説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】像担持体への再付着を防止できるとともに無極性トナーの除去を行うことができ
る構成を備えたクリーニング装置を提供する。
【解決手段】転写後の像担持体1上に残存するトナーを除去するために用いられるクリー
ニング装置6であって、上記像担持体1の移動方向に沿って該像担持体1に接触可能な複
数のブラシローラ6A、6Bを備え、前記複数のブラシローラの一つ6Aは、導電剤が表
面に露出したブラシ繊維を備え、前記ブラシローラの他の一つ6Bは、前記導電剤が表面
に露出しないで内部に分散されたブラシ繊維を備え、かつ該ブラシ繊維が前記像担持体の
移動方向になびくように傾斜させた植毛からなる斜毛状態に構成されていることを特徴と
する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、重合トナー
などの小粒径で真球化されたトナーを対象としたクリーニング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像
担持体である感光体に対して帯電工程により一様帯電が行われると、画像情報などに基づ
く光書き込み処理によって静電潜像が形成される。
【0003】
感光体上の静電潜像は、現像装置から供給されるトナーにより可視像処理された後、転
写手段を用いて紙などの記録媒体あるいは中間転写体に転写される。記録媒体への転写は
主にモノクロ画像形成時に行われ、中間転写体への転写はフルカラー画像などの多色画像
を形成する場合に行われる。多色画像形成時には、中間転写体に各色の画像を順次転写し
て重畳画像を記録媒体に対して一括転写する場合と転写ベルト上に記録媒体を吸着保持し
た状態で各色の画像形成ステーションを移動させる過程で各色の画像を重畳転写する場合
とがある。いずれの場合にも、最終複写出力としては記録媒体に転写されたトナー像とい
うことになる。
【0004】
像担持体には前述した感光体だけでなく、各色の画像形成ステーションにおいて形成さ
れた画像を転写される中間転写体も含まれている。
【0005】
ところで、現像装置により形成されたトナー像が転写された後の感光体や中間転写体は
、転写残トナーなどの残トナーを除去してクリーニングされるようになっている。クリー
ニングの目的は、残存トナーの存在が、次に転写を受ける記録媒体に対してそのトナーを
転写して地肌汚れを招く原因となるのを防ぐためである。
【0006】
そこで、従来では、クリーニング処理に用いられる構成として、ブレードクリーニング
方式を用いたものがよく知られている。
【0007】
ブレードクリーニング方式は、クリーニング対象に対してブレードを当接させて移動し
てくる残存トナーを堰き止めることでクリーニング対象からトナーを掻き取ることができ
る。
【0008】
ところで、近年では、高解像度の高画質が要求されてきていることから、使用されるト
ナーに関しても、それまで使用されていた粉砕法によるトナーに代えて粒径を小さく揃え
ることができることおよび真球化が可能な重合法によるトナーが用いられるようになって
きている。
【0009】
重合法によるトナーは、球形化することで転写効率が向上し、転写残トナーとして廃棄
される量が少なくなるという利点があるために多用される傾向にある。以下にその理由に
ついて説明する。
【0010】
トナーは現像工程で現像バイアスを印加された状態で感光体などの像担持体上に担持さ
れている静電潜像に供給される。
【0011】
そのときの像担持体上での潜像電位および現像バイアスによって像担持体に付着すると
像担持体表面に作用する主な力として、鏡映力とファンデルワールス力がある。鏡映力は
電荷量とその距離に大きく依存する。
【0012】
従来の粉砕法によって生成された粉砕トナーはその表面に凹凸があり摩擦帯電により、
凸部が集中的に帯電される。これに対して重合法によって生成された重合トナーはその表
面が球形又は球形に近い形状を有するため表面が均一に帯電される。そして粉砕トナーに
おいては、凸部で接触し非常に近接した領域に多くの電荷が存在するために、鏡映力増大
する。一方重合トナーのよう球形をしていると、接触状態はほとんど点状になり、且つ近
接領域の電荷量も少なく、粉砕トナーに比べて鏡映力が小さくなる。
【0013】
粉砕トナーを用いた場合には、多くのトナーの中には上記のような凸部で接触するトナ
ーが多数存在し、この場合にはファンデルワールス力は非常に大きくなる。これに対して
、重合トナーは表面形状が球状であるためトナーはほとんど点で接触する。よって、ファ
ンデルワールス力も重合トナーの方が小さくなる。
【0014】
このように、接触力の観点から、球形に近い重合トナーの場合、感光体に対する鏡映力
、ファンデルワールス力、つまり付着力が小さくなり転写における転写残トナーが少なく
トナー消費量が少なくできて経済的に有利である。
【0015】
しかし、転写残トナーをクリーニングする場合には、小粒径化されて真球化されている
重合トナーがブレードと像担持体表面との間をすり抜けやすくなる。このため、ブレード
を用いてこの重合法で製造される小径且つ球形のトナーをクリーニングするには、ブレー
ドを強い力(例えば、線圧として100gf/cm以上)で像担持体上に押し付けて堰き
止めることが必要となる。
【0016】
強い力で押し付けることは、ブレードや像担持体表面層の磨耗が加速される。
具体的には、感光体ドラム、クリーニングブレードの磨耗等により寿命が極端に短くな
る通常の線圧:20gf/cmでの感光体寿命(感光層が1/3程度削れる時の寿命)は
Φ30で約100kp、クリーニングブレード寿命(削れてクリーニング不良が発生する
時の寿命)約120kpであるが、上述したように、強い力(線圧:100gf/cm)
で押し付ける時には、感光体の寿命が約20kp、でクリーニングブレードの寿命は約2
0kp程度に低下してしまう。
更に強い力でブレードを押し付ける為、像担持体を駆動するためのモータトルクも大き
くしなくてはならないなどの欠点がある。
【0017】
そこで、像担持体へのダメージ低減と小径でかつ円形度の高いトナーをクリーニングす
る方式として静電気力でトナーを吸着させる静電ブラシローラを用いた方式が検討されて
いる(例えば、特許文献1,2)。
【0018】
上記特許文献には、 残トナーが表面に存在する像担持体の移動方向に沿って像担持体
に接触する回転可能なブラシローラからなるクリーニングブラシを設け、各ブラシローラ
には、クリーニングバイアスが印加されるとともに、このブラシに接触する回収ローラに
印加されている回収用バイアスとの電位差によって、ブラシローラに転移したトナーを回
収する構成が開示されている。この場合、複数のブラシローラには、異なる極性のバイス
電圧が印加されて、図38に示すように、像担持体上で正負混在するトナーの極性に対応
させてクリーニングできるようにした構成も開示されている。
【0019】
ここで、上述した特許文献に開示されているような静電クリーニングの原理について説
明すると、次の通りである。
図39は、トナーの移動モデルを説明するための図であり、同図において、ブラシロー
ラのブラシ繊維の電位Vb、回収ローラ表面の電位Vrの関係で示している。トナーは「
−極性」の電荷(OPC上:Q1、ブラシ上: Q2、回収ローラ上: Q3としている)
を持っている。そして、それぞれのポテンシャル(電位)Vb、Vrの差によって形成さ
れる電界によって移動すると考える。図39では、感光体上からブラシ上への移動を「一
次クリーニング」、ブラシ上から回収ローラ上への移動を「二次クリーニング」とした。
【0020】
このように、クリーニングブラシおよび回収ローラとの間のポテンシャルの差を利用し
て静電的にトナーを転移させる方式においては、上流側でのブラシローラと下流側でのブ
ラシローラとに印加される電圧の極性を異ならせることで像担持体上に混在している極性
を持つトナーの回収が行えることになる。
【0021】
【特許文献1】特開2005−265907号
【特許文献2】特開2005−17764号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上述した特許文献に開示されている構成においては、ブラシローラに用いられるブラシ
側に転移したトナーの一部がブラシ繊維から電荷を受けてブラシに印加された電荷と同極
性に転じ、このトナーがブラシから反発して像担持体に再付着する虞がある。
【0023】
像担持体の移動方向上流側に位置するブラシローラから像担持体に再付着したトナーは
、移動方向下流側に位置するブラシローラが上流側のブラシローラと逆極性のクリーニン
グバイアスであることから下流側のブラシローラに転移させることができる反面、下流側
でのクリーニングブラシにおいても上流側と同様な現象が起こると像担持体に再付着した
トナーを回収する術がなく、像担持体に対するクリーニング不良の原因となる。
【0024】
この原因として考えられるのは、ブラシ繊維の表面に露出した導電剤がトナーと接触し
、トナーに対する電荷注入が生じるためである。
【0025】
一方、像担持体上の残トナーには、上述したように正負いずれかの極性を持つものが混
在するだけでなく、電荷を持たないトナーが存在する場合がある。
【0026】
このような無極性のトナーはバイアスによる静電クリーニング機構を備えているブラシ
ローラでは除去されないことになり、クリーニング不良が生じることもある。
【0027】
無極性のトナーに対しては、特許文献に開示されている構成により像担持体の移動方向
上流側と下流側とで逆極性の関係を設定することにより上流側で電荷注入されたトナーを
下流側のブラシローラにより除去することが可能となると推察できる。
【0028】
しかし、トナーに対する電荷注入に用いられるブラシ繊維の構造が上述したように導電
剤とトナーとが接触する構造である以上、先に挙げた像担持体への再付着の問題を完全に
解消することはできない虞がある。
【0029】
本発明の目的は、上記従来の静電クリーニングを用いるクリーニング装置における問題
に鑑み、像担持体への再付着を防止できるとともに無極性トナーの除去の行うことができ
る構成を備えたクリーニング装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
この目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であっ
て、
上記像担持体の移動方向に沿って該像担持体に接触可能な複数のブラシローラを備え、
前記複数のブラシローラの一つは、導電剤が表面に露出したブラシ繊維を備え、
前記ブラシローラの他の一つは、前記導電剤が表面に露出しないで内部に分散されたブ
ラシ繊維を備え、かつ該ブラシ繊維が前記像担持体の移動方向になびくように傾斜させた
植毛からなる斜毛状態に構成されていることを特徴とするクリーニング装置。
(2)像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であっ
