説明

クロマト分離方法

【課題】2以上の成分を含む原液の特定の成分に対して相互作用を持つ吸着剤が充填されたクロマトカラムを用いて、簡素にかつ高純度に分離精製するクロマト分離方法を提供する。
【解決手段】吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤が充填されたクロマトカラムを用いたクロマト分離方法において、原液と溶離液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内においてある成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出し、を行わずに系内の液を循環させる第2工程を組み合わせることで分離を実施するクロマト分離方法により精製することを特徴とする擬似移動層方式のクロマト分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤を用いた、目的成分を簡素にかつ高純度に分離精製するクロマト分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
擬似移動層式クロマト分離装置は、原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した多数の単位充填塔(以下、単に充填塔ということもある。)を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状になっている充填層に対して、原液と溶離液を供給するとともに、充填層内を移動する速度が大きい画分(第1の画分:A画分)と充填層内を移動する速度が小さい画分(第2の画分:C画分)をそれぞれ異なる位置から抜き出し、かつ原液供給位置、溶離液供給位置、A画分抜き出し位置、C画分抜き出し位置を、一定の位置関係に保ちながら充填層の流体循環方向下流側に順次移動させることで、原液供給を連続的に行うことができる移動層の処理操作を擬似的に実現する装置であることはよく知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、常に原液と溶離液の供給およびA画分とC画分の抜き出しを行いながら被処理液が充填層を循環しているような一般的な擬似移動層方式のクロマト分離ではない運転方法として、特許文献2、特許文献3に記載された運転方法が提案されている。これらの運転方法は、イオン交換樹脂を充填剤とし、分子篩の作用を有する固体の吸着剤を充填したカラムを使用した運転方法において利用されている。
【特許文献1】特許2962589号公報
【特許文献2】特開2001-334103号公報
【特許文献3】特公昭60-55162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤を使用してクロマト分離精製を実施する際には、固定層方式の装置のほか、上記特許文献1のような擬似移動層方式の装置が用いられている。ここでいう吸着クロマトグラフィーとは、吸着剤(活性炭、アルミナ、マグネシア、シリカゲルなど)に対する分離対象物質の吸着力の差を利用するクロマトグラフィーのことである。また分配クロマトグラフィーとは、充填剤表面に導入された有機化合物相の極性と溶離液の極性の差を利用するクロマトグラフィーのことである。
【0005】
このような作用を有する吸着剤を使用してクロマト分離精製を実施する場合、吸着剤への吸着量が濃度とは比例関係にならないことが多い(つまり、非線形の吸着等温線になることが多い)ため、溶出曲線がテーリングを起こしやすい。また、濃度により溶出曲線の移動速度が変化しやすい。このため、一般的な擬似移動層方式において分離する際は、分離対象物質となる成分のそれぞれの濃度分布が重なりやすくなり、一般的な擬似移動層方式において高い分離性能を求める場合には、単位吸着剤あたりの原液供給量を減らすか、製品区分の回収率を落とすか、カラムの本数を増やす必要がある。結果として吸着剤量を増加させたり、溶離液の消費量を増加させたりする必要があり、処理装置およびランニングコストが高価になる傾向にある。
【0006】
本発明者らが鋭意研究した結果、擬似移動層方式では連続的に原液、溶離液の供給および目的成分が精製された画分の抜出しを実施しており、抜出し位置が下流側に移動してから再度移動するまでの間に抜出し位置を通過する液を収集している結果、濃度分布がテーリングによって重なりやすいため分離性能が低下することが分かった。
【0007】
そこで本発明の課題は、上記のような従来の方法における種々の問題点に着目し、吸着剤、とくに吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤を用いたクロマト分離において、簡素にかつ高い分離性能が得られる、擬似移動層式クロマト分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るクロマト分離方法は、吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔から成り立ち、これらの単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状の循環系を構成した充填層に、2以上の成分を含む原液流体を通流させることにより、前記吸着剤に対する親和力の順に順次分けた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
原液と溶離液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内においてある成分が富化された充填塔に対応する箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を全量抜き出す第1工程と、一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第2工程を組み合わせ、かつ、
前記第1工程では原液または溶離液の供給位置と各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域の移動に合わせて循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことで分離を実施することを特徴とする方法からなる。このクロマト分離方法では、2成分以上の分離が実施可能である。
【0009】
