説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】像担持体表面に潤滑剤を均一に塗布し、画像上にスジが発生することを防止し得るクリーニング装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム41表面に当接するブラシ461及びブラシ461に当接する潤滑剤LOを備えたクリーニング装置46において、ブラシ461は、回転軸及び該回転軸表面層に植毛された複数のループ形状のブラシ毛を備えて構成され、感光体ドラム41の回転軸方向におけるブラシ毛のループ頂点A間の最短距離dは、0.75[mm]より小さく、かつ、感光体ドラム41の回転軸方向とブラシ毛のループ面とのなす角は、0[°]より大きく、45[°]より小さいクリーニング装置46。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシ及び固形の潤滑剤を備えたクリーニング装置が知られている。また、該クリーニング装置を備えた画像形成装置が存在する。ブラシは潤滑剤と当接するように設置され、潤滑剤と当接することにより潤滑剤を掻き取る。また、ブラシは像担持体と当接するように設置され、像担持体と当接することにより掻き取った潤滑剤を像担持体表面に塗布する。
【0003】
像担持体表面に潤滑剤が塗布されることにより、例えば以下のメリットがある。
像担持体表面に形成されたトナー像が潤滑剤により離れ易くなり転写性が向上する。
また、像担持体表面に当接して異物を除去するクリーニング部(例えば、ブレード)の磨耗が潤滑剤により抑制されクリーニング性能が維持される。
また、ブラシ又はブレードの当接により生じる像担持体表面の磨耗が潤滑剤により抑制されて十分な耐用年数が確保される。
【0004】
ここで、像担持体表面に潤滑剤が不均一に塗布されると、画像上にスジが発生する場合があるため問題となる。例えばブラシが直毛の場合、ブラシ毛は像担持体表面に残留する残留トナーを多く保持してしまい、残留トナーを多く保持した分だけ潤滑剤を保持することができなくなる場合がある。ブラシ毛に保持された潤滑剤が少量の場合、ブラシは十分な量の潤滑剤を像担持体表面に塗布することができず、結果として潤滑剤が不均一に塗布されることになる。
【0005】
図11に、潤滑剤が均一に塗布された場合の像担持体表面の状態を示す。
図12に、潤滑剤が不均一に塗布された場合の像担持体表面の状態を示す。
図11に示すように、像担持体回転軸方向に潤滑剤が均一に塗布された場合、画像上にスジは発生しない。一方、図12に示すように、像担持体回転軸方向に潤滑剤が不均一に塗布された場合、画像上にスジが発生する。
潤滑剤を均一に塗布し得る構成として、例えば下記に示す技術が存在する。
【0006】
特許文献1には、ブラシの設置位置よりも像担持体回転方向下流側に均し部材を設置し、ブラシにより塗布された像担持体表面の潤滑剤を均し部材により均一化する構成が開示されている。
【0007】
特許文献2には、ループ形状のブラシ毛を用いて残留トナーよりも潤滑剤を多く保持し得る構成及びブラシ毛の太さを規定することでブラシ毛を像担持体表面に均一に接触させて潤滑剤を均一に塗布し得る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−109573号公報
【特許文献2】特開平10−26916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の構成では、均し部材を新たに設置する必要があるため、クリーニング装置が大型化する。
【0010】
また、特許文献2に記載の構成では、ループ形状のブラシ毛を用いるとブラシの掻き取る力が上昇するため、ブラシにより一度塗布した潤滑剤をブラシが再び掻き取ってしまい、結果として像担持体表面に潤滑剤を均一に塗布することができない場合がある。すなわち、ブラシ毛の太さを規定しただけでは像担持体表面に均一に潤滑剤を塗布することができない。
【0011】
本発明の課題は、像担持体表面に潤滑剤を均一に塗布し、画像上にスジが発生することを防止し得るクリーニング装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、像担持体及び潤滑剤に接触するように設置され、回転することにより前記潤滑剤を掻き取り、掻き取った潤滑剤を前記像担持体表面に塗布するブラシを備えたクリーニング装置において、
前記ブラシは、回転軸及び該回転軸表面層に植毛された複数のループ形状のブラシ毛を備えて構成され、
前記像担持体の回転軸方向における前記ブラシ毛のループ頂点間の最短距離は、0.75[mm]より小さく、かつ、前記像担持体の回転軸方向と前記ブラシ毛のループ面とのなす角は、0[°]より大きく、45[°]より小さいクリーニング装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、像担持体表面に当接するブラシ及び前記ブラシに当接する潤滑剤を備えた画像形成装置において、
