クランクシャフトの製造方法
【課題】クランクウェッブとカウンターウェイトとが溶接によって接合されるクランクシャフトにおいて、接合部が破壊された場合のバックアップ機構が得られるクランクシャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程で抵抗溶接(溶接)によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。したがって、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。
【解決手段】クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程で抵抗溶接(溶接)によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。したがって、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用クランクシャフトの製造方法において、クランクシャフト本体とカウンターウェイトとを冷間鍛造により別個に製造して、該クランクシャフト本体のクランクウェッブにカウンターウェイトを接合する手法が知られている。このクランクシャフトの製造方法は、クランクシャフトを熱間鍛造により一体成形する手法と比較して、低コスト化を図ることができる。例えば、特許文献1には、ボルトと該ボルトの両側に配設された一対の位置決めピンとを使用して、カウンターウェイトをクランクウェッブに締結(接合)させる技術が開示されている。
【0003】
ところで、エコロジーに対する社会的関心の高まりから、自動車業界においては、低燃費の車両を低価格で提供することが技術課題になっている。そこで、クランクシャフトにおいては、さらなる軽量化と低コスト化とが要求されている。一般に、クランクシャフトの軽量化には、クランクウェッブの肉厚を削減する手法(肉盗み)が有効であるが、この手法によってクランクシャフトを軽量化した場合、クランクウェッブの断面積が小さくなるため、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部の面積が小さくなり、例えば、上述した特許文献1に記載された従来技術においては、使用するボルトの呼び径を小さくする必要がある。これに伴い、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合強度が低下することから、使用するボルトの数量を増やすことで接合強度を確保する必要がある。しかしながら、使用するボルトの数量を増やすと、工数および部品点数が増大して生産性の低下および製造コストの増大を招く。
【0004】
そこで、特許文献2には、クランクウェッブとカウンターウェイトとを液相拡散接合によって接合する技術が開示されているが、液相拡散接合は、接合時に、真空あるいはアルゴンガス雰囲気の環境を作る必要があるため、設備コストならびにランニングコストが高くなる。さらに、特許文献2に記載された従来技術においては、液相拡散接合によって高い接合強度を得ることができるが、より信頼性を高めるため、接合部が破壊された場合のバックアップ機構(メカバックアップ)が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−140337号公報
【特許文献2】特開2009−085316号公報号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、クランクウェッブとカウンターウェイトとが抵抗溶接によって接合されるクランクシャフトにおいて、接合部が破壊された場合のバックアップ機構が得られるクランクシャフトの製造方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの製造方法は、クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出して端部が前記クランクウェッブの端部に抵抗溶接される突起部と、該突起部が抵抗溶接された前記クランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを抵抗溶接によって接合させる溶接工程と、前記クランクウェッブの端部先端を加圧することで、前記溶接工程で発生したジュール熱によって軟化された状態の前記クランクウェッブの端部を、前記ジャーナルの軸線方向へ曲げて前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの製造方法は、クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部を設けておいて、前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ加圧して、前記曲げ工程で前記ジャーナルの軸線方向へ曲げられた前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを抵抗溶接によって接合させながら、前記抵抗溶接で発生したジュール熱によって軟化された前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトの突起部に塑性締結させる溶接工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(13)項の各々が、特許請求の範囲に記載した請求項1〜13の各々に相当する。
【0010】
(1)クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出してクランクウェッブの端部に溶接される突起部と、該突起部が溶接されたクランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させる溶接工程と、クランクウェッブの端部先端を加圧することで、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化された状態のクランクウェッブの端部を、ジャーナルの軸線方向へ曲げてカウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブとカウンターウェイトとは、溶接工程で溶接によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、溶接による接合部が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部によってカウンターウェイトがクランクウェッブから分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部によって、溶接による接合部をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
また、曲げ工程では、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部を曲げるので、比較的小さい曲げ荷重でクランクウェッブの端部を曲げることができ、より能力が低い設備での加工が可能になる。
以下、説明の便宜上、ジャーナルの軸線方向をZ方向、対象となるクランクウェッブによって支持されるクランクピンの軸線とジャーナルの軸線との双方に直交する軸線の方向をX方向と規定する(Y方向は、Z方向とX方向との双方に対して垂直な方向)。
本項の態様において、例えば、カウンターウェイトの端部には、Y方向へ延びて断面が略コ字形の凹部が形成される。また、カウンターウェイトの突起部は、凹部の一対の対向する壁面のうちの1つの壁面を共有するようにして凹部の底面の位置からZ方向へ延びるようにしてカウンターウェイトの端部先端に形成される。これにより、カウンターウェイトの端部は、Y方向の視線で、略L字形のフック形状に形成される。なお、カウンターウェイトの端部のZ方向寸法は、カウンターウェイトの本体部分(接続体)のZ方向寸法よりも小さく設定されている(例えば、略1/2)。
【0011】
(2)クランクウェッブの端部の、カウンターウェイトの突起部が接合される側とは反対側の稜に、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた受圧面を設けておいて、曲げ工程では、クランクウェッブの受圧面を、工具の加圧面で加圧することにより、クランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする(1)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの受圧面を工具の加圧面で加圧することで、クランクウェッブの受圧面には、該受圧面に対して垂直な方向の加圧力の分力が作用し、これにより、溶接による溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部は、カウンターウェイトの凹部へ向けてジャーナルの軸線方向(Z方向)へ塑性流動されてカウンターウェイトの凹部に塑性締結される。
本項の態様において、工具の加圧力の方向は、Z方向あるいはX方向のどちらでもよいが、スペースの制約からZ方向への加圧は困難であることから、X方向に設定することが望ましい。この場合、工具を、例えば、カウンターウェイトとの干渉を避けるような断面略L字形に形成し、その一端に加圧面を形成する。
クランクウェッブの受圧面は、クランクウェッブ単体の成形時に面取り面として形成することができ、特に、成形後に加工して形成する必要はない。また、Y方向の視線におけるジャーナルの軸直角平面(XY平面)に対する受圧面の傾斜角度、すなわち、工具の傾斜角度は、例えば、45°であり、クランクウェッブの端部を円滑に塑性流動させるために、45°以下に設定することが望ましい。
【0012】
(3)クランクウェッブの端部の、カウンターウェイトの突起部が接合される側の面を、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させて、クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成すると共に、カウンターウェイトの凹部に、クランクウェッブの端部先端が突合せされる加圧面を設けておいて、曲げ工程では、クランクウェッブの端部先端を、カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することにより、クランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする(1)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成する、すなわち、カウンターウェイトの突起部が接合される側の面(ジャーナルが接続されている面とは反対側の面)をXY平面に対して傾斜角度θで傾斜させて、クランクウェッブの端部をY方向の視線で先細りに形成しておいて、曲げ工程で、クランクウェッブの端部をカウンターウェイトの加圧面に突合せて加圧することにより、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させてカウンターウェイトの端部に結合(塑性締結)させることができる。
本項の態様と(2)項の態様と比較した場合、本項の態様では、クランクウェッブの端部を曲げるための工具が必要ない、すなわち、溶接工程と曲げ工程との間でワーク(クランクシャフト)を移動させる必要がなく、溶接(溶接工程)後、ワークを移動させることなく引き続き、クランクウェッブの端部先端をカウンターウェイトの加圧面で加圧することで、クランクウェッブの端部を曲げることができるので、生産性を向上させることができる。
本項の態様では、カウンターウェイトの加圧面は、カウンターウェイトをクランクウェッブに対してZ方向へ位置決めさせた状態(溶接時の位置関係)で、カウンターウェイトをクランクウェッブに対してX方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部先端が突合せされる(X方向へ対向した状態で当接される)ように形成される。また、カウンターウェイトの加圧面は、YZ平面に対して平行に配置してもよいし、例えば、曲げ工程時にクランクウェッブの端部がカウンターウェイトの凹部へ向けてより円滑に曲がるように適度な傾斜を設けて構成することもできる。
【0013】
(4)曲げ工程の完了後、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする(1)〜(3)項のクランクシャフトの製造方法。