て、
上記像担持体の移動方向に沿って該像担持体に接触可能な複数のブラシローラを備え、
前記複数のブラシローラの一つは、導電剤が表面に露出したブラシ繊維を備え、
前記ブラシローラの他の一つは、前記導電剤が表面に露出しないで内部に分散されたブ
ラシ繊維を備え、かつ、該ブラシ繊維がループ状に植毛されていることを特徴とするクリ
ーニング装置。
(3)前記複数のブラシローラには、それぞれローラが接触するように配置され、該ロー
ラのうちで、前記ブラシローラの他の一つに接触するローラの表面には絶縁層が設けられ
ていることを特徴とする(1)または(2)に記載のクリーニング装置。
(4)前記像担持体上に残存するトナーとして、形状係数SF−1が100〜150に設
定されたトナーであることを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする
画像形成装置。
(6)異なる色の画像形成が可能な作像部にそれぞれ設けられている感光体にクリーニン
グ装置が設けられていることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
(7)前記作像部からの画像を順次転写される中間転写体を備え、該中間転写体にはクリ
ーニング装置が設けられていることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像形成装
置。
(8)前記作像部が設けられ各作像部間に記録紙を搬送するベルト体を備え、該ベルト体
にクリーニング装置が設けられていることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像
形成装置。
(9)感光体にはフィラーを分散させた構成が用いられることを特徴とする(6)に記載
の画像形成装置。
(10)感光体として、充填剤で補強された表面層を有する有機感光体または架橋型電荷
輸送材料を使用した有機感光体あるいはその両方の特性を備えた感光体が用いられること
を特徴とする(6)に記載の画像形成装置。
(11)感光体として、アモルファスシリコン感光体が用いられることを特徴とする(6
)に記載の画像形成装置。
(12)像担持体として用いられる感光体微外感光体に対する画像形成処理のために用い
られる帯電手段、現像手段およびクリーニング装置のうちのいずれかが纏めてプロセスカ
ートリッジに収容されていることを特徴とする請求項(5)、(9)、(10)、(11
)のいずれかに記載の画像形成装置。
(13)前記クリーニング装置には、ブラシローラに接触可能な回収用ローラが設けられ
、該回収用ローラにはトナーの掻き落とし用のブレードが当接して設けられ、該ブレード
における前記回収用ローラと接するエッジ面には耐摩耗性の被覆層が設けられていること
を特徴とする(1)または(5)乃至(12)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ブラシローラの一つが導電剤を表面に露出させたブラシ繊維を備え、
かつ、ブラシローラの他の一つが導電剤を内部に分散させたブラシ繊維を用い、かつ、該
ブラシ繊維が前記像担持体の移動方向になびくように傾斜させた植毛からなる斜毛状態に
構成されているので、無極性トナーに対しては、ブラシローラの一つで電荷注入されるこ
とにより極性設定された電荷を帯びることができる。これにより、無極性トナーがブラシ
ローラの他の一つによって回収されることができ、しかも、ブラシローラの他の一つとト
ナーとの直接接触がないので、回収されたトナーに対する電荷注入による像担持体へのト
ナーの再付着を防止することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明によるクリーニング装置が適用される画像形成装置を説明するための模
式図である。
【0034】
図1において、像担持体の一つとして用いられる感光体ドラム1は、図示矢印方向に回
転できるようになっており、その周囲には、回転方向に沿って画像形成処理を実行するた
めの帯電手段2,書き込み装置(図では、光路のみが示されている)3,現像装置4、転
写装置5および本発明に係るクリーニング装置6、除電ランプ7,遮光板8がそれぞれ配
置されている。
【0035】
帯電手段2には、感光体ドラム1に対して近接することで非接触なローラが用いられて
いる。また、現像装置4内の現像スリーブ4Bには、図示しない電源によって現像バイア
スが印加されるようになっている。さらに転写装置5には、図示しない給紙装置から繰り
出される記録紙を挟んで感光体ドラム1と対向するローラが用いられ、転写時には図示し
ない電源から転写バイアスが印加されるようになっている。転写装置5が位置する転写位
置の近傍には、図示しない給紙装置から繰り出された記録紙のレジストタイミングを設定
するレジストローラ9および転写位置への導入搬送ガイド10が配置されている。
【0036】
現像装置4は、現像槽4A内で感光体ドラム1に対向している現像スリーブ4Bと現像
スリーブに対して攪拌混合により摩擦帯電した現像剤を供給する供給ローラ4Cおよび現
像スリーブ4Bに担持されている現像剤の層厚を規定するドクターブレード4Dとを備え
ている。
【0037】
クリーニング装置6は、ハウジング内において感光体ドラム1の移動方向に沿って感光
体ドラム1の周面に接触するブラシ繊維を備えた複数のブラシローラ6A、6Bが配置さ
れている。便宜上、符号6Aで示したブラシローラを第1のブラシローラと称し、符号6
Bで示したブラシローラを第2のブラシローラと称する。
【0038】
第1,第2のブラシローラ6A、6Bには、感光体ドラム1から遠ざかる側の周面に回
収ローラ6A1,6B1が接触するように配置されており、さらに、回収ローラ6A1,
6B1には回収ローラクリーニングブレード6A2,6B2が先端エッジを接触させるよ
うに配置されている。
【0039】
第1,第2のブラシローラ6A、6B、回収ローラ6A1,6B1および回収ローラク
リーニングブレード6A2、6B2にはそれぞれ感光体ドラム1の移動方向上流側と下流
側とで逆極性となるバイアス電圧を印加するための電源60,60’、61,61’、6
2,62’がそれぞれ接続されている。
【0040】
以上のような構成の画像形成装置においては、現像装置4に用いられるトナーとして、
形状係数SF−1が100〜150に設定されたトナーが用いられる。
【0041】
図2は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的
に表した図である。
【0042】
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表さ
れる。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積A
REAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0043】
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほ
ど不定形になる。
【0044】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)
で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積
AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0045】
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大き
くなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0046】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でト
ナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析し
て計算した。
【0047】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状
態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また
、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF
−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合
のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0048】
画像形成装置において実行される画像形成処理は、次の通りである。なお、本実施形態
での画像形成処理は、N/P(ネガポジ:電位の低いところにトナーが付着する)反転現
像を対象としている。
【0049】
図示しない操作部のプリントボタンが押されると、帯電手段2、現像装置4での現像ス
リーブ4B、転写装置5,クリーニング装置6での各電源60,60’、61,61’、
62,62’に対して所定の電圧または電流が順次所定タイミングで印加され、これに合
わせて感光体ドラム1,帯電装置2,現像装置4および転写装置が起動され、それぞれ図
示矢印方向に回転する。
【0050】
感光体ドラム1は、帯電装置によって一様に負極帯電され(−700V)、書き込み装
置3からのレーザ光による書き込み光によって画像情報などに対応した静電潜像が形成さ
れる。この場合の黒ベタ部での潜像電位は、−120Vとされている。なお、感光体ドラ
ム1の線速は205mm/secに設定されている。
【0051】
感光体ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置4の現像スリーブ4Bに形成されて
いる磁気ブラシに接触することでブラシ中のトナーが現像バイスである−450Vとの間
での電位ポテンシャルによってトナーが静電的に吸引されることでトナー像として可視像
処理される。
【0052】
トナー像は、レジストローラ9を介して繰り出された記録紙に対して転写装置5の転写
バイアス(+18μA)によって記録紙上に転写される。トナー像を転写された記録紙は
分離爪11によって感光体ドラム1から搬送路12に向け分離されると、図示しない定着
装置に向け搬送されてトナー像が定着される。
【0053】
転写後の感光体ドラム1は、クリーニング装置6によって転写残トナーなどの残トナー
をクリーニングされ、除電ランプ7によって除電された後、再度、帯電装置2により一様
帯電されることで次の画像形成処理に備えられる。
【0054】
クリーニング装置6では、感光体ドラム1の移動方向上流側および下流側に配置されて
いる第1,第2のブラシローラ6A、6Bへの逆極性のバイアス電圧の印加を利用して感
光体ドラム1上に残存するトナーに正負両極性のものが存在している場合でも各ブラシロ
ーラにおいて除去できるようになっている。