前記ブラシは、回転軸及び該回転軸表面層に植毛された複数のループ形状のブラシ毛を備えて構成され、
前記像担持体の回転軸方向における前記ブラシ毛のループ頂点間の最短距離は、0.75[mm]より小さく、かつ、前記像担持体の回転軸方向と前記ブラシ毛のループ面とのなす角は、0[°]より大きく、45[°]より小さい画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、像担持体表面に潤滑剤を均一に塗布することができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カラーの画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】クリーニング装置の概略構成を示す図である。
【図3】ブラシ毛の拡大図を示す図である。
【図4】ブラシの押圧力<潤滑剤の押圧力の場合のブラシ毛の接触状態を示す図である。
【図5】ブラシの押圧力>潤滑剤の押圧力の場合のブラシ毛の接触状態を示す図である。
【図6】ブラシの回転軸表面層の展開図の一部を示す図である。
【図7】ブラシの回転軸表面層の展開図の一部を示す図である。
【図8】ブラシの実施例、比較例及び実験結果を示す図である。
【図9】ブラシの構成及び実験結果を示す
【図10】実験結果をプロットしたグラフを示す図である。
【図11】均一に潤滑剤が塗布された場合の像担持体表面の状態を示す図である。
【図12】不均一に潤滑剤が塗布された場合の像担持体表面の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態におけるクリーニング装置及び画像形成装置について図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1に、カラーの画像形成装置100の概略構成を示す。
画像形成装置100は、自動原稿搬送部1、スキャナ部2、制御部3、画像形成部4、給紙部5を備えて構成される。
【0018】
自動原稿搬送部1は、載置トレイに載置された原稿Dを所定の搬送路に搬送する搬送路及び搬送ローラ等を備えて構成される。
【0019】
スキャナ部2は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送路を通過してきた原稿D又はプラテンガラスに載置された原稿Dに光源を照射し、反射光を受光する。スキャナ部2は、受光した反射光を電気信号に変換して制御部3に出力する。
【0020】
制御部3は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUはRAM又はROMに記憶された各種プログラムとの協働により画像形成装置100の動作を統括的に制御する。例えば制御部3は、スキャナ部2からの電気信号に基づいて画像データ(Dy、Dm、Dc、Dk)を生成し、生成された画像データを画像形成部4に出力する。また、制御部3は、画像形成部4の動作を制御して用紙Pに画像を形成する。
【0021】
画像形成部4は、作像部Y、作像部M、作像部C、作像部K、中間転写体T、二次転写ローラR、クリーニング装置TC、定着装置Fを備えて構成される。
【0022】
作像部YMCKはそれぞれ、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像を感光体ドラムに形成し、感光体ドラムに形成されたYMCK各色のトナー像を中間転写体Tに転写する(一次転写)。
【0023】
以下、作像部Yの構成及び動作について簡潔に説明する。
なお、作像部YMCKの構成及び動作は何れも同様であるため、作像部MCKの構成及び動作については説明を省略する。
【0024】
作像部Yは、感光体ドラム41、帯電装置42、露光装置43、現像装置44、一次転写ローラ45、クリーニング装置46を備えて構成される。
【0025】
感光体ドラム41は、径φ60[mm]のドラム形状であって、表面は膜厚25[μm]の感光体層により構成される。感光体層は、フタロシアニン顔料をポリカーボネイトに分散させた有機半導体層及び電荷輸送層により構成される。
【0026】
帯電装置42は、感光体ドラム41を一様に帯電する。露光装置43は感光体ドラム41の非画像領域の電荷を除去して画像領域に静電潜像を形成する。
【0027】
現像装置44は、2成分現像方式による現像装置であって、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給してイエローのトナー像を形成する。
【0028】
一次転写ローラ45は、径φ22[mm]の発泡ローラであって、中間転写体Tの背面に設置され、感光体ドラム41に形成されたイエローのトナー像を中間転写体Tに転写する(一次転写)。
【0029】
