説明

クリーニングブレードおよび画像形成装置

【課題】ブレード全体の耐摩耗特性を維持したまま、高弾性であり、小粒径の真球状トナーに対してクリーニング性能が良好なクリーニングブレードを提供すること。
【解決手段】少なくともクリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体上に残留するトナーを良好にクリーニング可能であり、且つ耐磨耗性に優れたクリーニングブレード、及び該クリーニングブレードを用いる画像形成装置またはプロセスカートリッジ若しくは画像形成方法に関し、特にポリウレタンエラストマー組成物を含有するクリーニングブレード、及び該クリーニングブレードを用いる画像形成装置またはプロセスカートリッジ若しくは画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真複写機やレーザビームプリンタ等の電子写真方式による画像形成装置においては、画像データに応じて感光体ドラム等の像担持体の表面にトナー像を形成した後、かかるトナー像を記録シートに転写し、転写されたトナー像を記録シートに加熱定着することで記録画像を得ている。転写後に像担持体上に残留したトナーはクリーニングブレードにより除去される。
【0003】
これらのクリーニングブレードとしては、主にポリウレタン等のゴム材が使用されており、先端エッジを像担持体の表面に圧接させ、かかる先端エッジで像担持体の表面から残留したトナーを掻き落とすようにしたものが知られている。
【0004】
近年、高画質化への要求からトナーの小粒径化、真球化が進んでいる。このような小粒径の球形トナーは、従来の不定形トナーに比べて、残留したトナーの像担持体からの除去が困難であり、従来のクリーニングブレードではクリーニング不良を起こしてしまう問題が生じる。
【0005】
従来のクリーニングブレードは、耐摩耗特性が比較的低く、また、摩擦係数が高いために、像担持体を摺擦する際にブレードエッジが像担持体の回転方向に引きずられて、線接触から面接触に成り易い。このため、ブレード先端部が潰れ、変形、歪み等を起こして、像担持体とブレード間に僅かな隙間を生じ、クリーニングブレードに滞留したトナーは、ブレードの隙間を抜ける、いわゆるトナー抜けが発生して画像欠陥をもたらす。
【0006】
このような問題に対して、ブレードのトナー担持体当接部に硬化層を形成し、ブレード表面の硬度を補い摩擦係数を低下させること(例えば、特許文献1)や、ウレタンの耐摩耗特性を保持しながら、クリーニング性に必要な反発弾性向上させるために、ビニル系やフッ素系の樹脂粒子をウレタンプレポリマーに含有する手法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
上記特許文献1で提案されているクリーニングブレードは、イソシアネート化合物との反応によるアロファネート結合によりブレード表面に硬化層を形成させ、その結果、摩擦係数は多少低下する。しかし、それでもまだクリーニング能力が不足し、ブレード成形後にわざわざ表面硬化層を形成するための工程増加、その形成方法の複雑さなどの問題があった。またそのクリーニングブレードは像担持体を摺擦する際に粒子部位にクラックが生じ易いという問題があった。
【0008】
また、高耐久、耐摩耗性を向上させる材料としては、例えば、アイオノマー樹脂が知られている。しかし、クリーニングブレードにアイオノマー樹脂を添加する方法は提案されているものの、耐摩耗性には言及されていない。また、ウレタン以外の樹脂との反応により、期待する物性を得ている(例えば、特許文献3)。
【0009】
【特許文献1】特開2001−343874号公報
【特許文献2】特開2003−195711号公報
【特許文献3】特開2006−145636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、ブレード全体の耐摩耗特性を維持したまま、高弾性であり、小粒径の真球状トナーに対してクリーニング性能が良好なクリーニングブレード、及び該クリーニングブレードを用いる画像形成装置またはプロセスカートリッジ若しくは画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくともクリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とすることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、上記課題を解決するために本発明に係るクリーニングブレード、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法は、具体的には下記(1)〜(22)に記載の技術的特徴を有する。
(1)潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体の表面に帯電部材を接触又は近接させて当該潜像担持体を帯電させる帯電装置と、前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成装置と、前記潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、前記潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング装置とを備える画像形成装置において、前記クリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とする画像形成装置である。
(2)前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置である。
(3)前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像形成装置である。
(4)前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成装置である。
(5)前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置である。
(6)前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成装置である。
(7)前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0013】
(8)潜像を担持する潜像担持体の表面に帯電部材を接触又は近接させて当該潜像担持体を帯電させる帯電工程と、前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程とを備える画像形成方法において、前記クリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させてなることを特徴とする画像形成方法である。
(9)前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする上記(8)に記載の画像形成方法である。
(10)前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の画像形成方法である。
(11)前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれかに記載の画像形成方法である。