この本発明に係るクロマト分離方法においては、シリカゲル、化学修飾を行ったシリカゲル、合成吸着剤のいずれかを吸着剤とすることが望ましい。シリカゲルとしては、例えば、富士シリシア社製シリカゲルMB−3A、MB−4B、MB−5D、旭硝子社製M.S.GEL SIL DFシリーズなどが挙げられる。化学修飾を行ったシリカゲルとは、シリカゲル上にアルキル基を導入された吸着剤で、長鎖脂肪族鎖のオクタデシル基が導入されたODS(オタクデシル基結合シリカゲル)が、多く使用されている。化学修飾を行ったシリカゲルとして具体的には、YMC社製のODS−A、ODS−AQなどが挙げられる。合成吸着剤とは、イオン交換樹脂と同じような母体構造を持ちながら、イオン交換基を持たない粒子状の吸着剤である。細孔が粒子内部まで発達しており、水溶液中の有機物などを吸着できるため、クロマト分離用の吸着剤として使用されている(例えば、特開昭61-130297号公報に記載の吸着剤)。合成吸着剤として具体的には、ロームアンドハース社製“アンバーライト”XAD2, XAD4,XAD7HP,XAD16HP、XAD1180、XAD2000、三菱化学社製“ダイヤイオン”HP20、HP21、HP2MG、HP200SS 、“セパビーズ”SP825、SP850、SP70、SP700、SP207、SP200DFなどが挙げられる。
【0010】
原液と溶離液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内においてある成分が富化された充填塔に対応する箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を全量抜き出す第1工程とは、具体的には以下のF−A、D−A、F−C、D−C、FD−A、FD−C工程のことを指す。
【0011】
すなわち、本発明に係るクロマト分離方法においては、運転工程として、例えば以下のような工程順で繰り返す運転工程とすることができる。例えば運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すF−A工程またはFD−A工程、(3)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返すような工程とすることができる。
【0012】
また、本発明に係るクロマト分離方法においては、運転工程として、(1)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すF−A工程またはFD−A工程、(2)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(3)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返すような工程とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るクロマト分離方法においては、運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(3)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(4)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すF−C工程またはFD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返すような工程とすることができる。
【0014】
また、本発明に係るクロマト分離方法においては、運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(3)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すF−C工程またはFD−C工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返すような工程とすることができる。
【0015】
また、本発明に係るクロマト分離方法においては、上記第2工程では、循環系内の一箇所または二箇所から全量を抜き出し、循環系内から抜き出した液を溶離液ポンプおよび/または原液供給ポンプに流入させ溶離液ポンプおよび/または原液供給ポンプを用いて循環系内から抜き出した液を再び循環系内に供給することによって循環系内の循環を行うことを特徴とするクロマト分離装置を用いることが好ましい。これにより、循環系内の循環ポンプ内部による分離対象物の混合を避けることができ、高い分離性能を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクロマト分離方法によれば、シリカゲル、化学修飾を行ったシリカゲル、合成吸着剤などが充填されたクロマトカラムを用いたクロマト分離方法において、従来の方法に比べて簡素にかつ高い分離性能が得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るクロマト分離方法の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施形態に限定されるものでない。
【0018】
図1は、本発明の一実施態様に係るクロマト分離方法を実施するに適したクロマト分離装置を示している。クロマト分離装置1は、4つの単位充填塔4(No.1〜No.4充填塔)を備えており、各充填塔4内には、原液タンク2から供給されてくる原液3中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対し選択的吸着能力を有する吸着剤5(吸着クロマトまたは分配クロマトの作用を有する吸着剤)が充填されている。各充填塔4は、配管6により、各充填塔4の出口から隣接する充填塔4の入口へと連結されて、全体として直列に連結されており、最後部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.4充填塔4)の出口から最前部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.1充填塔4)の入口へと配管6で連結されることにより、全単位充填塔4が無端状に連結されている。したがって、この全単位充填塔4が無端に連結された充填層は、流体が矢印方向に循環可能な系7として形成されている。
【0019】
