説明

クラゲ破砕装置

【課題】漁撈時に、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができるクラゲ破砕装置を提供する。
【解決手段】クラゲ6を吸込導入するクラゲ流通路8cが形成されたガイド体8a、が設けられた筒状のケーシング8と、該ケーシング8内に設けられ、ガイド体8a側からクラゲ6を吸い込みクラゲ6を破砕するスクリュー部9aが形成された回転自在なスクリュー移送体9と、該スクリュー移送体9を回転駆動するエアモータ10と、を備えるクラゲ破砕装置1であって、スクリュー移送体9の回転軸9bに、ガイド体8aのクラゲ流通路8cの海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部9cを設け、ガイド体8aの内周面に破砕突起部材11を、内周面近傍に破砕ワイヤ12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁網内の魚に混入したクラゲを破砕するクラゲ破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、漁撈時に、漁網内の魚にクラゲが混入することがある。魚を漁船に水揚げする際には、漁網を袋状に絞り込み魚を追い込んでから漁網を船体に引き揚げるため、漁網内にクラゲが混入すると、クラゲの触手で魚に傷が付き商品価値が低下する。また、クラゲが漁網内に多数混入すると漁網が重みにより破損することがある。特に、日本海には時期によって大型のクラゲであるエチゼンクラゲが多数発生し、エチゼンクラゲによる漁業被害は深刻な問題となっている。従って、水揚げ前に予めクラゲを漁網内から排除することが望まれる。
【0003】
ところで、漁網を袋状に絞り込み魚やクラゲを追い込んだ状態ではクラゲは海面近くに浮き上がり魚はその下方で遊泳することが知られている。この現象を利用して、海面近くに浮遊するクラゲを玉網等で抄い揚げた後、魚を水揚げすれば、魚への傷や漁網の破損を抑止することができる。しかし、クラゲを一度、船体に水揚げするには、船体にクラゲを載置するスペースを必要とする。水揚げ作業終了後のクラゲの処分にも困る。
【0004】
なお、上述した沖合いで作業する漁撈とは異なるが、発電所や石油プラント等では、冷却水として大量の海水が汲み上げられている。この汲み上げられた海水に大量のクラゲが混入すると配管が閉塞するので、取水口にスクリーンを設置することが行われていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、スクリーンにクラゲが付着すると取水効率が低下し、熱交換器の冷却効率が低下する。そのため、スクリーンに付着したクラゲを除去する必要があるが、手間がかかる上、陸揚げしたクラゲは腐敗すると悪臭を放つ。そのため、クラゲを海水から除去し且つクラゲを処理する装置が開発されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0005】
漁撈時に、クラゲ排除作業を効率的に行う装置として、特許文献4に開示されるクラゲ破砕装置が知られている。このクラゲ破砕装置は、円筒状のケーシングと、このケーシング内に回転自在に収容されたスクリュー移送体と、このスクリュー移送体を駆動するモータとを備えている。そして、装置使用時、ケーシングを鉛直方向に沿って配置し、ケーシング下端側を海水に浸水させ、袋状に絞り込んだ漁網内の海面付近に浮遊するクラゲをスクリュー移送体の回転により吸い上げる。ケーシングの下端には、中空半球状のクラゲ吸込導入用のガイド体が設けられている。このガイド体には、スクリュー移送体の下端に取り付けられたクラッシャーが収容されている。そして、ガイド体に吸い上げられたクラゲは、クラッシャーにより破砕され、次いで、ケーシング内のスクリュー移送体のスクリュー羽根によりさらに細かく破砕され、ケーシングの周面に形成された排出口から排出される。これにより、クラゲは死滅し、海に戻され、タンパク質を含むクラゲの残骸は魚や蟹等の餌となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−200135号公報
【特許文献2】特開平6−241683号公報
【特許文献3】特開2006−88035号公報
【特許文献4】特開2002−125号公報
【特許文献5】実用新案登録3140961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献4に開示のクラゲ破砕装置では、ガイド体内にクラッシャーが設けられているが、クラゲは、スクリュー移送体やクラッシャーの回転によって発生する渦流に乗って遠心方向に移動し易いため、クラッシャーでのクラゲの破砕が不十分であるという問題がある。
【0008】
