説明

グラファイト小板を包含するシアノアクリレート組成物

本発明は、強化されたシアノアクリレート接着剤組成物に関する。より具体的には、本発明は、組成物の剪断強度および剥離強度を高めるグラファイト小板材料を含む、強化されたシアノアクリレート接着剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、剪断強度および剥離強度が改良されていることを示すシアノアクリレートに基づいた接着剤組成物を目的としている。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
シアノアクリレート組成物は、昔から優れた接着剤として当該技術分野において公知である。しかしながら、
それらの主要な欠点の1つは硬化後の脆性である。
【0003】
様々なフィラーがシアノアクリレート接着剤組成物に包含され、ある特性の変化をもたらした。米国特許第2,794,788号公報は、有効量の高分子アルキルシアノアクリレート、さらにはポリアクリレート、メタクリレート、およびアセテート、プロピオネートおよびブチレートのようなセルロースエステルなどの他の化合物をシアノアクリレート接着剤に溶解して、この接着剤を増粘することを教示している。
【0004】
米国特許第3,836,377号公報は、さらなる公知の増粘剤である、ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテルに言及している。米国特許第3,692,752号公報は、ある種のポリエーテルアクリレート/メタクリレート、ビス(ヒドロキシアルキル)ホスホン酸誘導体のアクリル/メタクリルエステル、およびトリス(ヒドロキシアルキル)シアヌル酸誘導体のアクリル/メタクリルエステルを含有する増粘化シアノアクリレート溶液を開示している。
【0005】
米国特許第4,105,715号公報は、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、および飽和エラストマーセグメントを含有するアクリルブロックコポリマー樹脂のような粉末化有機フィラーを含むシアノアクリレート接着剤組成物を開示している。
【0006】
米国特許第4,440,910号公報は、フィラーとしてアクリルゴムのような弾性ポリマーを含有し、強度および靱性が実質的に増加することを示すシアノアクリレート接着剤組成物を開示している。
【0007】
米国特許第4,560,723号公報は、シアノアクリレートの重合を早まって起こす不純物を除去するための処理がなされているコア−シェル熱可塑性/ゴムコポリマーのような強化材ならびに剥離強度および靱性の保持力を改良するために1つ以上のアリール基を有する相溶性有機化合物を含有するシアノアクリレート接着剤組成物を開示している。
【0008】
米国特許第5,340,873号公報は、高分子量ポリエステルポリマーを添加して、柔軟性が良好で耐衝撃性および靱性が改良されたシアノアクリレート組成物を教示している。
【0009】
米国特許第6,822,052号公報は、弾性コポリマーがシアノアクリレートモノマーに添加され、接着剤の靱性が硬化によって増加するシアノアクリレート接着剤組成物を開示している。
【0010】
米国特許第6,833,196号公報は、酸の発生が少なく、靱性が強化され、さらに定着速度が速められるアクリルモノマー強化剤を含むシアノアクリレート接着剤組成物を開示している。
【0011】
これらの最新技術にもかかわらず、剥離および剪断強度が強化されたことを示すシアノアクリレート接着剤組成物が引き続いて要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、シアノアクリレート成分に加えて、グラファイト小板材料のようなグラファイト成分を含むシアノアクリレート接着剤組成物を目的としている。このグラファイト成分の添加によって、剪断および剥離強度、破壊靱性および環境抵抗の改良などの物理的特性が強化されたシアノアクリレート接着剤組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
グラファイト成分は、多数のグラファイト材料から選択することができ、炭素濃度で約97%の標準的純度グラファイト、炭素濃度で約99%の高純度グラファイト、またはこれらの組合せなど、純度レベルが少なくとも約95%炭素グラファイトが望ましい。ある特定の態様では、グラファイト小板を使うと、グラファイト粒子を含む組成物よりも熱劣化に対する耐性および透水性が高い組成物を結果として生じる。このことは、粒子よりも大きい小板のサイズに起因していると考えられる。
【0014】
他の態様では、本発明は、少なくとも2つの基体を提供するステップ、前記少なくとも2つの基体の一方または両方の表面の少なくとも一部に、グラファイト成分を包含するシアノアクリレート組成物を塗布するステップ、前記少なくとも2つの基体の表面を接触させてシアノアクリレート組成物を前記少なくとも2つの基体の表面間に有するステップ、およびシアノアクリレート組成物を硬化するステップを含む、前記2つ以上の基体を結合する方法を目的とする。
【0015】
さらに他の態様では、本発明は、第1表面を有する第1基体、第2表面を有する他の基体、および前記第1および第2表面の間に配置された硬化シアノアクリレート組成物を含む、結合された組立品を志向しており、この組成物は、硬化する前に包含された上記のシアノアクリレート成分およびグラファイト成分を有する。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は、組成物を硬化する前にグラファイト小板成分をこの組成物に包含することによって剥離強度、ブロック剪断、破壊靱性および環境抵抗を高める方法を志向している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
