態)、例えば、クレー又はナノクレー、タルク、シリカ、及び珪藻土が挙げられる。例えば、ポリマー配合物の約0.25〜約2.0重量%のタルクを用いることができる。成核剤の他の例としては、昇温下で分解又は反応して二酸化炭素及び/又は窒素のようなガスを放出する有機成核剤が挙げられる。一つの例は、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩と炭酸塩若しくは重炭酸塩との組み合わせである。ポリカルボン酸のアルカリ金属塩の幾つかの例としては、2,3−ジヒドロキシ−ブタン二酸のモノナトリウム塩(通常、酒石酸水素ナトリウムと称される)、ブタン二酸のモノカリウム塩(通常、コハク酸水素カリウムと称される)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸のトリナトリウム塩及びトリカリウム塩(通常、それぞれクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムと称される)、及びエタン二酸のジナトリウム塩(通常、シュウ酸ナトリウムと称される)、或いは2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントルカルボン酸のようなポリカルボン酸のジナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。炭酸塩又は重炭酸塩の幾つかの例としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明においては、異なる成核剤の混合物を加えることができると考えられる。幾つかのより望ましい成核剤としては、タルク、結晶シリカ、及びクエン酸と重炭酸ナトリウムとの化学量論混合物(キャリアが好適なポリマーである1〜100%の濃度を有する化学量論混合物)が挙げられる。タルクは、キャリア中か、或いは粉末形態で加えることができる。
【0042】
所望の場合には、本発明において難燃剤を用いることもできる。難燃剤の非限定的な例としては、臭素化合物、クロロパラフィン及び他の塩素化合物、三酸化アンチモン、及びアルミナ三水和物が挙げられる。更に、所望の場合には、フォームの製造において、充填剤、着色剤、光及び熱安定剤、酸化防止剤、酸スキャベンジャー、加工助剤、押出助剤、及び発泡添加剤を用いることができる。
【0043】
本発明においては、ガス透過剤又は安定性制御剤を用いて、フォームの崩壊の防止又は抑制を補助することができる。本発明において用いるのに好適な安定性制御剤としては、Croninの米国特許3,644,230号明細書に記載の長鎖脂肪酸とポリオールとの部分エステル、飽和したより高級のアルキルアミン、飽和したより高級の脂肪酸アミド、Watanabeの米国特許4,124,054号明細書に記載されているもののようなより高級の脂肪酸の完全エステル、及びKnausの米国特許5,750,584号明細書に記載されているその組み合わせを挙げることができる。上記記載の特許のそれぞれの内容は、全て参照として明確に本明細書中に包含する。
【0044】
安定性制御剤として用いることのできる脂肪酸の部分エステルとしては、表面活性剤又は界面活性剤として知られている包括的な種類のものが挙げられる。界面活性剤の好ましい種類としては、12〜18個の炭素原子を有する脂肪酸と、3〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとの部分エステルが挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくは、安定性制御剤の長鎖脂肪酸とポリオール成分との部分エステルは、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、又はこれらの混合物である。本発明において、他のガス透過剤又は安定性制御剤を用いて、フォームの崩壊の防止又は抑制を補助することができると考えられる。しかしながら、本発明の好ましい態様によれば、非イオン性フルオロケミカル界面活性剤は用いない。
【0045】
本発明によれば、ポリマー中に発泡剤を溶解するための当該技術において公知の任意の種々の好適な押出システム又は他の方法を用いることができる。好適なシステム及び方法の一例としては、例えば、それぞれの押出機が単軸を有する従来の二押出機タンデムシステムが挙げられる。また、本発明の膨張性配合物を押出すために、一次押出機が二軸であり、二次押出機が単軸である二押出機タンデムシステムを用いることができる。また、適当な冷却機構を有する単一の押出機を本発明において用いることもできる。
【0046】
