クレーピングシリンダへの性能向上剤の使用を監視および制御するための方法
クレーピングシリンダのコーティングの厚さを監視および制御するための方法が開示される。コーティングの厚さが判断されるようにクレーピングシリンダコーティングの様々な面を監視する機能を持つ各装置の調整方法を含む方法論である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーピングシリンダ/ヤンキードライヤコーティングを監視および制御する分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ヤンキーコーティングおよびクレーピングの形成はおそらく、ティッシュ製造プロセスの単位操作を制御するのに最も重要であるとともに最も困難である。クレーピング加工ティッシュ製品については、ティッシュおよびタオル製品の吸収性、かさ、強度、柔軟性という基本的性質を、このステップが規定する。等しく重要なのは、クレーピングステップの効率および操業性がティッシュ機械全体としての効率および操業性を決定することである。
【0003】
ティッシュ製造プロセスに共通の問題点は、クレーピングシリンダのコーティングの特性の、横方向の不均一性である。スプレーブームから塗布された接着剤、変性剤、および剥離剤とともに、ウェブまたはシートから引き出された繊維、蒸発したプロセス水からの有機または無機材料、そしてティッシュ製造プロセスの湿潤端部に早い時期に添加された他の化学薬品から、コーティングが構成される。コーティング特性の不均質性は、ドライヤの面における温度、水分、そして局所的な化学組成の変動に関連することが多い。この変動はたいていかなり重要であり、ヤンキー/クレーピングシリンダおよびクレーピングブレードの過剰な磨耗を生む可変シート粘着力、多様な特性の付着物、および/またはシリンダの材料不足を結果的に発生させる。吸収性、かさ、強度、そして柔軟性など最終的なシートの性質の低下も、この変動および/または劣化から生じる。そのため、これらの欠点の結果として、クレーピングシリンダ表面のコーティングのための監視および制御方法論が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1939352号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、これらの欠点の結果として、クレーピングシリンダ表面のコーティングのための監視および制御方法論が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)クレーピングシリンダの表面にコーティングを形成することと、(b)示差法によりクレーピングシリンダ表面のコーティングの厚さを測定し、コーティングと物理的に接触しない複数の装置を示差法が利用することと、(c)クレーピングシリンダの表面に均一厚さコーティングを設けるようにコーティングの厚さに応じてクレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成を任意で調節することと、(d)追加デバイスを任意で使用して、コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダのコーティングの他の面を監視して任意で制御することとを包含する、クレーピングシリンダの表面における性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、(a)クレーピングシリンダの表面にコーティングを形成することと、(b)クレーピングシリンダ表面のコーティングを適切に透過するソース波長を干渉計プローブに設けることと、(c)干渉計プローブを使用してクレーピングシリンダのコーティング空気表面およびコーティングシリンダ表面からの反射光線を測定し、クレーピングシリンダのコーティングの厚さを判断することと、(d)クレーピングシリンダの表面に均一厚さコーティングを設けるようにコーティングの厚さに応じてクレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成を任意で調節することと、(e)追加デバイスを任意で使用して、コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダのコーティングの他の面を監視して任意で制御することとを包含する、クレーピングシリンダの表面における性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】共通モジュールに装着された渦電流および光学式変位センサの組合せを示す概略図である。
【図2】ヤンキードライヤコーティングの横方向監視のための平行移動ステージに装着されたセンサモジュールの概略図である。
【図3】渦電流および三角測量センサ構成を用いる動的なデータ収集を示す。
【図4】動的な露出金属監視に関するデータを示す。
【図5】補正後の動的な露出金属監視に関するデータを示す。
【図6】コーティング領域での動的な変位監視に関するデータを示す。
【図7】コーティング領域における動的な膜厚監視に関するデータを示す。
【図8】コーティングに欠陥(露出点)を含むコーティング領域における動的な変位監視に関するデータを示す。
【図9】コーティングに欠陥(露出点)を含むコーティング区分における動的な膜厚監視に関するデータを示す。−10μmに近づく急激なスパイクは、コーティングに欠陥が存在することを明示する。
【図10】共通モジュールに装着された渦電流、光学式変位、容量、赤外線温度の組合せを示す概略図である。
【図11】クレープシリンダにおけるコーティング厚さ監視のための干渉計の一般的な使用を図示した概略図である。
【図12】選択された周方向ゾーンの動的な膜厚プロフィールに関するデータを示す。LHS(左側)は、コーティング厚さの不均一性を示す。RHS(右側)は、ドクターブレードとの相互作用によるチャターマークが見られる同じコーティングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の方法論および制御戦略は、クレーピングシリンダ表面のコーティングに関するものである。様々な種類の化学物質がクレーピングシリンダ表面のコーティングを構成する。これらの化学物質は、ティッシュ製造プロセスを改良する機能を持つ性質をコーティングに付与する。これらの化学物質は集合的に、性能向上剤(PEM/PEMs)と呼ばれる。これらの化学物質およびその使用を制御する方法についての記載例は、参考として取り入れられている米国特許第7,048,826号および米国特許出願公開第2007/0208115号に記されている。
【0010】
一実施形態において、利用される複数の装置の一つは渦電流センサである。
【0011】
示差法は、渦電流および光学式変位センサを必要とする。
【0012】
一実施形態において、示差法は、渦電流センサを使用してセンサからクレーピングシリンダの表面までの距離を測定するステップと、光学式変位センサを使用してコーティング表面からセンサまでの距離を測定するステップとを包含する。
【0013】
別の実施形態において、光学式変位センサは、レーザ三角測量センサまたは感色性共焦点センサである。
【0014】
図1は、渦電流センサと光学式変位センサとで構成されるセンサ組合せの図を示す。渦電流(EC)センサは、電気的インピーダンス変化を測定する原理に基づいて作動する。ECは、コイルに交流(AC)を印加することにより磁界を発生させる。ECが導電性のターゲットに近接していると、ターゲットで電流が発生する。これらの電流はコイルの電流と反対方向であって、渦電流と呼ばれる。これらの電流は、センサコイルの全体的インピーダンスに影響する独自の磁界を発生させる。ECの出力電圧は、ECセンサとターゲットとの間の間隙が変化するにつれて変化して、距離と電圧との間の相互関係を示す。この用途では、ECセンサにより、センサ筐体とクレーピングシリンダ表面との間の基準が確定される。
【0015】
