グラフ表示装置及びプログラム
【課題】グラフとそのグラフに関連した文字列と対応関係を視覚的に容易に把握でき、背景画像やグラフが重なった状態でも文字列を視認可能とする。
【解決手段】電子計算機に備えられたCPU11は、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する。ここで、背景画像にグラフを重ねて表示する際に、前記入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で表示部13の画面上に表示し、その表示されたグラフに関連した文字列をグラフと同じ色で画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【解決手段】電子計算機に備えられたCPU11は、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する。ここで、背景画像にグラフを重ねて表示する際に、前記入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で表示部13の画面上に表示し、その表示されたグラフに関連した文字列をグラフと同じ色で画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された関数式に対応したグラフを表示可能なグラフ表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関数計算機能を備えた電子計算機では、グラフモードを設定して任意の関数式や統計データ等を入力すると、その入力された関数式や統計データに対応するグラフが描画表示される所謂「グラフ関数電卓」が実用化されている。
【0003】
ここで扱われる表示情報としては、グラフの他に、そのグラフに対応したグラフ式(関数式)や、グラフ上の指定位置のX,Y座標値などがある。しかし、これらのデータは種類が異なるので、複数のグラフを表示した場合にそれぞれの対応関係を対比するのが難しい。
【0004】
さらに、近年、電子計算機の画面サイズが大型化しており、任意の画像を背景画像として設定できる。しかし、背景画像が設定されていると、その背景画像にグラフや関係式、座標値が重ねて表示されるため、これらの視認性が著しく低下する問題が生じる。
【0005】
ここで、従来、データ種類の異なる画像を同時に表示するものとして、例えば特許文献1がある。この特許文献1では、窓内に収まったグラフィック画像をビデオ画像と同時に表示する際に、グラフィック画像の背景色をビデオ画像の色と混合することで、下地となるビデオ画像を隠すことなく、グラフィック画像を表示することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−124752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1では、ビデオ画像に重ねてグラフィック画像を表示する場合での視認性の問題を改善するためのものであり、グラフとそのグラフに関連した文字列(X,Y座標値やグラフ式を示す文字列)とを対応付けることはできない。
【0008】
上述したように、従来のグラフ表示措置では、ユーザが入力した関数式に従ってグラフを表示した場合に、グラフとそのグラフに関連した文字列との対応関係が把握しづらく、さらに、背景画像やグラフが文字列に重なると、文字列の視認性が著しく低下して認識できなくなることがある。
【0009】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、グラフとそのグラフに関連した文字列と対応関係を視覚的に容易に把握でき、背景画像やグラフが重なった状態でも文字列を視認可能なグラフ表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るグラフ表示装置は、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段と、ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段と、この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段は、前記グラフに関連した文字列が前記グラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3は、請求項1記載のグラフ表示装置においては、前記グラフに関連した文字列とは、前記グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいは前記グラフ式を示す文字列であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の彩度を修正する第1の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5は、請求項4記載のグラフ表示装置において、前記第1の彩度明度修正手段は、前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の明度を修正することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正する第2の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであり、その文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項8は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項9は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであって、前記文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係るプログラムは、入力されたグラフ式に対応したグラフを表示するための表示部を備えたコンピュータに用いられるプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段、ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段、この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段、として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、グラフとそのグラフに関連した文字列と対応関係を視覚的に容易に把握でき、背景画像やグラフが重なった状態でも文字列を視認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。
【図2】図2は同実施形態における表色系の構成を説明するための図であり、色の三属性(色相、明度、彩度)を模式的に表した図である。
【図3】図3は同実施形態における電子計算機の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUの機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリのグラフ式記憶領域に記憶されたグラフ式データの構成を示す図である。
【図6】図6は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリのグラフ色記憶領域に記憶されたグラフ色データの構成を示す図である。
【図7】図7は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリの第1のワークエリアに記憶された文字列データの構成を示す図である。
【図8】図8は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される関数グラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラーグラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される彩度明度修正処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラー文字表示処理Aの流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は同実施形態における電子計算機のグラフ式入力画面の表示例を示す図である。
【図13】図13は同実施形態における電子計算機の各種設定画面の表示例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態における電子計算機の画像選択画面の表示例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)のグラフ表示例を示す図である。
【図16】図16は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)とグラフ番号2(Y2)の2つのグラフの表示例を示す図である。
【図17】図17は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)のグラフをトレースした場合の表示例を示す図である。
【図18】図18は同実施形態における電子計算機のトレース対象をグラフ番号1(Y1)のグラフからグラフ番号2(Y2)のグラフに切り替えた場合の表示例を示す図である。
【図19】図19は本発明の第2の実施形態の処理動作を示す図であって、電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラー文字表示処理Bの流れを示すフローチャートである。
【図20】図20は同実施形態における電子計算機のリスト入力画面の表示例を示す図である。
【図21】図21は同実施形態における電子計算機のリスト入力画面の表示例を示す図である。
【図22】図22は同実施形態における電子計算機のグラフ式入力画面の表示例を示す図である。
【図23】図23は同実施形態における電子計算機のリストグラフ画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。この電子計算機は、「グラフ関数電卓」と呼ばれ、入力された関数式や統計データに対応するグラフを描画表示するための機能を備えている。
【0024】
この電子計算機10の本体には、本体正面の下端から3分の2程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上端から3分の1程度の範囲で表示部13が設けられる。
【0025】
キー入力部12には、数値・記号キー12a、関数・演算子キー12b、「MENU」キー12c、「SHIFT」キー12d、「OPTN」キー12e、「EXE」キー12f、カーソルキー12g、そしてファンクションキー「F1」〜「F6」等が備えられる。
【0026】
数値・記号キー12aは、数字,記号などの個々のキーを配列した数値・記号の入力用キー群からなる。
【0027】
関数・演算子キー12bは、演算式や関数式を入力する際に操作される各種の関数記号キーや、「+」「−」「×」「÷」「=」などの演算子キーからなる。
【0028】
「MENU」キー12cは、四則計算式や関数計算式等の任意の計算式を入力して演算処理を行わせる演算モード、入力された関数式に対応したグラフの描画処理を行わせるグラフモード、グラフ関数の学習処理を行わせるe-Activityモード、任意のプログラムを入力して対応する計算処理を行わせるプログラムモード等、各種の動作モードの選択設定メニューを表示させる際に操作される。
【0029】
「SHIFT」キー12dは、キー入力部12における各キートップの左上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0030】
「OPTN」キー12eは、キー入力部12における各キートップの右上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0031】
「EXE」キー12fは、選択あるいは入力されたデータの確定や各種処理機能の実行を指示する際に操作される。
【0032】
カーソルキー「↑」「↓」「←」「→」12gは、それぞれ表示されたデータの選択,送り操作や、カーソルCLの移動操作を行なう際等に操作される。
【0033】
ファンクションキー「F1」〜「F6」は、種々の動作モードに応じて表示部13の画面下端に沿って配列表示される各種ボタンの機能を実行させる際に操作される。また、ファンクションキー「F1」については、後述するトレース機能の実行する場合に操作される。
【0034】
また、表示部13には、例えば縦186ドット×横378ドットの表示範囲を有するカラー表示可能な液晶表示装置が用いられ、後述するように任意のカラー画像が背景画像として表示される。
【0035】
本発明では、この表示部13に背景画像付きでグラフを表示した場合での視認性の改善を目的としている。ここで、理解を容易にするため、図2を参照して、表色系の構成について簡単に説明しておく。
【0036】
図2は表色系の構成を説明するための図であり、色の三属性(色相、明度、彩度)を模式的に表している。なお、実際には、図中の六角形状の各セルが表色系の色配置に対応させて様々な色で表現される。
【0037】
色は、色相、明度、彩度で表現される。「色相」は、赤(R),緑(G),青(B),紫(P)といった色の様相の相違である。「明度」は、色の明るさを意味する。「彩度」は、色の鮮やかさを意味する。
【0038】
本実施形態では、明度、彩度をそれぞれ0〜6の6段階のレベルに分けて表現している。例えば図中の「G4」とは、色相が緑(G)で、彩度が4レベルであることを意味している。同様に、「B4」は色相が青(B)、彩度が4レベルであり、「P4」は色相が紫(P)で、彩度が4レベルであり、「R4」は色相が赤(R)で、彩度が4レベルであることを意味している。
【0039】
なお、モノトーン(M)は明度だけで表され、図中の「M6」は明度が6レベルであることを意味している。
【0040】
図3は電子計算機10の回路構成を示すブロック図である。
【0041】
電子計算機10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。CPU11は、プログラムの起動により回路各部を動作させて、電卓機能や関数グラフ表示機能など、電子計算機10に備えられた各種機能を実行する。このCPU11には、図1に示したキー入力部12、表示部13の他に、メモリ14、記録媒体読取部16、通信制御部17などが接続されている。
【0042】
