クリップ
【解決手段】 部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、把持部(A1及びA2)、支点部(B)、並びに、鰐口部(C1及びC2)から構成される基本構造を有し、負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)が支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回し、エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、ゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落さず柔らかく挟持する機能を発揮するクリップ。
【効果】 複数の部品の組み立てが不要で、部品の脱落・故障が解消する。
【効果】 複数の部品の組み立てが不要で、部品の脱落・故障が解消する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、書類(紙、カード等)、洗濯物、衣類等を挟持するクリップに関し、特に、外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップに関する。本願発明に係るクリップの製造方法は、特に制限されるものではないが、一体成形法が好ましく採用される。
【背景技術】
【0002】
クリップは、一般的には、家庭用や事務用の生活必需品として使用される。
家庭においては、洗濯物を挟む洗濯ばさみとしてのクリップ、クローゼット内の衣類をハンガーや衣紋掛けに固定するためのクリップ、スナック菓子等の湿気ったり虫が入り込んだりしやすい食品を収納しているポリ袋の口を閉じるためのクリップ、オフィスにおいては、書類を挟むためのクリップ等として広く使用されている。
【0003】
従来の技術におけるクリップは、少なくとも、以下の(1) 〜(8) の8つの技術的な課題があった。
(1) 複数の部品から組み立てられているがために部品が脱落・故障して壊れやすい場合がある。
(2) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために怪我の原因となったり使用する上で恐怖感・圧迫観を及ぼす場合がある。
(3) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品・硬質プラスチック製部品等の硬質の材質が使用されているがために被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまう場合がある。
(4) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために軽量化・省スペース化・コンパクト化が困難な場合がある。
(5) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作のために過大な力が求められて弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)には使用に困難や疲労が伴う場合がある。
(6) 複数の部品から組み立てられていたり、構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザイン・機能を採用することが困難な場合がある。
(7) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作の繰り返し操作により、金属疲労や応力集中に起因し、突然にバネが破断・折損する場合がある。
(8) 鰐口部(挟持部)に金属製部品・硬質プラスチック等の摩擦係数が低い材質が使用されているがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまう場合がある。
しかしながら、従来の技術においては、これらの8つの技術的な課題を全て解決したクリップが存在しなかった。
【0004】
[特許文献1(特開2001−88482号公報)]
特許文献1(特開2001−88482号公報)には、複数の部品から組み立てられている従来の技術における典型的なクリップが開示されている。
当該クリップについては、上記した8つの技術的課題の全てについて必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2001−88482号公報には、組立作業が容易で、製造コストを低減できるクリップが開示されている。当該クリップは、一方のクリップ片(11)の軸部(11c)先端の突起(11e)を他方のクリップ片(11)の軸部(11d)先端の凹面(11f)に遊嵌し、両クリップ片(11)の底辺を掴んで押さえ付けるという構造を有する。
このような構造を採用することにより、両クリップ片(11)が向かい合い、両クリップ片(11)の対向する大径溝(11h)、小径溝(11i)及び筒部(11j)が所定の間隔に保持されるので、この状態で、治具によりピン形バネ(12)の両端を所定の間隔に広げ、そのまま大径溝(11h)から穴(11k)に差し込むことができる。
これにより、一対のクリップ片(11)が軸部(11c、11d)の先端部を支点にして回動可能に一対のバネ(12)で連結されると共に、両クリップ片(11)の底辺がバネ(12)の力で互いに圧接する。
従って、クリップを組み立てるとき、クリップ片保持用の治具を使わなくても、突起と凹面の嵌合により両クリップ片を位置決め固定でき、バネ保持用の治具を使うだけで組み立てることができるので、組立作業が簡単になり製造コストを低減できる。
また、クリップ片を保持する治具を使う場合でも、一方のクリップ片の突起を他方のクリップ片の凹部に嵌合することにより両クリップ片を位置決めできるので、治具の構造が簡単になり、治具へのクリップ片の装着も容易になる。
【0005】
[特許文献2(実登3098764号公報)]
特許文献2(実登3098764号公報)には、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、特許文献2及び特許文献3に開示されている、部品のない樹脂製のワンピース(1体)タイプのクリップは、材質がポリカーボネートである。ポリカーボネートは、安全帽(ヘルメット)や自動車のヘッドランプレンズ等に使用される極めて耐衝撃性・透明性・高弾性に優れるエンジニアリングプラスチックである。それゆえ、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 、(2) 及び(6) については解決されているが、(3) 、(4) 、(5) (7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
実登3098764号公報には、ポリカーボネート等のプラスチックを一体に成型してなり、該クリップ(2)の二辺下端へ綴じ部(22、23)を設け、該クリップ 部の下方は相対するように外側へ向かって開いており(24)、その中一辺の綴じ部(22)の内側面へ溝(25)を設け、別の一辺の相対する綴じ部(23)内側面には突起(26)を設け、該溝と突起は面と面を互いに噛み合せて接触する構造とするクリップが開示されている。
当該クリップは、綴じる力が強く、軽量であって、生産生が高く、コストを削減し、再利用できるため環境保護になるという効果を奏する。
【0006】
[特許文献3(実登3098765号公報)]
特許文献3(実登3098765号公報)には、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、特許文献2及び特許文献3に開示されている、部品のない樹脂製のワンピース(1体)タイプのクリップは、材質がポリカーボネートである。ポリカーボネートは、安全帽(ヘルメット)や自動車のヘッドランプレンズ等に使用される極めて耐衝撃性・透明性・高弾性に優れるエンジニアリングプラスチックである。それゆえ、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 、(2) 及び(6) については解決されているが、(3) 、(4) 、(5) (7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
実登3098765号公報には、主としてポリカーボネートにより一体成形したプラスチックからなり、クリップ の二辺下端に綴じ部を設け、該綴じ部下方は相対して外側へ向かって開いており、その内一辺の綴じ部内側面に溝を設け、相対する別の一辺の綴じ部内側面に突起を設け、該溝と突起は面と面を互いに噛みあって接触し、この綴じ部の溝と突起との噛み合いにより、綴じ部の接触面積を確保して書類の綴じ力を向上したことを特徴とする、ポリカーボネート製クリップが開示されている。
当該クリップは、綴じる力が強く、軽量であって、生産生が高く、コストを削減し、再利用できるため環境保護になるという効果を奏する。
【0007】
[特許文献4(特開2003−237269号公報)]
特許文献4(特開2003−237269号公報)にも、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、これらの公報については、実施可能要件(成形方法、成形条件(金型温度、成形サイクル等)、合成樹脂の種類・フォーミュレーション、実施例等)が開示されておらず、技術的内容については漠然としている。開示されている技術内容からは、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 〜(4) 及び(6) については解決されているが、(5) 、(7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2003−237269号公報には、一対のU字状の挟持片(1,1)をその両端基部(3)で連結させて対向し、前記両挟持片(1)の先端部(2)中程から、基部(3)に向かって取り付けられた一対の把持片(4,4)から構成されるクリップが開示されている。
挟持片(1)にはU字状の切り欠き部があり、前記一対の把持片(4,4)は、切り欠き部の中央部を通るようにして対向され、双方近づけても挟持片(1)に当たらないので、基部(3)の厚さにかかわらず、一対の把持片(4)を接近させてクリップの厚さを薄くすることができる。
また、一対の把持片(4,4)の接触によって先端部(2)の過大な開放を防ぐことができる。
一方、製造の際には挟持片(1)を平行に鋳込み、型抜きし易い形態とし、型抜き後の素材の自然収縮を利用して一対の挟持片(1,1)の先端を近づける。
当該クリップは、クリップを構成する部材である挟持片とそれに接続する把持片の形状の改良により、クリップを薄くするという効果、不必要に過大な開放操作による挟持片の疲労を防ぐことができるという効果を奏する。
また、合成樹脂一体成形の際、金型成形が困難である先端部形状の形成を素材の硬化時の自然収縮により可能とし、製造工程を容易にするという効果を奏する。
【0008】
[特許文献5(特開2000−351292号公報)]
特許文献5(特開2000−351292号公報)にも、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、これらの公報については、実施可能要件(成形方法、成形条件(金型温度、成形サイクル等)、合成樹脂の種類・フォーミュレーション、実施例等)が開示されておらず、技術的内容については漠然としている。開示されている技術内容からは、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 〜(4) 及び(6) については解決されているが、(5) 、(7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2000−351292号公報には、取り扱いが容易であり、対象物の保持力が高く、対象物の損傷を防止し得ると共に製造も容易で安価なクリップが開示されている。
