説明

クリーンルーム施設及び外調機

【課題】外調機を合理的に配置して、省スペース化及び省コスト化を図ったクリーンルーム施設及び外調機を提供する。
【解決手段】クリーンルーム1を挟んで上部に天井チャンバ4、下部に床下チャンバ3を備えるとともに天井チャンバ4と床下チャンバ3を連通させるレターンシャフト7を備え、天井チャンバ4、レターンシャフト7、床下チャンバ3により室内空気を循環させる一連の循環経路を形成し、この循環経路の途中に設けた空調機8によって室内負荷を処理しつつ室内空気を循環させるクリーンルーム施設Bにおいて、外気OAを取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給するための外調機30を備え、この外調機30を床下チャンバ3の外周部20側に形成した外調機室22に設置して、取り入れた外気OAを処理しつつ処理後の外気SOAを床下チャンバ3内に直接供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体や液晶パネルの製造工場等に適用されるクリーンルーム施設及び該クリーンルーム施設に設けられる外調機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体や液晶パネルの製造工場等においては、清浄度の高い空気環境下での作業を要するため、クリーンルーム施設が具備されている。そして、この種のクリーンルーム施設には、クリーンルームを挟んで上部に天井チャンバ、下部に床下チャンバを備えるとともに天井チャンバと床下チャンバを連通させるレターンシャフトを備えて構成したものがある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
図5及び図6は、この種のクリーンルーム施設Aの一例を示したものであり、このクリーンルーム施設Aにおいては、クリーンルーム1の床面2をグレーティングで形成して床下部の床下チャンバ3とクリーンルーム1を連通させ、天井面5に送風機及びフィルタからなるファンフィルタユニット(FFU)6を設置し、天井部に設けた天井チャンバ4をこのFFU6を介してクリーンルーム1と連通させている。また、周壁部(外周部)に床下チャンバ3と天井チャンバ4を連通させる(連絡する)レターンシャフト7を設け、床下チャンバ3、レターンシャフト7、天井チャンバ4により一連の循環経路を形成して、室内空気が循環するようにしている。
【0004】
さらに、床下チャンバ3とレターンシャフト7の接続部(循環経路の途中)に、室内顕熱負荷を処理するためのドライコイルを備えた空調機8を設け、この空調機8によって室内空気を処理しつつ循環させる。すなわち、空調機8によって室内空気を床面2から還気RAとして床下チャンバ3に吸い込み、空調機8で処理した給気SAを、レターンシャフト7を通じて天井チャンバ4に供給し、FFU6によってこの給気SAを天井チャンバ4からクリーンルーム1内に下向きに吹き出して供給する。
【0005】
また、この種のクリーンルーム施設Aにおいては、複数の外調機10が設けられ、これら外調機10によって外気OAを取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給する。このように外気OAを室内に供給することで、室内を外部に対して陽圧状態で保持し予期せぬ清浄度の低い外気OAの室内への流入を防止している。また、このクリーンルーム施設Aにおいて、外調機10は、外気取入口12からダクト13を通じて新鮮な外気OAを取り入れ、処理後の外気OAを吹出口15からダクト14を通じて天井チャンバ4内に供給する。そして、天井チャンバ4内で空調機8からの給気SAと外調機10からの処理後の外気OAを混合させて、FFU6により室内に供給するようにしている。なお、図示せぬ排気ファン等によって加圧相当分を残して室内空気を排気することで、室内の陽圧状態を一定に保持するようにしている。
【0006】
一方、このような外調機10は、一般に機械室11に設置され、機械室11は、処理後の外気OAを天井チャンバ4内にダクト14を通じて供給するために、すなわち天井チャンバ4の近くに外調機10を配置してダクト14を極力短くするために、クリーンルーム1の床面2が設けられている階(2階)の周壁部に設けたレターンシャフト7の外側に設けられる場合が多い。なお、この機械室11の下(1階)の室は、ユーティリティおよび居室等の諸室16とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−322375号公報
