説明

クラブラン酸の医薬品製剤

本発明は、一般に、安定な製薬組成物、およびそのような組成物を製造するおよび投与する方法に関する。1つの局面においては、本発明は、クラブラン酸カリウムまたはClavitesseTMのような医薬活性成分を、好ましくは即時放出固形投与剤形または持続放出固形投与剤形中に含む安定化製薬組成物を特徴とする。また、そのような即時放出安定化組成物または持続放出安定化組成物を製造するおよび使用する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラブラン酸、製薬上許容し得るクラブラン酸塩、塩組成物および誘導体を含む固形経口投与剤形に関する。とりわけ、本発明は、毎日の服用に適し且つ治療レベルのクラブラン酸塩をもたらすクラブラン酸カリウムの即時放出組成物および持続放出組成物を提供する。また、本発明は、それら組成物の製造方法およびそれら組成物の、例えば、不安神経症、うつ病、性機能障害および神経障害の治療用の医薬品としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クラブラン酸の名称は、クラブラン酸を派生させるストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)微生物に由来する。クラブラン酸は、アミノ酸のアルギニンと糖のグリセルアルデヒド3リン酸から生合成的に産生する。
【0003】
クラブラン酸は、ベータラクタム抗生物質の特徴であるベータラクタム環を共有しているにもかかわらず、無視し得る固有の抗菌活性を有している。しかしながら、化学構造の類似性は、その分子が、ある種の細菌が分泌するベータラクタマーゼの拮抗性インヒビターとして作用してベータラクタム抗生物質に対する耐性をもたらすのを可能にしている。チカルシリンまたはアモキシシリンのようなある種のベータラクタム抗生物質と併用して投与したとき、クラブラン酸は、そのスペクトルを拡大し、上記抗生物質の活性を増強し得る(AHFS、1991年)。この相乗的活性は、クラブラン酸が、自然に分解する細菌系ベータラクタマーゼの不可逆性拮抗性インヒビターおよび不活性ベータラクタム抗生物質として作用することから可能である(Brown et al., J Antibiot (Tokyo). 1976, 29:668-669;Reading and Cole, Antimicrob Agents Chemother. 1977, 11:852-857)。
【0004】
クラブラン酸は、米国においては、他の薬物との固定した組合せにおいてのみ商業的に入手可能である。例えば、一般的に処方されるTimentinR、即ち、クラブラン酸とチカルシリンとの併用製品は、通常、ほぼ7〜10mg/kg/日のクラブラン酸投与量に相当する200〜300mg/kg/日(チカルシリン含有量基準)の範囲の投与量で静脈内投与する(AHFS、1991年)。この投与量範囲内で投与されたクラブラン酸についての有害反応および禁忌は報告されていない(Koyu et al., Jpn J Antibiot. 1986, 39:2831-2862;Yamabe et al., Chemioterapia. 1987, 6:337-40)。AugmentinR (コアモキシクラブ)、即ち、クラブラン酸とアモキシシリンとの併用製品は、アモキシシリン耐性ベータラクタマーゼ産生性株に対する有効性を示している。呼吸管、泌尿器、腹部および歯牙感染症並びに蜂巣炎および動物咬傷に対する標準の成人投与量は、8時間毎の服用のコアモキシクラブ250/125 (250mgのアモキシシリン/125mgのクラブラン酸)であり、重篤な感染症においては二倍であり得る。米国においては、Augmentin XR (コアモキシクラブ1000/62.5)が、1日二回2錠服用による市中肺炎での使用のために市販されている。
【0005】
ベータラクタマーゼに対するその阻害作用以外に、クラブラン酸は、神経保護作用における、さらに、不安神経症および性機能障害の治療における有効性も示している。Koppel等は、米国特許第6,489,319号、第6,610,681号および第6,627,625号において、クラブラン酸自体が、1マイクログラム/kgより小量で腹腔内投与したとき、抗不安活性を有することを説明している。米国特許第6,426,342号において、Koppelは、ラットを1μg/kgの腹腔内投与量のクラブラン酸で治療したときのクラブラン酸の強力な神経保護剤活性を説明している。また、Koppelは、米国特許第7,166,626号において、クラブラン酸の投与による性機能障害の治療方法も開示している。米国特許第6,489,319号は、クラブラン酸がCNS活性および挙動を10ng〜10μg/kgの範囲の投与量で変え得ることを報告している。従って、クラブラン酸の独特な神経学的活性プロフィールは、該化合物が独特な群の神経ターゲットと相互作用する強力な証拠を提供している。また、Rothstein等は、数種のベータラクタム抗生物質が、グルタメート神経伝達物質輸送体に対する遺伝子を活性化することによって神経保護作用を提供することを実証している(Nature, 2005, 433:73-77)。1928年におけるペニシリンの発見により最初に同定されて以来、ベータラクタム抗生物質は、最も広く使用されている抗生物質に属するが、通常の抗菌投与量においては実質的な毒性CNS作用を示していない。従って、ベータラクタム抗生物質は、CNS関連疾患の治療用の新規且つ安全な治療薬として使用し得る。
【0006】
クラブラン酸およびその誘導体または塩(集合的に、クラブラン酸塩と称する)を含有する多くの乾燥製剤の調製は、結合剤、流動促進剤(glidant)、崩壊剤および乾燥剤等のような複雑な配合の賦形剤を含ませて製薬上許容し得る担体を得ることを必要としている。このことは、一部では、クラブラン酸塩が水性媒質中で極めて不安定である高湿気性物質であるという事実による。従って、配合方法は、製品が保存中にその力価を保持し得、なお且つ、その後で満足な溶解速度を得ることができることを確実にしなければならない。1つのそのような方法は、WO 92/19227号に開示されており、細胞内および細胞外崩壊剤双方を含ませることを必要としている。米国特許第4,537,887号に記載されているもう1つの方法は、組成物自体内に食用乾燥剤を含ませることを明記している。他の方法は、アモキシシリン/クラブラン酸塩混合物を収容する容器内に乾燥剤を含ませることを必要としている。この点は、米国特許第4,301,149号および第4,441,609号においてとりわけ明白である。
【0007】
クラブラン酸カリウムは、遊離酸よりも安定であり、製薬上許容し得る酸塩のうちで最低の湿気性であり、従って、クラブラン酸カリウムは、市販の製剤において最も頻繁に使用されている。しかしながら、クラブラン酸カリウムは、それでも極めて湿気性で加水分解に感受性であり、コアモキシシリン/クラブラン酸塩製剤は、低湿度条件においてさえも保存時に分解する傾向を有する。アモキシシリンの結晶化における水の存在は、これらの投与剤形の不安定性の原因であり、一旦何らかの劣化が始まるとクラブラン酸塩の分解を促進し得る。
【発明の概要】
【0008】
クラブラン酸塩は、その水分および熱感受特性故に、製剤化するのが特段に難しい物質である。クラブラン酸塩単独の、とりわけ、10μg〜10mg、例えば、約0.1mg〜約5mgのような低投与量の、経口的に活性であり、且つ不安神経症、うつ病、神経保護、性機能障害等において使用し得る安定な製剤を開発することが求められている。
