説明

クローラクレーンの旋回フレーム

【課題】車幅を短縮するため、上部旋回体の旋回中心に対してブームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンにおいて、旋回フレームの左右ブームフット部における撓み量の差異を極小化し得る旋回フレームを提供する。
【解決手段】旋回フレーム2を構成する底板3の長手方向に、一対の側板4a,4bが左右直立して延設される一方、前記底板3の前端部に、前記側板4a,4bに対し任意の角度θをなして第1縦板8a,8bが夫々立設され、これら第1縦板8a,8bが、ブーム7aの左右方向中心線C2′を前記旋回中心Cに近づける様に、前記旋回フレーム2の左右方向に夫々シフトして前記側板4a,4bに接合されると共に、前記第1縦板8a,8bにブームフット部10a,10bが設けられたクローラクレーンの旋回フレーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームと、クローラ(無限軌道)を有する下部走行体と、この下部走行体の上部に旋回可能に設置された上部旋回体とが備えられ、前記上部旋回体の旋回中心に対して、前記ブームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンの旋回フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先ず、従来例に係るクローラクレーンにつき、添付図3〜7を参照しながら説明する。図3は従来例に係る一般的なクローラクレーンの概要を示す模式的外観図、図4は図3のクローラクレーンの上部旋回体を平面視した模式的平面図、図5は従来例に係るクローラクレーンの旋回フレームに係り、図(a)は上部旋回体の旋回中心がブームの左右方向中心線と略一致する構成の模式的平面図、図(b)は上部旋回体の旋回中心に対して、ブームの左右方向中心線がオフセットされた構成の模式的平面図である。
【0003】
クローラクレーンとは、図3に示す様にラチス構造のブーム21を備えた、クローラ(無限軌道)22aで自走可能なクレーンのことである。基本的な構造としては、前端部に設けられたラチス構造のブーム21と、クローラ22aを有する下部走行体22と、前記下部走行体22の上部に設置される上部旋回体23と、前記下部走行体22と上部旋回体23にボルト固定され、前記上部旋回体23を旋回自在に搭載する旋回ベアリング24と、上部旋回体23の後端部に設けられたカウンターウエイト25が備えられている。クレーンの機構は、旋回ベアリング24の中心である旋回中心を支点に、前記上部旋回体23を介して吊り荷Wとカウンターウエイト25を釣り合わせてバランスをとっている。
【0004】
そして、前記上部旋回体23は、中央の旋回フレーム23aと左右のデッキフレーム23bで構成されており、前記旋回フレーム23a上にブーム21やウインチ26等が搭載される一方、前記デッキフレーム23bには運転室27やエンジン28等の設備を収納した機械室が設置されている。また、前記旋回フレーム23aを構成する底板には、図5に示す如く、長手方向に左右直立して側板30a,30bが延設されると共に、その前端部にはブームフット部21a,21bが設けられている。クローラクレーンは、通常作業時において、ブーム21からの負荷荷重は、前記ブームフット部21a,21bから旋回ベアリング29に伝達される。
【0005】
従来例に係るクローラクレーンでは、図5(a)に示す如く、上部旋回体23の旋回中心Cを通る左右方向の上部旋回体中心線C1とブーム21の左右方向中心C2がほぼ同一線上に配置されているため、ブームフット部21a,21bの撓み量は左右でほぼ均等となる。一方、この様なクローラクレーンを輸送する際、輸送規制により輸送許可申請が必要となる。輸送幅が小さいほど輸送条件が緩和されるため、輸送する本体幅をできるだけ小さくすることが望まれる。対応として上部旋回体23の左右デッキフレーム23bに搭載されるエンジン28を含む各種機器の配置を変更することにより、左右デッキフレーム23bの幅を抑制することが考えられる。
【0006】
ところが、クレーンの本体幅を縮める為に上部旋回体23の機器配置を変更すると、図5(b)に示す如く上部旋回体23の中心Cを通る左右方向の上部旋回体中心線C1が左右方向(本例では右方向)に偏ってしまい、上部旋回体中心線C1とブーム中心C2がオフセットした構造になってしまう。この様な場合、ブーム21からの荷重が負荷されるブームフット部21a,21bのうち、左側のブームフット部21aは、旋回ベアリング29上から外れた構造とせざるを得ず、ブーム21からの荷重は前記旋回ベアリング29部分で支持する構造であるため、前記左側のブームフット部21aは、右側のブームフット部21bに比べて撓み量が増大する。この結果、前記ブームフット部21a,21bが左右不均等な撓み量となり、特にブーム21の横方向変位が増大するという問題が生じる。
