クロストーク減衰を改善した通信ケーブル
本発明は、通信ケーブルの部品として使用されてクロストーク減衰を改善するバリアテープに関する。バリアテープには、不連続な導電セグメントからなる2以上のバリア層が設けられている。バリア層の導電セグメントは、別のバリア層における導電セグメント間にあるギャップと重なるように好ましくはサイズ付けされかつ形状付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年5月6日に出願された米国仮特許出願第61/034312号の利益を主張し、この出願のすべてが組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、通信ケーブル、より具体的には、このようなケーブルに付随するクロストークの減衰を強化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ネットワークがより複雑になっており、かつより高帯域のケーブル配線の必要性を有するにしたがって、ケーブル間のクロストーク(すなわち「エイリアンクロストーク(alien crosstalk)」)の減衰は、堅固かつ信頼性のある通信システムを提供するためにますます重要となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エイリアンクロストークは、主として、電磁結合ノイズであり、この電磁結合ノイズは、妨害されるケーブルに近接して延びる信号搬送ケーブルを原因として妨害されるケーブルに発生する。さらに、クロストークは、特定のケーブル内のツイステッドペア(twisted pair)間で発生し、これは、さらに通信システムの信頼性を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明は、エイリアンクロストークの減衰を強化する方法として、導電セグメントを有する複数の材料層を用いることに関する。一形態において、本発明は、2層化された金属パターンフィルム(すなわちバリアテープ)であって高性能な10Gb/s(ギガビット/秒)の非シールド型ツイステッドペア(UTP:unshielded twisted pair)ケーブルにおけるワイヤペアの周囲に巻き付けられたフィルムを備える。一般的には、本発明は、(TIA/EIA規格)カテゴリ5e、カテゴリ6、カテゴリ6A、カテゴリ7のような高周波数または低周波数の通信ケーブル、並びに、40Gb/s及び100Gb/sのようなさらに高周波数すなわち高ビットレートの用途に使用される銅ケーブル配線において使用される。層内の導電セグメントは、一方の層におけるギャップが隣接する層の導電セグメントでほぼ覆われるように位置付けられている。導電セグメント間のギャップが導電材料からの電磁エネルギーの放出を低減しかつ放射された電磁エネルギーに対して導電材料が影響を受けやすくなることを低減しながら、複数層は、クロストークを低減する。本発明は、従来のUTPケーブルにおける欠点を解決し、ケーブル間クロストークまたは他のタイプのクロストークを低減する。本発明の形態は、UTPケーブルに加えて他のタイプのケーブルに適用されてもよい。
【0006】
本発明の理解を容易にする目的で、添付の図面及び説明は、本発明の実施形態を示しており、本発明、構造、構成及び動作並びにさまざまな関連する有利点は、これら添付の図面及び説明から迅速に理解されかつ評価される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明における複数の通信ケーブルを有する通信システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の通信ケーブルの1つを示す断面図である。
【図3】本発明におけるかつ図1及び図2のケーブルにおいて使用されるバリアテープの実施形態を示す部分平面図である。
【図4】図3のバリアテープを示す図3の線4−4に沿う断面図である。
【図5】2つの従来のケーブルにおける寄生容量モデルの長手方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態における2つのケーブルにおける寄生容量モデルの長手方向断面図である。
【図7】2つの従来のケーブルにおける寄生インダクタモデルの長手方向断面図である。
【図8】本発明の実施形態における2つのケーブルにおける寄生インダクタモデルの長手方向断面図である。
【図9】ケーブルに導入されたスパイラル性質のバリアテープを示す、図1のケーブルの実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明におけるバリアテープであって絶縁基材にある3層のパターン化された不連続な導電材料の形態をなすバリアテープの実施形態を示す部分平面図である。
【図11】本発明のバリアテープの別の実施形態を示す部分平面図である。
【図12】図11のバリアテープを示す図11の線12−12に沿う断面図である。
【図13】本発明の一実施形態におけるケーブルであって別法のツイステッドペアディバイダを有するケーブルを示す断面図である。
【図14】本発明の別の実施形態におけるケーブルであって別法のツイステッドペアディバイダを有するケーブルを示す断面図である。
【図15】絶縁層としてエンボスフィルムを組み込んだケーブルを示す断面図である。
【図16】ツイステッドペアセパレータとして及び絶縁層としてエンボスフィルムを組み込んだケーブルを示す断面図である。
【図17】エンボスフィルムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、図面、より具体的には図1を参照すると、通信システム20が示されており、この通信システムは、機器24に接続された少なくとも1つの通信ケーブル22を有する。機器24は、図1においてパッチパネルとして示されているが、この機器は、受動的な機器または能動的な機器であってもよい。受動的な機器の例としては、限定しないが、モジューラ型パッチパネル、パンチダウン型パッチパネル、カプラ型パッチパネル、ウォールジャックなどを含んでもよい。能動的な機器の例としては、限定しないが、データセンター/電気通信室で見られるイーサネット(登録商標)スイッチ、ルータ、サーバ、物理層管理システム及びパワーオーバーイーサネット(power-over-Ethernet、登録商標)機器;セキュリティデバイス(カメラ及び他のセンサなど);並びにワークステーション領域で見られる電話、コンピュータ、ファックス機械、プリンタ及び他の周辺機器、を含んでもよい。通信システム20は、例えばキャビネット、ラック、ケーブルマネージメント及びオーバーヘッドルーティングシステムをさらに備える。
【0009】
通信ケーブル22は、図2に示すように、非シールド型ツイステッドペア(UTP)ケーブル、より具体的には10Gb/sで動作するカテゴリ6Aのケーブルの形態をなしており、この通信ケーブルは、以下で詳述する。しかしながら、本発明は、すでに記載されているように、さまざまな通信ケーブル及び他のタイプのケーブルに適用されかつ/またはさまざまな通信ケーブル及び他のタイプのケーブルにおいて実施されてもよい。ケーブル22は、機器24に直接終端されている、あるいは、RJ45タイプ、ジャックモジュールカセット、インフィニバンドコネクタ(Infiniband connector)、RJ21、及びさまざまな他のコネクタ型、またはこれらの組み合わせのような、さまざまなプラグ25またはジャックモジュール27に終端されている。さらに、ケーブル22は、ケーブルのルーム(loom)または束に加工され、さらに終端される前のルームに加工されてもよい。
【0010】
本発明がこのような用途に限定されないが、通信ケーブル22は、パッチコード、基幹回線のケーブル配線及び水平ケーブル配線を含むさまざまな構造化されたケーブル配線用途で使用されてもよい。一般的には、本発明は、軍事用、産業用、電気通信用、コンピュータ、データ通信及び他のケーブル配線用途で使用される。
【0011】
より具体的に図2を参照すると、ケーブル22の横断面が示されている。ケーブル22は、4つのツイステッドワイヤペア26からなる内側コア23を有しており、このツイステッドワイヤペアは、一般的には、十字ウェブ28によって分離されている。内側絶縁層30(例えばプラスチック絶縁テープまたは例えば10ミル(0.254mm)厚さの内側絶縁ジャケット材料などの押出絶縁層)は、ワイヤペア26と十字ウェブ28とを囲んでいる。バリアテープ32を巻き付けることによって、内側絶縁層30を囲んでいる。バリアテープ32は、内側絶縁層30の周囲を螺旋状に巻き付けられている。また、ケーブル22は、外側絶縁ジャケット33を有している。バリアテープ32は、図2において単純化のために縮約版で示されており、この図2は、絶縁基材42と、導電セグメント34及び38と、のみを示している。また、図3及び図4を参照すると、以下で詳述するように、バリアテープ32は、ギャップ36によって離間された導電セグメント34を備える(図2において内側バリア層として示される)第1バリア層35と;セグメント38の導電材料にあるギャップ40によって離間された導電セグメント38を備える(図2において外側バリア層として示される)第2バリア層37と;第2導電層の導電セグメント38及びギャップ40から第1導電層の導電セグメント34及びギャップ36を離間させる絶縁基材42と;を有している。第1及び第2バリア層、より具体的には導電セグメント34及び導電セグメント38は、ケーブル内で交互に配置されており、外側バリア層のギャップ40は、内側導電層の導電セグメント34と一致している。バリアテープ32は、内側絶縁層30の周囲を螺旋状またはスパイラル状に巻き付けられている。あるいは、バリアテープは、螺旋状でない方法(例えば巻きタバコ状または長手方向様式など)で内側絶縁層の周囲に付けられてもよい。
【0012】