本発明は、クラブラン酸またはその誘導体もしくは塩、例えば、クラブラン酸カリウムまたはClavitesseTMから製造し、毎日の使用に適する即時放出組成物および持続放出組成物のようなクラブラン酸塩含有の安定な経口投与量組成物である。
【0009】
本発明は、上述の欠点および不利益を、新規な経口クラブラン酸塩製薬組成物および方法を開発することによって克服し軽減する。一般的には、本発明は、本発明は、安定化固形製薬組成物、とりわけ、即時放出性または持続放出性の、クラブラン酸塩を製薬上の活性成分として含む安定化製薬組成物に関する。この新規な製薬組成物は、錠剤、カプセル剤、ピル剤、トローチ剤または粉末剤のような固形投与剤形で提供し得る。この固形製薬組成物は、クラブラン酸塩を1種以上の製薬上許容し得る賦形剤の存在下に含み得、クラブラン酸塩は、約10μg〜約10mg、例えば、約0.1mg〜約5mgの量で存在する。この組成物は、投与時に、治療上有用な量のクラブラン酸塩を提供し得る。クラブラン酸塩としては、クラブラン酸、クラブラン酸誘導体およびクラブラン酸の製薬上許容し得る塩がある。クラブラン酸塩は、上記組成物の約0.01質量%〜約10質量%の量で存在し得る。ある種の実施態様においては、上記組成物の水分含有量は、総質量の約4%未満である。上記製剤は、錠剤、カプセル、ピル、トローチまたは粉末の剤形である。本発明に従う典型的な固形製薬組成物は、25℃および60%相対湿度での保存後または65%相対湿度にて30℃での保存後3ヶ月間で10%未満の水分含有量を有し得る。
【0010】
典型的な組成物においては、上記クラブラン酸塩は、クラブラン酸カリウムである。クラブラン酸カリウムは、例えば、粉末として、または二酸化ケイ素もしくは微結晶性セルロースとの1:1混合物として調製し得る。典型的な組成物は、投与後約5〜約30分以内で80%よりも多いクラブラン酸塩を錠剤から放出する即時放出組成物である。典型的な実施態様においては、上記組成物は、クラブラン酸カリウム粉末を1種以上の製薬上許容し得る賦形剤の存在下に凍結乾燥する方法によって調製する。即時放出組成物の例においては、当該組成物は、約10質量%〜約20質量%の結合剤または希釈剤、約45質量%〜約55質量%の充填剤、約20質量%〜約40質量%の崩壊剤および約3質量%〜約6質量%の潤滑剤を含有し得る。そのような実施態様においては、典型的な結合剤または希釈剤は、Maltrin M150であり;典型的な充填剤は、Prosolve SMCC 50であり;典型的な崩壊剤は、Pharmaburstおよび/またはL HPC LH-11および/またはAcdisolであり;典型的な潤滑剤は、ステアリン酸である。
【0011】
他の典型的な実施態様においては、上記組成物は、二酸化ケイ素または微結晶性セルロースとの1:1混合物中のクラブラン酸カリウムを1種以上の製薬上許容し得る賦形剤の存在下に凍結乾燥する方法によって調製する。即時放出組成物のもう1つの例においては、当該組成物は、約50〜60%の充填剤、約20〜30%の崩壊剤、約0.5〜5%の流動増強剤(flow enhancer)/湿気防止剤および/または約3〜6%の潤滑剤を含有し得る。そのような実施態様においては、典型的な充填剤は、Prosolve SMCC 50であり;典型的な崩壊剤は、Pharmaburstおよび/またはAcdisolであり;典型的な流動増強剤/湿気防止剤は、Carbosilであり;典型的な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0012】
もう1つの実施態様においては、上記製薬組成物は、クラブラン酸カリウムを少なくとも約4時間に亘って放出する持続放出組成物である。持続放出組成物は、クラブラン酸カリウム粉末または微結晶性セルロースとの1:1混合物中のクラブラン酸カリウムを1種以上の製薬上許容し得る賦形剤の存在下に凍結乾燥させて調製する。典型的な賦形剤としては、1種以上のマトリックス、充填剤、流動促進剤および潤滑剤があり得る。持続放出組成物の例においては、当該組成物は、約20質量%〜約40質量%のマトリックス、約50質量%〜約75質量%の充填剤、約0.1質量%〜約1質量%の流動促進剤および約1質量%〜約2質量%の潤滑剤を含有し得る。そのような実施態様においては、典型的なマトリックスは、Klucel LFおよび/またはMethocel K100LV Prem-M CR、Eudragit RS PO粉末またはこれらの混合物であり;典型的な充填剤は、無水ラクトース、Avicel PH-112、Avicel PH-113、Isomalt、またはこれらの混合物であり;典型的な流動促進剤は、Carbosilであり;典型的な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクの少なくとも1種である。
【0013】
他の実施態様においては、固形製薬投与剤形は、クラブラン酸、クラブラン酸誘導体またはクラブラン酸の製薬上許容し得る塩のようなクラブラン酸塩を用意し;上記クラブラン酸塩を少なくとも1種の賦形剤と混合し;クラブラン酸塩と上記少なくとも1種の賦形剤との混合物を造粒し;クラブラン酸塩と上記少なくとも1種の賦形剤との造粒混合物を凍結乾燥することによって製造する。造粒工程は、例えば、湿式造粒である。典型的なクラブラン酸塩は、例えば、クラブラン酸カリウム粉末の形のクラブラン酸カリウム、または二酸化ケイ素または微結晶性セルロースとの1:1混合物としてのクラブラン酸カリウムである。典型的な方法においては、上記賦形剤は、少なくとも1種の結合剤、希釈剤、充填剤、崩壊剤、マトリックス、充填剤、流動促進剤、流動増強剤、湿気防止剤、および潤滑剤である。上記方法は、上記投与剤形を錠剤またはビーズ剤に成形し、必要に応じて、上記錠剤またはビーズ剤を遅延放出性ポリマーでコーティーングする工程を含み得る。
【0014】
本発明は、本発明に従う固形製薬組成物を投与して、性機能障害および神経障害のような障害の治療において有効な量のクラブラン酸塩を与えるような治療法を含む。ある実施態様においては、持続放出組成物を使用し、障害は不安神経症および抑うつ障害である。他の実施態様においては、即時放出組成物を使用し、障害は性機能障害である。
本発明のさらなる他の実施態様は、経口投与に適するクラブラン酸塩の即時および持続放出製剤に関する。
本発明のさらなる他の実施態様は、上記医薬品製剤を製造するための凍結乾燥方法にも関し、該凍結乾燥法は、水和製薬組成物を脱水するための乾燥工程を含む。
本発明の他の実施態様は、クラブラン酸塩を含有する製薬組成物の製造方法およびこれら組成物の医薬品としての使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】クラブラン酸塩即時放出製剤のサンプルB(●)およびC(○)の生体外溶解プロフィールを示す。
【図2】クラブラン酸塩持続放出製剤サンプルFの生体外溶解プロフィールを示す。
【図3】クラブラン酸塩持続放出製剤サンプルIの生体外溶解プロフィールを示す。
【図4】サンプルD (5mg/クラブラン酸カリウムと微結晶性セルロースの1:1混合物錠剤)の25℃/60%湿度(●)および30℃/65%湿度(▲)での安定性を示す。
【図5】サンプルE (5mg/クラブラン酸カリウムと二酸化ケイ素の1:1混合物錠剤)の25℃/60%湿度(●)および30℃/65%湿度(▲)での安定性を示す。
【図6】サンプルF (5mg/クラブラン酸カリウムと微結晶性セルロースの1:1混合物錠剤)の2〜8℃(○)、25℃/60%湿度(●)および30℃/65%湿度(▲)での安定性を示す。