【特許文献2】特開2004−190972号公報
【特許文献3】特開2006−125812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図5及び図6に示すような従来のクリーンルーム施設Aにおいては、一般に、クリーンルーム1内に設置される各種機器に関連した補機類を床下チャンバ3に設置し、この床下チャンバ3を補機スペースとして兼用している。そして、このような補機類とともに、空調機8を床下チャンバ3とレターンシャフト7の接続部、すなわち補機スペースに設けることで、室内空気を循環させる循環系の省スペース化を図っている。
【0009】
しかしながら、外調機10においては、機械室11に設置するようにしていため、この機械室11のスペースを確保しなければならない。また、取り入れた外気OAを処理し、この処理後の外気OAを天井チャンバ4内全体に偏りなく、ひいてはクリーンルーム1全体に偏りなく供給するために天井チャンバ4内全体にダクト14を敷設する必要がある。このため、クリーンルーム施設Aの省スペース化並びに省コスト化を図る上で、この外調機10が障害となっていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、外調機を合理的に配置して、省スペース化及び省コスト化を図ったクリーンルーム施設及び外調機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0012】
本発明のクリーンルーム施設は、クリーンルームを挟んで上部に天井チャンバ、下部に床下チャンバを備えるとともに前記天井チャンバと前記床下チャンバを連通させるレターンシャフトを備え、前記天井チャンバ、前記レターンシャフト、前記床下チャンバにより室内空気を循環させる一連の循環経路を形成し、該循環経路の途中に設けた空調機によって室内負荷を処理しつつ前記室内空気を循環させるクリーンルーム施設において、外気を取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給するための外調機を備え、該外調機を前記床下チャンバの外周部側に形成した外調機室に設置して、取り入れた前記外気を処理しつつ処理後の前記外気を前記床下チャンバ内に直接供給するようにしたことを特徴とする。
【0013】
この発明においては、外調機を床下チャンバの外周部側に形成した外調機室に設置し、取り入れた外気を処理しつつ床下チャンバ内に直接供給することで、すなわち補機スペースを兼ねる床下チャンバ内に外調機を設け、処理後の外気を床下チャンバ内に給気することで、機械スペースを床下チャンバに集約することが可能になる。これにより、外調機を設置する機械室を別途設ける必要がないため、クリーンルーム施設の省スペース化を図ることが可能になる。また、処理後の外気を天井チャンバに供給するダクトを不要にできるため、省コスト化を図ることが可能になる。
【0014】
さらに、このように天井チャンバ内全体に敷設されるダクトを不要にできることで、外気の取り入れ、処理後の外気を給気するための外調機が備えるファンの駆動力を低減することが可能になる。これにより、従来のクリーンルーム施設に設けられた外調機のファンと比較し、低駆動力のファンを用いて外気の取り入れ、処理後の外気の給気を行うことが可能になり、外調機のコンパクト化を図ることも可能になる。
【0015】
また、本発明のクリーンルーム施設においては、前記外調機が、前記外気の外気負荷を処理するための各種処理コンポーネントを備えた外調機本体上に、前記外気を取り入れる取入口を備えた外気取入ダクトと、前記処理後の外気を前記床下チャンバ内に供給する給気口を備えた給気ダクトとが一体に設けられていることが望ましい。
【0016】
この発明においては、外調機本体に一体に設けた外気取入ダクトと給気ダクトの取入口と給気口をそれぞれ外部と床下チャンバに連通させることで、容易に且つ好適に処理後の外気を循環経路に供給することができる。そして、このように外気取入ダクトと給気ダクトを外調機本体に設けて外調機を構成することで、外調機のコンパクト化を図ることができ、確実に省スペース化及び省コスト化を図ることが可能になる。
【0017】