メモリ14は、ROM、RAMなどからなり、CPU11の処理動作に必要な各種データを記憶している。このメモリ14には、本発明を実現するための関数グラフ表示プログラムを含むプログラムデータを記憶したプログラム記憶領域14aの他、入力された関数式をグラフ式データ(図5参照)として記憶したグラフ式記憶領域14b、グラフに色を設定するためのグラフ色データ(図6参照)を記憶したグラフ色記憶領域14c、各種背景画像ファイルを記憶した背景画像ファイル記憶領域14dなどが設けられている。
【0043】
また、このメモリ14には、ワークエリア14e〜14gが設けられている。第1のワークエリア14eには、トレース時にグラフ式に従って計算されたX座標,Y座標の値を示す文字列に関するデータ(座標値用文字列データ)と、グラフ式を示す文字列に関するデータ(グラフ式用文字列データ)が記憶される(図7参照)。
【0044】
また、第2のワークエリア14fには、表示部13の画面に表示される背景画像がカラー画面データとして記憶される。第3のワークエリア14gには、Xスケール値をトレース可能な拡大縮小用の座標範囲基準値が記憶される。
【0045】
記録媒体読取部16は、記録媒体15に記録されたデータの読み取りを行う。記録媒体15としては、例えばメモリカードなどが用いられ、プログラムや背景画像などが記録されている。
【0046】
通信制御部17は、図示せぬUSB(Universal Serial Bus)を介して接続された外部端末との間のデータ通信、あるいは所定の通信回線を介して無線により接続される外部端末との間のデータ通信を行う。
【0047】
図4は電子計算機10に備えられたCPU11の機能構成を示すブロック図である。
【0048】
CPU11には、本発明のグラフ表示に関わる機能として、色グラフ入力部11a、背景画像設定部11b、第1の表示処理部11c、第2の表示処理部11d、第1の明度彩度修正部11e、第2の明度彩度修正部11fが備えられている。
【0049】
色グラフ入力部11aは、ユーザ操作(キー入力部12の操作)に応じて、後述するグラフ式入力画面21(図12参照)を通じて複数色のいずれかの色を設定すると共にグラフ式の入力処理を行う。
【0050】
背景画像設定部11bは、ユーザ操作(キー入力部12の操作)に応じて、後述する各種設定画面22(図13)および画像選択画面23(図14)を通じて背景画像を設定する。
【0051】
第1の表示処理部11cは、背景画像設定部11bによって設定された背景画像に重ねて、色グラフ入力部11aによって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で表示部13の画面上に表示する。
【0052】
第2の表示処理部11dは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列をグラフと同じ色で表示部13の画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【0053】
また、この第2の表示処理部11dは、背景画像の有無に関係なく、グラフに関連した文字列がグラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【0054】
なお、グラフに関連した文字列とは、グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいはグラフ式を示す文字列である。
【0055】
第1の明度彩度修正部11eは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフの色と背景画像の色とが近似している場合に、グラフの視認性を高める方向にグラフの色の彩度を修正する。
【0056】
また、この第1の明度彩度修正部11eは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と背景画像の色とが近似している場合に、グラフの視認性を高める方向にグラフの色の明度を修正する。
【0057】
第2の明度彩度修正部11fは、第2の明度彩度修正部11fによって表示された文字列の色と背景画像の色とが近似している場合に、文字列の視認性を高める方向に文字列の色の彩度を修正する。
【0058】
また、この第2の明度彩度修正部11fは、第2の表示処理部11dによって表示された文字列とグラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、文字列の視認性を高める方向に文字列の色の彩度を修正する。
【0059】
また、この第2の明度彩度修正部11fは、第2の表示処理部11dによって表示された文字列の色がモノトーンであって、文字列とグラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、グラフの視認性を高める方向に文字列の色の明度を修正する。
【0060】
図5は電子計算機10に備えられたメモリ14のグラフ式記憶領域14bに記憶されたグラフ式データの構成を示す図である。
【0061】
図中のグラフ番号は各グラフを識別するための番号であり、1から順に付される。グラフ式(関数式)は、後述するグラフ式入力画面21(図12)において、このグラフ番号に対応させて入力される。この例では、グラフ番号1に「Y1=−(X−2)2+4」と、グラフ番号1に「Y2=4」といったグラフ式が入力された状態が示されている。なお、“Y1”は1番目のグラフ式、“Y2”は2番目のグラフ式であることを示す。
【0062】
図6は電子計算機10に備えられたメモリ14のグラフ色記憶領域14cに記憶されたグラフ色データの構成を示す図である。
【0063】
グラフ番号に応じてグラフの色(色相)が予め設定されている。ここでは、グラフ番号1から青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色ずつ順に設定されている。また、各グラフ番号には、色と共に標準の彩度が予め設定されている。具体的には、図2に示した0〜6レベルの範囲の中の4レベルの彩度が標準値としてデフォルト設定される。なお、モノトーン(M)に関しては、彩度はないので、明度となり、図2に示した0〜6レベルの範囲の中の6レベルの明度が標準値としてデフォルト設定される。
【0064】
図7は電子計算機10に備えられたメモリ14の第1のワークエリア14eに記憶された文字列データの構成を示す図である。
【0065】
ここで言う文字列とは、グラフに関連した文字列のことであり、具体的にはX座標値,Y座標値を示す文字列と、グラフ式を示す文字列のことである。第1のワークエリア14eには、これらの文字列に関するデータ(座標値用文字列データとグラフ式用文字列データ)が記憶される。
【0066】
座標値用文字列データは、グラフ式から計算されるX座標,Y座標の値とその表示位置、色(色相)、彩度のデータからなる。グラフ式用文字列データは、グラフ式(関数式)とその表示位置、色(色相)、彩度のデータからなる。
【0067】
次に、同実施形態の動作を説明する。
なお、以下の各フローチャートで示される処理は、コンピュータであるCPU11がメモリ14のプログラム記憶領域14aに記憶されたプログラムを読み込むことにより実行される。
【0068】
図8は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される関数グラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ユーザ操作(電子計算機10のキー入力部12に設けられた「MENU」キー12cの操作)により、本装置のLIST機能を起動してLISTデータを入力する(ステップA11)。
【0070】
次に、ユーザ操作により本装置のグラフ機能を起動して、図12に示すようなグラフ式入力画面21を表示部13に表示する。このグラフ式入力画面21に設けられたY1,Y2,Y3…はグラフ番号に対応した色別のグラフ式入力エリアを示しており、ユーザはカーソルキー12gの操作により、所望のグラフ式入力エリアをカーソルCLにて選択して、そこに任意のグラフ式(関数式)を入力する(ステップA12)。
【0071】
なお、図中の画面左側に付した記号は、グラフ式入力エリアに設定されている色を表している。この記号は図面の制約上便宜的に付したものであり、実際には、画面上に下記のような色でカラー表示され、ユーザはその色を見て、グラフ式の入力を行うことができる。
【0072】
B:青,R:赤,G:緑,P:紫,M:モノトーン
図12の例では、グラフ番号1にY1=−(X−2)2+4と、グラフ番号2にY2=4といったグラフ式が入力された状態が示されている。
【0073】
このようなグラフ式入力画面21を通じてユーザが任意のグラフ式を入力すると、その入力されたグラフ式が図5に示したメモリ14のグラフ式記憶領域14bに記憶されると共に、そのグラフ番号に対応した色とその色の彩度の標準値が図6に示したメモリ14のグラフ色記憶領域14cに設定される(ステップA13)。
【0074】
この場合、彩度の標準値として4レベルが設定される。なお、モノトーンの場合には、明度の標準値として6レベルが設定される。
【0075】
次に、図13に示すような各種設定画面22を表示部13に表示し、その中の「Backgroud」の項目をカーソルCLにて選択、確定操作すると、図14に示すような画像選択画面23が表示部13に表示される。
【0076】
この画像選択画面23において、背景画像として使用するファイル番号をカーソルCLにて指定すると、該当する背景画像がメモリ14の背景画像ファイル記憶領域14dから読み出され、メモリ14の第2のワークエリア14fに縦186ドット×横378ドットのカラー画面データとして展開された後、表示部13の画面に表示される(ステップA14)。
【0077】
ここで、表示部13の画面に背景画像が表示されている場合において、図9に示すカラーグラフ表示処理が実行される(ステップA15)。
【0078】
図9は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラーグラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
まず、最初にユーザ入力されたグラフ番号が描画対象として選択され(ステップB11)、そのグラフ番号に対応したグラフの色相と彩度(モノトーンの場合には明度)の情報がメモリ14のグラフ色記憶領域14cから読み出される(ステップB12)。
【0080】
ここで、描画対象とするグラフの表示位置に基づいて、その表示位置の近傍(例えば、周囲10ドットの範囲)の背景画像のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップB13)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップB14)。
【0081】
色相の平均値とは、図2に示す表色系の色配置において、前記範囲内の各ドットの色相の平均的な位置に存在する色相を求めることである。例えば、「B4」の色相を有するドットと「P4」の色相を有するドットであれば、その「B4」の位置と「P4」の位置とを結ぶ直線の中間位置の色相を平均値として求めるものとする。
【0082】
彩度の平均値は、前記範囲内の各ドットの彩度を合計し、その合計値をドット数で除算することで求める。同様に、明度の平均値は、前記範囲内の各ドットの明度を合計し、その合計値をドット数で除算することで求める。
【0083】
このようにして、背景画像の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が得られると、図10に示す彩度明度修正処理が実行される。
【0084】
図10は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される彩度明度修正処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで言う背景画像の色相、彩度、明度は、前記ステップB14で得られた平均値のことである。
【0085】
まず、描画対象とするグラフの色がM(モノトーン)であるか否かが判断される(ステップC11)。M(モノトーン)でない場合には(ステップC11のNo)、図2に示す表色系の色配置において、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度とが比較される(ステップC12)。
【0086】
ここで、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より大きければ(ステップC12のNo)、続いて、背景画像の彩度と描画対象とするグラフの色の彩度とが比較される(ステップC13)。そして、両者の彩度を比較した結果、その差が2より大きければ(ステップC13のNo)、そのまま図9のステップB16に進む。
【0087】
つまり、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より大きく、かつ、彩度の差も2より大きい場合には、背景画像にグラフを描画しても視認可能であると判断され、彩度明度修正処理は実行されない。
【0088】
一方、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より小さい場合(ステップC12のYes)、あるいは、彩度の差が2より小さい場合には(ステップC13のYes)、ステップC14の条件を満たす場合に、彩度明度修正処理が実行される。
【0089】
すなわち、背景画像の色相と描画対象とするグラフの色相とが比較される(ステップC14)。そして、両者の色相の差が3以下である場合、つまり、図2に示す表色系の色配置において、両者の色相の間隔が3以下の範囲で近似している場合に(ステップC14のYes)、描画対象とするグラフを背景画像上で視認できるように、そのグラフの色の彩度が修正される(ステップC15)。
【0090】
具体的には、背景画像の彩度との差が4以上になるようにグラフの色の彩度が修正される。この場合、背景画像の彩度との比較により、グラフの視認性を高める方向に当該グラフの色の彩度を修正するものとする。例えば背景画像の彩度が2であれば、グラフの色の彩度を標準値の4から6に修正する。逆に、例えば背景画像の彩度が5であれば、グラフの色の彩度を標準値の4から1に修正する。
【0091】
また、描画対象とするグラフの色がM(モノトーン)であった場合には(ステップC11のYes)、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の明度とが比較される(ステップC16)。そして、両者の明度の差が2以下である場合、つまり、図2に示す表色系の色配置において、両者の明度の間隔が2以下の範囲で近似している場合に(ステップC16のYes)、描画対象とするグラフを背景画像上で視認できるように、背景画像との明度が3になるようにグラフの色の明度が修正される(ステップC17)。