(12)前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする上記(8)〜(11)のいずれかに記載の画像形成方法である。
(13)前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする上記(8)〜(12)のいずれかに記載の画像形成方法。
(14)前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなるウレタンプレポリマーであることを特徴とする上記(8)〜(13)のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0014】
(15)脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とするクリーニングブレードである。
(16)前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする上記(15)に記載のクリーニングブレードである。
(17)前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする上記(15)または(16)に記載のクリーニングブレードである。
(18)前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
(19)前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする上記(15)〜(18)のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
(20)前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする上記(15)〜(19)のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
(21)前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなることを特徴とする上記(15)〜(20)のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
(22)少なくとも潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、前記クリーニング装置は、上記(15)〜(21)のいずれかに記載のクリーニングブレードを備えることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブレード全体の耐摩耗特性を維持したまま、高弾性であり、クリーニング性能が良好であるとクリーニングブレードを提供することができる。
また本発明によれば、クリーニング性能が良好で、画像不良の発生を防ぎ、環境変動の影響を受けない画像形成装置、プロセスカートリッジ、及びそれらに用いる画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とするクリーニングブレード、及び該クリーニングブレードを用いる画像形成装置またはプロセスカートリッジ若しくは画像形成方法である。
以下、本発明のクリーニングブレード、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法について詳細に説明する。
【0017】
(クリーニングブレード)
本発明のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマー組成物は、ウレタンプレポリマー成分(B)と、3価以上のポリオールを一部含有する硬化剤成分(C)とを反応させて得られる一部架橋したタイプのポリウレタンエラストマー組成物である。そして、耐摩耗特性を維持したままクリーニング性能を向上させる成分として、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)を必須成分として含有していることを特徴とする。
【0018】
一部架橋タイプであるため、必須成分のリン酸エステル塩(A)は、硬化ポリウレタン反応後に添加して均一に配合することが困難である。従って、後述するように、リン酸エステル塩(A)を予めウレタンプレポリマー成分(B)と配合しておいてその後に硬化剤成分(C)と反応させるか、リン酸エステル塩(A)を予め硬化剤成分(C)と配合しておいてその後にウレタンプレポリマー成分(B)と反応させるか、あるいは、リン酸エステル塩(A)、ウレタンプレポリマー成分(B)および硬化剤成分(C)を一括して混合し反応させることになる。
【0019】
本発明の必須成分である脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)は、脂肪族アルコール(a)にアルキレンオキシド(b)が付加し、その末端の水酸基をリン酸エステル化(c)した後、水酸化物金属塩や炭酸金属塩で中和した構造の化合物である。
【0020】
この脂肪族アルコール(a)としては、官能基としてアルコール性水酸基を有する1価アルコール化合物、2価以上の多価アルコールが含まれる。これらは直鎖でも分岐鎖であってもよく、飽和でも不飽和であってもよい。
【0021】
具体的には、ラウリルアルコール、ミスチリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、メタノール、エタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコール等が挙げられる。
【0022】
この脂肪族アルコール(a)に付加するアルキレンオキシド(b)としては、エチレンオキサイド(以下、EOと略称する。)、プロピレンオキサイド(以下、POと略称する。)、1,2−、2,3−若しくは1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略称する。)、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン等があげられる。これらの内好ましくはEO又はPOであり、より好ましくはEOである。
【0023】
アルキレンオキシド(b)は単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型等)でもランダム付加でも両者の混合系でもよい。
【0024】
これらのアルキレンオキシド(b)のうちで好ましいものはEO単独、PO及びEOの併用(併用の場合、ランダム、ブロック及び両者の混合系)である。
【0025】
活性水素基含有化合物へのアルキレンオキサイドの付加モル数は活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは1〜200モル、特に好ましくは1〜150モルである。
【0026】
アルキレンオキシド(b)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(b)を用いる場合のランダム付加、ブロック付加等が挙げられるが限定はない。好ましくは単独付加である。
【0027】