さらに、本発明のクリーンルーム施設においては、前記外調機室に複数の前記外調機が並設され、隣り合う前記外調機の給気ダクト同士が繋げられていることがより望ましい。
【0018】
この発明においては、複数の外調機の給気ダクトを繋ぐことで、例えば一部の外調機に不具合が生じた場合においても、各外調機から床下チャンバ内に偏りなく好適に処理後の外気を供給することが可能になり、バックアップシステムを確立することが可能になる。
【0019】
また、本発明のクリーンルーム施設においては、前記隣り合う外調機の給気ダクト同士が風量調節ダンパを介して繋げられていることがさらに望ましい。
【0020】
この発明においては、複数の外調機の給気ダクトを、風量調節ダンパを介して繋げることによって、より確実に、各外調機から処理後の外気を床下チャンバの空間内に偏りなく供給することが可能になる。
【0021】
本発明の外調機は、クリーンルーム施設に設けられ、外気を取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給するための外調機であって、前記外気の外気負荷を処理するための各種処理コンポーネントを備えた外調機本体上に、前記外気を取り入れる取入口を備えた外気取入ダクトと、前記処理後の外気を前記床下チャンバ内に供給する給気口を備えた給気ダクトとが一体に設けられていることを特徴とする。
【0022】
この発明においては、外気取入ダクトの取入口をクリーンルーム施設の外部と連通させ、給気ダクトの給気口を床下チャンバ内に連通させて外調機を設置することで、確実に外気を外調機本体に取り入れ、この外調機本体の各種処理コンポーネントで処理し、処理後の外気を床下チャンバ内に供給することができる。すなわち、外調機本体に一体形成された外気取入ダクトと給気ダクトの取入口と給気口をそれぞれ外部と床下チャンバに連通させることで、容易に且つ好適に処理後の外気を循環経路に供給することができる。これにより、外調機のコンパクト化を図ることが可能になるとともに、この外調機を設けるクリーンルーム施設の省スペース化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のクリーンルーム施設及び外調機によれば、外調機を床下チャンバ内に設置することによってクリーンルーム施設の機械スペースを床下チャンバに集約することができ、このように、外調機を合理的に配置することによって、処理後の外気を天井チャンバに供給するためのダクトを不要にでき、クリーンルーム施設の省スペース化及び省コスト化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るクリーンルーム施設を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る外調機を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る外調機を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るクリーンルーム施設に設置した複数の外調機を示す斜視図である。
【図5】従来のクリーンルーム施設を示す平面図である。
【図6】図5のX−X線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係るクリーンルーム施設及び外調機について説明する。本実施形態は、例えば半導体や液晶パネルの製造工場などに具備されるクリーンルーム施設及びこのクリーンルーム施設に設けられる外調機に関するものである。
【0026】
本実施形態のクリーンルーム施設Bは、図1に示すように、従来のクリーンルーム施設A(図5及び図6)と同様、クリーンルーム1を挟んで上部に天井チャンバ4、下部に床下チャンバ3を備え、これら天井チャンバ4と床下チャンバ3を連通させるレターンシャフト7を備えて構成されている。また、このクリーンルーム施設Bにおいては、クリーンルーム1の床面2をグレーティングで形成して床下部の床下チャンバ3とクリーンルーム1を連通させ、天井面5に送風機及びフィルタからなるファンフィルタユニット(FFU)6を設置し、天井部に設けた天井チャンバ4をこのFFU6を介してクリーンルーム1と連通させている。
【0027】
