説明

クロマトグラフ装置および分析方法

【課題】本発明によれば、分析精度を低下させること無く分析時間の短縮を大幅に短縮することが可能となる。
【解決手段】本発明は、分析試料を注入する試料注入部と、前記試料注入部により注入された前記分析試料を成分毎に分離する分離カラムと、前記分離カラムにより分離された前記分析試料の成分を検出する検出器と、前記分析試料の数を入力する入力部と、前記入力部で指定された分析試料数の分析を行うように前記試料注入部、前記分離カラム、前記検出器、および入力部等の各ユニットを制御する制御部と、分析により得られるクロマトグラムを記録する記録部とを備えた液体クロマトグラフを含むクロマトグラフ装置において、前記成分の検知開始から終わりまでにかかる検出時間範囲を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された検出時間範囲を基に複数の前記分析試料を前記試料注入部に注入する注入間隔を算出する処理手段と、前記注入間隔を適用して前記複数の分析試料の分析が行われるように各ユニットを制御する制御手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーにより試料を分析するクロマトグラフ装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフ装置を用いた分析において、分析をハイスループット化する方法としては分離条件の最適化が挙げられる。しかし、分離時間の短縮に伴う検出ピークの分離度低下は分析精度低下の要因となるため、分離時間の大幅な短縮は困難である。
【0003】
分離条件を変えずに分析時間を短縮する方法としては、分析間の試料注入準備動作に要する時間や分析装置の制御に要する時間を短縮する方法(例えば特許文献1、特許文献2など参照)が知られるが、分析時間短縮への寄与は小さく、大幅な短縮は困難である。
【0004】
また、複数試料の分析を並行して処理することで分析時間を短縮する方法(例えば特許文献3、特許文献4など参照)も知られるが、複数試料注入時の試料注入間隔の最適値を分析試料の検出条件に応じて算出する方法はこれまでに知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−257575号公報
【特許文献2】特開2001−153853号公報
【特許文献3】特許2834224号公報
【特許文献4】特開2005−127814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、分離条件を変更することなく、また、分析精度の低下を伴わない簡便な方法により、複数試料の分析に要する時間の短縮を可能とするクロマトグラフ装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、分析試料を注入する試料注入部と、前記試料注入部により注入された前記分析試料を成分毎に分離する分離カラムと、前記分離カラムにより分離された前記分析試料の成分を検出する検出器と、前記分析試料の数を入力する入力部と、前記入力部で指定された分析試料数の分析を行うように前記試料注入部、前記分離カラム、前記検出器、および入力部等の各ユニットを制御する制御部と、分析により得られるクロマトグラムを記録する記録部とを備えた液体クロマトグラフを含むクロマトグラフ装置において、前記成分の検知開始から終わりまでにかかる検出時間範囲を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された検出時間範囲を基に複数の前記分析試料を前記試料注入部に注入する注入間隔を算出する処理手段と、前記注入間隔を適用して前記複数の分析試料の分析が行われるように各ユニットを制御する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分析精度を低下させること無く分析時間の短縮を大幅に短縮することが可能となる。
【0009】
また、試料の注入間隔は試料中の検出対象成分の定性条件と各成分の検出時間範囲を基に算出するという簡便な方法により求めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例について説明する前に本発明の概要を簡単に整理して説明する。
【0011】
クロマトグラフ装置を用いた試料の分析では、試料注入部に注入した試料を分離カラムで各成分に分離した後、検出器に到達した成分から順に検出する。
【0012】
検出成分は、試料注入から検出器に到達するまでに要する時間(検出時間)を基に定性を、ピーク面積値などを基に定量を行う。
【0013】
質量分析計を用いた分析では、成分に固有の質量電荷比m/zを基に定性を行うため、質量電荷比の異なる成分であれば複数成分を同時に定性・定量することが可能である。
【0014】