【0055】
つまり、第1のブラシローラ6Aには、正極性のDC電圧(例えば、+250V)が印
加されており、感光体ドラム1上で「−極性」、「+極性」が混在している残トナー内の
うちで「−極性」のトナーを静電的に吸着し、そして、無極性の残トナーには電荷注入に
よって「+極性」を設定するようになっている。この状態は、図38に示した転写残トナ
ーの極性が全て「+極性」に転じた状態に相当する。
【0056】
第2のブラシローラ6Bには、第1のブラシローラ6Aとは逆極性である負極性のDC
電圧(例えば、−450V)が印加されており、第1のブラシローラ6Aのバイアス電圧
の印加により正極性に揃えられた残トナーが静電的に吸着されるようになっている。
【0057】
第1,第2のブラシローラ6A、6Bに静電吸着された残トナーは、これらブラシロー
ラ6A、6Bよりも高いバイアス電圧(絶対値が高い)を印加された回収ローラとの間の
電位勾配によって回収ローラ6A1,6B1側に転移し、さらに回収ローラクリーニング
ブレード6A2、6B2により回収ローラ6A1,6B1から掻き取られてトナー排出ス
クリュー6Dにより機外に排出あるいは現像装置4に再循環される。
【0058】
このように、本実施形態においては、第1のブラシローラ6Aにおいて、自身に印加さ
れている極性と逆極性の残トナーの回収と同時に感光体ドラム1上の残トナーの極性を揃
えることで、第2のブラシローラ6Bにおいて揃えられた極性と逆極性のバイアス印加に
より残トナーの回収できるようにするとともに、無極性のトナーに対しても、極性を設定
することで第2のブラシローラ6Bによって回収させることができる。これにより、感光
体ドラム1上の残トナーの極性状態の如何に関わらず、残トナーを効率よく回収してクリ
ーニング不良を解消することが可能となる。
【0059】
回収ローラ6A1,6B1は、ブラシローラ6A、6Bに付着した残トナーを、電位勾
配を利用して静電吸着する部材であるので、感光体ドラム1とは異なり光導電性にとらわ
れる必要がないので材料は任意に選択できるものである。このため、回収ローラ6A1,
6B1の表面を摩擦係数の小さい材料でコーティングしたり、金属ローラに低摩擦係数を
持つ絶縁性チューブを捲装することで球形トナーが用いられた場合でも容易に回収ローラ
クリーニングブレード6A2,6B1によって掻き落とせるようにすることができる。
【0060】
なお、転写とクリーニングの間にプレクリーニングコロトロンと除電ランプを配設して
も良い。
【0061】
プレクリーニングコロトロンには、軸方向に沿って張設された放電ワイヤーを覆うよう
にケーシングが設けられており、このケーシングはその断面形状が感光体ドラム1の像担
持面へ向かって開口する「コ」字状に形成されている。ここで、プレクリーニングコロト
ロンは、クリーニング装置の作動時に、転写完了後に像担持面上に残った転写残トナーを
「−極性」へ帯電し、転写残トナーの帯電極性の分布を全体として「−極性」へシフトさ
せる。また除電ランプは、除電光を像担持面へ照射することにより、像担持体表面の電荷
を中和し、像担持面からの転写残トナーの除去を容易にすることができ、これによってク
リーニング不良の解消をより効果的に行うことができる。
【0062】
以上のような構成において、本実施形態でのクリーニング装置に用いられ部材の特性に
関する考察を以下に説明する。
【0063】
考察対象は、ブラシローラ、回収ローラおよび回収ローラクリーニングブレードの構成
による残トナーに対する電荷注入特性への影響である。
【0064】
まず、環境変化によるトナーの帯電量分布への影響について説明する。
トナー帯電量分布は、ホソカワミクロン E−SPARTアナライザで測定した。この
帯電量分布は、感光体ドラム1上に付着したトナーをエアーで吹き飛ばして測定部に落下
させ、トナー1個ずつの粒径と電荷量を測定し、x軸に「電荷量/トナー粒径」、y軸に
「頻度(%)=予め設定した「電荷量/トナー粒径」のヒストグラムの帯の範囲にある数
(個)/サンプル全数(個)×100」を算出しグラフ化したものである。
【0065】
帯電量分布と環境変化として温度、湿度を変化させた場合との結果を図3〜5に示す。
図3は、使用環境が高温高湿(30℃、90%)、常温常湿(20℃、50%)、低温
低湿(10℃、15%)での現像後トナーの帯電量を示している。現像装置4内でのトナ
ーは、攪拌されることで摩擦帯電されるので、湿度が高くなると帯電効率が低下して帯電
量が低下する。この結果から、帯電量分布は、常温常湿の場合に比べて「0」に近づき、
低温低湿であれば、常温常湿に比べて「0」から遠ざかることがわかる。
【0066】
図4は、高温高湿時、図5は低温低湿時での現像後トナーと転写後の残トナーの帯電量
分布を示している。図4に示す高温高湿時は、図3に示した常温常湿時に比べて転写後の
残トナーにおいて「+」極性のトナーが増加した分布となっており、図5に示す低温低湿
時は、図3に示した常温常湿時に比べて転写後の残トナーにおいて「−」極性のトナーが
増加した分布となっている。
【0067】
帯電量分布に関しては、環境だけでなく、使用される記録紙の厚さなどの転写条件によ
っても影響される。
【0068】
本実施形態においては、上述した残トナーの帯電量分布に対してブラシローラでの電荷
注入効率の改善を図っている。以下、これについて説明する。
【0069】
ブラシローラ6A、6Bは、ブラシ繊維が導電性芯金の外周面に植毛されて構成され、
例えば、図6に示すように、第1,第2のブラシローラ6A、6Bのブラシ繊維が直毛状
態に静電植毛などを用いて導電性芯金外周面に植毛されたり、あるいは図示しないが、倒
れた状態に相当する斜毛状態に植毛されている場合がある。
【0070】
図6に示すように、感光体ドラム1と第1,第2のブラシローラ6A、6Bとの接触位
置(図中、符号E,Fで示す位置)において、残トナーがブラシローラに接触すると、残
トナーの帯電量が低い場合にはブラシローラからの電荷注入により容易に極性反転してし
まい、感光体ドラム1に向けて再付着されてクリーニングが不完全となるクリーニング不
良を発生させる虞がある。つまり、図6においては、「+」極性のバイアス電圧を印加さ
れた第1のブラシローラ6Aにより残トナーのうちでバイアス電圧の極性と逆極性のトナ
ーが静電的に吸着される一方、E部での電荷注入により残トナーの一部が「+」極性に反
転して感光体ドラム1に向かうように反発し、感光体ドラム1に再付着する。
【0071】
第2のブラシローラ6Bと感光体ドラム1とが接触するE部では、第2のブラシローラ
6Bによるバイアス電圧の極性に応じて残トナーが「−」極性に転じてしまい、これによ
っても感光体ドラム1に再付着させる虞がある。このため、電荷注入を限りなく少なくし
て極性反転を引き起こさないようにすることが必要である。
【0072】
ブラシローラによる残トナーへの電荷注入に用いられるブラシ繊維は、図7,8に示す
ように、導電剤がブラシ繊維の全体あるいは表層に分散されているものが多用されている
(例えば、東レSA−7などの商品名で販売されているブラシ繊維)。このような導電剤
の分散構成を備えたブラシ繊維を用いた場合には、残トナーと導電剤との接触確率が増加
して残トナーへの電流が流れ込みやすくなる虞がある。従って、残トナーへの電流が流れ
込みやすい構成では、ブラシローラに印加されている電圧極性に転じやすくなり、これに
よって感光体ドラム1への再付着が生じやすくなる。
【0073】
一方、上述した表層部に導電剤が分散された構成に代えて、ブラシ繊維の内部に導電剤
を位置させた構成が考えられる。
【0074】
図9,10は、この構成を示す図であり、同図に示すブラシ繊維は、鞘構造として、中
心部に導電剤を偏在させ、表層部を絶縁層とすることにより表層部での残トナーと導電剤
との接触を回避できるようになっている。
【0075】
しかし、導電剤を中心部に偏在させた構成において、このブラシ繊維を直毛状態に植毛
した場合には、図11に示すように、ブラシ繊維の断面において導電剤が露出し、この導
電剤に残トナーが接触すると残トナーへの電荷注入が発生する。
【0076】
図11に示した直毛状態で植毛されたブラシ繊維を用いた場合には、図6において符号
Eで示す電荷注入位置では、ブラシ繊維の導電剤と残トナーとが直接接触してしまい、残
トナーへの電荷注入による残トナーの極性反転、特に帯電量の低い残トナーでの極性反転
が発生し、感光体ドラム1への再付着が起こることになり、クリーニング不良となる。
【0077】
帯電量の高い残トナーに対してもブラシ繊維の導電剤からの電荷注入が起こるが、帯電
量が高いために極性反転は起こらず、感光体ドラム1の移動方向下流側に位置するクリー
ニングブラシ6Bに向けて移動する。
【0078】
図6に示した構成において電荷注入位置の他の一つである符号Fで示す位置においても
、符号Eで示した電荷注入位置での現象が生じる。つまり、ブラシローラ6A、6Bに接
触している回収ローラA1,6B1には、ブラシローラ6A、6Bに対するバイアス電圧
と逆極性のバイアス電圧が印加されているが、帯電量に低い残トナーがブラシローラ側か
ら回収ローラ側に転移しないで回収ローラのバイアス電圧の極性に転じてしまい、結果と
して、回収ローラ側から反発してブラシローラ側に再付着してしまう。ブラシローラ側に
再付着した残トナーは、上述した理由により感光体ドラム1に再付着してクリーニング不
良を起こす。
【0079】
本発明者は、図6に示したブラシローラ(ブラシ繊維が直毛状態に植毛されている構成
)を用いた場合に、符号E,Fで示した位置において残トナーへの電荷注入が発生してい
ることを実験により確認した。
【0080】
図12は、図6の構成において、第1のブラシローラ6Aおよびこれに対して設けられ
ている回収ローラ6A1および回収ローラクリーニングブレード6A2のみを残して、転
写装置5を除外し、現像後トナーをほぼ100%「−」極性として第1のクリーニングブ
ラシ6Aによるクリーニング状態を実験するための構成である。なお、図12においては
、図1における第2のブラシローラおよび回収ローラそして回収ローラクリーニングブレ
ードと同じ表記となっているが、機能上、第1のブラシローラ6Aをはじめとする部材と
同じであるので、便宜上、そのまま代用し、符号のみを変更して示している。
【0081】
図12に示す構成において用いるトナー像先端が第1のブラシローラ6Aと感光体ドラ
ム1との接触部から第1のブラシローラ6Aの周長の2倍分(2回転)を過ぎた時点で感
光体ドラム1を停止し、第1のブラシローラ6Aの2周目に相当する時点での感光体ドラ
ム1上のトナーの付着量、いわゆる、クリーニング残ID(q/d)分布を計測した。
【0082】
この構成による実験結果は、図13において「実験結果1」と表示した結果の通りであ
る。
【0083】
次に、図6において符号Fで示した位置での電荷注入に関しても実験した。この実験に
用いる構成は、図14に示されているように、図12に示した構成を対象として、ブラシ