筐体に装着された第2のセンサは、膜表面に対するセンサの変位を光学的に測定する。光学式変位センサは、Micro−Epsilon(ノースカロライナ州ローリー)モデル 1700−2などの三角測量タイプと、Micro−Epsilons optoNCDT 2401共焦点センサなどの感色性タイプのいずれでもよい。これらのセンサは、膜表面からの反射光線の原理に基づいて機能する。プロセス操作条件、センサ監視箇所、またはPEM自体の性質によりコーティングの光学的性質に変動が生じた時には、Keyence LKG−15(Keyence−所在地:ニュージャージー州ウッドクリフレーク)などの高性能な三角測量センサが確実であろう。Keyence三角測量センサは、透明および半透明の膜を測定するための内蔵アルゴリズムによる高精度の測定を行う。横方向(CD)と機械方向(MD)の両方で伝送特性が変化するため、コーティングの多様な光学的性質に適応可能なセンサが確実に得られ、高性能の三角測量センサは異なる測定モード間で切り換えが可能である。概して、市販の三角測量センサの大部分では、透明または半透明の材料に測定エラーが生じる。膜の特性が一定である場合には、三角測量センサに角度を持たせると、このエラーを減少させることができる。しかし、膜特性に高い変動性を持つプロセスの測定のためにセンサを回転させることは、選択肢にない。光学式とECの両方のセンサは、予想厚さが>50ミクロンのPEM膜を監視するのに必要な解像度を持っている。ECと光学変位センサからの測定距離の間の差を考慮すると、膜厚が求められる。
【0016】
図1に示されているように、パージされた筐体にセンサが収容される。センサの冷却、クリーニング、そしてダストのない光路の維持のため、パージガス(清浄空気またはN2)が用いられる。蒸気加熱クレーピングシリンダから10〜35mmの間に筐体が位置するので、冷却が必要である。必要であれば渦流またはペルティエ冷却器を用いることで、追加冷却が用いられてもよい。筐体から出るパージガスは測定ゾーンの周囲でシールドガスとなり、粒子状物質および水分を最少にする。放射と反射の両方の光線強度を減衰させることにより、粒子状物質は光学測定に影響する。一方、筐体の光線入口および出口ウィンドウで凝縮する水分は、減衰および拡散を起こす。ECセンサは、粒子状物質および水分の存在には影響されない。
【0017】
クレーピングシリンダ(ヤンキードライヤとしても知られる)での工業的監視では、図1に示されたセンサモジュールが、図2に図示されているように平行移動ステージに装着される。設置の前に、ゼロ測定示数を求めるため、平らな基板の上でセンサの位置が較正されなければならない。ECおよび光学式変位センサの位置が基板表面に対して様々なオフセットを持ち得るので、これが必要になる。膜が存在しない時に確実にゼロ示数となるように各センサの位置を調節するため、較正ステップが必要である。工業プロセスへのセンサモジュールの設置は、両方のセンサが作動するための正確な範囲内の距離にモジュールを装着することを必要とする。シリンダが回転する際にCDのモジュールを平行移動させることにより、膜厚および品質のプロフィールが処理および表示される。処理結果は次に、PEMまたは他の化学物質の追加に適切なゾーンを起動させるか、流量、運動量、または液滴サイズなどの形成条件を変化させるため、フィードバック制御に用いられる。加えて、膜品質(厚さまたは均一性)が回復されない場合には、シリンダのそり、ドクターブレードの破損またはチャター、過度のコーティング形成などの深刻な問題についてオペレータに警告するため、アラームが起動する。最後に、図2の三つの測定箇所が特定される。ドクターおよびクリーニングブレードの間(1)、クリーニングブレードの後(2)、またはウェブがシリンダに押圧される前(3)に、膜厚および品質の測定が行われる。単一の箇所または多数の箇所が監視される。
【0018】
ECおよび光学式変位(三角測量)センサの組合せを用いた実験結果が、図3に示されている。この場合、〜16から20RPM(毎分回転数)で回転する直径95mmの鋳鉄シリンダに対して動的測定が行われた。シリンダの半分がPEMでコーティングされた。シリンダのPEMコーティング部分には、欠陥領域のシミュレーションのため露出点(直径〜20mm)が設けられた。図3は、露出金属領域から発せられた補正後信号(渦電流−三角測量)を示す。センサ組合せをコーティング領域へ平行移動させると、コーティングのため〜27ミクロンの平均オフセットが見られる。ここで信号は負であり、コーティングの厚さによるセンサとシリンダとの間の27ミクロンの距離の減少を表す。300秒では、センサ組合せが平行移動して露出金属へ戻っている。最初に信号が高く(〜5ミクロン)、元の測定箇所の近くにセンサを位置決めする調節がさらに必要である。この異常はおそらく、センサが正確に同じエリアを測定していないことと、小規模設定で曲率半径が短いことによる実験システムの人工産物である。センサは本質的にシリンダを平板と見なすので、直径14〜18フィートのシリンダでの工業的監視であれば、これらの影響を最少にするはずである。最後に、露出点を含む領域へ〜375秒でセンサを平行移動させることにより、コーティング欠陥の検出のためのデモンストレーションが行われた。ここで、測定された平均コーティング厚さは〜30ミクロンであった。これには、200〜300秒の間でのこの領域からの結果である3ミクロンが含まれる。−10ミクロンに近づく信号にスパイクが出現することは、コーティング欠陥の存在を明示している。測定ゾーンの中を露出点が回転すると、信号は0ミクロンに近づく。測定された10ミクロンのオフセットは、欠陥エリアの残存コーティングに起因する。
【0019】
図3から分かる結果が、補正後データとともに未処理の三角測定およびECデータについて表1にまとめられている。
【0020】
【表1】
【0021】
露出金属領域を監視するためのECおよび三角測量センサからの記録測定値が、図4に示されている。測定値に見られる40〜50ミクロンの振幅は、シリンダ回転の揺れを反映している。補正(EC−三角測量)を適用することにより、図5に見られるように揺れは〜10ミクロンまで減少した。工業的監視では、ECセンサの空間位置が光学式変位測定点に近づいて湾曲の影響を小さくすると、この変動がおそらく減少するだろう。
【0022】
同様に、図6および7は、コーティング領域の監視結果を示す。この場合、図7に示された補正後のデータは15〜20ミクロンの間の変動を持つ。データのこの大きな変動はおそらく、膜の表面不均質性によるものである。信号の周波数と振幅の両方の解析から、コーティングの品質についての情報が得られる。三角測量センサの測定点サイズは〜30ミクロンである。そのため、三角測量センサは表面の不均一性を容易に解析する。
【0023】
欠陥を持つコーティング領域からの監視結果が、図8および9に示されている。図8の渦電流信号は、欠陥の証拠を示していない。一方、三角測量測定は急激な狭いスパイクによって欠陥の存在を示している。図9に示された補正後信号では、コーティング欠陥による急激なスパイクの解析が容易である。
【0024】
不均一性の検出を示す別の例が、図12に示されている。この事例では、59RPMで回転しているコーティングシリンダにより、同時データ収集が実施された。左図は、シリンダ表面に対するコーティングのプロフィールを示す。コーティング厚さの不均一性は明白であるが、表面は比較的滑らかである。右図は、ドクターブレードとコーティングとの相互作用によるチャター条件を受けた同じコーティングを示す。二つの事例を比較すると、コーティングの表面品質の低下を捕捉するセンサシステムの能力が明らかになる。チャター事象の検出は、製品品質と資産保護に対する影響を最少にする是正保守を実施するためヤンキープロセスにおいて重要である。
【0025】
差分計算に影響する水分も考慮に入れることができる。すなわち、静電容量測定から導出される誘電率によって水分を計算できるのである。厚さの変化が水分またはコーティング欠如の結果であるかどうかを決定するのに、このデータが利用される。静電容量に注目する別の方法は、上記の示差法によって求められる測定値についての安全手段だということである。コーティングそのもの、例えば、クレーピングシリンダ表面のコーティングを監視および制御するのに有益なガラス転移温度およびモジュラスなどのコーティングの作用について、詳細な分析が得られる。