脂肪族アルコール(a)へのアルキレンオキシド(b)の付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒又は触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにアルキレンオキシド付加の後半の段階で)に常圧又は加圧下に1段階又は多段階で行なわれる。
【0028】
本発明の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)は、脂肪族アルコール(a)に付加されたアルキレンオキシド付加物(b)を無水リン酸を用いてリン酸エステル化(c)し、相当量の水酸化物金属塩、また炭酸金属塩を投入し、塩交換させることにより得ることができる。
【0029】
塩交換のための水酸化物金属塩、炭酸金属塩の金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、錫イオン、鉛イオン、銀イオン、銅イオン等、などが挙げられる。これらのうち、好ましいものはカルシウムイオンおよび亜鉛イオンである。
【0030】
本発明の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)は、ウレタンプレポリマー成分(B)と硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部含有することであり、より好ましくは1〜5重量部含有することである。10重量部を超えると、ウレタンエラストマー組成物の強度が低下し、クリーニングブレードに適さない。
【0031】
本発明の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の数平均分子量は100〜5,000が好ましく、300〜2,000がより好ましい。数平均分子量が100未満であると、アルキレンオキシド部位による応力緩和効果が十分発揮されず、耐摩耗性が低くなる。また数平均分子量が5,000を超えると、リン酸エステル塩部位による弾性効果が十分に発揮されない
【0032】
本発明の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)のSP値は、ポリウレタンエラストマー組成物(D)との相溶性の観点から、8.0〜12.0が好ましく、9.0〜11.0がより好ましい。
【0033】
本発明の組成物において、硬化剤(C)は、ジオールと一部架橋させるための3〜8価のポリオールの混合物である。ジオールとしては、分子量60〜200のもの、3〜8価のポリオールとしては分子量80〜500のものが使用できる。
【0034】
これらの具体例としては、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ―ル、1,6−ヘキサンジオ―ル、ジエチレングリコ―ル、ネオペンチルグリコ―ル、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどの2価アルコ―ルが挙げられるが、これらのうちエチレングリコ―ル、1、4−ブタンジオールが好ましい。
【0035】
3〜8価のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロ―ルプロパン、ペンタエリスリト―ル、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビト―ル、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−ス、ショ糖などの3〜8価の多価アルコ―ルなどが挙げられるが、トリオールが好ましく、トリメチロールプロパンがさらに好ましい。
【0036】
硬化剤(C)のジオールとトリオールの比は、好適な機械的強度を付与し、永久歪を改善させるため、重量比で60/40〜95/5であることが好ましく、70/30〜90/10であることがより好ましい。
【0037】
本発明に用いられるウレタンプレポリマー成分(B)は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とをモル比で通常(2.2〜1.8):1.0で反応させて得られる、両末端がイソシアネート基であるプレポリマーである。
【0038】
耐熱性、耐摩耗性などの観点から、ジイソシアネート化合物としては芳香族ジイソシアネート(E)が好ましく、ジオール化合物としては炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸からなるポリエステルジオール(F)が好ましい。
【0039】
芳香族ジイソシアネート(E)の具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する。)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、 粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中で、MDI、粗製MDIが好ましく、MDIがより好ましい。
【0040】
ポリエステルジオール(F)のグリコール成分の炭素数は2〜9が好ましい。9を超えると、ポリウレタンエラストマー組成物の300%モジュラス応力の向上効果が小さくなり、またコスト高となる。
【0041】
このような炭素数2〜9のグリコールとしては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどがあげられる。これらのうち、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、エチレングリコールがさらに好ましい。
【0042】
ポリエステルジオール(F)の具体例としては、先に例示したアルキレングリコールとアジピン酸の縮合体であるアジペート系ポリエステルジオール以外にも、カプロラクトンを開環重合させてえられたポリカプロラクトンエステルジオール、ポリカーボネートエステルジオールなどがあげられ、これらのなかでは、アジペート系ポリエステルジオールおよびポリカプロラクトンエステルジオールが好ましく、アジペート系ポリエステルジオールが特に好ましい。
【0043】
前記アジペート系ポリエステルジオールの具体例としては、たとえばポリエチレンアジペートエステルジオール、ポリブチレンアジペートエステルジオール、ポリヘキシレンアジペートエステルジオール、ポリエチレン−プロピレンアジペートエステルジオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートエステルジオール、ポリエチレン−ネオペンチレンアジペートエステルジオールなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0044】
ポリエステルジオール(F)と、芳香族ジイソシアネート(E)とを反応させることにより、ウレタンプレポリマー(B)が得られる。
【0045】
前記ウレタンプレポリマー(B)の製造法については、とくに限定はないが、その一例として、芳香族ジイソシアネート(E)とポリエステルジオール(F)とを、たとえば窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で混合し、反応させる方法などがあげられる。