クリーニング装置46は、一次転写後の感光体ドラム41表面に残留する残留トナーや紙紛等の異物を除去する。クリーニング装置46の詳細な構成については後述する(図2参照)。以上が作像部Yの構成及び動作である。
【0030】
中間転写体Tは、シームレス半導電樹脂ベルトであって、6[kgf]のテンションがかけられ、YMCK各色のトナー像を担持したまま回転する。
【0031】
二次転写ローラRは、外径φ24[mm]のローラであって、ニップ幅は7[mm]であり、中間転写体Tにより担持されたYMCK各色のトナー像を給紙部5から搬送されてきた用紙Pに転写する(二次転写)。
【0032】
クリーニング装置TCは、二次転写後の中間転写体Tの表面に残留する残留トナーや紙紛等の異物を除去する。
【0033】
定着装置Fは、二次転写された用紙Pを加熱及び加圧して用紙P上にトナー像を定着させる。その後、用紙Pは所定の搬送路に搬送されて機外に排出される。
【0034】
図2に、クリーニング装置46の概略構成を示す。
クリーニング装置46は、ブラシ461、潤滑剤塗布部462、ブレード463を備えて構成される。
【0035】
ブラシ461は、軸径6[mm]及び外径11.5[mm]の回転軸及び回転軸表面層に植毛された複数のブラシ毛により構成される。また、ブラシ461は、ブラシ毛が2.0[N]の押圧力で感光体ドラム41に当接するように設置される。なお、ブラシ毛が2.0[N]の押圧力で感光体ドラム41に当接する場合、ブラシ毛が感光体ドラム41に接触する接触幅は、1.0[mm]である。また、ブラシ461の外径は12[mm]でもよい。
【0036】
ブラシ461は、感光体ドラム41の回転方向に対してカウンター方向に回転しながら感光体ドラム41表面に当接し、感光体ドラム41表面に残留する異物を掻き取る。感光体ドラム41表面速度に対するブラシ461の表面速度比は0.4である。また、ブラシ461は固形の潤滑剤LOに当接しており、潤滑剤LOが押し付けられることにより潤滑剤LOを掻き取る。ブラシ461は、掻き取った潤滑剤LOを感光体ドラム41と当接する際に塗布する。
【0037】
潤滑剤塗布部462は、固形の潤滑剤LO及び押し付け部SPを備えて構成され、潤滑剤LOが2.2[N]の押圧力でブラシ461に当接するように設置される。固形の潤滑剤には、例えばステアリン酸亜鉛等が用いられる。また、押し付け部SPには、例えば図2に示すようなバネを用いてもよいし、その他の例として駆動モータを備えた押し付け機構を用いてもよい。なお、潤滑剤LOが2.2[N]の押圧力でブラシ461に当接する場合、ブラシ毛が潤滑剤LOに接触する接触幅は、1.0[mm]よりも大きくなる。
【0038】
ブレード463は、シリコンゴムやウレタンゴム等の弾性部材により構成され、感光体ドラム41の回転方向に対してカウンター方向から当接するように設置される。また、ブレード463はブラシ461よりも感光体ドラム41の回転方向下流側に設置される。ブレード463は、ブラシ461の掻き取りによってもなお感光体ドラム41表面に残留する異物を除去する。除去されたトナーは回収スクリュー(図示省略)により回収される。
【0039】
図3に、ブラシ毛の拡大図を示す。
ブラシ毛は、単繊維を2本束ねた合糸により構成され、合糸がループ形状になるようブラシ461の回転軸表面層に植毛される。また、ブラシ毛は、ループ頂点A間が密になりすぎず、疎になりすぎない一定間隔を設けて植毛される。ループ頂点A間の最短距離については後述する(図6参照)。
ブラシ毛の素材は導電性ポリエステル、原糸抵抗は11.5[logΩ]、繊度は210T(デシテックス)/48F(フィラメント)、太さは2.8デニール、繊維密度は180[kF/inch^2]、ループの高さは3[mm]である。なお、上記構成に限らず、例えばブラシの素材はナイロン又はアクリルでもよく、繊維密度は120[kF/inch^2]でもよい。
【0040】
〔押圧力による均一化〕
図4に、ブラシの押圧力N1<潤滑剤の押圧力N2、の場合のブラシ毛の接触状態を示す。ブラシ461の押圧力N1<潤滑剤LOの押圧力N2の場合、ブラシ毛の接触状態は、ブラシ毛と感光体ドラム41との間の接触幅W1<ブラシ毛と潤滑剤LOとの間の接触幅W2、となる。すなわち、潤滑剤LOを保持したブラシ毛部分だけが感光体ドラム41に接触することになる。W1<W2の場合、ブラシ461は感光体ドラム41表面に潤滑剤を十分に塗布することができ、感光体ドラム41表面に潤滑剤を均一に塗布することができる。
【0041】
図5に、比較例として、ブラシの押圧力N1>潤滑剤の押圧力N2、の場合のブラシ毛の接触状態を示す。
ブラシ461の押圧力N1>潤滑剤LOの押圧力N2の場合、ブラシ毛の接触状態は、ブラシ毛と感光体ドラム41との間の接触幅W1>ブラシ毛と潤滑剤LOとの間の接触幅W2、となる。すなわち、潤滑剤LOを保持しないブラシ毛部分が感光体ドラム41に接触することになる。W1>W2の場合、ブラシ461は感光体ドラム41表面に一度塗布した潤滑剤を再び掻き取ってしまう場合があり、像担持体表面に潤滑剤を均一に塗布することができない場合がある。