本発明の一方法によれば、ポリオレフィンペレットをタルクのような成核剤と混合する。これらの材料を、押出機のホッパー中に連続的に供給する。押出機のバレル内のスクリューによって供給混合物が前方に移送され、それに伴って成分が混合され、圧縮され、加熱され、溶融形態に転化する。溶融形態への転化は、発泡剤を加える注入領域に到達する前に行う。本発明の1種類又は複数の発泡剤は、ポリマーが溶融状態である個所(即ち供給領域より後方の個所)においてポリマー配合物中に注入することができる。発泡剤ブレンドのそれぞれの成分は、逐次的か又は同時に、そして任意の順番でポリマー溶融体中に個々に注入することができる。また、発泡剤ブレンドの成分を予め混合し、ブレンドをポリマー溶融体中に注入することができる。2以上の成分の均一な溶液は、同時に共沸混合物を形成することができ、これは希釈するか又は所定の圧力下で部分的に蒸発させた際に、気体状態において液体状態と同じ組成を保持する。共沸混合物は、溶液の沸点が純粋な成分のものよりも低い「最小沸点共沸混合物」か、或いは溶液の沸点が成分のものよりも高い「最大沸点共沸混合物」であってよい。一態様によれば、発泡剤ブレンドは、ブレンドの成分を別々に注入するか、又は予め混合した後に注入するかにかかわらず、最小又は最大沸点共沸混合物又は非共沸混合物のいずれかであってよい。二押出機タンデムシステムを用いる場合には、1種類又は複数の発泡剤は、一次押出機又は二次押出機のいずれかにおいて注入するか、或いは配合物の一部の成分を一次押出機において注入し、残りの成分を二次押出機において注入することができる。
【0047】
発泡剤を注入した後、押出機内の種々の成分を連続的に混合して、ポリマー及び発泡剤の均一な溶液を確保する。次に、溶融した溶液を冷却領域中に移送し、ここで更なる混合を行う。冷却後、溶液を、溶液の発泡を防止又は抑制する温度及び圧力に保持した保持領域中に押出す。保持領域は、(a)大気圧のようなより低い圧力の領域中へのオリフィス開口を有する出口ダイ、(b)保持領域内で発泡性配合物を妨げることなくオリフィスを閉止する手段、及び(c)発泡性溶液を保持領域から排出させる開放手段を有する。保持領域の例は、Collinsの米国特許4,323,528号明細書(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。保持領域を用いるかどうかにかかわらず、次に溶液を、ダイを通して大気圧のようなより低い圧力の領域中に押出す。出口において、押出物を発泡させるか或いは(例えば、押出物を水のような熱交換流体と接触させることによって)低温まで急冷し、固化した押出物を、所望の場合にはその後にフォーム構造体に膨張させることができる小さなビーズに切断する。
【0048】
ポリプロピレンのようなポリオレフィンに適用される一態様によれば、二押出機タンデムシステム10を、図1に示すような本発明のフォーム物品(例えばシート)を押出すか、又は図2に示すような膨張性ビーズを製造するために用いることができる。ポリマー樹脂ペレットを1種類以上の添加剤(例えば成核剤)と混合して供給混合物を形成し、これを一次押出機13のホッパー11中に連続的に供給する。供給混合物は、一次押出機のバレル内の螺旋スクリューによって前方に移送され、これに伴い、供給成分が、発泡剤注入領域に到達する前に、混合され、圧縮され、加熱され、溶融される。発泡剤は個所15において加える。而して、本発明の発泡剤は、ポリマーが溶融状態で存在する供給領域より後方の個所において注入する。所望の場合には、二次押出機中などの、供給領域より後方の他の位置において、発泡剤を注入することができる。
【0049】
発泡剤の注入に続いて、一次押出機13内で成分を連続的に混合する。例示態様の一次押出機13の出口圧力は、一般に、約2000〜約4000psiの範囲である。例示態様の一次押出機13から排出される溶融体の温度は、一般に、約400〜約500°Fの範囲である。次に、発泡剤が溶液で保持されるのに十分に高い圧力において、混合物を、中空アダプター区域17を通して、冷却された二次タンデム押出機19中に前進させる。溶融した混合物を、冷却された二次押出機の長さに沿って低剪断で前進させて、ここで冷却及び更なる混合を行う。例示態様の二次押出機19の出口圧力は、一般に、約300〜約1500psiの範囲である。例示態様の二次押出機19からの押出物の温度は、一般に、約300〜約340°Fの範囲である。一般に、一次押出機の温度は、ポリマー及び全ての有機添加剤を溶融し、有効な混合を促進するのに十分なものでなければならない。二次押出機内の温度及び圧力は、成分の均一な溶液を溶融状態に保持するのに十分なものでなければならない。温度、圧力、及び他の条件は、プロセスにおいて用いるポリマーの特性に応じて変動させることができると理解される。用いる特定の条件は当業者に明らかである。
【0050】
図1において見られるように、フォームシートを製造するためには、次に溶融体を、細長いバブル又はチューブ23の形態の低圧領域内で環状ダイ21を通して絞り出し、発泡したポリマーを、冷却/サイジングドラム25の円筒形の表面上、及びスリットの上に引き出してフォームシートストック27を形成し、これを1以上の巻き取りリール29に巻き取る。
【0051】
フォームの機械的、審美的、及び他の特性を更に増強するために、発泡シートに固体の非発泡ポリマーのフィルムを積層することができ、ここでフィルムを構成するポリマーはフォームを構成するものと同じポリマーであっても、或いは異なるポリマーであってもよい。フィルムは、フィルム形成性ポリマーを溶融押出することによるか、或いはフィルムを熱溶着することによってシート上に施すことができる。フィルムは、一方又は両方の表面上に施すことができ、ロール29として巻き取る前にシートストック27にライン上で施すか、或いはロール29を取り出し、別のプロセスでフィルムを施すことができる。フィルムの厚さは、一般に、最終製品における所望の特性に応じてフォームシートの厚さの1〜25%である。フィルムは、単一の層又は複数の層で構成することができ、例えばナノクレーのようなナノ粒子を含ませて、フィルム/フォーム構造体の審美的、機械的特性、及びガスバリヤ特性を更に増強することができる。