また、装置をクレーン等で吊してケーシングを海面に対して垂直に配置するため、海水を吸い込むための動力が、ケーシングを水平方向に沿って配置する場合に比べて大きくなるという第2の問題がある。また、クレーンで吊した場合に、万が一、チェーンやワイヤが切れると、高価な装置が海の奥底に沈み、回収できなくなるという第3の問題がある。この第2及び第3の問題を解決できるクラゲ破砕装置として、特許文献5に開示される装置が知られている。この装置は海面と水平に配置されており、ケーシングの各所にフロートが設けられているので、装置を海面に浮かせることができる。しかし、特許文献5に開示のクラゲ破砕装置では、装置がフロートによって常に海面に浮かされているので、海面付近より下方にいるクラゲを装置に吸引して破砕することは困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、漁撈時に、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができるクラゲ破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、このような課題に対して鋭意研究を重ねた結果、スクリュー移送体の回転軸にガイド体のクラゲ流通路の海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部を設け、且つガイド体の流路壁面又はその近傍にクラゲを破砕する破砕部材を設けることにより、ガイド体のクラゲ流通路でクラゲを渦流に乗せて破砕部材に接触させ、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、ケーシングにバラストタンクを取り付けることにより、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明のクラゲ破砕装置は、クラゲを吸込導入するクラゲ流通路が形成されたガイド体、が設けられた筒状のケーシングと、該ケーシング内に設けられ、前記ガイド体側からクラゲを吸い込みクラゲを破砕するスクリュー部が形成された回転自在なスクリュー移送体と、該スクリュー移送体を回転駆動するモータと、を備えるクラゲ破砕装置であって、前記スクリュー移送体の回転軸には、前記ガイド体のクラゲ流通路の海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部が設けられ、前記ガイド体の流路壁面又は流路壁面近傍には、クラゲを破砕する破砕部材が設けられていることを特徴とする。
かかる発明では、スクリュー部の回転によりガイド体側の海水が吸い込まれると共に、スクリュー移送体の攪拌羽根部の回転により海水が攪拌されガイド体のクラゲ流通路に渦流が発生する。この渦流に乗ってクラゲはガイド体の流路壁面に接近し、次いで、破砕部材と接触して破砕される。この破砕されたクラゲは、攪拌羽根部及びスクリュー部でさらに細かく破砕され、ケーシング外に排出される。また、クラゲを吸込導入し易くするために、一般的にガイド体はクラゲ入口側の流路断面積が大きくされるが、流路断面積の小さいクラゲ出口側を通過する際にクラゲ詰まりが発生しても、スクリュー移送体が回転しているので、攪拌羽根部によりクラゲは徐々に破砕され、経時的にクラゲ詰まりが解消される。そのため、クラゲ詰まりが発生してもケーシングを海面上に引き上げて清掃する必要がない。このように、クラゲ破砕作業は効率良く行われる。なお、本発明で「流路壁面近傍に設ける」とは、流路壁面側に移動して来たクラゲに破砕部材を接触させる目的で破砕部材を配置することをいう。
【0012】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記破砕部材は、前記ガイド体の流路壁面に設けられた破砕突起部材又は前記ガイド体の流路壁面近傍に張架された破砕ワイヤであることを特徴とする。
かかる発明では、破砕部材として、突起部材、特に先端が鋭利な部材を用いると、クラゲ破砕時の抵抗が小さく、クラゲは容易に破砕される。破砕ワイヤを用いた場合も同様に、クラゲ破砕時の抵抗が小さく、クラゲは容易に破砕される。
【0013】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記破砕ワイヤは、前記スクリュー移送体に固定された枠体に固定され、前記スクリュー移送体が回転すると前記破砕ワイヤが周回運動する構成にされていることを特徴とする。
かかる発明では、破砕ワイヤが固定された枠体は、スクリュー移送体と一体的に回転するので、渦流によるクラゲの周回運動より速く破砕ワイヤが周回運動をし、破砕ワイヤがクラゲに接触し、効率良くクラゲが破砕される。
【0014】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記破砕部材は、前記ガイド体の流路壁面に設けられた破砕突起部材と、該破砕突起部材の突起先端よりも前記流路壁面から離れた位置に張架された破砕ワイヤとの組み合わせであることを特徴とする。
かかる発明では、破砕ワイヤが周回運動しても破砕ワイヤは破砕突起部材と接触せず、破砕ワイヤと破砕突起部材との両方でクラゲが破砕されるので、迅速にクラゲが破砕される。
【0015】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記破砕突起部材又は前記破砕ワイヤは、前記筒状のケーシングの軸方向に並行に前記ガイド体の流路壁面に設けられていることを特徴とする。
かかる発明では、クラゲが渦流に乗って周回運動するので、周方向に沿って破砕部材を設ける場合と比べて、クラゲは効率良く破砕される。
【0016】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記ガイド体の前記クラゲ流通路よりも外周側に、前記クラゲ流通路の前記攪拌羽根部付近まで通じる海水専用流路が形成され、前記攪拌羽根部でクラゲが詰まっても前記海水専用流路からの海水によりクラゲ詰まりが解消されることを特徴とする。
