説明

クリーニング手段を備える容器充填装置および方法

【課題】充填機の洗浄が可能な液体充填機を提供する。
【解決手段】それぞれ、容器6に飲料を注入するため出口を有するとともに、容器への液体の供給を制御するためバルブ手段を有する複数の充填要素5と、少なくとも液体充填中の時間に予設定搬送経路に沿って容器を搬送する搬送手段と、充填される液体と接触する少なくとも一つの領域にクリーニング媒体によって作用するクリーニング手段とを備える、液体、特に飲料を容器に充填するための装置1。本発明によれば、クリーニング作業中にクリーニング媒体が充填要素5から自由に吐出されるように、少なくとも一つの充填要素5が設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を処理する装置および方法に関連する。液体、特に飲料を容器に充填するための装置に関して本発明が説明されるが、例えば、プラスチック材料予備成形品をプラスチック材料容器に成形するブロー成形機械など、他の容器処理設備に本発明が使用されてもよいことも指摘しておく。
【背景技術】
【0002】
このタイプの充填機械は、先行技術では長年知られている。こうして例えば特許文献1には、垂直軸を中心として回転可能であるロータを有するとともに複数の充填バルブが配設された、液体を瓶に充填するための回転式充填器が記載されている。この場合、クリーニングモードにおいてこのタイプの充填手段が液状クリーニング剤によってクリーニングされることが先行技術から知られている。このクリーニング剤は通常、製品補給ラインを介して供給されて個々の充填要素をクリーニングしてから、いわゆるCIPキャップまたはカバーを用いて再び還元される。そのため、比較的複雑な経路を介してクリーニング剤が設備内で再び還元されることが、この手順のために一部必要である。
【0003】
特許文献2には、商品と、特に容器の処理のための回転式の手段が記載されている。この場合、固定サブアセンブリとロータサブアセンブリとの間に、液体を搬送するための回転接続が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第201 20 014号明細書
【特許文献2】独国特許発明第195 42 432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、このタイプの設備のクリーニング可能性を高めることである。請求項1に記載の装置と請求項10に記載の方法によって、本発明によりこれが達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展形は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液体、特に飲料を容器に充填するための本発明による装置は、それぞれ、容器に飲料を注入するため出口を有するとともに、容器への液体の供給を制御するためバルブ手段も有する複数の充填要素を有する。加えてこの装置は、少なくとも液体充填の間の時間に予設定搬送経路に沿って容器と好ましくは充填要素も搬送する搬送手段を有する。加えて、充填される液体と接触する装置の少なくとも一つの領域に、特に充填要素の少なくとも一つの領域にクリーニング媒体による作用を行うクリーニング手段が設けられる。
【0007】
本発明によれば、少なくとも一つの充填要素が、クリーニング作業中に充填要素からこのクリーニング媒体が自由に吐出されるように設計される。
【0008】
先行技術の場合には、通常、クリーニング媒体が還元されるが、本発明の範囲では、充填要素またはその出口からクリーニング媒体が吐出されるように設けられる。こうして、クリーニング媒体は管で還元されるのでなく、自由に吐出される。すなわち、充填要素から吐出された後のセクションでは少なくとも、クリーニング媒体が管で還元されずに、好ましくは自由に滴下する、つまり充填要素の下、つまり充填要素よりも重心に近いところに位置する領域へ吐出されることが好ましい。
【0009】
個々の充填要素が円形の充填経路に沿って搬送されると、好都合である。略垂直軸を中心として回転可能である支持体に充填要素が配設されると、好都合である。作業中に、複数の充填要素から、好ましくはすべての充填要素から、クリーニング媒体がほぼ自由に吐出されると好都合である。
【0010】
この場合、充填される液体が接触する領域は特に、例えばバルブ手段など充填要素の領域であるが、充填要素へ製品を供給するための他の供給ラインであってもよい。
【0011】