ローラ6Aのみを残し、実験条件は図12に示した場合と同様である。この実験結果は、
図13において「実験結果2」と表示した結果の通りである。
【0084】
図13に示す実験結果において、横軸は、ブラシローラあるいは回収ローラへの印加電
圧を示し、縦軸はクリーニング残ID(残トナー濃度)である。
【0085】
縦軸のクリーニング残IDは、クリーニングブラシ6Aの後方で感光体ドラム1上のト
ナーをスコッチテープ(商品名)でテープ転写し、紙上に貼り付け、それを分光測色計(
X−rite社製Xライト938)で測定する。
【0086】
そして、クリーニング残IDは、スコッチテープ(商品名)でテープのみを紙に貼り付
け分光測色計で測定し、感光体ドラム1上の反射濃度からスコッチテープでテープのみの
分を引いた値として求める。
【0087】
クリーニング残IDとトナーの個数とは相関関係があり、トナー個数が多いとクリーニ
ング残IDの値も増加するので、クリーニングされなかったトナーの量に相当するクリー
ニング残IDの値からクリーニング特性を判断することができる。
【0088】
図12に示した構成では、+300Vまでは印加電圧に伴いクリーニング残IDが小さ
くなるが、+400Vを超えるとIDが大きくなり、図14に示した構成では、+200
Vまでは印加電圧に伴いIDが小さくなるが、+400Vを超えるとIDが大きくなるこ
とが判明した。
【0089】
このように、感光体の移動方向上流側に位置する第1のブラシローラ6Aおよび下流側
に位置する第2のブラシローラ6Bのブラシ繊維を鞘構造として直毛状態で植毛した構成
を対象とした場合には、ブラシローラと感光体ドラムとの接触位置(符号Eで示す位置)
およびブラシローラと回収ローラとが接触する位置に置いて残トナーへの電荷注入が発生
して残トナーの極性変化による逆転移が起こることが明確となる。
【0090】
そこで、図15に示すように、断面が残トナーと接触しないように、植毛状態を直毛で
はなく、倒れた状態に相当する斜毛状態(図15(A)参照)あるいはループ状態(図1
5(B)参照)とすることで、導電剤と残トナーとの直接的な接触を回避することができ
る。この場合のブラシ繊維の材質としては、ナイロン、ポリエステル(特に、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET))、アクリル酸樹脂、レーヨンなどの絶縁材が用いられる。
【0091】
このような構成のブラシ繊維のうちで、図9,図10に示した鞘構造とされて図16に
示す斜毛状態としたブラシ繊維を備えたブラシローラ6Aを用いて図14に示した場合と
同様な条件(図16に示すブラシローラ6Aが斜毛状態である構成)によりクリーニング
残IDを実験したところ、その結果は図13において「実験結果3」と表示してある結果
が得られた。
【0092】
図13に示す実験結果において、図16に示した構成では、+400Vまでは印加電圧
に対応してクリーニング残IDが低くなる一方、+400Vを超えると、クリーニング残
IDは小さい状態を維持している。
【0093】
この実験結果からいえることは、印加電圧を高くした時のクリーニング残ID増加分の
トナーは全てブラシの印加電圧極性側、つまり電荷注入されたトナーであり、今回の実験
では図13中の500V以上のクリーニング残IDは、ほとんどが「+極性」トナーであ
った。
【0094】
逆に印加電圧が低い方のクリーニング残IDは、トナーへの電界が小さいことが原因で
クリーニングできないトナーであり、図13中の200V(図12の構成では100V)
以下のクリーニング残IDのトナーは、ほとんどが「−極性」トナーであった。
【0095】
図13の結果において、電荷注入がそれぞれ感光体ドラム1とブラシローラとの間、お
よびブラシローラと回収ローラとの間で発生していることは明確であり、これに対して、
図16に示した構成、つまり、鞘構造で斜毛状態に植毛されたブラシ繊維を用いるブラシ
ローラの場合には、ほとんど電荷注入が発生していないことが明確となる。なお、図16
には、回収ローラがないが、ブラシローラと回収ローラとの間の電荷注入も低減されるこ
とは明らかである。
【0096】
トナーへの電荷注入を抑制する方法としては、ブラシローラのブラシ繊維の構成だけで
はなく、ブラシローラに接触する回収ローラの構成を電荷注入しにくい構成とすることで
も可能である。以下、これについて説明する。
【0097】
図17,図18は、図12に示した構成を対象として、回収ローラ6A1,6B1の構
成として、表面が導電体、抵抗体および絶縁体とした場合を設定し、ブラシローラに向け
進入する残トナー、つまり現像後トナーの極性をほぼ100%「−」極性に設定した上で
、図13に示す結果を得る場合と同様な実験を行った結果である。
【0098】
図17は回収ローラの表層が導電体と抵抗体の場合を示し、図18は回収ローラの表層
が絶縁体である場合をそれぞれ示している。表層を導電体とする場合には、表層部材とし
てSUSが用いられ、表層を抵抗体とする場合には表層部材としてPDVFが用いられ、
表層を絶縁体とする場合には、表層部材としてアクリルコートされたものが用いられる。
【0099】
図17,18の結果から、回収ローラの表層が導電体や抵抗体である場合には、+10
0Vまでは印加電圧に伴いクリーニング残IDが小さいものの、その印加電圧を超えると
クリーニング残IDが増加している。
【0100】
一方、回収ローラの表層が絶縁体である場合には、印加電圧の増加にかかわらず、クリ
ーニング残IDは小さいまま維持されている。この結果から、回収ローラに導電体や抵抗
体が表層に用いられた場合、図13に示した結果と同様に、ブラシローラあるいは回収ロ
ーラからの電荷注入が発生しているといえる。
【0101】
ここで、回収ローラの表層を導電体や抵抗体とした場合でも印加電圧を調整することで
絶縁性ではなくてもクリーニング残IDを小さくできると考えることもできるが、トナー
の帯電量が環境変化に依存して変化するものであることを考慮すると、この考えを踏襲す
るには無理がある。
【0102】
つまり、トナーの帯電量分布は、図3〜5において説明したように、環境変化によって
異なる。このため、環境変化に対応した印加電圧の調整は即応できない以上、無理といえ
る。
【0103】
また、回収ローラの表層を絶縁性にしただけでは、クリーニング性の低下を招くので、
回収ローラの表面に電荷を供給する必要がある。電荷の供給は、電圧を印加した部材を回
収ローラの表面に接触させるだけでは効率が悪いので、放電により電荷を供給する必要が
ある。この場合の構成としては、コロナ放電、電圧を印加した部材を回収ローラ表面に近
接させて放電するなどの構成が用いられる。
【0104】
回収ローラ6A1,6B1に用いられる絶縁層の材質としては、PVDFチューブ、P
FAチューブ、PIチューブ、アクリルコート、シリコンコート(例えば、シリコン粒子
を含有したPC(ポリカーボネイト)をコート)、セラミックス、フッ素コーティングな
どがある、コート(被覆)層の厚みは、適宜選択されるものであるが、例えば、アクリル
コートの場合には、3〜20μm程度が設定される。
【0105】
回収ローラ6A1、6B1に接触する回収ローラクリーニングブレード6A1、6B1
は、耐摩耗性向上のために、回収ローラのコート(被覆)層と同様なアクリルコートなど
を施してもよい、このようなコートを用いることで、ブレードエッジでの摩擦係数が小さ
くなり、回収ローラとブレードエッジとの接触状態を安定させてクリーニングも安定して
行えるようにすることができる。
【0106】
さらに、ブラシローラの直径や回収ローラの直径は、感光体ドラムの外径や記録紙紙の
搬送速度などに応じて変更されるものであり、例えば、図1に示したブラシローラ6A、
6Bの直径をΦ6〜24mmとし、ブラシ繊維の長さから得られるブラシ毛高さを2.5
〜8mmとし、回収ローラ6A1、6B1の直径をΦ6〜24mmとするなどである。そ
してこのときのブラシローラ6A、6Bの抵抗値としては、10〜1010Ω・cmの
範囲で適当に設定する。感光体ドラム1の線速としては、100mm/sec〜500m
m/secが選択範囲とされる。
【0107】
ところで、図9,10および図15に示した構成のブラシ繊維を第1,第2のブラシロ
ーラに用いた場合には、クリーニング性がさほど良好でないことが本発明者の実験により
確認された。
【0108】
図19は、第1,第2のブラシローラの構成として、上述した図9あるいは図10の鞘
構造を用い、図15における斜毛状態(図15(A)に示す構成)とした場合を示してお
り、各部材の構成は次の条件を備えている。
【0109】
ブラシローラ6A、6B:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
ブラシ毛高さ: 3mm
導電剤:芯鞘構造(図10)
植毛形態:斜毛(図15(A))
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6A1,6B1:
材質: 芯金:SUS
中間層: PVDFチューブ 100μm
表面層: アクリルコート 10μm
直径: Φ12mm
ブラシへ喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6A2,6B2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへの喰い込み量: 1mm
印加電圧(図1において符号60,60’,61,61’,62,62’で示す電源が
対象):
電源60: +300V
電源61: +700V
電源62: +1800V
電源60’: −450V
電源61’: −800V
電源62’: −2100V
上記の条件で実験すると、図19に示した構成では、第2のブラシローラ6Bより下流
側の感光体上にはクリーニングされなかったトナーが観察された。このトナーの帯電量分
布を細川ミクロン製 E−スパートアナライザで計測すると、無帯電(ゼロ分布)が多く
計測された。
【0110】
転写残トナーの帯電量分布は、図38に示されるように「+極性」と「−極性」が存在
する場合に加えて無帯電のものが存在する場合が含まれている。プラス電圧が印加された
上流のブラシは、「−極性」のトナーを除去でき、マイナス電圧が印加された上流のブラ
シは、「+極性」のトナーを除去できる。しかし、無帯電トナーを除去することは原理的
に不可能である。このような無帯電トナーを除去するには、ブラシ繊維の接触圧を高くし
て掻き取ることが考えられるが、接触圧を高めることは課題においても説明したように、
クリーニング対象の像担持体への負担が大きくなる不具合がある。
【0111】
また、プレクリーニングチャージャを用いた場合も、転写残トナーの量が多いときはブ
ラシローラに入力するトナーに無帯電トナーが含まれるなど、トナーの電荷分布を完全に
「−極性」にすることはできない。
【0112】
そこで、本実施形態では、上記実験結果および前述したトナーへの電荷注入への影響に