外側絶縁ジャケット33は、15ミル(0.381mm)厚さであってもよい(が、他の厚さも可能である)。ケーブル22の全体の直径は、例えば300ミル(7.32mm)未満であるが、他の厚さは、可能である。
【0013】
図3は、絶縁基材にあるパターン化された導電セグメントを示すバリアテープ32の平面図であり、不連続な導電材料からなる2つのバリア層35及び37が使用されている。導電セグメント34及び38は、下層にある基材42の長手方向及び横方向の双方に沿う一連のモザイクとして配置されている。説明するように、パターン化された導電セグメントからなる複数のバリア層を使用することで、ケーブルが隣接するケーブルに結合することを効果的に低減することによって、及び、他のケーブルから結合することに対するバリアを形成することによって、エイリアンクロストークの減衰を強化させることが容易になる。導電セグメント34及び38が不連続である性質は、バリア層35及び37からの放射を低減するまたは消滅させる。図示された実施形態において、2層化されたグリッド状の金属パターンは、バリアテープ32に組み込まれており、このバリアテープは、例えば高性能な10Gb/sのケーブルにおけるツイステッドワイヤペア26の周囲をスパイラル状に巻き付く。パターンは、バリア層の導電セグメントが隣接するバリア層からギャップ36、40と重なり合うように選択されている。図3及び図4において、例えば、頂部及び底部バリア層35及び37は、一連の(丸角部を有する)約330ミル(8.38mm)×330ミルの正方形であって正方形間に60ミル(1.52mm)のギャップサイズ44を有する正方形として配置された導電セグメントを有する。一実施形態において、丸角部には、約1/32インチ(0.794mm)の半径が形成されている。
【0014】
上側バリア層35を参照すると、任意の導電材料からなる単一の層の性能は、不連続なパターンのギャップと不連続なセグメントからなる長手方向長さ46とに依存し、また、導電セグメントの横方向長さに少なくともいくらか依存する。一般的には、ギャップサイズ44が短いほどかつ長手方向長さ46が長いほど、ケーブル間のクロストークの減衰は、良好になる。しかしながら、長手方向パターン46が長すぎる場合、不連続な導電材料層は、放射し、適切な周波数帯域において電磁エネルギーの影響を受けやすくなる。1つの解決法は、長手方向のパターン長さが囲まれたケーブル内のツイステッドワイヤペアにおける平均ペアレイ(pair lay)よりも大きいがワイヤペアにわたって伝送される最も高周波数の信号の波長の1/4よりも小さくなるように長手方向のパターン長さ46を設計することである。ペアレイは、ツイステッドワイヤペアの1つの完全な捩れ長さに等しい。
【0015】
高性能ケーブル(例えば10Gb/s)について、典型的なツイスト長さ(すなわちペアレイ)は、0.8cmから1.3cmの範囲にある。したがって、導電セグメント長さは、500MHzの周波数で使用するために適用されたケーブルについて、主として、約1.3cmから約10cmの範囲内にある。より高周波数またはより低周波数において、長さは、それぞれより短くまたはより長く変化する。
【0016】
さらに、500MHzの周波数を有する信号について、波長は、伝搬速度が20cm/nsの場合に、約40cmである。この波長において、バリア層の導電セグメントの長さは、10cm未満(すなわち波長の1/4)であり、導電セグメントが電磁エネルギーを放射することを防止する。
【0017】
同様に、ワイヤペアがケーブルのコア内で捩るにしたがって導電セグメントの横方向長さ48がツイステッドワイヤペアを「覆う」ことは望ましい。すなわち、導電セグメントの横方向長さ48がケーブルの中心から径方向外側にツイステッドペア上に重なるのに十分な幅であることは望ましい。一般的には、横方向幅48が広いほど、ケーブル間のクロストークの減衰は良好になる。バリアテープ32がケーブルのツイストレート(twist rate)とほぼ同一レートでケーブルのコアの周囲に螺旋状に巻き付けられることは、さらに望ましい。高性能ケーブル(例えば10Gb/s)について、典型的なケーブルのストランドレイ(すなわちケーブルのコアのツイストレート)は、約6cmから約12cmの範囲にある。本発明におけるバリアテープがケーブルのストランドレイと同一レート(すなわち、1つの完全な巻回が約6cmから約12cmの範囲にある)で巻回されることは、好ましい。しかしながら、本発明は、この巻回長さの範囲に限定されず、より長いまたはより短い巻回長さを使用してもよい。
【0018】
不連続な導電セグメントからなるバリアテープにおける高成長用途は、ケーブル間クロストークの減衰を増大させるために1以上の導電バリア層に使用することである。複数層のバリアについて、バリア層は、基材によって離間されており、層は、互いに直接電気的に接続していない。2つのバリア層35及び37を示しているが、本発明は、単一のバリア層、または3以上のバリア層を有してもよい(例えば図10参照)。
【0019】
図4は、2つのバリア層35及び37を採用したように、バリアテープ32の断面図をより詳細に示している。各バリア層は、基材50と、導電セグメント34または38と、を有している。基材50は、絶縁材料であり、例えば約0.7ミル(17.8μm)厚さである。導電セグメントからなる層は、例えば丸角部を有する正方形であって約0.35ミル(8.89μm)の厚さを有するアルミニウムからなる正方形の平面形状を含んでいる。本発明の他の実施形態において、導電セグメントは、等辺もしくは不等辺多角形、他の不等辺多角形、湾曲した閉形状、導電材料の割目によって形成された分離領域、及び/または上記の組み合わせのようなさまざまな形状で形成されてもよい。銅、金またはニッケルのような他の導電材料を導電セグメントとして使用してもよい。半導体材料を同様にこれら領域に使用してもよい。絶縁基材の材料の例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド及び他の材料を含む。
【0020】
導電セグメント34及び38は、スプレー状接着剤層52を介して共通の絶縁基材42に取り付けられている。例えば、スプレー状接着剤層52は、0.5ミル(12.7μm)の厚さであり、共通の絶縁基材層42は、1.5ミル(38.1μm)の厚さである。図示された例の層の厚さを考えると、図4のバリアテープ32の全体厚さは、約4.6ミル(0.117mm)である。理解すべきことは、さまざまな材料厚さをさまざまな層に適用してもよいことである。いくつかの実施形態において、望ましいことは、導電セグメント34及び38からなる2つの層間の距離がこれら層間の容量を低減するように小さいことである。
【0021】
バリア材料として複数層の不連続な導電材料を使用する場合、層間のギャップの被覆率は、ケーブル間のクロストークを減少させることを補助する。これは、ケーブル間の容量性及び導電性結合を試験することによって最も理解される。
【0022】
図5は、2つの従来技術のケーブル401及び402における寄生容量結合モデルを示している。ここで、2つのケーブル401及び402は、標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ54(ペアレイ)の2つのツイストペアからなるワイヤ403間のケーブル間クロストークを減衰させる方法として絶縁ジャケット404を採用している。結果として生じる寄生容量結合は、モデル化された容量405から4−8によって示されるように、著しいケーブル間のクロストークを形成する。容量405から408が図5のモデルのために集中容量成分として示されているが、これらは、実際には、分散型容量である。
【0023】
対照的に、図6は、本発明におけるバリア技術を用いた2つのケーブル22a及び22bの寄生容量結合を示している。全体的な効果が分散型容量に起因するが、集中容量成分のモデルは、分散型寄生容量結合を示す目的で示されている。ツイステッドペア26aにおける第1及び第2ツイステッドワイヤ101及び102は、差分信号を搬送し、逆極性を有するようにモデル化されている。第1ワイヤ101によって搬送される「正」極性信号と第2ワイヤ102によって搬送される「負」極性信号とは、ほぼ等しく導電セグメント34aと結合する。この結合は、容量504及び505によってモデル化されている。その結果、ツイステッドペア26から導電セグメント34aに微小なネット電荷(net charge)が容量結合され、無視可能な電位をもたらす。導電セグメント34aに結合された小さい電荷は、モデル化された容量506及び507を介してケーブル22aの外側バリア層にある導電セグメント38a及び38bに結合することによって、さらに分散される。導電セグメント38a及び38bが同様にさらなる内側導電セグメント34b及び34cと容量結合するので、容量結合量は、ツイステッドワイヤ101及び102の逆極性に起因した打消し効果によって、さらに軽減される。同様の打ち消し効果は、さらなるモデル化された容量508から513にわたって行われ、第1ケーブル22aのツイステッドペア26aと第2ケーブル22bのツイステッドペア26bとの間における全体の容量結合は、従来技術のシステムと比較して著しく減少される。バリアテープにおける2つのバリア層にあるギャップ36及び40からなる間隔は、ケーブル間の直接的な容量結合の機会を大きく減少させる。
【0024】
インダクタのモデル化を参照すると、図7は、2つの従来技術のケーブルにおける寄生分散型インダクタモデルを示している。図7及び図8において、導電体中の電流は、磁界を生成し、導電体の分散型インダクタンスは、結果として矢印に示すように結合する。図示を目的として、具体的な磁界の領域は、矢印で示されているが、磁界は、実際には、図示された領域全体にわたって分散している。ここで、ケーブル601及び602の双方は、標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ54(ペアレイ)からなる2つのツイステッドペア間のケーブル間クロストークを減衰させる方法として絶縁ジャケット604のみを採用している。符号606から609でモデル化された結果として生じる寄生インダクタ結合は、著しいケーブル間クロストークを生成する。