これまでの先行技術で周知の装置とは対照的に、クリーニング媒体を自由に吐出させることも可能であることを出願人らは認識している。充填要素から吐出されるクリーニング媒体を収集できるように、装置が収集手段を有すると好都合である。
【0012】
装置が、特に好適な形では中央収容部を有する回転式充填機械であると好都合である。ゆえに媒体分配器によるSIP(定置滅菌)またはCIP(定置洗浄)のための復路がこの場合には設けられず、殺菌媒体またはクリーニング媒体が直接吐出される。
【0013】
装置がクリーンルームを有すると好都合であり、クリーニング作業中にクリーニング媒体がこのクリーンルームへ吐出されるように少なくとも一つの充填要素が配設される。本発明は、とりわけクリーンルームを備える構成に特に適しているが、それは、こうして飛散による汚れが防止されるからであり、またクリーニング媒体が最初にクリーンルームへ流入するからである。容器のための供給および回収手段は除いて、クリーンルームが実質的に閉鎖されると好都合である。
【0014】
別の好都合な実施形態の場合には、クリーニング媒体の除去のための流出口をクリーンルームが有する。こうして、クリーニング媒体を収集してこれを有益な方法で再び除去するため、この流出口は収集手段と同時に使用される。この場合、クリーニング媒体は復路または準備手段へ搬送される。
【0015】
さらに好都合な実施形態の場合には、クリーンルームから吐出されるガス状および液状の媒体を分離するための分離手段を装置が有する。例えば容器のために応力ガスなどのガス状媒体が、上述した流出口を介して吐出されてもよい。これらの媒体の分離が行われるように、例えばサイホンその他を設けることにより実行されるように、これらの媒体の分離が行われると好都合である。
【0016】
さらに好都合な実施形態の場合には、出口に対して移動可能であるとともにクリーニングモードにおいて出口に配置可能である可動液体搬送手段を装置が有する。これは、出口から複数の方向へクリーニング媒体が噴射されることを防止できるが、液体搬送手段は、例えば殺菌ルームに配設された出口の方向に、有益な方法で指定領域へ液体を搬送する。
【0017】
この場合、この液体搬送手段が開口部を有すると好都合である。この場合、液体搬送手段は、例えばクリーニング媒体を吐出するための円形開口部を有するプレートであってもよい。
【0018】
さらに好都合な実施形態の場合には、(特に充填手順の前またはその間に)ガス状媒体を容器へ供給するため、装置は少なくとも一つの供給手段を有する。この場合、このガス状媒体がクリーンルームへ放出可能であるようにも装置が配設されると好都合である。この実施形態は特に、閉じこめられたガスを有する飲料を充填する充填機械に適している。この充填中に、容器は最初に指定のガス圧で圧縮応力を与えられる。次にこのガスが再び充填手順に放出され、この場合には、ガスがクリーンルームへ回収されることが提案される。
【0019】
ここで述べる圧縮応力ガスの迂回、特に殺菌室またはクリーンルームへの圧縮応力ガスの迂回は、上述したようにクリーンルームへのクリーニング媒体の放出と関係なく行われてもよいことを指摘しておく。容器の圧縮応力に使用されるガス状媒体が、容器から直接ではなく、特に好適な形でクリーンルームに開口する出口ラインを介してクリーンルームへ放出されると好都合である。
【0020】
好都合な実施形態の場合、特にクリーンルームへガス状媒体を放出するためのバルブ手段を装置が有する。
【0021】
しかし、ここで述べるクリーニング液体の吐出は、例えば成形手段にも使用され、その場合に、ガス状媒体により膨張させるように、プラスチック材料予備成形品に作用するクリーニング媒体が、例えば噴射ノズルを介して排出されて、殺菌ルームから回収されることを指摘しておく。この場合、このタイプの成形手段がブロー成形モールドを有し、その内側でプラスチック材料予備成形品が膨張してプラスチック材料容器を形成すると好都合である。
【0022】
さらに好都合な実施形態の場合には、クリーンルームをクリーニングするための少なくとも一つのクリーニング手段を装置が有する。こうして、クリーンルームの領域、特にクリーンルームの内側の壁領域をクリーニングするスプレーノズルが、例えばクリーンルームの内側に配設される。この場合、出口から吐出されるクリーニング媒体が出口を介して回収されるように、これらのクリーニング手段が出口の上に配設されると好都合である。
【0023】
本発明はさらに、上述したタイプの装置と、容器を殺菌するため容器の搬送方向においてこの装置より上流に配設された殺菌手段とを有する、容器の処理のための設備に関連する。プラスチック材料予備成形品をプラスチック材料容器に成形するための成形手段も設備が有すると好都合であり、この場合、上述の殺菌手段の上流にこの成形手段が配設されると好都合である。