関する考察結果から、第1のブラシローラ6Aには、導電剤が表面に露出したブラシ繊維
を用い、第2のブラシローラ6Bには、図9,図10に示したように、導電剤が露出しな
いで内部に分散されたブラシ繊維を用い、そのブラシ繊維を図15(A)に示す斜毛状態
あるいは図15(B)に示すループ状に植毛された構成を用いている。
【0113】
この構成により、第1のブラシローラ6Aでは、残トナーに対する静電吸着と無極性ト
ナーへの電荷注入を行い、第2のブラシローラ6Bでは、残トナーへの電荷注入を行わな
いようにして残トナーの静電吸着のみが行えるようにしている。これにより、第2のブラ
シローラ6Bにおいてクリーニングされない残トナーの存在をなくして、感光体ドラム1
上で正負両極が混在する残トナーのクリーニングおよび無極性トナーのクリーニングを可
能にしている。
【0114】
なお、ブラシローラや回収ローラへの印加電圧は感光体ドラム1の移動方向上流側と下
流側とを入れ替えることも可能である。
【0115】
以下に本実施形態に基づく実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、図1に示す構成が用いられ、第2のブラシローラ6Bに用いられるブラシ
繊維が、図9あるいは図10に示した鞘構造とされ、図15(A)に示した斜毛状態に植
毛されている。
【0116】
以下に各部材の構成条件を挙げる。なお、以下の条件の表記の仕方については、図19
の結果を得るために挙げた条件と同じ形式である。
【0117】
第1のブラシローラ6A:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
ブラシ毛高さ: 3mm
導電剤: 表層に分散(全分散)(図8)
植毛形態: 直毛
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6A1:
材質: 芯金:SUS
中間層: PVDFチューブ 100μm
表面層: アクリルコート 10μm
直径: Φ12mm
ブラシへの喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6A2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
表面: アクリルコート 10μm
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへ喰い込み量: 1mm
第2のブラシローラ6Bb:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
導電剤:芯鞘構造(図10)
植毛形態:斜毛(図15(A))
ブラシ毛高さ: 3mm
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6B1:
材質: 芯金:SUS
中間層: PVDFチューブ 100μm
表面層: アクリルコート 10μm
直径: Φ12mm
ブラシへ喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6B2:
ポリウレタンゴムに導電剤を分散
表面: アクリルコート 10μm
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへ喰い込み量: 1mm
印加電圧
電源60: +250V
電源61: +700V
電源62: +1650V
電源60’: −450V
電源61’: −800V
電源62’: −1950V
さらに、電源60,60’への印加電圧はAC電圧を重畳してもよい。この場合の電圧
条件は、この場合の電圧条件は、電源29aが2.5kVpp、600Hz、+600V
、電源29bが2.5kVpp、600Hz、−750Vなどとなる。
電圧条件は、回収ローラの線速や温度・湿度条件により適当な値に変更して用いればよ
い。
【0118】
図1の要部変形としては、図20に示すように、下流側に位置する第2のブラシローラ
6Bのブラシ繊維先端へ部材63を配置し、電荷の供給を行っても良い。具体的には、図
20において、ブラシ繊維先端へ部材63を配置し、電荷の供給を行う。さらに必要なら
ば、上流側に位置する第1のブラシローラ6Aのブラシ繊維先端に電荷の供給を、上記と
同じように部材63を用いて行っても良い。
【0119】
部材63は、先端を丸めた厚み0.1mmSUS板や導電性フィルムなどを用い、部材
がブラシに軽く当たるように0.5mm程度食い込ませればよい。
【0120】
電源は第1,第2のブラシ6A、6Bに設けた場合を対象とすると、電源60や60’
と共通で用いても良いし、別電源を用いて適当な電圧を印加しても良い。
【0121】
このような構成においては、ブラシ繊維先端と感光体ドラム間の電界が安定し、感光体
ドラムからブラシローラへのトナーの移動を確実に行うことが可能となる。
【0122】
(実施例2)
実施例2は、感光体ドラム1の移動方向下流側に配置されている第2のブラシローラ6
Bに用いられるブラシ繊維が、図15(B)に示したループ状に植毛されている構成を対
象としている。
図21は、ループ状に植毛された第2のブラシローラ(便宜上、符号6B’で示す)の
みを抽出して示す図である。
【0123】
図1に示した構成に用いられる第2のブラシローラ6Bの場合には、斜毛状態に植毛さ
れており、この状態では図15(A)に示す接触状態である。しかし、この構成では、経
時変化によって斜毛の状態が初期状態から変化してしまい、残トナーとの接触状態が図1
1に示す状態となる場合がある。そこで、経時変化が生じても導電剤がトナーと接触しな
いようにループ状としている。
【0124】
ループ状の植毛とした場合には、導電剤が全く露出することがないので、残トナーと導
電剤との直接接触による電荷注入が防止されることになる。
【0125】
以下に実施例1と同様な表記の仕方で各部材の構成条件を挙げる。
第2のブラシローラ6B:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
導電剤:芯鞘構造(図10)
植毛形態:ループ(図15(B))
ブラシ毛高さ: 3mm
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 450±45ループ/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
印加電圧
電源60: +250V
電源61: +650V
電源62: +1650V
電源60’(図示せず): −520V
電源61’(図示せず): −900V
電源62’(図示せず): −1950V
さらに、電源60,60’への印加電圧はAC電圧を重畳してもよい。電圧条件は、回
収ローラの線速や温度・湿度条件により適当な値に変更して用いればよい。
【0126】
また、下流側に位置する第2のブラシローラ6Bに対して図20に示した場合と同様に
、ブラシ繊維先端へ部材63を配置し、電荷の供給を行っても良く、第1のブラシローラ
6Aのブラシ繊維先端に対しても、同様に部材63を設けて電化の供給を行うようにして
も良い。
【0127】
(実施例3)
本実施例は、回収ローラの芯金を接地することを特徴としている。
図22は、この場合の構成を、第1のブラシローラ6Aに接触する回収ローラ6A1を
対象として示している。同図において、回収ローラ6A1は、芯金に電圧を印加しないで
接地されている。
【0128】
そして、各部材に対する印加電圧は次の条件とされている。
印加電圧
電源60: +250V
回収ローラ6A1: 0V(接地)
電源62: +1100V
電源60’(図示せず): −450V
回収ローラ6B1(図示せず): 0V(接地)
電源62’(図示せず): −1200V
さらに、電源60,61への印加電圧はAC電圧を重畳してもよい。この場合の電圧条
件は、この場合の電圧条件は、電源29aが2.5kVpp、600Hz、+600V、
電源29bが2.5kVpp、600Hz、−750Vなどとなる。
また、図20に示した実施例と同様に、下流側に位置する第2のブラシローラ6Bのブ
ラシ繊維先端に部材63を配置して電荷の供給を行っても良い。
【0129】
さらに、上流側に位置する第1のブラシローラ6Aのブラシ繊維先端に図20示した場
合と同様に、部材63を配置し電荷の供給を行っても良い。
【0130】
(実施例4)
本実施例は、回収ローラとして中抵抗部材を用いたことを特徴としている。
図23は、本実施例の構成を示す図であり、同図において、回収ローラ6A1,6B1
が表面に中抵抗層を備えている。
【0131】
回収ローラを中抵抗にすることで、回収ローラクリーニングブレード6A2,6B2へ
の印加電圧の低電圧化が可能となる。また、回収ローラの表面にカウンターチャージが溜
まっても回収ローラの抵抗層を介し回収ローラの芯金にカウンターチャージが逃げるため
、回収ローラ表面の電位が安定しブラシから回収ローラへのトナー移動量を確実に行うこ
とができる。さらに回収ローラ6A1,6B1と回収ローラクリーニングブレード6A2
,6B2の電源を共通化でき省スペースやコストダウンが可能となる。
【0132】
具体的な構成を以下に示す。
第1のブラシローラ6A:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
ブラシ毛高さ: 3mm
導電剤: 表層に分散(全分散)(図8)
植毛形態: 直毛
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6A1:
材質: 芯金:SUS
抵抗層: カーボン分散フェノール樹脂 2mm
直径: Φ12mm
ブラシへ喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6A2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへ喰い込み量: 1mm
第2のブラシローラ6B:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
導電剤:芯鞘構造(図10)
植毛形態:斜毛(図15(A))
ブラシ毛高さ: 3mm
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6B1:
材質: 芯金:SUS
抵抗層: カーボン分散フェノール樹脂 2mm
直径: Φ12mm
ブラシへの喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6B2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへの喰い込み量: 1mm
印加電圧
電源60: +250V
電源61: +700V
源60’: −400V
電源61’: −850V
電圧条件は、回収ローラの線速や温度・湿度条件により適当な値に変更して用いればよ
い。
また、図20に示した場合と同様に、第2のブラシローラ6Bあるいはこれに加えて第