【図7】サンプルG (5mg/錠剤)の2〜8℃(○)、25℃/60%湿度(●)および30℃/65%湿度(▲)での安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において使用するとき、クラブラン酸塩なる用語は、下記のクラブラン酸(I)、製薬上許容し得るクラブラン酸塩、塩組成物およびエステルのような誘導体を包含する。製薬上許容し得るクラブラン酸塩の例は、クラブラン酸カリウムである。クラブラン酸カリウムは、純粋化合物として或いはClavitesseTM、即ち、クラブラン酸カリウムと微結晶性セルロースとの1:1混合物またはクラブラン酸カリウムと二酸化ケイ素との1:1混合物(オランダのDSM Anti-Infectives B.V.社から入手し得る)として供給し得る。
【化1】

【0017】
本明細書において使用するときの用語“経口投与”は、治療薬またはその組成物を、飲み込むまたは飲み込まないにかかわらず、対象者の口内に入れるような治療薬またはその組成物の対象者へのあらゆる伝達方式を包含する。従って、“経口投与”としては、口腔および舌下投与並びに食道内投与がある。薬剤の吸収は、口、食道、胃、十二指腸、回腸および結腸のような胃腸管の任意の1以上の部分内で生じ得る。
本明細書において使用するとき、治療薬またはその組成物を投与することのできる“対象者”は、どちらかの性または任意の年齢のヒト対象者であり得、さらにまた、任意の非ヒト動物、とりわけ、家畜またはコンパニオンアニマル、具体的には、ネコ、イヌまたはウマも含む。
【0018】
用語“神経症(neurological)”とは、神経系に関連する症状、障害および/または疾患を称する。従って、神経系(中枢または末梢のいずれか)のいずれかの部分または状況に影響を与える何らかの症状、障害および/または疾患を、神経症状、障害および/または疾患と称する。本明細書において使用するとき、用語“神経症”は、用語“神経精神病(neuropsychiatricまたはneuropsychiatry)”および“神経心理症(neuropsychologicalまたはneuropsychology)”も包含する。従って、神経疾患、症状または障害としては、限定するものではないが、認知障害、情動障害(例えば、抑うつおよび/または不安神経障害)、運動障害、精神障害、疼痛性障害、睡眠障害等がある。
【0019】
本明細書において使用するときの用語“賦形剤”とは、治療薬の対象者への伝達のための担体またはビヒクルとして使用する或いは製薬組成物に添加してその加工、取扱い、保存、崩壊、分散、溶解、放出または感覚刺激の諸特性を改善するかまたは上記組成物の投与量単位の経口投与に適するカプセルまたは錠剤のような個々の物品への製剤化を可能にまたは容易にする、それ自体は治療薬でない任意の物質を意味する。賦形剤としては、例示であり限定するものではないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー類、潤滑剤、流動促進剤、不愉快な味覚または臭いを隠蔽または中和するために添加する物質、香味料、染料、芳香剤、および組成物の外観を改善するために添加する物質があり得る。
【0020】
従って、本発明は、経口投与に適するクラブラン酸カリウムまたはClavitesseTMの即時または持続放出製剤に関する。本発明の製剤は、クラブラン酸塩の一定量の迅速放出調製物またはクラブラン酸塩の一定量の遅延放出(または持続放出)調製物を含む。本発明の即時放出製剤はそのクラブラン酸塩の迅速放出に特徴を有し、この迅速放出は、投与後約5〜約30分以内でクラブラン酸塩の最大放出が得られることを特徴とする。持続放出製剤は、例えば、少なくとも約4時間に亘ってのクラブラン酸塩のより遅い放出に特徴を有する。他の典型的な実施態様においては、持続放出製剤は、クラブラン酸塩を少なくとも約6時間または少なくとも約8時間に亘って放出し得る。これらのまたは他の実施態様は、クラブラン酸塩を、最初の投与後、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間または少なくとも約8時間放出し続ける。典型的な実施態様においては、本発明は、製剤の総質量よりはむしろ製剤中の薬物の総量に基づき、約10μg〜10mgのまたは活性化合物の総質量の約0.01%〜10%の量の活性化合物を含む即時または持続放出製剤を含む錠剤またはカプセル剤である。
【0021】
錠剤またはカプセル剤のような薬剤の経口投与は、静脈内(i.v.)または筋肉内(i.m.)のような非経口投与を上回るある種の利点を有する。痛みを伴う注射用製剤による治療を必要とする疾患は、経口投与剤形で治療し得る症状よりも重篤であると考えられる。しかしながら、経口製剤による大きな利点は、自己投与に対するその適性を保っており、一方、非経口製剤は、殆どの場合、医師または医療補助員によって投与しなければならない。
【0022】
種々の薬物物質の性質、例えば、粒度分布、嵩密度、流動性、湿潤挙動、表面積および粘着傾向は、大きく変動し、錠剤のような固形投与剤形の加工性に影響し得る。クラブラン酸塩は、高吸湿性であり、水と接触すると結晶質状態から非晶質状態に変化し、劣った安定性を示す。これらのハードルは、組み合さって、標準の錠剤製造方法を極めて難しいものにし、クラブラン酸塩の製剤の保存を問題あるものとし、クラブラン酸塩を含有する製剤の保存および調製において特別な条件をもたらしている。
クラブラン酸カリウムは、最も一般的で容易に取扱われる形態ではあるものの、極めて吸湿性で水分感受性である製剤化するのに比類のない難しい物質のままである。分解は、水および水性媒質の存在下に容易に生じる。
【0023】
従って、クラブラン酸塩の諸特性を考慮しての上記問題を克服する適切で堅調なクラブラン酸塩製剤を開発することが求められている。クラブラン酸塩製剤において直面する上記問題は、低度合の分解でさえも対象者が利用し得るクラブラン酸塩量に劇的な変化をもたらし得る10μg〜10mgのような低投与量の製剤の場合にとりわけ挑戦的である。
本発明は、クラブラン酸塩の安定な固形経口投与剤形の製造およびそれら剤形の性機能障害、抑うつ症もしくは不安神経症、または神経障害の治療における使用に関する。本発明に従う固形経口投与剤形は、該固形経口投与剤形の製造において一般的に適する添加剤または賦形剤を含み得る。
【0024】
錠剤製剤化において一般的に使用する錠剤化助剤を使用することができ、当該題材についての広範な文献を参照されたい;とりわけ、Fiedlerの"Lexicon der Hilfstoffe", 4th Edition, ECV Aulendorf 1996を参照されたい、該文献は、参考として本明細書に合体させる。これらの助剤としては、限定するものではないが、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、安定剤、充填剤または希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、軟化剤、顔料等がある。
充填剤としては、澱粉類、例えば、ポテトスターチ、小麦スターチ、コーンスターチ;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);および、微結晶性セルロース、例えば、登録商標AVICEL、FILTRAK、HEWETEN、Prosolve SMCC50またはPHARMACELとして入手し得る製品類がある。充填剤の他の例としては、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトールおよび炭酸カルシウムがある。