【0025】
図8は、本発明によって提案されたバリア技術を用いて2つのケーブルのインダクタモデルを示している。2つのツイステッドワイヤのケーブル22a及び22bそれぞれは、従来技術のモデルのように、ツイステッドペア26a及び26bと、同一の標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ56(ペアレイ)と、を有している。しかしながら、2つのケーブル22a及び22bは、バリアテープ32で保護されている。バリア層35及び37は、それぞれ導電材料にあるギャップ36及び40を有しており、導電材料セグメント34及び38が放射することを防止する。導電セグメントは、ケーブル内で交互に配置されており、導電材料にあるほとんどのギャップは、隣接する層における導電セグメントと一致している。
【0026】
磁界は、ツイステッドワイヤペア26aによって第1ケーブル22a内に誘導される。しかしながら、磁界がバリアテープ32の内側バリア層を通過するにしたがって、磁界は、導電セグメントに渦電流を形成し、磁気結合710及び711の程度を減少させ、ケーブル間クロストークを減少させる。しかしながら、バリア層35及び37にギャップ36及び40が必要である結果として、磁界の一部は、境界またはギャップの近傍を通過する。渦電流が境界またはギャップの近傍で強く引き起こされないので、これら領域を通過する磁界の低減を小さくさせる。
【0027】
1つの解決法は、先と同様に、複数のバリア層35及び37を用いることであり、一方の層内のギャップは、隣接する層から導電材料によって覆われる。第2ケーブル22bは、内側導電層35にあるギャップ36を覆う外側バリア層(特に導電セグメント38)を示している。上述のように、導電層35及び37を通過する磁界は、渦電流が境界またはギャップ36及び40の近傍で強く誘導されないので、エネルギーをあまり損失しない。しかしながら、内側導電層35にあるギャップ36が外側バリア層から導電セグメントによって覆われることを確実にすることによって、内側バリア層を通過する磁界は、外側バリア層を通過する一方で、より強い渦電流を形成し、したがって、磁界のエネルギーを減少させ、ケーブル間クロストークを減少させる。したがって、望ましいことは、バリア層のギャップ36及び40を配置して隣接するバリア層から導電セグメントと位置合せすることであるが、バリア層の一部のギャップは、本発明におけるケーブル間クロストークの減衰に著しい影響を及ぼすことなく覆われないままとしてもよい。
【0028】
図9は、バリアテープ32がケーブル22の絶縁層30と外側ジャケット33との間でスパイラル状に巻き付けられているかを示している。あるいは、バリアテープは、螺旋状でない方法(例えば巻きタバコ状または長手方向様式など)で内側絶縁層の周囲に付けられてもよい。望ましいことは、バリアテープ32の螺旋状の巻回がケーブル22のコアレイ長さとほぼ等しい巻付レート(すなわち、ケーブルのツイステッドペア26が互いに周囲に巻き付けるレート)を有することである。しかしながら、いくつかの実施形態において、バリアテープ32の螺旋状の巻回は、ケーブルコアのレイ長さよりも大きいまたは小さい巻付レートを有してもよい。
【0029】
図10は、本発明における他の実施形態におけるバリアテープ60を示しており、このバリアテープは、導電セグメント62を有する第3導電層を有しており、特にギャップ64を被覆する。バリアテープ60は、図4に示す構造と同様の構造を有しているが、追加のバリア層と介在基材と接着層とを有しており、導電セグメント62は、図示するように、ギャップ64と重なる。本発明は、図示された実施形態に限定されず、バリアテープにおいて単一のバリア層または4以上のバリア層を有する実施形態を含む。
【0030】
図11は、本発明における別の実施形態におけるバリアテープ80を示している。バリアテープ80は、バリアテープ80に上側及び下側の長方形の導電セグメント82及び83が設けられている点を除いて、図示されかつ上述したバリアテープ32と同様である。各層にある長方形セグメントは、ギャップ84によって離間されている。長方形の導電セグメント82及び83は、長手方向長さ86及び横方向幅88を有している。一実施形態において、長方形の導電セグメントそれぞれにおける長手方向長さ86は、約822ミル(20.9mm)であり、横方向幅88は、約332ミル(8.43mm)である。この実施形態において、ギャップ84は、約60ミルの幅である。導電セグメントの形状及びサイズを変更するにしたがって、ギャップ幅も変更してもよい。例えば、ギャップは、55ミル(1.40mm)または他の幅であってもよい。一般的には、ギャップ幅に対する導電セグメントの長手方向長さの比率を高くするほど、クロストークの減衰が良好になる。しかしながら、さまざまな寸法を、ケーブルの所望の性能特性に応じて設けてもよい。長方形の導電セグメント82には、丸角部90が設けられており、図示された実施形態において、丸角部90は、約1/32インチの半径を有している。
【0031】
鋭い角部を使用した場合に生じることがある望まない電界効果の可能性を低減するために、本発明における導電セグメントに湾曲角部を設けることは、望ましい。本発明におけるいくつかの実施形態において、10ミル(0.254mm)から約500ミル(12.7mm)の範囲にある半径を有する湾曲角部は、好ましいが、より大きいまたはより小さい半径は、特定の実施形態において有益である。
【0032】
図12は、図11の線12−12に沿うバリアテープ80の断面図である。バリアテープ80は、絶縁基材92と、長方形の導電セグメント82及び83を有する上側及び下側バリア層91及び93と、を備えている。長方形の導電セグメント82及び83は、スプレー状接着剤層94によって基材92に取り付けられており、他の基材層96に隣接している。一実施形態において、絶縁基材92は、約1.5ミル(38.1μm)の厚さを有しており、スプレー状接着剤層94は、約0.5ミルの厚さを有しており、導電セグメント82及び83は、約1ミル(25.4μm)の厚さを有しており、他の基材層86は、約1ミルの厚さを有している。他の厚さを、バリアテープ80の所望の物理的及び性能的な品質に応じて層について使用してもよい。
【0033】
図13は、代替のツイステッドペアディバイダ112を有するケーブル110を示す断面図である。ツイステッドペアディバイダ112は、径方向十字ウェブ部材114を有しており、この径方向十字ウェブ部材は、ディバイダ112の中央部116から周辺十字ウェブ部材118まで外方に延在している。ケーブル110のツイステッドペア120は、径方向及び周辺十字ウェブ部材114及び118によって区画された開口領域112内に収容されている。周辺十字ウェブ部材118は、図2における層30と同様の内側絶縁層として機能する。ツイステッドペアディバイダ112は、上述したバリアテープ32、60及び80と同様の導電セグメントを備えるバリア層を組み込んでいる。
【0034】
図14は、代替のツイステッドペアディバイダ126を有する別のケーブル124を示す断面図である。ツイステッドペアディバイダ126は、径方向十字ウェブ部材128を有しており、この径方向十字ウェブ部材は、ディバイダ126の中央部130から延在し、短縮型周辺十字ウェブ部材132で終端している。ケーブル124のツイステッドペア134は、径方向及び短縮型周辺十字ウェブ部材126及び132によって区画された開口領域136内に収容されている。ツイステッドペアディバイダ126は、上述したバリアテープ32、60及び80と同様の導電セグメントを備えるバリア層を組み込んでいる。
【0035】
図15は、ツイステッドワイヤペア26とバリアテープ32との間の絶縁層としてエンボスフィルム132を有する別のケーブル130を示す断面図である。いくつかの実施形態において、エンボスフィルム132は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはフッ素化エチレンプロピレン(FEP)から形成されたエンボステープの形態をなしている。いくつかの実施形態において、エンボスフィルム132は、発泡ポリエチレンまたはポリプロピレンからなるエンボス層で形成されている。非発泡性の耐火性ポリエチレンをベース材料として使用してもよい。フィルム132をエンボス加工することは、フィルムのベース材料の厚さよりも大きい厚さを有する絶縁層を形成する。これは、エンボス加工されていない中実または発泡性のフィルムよりも大きい単位質量あたりの層厚を形成する。エンボス加工によって層により多くの空気を取り入れることは、層の低い全体的な誘電率が高誘電率を有する材料の厚い層と同様のレベルの性能を可能とするので、結果として得られる層の誘電率を低下させ、全体的に低いケーブル直径を可能とする。エンボスフィルムを用いることは、ケーブルの固形物量を低減することによりケーブル全体のコストを削減し、また、中実の絶縁層を使用した場合よりもケーブルに設けられる可燃物質量が小さいので、ケーブルの燃焼性能を改善する。絶縁層としてエンボスフィルムを用いることによって、ケーブルの挿入損失性能が改善されることが見出されている。本発明における絶縁層は、ケーブルコアの周囲にスパイラル状または別の方法で巻き付けられてもよい。
【0036】
図16は、ケーブル134を示す断面図であり、このケーブルは、ツイステッドペア26とバリアテープ32との間の絶縁層としてのエンボスフィルム132を有し、また、個別のツイステッドペア26間のセパレータとしてのエンボスフィルムを有している。図16に示すセパレータは、中央直線状セパレータ136と、一対の湾曲セパレータ138と、を有する。ツイステッドペア間のセパレータとしてエンボスフィルムを用いることは、上述のように、絶縁層としてエンボスフィルムを用いることのようなさまざまな同一の有利点を有する。