【0018】
本発明は強化されたシアノアクリレート組成物に関与し、これはシアノアクリレート成分より優れたグラファイト成分を含む。グラファイト成分の性質によって決まる靱性が組成物に付与される。
【0019】
本発明のシアノアクリレート組成物は、少なくとも1種のシアノアクリレートモノマーを含むシアノアクリレート成分を含む。このシアノアクリレートは、下記の構造:
【0020】
【化1】

で表される、α−シアノアクリレートエステルであることが好ましい。式中、Rは、1から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基(ハロゲン原子またはアルコキシ基のような置換基で置換されていてもよい)、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルケニル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキニル基、シクロアルキル基、アラルキル基または任意のアリール基を表す。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、プロパギル基、シクロへキシル基、ベンジル基、フェニル基、クレシル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、トリフルオロエチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシブチル基および2−エトキシエチル基が挙げられる。エチルシアノアクリレートは、本発明の組成物において選択して使用するのに特に好ましい。
【0021】
単一のα−シアノアクリレートモノマーまたはこれらのα−シアノアクリレートモノマーの2種以上の混合物を使用することができる。一般に、上記α−シアノアクリレートモノマーは接着剤として単独で使用され、下記のような1種以上の成分を使用して商業用組成物が形成される。追加の成分としては、促進剤、アニオン重合禁止剤、ラジカル重合禁止剤、可塑剤、熱安定剤および強化剤のような添加物、フィラー、および/または香水、色素、および顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの添加物の使用は、当業者に公知である。
【0022】
本発明の組成物に存在するシアノアクリレートモノマーの適した量は、組成物の全重量を基準にして約50から約99重量%、例えば、60から90重量%、好ましくは85重量%から約98重量%である。
【0023】
本発明の組成物は、グラファイト成分が含まれることによって靱性が強化され、このグラファイト成分を含まない対応する組成物と比較した場合、グラファイト成分が靱性特性を強化している。
【0024】
本発明に従って使用するグラファイト成分は、グラファイト小板構造で表すことができる。より具体的には、グラファイトは、グラファイトの物理的構造を変えてグラファイト小板構造を形成するように処理、加工される採鉱グラファイトから誘導され、特定の性質および寸法を有する。例えば、採鉱グラファイトに酸を含浸させ、炉に通して酸を急速に蒸発しグラファイトを剥離させることができる。このような方法は、例えば、米国特許第6,129,972号公報において教示されており、この開示は本明細書において参照により明示的に組み込まれる。次いで
剥離グラファイトは、ジェット粉砕のような機械的な処理にかけることができる。
【0025】
このような加工によって製造され、本発明で有用なグラファイト成分は、様々な形状と大きさのフレークおよび小板の形態を示し、長さと幅の寸法が一般に、約1ミクロメーター(μm)から約100μm、特に約2μmから約50μm、例えば、約5μmから約20μmであり、小板厚さが平均で1μm未満、特に約0.1から約0.9μm(すなわち、数百ナノメータに及ぶ)である。このようなグラファイト小板は、グラファイト小板とは異なる形態を有するグラファイト粒子またはグラファイト繊維とは区別される。特に、粒子は1つの特徴的な寸法である直径を有し、アスペクト比が1で、充填濃度に反して強化の程度が低くなる。繊維は2つの特徴的な寸法である直径と長さを有し、これらの比は繊維のアスペクト比、従って強化の相対的な効率を規定する。小板は3つの特徴的な寸法である長さ(length)、幅(width)および厚さ(thickness)を有し、2つのアスペクト比(w/tおよびl/t))の比率は1に近く、低い充填濃度で最大の強化が達成される特異な利点を有する。
【0026】
グラファイト小板は、少なくとも約95%炭素、好ましくは約97%炭素、さらに好ましくは約99%炭素の純度レベルを示す。このような高いレベルの純度は、さらにグラファイトを精製するために、剥離および粉砕処理に続いて任意に、精製処理にかけて得ることができる。これにより、高い濃度の炭素含量を達成し、そしてあらゆる残存する酸をグラファイト小板構造から除去する。
【0027】
本発明に従った有用で市販の入手可能なグラファイト小板材料の例としては、Graftech International社(Cleveland、OH)の製品で、純度が約97%炭素の標準的純度のグラファイト小板に相当する製品番号TG−679、および純度が約99%炭素の高純度グラファイト小板に相当するTG−684HP、407A、および407Bが入手できる。このような材料は、上記で指摘した酸剥離処理に従って製造され、望ましくは最終のグラファイト小板製品には残存する酸が含まれていないと考えられる。
【0028】
グラファイト成分の少なくとも一部がグラファイト小板である限りは、異なったグラファイト材料の組合せを使い、本発明に従って製造される組成物に望ましい物理的特性を与えることができると考えられる。