当該クリップは、対象物を挟持するためのものであって、先端で対象物を挟持するべくその中間支持部で相対的に傾動可能に支持された一対のアーム部と、前記各アーム部同士をその中間部で支持する支持部と、前記各アーム部先端側を互いに近接する方向に付勢するべく前記中間支持部と前記両アーム部先端側との間に画定された隙間に受容された金属ばねとを有し、前記金属ばねが、略四角形の金属の板材が互いに平行な2辺が近接して対向すると共に前記板材の弾性により前記対向する2辺が近接する方向に付勢されるように曲げ加工された金属クリップ からなることを特徴とするものである。
上記した説明により明らかなように、本願発明によるクリップによれば、一対のアームを傾動可能に支持してなる樹脂クリップに金属クリップをばねとして受容することで、対象物の高い保持力を確保しつつ対象物の損傷を防止でき、更に取り扱いが容易であり、構造も単純で、製造も容易になり、そのコストも低廉になる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−88482号公報
【特許文献2】実登3098764号公報
【特許文献3】実登3098765号公報
【特許文献4】特開2003−237269号公報
【特許文献5】特開2000−351292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明が解決しようとする課題は、少なくとも、以下の(1) 〜(8) の8つの技術的な課題を同時に併せて解決することである。
(1) 複数の部品から組み立てられているがために部品が脱落・故障して壊れやすい場合がある。
(2) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために怪我の原因となったり使用する上で恐怖感・圧迫観を及ぼす場合がある。
(3) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品・硬質プラスチック製部品等の硬質の材質が使用されているがために被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまう場合がある。
(4) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために軽量化・省スペース化・コンパクト化が困難な場合がある。
(5) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作のために過大な力が求められて弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)には使用に困難や疲労が伴う場合がある。
(6) 複数の部品から組み立てられていたり、構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザイン・機能を採用することが困難な場合がある。
(7) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作の繰り返し操作により、金属疲労や応力集中に起因し、突然にバネが破断・折損する場合がある。
(8) 鰐口部(挟持部)に金属製部品・硬質プラスチック等の摩擦係数が低い材質が使用されているがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[請求項1] 外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、
基本構造として、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造を有し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により開放する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で減じたときには、
クリップの内部からの復元力(F2)により、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が閉止する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により閉止する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で除いたときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、
鰐口部(C1及びC2)で被挟持物を挟み込むときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)が具備するゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップ。
【0012】
[請求項2] 「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造」が、
「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成され、かつ、コア部としてプラスチック樹脂、及び、シェル部(スキン部)としてエラストマー樹脂を含んで構成されるコア/シェル(コア/スキン)構造を有する基本構造」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0013】
[請求項3] 「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造」が、
「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成され、かつ、プラスチック樹脂が表面部材、及び、エラストマー樹脂が芯部材を含んで構成されるサンドイッチ構造を有する基本構造」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0014】
[請求項4] 「外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し」が、
「外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、さらに、内部構造としても、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の内部構造を有し」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0015】
[請求項5] エラストマー樹脂及び/又はプラスチック樹脂が、シリコーン樹脂である請求項1乃至4の何れかに記載したクリップ。
【0016】
[請求項6] プラスチック樹脂が、ポリカーボネート樹脂及び/又はシリコーン樹脂である請求項1乃至5の何れかに記載したクリップ。
【発明の効果】
【0017】
一般的なクリップ(事務用クリップ、洗濯ばさみ等が複数の部品から構成されるのとは対照的に、本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)である。
本出願の発明に係るクリップは、以下の(1) 〜(8) に示す効果を同時に併せて発揮する。
(1) 基本構造として、無部品(no mechanical parts)の樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するために、複数の部品を組み立てる必要がなく、部品が脱落・故障して壊れやすいというリスクを解消又は低減することができる。
(2) 構成部品として金属製部品の使用を回避することにより怪我のリスク心理面・精神面における恐怖感・圧迫観というネガティブ効果を解消又は低減することができる。
(3) 鰐口部にエラストマー樹脂材料を採用することにより被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまうというリスクを解消又は低減することができる。
(4) 構成部品として金属製部品の使用を回避することにより軽量化・省スペース化・コンパクト化を実現することができる。
(5) バネ部品としてバネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品の使用を回避することにより開閉操作のために過大な力が不要となり弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)にとっても使用が容易となり疲労の追放を実現することができる。
(6) 基本構造として、無部品(no mechanical parts)の樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザインの採用を実現することができる。
(7) バネ部品としてバネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品の使用を回避することにより、金属疲労や応力集中に起因する突然のバネの破断・折損のリスクを解消又は低減することができる。
(8) 鰐口部(挟持部)として摩擦係数が低い材質(金属製部品・硬質プラスチック等)の使用を回避し、エラストマー樹脂材料を採用するがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまうリスクを解消又は低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本願発明に係るクリップは、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)から構成される基本構造を有し、クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、ゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップである。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念は、使用温度(通常は、室内温度や屋外温度であって、例えば、温帯の春期・夏期・秋期においては、10〜40℃程度、温帯の冬季においては−10〜20℃程度、冷凍冷蔵庫内で有れば−20〜±0℃程度。)においてゴム弾性を有する樹脂であって、一般的には、ガラス転移温度(Tg)が使用温度よりも低い樹脂である。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念には、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)を包含する。
エラストマー樹脂としては、シリコーン樹脂(シリコーンエラストマー)、天然ゴム、合成ゴム、イソプレン、ネオプレン(登録商標)、熱硬化性エラストマー、加硫エラストマー、熱可塑性エラストマー、S−B−S(スチレン−ブタジエン−スチレン)型三元ブロック共重合体、カリフレックス(登録商標)、ポリウレタン、硬質発泡ポリウレタン、軟質発泡ポリウレタン、スパンデックス(登録商標)等が好ましく使用される。
【0019】
本出願の願書に添付した書面において使用する『プラスチック』又は『プラスチック樹脂』なる用語の概念は、使用温度(通常は、室内温度や屋外温度であって、例えば、温帯の春期・夏期・秋期においては、10〜40℃程度、温帯の冬季においては−10〜20℃程度、冷凍冷蔵庫内で有れば−20〜±0℃程度。)においてゴム弾性を有する樹脂であって、一般的には、ガラス転移温度(Tg)が使用温度よりも高い樹脂である。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念には、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)を包含する。