【0026】
コーティングの含水量を考慮に入れる方法の一つは静電容量に注目することであり、別の方法は水分センサを利用することである。当該技術の当業者によって他の技術が利用されてもよい。
【0027】
一実施形態において、1300nm領域でのH2Oの光学吸収に基づくWO2006118619に記載されているような専用の水分センサが方法に取り入れられるが、この引例は参考として取り入れられている。これは、コーティングと水分の両方の誘電率への依存により容量モニターが受ける干渉を伴わずに、膜の水分レベルの直接測定を行う。
【0028】
別の実施形態では、容量プローブを使用してコーティングの含水量を測定することと、静電容量測定値を示差法測定値と比較してコーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、示差法により判断される厚さに対する水分の影響に応じてクレーピングシリンダ表面のコーティングの量および分布を任意で調節する、および/またはコーティングの量を調節することとが、付加的に方法に包含される。
【0029】
図10に示されているように、この方法は、多数のセンサを収容するモジュールを用いる。モジュールは図1に提示されたものと類似しているが、追加センサ要素を含む。図10のモジュールは、容量プローブと光学的赤外線温度プローブとを含む。ミネソタ州セントポールのLion Precisionなどの容量プローブは、導電性ターゲットの位置または位置変化についての高解像度測定で広く用いられている。位置検知に共通する用途は、ロボット工学および精密部品の組立、回転部品および工具の運動解析、振動測定、厚さ測定、そして金属部品の有無が検出される組立検査である。容量は、コーティング、膜、液体などの非導電性材料のある特性を測定するのにも使用される。
【0030】
容量センサは、相互に近接している二つの導体の間に存在する静電容量の電気的性質を使用する。相互に分離している二つの導体に電圧が印加された場合には、導体表面に蓄積された電荷の差により、これらの間に電界が形成される。これらの間の空間の静電容量は、静電容量が高いと保持する電荷が多く、静電容量が低いと保持する電荷が少なくなるように電界に影響する。静電容量が多いほど、導体の電圧を変化させるのに必要な電流が多くなる。
【0031】
容量センサの金属検知表面は、導体の一つとして機能する。ターゲット(ヤンキードラム表面)は他の導体である。連続的に変化する電圧、例えば10kHz方形波を駆動電子機器がプローブに誘導し、結果的に必要な電流が測定される。プローブとターゲットとの間の静電容量が一定である場合、この電流測定値はこれらの間の距離と関連する。
【0032】
以下の関係が当てはまる。
【数1】
Cは静電容量(F,ファラド)、εは導体の間の間隙における材料の誘電性、Aはプローブ検知エリア、そしてdは間隙距離である。ε=εrε0のように、誘電性は材料の誘電率に比例し、εrは誘電率、ε0は真空誘電率である。空気についてはεr=1.006、水についてはεr=78である。
【0033】
どの二つのパラメータが一定に維持されるかに応じて、三番目はセンサの出力から判断される。位置の事例では、dは空気が通常は媒体である場合に測定される。ヤンキーシステムへの我々の適用では、全体間隙容積におけるεrの変動性が、測定されるパラメータである。この事例では、空気、繊維材料も含有する膜またはコーティング、そして水分の三つの主成分で間隙が構成される。混合物誘電率は次のように表される。
【数2】
φは、下付き文字を伴う体積分率で、下付き文字は構成材料を指す(a=空気、w=水、f=膜)。方程式1および2を用いると、水分の存在による静電容量の変化は次のように求められる。
【数3】
Cfwは水分を含有する膜の静電容量であり、Cfは乾燥膜である。対数を取って方程式3を整理すると、水分に対する体積分率の式は、次のようになる。
【数4】
ヤンキー膜を監視するため、容量プローブによって混合物静電容量Cfwが直接に測定される。水の温度依存誘電率は文献の値から求められる。次に、光センサを用いた膜厚測定から判断される乾燥膜の静電容量が分かり、膜の誘電率が分かれば、水分の体積分率が求められる。
【0034】
間隙容積の平均誘電率は、空気およびコーティングの誘電率に比例して構成される。間隙のコーティングが厚くなるほど平均誘電率が高くなる。dおよびAを制御することにより、いかなる感度および範囲も得ることができる。静電容量はコーティングの含水量に左右されるため、コーティング厚さの変動を含水量の変化と切り離すのは困難である。図10に示されたモジュールに一組のセンサ(EC、光学式変位、容量)を組み込むことにより、この情報は、膜厚を横方向に点検する手段、そしてコーティングの含水量に関する情報となる。ECセンサは、光学式変位および容量の両方で用いられるリアルタイム補正のための基本的な基準距離となる。静電容量は、光学プローブと比較してはるかに広いエリアを平均したものである。例えば、0.005mの間隙距離を用いる容量プローブは、直径19mmの検知プローブヘッドを用いるだろう。測定エリアは、プローブヘッドよりも30%広いだろう。一方、光学式変位プローブは、使用されるプローブに応じて20ミクロンから850ミクロンのエリアを測定する。光学プローブからの解像度測定値が高いと、コーティング表面のわずかな変動に影響を受けるだろう。しかし広いエリアでの光学プローブからの平均測定値は、静電容量と同じような結果をもたらす。コーティングの誘電率が分かっていると仮定すると、静電容量と光学プローブ示数との間の距離が膜の含水量に影響する。
【0035】
OMEGA(コネチカット州スタンフォード)モデルOS36−3−T−240Fなどの赤外線(IR)温度プローブは、クレーピングシリンダの温度プロフィールに関する有益な情報を提供する。PEMは温度に応じて異なる反応を示すので、シリンダに形成されるPEMの化学組成およびレベルを調節するのに温度情報が用いられる。
【0036】
一実施形態において、方法はさらに、(a)赤外線温度プローブを使用してクレーピングシリンダの温度プロフィールを測定することと、(b)赤外線温度プローブを使用して温度依存の水分誘電率を補正するのに必要なコーティング温度を測定することと、(c)補正後の水分誘電率を静電容量測定値に適用して正確なコーティング水分濃度を判断することとを包含する。
【0037】
センサモジュールに赤外線温度プローブを追加すると、クレープシリンダの温度プロフィールに関する情報が得られる。これは、クレープシリンダの温度不均一性を特定する際に有益である。加えて、コーティングの誘電率を補正するのに温度が使用される。例えば、水の誘電率は80.1(20℃)から55.3(100℃)まで変化する。
【0038】
監視方法論に超音波センサが組み込まれてもよい。
【0039】
一実施形態において、方法は、超音波センサを使用してコーティングのモジュラスを測定することをさらに包含し、コーティングの硬度を測定するのに任意でモジュラス値が使用される。
【0040】
コーティングの粘弾性を検出するのに超音波センサが使用される。膜における音波の伝搬(反射および減衰)は、硬質か軟質かなど膜の品質に左右される。スプレーレベルを制御するか、希釈レベルなどスプレー化学物質を調節して、膜の粘弾性を最適化するために、膜の性質に関する情報がスプレーシステムへのフィードバックに使用される。
【0041】
上記のように、厚さ測定に干渉計が利用されてもよい。本開示で説明されたものなどの他の解析技術が干渉方法とともに利用されてもよい。加えて、コーティングの厚さを測定するのに干渉計を利用する方法論とともに、示差法が用いられてもよい。
【0042】