【0025】
結合剤としては、澱粉類、糖類、セルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのような変性セルロース、ラクトース、またはキシリトール、ソルビトールもしくはマルチトールのような糖アルコール類がある。典型的な結合剤は、マルトデキストリン(Maltrin M150)である。
崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC‐Ca)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC‐Na)、架橋PVP (例えば、CROSPOVIDONE、POLYPLASDONEまたはKOLLIDON XL)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびグアーガムを挙げることができる。架橋PVP (CROSPOVIDONE)、架橋CMC (Ac-Di-Sol)、カルボキシメチルスターチ‐Na (PIRIMOJELおよびEXPLOTAB)、Pharmaburstおよびヒドロキシプロピルセルロース(L HPC LH-11)は、典型的な崩壊剤である。
マトリックスとしては、例えば、Methocel K100 Prem-MまたはEudragit RS PO粉末があり得る。
【0026】
流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素のようなコロイド状シリカ、例えば、ヒュームドシリカ(Cabosil、Aerosil);三ケイ酸マグネシウム(Mg);粉末セルロース;澱粉;タルクおよび第三リン酸カルシウム;または、これらと充填剤もしくは結合剤、例えば、ケイ化微結晶性セルロース(PROSOLV)との混合物がある。また、Cabosilは、流動増強剤または湿気防止剤としても機能し得る。
さらに、充填剤または希釈剤としては、粉砂糖、圧縮糖、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース(例えば、AVICELのような約0.45g/cm3の密度を有する微結晶性セルロース)、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクがあり得る。
潤滑剤としては、ステアリン酸およびその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸カルシウム)、PEG4000〜PEG8000、タルク、水素化ヒマシ油、グリセリンエステル、Na‐ステアリルフマレート、水素化綿実油等がある。一般的な潤滑剤は、ステアリン酸およびステアリン酸Mgである。
【0027】
さらに、錠剤およびカプセル剤は、腸溶性コーティーング並びに光保護および呑込み性を目的とする他の放出制御コーティーングでもって製造し得る。腸溶性コーティーングの例としては、例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸セルロース(およびセルロースのスクシネートおよびフタレート形)、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸/アクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシエチルエチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートテトラヒドロフタレート、アクリル樹脂、トリメリテートおよびセラックから調製した化合物があり得る。腸溶性コーティーング用の典型的なポリマーとしては、Eudragitのようなメタクリルコポリマーがある。腸溶性コーティーング用の他の適切なポリマーは、当該技術において既知である。コーティーングは、製薬上許容される染料でもって着色し得る。コーティーング液中の染料および他の賦形剤の量は、変動し得、即時または持続放出錠剤の性能に影響を与えない量である。コーティーング液は、一般に、ヒドロキシ‐プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステルまたはエーテル、アクリルポリマーまたはポリマー混合物のようなフィルム形成性ポリマーを含む。コーティーング溶液は、一般に、プロピレングリコール、ソルビタンモノ‐オレート、ソルビン酸、二酸化チタンのような充填剤、製薬上許容し得る染料をさらに含む水溶液である。
【0028】
本発明に従う固形経口投与剤形は、活性成分としての治療上有効な量のクラブラン酸塩および添加剤としての充填剤を含む。さらなる添加剤としては、限定するものではないが、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、安定剤、希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、顔料、軟化剤および粘着防止剤等があり得る。
クラブラン酸カリウムは、吸湿性でもあり水によって容易に加水分解も受けるので、クラブラン酸カリウムの取扱いおよび長期保存においては、周辺環境を極度に乾燥させておくことが一般に必要である。このことは、従来、組成物に食用二酸化ケイ素を添加するかまたは組成物を密閉容器内で乾燥剤の存在下に保存することによって達成されていた。
クラブラン酸カリウムは、表7に示しているように、約35%の相対湿度に96時間暴露したときは比較的低い水分含有量(乾燥質量基準で<1%)を有する。しかしながら、潮解が、約40%相対湿度よりも高い湿度においては、いずれの場合も最終的に生じているようである。50%相対湿度に暴露した乾燥クラブラン酸カリウムによる吸湿は、ほぼ1.44%/時の速度で生じる。
【0029】
本発明者等は、クラブラン酸を含有する製薬組成物の製造における凍結乾燥((lyophilizationまたはfreeze drying)の使用がクラブラン酸塩錠剤の安定性を約97%まで向上させることを見出した(表8参照)。
本発明によれば、医薬活性成分(API)としてのクラブラン酸塩を約10μg〜10mg、例えば、約0.1mg〜約5mgの範囲の投与量で含む安定な製薬組成物を製造することができる。典型的な実施態様においては、クラブラン酸塩は、クラブラン酸塩、例えば、クラブラン酸カリウムである。クラブラン酸は、CNS活性および挙動を10ng〜10μg/kgの範囲の投与量において変化させ得ることが報告されている(米国特許第6,489,319号参照)。また、性機能障害の治療方法も、10ng〜10μg/kgの範囲の投与量でのクラブラン酸の投与を含む(米国特許第7,166,626号参照)。
【0030】
本発明によれば、約10μg〜10mgのクラブラン酸塩、例えば、約0.1mg〜約5mgのクラブラン酸塩を含有する即時放出および持続放出投与剤形のような、クラブラン酸塩の種々の投与剤形を製造することができる。そのような投与剤形は、性機能障害、不安神経障害およびそれらの症候群の治療において使用し得る。とりわけ、本発明における即時放出剤形は、性機能障害およびその症候群の治療において使用し得る。本発明の持続放出製剤は、不安神経症、抑うつ症およびそれらの症候群において使用し得る。
【0031】