【0092】
図9のフローチャートに戻って、彩度明度修正処理の終了後、当該グラフの表示位置に修正後の彩度あるいは明度で当該グラフが予め設定された色で描画される(ステップB16)。詳しくは、当該グラフの修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像が既にカラー表示されているので、その背景画像に重ねてグラフがカラー表示されることになる。
【0093】
図15にグラフ番号1(Y1)のグラフ表示例を示す。
【0094】
図中の31は背景画像であり、ここでは噴水の画像が背景画像として表示部13の画面上にカラー表示されている。また、32はグラフ座標のX軸、33はグラフ座標のY軸、34はグラフ番号1のグラフであり、ここではY1=−(X−2)2+4の2次曲線がカラー表示されている。
【0095】
ここで、グラフ番号1に予め設定された色は「B(青色)」、彩度「4」であるが(図6参照)、グラフ34が表示される部分の背景画像31の色(背景色)との関係で明度修正処理が施される。この場合、例えば背景色が黒に近い色であれば、特に修正の必要はなく、そのまま表示されることになる。これに対し、背景色が青に近い色であれば、背景色との区別を付けるために、グラフ34の色の彩度が修正されて表示されることになる。
【0096】
また、図9に示すように、次のグラフがあれば(ステップB17のYes)、そのグラフ番号2(Y2)が描画対象として選択され(ステップB18)、前記ステップB12〜B16の処理が繰り返されて、そのグラフ番号のグラフが背景画像上に表示される。この場合も、前記同様にグラフが表示される部分の背景画像の色との関係で当該グラフの色の彩度あるいは明度に修正が施される。
【0097】
図16にグラフ番号1(Y1)とグラフ番号2(Y2)の2つのグラフが表示された場合の例を示す。
【0098】
図中の35はグラフ番号2のグラフであり、ここではY2=4の1次曲線がカラー表示されている。このグラフ番号2に予め設定された色は「R(赤色)」、彩度「4」であるが(図6参照)、そのグラフ35が表示される部分の背景画像31の色(背景色)との関係で修正が施される。この場合、例えば背景色が赤に近い色(色相R近傍,明度4,彩度6)であれば、背景色との区別を付けるために、グラフ35の色の彩度が標準値の4から2に修正されて表示されることになる。
【0099】
以後同様にして、ユーザが入力した複数のグラフが順にカラー表示され、それぞれに背景色と近似している場合には、当該グラフの色の彩度が適宜修正されて表示される。したがって、表示部13の画面に背景画像に重ねて複数のグラフをカラー表示しても、これらのグラフの1つ1つを色別に視認することができる。
【0100】
図8に戻って、カラーグラフ表示処理が終了すると(ステップA15)、表示中のグラフをトレースするためのデータとして、Xスケール値をトレース可能な拡大縮小用の座標範囲基準値がメモリ14の第3のワークエリア14gに書き込まれる。
【0101】
ここで、図1に示したキー入力部12のファンクションキー「F1」の操作により、ユーザがトレース機能を起動すると(ステップA17のYes)、まず、前記第3のワークエリア14gに書き込まれた座標範囲基準値に基づいてX座標の初期値が設定され(ステップA18)、そのX座標の初期値に従って先頭のグラフ(グラフ番号1のグラフ)がトレース表示される(ステップA19)。
【0102】
その際、当該グラフに対応したグラフ式(関数式)が読み出され、そのグラフ式に従ってトレースポインタPの初期位置のX座標値,Y座標値が計算されて、そこにトレースポインタPが表示される(図17参照)。
【0103】
このとき、トレースポインタPのX座標値を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータがX座標値用の文字列データとして、図7に示した第1のワークエリア14eに設定される(ステップA20)。同様に、トレースポインタPのY座標の値を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度がY座標値用の文字列データとして第1のワークエリア14eに設定される(ステップA22)。
【0104】
さらに、グラフ式を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度がグラフ式用の文字列データとして第1のワークエリア14eに設定される(ステップA24)。
【0105】
これらの文字列は、トレース対象のグラフに対応させて画面上の所定の位置に表示されるものである。その際、上述したグラフのカラー表示と同様に、背景色との関係でこれらの文字列の色の彩度あるいは明度が修正される(ステップA21,A23,A25)。図11にそのときのカラー文字表示処理Aの詳細を示す。
【0106】
図11は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラー文字表示処理Aの流れを示すフローチャートである。
【0107】
今、X座標値を示す文字列を画面上に描画する場合を想定して説明する。
まず、メモリ14の第1のワークエリア14eからグラフ番号1に対応したX座標値を示す文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータが読み出される(ステップD11)。図7の例で言うと、X座標値を示す文字列として「X=2」、表示位置として「(1〜50,2〜20)」、色(色相)として「青(B)」、彩度として「4」が読み出されることになる。
【0108】
ここで、描画対象とするX座標値の表示位置の範囲の背景画像のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップD12)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップD13)。そして、これらの平均値を用いて、彩度明度修正処理が実行される(ステップD14)。
【0109】
なお、この彩度明度修正処理については、図10のフローチャートと同様であるため、ここでは詳しい省略する。この場合も、背景画像の色との関係で、描画対象とするX座標値を示す文字列「X=2」が背景画像上で視認できるように、その文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。
【0110】
彩度明度修正処理の終了後、当該文字列がその表示位置に修正後の彩度あるいは明度で予め設定された色で描画される。その際、当該文字列は修飾付きで描画される(ステップD15)。
【0111】
詳しくは、当該文字列の修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報、さらに、文字の修飾情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像が既にカラー表示されているので、その背景画像に重ねて文字列がカラー表示されることになる。
【0112】
なお、「修飾付き」とは、具体的に「影付き」のことである。すなわち、グラフに関連した文字列については、影付き文字の形態で表示されることになる。
【0113】
Y座標値を示す文字列「Y=4」、グラフ式を示す文字列「Y1=−(X−2)2+4」ついても同様であり、それぞれに背景画像上で視認できるように、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正され、修飾付き(影付き)で描画されることになる。
【0114】
図17にグラフ番号1(Y1)のグラフをトレースした場合の表示例を示す。
【0115】
図中のPは十字形状のトレースポインタ、41,42はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、43はグラフ式を示す文字列である。
【0116】
これらの文字列41〜43についても、トレース対象のグラフ34のカラー表示と同様に、それぞれの表示位置の背景画像上で視認できるように、彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。そして、影付き文字の形態で所定の位置にカラー表示される。これにより、背景画像に多彩な色が使われていても、その背景画像上で文字列41〜43の視認性を高めることができる。
【0117】
ここで、ユーザによりキー入力部12に設けられたカーソルキー12gの左方向キー(「←」キー)または右方向キー(「→」キー)が操作された場合には(ステップA26のYes)、トレースポインタPがX軸方向に移動する(ステップA27)。
【0118】
詳しくは、左方向キーまたは右方向キーが操作される毎にX座標値が増減され、現在トレース中のグラフの式に従って、増減後のX座標値に対するY座標値が計算されて、トレースポインタPの表示位置が更新される。
【0119】
また、トレースポインタPの移動に合わせて、更新後のX座標値を示す文字列とY座標値を示す文字列がカラー表示される(ステップA20〜A23)。このときも、背景画像の色との関係で、描画対象とするX座標値を示す文字列とY座標値を示す文字列が背景画像上で視認できるように、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正され、修飾付き(影付き)で表示される。
【0120】
また、ユーザによりキー入力部12に設けられたカーソルキー12gの上方向キー(「↑」キー)または下方向キー(「↓」キー)が操作された場合には(ステップA28のYes)、トレース対象とするグラフがグラフ番号の昇順あるいは降順に切り替えられ(ステップA29)、その切り替えられたグラフにトレースポインタPが表示される(ステップA30)。
【0121】
詳しくは、現在設定されているX座標値について、切り替えられたグラフの式に従ってY座標値が計算され、そのX座標値とY座標値で示される位置にトレースポインタPが表示される。
【0122】
以後は、前記ステップA20〜A27の処理が同様に繰り返され、切り替えられたグラフのトレース動作に伴い、X座標値とY座標値を示す文字列、そして、グラフ式を示す文字列が所定の位置に描画され、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が背景画像の色との関係で適宜修正されてカラー表示される。
【0123】
図18にトレース対象をグラフ番号1(Y1)のグラフからグラフ番号2(Y2)のグラフに切り替えた場合の表示例を示す。
【0124】
上述したように、カーソルキー12gの上方向キー(「↑」キー)または下方向キー(「↓」キー)の操作により、トレース対象となるグラフが切り替えられる。図18の例では、グラフ番号2(Y2)のグラフ35に切り替えらたれ状態が示されている。図中のPは十字形状のトレースポインタ、51,52はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、53はグラフ式を示す文字列である。
【0125】
これらの文字列51〜53についても、トレース対象のグラフ35のカラー表示と同様に、それぞれの表示位置の背景画像上で視認できるように、彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。そして、影付き文字の形態で所定の位置にカラー表示される。これにより、背景画像に多彩な色が使われていても、その背景画像上で文字列41〜43の視認性を高めることができる。
【0126】
このように、グラフ毎に色が設定され、グラフに関連した文字列がグラフと同じ色で表示されるので、多数のグラフが表示された状態であっても色別に対応関係を把握することができる。
【0127】
さらに、グラフに関連した文字列については、修飾付き文字(影付き文字)の形態で表示されるので、その文字列の視認性を高めることでき、背景画像に重なった状態であっても、表示中のグラフとの対応関係を容易に把握できるようになる。
【0128】
この場合、グラフに関連した文字列として、グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいはグラフ式を示す文字列が表示されるので、グラフとこれらの文字列との対応関係を同一画面上で確認しながら、関数グラフを効果的に学習することができる。
【0129】
また、背景画像に重ねてグラフが表示される場合に、その背景画像の色との関係を考慮して、当該グラフに設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されるので、背景画像上でのグラフの視認性を確保することができる。これにより、背景画が設定されていても仕様なくグラフ表示を行うことができる。
【0130】
また、背景画像に重ねてグラフに関連した文字列が表示される場合も同様であり、その背景画像の色との関係を考慮して、当該文字列に設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されることで、背景画像上での文字列の視認性を確保することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0132】
この電子計算機10では、LISTデータとして入力された各数値をグラフ式(関数式)の変数にして複数のグラフを表示部13の画面上に表示することが可能である。しかし、多数のグラフが表示されることで、グラフに関連した文字列がグラフと重なる可能性が高くなる問題が生じる。第2の実施形態では、このようなグラフと重なる文字列の視認性を改善するものである。
【0133】
前記第1の実施形態で説明したように、ユーザ操作によりLISTデータとグラフ式(関数式)を入力することで、そのグラフ式に対応したグラフが予め設定された色で表示部13の画面上に表示される。その際、任意の画像を背景画像して指定することで、表示部13の画面上に表示することもできる。
【0134】
ここで、LISTデータとして複数の数値を入力しておくことにより、これらの数値をグラフ式の変数にして多数のグラフを表示することができる。
【0135】
この様子を図20〜図23を用いて具体的に説明する。
【0136】
図20および図21はリスト入力画面61の表示例を示す図であり、図20は「List1」の7番目〜10番目の各セルに数値が入力された状態、図21は「List1」の17番目〜20番目の各セルに数値が入力された状態を示している。図中のCLはカーソルであり、キー入力部12のカーソルキー12gの操作により、カーソルCLをセル単位で移動させて数値入力を行う。