循環系7内の各隣接充填塔4間には、各充填塔間を遮断することが可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。各遮断弁R1〜R4と、その上流側に位置する各充填塔4の出口との間には、充填層内を移動する速度が大きい画分(A画分:吸着剤に対し吸着能力の低い非吸着物質を多く含む第1の画分)の抜き出しを目的としたA画分抜き出し弁A1、A2、A3、A4が設けられている。各A画分抜き出しライン8は、合流されて一つのA画分合流管9にまとめられている。また、同様に、充填層内を移動する速度が小さい画分(C画分:吸着剤に対し吸着能力の高い吸着物質を多く含む第2の画分)の抜き出しを目的としたC画分抜き出し弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各C画分抜き出しライン10は、合流されて一つのC画分合流管11にまとめられている。このほかに循環工程において全量抜き出しを行うことを目的とした2方弁Z1、Z2、Z3、Z4が設けられている。各循環抜出しライン12は、合流されて循環抜出し合流管13にまとめられ、溶離液供給ポンプPDの上流側で溶離液供給ライン20に合流されている。
【0020】
循環系7には、原液タンク2に収容された原液3と、溶離液タンク15に収容された溶離液16が供給可能となっている。原液3は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPFにより、原液供給ライン17を介して供給される。原液供給ライン17は、各原液分岐供給ライン18に分岐され、原液は各原液分岐供給ライン18を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各原液分岐供給ライン18には、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられており、開弁された原液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に原液が供給される。なお、原液供給ポンプPFの安定運転のために原液が供給されない工程でも原液供給ポンプPFを作動させておきたい場合は、原液供給弁の手前に弁F0および原液循環ライン19を設けて原液タンク2に戻すようにしてもよい。
【0021】
循環流体は、本実施態様では全量抜き出し弁Z1〜Z4のいずれかにおいて全量引き抜かれ、循環抜出し合流管13を通して溶離液タンク15と溶離液供給ポンプPDの間の溶離液供給ポンプPDの上流部に合流し、供給流量の制御が可能な溶離液供給ポンプPDにより、溶離液供給ライン20を介して再び循環系7に供給されるようになっている。溶離液供給ライン20は、各溶離液分岐供給ライン21に分岐され、溶離液は各溶離液分岐供給ライン21を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各溶離液分岐供給ライン21には、開閉可能な溶離液供給弁D1、D2、D3、D4が設けられており、開弁された溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔4に溶離液が供給される。なお、溶離液供給ポンプPDの安定運転のために溶離液が供給される工程と循環工程以外の工程でも溶離液供給ポンプPDを作動させておきたい場合は、溶離液供給弁の手前に溶離液循環ラインを設けて溶離液タンク15に戻すようにしてもよい。
【0022】
このように構成されたクロマト分離装置1において分離処理は次のように行われる。すなわち、クロマト分離装置1では、原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、および一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を循環させる工程の4つの工程の運転が可能となっており、これらの工程を組み合わせることで分離を行うことができる。
【0023】
原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(F−A工程)では、いずれかの原液供給弁を開き、原液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁A(A1〜A4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、A画分抜き出しライン8を通してA画分の全量を抜き出す。
【0024】
溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−C工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、C画分の抜き出し位置に相当するC画分抜き出し弁C(C1〜C4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、C画分抜き出しライン10を通してC画分の全量を抜き出す。
【0025】
溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−A工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁A(A1〜A4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、A画分抜き出しライン8を通じてA画分の全量を抜き出す。
【0026】
一切の供給、抜き出しを行わずに循環系内の液を移動させる工程(循環工程:R工程)では、いずれかの循環流体抜き出し弁Z(Z1〜Z4のいずれか)を開き、そのすぐ下流にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、循環抜出しライン12より全量を循環系7外に抜き出し、溶離液供給ポンプPDと介し、溶離液の供給位置に相当する溶離液供給バルブD(D1〜D4のいずれか)より供給する。
【0027】
次に、各バルブ開閉サイクルについて説明する。この運転の一例を表1に示す。表1においては、F、D弁の開閉制御状態を示し、表中の数字は各弁の番号を示し(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、A、C弁および循環流体抜き出し弁Zの項では、全量抜き出しを行う弁の番号を示している。空欄の場合にはその弁での抜き出しは行わない。R弁については、その番号が記入されている弁が閉弁されることを表している。空欄の場合には、開弁の状態を示している。さらに、原液供給ポンプPFと溶離液供給ポンプPDの項では、丸印は運転状態を示しており、空欄の場合には、停止状態を示している。この表1において、工程No.1−1〜1−5から工程No.4−1〜No.4−5までが、本クロマト装置1における分離処理の1サイクルを示している。