従来、クロマトグラフ装置を用いて複数試料の分析を行う場合には、第一の試料を注入し、試料中の全検出対象成分の検出が完了した後に、次の試料の分析作業に移行する手法が一般的である。
【0015】
この時、複数試料の分析に要する時間は1つの試料の分析に要する時間と試料数の積により算出され、分析に要する時間は試料数に比例して長くなる。
【0016】
本発明では、複数試料を並行して分析することにより、分離条件を変更することなく、また、分析精度の低下も伴わずに、複数試料を並行して分析することが可能となり、複数試料の分析に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0017】
以下、実施例について説明する。
【0018】
図1は、本発明を用いた液体クロマトグラフ装置/糖分析用質量分析計(LC/MS)の分析機器装置の構成を示している。
【0019】
この分析機器装置は、溶離液を送液する溶離液ポンプ10のユニット、分析試料の注入を行うオートサンプラ20のユニット、オートサンプラに洗浄液を送液する洗浄ポンプ30のユニット、洗浄液流路切換バルブ31のユニット、カラムの温度を一定に保つカラムオーブン40のユニット、質量分析計50のユニットを含む分析部を有する。
【0020】
さらに、分析機器装置は、分析機器装置の全般を制御する制御部60、分析データを記録する記録部70、分析データの解析を行う解析部80、およびCRT90、プリンタ100、マウス110、キーボード120を有する。
【0021】
オートサンプラ20は洗浄ポート、注入ポート、サンプルラック、ノズル、サンプルループ、シリンジ、インジェクションバルブ、シリンジバルブを備える。
【0022】
オートサンプラ20のサンプルラックは、分析試料を分注したマイクロプレートを収容する場所を備える(オートサンプラの詳細については図示せず)。また、上記各ユニット間を接続する配管は実線にて示し、各ユニット間の通信を行う配線については点線で示してある。
【0023】
溶離液ポンプ10から送液される溶離液は、オートサンプラ20のインジェクションバルブを経由し、カラムオーブン40、質量分析計50へと順次流れる。
【0024】
インジェクションバルブの切り換えにより、溶離液はインジェクションバルブからサンプルループ、ノズル、注入ポートを経由してインジェクションバルブに戻る流路を流れる。
【0025】
試料注入時はノズルで試料を吸引した後、インジェクションバルブを切り換えて分析流路に試料を導入する。洗浄液はオートサンプラの洗浄ポートへ流れ、ノズルの洗浄に用いられる。
【0026】
図2に分析手順の全体の流れを示す。
【0027】
まず、複数試料の連続分析を開始する前に、試料中の検出対象成分が含まれる標準試料等を分析し、試料中の検出対象成分が全て分離した状態で検出するための分析条件を決定する。
【0028】
液体クロマトグラフに関する分析条件としては、溶離液の種類、流量の検討やカラムの選定等が挙げられ、質量分析計に関する分析条件としては、試料中の検出対象成分の質量電荷比、検出時間(試料注入後にその成分が検出器に到達するまでに要する時間)および検出時間範囲の設定が挙げられる。
【0029】
各成分の検出時間範囲は、質量分析計における各成分のピークの開始点および終点(成分の検知開始から終わりまでにかかる時間)の各時間を基に設定する。分析条件の検討が完了したら検討結果を制御部60に登録する。制御部60は登録された分析条件に従って各ユニットを制御し、試料の分析を行う。
【0030】
検出対象成分の検出条件の設定値例を図3に示す。
【0031】
ここでは、試料中の検出対象成分の成分名あるいはその成分を特定する記号などと共に、検出対象成分の質量電荷比、検出時間および検出時間範囲を設定する。
【0032】
次に、検出対象成分の質量電荷比および検出時間範囲を基に、複数試料を連続注入する際の試料注入間隔を算出する。この試料注入間隔は、試料を注入してから次の試料を注入するまでの待機時間を意味する。
【0033】
試料注入間隔は検出対象成分の定性条件と検出時間範囲を基に算出する。検出器に質量分析計を使用した場合には、定性条件として検出対象成分の質量電荷比を用い、DAD検出器を用いた場合には定性条件として検出対象成分の吸収波長帯を用いる。
【0034】
いずれの場合も、定性条件が同一の成分の検出ピークが重なると、正確な定量が困難となり、定量精度低下の要因となるため、定性条件が同一の成分の検出時間範囲が重複しないことが試料を注入する注入間隔の算出条件となる。
【0035】
特に、算出される試料注入間隔のうち、待機時間を最も短く設定した場合に複数試料の分析に要する時間は最短となる。試料注入間隔の算出条件については後述する。
【0036】
試料注入間隔を求めた後は分析試料数を制御部60に入力し、分析を開始する。分析を開始すると、オートサンプラ20のノズルはサンプルラックに設置された分析試料のバイアルから分析試料を指定量だけ吸引し、注入ポートに注入する。
【0037】