一実施形態の方法では、コーティング厚さを監視するのに干渉計を使用する。コーティングが充分な透過性を持つ場合には、多数のセンサの使用を縮小して、図11に図示されたような単一プローブヘッドにすることができる。この事例では、光ファイバーケーブルによって光線がプローブへ運ばれる。膜の両側表面からの反射光線が集束されて、コーティング厚さ情報を抽出する処理のためファイバプローブへ戻される。集束光線の処理にはいくつかの異なる技術が用いられる。Scalar Technologies Ltd(英国、ウェスト・ロージアン、リビングストン)などの工業計器は、波長依存のフリンジパターンの測定に基づく分光干渉技術を用いる。フリンジの数は膜厚に左右される。代替的に、変形されたマイケルソン干渉計をベースとするLumetrics Inc.(ニューヨーク州ウェストヘンリエッタ)の器具は、各表面から得られた測定ピークの差に基づいて厚さを判断する。干渉プローブによるクレープシリンダのコーティングの監視は、図2に図示された箇所のいずれかで行われる。主な要件は、光線が内側表面つまり基板付近で反射するのに充分な透過性を膜が持つことである。干渉測定の独自特徴の一つは、コーティング層を測定する能力である。この性能は、図2に示された監視箇所3で利用される。この箇所では、コーティングは完全に乾燥しておらず、ウェブ、ドクターブレード、そしてクリーニングブレードと直接接触しているクレーピングシリンダにティッシュシートを付着させる圧力ロールによるものなどのプロセス妨害に影響されない。この箇所の干渉センサは、形成直後のコーティングの厚さを提供する。これは、妨害の前のコーティングの空間分布を知るのに役立つ。例えば、プロセス妨害の前後のコーティング厚さが分かると、スプレーシステムの非効率性、過剰な磨耗を受けているエリア、または他の動的変化を特定できる。
【0043】
上記のように、本開示の方法論では、クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成速度を任意で調節して、このコーティングの厚さに応じて均一厚さのコーティングを設ける。様々なタイプの装置がこの作業を実行できる。
【0044】
一実施形態の方法では、正常運転状態で収集された測定値に基づいてスプレーゾーンを制御する。例えば、上記の単数または複数のセンサからの測定値は、クレープシリンダの基本プロフィールを確定するのに用いられる。基本データは次に、プロセス変動を追跡するのに用いられる。基本プロフィールデータ(膜厚、膜品質、水分レベル、粘弾性、温度など)を中心として確定される上下の制御リミットは、プロセス変動が発生する時を追跡するのに用いられる。プロセス監視パラメータのいずれかがリミットから外れた場合には、ゾーン制御スプレー塗布システムにより補正措置が取られる。
【0045】
別の実施形態では、複数の装置がヤンキードライヤ/クレーピングシリンダを横切って平行移動して、厚さおよび/または含水量および/または温度および/またはモジュラスのプロフィールを提供する。
【0046】
別の実施形態では、クレープブレードとクリーニングブレードとの間、クリーニングブレードの後、またはティッシュウェブがコーティングに押圧される前、または以上の組合せに、複数の装置が配置される。
【0047】
別の実施形態では、複数の装置がクリーンガスでパージされて、汚れ、ミスト干渉、ダスト干渉、過熱、またはその組合せを防止する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーピングシリンダ/ヤンキードライヤコーティングを監視および制御する分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ヤンキーコーティングおよびクレーピングの形成はおそらく、ティッシュ製造プロセスの単位操作を制御するのに最も重要であるとともに最も困難である。クレーピング加工ティッシュ製品については、ティッシュおよびタオル製品の吸収性、かさ、強度、柔軟性という基本的性質を、このステップが規定する。等しく重要なのは、クレーピングステップの効率および操業性がティッシュ機械全体としての効率および操業性を決定することである。
【0003】
ティッシュ製造プロセスに共通の問題点は、クレーピングシリンダのコーティングの特性の、横方向の不均一性である。スプレーブームから塗布された接着剤、変性剤、および剥離剤とともに、ウェブまたはシートから引き出された繊維、蒸発したプロセス水からの有機または無機材料、そしてティッシュ製造プロセスの湿潤端部に早い時期に添加された他の化学薬品から、コーティングが構成される。コーティング特性の不均質性は、ドライヤの面における温度、水分、そして局所的な化学組成の変動に関連することが多い。この変動はたいていかなり重要であり、ヤンキー/クレーピングシリンダおよびクレーピングブレードの過剰な磨耗を生む可変シート粘着力、多様な特性の付着物、および/またはシリンダの材料不足を結果的に発生させる。吸収性、かさ、強度、そして柔軟性など最終的なシートの性質の低下も、この変動および/または劣化から生じる。そのため、これらの欠点の結果として、クレーピングシリンダ表面のコーティングのための監視および制御方法論が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1939352号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、これらの欠点の結果として、クレーピングシリンダ表面のコーティングのための監視および制御方法論が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)クレーピングシリンダの表面にコーティングを形成することと、(b)示差法によりクレーピングシリンダ表面のコーティングの厚さを測定し、コーティングと物理的に接触しない複数の装置を示差法が利用することと、(c)クレーピングシリンダの表面に均一厚さコーティングを設けるようにコーティングの厚さに応じてクレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成を任意で調節することと、(d)追加デバイスを任意で使用して、コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダのコーティングの他の面を監視して任意で制御することとを包含する、クレーピングシリンダの表面における性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、(a)クレーピングシリンダの表面にコーティングを形成することと、(b)クレーピングシリンダ表面のコーティングを適切に透過するソース波長を干渉計プローブに設けることと、(c)干渉計プローブを使用してクレーピングシリンダのコーティング空気表面およびコーティングシリンダ表面からの反射光線を測定し、クレーピングシリンダのコーティングの厚さを判断することと、(d)クレーピングシリンダの表面に均一厚さコーティングを設けるようにコーティングの厚さに応じてクレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成を任意で調節することと、(e)追加デバイスを任意で使用して、コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダのコーティングの他の面を監視して任意で制御することとを包含する、クレーピングシリンダの表面における性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】共通モジュールに装着された渦電流および光学式変位センサの組合せを示す概略図である。
【図2】ヤンキードライヤコーティングの横方向監視のための平行移動ステージに装着されたセンサモジュールの概略図である。
【図3】渦電流および三角測量センサ構成を用いる動的なデータ収集を示す。
【図4】動的な露出金属監視に関するデータを示す。
【図5】補正後の動的な露出金属監視に関するデータを示す。
【図6】コーティング領域での動的な変位監視に関するデータを示す。
【図7】コーティング領域における動的な膜厚監視に関するデータを示す。
【図8】コーティングに欠陥(露出点)を含むコーティング領域における動的な変位監視に関するデータを示す。
【図9】コーティングに欠陥(露出点)を含むコーティング区分における動的な膜厚監視に関するデータを示す。−10μmに近づく急激なスパイクは、コーティングに欠陥が存在することを明示する。
【図10】共通モジュールに装着された渦電流、光学式変位、容量、赤外線温度の組合せを示す概略図である。
【図11】クレープシリンダにおけるコーティング厚さ監視のための干渉計の一般的な使用を図示した概略図である。