一方、本実施形態においては、従来のクリーンルーム施設Aと異なり、レターンシャフト7が外周部(周壁部)20よりも内側に配置され、このレターンシャフト7と外周部20の間にもクリーンルーム1が形成されている。すなわち、図5及び図6に示した従来のクリーンルーム施設Aのように、外周部20の外側に機械室11が設けられていない。そして、このレターンシャフト7と外周部20の間に形成された外周部20側のクリーンルーム1の上部(上階)には天井チャンバ4が、下部(下階)には床下チャンバ3がそれぞれ設けられている。
【0028】
また、床下チャンバ3には、レターンシャフト7の外周部20側の壁部7aの直下に仕切壁21が設けられており、床下チャンバ3の外周部20側には、クリーンルーム1の床面2及び外周部(周壁部)20とともにこの仕切壁21で区画した外調機室22が形成されている。さらに、本実施形態のクリーンルーム施設Bにおいては、外調機室22を区画する外周部20側の床面2(2a)、すなわちレターンシャフト7と外周部20の間のクリーンルーム1の床面2(2a)が例えばコンクリートスラブで形成されており、この部分のクリーンルーム1と外調機室22(床下チャンバ3)は連通していない。
【0029】
また、このクリーンルーム施設Bでは、室内顕熱負荷を処理するためのドライコイルを備えた空調機8が、床下チャンバ3に設けた仕切壁21に隣接して、レターンシャフト7の直下に設置されている。さらに、外調機室22に複数の外調機30が設置されており、これら複数の外調機30は、仕切壁21に沿って且つ所定の間隔をあけて並設されている。
【0030】
ここで、本実施形態の外調機30は、図2から図4に示すように、外気OAの外気負荷を処理するための各種処理コンポーネント31を備えた外調機本体32と、この外調機本体32上に一体に設けられた外気取入ダクト33及び給気ダクト34とを備えて構成されている。
【0031】
外調機本体32は、略矩形箱状の外郭体32aの内部に各種処理コンポーネント31を収容して構成されている。また、外郭体32aの上部には、長さ方向T1の一端32b側で且つ幅方向T2の一側端32c側に、外気OAを外調機本体32a内に導入する導入口32dが、長さ方向T1の他端32e側で且つ幅方向T2の他側端32f側に、外調機本体32の外郭体32a内で処理した処理後の外気SOAを外部に送り出す送気口32gがそれぞれ形成されている。さらに、本実施形態では、外郭体32aの内部に収容される処理コンポーネント31として、図3に示すように、ロールフィルタ31a、ファン31b、中性能フィルタ31c、ドライコイル31d、加湿器31e、再熱コイル31f、HEPAフィルタ31g、ケミカルフィルタ31hが、長さ方向T1の一端32bから他端32eに向けて(すなわち導入口32dから送気口32g)に向けて順に並設されている。
【0032】
外気取入ダクト33は、断面矩形状に形成されており、図2から図4に示すように、外調機本体32の外郭体32aの上面に下面を固定して設けられている。また、この外気取入ダクト33は、長さ方向T1の一端33aから他端33bまでの長さが外調機本体32の長さと同等に形成され、幅方向T2の一側端(一側面)33cから他側端(他側面)33dまでの幅が外郭体32aの幅の略半分の寸法で形成されている。そして、外気取入ダクト33は、外調機本体32と互いの一側端同士32c、33cを上下に一致させて、外郭体32aの上部に一体に設けられている。また、外気取入ダクト33には、一端33a側の下面に開口部33eが形成されており、この開口部33eが外郭体32aに形成された導入口32dと上下に重なって、外気取入ダクト33の内部と外調機本体32の一端32b側の内部が連通されている。
【0033】
また、外気取入ダクト33の一側面32cには、外気OAを内部に取り入れる複数の取入口33fが形成され、これら取入口33fには、図1及び図4に示すように、幅方向T2外側に延びる外気取入用延長ダクト35の一端が繋げられている。そして、外気取入用延長ダクト35の他端が外周部(周壁部)20に形成された開口に繋がって、この外気取入用延長ダクト35を介して外部と外気取入ダクト33の内部が連通されている。
【0034】
一方、給気ダクト34は、断面矩形状に形成されており、図2から図4に示すように、外調機本体32の外郭体32aの上面に下面を固定して設けられている。また、給気ダクト34は、外気取入ダクト33と同様、長さ方向T1の一端34aから他端34bまでの長さが外調機本体32の長さと同等に形成され、幅方向T2の一側端(一側面)34cから他側端(他側面)34dまでの幅が外郭体32aの幅の略半分の寸法で形成されている。そして、給気ダクト34は、外調機本体32と互いの他側端同士32f、34dを上下に一致させ、且つ一側面34cを外気取入ダクト33の他側面33dに接触させて、外郭体32aの上部に一体に設けられている。また、給気ダクト34には、他端34b側の下面に開口部34eが形成されており、この開口部34eが外郭体32aに形成された送気口32gと上下に重なって、給気ダクト34の内部と外調機本体32の他端32e側の内部が連通されている。