【0037】
図17は、一実施形態におけるエンボスフィルム132を示す平面図である。同様に、図17には、詳細側面図Sを示している。図17に示す実施形態において、エンボスフィルム132は、発泡性のまたは非発泡性のポリエチレンまたはポリプロピレンのようなベース材料においてエンボス加工された正方形140の繰り返しパターンの形態をなしている。好ましい実施形態において、発泡性ポリマーフィルム材料を使用する。エンボスフィルム132のアスペクト比は、エンボスフィルムの実効厚さteとベース材料の厚さtbと間の比率である。アスペクト比は、例えば、エンボスフィルムについてベース材料厚さが3ミル(76.2μm)かつ実効厚さが15ミル(0.381mm)の状態において、5までであり、いくつかの実施形態において使用される。他の実用的な比率は、ベース材料厚さが3ミルかつ実効厚さが14ミル、ベース材料厚さが5ミル(0.127mm)かつ実効厚さが15ミルである。いくつかの実施形態において、1.5ミル(38.1μm)から7ミルの間にあるベース材料は、8ミル(0.203mm)から20ミル(0.508mm)の実効厚さにエンボス加工される。エンボス加工された正方形140が図17に示されているが、パターン化されたエンボス加工を用いることを含んで、フィルム132の長さにわたってさまざまな形状の組み合わせのような他の形状を使用してもよい。
【0038】
本発明におけるバリアテープは、ケーブル内において、スパイラル状や別の方法で個別のツイステッドペアに巻き付けられてもよく、ツイステッドペア間のクロストーク減衰を改善する。さらに、本発明におけるバリア層は、絶縁体層、外側絶縁ジャケットまたはツイステッドペアディバイダ構造体を含むケーブル内でさまざまな構造体と組み合わされてもよい。
【0039】
上述から分かるように、ケーブルの性能を改善するために、ケーブル間クロストークの減衰を増大させる機能が提供される。本発明の具体的な実施形態が示されかつ説明されたが、本発明の幅広い態様において本発明から逸脱することなく変更及び改良がなされることは、当業者に明らかである。したがって、目的は、本発明の精神及び範囲内に含まれるようにすべてのこのような変更及び改良に及ぶことである。上記記載及び添付の図面において説明した問題は、例示のみを目的としており、限定でない。
【符号の説明】
【0040】
22,22a,22b,110,124,130,134 ケーブル,通信ケーブル、26,26a,26b,120,134 ツイステッドペア,ツイステッドワイヤペア、30 層,絶縁層,内側絶縁層、32,60,80 バリアテープ、33 外側ジャケット,外側絶縁ジャケット、34,34a,62,82 導電セグメント,導電材料セグメント、34b 内側導電セグメント、35 第1バリア層,上側バリア層,導電層,内側導電層、36,40,64,84 ギャップ、37 第2バリア層,導電層,底部バリア層、38,38a,38b セグメント,導電セグメント、42,50,86,92,96 基材,絶縁基材,基材層,絶縁基材層、90 丸角部、91 下側バリア層、101 ワイヤ,第1ツイステッドワイヤ、102 ワイヤ,第2ツイステッドワイヤ、112,126 ディバイダ,ツイステッドペアディバイダ、132 フィルム,エンボスフィルム、136 中央直線状セパレータ(ペアセパレータ)、138 湾曲セパレータ(ペアセパレータ)
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年5月6日に出願された米国仮特許出願第61/034312号の利益を主張し、この出願のすべてが組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、通信ケーブル、より具体的には、このようなケーブルに付随するクロストークの減衰を強化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ネットワークがより複雑になっており、かつより高帯域のケーブル配線の必要性を有するにしたがって、ケーブル間のクロストーク(すなわち「エイリアンクロストーク(alien crosstalk)」)の減衰は、堅固かつ信頼性のある通信システムを提供するためにますます重要となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エイリアンクロストークは、主として、電磁結合ノイズであり、この電磁結合ノイズは、妨害されるケーブルに近接して延びる信号搬送ケーブルを原因として妨害されるケーブルに発生する。さらに、クロストークは、特定のケーブル内のツイステッドペア(twisted pair)間で発生し、これは、さらに通信システムの信頼性を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明は、エイリアンクロストークの減衰を強化する方法として、導電セグメントを有する複数の材料層を用いることに関する。一形態において、本発明は、2層化された金属パターンフィルム(すなわちバリアテープ)であって高性能な10Gb/s(ギガビット/秒)の非シールド型ツイステッドペア(UTP:unshielded twisted pair)ケーブルにおけるワイヤペアの周囲に巻き付けられたフィルムを備える。一般的には、本発明は、(TIA/EIA規格)カテゴリ5e、カテゴリ6、カテゴリ6A、カテゴリ7のような高周波数または低周波数の通信ケーブル、並びに、40Gb/s及び100Gb/sのようなさらに高周波数すなわち高ビットレートの用途に使用される銅ケーブル配線において使用される。層内の導電セグメントは、一方の層におけるギャップが隣接する層の導電セグメントでほぼ覆われるように位置付けられている。導電セグメント間のギャップが導電材料からの電磁エネルギーの放出を低減しかつ放射された電磁エネルギーに対して導電材料が影響を受けやすくなることを低減しながら、複数層は、クロストークを低減する。本発明は、従来のUTPケーブルにおける欠点を解決し、ケーブル間クロストークまたは他のタイプのクロストークを低減する。本発明の形態は、UTPケーブルに加えて他のタイプのケーブルに適用されてもよい。
【0006】
本発明の理解を容易にする目的で、添付の図面及び説明は、本発明の実施形態を示しており、本発明、構造、構成及び動作並びにさまざまな関連する有利点は、これら添付の図面及び説明から迅速に理解されかつ評価される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明における複数の通信ケーブルを有する通信システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の通信ケーブルの1つを示す断面図である。
【図3】本発明におけるかつ図1及び図2のケーブルにおいて使用されるバリアテープの実施形態を示す部分平面図である。
【図4】図3のバリアテープを示す図3の線4−4に沿う断面図である。
【図5】2つの従来のケーブルにおける寄生容量モデルの長手方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態における2つのケーブルにおける寄生容量モデルの長手方向断面図である。
【図7】2つの従来のケーブルにおける寄生インダクタモデルの長手方向断面図である。
【図8】本発明の実施形態における2つのケーブルにおける寄生インダクタモデルの長手方向断面図である。
【図9】ケーブルに導入されたスパイラル性質のバリアテープを示す、図1のケーブルの実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明におけるバリアテープであって絶縁基材にある3層のパターン化された不連続な導電材料の形態をなすバリアテープの実施形態を示す部分平面図である。
【図11】本発明のバリアテープの別の実施形態を示す部分平面図である。
【図12】図11のバリアテープを示す図11の線12−12に沿う断面図である。
【図13】本発明の一実施形態におけるケーブルであって別法のツイステッドペアディバイダを有するケーブルを示す断面図である。
【図14】本発明の別の実施形態におけるケーブルであって別法のツイステッドペアディバイダを有するケーブルを示す断面図である。
【図15】絶縁層としてエンボスフィルムを組み込んだケーブルを示す断面図である。
【図16】ツイステッドペアセパレータとして及び絶縁層としてエンボスフィルムを組み込んだケーブルを示す断面図である。
【図17】エンボスフィルムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、図面、より具体的には図1を参照すると、通信システム20が示されており、この通信システムは、機器24に接続された少なくとも1つの通信ケーブル22を有する。機器24は、図1においてパッチパネルとして示されているが、この機器は、受動的な機器または能動的な機器であってもよい。受動的な機器の例としては、限定しないが、モジューラ型パッチパネル、パンチダウン型パッチパネル、カプラ型パッチパネル、ウォールジャックなどを含んでもよい。能動的な機器の例としては、限定しないが、データセンター/電気通信室で見られるイーサネット(登録商標)スイッチ、ルータ、サーバ、物理層管理システム及びパワーオーバーイーサネット(power-over-Ethernet、登録商標)機器;セキュリティデバイス(カメラ及び他のセンサなど);並びにワークステーション領域で見られる電話、コンピュータ、ファックス機械、プリンタ及び他の周辺機器、を含んでもよい。通信システム20は、例えばキャビネット、ラック、ケーブルマネージメント及びオーバーヘッドルーティングシステムをさらに備える。
【0009】