本出願の願書に添付した書面において使用する『プラスチック』又は『プラスチック樹脂』なる用語の概念には、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を包含し、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック(機能性プラスチック、高性能性プラスチック,エンプラ)、スーパーエンジニアリングプラスチック(新機能性プラスチック)、2種類以上のプラスチックを混合したプラスチックの混合体(プラスチックアロイ、ポリマーアロイ)を包含する。
プラスチック樹脂としては、シリコーン樹脂(シリコーンプラスチック)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、生分解性プラスチック(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等)等が好ましく使用される。
【0020】
[基本構造と基本機能]
本願発明に係るクリップの基本構造と基本機能を図1〜図6に示した。
図1に、本願発明に係るクリップの構造と機能の概要を示した。
図1に、本願発明に係るクリップにおける把持部(A1、A2)、支点部(B)、鰐口部(C1、C2)を示した。
図2に、本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を開く過程を示した。
図3に、本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を閉じ、被挟持物を鰐口部(挟持部)で挟み込む過程を示した。
図2〜図3に、本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開き、力を解除すると鰐口部が閉じて、洗濯物や書類を挟み込む。
図4に、本願発明に係るクリップのサイズの具体例を示した。
図5に、本願発明に係るクリップの使用方法の具体例を示した。
図6に、本願発明に係るクリップの彩色の具体例を示した。
【0021】
[外部構造(外観構造)]
本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品である。本願発明に係るクリップは、ワンピースなので、部品がなく壊れにくく、エラストマー製なので柔らかく優しい。本願発明に係るクリップは、カラフルで柔らかいので、ヒール効果により心和み、洗濯ばさみとしてはもちろん、クローゼット、事務用クリップ、アート、トイ、ゲーム等のあらゆるシーンで活躍し、家庭、オフィス、学校、あらゆるシーンで、素敵に可愛く際立つ。
図6に示されてはいないが、表層を構成する部材として、透明又は半透明の素材を使用することにより、スケルトンとすることもできる。
表層を構成する部材を含む全ての素材に、透明又は半透明の素材を使用することにより、全体を透明又は半透明とすることもできる。
本願発明に係るクリップの実施例1〜実施例5の外観につき、図7に正面図を、図8に背面図を、図9に右側面図を、図10に左側面図を、図11に平面図を、図12に底面図を、それぞれ、示した。
6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)の表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【0022】
[内部構造]
本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)であるが、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、ワンピースであっても、ツーピースであっても、スリーピースであっても、又はフォーピース以上であっても構わない。
本願発明に係るクリップは、把持部(A1、A2)の内部がプラスチック特性かつ外部がエラストマー特性を有し、支点部(B)の内部がプラスチック特性及び/又はエラストマー特性かつ外部がエラストマー特性、鰐口部(C1、C2)の内部がプラスチック特性及び/又はエラストマー特性かつ外部がエラストマー特性を有するものであれば、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、ワンピースであっても、ツーピースであっても、スリーピースであっても、又はフォーピース以上であっても構わない。
本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)であるが、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、好ましくはスリーピース、より好ましくはツーピース、さらに好ましくはワンピースである。
本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品であることから、洗濯物や書類等を挟み込む鰐口部も、指で力を負荷する把持部も滑りにくい樹脂製(エラストマー樹脂)であることから、適度に柔らかく、適度に摩擦係数が高いために、滑りにくい。
したがって、主婦のみならず、弱者(子供、高齢者、心身障害児、心身障害者等)も、本願発明に係るクリップを好適に使用することができる。
鰐口部は、適度に柔らかく、適度に摩擦係数が高いために、被挟持物(洗濯物等)に優しく、干し終わった洗濯物にクリップで挟んだ痕跡を残しにくい。
本願発明に係るクリップは、支点部のエラストマー素材のゴム弾性及び/又は支点部に内在するプラスチック素材のバネ弾性を利用して、洗濯物や書類等を鰐口部で挟み込むことができる。
【0023】
[型内重合方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観のみならず、内部構造までもワンピースとして製造するための具体例としては、例えば、鋳型又は金型内にモノマーを注入し、把持部(A1、A2)、支点部(B)及び鰐口部(C1、C2)の外部はエラストマー特性が発現するように、そして、把持部(A1、A2)(場合により、支点部(B)及び鰐口部(C1、C2))の内部はプラスチック特性が発現するように、架橋剤や触媒を偏在させて、型内重合する方法を挙げることができる。
【0024】
[異種樹脂成形方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観においてはワンピースであるが、内部構造においては各ピースが剥離することなく強固に接着しているツーピース構造又はスリーピース構造として製造するための好ましい具体例としては、例えば、エラストマー樹脂とプラスチック樹脂の異種樹脂成形方法を挙げることができる。
前記異種樹脂成形方法については、例えば、特開平11−058440号(射出成形装置および射出成形品並びにその成形方法〔有限会社サンヨー精工〕)に開示されている。
【0025】
[インサート(アウトサート)成形方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観においてはワンピースであるが、内部構造においては各ピースが剥離することなく強固に接着しているツーピース構造又はスリーピース構造として製造するための他の具体例としては、例えば、インサート(アウトサート)成形方法を挙げることができる。
インサート(アウトサート)成形方法については、例えば、株式会社山城精機製作所ホームページ(http://www.sanjo.co.jp/explain/insert.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『インサート(アウトサート)成形の効用 インサート成形とは、金型内にインサート品を装填した後、樹脂を注入してインサート品を溶融樹脂で包んで固化させ、一体化した複合部品を作る工法です。アウトサート成形とは、樹脂をアウトサート品の一部に成形で付着固定させて一体化して複合部品を作る工法です。樹脂が包むか、一部に付着するかの違いで本質的な違いはありません。この工法には次のような効用があります。樹脂の成形容易性、可撓性などと金属の剛性、強度、耐熱性などを組み合わせて、相互補完して丈夫で複雑精巧な部品を作れます。特に、樹脂の絶縁性と金属の導電性を組み合わせて、電気機器の基本機能を実現する部品を作れます。複数の部品(インサート品)を成形で組み立ててしまうことで、次工程のユニットの組立を合理化できます。(10、参照)インサート品は、金属に限らず、布、糸、紙、電線コード、プラスチック、ガラス、木材、コイル類、素子類などのエレクトロニクスなど、多様なものが可能で多様な複合部品を作れます。剛体の成形品や部品に可撓性、弾力性のあるゴムガスケットをアウトサート成形で一体化すれば、整列の難しいパッキンの扱いが無くなり、次工程の自動組立が容易になります。溶融樹脂で金属部品を包みますので、圧入に比べて金属パーツのピッチを狭くできて信頼性の高い複合部品が作れます。樹脂を選択し、成形条件を工夫すれば、多くの場合変形破損し易い部品(ガラス、コイル、素子など)でも樹脂で封止、固定できます。金型構造を工夫すれば、形状によってはインサート部品を完全に樹脂内に封じ込めることも出来ます。インサート品を成形後に消失(ロストコア)させて、中空アンダカットのある成形品を作ることもできます。』
と解説されている。
この解説における『樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『インサート品』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0026】
[コ・インジェクション成形方法]
本願発明に係るクリップは、コ・インジェクション成形方法により、製造することもできる。コ・インジェクション成形方法については、例えば、株式会社山城精機製作所ホームページ(http://www.sanjo.co.jp/explain/coinj.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『コ・インジェクション成形機とは、サンドウイッチ成形とか、2重成形とも言われ、2種類の樹脂を一つのノズルから時間差を持たせて射出する成形機です。最初に射出した樹脂が成形品の表皮(スキン)を形成し、後から射出する樹脂で芯部(コア)を形成します。したがって、後からの樹脂には、リサイクル原料を使用して原料コストを削減したり、発泡剤を入れて発泡させることで、厚肉品を”引け”なく成形できます。(成形品固化時間が長くなりますので、ロータリー型締め装置で複数金型を使用することもあります)コ・インジェクション成形品は芯部も樹脂が充填されますので、ガス・インジェクション成形品のように局部的に表面剛性が低くなることがありません。2組の横形射出ユニットを備えた多色成形も可能な成形法で2種類の材料を順々に射出して、射出シリンダー(A)から表面に硬いスキン層を構成する材料を、射出シリンダー(B)からは内面に低密度のコア層を構成する発泡剤添加材料を射出する、サンドイッチ射出成形で、射出のタイミングや両材料の供給量を調整すると、芯層のみ発泡した軽くて剛性の大きい(腰の強い)ヒケのない寸法精度の優れた製品が得られます。特に、電気製品のハウジングやファンなど、厚肉で偏肉しているような射出成形品では厚肉部にヒケやシンクマークが発生しやすいが、このCO−INJECTION法(日本ではサンドイッチ射出法と言われている)を用いれば大幅に改善されます。』
と解説されている。
この解説における『表皮(スキン)』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『芯部(コア)』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