上述した(1)〜(3)項のクランクシャフトの製造方法では、曲げが完了した直後にクランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を抜いてしまうと、クランクウェッブのスプリングバックによってクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの加圧面との間に隙間が生じて、クランクウェッブの端部の熱の大部分がジャーナルに伝達される。その結果、ジャーナルに熱歪が生じて、ジャーナルの真直度が悪化することになる。本項の態様では、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を曲げが完了してから一定時間保持することにより、クランクウェッブのスプリングバックを抑止することを可能にした。これにより、クランクウェッブの端部の熱をカウンターウェイトへ効率的に逃がすことが可能になり、ジャーナルの熱歪に起因する真直度の悪化が抑止される。したがって、高い精度のクランクシャフトを得ることができる。
本項の態様において、ジャーナルの真直度は、加圧力の保持時間が長い程高くなるが、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナルの真直度)と生産性とを考慮して適宜設定すればよい。
【0014】
(5)溶接工程では、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によってクランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする(1)〜(4)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶融溶接によって接合する場合と比較して、溶接工程の工数、延いては製造コストを削減することができる。また、通常、クランクシャフトの熱歪(特に、ジャーナルの真直度の悪化)も抑制することができる。
【0015】
(6)溶接工程では、カウンターウェイトが電極によってジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする(1)〜(5)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、加圧による材料の塑性変形により表面の汚染層が除去されて新生面間が圧接されるので、接合強度を確保することができる。本項の態様では、カウンターウェイトの端部(突起部)が、クランクウェッブの端部にZ方向へ例えば0.3mmだけ重なる位置に、カウンターウェイトをクランクウェッブに対して(X方向へ間隔をあけて)位置決めし、この状態から、溶接装置の電極に溶接電流を供給するとともにカウンターウェイトを電極によってX方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することができる。
本項の態様では、カウンターウェイトがX方向、すなわち、ジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されるので、特に、上述した(3)項の態様における曲げ工程において、カウンターウェイトを溶接装置の電極によって加圧することができ、装置を簡易化且つ低コスト化することができる。
【0016】
(7)クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接しながら、クランクウェッブの端部先端を、カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することを特徴とする(3)〜(6)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことが可能になり、生産性をより高めることができる。
本項の態様は、カウンターウェイトを電極によってX方向(クランクウェッブの端部先端とカウンターウェイトの端部との突合せ方向)へ移動させてクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することで容易に実施することができる。つまり、カウンターウェイトをX方向へ移動させることにより、インターフェレンス抵抗溶接によってクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを接合しながら、クランクウェッブの端部をカウンターウェイトの加圧面によって加圧してZ方向(ジャーナルの軸線方向)へ塑性流動させることで、インターフェレンス抵抗溶接のジュール熱により軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させることができる。
【0017】
(8)カウンターウェイトの加圧面にノッチを設けておいて、曲げ工程では、塑性流動させたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトのノッチに結合させることを特徴とする(3)〜(7)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの塑性流動させた材料をカウンターウェイトのノッチに結合させたので、カウンターウェイトのクランクウェッブに対するY方向およびZ方向の抜けをより確実に防ぐことができる。
本項の態様において、ノッチは、複数個設けることが望ましい。また、ノッチは、例えば、加圧面の2箇所の角部(凹部の底面側とは反対側の角)に設けられた突起により形成することができる。
【0018】
(9)クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部と、クランクウェッブの端部を臨む凹部とを設けておいて、クランクウェッブの端部をジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部をジャーナルの軸線方向へ加圧して、曲げ工程でジャーナルの軸線方向へ曲げられたクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、溶接で発生した溶接熱によって軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させる溶接工程と、を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトによれば、ジャーナルの軸線方向へ曲げられたクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、溶接で発生した溶接熱によって軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させるので、仮に、溶接による接合部が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部によってカウンターウェイトがクランクウェッブから分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部によって、溶接による接合部をバックアップすることができる。
本項の態様において、例えば、カウンターウェイトの端部には、Y方向へ延びて断面が略コ字形の凹部が形成される。また、カウンターウェイトの突起部は、凹部の一対の対向する壁面のうちの1つの壁面を共有するようにして凹部の底面の位置からZ方向へ延びるようにしてカウンターウェイトの端部先端に形成される。これにより、カウンターウェイトの端部は、Y方向の視線で、略L字形のフック形状に形成される。なお、カウンターウェイトの端部のZ方向寸法は、カウンターウェイトの本体部分(接続体)のZ方向寸法よりも小さく設定されている(例えば、略1/2)。
【0019】
(10)曲げ工程では、クランクウェッブの端部先端を、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた工具の加圧面で加圧することにより、クランクウェッブの端部をジャーナルの軸線方向へ曲げることを特徴とする(9)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部を工具の加圧面で加圧することで、クランクウェッブの端部を、Z方向(ジャーナルの軸線方向)へジャーナルが接続された側とは反対側へ曲げて略L字形に形成することができる。
本項の態様で使用される工具は、例えば、Y方向の視線でXY平面(ジャーナルの軸直角平面)に対して所定角度(例えば45°)で傾斜した第1加圧面と、該第1加圧面に連続してYZ平面上に配置される第2加工面とを備える。このような工具を使用してクランクウェッブの端部を曲げる場合、工具の第1加圧面で、クランクウェッブの端部を、X方向(ジャーナルの軸線に対して直交する方向)へ加圧することにより、第1加圧面に対して垂直な方向の加圧力の分力がクランクウェッブの端部先端に作用し、クランクウェッブの端部は、第1加圧面に沿ってZ方向寄りに曲がる。次に、クランクウェッブの端部先端を工具の第2加圧面によって加圧することにより、クランクウェッブの端部をZ方向へ曲げて略L字形に形成することができる。
【0020】
(11)溶接工程の完了後、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする(9)または(10)項のクランクシャフトの製造方法。
上述した(9)、(10)項のクランクシャフトの製造方法では、溶接が完了した直後にクランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を抜いてしまうと、クランクウェッブの端部の熱の大部分がジャーナルに伝達される。その結果、ジャーナルに熱歪が生じて、ジャーナルの真直度が悪化することになる。本項の態様では、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を溶接が完了してから一定時間保持することにより、クランクウェッブの端部の熱をカウンターウェイトへ逃がすことができる。これにより、ジャーナルの熱歪に起因する真直度の悪化が抑止され、高い精度のクランクシャフトを提供することが可能になる。
本項の態様において、ジャーナルの真直度は、加圧力の保持時間が長い程高くなるが、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナルの真直度)と生産性とを考慮して適宜設定すればよい。
【0021】
(12)溶接工程では、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によってクランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする(9)〜(11)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶融溶接によって接合する場合と比較して、溶接工程の工数、延いては製造コストを削減することができる。また、通常、クランクシャフトの熱歪(特に、ジャーナルの真直度の悪化)も抑制することができる。
【0022】
(13)溶接工程では、カウンターウェイトが電極によってジャーナルの軸線方向へ加圧されて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする(9)〜(12)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、加圧による材料の塑性変形により表面の汚染層が除去されて新生面間が圧接されるので、接合強度を確保することができる。本項の態様では、カウンターウェイトの端部(突起部)が、クランクウェッブの端部にX方向へ例えば0.3mmだけ重なる位置に、カウンターウェイトをクランクウェッブに対して(Z方向へ間隔をあけて)位置決めし、この状態から、溶接装置の電極に溶接電流を供給するとともにカウンターウェイトを電極によってZ方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することができる。
本項の態様では、クランクウェッブの略L字形に形成された端部とカウンターウェイトの略L字形に形成された端部(突起部)とがX方向へ重なり合うように係合されるので、クランクシャフト回転時におけるカウンターウェイトの遠心力は、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部に圧縮方向へ作用することになり、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、クランクウェッブとカウンターウェイトとが抵抗溶接によって接合されるクランクシャフトにおいて、接合部が破壊された場合のバックアップ機構が得られるクランクシャフトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の説明図であって、特に、溶接工程を説明するための図である。
【図2】第1実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程を説明するための図である。
【図3】第1実施形態の説明図であって、特に、クランクウェッブにカウンターウェイトが取り付けられた状態を示す図である。
【図4】図3におけるA−A矢視図である。
【図5】第2実施形態で使用されるクランクシャフト本体のクランクウェッブの端部に形成されたテーパー形状を示す図である。