通信ケーブル22は、図2に示すように、非シールド型ツイステッドペア(UTP)ケーブル、より具体的には10Gb/sで動作するカテゴリ6Aのケーブルの形態をなしており、この通信ケーブルは、以下で詳述する。しかしながら、本発明は、すでに記載されているように、さまざまな通信ケーブル及び他のタイプのケーブルに適用されかつ/またはさまざまな通信ケーブル及び他のタイプのケーブルにおいて実施されてもよい。ケーブル22は、機器24に直接終端されている、あるいは、RJ45タイプ、ジャックモジュールカセット、インフィニバンドコネクタ(Infiniband connector)、RJ21、及びさまざまな他のコネクタ型、またはこれらの組み合わせのような、さまざまなプラグ25またはジャックモジュール27に終端されている。さらに、ケーブル22は、ケーブルのルーム(loom)または束に加工され、さらに終端される前のルームに加工されてもよい。
【0010】
本発明がこのような用途に限定されないが、通信ケーブル22は、パッチコード、基幹回線のケーブル配線及び水平ケーブル配線を含むさまざまな構造化されたケーブル配線用途で使用されてもよい。一般的には、本発明は、軍事用、産業用、電気通信用、コンピュータ、データ通信及び他のケーブル配線用途で使用される。
【0011】
より具体的に図2を参照すると、ケーブル22の横断面が示されている。ケーブル22は、4つのツイステッドワイヤペア26からなる内側コア23を有しており、このツイステッドワイヤペアは、一般的には、十字ウェブ28によって分離されている。内側絶縁層30(例えばプラスチック絶縁テープまたは例えば10ミル(0.254mm)厚さの内側絶縁ジャケット材料などの押出絶縁層)は、ワイヤペア26と十字ウェブ28とを囲んでいる。バリアテープ32を巻き付けることによって、内側絶縁層30を囲んでいる。バリアテープ32は、内側絶縁層30の周囲を螺旋状に巻き付けられている。また、ケーブル22は、外側絶縁ジャケット33を有している。バリアテープ32は、図2において単純化のために縮約版で示されており、この図2は、絶縁基材42と、導電セグメント34及び38と、のみを示している。また、図3及び図4を参照すると、以下で詳述するように、バリアテープ32は、ギャップ36によって離間された導電セグメント34を備える(図2において内側バリア層として示される)第1バリア層35と;セグメント38の導電材料にあるギャップ40によって離間された導電セグメント38を備える(図2において外側バリア層として示される)第2バリア層37と;第2導電層の導電セグメント38及びギャップ40から第1導電層の導電セグメント34及びギャップ36を離間させる絶縁基材42と;を有している。第1及び第2バリア層、より具体的には導電セグメント34及び導電セグメント38は、ケーブル内で交互に配置されており、外側バリア層のギャップ40は、内側導電層の導電セグメント34と一致している。バリアテープ32は、内側絶縁層30の周囲を螺旋状またはスパイラル状に巻き付けられている。あるいは、バリアテープは、螺旋状でない方法(例えば巻きタバコ状または長手方向様式など)で内側絶縁層の周囲に付けられてもよい。
【0012】
外側絶縁ジャケット33は、15ミル(0.381mm)厚さであってもよい(が、他の厚さも可能である)。ケーブル22の全体の直径は、例えば300ミル(7.32mm)未満であるが、他の厚さは、可能である。
【0013】
図3は、絶縁基材にあるパターン化された導電セグメントを示すバリアテープ32の平面図であり、不連続な導電材料からなる2つのバリア層35及び37が使用されている。導電セグメント34及び38は、下層にある基材42の長手方向及び横方向の双方に沿う一連のモザイクとして配置されている。説明するように、パターン化された導電セグメントからなる複数のバリア層を使用することで、ケーブルが隣接するケーブルに結合することを効果的に低減することによって、及び、他のケーブルから結合することに対するバリアを形成することによって、エイリアンクロストークの減衰を強化させることが容易になる。導電セグメント34及び38が不連続である性質は、バリア層35及び37からの放射を低減するまたは消滅させる。図示された実施形態において、2層化されたグリッド状の金属パターンは、バリアテープ32に組み込まれており、このバリアテープは、例えば高性能な10Gb/sのケーブルにおけるツイステッドワイヤペア26の周囲をスパイラル状に巻き付く。パターンは、バリア層の導電セグメントが隣接するバリア層からギャップ36、40と重なり合うように選択されている。図3及び図4において、例えば、頂部及び底部バリア層35及び37は、一連の(丸角部を有する)約330ミル(8.38mm)×330ミルの正方形であって正方形間に60ミル(1.52mm)のギャップサイズ44を有する正方形として配置された導電セグメントを有する。一実施形態において、丸角部には、約1/32インチ(0.794mm)の半径が形成されている。
【0014】
上側バリア層35を参照すると、任意の導電材料からなる単一の層の性能は、不連続なパターンのギャップと不連続なセグメントからなる長手方向長さ46とに依存し、また、導電セグメントの横方向長さに少なくともいくらか依存する。一般的には、ギャップサイズ44が短いほどかつ長手方向長さ46が長いほど、ケーブル間のクロストークの減衰は、良好になる。しかしながら、長手方向パターン46が長すぎる場合、不連続な導電材料層は、放射し、適切な周波数帯域において電磁エネルギーの影響を受けやすくなる。1つの解決法は、長手方向のパターン長さが囲まれたケーブル内のツイステッドワイヤペアにおける平均ペアレイ(pair lay)よりも大きいがワイヤペアにわたって伝送される最も高周波数の信号の波長の1/4よりも小さくなるように長手方向のパターン長さ46を設計することである。ペアレイは、ツイステッドワイヤペアの1つの完全な捩れ長さに等しい。
【0015】
高性能ケーブル(例えば10Gb/s)について、典型的なツイスト長さ(すなわちペアレイ)は、0.8cmから1.3cmの範囲にある。したがって、導電セグメント長さは、500MHzの周波数で使用するために適用されたケーブルについて、主として、約1.3cmから約10cmの範囲内にある。より高周波数またはより低周波数において、長さは、それぞれより短くまたはより長く変化する。
【0016】
さらに、500MHzの周波数を有する信号について、波長は、伝搬速度が20cm/nsの場合に、約40cmである。この波長において、バリア層の導電セグメントの長さは、10cm未満(すなわち波長の1/4)であり、導電セグメントが電磁エネルギーを放射することを防止する。
【0017】
同様に、ワイヤペアがケーブルのコア内で捩るにしたがって導電セグメントの横方向長さ48がツイステッドワイヤペアを「覆う」ことは望ましい。すなわち、導電セグメントの横方向長さ48がケーブルの中心から径方向外側にツイステッドペア上に重なるのに十分な幅であることは望ましい。一般的には、横方向幅48が広いほど、ケーブル間のクロストークの減衰は良好になる。バリアテープ32がケーブルのツイストレート(twist rate)とほぼ同一レートでケーブルのコアの周囲に螺旋状に巻き付けられることは、さらに望ましい。高性能ケーブル(例えば10Gb/s)について、典型的なケーブルのストランドレイ(すなわちケーブルのコアのツイストレート)は、約6cmから約12cmの範囲にある。本発明におけるバリアテープがケーブルのストランドレイと同一レート(すなわち、1つの完全な巻回が約6cmから約12cmの範囲にある)で巻回されることは、好ましい。しかしながら、本発明は、この巻回長さの範囲に限定されず、より長いまたはより短い巻回長さを使用してもよい。
【0018】
不連続な導電セグメントからなるバリアテープにおける高成長用途は、ケーブル間クロストークの減衰を増大させるために1以上の導電バリア層に使用することである。複数層のバリアについて、バリア層は、基材によって離間されており、層は、互いに直接電気的に接続していない。2つのバリア層35及び37を示しているが、本発明は、単一のバリア層、または3以上のバリア層を有してもよい(例えば図10参照)。
【0019】
図4は、2つのバリア層35及び37を採用したように、バリアテープ32の断面図をより詳細に示している。各バリア層は、基材50と、導電セグメント34または38と、を有している。基材50は、絶縁材料であり、例えば約0.7ミル(17.8μm)厚さである。導電セグメントからなる層は、例えば丸角部を有する正方形であって約0.35ミル(8.89μm)の厚さを有するアルミニウムからなる正方形の平面形状を含んでいる。本発明の他の実施形態において、導電セグメントは、等辺もしくは不等辺多角形、他の不等辺多角形、湾曲した閉形状、導電材料の割目によって形成された分離領域、及び/または上記の組み合わせのようなさまざまな形状で形成されてもよい。銅、金またはニッケルのような他の導電材料を導電セグメントとして使用してもよい。半導体材料を同様にこれら領域に使用してもよい。絶縁基材の材料の例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド及び他の材料を含む。
【0020】
導電セグメント34及び38は、スプレー状接着剤層52を介して共通の絶縁基材42に取り付けられている。例えば、スプレー状接着剤層52は、0.5ミル(12.7μm)の厚さであり、共通の絶縁基材層42は、1.5ミル(38.1μm)の厚さである。図示された例の層の厚さを考えると、図4のバリアテープ32の全体厚さは、約4.6ミル(0.117mm)である。理解すべきことは、さまざまな材料厚さをさまざまな層に適用してもよいことである。いくつかの実施形態において、望ましいことは、導電セグメント34及び38からなる2つの層間の距離がこれら層間の容量を低減するように小さいことである。
【0021】
バリア材料として複数層の不連続な導電材料を使用する場合、層間のギャップの被覆率は、ケーブル間のクロストークを減少させることを補助する。これは、ケーブル間の容量性及び導電性結合を試験することによって最も理解される。