1のブラシローラ6Aのブラシ繊維先端に部材63を配置して電化の供給を行うようにし
ても良い。
【0133】
(実施例5)
本実施例は、請求項3記載の発明の実施例に相当しており、第1のブラシローラ6Aに
接触する回収ローラ6A1の表面抵抗が中抵抗に設定され、第2のブラシローラ6Bに接
触する回収ローラ6B1の表面層が絶縁体であることを特徴としている。
図24は、この場合の構成を示しており、第1のブラシローラ6Aに接触する回収ロー
ラ6A1は、図23に示した構成と同様に中抵抗体とされ、第2のブラシローラ6Bに接
触する回収ローラ6B1は、図1に示した場合と同様に、表面層が絶縁体で構成されてい
る。
【0134】
トナーへの電荷注入はブラシローラと回収ローラとの接触部(図6中、符号Fで示す位
置)でも発生する。
【0135】
感光体ドラム1の移動方向下流側に位置する第2のブラシローラ6Bと回収ローラ6B
1との間でトナーへの電荷注入が発生し、トナーの極性が反転してそのトナーがブラシか
ら感光体に再付着するとクリーニング不良となる。そこで第2のブラシローラ6Bに接触
する回収ローラ6B1の表面層を絶縁層とし、トナーの極性が反転し感光体に再付着する
ことを防止することができることは前述の考察において説明したとおりである。
【0136】
具体的な構成の一例を以下に示す。
第1のブラシローラ6A:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
ブラシ毛高さ: 3mm
導電剤: 表層に分散(全分散)(図8)
植毛形態: 直毛
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6A1:
材質: 芯金:SUS
抵抗層: カーボン分散フェノール樹脂 2mm
直径: Φ12mm
ブラシへの喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6A2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへの喰い込み量: 1mm
第2のブラシローラ6B:
材質: 導電性ポリエステル
基布幅: 5mm
導電剤:芯鞘構造(図10)
植毛形態:斜毛(図15(A))
ブラシローラ直径: 14mm
ブラシ原糸抵抗: 10Ω・cm
ブラシ植毛密度: 10万本/inch
感光体ドラムへの喰い込み量: 1mm
回収ローラ6B1:
材質: 芯金:SUS
中間層: PVDFチューブ 100μm
表面層: アクリルコート 10μm
直径: Φ12mm
ブラシへの喰い込み量: 1mm
回収ローラクリーニングブレード6B2:ポリウレタンゴムに導電剤を分散
ブレード当接角度: 20°
回収ローラへの喰い込み量: 1mm
印加電圧
電源60: +250V
電源61: +650V
電源60’: −450V
電源61’: −800V
電源62’: −1950V
電圧条件は、回収ローラの線速や温度・湿度条件により適当な値に変更して用いればよ
い。
また、第2およびこれに加えて第1のブラシローラのブラシ繊維先端に、図20に示し
た場合と同様に部材63を配置して電化の供給を行うようにしても良い。
【0137】
(実施例6)
本実施例は、回収ローラクリーニングブレードとして金属製のブレードを用いることを
特徴としている。
本実施例では、金属製の回収ローラクリーニングブレードを回収ローラに接触させトナ
ーを回収ローラ上から除去させる。金属ブレードは、厚さ0.08mmのSUS板を回収
ローラに0.8mm程度食い込ませる構成などがある。
【0138】
以上のような実施例において、本発明では、回収ローラに対して電圧の印加が行われ、
これによりブラシローラとの間での電位ポテンシャルの差を利用してブラシローラに付着
している残トナーを静電吸着することが前提となっている。
ここで、表面に絶縁層を設けた場合で回収ローラに対しての電圧印加が行われない場合と
を比較して電圧印加の重要性について説明する。
【0139】
本発明では、静電クリーニングの原理において説明したように、残トナーの転移が転移
先となる回収ローラと転移元となるブラシローラとの間での電位ポテンシャルの差を利用
している。従って、回収ローラが表面に絶縁体を備えている場合においても表面で残トナ
ーの静電吸着が行えるに十分な電位を維持されることが必要となる。
【0140】
ここで、絶縁体を表面層として備えている回収ローラに電圧印加が行われない場合と行
われた場合とで表面での電位の変化について実験した結果を以下に説明する。
【0141】
図25は、回収ローラ(便宜上、符号6B1で示す)の表面に電荷を供給しない場合を
示しており、回収ローラ6B1の表面電位は図26に示す値となった。そして、この場合
のトナーの移動モデルは、図27に示すように、回収ローラへのトナーの静電吸着に必要
なポテンシャルの差が得られていない状態である。なお、表面の電位は表面電位計(Tr
ek社製344)を用いて測定し、レコーダ(キーエンス社製NR−2000)により記
録した。
【0142】
図28は、表面に絶縁体を用いる回収ローラ6B1の表面に電荷を供給した場合を示し
ており、回収ローラ66B1の表面電位は図29に示す値となった。
【0143】
図26に示す実験結果では、回収ローラ6B1の表面電位が時間とともに低下している
のがわかる。これに対して図29に示す実験結果では、回収ローラ6B1の表面電位が時
間の経過に関係なく一定した値に維持されている。図29に示す実験結果は、図39に示
した静電クリーニング原理での理想的なトナーの移動モデルに相当している。
【0144】
この結果から、回収ローラの表面に絶縁体を用いた場合には、電荷の供給が必須となる

【0145】
なお、絶縁体と同様に、導電剤が表面に露出しない構成であるブラシ繊維をループ状に
植毛した場合にもブラシローラへの電荷の供給が必要となることは、上述した回収ローラ
の場合と同様に必須である。図30は、上述したループ状のブラシ繊維を用いた場合で電
荷の供給を行わない場合のトナーの移動モデルを示している。
【0146】
同図において明らかなように、電荷の供給が行われないと、ブラシ先端での電位が低下
してしまい、トナーの転移ができなくなるばかりでなく、無極性のトナーへの電荷注入も
不十分となる。
【0147】
以上のような構成からなるクリーニング装置を用いる画像形成装置で像担持体の一つと
して用いられる感光体の特性について以下に説明する。
【0148】
本発明における電子写真形成方法において用いられる感光体としては、導電性支持体を
50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりアモルファス
シリコン(a−Si)からなる光導電層を有するアモルファスシリコン感光体(以下、「
a−Si系感光体」と称する。)が用いられている。なかでもプラズマCVD法、すなわ
ち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体
上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0149】
(層構成について)
アモルファスシリコン感光体の層構成は例えば以下のようなものである。図31は、層
構成を説明するための模式的構成図である。図31(A)に示す電子写真用感光体500
は、支持体501の上にa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502が設
けられている。Hは水素原子、Xはハロゲン原子(F、Cl、Br、I)である。
図31(B)に示す感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり
光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成さ
れている。
【0150】
図31(C)に示す感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり
光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルフ
ァスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図31(D)に示す感光体
500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。
該光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層5
06とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0151】
(支持体について)
感光体の支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体として
は、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属
、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリカーボネイト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等
の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用い
ることができる。
【0152】
支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であるこ
とができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定す
るが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能
が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製
造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0153】
(注入防止層について)
本発明に用いることができるアモルファスシリコン感光体には、必要に応じて導電性支
持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注
入阻止層を設けるのがいっそう効果的である(図31(C))。
すなわち、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、
支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処
理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そ
のような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に
比べ比較的多く含有させる。
【0154】