【図6】第2実施形態の説明図であって、特に、溶接工程および曲げ工程を説明するための図である。
【図7】第2実施形態の説明図であって、特に、クランクウェッブにカウンターウェイトが取り付けられた状態を示す図である。
【図8】第3実施形態の説明図であって、特に、接合完了後に加圧力が保持されている状態を示す図である。
【図9】図8におけるB部の拡大図であって、特に、スプリングバックによってクランクウェッブとカウンターウェイトとの間に生じた隙間を示す図である。
【図10】図8におけるB部の拡大図であって、特に、スプリングバックが抑止されている状態を示す図である。
【図11】第3実施形態の説明図であって、特に、加圧力の保持時間とジャーナルの真直度との関係を示す図である。
【図12】第4実施形態の説明図であって、特に、Z方向からの視線でクランクウェッブとカウンターウェイトとを見た図である。
【図13】図12におけるC部の拡大図である。
【図14】第4実施形態の説明図であって、特に、Y方向からの視線でクランクウェッブとカウンターウェイトとを見た図である。
【図15】図14におけるD部の拡大図である。
【図16】第5実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程を説明するための図である。
【図17】第5実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程による曲げ加工が施されたクランクウェッブを示す図である。
【図18】第5実施形態の説明図であって、特に、溶接工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るクランクシャフトの製造方法を添付した図を参照して説明する。ここでは、自動車用直列4気筒エンジンのクランクシャフトの製造方法について説明する。なお、以下の説明において、図1〜図4に示される座標系に基づき方向を規定する。
本発明の製造方法を用いて製造されるクランクシャフトは、冷間鍛造によって成形されたクランクシャフト本体1のクランクウェッブ2(以下、単にクランクウェッブ2という)に、冷間鍛造によって成形されたカウンターウェイト3を、本発明の製造方法によって接合することで得ることができる。カウンターウェイト3は、弓形に形成される重量体4と、一端部がクランクウェッブ2に接続される接続体5と、に大別されている。なお、カウンターウェイト3の端部とは突起部6と凹部7とを備えた接続体5の一端部を指し、カウンターウェイト3の本体部分とは接続体5の一端部を除く部分を指す。また、図1〜図3におけるカウンターウェイト3は本体部分が簡略化されている。
【0026】
図1〜図3に示されるように、カウンターウェイト3の端部には、突起部6と凹部7とが設けられている。凹部7は、対向する一対の壁面8、9と、XY平面に平行(あるいはジャーナル11の軸線Zに対して垂直)に配置される底面10とを有し、ZX平面における断面が略コ字形に形成される。突起部6は、カウンターウェイト3の端部先端に設けられて、凹部7の底面10に対してZ方向(図1〜図3における左右方向)へ高さhを有している。また、突起部6は、凹部7と壁面8を共有している。これにより、カウンターウェイト3の端部は、図1〜図3に示されるY方向の視線で、略L字形(逆L字形)に形成される。なお、カウンターウェイト3の突起部6の端面6aとクランクウェッブ2の壁面2a(ジャーナル11が接続される側とは反対側の壁面)とを当接させた状態では、クランクウェッブ2の壁面2b(ジャーナル11が接続される側の壁面)とカウンターウェイト3の接続体5の一側面(図1〜図3における左側の側面)とは略同一平面上に位置するように構成されている。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態では、溶接工程において、クランクウェッブ2の端部(図1〜図3における下端部)にカウンターウェイト3の突起部6を抵抗溶接(溶接)によって接合した後、曲げ工程において、抵抗溶接で発生したジュール熱(溶接熱)によって軟化したクランクウェッブ2の端部を、工具13によって曲げてカウンターウェイト3の凹部7に塑性締結させる。ここで、クランクウェッブ2の端部のジャーナル11が接続される側の稜には、クランクシャフト本体1の成形時に、予め、XY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して所定角度θ1(例えばθ1=45°)で傾斜させた面取り形状の受圧面14が形成されている。
【0028】
図2に示されるように、工具13は、プレス装置のラム等に固定される固定部15とXY平面に対して平行に配置される加圧部16とによって構成された略L字形の断面を有する金型である。また、工具13は、加圧部16の端部が固定部15と対向する面を有するようにしてZ方向(図2における右方向)へ僅かに延びており、その端部には、クランクウェッブ2の受圧面14に対して平行に配置された加圧面17が形成されている。次に、第1実施形態を工程別に説明する。
【0029】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部とは、Z方向(図1における左右方向)へ例えば0.3mmだけ重なるとともにX方向(図1における上下方向)へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図1のカウンターウェイト3が破線で示される位置)。なお、固定側電極19は、例えば、クランクウェッブ2におけるクランクピン20が接続される側に当接されている(図1参照)。この状態から、溶接電源によって電極18、19間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイトがX方向(図1における上方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。
【0030】
(曲げ工程)
次に、クランクウェッブ2の端部にカウンターウェイト3が接合された状態のワークをプレス装置の固定治具にセットして、図2に示されるように、加工対象となるクランクウェッブ2の受圧面14に工具13の加圧面17を当接させる。この状態から、ラムの駆動によって工具13をX方向(図2における上方向)へ移動させることにより、クランクウェッブの受圧面14に、X方向の加圧力Fの分力F1を作用させる。これにより、溶接工程におけるジュール熱により軟化されたクランクウェッブ2の端部は、Z方向(図2における右方向)へ塑性流動して、図3に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7に塑性締結され、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間に塑性締結による結合部22が形成される。なお、図4は、図3におけるA−A矢視図であって、クランクウェッブ2の端部にカウンターウェイト3が取付けられた状態を示す。
【0031】
第1実施形態では以下の効果を奏する。
第1実施形態によれば、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程でインターフェレンス抵抗溶接によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
また、曲げ工程では、溶接工程で発生したジュール熱によって軟化したクランクウェッブ2の端部を曲げるので、比較的小さい曲げ荷重(加圧力)でクランクウェッブ2の端部を曲げることができ、より能力が低い設備での加工が可能になる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を説明する。なお、上述した第1実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第2実施形態は、カウンターウェイト3の加圧面9(第1実施形態における壁面9)によってクランクウェッブ2の端部を曲げることにより、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことができるように構成したものである。
図5に示されるように、クランクウェッブ2の端部は、壁面2a(ジャーナル11が接続される側とは反対側の壁面)がXY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して傾斜角度θ2で傾斜されることにより、壁面2aと壁面2b(ジャーナル11が接続される側の壁面)とによってテーパー形状に形成される。
【0033】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部とは、Z方向へ例えば0.3mmだけ重なるとともにX方向へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図6のカウンターウェイト3が破線で示される位置)。この状態から、溶接電源によって電極18、19(図1参照)間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。なお、図6では、固定側電極19の図示を省略している。
【0034】
(曲げ工程)
インターフェレンス抵抗溶接の過程、すなわち、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ所定距離だけ移動された時点で、クランクウェッブ2の端部先端がカウンターウェイト3の加圧面9に突合せされる。すると、クランクウェッブ2の端部は、インターフェレンス抵抗溶接によるジュール熱によって軟化されているのに加えて、壁面2a側が肉盗みされて先細り形状(テーパー形状)に形成されていることにより、図6に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7側(図6)へ塑性変形される(曲げられる)。さらに、カウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ移動されることにより、クランクウェッブ2の端部は、凹部7へ向けて塑性流動し、その結果、図7に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7に塑性締結され、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間に塑性締結による結合部22が形成される。
【0035】
第2実施形態では以下の効果を奏する。
第2実施形態によれば、上述した第1実施形態が奏する効果に加えて、可動側電極18がカウンターウェイト3を押圧する力(加圧力)によって曲げ荷重を得ることができるので、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことが可能になる。さらに、溶接工程と曲げ工程との間でワーク(クランクシャフト)を移動させる必要がないので、第1実施形態と比較して、生産性を大幅に向上させることができる。
また、上述した第1実施形態では、スペースの制約から工具13の剛性を確保することが困難であったが、第2実施形態では、カウンターウェイト3に加圧面9を設けたことにより、工具13に関する問題点を解消することができる。
さらに、第2実施形態では、上述した第1実施形態と比較して、カウンターウェイト3の凹部7により多くのクランクウェッブ2の材料を塑性流動させることが可能になり、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との塑性締結による結合力をより向上させることができる。
【0036】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を説明する。なお、上述した第1および第2実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第3実施形態は、上述した第2実施形態と基本的にその手順(溶接工程および曲げ工程)が同一であるが、クランクウェッブ2の端部の曲げが完了後、図8に示されるように、可動側電極18がカウンターウェイト3を押圧する力(加圧力)を一定時間保持するように構成したものである。なお、図8では、可動側電極18および固定側電極19の図示を省略している。
【0037】
第3実施形態では以下の効果を奏する。
上述した第2実施形態では、曲げが完了した直後にクランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力を抜いてしまうと、図9に示されるように、クランクウェッブ2のスプリングバックによって、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の加圧面9との間に隙間が生じる。その結果、クランクウェッブ2の端部の熱の大部分がジャーナル11に伝達されることに起因して、ジャーナル11に熱歪が生じることにより、ジャーナル11の真直度が悪化する。