【0028】
【表1】

【0029】
(工程1−1について)
表1に示した工程No.1−1〜1−5についてみるに、工程1−1では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−1は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すD−A工程に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
【0030】
(工程1−2について)
工程1−2では、原液供給弁F1を開き原液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−2は本発明で言う原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すF−A工程に相当している。
【0031】
(工程1−3について)
工程1−3では、循環流体抜き出し弁Z2を開き、そこから循環流体を循環系7から全量抜き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプとしての溶離液供給ポンプPDによって溶離液供給弁D3から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−3は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
【0032】
(工程1−4について)
工程1−4では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜き出し弁C3を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−4は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出すD−C工程に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
【0033】
(工程1−5について)
工程1−5では、循環流体抜き出し弁Z2を開き、そこから循環流体を循環系7から全量抜き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプとしての溶離液供給ポンプPDによって溶離液供給弁D3から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−5は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
【0034】
以上の一連の工程1−1〜1−5では、原液、溶離液の供給位置、A画分、C画分の抜き出し位置、および循環工程における循環流体抜き出し弁の位置は、ある特定の位置関係に保って実行され、これら一連の工程1−1〜1−5が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置を下流側に一つ移行し、次の一連の工程2−1〜2−5を実行する。この移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層式クロマト分離装置の運転操作と同等の機能を達成できる。
【0035】
一連の工程1−1〜1−5に続く工程2−1〜2−5、工程3−1〜3−5、工程4−1〜4−5では、上記の如く各弁の位置を一つずつ移行した状態にて、上記工程1−1〜1−5と同様の運転を実行する。工程1−1〜4−5までが実行されると、分離処理の1サイクルが終了する。
【0036】
なお、上記分離操作においては、原液供給ポンプPFおよび溶離液供給ポンプPDは、定流量吐出設定としてもよいし、流量制御を行ってもよい。
【0037】
上記のクロマト分離装置1においては、循環工程では、循環系7において溶離液供給直前の循環流体を循環流体抜き出し弁Zより全量を抜き出し、溶離液供給ポンプPDを利用して抜き出した弁Zのすぐ下流の溶離液供給弁Dより供給する。つまり、溶離液を供給する工程と循環系7内の循環を行う工程において溶離液供給ポンプPDを共有化することで、分離運転において必要とされるポンプの数を合計2台に減らすことが可能となり、クロマト分離装置1全体として簡素化することができる。
【0038】
また、循環工程において抜き出される循環流体は、循環系7内において原液濃度が最も低く、比重、粘性等の物性が溶離液に最も近い部分であるため、溶離液供給ポンプPDに流入する溶離液および循環流体の比重、粘性等の物性は分離運転において常に安定する。これにより循環工程において制御装置なしで、あるいは安価で簡便な制御装置のみで従来の方法より設定値に近い安定した流量で運転することが可能になり、分離性能を安定させることができる。
【0039】
また、抜き出し弁側に背圧弁を使用しなくとも通常の弁によって各成分の引抜きが可能となるので、循環系内の圧力仕様を低下させることができる。この面からも、クロマト分離装置1の簡素化、コストダウンが可能になる。
【0040】
図2は、本発明の一実施態様に係るクロマト分離方法を実施するに適した図1とは別のクロマト分離装置を示している。すなわち、循環系7自身に、循環ポンプPRを設けた形態を示している。
【0041】
図2において、クロマト分離装置31は、4つの単位充填塔4(No.1〜No.4充填塔)を備えており、各充填塔4内には、原液3中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対し選択的吸着能力を有する吸着剤5(吸着クロマトまたは分配クロマトの作用を有する吸着剤)が充填されている。各充填塔4は、配管6により、各充填塔4の出口から隣接する充填塔4の入口へと連結されて、全体として直列に連結されており、最後部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.4充填塔4)の出口から最前部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.1充填塔4)の入口へと配管6で連結されることにより、全単位充填塔4が無端状に連結されている。したがって、この全単位充填塔4が無端に連結された充填層は、流体が矢印方向に循環可能な系7として形成されている。この循環系7に、循環ポンプPRが配置されている。