かかる発明では、攪拌羽根部付近のクラゲ流通路にクラゲが詰まっても海水専用流路により海水の流通が確保されるので、攪拌羽根部及びスクリュー部でのクラゲの破砕がスムーズに行われる。また、攪拌羽根部付近のクラゲ流通路にクラゲ詰まりが発生した場合に、攪拌羽根部で破砕された詰まったクラゲの断片が海水専用流路からの海水により運ばれ、クラゲ詰まりがスムーズに解消される。
【0017】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記ケーシングには、エアが収容されるフロートタンクが設けられ、該フロートタンクに、コンプレッサからエア流通管を介してエアを流入させるためのエア流入部と、前記コンプレッサ側へエア流通管を介してエアを流出させるためのエア流出部と、前記コンプレッサから前記フロートタンク内にエアが供給されたときに前記フロートタンク内の海水を流出させる海水流出部と、前記フロートタンク内のエアを開放したときに前記フロートタンク内に海水を流入させるための海水流入部とが設けられることにより、前記フロートタンクはバラストタンクとされ、前記ケーシングが浮き沈み自在にされていることを特徴とする。
かかる発明では、バラストタンクにコンプレッサからエアを供給することで、ケーシングは海面に浮かび、バラストタンク内のエアを大気開放してバラストタンク内に海水を流入させることでケーシングは海中に沈む。バラストタンク内のエアの充填量を調整することでケーシングを浮き沈みさせることができる。また、ケーシングを海面に浮かせた状態で船体を移動させれば作業ポイントの変更を行うことができる。そのため、船体を移動させる際にクレーンでケーシングを海面上に引き上げる必要がない。これにより、クラゲの浮遊する位置にケーシングを迅速に接近させて効率良くクラゲを破砕することができる。因みに、海中にクラゲ破砕装置を沈めたまま船を移動させると、海水の抵抗により、装置が損傷したり、装置を吊下しているワイヤが断線したりする可能性がある。
【0018】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記フロートタンクは、複数設けられ、該複数のフロートタンクの一部がバラストタンクとされていることを特徴とする。
かかる発明では、複数のフロートタンクの内の一部がバラストタンクとされており、常時エアのみ収容されたフロートタンクが存在するので、海面に浮かぶケーシングが急速に海中に沈むことが防止される。
【0019】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記フロートタンク内は、仕切り板により仕切られて複数の区画室が形成され、前記フロートタンクの一部がバラストタンクとして機能することを特徴とする。
かかる発明では、仕切り板により仕切られたフロートタンクの一部がバラストタンクとして機能し、常時エアのみ収容された区画室が存在するので、海面に浮かぶケーシングが急速に海中に沈むことが防止される。
【0020】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記バラストタンクは、前記筒状のケーシングの前後側に設けられ、前記ケーシングを浮上又は沈降させたときに、前記ケーシングの向きを水平に保つことが可能にされていることを特徴とする。
かかる発明では、筒状のケーシングの前後側にバラストタンクが設けられ、前後のバラストタンクの海水の量を調整することで、ケーシングを浮上又は沈降させたときにケーシングの向きは水平に保たれる。
【0021】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記バラストタンクとして機能する区画室は、前記筒状のケーシングの前後側に設けられ、前記ケーシングを浮上又は沈降させたときに、前記ケーシングの向きを水平に保つことが可能にされていることを特徴とする。
かかる発明では、筒状のケーシングの前後側にバラストタンクとして機能する区画室が設けられ、前後のバラストタンクの海水の量を調整することでケーシングを浮上又は沈降させたときに、ケーシングの向きは水平に保たれる。
【0022】
また、本発明のクラゲ破砕装置は、前記ケーシングには、クラゲを照らすための照明器具と、クラゲの位置を捕捉するためのビデオカメラとが設けられていることを特徴とする。
かかる発明では、クラゲの位置をビデオカメラを介してモニタで確認することが可能であり、また、LEDランプや白熱灯等の照明器具を用いることで日光の照射量の少ない海中でもクラゲの存在が的確に把握される。また、夜間にクラゲ破砕作業を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のクラゲ破砕装置では、ガイド体のクラゲ流通路の海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部が設けられ、且つガイド体の流路壁面又はその近傍にクラゲを破砕する破砕部材が設けられているので、ガイド体のクラゲ流通路においてクラゲは渦流に乗って破砕部材に接触する。そのため、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができる。