【0052】
あるいは、図2に示すように、膨張性ポリマービーズを製造するためには、溶融体を、ストランド又はロッドダイ28を通して、水のような熱移動媒体32を含む低温領域30中に絞り出す。この方法においては、溶融した溶液は、膨張又は発泡を起こすことなく、通常は直径約0.1インチのストランドに固化する。次に、連続ストランドを、チョッパー34又は任意の他の切断装置に通し、ペレット(通常は0.1インチ×0.1インチ)に切断して、所謂膨張性ビーズ36を形成する。ストランド又はロッドダイ以外のダイを用いて、ビーズ以外の形状の膨張性配合物を形成することができることに注意すべきである。
【0053】
他の態様においては、図2に記載されているような連続溶融プロセスを用いることに代えて、固体状態のポリマーペレットを所望の溶解性が得られるまでの時間、圧力容器中において発泡剤に曝露することにより、発泡剤を用いて膨張性ビーズを製造することができる。この飽和工程は、僅かな昇温下で行って、固体ペレット中への発泡剤の含侵を促進させることができる。しかしながら、温度は、含侵されたペレットが一緒に固着するような過度に高いものであってはならない。更に他の方法においては、発泡剤の含侵は、発泡剤の存在下でポリマーの合成を行って、ポリマー中に発泡剤を溶解、含侵、又は封入するようにすることによって行うことができる。
【0054】
任意の方法によって製造された膨張性ビーズは、次に、図3の工程2に示すように、例えば、含侵されたペレットを高い熱容量の蒸気若しくは熱塩浴のような熱交換流体と接触させることにより、ビーズをポリマー−発泡剤系のTg付近か又はこれより高い温度或いはポリマー−発泡剤系のTm付近か又はこれより高い温度に急速加熱することによって発泡させる。また、含侵されたペレットは、米国特許6,080,798号明細書(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、機械的圧力(圧縮応力)を施して成核及び気泡の成長を誘発させることによってTm以下の温度で発泡させることもできる。用いる方法にかかわらず、ビーズは急速膨張を起こしてフォームビーズが形成され(工程2)、これは次に、例えばビーズを雰囲気温度に冷却することによって雰囲気条件での熟成(工程3)にかけて、空気を発泡ビーズ中に拡散させて寸法を安定化させる。これらのビーズは、工程4に示すように、そのままで、例えばルースフィル包装のために用いることができる。また、工程5に示すように、膨張して熟成したビーズを、加熱成形型内で一緒に溶融させて、カップ、プレート、成形包装材、容器、厚板材、又は板材のような任意の種々の異なる形状の製品を形成することができる。膨張ビーズ中の空気及び残留発泡剤によって、成形操作中に更なる密度の減少が起こって、更なる膨張が与えられる。
【0055】
図4に示すような更に他の構成においては、発泡性配合物を、フラットダイ20のような異なる構造のダイを通して絞り出して、板材又は厚板材24の形態で膨張させる。膨張している押出物22は、一連のローラー26によって前方に移動し、板材又は厚板材24として現れる前に更に整形装置に送ることができる。
【0056】
用いられる材料及び方法に応じて、得られるフォーム物品は、ビーズ、シート、板材、厚板材などであってよい。フォームビーズは、更に成形してシート、厚板材、又は板材を形成するか、又は種々の形状、寸法、及び厚さの物品に更に成形することができる。製造される物品がシートである場合には、シートの厚さは約0.5インチ以下であってよい。製造される物品が厚板材又は板材である場合には、厚さは、一般に約0.5インチ以上、好ましくは0.5インチ〜3インチの間である。
【0057】
ポリオレフィンフォームシートを製造するためには、環状ダイを用いることが好ましい。環状ダイを通した押出によって製造される物品は、一般に厚さ約0.5インチ未満、好ましくは厚さ約0.030〜約0.5インチである。かかる発泡シートは、保護包装材料として特に有用である。ポリオレフィンフォーム板材を製造するためには、フラットダイを用いることが好ましい。フラットダイを通した押出によって製造される物品は、一般に、厚さ約0.5〜約3インチである。かかる板材は、断熱材料、保護緩衝材料、又は浮揚材料として特に有用である。用いるダイ又は製造されるフォームのタイプにかかわらず、押出されたフォームは、熱及び/又は減圧を施すことによって更なる膨張又は低密度化に供することができる。
【0058】
フォームビーズ、シート、及び板材又は厚板材は、そのまま用いるか、他の形状に切断するか、熱及び圧力を加えることによって更に整形又は成形するか、或いは他の方法で当該技術において公知の所望の寸法及び形状の成形物品に機械加工又は成形することができる。
【0059】
用いられる材料及び方法に応じて、得られる発泡物品は、一般に、約1〜約15lb/ftの密度を有し、熱及び/又は減圧を加えることによる二次膨張によって更なる密度減少が達成される。これは、通常、1.0lb/ft未満の密度が達成されるフォームビーズにおいてみられる。発泡シートは、通常、約1.0〜約9.0lb/ftの密度を有し、一方、発泡板材は、通常、約1.5〜約9.0lb/ftの密度を有する。本発明の好ましい態様によれば、得られる発泡物品又は発泡構造体は、全体にわたって実質的に均一な密度を有する。例えば、本発明の得られる発泡物品又は構造体は、好ましくは、例えばフォームシート又は板材を急冷し及び/又はフォームの表面を冷却してスキン層を有する表面を生成させる場合に通常生じるような密度勾配を有しない。好ましくは、フォームを膨張させて、密度がフォーム構造体を通して実質的に均一になるようにする。