即時放出剤形は、望ましくは、本明細書において開示している標準のアッセイ法によって測定したとき、約30分未満以内で少なくとも約80%(質量/容量)のクラブラン酸塩溶解をもたらす。本発明の幾つかの実施態様に従う即時放出製薬組成物は、固形投与剤形に対処することのできない患者に好都合な投与のための適切な水溶液(例えば、水、塩水、ジュース)またはコロイド状懸濁液(例えば、乳幼児調合物またはミルク)中に迅速に溶解させ得る。そのような患者の例は、乳児、小児および呑込み困難性を示し得る成人である。従って、また、1つの実施態様においては、本発明は、クラブラン酸塩のようなクラブラン酸塩を含む即時放出製薬組成物を特徴とする。典型的な実施態様においては、少なくとも約80%のクラブラン酸塩が、上記組成物を水溶液に入れた時点からおよそ15分で水溶液中に溶解する。他の実施態様においては、少なくとも約90%のクラブラン酸塩を、上記組成物を水溶液に暴露させた後に、約30分または約15分で上記水溶液に放出させる。図1に示すように、本発明に従う典型的な即時放出組成物は、水溶液への暴露後、90%のクラブラン酸塩を15分以内で放出している。
【0032】
持続放出組成物は、活性成分、即ち、クラブラン酸塩を、長時間に亘って、例えば、約8時間に亘ってまたは約10時間に亘って放出し得る。持続放出製剤は、製剤が胃腸管に達すると直ぐに活性成分の放出を開始し、ゆっくり溶解を続け、活性成分をほぼ一定の方式で放出し得る。このプロフィールは、投与後、血流中により安定したレベルの活性成分をもたらすので望ましい。図2に示すように、本発明に従う典型的な持続放出組成物は、水溶液への暴露後約8〜10時間までに実質的レベルのクラブラン酸塩放出をもたらし得る。
【0033】
本発明の幾つかの実施態様に従う製薬組成物は、重要な使用と利点を提供する。本発明の1つの利点は、組成物中での活性成分の安定性である。水分含有量の調整は、クラブラン酸塩含有組成物の製剤化および保存において、クラブラン酸塩が吸湿性で且つ水中で不安定または加水分解性であることから、大きな問題である。本発明によれば、安定化即時放出または持続放出組成物を製造するための凍結乾燥の使用は、予期に反して、とりわけクラブラン酸塩を凍結乾燥前に賦形剤と組合せときに、増強された安定性をもたらしている。
本発明の幾つかの実施態様によれば、(1) クラブラン酸塩組成物を、クラブラン酸塩を少なくとも1種の賦形剤と混合することによって調製し;(2) 一定量のクラブラン酸塩組成物、例えば、クラブラン酸塩を、0℃以下で、凍結固形物に転換するまで凍結し:(3) 上記クラブラン酸塩組成物を気密容器内で脱水させることを含む凍結乾燥クラブラン酸組成物を使用することができる。上記薬物を含み粉末形の脱水(凍結乾燥)組成物は、錠剤として圧縮する或いは標準サイズのビーズとして製造する前に、他の賦形剤と混合し得る。
【0034】
最終乾燥製剤中の水分含有量は低い。本明細書において示す種々の実施態様は、約10%(質量)を越えない、約5%を越えない、約4%を越えない、またはそれよりも低い最終水分含有量を有する。本発明のそのような実施態様に従う乾燥製剤は、例えば、25℃および60%相対湿度または30℃および65%相対湿度のような条件において約30日間、約60日間または約90日間安定であるように、延長された時間において高度に貯蔵安定性である。適切な液体による希釈時に、上記製剤は、実質的にその規定の初期投与量でもって十分に強力である。
【0035】
本発明のある種の実施態様においては、上記製剤は、ポリマー、例えば、Eudragit (メタクリル酸とエチルアクリレートとのアニオン性コポリマー)のようなマトリックス;Maltrin M50のような結合剤/希釈剤および/またはPharmaburstのような崩壊剤;充填剤;クラブラン酸塩および他の賦形剤(実施例参照)を乾式混合し、その後、混合物を、水を使用して、適切な造粒物が得られるまで造粒することによって製造する。造粒は、当該技術において既知の方法によって実施する。湿潤粒子を凍結乾燥機内で凍結乾燥し、篩分けし、適切な粒度に粉砕する。潤滑剤を乾燥造粒物と混合して最終製剤を得ることができる。クラブラン酸塩は吸湿性で且つ水中で不安定であるので、混合物が湿ったままである時間を最低限にする必要があり、例えば、秤量および造粒から凍結乾燥までの加工時間は、約1時間であり得る。
本発明の組成物は、錠剤またはカプセル剤の形で経口投与し得る。錠剤は、当該技術において既知の方法によって製造し得、治療上有用な量のクラブラン酸塩およびそのような方法によって錠剤を製造するのに必要な賦形剤を含有する。また、プラシーボ粒子も、クラブラン酸塩を含まないが同じ組成でもって製造する。
【0036】
薬物動態試験
本発明の製剤についての生体利用性試験を、錠剤の形の即時または持続性製剤を健常対象者に投与し、血漿中のクラブラン酸塩レベルを24時間に亘って種々の時間間隔で測定することによって実施した。血漿サンプルを、BAS Analytics (West Lafayette、インディアナ州)により、文献に記載されている手順と同様な検証済み高性能液体クロマトグラフィー手順を使用して、クラブラン酸塩についてアッセイした。例えば、Chu S-Y, et al., "Simultaneous determination of clarithromycin and 14(R)-hydroxyclarithromycin in plasma and urine using high performance liquid chromatography with electrochemical detection", J. Chromatography, 571, pp 199-208 (1991)を参照されたい。
【0037】
実施例
以下の実施例は、例示のみを目的とし、特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0038】
クラブラン酸塩錠剤の製造
実施例1A:クラブラン酸カリウム粉末を使用しての即時放出クラブラン酸塩錠剤の製造
錠剤製造方法の典型的な説明:水を造粒工程において含ませ、その後、乾燥させて低水分含有量(<3%)の粒子を得る湿式造粒錠剤配合方法を見出している。乾燥配合物は、従来技術の配合物と比較して非吸湿性であるが、従来技術の配合物から製造した錠剤の等価の物理的特性(例えば、溶解性、崩壊性、生体利用性および他の物理的性質)を保持している。錠剤製造は、クラブラン酸塩を水と一緒に結合剤/希釈剤の存在下に造粒することによって実施した。
【0039】
サンプルCの製造に当っては、Maltrin M150 (130g)を精製水中に溶解し、クラブラン酸カリウム(API;59.5g)を添加した。Prosolve SMCC-50 (490.5g)、Pharmaburst (130.0g)、L HPC LH-11 (120.0g)、Acdisol (20.0g)およびステアリン酸(50g)を秤量し、バッグ内で、バッグを振盪させ回転させることによって混合した。混合物をHobartミキサーのボウルに移し、上記API/Maltrin M150溶液を、混合物に、10分間撹拌することによって添加した。湿式集塊化を終えた後、Hobartミキサーのボウル内容物を押出機に移し、押出加工した。押出物をスフェロナイザー(spheronizer)に入れ、球形化した材料をバッグ内に集め、ゴルテックス・リオガード(gortex-lyoguard)トレー内で凍結乾燥した。乾燥材料を篩分けし、圧縮して錠剤とするかまたは標準サイズのビーズに製造した。サンプルAおよびBをサンプルCと同じ方法で製造した。
【0040】
実施例1B:ClavitesseTMを使用しての即時放出クラブラン酸塩錠剤の製造