第3実施形態では、上述した第2実施形態が奏する効果に加えて、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力を曲げが完了してから一定時間保持することにより、図10に示されるように、クランクウェッブ2の端部のスプリングバックを抑止して、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の凹部7との間に隙間が発生することを防止することができる。これにより、クランクウェッブ2の端部の熱をカウンターウェイト3へ効率的に逃がすことが可能になり、ジャーナル11の熱歪に起因する真直度の悪化が抑止される。その結果、極めて高い精度のクランクシャフトを得ることができる。
なお、図11に示されるように、ジャーナル11の真直度は、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力の保持時間が長い程高くなる。しかしながら、加圧力の保持時間が長くなるとその分工数が増えるので、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナル11の真直度)と生産性とを考慮して適宜設定することが望ましい。
【0038】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を説明する。なお、上述した第1〜第3実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第4実施形態は、上述した第2および第3実施形態と基本的にその手順(溶接工程および曲げ工程)が同一であるが、図12〜図14に示されるように、壁面(加圧面)9にノッチ23が形成されたカウンターウェイト3を用いる点が相違する。
ノッチ23は、カウンターウェイト3の壁面9のZ方向の一側(図14における左側)に2つの角部、すなわち、Y方向(図12における左右方向)に一対で設けられている。各ノッチ23は、牙のようにX方向(図12および図14における上方向)へ突出させて形成されており、曲げ工程において、塑性流動されたクランクウェッブ2に結合されるように構成されている。
なお、本発明の第4実施形態においても、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間は、インターフェレンス抵抗溶接によって接合部21が形成される。
【0039】
第4実施形態では以下の効果を奏する。
第4実施形態では、上述した第2および第3実施形態が奏する効果に加えて、塑性流動させたクランクウェッブ2の端部をカウンターウェイト3の各ノッチ23に結合させたことにより、カウンターウェイト3のクランクウェッブ2に対するY方向(図12における左右方向)およびZ方向(図12における左右方向)の抜けをより確実に防ぐことができる。
【0040】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を説明する。なお、上述した第1〜第4実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第5実施形態は、クランクウェッブ2の端部を工具24によって曲げ加工した後、該クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の端部とを接合させるように構成したものである。
図16に示されるように、工具24は、XY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して所定角度θ3(例えばθ3=45°)で傾斜した第1加圧面24aと、該第1加圧面24aに連続してYZ平面上に配置される第2加工面24bとを備える。また、工具24は、例えばプレス装置の金型ホルダに取り付けられてX方向(図16における上下方向)へ駆動される。
【0041】
(曲げ工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具(プレス装置側)によって固定する。この状態で、工具24をX方向(図16における上方向)へ移動させると、クランクウェッブ2の端部先端に工具24の第1加圧面24aが突合せされる。そして、工具24の第1加圧面24aで、クランクウェッブ2の端部を、X方向(ジャーナル11の軸線Zに対して直交する方向)へ加圧する。これにより、第1加圧面24aに対して垂直な方向の加圧力F(荷重)の分力F2がクランクウェッブ2の受圧面14に作用し、クランクウェッブ2の端部は、第1加圧面24aに沿ってZ方向側(図16における右側)に曲がる。引き続き、クランクウェッブ2の端部を工具24の第2加圧面24bによって加圧することにより、クランクウェッブ2の端部を第2加圧面24bに沿わせてZ方向へ曲げて、図17に示されるように、略L字形に形成する。
【0042】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具(溶接装置側)に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部(Z方向へ曲げられた先端部分)とは、X方向(図18における上下方向)へ例えば0.3mmだけ重なるとともにZ方向(図18における左右方向)へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図18のカウンターウェイト3および可動側電極18が破線で示される位置)。なお、固定側電極19は、クランクウェッブ2の端部のジャーナル11が接続された側の壁面2bに当接されている(図18参照)。
【0043】
この状態から、溶接電源によって電極18、19間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイトがZ方向(図18における左方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。さらに、カウンターウェイト3とインターフェレンス抵抗溶接で発生したジュール熱によって軟化されたクランクウェッブ2の端部とが、可動側電極18によるZ方向の加圧力によって加圧されることにより、クランクウェッブ2の端部がカウンターウェイト3の凹部7に塑性締結された結合部22が形成される。
【0044】
第5実施形態では以下の効果を奏する。
第5実施形態によれば、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程でインターフェレンス抵抗溶接によって接合されるとともに塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 クランクシャフト本体、2 クランクウェッブ、3 カウンターウェイト、6 突起部、7 凹部、11 ジャーナル、21 接合部、22 結合部、23 ノッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用クランクシャフトの製造方法において、クランクシャフト本体とカウンターウェイトとを冷間鍛造により別個に製造して、該クランクシャフト本体のクランクウェッブにカウンターウェイトを接合する手法が知られている。このクランクシャフトの製造方法は、クランクシャフトを熱間鍛造により一体成形する手法と比較して、低コスト化を図ることができる。例えば、特許文献1には、ボルトと該ボルトの両側に配設された一対の位置決めピンとを使用して、カウンターウェイトをクランクウェッブに締結(接合)させる技術が開示されている。
【0003】
ところで、エコロジーに対する社会的関心の高まりから、自動車業界においては、低燃費の車両を低価格で提供することが技術課題になっている。そこで、クランクシャフトにおいては、さらなる軽量化と低コスト化とが要求されている。一般に、クランクシャフトの軽量化には、クランクウェッブの肉厚を削減する手法(肉盗み)が有効であるが、この手法によってクランクシャフトを軽量化した場合、クランクウェッブの断面積が小さくなるため、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部の面積が小さくなり、例えば、上述した特許文献1に記載された従来技術においては、使用するボルトの呼び径を小さくする必要がある。これに伴い、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合強度が低下することから、使用するボルトの数量を増やすことで接合強度を確保する必要がある。しかしながら、使用するボルトの数量を増やすと、工数および部品点数が増大して生産性の低下および製造コストの増大を招く。
【0004】
そこで、特許文献2には、クランクウェッブとカウンターウェイトとを液相拡散接合によって接合する技術が開示されているが、液相拡散接合は、接合時に、真空あるいはアルゴンガス雰囲気の環境を作る必要があるため、設備コストならびにランニングコストが高くなる。さらに、特許文献2に記載された従来技術においては、液相拡散接合によって高い接合強度を得ることができるが、より信頼性を高めるため、接合部が破壊された場合のバックアップ機構(メカバックアップ)が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−140337号公報
【特許文献2】特開2009−085316号公報号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、クランクウェッブとカウンターウェイトとが抵抗溶接によって接合されるクランクシャフトにおいて、接合部が破壊された場合のバックアップ機構が得られるクランクシャフトの製造方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの製造方法は、クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出して端部が前記クランクウェッブの端部に抵抗溶接される突起部と、該突起部が抵抗溶接された前記クランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを抵抗溶接によって接合させる溶接工程と、前記クランクウェッブの端部先端を加圧することで、前記溶接工程で発生したジュール熱によって軟化された状態の前記クランクウェッブの端部を、前記ジャーナルの軸線方向へ曲げて前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの製造方法は、クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部を設けておいて、前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ加圧して、前記曲げ工程で前記ジャーナルの軸線方向へ曲げられた前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを抵抗溶接によって接合させながら、前記抵抗溶接で発生したジュール熱によって軟化された前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトの突起部に塑性締結させる溶接工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(13)項の各々が、特許請求の範囲に記載した請求項1〜13の各々に相当する。
【0010】
(1)クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出してクランクウェッブの端部に溶接される突起部と、該突起部が溶接されたクランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させる溶接工程と、クランクウェッブの端部先端を加圧することで、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化された状態のクランクウェッブの端部を、ジャーナルの軸線方向へ曲げてカウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブとカウンターウェイトとは、溶接工程で溶接によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、溶接による接合部が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部によってカウンターウェイトがクランクウェッブから分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部によって、溶接による接合部をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
また、曲げ工程では、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部を曲げるので、比較的小さい曲げ荷重でクランクウェッブの端部を曲げることができ、より能力が低い設備での加工が可能になる。