【0007】
そこで次に、クレーンにおける上記問題点を解決する従来技術につき、以下添付図6,7を参照しながら説明する。図6は従来技術1に係るクレーンの実施形態における旋回フレームの平面図、図7は従来技術2に係るクレーンの実施形態における旋回フレームの部分平面図である。
【0008】
従来技術1に係るクレーンは、ブームが旋回中心に対してオフセットして配置されるホイールクレーンにおいて、旋回中心Oの両側に配置された左右一対のブーム支持ブラケット39,40のうち、旋回中心Oに近い側のブラケット40の外側面に、荷重伝達フレーム46及び蓋板47を取付けて箱構造の荷重伝達部Pを構成し、旋回フレーム33に作用する荷重をこの荷重伝達部Pを通る経路で旋回軸受32を通じて下部走行体に伝達する構成として、旋回安定性を向上させている(特許文献1参照)。
【0009】
また、従来技術2に係るクレーンは、ブームが旋回中心に対してオフセットして配置されるホイールクレーンにおいて、両側ブーム支持ブラケット56,57が、旋回中心Oから異なる距離を持って配置されていることを前提として、この両ブラケット56,57の後端旋回半径Ra,Rbがほぼ同一となる条件下で、旋回中心Oに近い側のブラケット57の後端とブーム起伏中心αとの距離Laと、旋回中心Oから遠い側のブラケット56の後端とブーム起伏中心αとの距離Lbの関係を、La>Lbに設定するものである(特許文献2参照)。図6,7において、符号55はブームフットピンを示す。
【0010】
しかしながら、これら従来技術1,2は何れもホイールクレーンにおける対応である。ホイールクレーンでは、図6,7に示す様にブームフットピン55が車体の後方に位置し、旋回ベアリング後方に大きくオーバハングしている構造である。そのため、ブームの旋回中心Oに対するオフセット量に比べてオーバハング量が非常に大きく、如何に荷重を旋回フレームに確実に伝達させるかが重要となる。
【0011】
これに対して、図3〜5を用いて説明したクローラクレーンはブームフット部21a,21bが前方に位置し、オーバハング量とオフセット量が同等もしくはオフセット量の方が大きい配置である。従って、オフセット構造とすることにより、ブーム撓みに左右の不均等が生じるというホイールクレーンにはないクローラクレーン固有の問題が生じるため、前期従来技術1または2によってもこの問題点を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−72384号公報
【特許文献2】特開2000−63085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、車幅を短縮するため、上部旋回体の旋回中心に対してブームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンにおいて、旋回フレームの左右ブームフット部における撓み量の差異を極小化し得る旋回フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るクローラクレーンの旋回フレームが採用した手段は、ブームと、クローラを有する下部走行体と、この下部走行体の上部に旋回可能に設置された上部旋回体とが備えられ、前記上部旋回体の旋回中心に対して、前記ブームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンの旋回フレームにおいて、この旋回フレームを構成する底板の長手方向に、一対の側板が左右直立して延設されるものである。
【0015】
一方、前記旋回フレームの底板前端部には、前記一対の側板に対し任意の角度をなして第1縦板が夫々立設され、これら一対の第1縦板が、前記ブームの左右方向中心線を前記旋回中心に近づける様に、前記旋回フレームの左右方向に夫々シフトして前記側板に接合されると共に、前記第1縦板にブームフット部が設けられてなることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項2に係るクローラクレーンの旋回フレームが採用した手段は、請求項1に記載のクローラクレーンの旋回フレームにおいて、前記第1縦板が前記側板となす任意の角度が、0度(側板に平行)とされてなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項3に係るクローラクレーンの旋回フレームが採用した手段は、請求項1または2に記載のクローラクレーンの旋回フレーム構造において、前記側板及び/または前記第1縦板に略直交する第2縦板が、前記底板に立設されると共に互いに接合され