【図12】選択された周方向ゾーンの動的な膜厚プロフィールに関するデータを示す。LHS(左側)は、コーティング厚さの不均一性を示す。RHS(右側)は、ドクターブレードとの相互作用によるチャターマークが見られる同じコーティングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の方法論および制御戦略は、クレーピングシリンダ表面のコーティングに関するものである。様々な種類の化学物質がクレーピングシリンダ表面のコーティングを構成する。これらの化学物質は、ティッシュ製造プロセスを改良する機能を持つ性質をコーティングに付与する。これらの化学物質は集合的に、性能向上剤(PEM/PEMs)と呼ばれる。これらの化学物質およびその使用を制御する方法についての記載例は、参考として取り入れられている米国特許第7,048,826号および米国特許出願公開第2007/0208115号に記されている。
【0010】
一実施形態において、利用される複数の装置の一つは渦電流センサである。
【0011】
示差法は、渦電流および光学式変位センサを必要とする。
【0012】
一実施形態において、示差法は、渦電流センサを使用してセンサからクレーピングシリンダの表面までの距離を測定するステップと、光学式変位センサを使用してコーティング表面からセンサまでの距離を測定するステップとを包含する。
【0013】
別の実施形態において、光学式変位センサは、レーザ三角測量センサまたは感色性共焦点センサである。
【0014】
図1は、渦電流センサと光学式変位センサとで構成されるセンサ組合せの図を示す。渦電流(EC)センサは、電気的インピーダンス変化を測定する原理に基づいて作動する。ECは、コイルに交流(AC)を印加することにより磁界を発生させる。ECが導電性のターゲットに近接していると、ターゲットで電流が発生する。これらの電流はコイルの電流と反対方向であって、渦電流と呼ばれる。これらの電流は、センサコイルの全体的インピーダンスに影響する独自の磁界を発生させる。ECの出力電圧は、ECセンサとターゲットとの間の間隙が変化するにつれて変化して、距離と電圧との間の相互関係を示す。この用途では、ECセンサにより、センサ筐体とクレーピングシリンダ表面との間の基準が確定される。
【0015】
筐体に装着された第2のセンサは、膜表面に対するセンサの変位を光学的に測定する。光学式変位センサは、Micro−Epsilon(ノースカロライナ州ローリー)モデル 1700−2などの三角測量タイプと、Micro−Epsilons optoNCDT 2401共焦点センサなどの感色性タイプのいずれでもよい。これらのセンサは、膜表面からの反射光線の原理に基づいて機能する。プロセス操作条件、センサ監視箇所、またはPEM自体の性質によりコーティングの光学的性質に変動が生じた時には、Keyence LKG−15(Keyence−所在地:ニュージャージー州ウッドクリフレーク)などの高性能な三角測量センサが確実であろう。Keyence三角測量センサは、透明および半透明の膜を測定するための内蔵アルゴリズムによる高精度の測定を行う。横方向(CD)と機械方向(MD)の両方で伝送特性が変化するため、コーティングの多様な光学的性質に適応可能なセンサが確実に得られ、高性能の三角測量センサは異なる測定モード間で切り換えが可能である。概して、市販の三角測量センサの大部分では、透明または半透明の材料に測定エラーが生じる。膜の特性が一定である場合には、三角測量センサに角度を持たせると、このエラーを減少させることができる。しかし、膜特性に高い変動性を持つプロセスの測定のためにセンサを回転させることは、選択肢にない。光学式とECの両方のセンサは、予想厚さが>50ミクロンのPEM膜を監視するのに必要な解像度を持っている。ECと光学変位センサからの測定距離の間の差を考慮すると、膜厚が求められる。
【0016】
図1に示されているように、パージされた筐体にセンサが収容される。センサの冷却、クリーニング、そしてダストのない光路の維持のため、パージガス(清浄空気またはN2)が用いられる。蒸気加熱クレーピングシリンダから10〜35mmの間に筐体が位置するので、冷却が必要である。必要であれば渦流またはペルティエ冷却器を用いることで、追加冷却が用いられてもよい。筐体から出るパージガスは測定ゾーンの周囲でシールドガスとなり、粒子状物質および水分を最少にする。放射と反射の両方の光線強度を減衰させることにより、粒子状物質は光学測定に影響する。一方、筐体の光線入口および出口ウィンドウで凝縮する水分は、減衰および拡散を起こす。ECセンサは、粒子状物質および水分の存在には影響されない。
【0017】
クレーピングシリンダ(ヤンキードライヤとしても知られる)での工業的監視では、図1に示されたセンサモジュールが、図2に図示されているように平行移動ステージに装着される。設置の前に、ゼロ測定示数を求めるため、平らな基板の上でセンサの位置が較正されなければならない。ECおよび光学式変位センサの位置が基板表面に対して様々なオフセットを持ち得るので、これが必要になる。膜が存在しない時に確実にゼロ示数となるように各センサの位置を調節するため、較正ステップが必要である。工業プロセスへのセンサモジュールの設置は、両方のセンサが作動するための正確な範囲内の距離にモジュールを装着することを必要とする。シリンダが回転する際にCDのモジュールを平行移動させることにより、膜厚および品質のプロフィールが処理および表示される。処理結果は次に、PEMまたは他の化学物質の追加に適切なゾーンを起動させるか、流量、運動量、または液滴サイズなどの形成条件を変化させるため、フィードバック制御に用いられる。加えて、膜品質(厚さまたは均一性)が回復されない場合には、シリンダのそり、ドクターブレードの破損またはチャター、過度のコーティング形成などの深刻な問題についてオペレータに警告するため、アラームが起動する。最後に、図2の三つの測定箇所が特定される。ドクターおよびクリーニングブレードの間(1)、クリーニングブレードの後(2)、またはウェブがシリンダに押圧される前(3)に、膜厚および品質の測定が行われる。単一の箇所または多数の箇所が監視される。
【0018】
ECおよび光学式変位(三角測量)センサの組合せを用いた実験結果が、図3に示されている。この場合、〜16から20RPM(毎分回転数)で回転する直径95mmの鋳鉄シリンダに対して動的測定が行われた。シリンダの半分がPEMでコーティングされた。シリンダのPEMコーティング部分には、欠陥領域のシミュレーションのため露出点(直径〜20mm)が設けられた。図3は、露出金属領域から発せられた補正後信号(渦電流−三角測量)を示す。センサ組合せをコーティング領域へ平行移動させると、コーティングのため〜27ミクロンの平均オフセットが見られる。ここで信号は負であり、コーティングの厚さによるセンサとシリンダとの間の27ミクロンの距離の減少を表す。300秒では、センサ組合せが平行移動して露出金属へ戻っている。最初に信号が高く(〜5ミクロン)、元の測定箇所の近くにセンサを位置決めする調節がさらに必要である。この異常はおそらく、センサが正確に同じエリアを測定していないことと、小規模設定で曲率半径が短いことによる実験システムの人工産物である。センサは本質的にシリンダを平板と見なすので、直径14〜18フィートのシリンダでの工業的監視であれば、これらの影響を最少にするはずである。最後に、露出点を含む領域へ〜375秒でセンサを平行移動させることにより、コーティング欠陥の検出のためのデモンストレーションが行われた。ここで、測定された平均コーティング厚さは〜30ミクロンであった。これには、200〜300秒の間でのこの領域からの結果である3ミクロンが含まれる。−10ミクロンに近づく信号にスパイクが出現することは、コーティング欠陥の存在を明示している。測定ゾーンの中を露出点が回転すると、信号は0ミクロンに近づく。測定された10ミクロンのオフセットは、欠陥エリアの残存コーティングに起因する。
【0019】
図3から分かる結果が、補正後データとともに未処理の三角測定およびECデータについて表1にまとめられている。
【0020】
【表1】
【0021】