【0046】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物(D)は、前記ウレタンプレポリマー(B)と硬化剤(C)を反応させることによって得られる。
その際に、必須成分のリン酸エステル塩(A)をポリウレタンエラストマー組成物(D)中に取り込む必要がある。
【0047】
本発明のウレタンエラストマー組成物(D)は、例えば、
(1)リン酸エステル塩(A)を予めウレタンプレポリマー成分(B)と配合しておいて、その後に硬化剤成分(C)を添加した混合物;
(2)リン酸エステル塩(A)を予め硬化剤成分(C)と配合しておいて、その後にウレタンプレポリマー成分(B)を添加した混合物;
(3)リン酸エステル塩(A)、ウレタンプレポリマー成分(B)および硬化剤成分(C)を一括投入した混合物
を、スタティックミキサー等の混合機でさらに混合し、数分間真空脱泡する。
【0048】
その後、直ちに型内に注入し、必要によりさらに減圧脱泡して反応硬化させる等の方法により得ることができる。
硬化条件としては、例えば、120〜160℃で1〜2時間硬化する方法などが挙げられる。なお、エラストマーの製造方法として上記方法に限定されるものではない。
【0049】
また硬化を促進するために、クリーニングブレードの性能を損なわない範囲で、ウレタン化触媒(例えば、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などのアミン系触媒;オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛などの金属触媒など)を添加してもよい。また、公知のオイルやワックス等の滑剤等を(B)または(C)に添加して反応させることもできる。
【0050】
(トナー)
本発明は小粒径の真球状トナーを使用した電子写真式画像形成において、小粒径の真球状トナーによって得られる高画質を損なうことなく、長期間良好な画像形成を行うことができる。
【0051】
本発明に用いられるトナーは従来公知の方法で製造することが出来る。
トナーの製造方法は大きく分けて粉砕法と重合法に分けられるが、本発明においては、粒度の調整安定性、画像品質の面から重合法による製造が好ましい。
【0052】
トナーには、外添剤として、1種以上の無機、有機微粒子を混合して用いて良い。トナーの流動性や帯電特性の調整を行うことが出来る。
【0053】
本発明で使用される有機微粒子は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0054】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0055】
ビニル系樹脂を構成するモノマーとしては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0056】
この中でも、スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを単独或いは併用することが好ましい。上記以外のビニル系樹脂としては、例えばポエチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、などが挙げられる。
さらに、架橋性モノマーを用いても良い。
【0057】
このような本発明の球形状トナーは、例えば、少なくともバインダー用の樹脂材料又は/及びそのプレポリマー、着色剤、離型剤を有機溶媒中に含むトナー材料の有機溶媒液を水系媒体中に微細液滴状に分散させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより得られたのもの、又は/及び該分散している間若しくはその後に該液滴中のプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより製造することができる。
【0058】
好適には、少なくとも有機溶媒中に、活性水素を有する化合物及びこれと反応可能な部位を有する重合体、又は、分子内に活性水素及びこれと反応可能な部位を有すると同時に有する自己重合性材料、着色剤、離型剤を、好ましくはこれらを含有した組成物の形で、溶解又は分散させ、該活性水素と反応可能な部位を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒及び水系媒体を除去し、洗浄、乾燥することができる。前記反応時に攪拌強さを調整したり、乾燥後に強強攪拌する事でトナーの円形度を調整しても良い。樹脂材料又は/及びそのプレポリマーとしては、各種の材料を用いることができ、特にポリエステル樹脂又は/及びポリエステルプレポリマーを好ましく用いることができる。
【0059】
これらは単なる1例であって、球形状トナーは、このような製法以外の方法で製造しても無論、かまわない。
【0060】
(画像形成装置、画像形成方法)
以下、本発明の画像形成装置及び画像形成方法に係る実施の形態ついて詳細に説明する。
本発明の画像形成装置としては、潜像担持体と、帯電装置、現像装置、及びクリーニング装置等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0061】
本実施の形態における画像形成装置は、潜像担持体と、帯電装置と、潜像形成装置と、現像装置と、転写装置と、クリーニング装置とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電装置、定着装置、リサイクル装置、制御装置等を有してなる。
【0062】
本発明実施の形態における画像形成装置に好適に用いることができる画像形成方法としては、帯電工程と、潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、定着工程、リサイクル工程、制御工程等を有する。
【0063】
<潜像形成工程及び潜像形成装置>
前記潜像形成工程は、潜像担持体上に潜像を形成する工程である。
前記潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、高画質、長寿命性の点で有機感光体が好ましい。
【0064】
前記潜像の形成は、例えば、前記潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記潜像形成装置により行うことができる。
前記潜像形成装置は、例えば、前記潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電装置と、前記潜像担持体の表面を像様に露光する露光装置とを少なくとも備える。
【0065】
前記帯電は、例えば、帯電装置を用いて前記潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電装置、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電装置、などが挙げられる。
【0066】
前記帯電装置の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
【0067】
前記帯電装置は、もちろん上記のような接触式の帯電装置に限定されるものではないが、接触乃至近接配置することで帯電装置から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触乃至近接配置式の帯電装置を用いることが好ましい。
【0068】