また、ケーシングにバラストタンクを取り付けることによりケーシングが浮き沈み自在にされているので、ケーシングを吊下するワイヤが断線してもケーシングが海底に沈むことがない。また、ケーシングを海面に浮かせた状態で船体を移動させれば作業ポイントの変更を行うことができ、船体を移動させる際にクレーンでケーシングを海面上に引き上げる必要がない。これにより、クラゲの浮遊する位置にケーシングを迅速に接近させることができる。そのため、効率良くクラゲ破砕作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明のクラゲ破砕装置が船体から吊下された状態を示す説明図である。
【図2】図2は、図1のクラゲ破砕装置の内部構造を示す説明図である。
【図3】図3は、図2のクラゲ破砕装置の正面図である。
【図4】図4は、図3を部分的に拡大した説明図である。
【図5】図5は、破砕突起部材の詳細を示している。図5(a)は、図2の破砕突起部材を示している。図5(b)は、破砕突起部材のエッジの向きを接近中のクラゲ側に傾斜させた形態を示している。
【図6】図6は、枠体と破砕ワイヤとを有する籠体を示す説明図である。図6(a)は、図2に示す籠体を示している。図6(b)は、図6(a)の籠体よりも変形に対する強度を高めたものを示している。
【図7】図7は、クラゲ破砕装置を沈降させるときの工程を示す説明図である。図7(a)は、クラゲ破砕装置が海面に浮上している状態を示している。図7(b)は、クラゲ破砕装置が沈降している状態を示している。図7(c)は、クラゲ破砕装置がクラゲ近傍まで沈降した状態を示している。
【図8】図8は、クラゲ破砕装置を浮上させるときの工程を示す説明図である。図8(a)は、クラゲ破砕装置が海中でクラゲを破砕した後の状態を示している。図8(b)は、クラゲ破砕装置が浮上している状態を示している。図8(c)は、クラゲ破砕装置が海面まで浮上した状態を示している。
【図9】図9は、図3のクラゲ破砕装置の照明器具の配置を変更した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のクラゲ破砕装置1が船体2から吊下された状態を示している。図に示すように、クラゲ破砕装置1は、船体2の船首側に設けられたクレーン3によりワイヤ又はチェーン等を介して海中に吊下されている。クレーン3は、海面に対して水平方向に回転自在であり、垂直方向に回動自在である。船体2上には、クラゲ破砕装置1にエアを供給するコンプレッサ4A,4Bが設けられている。
コンプレッサ4Aからのエアは、エア流通管を介してクラゲ破砕装置1に設けられたフロートタンクに供給される。フロートタンクにエアが供給されると、クラゲ破砕装置1は浮力により浮上する。そして、コンプレッサ4A近傍に設けられたエア開閉部を開くことでフロートタンク内のエアは大気開放され、フロートタンクに海水が流入し、クラゲ破砕装置1は沈降する。エア開閉部として、例えば、開閉自在に蓋体が設けられた継手を用いることができる。
コンプレッサ4Bからのエアは、エア流通管を介してクラゲ破砕装置1に搭載されたエアモータに供給され、その後、コンプレッサ4Bに戻る。本発明に用いられるモータは、エアモータに限定されることはなく、他のモータを用いてもよい。
【0026】
図1は、海中に投入された漁網5が袋状に絞り込まれ魚7やクラゲ6を追い込んだ状態を示している。クラゲ6は海面近くに浮き上がり魚7はその下方で遊泳している。この海面近くに浮遊するクラゲ6をクラゲ破砕装置1に吸い込んでクラゲ6を破砕する。クラゲ破砕装置1で破砕されたクラゲ6は、海中に排出される。
なお、クラゲ破砕装置1の全長は、例えば2mとされる。クラゲ6の大きさは大小様々であるが、エチゼンクラゲの場合は、傘の直径が2m、重さが150kgになるものがある。
【0027】
図2は、クラゲ破砕装置1の内部構造を示している。ラッパ形状のケーシング8には、クラゲ6を吸込導入するクラゲ流通路8cが形成されたガイド体8aが設けられている。クラゲ流通路8cはケーシング8の長手方向に沿って形成され、ケーシング8を貫通している。ガイド体8aのクラゲ流通路8cは、クラゲ入口側がクラゲ出口側より拡径されている。ガイド体8aは別体として設けてもよい。ガイド体8aのクラゲ流通路8cは、円錐台状でなく、半球状、多角錐台状その他の形状であってもよい。ただし、スクリュー移送体9を回転させ、渦流を発生させるのでクラゲ流通路8cは軸対称形状であることが好ましい。また、ガイド体8aの形状は、中空円錐台状に限定されることはなく、例えば、中空半球状又はお椀状であってもよい。
【0028】
ケーシング8の本体部8b内には、クラゲを破砕するスクリュー部9aが形成されたスクリュー移送体9が設けられている。このスクリュー移送体9は、エアモータ10に連結され、正逆回転自在にされている。スクリュー移送体9の回転軸9bの先端側には、ガイド体8aのクラゲ流通路8cの海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部9cが設けられている。この攪拌羽根部9cは、スクリュー移送体9に別部材として取り付けてもよい。攪拌羽根部9cは三角形板状であり、角度の小さい方の底角が後流側に位置している。この攪拌羽根部9cは、回転軸9b周りに4枚設けられている。攪拌羽根部9cの形状は、三角形板状に限定されることはなく、例えば、長方形板状又は台形板状であってもよいし、湾曲した形状であってもよい。また、攪拌羽根部9cの枚数は特に限定されることはない。要するに、ガイド体8aのクラゲ流通路8cの海水に渦を発生させることができればよい。