【0024】
こうして、容器が成形後に再び予熱されてから、Hおよび殺菌空気の混合物による作用を受け、おそらくは殺菌高温空気で噴射されることが可能であろう。その後、容器は、低温殺菌空気を噴射することにより冷却されてから、充填手段へ供給される。
【0025】
この場合、Hを蒸発させるための蒸発器を有するとともに、上記の混合気を発生させてこれにより容器に作用する手段は、例えば殺菌手段として使用される。他の殺菌手段も可能であるが、例えば、電子またはレーザ放射の使用により、あるいはUV光線の使用により容器を殺菌する装置でもよい。加えて、複数の殺菌方法を組み合わせるか、容器の搬送方向において複数の殺菌手段が前後に配設されてもよい。
【0026】
本発明はさらに、液体を容器に充填するための装置を作動させる方法に関連し、充填される容器は、予設定された搬送経路に沿って搬送され、少なくともこの搬送中の時間に複数の充填要素によって液体媒体が充填され、充填要素の少なくとも一部がクリーニング媒体の作用を受けるクリーニングモードが設けられる。本発明によれば、クリーニング媒体が充填要素の一部に作用した後、これらの充填要素から自由に吐出される。ゆえに、クリーニング媒体が回収されず、特にクリーンルームへ直接吐出されることも、方法に関して提案される。
さらなる長所および実施形態が添付図面から分かるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】殺菌状態で製品を充填するのに特に適した、本発明による充填機械を示す。
【図2】図1に示された装置の上面図である。
【図3】本発明による装置の充填要素の詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、生産時における本発明による充填機械を示す。この場合、製品経路のクリーニングのためと殺菌のため、分配装置を介した媒体のフィードバックは行われない。液状製品は、回転中の製品容器3へ補給ライン2を介して供給される。製品は複数のライン4を通り、充填バルブ(充填要素)5を介して容器へ流入し、補給ライン4の測定機器、特に好適な形では流量計(不図示)を介して充填量が判断されることが好ましい。代替的に、容器収納手段7の計量装置を介して充填量が判断されてもよい。回転式媒体分配器9の固定部分に組み込まれると好都合であって、特に好適な形では液位を判断する液位プローブ8を介して、製品容器3内の液体の液位が判断されると好都合である。クリーニング媒体は補給ライン2を介しても搬送されるので、補給ライン2は、充填機械のクリーニング手段の構成部分でもある。
【0029】
通常の場合には、純粋に重量による充填を実行できるようにするため、環境またはクリーンルーム12との圧力均等化がそれぞれガス経路11によって形成される。特に粘性の製品の場合、製品容器3に過圧を発生させるのにもガス経路11が使用され、多くの場合、ピストン充填バルブがこの時に使用される。
【0030】
参照番号9は、液体製品を個々の充填バルブ5に分配するための媒体分配器を指している。回転式媒体分配器9は、図の場合には製品と接触していないスライドリングシール10を有する。少なくとも生産時には、スライドリングシールが後ろ側でも殺菌されると好都合である。この目的のため、高温の水または蒸気が補給ライン13によって供給され、最低点の別の箇所では、好ましくは回転部分にある迂回ライン14を介して例えば凝縮液分離器に送られる。スライドリングシール10を搬送できるようにするため、台部15が設けられている。特に蒸気による殺菌中に熱流を最少にするため、補給ライン2およびスライドリングシール10からこれがオフセットしていると好都合である。空洞16、薄壁ウェブ17、またはピン18によって熱分離が実行されるか、熱絶縁要素が使用されてもよい。ベアリングハウジングは潤滑ボア27を備え、補給ライン2はトルクサポート28と同時に作用できる。
【0031】
参照番号3は、液体製品を収納するための収納容器を指す。製品容器3が回転すると好都合である。製品トラックが複数である場合には、製品容器も複数存在して、この時、機械の固定部分にこれらが配設されると好都合である。この場合、製品容器と充填バルブとの間には、複数トラックの媒体分配器が配設される。メンテナンス作業中にスプレーボール20も交換できるように、点検用ガラス19が配置されると好都合である。好ましくは補給ライン2の端部に、特に好適な形では容器供給および除去ユニット22/23(図2も参照)の間に配設される攪拌パドル21が、製品容器3の攪拌機構の代わりに設けられてもよい。繊維、果肉、他の個体を含む製品の場合にはこれが攪拌に使用されるため、これらの固体が容器の底に沈殿することはない。この構成の場合には、攪拌パドルと製品容器との間の相対的回転運動により、攪拌パドル用に独立駆動装置が必要ないことが好都合である。