【0137】
まず、ユーザがキー入力部12に設けられた「MENU」キー12cを操作することにより、本装置のLIST機能を起動してLISTデータを入力する。その際、図20に示すように、ユーザが「List1」の各セルに「0.1」,「0.2」,「0.3」…「1.0」といったように、0.1単位で10個の数値を順に入力する。続いて、図21に示すように、「1.5」,「2.0」,「2.5」,…「6」といったように、0.5単位で10個の数値を順に入力したとする。
【0138】
次に、ユーザが本装置のグラフ機能を起動して、図22に示すようなグラフ式入力画面62を表示部13に表示し、このグラフ式入力画面62上のグラフ番号をカーソルCLにて指定し、そこに任意のグラフ式(関数式)を入力する。その際に、LISTデータの数値を変数にしたグラフ式(関数式)の入力を行うことができる。
【0139】
図22の例では、グラフ番号1に「Y1=−List1X」といったグラフ式が入力された状態が示されている。なお、図12と同様に、図中の画面左側に付した記号は、グラフ式入力エリアに設定されている色を表している。この記号は図面の制約上便宜的に付したものであり、実際には、画面上に下記のような色でカラー表示され、ユーザはその色を見て、グラフ式の入力を行うことができる。
【0140】
B:青,R:赤,G:緑,P:紫,M:モノトーン。
【0141】
図23はリストグラフ画面の表示例を示す図である。
【0142】
ユーザがグラフ番号1を選択して、ファンクションキー「F1」の操作によりトレース機能を起動すると、図23に示すようなリストグラフ画面63が表示される。図中の71はグラフ座標のX軸、72はグラフ座標のY軸、73はグラフ番号1のリストグラフ群である。
【0143】
このリストグラフ群73は、リスト入力画面61の「List1」にLISTデータとして入力された20個の数値を変数とした複数のグラフからなる。これらのグラフを式で表わすと、下記のようになる。
【0144】
1:Y1=−0.1X
2:Y1=−0.2X
3:Y1=−0.3X
(略)
17:Y1=−4.5X
18:Y1=−5.0X
19:Y1=−5.5X
20:Y1=−6.0X。
【0145】
このリストグラフ群73の各グラフは、グラフ式入力画面62のグラフ番号1から青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色が順に設定されてカラー表示される。なお、図23の例では、図面の制約上便宜的にグラフの線種を変えて、各グラフが異なる色でカラー表示されていることを表している。前記第1の実施形態で説明したように、背景画像が設定されている場合には、その背景画像の色との関係で各グラフの色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される(図8のステップA15,図9参照)。
【0146】
また、図中のPは十字形状のトレースポインタ、74,75はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、76はトレース対象として選択されているグラフの式を示す文字列である。これらの文字列74,75,76は、トレース対象として選択されているグラフと同じ色で表示される。その際、背景画像あるいはグラフの色との関係で、これらの文字列74,75,76の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。
【0147】
以下に、第2の実施形態の処理動作について詳しく説明する。
図19は第2の実施形態の処理動作を示す図であって、電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラー文字表示処理Bの流れを示すフローチャートである。このカラー文字表示処理Bは、図8に示した関数グラフ表示処理の中のステップA21,A23,A25において、カラー文字表示処理Aに代えて実行される。
【0148】
トレース対象となるグラフの選択に伴い、そのグラフに関連した文字列を表示するに際し、まず、背景画像が設定されているか否かが判断される(ステップE11)。グラフに関連した文字列とは、X座標値やY座標値を示す文字列、グラフ式を示す文字列のことであり、図23の例で言うと、文字列74の「X=0.9」、文字列75の「Y=−0.09」、文字列76の「Y1=−List1X」である。
【0149】
背景画像が設定されていない場合には(ステップE11のNo)、当該文字列が画面上に表示された各グラフのうちの1つあるいは複数のグラフと重なるか否かが判断される(ステップE12,E13)。
【0150】
当該文字列がどのグラフにも重ならない場合には(ステップE12のNo,E13のNo)、当該文字列がその表示位置に標準の彩度あるいは明度を持って予め設定された色で描画される(ステップE14)。図23の例では、文字列74の「X=0.9」がグラフに重ならない文字列に該当する。
【0151】
一方、背景画像が設定されている場合(ステップE11のYes)、あるいは、当該文字列が画面上に表示された各グラフのうちの1つあるいは複数のグラフと重なる場合に(ステップE12のYes,E13のYes)、以下のような修正処理が実行される。
【0152】
すなわち、まず、メモリ14の第1のワークエリア14eから該当する文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータが読み出される(ステップE15)。図23の例では、文字列75の「Y=−0.09」、文字列76の「Y1=−List1X」がグラフに重なる文字列であり、これらのデータが読み出されることになる。
【0153】
ここで、当該文字列の表示位置の範囲の背景画像あるいはグラフが重なっている部分の画像(以下、これを背景グラフ重ね画像と称す)のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップE16)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップE17)。
【0154】
ここで、当該文字列の色相、彩度、明度と、背景グラフ重ね画像の前記範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値とが比較される。その結果、当該文字列の色相が背景グラフ重ね画像と近い色であって、当該文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が背景グラフ重ね画像に近い値であった場合に彩度明度の修正の必要ありと判断される。
【0155】
具体的には、図2に示す表色系の色配置において、当該文字列の色の彩度または明度と背景グラフ重ね画像の彩度または明度との差が3レベル以下であった場合に彩度明度の修正の必要ありと判断され、当該文字列の色の彩度または明度が背景グラフ重ね画像の彩度または明度から離れた値(例えば4レベル以上)になるように修正される(ステップE18)。
【0156】
彩度明度修正処理の終了後、当該文字列がその表示位置に修正後の彩度あるいは明度で予め設定された色で描画される。その際、当該文字列は修飾付きで描画される(ステップE19)。
【0157】
詳しくは、当該文字列の修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報、さらに、文字の修飾情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像あるいはグラフが既にカラー表示されているので、その背景画像あるいはグラフに重ねて文字列がカラー表示されることになる。
【0158】
なお、前記第1の実施形態と同様に、「修飾付き」とは、具体的に「影付き」のことである。すなわち、グラフに関連した文字列については、影付き文字の形態で表示されることになる。
【0159】
このように、トレース時に表示されるX座標値やY座標値を示す文字列、グラフ式を示す文字列がグラフと同じで色で表示されるので、多数のグラフが表示された状態であっても色別に対応関係を把握することができる。
【0160】
さらに、図23の例のように、グラフに重ねて文字列が表示されるような場合には、背景画像の有無に関係なく、修飾付き文字(影付き文字)の形態で表示されるので、その文字列の視認性を高めて、表示中のグラフとの対応関係を容易に把握できるようになる。
【0161】
また、グラフに重ねて文字列が表示される場合に、そのグラフの色との関係を考慮して、当該文字列に設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されることで、グラフに重なった状態での文字列の視認性を確保できる。
【0162】
なお、前記各実施形態では、グラフに対し、青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色を設定する構成としたが、これらの色以外の色を用いて設定しも良いし、5色以上の色を用いて設定するような構成であっても良い。
【0163】
また、グラフに関連した文字列の文字修飾の形態として、「影付き文字」を例にしたが、例えば「中抜き文字」や「浮き出し文字」などでも良い。要は、グラフに関連した文字列が背景画像やグラフに重なった状態で視認可能な文字修飾の形態であれば、どのような形態あっても良い。
【0164】
また、前記各実施形態において記載した電子計算機10による各動作手法、すなわち、図8〜図10、図19の各フローチャートで示した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレシキプルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体(記録媒体15)に記録して配布することができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、この記憶媒体に記録されたプログラムを読み込みことで、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0165】
また、前記手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)を介して伝送させることができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、このプログラムを通信ネットワークに接続された通信装置(通信制御部17)にて受信することにより、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0166】
なお、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0167】
10…電子計算機、
11…CPU、
11a…色グラフ入力部、
11b…背景画像設定部、
11c…第1の表示処理部、
11d…第2の表示処理部、
11e…第1の明度彩度修正部、
11f…第2の明度彩度修正部、
12…キー入力部、
12a…数値・記号キー
12b…関数・演算子キー
12c…「MENU」キー
12d…「SHIFT」キー
12e…「OPTN」キー
12f…「EXE」キー
12g…カーソルキー
F1〜F6…ファンクションキー
13…表示部
14…メモリ
14a…プログラム記憶領域
14b…グラフ式記憶領域
14c…グラフ色記憶領域
14d…背景画像ファイル記憶領域
14e〜14f…ワークエリア
15…記録媒体
16…記録媒体読取部
17…通信制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された関数式に対応したグラフを表示可能なグラフ表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関数計算機能を備えた電子計算機では、グラフモードを設定して任意の関数式や統計データ等を入力すると、その入力された関数式や統計データに対応するグラフが描画表示される所謂「グラフ関数電卓」が実用化されている。
【0003】
ここで扱われる表示情報としては、グラフの他に、そのグラフに対応したグラフ式(関数式)や、グラフ上の指定位置のX,Y座標値などがある。しかし、これらのデータは種類が異なるので、複数のグラフを表示した場合にそれぞれの対応関係を対比するのが難しい。
【0004】
さらに、近年、電子計算機の画面サイズが大型化しており、任意の画像を背景画像として設定できる。しかし、背景画像が設定されていると、その背景画像にグラフや関係式、座標値が重ねて表示されるため、これらの視認性が著しく低下する問題が生じる。
【0005】
ここで、従来、データ種類の異なる画像を同時に表示するものとして、例えば特許文献1がある。この特許文献1では、窓内に収まったグラフィック画像をビデオ画像と同時に表示する際に、グラフィック画像の背景色をビデオ画像の色と混合することで、下地となるビデオ画像を隠すことなく、グラフィック画像を表示することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−124752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1では、ビデオ画像に重ねてグラフィック画像を表示する場合での視認性の問題を改善するためのものであり、グラフとそのグラフに関連した文字列(X,Y座標値やグラフ式を示す文字列)とを対応付けることはできない。
【0008】
上述したように、従来のグラフ表示措置では、ユーザが入力した関数式に従ってグラフを表示した場合に、グラフとそのグラフに関連した文字列との対応関係が把握しづらく、さらに、背景画像やグラフが文字列に重なると、文字列の視認性が著しく低下して認識できなくなることがある。
【0009】