露出金属領域を監視するためのECおよび三角測量センサからの記録測定値が、図4に示されている。測定値に見られる40〜50ミクロンの振幅は、シリンダ回転の揺れを反映している。補正(EC−三角測量)を適用することにより、図5に見られるように揺れは〜10ミクロンまで減少した。工業的監視では、ECセンサの空間位置が光学式変位測定点に近づいて湾曲の影響を小さくすると、この変動がおそらく減少するだろう。
【0022】
同様に、図6および7は、コーティング領域の監視結果を示す。この場合、図7に示された補正後のデータは15〜20ミクロンの間の変動を持つ。データのこの大きな変動はおそらく、膜の表面不均質性によるものである。信号の周波数と振幅の両方の解析から、コーティングの品質についての情報が得られる。三角測量センサの測定点サイズは〜30ミクロンである。そのため、三角測量センサは表面の不均一性を容易に解析する。
【0023】
欠陥を持つコーティング領域からの監視結果が、図8および9に示されている。図8の渦電流信号は、欠陥の証拠を示していない。一方、三角測量測定は急激な狭いスパイクによって欠陥の存在を示している。図9に示された補正後信号では、コーティング欠陥による急激なスパイクの解析が容易である。
【0024】
不均一性の検出を示す別の例が、図12に示されている。この事例では、59RPMで回転しているコーティングシリンダにより、同時データ収集が実施された。左図は、シリンダ表面に対するコーティングのプロフィールを示す。コーティング厚さの不均一性は明白であるが、表面は比較的滑らかである。右図は、ドクターブレードとコーティングとの相互作用によるチャター条件を受けた同じコーティングを示す。二つの事例を比較すると、コーティングの表面品質の低下を捕捉するセンサシステムの能力が明らかになる。チャター事象の検出は、製品品質と資産保護に対する影響を最少にする是正保守を実施するためヤンキープロセスにおいて重要である。
【0025】
差分計算に影響する水分も考慮に入れることができる。すなわち、静電容量測定から導出される誘電率によって水分を計算できるのである。厚さの変化が水分またはコーティング欠如の結果であるかどうかを決定するのに、このデータが利用される。静電容量に注目する別の方法は、上記の示差法によって求められる測定値についての安全手段だということである。コーティングそのもの、例えば、クレーピングシリンダ表面のコーティングを監視および制御するのに有益なガラス転移温度およびモジュラスなどのコーティングの作用について、詳細な分析が得られる。
【0026】
コーティングの含水量を考慮に入れる方法の一つは静電容量に注目することであり、別の方法は水分センサを利用することである。当該技術の当業者によって他の技術が利用されてもよい。
【0027】
一実施形態において、1300nm領域でのH2Oの光学吸収に基づくWO2006118619に記載されているような専用の水分センサが方法に取り入れられるが、この引例は参考として取り入れられている。これは、コーティングと水分の両方の誘電率への依存により容量モニターが受ける干渉を伴わずに、膜の水分レベルの直接測定を行う。
【0028】
別の実施形態では、容量プローブを使用してコーティングの含水量を測定することと、静電容量測定値を示差法測定値と比較してコーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、示差法により判断される厚さに対する水分の影響に応じてクレーピングシリンダ表面のコーティングの量および分布を任意で調節する、および/またはコーティングの量を調節することとが、付加的に方法に包含される。
【0029】
図10に示されているように、この方法は、多数のセンサを収容するモジュールを用いる。モジュールは図1に提示されたものと類似しているが、追加センサ要素を含む。図10のモジュールは、容量プローブと光学的赤外線温度プローブとを含む。ミネソタ州セントポールのLion Precisionなどの容量プローブは、導電性ターゲットの位置または位置変化についての高解像度測定で広く用いられている。位置検知に共通する用途は、ロボット工学および精密部品の組立、回転部品および工具の運動解析、振動測定、厚さ測定、そして金属部品の有無が検出される組立検査である。容量は、コーティング、膜、液体などの非導電性材料のある特性を測定するのにも使用される。
【0030】
容量センサは、相互に近接している二つの導体の間に存在する静電容量の電気的性質を使用する。相互に分離している二つの導体に電圧が印加された場合には、導体表面に蓄積された電荷の差により、これらの間に電界が形成される。これらの間の空間の静電容量は、静電容量が高いと保持する電荷が多く、静電容量が低いと保持する電荷が少なくなるように電界に影響する。静電容量が多いほど、導体の電圧を変化させるのに必要な電流が多くなる。
【0031】
容量センサの金属検知表面は、導体の一つとして機能する。ターゲット(ヤンキードラム表面)は他の導体である。連続的に変化する電圧、例えば10kHz方形波を駆動電子機器がプローブに誘導し、結果的に必要な電流が測定される。プローブとターゲットとの間の静電容量が一定である場合、この電流測定値はこれらの間の距離と関連する。
【0032】
以下の関係が当てはまる。
【数1】
Cは静電容量(F,ファラド)、εは導体の間の間隙における材料の誘電性、Aはプローブ検知エリア、そしてdは間隙距離である。ε=εrε0のように、誘電性は材料の誘電率に比例し、εrは誘電率、ε0は真空誘電率である。空気についてはεr=1.006、水についてはεr=78である。
【0033】
どの二つのパラメータが一定に維持されるかに応じて、三番目はセンサの出力から判断される。位置の事例では、dは空気が通常は媒体である場合に測定される。ヤンキーシステムへの我々の適用では、全体間隙容積におけるεrの変動性が、測定されるパラメータである。この事例では、空気、繊維材料も含有する膜またはコーティング、そして水分の三つの主成分で間隙が構成される。混合物誘電率は次のように表される。
【数2】
φは、下付き文字を伴う体積分率で、下付き文字は構成材料を指す(a=空気、w=水、f=膜)。方程式1および2を用いると、水分の存在による静電容量の変化は次のように求められる。
【数3】
Cfwは水分を含有する膜の静電容量であり、Cfは乾燥膜である。対数を取って方程式3を整理すると、水分に対する体積分率の式は、次のようになる。
【数4】
ヤンキー膜を監視するため、容量プローブによって混合物静電容量Cfwが直接に測定される。水の温度依存誘電率は文献の値から求められる。次に、光センサを用いた膜厚測定から判断される乾燥膜の静電容量が分かり、膜の誘電率が分かれば、水分の体積分率が求められる。
【0034】
間隙容積の平均誘電率は、空気およびコーティングの誘電率に比例して構成される。間隙のコーティングが厚くなるほど平均誘電率が高くなる。dおよびAを制御することにより、いかなる感度および範囲も得ることができる。静電容量はコーティングの含水量に左右されるため、コーティング厚さの変動を含水量の変化と切り離すのは困難である。図10に示されたモジュールに一組のセンサ(EC、光学式変位、容量)を組み込むことにより、この情報は、膜厚を横方向に点検する手段、そしてコーティングの含水量に関する情報となる。ECセンサは、光学式変位および容量の両方で用いられるリアルタイム補正のための基本的な基準距離となる。静電容量は、光学プローブと比較してはるかに広いエリアを平均したものである。例えば、0.005mの間隙距離を用いる容量プローブは、直径19mmの検知プローブヘッドを用いるだろう。測定エリアは、プローブヘッドよりも30%広いだろう。一方、光学式変位プローブは、使用されるプローブに応じて20ミクロンから850ミクロンのエリアを測定する。光学プローブからの解像度測定値が高いと、コーティング表面のわずかな変動に影響を受けるだろう。しかし広いエリアでの光学プローブからの平均測定値は、静電容量と同じような結果をもたらす。コーティングの誘電率が分かっていると仮定すると、静電容量と光学プローブ示数との間の距離が膜の含水量に影響する。
【0035】