【0032】
参照番号24は、装置の基部フレームを指す。基部フレームは、中央に位置する中空シャフト26によって回転上部25を支承している。電流、制御信号、圧縮空気を上部に供給するためのラインが、中空シャフト26を通ってもよい。(電動モータ)駆動ユニット30の下には、回転式分配器29が配設されることが好ましい。フレーム24は、クリーンルームを保守できるようにするため油圧密封システム32によって充填機械の回転部分から固定部分を密封することが好ましい固定のクリーンルームハウジング31も包含する。おそらくは乾燥状態の殺菌空気は、一つ以上の供給空気チューブ33を介して供給される。媒体は、一つ以上の出口(流出口)34から抽出される。(例えばサイホンを通る下向きの)液体媒体と(例えば吸引ユニットを通る上向きの)ガス状媒体との分離手段(不図示)は、出口34の下流に配設される。クリーニングルームは、自動制御されるクリーニングシステム(不図示)に装着された一つ以上のクリーニングノズル(クリーニング手段)35によってクリーニングされる。容器殺菌またはクリーニングおよび/または閉鎖ユニットなど複数の処理ユニットも、ハウジング31に一体化されるとよい。容器殺菌またはクリーニングのための処理ユニットは、例えば液状および/またはガス状媒体による処理、プラズマによる処理、放射(UV、電子放射)による処理など、多様な処理方法に適用され、例えば、DE10200501250A1、DE102007034837A1、DE102010012569.5、DE10134037B4、またはDE10217145A1に記載されている。上に挙げたこれらの明細書の主題は、その全体が本出願の主題の参考にされている。
【0033】
駆動ユニット30は例えば、特にギヤを備えない直接駆動装置であって、高いトルクを持つことが好ましい(いわゆるトルクモータ)。この場合、中央シャフトまたは中空シャフト26およびモータのロータ64は、共通の構成要素の形状で設計されるか、一体設計される。この場合には、例えばロータ64の永久磁石が中空シャフト26に一体化されて、モータのロータと中空シャフトとが好都合な形で構造ユニットを形成することが可能であろう。
【0034】
加えて、駆動ユニット30のステータ66とハウジング68とは、共通の構成要素の形状で設計されるか、構造ユニットを形成する。こうして、ステータ磁石に電流を供給するため、これらの磁石と、任意で供給ラインもハウジングにすでに一体化されることが可能であろう。これらのステータ磁石は電磁石であることが好ましい。
【0035】
この場合、図1に図示されているベアリング72,74は、駆動ユニット30の構成部分ではなく、従来のモータを使用する時にも採用される機械台部の一部であると好都合である。これらのベアリング72,74は、ハウジング68を中空シャフト26に対して支持すると好都合である。この実施形態の場合、モータシャフトまたは中空シャフト62とモータハウジング68との間には、モータに付加的な台部が存在しないと好都合である。異物の侵入を防止するため、ベアリング72,74が密封されることが好ましい。
【0036】
そのため、本発明によれば装置の駆動装置として直接駆動装置を使用することが提案される。容器を充填するための対応の装置について導入部で説明した本発明とは無関係に、この構成が使用可能であることを指摘しておく。
【0037】
しかし加えて、回転可能な支持体によって容器を搬送する搬送手段を特に有する容器の処理のための他の装置に、このように設計された直接駆動装置が使用されてもよい。このタイプの装置は、例えば搬送用星形ホイール、殺菌手段、ブロー成形機械、その他である。
【0038】
参照符号52は、作業中には静止しているクリーンルームの境界壁を指し、参照番号54は、装置の作業中に移動可能である壁を指し、参照番号57は、この場合には同様にクリーンルームの境界壁を形成する中央シャフトの外周部(同様に作業中に移動可能)を指す。図2は、充填機械の概略平面図である。角度Aの領域内では充填バルブ5が閉じられるので、攪拌パドル21はここに位置することが好ましい。その結果、開口充填バルブの領域では製品はよりスムーズに流れる。容器3には、3個のスプレーボールが配設されることが好ましい。図1に示されたハウジング31の基部58は斜めに配設されているため、出口34も配設された流路46へ媒体が落下できる。流路46はここでは連続して設けられており出口34の方向に傾斜しているため、少なくとも液状媒体が出口34へ誘導される。