【0060】
更に、及び本発明の一つの好ましい態様によれば、得られる発泡物品は、実質的にクローズドセル構造を有し、ここでは約85%より多いクローズドセル、より通常的には約95%より多いクローズドセルを有するフォームとして定義される。あるいは、本発明の他の側面によれば、得られる発泡物品は、15%以上のオープンセル、例えば20%、25%、30%、又はそれ以上のオープンセルを有して形成することができる。更に、得られるフォーム構造体は、1インチあたり少なくとも約10、15、20、25、30、35、又は40の気泡を含むように制御することができる。
【0061】
本発明のフォームは、断熱用か又は建築材料として、種々の容器及び包装システムにおいて、或いは保護若しくは可撓性包装材として用いることができる。一般に、押出フォームシートは、可撓性及び剛性の包装材において用いられ;押出フォーム厚板材は、保護包装材において用いられ;フォームビーズは、ルースフィル包装のために用いられるか、或いは可撓性、保護性、剛性、及び断熱の用途のためにシート又は厚板材又は板材又は輪郭物品として成形される。フォームシート、厚板材、及び板材に加えて、本発明は、棒材、管材、又は輪郭部材のような他の形状の形態をとることができる。
【0062】
本発明のフォームに関する他の用途、並びにそれを製造するための好適なプロセス、設備、装置、器具、及びシステムは、米国特許及び公開出願:Wuの6,136,875号明細書;LeDucの5,149,473号明細書;Duffyの6,476,080号明細書;Duffyの6,599,946号明細書;Hayashiの6,696,504号明細書;FrancisのUS−2004/0132844号公報;及びHandaのUS−2004/0006149号公報(これらのそれぞれの内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0063】
寸法安定性は、通常、%ゲージ変化(これは、100×(熟成後のゲージ−初期ゲージ)/初期ゲージに等しく、初期ゲージは押出の15分以内に測定される)で表される。本発明の得られるフォームは、望ましくは、熟成7日後のフォームのゲージが、新しく押出されたフォームのゲージから、約15%より大きく変化せず、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の変化であるという点で「寸法安定性」である。好ましくは、本発明のフォームは、全ての方向において約4%未満、より好ましくは約1%未満の寸法変化を有する。
【0064】
本発明のある態様をより詳しく説明するために以下の実施例を与える。しかしながら、これらの実施例は、いかなるようにも、本発明の広範な範囲を限定するように解釈されない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された原理の多くの変更及び修正を容易に案出することができる。
【実施例】
【0065】
種々の発泡剤を試験し、結果を下表1に示す。具体的には、ここで概略的に説明する押出プロセスにしたがって、比較用の発泡剤及び本発明の発泡剤から種々のポリプロピレンフォームシートを製造した。表1に報告する種々の実施例に関して、それぞれの例示されたフォームは、同一のポリマー及び全く同一の方法で運転した同一のハードウエアを用いて製造し、唯一の変数は発泡剤であったことに留意すべきである。本発明の発泡剤は全てギ酸メチルを含み、比較用の発泡剤はギ酸メチルを含んでいなかった。
【0066】
2.5インチ及び3.5インチの単軸押出機を用いたタンデム押出ライン上でそれぞれのポリオレフィンフォームを製造し、一次押出機内のシングルポートを通して発泡剤を注入した。用いたポリマー樹脂は、0.91g/cmの規定密度及び1.9のメルトフローレートを有するBasellの高溶融強度ポリプロピレンであった。発泡剤及びポリオレフィン樹脂に加えて、タルクを、発泡剤、ポリマー樹脂、及び添加剤の全てを含む全発泡配合物の1.64重量%以下の量で加えた。環状ダイを用い、膨張する押出物を整形システムに送り、フォームシートを形成した。ポリマーフォームシートを製造するのに好適な装置の例は、米国特許6,136,875号明細書(その内容は参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0067】
【表1】

【0068】