サンプルDの製造に当っては、ClavitesseTM (API;50.6g)、Prosolve SMCC 50 (213.4g)、Pharmaburst (100.0g)、Acdisol (8.0g)、Cabosil (8.0g)およびステアリン酸マグネシウム(20.0g)を秤量し、2〜8℃のゴルテックス・リオガードトレー内で1夜凍結乾燥した。次の日、上記API、Prosolve SMCC 50、PharmaburstおよびAcdisolをバッグ内で混合し、#40メッシュにより篩分けし、Vブレンダー中に取出し、7分間混合した。混合物を再度篩分けし、Vブレンダー内で4分間混合した。上記Cabosilおよびステアリン酸マグネシウムを篩分けし、APIを含有する混合物とVブレンダー内で4分間混合した。ブレンドをゴルテックス・リオガードトレー内で1夜凍結乾燥した。該材料を圧縮して錠剤とし、錠剤をゴルテックス・リオガードトレー内で凍結乾燥し、包装した。サンプルEをサンプルDと同じ方法で製造した。
【0041】
実施例1C:ClavitesseTMを使用しての持続放出クラブラン酸塩錠剤の製造
サンプルFの製造に当っては、適切な量のClavitesse (API;41.07g)、Methocell K100LV Prem CR (90.0g)、Isomalt (83.55g)、Avicel PH-112 (80.04g)、Cabosil (1.5g)、タルク(2.4g)およびステアリン酸マグネシウム(1.5g)を秤量し、凍結乾燥機にて、2〜8℃のゴルテックス・リオガードトレー内で1夜乾燥した。各成分を篩分けし、別々のバッグに集めた。APIとMethocel K100LV Prem CRをVブレンダー内に入れ、混合し、適切な篩によって篩分けし、混合を続行した。Avicel PH-112とIsomaltを混合物に添加し、混合した。得られた混合物を再度篩分けし混合した。Cabosilとタルクを混合し、混合物に添加し、混合した。ステアリン酸マグネシウムを、Vブレンダー内で、混合物と混合した。最終ブレンドをゴルテックス・リオガードトレー内で1夜凍結乾燥し、圧縮して錠剤とするかまたは標準サイズのビーズに製造した。錠剤を、持続放出コーティーングのために、より高めの硬度で圧縮した。錠剤またはビーズを、遅延放出ポリマーのEudragitでコーティーングした。
【0042】
実施例1D:クラブラン酸カリウム粉末を使用しての持続放出クラブラン酸塩錠剤の製造
クラブラン酸カリウムを使用しての持続放出錠剤、即ち、サンプルGの製造に当っては、クラブラン酸カリウム(API;20.69g)を#60メッシュにより篩分けし、他の賦形剤であるMethocel K100LV Prem CR (90.02g)、Isomalt (83.56g)、Avicel PH-112 (100.41g)、Cabosil (1.52g)、タルク(2.4g)およびステアリン酸マグネシウム(1.5g)を#40メッシュで篩分けした。各成分を別々のバッグに集めた。APIとMethocel K100LV Prem CRをVブレンダー内に入れ、5分間混合した。混合物を篩分けし、さらに5分間混合した。Avicel PH-112とIsomaltを混合物に添加し、Vブレンダー内で、5分間混合した。得られた混合物を篩分けし、さらに5分間混合した。Cabosilとタルクを混合し、混合物に入れ、その後、得られた混合物を2分間混合した。最後に、ステアリン酸マグネシウムを、Vブレンダー内で、混合物と3分間混合し、最終ブレンドを、ゴルテックス・リオガードトレー内で1夜凍結乾燥し、その後、圧縮して錠剤とするかまたは標準サイズのビーズに製造した。錠剤を、持続放出コーティーングのために、より高めの硬度で圧縮した。錠剤またはビーズを、遅延放出ポリマーのEudragitでコーティーングした。サンプルHおよびIをサンプルGと同じ方法で製造した。
【実施例2】
【0043】
クラブラン酸塩のアッセイ
製造した製薬組成物のクラブラン酸塩含有量を、Waters HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)システム(カラム:μBondapack-NH2 (10μm) 300mm×3.9mm、移動相:CH3CN:pH 5.2 KH2PO4 = 65:35、流量:1.0ml/分)により、以下の手順を使用して測定した:およそ10個の錠剤を正確に秤量して粉砕し、100mlの水を加え、混合物を20分間超音波処理した。水で希釈した後、溶液の1部を濾過し、HPLCに注入した。主要ピークを、標準調製物のHPLCによるクロマトグラムに相応するサンプルの滞留時間によって同定した。%クラブラン酸塩を、参照標準の応答係数と比較した分析物応答係数に基づいて算出した。
【0044】
クラブラン酸塩標準曲線の直線性を、0.01mg/mlの公称濃度の参照標準の25、50、75、100、125、150%で検証した。R2は、0.9998であった。クラブラン酸塩の0.01mg/mlの公称濃度において、精度(precision)を、RSD 1.4のパーセントでもって、6サンプルを使用して検証した。正確度(accuracy)を、0.01mg/mlの50%、100%および150%のスパイク処理プラシーボブレンドを三複製で調製し、分析することによって判定した。
【実施例3】
【0045】
典型的な配合および特性
以下の試験は、種々の投与量を有する即時放出(IR)錠剤および持続放出(ER)錠剤として設計した錠剤配合を説明する。また、以下の表は、本配合による錠剤の物理的性質も示している。
実施例3A:クラブラン酸カリウムを使用しての即時放出組成物
即時放出組成物を、下記の表1に示すようなクラブラン酸カリウム粉末および賦形剤から、上述の方法を使用して製造した。
【表1】

API*:活性医薬成分
【0046】
下記の表2は、クラブラン酸カリウム粉末を使用している即時放出錠剤の特性を要約している。サンプルC錠剤は、優れた安定性を示し、2〜8℃で1週間後に94.4%のクラブラン酸カリウムを含有していた。
【表2】

【0047】
実施例3B:ClavitesseTMを使用しての即時放出組成物
5mgのクラブラン酸塩を含む即時放出組成物を、下記の表3に示すように、ClavitesseTMを使用して製造した。
【表3】

API*:活性医薬成分
【0048】
下記の表4は、ClavitesseTMを使用する即時放出錠剤の特性を要約している。
【表4】

【0049】
実施例3C:ClavitesseTMおよびクラブラン酸カリウム粉末を使用しての持続放出組成物
持続放出組成物を、下記の表5に示すように、ClavitesseTMまたはクラブラン酸カリウム粉末を使用して製造した。
【表5】

API*:活性医薬成分
【0050】
下記の表6は、ClavitesseTMおよびクラブラン酸カリウム粉末を使用する持続放出錠剤の特性を要約している。
【表6】

【実施例4】
【0051】
生体外溶解試験
錠剤を500mlの溶媒中に入れた(即時放出錠剤に対しては脱イオン水;持続放出錠剤に対しては最初の2時間においはpH 1.2溶液、その後、次の8時間においてはpH 7.0のクエン酸緩衝液)。混合物を100rpmおよび37℃で旋回させ、サンプルを定期的に収集し、溶解したクラブラン酸塩の量についてHPLCによって試験した。
結果は、図1〜3に示している。図1は、サンプルBおよびサンプルCのクラブラン酸塩即時放出製剤の生体外溶解プロフィールを示すグラフである。図1に示しているように、即時放出錠剤中の90%以上のクラブラン酸塩が、上記水溶液への暴露後15分以内で溶解していた。図2は、サンプルFのクラブラン酸塩持続放出製剤の生体外溶解プロフィールを示すグラフである。図3は、サンプルIのクラブラン酸塩持続放出製剤の生体外溶解プロフィールを示すグラフである。図2および3に示しているように、上記持続放出錠剤中のクラブラン酸塩の総投与量は、侵食および溶解メカニズムによって、少なくとも約8〜10時間に亘ってゆっくり放出されていた。持続放出剤形中のクラブラン酸塩の放出は、pH 1.2溶液中では検出されなかった。