【0042】
〔距離及び角度による均一化〕
図6に、ブラシ461の回転軸表面層の展開図の一部を示す。
図6に示すように、回転軸表面層にはループ形状のブラシ毛が一定のピッチにて植毛される。距離dは、回転軸方向におけるブラシ毛のループ頂点A間の最短距離であり、図6では距離d=0.71[mm]である。角度αは、回転軸方向とループ面とのなす角であり、図6では角度α=36[°]である。距離d及び角度αを適切に規定することにより、感光体ドラム41表面に潤滑剤を均一に塗布することができる。
なお、図6ではブラシ毛が右下がりに一定のピッチで植毛されているが、これに限らず右上がりに一定のピッチで植毛されるとしてもよい。
【0043】
図7に、比較例を示す。
図7に示す比較例は、距離d=0.94[mm]、角度α=36[°]、の場合の回転軸表面層の展開図の一部である。図7に示す比較例の場合、角度αは図6に示した実施例と同一であるものの距離dが大きいため回転軸表面層におけるブラシ毛の密度が疎になりすぎ、感光体ドラム41表面に潤滑剤LOを均一に塗布することができない場合がある。
【0044】
〔実験1〕
図8に、ブラシ461の実施例及び比較例を示す。
また、同図にて実験結果(画像上のスジの有無)を示す。
【0045】
実施例1は、本実施形態におけるブラシ461の構成である。
【0046】
比較例1は、ブラシ461と比較して、ブラシ毛を細くしたブラシ構成である。
比較例2は、ブラシ461と比較して、ブラシ毛を太くしたブラシ構成である。
比較例3は、ブラシ461と比較して、繊維密度を小さくしたブラシ構成である。
比較例4は、ブラシ461と比較して、外径を小さくしたブラシ構成である。
比較例5は、ブラシ461と比較して、外径を大きくしたブラシ構成である。
【0047】
比較例6は、ブラシ461と比較して、外径を小さくしたブラシ構成であって、ブラシの押圧力N1<潤滑剤の押圧力N2の状態(図4参照)を維持しつつ潤滑剤の押圧力N2を小さくした構成である。
【0048】
比較例7は、ブラシ461と比較して、外径を大きくしたブラシ構成であって、ブラシの押圧力N1<潤滑剤の押圧力N2の状態(図4参照)を維持しつつ潤滑剤の押圧力N2を大きくした構成である。
【0049】
比較例8は、ブラシ461と比較して、ブラシ毛を太くし、密度を小さくし、外径を大きくし、距離dを大きくし、角度αを大きくしたブラシ構成であって、ブラシの押圧力N1>潤滑剤の押圧力N2の状態(図5参照)を維持した構成である。
【0050】
比較例9は、ブラシ461と比較して、ブラシ毛の素材を導電性ナイロンにし、ブラシ毛を太くし、密度を小さくし、外径を大きくしたブラシ構成であって、ブラシの押圧力N1<潤滑剤の押圧力N2の状態(図4参照)を維持しつつブラシの押圧力N1を小さくした構成である。
【0051】
なお、図8に図示しない比較例1〜9の他の構成については、本実施形態に係る実施例1と同様である。
【0052】
上記構成のブラシ及びクリーニング装置を用いた画像形成装置により、印字率0.5%のA3原稿を連続通紙して画像上にスジが発生するか否かについて実験を行った。
実験の結果、実施例1の場合には画像上にスジは発生しなかった。また、比較例1〜7の場合にはやや画像上にスジが発生した。また、比較例8及び9の場合には画像上に明確なスジが発生した。
【0053】
以上のように、実験1によれば、ブラシ461と潤滑剤LOとの間の接触幅W2をブラシ461と感光体ドラム41との間の接触幅W1よりも大きくすることにより、感光体ドラム41表面に潤滑剤LOを均一に塗布することができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【0054】
また、ブラシ461の押圧力N1<潤滑剤LOの押圧力N2の状態(図4参照)を維持するように、ブラシ461及び潤滑剤LOを設置することで、接触幅W1<接触幅W2とすることができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【0055】
また、ブラシ毛の太さは2〜4デニール、繊維密度は100〜180[kf/inch^2]、ブラシ461の外径は11〜12[mm]に規定することで、接触幅W1<接触幅W2とすることができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【0056】
また、潤滑剤LOの押圧力N2を0.7[N]〜2.5[N]の範囲に規定することで、接触幅W1<接触幅W2とすることができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【0057】
〔実験2〕
図9に、ブラシ構成及び実験結果(画像上のスジの有無)を示す。