本発明は前記のような点に鑑みなされたもので、グラフとそのグラフに関連した文字列と対応関係を視覚的に容易に把握でき、背景画像やグラフが重なった状態でも文字列を視認可能なグラフ表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るグラフ表示装置は、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段と、ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段と、この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段は、前記グラフに関連した文字列が前記グラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3は、請求項1記載のグラフ表示装置においては、前記グラフに関連した文字列とは、前記グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいは前記グラフ式を示す文字列であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の彩度を修正する第1の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5は、請求項4記載のグラフ表示装置において、前記第1の彩度明度修正手段は、前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の明度を修正することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6は、請求項1記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正する第2の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであり、その文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項8は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項9は、請求項6記載のグラフ表示装置において、前記第2の彩度明度修正手段は、前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであって、前記文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係るプログラムは、入力されたグラフ式に対応したグラフを表示するための表示部を備えたコンピュータに用いられるプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段、ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段、この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段、として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、グラフとそのグラフに関連した文字列と対応関係を視覚的に容易に把握でき、背景画像やグラフが重なった状態でも文字列を視認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。
【図2】図2は同実施形態における表色系の構成を説明するための図であり、色の三属性(色相、明度、彩度)を模式的に表した図である。
【図3】図3は同実施形態における電子計算機の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUの機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリのグラフ式記憶領域に記憶されたグラフ式データの構成を示す図である。
【図6】図6は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリのグラフ色記憶領域に記憶されたグラフ色データの構成を示す図である。
【図7】図7は同実施形態における電子計算機に備えられたメモリの第1のワークエリアに記憶された文字列データの構成を示す図である。
【図8】図8は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される関数グラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラーグラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行される彩度明度修正処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11は同実施形態における電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラー文字表示処理Aの流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は同実施形態における電子計算機のグラフ式入力画面の表示例を示す図である。
【図13】図13は同実施形態における電子計算機の各種設定画面の表示例を示す図である。
【図14】図14は同実施形態における電子計算機の画像選択画面の表示例を示す図である。
【図15】図15は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)のグラフ表示例を示す図である。
【図16】図16は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)とグラフ番号2(Y2)の2つのグラフの表示例を示す図である。
【図17】図17は同実施形態における電子計算機のグラフ番号1(Y1)のグラフをトレースした場合の表示例を示す図である。
【図18】図18は同実施形態における電子計算機のトレース対象をグラフ番号1(Y1)のグラフからグラフ番号2(Y2)のグラフに切り替えた場合の表示例を示す図である。
【図19】図19は本発明の第2の実施形態の処理動作を示す図であって、電子計算機に備えられたCPUによって実行されるカラー文字表示処理Bの流れを示すフローチャートである。
【図20】図20は同実施形態における電子計算機のリスト入力画面の表示例を示す図である。
【図21】図21は同実施形態における電子計算機のリスト入力画面の表示例を示す図である。
【図22】図22は同実施形態における電子計算機のグラフ式入力画面の表示例を示す図である。
【図23】図23は同実施形態における電子計算機のリストグラフ画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るグラフ表示装置として用いられる電子計算機の外観構成を示す正面図である。この電子計算機は、「グラフ関数電卓」と呼ばれ、入力された関数式や統計データに対応するグラフを描画表示するための機能を備えている。
【0024】
この電子計算機10の本体には、本体正面の下端から3分の2程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上端から3分の1程度の範囲で表示部13が設けられる。
【0025】
キー入力部12には、数値・記号キー12a、関数・演算子キー12b、「MENU」キー12c、「SHIFT」キー12d、「OPTN」キー12e、「EXE」キー12f、カーソルキー12g、そしてファンクションキー「F1」〜「F6」等が備えられる。
【0026】
数値・記号キー12aは、数字,記号などの個々のキーを配列した数値・記号の入力用キー群からなる。
【0027】
関数・演算子キー12bは、演算式や関数式を入力する際に操作される各種の関数記号キーや、「+」「−」「×」「÷」「=」などの演算子キーからなる。
【0028】
「MENU」キー12cは、四則計算式や関数計算式等の任意の計算式を入力して演算処理を行わせる演算モード、入力された関数式に対応したグラフの描画処理を行わせるグラフモード、グラフ関数の学習処理を行わせるe-Activityモード、任意のプログラムを入力して対応する計算処理を行わせるプログラムモード等、各種の動作モードの選択設定メニューを表示させる際に操作される。
【0029】
「SHIFT」キー12dは、キー入力部12における各キートップの左上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0030】
「OPTN」キー12eは、キー入力部12における各キートップの右上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0031】
「EXE」キー12fは、選択あるいは入力されたデータの確定や各種処理機能の実行を指示する際に操作される。
【0032】
カーソルキー「↑」「↓」「←」「→」12gは、それぞれ表示されたデータの選択,送り操作や、カーソルCLの移動操作を行なう際等に操作される。
【0033】
ファンクションキー「F1」〜「F6」は、種々の動作モードに応じて表示部13の画面下端に沿って配列表示される各種ボタンの機能を実行させる際に操作される。また、ファンクションキー「F1」については、後述するトレース機能の実行する場合に操作される。
【0034】
また、表示部13には、例えば縦186ドット×横378ドットの表示範囲を有するカラー表示可能な液晶表示装置が用いられ、後述するように任意のカラー画像が背景画像として表示される。
【0035】
本発明では、この表示部13に背景画像付きでグラフを表示した場合での視認性の改善を目的としている。ここで、理解を容易にするため、図2を参照して、表色系の構成について簡単に説明しておく。
【0036】
図2は表色系の構成を説明するための図であり、色の三属性(色相、明度、彩度)を模式的に表している。なお、実際には、図中の六角形状の各セルが表色系の色配置に対応させて様々な色で表現される。
【0037】
色は、色相、明度、彩度で表現される。「色相」は、赤(R),緑(G),青(B),紫(P)といった色の様相の相違である。「明度」は、色の明るさを意味する。「彩度」は、色の鮮やかさを意味する。
【0038】
本実施形態では、明度、彩度をそれぞれ0〜6の6段階のレベルに分けて表現している。例えば図中の「G4」とは、色相が緑(G)で、彩度が4レベルであることを意味している。同様に、「B4」は色相が青(B)、彩度が4レベルであり、「P4」は色相が紫(P)で、彩度が4レベルであり、「R4」は色相が赤(R)で、彩度が4レベルであることを意味している。
【0039】
なお、モノトーン(M)は明度だけで表され、図中の「M6」は明度が6レベルであることを意味している。
【0040】
図3は電子計算機10の回路構成を示すブロック図である。
【0041】
電子計算機10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。CPU11は、プログラムの起動により回路各部を動作させて、電卓機能や関数グラフ表示機能など、電子計算機10に備えられた各種機能を実行する。このCPU11には、図1に示したキー入力部12、表示部13の他に、メモリ14、記録媒体読取部16、通信制御部17などが接続されている。
【0042】
メモリ14は、ROM、RAMなどからなり、CPU11の処理動作に必要な各種データを記憶している。このメモリ14には、本発明を実現するための関数グラフ表示プログラムを含むプログラムデータを記憶したプログラム記憶領域14aの他、入力された関数式をグラフ式データ(図5参照)として記憶したグラフ式記憶領域14b、グラフに色を設定するためのグラフ色データ(図6参照)を記憶したグラフ色記憶領域14c、各種背景画像ファイルを記憶した背景画像ファイル記憶領域14dなどが設けられている。
【0043】
また、このメモリ14には、ワークエリア14e〜14gが設けられている。第1のワークエリア14eには、トレース時にグラフ式に従って計算されたX座標,Y座標の値を示す文字列に関するデータ(座標値用文字列データ)と、グラフ式を示す文字列に関するデータ(グラフ式用文字列データ)が記憶される(図7参照)。
【0044】
また、第2のワークエリア14fには、表示部13の画面に表示される背景画像がカラー画面データとして記憶される。第3のワークエリア14gには、Xスケール値をトレース可能な拡大縮小用の座標範囲基準値が記憶される。
【0045】
記録媒体読取部16は、記録媒体15に記録されたデータの読み取りを行う。記録媒体15としては、例えばメモリカードなどが用いられ、プログラムや背景画像などが記録されている。
【0046】
通信制御部17は、図示せぬUSB(Universal Serial Bus)を介して接続された外部端末との間のデータ通信、あるいは所定の通信回線を介して無線により接続される外部端末との間のデータ通信を行う。
【0047】
図4は電子計算機10に備えられたCPU11の機能構成を示すブロック図である。
【0048】
CPU11には、本発明のグラフ表示に関わる機能として、色グラフ入力部11a、背景画像設定部11b、第1の表示処理部11c、第2の表示処理部11d、第1の明度彩度修正部11e、第2の明度彩度修正部11fが備えられている。
【0049】
色グラフ入力部11aは、ユーザ操作(キー入力部12の操作)に応じて、後述するグラフ式入力画面21(図12参照)を通じて複数色のいずれかの色を設定すると共にグラフ式の入力処理を行う。
【0050】
背景画像設定部11bは、ユーザ操作(キー入力部12の操作)に応じて、後述する各種設定画面22(図13)および画像選択画面23(図14)を通じて背景画像を設定する。
【0051】
第1の表示処理部11cは、背景画像設定部11bによって設定された背景画像に重ねて、色グラフ入力部11aによって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で表示部13の画面上に表示する。
【0052】
第2の表示処理部11dは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列をグラフと同じ色で表示部13の画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【0053】
また、この第2の表示処理部11dは、背景画像の有無に関係なく、グラフに関連した文字列がグラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する。
【0054】
なお、グラフに関連した文字列とは、グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいはグラフ式を示す文字列である。
【0055】
第1の明度彩度修正部11eは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフの色と背景画像の色とが近似している場合に、グラフの視認性を高める方向にグラフの色の彩度を修正する。
【0056】
また、この第1の明度彩度修正部11eは、第1の表示処理部11cによって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と背景画像の色とが近似している場合に、グラフの視認性を高める方向にグラフの色の明度を修正する。
【0057】
第2の明度彩度修正部11fは、第2の明度彩度修正部11fによって表示された文字列の色と背景画像の色とが近似している場合に、文字列の視認性を高める方向に文字列の色の彩度を修正する。
【0058】