、前記側板、第1縦板、第2縦板及び底板によって箱型構造が形成されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に係るクローラクレーンの旋回フレームによれば、ブームと、クローラを有する下部走行体と、この下部走行体の上部に旋回可能に設置された上部旋回体とが備えられ、前記上部旋回体の旋回中心に対して、前記ブームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンの旋回フレームにおいて、この旋回フレームを構成する底板の長手方向に、一対の側板が左右直立して延設される一方、前記旋回フレームの底板前端部に、前記一対の側板に対し任意の角度をなして第1縦板が夫々立設され、これら一対の第1縦板が、前記ブームの左右方向中心線を前記旋回中心に近づける様に、前記旋回フレームの左右方向に夫々シフトして前記側板に接合されると共に、前記第1縦板にブームフット部が設けられてなる。
【0019】
そのため、旋回ベアリング上からはみ出ていた側のブームフット部は前記ベアリングに近づき撓み量は低減する一方、反対側のブームフット部は前記ベアリングから離れる方向に移動し、前記撓み量は増大することになる。その結果、前記両ブームフット部の撓み量をほぼ同一とすることが可能となる。また、左右のブームフット部の撓み量がほぼ同一となる様に、前記両ブームフット部の位置を調整することにより、ブームの横方向変位量を軽減することも可能となる。
【0020】
また、本発明の請求項2に係るクローラクレーンの旋回フレームによれば、前記第1縦板が前記側板となす任意の角度が0度(側板に平行)とされてなるので、高剛性の四角柱形状を有する箱型構造を形成し易い。
【0021】
更に、本発明の請求項3に係るクローラクレーンの旋回フレームによれば、前記側板及び/または前記第1縦板に略直交する第2縦板が、前記底板に立設されると共に互いに接合され、前記側板、第1縦板、第2縦板及び底板によって三角柱または四角柱の箱型構造が形成されてなるので、より強固な剛性支持構造が得られると共に、ブームフット部から作用する荷重を確実に側板へ伝達可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るクローラクレーンの旋回フレームを模式的に平面視した模式的平面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るクローラクレーンの旋回フレームを模式的に平面視した模式的平面図である。
【図3】従来例に係る一般的なクローラクレーンの概要を示す模式的外観図である。
【図4】図3のクローラクレーンの上部旋回体を平面視した模式的平面図である。
【図5】従来例に係るクローラクレーンの旋回フレームに係り、図(a)は上部旋回体の旋回中心がブームの左右方向中心線と略一致する構成の模式的平面図、図(b)は上部旋回体の旋回中心に対して、ブームの左右方向中心線がオフセットされた構成の模式的平面図である。
【図6】従来技術1に係るクレーンの実施形態における旋回フレームの平面図である。
【図7】従来技術2に係るクレーンの実施形態における旋回フレームの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態1に係るクローラクレーンの旋回フレームを、添付図1を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るクローラクレーンの旋回フレームを模式的に平面視した模式的平面図である。
【0024】
本発明の実施の形態1に係るクローラクレーンの上部旋回体1を構成する旋回フレーム2の要部は、図1に示す如く、旋回フレーム底板(以下単に、底板とも言う)3と、この底板3の長手方向に左右直立して延設された一対の側板4a,4bから構成されている。そして、この旋回フレーム2と左右のデッキフレーム5a,5bとによって、上部旋回体1が構成されている。
【0025】
デッキフレーム5a,5b上に搭載する各種機器を、本体幅を規制値内に納める様に配置した結果、右側のデッキフレーム5bの幅D2が、左側のデッキフレーム5aの幅D1より大きくなったとすれば、上部旋回体1の旋回中心Cは、旋回フレーム2の(即ち、側板のブームフット部に取付けられた場合のブーム7aの)左右方向中心線C2´より右側にオフセットされた上部旋回体中心線C1上に配置される。そして、前記上部旋回体1の旋回中心Cには、図示しないベアリング固定ボルトによって前記旋回ベアリング6のアウターレースが固定される一方、図示しない下部走行体のフレームには、前記旋回ベアリング6のインナーレースがボルト固定され、上部旋回体1を旋回自在としている。
【0026】