【0029】
グラファイト成分は、組成物の全重量を基準として、約0.1重量%から約5.0重量%の範囲の量で組成物中に含まれている。グラファイト成分は好ましくは、組成物の全重量を基準として、約0.1重量%から2.0重量%の間の量で、より好ましくは約1.0重量%の量で含まれている。
【0030】
一般に、アニオン重合禁止剤をα−シアノアクリレート組成物に添加して、この組成物の保存安定性を高める。シアノアクリレートモノマーを、ルイス酸型またはプロトン酸型の酸安定剤で安定化することが好ましい。限定的ではない有用な安定剤の例としては、一酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、三フッ化ボロン(BF)、フッ化水素(HF)、メタンスルホン酸(MSA)、有機スルトン禁止剤、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、スルホンおよびこれらの混合物および組合わせが挙げられる。1つの特定の態様では、本発明に対する安定剤システムとしては、MSAおよびSOが挙げられ、例えば、シアノアクリレートモノマーの量を基準として、約5から約30ppmの量のMSA、約2から約30ppmの量のSOが挙げられる。さらなる態様では、シアノアクリレートモノマーの量を基準として、BFを約5ppmから約50ppmの量で添加することができる。このような少量の安定剤を本発明の組成物とともに使って、安定性に対する懸念もなく最適な性能を有利に提供する。
【0031】
さらに、ラジカル重合禁止剤もシアノアクリレート組成物に、組成物の全重量を基準として約0.001から2.0%、特に0.03から0.5%添加して保存中に光で形成されるラジカルを捕捉することができる。このような禁止剤としては、通常はフェノール性のものであり、例えば、ヒドロキノンおよびヒドロキノンモノメチルエーテルが挙げられる。本発明で使用するのに適した他の禁止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびブチル化ヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0032】
増粘剤を添加してシアノアクリレート組成物の粘度を高めることができる。しかしながら、グラファイト小板材料は組成物を増粘する効果を示すので、増粘剤は好ましいわけではないが、特に組成物に包含されるグラファイト小板材料の量に依存する。保存安定性があるシアノアクリレート組成物の分散体を得るには、粘度は10,000cps以上が好ましい。使用する場合、様々な材料が増粘剤として役立つことができ、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、メタクリレート型コポリマー、アクリルゴム、セルロース誘導体、ポリビニルアセテートおよびポリ(α−シアノアクリレート)が例として挙げられる。増粘剤の適した量は、一般に、組成物の全重量を基準として約0.01%から約30重量%, 好ましくは約5.0%から約25重量%、例えば、約5.0%から約10%である。特に好ましい物理的特性を有する組成物は、10%未満のPMMA増粘剤が使用され、かつシリカ型の増粘剤が使用されていない場合に獲得できる。
【0033】
本発明のシアノアクリレート組成物には、さらに、1種以上のゴム強化材が含まれていてもよい。組成物には、例えば、米国特許第4,440,910号公報(O’Connor)に開示されているようなゴム強化材が含まれていてもよく、この公報は、本来は弾性体(すなわち、ゴム)である強化添加物として特定の有機ポリマーを開示している。このような弾性ポリマーは、例えば、低級アルケンモノマーと(i)アクリル酸エステル、(ii)メタクリル酸エステルまたは(iii)ビニルアセテートとのコポリマーから選択することができる。例えば、強化添加物は、1種以上のアクリルゴム、ポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアセテート、フッ素化ゴム、イソプレン−アクリロニトリルポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、および/またはポリビニルアセテートのホモポリマーであってもよい。
【0034】
弾性ポリマーは、アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー、低級アルケンのような他の重合可能モノマーとアクリル酸のアルキルまたはアルコキシエステルとのコポリマー、およびアクリル酸のアルキルまたはアルコキシエステルのコポリマーから選択することができる。アクリル酸のアルキルおよびアルコキシエステルと共重合できる他の不飽和モノマーとしては、ジエン、反応性ハロゲンを含有する不飽和化合物およびアクリルアミドのような他のアクリルモノマーが挙げられる。
【0035】
本発明の組成物において有用な弾性ポリマーの1つの群は、例えば、VAMAC N123およびVAMAC B−124のようなVAMACという名でDuPont社によって製造されたメチルアクリレートとエチレンとのコポリマーである。VAMAC N123およびVAMAC B−124は、エチレン/アクリルエラストマーのマスターバッチであることがDuPont社によって公表されている。
【0036】
Henkel社(Loctite社の後継会社として)は、’910特許の出願以来、長年にわたってゴム強化成分として、VAMAC B−124およびN123と言われるDupont社からの材料を使用して、ゴム強化シアノアクリレート接着剤製品を商標名BLACK MAXで販売してきた。従って、これらのDupont社の材料を使って、本発明の組成物を共強化することができる。さらに、従来、Henkel社は、透明で実質的に無色のゴムで強化されたシアノアクリレート接着剤製品、即ち、LOCTITE4203、42044205および435を販売してきた。これらはゴム強化成分としてDupont社の材料であるVAMAC GおよびVAMAC MRを使っており、同様にVAMAC GおよびVAMAC MRを使って本発明の組成物を共強化することができる。