表1の上記フォームの全ては、7日間熟成にかけた後に%ゲージ(絶対)変化が約15%未満であったので、寸法安定性であった。7日後において、初期押出後収縮を示し、その後フレッシュゲージの5%以内への回復を示したCOの共発泡剤を用いて製造したフォームを除いて、表1中のフォームの全てが11%以下の押出後成長を示したことが分かった。寸法安定性は、Croninの米国特許3,644,230号明細書;Watanabeの米国特許4,214,054号明細書;及びKnausの米国特許5,750,584号明細書(それぞれ参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、安定性制御剤又はガス透過変性剤を用いることによって更に改良することができることに留意すべきである。ここで記載した配合物は、環境に優しくコスト効率の良いプロセスによって製造される安定なフォーム構造体を与える。更に、本発明にしたがって、好適で望ましい特性を有する種々のフォームを形成することができる。本発明の配合物1〜4は、大気環境に対して減少し且つおそらくは無視し得る影響を与える成分を含み、どのようにして炭化水素VOC発泡剤の使用を減らすか又は全く使用しない配合物を用いて同等の特性を有するフォームシート(及び、伸展によって膨張ビーズ)を製造することができるかを示す。したがって、VOC発泡剤を部分的又は完全にギ酸メチルで置き換えることによって、押出フォームシート又は板材の形成中、膨張ビーズの形成(図3、工程2)及び成形(図3、工程5)操作中、並びにフォーム又は製品の保管のような製造後の操作からのVOC放出が大きく減少する。
【0069】
更に、表1中の種々の配合物中の発泡剤の全モル数は、ほぼ同等(処理した全材料100gあたり0.044〜0.053モルの範囲)であり、実質的に同等の密度を有するフォームを与えていることに注意すべきである。発泡剤ブレンドの組成を変化させて、より高い揮発性を有する1種類又は複数の成分に富むようにすることによってより低い密度を有するフォームを得ることができること、並びにより多いモル数の発泡剤を用いることによって密度を更に減少させることができることは、当業者には明白であろう。表1の本発明の配合物のそれぞれは、安定で製造及び取り扱いが容易なフォームを生成する。表1に報告するフォームにおける平均オープンセル含量は約32%であり、これは、ダイ溶融温度又は溶融レオロジー或いは両方を調節することによって、更に増加又は減少させることができる。表1に報告するフォームシートは、半剛性で、しわがなく、7日間熟成した後にトレーに熱成形した。仕上げ処理した熱成形製品は、フレッシュ密度に対して約30%低い密度、及びフレッシュゲージに対して約20%高いゲージを有していた。
【0070】
1以上の特定の態様を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくそれに多くの変更を加えることができることを認識するであろう。これらの態様及びその明確な変更のそれぞれは、特許請求の範囲に示される本発明の精神及び範囲内に含まれるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の一態様による押出フォームシートの製造に含まれる操作の全シーケンスの概略フロー図である。
【図2】図2は、本発明の一態様による膨張性ビーズの製造に含まれる操作の全シーケンスの概略フロー図である。
【図3】図3は、本発明の一態様によるフォームビーズ及びそれから製造される物品の製造に含まれる操作の全シーケンスの概略図である。
【図4】図4は、本発明の一態様による押出フォーム板材又は厚板材の製造に含まれる操作の全シーケンスの概略フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、ギ酸メチルを含み実質的にポリマーと混和性である発泡剤ブレンドとを含む、ポリオレフィンフォーム構造体を製造するための膨張性配合物。
【請求項2】
発泡剤ブレンドが100重量%のギ酸メチルからなる、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項3】
発泡剤ブレンドがギ酸メチル及び少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項4】
発泡剤ブレンドが約50重量%より多いギ酸メチルを含む、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項5】
少なくとも1種類の共発泡剤が、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、化学発泡剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の膨張性配合物。
【請求項6】
発泡剤ブレンドが、約5〜約80重量%のギ酸メチル、並びに、約20〜約95%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項3に記載の膨張性配合物。
【請求項7】
ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項8】
ポリオレフィンフォームが約1〜15lb/ftの密度を有する、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項9】
ポリオレフィンフォーム構造体が実質的にクローズドセル構造である、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項10】
ポリオレフィンフォーム構造体が寸法安定性である、請求項1に記載の膨張性配合物。
【請求項11】
ポリオレフィンフォーム構造体が、7日間以下熟成した後に約15%未満の%ゲージ(絶対)変化を有する、請求項10に記載の膨張性配合物。
【請求項12】
ポリオレフィン、及びギ酸メチルを含む発泡剤ブレンドを含む膨張性配合物を調製し;
当該配合物を膨張させてポリオレフィンフォーム構造体を形成する;
工程を含み、当該発泡剤ブレンドが実質的にポリオレフィンと混和性である、方法によって製造されるポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項13】