以下、説明の便宜上、ジャーナルの軸線方向をZ方向、対象となるクランクウェッブによって支持されるクランクピンの軸線とジャーナルの軸線との双方に直交する軸線の方向をX方向と規定する(Y方向は、Z方向とX方向との双方に対して垂直な方向)。
本項の態様において、例えば、カウンターウェイトの端部には、Y方向へ延びて断面が略コ字形の凹部が形成される。また、カウンターウェイトの突起部は、凹部の一対の対向する壁面のうちの1つの壁面を共有するようにして凹部の底面の位置からZ方向へ延びるようにしてカウンターウェイトの端部先端に形成される。これにより、カウンターウェイトの端部は、Y方向の視線で、略L字形のフック形状に形成される。なお、カウンターウェイトの端部のZ方向寸法は、カウンターウェイトの本体部分(接続体)のZ方向寸法よりも小さく設定されている(例えば、略1/2)。
【0011】
(2)クランクウェッブの端部の、カウンターウェイトの突起部が接合される側とは反対側の稜に、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた受圧面を設けておいて、曲げ工程では、クランクウェッブの受圧面を、工具の加圧面で加圧することにより、クランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする(1)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの受圧面を工具の加圧面で加圧することで、クランクウェッブの受圧面には、該受圧面に対して垂直な方向の加圧力の分力が作用し、これにより、溶接による溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部は、カウンターウェイトの凹部へ向けてジャーナルの軸線方向(Z方向)へ塑性流動されてカウンターウェイトの凹部に塑性締結される。
本項の態様において、工具の加圧力の方向は、Z方向あるいはX方向のどちらでもよいが、スペースの制約からZ方向への加圧は困難であることから、X方向に設定することが望ましい。この場合、工具を、例えば、カウンターウェイトとの干渉を避けるような断面略L字形に形成し、その一端に加圧面を形成する。
クランクウェッブの受圧面は、クランクウェッブ単体の成形時に面取り面として形成することができ、特に、成形後に加工して形成する必要はない。また、Y方向の視線におけるジャーナルの軸直角平面(XY平面)に対する受圧面の傾斜角度、すなわち、工具の傾斜角度は、例えば、45°であり、クランクウェッブの端部を円滑に塑性流動させるために、45°以下に設定することが望ましい。
【0012】
(3)クランクウェッブの端部の、カウンターウェイトの突起部が接合される側の面を、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させて、クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成すると共に、カウンターウェイトの凹部に、クランクウェッブの端部先端が突合せされる加圧面を設けておいて、曲げ工程では、クランクウェッブの端部先端を、カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することにより、クランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする(1)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成する、すなわち、カウンターウェイトの突起部が接合される側の面(ジャーナルが接続されている面とは反対側の面)をXY平面に対して傾斜角度θで傾斜させて、クランクウェッブの端部をY方向の視線で先細りに形成しておいて、曲げ工程で、クランクウェッブの端部をカウンターウェイトの加圧面に突合せて加圧することにより、溶接工程で発生した溶接熱によって軟化したクランクウェッブの端部を、カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させてカウンターウェイトの端部に結合(塑性締結)させることができる。
本項の態様と(2)項の態様と比較した場合、本項の態様では、クランクウェッブの端部を曲げるための工具が必要ない、すなわち、溶接工程と曲げ工程との間でワーク(クランクシャフト)を移動させる必要がなく、溶接(溶接工程)後、ワークを移動させることなく引き続き、クランクウェッブの端部先端をカウンターウェイトの加圧面で加圧することで、クランクウェッブの端部を曲げることができるので、生産性を向上させることができる。
本項の態様では、カウンターウェイトの加圧面は、カウンターウェイトをクランクウェッブに対してZ方向へ位置決めさせた状態(溶接時の位置関係)で、カウンターウェイトをクランクウェッブに対してX方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部先端が突合せされる(X方向へ対向した状態で当接される)ように形成される。また、カウンターウェイトの加圧面は、YZ平面に対して平行に配置してもよいし、例えば、曲げ工程時にクランクウェッブの端部がカウンターウェイトの凹部へ向けてより円滑に曲がるように適度な傾斜を設けて構成することもできる。
【0013】
(4)曲げ工程の完了後、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする(1)〜(3)項のクランクシャフトの製造方法。
上述した(1)〜(3)項のクランクシャフトの製造方法では、曲げが完了した直後にクランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を抜いてしまうと、クランクウェッブのスプリングバックによってクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの加圧面との間に隙間が生じて、クランクウェッブの端部の熱の大部分がジャーナルに伝達される。その結果、ジャーナルに熱歪が生じて、ジャーナルの真直度が悪化することになる。本項の態様では、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を曲げが完了してから一定時間保持することにより、クランクウェッブのスプリングバックを抑止することを可能にした。これにより、クランクウェッブの端部の熱をカウンターウェイトへ効率的に逃がすことが可能になり、ジャーナルの熱歪に起因する真直度の悪化が抑止される。したがって、高い精度のクランクシャフトを得ることができる。
本項の態様において、ジャーナルの真直度は、加圧力の保持時間が長い程高くなるが、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナルの真直度)と生産性とを考慮して適宜設定すればよい。
【0014】
(5)溶接工程では、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によってクランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする(1)〜(4)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶融溶接によって接合する場合と比較して、溶接工程の工数、延いては製造コストを削減することができる。また、通常、クランクシャフトの熱歪(特に、ジャーナルの真直度の悪化)も抑制することができる。
【0015】
(6)溶接工程では、カウンターウェイトが電極によってジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする(1)〜(5)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、加圧による材料の塑性変形により表面の汚染層が除去されて新生面間が圧接されるので、接合強度を確保することができる。本項の態様では、カウンターウェイトの端部(突起部)が、クランクウェッブの端部にZ方向へ例えば0.3mmだけ重なる位置に、カウンターウェイトをクランクウェッブに対して(X方向へ間隔をあけて)位置決めし、この状態から、溶接装置の電極に溶接電流を供給するとともにカウンターウェイトを電極によってX方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することができる。
本項の態様では、カウンターウェイトがX方向、すなわち、ジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されるので、特に、上述した(3)項の態様における曲げ工程において、カウンターウェイトを溶接装置の電極によって加圧することができ、装置を簡易化且つ低コスト化することができる。
【0016】
(7)クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接しながら、クランクウェッブの端部先端を、カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することを特徴とする(3)〜(6)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことが可能になり、生産性をより高めることができる。
本項の態様は、カウンターウェイトを電極によってX方向(クランクウェッブの端部先端とカウンターウェイトの端部との突合せ方向)へ移動させてクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することで容易に実施することができる。つまり、カウンターウェイトをX方向へ移動させることにより、インターフェレンス抵抗溶接によってクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを接合しながら、クランクウェッブの端部をカウンターウェイトの加圧面によって加圧してZ方向(ジャーナルの軸線方向)へ塑性流動させることで、インターフェレンス抵抗溶接のジュール熱により軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させることができる。
【0017】
(8)カウンターウェイトの加圧面にノッチを設けておいて、曲げ工程では、塑性流動させたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトのノッチに結合させることを特徴とする(3)〜(7)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの塑性流動させた材料をカウンターウェイトのノッチに結合させたので、カウンターウェイトのクランクウェッブに対するY方向およびZ方向の抜けをより確実に防ぐことができる。
本項の態様において、ノッチは、複数個設けることが望ましい。また、ノッチは、例えば、加圧面の2箇所の角部(凹部の底面側とは反対側の角)に設けられた突起により形成することができる。
【0018】
(9)クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部と、クランクウェッブの端部を臨む凹部とを設けておいて、クランクウェッブの端部をジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部をジャーナルの軸線方向へ加圧して、曲げ工程でジャーナルの軸線方向へ曲げられたクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、溶接で発生した溶接熱によって軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させる溶接工程と、を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトによれば、ジャーナルの軸線方向へ曲げられたクランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、溶接で発生した溶接熱によって軟化されたクランクウェッブの端部をカウンターウェイトの凹部に塑性締結させるので、仮に、溶接による接合部が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部によってカウンターウェイトがクランクウェッブから分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部によって、溶接による接合部をバックアップすることができる。
本項の態様において、例えば、カウンターウェイトの端部には、Y方向へ延びて断面が略コ字形の凹部が形成される。また、カウンターウェイトの突起部は、凹部の一対の対向する壁面のうちの1つの壁面を共有するようにして凹部の底面の位置からZ方向へ延びるようにしてカウンターウェイトの端部先端に形成される。これにより、カウンターウェイトの端部は、Y方向の視線で、略L字形のフック形状に形成される。なお、カウンターウェイトの端部のZ方向寸法は、カウンターウェイトの本体部分(接続体)のZ方向寸法よりも小さく設定されている(例えば、略1/2)。