【0037】
VAMAC VCSゴムはベースゴムで、このゴムからVAMAC製品ラインの残りの製品は構成されるように思われる。VAMAC VCSは、エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せ反応生成物であり、
一旦形成されるとその結果、実質的に、離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステルおよび/またはステアリン酸のような加工助剤、および置換ジフェニルアミンのような抗酸化剤を含まない。
【0038】
最近、Dupont社は市場にVAMAC VMX1012およびVCD6200の商標表示で、エチレンおよびメチルアクリレートから製造されるゴムを供給した。このVAMAC VMX1012ゴムは、ポリマー骨格中にほとんどか、まったくカルボン酸を含まないと考えられる。VAMAC VCSゴムと同様、VAMAC VMX1012およびVCD6200ゴムは、上記のように、実質的に、離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステルおよび/またはステアリン酸のような加工助剤、および置換ジフェニルアミンのような抗酸化剤を含まない。
【0039】
また、本発明の組成物は、(a)エチレン、メチルアクリレートおよびカルボン酸硬化サイトを有するモノマーの組合せの反応生成物、(b)エチレンおよびメチルアクリレートのジポリマー、および(a)と(b)の組合せを有するゴム強化成分で共強化することができ、一旦前記反応生成物および/またはジポリマーが形成されると、その結果、これらは実質的に、離型剤のオクタデシルアミン(ARMEEN18Dという商標名でAkzo Nobel社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)、複合有機リン酸エステル(VANFRE VAMの商標名でR.T.Vanderbilt社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)、ステアリン酸および/またはポリエチレングリコールエーテルワックスのような加工助剤、および置換ジフェニルアミン(NAUGARD445の商標名で、Uniroyal Chemical社から商業的に入手できることがDupont社によって公表されている)のような抗酸化剤を含まない。このようなゴム強化材の商品例としては、VAMAC MR、VMX1012およびVCD6200ゴムが挙げられ、これらもまた使用することができる。
【0040】
フタル酸無水物および他の可塑剤もシアノアクリレート成分に添加して、さらに、耐久性および衝撃、耐熱および耐湿気の助けになることができる。可塑剤は、組成物の全重量を基準にして約0.005%から約5.0重量%の量で存在することが好ましく、より好ましくは約0.01%から約2.0重量%である。
【0041】
香水、色素、顔料および類似物は、シアノアクリレートモノマーの安定性に悪い影響を与えず、使用目的によって決まる量で本発明の組成物に添加することができる。このような添加物の使用は、シアノアクリレート接着剤分野における当業者の実施技術の範囲であり、本明細書で詳述する必要はない。
【0042】
シアノアクリレート組成物で役立つことのできる促進剤としては、例えば、カリックスアレーン、オキサカリックスアレーン、およびこれらの組合せが挙げられる。カリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーンの多くは、公知であり、特許文献に記載されている。例えば、米国特許第4,556,700号、同4,622,414号、同4,636,539号、同4,695,615号、同4,718,966号、および同4,855,461号各公報を参照されたし。これらの開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0043】
他の潜在的に有用な促進剤成分は、クラウンエーテルである。多数のクラウンエーテルが公知である。例えば、本発明で個別にまたは組合せて使用するか、もしくは上記のカリックスアレーンおよびオキサカリックスアレーンと組合わせて使用することができるクラウンエーテルの例としては、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、トリベンゾ−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6、ジベンゾ−14−クラウン−4、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、シクロへキシル−12−クラウン−4、1,2−デカリル−15−クラウン−5、1,2−ナフト−15−クラウン−5、3,4,5−ナフチル−16−クラウン−5、1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−メチルベンゾ−5,6−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−t−ブチル−18−クラウン−6、1,2−ビニルベンゾ−15−クラウン−5、1,2−ビニルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−t−ブチルシクロへキシル−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6および1,2−ベンゾ−1,4−ベンゾ−5−酸素−20−クラウン−7が挙げられる。米国特許第4,837,260号(Sato)公報を参照されたし。この開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0044】