ケーシング8及びスクリュー移送体9の材質には、ステンレス鋼、アルミニウム合金又はチタン合金その他の材質を適用することができる。ただし、防錆性や機械的強度等が必要とされる。
【0029】
ガイド体8aの流路壁面には、クラゲ6を破砕する破砕部材が設けられている。この破砕部材は、ガイド体8aの内周面に設けられた破砕突起部材11と、ガイド体8aの内壁面近傍に張架された破砕ワイヤ12とから構成される。破砕突起部材11は長尺状の部材であり、図3及び図4を用いて示すように、放射状に32個設けられている。破砕ワイヤ12も放射状に32本設けられている。
【0030】
図2に示すように、破砕突起部材11及び破砕ワイヤ12は、ケーシング8の軸方向に並行に、より具体的には、ガイド体8aのクラゲ入口側からクラゲ出口側に向かう傾斜面の傾斜に沿って設けられている。ガイド体8aに吸い込まれたクラゲは渦流に乗って周回運動するので、周方向に沿って破砕突起部材11及び破砕ワイヤ12を設ける場合と比べて、クラゲは効率良く破砕される。
破砕突起部材11は、より詳しくは、図5(a)に示すように略三角柱状であり、先端がクラゲを破砕するエッジとなっている。破砕部材としてエッジを有する部材を用いると、クラゲ破砕時の抵抗が小さく、クラゲは容易に破砕される。また、クラゲは渦流に乗って破砕突起部材11に接近するので、図5(b)に示すように、破砕突起部材11のエッジをクラゲ6が接近してくる側に向けると切り込み易くなり、好ましい。仮に、破砕突起部材11の切れ味が落ちて破砕突起部材11がクラゲ6の周回運動の妨げとなっても、同一方向に周回運動する破砕ワイヤ12(図2記載)のクラゲ6への接近速度が速くなるので、クラゲ6の破砕をスムーズに行うことが可能である。
【0031】
なお、破砕突起部材11の形状、材質、本数及び配置その他の形態は特に限定されることはない。例えば、破砕突起部材11の形状は、平板状であってもよい。また、例えば、破砕突起部材11の材質には炭素鋼を適用することができる。また、例えば、破砕突起部材11の配置は、ガイド体8aの周方向成分を有するような向きに傾けてもよい。また、例えば、多数の刃物状の突起をガイド体8aの内周面に設けてもよい。また、破砕突起部材11はガイド体8aと一体形成してもよい。
【0032】
破砕ワイヤ12は、図6(a)に示すように、一対の大小の輪環状の枠体13A,13Bに固定され、張架されている。枠体13A,13Bの断面形状は、四角形、長方形、円、楕円又はコ字その他の形状にすることができる。破砕ワイヤ12の固定方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、枠体13A又は13Bにワイヤ挿通用の貫通穴を形成し、破砕ワイヤ12の一端を圧着端子で圧着し、圧着端子に形成された貫通穴と枠体13A又は13Bの貫通穴とにネジを挿通し、このネジをナットで固定する(特開2004−143798号公報図3参照)。破砕ワイヤ12はテンションが加わった状態で張架されることが好ましいので、破砕ワイヤ12の他端は、例えば、ワイヤ固定板と枠体13B又は13Aとの間に破砕ワイヤ12を挟み込み、2本のネジを用いてワイヤ固定板を枠体13B又は13Aに固定する(特開2004−143798号公報図1参照)。破砕ワイヤ12は枠体13Aと枠体13Bとの間に張架されればよいので、固定方法は、特に限定されることはない。
【0033】
破砕ワイヤ12の材質には、硬鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金、アラミド繊維又は炭素繊維等を適用することができる。長期的にクラゲを破砕しても断線しない材料が好ましい。また、破砕ワイヤ12は、単線であってもよいし、撚線であってよく、特に限定されることはない。また、破砕ワイヤ12は、針金であってもよい。この場合、自転車の車輪のスポークのようにニップルを用いて枠体13A,13Bに固定することができる。破砕ワイヤ12の直径は、例えば、6mmとされる。破砕部材としてワイヤを用いると、クラゲ破砕時の抵抗が小さく、クラゲは容易に破砕される。
なお、破砕ワイヤ12の本数及び張架方向は特に限定されることはない。例えば、ガイド体8a(図2記載)の周方向成分を有するような向きに傾けて張架してもよい。
【0034】
図6(a)に示す枠体13A,13Bと破砕ワイヤ12とを有する籠体14は、図2に示すように、スクリュー移送体9の攪拌羽根部9cに固定されている。そして、エアモータ10が起動すると、スクリュー移送体9が回転し、籠体14も回転する。破砕突起部材11に接触することを避けるため、破砕ワイヤ12は破砕突起部材11のエッジよりもガイド体8aの内周面から離れた位置に張架されている。すなわち、破砕ワイヤ12と破砕突起部材11の間に間隙が形成されている。この構成では、破砕ワイヤ12が周回運動しても破砕ワイヤ12は破砕突起部材11と接触せずに、破砕ワイヤ12と破砕突起部材11との両方でクラゲ6が破砕されるので、迅速にクラゲ6が破砕される。破砕ワイヤ12は、渦流によるクラゲ6の周回運動より速く周回運動をし、クラゲ6を破砕する。
【0035】