【0019】
(10)曲げ工程では、クランクウェッブの端部先端を、ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた工具の加圧面で加圧することにより、クランクウェッブの端部をジャーナルの軸線方向へ曲げることを特徴とする(9)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部を工具の加圧面で加圧することで、クランクウェッブの端部を、Z方向(ジャーナルの軸線方向)へジャーナルが接続された側とは反対側へ曲げて略L字形に形成することができる。
本項の態様で使用される工具は、例えば、Y方向の視線でXY平面(ジャーナルの軸直角平面)に対して所定角度(例えば45°)で傾斜した第1加圧面と、該第1加圧面に連続してYZ平面上に配置される第2加工面とを備える。このような工具を使用してクランクウェッブの端部を曲げる場合、工具の第1加圧面で、クランクウェッブの端部を、X方向(ジャーナルの軸線に対して直交する方向)へ加圧することにより、第1加圧面に対して垂直な方向の加圧力の分力がクランクウェッブの端部先端に作用し、クランクウェッブの端部は、第1加圧面に沿ってZ方向寄りに曲がる。次に、クランクウェッブの端部先端を工具の第2加圧面によって加圧することにより、クランクウェッブの端部をZ方向へ曲げて略L字形に形成することができる。
【0020】
(11)溶接工程の完了後、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする(9)または(10)項のクランクシャフトの製造方法。
上述した(9)、(10)項のクランクシャフトの製造方法では、溶接が完了した直後にクランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を抜いてしまうと、クランクウェッブの端部の熱の大部分がジャーナルに伝達される。その結果、ジャーナルに熱歪が生じて、ジャーナルの真直度が悪化することになる。本項の態様では、クランクウェッブとカウンターウェイトとの間の加圧力を溶接が完了してから一定時間保持することにより、クランクウェッブの端部の熱をカウンターウェイトへ逃がすことができる。これにより、ジャーナルの熱歪に起因する真直度の悪化が抑止され、高い精度のクランクシャフトを提供することが可能になる。
本項の態様において、ジャーナルの真直度は、加圧力の保持時間が長い程高くなるが、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナルの真直度)と生産性とを考慮して適宜設定すればよい。
【0021】
(12)溶接工程では、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によってクランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする(9)〜(11)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とを溶融溶接によって接合する場合と比較して、溶接工程の工数、延いては製造コストを削減することができる。また、通常、クランクシャフトの熱歪(特に、ジャーナルの真直度の悪化)も抑制することができる。
【0022】
(13)溶接工程では、カウンターウェイトが電極によってジャーナルの軸線方向へ加圧されて、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする(9)〜(12)項のクランクシャフトの製造方法。
本項に記載のクランクシャフトの製造方法によれば、加圧による材料の塑性変形により表面の汚染層が除去されて新生面間が圧接されるので、接合強度を確保することができる。本項の態様では、カウンターウェイトの端部(突起部)が、クランクウェッブの端部にX方向へ例えば0.3mmだけ重なる位置に、カウンターウェイトをクランクウェッブに対して(Z方向へ間隔をあけて)位置決めし、この状態から、溶接装置の電極に溶接電流を供給するとともにカウンターウェイトを電極によってZ方向へ移動させることにより、クランクウェッブの端部とカウンターウェイトの端部(突起部)とをインターフェレンス抵抗溶接することができる。
本項の態様では、クランクウェッブの略L字形に形成された端部とカウンターウェイトの略L字形に形成された端部(突起部)とがX方向へ重なり合うように係合されるので、クランクシャフト回転時におけるカウンターウェイトの遠心力は、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部に圧縮方向へ作用することになり、クランクウェッブとカウンターウェイトとの接合部の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、クランクウェッブとカウンターウェイトとが抵抗溶接によって接合されるクランクシャフトにおいて、接合部が破壊された場合のバックアップ機構が得られるクランクシャフトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の説明図であって、特に、溶接工程を説明するための図である。
【図2】第1実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程を説明するための図である。
【図3】第1実施形態の説明図であって、特に、クランクウェッブにカウンターウェイトが取り付けられた状態を示す図である。
【図4】図3におけるA−A矢視図である。
【図5】第2実施形態で使用されるクランクシャフト本体のクランクウェッブの端部に形成されたテーパー形状を示す図である。
【図6】第2実施形態の説明図であって、特に、溶接工程および曲げ工程を説明するための図である。
【図7】第2実施形態の説明図であって、特に、クランクウェッブにカウンターウェイトが取り付けられた状態を示す図である。
【図8】第3実施形態の説明図であって、特に、接合完了後に加圧力が保持されている状態を示す図である。
【図9】図8におけるB部の拡大図であって、特に、スプリングバックによってクランクウェッブとカウンターウェイトとの間に生じた隙間を示す図である。
【図10】図8におけるB部の拡大図であって、特に、スプリングバックが抑止されている状態を示す図である。
【図11】第3実施形態の説明図であって、特に、加圧力の保持時間とジャーナルの真直度との関係を示す図である。
【図12】第4実施形態の説明図であって、特に、Z方向からの視線でクランクウェッブとカウンターウェイトとを見た図である。
【図13】図12におけるC部の拡大図である。
【図14】第4実施形態の説明図であって、特に、Y方向からの視線でクランクウェッブとカウンターウェイトとを見た図である。
【図15】図14におけるD部の拡大図である。
【図16】第5実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程を説明するための図である。
【図17】第5実施形態の説明図であって、特に、曲げ工程による曲げ加工が施されたクランクウェッブを示す図である。
【図18】第5実施形態の説明図であって、特に、溶接工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るクランクシャフトの製造方法を添付した図を参照して説明する。ここでは、自動車用直列4気筒エンジンのクランクシャフトの製造方法について説明する。なお、以下の説明において、図1〜図4に示される座標系に基づき方向を規定する。
本発明の製造方法を用いて製造されるクランクシャフトは、冷間鍛造によって成形されたクランクシャフト本体1のクランクウェッブ2(以下、単にクランクウェッブ2という)に、冷間鍛造によって成形されたカウンターウェイト3を、本発明の製造方法によって接合することで得ることができる。カウンターウェイト3は、弓形に形成される重量体4と、一端部がクランクウェッブ2に接続される接続体5と、に大別されている。なお、カウンターウェイト3の端部とは突起部6と凹部7とを備えた接続体5の一端部を指し、カウンターウェイト3の本体部分とは接続体5の一端部を除く部分を指す。また、図1〜図3におけるカウンターウェイト3は本体部分が簡略化されている。
【0026】
図1〜図3に示されるように、カウンターウェイト3の端部には、突起部6と凹部7とが設けられている。凹部7は、対向する一対の壁面8、9と、XY平面に平行(あるいはジャーナル11の軸線Zに対して垂直)に配置される底面10とを有し、ZX平面における断面が略コ字形に形成される。突起部6は、カウンターウェイト3の端部先端に設けられて、凹部7の底面10に対してZ方向(図1〜図3における左右方向)へ高さhを有している。また、突起部6は、凹部7と壁面8を共有している。これにより、カウンターウェイト3の端部は、図1〜図3に示されるY方向の視線で、略L字形(逆L字形)に形成される。なお、カウンターウェイト3の突起部6の端面6aとクランクウェッブ2の壁面2a(ジャーナル11が接続される側とは反対側の壁面)とを当接させた状態では、クランクウェッブ2の壁面2b(ジャーナル11が接続される側の壁面)とカウンターウェイト3の接続体5の一側面(図1〜図3における左側の側面)とは略同一平面上に位置するように構成されている。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態では、溶接工程において、クランクウェッブ2の端部(図1〜図3における下端部)にカウンターウェイト3の突起部6を抵抗溶接(溶接)によって接合した後、曲げ工程において、抵抗溶接で発生したジュール熱(溶接熱)によって軟化したクランクウェッブ2の端部を、工具13によって曲げてカウンターウェイト3の凹部7に塑性締結させる。ここで、クランクウェッブ2の端部のジャーナル11が接続される側の稜には、クランクシャフト本体1の成形時に、予め、XY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して所定角度θ1(例えばθ1=45°)で傾斜させた面取り形状の受圧面14が形成されている。
【0028】
図2に示されるように、工具13は、プレス装置のラム等に固定される固定部15とXY平面に対して平行に配置される加圧部16とによって構成された略L字形の断面を有する金型である。また、工具13は、加圧部16の端部が固定部15と対向する面を有するようにしてZ方向(図2における右方向)へ僅かに延びており、その端部には、クランクウェッブ2の受圧面14に対して平行に配置された加圧面17が形成されている。次に、第1実施形態を工程別に説明する。
【0029】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部とは、Z方向(図1における左右方向)へ例えば0.3mmだけ重なるとともにX方向(図1における上下方向)へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図1のカウンターウェイト3が破線で示される位置)。なお、固定側電極19は、例えば、クランクウェッブ2におけるクランクピン20が接続される側に当接されている(図1参照)。この状態から、溶接電源によって電極18、19間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイトがX方向(図1における上方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。
【0030】
(曲げ工程)
次に、クランクウェッブ2の端部にカウンターウェイト3が接合された状態のワークをプレス装置の固定治具にセットして、図2に示されるように、加工対象となるクランクウェッブ2の受圧面14に工具13の加圧面17を当接させる。この状態から、ラムの駆動によって工具13をX方向(図2における上方向)へ移動させることにより、クランクウェッブの受圧面14に、X方向の加圧力Fの分力F1を作用させる。これにより、溶接工程におけるジュール熱により軟化されたクランクウェッブ2の端部は、Z方向(図2における右方向)へ塑性流動して、図3に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7に塑性締結され、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間に塑性締結による結合部22が形成される。なお、図4は、図3におけるA−A矢視図であって、クランクウェッブ2の端部にカウンターウェイト3が取付けられた状態を示す。
【0031】
第1実施形態では以下の効果を奏する。
第1実施形態によれば、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程でインターフェレンス抵抗溶接によって接合されるとともに、曲げ工程で塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