他の適した促進剤としては、米国特許第5,312,864号(Wenz)公報に記載された、シアノアクリレートに少なくとも部分的に可溶性であるα−、β−またはγ−シクロデキストリンのヒドロキシル基誘導体、米国特許第4,906,317号(Liu)公報に記載された、木材のような非活性化基体上に固定化および硬化を加速するためのシラクラウン化合物が挙げられる。シラクラウン化合物の例としては、以下の構造:
【0045】
【化2】

のものが含まれ、式中、RおよびRは、これら自体がシアノアクリレートモノマーの重合を起こさない有機基であり、Rは、HまたはCH、nは、1から4の整数である。適したRおよびR基の例としては、R基、メトキシのようなアルコキシ基、およびフェノキシのようなアリールオキシ基である。前記RおよびR基は、ハロゲンまたは他の置換基を含んでいてもよく、トリフルオロプロピルは1例である。しかしながら、RおよびR基として適していないのは、アミノ、置換アミノおよびアルキルアミノ基のような塩基性の基である。
【0046】
本発明の組成物で有用なシラクラウン化合物の具体例としては、
【0047】
【化3】

ジメチルシラ−11−クラウン−4、
【0048】
【化4】

ジメチルシラ−14−クラウン−5、および
【0049】
【化5】

ジメチルシラ−17−クラウン−6が挙げられる。
【0050】
組成物中に促進剤成分は、約0.1%から約10%の範囲で含まれていてもよく、約0.5%から約5%の範囲が好ましい。米国特許第4,170,585号、同4,450,265号、同6,294,629号、および同6,475,331号各公報を参照されたし。これらの内容は、参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0051】
本発明のシアノアクリレート組成物は、既定量のグラファイト成分をシアノアクリレート成分に添加し、均一溶液または懸濁液を得るのに十分な時間と温度で攪拌することによって簡単に製造される。
【0052】
グラファイト成分は、均一に分散した金属的な灰黒色を呈する組成物を提供する。そのようなものとして、グラファイト成分はシアノアクリレート組成物のための顔料として作用するので、特に、灰色の接着剤組成物が好ましい場合には、他の顔料または着色剤をさらに使う必要がない。
【0053】
グラファイト成分は、95%を超える炭素純度を有する高い濃度の純粋炭素に相当する。このグラファイト成分をシアノアクリレートモノマーと組合わせた場合、高い濃度の炭素が組成物に独特の色を付与し、暗灰色から黒色まで示す。
【0054】
本発明のシアノアクリレート組成物は、2つ以上の基体を結合させるのに有用である。 2つ以上の基体の1つの表面に大部分の組成物を配置することができる。次いで、他の基体をシアノアクリレート組成物上に置き、この2つの基体をともに接触させて、組立品を形成する。次いで、組立品を有利な硬化条件下に置き、シアノアクリレート組成物を硬化させる。
【0055】
本発明の組成物は、物理的特性が強化されており、硬化した場合に組成物の、例えば、強度、破壊靱性および環境抵抗が改善されている。こうした強化は、180℃での剥離強度ならびに引張りおよびブロック剪断強度のような様々な物理的特性によって明らかにされ、これらの特性は接着強度として好都合であることを示唆している。例えば、本発明に従った組成物は、0.1%まで低いグラファイト充填濃度でも、いかなるグラファイト成分も含んでいない組成物と比較した場合、剥離強度が50%より大きく改善されることを示す。グラファイト充填濃度は約1%が好ましく、いかなるグラファイト成分も含んでいない組成物と比較して、剥離強度は400%より大きく改善される。いかなるグラファイト成分も含まない組成物と、特にグラファイトの充填濃度が約1%である組成物とを比較した場合、ゴム変性剤を含む強化されたシアノアクリレート組成物では、改善によって剥離強度を35%より大きく増加することができる。
【0056】
いかなるグラファイト成分も含まない組成物と、特にグラファイトの充填濃度が約1%である組成物とを比較した場合、改善によってブロック剪断強度を40%より大きく増加することができる。また、いかなるグラファイト成分も含まない組成物と、特にグラファイトの充填濃度が約1%である組成物とを比較した場合、破壊靱性を100%を超えて著しく増加することができる。さらに、いかなるグラファイト成分も含まない組成物と、特にグラファイトの充填濃度が約1%である組成物とを比較した場合、改善によって環境劣化条件に暴露した後のラップ剪断強度を、20%より大きく増加することができる。
【0057】
下記の実施例は、本発明を説明することを意図しており、制限するものではない。
【実施例】
【0058】
実施例1
【0059】
試料1−13として特定されたシアノアクリレート組成物を、表1に説明するようにシアノアクリレート組成物中に様々な量のグラファイト小板材料を包含させて製造した。
【0060】
特定のシアノアクリレート成分に、指示された量のグラファイト小板材料を添加し、必要であればゆるやかに加熱し、グラファイト小板材料が組成物中に均一分散するまで組成物を攪拌して組成物を製造した。
【0061】
【表1】

【0062】