また、籠体14が振れて破砕突起部材11と破砕ワイヤ12が接触することを避けるために、図6(b)に示すように、破砕ワイヤ12の一部を丸棒状の補強フレーム15に置き換え、籠体14の変形に対する強度を高めてもよい。補強フレーム15には、瓦状の板材、平板、角柱又はパイプその他の部材を用いてもよい。もっとも、図2に示す破砕ワイヤ12と破砕突起部材11との間隙を十分に取れば問題ない。また、破砕突起部材11と破砕ワイヤ12の接触を避ける他の方法としては、枠体13Bとガイド体8aの内周面との間に、ベアリングを設けたり、ガイド体8aの内周面の周方向に沿って複数のローラを配置したりする方法等が挙げられる。要するに、枠体13Bの遠心方向の移動を拘束しつつ、スムーズに枠体13Bを回転させることができる部材を用いればよい。
【0036】
ケーシング8には、ガイド体8aのクラゲ流通路8cよりも外周側に、クラゲ流通路8cの攪拌羽根部9c付近まで通じる海水専用流路8eが形成されている。そのため、攪拌羽根部9c付近のクラゲ流通路8cにクラゲが詰まっても海水専用流路8eにより海水の流通が確保され、攪拌羽根部9c及びスクリュー部9aでのクラゲの破砕がスムーズに行われる。また、攪拌羽根部9c付近のクラゲ流通路8cにクラゲ詰まりが発生した場合に、攪拌羽根部9cで破砕された詰まったクラゲの断片が海水専用流路8eからの海水により運ばれ、クラゲ詰まりがスムーズに解消される。海水専用流路8eは、断面略長円状にされているが(図3参照)、海水を流通させることができればよいので、その断面形状は特に限定されることはない。また、海水専用流路8eの数や端面8dでの開口位置も特に限定されることはない。海水専用流路8eの開口位置は、例えば、ガイド体8aの外周面であってもよい。
【0037】
次に、クラゲ破砕装置1の動作について説明する。図1に示す船体2上のコンプレッサ4Bを起動させ、図2に示すエアモータ10にエアが供給されると、エアモータ10は作動し、エアモータ10の回転軸に連結されたスクリュー移送体9及びこのスクリュー移送体9に固定された籠体14が回転する。すると、攪拌羽根部9cの周回運動及びスクリュー部9aの回転により、クラゲ破砕装置1の前方の海中に浮遊するクラゲ6が渦流に乗ってガイド体8aに吸い込まれる。
ガイド体8aに吸い込まれたクラゲ6は渦流に乗って遠心方向にある破砕ワイヤ12及び破砕突起部材11に勢い良く接触する。この接触によりクラゲ6は破砕される。この破砕されたクラゲ6は、下流側の攪拌羽根部9cでさらに破砕され、さらに下流側のスクリュー部9aに入り込み、さらに細かく破砕される。スクリュー部9aで破砕されたクラゲ6は、ケーシング8の後端側から排出される。
【0038】
ガイド体8aのクラゲ入口側よりも縮径された攪拌羽根部9c付近のクラゲ流通路8cにクラゲ6が詰まった場合、ガイド体8aのクラゲ流通路8cからの海水の流通量は減少するが、攪拌羽根部9cは徐々にクラゲ6を破砕し、破砕されたクラゲ6は、海水専用流路8eからの海水と共に後方へ流され、スクリュー部9aを経て外部へ排出される。攪拌羽根部9c及びスクリュー部9aでの破砕は、海水専用流路8eからの海水により常時スムーズに行われる。
また、エアモータ10を逆回転させることで、スクリュー部9aは逆回転し、ケーシング8内の海水の流れを逆流させることができるので、エアモータ10の正逆回転を繰り返すことで、クラゲ詰まりを解消することも可能である。
【0039】
ケーシング8の外周には、エアが収容される3個の環状のフロートタンクが設けられている。その内、2個のフロートタンクは、海水を流出入可能にされ、バラストタンクとされている。より具体的には、ガイド体8aと本体部8bとに跨って設けられるバラストタンク16Aと、このバラストタンク16Aに隣接する通常のフロートタンク16Bと、このフロートタンク16Bに隣接するバラストタンク16Cとが設けられている。バラストタンク16A,16Cには、エア流出入部17が設けられている。このエア流出入部17は、コンプレッサ4A(図1記載)からエア流通管を介してエアを流入させ、且つコンプレッサ4A側へエア流通管を介してエアを流出させるために設けられている。
【0040】
また、バラストタンク16A,16Cには、コンプレッサ4Bからバラストタンク16A,16C内にエアが供給されたときにバラストタンク16A,16C内の海水を流出させる海水流出部18と、バラストタンク16A,16C内のエアを開放したときにバラストタンク16A,16C内に海水を流入させるための海水流入部19とが設けられている。バラストタンク16A,16C内に海水を流出入させることで、ケーシング8が浮き沈み自在にされている。海水流出部18及び海水流入部19には、逆支弁が設けられている。この逆支弁は、バラストタンク16A,16C内の圧力と、海水の水圧との差が一定以上になったら海水が流通する構造にされている。例えば、圧縮状態のスプリングで閉口用蓋体を付勢し、付勢方向と反対方向に所定圧加わった場合に蓋体が移動し、タンク内外が連通する構成にするとよい。
【0041】
このクラゲ破砕装置1は、バラストタンク16A,16Cにコンプレッサからエアが供給されるとケーシング8が海面に浮かび、バラストタンク16A,16C内のエアを大気開放してバラストタンク16A,16C内に海水を流入させるとケーシング8は海中に沈む。バラストタンク16A,16C内のエアの充填量を調整することでケーシング8を浮き沈みさせることができる。また、ケーシング8を海面に浮かせた状態で船体を移動させれば作業ポイントの変更を行うことができる。そのため、船体を移動させる際にクレーンでケーシング8を海面上に引き上げる必要がない。これにより、クラゲ6の浮遊する位置にケーシング8を迅速に接近させて効率良くクラゲ6を破砕することができる。