また、この第2の明度彩度修正部11fは、第2の表示処理部11dによって表示された文字列とグラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、文字列の視認性を高める方向に文字列の色の彩度を修正する。
【0059】
また、この第2の明度彩度修正部11fは、第2の表示処理部11dによって表示された文字列の色がモノトーンであって、文字列とグラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、グラフの視認性を高める方向に文字列の色の明度を修正する。
【0060】
図5は電子計算機10に備えられたメモリ14のグラフ式記憶領域14bに記憶されたグラフ式データの構成を示す図である。
【0061】
図中のグラフ番号は各グラフを識別するための番号であり、1から順に付される。グラフ式(関数式)は、後述するグラフ式入力画面21(図12)において、このグラフ番号に対応させて入力される。この例では、グラフ番号1に「Y1=−(X−2)2+4」と、グラフ番号1に「Y2=4」といったグラフ式が入力された状態が示されている。なお、“Y1”は1番目のグラフ式、“Y2”は2番目のグラフ式であることを示す。
【0062】
図6は電子計算機10に備えられたメモリ14のグラフ色記憶領域14cに記憶されたグラフ色データの構成を示す図である。
【0063】
グラフ番号に応じてグラフの色(色相)が予め設定されている。ここでは、グラフ番号1から青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色ずつ順に設定されている。また、各グラフ番号には、色と共に標準の彩度が予め設定されている。具体的には、図2に示した0〜6レベルの範囲の中の4レベルの彩度が標準値としてデフォルト設定される。なお、モノトーン(M)に関しては、彩度はないので、明度となり、図2に示した0〜6レベルの範囲の中の6レベルの明度が標準値としてデフォルト設定される。
【0064】
図7は電子計算機10に備えられたメモリ14の第1のワークエリア14eに記憶された文字列データの構成を示す図である。
【0065】
ここで言う文字列とは、グラフに関連した文字列のことであり、具体的にはX座標値,Y座標値を示す文字列と、グラフ式を示す文字列のことである。第1のワークエリア14eには、これらの文字列に関するデータ(座標値用文字列データとグラフ式用文字列データ)が記憶される。
【0066】
座標値用文字列データは、グラフ式から計算されるX座標,Y座標の値とその表示位置、色(色相)、彩度のデータからなる。グラフ式用文字列データは、グラフ式(関数式)とその表示位置、色(色相)、彩度のデータからなる。
【0067】
次に、同実施形態の動作を説明する。
なお、以下の各フローチャートで示される処理は、コンピュータであるCPU11がメモリ14のプログラム記憶領域14aに記憶されたプログラムを読み込むことにより実行される。
【0068】
図8は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される関数グラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ユーザ操作(電子計算機10のキー入力部12に設けられた「MENU」キー12cの操作)により、本装置のLIST機能を起動してLISTデータを入力する(ステップA11)。
【0070】
次に、ユーザ操作により本装置のグラフ機能を起動して、図12に示すようなグラフ式入力画面21を表示部13に表示する。このグラフ式入力画面21に設けられたY1,Y2,Y3…はグラフ番号に対応した色別のグラフ式入力エリアを示しており、ユーザはカーソルキー12gの操作により、所望のグラフ式入力エリアをカーソルCLにて選択して、そこに任意のグラフ式(関数式)を入力する(ステップA12)。
【0071】
なお、図中の画面左側に付した記号は、グラフ式入力エリアに設定されている色を表している。この記号は図面の制約上便宜的に付したものであり、実際には、画面上に下記のような色でカラー表示され、ユーザはその色を見て、グラフ式の入力を行うことができる。
【0072】
B:青,R:赤,G:緑,P:紫,M:モノトーン
図12の例では、グラフ番号1にY1=−(X−2)2+4と、グラフ番号2にY2=4といったグラフ式が入力された状態が示されている。
【0073】
このようなグラフ式入力画面21を通じてユーザが任意のグラフ式を入力すると、その入力されたグラフ式が図5に示したメモリ14のグラフ式記憶領域14bに記憶されると共に、そのグラフ番号に対応した色とその色の彩度の標準値が図6に示したメモリ14のグラフ色記憶領域14cに設定される(ステップA13)。
【0074】
この場合、彩度の標準値として4レベルが設定される。なお、モノトーンの場合には、明度の標準値として6レベルが設定される。
【0075】
次に、図13に示すような各種設定画面22を表示部13に表示し、その中の「Backgroud」の項目をカーソルCLにて選択、確定操作すると、図14に示すような画像選択画面23が表示部13に表示される。
【0076】
この画像選択画面23において、背景画像として使用するファイル番号をカーソルCLにて指定すると、該当する背景画像がメモリ14の背景画像ファイル記憶領域14dから読み出され、メモリ14の第2のワークエリア14fに縦186ドット×横378ドットのカラー画面データとして展開された後、表示部13の画面に表示される(ステップA14)。
【0077】
ここで、表示部13の画面に背景画像が表示されている場合において、図9に示すカラーグラフ表示処理が実行される(ステップA15)。
【0078】
図9は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラーグラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
まず、最初にユーザ入力されたグラフ番号が描画対象として選択され(ステップB11)、そのグラフ番号に対応したグラフの色相と彩度(モノトーンの場合には明度)の情報がメモリ14のグラフ色記憶領域14cから読み出される(ステップB12)。
【0080】
ここで、描画対象とするグラフの表示位置に基づいて、その表示位置の近傍(例えば、周囲10ドットの範囲)の背景画像のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップB13)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップB14)。
【0081】
色相の平均値とは、図2に示す表色系の色配置において、前記範囲内の各ドットの色相の平均的な位置に存在する色相を求めることである。例えば、「B4」の色相を有するドットと「P4」の色相を有するドットであれば、その「B4」の位置と「P4」の位置とを結ぶ直線の中間位置の色相を平均値として求めるものとする。
【0082】
彩度の平均値は、前記範囲内の各ドットの彩度を合計し、その合計値をドット数で除算することで求める。同様に、明度の平均値は、前記範囲内の各ドットの明度を合計し、その合計値をドット数で除算することで求める。
【0083】
このようにして、背景画像の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が得られると、図10に示す彩度明度修正処理が実行される。
【0084】
図10は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される彩度明度修正処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで言う背景画像の色相、彩度、明度は、前記ステップB14で得られた平均値のことである。
【0085】
まず、描画対象とするグラフの色がM(モノトーン)であるか否かが判断される(ステップC11)。M(モノトーン)でない場合には(ステップC11のNo)、図2に示す表色系の色配置において、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度とが比較される(ステップC12)。
【0086】
ここで、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より大きければ(ステップC12のNo)、続いて、背景画像の彩度と描画対象とするグラフの色の彩度とが比較される(ステップC13)。そして、両者の彩度を比較した結果、その差が2より大きければ(ステップC13のNo)、そのまま図9のステップB16に進む。
【0087】
つまり、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より大きく、かつ、彩度の差も2より大きい場合には、背景画像にグラフを描画しても視認可能であると判断され、彩度明度修正処理は実行されない。
【0088】
一方、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の彩度との差が2より小さい場合(ステップC12のYes)、あるいは、彩度の差が2より小さい場合には(ステップC13のYes)、ステップC14の条件を満たす場合に、彩度明度修正処理が実行される。
【0089】
すなわち、背景画像の色相と描画対象とするグラフの色相とが比較される(ステップC14)。そして、両者の色相の差が3以下である場合、つまり、図2に示す表色系の色配置において、両者の色相の間隔が3以下の範囲で近似している場合に(ステップC14のYes)、描画対象とするグラフを背景画像上で視認できるように、そのグラフの色の彩度が修正される(ステップC15)。
【0090】
具体的には、背景画像の彩度との差が4以上になるようにグラフの色の彩度が修正される。この場合、背景画像の彩度との比較により、グラフの視認性を高める方向に当該グラフの色の彩度を修正するものとする。例えば背景画像の彩度が2であれば、グラフの色の彩度を標準値の4から6に修正する。逆に、例えば背景画像の彩度が5であれば、グラフの色の彩度を標準値の4から1に修正する。
【0091】
また、描画対象とするグラフの色がM(モノトーン)であった場合には(ステップC11のYes)、背景画像の色の明度と描画対象とするグラフの色の明度とが比較される(ステップC16)。そして、両者の明度の差が2以下である場合、つまり、図2に示す表色系の色配置において、両者の明度の間隔が2以下の範囲で近似している場合に(ステップC16のYes)、描画対象とするグラフを背景画像上で視認できるように、背景画像との明度が3になるようにグラフの色の明度が修正される(ステップC17)。
【0092】
図9のフローチャートに戻って、彩度明度修正処理の終了後、当該グラフの表示位置に修正後の彩度あるいは明度で当該グラフが予め設定された色で描画される(ステップB16)。詳しくは、当該グラフの修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像が既にカラー表示されているので、その背景画像に重ねてグラフがカラー表示されることになる。
【0093】
図15にグラフ番号1(Y1)のグラフ表示例を示す。
【0094】
図中の31は背景画像であり、ここでは噴水の画像が背景画像として表示部13の画面上にカラー表示されている。また、32はグラフ座標のX軸、33はグラフ座標のY軸、34はグラフ番号1のグラフであり、ここではY1=−(X−2)2+4の2次曲線がカラー表示されている。
【0095】
ここで、グラフ番号1に予め設定された色は「B(青色)」、彩度「4」であるが(図6参照)、グラフ34が表示される部分の背景画像31の色(背景色)との関係で明度修正処理が施される。この場合、例えば背景色が黒に近い色であれば、特に修正の必要はなく、そのまま表示されることになる。これに対し、背景色が青に近い色であれば、背景色との区別を付けるために、グラフ34の色の彩度が修正されて表示されることになる。
【0096】
また、図9に示すように、次のグラフがあれば(ステップB17のYes)、そのグラフ番号2(Y2)が描画対象として選択され(ステップB18)、前記ステップB12〜B16の処理が繰り返されて、そのグラフ番号のグラフが背景画像上に表示される。この場合も、前記同様にグラフが表示される部分の背景画像の色との関係で当該グラフの色の彩度あるいは明度に修正が施される。
【0097】
図16にグラフ番号1(Y1)とグラフ番号2(Y2)の2つのグラフが表示された場合の例を示す。
【0098】
図中の35はグラフ番号2のグラフであり、ここではY2=4の1次曲線がカラー表示されている。このグラフ番号2に予め設定された色は「R(赤色)」、彩度「4」であるが(図6参照)、そのグラフ35が表示される部分の背景画像31の色(背景色)との関係で修正が施される。この場合、例えば背景色が赤に近い色(色相R近傍,明度4,彩度6)であれば、背景色との区別を付けるために、グラフ35の色の彩度が標準値の4から2に修正されて表示されることになる。
【0099】
以後同様にして、ユーザが入力した複数のグラフが順にカラー表示され、それぞれに背景色と近似している場合には、当該グラフの色の彩度が適宜修正されて表示される。したがって、表示部13の画面に背景画像に重ねて複数のグラフをカラー表示しても、これらのグラフの1つ1つを色別に視認することができる。
【0100】
図8に戻って、カラーグラフ表示処理が終了すると(ステップA15)、表示中のグラフをトレースするためのデータとして、Xスケール値をトレース可能な拡大縮小用の座標範囲基準値がメモリ14の第3のワークエリア14gに書き込まれる。
【0101】
ここで、図1に示したキー入力部12のファンクションキー「F1」の操作により、ユーザがトレース機能を起動すると(ステップA17のYes)、まず、前記第3のワークエリア14gに書き込まれた座標範囲基準値に基づいてX座標の初期値が設定され(ステップA18)、そのX座標の初期値に従って先頭のグラフ(グラフ番号1のグラフ)がトレース表示される(ステップA19)。
【0102】
その際、当該グラフに対応したグラフ式(関数式)が読み出され、そのグラフ式に従ってトレースポインタPの初期位置のX座標値,Y座標値が計算されて、そこにトレースポインタPが表示される(図17参照)。
【0103】
このとき、トレースポインタPのX座標値を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータがX座標値用の文字列データとして、図7に示した第1のワークエリア14eに設定される(ステップA20)。同様に、トレースポインタPのY座標の値を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度がY座標値用の文字列データとして第1のワークエリア14eに設定される(ステップA22)。