コ・インジェクション成形方法については、特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai07/1/1-5-4.htm)にも『コ・インジェクション法(サンドイッチ法)』としても開示されている。
この解説における『スキン層(表面層)となる樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『コア層(内面層)となる発泡性樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』及び/又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0027】
[ハーフシェル成形方法]
本願発明に係るクリップは、ハーフシェル成形方法に準じたプロセスにより、製造することもできる。ハーフシェル成形方法については、特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/golf_ball/page187.htm)にも開示されている。この解説における『ハーフシェル』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『コア』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』及び/又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0028】
[アウトサート成形方法]
本願発明に係るクリップは、アウトサート成形方法により、製造することもできる。アウトサート成形方法については、例えば、株式会社プラストホームページ(http://www.plast.ne.jp/company/mame_seikei_yogo.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『(1)プラスチック成形品に金属製ブッシュなどの部品を圧入し一体化させること。成形後、金型外で金属部品を挿入することから名づけられた和製用語である。(2)金型中に金属部品を挿入して金属入り樹脂製品を成形する(インサート成形)と区別して、それよりも大型の金属板上に小さなプラスチック部品を成形する方法のことをいう場合もある。金属板は合わせ用のピンで金型に保持され、樹脂は金属板にあらかじめ開けられた穴を通って射出される。』
と解説されている。
この解説における『プラスチック』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『金属製ブッシュなどの部品』や『金属』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0029】
[RIM成形方法]
上述した成形方法には、RIM成形技術を併せて応用することもできる。RIM成形方法については、特許庁ホームページ(https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai07/1/1-5-7.htm)にも開示されている。
【0030】
[実施例1]
図13に、本願発明に係るクリップの実施例1の断面図を示した。
サンドイッチ構造異種樹脂成形によりクリップを成形した。
スキン/コア成形法、コ・インジェクション成形法、サンドイッチ成形法、異材質材料多層成形法、二重成形(DLM)、はちまき成形(MIW)、発泡射出成形法、多段階成形法等の成形法により成形したサンドイッチ構造を有するワンピース(一体)成形品の断面形態である。
異材料間の界面(境界面)は、強固に接着しており、非剥離性である。
図示した断面は、左右側面において露出していても良いし、芯部材のスキンにより被覆されていても良い。
露出している場合には、異材料を同じ彩色とすることにより、成形品の外観において一体性(ワンピース性)が発揮される。本実施例においては、表層をエラストマーで被覆することにより、外観においてワンピースとした。
表面部材としては、剛性のあるプラスチック樹脂、金属等を使用することができる(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート)を使用した)。
本実施例においては、プラスチックの表層をエラストマー(シリコーンゴム)で被覆することにより、外観においてワンピースとした。
表面部材としては、剛性のあるプラスチック樹脂、金属等を使用(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート)を使用)することができる。
本実施例においては、プラスチック樹脂としてポリカーボネート、エラストマー樹脂としてシリコーンゴムを使用することにより、外観においてワンピースとした。
【0031】
[実施例2〜実施例5]
図14に、本願発明に係るクリップの実施例2の断面図を示した。
図15に、本願発明に係るクリップの実施例3の断面図を示した。
図16に、本願発明に係るクリップの実施例4の断面図を示した。
図17に、本願発明に係るクリップの実施例5の断面図を示した。
コア/シェル(コア/スキン)構造異種樹脂成形によりクリップを成形した。
インサート成形法、アウトサート成形法、RIM成形法、多段階成形法等の成形法により成形したコア/シェル(コア/スキン)構造を有するワンピース(一体)成形品の断面形態である。
シェル(スキン)部材とコア部材の界面(境界面)は、強固に接着しており、非剥離性である。
シェル部材(アウトサート部材)は、エラストマー樹脂、コア部材(インサート部材)は、プラスチック樹脂・金属等(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート))である。
本実施例においては、プラスチック樹脂としてポリカーボネート、エラストマー樹脂としてシリコーンゴムを使用することにより、外観においてワンピースとした。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明に係るクリップの構造と機能の概要をと、本願発明に係るクリップにおける把持部(A1、A2)、支点部(B)、鰐口部(C1、C2)を示した。本願発明に係るクリップの基本構造を図解し、本願発明の構成要件(発明特定事項)の理解を支援するための概念図である。
【図2】本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を開く過程を示した。本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開く。本願発明に係るクリップの使用形態であって、外部から把持部に負荷力を加えて行く際のクリップの鰐口部(挟持部)を開放して行く際の形態の変化を段階的に図示した概念図である。
【図3】本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を閉じ、被挟持物を鰐口部(挟持部)で挟み込む過程を示した。本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開き、力を解除すると鰐口部が閉じて、洗濯物や書類を挟み込む。本願発明に係るクリップの使用形態であって、外部から把持部に負荷力を除いて行く際のクリップの鰐口部(挟持部)を閉止して行く際の形態の変化を段階的に図示した概念図である。
【図4】本願発明に係るクリップのサイズの具体例を示した。
【図5】本願発明に係るクリップの使用方法の具体例を示した。本願発明に係るクリップは、カラフルで柔らかいので、ヒール効果により心和み、洗濯ばさみとしてはもちろん、クローゼット、事務用クリップ、アート、トイ、ゲーム等のあらゆるシーンで活躍し、家庭、オフィス、学校、あらゆるシーンで、素敵に可愛く際立つ。
【図6】本願発明に係るクリップの彩色の具体例を示した。本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品である。本願発明に係るクリップは、ワンピースなので、部品がなく壊れにくく、エラストマー製なので柔らかく優しい。 図6に示されてはいないが、表層を構成する部材として、透明又は半透明の素材を使用することにより、スケルトンとすることもできる。表層を構成する部材を含む全ての素材に、透明又は半透明の素材を使用することにより、全体を透明又は半透明とすることもできる。
【図7】本願発明に係るクリップの正面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの正面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図8】本願発明に係るクリップの背面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの背面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図9】本願発明に係るクリップの右側面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの右側面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図10】本願発明に係るクリップの左側面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの左側面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図11】本願発明に係るクリップの平面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの平面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図12】本願発明に係るクリップの底面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの底面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図13】実施例1の断面図である。
【図14】実施例2の断面図である。
【図15】実施例3の断面図である。
【図16】実施例4の断面図である。
【図17】実施例5の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
A1 把持部
A2 把持部
B 支点部
B1 鰐口部(挟持部)
B2 鰐口部(挟持部)
F1 クリップの外部からの負荷力
F2 クリップの内部からの復元力
F3 クリップの内部からの挟持力
【技術分野】
【0001】
本願発明は、書類(紙、カード等)、洗濯物、衣類等を挟持するクリップに関し、特に、外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップに関する。本願発明に係るクリップの製造方法は、特に制限されるものではないが、一体成形法が好ましく採用される。
【背景技術】
【0002】
クリップは、一般的には、家庭用や事務用の生活必需品として使用される。
家庭においては、洗濯物を挟む洗濯ばさみとしてのクリップ、クローゼット内の衣類をハンガーや衣紋掛けに固定するためのクリップ、スナック菓子等の湿気ったり虫が入り込んだりしやすい食品を収納しているポリ袋の口を閉じるためのクリップ、オフィスにおいては、書類を挟むためのクリップ等として広く使用されている。
【0003】
従来の技術におけるクリップは、少なくとも、以下の(1) 〜(8) の8つの技術的な課題があった。
(1) 複数の部品から組み立てられているがために部品が脱落・故障して壊れやすい場合がある。
(2) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために怪我の原因となったり使用する上で恐怖感・圧迫観を及ぼす場合がある。