【0039】
製品と接触するとともに媒体ともそれぞれ接触する経路のクリーニングおよび殺菌について、図1から3を参照して以下に説明する。製品と接触しているのは、上流に取り付けられた製品準備の経路(例えば、短期加熱またはUHTによる製品の殺菌)、おそらくは殺菌製品緩衝用タンク(存在する場合には、充填機械1の上に配設されることが好ましい)、おそらくはバルブが装着される補給ライン2、そして充填バルブ5の出口37(図3)までの製品容器3である。これは、充填バルブコーン(バルブ手段)38とスクリーン(液体搬送手段)36との間に配設された出口37の表面もこの場合には含まれることを意味する。(例えば飲料のため、また飲料用のシロップ添加剤のための)複数の製品経路が存在すべき場合には、これらも製品と接触している。媒体と接触しているものはすべて、他には製品容器3および/または充填バルブ5に通じて、またここから離間する経路である。例を挙げると、充填バルブ出口37(図3参照)で容器を洗浄して容器の内容量を不活性にするため、窒素が供給されてもよい。
【0040】
媒体および製品と接触している経路のクリーニングは、例えば、補給ライン2を介して、またはガス経路11を介して供給されるアルカリ液または酸などの液状クリーニング剤によって実行されるのが一般的である。バルブ駆動装置(不図示)によって充填バルブコーン38を(空気圧により、磁力により、または電動モータにより)開くことによって、クリーニング剤がクリーンルームに残り、一つ以上の出口34を介して排出され、また場合によっては(例えばクリーニング回路における)再使用のため、または再調整のため、少なくとも一時的にCIP設備へ任意でフィードバックされるかポンプ供給される。例を挙げると、このステップではやはり非常に多くの製品残留物がシステムから洗浄されるので、自動制御可能である適当なバルブ構成によって、クリーニング剤または予備洗浄水の第1部分が出口34から排出された後で管へ放出されることが可能である。製品残留物の大部分が洗浄されると、CIP設備への回路が閉じられるようにバルブ構成が切り換えられる。
【0041】
図3は、殺菌サイクルにおける充填バルブ5を示す。旋回押圧装置35は、ボア(開口部)36aを備える旋回スクリーン36を有する。このスクリーンは、充填バルブ5中の蒸気圧を維持する規定のボア直径を有する(公称温度が100℃を超える場合には、クリーンルーム12に過圧が発生するに違いない)。このようにして、充填バルブ5、補給ライン4、製品容器3、および製品または媒体と接触している他の構成要素が殺菌される。蒸気の供給は、補給ライン2を介して、および/またはガス経路11を介して、および/または製品容器3に通じている別の任意の付加的トラックを介して、少なくとも一時的に実行される。装置の始動時に最適ボア直径を調節するため、スクリーン36を調節可能にすることができる。
【0042】
加えて、例えばHなどのガス状媒体、または例えばPESなどの液状媒体が、殺菌媒体(好ましくは蒸気)に加えられる。プロセス全体は通常、SIP(定置滅菌)と呼ばれる。殺菌プロセスは、好ましくは充填バルブに配設されるとともに、特に好適な形ではスクリーンに組み込まれる一つ以上の温度センサによって監視される。個々の温度センサが、スクリーン36の下に固定状態で配設されて、これが、バルブが通過する上部25の回転中の時間にボア36aの温度を記録することも可能である。センサは、旋回可能であるように配設されてもよく、容器供給ユニット22と容器除去ユニット23(図2のセクタA)との間の角度内に配設されることが好ましい。
【0043】
殺菌プロセスの後、上部25の冷却段階が通常の方法で行われ、媒体、例えば乾燥され、任意で冷却された殺菌空気または殺菌不活性ガスにより、この段階がサポートされることも可能である。
【0044】
製品が変わるたびに冷却または殺菌が必要なわけではない。澄んだ製品から濁った製品への充填が実行される場合には、混合状態のものを容器に充填して、クリーンルームの外の通常の容器搬送経路で閉鎖状態か非閉鎖状態でこれを搬送することが推奨される。粘性製品の場合には、流動性の媒体(例えば、液状H部分が5%の飲料水)による中間洗浄がより好都合である。指定の量を超えた時には、媒体を、充填バルブを介してクリーンルームへ流入させて、一つ以上の出口34を介して除去することが適切である。
【0045】