【0104】
さらに、グラフ式を表わす文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度がグラフ式用の文字列データとして第1のワークエリア14eに設定される(ステップA24)。
【0105】
これらの文字列は、トレース対象のグラフに対応させて画面上の所定の位置に表示されるものである。その際、上述したグラフのカラー表示と同様に、背景色との関係でこれらの文字列の色の彩度あるいは明度が修正される(ステップA21,A23,A25)。図11にそのときのカラー文字表示処理Aの詳細を示す。
【0106】
図11は電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラー文字表示処理Aの流れを示すフローチャートである。
【0107】
今、X座標値を示す文字列を画面上に描画する場合を想定して説明する。
まず、メモリ14の第1のワークエリア14eからグラフ番号1に対応したX座標値を示す文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータが読み出される(ステップD11)。図7の例で言うと、X座標値を示す文字列として「X=2」、表示位置として「(1〜50,2〜20)」、色(色相)として「青(B)」、彩度として「4」が読み出されることになる。
【0108】
ここで、描画対象とするX座標値の表示位置の範囲の背景画像のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップD12)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップD13)。そして、これらの平均値を用いて、彩度明度修正処理が実行される(ステップD14)。
【0109】
なお、この彩度明度修正処理については、図10のフローチャートと同様であるため、ここでは詳しい省略する。この場合も、背景画像の色との関係で、描画対象とするX座標値を示す文字列「X=2」が背景画像上で視認できるように、その文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。
【0110】
彩度明度修正処理の終了後、当該文字列がその表示位置に修正後の彩度あるいは明度で予め設定された色で描画される。その際、当該文字列は修飾付きで描画される(ステップD15)。
【0111】
詳しくは、当該文字列の修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報、さらに、文字の修飾情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像が既にカラー表示されているので、その背景画像に重ねて文字列がカラー表示されることになる。
【0112】
なお、「修飾付き」とは、具体的に「影付き」のことである。すなわち、グラフに関連した文字列については、影付き文字の形態で表示されることになる。
【0113】
Y座標値を示す文字列「Y=4」、グラフ式を示す文字列「Y1=−(X−2)2+4」ついても同様であり、それぞれに背景画像上で視認できるように、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正され、修飾付き(影付き)で描画されることになる。
【0114】
図17にグラフ番号1(Y1)のグラフをトレースした場合の表示例を示す。
【0115】
図中のPは十字形状のトレースポインタ、41,42はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、43はグラフ式を示す文字列である。
【0116】
これらの文字列41〜43についても、トレース対象のグラフ34のカラー表示と同様に、それぞれの表示位置の背景画像上で視認できるように、彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。そして、影付き文字の形態で所定の位置にカラー表示される。これにより、背景画像に多彩な色が使われていても、その背景画像上で文字列41〜43の視認性を高めることができる。
【0117】
ここで、ユーザによりキー入力部12に設けられたカーソルキー12gの左方向キー(「←」キー)または右方向キー(「→」キー)が操作された場合には(ステップA26のYes)、トレースポインタPがX軸方向に移動する(ステップA27)。
【0118】
詳しくは、左方向キーまたは右方向キーが操作される毎にX座標値が増減され、現在トレース中のグラフの式に従って、増減後のX座標値に対するY座標値が計算されて、トレースポインタPの表示位置が更新される。
【0119】
また、トレースポインタPの移動に合わせて、更新後のX座標値を示す文字列とY座標値を示す文字列がカラー表示される(ステップA20〜A23)。このときも、背景画像の色との関係で、描画対象とするX座標値を示す文字列とY座標値を示す文字列が背景画像上で視認できるように、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正され、修飾付き(影付き)で表示される。
【0120】
また、ユーザによりキー入力部12に設けられたカーソルキー12gの上方向キー(「↑」キー)または下方向キー(「↓」キー)が操作された場合には(ステップA28のYes)、トレース対象とするグラフがグラフ番号の昇順あるいは降順に切り替えられ(ステップA29)、その切り替えられたグラフにトレースポインタPが表示される(ステップA30)。
【0121】
詳しくは、現在設定されているX座標値について、切り替えられたグラフの式に従ってY座標値が計算され、そのX座標値とY座標値で示される位置にトレースポインタPが表示される。
【0122】
以後は、前記ステップA20〜A27の処理が同様に繰り返され、切り替えられたグラフのトレース動作に伴い、X座標値とY座標値を示す文字列、そして、グラフ式を示す文字列が所定の位置に描画され、これらの文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が背景画像の色との関係で適宜修正されてカラー表示される。
【0123】
図18にトレース対象をグラフ番号1(Y1)のグラフからグラフ番号2(Y2)のグラフに切り替えた場合の表示例を示す。
【0124】
上述したように、カーソルキー12gの上方向キー(「↑」キー)または下方向キー(「↓」キー)の操作により、トレース対象となるグラフが切り替えられる。図18の例では、グラフ番号2(Y2)のグラフ35に切り替えらたれ状態が示されている。図中のPは十字形状のトレースポインタ、51,52はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、53はグラフ式を示す文字列である。
【0125】
これらの文字列51〜53についても、トレース対象のグラフ35のカラー表示と同様に、それぞれの表示位置の背景画像上で視認できるように、彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。そして、影付き文字の形態で所定の位置にカラー表示される。これにより、背景画像に多彩な色が使われていても、その背景画像上で文字列41〜43の視認性を高めることができる。
【0126】
このように、グラフ毎に色が設定され、グラフに関連した文字列がグラフと同じ色で表示されるので、多数のグラフが表示された状態であっても色別に対応関係を把握することができる。
【0127】
さらに、グラフに関連した文字列については、修飾付き文字(影付き文字)の形態で表示されるので、その文字列の視認性を高めることでき、背景画像に重なった状態であっても、表示中のグラフとの対応関係を容易に把握できるようになる。
【0128】
この場合、グラフに関連した文字列として、グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいはグラフ式を示す文字列が表示されるので、グラフとこれらの文字列との対応関係を同一画面上で確認しながら、関数グラフを効果的に学習することができる。
【0129】
また、背景画像に重ねてグラフが表示される場合に、その背景画像の色との関係を考慮して、当該グラフに設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されるので、背景画像上でのグラフの視認性を確保することができる。これにより、背景画が設定されていても仕様なくグラフ表示を行うことができる。
【0130】
また、背景画像に重ねてグラフに関連した文字列が表示される場合も同様であり、その背景画像の色との関係を考慮して、当該文字列に設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されることで、背景画像上での文字列の視認性を確保することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0132】
この電子計算機10では、LISTデータとして入力された各数値をグラフ式(関数式)の変数にして複数のグラフを表示部13の画面上に表示することが可能である。しかし、多数のグラフが表示されることで、グラフに関連した文字列がグラフと重なる可能性が高くなる問題が生じる。第2の実施形態では、このようなグラフと重なる文字列の視認性を改善するものである。
【0133】
前記第1の実施形態で説明したように、ユーザ操作によりLISTデータとグラフ式(関数式)を入力することで、そのグラフ式に対応したグラフが予め設定された色で表示部13の画面上に表示される。その際、任意の画像を背景画像して指定することで、表示部13の画面上に表示することもできる。
【0134】
ここで、LISTデータとして複数の数値を入力しておくことにより、これらの数値をグラフ式の変数にして多数のグラフを表示することができる。
【0135】
この様子を図20〜図23を用いて具体的に説明する。
【0136】
図20および図21はリスト入力画面61の表示例を示す図であり、図20は「List1」の7番目〜10番目の各セルに数値が入力された状態、図21は「List1」の17番目〜20番目の各セルに数値が入力された状態を示している。図中のCLはカーソルであり、キー入力部12のカーソルキー12gの操作により、カーソルCLをセル単位で移動させて数値入力を行う。
【0137】
まず、ユーザがキー入力部12に設けられた「MENU」キー12cを操作することにより、本装置のLIST機能を起動してLISTデータを入力する。その際、図20に示すように、ユーザが「List1」の各セルに「0.1」,「0.2」,「0.3」…「1.0」といったように、0.1単位で10個の数値を順に入力する。続いて、図21に示すように、「1.5」,「2.0」,「2.5」,…「6」といったように、0.5単位で10個の数値を順に入力したとする。
【0138】
次に、ユーザが本装置のグラフ機能を起動して、図22に示すようなグラフ式入力画面62を表示部13に表示し、このグラフ式入力画面62上のグラフ番号をカーソルCLにて指定し、そこに任意のグラフ式(関数式)を入力する。その際に、LISTデータの数値を変数にしたグラフ式(関数式)の入力を行うことができる。
【0139】
図22の例では、グラフ番号1に「Y1=−List1X」といったグラフ式が入力された状態が示されている。なお、図12と同様に、図中の画面左側に付した記号は、グラフ式入力エリアに設定されている色を表している。この記号は図面の制約上便宜的に付したものであり、実際には、画面上に下記のような色でカラー表示され、ユーザはその色を見て、グラフ式の入力を行うことができる。
【0140】
B:青,R:赤,G:緑,P:紫,M:モノトーン。
【0141】
図23はリストグラフ画面の表示例を示す図である。
【0142】
ユーザがグラフ番号1を選択して、ファンクションキー「F1」の操作によりトレース機能を起動すると、図23に示すようなリストグラフ画面63が表示される。図中の71はグラフ座標のX軸、72はグラフ座標のY軸、73はグラフ番号1のリストグラフ群である。
【0143】
このリストグラフ群73は、リスト入力画面61の「List1」にLISTデータとして入力された20個の数値を変数とした複数のグラフからなる。これらのグラフを式で表わすと、下記のようになる。
【0144】
1:Y1=−0.1X
2:Y1=−0.2X
3:Y1=−0.3X
(略)
17:Y1=−4.5X
18:Y1=−5.0X
19:Y1=−5.5X
20:Y1=−6.0X。
【0145】
このリストグラフ群73の各グラフは、グラフ式入力画面62のグラフ番号1から青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色が順に設定されてカラー表示される。なお、図23の例では、図面の制約上便宜的にグラフの線種を変えて、各グラフが異なる色でカラー表示されていることを表している。前記第1の実施形態で説明したように、背景画像が設定されている場合には、その背景画像の色との関係で各グラフの色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される(図8のステップA15,図9参照)。
【0146】
また、図中のPは十字形状のトレースポインタ、74,75はトレースポインタPが示す位置のX座標値とY座標値を示す文字列、76はトレース対象として選択されているグラフの式を示す文字列である。これらの文字列74,75,76は、トレース対象として選択されているグラフと同じ色で表示される。その際、背景画像あるいはグラフの色との関係で、これらの文字列74,75,76の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正される。
【0147】
以下に、第2の実施形態の処理動作について詳しく説明する。
図19は第2の実施形態の処理動作を示す図であって、電子計算機10に備えられたCPU11によって実行されるカラー文字表示処理Bの流れを示すフローチャートである。このカラー文字表示処理Bは、図8に示した関数グラフ表示処理の中のステップA21,A23,A25において、カラー文字表示処理Aに代えて実行される。
【0148】
トレース対象となるグラフの選択に伴い、そのグラフに関連した文字列を表示するに際し、まず、背景画像が設定されているか否かが判断される(ステップE11)。グラフに関連した文字列とは、X座標値やY座標値を示す文字列、グラフ式を示す文字列のことであり、図23の例で言うと、文字列74の「X=0.9」、文字列75の「Y=−0.09」、文字列76の「Y1=−List1X」である。