また、曲げ工程では、溶接工程で発生したジュール熱によって軟化したクランクウェッブ2の端部を曲げるので、比較的小さい曲げ荷重(加圧力)でクランクウェッブ2の端部を曲げることができ、より能力が低い設備での加工が可能になる。
【0032】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を説明する。なお、上述した第1実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第2実施形態は、カウンターウェイト3の加圧面9(第1実施形態における壁面9)によってクランクウェッブ2の端部を曲げることにより、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことができるように構成したものである。
図5に示されるように、クランクウェッブ2の端部は、壁面2a(ジャーナル11が接続される側とは反対側の壁面)がXY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して傾斜角度θ2で傾斜されることにより、壁面2aと壁面2b(ジャーナル11が接続される側の壁面)とによってテーパー形状に形成される。
【0033】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部とは、Z方向へ例えば0.3mmだけ重なるとともにX方向へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図6のカウンターウェイト3が破線で示される位置)。この状態から、溶接電源によって電極18、19(図1参照)間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。なお、図6では、固定側電極19の図示を省略している。
【0034】
(曲げ工程)
インターフェレンス抵抗溶接の過程、すなわち、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ所定距離だけ移動された時点で、クランクウェッブ2の端部先端がカウンターウェイト3の加圧面9に突合せされる。すると、クランクウェッブ2の端部は、インターフェレンス抵抗溶接によるジュール熱によって軟化されているのに加えて、壁面2a側が肉盗みされて先細り形状(テーパー形状)に形成されていることにより、図6に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7側(図6)へ塑性変形される(曲げられる)。さらに、カウンターウェイト3がX方向(図6における上方向)へ移動されることにより、クランクウェッブ2の端部は、凹部7へ向けて塑性流動し、その結果、図7に示されるように、カウンターウェイト3の凹部7に塑性締結され、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間に塑性締結による結合部22が形成される。
【0035】
第2実施形態では以下の効果を奏する。
第2実施形態によれば、上述した第1実施形態が奏する効果に加えて、可動側電極18がカウンターウェイト3を押圧する力(加圧力)によって曲げ荷重を得ることができるので、溶接工程と曲げ工程とを並行して行うことが可能になる。さらに、溶接工程と曲げ工程との間でワーク(クランクシャフト)を移動させる必要がないので、第1実施形態と比較して、生産性を大幅に向上させることができる。
また、上述した第1実施形態では、スペースの制約から工具13の剛性を確保することが困難であったが、第2実施形態では、カウンターウェイト3に加圧面9を設けたことにより、工具13に関する問題点を解消することができる。
さらに、第2実施形態では、上述した第1実施形態と比較して、カウンターウェイト3の凹部7により多くのクランクウェッブ2の材料を塑性流動させることが可能になり、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との塑性締結による結合力をより向上させることができる。
【0036】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を説明する。なお、上述した第1および第2実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第3実施形態は、上述した第2実施形態と基本的にその手順(溶接工程および曲げ工程)が同一であるが、クランクウェッブ2の端部の曲げが完了後、図8に示されるように、可動側電極18がカウンターウェイト3を押圧する力(加圧力)を一定時間保持するように構成したものである。なお、図8では、可動側電極18および固定側電極19の図示を省略している。
【0037】
第3実施形態では以下の効果を奏する。
上述した第2実施形態では、曲げが完了した直後にクランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力を抜いてしまうと、図9に示されるように、クランクウェッブ2のスプリングバックによって、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の加圧面9との間に隙間が生じる。その結果、クランクウェッブ2の端部の熱の大部分がジャーナル11に伝達されることに起因して、ジャーナル11に熱歪が生じることにより、ジャーナル11の真直度が悪化する。
第3実施形態では、上述した第2実施形態が奏する効果に加えて、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力を曲げが完了してから一定時間保持することにより、図10に示されるように、クランクウェッブ2の端部のスプリングバックを抑止して、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の凹部7との間に隙間が発生することを防止することができる。これにより、クランクウェッブ2の端部の熱をカウンターウェイト3へ効率的に逃がすことが可能になり、ジャーナル11の熱歪に起因する真直度の悪化が抑止される。その結果、極めて高い精度のクランクシャフトを得ることができる。
なお、図11に示されるように、ジャーナル11の真直度は、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3との間の加圧力の保持時間が長い程高くなる。しかしながら、加圧力の保持時間が長くなるとその分工数が増えるので、加圧力の保持時間は、要求される精度(ジャーナル11の真直度)と生産性とを考慮して適宜設定することが望ましい。
【0038】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を説明する。なお、上述した第1〜第3実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第4実施形態は、上述した第2および第3実施形態と基本的にその手順(溶接工程および曲げ工程)が同一であるが、図12〜図14に示されるように、壁面(加圧面)9にノッチ23が形成されたカウンターウェイト3を用いる点が相違する。
ノッチ23は、カウンターウェイト3の壁面9のZ方向の一側(図14における左側)に2つの角部、すなわち、Y方向(図12における左右方向)に一対で設けられている。各ノッチ23は、牙のようにX方向(図12および図14における上方向)へ突出させて形成されており、曲げ工程において、塑性流動されたクランクウェッブ2に結合されるように構成されている。
なお、本発明の第4実施形態においても、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間は、インターフェレンス抵抗溶接によって接合部21が形成される。
【0039】
第4実施形態では以下の効果を奏する。
第4実施形態では、上述した第2および第3実施形態が奏する効果に加えて、塑性流動させたクランクウェッブ2の端部をカウンターウェイト3の各ノッチ23に結合させたことにより、カウンターウェイト3のクランクウェッブ2に対するY方向(図12における左右方向)およびZ方向(図12における左右方向)の抜けをより確実に防ぐことができる。
【0040】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を説明する。なお、上述した第1〜第4実施形態と同一あるいは相当する構成については、同一の名称および符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。第5実施形態は、クランクウェッブ2の端部を工具24によって曲げ加工した後、該クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の端部とを接合させるように構成したものである。
図16に示されるように、工具24は、XY平面(ジャーナル11の軸直角平面)に対して所定角度θ3(例えばθ3=45°)で傾斜した第1加圧面24aと、該第1加圧面24aに連続してYZ平面上に配置される第2加工面24bとを備える。また、工具24は、例えばプレス装置の金型ホルダに取り付けられてX方向(図16における上下方向)へ駆動される。
【0041】
(曲げ工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具(プレス装置側)によって固定する。この状態で、工具24をX方向(図16における上方向)へ移動させると、クランクウェッブ2の端部先端に工具24の第1加圧面24aが突合せされる。そして、工具24の第1加圧面24aで、クランクウェッブ2の端部を、X方向(ジャーナル11の軸線Zに対して直交する方向)へ加圧する。これにより、第1加圧面24aに対して垂直な方向の加圧力F(荷重)の分力F2がクランクウェッブ2の受圧面14に作用し、クランクウェッブ2の端部は、第1加圧面24aに沿ってZ方向側(図16における右側)に曲がる。引き続き、クランクウェッブ2の端部を工具24の第2加圧面24bによって加圧することにより、クランクウェッブ2の端部を第2加圧面24bに沿わせてZ方向へ曲げて、図17に示されるように、略L字形に形成する。
【0042】
(溶接工程)
まず、クランクシャフト本体1を固定治具(溶接装置側)に固定するとともに、カウンターウェイト3をインターフェレンス抵抗溶接装置の可動側電極18に固定する。この状態では、カウンターウェイト3の突起部6とクランクウェッブ2の端部(Z方向へ曲げられた先端部分)とは、X方向(図18における上下方向)へ例えば0.3mmだけ重なるとともにZ方向(図18における左右方向)へ所定の間隔をあけるようにして相対位置決めされる(図18のカウンターウェイト3および可動側電極18が破線で示される位置)。なお、固定側電極19は、クランクウェッブ2の端部のジャーナル11が接続された側の壁面2bに当接されている(図18参照)。
【0043】
この状態から、溶接電源によって電極18、19間へ溶接電流が供給されるとともに、可動側電極18の駆動によってカウンターウェイトがZ方向(図18における左方向)へ移動される。これにより、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との干渉部分が発熱し、クランクウェッブ2の端部とカウンターウェイト3の突起部6との間にインターフェレンス抵抗溶接による接合部21が形成される。さらに、カウンターウェイト3とインターフェレンス抵抗溶接で発生したジュール熱によって軟化されたクランクウェッブ2の端部とが、可動側電極18によるZ方向の加圧力によって加圧されることにより、クランクウェッブ2の端部がカウンターウェイト3の凹部7に塑性締結された結合部22が形成される。
【0044】
第5実施形態では以下の効果を奏する。
第5実施形態によれば、クランクウェッブ2とカウンターウェイト3とは、溶接工程でインターフェレンス抵抗溶接によって接合されるとともに塑性締結によって結合されるので、仮に、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21が破壊された場合であっても、塑性締結による結合部22によってカウンターウェイト3がクランクウェッブ2から分離してしまうことを防ぐことができる。言い換えると、塑性締結による結合部22によって、インターフェレンス抵抗溶接による接合部21をバックアップすることができる。これにより、クランクシャフトに要求される高い性能および信頼性を確保することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 クランクシャフト本体、2 クランクウェッブ、3 カウンターウェイト、6 突起部、7 凹部、11 ジャーナル、21 接合部、22 結合部、23 ノッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、