前記露光は、例えば、前記露光装置を用いて前記潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光装置としては、前記帯電装置により帯電された前記潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0069】
<現像工程及び現像装置>
前記現像工程は、前記潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像装置により行うことができる。
前記現像装置は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像装置を少なくとも有するものが好適に挙げられ、前記トナー入り容器を備えた現像装置などがより好ましい。
【0070】
前記現像装置は、乾式現像方式のものである。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0071】
前記現像装置内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記潜像が該トナーにより現像されて該潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0072】
前記現像装置に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
【0073】
<転写工程及び転写装置>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。但し、前記潜像担持体上の可視像を直接記録媒体に転写しても本発明の効果を何ら損なうものではない。
【0074】
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電装置を用いて前記潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写装置により行うことができる。前記転写装置としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0075】
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上103Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗を数Ωcm以上103Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にできる。
【0076】
前記中間転写体の材質は、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、PC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にレジズレを生じにくいとの利点を有している。(2)上記のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を付与した2〜3層構成のベルトであり、これら2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因し発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。(3)ゴム及びエラストマーを用いたヤング率の比較的低いベルトであり、これらのベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じない利点を有している。また、ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止するので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
【0077】
前記中間転写ベルトは、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。
【0078】
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けや用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
【0079】
弾性ベルトは次の目的で使用される。弾性ベルトは、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、トナー層に対して過度に転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
【0080】
前記弾性ベルトの樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0081】
前記弾性材ゴム、エラストマーとしては、例えば、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア,ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0082】
抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
【0083】
表層材料、表層は弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性、2次転写性を高めるものが要求される。例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上又は粒径が異なるものの組み合わせを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0084】
ベルトの製造方法は限定されるものではなく、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け,加硫研磨を行う方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。
【0085】
弾性ベルトとして伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特定の製法に限定されるものではない。
【0086】
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の組み合わせ用いて、織布状又は糸状としたものも用いられる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
【0087】
糸は1本又は複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
【0088】
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない、例えば、筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
【0089】
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂が発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることから画像に伸び縮みが大きくなること等から厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