このように製造した試料1−13の組成物に対して、米国標準試験方法(ASTM)No.D−903に従った手順で剥離強度の試験を行なった。この試験方法は、参照して本明細書に組み込まれる。剥離強度を決定するのに使用した基体は、グリットブラスト仕上げスチール製の自在シムに結合されたグリットブラスト仕上げスチールを含んでいる。試験片を製造するのに使用されるグリットは、80メッシュ(mesh)シリコンカーバイド(SiC)である。各試料1−13の剥離強度の測定値を、表1のシアノアクリレート成分を含むが表1に記載のグラファイト小板成分を含まない対照シアノアクリレート組成物の剥離強度の測定値と比較した。
【0063】
本発明の試料1−13は、対照シアノアクリレート組成物と比べて、180℃での剥離強度試験における性能が有利であることを下の表2にまとめている。剥離強度の変化として報告する値は、いかなるグラファイト小板成分も含んでいない対照シアノアクリレート組成物と比較した本発明の試料1−13との剥離強度の違いをパーセントで表している。
【0064】
【表2】

【0065】
試料1−6の性能結果は、通常のシアノアクリレート組成物へグラファイト小板材料を添加すると、得られた硬化接着剤組成物の剥離強度が劇的に増加することを明示している。いかなるグラファイト小板材料も含まない同じシアノアクリレート組成物と比較した場合、試料3および6が各々503%および440%の剥離強度の増加を示し、グラファイト小板材料の充填濃度が1.0pphで剥離強度が大幅に増加するのがわかる。
【0066】
試料7−13の性能結果は、剥離強度の増加が、ゴム強化材を含むシアノアクリレート組成物においても同様に証明されることを明示している。いかなるグラファイト小板材料も含まない同じシアノアクリレート組成物と比べて、グラファイト小板充填濃度1.0pphで最適剥離強度を達成することを証明する試験から、これまでの性能結果は、特定のグラファイト小板充填濃度で剥離強度が最適に高められることを示唆する。
実施例2
【0067】
グラファイト小板材料を包含しているシアノアクリレート組成物の剪断強度を測定した。特に、シアノアクリレート組成物は、0.1および1%の高純度のグラファイト小板[〜99%炭素含量、Graftech Industries社(Cleveland OH)からTG−684HPとして入手できる]をシアノアクリレート接着剤組成物[Henkel社(Rocky Hill、CT)から市販のLOCTITE435]に包含させることによって各々試料14および15として製造した。試料14と15の組成物は、示された量のグラファイト小板材料をシアノアクリレート成分に添加し、グラファイト小板材料が組成物中に均一に分散するまで、攪拌およびゆるやかに加熱する条件下で製造した。
【0068】
こうして製造した組成物に対して、ASTM No.D−1002に従って引張剪断強度を試験した。この試験方法は参照して本明細書に組み込まれる。引張剪断強度は、環境条件で、0.5、3、6、24、および72時間の硬化後、相互に接着され、破壊まで引張られるグリットブラスト仕上げ軟鋼引張剪断を使用して決定した。各試料14と15の引張剪断強度の測定値を、表1で説明されたグラファイト小板成分を含まないLOCTITE435の引張剪断強度の測定値と比較した。
【0069】
このような実験は、本発明の試料14と15の引張ラップ剪断強度の値が、表3に示すように0.5時間から72時間の広い範囲の硬化時間で、対照シアノアクリレート組成物(いかなるグラファイト小板成分も含んでいない)の引張ラップ剪断強度と非常に類似していることを証明した。従って、シアノアクリレート組成物中にグラファイト小板材料を包含することは、こうした組成物の引張剪断強度に悪い影響を与えない。また、このような実験は、グラファイト小板材料をシアノアクリレート組成物に取り込んでも硬化時間または組成物強度の発現速度を著しく減少させないことを証明している。
【0070】
【表3】

実施例3
【0071】
特定のポリマー材料のブロック剪断強度を以下のように試験した。試料16としてのシアノアクリレート組成物は、1%の標準的純度のグラファイト小板[〜97%炭素含量、Graftech Industries社(Cleveland OH)からTG−679として入手できる]をシアノアクリレート接着剤組成物[Henkel社(Rocky Hill、CT)から市販のLOCTITE435]に包含させることによって製造した。試料16の組成物は、示された量のグラファイト小板材料をシアノアクリレート成分に添加することによって、必要であればゆるやかに加熱し、攪拌し、さらにグラファイト小板材料が組成物中に均一に分散するまでゆるやかに加熱する条件下で製造した。試料16の組成物をポリカーボネートおよびポリ塩化ビニルなど様々な基体の間に塗布し、ASTMNo.D−4501に従ってブロック剪断強度を試験した。この試験方法は、参照して本明細書に組み込まれる。
【0072】
様々な基体の間で試料16のブロック剪断強度の測定値と、グラファイト小板成分を含まないLOCTITE435の対照シアノアクリレート組成物のブロック剪断強度の測定値とを比較した。いかなるグラファイト小板材料も含んでいない同じシアノアクリレート組成物と比べて、ポリカーボネート基体で153%増加すること、およびポリ塩化ビニル基体で43%増加することにより、ブロック剪断強度の顕著な増加を明示した。
実施例4
【0073】
破壊靱性を以下のように試験した。試料17としてのシアノアクリレート組成物は、1%の標準的純度のグラファイト小板[〜97%炭素含量、Graftech Industries社(Cleveland OH)からTG−679として入手できる]をシアノアクリレート接着剤組成物[Henkel社(Rocky Hill、CT)から市販のLOCTITE411]に包含させて製造した。試料17の組成物は、示された量のグラファイト小板材料をシアノアクリレート成分に添加し、グラファイト小板材料が組成物中に均一に分散するまで、撹拌しゆるやかに加熱する条件下で製造した。クロム酸でエッチングした7075アルミニウムの間に試料17の組成物を塗布し、破壊靱性をASTM標準D−3433に従って試験した。この試験プロトコルは参照して本明細書に組み込まれる。この試験は、零ミルの誘導された結合間隙でアルミニウム・ダブルカンチレバービーム(二重片持ち梁)を含んでいた。