【0042】
本実施形態では、複数のフロートタンクの一部がバラストタンク16A,16Cとされており、常時エアのみ収容されたフロートタンク16Bが存在するので、海面に浮かぶケーシング8が急速に海中に沈むことが防止される。勿論、フロートタンク内を仕切り板により仕切って複数の区画室を構成し、フロートタンクの一部をバラストタンクとして機能させてもよい。
本実施形態では、バラストタンク16A,16Cは、ケーシング8の前後側に設けられているので、ケーシング8を浮上又は沈降させたときに、ケーシング8の向きを水平に保つことが可能である。
【0043】
図7は、クラゲ破砕装置1を沈降させるときの工程を示している。図7(a)はクラゲ破砕装置1が海面に浮上している状態を示している。この状態では、バラストタンク内に圧縮エアが充填されており、クラゲ破砕装置1は浮力により海面に浮かんでいる。クラゲ6は海中に存在する。この状態からバラストタンク内のエアを開放すると、クラゲ破砕装置1は徐々に沈降し、図7(b)に示す状態になる。クレーン3に取り付けられたワイヤは弛んだ状態にある。ここで、クラゲ破砕装置1のエアの開放を停止すると、クラゲ破砕装置1の沈降は止まる。すなわち、潜水艦と同様に適当な深度にクラゲ破砕装置1を移動させることができる。図7(b)の状態からエアの開放を継続すると、フロートタンクは海水で満たされ、図7(c)に示すように、ワイヤを介してクレーン3に吊下され、クラゲ破砕装置1の沈降は拘束される。図7(c)の状態では、クラゲ破砕装置1の近傍にクラゲ6が浮遊するため、クラゲ破砕装置1を作動させると、クラゲ6はクラゲ破砕装置1に接近して吸い込まれ破砕される。
【0044】
図8は、クラゲ破砕装置1を浮上させるときの工程を示している。図8(a)は、クラゲ破砕装置1が海中でクラゲを破砕した後の状態を示している。破砕されたクラゲ6は、海中を漂い、魚のエサとなる。この状態からバラストタンク内にコンプレッサ4Aから圧縮エアを送り込むと、バラストタンク内の海水は排出され、クラゲ破砕装置1は徐々に浮上し、図8(b)に示す状態になる。クラゲ破砕装置1の浮上中に圧縮エアの供給を停止し、バラストタンク内に適度に海水が入った状態にすると、クラゲ破砕装置1の浮上は止まる。図8(b)の状態から圧縮エアの供給を継続すると、バラストタンク内は圧縮エアのみになり、図8(c)に示すように、クラゲ破砕装置1は海面に浮上する。
【0045】
図2に示すように、ケーシング8には、クラゲ6を照らすための照明器具20と、クラゲの位置を捕捉するためのビデオカメラ21とが設けられている。照明器具20としては、LEDランプや白熱灯等を用いることができる。ビデオカメラ21で撮影した画像は、乗船者がディスプレイで監視する。
本実施形態では、図3に示すように、照明器具20は、ガイド体8aの外周面に周方向に等間隔で4箇所に設けられている。照明器具20の個数や取付位置は特に限定されることはなく、例えば、図9に示すように、海水専用流路8eの一部を照明器具20に置き換えてもよい。
上記のように、照明器具20とビデオカメラ21を用いると、クラゲの位置をビデオカメラ21を介してモニタで確認することが可能であり、また、LEDランプや白熱灯等の照明器具20を用いることで日光の照射量の少ない海中でもクラゲの存在が的確に把握される。また、夜間にクラゲ破砕作業を行うことも可能である。
【0046】
上述した実施形態のクラゲ破砕装置1では、スクリュー部9aの回転によりガイド体8a側の海水が吸い込まれると共に、スクリュー移送体9の攪拌羽根部9cの回転により海水が攪拌されガイド体8aのクラゲ流通路8cに渦流が発生する。この渦流に乗ってクラゲ6はガイド体8aの内周面に接近し、次いで、破砕ワイヤ12及び破砕突起部材11と接触して破砕される。この破砕されたクラゲは、攪拌羽根部9c及びスクリュー部9aでさらに細かく破砕され、ケーシング8の外に排出される。また、ガイド体8aの流路断面積の小さいクラゲ出口側を通過する際にクラゲ詰まりが発生してもスクリュー移送体9が回転しているので、攪拌羽根部9cによりクラゲは徐々に破砕され、経時的にクラゲ詰まりが解消される。そのため、クラゲ詰まりが発生してもケーシング8を海面上に引き上げて清掃する必要がない。このように、クラゲ破砕作業を効率良く行うことができる。
【0047】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、海中のクラゲを破砕する場合に広く利用することができる。例えば、定置網等を用いた沖合いでの漁撈におけるクラゲの破砕に利用できる他、発電所や石油プラント等が建設された沿岸でのクラゲの破砕にも利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 クラゲ破砕装置
2 船体
3 クレーン
4A,4B コンプレッサ
5 漁網
6 クラゲ
7 魚
8 ケーシング
8a ガイド体
8b 本体部
8c クラゲ流通路
8d 端面
8e 海水専用流路
9 スクリュー移送体
9a スクリュー部
9b 回転軸
9c 攪拌羽根部
10 エアモータ
11 破砕突起部材
12 破砕ワイヤ
13A,13B 枠体
14 籠体
15 補強フレーム