本発明の実施の形態1に係るクローラクレーンの旋回フレームは、上記の如く、前記上部旋回体の旋回中心Cに対して、前記ブーム7aの(換言すれば、旋回フレーム2の)左右方向中心線C2´が左方向にオフセットされたクローラクレーンの旋回フレームに関する。
【0027】
一方、旋回フレーム底板3の前端部には、前記一対の側板4a,4bに対し任意の同一角度θをなして前方に開口配置された第1縦板8a,8bが夫々立設して接合されるが、これら第1縦板8a,8bは、前記ブーム7aの左右方向中心線C2´を前記旋回中心Cを通る上部旋回体中心線C1に近づける様に、図1に示す如く前記旋回フレーム2の右方向にシフトして、前記側板4a,4bに夫々接合されている。そして更に、前記第1縦板8a,8b夫々にはブームフット部10a,10bが設けられ、ブーム7に負荷される荷重はこれらブームフット部10a,10bに負荷されることとなる。
【0028】
そして、前記ブーム7aの左右方向中心線C2´は、前記旋回中心Cが通る上部旋回体中心線C1近傍のブーム7の左右方向中心線C2にシフトして、前記上部旋回体1の旋回中心Cに対して、前記ブーム7aの左右方向中心線C2´が左方向にオフセットされた状態が解消される。
【0029】
即ち、旋回ベアリング6からはみ出ていた左側のブームフット部は、前記ベアリング6に近づいた基端部10aに移動してその撓み量を低減する一方、右側のブームフット部は前記ベアリングから離れた基端部10bに移動し、前記撓み量を増大することになる。その結果、前記両ブームフット部10a,10bの撓み量をほぼ同一とすることが可能となる。また、左右のブームフット部10a,10bの撓み量がほぼ同一となる様に、前記両ブームフット部10a,10bの位置を調整することにより、ブーム7の横方向変位量を軽減することも可能となる。
【0030】
また更に、前記側板4a,4bに夫々略直交する第2縦板9a,9bが、前記底板3の前端部に立設されると共に互いに接合され、前記側板4a、第1縦板8a、第2縦板9a及び底板3によって三角柱形状を有する箱型構造11aが形成され一方、前記側板4b、第1縦板8b、第2縦板9b及び底板3によって三角柱形状を有する箱型構造11bが夫々形成されるのが好ましい。前記ブームフット部10a,10bの支持構造が、三角柱形状を有する箱型構造11a,11bに構成されることによって、より強固な剛構造が得られると共に、ブームフット部10a,10bから作用する荷重を、確実に側板4a,4bへ伝達可能となるためである。
【0031】
尚、上記においては、前記第2縦板9a,9bが側板4a,4bに夫々略直交する例で説明したが、前記第2縦板9a,9bは第1縦板8a,8bに夫々略直交する構成でも良い。また、上記例においては、左側のブームフット部10aは撓み量が低減する一方、右側のブームフット部10bは撓み量を増大するので、前記第2縦板9a,9bのうち、左側のブームフット部10aを補強する第2縦板9aは必ずしも必要とせず、場合により省略することもできる。
【0032】
次に、本発明の実施の形態2に係るクローラクレーンの旋回フレームを、添付図2を参照しながら説明する。図2は本発明の実施の形態2に係るクローラクレーンの旋回フレームを模式的に平面視した模式的平面図である。
【0033】
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、第1縦板及び第2縦板の配設に相違があり、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
【0034】
即ち、上記実施の形態1においては旋回フレーム底板3の前端部には、一対の側板4a,4bに対し任意の同一角度θをなして前方に開口配置された第1縦板8a,8bが夫々立設して接合される、一方、前記側板4a,4bに夫々略直交する第2縦板9a,9bが、前記底板3に立設されると共に互いに接合され、前記側板4a、第1縦板8a、第2縦板9a及び底板3によって三角柱形状を有する箱型構造11aが形成され、前記側板4b、第1縦板8b、第2縦板9b及び底板3によって三角柱形状を有する箱型構造11bが夫々形成されていた。
【0035】
これに対し、本発明の実施の形態2においては、旋回フレーム底板3の前端部には、第1縦板8a,8bが側板4a,4bと夫々なす角度θが0度(即ち、側板4a,4bに平行)とされてなる一方、前記側板4a,4bに夫々略直交する2対の第2縦板9a-1,9b-1及び9a-2,9b-2が、前記底板3に立設されると共に互いに接合され、前記側板4a、第1縦板8a、第2縦板9a-1,9a-2及び底板3によって四角柱形状を有する箱型構造12aが形成され、前記側板4b、第1縦板8b、第2縦板9b-1,9b-2及び底板3によって四角柱形状を有する箱型構造12bが形成されている。
【0036】