装置35は、充填バルブの軸方向に、また好ましくは径方向にも充填バルブ出口37を密封するスクリーン36を旋回させるのに使用されることが好ましい。参照番号40は、スクリーン36が配設されたアームを指している。シール39は、エラストマか硬質プラスチック材料、または金属であって、規定の形状を有する。レバーによるスクリーンの回転および直進運動は、空気圧/油圧および/または電磁力により駆動される。要件に応じて、異なるボア直径を持つスクリーンが旋回される必要があり、その場合、図3に示されたような電磁駆動装置が設けられることが好ましい。例を挙げると、クリーンルーム12のクリーニングおよび/または殺菌中に媒体が充填バルブへ侵入するのを防止するように、キャップ(ボアのないスクリーン)が旋回されてもよい。また、複数の充填バルブが一つの装置35によって操作されても好都合である。単数または複数の駆動装置がクリーンルームの外側に位置する場合には、殺菌に関して好都合である。X方向に可動であるか、ベローズまたはダイヤフラム(不図示)に設置されるシャフトシール42を介してロッド41が密封されることが好ましい。微生物学的な点で厳しくない製品のみが機械に充填される場合には、旋回または押圧装置もクリーンルームに位置してもよい。この時、複数のスクリーン36を備える一つ以上のセグメント43が導入されることが好ましい。
【0046】
結合ガスを含む飲料(例えば炭酸飲料)の充填について以下に説明する。炭酸飲料を充填できるようにするため、指定の領域B(図2)で容器6が圧縮応力を与えられなければならない。クリーンルームに対して容器を密封するため、リフト手段を介して容器6が充填バルブ出口37に押圧されるか、充填バルブのベル状部が容器の方へ移動する。炭酸飲料の充填については、充填バルブ出口37と製品容器3のガス空間との間には通常、別のライン(不図示)が存在し、これは一つ以上のバルブによって切り換えられる。容器が押圧された後でバルブがオンに切り換えられるため、空の容器6と製品タンク3との間には圧力均等化が発生する。クリーンルームと対照的に、この時、圧縮応力を与えられた容器6には4バール以上の圧力が存在する。(充填領域Cにおける)充填キャップコーン38の開口の結果、製品は純粋に重力によって容器へ流入できる。所望の充填量が達成されると、充填キャップコーン38が閉じられる。
【0047】
開放領域D(図2)では、充填された瓶が複数のステップで部分的に(そっと)放出されなければならない。この目的のため、容器の頭部スペースまで延出して周囲に通じている別のラインまたはボアが必要であり、開放領域でのその流量は、一つ以上のバルブおよび/またはスロットル手段によって制御される。ラインまたはボアは充填キャップコーンを通過するか、他方では、例えば充填バルブの出口37へと横方向にも延在する。製品経路またはクリーンルームでの殺菌状態の維持を考慮すると、容器と充填バルブと周囲との間の連通は望ましくないので、クリーンルームへ放出ガス(CO)が噴射されることが好ましい。放出ガスは、クリーンルームの空気交換の結果、一つ以上の出口34から排出される。
【0048】
圧縮応力および/または放出のため上述したラインまたはボアの適当な点での接続(不図示)により、媒体と接触しているこの経路がクリーニング媒体および/または殺菌媒体の作用を受けることも好都合であり、その場合にも、それぞれの媒体が充填バルブの出口37でクリーンルームへ漏出し、出口34を介して除去される。
【0049】
原則として、本発明によるこのタイプの充填設備では、飲料混合物も製造が可能である。この時、二つ以上の製品経路が充填機械1に通じており、好ましくは複数トラックの媒体分配器を介して様々な製品が充填バルブに供給される。例を挙げると、二つの製品経路において、予め決定された指定の脂肪分を含むミルクが、別の脂肪分を含むミルクと充填容器内で混合されてもよい。充填機械の領域Aにおいて、閉じた充填バルブ5へ例えばシロップを添加することは、特に重要である。次にシロップ部分が、容器6に充填された製品の次の主要部分、例えば水によって、完全に洗浄される。製品または媒体と接触している別の経路すべてが、そのために回転上部25に設けられたバルブの切り換えによって製品の準備時に適切にクリーニングされ、必要とされる防腐(無菌)充填で適切に殺菌されると好都合である。
【0050】
単独または組合せで先行技術と比べて新規である限り、出願書類に開示された特徴すべてを発明に不可欠なものとして主張する権利を出願人は保有する。
【符号の説明】
【0051】
1 充填機械、装置
2 補給ライン
3 製品容器、収納容器、製品タンク
4 ライン
5 充填バルブ(充填要素)
6 容器
7 容器収納手段
8 液位プローブ