注入と同時にインジェクションバルブを切り換えることで、試料を分析流路に導入する。同時にオートサンプラ20から質量分析計50にスタート信号を送り、データ取得および解析を開始する。
【0038】
分析試料を注入した時刻(試料注入時刻)は分析試料と関連付けた状態で解析部80に登録する。また、予め登録した試料中成分の検出時間と試料注入時刻を基に、各成分が検出器に到達する時刻(検出予定時刻)を算出し、その結果を解析部80に登録する。
【0039】
一つ目の試料注入後、事前に算出した試料注入間隔分の時間が経過した後、次の試料を注入し、試料注入時刻を記録部70に記録する。
【0040】
以下、同様の処理を予め設定した分析試料数の分析が終了するまで行う。
【0041】
分析試料を注入し、試料中の成分を分離カラムで分離し、質量分析計50に到達した成分を順次検出する。
【0042】
実際に検出される成分の検出時刻および質量電荷比と、解析部80に登録された各分析試料の検出対象成分の検出時刻および質量電荷比とを比較し、検出された成分の同定および分析試料への帰属を行い、記録部70に記録する。
【0043】
次に、試料注入間隔の算出条件について説明する。
【0044】
ここでは、質量分析計を検出器として用いた場合について記す。
【0045】
すでに述べたように、複数試料の分析を精度良く行うためには、試料中の検出対象成分のうち、検出器での分離分析が困難な成分同士の検出時間範囲が重複しないことが必要となる。
【0046】
このことから、以下を試料注入間隔の算出条件とする。
【0047】
(1)試料中に含まれるいずれの検出対象成分の検出時間範囲よりも大きい。
【0048】
(2)試料中に、互いに分離して検出することが困難な成分(質量電荷比が同一また
は所定近似値以内のもの)が複数存在する場合には、それらの成分の検出時間
範囲をすべて含む複数成分検出時間範囲(成分の検知開始から終わりまで複数 成分に跨がる複数成分検出時間範囲)を設定した後、(1)の条件を適用する 。
【0049】
このとき、ユーザが設定した任意の複数成分のユーザ選択複数成分検出時間範囲が重複しないように試料注入間隔を設定することも可能である。
【0050】
例えば、他の成分のイオン化を抑制するような成分が存在する場合、その阻害成分と目的成分の検出時間範囲が重複しないように試料注入間隔を設定することで目的成分の分析精度の低下を回避できる。
【0051】
この場合は上記(2)において、阻害成分と目的成分の検出時間範囲がすべて含まれる検出時間範囲を設定して、(1)の条件を適用すればよい。
【0052】
以上の処理は、試料中の検出対象成分の検出条件を基に試料注入間隔を自動で算出するプログラムを作成し、検出条件の設定と同時に試料注入間隔を算出させるように設定することで、試料注入間隔を算出する手間を省くことも可能である。
【0053】
なお、ユーザ選択複数成分検出時間範囲、複数成分検出時間範囲は、記憶部の記憶手段に記憶したり、試料注入間隔として設定される。
【0054】
以下、具体的な分析値を示す。
【0055】
本実施例では含有成分が既知であり、各成分の濃度が未知である糖4成分混合試料(果糖、ブドウ糖、ショ糖、ラフィノース)を分析した結果を示す。
【0056】
各分析試料には内部標準物質として各成分の同位体を一定量ずつ添加して分析を行う。分析開始前に標準試料の分析を行い、その結果を基に、本実施例における検出対象成分の質量電荷比、検出時間および検出時間範囲を以下のように決定する。
【0057】
果糖(m/z:179) 検出時間:3.7分
検出時間範囲:(3.4分−4.0分)
ブドウ糖(m/z:179) 検出時間:4.5分
検出時間範囲:(4.1分−4.9分)
ショ糖(m/z:341) 検出時間:6.1分
検出時間範囲:(5.5分−6.7分)
ラフィノース(m/z:503) 検出時間:10.2分
検出時間範囲:(9.2分−11.2分)
ここで、試料注入間の時間をt、試料注入回数をn(n=1,2,…,n)とし、各成分の検出予定時刻Tは次のように表す。
【0058】
果糖の検出予定時刻:T(果糖)=t(n−1)+3.7
ブドウ糖の検出予定時刻:T(ブドウ糖)=t(n−1)+4.5
ショ糖の検出予定時刻:T(ショ糖)=t(n−1)+6.1
ラフィノースの検出予定時刻:T(ラフィノース)=t(n−1)+10.2
また、各成分の検出時間範囲は次のように表すことができる。
【0059】
果糖(m/z=179)の検出時間範囲 始点:t(n−1)+3.4
終点:t(n−1)+4.0
ブドウ糖(m/z=179)の検出時間範囲 始点:t(n−1)+4.1
終点:t(n−1)+4.9
ショ糖(m/z=341)の検出時間範囲 始点:t(n−1)+5.5
終点:t(n−1)+6.7
ラフィノース(m/z=503)の検出時間範囲 始点:t(n−1)+9.2
終点:t(n−1)+11.2
また、この時の各成分の質量電荷比および検出時間範囲の関係を図4に示す。
【0060】