【0022】
図5は、2つの従来技術のケーブル401及び402における寄生容量結合モデルを示している。ここで、2つのケーブル401及び402は、標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ54(ペアレイ)の2つのツイストペアからなるワイヤ403間のケーブル間クロストークを減衰させる方法として絶縁ジャケット404を採用している。結果として生じる寄生容量結合は、モデル化された容量405から4−8によって示されるように、著しいケーブル間のクロストークを形成する。容量405から408が図5のモデルのために集中容量成分として示されているが、これらは、実際には、分散型容量である。
【0023】
対照的に、図6は、本発明におけるバリア技術を用いた2つのケーブル22a及び22bの寄生容量結合を示している。全体的な効果が分散型容量に起因するが、集中容量成分のモデルは、分散型寄生容量結合を示す目的で示されている。ツイステッドペア26aにおける第1及び第2ツイステッドワイヤ101及び102は、差分信号を搬送し、逆極性を有するようにモデル化されている。第1ワイヤ101によって搬送される「正」極性信号と第2ワイヤ102によって搬送される「負」極性信号とは、ほぼ等しく導電セグメント34aと結合する。この結合は、容量504及び505によってモデル化されている。その結果、ツイステッドペア26から導電セグメント34aに微小なネット電荷(net charge)が容量結合され、無視可能な電位をもたらす。導電セグメント34aに結合された小さい電荷は、モデル化された容量506及び507を介してケーブル22aの外側バリア層にある導電セグメント38a及び38bに結合することによって、さらに分散される。導電セグメント38a及び38bが同様にさらなる内側導電セグメント34b及び34cと容量結合するので、容量結合量は、ツイステッドワイヤ101及び102の逆極性に起因した打消し効果によって、さらに軽減される。同様の打ち消し効果は、さらなるモデル化された容量508から513にわたって行われ、第1ケーブル22aのツイステッドペア26aと第2ケーブル22bのツイステッドペア26bとの間における全体の容量結合は、従来技術のシステムと比較して著しく減少される。バリアテープにおける2つのバリア層にあるギャップ36及び40からなる間隔は、ケーブル間の直接的な容量結合の機会を大きく減少させる。
【0024】
インダクタのモデル化を参照すると、図7は、2つの従来技術のケーブルにおける寄生分散型インダクタモデルを示している。図7及び図8において、導電体中の電流は、磁界を生成し、導電体の分散型インダクタンスは、結果として矢印に示すように結合する。図示を目的として、具体的な磁界の領域は、矢印で示されているが、磁界は、実際には、図示された領域全体にわたって分散している。ここで、ケーブル601及び602の双方は、標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ54(ペアレイ)からなる2つのツイステッドペア間のケーブル間クロストークを減衰させる方法として絶縁ジャケット604のみを採用している。符号606から609でモデル化された結果として生じる寄生インダクタ結合は、著しいケーブル間クロストークを生成する。
【0025】
図8は、本発明によって提案されたバリア技術を用いて2つのケーブルのインダクタモデルを示している。2つのツイステッドワイヤのケーブル22a及び22bそれぞれは、従来技術のモデルのように、ツイステッドペア26a及び26bと、同一の標準的な10Gb/sのイーサネットのツイスト長さ56(ペアレイ)と、を有している。しかしながら、2つのケーブル22a及び22bは、バリアテープ32で保護されている。バリア層35及び37は、それぞれ導電材料にあるギャップ36及び40を有しており、導電材料セグメント34及び38が放射することを防止する。導電セグメントは、ケーブル内で交互に配置されており、導電材料にあるほとんどのギャップは、隣接する層における導電セグメントと一致している。
【0026】
磁界は、ツイステッドワイヤペア26aによって第1ケーブル22a内に誘導される。しかしながら、磁界がバリアテープ32の内側バリア層を通過するにしたがって、磁界は、導電セグメントに渦電流を形成し、磁気結合710及び711の程度を減少させ、ケーブル間クロストークを減少させる。しかしながら、バリア層35及び37にギャップ36及び40が必要である結果として、磁界の一部は、境界またはギャップの近傍を通過する。渦電流が境界またはギャップの近傍で強く引き起こされないので、これら領域を通過する磁界の低減を小さくさせる。
【0027】
1つの解決法は、先と同様に、複数のバリア層35及び37を用いることであり、一方の層内のギャップは、隣接する層から導電材料によって覆われる。第2ケーブル22bは、内側導電層35にあるギャップ36を覆う外側バリア層(特に導電セグメント38)を示している。上述のように、導電層35及び37を通過する磁界は、渦電流が境界またはギャップ36及び40の近傍で強く誘導されないので、エネルギーをあまり損失しない。しかしながら、内側導電層35にあるギャップ36が外側バリア層から導電セグメントによって覆われることを確実にすることによって、内側バリア層を通過する磁界は、外側バリア層を通過する一方で、より強い渦電流を形成し、したがって、磁界のエネルギーを減少させ、ケーブル間クロストークを減少させる。したがって、望ましいことは、バリア層のギャップ36及び40を配置して隣接するバリア層から導電セグメントと位置合せすることであるが、バリア層の一部のギャップは、本発明におけるケーブル間クロストークの減衰に著しい影響を及ぼすことなく覆われないままとしてもよい。
【0028】
図9は、バリアテープ32がケーブル22の絶縁層30と外側ジャケット33との間でスパイラル状に巻き付けられているかを示している。あるいは、バリアテープは、螺旋状でない方法(例えば巻きタバコ状または長手方向様式など)で内側絶縁層の周囲に付けられてもよい。望ましいことは、バリアテープ32の螺旋状の巻回がケーブル22のコアレイ長さとほぼ等しい巻付レート(すなわち、ケーブルのツイステッドペア26が互いに周囲に巻き付けるレート)を有することである。しかしながら、いくつかの実施形態において、バリアテープ32の螺旋状の巻回は、ケーブルコアのレイ長さよりも大きいまたは小さい巻付レートを有してもよい。
【0029】
図10は、本発明における他の実施形態におけるバリアテープ60を示しており、このバリアテープは、導電セグメント62を有する第3導電層を有しており、特にギャップ64を被覆する。バリアテープ60は、図4に示す構造と同様の構造を有しているが、追加のバリア層と介在基材と接着層とを有しており、導電セグメント62は、図示するように、ギャップ64と重なる。本発明は、図示された実施形態に限定されず、バリアテープにおいて単一のバリア層または4以上のバリア層を有する実施形態を含む。
【0030】
図11は、本発明における別の実施形態におけるバリアテープ80を示している。バリアテープ80は、バリアテープ80に上側及び下側の長方形の導電セグメント82及び83が設けられている点を除いて、図示されかつ上述したバリアテープ32と同様である。各層にある長方形セグメントは、ギャップ84によって離間されている。長方形の導電セグメント82及び83は、長手方向長さ86及び横方向幅88を有している。一実施形態において、長方形の導電セグメントそれぞれにおける長手方向長さ86は、約822ミル(20.9mm)であり、横方向幅88は、約332ミル(8.43mm)である。この実施形態において、ギャップ84は、約60ミルの幅である。導電セグメントの形状及びサイズを変更するにしたがって、ギャップ幅も変更してもよい。例えば、ギャップは、55ミル(1.40mm)または他の幅であってもよい。一般的には、ギャップ幅に対する導電セグメントの長手方向長さの比率を高くするほど、クロストークの減衰が良好になる。しかしながら、さまざまな寸法を、ケーブルの所望の性能特性に応じて設けてもよい。長方形の導電セグメント82には、丸角部90が設けられており、図示された実施形態において、丸角部90は、約1/32インチの半径を有している。
【0031】
鋭い角部を使用した場合に生じることがある望まない電界効果の可能性を低減するために、本発明における導電セグメントに湾曲角部を設けることは、望ましい。本発明におけるいくつかの実施形態において、10ミル(0.254mm)から約500ミル(12.7mm)の範囲にある半径を有する湾曲角部は、好ましいが、より大きいまたはより小さい半径は、特定の実施形態において有益である。
【0032】
図12は、図11の線12−12に沿うバリアテープ80の断面図である。バリアテープ80は、絶縁基材92と、長方形の導電セグメント82及び83を有する上側及び下側バリア層91及び93と、を備えている。長方形の導電セグメント82及び83は、スプレー状接着剤層94によって基材92に取り付けられており、他の基材層96に隣接している。一実施形態において、絶縁基材92は、約1.5ミル(38.1μm)の厚さを有しており、スプレー状接着剤層94は、約0.5ミルの厚さを有しており、導電セグメント82及び83は、約1ミル(25.4μm)の厚さを有しており、他の基材層86は、約1ミルの厚さを有している。他の厚さを、バリアテープ80の所望の物理的及び性能的な品質に応じて層について使用してもよい。
【0033】
図13は、代替のツイステッドペアディバイダ112を有するケーブル110を示す断面図である。ツイステッドペアディバイダ112は、径方向十字ウェブ部材114を有しており、この径方向十字ウェブ部材は、ディバイダ112の中央部116から周辺十字ウェブ部材118まで外方に延在している。ケーブル110のツイステッドペア120は、径方向及び周辺十字ウェブ部材114及び118によって区画された開口領域112内に収容されている。周辺十字ウェブ部材118は、図2における層30と同様の内側絶縁層として機能する。ツイステッドペアディバイダ112は、上述したバリアテープ32、60及び80と同様の導電セグメントを備えるバリア層を組み込んでいる。