即ち、本発明の実施の形態2に係るクローラクレーンの旋回フレームは、前記ブームフット部10a,10bの支持構造が、夫々四角柱形状を有する箱型構造12a,12bに構成されることによって、より強固な剛構造が得られると共に、ブームフット部10a,10bから作用する荷重を、確実に側板4a,4bへ伝達可能となる。
【0037】
尚、左側のブームフット部10aは撓み量が低減する一方、右側のブームフット部10bは撓み量を増大するので、前記第2縦板9a-1,9b-1のうち、左側のブームフット部10aを補強する第2縦板9a-1は前記実施の形態1と同様必ずしも必要とせず、場合により省略することもできる。
【0038】
以上説明した通り、本発明に係るクローラクレーンの旋回フレームによれば、旋回フレームを構成する底板の長手方向に、一対の側板が左右直立して延設される一方、前記旋回フレームの底板前端部に、前記一対の側板に対し任意の角度をなして第1縦板が夫々立設され、これら一対の第1縦板が、前記ブームの左右方向中心線を前記旋回中心に近づける様に、前記旋回フレームの左右方向に夫々シフトして前記側板に接合されると共に、前記第1縦板にブームフット部が設けられてなるので、前記両ブームフット部の撓み量をほぼ同一とすることが可能となる。また、左右のブームフット部の撓み量がほぼ同一となる様に、前記両ブームフット部の位置を調整することにより、ブームの横方向変位量を軽減することも可能となる。
【0039】
尚、上記実施の形態においては、前記上部旋回体の旋回中心Cに対して、前記ブームの左右方向中心線C2´が左方向にオフセットされた場合のクローラクレーンの旋回フレームについて説明したが、本発明に係るクローラクレーンの旋回フレームは、前記ブームの左右方向中心線C2´が左方向にオフセットされた場合に限定されることなく、前記ブームの左右方向中心線C2´が右方向にオフセットされた場合についても有効であることは言うまでもない。
【0040】
また、上記実施の形態1においては、第1縦板8a,8bが側板4a,4bと夫々なす角度θが任意の同一角度とされる例で、上記実施の形態2においては、第1縦板8a,8bが側板4a,4bと夫々なす角度θが0度(即ち、側板4a,4bに平行)とされてなる例で説明したが、前記第1縦板8a,8bが側板4a,4bと夫々なす角度θは必ずしも同一角度である必要性はなく、多少異なって構成されても良い。
【符号の説明】
【0041】
C:旋回中心,
C1:上部旋回体中心線,
C2:ブームの左右方向中心線,
C2´:旋回フレームの(側板のブームフット部に取付けられた場合のブームの)左
右方向中心線,
D1,D2:デッキフレーム幅,
θ:第1縦板が側板となす任意の角度,
1:上部旋回体, 2:旋回フレーム, 3:(旋回フレーム)底板,
4a,4b:側板,
5a,5b:デッキフレーム,
6:旋回ベアリング,
7:ブーム, 7a:側板のブームフット部に取付けられた場合のブーム,
8a,8b:第1縦板,
9a,9b,9a-1,9a-2,9b-1,9b-2:第2縦板
10a,10b:ブームフット部,
11a,11b:三角柱形状を有する箱型構造,
12a,12b:四角柱形状を有する箱型構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、クローラを有する下部走行体と、この下部走行体の上部に旋回可能に設置された上部旋回体とが備えられ、前記上部旋回体の旋回中心に対して、旋回フレームの左右方向中心線が左右何れか一方にオフセットされたクローラクレーンの旋回フレームにおいて、
この旋回フレームを構成する底板の長手方向に、一対の側板が左右直立して延設される一方、
前記旋回フレームの底板前端部に、前記一対の側板に対し任意の角度をなして第1縦板が夫々立設され、これら一対の第1縦板が、前記ブームの左右方向中心線を前記旋回中心に近づける様に、前記旋回フレームの左右方向に夫々シフトして前記側板に接合されると共に、
前記第1縦板にブームフット部が設けられてなることを特徴とするクローラクレーンの旋回フレーム。
【請求項2】
前記第1縦板が前記側板となす任意の角度が、0度(側板に平行)とされてなることを特徴とする請求項1に記載のクローラクレーンの旋回フレーム。
【請求項3】
前記側板及び/または前記第1縦板に略直交する第2縦板が、前記底板に立設されると共に互いに接合され、前記側板、第1縦板、第2縦板及び底板によって箱型構造が形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のクローラクレーンの旋回フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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