【0090】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
【0091】
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0092】
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0093】
前記除電工程は、前記潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電装置としては、特に制限はなく、前記潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電装置の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0094】
前記クリーニング工程は、前記潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング装置としては、上述した本発明のクリーニングブレードを用いる。
【0095】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像装置にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0096】
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御装置により好適に行うことができる。
前記制御装置としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0097】
以下に、本発明に係る画像形成装置の実施形態における構成について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態における構成を示す構成概略図であり、図2は本発明に係る画像形成装置の実施形態の一部である画像形成部における構成を示す構成該略図である。
【0098】
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図1中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像装置120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像装置120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。
【0099】
なお、画像形成装置100においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0100】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0101】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0102】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図2に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図2中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する潜像を形成する露光装置と、該潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電装置62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0103】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0104】
(プロセスカートリッジ)
図3に、本発明に係るプロセスカートリッジの一実施の形態における構成の概略図を示す。
図3において、aはプロセスカートリッジ全体を示し、潜像担持体であるは感光体bと、クリーニング手段であるクリーニング装置bと、帯電手段である帯電装置cと、現像手段である現像装置dとを備える。
【0105】
本発明に係るプロセスカートリッジは、上述の画像形成装置に着脱可能に構成されてなり、さらには感光体b、帯電装置c、現像装置dおよびクリーニング装置e等のプロセスカートリッジ構成要素を一体不可分に結合した構成とすることが好ましい。
【0106】
本発明の画像形成方法、プロセスカートリッジ及び画像形成方法によれば、後述のとおりクリーニング性能が良好で、画像不良の発生を低減し、環境変動の影響を受けない良好な画像形成を行うことができる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない
(実施例1〜8)
攪拌装置、温度制御装置付きの容器500mlのガラス製反応容器に、下記表1中a1欄の使用化合物及び重量部を投入し、窒素気流下、同表中a2欄の使用化合物及び重量部を少しずつ投入し、反応させた。全量投入後、110℃に昇温し、3時間熟成し、リン酸化物を得た。
得られたリン酸化物300重量部をイオン交換水100重量部で希釈し、同表中a3欄の使用化合物及び重量部を徐々に加えて中和した。減圧乾燥機にて120℃、0.08MPa以下で5時間脱水し、本発明のリン酸エステルの亜鉛塩(A−1)320重量部を得た。
【0108】
撹拌棒および温度計をセットした4つ口フラスコに、下記表1中b1欄の使用化合物及び重量部、下記表1中b2欄の使用化合物及び重量部、下記表1中b3欄の使用化合物及び重量部を投入し、窒素置換後密閉化において、80℃で8時間反応を行い、本発明の両末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B−1)を得た。
【0109】
攪拌機付の反応容器に、下記表1中c1欄の使用化合物及び重量部、下記表1中c2欄の使用化合物及び重量部を仕込み、30〜50℃で30分混合して、本発明の硬化剤成分(C−1)を得た。
【0110】
上記で得られたリン酸エステルの亜鉛塩(A−1)を上記で得られた両末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B−1)に、下記表3記載の重量部添加し、90℃で温調した。
【0111】
予め90℃に温調しておいた上記で得られた硬化剤成分成分(C−1)を下記表3記載の重量部を投入し、スクリュ−羽付攪拌機で40rpm、1分間攪拌混合しポリウレタンエラストマーを得た。続いて室温にて、5分間脱泡後、その液を150℃に調温した成型器に注入して成型し、1時間後脱型し、ポリウレタンエラストマーを用いた成型物を得た。
【0112】
得られた成型物は150mm×200mm×2mmのシートであった。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
(比較例1)
本発明のリン酸エステル塩(A)を用いずに、実施例1と同様にしてポリウレタンエラストマー組成物(D’−1)を得た。
【0117】
(比較例2)
本発明のリン酸エステル塩(A)を用いずに、代わりに製造比較例1で調製した平均粒径0.5μmの架橋スチレン樹脂微粒子を5重量部をウレタンプレポリマー(B−1)にあらかじめ混合しておいてを使用したほかは比較例1と同様にしてポリウレタンエラストマー組成物(D’−2)を得た。