【0149】
背景画像が設定されていない場合には(ステップE11のNo)、当該文字列が画面上に表示された各グラフのうちの1つあるいは複数のグラフと重なるか否かが判断される(ステップE12,E13)。
【0150】
当該文字列がどのグラフにも重ならない場合には(ステップE12のNo,E13のNo)、当該文字列がその表示位置に標準の彩度あるいは明度を持って予め設定された色で描画される(ステップE14)。図23の例では、文字列74の「X=0.9」がグラフに重ならない文字列に該当する。
【0151】
一方、背景画像が設定されている場合(ステップE11のYes)、あるいは、当該文字列が画面上に表示された各グラフのうちの1つあるいは複数のグラフと重なる場合に(ステップE12のYes,E13のYes)、以下のような修正処理が実行される。
【0152】
すなわち、まず、メモリ14の第1のワークエリア14eから該当する文字列と、その表示位置、色(色相)、標準の彩度のデータが読み出される(ステップE15)。図23の例では、文字列75の「Y=−0.09」、文字列76の「Y1=−List1X」がグラフに重なる文字列であり、これらのデータが読み出されることになる。
【0153】
ここで、当該文字列の表示位置の範囲の背景画像あるいはグラフが重なっている部分の画像(以下、これを背景グラフ重ね画像と称す)のドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに記憶されたカラー画面データから読み出され(ステップE16)、その範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値が計算される(ステップE17)。
【0154】
ここで、当該文字列の色相、彩度、明度と、背景グラフ重ね画像の前記範囲内の各ドットの色相、彩度、明度の平均値とが比較される。その結果、当該文字列の色相が背景グラフ重ね画像と近い色であって、当該文字列の色の彩度(モノトーンの場合には明度)が背景グラフ重ね画像に近い値であった場合に彩度明度の修正の必要ありと判断される。
【0155】
具体的には、図2に示す表色系の色配置において、当該文字列の色の彩度または明度と背景グラフ重ね画像の彩度または明度との差が3レベル以下であった場合に彩度明度の修正の必要ありと判断され、当該文字列の色の彩度または明度が背景グラフ重ね画像の彩度または明度から離れた値(例えば4レベル以上)になるように修正される(ステップE18)。
【0156】
彩度明度修正処理の終了後、当該文字列がその表示位置に修正後の彩度あるいは明度で予め設定された色で描画される。その際、当該文字列は修飾付きで描画される(ステップE19)。
【0157】
詳しくは、当該文字列の修正後の彩度あるいは明度、設定色の情報、さらに、文字の修飾情報を含んだドットデータがメモリ14の第2のワークエリア14fに展開されて、表示部13の画面上の指定の位置に表示される。その際、表示部13の画面には背景画像あるいはグラフが既にカラー表示されているので、その背景画像あるいはグラフに重ねて文字列がカラー表示されることになる。
【0158】
なお、前記第1の実施形態と同様に、「修飾付き」とは、具体的に「影付き」のことである。すなわち、グラフに関連した文字列については、影付き文字の形態で表示されることになる。
【0159】
このように、トレース時に表示されるX座標値やY座標値を示す文字列、グラフ式を示す文字列がグラフと同じで色で表示されるので、多数のグラフが表示された状態であっても色別に対応関係を把握することができる。
【0160】
さらに、図23の例のように、グラフに重ねて文字列が表示されるような場合には、背景画像の有無に関係なく、修飾付き文字(影付き文字)の形態で表示されるので、その文字列の視認性を高めて、表示中のグラフとの対応関係を容易に把握できるようになる。
【0161】
また、グラフに重ねて文字列が表示される場合に、そのグラフの色との関係を考慮して、当該文字列に設定された色の彩度(モノトーンの場合には明度)が修正されることで、グラフに重なった状態での文字列の視認性を確保できる。
【0162】
なお、前記各実施形態では、グラフに対し、青(B),赤(R),緑(G),紫(P),モノトーン(M)の5色を設定する構成としたが、これらの色以外の色を用いて設定しも良いし、5色以上の色を用いて設定するような構成であっても良い。
【0163】
また、グラフに関連した文字列の文字修飾の形態として、「影付き文字」を例にしたが、例えば「中抜き文字」や「浮き出し文字」などでも良い。要は、グラフに関連した文字列が背景画像やグラフに重なった状態で視認可能な文字修飾の形態であれば、どのような形態あっても良い。
【0164】
また、前記各実施形態において記載した電子計算機10による各動作手法、すなわち、図8〜図10、図19の各フローチャートで示した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレシキプルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体(記録媒体15)に記録して配布することができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、この記憶媒体に記録されたプログラムを読み込みことで、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0165】
また、前記手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)を介して伝送させることができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、このプログラムを通信ネットワークに接続された通信装置(通信制御部17)にて受信することにより、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0166】
なお、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0167】
10…電子計算機、
11…CPU、
11a…色グラフ入力部、
11b…背景画像設定部、
11c…第1の表示処理部、
11d…第2の表示処理部、
11e…第1の明度彩度修正部、
11f…第2の明度彩度修正部、
12…キー入力部、
12a…数値・記号キー
12b…関数・演算子キー
12c…「MENU」キー
12d…「SHIFT」キー
12e…「OPTN」キー
12f…「EXE」キー
12g…カーソルキー
F1〜F6…ファンクションキー
13…表示部
14…メモリ
14a…プログラム記憶領域
14b…グラフ式記憶領域
14c…グラフ色記憶領域
14d…背景画像ファイル記憶領域
14e〜14f…ワークエリア
15…記録媒体
16…記録媒体読取部
17…通信制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段と、
ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、
この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段と、
この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段と
を具備したことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項2】
前記第2の表示処理手段は、
前記グラフに関連した文字列が前記グラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示することを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項3】
前記グラフに関連した文字列とは、前記グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいは前記グラフ式を示す文字列であることを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項4】
前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の彩度を修正する第1の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項5】
前記第1の彩度明度修正手段は、
前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の明度を修正することを特徴とする請求項4記載のグラフ表示装置。
【請求項6】
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正する第2の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項7】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであり、その文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項8】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項9】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであって、前記文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項10】
入力されたグラフ式に対応したグラフを表示するための表示部を備えたコンピュータに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段、
ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、
この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段、
この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項1】
ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段と、
ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、
この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段と、
この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段と
を具備したことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項2】
前記第2の表示処理手段は、
前記グラフに関連した文字列が前記グラフと重なる場合に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示することを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項3】
前記グラフに関連した文字列とは、前記グラフ式から得られるX座標値とY座標値を示す文字列あるいは前記グラフ式を示す文字列であることを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項4】
前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の彩度を修正する第1の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項5】
前記第1の彩度明度修正手段は、
前記第1の表示処理手段によって表示されたグラフの色がモノトーンであり、そのグラフの色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記グラフの色の明度を修正することを特徴とする請求項4記載のグラフ表示装置。
【請求項6】
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正する第2の彩度明度修正手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のグラフ表示装置。
【請求項7】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであり、その文字列の色と前記背景画像の色とが近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項8】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記文字列の視認性を高める方向に前記文字列の色の彩度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項9】
前記第2の彩度明度修正手段は、
前記第2の表示処理手段によって表示された文字列の色がモノトーンであって、前記文字列と前記グラフとが重なり、両者の色が近似している場合に、前記グラフの視認性を高める方向に前記文字列の色の明度を修正することを特徴とする請求項6記載のグラフ表示装置。
【請求項10】
入力されたグラフ式に対応したグラフを表示するための表示部を備えたコンピュータに用いられるプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザ操作に応じて複数色のいずれかの色を設定してグラフ式を入力する色グラフ入力手段、
ユーザ操作に応じて背景画像を設定する背景画像設定手段と、
この背景画像設定手段によって設定された背景画像に重ねて、前記色グラフ入力手段によって入力されたグラフ式に対応したグラフを前記設定された色で画面上に表示する第1の表示処理手段、
この第1の表示処理手段によって表示されたグラフをトレース対象として選択し、そのグラフに関連した文字列を前記グラフと同じ色で前記画面上に表示すると共に、その文字列を修飾付き文字の形態で表示する第2の表示処理手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−204003(P2011−204003A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70575(P2010−70575)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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