【0035】
また、給気ダクト34の他側面34dには、外調機本体32で処理した処理後の外気SOAを床下チャンバ3内に供給(給気)するための複数の給気口34fが形成され、これら給気口34fには、図1及び図4に示すように、幅方向T2外側に延びる給気用延長ダクト36の一端が繋げられている。そして、給気用延長ダクト36の他端が仕切壁21に形成された開口に繋がって、この給気用延長ダクト36を介して仕切壁21よりも内側の床下チャンバ3と給気ダクト34の内部が連通されている。
【0036】
さらに、本実施形態においては、外調機室22に設置された複数の外調機30は、図4に示すように、隣り合う外調機30の給気ダクト34同士が、連結ダクト37を介して繋げられ、複数の外調機30の給気ダクト34が複数の連結ダクト37を通じて連通されている。また、このように給気ダクト34同士を繋ぐ連結ダクト37には、風量調節ダンパ38が設けられており、隣り合う外調機30の給気ダクト34同士がこの風量調節ダンパ38を介して繋げられている。
【0037】
ついで、上記のクリーンルーム施設B及び外調機30によって静浄度を保持するように室内空気を処理しつつ循環する方法について説明し、本実施形態のクリーンルーム施設B及び外調機30の作用及び効果について説明する。
【0038】
本実施形態においては、床下チャンバ3の仕切壁31に隣接して設置した空調機8によって室内空気を床面2から還気RAとして床下チャンバ3に吸い込み、空調機8で処理した給気SAを、レターンシャフト7を通じて天井チャンバ4に供給して、FFU6によってこの給気SAを天井チャンバ4からクリーンルーム1内に下向きに吹き出して供給する。このとき、レターンシャフト7から天井チャンバ4に供給した給気SAは、レターンシャフト7を挟んで内側(中央側)と外周部20側にそれぞれ供給され、このうち外周部20側に供給された給気SAは、外周部20側の天井面5に設置したFFU6によってレターンシャフト7と外周部20の間のクリーンルーム1に給気される。そして、このレターンシャフト7と外周部20の間のクリーンルーム1に供給した給気SAは、レターンシャフト7の壁部7aに形成された開口を通じてクリーンルーム1からレターンシャフト7に送気される。
【0039】
一方、外調機30によって外気OAを取り入れ、取り入れた外気OAを処理するとともに室内に処理後の外気SOAを供給する際には、外調機本体32に収容したファン31bを駆動するとともに、外気OAが外気取入用延長ダクト35を通じ且つ取入口33fを通じて外気取入ダクト33に取り入れられる。そして、外気取入ダクト33内を流通した外気OAが、一端32a側に形成した導入口32dから外調機本体32に導入され、外調機本体32の一端32a側から他端32e側に向けて流通する。このとき、ロールフィルタ31a、中性能フィルタ31c、ドライコイル31d、加湿器31e、再熱コイル31f、HEPAフィルタ31g、ケミカルフィルタ31hによって順次外気OAの外気負荷が処理されてゆく。
【0040】
このように処理した処理後の外気SOAは、ケミカルフィルタ31hを通過するとともに、送気口32gから給気ダクト34に送られ、この給気ダクト34の給気口34fを通じて給気用延長ダクト36に流通する。そして、処理後の外気SOAが、仕切壁21より内側でレターンシャフト7の直下の床下チャンバ3内に直接供給される。
【0041】
また、このとき、本実施形態においては、外調機室22に設置した複数の外調機30の給気ダクト34が連結ダクト37を介して繋げられているため、各外調機30で処理した処理後の外気SOAは、連絡ダクト37を通じて他の外調機30の給気ダクト34にも流通することになる。すなわち、例えば一部の外調機30に不具合が生じてこの外調機30による外気処理を停止した場合においても、停止した外調機30の給気ダクト34に他の外調機30で処理した処理後の外気SOAが流通し、連結した全ての外調機30の給気口34f及び給気用延長ダクト36から処理後の外気SOAが床下チャンバ3内に給気される。これにより、常時、床下チャンバ3内には、偏りなく確実に処理後の外気SOAが供給され、外調機30の不具合発生など予期せぬ事態が発生した場合に対するバックアップシステムが確立される。