【実施例5】
【0052】
安定性試験
固形剤形中のクラブラン酸カリウムは、吸湿性でもあり水蒸気の存在下では不安定でもある。クラブラン酸塩の安定性試験を、クロマトグラフィー法によりモニターすることによって実施した。静的または均衡論的アプローチを、サンプルを異なる相対湿度のチャンバー内で収着等温線を発生させる目論見で保存することによって試みた。収着等温線は、大気中の平衡水分含有量と相対湿度(RH)間の定量的相関関係を示す。下記の表7は、種々の湿度条件へ暴露させた後のクラブラン酸カリウム粉末中の水分含有量の変化を示している。
【表7】

【0053】
表7に示すように、クラブラン酸カリウムは、約35%以下の相対湿度に96時間暴露させたとき、比較的低い水分含有(乾燥質量基準で<1%)を有する。しかしながら、潮解が約40%相対湿度よりも高い湿度においてはいずれも最終的には生じているようである。約50%相対湿度に暴露した乾燥クラブラン酸カリウムによる水分吸収は、ほぼ1.44%/時の速度で生じている。
【0054】
クラブラン酸カリウムは、製剤化するのに比類のない難しい物質であり、極度に水分および熱感受性である。分解は、水および水性媒質の存在下に容易に起る。幾つかの方法を試験して、活性成分クラブラン酸塩を無欠に保つ湿式造粒後の適切な水分除去条件を見出した。サンプルCの材料を、湿式造粒によって製造し、球形化した。水分含有球形化製剤をトレーに移し、水分除去のための種々の保存条件に供した。
【0055】
下記の表8に要約しているように、30℃で69時間の保存(保存1)または45℃で75時間の保存(保存2)は、それぞれ、45%および60%までのクラブラン酸カリウムの分解をもたらしていた。流動床システムでの乾燥は、僅かに1.5時間で13%のクラブラン酸塩の分解をもたらしていた。これらのデータは、クラブラン酸カリウムが温度感受性でもあることを示唆している。凍結乾燥は、21時間の凍結乾燥工程後に、97%の活性成分を保持していた。表8の結果は、クラブラン酸塩の凍結乾燥を使用してクラブラン酸塩製剤中の水分含有量を減じ且つ製剤の安定性を増大させ得ることを示している。
【表8】

【0056】
ClavitesseTMから製造した即時放出錠剤、サンプルDおよびサンプルEの安定性を3ヶ月までの間評価した。図4は、25℃/60%湿度および30℃/65%湿度でのサンプルD (クラブラン酸カリウムと微結晶性セルロースとの1:1混合物の5mg/錠剤)の安定性を示すグラフである。図5は、25℃/60%湿度および30℃/65%湿度でのサンプルE (クラブラン酸カリウムと二酸化ケイ素との1:1混合物の5mg/錠剤)の安定性を示すグラフである。表4並びに図4および5に示すように、サンプルDおよびサンプルEに従って製造した両錠剤は、初期に4%未満の水分を含有しており、25℃/60%湿度、即ち、クラブラン酸塩にとっては比較的高湿度条件において7%未満分解していた。ClavitesseTMから製造した持続放出錠剤、サンプルFおよびサンプルGの安定性を2ヶ月までの間評価した。図6は、2〜8℃、25℃/60%湿度および30℃/65%湿度でのサンプルF (クラブラン酸カリウムと微結晶性セルロースとの1:1混合物の5mg/錠剤)の安定性を示すグラフである。図7は、2〜8℃、25℃/60%湿度および30℃/65%湿度でのサンプルG (5mg/錠剤)の安定性を示すグラフである。表5並びに図6および7に示すように、サンプルFおよびサンプルGに従って製造した錠剤は、初期に4%未満の水分を含有しており、30℃/65%湿度、即ち、クラブラン酸塩にとっては比較的高湿度条件において1.6%未満分解していた。従って、ClavitesseTM中の微結晶性セルロースまたは二酸化ケイ素は、錠剤中の水分を捕捉することによってクラブラン酸カリウムの安定性の増大にさらに寄与しているようである。
【実施例6】
【0057】
薬物動態試験
ビ−グル犬の血漿中のクラブラン酸塩の量を、LC/MS/MS法によって測定した。分析物のクロマトグラフィー分離を、逆相PLRP-S高分子カラムにおいて行った。クラブラン酸カリウムとタゾバクタム(参照化合物)の滞留時間は、それぞれ、8.51分および8.54分であった。全体的クロマトグラフィー操作時間は25分であった。M/S分析は、Biosystems社のAPI 2000三連四重極質量分析計において、負エレクトロスプレーイオン化モードでの多反応モニタリングによって行った。質量スペクトルデータを、Analyst 1.4.1 (Applied Biosystems社)によって分析した。薬物動態分析は、PK Solutions 2.0 (Summit Research Services社)を使用して実施した。
【0058】
実施例6A:雄ビ−グル犬における即時放出(IR)錠剤の経口投与
3匹の雄ビ−グル犬を、処置間の休薬期間を含む交叉デザインでの試験全体に亘って使用した。各イヌに、実施例3AのIR錠剤としての試験物質を経口経路で投与し、投与間の24時間よりも短い休薬期間はなかった。各動物を試験物質の投与前の1夜絶食させ、投与後4時間で給餌した。全ての処置中、血液サンプル(1.5ml)は、橈側皮静脈(cephalic vein)から、静脈穿刺により、投与後0分、5分、15分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、6時間、9時間および12時間でヘパリン化チューブ内に採血した。血漿は、3,000rpmで10分間の遠心分離によって得られ、LC-MS/MSシステムによって分析した。関連の平均薬物動態パラメーターは、下記の表9に示している。
【0059】
実施例6B:雄ビ−グル犬におけるクラブラン酸カリウム溶液のIV投与
3匹の雄ビ−グル犬を、処置間の休薬期間を含む交叉デザインでの試験全体に亘って使用した。各イヌに、水溶液としての試験物質を静脈内経路で投与し、投与間の24時間よりも短い休薬期間はなかった。各動物を試験物質の投与前の1夜絶食させ、投与後4時間で給餌した。全ての処置中、血液サンプル(1.5ml)は、橈側皮静脈から、静脈穿刺により、投与後0分、5分、15分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、6時間、9時間および12時間でヘパリン化チューブ内に採血した。血漿は、3,000rpmで10分間の遠心分離によって得られ、LC-MS/MSシステムによって分析した。関連の平均薬物動態パラメーターは、下記の表9に示している。
【0060】
実施例6C:雄ビ−グル犬における持続放出(ER)錠剤の経口投与
4匹の雄ビ−グル犬を、処置間の休薬期間を含む交叉デザインでの試験全体に亘って使用した。各イヌに、実施例3CのER錠剤としての試験物質を経口経路で投与し、投与間の24時間よりも短い休薬期間はなかった。各動物を試験物質の投与前の1夜絶食させ、投与後4時間で給餌した。全ての処置中、血液サンプル(1.5ml)は、橈側皮静脈(cephalic vein)から、静脈穿刺により、投与後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間および12時間でヘパリン化チューブ内に採血した。血漿は、3,000rpmで10分間の遠心分離によって得られ、LC-MS/MSシステムによって分析した。関連の平均薬物動態パラメーターは、下記の表9に示している。
【0061】
【表9】