【0118】
〔物性評価〕
得られたポリウレタンエラストマー組成物について、摩耗深さ、反発弾性、硬度を測定した。
【0119】
<反発弾性>
JIS−K6301の方法に準拠して反発弾性(%)を測定した。
【0120】
<硬度>
JIS−K6301の方法に準拠して、硬度(JIS−A)を測定した。
【0121】
<画像評価・耐摩耗性評価>
得られたポリウレタンエラストマー組成物シートから 340mm*12mmの短冊を切り出し、■リコー製ImagioNeoC455のクリーニングブレードと交換して、クリーニング特性、及びクリーニングブレードの摩耗の評価を行った。
評価環境は実験室、低温環境(温度10℃湿度20%)、高温環境(温度30℃、湿度80%)の3環境にて各1万枚ずつ画像作成を行った。
クリーニング特性は、5を優良とし1を不良とする5段階評価で行った。
【0122】
クリーニングブレードの摩耗は、ブレードエッジから支持部材の方向に摩耗した長さを顕微鏡により測定した。
クリーニングブレードの耐欠け性は5を優良とし1を不良とする5段階評価で行った。
【0123】
トナーフィルミングの評価は、画像形成後の感光体表面を目視で観察し、5を優良とし1を不良とする5段階評価で行った。
上記した評価の結果を表4に示す。
【0124】
【表4】

【0125】
表4に記載の評価結果によれば、本発明によって、ブレード全体の耐摩耗特性を維持したまま、高弾性であり、小粒径の真球状トナーに対してクリーニング性能が良好なクリーニングブレードを得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態における構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の一部である画像形成部における構成を示す概略図である。
【図3】本発明に係るプロセスカートリッジの一実施の形態における構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0127】
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像装置
62 転写帯電装置
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
120 タンデム型現像装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
152 コロナ帯電器
153 定電流源
200 給紙テーブル
210 画像定着装置
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体の表面に帯電部材を接触又は近接させて当該潜像担持体を帯電させる帯電装置と、
前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
前記潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング装置とを備える画像形成装置において、
前記クリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする請求項の1〜4いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかにの記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
潜像を担持する潜像担持体の表面に帯電部材を接触又は近接させて当該潜像担持体を帯電させる帯電工程と、
前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写工程と、
前記潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程とを備える画像形成方法において、
前記クリーニングブレードは、脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させてなることを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなるウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項15】
脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物リン酸エステル塩(A)の存在下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー成分(B)と、ジオールと3〜8価のポリオールを含む硬化剤成分(C)とを反応させ硬化させたもので形成されていることを特徴とするクリーニングブレード。
【請求項16】
前記クリーニングブレードは、前記ウレタンプレポリマー成分(B)と前記硬化剤成分(C)の合計量100重量部に対して、前記リン酸エステル塩(A)を1〜10重量部含有することを特徴とする請求項15に記載のクリーニングブレード。
【請求項17】
前記リン酸エステル塩(A)の数平均分子量が100〜5,000であることを特徴とする請求項15または16に記載のクリーニングブレード。
【請求項18】
前記リン酸エステル塩(A)のSP値が8.0〜12.0であることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項19】
前記硬化剤成分(C)が、分子量60〜200のジオールと分子量80〜500のトリオールの混合物であることを特徴とする請求項の15〜18いずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項20】
前記硬化剤成分(C)におけるジオールとトリオールの重量比が60/40〜95/5であることを特徴とする請求項15〜18のいずれかにの記載のクリーニングブレード。
【請求項21】
前記ウレタンプレポリマー成分(B)が、芳香族ジイソシアネート(E)と、炭素数2〜9のグリコールと炭素数4〜8のジカルボン酸を反応させてなるポリエステルジオール(F)と、を反応させてなることを特徴とする請求項15〜20のいずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項22】
少なくとも潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上に転写されずに残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置とを備えるプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング装置は、請求項15〜21のいずれかに記載のクリーニングブレードを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−225280(P2008−225280A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66077(P2007−66077)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】