【0042】
さらに、このとき、各連結ダクト37に風量調節ダンパ38が設置されているため、連結した全ての外調機30の給気ダクト34を流通し、各外調機30の給気口34f及び給気用延長ダクト36から給気する処理後の外気SOAの風量が一定の風量(所定の風量)で保持される。これにより、常時、安定的に床下チャンバ3内に偏りなく処理後の外気SOAが供給され、安定したバックアップシステムが確立される。
【0043】
このように床下チャンバ3内に供給した処理後の外気SOAは、空調機8で処理した給気SAと混合されながら、レターンシャフト7を通じて天井チャンバ4に供給され、外部に対して陽圧状態で保持しつつクリーンルーム1内が所望の静浄度で維持される。
【0044】
そして、本実施形態のクリーンルーム施設Bにおいては、上記のように外調機30を床下チャンバ3内に形成した外調機室22に設置することで、クリーンルーム1内に設置される各種機器に関連した補機類や空調機8を設置した補機スペースを兼ねる床下チャンバ3に機械スペースを集約することが可能になり、従来のように外調機30(10)を設置するための機械室11を別途設ける必要がないため、クリーンルーム施設Bの省スペース化を図ることが可能になる。
【0045】
また、床下チャンバ3の外周部20側に外調機30を設置し、処理後の外気SOAを床下チャンバ3内に供給するように構成することで、外気取入ダクト35の取入口33fを、外気取入用延長ダクト35を介して容易に短経路で外部と連通させることができるとともに、給気ダクト36の給気口34fを、給気用延長ダクト36を介して容易に短経路で床下チャンバ3内に連通させることができる。そして、このように設置した外調機30で外気OAを取り入れるとともに処理し、処理後の外気SOAを床下チャンバ3内に供給して、処理後の外気SOAと空調機8で処理した給気SAとをレターンシャフト7内で混合させながら確実に天井チャンバ4に供給することが可能になる。これにより、従来のクリーンルーム施設A(外調機10)のように、天井チャンバ4内全体に吹出口15を有するダクト14を敷設する必要がないため、省コスト化を図ることが可能になる。
【0046】
また、処理後の外気SOAを床下チャンバ3内に直接供給することで、すなわち天井チャンバ4内全体に敷設されるダクト14を不要にできることで、外気OAの取り入れ、処理後の外気SOAの給気の駆動源である外調機30のファン31bの駆動力を小さくしても(低減しても)、所要量の処理後の外気SOAを確実に室内に供給することが可能になる。これにより、従来のクリーンルーム施設Aが具備する外調機10と比較し、低駆動力のファン31bを用いることができ、外調機30のコンパクト化及び省コスト化を図ることも可能になる。
【0047】
さらに、外調機室22に設置した複数の外調機30の給気ダクト34を繋げてバックアップシステムを確立することにより、例えば一部の外調機30に不具合が生じて外気処理を停止した場合においても、常時、床下チャンバ3内に偏りなく処理後の外気SOAを供給することができる。また、風量調節ダンパ38を介して給気ダクト34同士を繋げることによって、より確実に床下チャンバ3内に偏りなく処理後の外気SOAを供給することが可能なバックアップシステムを確立することができる。
【0048】
よって、本実施形態のクリーンルーム施設B及び外調機30によれば、外調機30を床下チャンバ3内に設置することによってクリーンルーム施設Bの機械スペースを床下チャンバ3に集約することができ、このように、外調機30を合理的に配置することによって、処理後の外気SOAを天井チャンバ4に供給する従来のダクト14を不要にでき、クリーンルーム施設Bの省スペース化及び省コスト化を実現することが可能になる。
【0049】
以上、本発明に係るクリーンルーム施設及び外調機の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、外調機30に備えた各種処理コンポーネント31が、ロールフィルタ31a、ファン31b、中性能フィルタ31c、ドライコイル31d、加湿器31e、再熱コイル31f、HEPAフィルタ31g、ケミカルフィルタ31hであるものとしたが、所望の静浄度に外気OAを処理することができれば、特に上記の処理コンポーネント31に限定する必要はなく、適宜各種処理コンポーネント31を選択的に採用して外調機30を構成すればよい。