OMEGA(コネチカット州スタンフォード)モデルOS36−3−T−240Fなどの赤外線(IR)温度プローブは、クレーピングシリンダの温度プロフィールに関する有益な情報を提供する。PEMは温度に応じて異なる反応を示すので、シリンダに形成されるPEMの化学組成およびレベルを調節するのに温度情報が用いられる。
【0036】
一実施形態において、方法はさらに、(a)赤外線温度プローブを使用してクレーピングシリンダの温度プロフィールを測定することと、(b)赤外線温度プローブを使用して温度依存の水分誘電率を補正するのに必要なコーティング温度を測定することと、(c)補正後の水分誘電率を静電容量測定値に適用して正確なコーティング水分濃度を判断することとを包含する。
【0037】
センサモジュールに赤外線温度プローブを追加すると、クレープシリンダの温度プロフィールに関する情報が得られる。これは、クレープシリンダの温度不均一性を特定する際に有益である。加えて、コーティングの誘電率を補正するのに温度が使用される。例えば、水の誘電率は80.1(20℃)から55.3(100℃)まで変化する。
【0038】
監視方法論に超音波センサが組み込まれてもよい。
【0039】
一実施形態において、方法は、超音波センサを使用してコーティングのモジュラスを測定することをさらに包含し、コーティングの硬度を測定するのに任意でモジュラス値が使用される。
【0040】
コーティングの粘弾性を検出するのに超音波センサが使用される。膜における音波の伝搬(反射および減衰)は、硬質か軟質かなど膜の品質に左右される。スプレーレベルを制御するか、希釈レベルなどスプレー化学物質を調節して、膜の粘弾性を最適化するために、膜の性質に関する情報がスプレーシステムへのフィードバックに使用される。
【0041】
上記のように、厚さ測定に干渉計が利用されてもよい。本開示で説明されたものなどの他の解析技術が干渉方法とともに利用されてもよい。加えて、コーティングの厚さを測定するのに干渉計を利用する方法論とともに、示差法が用いられてもよい。
【0042】
一実施形態の方法では、コーティング厚さを監視するのに干渉計を使用する。コーティングが充分な透過性を持つ場合には、多数のセンサの使用を縮小して、図11に図示されたような単一プローブヘッドにすることができる。この事例では、光ファイバーケーブルによって光線がプローブへ運ばれる。膜の両側表面からの反射光線が集束されて、コーティング厚さ情報を抽出する処理のためファイバプローブへ戻される。集束光線の処理にはいくつかの異なる技術が用いられる。Scalar Technologies Ltd(英国、ウェスト・ロージアン、リビングストン)などの工業計器は、波長依存のフリンジパターンの測定に基づく分光干渉技術を用いる。フリンジの数は膜厚に左右される。代替的に、変形されたマイケルソン干渉計をベースとするLumetrics Inc.(ニューヨーク州ウェストヘンリエッタ)の器具は、各表面から得られた測定ピークの差に基づいて厚さを判断する。干渉プローブによるクレープシリンダのコーティングの監視は、図2に図示された箇所のいずれかで行われる。主な要件は、光線が内側表面つまり基板付近で反射するのに充分な透過性を膜が持つことである。干渉測定の独自特徴の一つは、コーティング層を測定する能力である。この性能は、図2に示された監視箇所3で利用される。この箇所では、コーティングは完全に乾燥しておらず、ウェブ、ドクターブレード、そしてクリーニングブレードと直接接触しているクレーピングシリンダにティッシュシートを付着させる圧力ロールによるものなどのプロセス妨害に影響されない。この箇所の干渉センサは、形成直後のコーティングの厚さを提供する。これは、妨害の前のコーティングの空間分布を知るのに役立つ。例えば、プロセス妨害の前後のコーティング厚さが分かると、スプレーシステムの非効率性、過剰な磨耗を受けているエリア、または他の動的変化を特定できる。
【0043】
上記のように、本開示の方法論では、クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおけるコーティングの形成速度を任意で調節して、このコーティングの厚さに応じて均一厚さのコーティングを設ける。様々なタイプの装置がこの作業を実行できる。
【0044】
一実施形態の方法では、正常運転状態で収集された測定値に基づいてスプレーゾーンを制御する。例えば、上記の単数または複数のセンサからの測定値は、クレープシリンダの基本プロフィールを確定するのに用いられる。基本データは次に、プロセス変動を追跡するのに用いられる。基本プロフィールデータ(膜厚、膜品質、水分レベル、粘弾性、温度など)を中心として確定される上下の制御リミットは、プロセス変動が発生する時を追跡するのに用いられる。プロセス監視パラメータのいずれかがリミットから外れた場合には、ゾーン制御スプレー塗布システムにより補正措置が取られる。
【0045】
別の実施形態では、複数の装置がヤンキードライヤ/クレーピングシリンダを横切って平行移動して、厚さおよび/または含水量および/または温度および/またはモジュラスのプロフィールを提供する。
【0046】
別の実施形態では、クレープブレードとクリーニングブレードとの間、クリーニングブレードの後、またはティッシュウェブがコーティングに押圧される前、または以上の組合せに、複数の装置が配置される。
【0047】
別の実施形態では、複数の装置がクリーンガスでパージされて、汚れ、ミスト干渉、ダスト干渉、過熱、またはその組合せを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)クレーピングシリンダ表面にコーティングを形成することと、
(b)示差法により前記クレーピングシリンダ表面の前記コーティングの厚さを測定することであって、前記コーティングと物理的に接触しない複数の装置を前記示差法が利用することと、
(c)前記クレーピングシリンダ表面に均一厚さコーティングを設けるように、前記コーティングの厚さに応じて前記クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおける前記コーティングの形成を任意で調節することと、
(d)追加デバイスを任意で使用して、クレーピングシリンダの前記コーティングの厚さを除く前記コーティングの他の面を監視して任意で制御することと、
を包含する、クレーピングシリンダ表面への性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法。
【請求項2】
利用される前記複数の装置の一つが渦電流センサである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記示差法が、前記渦電流センサを使用して前記センサから前記クレーピングシリンダの表面までの距離を測定するステップと、光学式変位センサを使用して前記コーティング表面から前記センサまでの距離を測定することとを包含する、請求項2の方法。
【請求項4】
前記光学式変位センサがレーザ三角測量センサまたは感色性共焦点センサである、請求項3の方法。
【請求項5】
容量プローブを使用して前記コーティングの含水量を測定することと、前記容量測定値を前記示差法測定値と比較して前記コーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、前記示差法により判断された厚さに対する水分の影響に応じて前記クレーピングシリンダ表面の前記コーティングの量および分布を任意で調節する、および/または前記コーティングの量を調節することとを付加的に包含する、請求項3の方法。
【請求項6】
a.赤外線温度プローブを使用して前記クレーピングシリンダの温度プロフィールを測定することと、
b.赤外線温度プローブを使用して、温度依存の水分誘電率を補正するのに必要なコーティング温度を測定することと、
c.正された前記水分誘電率を前記容量測定値に使用して正確なコーティング水分濃度を判断することと、
をさらに包含する、請求項5の方法。
【請求項7】
超音波センサを使用して前記コーティングのモジュラスを測定することをさらに包含する方法であり、前記コーティングの硬度を測定するのに前記モジュラス値が任意で用いられる、請求項1の方法。
【請求項8】