前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出して前記クランクウェッブの端部に溶接される突起部と、該突起部が溶接された前記クランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させる溶接工程と、
前記クランクウェッブの端部先端を加圧することで、前記溶接工程で発生した溶接熱によって軟化された状態の前記クランクウェッブの端部を、前記ジャーナルの軸線方向へ曲げて前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、
を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項2】
前記クランクウェッブの端部の、前記カウンターウェイトの突起部が接合される側とは反対側の稜に、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた受圧面を設けておいて、
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの受圧面を、工具の加圧面で加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を、前記カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項3】
前記クランクウェッブの端部の、前記カウンターウェイトの突起部が接合される側の面を、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させて、前記クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成すると共に、前記カウンターウェイトの凹部に、前記クランクウェッブの端部先端が突合せされる加圧面を設けておいて、
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの端部先端を、前記カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を、前記カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項4】
前記曲げ工程の完了後、前記クランクウェッブと前記カウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項5】
前記溶接工程では、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によって前記クランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項6】
前記溶接工程では、前記カウンターウェイトが電極によって前記ジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項7】
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接しながら、前記クランクウェッブの端部先端を、前記カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項8】
前記カウンターウェイトの加圧面にノッチを設けておいて、
前記曲げ工程では、塑性流動させた前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトのノッチに結合させることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項9】
クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、
前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部と、前記クランクウェッブの端部を臨む凹部とを設けておいて、
前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ加圧して、前記曲げ工程で前記ジャーナルの軸線方向へ曲げられた前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、前記溶接で発生した溶接熱によって軟化された前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる溶接工程と、
を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項10】
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの端部先端を、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた工具の加圧面で加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げることを特徴とする請求項9に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項11】
前記溶接工程の完了後、前記クランクウェッブと前記カウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする請求項9または10に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項12】
前記溶接工程では、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によって前記クランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項13】
前記溶接工程では、前記カウンターウェイトが電極によって前記ジャーナルの軸線方向へ加圧されて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項1】
クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、
前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出して前記クランクウェッブの端部に溶接される突起部と、該突起部が溶接された前記クランクウェッブの端部先端を臨む凹部と、を設けておいて、
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させる溶接工程と、
前記クランクウェッブの端部先端を加圧することで、前記溶接工程で発生した溶接熱によって軟化された状態の前記クランクウェッブの端部を、前記ジャーナルの軸線方向へ曲げて前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる曲げ工程と、
を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項2】
前記クランクウェッブの端部の、前記カウンターウェイトの突起部が接合される側とは反対側の稜に、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた受圧面を設けておいて、
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの受圧面を、工具の加圧面で加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を、前記カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項3】
前記クランクウェッブの端部の、前記カウンターウェイトの突起部が接合される側の面を、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させて、前記クランクウェッブの端部をテーパー形状に形成すると共に、前記カウンターウェイトの凹部に、前記クランクウェッブの端部先端が突合せされる加圧面を設けておいて、
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの端部先端を、前記カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を、前記カウンターウェイトの凹部へ向けて塑性流動させることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項4】
前記曲げ工程の完了後、前記クランクウェッブと前記カウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項5】
前記溶接工程では、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によって前記クランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項6】
前記溶接工程では、前記カウンターウェイトが電極によって前記ジャーナルの軸線に対して垂直な方向へ加圧されて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項7】
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接しながら、前記クランクウェッブの端部先端を、前記カウンターウェイトの加圧面によって突合せ方向へ加圧することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項8】
前記カウンターウェイトの加圧面にノッチを設けておいて、
前記曲げ工程では、塑性流動させた前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトのノッチに結合させることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項9】
クランクウェッブとカウンターウェイトとを接合してクランクシャフトを製造する方法であって、
前記カウンターウェイトの端部に、ジャーナルの軸線方向へ突出する突起部と、前記クランクウェッブの端部を臨む凹部とを設けておいて、
前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げる曲げ工程と、
前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ加圧して、前記曲げ工程で前記ジャーナルの軸線方向へ曲げられた前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とを溶接によって接合させながら、前記溶接で発生した溶接熱によって軟化された前記クランクウェッブの端部を前記カウンターウェイトの凹部に塑性締結させる溶接工程と、
を含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
【請求項10】
前記曲げ工程では、前記クランクウェッブの端部先端を、前記ジャーナルの軸直角平面に対して傾斜させた工具の加圧面で加圧することにより、前記クランクウェッブの端部を前記ジャーナルの軸線方向へ曲げることを特徴とする請求項9に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項11】
前記溶接工程の完了後、前記クランクウェッブと前記カウンターウェイトとの間の加圧力を一定時間保持することを特徴とする請求項9または10に記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項12】
前記溶接工程では、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とが抵抗溶接によって接合されて、該抵抗溶接で発生したジュール熱によって前記クランクウェッブの端部を軟化させることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【請求項13】
前記溶接工程では、前記カウンターウェイトが電極によって前記ジャーナルの軸線方向へ加圧されて、前記クランクウェッブの端部と前記カウンターウェイトの突起部とがインターフェレンス抵抗溶接されることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のクランクシャフトの製造方法。
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【図4】
【図5】
【図7】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【公開番号】特開2012−97888(P2012−97888A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248635(P2010−248635)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]