16A,16C バラストタンク
16B フロートタンク
17 エア流出入部
18 海水流出部
19 海水流入部
20 照明器具
21 ビデオカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲを吸込導入するクラゲ流通路が形成されたガイド体、が設けられた筒状のケーシングと、
該ケーシング内に設けられ、前記ガイド体側からクラゲを吸い込みクラゲを破砕するスクリュー部が形成された回転自在なスクリュー移送体と、
該スクリュー移送体を回転駆動するモータと、
を備えるクラゲ破砕装置であって、
前記スクリュー移送体の回転軸には、前記ガイド体のクラゲ流通路の海水に渦流を発生させるための攪拌羽根部が設けられ、
前記ガイド体の流路壁面又は流路壁面近傍には、クラゲを破砕する破砕部材が設けられていることを特徴とするクラゲ破砕装置。
【請求項2】
前記破砕部材は、前記ガイド体の流路壁面に設けられた破砕突起部材又は前記ガイド体の流路壁面近傍に張架された破砕ワイヤであることを特徴とする請求項1に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項3】
前記破砕ワイヤは、前記スクリュー移送体に固定された枠体に固定され、前記スクリュー移送体が回転すると前記破砕ワイヤが周回運動する構成にされていることを特徴とする請求項2に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項4】
前記破砕部材は、前記ガイド体の流路壁面に設けられた破砕突起部材と、該破砕突起部材の突起先端よりも前記流路壁面から離れた位置に張架された破砕ワイヤとの組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項5】
前記破砕突起部材又は前記破砕ワイヤは、前記筒状のケーシングの軸方向に並行に前記ガイド体の流路壁面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項6】
前記ガイド体には、前記ガイド体の前記クラゲ流通路よりも外周側に、前記クラゲ流通路の前記攪拌羽根部付近まで通じる海水専用流路が形成され、
前記攪拌羽根部でクラゲが詰まっても前記海水専用流路からの海水によりクラゲ詰まりが解消されることを特徴とする請求項1に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項7】
前記ケーシングには、エアが収容されるフロートタンクが設けられ、
該フロートタンクに、コンプレッサからエア流通管を介してエアを流入させるためのエア流入部と、前記コンプレッサ側へエア流通管を介してエアを流出させるためのエア流出部と、前記コンプレッサから前記フロートタンク内にエアが供給されたときに前記フロートタンク内の海水を流出させる海水流出部と、前記フロートタンク内のエアを開放したときに前記フロートタンク内に海水を流入させるための海水流入部とが設けられることにより、前記フロートタンクはバラストタンクとされ、前記ケーシングが浮き沈み自在にされていることを特徴とする請求項1に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項8】
前記フロートタンクは、複数設けられ、
該複数のフロートタンクの内の一部がバラストタンクとされていることを特徴とする請求項7に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項9】
前記フロートタンク内は、仕切り板により仕切られて複数の区画室が形成され、
前記フロートタンクの一部がバラストタンクとして機能することを特徴とする請求項7に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項10】
前記バラストタンクは、前記筒状のケーシングの前後側に設けられ、前記ケーシングを浮上又は沈降させたときに、前記ケーシングの向きを水平に保つことが可能にされていることを特徴とする請求項8に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項11】
前記バラストタンクとして機能する区画室は、前記筒状のケーシングの前後側に設けられ、前記ケーシングを浮上又は沈降させたときに、前記ケーシングの向きを水平に保つことが可能にされていることを特徴とする請求項9に記載のクラゲ破砕装置。
【請求項12】
前記ケーシングには、クラゲを照らすための照明器具と、クラゲの位置を捕捉するためのビデオカメラとが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクラゲ破砕装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−205978(P2011−205978A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77402(P2010−77402)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4573312号(P4573312)
【特許公報発行日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(599062058)
【Fターム(参考)】