【0042】
循環系7内の各隣接充填塔4間には、各充填塔間を遮断することが可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。各遮断弁R1〜R4と、その上流側に位置する各充填塔4の出口との間には、充填層内を移動する速度が大きい画分(A画分)の抜き出しを目的としたA画分抜き出しA1、A2、A3、A4が設けられている。各A画分抜き出しライン8は、合流されて一つのA画分合流管9にまとめられている。また、同様に、充填層内を移動する速度が小さい画分(C画分)の抜き出しを目的としたC画分抜き出し弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各C画分抜き出しライン10は、合流されて一つのC画分合流管11にまとめられている。
【0043】
循環系7には、原液タンク2に収容された原液3と、溶離液タンク15に収容された溶離液16が供給可能となっている。原液3は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPFにより、原液供給ライン17を介して供給される。原液供給ライン17は、各原液分岐供給ライン18に分岐され、原液は各原液分岐供給ライン18を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各原液分岐供給ライン18には、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられており、開弁された原液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に原液が供給される。
【0044】
溶離液16は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPDにより、溶離液供給ライン20を介して供給される。溶離液供給ライン20は、各溶離液分岐供給ライン21に分岐され、溶離液は各溶離液分岐供給ライン21を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各溶離液分岐供給ライン21には、開閉可能な溶離液供給弁D1、D2、D3、D4が設けられており、開弁された溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に溶離液が供給される。
【0045】
原液供給ライン17から原液タンク2への循環ライン32、溶離液供給ライン20から溶離液タンク15への循環ライン33、循環系7のいずれかの部位に接続された排出ライン34には、それぞれ、安全弁35、36、37が設けられており、過大な圧力が加わった場合に、各タンクへの循環あるいは系外排出により、装置の破損等を防止できるようになっている。
【0046】
このように構成されたクロマト分離装置31において分離処理は次のように行われる。すなわちクロマト分離装置1では、原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、および一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに系内の液を循環させる工程の4つの工程の運転が可能となっており、これらの工程を組み合わせることで分離を行うことができる。
【0047】
原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(F−A工程)では、いずれかの原液供給弁を開き、原液を対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8を通じてA画分の全量を抜き出す。
【0048】
溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−C工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給し、C画分の抜き出し位置に相当するC画分抜き出し弁Cを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、C画分抜き出しライン10を通じてC画分の全量を抜き出す。
【0049】
溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−A工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8を通じてA画分の全量を抜き出す。
【0050】
一切の供給、抜き出しを行わずに系内の液を移動させる工程(循環工程)では、すべての原液供給弁、溶離液供給弁、A画分抜き出し弁A、C画分抜き出し弁Cを閉じ、すべての遮断弁を開いた状態で、循環ポンプPRを起動させることにより、系内の液を循環させる。
【0051】
上記クロマト分離装置31を用いた運転の一例を、表2に示す。表2には、F、D弁の開閉制御状態を示し、表中の数字は各弁の番号を示し(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、A、C弁の項では、全量抜き出しを行う弁の番号を示している。空欄の場合にはその弁での抜き出しは行わない。R弁については、その番号が記入されている弁が閉弁されることを表している。空欄の場合には、開弁の状態を示している。さらに、原液供給ポンプPF、溶離液供給ポンプPDおよび循環ポンプPRの項では、丸印は運転状態を示しており、空欄の場合には、停止状態を示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2において、工程No.1−1〜1−5から工程No.4−1〜No.4−5までが、本クロマト分離装置31における分離処理の1サイクルを示している。
【0054】
(工程1−1について)
工程No.1−1〜1−5についてみるに、工程1−1では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−1は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すD−A工程に相当している。
【0055】
(工程1−2について)