ブラシ構成1〜4は、ループ頂点A間の最短距離d=0.5[mm]であるブラシ構成である。また、ブラシ構成1〜4は、回転軸方向とループ面とのなす角αがそれぞれα=0[°]、36[°]、45[°]、50[°]と異なる構成である。
【0058】
ブラシ構成5〜8は、距離dがd=0.71[mm]であるブラシ構成である。また、ブラシ構成5〜8は、角度αがそれぞれα=0[°]、36[°]、45[°]、70[°]と異なる構成である。なお、ブラシ構成6は、本実施形態に係るブラシ461と同一の構成である。
【0059】
ブラシ構成9〜12は、距離dがd=0.75[mm]であるブラシ構成である。また、ブラシ構成9〜12は、角度αがそれぞれα=0[°]、36[°]、45[°]、50[°]と異なる構成である。
【0060】
ブラシ構成13は、距離dがd=0.8[mm]であるブラシ構成である。また、ブラシ構成13は、角度αがα=36[°]の構成である。
【0061】
ブラシ構成14〜17は、距離dがd=0.94[mm]であるブラシ構成である。また、ブラシ構成14〜17は、角度αがそれぞれα=0[°]、36[°]、45[°]、50[°]と異なる構成である。
【0062】
図9に図示しないブラシ構成1〜17の他の構成については、本実施形態に係るブラシ461と同様である。
【0063】
上記構成のブラシ及びクリーニング装置を用いた画像形成装置により、印字率0.5%のA3原稿を連続通紙して画像上にスジが発生するか否かについて実験を行った。
【0064】
各構成(1〜17)にて得られた実験結果を同図に示す。また、同図に示した実験結果をグラフ上にプロットした図を図10に示す。
【0065】
図10に、実験結果をプロットしたグラフを示す。
縦軸は角度α、横軸は距離dである。また、図10に示すプロット(〇、△、×)のうち、〇は画像上にスジなし、△は画像上にややスジあり、×は画像上に明確にスジあり、を示す。
図10に示すグラフによれば、画像上にスジが発生する/しないの境界線は、距離dについては0.75[mm]〜0.8[mm]の間、角度αについては36[°]〜45[°]の間に存在するといえる。
【0066】
以上のように、実験2によれば、距離d<0.75[mm]であり、かつ、角度α<45[°]の関係を満たすようにして回転軸表面層にブラシ毛が植毛されたブラシを用いることにより、感光体ドラム41表面に潤滑剤LOを均一に塗布することができ、画像上にスジが発生することを防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 画像形成装置
1 自動原稿搬送部
2 スキャナ部
3 制御部
4 画像形成部
41 感光体ドラム
46 クリーニング装置
461 ブラシ
462 潤滑剤塗布部
5 給紙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体及び潤滑剤に接触するように設置され、回転することにより前記潤滑剤を掻き取り、掻き取った潤滑剤を前記像担持体表面に塗布するブラシを備えたクリーニング装置において、
前記ブラシは、回転軸及び該回転軸表面層に植毛された複数のループ形状のブラシ毛を備えて構成され、
前記像担持体の回転軸方向における前記ブラシ毛のループ頂点間の最短距離は、0.75[mm]より小さく、かつ、前記像担持体の回転軸方向と前記ブラシ毛のループ面とのなす角は、0[°]より大きく、45[°]より小さいクリーニング装置。
【請求項2】
前記ブラシに前記潤滑剤を押し付ける潤滑剤押し付け部を備えた請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記潤滑剤は、固形の潤滑剤である請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記ブラシの設置位置よりも前記像担持体回転方向下流側に、前記像担持体表面に残留する異物を除去するクリーニング部を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
像担持体表面に当接するブラシ及び前記ブラシに当接する潤滑剤を備えた画像形成装置において、
前記ブラシは、回転軸及び該回転軸表面層に植毛された複数のループ形状のブラシ毛を備えて構成され、
前記像担持体の回転軸方向における前記ブラシ毛のループ頂点間の最短距離は、0.75[mm]より小さく、かつ、前記像担持体の回転軸方向と前記ブラシ毛のループ面とのなす角は、0[°]より大きく、45[°]より小さい画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−237697(P2011−237697A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110700(P2010−110700)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】