【0034】
図14は、代替のツイステッドペアディバイダ126を有する別のケーブル124を示す断面図である。ツイステッドペアディバイダ126は、径方向十字ウェブ部材128を有しており、この径方向十字ウェブ部材は、ディバイダ126の中央部130から延在し、短縮型周辺十字ウェブ部材132で終端している。ケーブル124のツイステッドペア134は、径方向及び短縮型周辺十字ウェブ部材126及び132によって区画された開口領域136内に収容されている。ツイステッドペアディバイダ126は、上述したバリアテープ32、60及び80と同様の導電セグメントを備えるバリア層を組み込んでいる。
【0035】
図15は、ツイステッドワイヤペア26とバリアテープ32との間の絶縁層としてエンボスフィルム132を有する別のケーブル130を示す断面図である。いくつかの実施形態において、エンボスフィルム132は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはフッ素化エチレンプロピレン(FEP)から形成されたエンボステープの形態をなしている。いくつかの実施形態において、エンボスフィルム132は、発泡ポリエチレンまたはポリプロピレンからなるエンボス層で形成されている。非発泡性の耐火性ポリエチレンをベース材料として使用してもよい。フィルム132をエンボス加工することは、フィルムのベース材料の厚さよりも大きい厚さを有する絶縁層を形成する。これは、エンボス加工されていない中実または発泡性のフィルムよりも大きい単位質量あたりの層厚を形成する。エンボス加工によって層により多くの空気を取り入れることは、層の低い全体的な誘電率が高誘電率を有する材料の厚い層と同様のレベルの性能を可能とするので、結果として得られる層の誘電率を低下させ、全体的に低いケーブル直径を可能とする。エンボスフィルムを用いることは、ケーブルの固形物量を低減することによりケーブル全体のコストを削減し、また、中実の絶縁層を使用した場合よりもケーブルに設けられる可燃物質量が小さいので、ケーブルの燃焼性能を改善する。絶縁層としてエンボスフィルムを用いることによって、ケーブルの挿入損失性能が改善されることが見出されている。本発明における絶縁層は、ケーブルコアの周囲にスパイラル状または別の方法で巻き付けられてもよい。
【0036】
図16は、ケーブル134を示す断面図であり、このケーブルは、ツイステッドペア26とバリアテープ32との間の絶縁層としてのエンボスフィルム132を有し、また、個別のツイステッドペア26間のセパレータとしてのエンボスフィルムを有している。図16に示すセパレータは、中央直線状セパレータ136と、一対の湾曲セパレータ138と、を有する。ツイステッドペア間のセパレータとしてエンボスフィルムを用いることは、上述のように、絶縁層としてエンボスフィルムを用いることのようなさまざまな同一の有利点を有する。
【0037】
図17は、一実施形態におけるエンボスフィルム132を示す平面図である。同様に、図17には、詳細側面図Sを示している。図17に示す実施形態において、エンボスフィルム132は、発泡性のまたは非発泡性のポリエチレンまたはポリプロピレンのようなベース材料においてエンボス加工された正方形140の繰り返しパターンの形態をなしている。好ましい実施形態において、発泡性ポリマーフィルム材料を使用する。エンボスフィルム132のアスペクト比は、エンボスフィルムの実効厚さteとベース材料の厚さtbと間の比率である。アスペクト比は、例えば、エンボスフィルムについてベース材料厚さが3ミル(76.2μm)かつ実効厚さが15ミル(0.381mm)の状態において、5までであり、いくつかの実施形態において使用される。他の実用的な比率は、ベース材料厚さが3ミルかつ実効厚さが14ミル、ベース材料厚さが5ミル(0.127mm)かつ実効厚さが15ミルである。いくつかの実施形態において、1.5ミル(38.1μm)から7ミルの間にあるベース材料は、8ミル(0.203mm)から20ミル(0.508mm)の実効厚さにエンボス加工される。エンボス加工された正方形140が図17に示されているが、パターン化されたエンボス加工を用いることを含んで、フィルム132の長さにわたってさまざまな形状の組み合わせのような他の形状を使用してもよい。
【0038】
本発明におけるバリアテープは、ケーブル内において、スパイラル状や別の方法で個別のツイステッドペアに巻き付けられてもよく、ツイステッドペア間のクロストーク減衰を改善する。さらに、本発明におけるバリア層は、絶縁体層、外側絶縁ジャケットまたはツイステッドペアディバイダ構造体を含むケーブル内でさまざまな構造体と組み合わされてもよい。
【0039】
上述から分かるように、ケーブルの性能を改善するために、ケーブル間クロストークの減衰を増大させる機能が提供される。本発明の具体的な実施形態が示されかつ説明されたが、本発明の幅広い態様において本発明から逸脱することなく変更及び改良がなされることは、当業者に明らかである。したがって、目的は、本発明の精神及び範囲内に含まれるようにすべてのこのような変更及び改良に及ぶことである。上記記載及び添付の図面において説明した問題は、例示のみを目的としており、限定でない。
【符号の説明】
【0040】
22,22a,22b,110,124,130,134 ケーブル,通信ケーブル、26,26a,26b,120,134 ツイステッドペア,ツイステッドワイヤペア、30 層,絶縁層,内側絶縁層、32,60,80 バリアテープ、33 外側ジャケット,外側絶縁ジャケット、34,34a,62,82 導電セグメント,導電材料セグメント、34b 内側導電セグメント、35 第1バリア層,上側バリア層,導電層,内側導電層、36,40,64,84 ギャップ、37 第2バリア層,導電層,底部バリア層、38,38a,38b セグメント,導電セグメント、42,50,86,92,96 基材,絶縁基材,基材層,絶縁基材層、90 丸角部、91 下側バリア層、101 ワイヤ,第1ツイステッドワイヤ、102 ワイヤ,第2ツイステッドワイヤ、112,126 ディバイダ,ツイステッドペアディバイダ、132 フィルム,エンボスフィルム、136 中央直線状セパレータ(ペアセパレータ)、138 湾曲セパレータ(ペアセパレータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルにおける導電体のツイステッドペアのコアに巻き付けてエイリアンクロストークを減衰させるためのバリアテープであって、
当該バリアテープは、
絶縁基材と、
ギャップによって離間された導電セグメントからなる第1バリア層と、
ギャップによって離間された導電セグメントからなる第2バリア層と、
を備え、
前記第1及び第2バリア層の前記導電セグメントが、グリッド状パターンで互いに重なっており、
前記第1及び第2バリア層の一方における前記ギャップが、前記第1及び第2バリア層の他方における前記導電セグメントによってほぼ覆われていることを特徴とするバリアテープ。
【請求項2】
前記導電セグメントが、丸角部を有する正方形であることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項3】
前記正方形が、約330ミル(8.38mm)×330ミルの寸法を有することを特徴とする請求項2に記載のバリアテープ。
【請求項4】
前記ギャップが、約60ミル(1.52mm)幅であることを特徴とする請求項3に記載のバリアテープ。
【請求項5】
前記丸角部は、約1/32インチ(0.794mm)の半径を有することを特徴とする請求項2に記載のバリアテープ。
【請求項6】
導電体の前記ツイステッドペアが、平均ペアレイ長さを有し、
前記ツイステッドペアが、信号周波数において信号を伝導し、
前記導電セグメントが、前記平均ペアレイ長さよりも若干大きいが前記ツイステッドペアによって伝送される信号の最高周波数の1/4波長未満である長手方向パターン長さを有することを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項7】
前記導電セグメントが、約1.3cmから約10cmの範囲内にある長さを有することを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項8】
第2基材層と、ギャップだけ離間した導電セグメントからなる第3バリア層と、をさらに備え、
前記第3バリア層の前記導電セグメントが、前記導電セグメントからなる前記第1及び前記第2バリア層を重ねることから残存したままであるギャップと重なることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項9】
前記導電セグメントが、丸角部を有する長方形であることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項10】
内側コア内に設けられた導電体からなる複数のツイステッドペアと、
前記内側コアを囲む絶縁層と、
前記絶縁層の周囲に巻き付けられたバリアテープであって、当該バリアテープが、絶縁基材と、ギャップで離間された導電セグメントからなる第1バリア層と、ギャップで離間された導電セグメントからなる第2バリア層と、を備え、前記第1及び第2バリア層の前記導電セグメントが、グリッド状パターンで互いに重なっており、前記第1及び第2バリア層の一方にある前記ギャップが、前記第1及び第2バリア層の他方にある前記導電セグメントによってほぼ覆われる、バリアテープと、
外側絶縁ジャケットと、
を備えることを特徴とするケーブル。