9 回転式媒体分配器
10 スライドリングシール
11 ガス経路
12 クリーンルーム
13 補給ライン
14 迂回ライン
15 台部
16 空洞
17 ウェブ
18 ピン
19 点検用ガラス
20 スプレーボール
21 攪拌パドル
22,23 容器供給・除去ユニット
24 基部フレーム
25 上部
26 中空シャフト
27 潤滑ボア
28 トルクサポート
29 回転式分配器
30 駆動ユニット
31 クリーンルームハウジング
32 油圧密封システム
33 空気パイプ
34 出口(流出口)
35 クリーニングノズル、旋回/押圧装置、装置(クリーニング手段)
36 スクリーン(液体搬送手段)
36a ボア(開口部)
37 出口
38 充填バルブコーン(バルブ手段、充填キャップコーン)
39 シール
40 アーム
41 ロッド
42 シャフトシール
43 セグメント
46 流路
52 境界壁
54 可動壁
56 シャフト
57 中央シャフトの外周部
58 ハウジング31の基部
64 駆動ユニットのロータ
66 駆動ユニットのステータ
68 駆動ユニットのハウジング
72,74 ベアリング
A〜D セクタ、部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、容器に飲料を注入するため出口を有するとともに、前記容器への液体の供給を制御するためバルブ手段を有する複数の充填要素と、
少なくとも液体充填中の時間に予設定搬送経路に沿って前記容器を搬送する搬送手段と、
充填される液体と接触する少なくとも一つの領域にクリーニング媒体によって作用するクリーニング手段と、
を備える、液体、特に飲料を容器に充填するための装置において、
少なくとも一つの充填要素は、クリーニング作業中に前記クリーニング媒体が前記充填要素から自由に吐出されるように設計されることを特徴とする装置。
【請求項2】
クリーンルームを有し、前記少なくとも一つの充填要素は、前記クリーニング作業中に前記クリーニング媒体が前記クリーンルームへ吐出されるように配設されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クリーンルームは、前記クリーニング媒体の除去のための流出口を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クリーンルームから吐出されるガス状および液状の媒体を分離するための分離手段を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記出口に対して可動であるとともにクリーニングモードで前記出口に配置可能である液体搬送手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記液体搬送手段は開口部を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記容器にガス状媒体を供給する少なくとも一つの供給手段を有し、前記ガス状媒体を前記クリーンルームに放出可能であるように配設されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記クリーンルームに前記ガス状媒体を放出するバルブ手段を有することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記クリーンルームをクリーニングするための少なくとも一つのクリーニング手段を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の装置と、
前記容器を殺菌するため、前記容器の搬送方向において前記装置より上流に配設された殺菌手段と、
を備える、容器の処理用設備。
【請求項11】
充填される容器が、予設定搬送経路に沿って搬送され、少なくとも搬送中の時間に複数の充填要素によって液状媒体が充填され、前記充填要素の少なくとも一部がクリーニング媒体の作用を受けるクリーニングモードが設けられる、液体を容器に充填するための装置を作動させる方法において、
前記クリーニング媒体は、前記充填要素の一部に作用した後に前記充填要素から前記媒体が自由に吐出されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−25489(P2012−25489A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−155341(P2011−155341)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】