【0074】
試料17の測定値を、比較シアノアクリレート組成物であってグラファイト小板材料を含まないLOCTITE411の零間隙破壊靱性の測定値と比較した。いかなるグラファイト小板材料も含まない同じシアノアクリレート組成物と比べて、破壊靱性が111%の顕著な増加を示した。
実施例5
【0075】
特定のポリマー材料の環境抵抗を以下のように試験した。試料18および19としてのシアノアクリレート組成物は、各々1%の標準的純度のグラファイト小板[〜97%炭素含量、Graftech Industries社(Cleveland OH)からTG−679として入手できる]および1%の高純度のグラファイト小板[〜99%炭素含量、Graftech Industries社(Cleveland OH)からTG−684HPとして入手できる]をシアノアクリレート接着剤組成物[Henkel社(Rocky Hill、CT)から市販のLOCTITE401]に包含させることによって製造した。試料18および19の組成物は、示された量のグラファイト小板材料をシアノアクリレート成分に添加し、必要であればゆるやかに加熱し、グラファイト小板材料が組成物中に均一に分散するまで組成物を攪拌して製造した。試料18および19の組成物をグリットブラスト仕上げ軟鋼ラップ剪断試験片の間に塗布し、40℃、95%相対湿度で500時間の加速環境劣化条件で暴露し、ラップ剪断強度をASTM No.D−1002に従って試験した。この試験方法は、参照して本明細書に組み込まれる。
【0076】
試料18および19を環境に暴露した後のラップ剪断強度の測定値は、対照シアノアクリレート組成物であってグラファイト小板成分を含まないLOCTITE401を環境に暴露した後のラップ剪断強度の測定値と比べて、各々23%および33%改善された。これらの結果は、いかなるグラファイト小板材料も含まない同じシアノアクリレート組成物と比べて、環境抵抗が増加することを明示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のシアノアクリレート成分、および
(b)グラファイト小板材料を含む、シアノアクリレート接着剤組成物。
【請求項2】
前記シアノアクリレート成分が、式:
【化1】

(式中、Rは、1から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルキル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルケニル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルキニル基、置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基、置換されているかまたは置換されていないアラルキル基、もしくは置換されているかまたは置換されていないアリール基を表す)で表される化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、プロパルギル基、シクロへキシル基、ベンジル基、フェニル基、クレシル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、トリフルオロエチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−エトキシエチル基およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記シアノアクリレート成分がエチルシアノアクリレートモノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記シアノアクリレート成分が、最高、全組成物の98重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記グラファイト小板材料が、組成物の全重量を基準として約0.1重量%から約2.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記グラファイト小板材料が、少なくとも約97%の炭素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記グラファイト小板材料が、約1ミクロメーターから約100ミクロメーターの長さおよび幅の寸法、ならびに約1ミクロメーター未満の平均厚さを有する小板形態を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記グラファイト小板材料が、剥離加工、続いて粉砕加工にかけられた採鉱グラファイトを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
さらに、安定剤、促進剤、可塑剤、フィラー、乳白剤、増粘剤、粘度改質剤、禁止剤、チクソ性付与剤、色素、熱分解増強剤、強化材、およびこれらの組合せ、からなる群より選択される添加物を含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記安定剤が、メタンスルホン酸、SO、およびBFからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記グラファイト小板材料が、灰黒色を含み、組成物を通じて均一に分布しているので、組成物に対して着色剤を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