電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点か
ら好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μm
とされるのが望ましい。
【0155】
(光導電層について)
光導電層は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写
真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好まし
くは1〜100μm、より好ましくは20〜50μm、最適には23〜45μmとされる
のが望ましい。
【0156】
(電荷輸送層について)
電荷輸送層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層
である。
この電荷輸送層は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子と弗素原子
とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、
所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発
明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
【0157】
電荷輸送層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から
適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層については、好ましくは5〜50μm、より
好ましくは10〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが望ましい。
【0158】
(電荷発生層について)
電荷発生層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層
である。
この電荷発生層は、構成要素として少なくともSi原子を含み、実質的に炭素原子を含
まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷
発生特性、電荷輸送特性を有する。
電荷発生層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適
宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μ
m、最適には1〜5μmとされる。
【0159】
(表面層について)
本発明に用いることができるアモルファスシリコン感光体には必要に応じて、上述のよ
うにして支持体上に形成された光導電層の上に、更に表面層を設けることができ、アモル
ファスシリコン系の表面層を形成することが好ましい。この表面層は自由表面を有し、主
に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明
の目的を達成するために設けられる。
【0160】
本発明における表面層の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2
μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよ
りも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを超え
ると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0161】
次に、感光体の構成の別の例として、架橋型電荷輸送材料を用いた架橋型オーバーコー
ト層を有する有機感光体の構成について説明する。
【0162】
保護層のバインダー構成として、架橋構造からなる保護層も有効に使用される。架橋構
造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し
、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものであ
る。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
【0163】
電気的な安定性、耐刷性、寿命の観点から、上記反応性モノマーとして、全部もしくは
一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このよう
なモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層として
の機能を十分に発現することが可能となる。
【0164】
電荷輸送能を有する反応性モノマーとしては、同一分子中に電荷輸送性成分と加水分解
性の置換基を有する珪素原子とを少なくとも1つずつ以上含有する化合物、同一分子中に
電荷輸送性成分とヒドロキシル基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とカ
ルボキシル基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とエポキシ基とを含有す
る化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とイソシアネート基とを含有する化合物等が挙げ
られる。これら反応性基を有する電荷輸送性材料は、単独で用いてもよいし、2種以上併
用してもよい。
【0165】
さらに好ましくは、電荷輸送能を有するモノマーとして、電気的・化学的安定性が高い
こと、キャリアの移動度が速いこと等から、トリアリールアミン構造を有する反応性モノ
マーが有効に使用される。
【0166】
これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩
擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能の重合性モノマー及び重合性オリゴ
マーを併用することができる。これらの重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のも
のが利用できる。
【0167】
また本発明においては、熱または光を用いて正孔輸送性化合物の重合または架橋を行う
が、熱により重合反応を行う際には、熱エネルギーのみで重合反応が進行する場合と重合
開始剤が必要となる場合があるが、より低い温度で効率よく反応を進行させるためには、
開始剤を添加することが好ましい。
【0168】
光により重合させる場合は、光として紫外線を用いることが好ましいが、光エネルギー
のみで反応が進行することはごく稀であり、一般には光重合開始剤が併用される。
【0169】
この場合の重合開始剤とは、主には波長400nm以下の紫外線を吸収してラジカルや
イオン等の活性種を生成し、重合を開始させるものである。なお、本発明においては、上
述した熱及び光重合開始剤を併用することも可能である。
【0170】
このように形成した網目構造を有する電荷輸送層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時
に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような
場合には、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層
を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
<電子写真感光体A>
メチルトリメトキシシラン182部、ジヒドロキシメチルトリフェニルアミン40部、
2−プロパノール225部、2%酢酸106部、アルミニウムトリスアセチルアセトナー
ト1部を混合し、保護層用の塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層の上に塗布・乾
燥し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、膜厚5μmの保護層を形成した。
【0171】
<電子写真感光体B>
正孔輸送性化合物(図32に示す構造式(I))を30部、アクリルモノマー(図32
に示す構造式(II))及び光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニール
−ケトン)0.6部を、モノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン50部の混合溶媒中
に溶解し、表面保護層用塗料を調製した。この塗料をスプレーコーティング法により電荷
輸送層上に塗布し、メタルハライドランプを用いて500mW/cm2の光強度で30秒
間硬化させることによって、膜厚5μmの表面保護層を形成した。
【0172】
上記感光体の保護層には、耐摩耗性を向上する目的でフィラーが添加されている。
有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ
ン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミ
ニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、
酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化イ
ンジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィ
ラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液
に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5μ
m以下、好ましくは0.2μm以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。また
、本発明において保護層21中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0173】
なお、本発明に実施形態においてあげた帯電手段2に関しては、図33に示す構成のい
ずれかを採用することが可能である。
図33において、(A)で示す構成は、コロナチャージャを用いる構成であり、(B)
に示す構成は、感光体ドラム1に対して近接する帯電ローラを用いる構成であり、(C)
に示す構成は、帯電ブラシを感光体ドラム1に接触させて電荷注入する構成であり、そし
て(D)に示す構成は、帯電粒子を感光体ドラム1に接触させる構成である。
【0174】
なお、本実施形態では、クリーニング対象となる像担持体として感光体ドラムを挙げた
が、本発明ではこれに限らず、図34に示すように、単一の感光体ドラム1に対して複数
の現像装置4Y,4C,4M,4Kを用いた多色画像形成が可能な画像形成装置を対象と