(3) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品・硬質プラスチック製部品等の硬質の材質が使用されているがために被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまう場合がある。
(4) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために軽量化・省スペース化・コンパクト化が困難な場合がある。
(5) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作のために過大な力が求められて弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)には使用に困難や疲労が伴う場合がある。
(6) 複数の部品から組み立てられていたり、構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザイン・機能を採用することが困難な場合がある。
(7) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作の繰り返し操作により、金属疲労や応力集中に起因し、突然にバネが破断・折損する場合がある。
(8) 鰐口部(挟持部)に金属製部品・硬質プラスチック等の摩擦係数が低い材質が使用されているがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまう場合がある。
しかしながら、従来の技術においては、これらの8つの技術的な課題を全て解決したクリップが存在しなかった。
【0004】
[特許文献1(特開2001−88482号公報)]
特許文献1(特開2001−88482号公報)には、複数の部品から組み立てられている従来の技術における典型的なクリップが開示されている。
当該クリップについては、上記した8つの技術的課題の全てについて必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2001−88482号公報には、組立作業が容易で、製造コストを低減できるクリップが開示されている。当該クリップは、一方のクリップ片(11)の軸部(11c)先端の突起(11e)を他方のクリップ片(11)の軸部(11d)先端の凹面(11f)に遊嵌し、両クリップ片(11)の底辺を掴んで押さえ付けるという構造を有する。
このような構造を採用することにより、両クリップ片(11)が向かい合い、両クリップ片(11)の対向する大径溝(11h)、小径溝(11i)及び筒部(11j)が所定の間隔に保持されるので、この状態で、治具によりピン形バネ(12)の両端を所定の間隔に広げ、そのまま大径溝(11h)から穴(11k)に差し込むことができる。
これにより、一対のクリップ片(11)が軸部(11c、11d)の先端部を支点にして回動可能に一対のバネ(12)で連結されると共に、両クリップ片(11)の底辺がバネ(12)の力で互いに圧接する。
従って、クリップを組み立てるとき、クリップ片保持用の治具を使わなくても、突起と凹面の嵌合により両クリップ片を位置決め固定でき、バネ保持用の治具を使うだけで組み立てることができるので、組立作業が簡単になり製造コストを低減できる。
また、クリップ片を保持する治具を使う場合でも、一方のクリップ片の突起を他方のクリップ片の凹部に嵌合することにより両クリップ片を位置決めできるので、治具の構造が簡単になり、治具へのクリップ片の装着も容易になる。
【0005】
[特許文献2(実登3098764号公報)]
特許文献2(実登3098764号公報)には、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、特許文献2及び特許文献3に開示されている、部品のない樹脂製のワンピース(1体)タイプのクリップは、材質がポリカーボネートである。ポリカーボネートは、安全帽(ヘルメット)や自動車のヘッドランプレンズ等に使用される極めて耐衝撃性・透明性・高弾性に優れるエンジニアリングプラスチックである。それゆえ、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 、(2) 及び(6) については解決されているが、(3) 、(4) 、(5) (7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
実登3098764号公報には、ポリカーボネート等のプラスチックを一体に成型してなり、該クリップ(2)の二辺下端へ綴じ部(22、23)を設け、該クリップ 部の下方は相対するように外側へ向かって開いており(24)、その中一辺の綴じ部(22)の内側面へ溝(25)を設け、別の一辺の相対する綴じ部(23)内側面には突起(26)を設け、該溝と突起は面と面を互いに噛み合せて接触する構造とするクリップが開示されている。
当該クリップは、綴じる力が強く、軽量であって、生産生が高く、コストを削減し、再利用できるため環境保護になるという効果を奏する。
【0006】
[特許文献3(実登3098765号公報)]
特許文献3(実登3098765号公報)には、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、特許文献2及び特許文献3に開示されている、部品のない樹脂製のワンピース(1体)タイプのクリップは、材質がポリカーボネートである。ポリカーボネートは、安全帽(ヘルメット)や自動車のヘッドランプレンズ等に使用される極めて耐衝撃性・透明性・高弾性に優れるエンジニアリングプラスチックである。それゆえ、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 、(2) 及び(6) については解決されているが、(3) 、(4) 、(5) (7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
実登3098765号公報には、主としてポリカーボネートにより一体成形したプラスチックからなり、クリップ の二辺下端に綴じ部を設け、該綴じ部下方は相対して外側へ向かって開いており、その内一辺の綴じ部内側面に溝を設け、相対する別の一辺の綴じ部内側面に突起を設け、該溝と突起は面と面を互いに噛みあって接触し、この綴じ部の溝と突起との噛み合いにより、綴じ部の接触面積を確保して書類の綴じ力を向上したことを特徴とする、ポリカーボネート製クリップが開示されている。
当該クリップは、綴じる力が強く、軽量であって、生産生が高く、コストを削減し、再利用できるため環境保護になるという効果を奏する。
【0007】
[特許文献4(特開2003−237269号公報)]
特許文献4(特開2003−237269号公報)にも、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、これらの公報については、実施可能要件(成形方法、成形条件(金型温度、成形サイクル等)、合成樹脂の種類・フォーミュレーション、実施例等)が開示されておらず、技術的内容については漠然としている。開示されている技術内容からは、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 〜(4) 及び(6) については解決されているが、(5) 、(7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2003−237269号公報には、一対のU字状の挟持片(1,1)をその両端基部(3)で連結させて対向し、前記両挟持片(1)の先端部(2)中程から、基部(3)に向かって取り付けられた一対の把持片(4,4)から構成されるクリップが開示されている。
挟持片(1)にはU字状の切り欠き部があり、前記一対の把持片(4,4)は、切り欠き部の中央部を通るようにして対向され、双方近づけても挟持片(1)に当たらないので、基部(3)の厚さにかかわらず、一対の把持片(4)を接近させてクリップの厚さを薄くすることができる。
また、一対の把持片(4,4)の接触によって先端部(2)の過大な開放を防ぐことができる。
一方、製造の際には挟持片(1)を平行に鋳込み、型抜きし易い形態とし、型抜き後の素材の自然収縮を利用して一対の挟持片(1,1)の先端を近づける。
当該クリップは、クリップを構成する部材である挟持片とそれに接続する把持片の形状の改良により、クリップを薄くするという効果、不必要に過大な開放操作による挟持片の疲労を防ぐことができるという効果を奏する。
また、合成樹脂一体成形の際、金型成形が困難である先端部形状の形成を素材の硬化時の自然収縮により可能とし、製造工程を容易にするという効果を奏する。
【0008】
[特許文献5(特開2000−351292号公報)]
特許文献5(特開2000−351292号公報)にも、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するクリップが開示されている。然るに、これらの公報については、実施可能要件(成形方法、成形条件(金型温度、成形サイクル等)、合成樹脂の種類・フォーミュレーション、実施例等)が開示されておらず、技術的内容については漠然としている。開示されている技術内容からは、上記した8つの技術的課題のうち、以下の(1) 〜(4) 及び(6) については解決されているが、(5) 、(7) 及び(8) については必ずしも解決されているとは言い難いと考えられる。
特開2000−351292号公報には、取り扱いが容易であり、対象物の保持力が高く、対象物の損傷を防止し得ると共に製造も容易で安価なクリップが開示されている。
当該クリップは、対象物を挟持するためのものであって、先端で対象物を挟持するべくその中間支持部で相対的に傾動可能に支持された一対のアーム部と、前記各アーム部同士をその中間部で支持する支持部と、前記各アーム部先端側を互いに近接する方向に付勢するべく前記中間支持部と前記両アーム部先端側との間に画定された隙間に受容された金属ばねとを有し、前記金属ばねが、略四角形の金属の板材が互いに平行な2辺が近接して対向すると共に前記板材の弾性により前記対向する2辺が近接する方向に付勢されるように曲げ加工された金属クリップ からなることを特徴とするものである。
上記した説明により明らかなように、本願発明によるクリップによれば、一対のアームを傾動可能に支持してなる樹脂クリップに金属クリップをばねとして受容することで、対象物の高い保持力を確保しつつ対象物の損傷を防止でき、更に取り扱いが容易であり、構造も単純で、製造も容易になり、そのコストも低廉になる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−88482号公報
【特許文献2】実登3098764号公報
【特許文献3】実登3098765号公報
【特許文献4】特開2003−237269号公報
【特許文献5】特開2000−351292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明が解決しようとする課題は、少なくとも、以下の(1) 〜(8) の8つの技術的な課題を同時に併せて解決することである。
(1) 複数の部品から組み立てられているがために部品が脱落・故障して壊れやすい場合がある。
(2) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために怪我の原因となったり使用する上で恐怖感・圧迫観を及ぼす場合がある。
(3) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品・硬質プラスチック製部品等の硬質の材質が使用されているがために被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまう場合がある。
(4) 構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがために軽量化・省スペース化・コンパクト化が困難な場合がある。