シアノアクリレート組成物に硬化の影響を及ぼす前に、グラファイト小板材料を前記シアノアクリレート組成物に包含させることを含む、前記シアノアクリレート組成物の靱性を改善する方法。
【請求項14】
前記グラファイト小板材料が、前記組成物中に、前記シアノアクリレート組成物の全重量を基準として約0.1重量%から約2.0重量%の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記グラファイト小板材料が、少なくとも約97%の炭素を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記グラファイト小板材料が、約1ミクロメーターから約100ミクロメーターの長さおよび幅の寸法、ならびに約1ミクロメーター未満の平均厚さを有する小板形態を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記シアノアクリレート成分が、式;
【化2】

(式中、Rは、1から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルキル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルケニル基、2から12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の置換されているかまたは置換されていないアルキニル基、置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基、置換されているかまたは置換されていないアラルキル基、または置換されているかまたは置換されていないアリール基を表す)で表される化合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
が、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、プロパルギル基、シクロへキシル基、ベンジル基、フェニル基、クレシル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、トリフルオロエチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−エトキシエチル基およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
2つ以上の基体を結合させる方法であって、以下のステップ、
(1)少なくとも2つの基体を提供するステップ、
(2)前記少なくとも2つの基体の一方または両方の表面上にシアノアクリレート接着剤組成物を施すステップ、ここで前記シアノアクリレート接着剤組成物が、
(a)少なくとも1種のシアノアクリレート成分、および
(b)約0.1% から約2.0重量%のグラファイト小板材料を含み、
(3)その表面に前記シアノアクリレート接着剤組成物を有する、前記少なくとも2つの基体の表面を接触させるステップ、および
(4)前記シアノアクリレート接着剤組成物を硬化条件下に暴露するステップ、を含み、ここで前記硬化されたシアノアクリレートは、グラファイト小板材料を含まない類似のシアノアクリレート接着剤組成物と比較して、剥離強度の改善、ブロック剪断強度の改善、破壊靱性の改善、および環境抵抗の改善の1つ以上を示す、方法。
【請求項20】
前記組成物が、約0.1重量%のグラファイト小板材料を含み、かつここで、前記硬化された組成物は、いかなるグラファイト小板材料も含まない類似のシアノアクリレート組成物と比較して、剥離強度が50%より大きく増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、約1.0重量%のグラファイト小板材料を含み、かつここで、前記硬化された組成物は、いかなるグラファイト小板材料も含まない類似のシアノアクリレート組成物と比較して、剥離強度が400%より大きく増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、約1.0重量%のグラファイト小板材料を含み、かつここで、前記硬化された組成物は、いかなるグラファイト小板材料も含まない類似のシアノアクリレート組成物と比較して、ブロック剪断強度が40%より大きく増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、約1.0重量%のグラファイト小板材料を含み、かつここで、前記硬化された組成物は、いかなるグラファイト小板材料も含まない類似のシアノアクリレート組成物と比較して、破壊靱性が100%より大きく増加する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、約1.0重量%のグラファイト小板材料を含み、かつここで、前記硬化された組成物は、いかなるグラファイト小板材料も含まない類似のシアノアクリレート組成物と比較して、ラップ剪断強度が、環境劣化条件に暴露した後に20%より大きく増加することを基に環境抵抗が改善される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−520935(P2010−520935A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552699(P2009−552699)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/002703
【国際公開番号】WO2008/112087
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】