図4は横軸を時間、縦軸を各ピークの強度とし、果糖、ブドウ糖(各m/z=179)、ショ糖(m/z=341)およびラフィノース(m/z=503)のクロマトグラムを示している。
【0061】
各成分の検出時間範囲は図中の網掛けで示した範囲である。ここで、果糖とブドウ糖は同一の質量電荷比を持つため、複数試料注入時の試料注入間隔算出条件の(2)より、果糖およびブドウ糖の各検出時間範囲が含まれる検出時間範囲を設定する。
【0062】
その結果、m/z=179の検出時間範囲は、果糖の検出時間範囲の始点からブドウ糖の検出時間範囲の終点までとなり、以下のような設定となる。
【0063】
m/z=179の検出時間範囲 始点:t(n−1)+3.4
終点:t(n−1)+4.9
以上の設定条件を基に試料注入間隔の最小値を算出する。その結果、最大の検出時間範囲はラフィノース(m/z=503)の2.0分であるため、試料注入間隔の最小値tminは2.0と求まる。この結果を制御部60に登録し、この時間毎に試料を注入するように分析部を制御する。
【0064】
以上の処理は、標準試料の分析結果において検出されたピークの質量電荷比と検出時間範囲を自動で設定するようなプログラムを作成することで、分析開始前に分析条件を設定する手間を簡略化することもできる。
【0065】
次に、複数試料を連続分析する際の各種条件を設定し、連続分析を開始する。本実施例では、分析試料数10、サンプル注入量10ul、試料注入間の時間2.0分と設定し、分析を行った。図5にm/z=179およびm/z=503のクロマトグラムを示す(横軸は時間)。上記の算出条件より求めたように、試料注入間隔を2分として試料を注入した場合、検出対象成分の検出時間範囲が重複することなく複数試料の分析を行うことができる。
【0066】
分析を開始して分析試料が注入されると、質量分析計50でデータ取得および解析が開始される。一つ目の試料を注入した後、2分が経過したら次の分析試料を注入し、以後、同様の処理を繰り返し、計10回の分析を行う。
【0067】
このとき、一回目の分析試料を注入した時刻を0分(I=0)とすると、試料注入時刻Iは、I=0,2,4,6,8,・・・2(n−1)・・・、18(nは試料注入回数、n=1,2,…,10)となる。
【0068】
また、各成分の検出予定時刻は以下のように算出され、制御部60および解析部70に登録される。
【0069】
果糖(m/z=179)の検出予定時刻:T=3.7, 5.7,・・・,
2(n−1)+3.7,・・・,
21.7
ブドウ糖(m/z=179)の検出予定時刻:T=4.4, 6.4,・・・,
2(n−1)+4.4,・・・,
22.4
ショ糖(m/z=341)の検出予定時刻:T=6.1, 8.1,・・・,
2(n−1)+6.1,・・・,
24.1
ラフィノース(m/z=503)の検出予定時刻:T=10.2,
12.2,・・・,
2(n−1)+10.2,
・・・,28.2
(nはそれぞれ試料注入回数: n=1,2,…,10)
上記の関係式を用いれば、質量分析計で検出される成分を元の分析試料に容易に帰属することができる。例えば、時刻T=13.7にm/z=179の物質が検出された場合、検出された物質の質量電荷比からこの物質は果糖またはブドウ糖であることがわかる。
【0070】
次に、検出された物質の検出時刻と果糖およびブドウ糖の検出予定時刻とを比較することで、検出された物質は果糖であると判定できる。
【0071】
また、果糖の検出予定時刻の計算式より、I=10、n=6と求まることから、検出された果糖は試料注入時刻が10分で、かつ、6番目に注入された分析試料に含まれていた成分であると判定される。
【0072】
この結果、検出された成分の分析結果は、6番目に注入された分析試料の果糖の定量結果として記録部70に記録される。その他の成分においても同様の処理を行い、各分析試料と各成分の検出結果をすべて関連付けて記録部70に記録する。
【0073】
また、以上の処理を制御部60、解析部80および記録部70において自動的に行うプログラムを作成することで操作を簡略化することができる。
【0074】
ここで、質量分析計の代わりにダイオードアレイ検出器(DAD)など、目的成分に固有の物理量を基に測定して定性・定量を行う検出器を用いて分析することも可能であることは本発明の内容から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例に係わるLC/MS分析機器装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施例に係わるLC/MS分析機器装置における分析の作業工程図。
【図3】本発明の実施例に係わるLC/MS分析機器装置での検出条件の設定値例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、検出条件で得られるクロマトグラムを示す図。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、試料を注入した際に得られるクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