*PKパラメーター:Tmax:最高濃度までの時間、Cmax:最高濃度、AUC:曲線下の領域、CL:クリアランス、Vd:分布容積、Vss:定常状態での分布容積、t1/2:半減期、MRTinf:平均滞留時間、F:生体利用性。
【0062】
クラブラン酸カリウムは、経口投与したとき、30〜41%の平均生体利用率でもって、絶食動物中に良好に吸収されていることが証明された。見掛けの終末半減期は、0.5時間であった。
【0063】
本明細書において説明し論じてきた実施態様は、当業者に、本発明を実施し使用するために本発明者等が知る最良の方法を教示することのみを意図している。本明細書においては、本発明の範囲を限定するものとみなされるものは何もない。提示した実施例は、全て典型であって非限定的である。本発明の上記の実施態様は、当業者であれば上記の教示に照らして認識し得るように、本発明から逸脱することなく、修正または変更し得る。従って、特許請求の範囲およびその等価の範囲内において、本発明を、明記したのと別の形で実施し得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10μg〜約10mgのクラブラン酸塩を1種以上の製薬上許容し得る賦形剤の存在下に含み、前記クラブラン酸塩が、クラブラン酸、クラブラン酸誘導体またはクラブラン酸の製薬上許容し得る塩からなる群から選ばれることを特徴とする固形製薬組成物。
【請求項2】
約0.01質量%〜約10質量%の前記クラブラン酸塩を含む、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項3】
前記製薬組成物の総質量の約4%未満の水分含有量を有する、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項4】
前記クラブラン酸塩が、クラブラン酸カリウムである、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項5】
前記クラブラン酸カリウムが、粉末としてまたは二酸化ケイ素もしくは微結晶性セルロースとの1:1混合物として調製されている、請求項4記載の製薬組成物。
【請求項6】
前記製剤が、錠剤から投与後ほぼ30分以内で80%よりも多いクラブラン酸塩を放出する即時放出組成物である、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項7】
約10質量%〜約20質量%の結合剤または希釈剤、約45質量%〜約55質量%の充填剤、約20質量%〜約40質量%の崩壊剤および約3質量%〜約6質量%の潤滑剤をさらに含み;
前記クラブラン酸カリウムが粉末として調製されている、請求項6記載の製薬組成物。
【請求項8】
約50%〜約60%の充填剤、約20%〜約30%の崩壊剤、約0.5%〜約5%の流動増強剤/湿気防止剤および/または約3%〜約6%の潤滑剤をさらに含み;前記クラブラン酸カリウムが、二酸化ケイ素または微結晶性セルロースとの1:1混合物として調製されている、請求項6記載の製薬組成物。
【請求項9】
前記製剤が、前記クラブラン酸塩を少なくとも約4時間で放出する持続放出組成物である、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項10】
前記クラブラン酸塩が、クラブラン酸カリウム粉末としてまたは微結晶性セルロースとの1:1混合物中のクラブラン酸カリウムとして調製されている、請求項9記載の製薬組成物。
【請求項11】
約20質量%〜約40質量%のマトリックス、約50質量%〜約75質量%の充填剤、約0.1質量%〜約1質量%の流動促進剤および約1質量%〜約20質量%の潤滑剤をさらに含む、請求項10記載の製薬組成物。
【請求項12】
前記製剤が、錠剤、カプセル、ピル、トローチまたは粉末の剤形である、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項13】
下記の工程を含むことを特徴とする、固形製薬投与剤形の製造方法:
クラブラン酸、クラブラン酸誘導体またはクラブラン酸の製薬上許容し得る塩からなる群から選ばれるクラブラン酸塩を調製する工程;
前記クラブラン酸塩を少なくとも1種の賦形剤と混合する工程;
クラブラン酸塩と前記少なくとも1種の賦形剤との混合物を造粒する工程;および、
クラブラン酸塩と前記少なくとも1種の賦形剤との造粒混合物を凍結乾燥する工程。
【請求項14】
前記造粒工程が、湿式造粒を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記クラブラン酸塩が、クラブラン酸カリウムである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記クラブラン酸カリウムが、クラブラン酸カリウム粉末または二酸化ケイ素もしくは微結晶性セルロースとの1:1混合物としてのクラブラン酸カリウムである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記賦形剤を、結合剤、希釈剤、充填剤、崩壊剤、マトリックス、充填剤、流動促進剤、流動増強剤、湿気防止剤および潤滑剤からなる群から選択する、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記投与剤形を錠剤またはビーズに成形する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記錠剤またはビーズを遅延放出性ポリマーでコーティーングする工程をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
下記の工程によって製造した固形製薬組成物:
クラブラン酸、クラブラン酸誘導体またはクラブラン酸の製薬上許容し得る塩からなる群から選ばれるクラブラン酸塩を調製する工程;
前記クラブラン酸塩を少なくとも1種の賦形剤と混合する工程;
クラブラン酸塩と前記少なくとも1種の賦形剤との混合物を造粒する工程;および、
クラブラン酸塩と前記少なくとも1種の賦形剤との造粒混合物を凍結乾燥する工程。
【請求項21】
25℃および60%相対湿度でのまたは65%相対湿度にて30℃での保存後、10%未満の水分含有量を有する、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項22】
性機能障害および神経障害から選ばれる障害の治療において有効な量のクラブラン酸塩を含む請求項1記載の製薬組成物を投与することを含む治療方法。
【請求項23】
前記組成物が持続放出組成物であり、前記障害が不安神経症およびうつ病から選ばれる神経障害である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が即時放出組成物であり、前記障害が性機能障害である、請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−500811(P2011−500811A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531050(P2010−531050)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/012126
【国際公開番号】WO2009/055038
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510116716)レクサン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】