膨張性配合物が膨張性ビーズの形態である、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項14】
膨張性ビーズが、下記(a)、(b)及び(c):
(a)(i)ポリオレフィンを溶融し;
(ii)当該ポリオレフィン中に有効量の発泡剤ブレンドを溶解して混合物を形成し;
(iii)当該混合物を押出して膨張性ビーズを形成するプロセス;
(b)有効量の発泡剤ブレンドをポリオレフィンビーズ中に溶解するプロセス;
(c)発泡剤ブレンドの存在下でポリオレフィンを合成するプロセス;
からなる群から選択されるプロセスによって形成される、請求項13に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項15】
ビーズを膨張させる工程が、
ビーズを、少なくともポリマー−発泡剤ブレンド系のガラス転移温度か又はこれより高い温度に加熱するか;或いは
ポリマー−発泡剤ブレンド系のガラス転移温度又は結晶溶融温度以下の温度においてビーズに外部圧縮応力を与える;
ことを含む、請求項13に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項16】
膨張させたビーズを更に輪郭形状に成形する、請求項13に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項17】
発泡剤ブレンドが100重量%のギ酸メチルからなる、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項18】
発泡剤ブレンドがギ酸メチル及び少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項19】
発泡剤ブレンドが約50重量%より多いギ酸メチルを含む、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項20】
少なくとも1種類の共発泡剤が、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、化学発泡剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項21】
発泡剤ブレンドが、約5〜約80重量%のギ酸メチル、並びに、約20〜約95%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項18に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項22】
ポリオレフィンフォームが約1〜15lb/ftの密度を有する、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項23】
ポリオレフィンフォーム構造体が実質的にクローズドセル構造である、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項24】
ポリオレフィンフォーム構造体が寸法安定性である、請求項12に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項25】
ポリオレフィンを溶融し、実質的にポリオレフィンと混和性であり、ギ酸メチルを含む有効量の発泡剤ブレンドをポリオレフィン中に溶解し、ポリオレフィン及び発泡剤ブレンドを含む膨張性配合物を調製し;
当該配合物を膨張させてポリオレフィンフォーム構造体を形成する;
ことを含むポリオレフィンフォーム構造体の製造方法。
【請求項26】
ポリオレフィン構造体が、シート、板材、又は厚板材の形態である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
膨張性配合物が膨張性ビーズの形態である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
発泡剤ブレンドが100重量%のギ酸メチルからなる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
発泡剤ブレンドがギ酸メチル及び少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
発泡剤ブレンドが約50重量%より多いギ酸メチルを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種類の共発泡剤が、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、化学発泡剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
発泡剤が、約5〜約80重量%のギ酸メチル、並びに、約20〜約95%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ポリオレフィンを溶融し;
ギ酸メチルを含む有効量の発泡剤ブレンドを当該ポリオレフィン中に溶解して混合物を形成し;
当該混合物から押出物を形成し;そして
当該押出物を膨張させてポリオレフィンフォーム構造体を形成する;
工程を含み、発泡剤が実質的にポリマーと混和性である、方法によって製造されるポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項34】