(5) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作のために過大な力が求められて弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)には使用に困難や疲労が伴う場合がある。
(6) 複数の部品から組み立てられていたり、構成部品の少なくとも一部に金属製部品が使用されているがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザイン・機能を採用することが困難な場合がある。
(7) バネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品が使用されているがために開閉操作の繰り返し操作により、金属疲労や応力集中に起因し、突然にバネが破断・折損する場合がある。
(8) 鰐口部(挟持部)に金属製部品・硬質プラスチック等の摩擦係数が低い材質が使用されているがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[請求項1] 外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、
基本構造として、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造を有し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により開放する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で減じたときには、
クリップの内部からの復元力(F2)により、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が閉止する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により閉止する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で除いたときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、
鰐口部(C1及びC2)で被挟持物を挟み込むときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)が具備するゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップ。
【0012】
[請求項2] 「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造」が、
「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成され、かつ、コア部としてプラスチック樹脂、及び、シェル部(スキン部)としてエラストマー樹脂を含んで構成されるコア/シェル(コア/スキン)構造を有する基本構造」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0013】
[請求項3] 「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造」が、
「二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成され、かつ、プラスチック樹脂が表面部材、及び、エラストマー樹脂が芯部材を含んで構成されるサンドイッチ構造を有する基本構造」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0014】
[請求項4] 「外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し」が、
「外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、さらに、内部構造としても、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の内部構造を有し」
である、請求項1に記載したクリップ。
【0015】
[請求項5] エラストマー樹脂及び/又はプラスチック樹脂が、シリコーン樹脂である請求項1乃至4の何れかに記載したクリップ。
【0016】
[請求項6] プラスチック樹脂が、ポリカーボネート樹脂及び/又はシリコーン樹脂である請求項1乃至5の何れかに記載したクリップ。
【発明の効果】
【0017】
一般的なクリップ(事務用クリップ、洗濯ばさみ等が複数の部品から構成されるのとは対照的に、本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)である。
本出願の発明に係るクリップは、以下の(1) 〜(8) に示す効果を同時に併せて発揮する。
(1) 基本構造として、無部品(no mechanical parts)の樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するために、複数の部品を組み立てる必要がなく、部品が脱落・故障して壊れやすいというリスクを解消又は低減することができる。
(2) 構成部品として金属製部品の使用を回避することにより怪我のリスク心理面・精神面における恐怖感・圧迫観というネガティブ効果を解消又は低減することができる。
(3) 鰐口部にエラストマー樹脂材料を採用することにより被挟持物に対して挟持傷、挟持跡、挟持サビ汚れを付けてしまうというリスクを解消又は低減することができる。
(4) 構成部品として金属製部品の使用を回避することにより軽量化・省スペース化・コンパクト化を実現することができる。
(5) バネ部品としてバネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品の使用を回避することにより開閉操作のために過大な力が不要となり弱者(子供、老人、心身障害児(者)、女性等)にとっても使用が容易となり疲労の追放を実現することができる。
(6) 基本構造として、無部品(no mechanical parts)の樹脂製のワンピース(1体)の外観を有するがためにファッショナブルでスタイリッシュで自由度の高い設計・彩色・デザインの採用を実現することができる。
(7) バネ部品としてバネ弾性が高い(強い)バネ(金属製バネ、高弾性プラスチック材料製バネ等)部品の使用を回避することにより、金属疲労や応力集中に起因する突然のバネの破断・折損のリスクを解消又は低減することができる。
(8) 鰐口部(挟持部)として摩擦係数が低い材質(金属製部品・硬質プラスチック等)の使用を回避し、エラストマー樹脂材料を採用するがために被挟持物が鰐口部(挟持部)から滑り落ちてしまうリスクを解消又は低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本願発明に係るクリップは、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)から構成される基本構造を有し、クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、ゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップである。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念は、使用温度(通常は、室内温度や屋外温度であって、例えば、温帯の春期・夏期・秋期においては、10〜40℃程度、温帯の冬季においては−10〜20℃程度、冷凍冷蔵庫内で有れば−20〜±0℃程度。)においてゴム弾性を有する樹脂であって、一般的には、ガラス転移温度(Tg)が使用温度よりも低い樹脂である。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念には、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)を包含する。
エラストマー樹脂としては、シリコーン樹脂(シリコーンエラストマー)、天然ゴム、合成ゴム、イソプレン、ネオプレン(登録商標)、熱硬化性エラストマー、加硫エラストマー、熱可塑性エラストマー、S−B−S(スチレン−ブタジエン−スチレン)型三元ブロック共重合体、カリフレックス(登録商標)、ポリウレタン、硬質発泡ポリウレタン、軟質発泡ポリウレタン、スパンデックス(登録商標)等が好ましく使用される。
【0019】
本出願の願書に添付した書面において使用する『プラスチック』又は『プラスチック樹脂』なる用語の概念は、使用温度(通常は、室内温度や屋外温度であって、例えば、温帯の春期・夏期・秋期においては、10〜40℃程度、温帯の冬季においては−10〜20℃程度、冷凍冷蔵庫内で有れば−20〜±0℃程度。)においてゴム弾性を有する樹脂であって、一般的には、ガラス転移温度(Tg)が使用温度よりも高い樹脂である。
本出願の願書に添付した書面において使用する『エラストマー』又は『エラストマー樹脂』なる用語の概念には、加硫ゴム、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)を包含する。
本出願の願書に添付した書面において使用する『プラスチック』又は『プラスチック樹脂』なる用語の概念には、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を包含し、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック(機能性プラスチック、高性能性プラスチック,エンプラ)、スーパーエンジニアリングプラスチック(新機能性プラスチック)、2種類以上のプラスチックを混合したプラスチックの混合体(プラスチックアロイ、ポリマーアロイ)を包含する。
プラスチック樹脂としては、シリコーン樹脂(シリコーンプラスチック)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、生分解性プラスチック(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等)等が好ましく使用される。
【0020】
[基本構造と基本機能]
本願発明に係るクリップの基本構造と基本機能を図1〜図6に示した。
図1に、本願発明に係るクリップの構造と機能の概要を示した。
図1に、本願発明に係るクリップにおける把持部(A1、A2)、支点部(B)、鰐口部(C1、C2)を示した。
図2に、本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を開く過程を示した。
図3に、本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を閉じ、被挟持物を鰐口部(挟持部)で挟み込む過程を示した。
図2〜図3に、本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開き、力を解除すると鰐口部が閉じて、洗濯物や書類を挟み込む。
図4に、本願発明に係るクリップのサイズの具体例を示した。
図5に、本願発明に係るクリップの使用方法の具体例を示した。
図6に、本願発明に係るクリップの彩色の具体例を示した。
【0021】
[外部構造(外観構造)]
本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品である。本願発明に係るクリップは、ワンピースなので、部品がなく壊れにくく、エラストマー製なので柔らかく優しい。本願発明に係るクリップは、カラフルで柔らかいので、ヒール効果により心和み、洗濯ばさみとしてはもちろん、クローゼット、事務用クリップ、アート、トイ、ゲーム等のあらゆるシーンで活躍し、家庭、オフィス、学校、あらゆるシーンで、素敵に可愛く際立つ。