【0076】
10…溶離液ポンプ、20…オートサンプラ、30…洗浄ポンプ、40…カラムオーブン、50…質量分析計、60…制御部、70…記録部、80…解析部、90…CRT、100…プリンタ、110…マウス、120…キーボード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析試料を注入する試料注入部と、
前記試料注入部により注入された前記分析試料を成分毎に分離する分離カラムと、
前記分離カラムにより分離された前記分析試料の成分を検出する検出器と、
前記分析試料の数を入力する入力部と、
前記入力部で指定された分析試料数の分析を行うように前記試料注入部、前記分離カラム、前記検出器、および入力部等の各ユニットを制御する制御部と、
分析により得られるクロマトグラムを記録する記録部とを備えた液体クロマトグラフを含むクロマトグラフ装置において、
前記成分の検知開始から終わりまでにかかる検出時間範囲を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された検出時間範囲を基に複数の前記分析試料を前記試料注入部に注入する注入間隔を算出する処理手段と、
前記注入間隔を適用して前記複数の分析試料の分析が行われるように各ユニットを制御する制御手段を有することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1記載のクロマトグラフ装置において、
前記検出器として質量分析計を用い、
前記質量分析計で分析検知された成分の質量電荷比と前記検出時間範囲とを前記記憶手段に記憶し、
前記処理手段は前記検出時間範囲のうち、最大の検出時間範囲幅以上の時間間隔を前記注入間隔とすることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項2記載のクロマトグラフ装置において、
同じ分析試料より時間的にずれて検出される質量電荷比が同一または所定近似値以内の複数成分について検知開始から終わりまで複数成分に跨がる複数成分検出時間範囲を新たに設定する機能を有することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項2記載のクロマトグラフ装置において、
前記分析試料に含まれる検出対象成分の中からユーザが選択する任意の複数成分に跨がるユーザ選択複数成分検出時間範囲を新たに設定し、このユーザ選択複数成分検出時間範囲、および前記検出時間範囲から最も長い検出時間範囲を前記注入時間間隔とすることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項5】
請求項2記載のクロマトグラフ装置において、
前記分析試料の注入時刻と、前記分析試料に含まれる検出対象成分の質量電荷比と、前記検出対象成分の検出時間範囲を基に、前記検出対象成分が前記検出器に到達する検出予定時刻を算出する機能を備えることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項6】
請求項5記載のクロマトグラフ装置において、
前記検出予定時刻と、分析により得られる成分の検出時刻を基に、検出された検出成分を前記分析試料に帰属して記録する機能を備えることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項7】
請求項1記載のクロマトグラフ装置において、
前記検出器としてDAD検出器を用い、
前記記憶手段は前記分析試料に含まれる成分の吸収波長と検出時間範囲とを各々記憶し、
前記処理手段は前記分析試料に含まれる成分の検出時間範囲のうち、最大の時間幅以上の時間間隔を前記注入間隔とすることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項8】
分析試料を注入する試料注入部と、
前記試料注入部により注入された前記分析試料を成分毎に分離する分離カラムと、
前記分離カラムにより分離された前記分析試料の成分を検出する検出器を備えた分析方法において、
前記分析試料の各成分検出の始まりから終わりまでにかかる検出時間範囲を基に複数の前記分析試料を前記試料注入部に注入する注入間隔を算出することを特徴とする分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−76243(P2008−76243A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256113(P2006−256113)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】