して、感光体ドラム1に順次形成される画像を1次転写される中間転写ベルト100を対
象として、さらには感光体ドラム1を対象としてそれぞれクリーニング装置6を設けるよ
うにすることも可能である。なお、図34において符号80は、重畳された画像を一括転
写する際に用いられる2次転写装置であり、符号103は記録紙の搬送ベルトである。
【0175】
さらに、ベルトを用いる画像形成装置の構成としては、図35に示すように、中間転写
ベルト100の展張面に沿って色毎の画像形成処理部(便宜上、符号Y,C,M,Kで示
す)が並置されたタンデム方式の画像形成装置があり、この装置においては、各画像形成
処理部の構成が図1に示した感光体ドラム1およびこの周囲に配置されている各装置を含
んでいる。このような画像形成装置において、クリーニング装置6は、中間転写ベルト1
00に対しておよび各画像形成処理部での感光体ドラムを対象としてそれぞれ設けること
が可能である。
【0176】
ベルトを用いる構成には、上述した中間転写体としてだけではなく、記録紙搬送に用い
る場合がある。図36は、この場合を示しており、同図において、ベルト101は、記録
紙の搬送用であり、展張面の一方に位置するローラが転写装置を兼ねている。このような
構成においても、感光体ドラム1および搬送ベルト101に対してクリーニング装置6を
設けることができる。
【0177】
図37は、図35に示したタンデム方式の画像形成装置における各画像形成処理部に対
して着脱可能に設けられたプロセスカートリッジを示している。
【0178】
図37においてプロセスカートリッジPCには、画像形成処理に用いられる感光体ドラ
ム1,帯電手段2,現像装置4およびクリーニング装置6などが纏めて収容されている。
プロセスカートリッジPC内では、図1に示した場合と同様な画像形成処理が実行される
。プロセスカートリッジPCは画像形成装置に対して着脱できるので、メンテナンスや部
品交換などに都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明によるクリーニング装置を備えた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる現像装置で使用されるトナーの形状係数を説明するための模式図である。
【図3】環境変化とトナーの帯電量分布との関係を説明するための線図である。
【図4】環境変化の一つである高温高湿時でのオナーの帯電量分布を説明するための線図である。
【図5】環境変化の他の一つである低温低湿時でのトナーの帯電量分布を説明するための線図である。
【図6】ブラシローラとして直毛状態の植毛を行った構成を用いた画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【図7】ブラシ繊維の表層部に導電剤が露出している構成の一つを示す断面図である。
【図8】ブラシ繊維の放送部に導電剤が分散されている構成の例を示す断面図である。
【図9】導電剤が中心部で分散されている構成のブラシ繊維を示す断面図である。
【図10】図9に示した構成と同じ分散状態の異なる構成を示すブラシ繊維の断面図である。
【図11】ブラシ繊維の直毛状態での植毛状態における問題点を説明するための断面図である。
【図12】ブラシ繊維が斜毛状態で植毛されている構成を説明するための断面図である。
【図13】ブラシ繊維がループ状に植毛されている構成を説明するための断面図である。
【図14】トナーに対するブラシからの電荷注入の有無を観察するために用いた構成を説明するための模式図である。
【図15】ブラシ繊維の植毛状態として斜毛状態およびループ状態とした場合を説明するための断面図である。
【図16】図14に示したトナーに対するブラシからの電荷注入の有無を観察するために用いた構成の要部変形例を説明するための模式図である。
【図17】本発明によるクリーニング装置に用いられる回収ローラの表層材質によるクリーニング残IDの実験結果を示す線図である。
【図18】図17に示した表層材質と異なる材質を用いた場合のクリーニング残IDの実験結果を示す線図である。
【図19】本発明によるクリーニング装置における第1,第2のブラシローラを斜毛状態で植毛した場合の構成を示す模式図である。
【図20】ブラシローラへの電荷供給構成の一例を示す模式図である。
【図21】図20ブラシローラの植毛状態をループ譲渡した場合の構成を示す模式図である。
【図22】図20に示した構成において、回収ローラへの電化供給が行われない場合の構成を示す模式図である。
【図23】本発明によるクリーニング装置に用いられる回収ローラを中抵抗とした場合の構成を示す模式図である。
【図24】図23に示した構成を対象として、回収ローラの一つを中抵抗とし、回収ローラの他の一つを絶縁体とした場合の構成を示す模式図である。
【図25】本発明によるクリーニング装置に用いられる回収ローラに対する電化供給を行わない場合の電位変化を観察するための構成を示す図である。
【図26】図25により得られる電位変化を説明するための線図である。
【図27】図25により示した電位変化によるトナー移動状態を説明するためのトナーの移動モデル図である。
【図28】本発明によるクリーニング装置に用いられる回収ローラに対する電化供給を行う場合の電位変化を観察するための構成を示す図である。
【図29】図27により得られる電位変化を説明するための線図である。
【図30】本発明によるクリーニング装置に用いられるブラシローラのブラシ繊維に電荷を供給しない場合でのトナーの移動状態を説明するトナーの移動モデル図である。
【図31】本発明による画像形成装置に用いられる感光体の製造過程での構成を示す図である。
【図32】本発明による画像形成装置に用いられる感光体の正孔輸送性化合物の構造式である。
【図33】本発明により画像形成装置に用いられる帯電手段の形式構成を示す図である。
【図34】本発明によるクリーニング装置が適用される画像形成装置の一方式を説明するための模式図である。
【図35】本発明によるクリーニング装置が適用される画像形成装置の他の方式を説明するための模式図である。
【図36】本発明によるクリーニング装置が適用される画像形成装置のさらに別の方式を説明するための模式図である。
【図37】本発明による画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの構成を説明するための模式図である。
【図38】像担持体上に残存するトナーの極性を説明するための図である。
【図39】静電クリーニングの原理を説明するためのトナーの移動モデル図である。
【符号の説明】
【0180】
1 感光体ドラム
2 帯電手段
4 現像装置
6 クリーニング装置
6A 第1のブラシローラ
6A1 回収ローラ
6A2 回収ローラクリーニングブレード
6B 第2のブラシローラ
6B1 回収ローラ
6B2 回収ローラクリーニングブレード
60,60’、61,61’、62,62’ バイアス電源
100 中間転写体
101 搬送ベルト
PC プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
上記像担持体の移動方向に沿って該像担持体に接触可能な複数のブラシローラを備え、
前記複数のブラシローラの一つは、導電剤が表面に露出したブラシ繊維を備え、
前記ブラシローラの他の一つは、前記導電剤が表面に露出しないで内部に分散されたブ
ラシ繊維を備え、かつ該ブラシ繊維が前記像担持体の移動方向になびくように傾斜させた
植毛からなる斜毛状態に構成されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
像担持体上に残存するトナーを除去するために用いられるクリーニング装置であって、
上記像担持体の移動方向に沿って該像担持体に接触可能な複数のブラシローラを備え、
前記複数のブラシローラの一つは、導電剤が表面に露出したブラシ繊維を備え、
前記ブラシローラの他の一つは、前記導電剤が表面に露出しないで内部に分散されたブ
ラシ繊維を備え、かつ、該ブラシ繊維がループ状に植毛されていることを特徴とするクリ
ーニング装置。
【請求項3】
前記複数のブラシローラには、それぞれローラが接触するように配置され、該ローラの
うちで、前記ブラシローラの他の一つに接触するローラの表面には絶縁層が設けられてい
ることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記像担持体上に残存するトナーとして、形状係数SF−1が100〜150に設定さ
れたトナーであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形
成装置。
【請求項6】
異なる色の画像形成が可能な作像部にそれぞれ設けられている感光体にクリーニング装
置が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記作像部からの画像を順次転写される中間転写体を備え、該中間転写体にはクリーニ
ング装置が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記作像部が設けられ各作像部間に記録紙を搬送するベルト体を備え、該ベルト体にク
リーニング装置が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装
置。
【請求項9】
感光体にはフィラーを分散させた構成が用いられることを特徴とする請求項6に記載の
画像形成装置。
【請求項10】
感光体として、充填剤で補強された表面層を有する有機感光体または架橋型電荷輸送材
料を使用した有機感光体あるいはその両方の特性を備えた感光体が用いられることを特徴
とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項11】
感光体として、アモルファスシリコン感光体が用いられることを特徴とする請求項6に
記載の画像形成装置。
【請求項12】
像担持体として用いられる感光体微外感光体に対する画像形成処理のために用いられる
帯電手段、現像手段およびクリーニング装置のうちのいずれかが纏めてプロセスカートリ
ッジに収容されていることを特徴とする請求項5,9,10,11のいずれかに記載の画
像形成装置。
【請求項13】
前記クリーニング装置には、ブラシローラに接触可能な回収用ローラが設けられ、該回
収用ローラにはトナーの掻き落とし用のブレードが当接して設けられ、該ブレードにおけ
る前記回収用ローラと接するエッジ面には耐摩耗性の被覆層が設けられていることを特徴
とする請求項1または5乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2010−20026(P2010−20026A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179621(P2008−179621)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】