工程1−2では、原液供給弁F1を開き原液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−2は本発明で言う原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すF−A工程に相当している。
【0056】
(工程1−3について)
工程1−3では、すべての原液供給弁、溶離液供給弁、A画分抜き出し弁A、C画分抜き出し弁Cを閉じ、すべての遮断弁を開いた状態で、循環ポンプPRを起動させることにより、循環系内の液を循環させる。したがって、この工程1−3は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。
【0057】
(工程1−4について)
工程1−4では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜出弁C3を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−4は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出すD−C工程に相当している。
【0058】
(工程1−5について)
工程1−5では、すべての原液供給弁、溶離液供給弁、A画分抜き出し弁A、C画分抜き出し弁Cを閉じ、すべての遮断弁を開いた状態で、循環ポンプPRを起動させることにより、循環系内の液を循環させる。したがって、この工程1−5は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。
【0059】
以上の一連の工程1−1〜1−5では、原液、溶離液の供給位置、A画分、C画分の抜き出し位置、および循環工程における循環流体抜き出し弁の位置は、ある特定の位置関係に保って実行され、これら一連の工程1−1〜1−5が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置を下流側に一つ移行し、次の一連の工程2−1〜2−5を実行する。この移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層式クロマト分離装置の運転操作と同等の機能を達成できる。
【0060】
一連の工程1−1〜1−5に続く工程2−1〜2−5、工程3−1〜3−5、工程4−1〜4−5では、上記の如く各弁の位置を一つずつ移行した状態にて、上記工程1−1〜1−5と同様の運転を実行する。工程1−1〜4−5までが実行されると、分離処理の1サイクルが終了する。
【0061】
上記分離操作においては、原液供給ポンプPFおよび溶離液供給ポンプPDは、定流量吐出設定としてもよいし、流量制御を行ってもよい。
【0062】
図3は本発明方法を実施するためのさらに別の実施態様に係るクロマト分離装置41を示しており、図1に示したのと同様の方式の装置において、多成分分離を行う場合のクロマト分離装置41を示している(本実施態様では、3成分分離)。
【0063】
本実施態様では、A画分およびC画分の抜き出しを行う図1、図2に示した実施態様に比べ、さらにB画分の抜き出しが行われる。この場合、循環系内を移動する速度が大きい画分と移動する速度が小さい画分の中間の移動速度の画分(B画分)の抜き出しを目的としたB画分抜き出し弁B4が設けられている。抜き出されたB画分は、B画分抜き出しライン24から循環系7外に引き抜かれる。
【0064】
各バルブ開閉サイクルについて、運転の一例を表3に示す。表3において、工程No.1−1〜1−4から工程No.4−1〜No.4−3までが、本クロマト装置における分離処理の1サイクルを示している。
【0065】
【表3】

【0066】
本実施態様においては、1−1工程(FD−B工程)でB画分を抜き出している。すなわち、原液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、また溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、供給された原液と溶離液の合計と等しい量をB画分の抜き出し位置に相当するB画分抜き出し弁Bを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、B画分抜き出しライン24を通してB画分の全量を抜き出す。A画分およびC画分の抜き出しについては、前記実施態様に準じる。
【0067】
なお、図3には3成分抜き出しの例を示したが、4成分以上に分離を実施する場合は、B画分抜出しラインを分岐させ、各成分が富化された画分を別々に集めることで、4成分以上の分離も達成することが可能である。
【実施例】
【0068】
次に、本発明を実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例1
内径2.2cm、長さ100cmの充填塔4本を無端直列に連結した図3に示す様なクロマト分離装置を用い、吸着剤にODSであるFS1830F(オルガノ社製)、脱離液にエタノール:水=9:1の混合溶液を用い、充填層温度を30℃に保ちながら、原液供給量Uf=0.49(L/L−ODSシリカゲル/day)、脱離液使用比率D/f(脱離液供給量/原液供給量)=25.6という運転条件で分離精製を行った。運転工程は表3に示す運転工程に従った。
【0070】
本実施例では、表4のような原料組成のパーム椰子由来のトコトリエノール原料を原液に用いた3成分分離となっており、高純度のトコトリエノールが中速度の成分の抜出し口から取り出される。このような条件で、クロマト分離装置を運転した結果(成分組成)を表5(純度)および表6(回収率)に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
【表6】

【0074】
比較例1
内径2.2cm、長さ50cmの充填塔8本を無端直列に連結した、特開2001-354690号公報に示されている、図4のようなクロマト分離装置51を用い、表7のような運転工程表を用いて、パーム椰子由来のトコトリエノール原料の分離を行った結果を表8(純度)、表9(回収率)に示す。
【0075】
【表7】

【0076】
なお、表7のバルブ開閉表におけるR弁の「8×」の×印は、そのR弁が閉まっている状態を表している。
【0077】
【表8】

【0078】
【表9】

【0079】