【0050】
また、本実施形態では、外調機30の外気取入ダクト33の取入口33fに外気取入用延長ダクト35を、給気ダクト35の給気口34fに給気用延長ダクト36を取り付けて、これら外気取入用延長ダクト35と給気用延長ダクト36を介して外気OAの取り入れ、処理後の外気SOAの給気を行うものとしたが、外気取入用延長ダクト35と給気用延長ダクト36を用いずに、取入口33fや給気口34fを外部や床下チャンバ3内に直接繋げて外調機30を構成、設置するようにしてもよい。
【0051】
さらに、本実施形態では、外調機室22に設置した複数の外調機30の給気ダクト34が連結ダクト、風量調節ダンパを介して繋げられているものとしたが、複数の外調機30の給気ダクト34を繋げずに、各外調機30でそれぞれ個別に外気OAの取り入れ、処理後の外気SOAの給気を行うようにしてもよい。また、クリーンルーム施設Aに設けられる外調機30は、一つの外調機30であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 クリーンルーム
3 床下チャンバ
4 天井チャンバ
6 ファンフィルタユニット(FFU)
7 レターンシャフト
8 空調機
20 外周部(周壁部)
21 仕切壁
22 外調機室
30 外調機
31 処理コンポーネント
32 外調機本体
32a 外郭体
32d 導入口
32g 送気口
33 外気取入ダクト
33f 取入口
34 給気ダクト
34f 給気口
35 外気取入用延長ダクト
36 給気用延長ダクト
37 連結ダクト
38 風量調節ダンパ
A 従来のクリーンルーム施設
B クリーンルーム施設

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームを挟んで上部に天井チャンバ、下部に床下チャンバを備えるとともに前記天井チャンバと前記床下チャンバを連通させるレターンシャフトを備え、前記天井チャンバ、前記レターンシャフト、前記床下チャンバにより室内空気を循環させる一連の循環経路を形成し、該循環経路の途中に設けた空調機によって室内負荷を処理しつつ前記室内空気を循環させるクリーンルーム施設において、
外気を取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給するための外調機を備え、
該外調機を前記床下チャンバの外周部側に形成した外調機室に設置して、取り入れた前記外気を処理しつつ処理後の前記外気を前記床下チャンバ内に直接供給するようにしたことを特徴とするクリーンルーム施設。
【請求項2】
請求項1記載のクリーンルーム施設において、
前記外調機が、前記外気の外気負荷を処理するための各種処理コンポーネントを備えた外調機本体上に、前記外気を取り入れる取入口を備えた外気取入ダクトと、前記処理後の外気を前記床下チャンバ内に供給する給気口を備えた給気ダクトとが一体に設けられていることを特徴とするクリーンルーム施設。
【請求項3】
請求項2記載のクリーンルーム施設において、
前記外調機室に複数の前記外調機が並設され、隣り合う前記外調機の給気ダクト同士が繋げられていることを特徴とするクリーンルーム施設。
【請求項4】
請求項3記載のクリーンルーム施設において、
前記隣り合う外調機の給気ダクト同士が風量調節ダンパを介して繋げられていることを特徴とするクリーンルーム施設。
【請求項5】
クリーンルーム施設に設けられ、外気を取り入れるとともに外気負荷を処理して室内に供給するための外調機であって、
前記外気の外気負荷を処理するための各種処理コンポーネントを備えた外調機本体上に、前記外気を取り入れる取入口を備えた外気取入ダクトと、前記処理後の外気を前記床下チャンバ内に供給する給気口を備えた給気ダクトとが一体に設けられていることを特徴とする外調機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−47561(P2011−47561A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195609(P2009−195609)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】