前記複数の装置が前記クレーピングシリンダを横切って平行移動して、厚さと、任意で含水量および/または温度および/またはモジュラスのプロフィールを提供する、請求項1の方法。
【請求項9】
前記クレープブレードと前記クリーニングブレードとの間、前記クリーニングブレードの後、ティッシュウェブが前記コーティングに押圧される前、または上記の組合せに前記複数の装置が配置される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記複数の装置がクリーンガスでパージされて、汚れ、ミスト干渉、ダスト干渉、過熱、または以上の組合せを防止する、請求項1の方法。
【請求項11】
(a)クレーピングシリンダ表面にコーティングを形成することと、
(b)前記クレーピングシリンダ表面のコーティングを適切に透過するソース波長を干渉計に設けることと、
(c)前記干渉プローブを使用して前記クレーピングシリンダのコーティング空気表面およびコーティングシリンダ表面からの反射光線を測定し、前記クレーピングシリンダの前記コーティングの厚さを判断することと、
(d)前記クレーピングシリンダ表面に均一厚さコーティングを設けるように、前記コーティングの厚さに応じて前記クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおける前記コーティングの形成を任意で調節することと、
(e)追加デバイスを任意で使用して、前記コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダの前記コーティングの他の面を監視して任意で制御することと、
を包含する、クレーピングシリンダの表面への性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法。
【請求項12】
水分センサを使用して前記コーティングの含水量を測定することと、前記水分センサ測定値を前記示差法測定値と比較して前記コーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、前記示差法により判断された厚さに対する水分の影響に応じて前記クレーピングシリンダ表面における前記コーティングの量および分布を任意で調節する、および/または前記コーティングの量を調節することとを付加的に包含し、前記水分センサが近赤外線波長で前記コーティングの成分を任意で測定する、請求項3の方法。
【請求項1】
(a)クレーピングシリンダ表面にコーティングを形成することと、
(b)示差法により前記クレーピングシリンダ表面の前記コーティングの厚さを測定することであって、前記コーティングと物理的に接触しない複数の装置を前記示差法が利用することと、
(c)前記クレーピングシリンダ表面に均一厚さコーティングを設けるように、前記コーティングの厚さに応じて前記クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおける前記コーティングの形成を任意で調節することと、
(d)追加デバイスを任意で使用して、クレーピングシリンダの前記コーティングの厚さを除く前記コーティングの他の面を監視して任意で制御することと、
を包含する、クレーピングシリンダ表面への性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法。
【請求項2】
利用される前記複数の装置の一つが渦電流センサである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記示差法が、前記渦電流センサを使用して前記センサから前記クレーピングシリンダの表面までの距離を測定するステップと、光学式変位センサを使用して前記コーティング表面から前記センサまでの距離を測定することとを包含する、請求項2の方法。
【請求項4】
前記光学式変位センサがレーザ三角測量センサまたは感色性共焦点センサである、請求項3の方法。
【請求項5】
容量プローブを使用して前記コーティングの含水量を測定することと、前記容量測定値を前記示差法測定値と比較して前記コーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、前記示差法により判断された厚さに対する水分の影響に応じて前記クレーピングシリンダ表面の前記コーティングの量および分布を任意で調節する、および/または前記コーティングの量を調節することとを付加的に包含する、請求項3の方法。
【請求項6】
a.赤外線温度プローブを使用して前記クレーピングシリンダの温度プロフィールを測定することと、
b.赤外線温度プローブを使用して、温度依存の水分誘電率を補正するのに必要なコーティング温度を測定することと、
c.正された前記水分誘電率を前記容量測定値に使用して正確なコーティング水分濃度を判断することと、
をさらに包含する、請求項5の方法。
【請求項7】
超音波センサを使用して前記コーティングのモジュラスを測定することをさらに包含する方法であり、前記コーティングの硬度を測定するのに前記モジュラス値が任意で用いられる、請求項1の方法。
【請求項8】
前記複数の装置が前記クレーピングシリンダを横切って平行移動して、厚さと、任意で含水量および/または温度および/またはモジュラスのプロフィールを提供する、請求項1の方法。
【請求項9】
前記クレープブレードと前記クリーニングブレードとの間、前記クリーニングブレードの後、ティッシュウェブが前記コーティングに押圧される前、または上記の組合せに前記複数の装置が配置される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記複数の装置がクリーンガスでパージされて、汚れ、ミスト干渉、ダスト干渉、過熱、または以上の組合せを防止する、請求項1の方法。
【請求項11】
(a)クレーピングシリンダ表面にコーティングを形成することと、
(b)前記クレーピングシリンダ表面のコーティングを適切に透過するソース波長を干渉計に設けることと、
(c)前記干渉プローブを使用して前記クレーピングシリンダのコーティング空気表面およびコーティングシリンダ表面からの反射光線を測定し、前記クレーピングシリンダの前記コーティングの厚さを判断することと、
(d)前記クレーピングシリンダ表面に均一厚さコーティングを設けるように、前記コーティングの厚さに応じて前記クレーピングシリンダの一つ以上の規定ゾーンにおける前記コーティングの形成を任意で調節することと、
(e)追加デバイスを任意で使用して、前記コーティングの厚さを除くクレーピングシリンダの前記コーティングの他の面を監視して任意で制御することと、
を包含する、クレーピングシリンダの表面への性能向上剤(PEM)含有コーティングの形成を監視して任意で制御する方法。
【請求項12】
水分センサを使用して前記コーティングの含水量を測定することと、前記水分センサ測定値を前記示差法測定値と比較して前記コーティング厚さに対する水分の影響を判断することと、前記示差法により判断された厚さに対する水分の影響に応じて前記クレーピングシリンダ表面における前記コーティングの量および分布を任意で調節する、および/または前記コーティングの量を調節することとを付加的に包含し、前記水分センサが近赤外線波長で前記コーティングの成分を任意で測定する、請求項3の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−505322(P2012−505322A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531139(P2011−531139)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059822
【国際公開番号】WO2010/042606
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059822
【国際公開番号】WO2010/042606
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】
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