図6に示されてはいないが、表層を構成する部材として、透明又は半透明の素材を使用することにより、スケルトンとすることもできる。
表層を構成する部材を含む全ての素材に、透明又は半透明の素材を使用することにより、全体を透明又は半透明とすることもできる。
本願発明に係るクリップの実施例1〜実施例5の外観につき、図7に正面図を、図8に背面図を、図9に右側面図を、図10に左側面図を、図11に平面図を、図12に底面図を、それぞれ、示した。
6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)の表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【0022】
[内部構造]
本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)であるが、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、ワンピースであっても、ツーピースであっても、スリーピースであっても、又はフォーピース以上であっても構わない。
本願発明に係るクリップは、把持部(A1、A2)の内部がプラスチック特性かつ外部がエラストマー特性を有し、支点部(B)の内部がプラスチック特性及び/又はエラストマー特性かつ外部がエラストマー特性、鰐口部(C1、C2)の内部がプラスチック特性及び/又はエラストマー特性かつ外部がエラストマー特性を有するものであれば、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、ワンピースであっても、ツーピースであっても、スリーピースであっても、又はフォーピース以上であっても構わない。
本願発明に係るクリップは、外観においてワンピース(1体)であるが、製造工程・成形プロセス又は内部構造において、好ましくはスリーピース、より好ましくはツーピース、さらに好ましくはワンピースである。
本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品であることから、洗濯物や書類等を挟み込む鰐口部も、指で力を負荷する把持部も滑りにくい樹脂製(エラストマー樹脂)であることから、適度に柔らかく、適度に摩擦係数が高いために、滑りにくい。
したがって、主婦のみならず、弱者(子供、高齢者、心身障害児、心身障害者等)も、本願発明に係るクリップを好適に使用することができる。
鰐口部は、適度に柔らかく、適度に摩擦係数が高いために、被挟持物(洗濯物等)に優しく、干し終わった洗濯物にクリップで挟んだ痕跡を残しにくい。
本願発明に係るクリップは、支点部のエラストマー素材のゴム弾性及び/又は支点部に内在するプラスチック素材のバネ弾性を利用して、洗濯物や書類等を鰐口部で挟み込むことができる。
【0023】
[型内重合方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観のみならず、内部構造までもワンピースとして製造するための具体例としては、例えば、鋳型又は金型内にモノマーを注入し、把持部(A1、A2)、支点部(B)及び鰐口部(C1、C2)の外部はエラストマー特性が発現するように、そして、把持部(A1、A2)(場合により、支点部(B)及び鰐口部(C1、C2))の内部はプラスチック特性が発現するように、架橋剤や触媒を偏在させて、型内重合する方法を挙げることができる。
【0024】
[異種樹脂成形方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観においてはワンピースであるが、内部構造においては各ピースが剥離することなく強固に接着しているツーピース構造又はスリーピース構造として製造するための好ましい具体例としては、例えば、エラストマー樹脂とプラスチック樹脂の異種樹脂成形方法を挙げることができる。
前記異種樹脂成形方法については、例えば、特開平11−058440号(射出成形装置および射出成形品並びにその成形方法〔有限会社サンヨー精工〕)に開示されている。
【0025】
[インサート(アウトサート)成形方法]
本願発明に係るクリップは、外部の外観においてはワンピースであるが、内部構造においては各ピースが剥離することなく強固に接着しているツーピース構造又はスリーピース構造として製造するための他の具体例としては、例えば、インサート(アウトサート)成形方法を挙げることができる。
インサート(アウトサート)成形方法については、例えば、株式会社山城精機製作所ホームページ(http://www.sanjo.co.jp/explain/insert.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『インサート(アウトサート)成形の効用 インサート成形とは、金型内にインサート品を装填した後、樹脂を注入してインサート品を溶融樹脂で包んで固化させ、一体化した複合部品を作る工法です。アウトサート成形とは、樹脂をアウトサート品の一部に成形で付着固定させて一体化して複合部品を作る工法です。樹脂が包むか、一部に付着するかの違いで本質的な違いはありません。この工法には次のような効用があります。樹脂の成形容易性、可撓性などと金属の剛性、強度、耐熱性などを組み合わせて、相互補完して丈夫で複雑精巧な部品を作れます。特に、樹脂の絶縁性と金属の導電性を組み合わせて、電気機器の基本機能を実現する部品を作れます。複数の部品(インサート品)を成形で組み立ててしまうことで、次工程のユニットの組立を合理化できます。(10、参照)インサート品は、金属に限らず、布、糸、紙、電線コード、プラスチック、ガラス、木材、コイル類、素子類などのエレクトロニクスなど、多様なものが可能で多様な複合部品を作れます。剛体の成形品や部品に可撓性、弾力性のあるゴムガスケットをアウトサート成形で一体化すれば、整列の難しいパッキンの扱いが無くなり、次工程の自動組立が容易になります。溶融樹脂で金属部品を包みますので、圧入に比べて金属パーツのピッチを狭くできて信頼性の高い複合部品が作れます。樹脂を選択し、成形条件を工夫すれば、多くの場合変形破損し易い部品(ガラス、コイル、素子など)でも樹脂で封止、固定できます。金型構造を工夫すれば、形状によってはインサート部品を完全に樹脂内に封じ込めることも出来ます。インサート品を成形後に消失(ロストコア)させて、中空アンダカットのある成形品を作ることもできます。』
と解説されている。
この解説における『樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『インサート品』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0026】
[コ・インジェクション成形方法]
本願発明に係るクリップは、コ・インジェクション成形方法により、製造することもできる。コ・インジェクション成形方法については、例えば、株式会社山城精機製作所ホームページ(http://www.sanjo.co.jp/explain/coinj.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『コ・インジェクション成形機とは、サンドウイッチ成形とか、2重成形とも言われ、2種類の樹脂を一つのノズルから時間差を持たせて射出する成形機です。最初に射出した樹脂が成形品の表皮(スキン)を形成し、後から射出する樹脂で芯部(コア)を形成します。したがって、後からの樹脂には、リサイクル原料を使用して原料コストを削減したり、発泡剤を入れて発泡させることで、厚肉品を”引け”なく成形できます。(成形品固化時間が長くなりますので、ロータリー型締め装置で複数金型を使用することもあります)コ・インジェクション成形品は芯部も樹脂が充填されますので、ガス・インジェクション成形品のように局部的に表面剛性が低くなることがありません。2組の横形射出ユニットを備えた多色成形も可能な成形法で2種類の材料を順々に射出して、射出シリンダー(A)から表面に硬いスキン層を構成する材料を、射出シリンダー(B)からは内面に低密度のコア層を構成する発泡剤添加材料を射出する、サンドイッチ射出成形で、射出のタイミングや両材料の供給量を調整すると、芯層のみ発泡した軽くて剛性の大きい(腰の強い)ヒケのない寸法精度の優れた製品が得られます。特に、電気製品のハウジングやファンなど、厚肉で偏肉しているような射出成形品では厚肉部にヒケやシンクマークが発生しやすいが、このCO−INJECTION法(日本ではサンドイッチ射出法と言われている)を用いれば大幅に改善されます。』
と解説されている。
この解説における『表皮(スキン)』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『芯部(コア)』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
コ・インジェクション成形方法については、特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai07/1/1-5-4.htm)にも『コ・インジェクション法(サンドイッチ法)』としても開示されている。
この解説における『スキン層(表面層)となる樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『コア層(内面層)となる発泡性樹脂』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』及び/又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0027】
[ハーフシェル成形方法]
本願発明に係るクリップは、ハーフシェル成形方法に準じたプロセスにより、製造することもできる。ハーフシェル成形方法については、特許庁ホームページ(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/golf_ball/page187.htm)にも開示されている。この解説における『ハーフシェル』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『コア』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』及び/又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0028】
[アウトサート成形方法]
本願発明に係るクリップは、アウトサート成形方法により、製造することもできる。アウトサート成形方法については、例えば、株式会社プラストホームページ(http://www.plast.ne.jp/company/mame_seikei_yogo.html)等に開示されている。
このホームページにおいては、
『(1)プラスチック成形品に金属製ブッシュなどの部品を圧入し一体化させること。成形後、金型外で金属部品を挿入することから名づけられた和製用語である。(2)金型中に金属部品を挿入して金属入り樹脂製品を成形する(インサート成形)と区別して、それよりも大型の金属板上に小さなプラスチック部品を成形する方法のことをいう場合もある。金属板は合わせ用のピンで金型に保持され、樹脂は金属板にあらかじめ開けられた穴を通って射出される。』
と解説されている。
この解説における『プラスチック』は本願発明に係るクリップにおいては『エラストマー樹脂』と、この解説における『金属製ブッシュなどの部品』や『金属』は本願発明に係るクリップにおいては『プラスチック樹脂』又は『金属』と、それぞれ、置き換えて理解することができる。
【0029】
[RIM成形方法]
上述した成形方法には、RIM成形技術を併せて応用することもできる。RIM成形方法については、特許庁ホームページ(https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai07/1/1-5-7.htm)にも開示されている。