【請求項11】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、丸角部を有する正方形であることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項12】
前記正方形が、約330ミル×330ミルの寸法を有することを特徴とする請求項11に記載のケーブル。
【請求項13】
前記バリアテープの前記導電セグメントを離間する前記ギャップが、約60ミルの幅であることを特徴とする請求項12に記載のケーブル。
【請求項14】
前記丸角部が、約1/32インチの半径を有することを特徴とする請求項11に記載のケーブル。
【請求項15】
導電体からなる前記ツイステッドペアが、平均ペアレイ長さを有し、
前記ツイステッドペアが、信号周波数において信号を伝導し、
前記バリアテープの前記導電セグメントが、前記平均ペアレイ長さよりも若干大きいが前記ツイステッドペアによって伝送される信号の最高周波数の1/4波長未満である長手方向パターン長さを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項16】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、約1.3cmから約10cmの範囲内の長さを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項17】
前記バリアテープが、第2基材層と、ギャップによって離間される導電セグメントからなる第3バリア層と、をさらに備え、
前記第3バリア層の前記導電セグメントが、前記導電セグメントからなる前記第1及び第2バリア層の重ね合わせから残存しているギャップと重なっていることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項18】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、丸角部を有する長方形であることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項19】
前記ツイステッドペアと前記バリアテープとの間に絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層が、エンボスフィルムであることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項20】
導電体からなる前記ツイステッドペアの少なくとも2つを離間させる少なくとも1つのペアセパレータをさらに備え、
前記ペアセパレータが、エンボスフィルムを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項1】
通信ケーブルにおける導電体のツイステッドペアのコアに巻き付けてエイリアンクロストークを減衰させるためのバリアテープであって、
当該バリアテープは、
絶縁基材と、
ギャップによって離間された導電セグメントからなる第1バリア層と、
ギャップによって離間された導電セグメントからなる第2バリア層と、
を備え、
前記第1及び第2バリア層の前記導電セグメントが、グリッド状パターンで互いに重なっており、
前記第1及び第2バリア層の一方における前記ギャップが、前記第1及び第2バリア層の他方における前記導電セグメントによってほぼ覆われていることを特徴とするバリアテープ。
【請求項2】
前記導電セグメントが、丸角部を有する正方形であることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項3】
前記正方形が、約330ミル(8.38mm)×330ミルの寸法を有することを特徴とする請求項2に記載のバリアテープ。
【請求項4】
前記ギャップが、約60ミル(1.52mm)幅であることを特徴とする請求項3に記載のバリアテープ。
【請求項5】
前記丸角部は、約1/32インチ(0.794mm)の半径を有することを特徴とする請求項2に記載のバリアテープ。
【請求項6】
導電体の前記ツイステッドペアが、平均ペアレイ長さを有し、
前記ツイステッドペアが、信号周波数において信号を伝導し、
前記導電セグメントが、前記平均ペアレイ長さよりも若干大きいが前記ツイステッドペアによって伝送される信号の最高周波数の1/4波長未満である長手方向パターン長さを有することを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項7】
前記導電セグメントが、約1.3cmから約10cmの範囲内にある長さを有することを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項8】
第2基材層と、ギャップだけ離間した導電セグメントからなる第3バリア層と、をさらに備え、
前記第3バリア層の前記導電セグメントが、前記導電セグメントからなる前記第1及び前記第2バリア層を重ねることから残存したままであるギャップと重なることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項9】
前記導電セグメントが、丸角部を有する長方形であることを特徴とする請求項1に記載のバリアテープ。
【請求項10】
内側コア内に設けられた導電体からなる複数のツイステッドペアと、
前記内側コアを囲む絶縁層と、
前記絶縁層の周囲に巻き付けられたバリアテープであって、当該バリアテープが、絶縁基材と、ギャップで離間された導電セグメントからなる第1バリア層と、ギャップで離間された導電セグメントからなる第2バリア層と、を備え、前記第1及び第2バリア層の前記導電セグメントが、グリッド状パターンで互いに重なっており、前記第1及び第2バリア層の一方にある前記ギャップが、前記第1及び第2バリア層の他方にある前記導電セグメントによってほぼ覆われる、バリアテープと、
外側絶縁ジャケットと、
を備えることを特徴とするケーブル。
【請求項11】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、丸角部を有する正方形であることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項12】
前記正方形が、約330ミル×330ミルの寸法を有することを特徴とする請求項11に記載のケーブル。
【請求項13】
前記バリアテープの前記導電セグメントを離間する前記ギャップが、約60ミルの幅であることを特徴とする請求項12に記載のケーブル。
【請求項14】
前記丸角部が、約1/32インチの半径を有することを特徴とする請求項11に記載のケーブル。
【請求項15】
導電体からなる前記ツイステッドペアが、平均ペアレイ長さを有し、
前記ツイステッドペアが、信号周波数において信号を伝導し、
前記バリアテープの前記導電セグメントが、前記平均ペアレイ長さよりも若干大きいが前記ツイステッドペアによって伝送される信号の最高周波数の1/4波長未満である長手方向パターン長さを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項16】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、約1.3cmから約10cmの範囲内の長さを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項17】
前記バリアテープが、第2基材層と、ギャップによって離間される導電セグメントからなる第3バリア層と、をさらに備え、
前記第3バリア層の前記導電セグメントが、前記導電セグメントからなる前記第1及び第2バリア層の重ね合わせから残存しているギャップと重なっていることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項18】
前記バリアテープの前記導電セグメントが、丸角部を有する長方形であることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項19】
前記ツイステッドペアと前記バリアテープとの間に絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層が、エンボスフィルムであることを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【請求項20】
導電体からなる前記ツイステッドペアの少なくとも2つを離間させる少なくとも1つのペアセパレータをさらに備え、
前記ペアセパレータが、エンボスフィルムを有することを特徴とする請求項10に記載のケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2011−515800(P2011−515800A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549903(P2010−549903)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/036308
【国際公開番号】WO2009/111689
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【出願人】(507202725)ジェネラル・ケーブル・テクノロジーズ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/036308
【国際公開番号】WO2009/111689
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【出願人】(507202725)ジェネラル・ケーブル・テクノロジーズ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
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