実施例1ではB画分に含まれるα−トコトリエノール、β、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの純度は90.7%、回収率は92.2%であるのに対して、比較例1では純度89.6%、回収率91.3%であった。このように本発明の実施例では、4塔と少ない単位充填塔数でありながら、かつ同じ吸着剤量でありながら高い分離効率、高い回収率を達成できた。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るクロマト分離方法に用いるクロマト分離装置の一例を示す機器系統図である。
【図2】本発明に係るクロマト分離方法に用いるクロマト分離装置の別の例を示す機器系統図である。
【図3】本発明に係るクロマト分離方法に用いるクロマト分離装置のさらに別の例を示す機器系統図である。
【図4】従来の方法(特開2001-354690号公報)に係るクロマト分離装置(3成分分離)の機器系統図である。
【符号の説明】
【0081】
1、31、41、51 クロマト分離装置
2 原液タンク
3 原液
4 単位充填層
5 吸着剤
6 配管
7 系
8 A画分抜出しライン
9 A画分合流管
10 C画分抜出しライン
11 C画分合流管
12 循環抜出しライン(溶離液供給ポンプを循環ポンプとして用いる場合)
13 循環抜出し合流管(溶離液供給ポンプを循環ポンプとして用いる場合)
14 逆止弁
15 溶離液タンク
16 溶離液
17 原液供給ライン
18 原液分岐供給ライン
19 原液戻りライン
20 溶離液供給ライン
21 溶離液分岐供給ライン
24 B画分抜出しライン(多成分分離を実施する場合)
32、33 循環ライン
34 排出ライン
35、36、37 安全弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着クロマトグラフィーまたは分配クロマトグラフィーの作用を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔から成り立ち、これらの単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状の循環系を構成した充填層に、2以上の成分を含む原液流体を通流させることにより、前記吸着剤に対する親和力の順に順次分けた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
原液と溶離液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内においてある成分が富化された充填塔に対応する箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を全量抜き出す第1工程と、一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第2工程を組み合わせ、かつ、
前記第1工程では原液または溶離液の供給位置と各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域の移動に合わせて循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことで分離を実施することを特徴とするクロマト分離方法。
【請求項2】
前記吸着剤がシリカゲル、化学修飾を行ったシリカゲル、合成吸着剤のいずれかからなる、請求項1に記載のクロマト分離方法。
【請求項3】
運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すF−A工程またはFD−A工程、(3)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返す、請求項1または2に記載のクロマト分離方法。
【請求項4】
運転工程として、(1)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すF−A工程またはFD−A工程、(2)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(3)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返す、請求項1または2に記載のクロマト分離方法。
【請求項5】
運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(3)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(4)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すF−C工程またはFD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返す、請求項1または2に記載のクロマト分離方法。
【請求項6】
運転工程として、(1)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第1の画分抜き出し位置から抜き出すD−A工程、(2)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程、(3)原液または原液および溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すF−C工程またはFD−C工程、(4)溶離液を供給するとともに抜き出し液量の全量を第2の画分抜き出し位置から抜き出すD−C工程、(5)一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させるR工程の順序で繰り返す、請求項1または2に記載のクロマト分離方法。
【請求項7】
前記第2工程では、循環系内の一箇所または二箇所から全量を抜き出し、循環系内から抜き出した液を溶離液ポンプおよび/または原液供給ポンプに流入させ溶離液ポンプおよび/または原液供給ポンプを用いて循環系内から抜き出した液を再び循環系内に供給することによって循環系内の循環を行うことを特徴とするクロマト分離装置を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載のクロマト分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−64944(P2007−64944A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255014(P2005−255014)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】