【0030】
[実施例1]
図13に、本願発明に係るクリップの実施例1の断面図を示した。
サンドイッチ構造異種樹脂成形によりクリップを成形した。
スキン/コア成形法、コ・インジェクション成形法、サンドイッチ成形法、異材質材料多層成形法、二重成形(DLM)、はちまき成形(MIW)、発泡射出成形法、多段階成形法等の成形法により成形したサンドイッチ構造を有するワンピース(一体)成形品の断面形態である。
異材料間の界面(境界面)は、強固に接着しており、非剥離性である。
図示した断面は、左右側面において露出していても良いし、芯部材のスキンにより被覆されていても良い。
露出している場合には、異材料を同じ彩色とすることにより、成形品の外観において一体性(ワンピース性)が発揮される。本実施例においては、表層をエラストマーで被覆することにより、外観においてワンピースとした。
表面部材としては、剛性のあるプラスチック樹脂、金属等を使用することができる(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート)を使用した)。
本実施例においては、プラスチックの表層をエラストマー(シリコーンゴム)で被覆することにより、外観においてワンピースとした。
表面部材としては、剛性のあるプラスチック樹脂、金属等を使用(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート)を使用)することができる。
本実施例においては、プラスチック樹脂としてポリカーボネート、エラストマー樹脂としてシリコーンゴムを使用することにより、外観においてワンピースとした。
【0031】
[実施例2〜実施例5]
図14に、本願発明に係るクリップの実施例2の断面図を示した。
図15に、本願発明に係るクリップの実施例3の断面図を示した。
図16に、本願発明に係るクリップの実施例4の断面図を示した。
図17に、本願発明に係るクリップの実施例5の断面図を示した。
コア/シェル(コア/スキン)構造異種樹脂成形によりクリップを成形した。
インサート成形法、アウトサート成形法、RIM成形法、多段階成形法等の成形法により成形したコア/シェル(コア/スキン)構造を有するワンピース(一体)成形品の断面形態である。
シェル(スキン)部材とコア部材の界面(境界面)は、強固に接着しており、非剥離性である。
シェル部材(アウトサート部材)は、エラストマー樹脂、コア部材(インサート部材)は、プラスチック樹脂・金属等(本実施例においては、プラスチック(ポリカーボネート))である。
本実施例においては、プラスチック樹脂としてポリカーボネート、エラストマー樹脂としてシリコーンゴムを使用することにより、外観においてワンピースとした。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明に係るクリップの構造と機能の概要をと、本願発明に係るクリップにおける把持部(A1、A2)、支点部(B)、鰐口部(C1、C2)を示した。本願発明に係るクリップの基本構造を図解し、本願発明の構成要件(発明特定事項)の理解を支援するための概念図である。
【図2】本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を開く過程を示した。本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開く。本願発明に係るクリップの使用形態であって、外部から把持部に負荷力を加えて行く際のクリップの鰐口部(挟持部)を開放して行く際の形態の変化を段階的に図示した概念図である。
【図3】本願発明に係るクリップの鰐口部(挟持部、C1、C2)を閉じ、被挟持物を鰐口部(挟持部)で挟み込む過程を示した。本願発明に係るクリップの把持部に力を負荷した場合における外観の動的変化を示した。把持部に力を負荷するに応じて鰐口部が開き、力を解除すると鰐口部が閉じて、洗濯物や書類を挟み込む。本願発明に係るクリップの使用形態であって、外部から把持部に負荷力を除いて行く際のクリップの鰐口部(挟持部)を閉止して行く際の形態の変化を段階的に図示した概念図である。
【図4】本願発明に係るクリップのサイズの具体例を示した。
【図5】本願発明に係るクリップの使用方法の具体例を示した。本願発明に係るクリップは、カラフルで柔らかいので、ヒール効果により心和み、洗濯ばさみとしてはもちろん、クローゼット、事務用クリップ、アート、トイ、ゲーム等のあらゆるシーンで活躍し、家庭、オフィス、学校、あらゆるシーンで、素敵に可愛く際立つ。
【図6】本願発明に係るクリップの彩色の具体例を示した。本願発明に係るクリップは、外観において、カラフルなエラストマー製のワンピース製品である。本願発明に係るクリップは、ワンピースなので、部品がなく壊れにくく、エラストマー製なので柔らかく優しい。 図6に示されてはいないが、表層を構成する部材として、透明又は半透明の素材を使用することにより、スケルトンとすることもできる。表層を構成する部材を含む全ての素材に、透明又は半透明の素材を使用することにより、全体を透明又は半透明とすることもできる。
【図7】本願発明に係るクリップの正面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの正面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図8】本願発明に係るクリップの背面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの背面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図9】本願発明に係るクリップの右側面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの右側面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図10】本願発明に係るクリップの左側面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの左側面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図11】本願発明に係るクリップの平面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの平面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図12】本願発明に係るクリップの底面図である。6面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)のうちの底面図である。表面部全体に現された濃淡は、立体表面の形状を表す濃淡である。
【図13】実施例1の断面図である。
【図14】実施例2の断面図である。
【図15】実施例3の断面図である。
【図16】実施例4の断面図である。
【図17】実施例5の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
A1 把持部
A2 把持部
B 支点部
B1 鰐口部(挟持部)
B2 鰐口部(挟持部)
F1 クリップの外部からの負荷力
F2 クリップの内部からの復元力
F3 クリップの内部からの挟持力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、
基本構造として、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造を有し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により開放する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で減じたときには、
クリップの内部からの復元力(F2)により、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が閉止する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により閉止する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で除いたときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、
鰐口部(C1及びC2)で被挟持物を挟み込むときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)が具備するゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップ。
【請求項2】
エラストマー樹脂及び/又はプラスチック樹脂が、シリコーン樹脂である請求項1に記載したクリップ。
【請求項1】
外観として、部品のない樹脂製のワンピース(1体)の外観を有し、
基本構造として、二つの把持部(A1及びA2)、一つの支点部(B)、並びに、二つの鰐口部(C1及びC2)を含んで構成される基本構造を有し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)に加えたときには、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が開放する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により開放する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で減じたときには、
クリップの内部からの復元力(F2)により、
プラスチック樹脂を含んで構成される把持部(A1及びA2)は、屈曲又は座屈することなく梃子として支点部(B)を中心として鰐口部(C1及びC2)が閉止する方向に旋回する機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される支点部(B)は、ゴム弾性により変形してヒンジとしての機能を発揮し、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、梃子の原理により閉止する機能を発揮し、
クリップの外部からの負荷力(F1)を把持部(A1及びA2)で除いたときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)は、クリップの内部からの挟持力(F3)により、被挟持物を持続的に挟み込む機能を発揮し、
鰐口部(C1及びC2)で被挟持物を挟み込むときには、
エラストマー樹脂を含んで構成される鰐口部(C1及びC2)が具備するゴム弾性特性と摩擦特性により、被挟持物を滑り落ちることなく柔らかく挟み込む機能を発揮することを特徴とするクリップ。
【請求項2】
エラストマー樹脂及び/又はプラスチック樹脂が、シリコーン樹脂である請求項1に記載したクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−131946(P2010−131946A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312424(P2008−312424)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(508244614)株式会社ネプチューンデザイン (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(508244614)株式会社ネプチューンデザイン (1)
【Fターム(参考)】
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