発泡剤ブレンドが100重量%のギ酸メチルからなる請求項33に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項35】
発泡剤ブレンドがギ酸メチル及び少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項33に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項36】
発泡剤ブレンドが約50重量%より多いギ酸メチルを含む、請求項33に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項37】
少なくとも1種類の共発泡剤が、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、化学発泡剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項38】
発泡剤ブレンドが、約5〜約80重量%のギ酸メチル、並びに、約20〜約95%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、水、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項39】
ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項40】
ポリオレフィンフォームが約1〜15lb/ftの密度を有する、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項41】
押出物が約1〜約18重量%の発泡剤を含む、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項42】
ポリオレフィンフォーム構造体が実質的にクローズドセル構造である、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項43】
ポリオレフィンフォーム構造体が、シート、又は板材、或いは厚板材の形態である、請求項35に記載のポリオレフィンフォーム構造体。
【請求項44】
ポリオレフィンを溶融し;
ギ酸メチルを含む有効量の発泡剤ブレンドを当該ポリオレフィン中に溶解して混合物を形成し;
当該混合物から押出物を形成し;そして
当該押出物を膨張させてポリオレフィンフォーム構造体を形成する;
ことを含み、発泡剤ブレンドが実質的にポリマーと混和性である、ポリオレフィンフォーム構造体の製造方法。
【請求項45】
発泡剤ブレンドが100重量%のギ酸メチルからなる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
発泡剤ブレンドがギ酸メチル及び少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
発泡剤ブレンドが約50重量%より多いギ酸メチルを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも1種類の共発泡剤が、無機薬剤、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アセタール、アルカノール、カーボネート、アミン、ケトン、化学発泡剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
発泡剤ブレンドが、約5〜約80重量%のギ酸メチル、並びに、約20〜約95%の、C〜C炭化水素、ハロゲン化炭化水素、メタノール、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンからなる群から選択される少なくとも1種類の共発泡剤からなる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
ポリオレフィンフォームが約1〜15lb/ftの密度を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
ポリオレフィンフォーム構造体が実質的にクローズドセル構造である、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
ポリオレフィンフォーム構造体が寸法安定性である、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
ポリオレフィンフォーム構造体が、7日間以下熟成した後に約15%未満の%ゲージ(絶対)変化を有する、請求項52に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−527634(P2009−527634A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556523(P2008−556523)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/062492
【国際公開番号】WO2007/101034
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500134698)パクティヴ・コーポレーション (16)
【Fターム(参考)】