説明

グリシジルエーテルコポリマーを含む組成物

本発明は、分散剤及び分散固体として又は乳化剤及び油中水滴型エマルジョン形状の硬化性不飽和ポリマー系として、特別の構造単位I〜Vから構成される両親媒性グリシジルエーテルコポリマーを少なくとも1つ含む組成物に関し、その際、構造単位Iの少なくとも1つは、芳香族基を担持し、かつ構造単位は、ブロックで、傾斜で、又はランダムで配置されていてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤及び分散固体、好ましくは分散顔料、として又は乳化剤及び油中水滴型エマルジョン形状の硬化性不飽和ポリマー系として、本明細書中に記載の構造単位I〜Vから構成される両親媒性グリシジルエーテルコポリマーを少なくとも1つ含む組成物に関し、その際、本明細書に記載の詳細により、構造単位を、傾斜様(gradientenartig)、ランダム又はブロック様配置にすることが可能である。
【背景技術】
【0002】
液体媒体もしくは固体媒体、例えばペイント、水性もしくは有機溶剤を含有する分散系、又は高分子成形材料などの中に、固体を安定かつ均一に分散させるためには、分散剤が助剤として必要である。
【0003】
これらの目的のために、分散剤は、2つの異なる機能を果たすことが必要とされる。
【0004】
第一に、分散剤は、その湿潤を促進させるように、固体表面と相互作用できねばならない。これは、分散剤が、アンカー基(chemische Gruppen)として公知の特別の化学基を有することで達成される。親水性アンカー基の例は、第三級アミノ基、アンモニウム塩、リン酸基、カルボン酸基、スルホン酸、アミド、ウレタン又は尿素部分である。
【0005】
水性分散液に好適なアンカー基には、例えばAdv.Mater.1998,10,1215−1218に記載されるような、例えば、アルキル基、フェニル基又はベンジル基等の疎水性基がある。
【0006】
第二に、分散剤は、分散媒体と極めて相溶性であることが必要である。
【0007】
従って、有機分散媒体に関しては、分散剤は、例えば相対的に長鎖のアルキル基又はアリール基のような、疎水性基を有さねばならない。水性分散液に関しては、分散剤は、例えば、塩化(versalzte)カルボン酸などの、水溶性の親水基を有すべきである。
【0008】
モノマーの重合により、高分子分散剤が得られ、これは、場合により、引き続き、例えば、側鎖での、重合−類似反応により変性することができる。重合の実施に応じて、モノマーは、ランダム又は交互に、傾斜様又はブロック様の形状でポリマー鎖に組み込まれる。ランダム又は交互構造のポリマー鎖の場合には、そのような分散剤は、非常に良好な固体湿潤特性を示すが、傾斜様又はブロック様構造を有する分散剤と比べて、固体分散系の安定化はあまりよくない。対照的に、非常に良好な安定性を有するブロック様構造の分散剤は、ブロックが非常に異なる極性を有する場合には、ポリマー鎖がミセルを形成することもあるので、その結果、分散すべき固体表面に対してあまりよくない湿潤挙動をとる。
【0009】
分散剤の1つの大きな基は、例えばアクリレート又はメタクリレートのような、エチレン性不飽和モノマーにより形成されるポリマーに基づき、その場合、使用ポリマーは、ランダム、傾斜様又はブロック様構造を有し得る。ポリマー又はコポリマーがランダム構造を有する場合、これらは、慣用の開始剤を用いて、ラジカル重合により製造される。これらが、傾斜様又はブロック様構造を有する場合は、例えば原子移動ラジカル重合(ATRP)、官能基移動重合(GTP)、ニトロキシル媒介重合(NMP)又は可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)プロセスのような制御された重合により製造される。このような別々に構成されたポリマーに基づく分散剤は、代表例として、EP1416019、US4755563、US5085698、US6326420、US6455628、US6462125、US6642301、US6849679及びWO00/40630を含む多数の特許明細書中に挙げられている。
【0010】
制御重合技術によるブロック様又は傾斜様構造を有するコポリマーの製造には、特殊な、それゆえ高価な開始剤又は触媒が通常必要である。
【0011】
分散剤の別の主要基は、ポリアルキレンオキシドに基づく(US2002/0011183、US2005/0085563、US6552091、WO2007/087961)。
【0012】
これらの分散剤は、エチレンオキシドの重合により親水性を示す一方で、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はスチレンオキシドの共重合により、分散剤のベースであるポリマー中に疎水性部分を導入することができる。市販のアルキレンオキシドの選択範囲は狭く、かつ末端OH基のみがこれらのポリマーの変性用官能基として好適なので、ポリマー変性の可能性は限定され、従って分散剤としてのその使用可能性も限定される。
【0013】
その結果、従来技術の固体分散系の欠点を示さず、親水性分散媒体のみならず、疎水性分散媒体にも使用でき、従って多数の応用分野で使用できる分散剤への需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、固体と液体又は液体−液体間の相媒介剤を提供することであり、これらの薬剤は、疎水性媒体及び親水性媒体の両方で、広く利用できる貯蔵安定な系を、相応して、もたらす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、分散剤及び少なくとも1つの分散固体、好ましくは少なくとも1つの分散顔料、として、又は乳化剤及び油中水滴型エマルジョン形状の硬化性不飽和ポリマー系として、以下の構造単位Iと、以下の構造単位II〜V:
【化1】

の少なくとも1つと、末端基−O−R及び/又はRとから構成される、両親媒性グリシジルエーテルコポリマーを少なくとも1つ含む本発明組成物を提供することにより達成され、但し構造単位IVは、常に、構造単位II、III及びVの少なくとも1つと一緒に配置されており、
式中、Rは、好ましくはC原子1〜20個を有する直鎖状アルキル基もしくは分岐状アルキル基又は好ましくはC原子4〜10個を有する環状アルキル基、アリール基、アリールアルキレン基、ヘテロアリール基もしくはヘテロアリールアルキレン基であり、基それぞれのアリール環もしくはヘテロアリール環は、置換されていてもよく、
は、それぞれ同じか又は異なり、水素であり及び/又はカルボキシメチレン基もしくは相当する塩もしくは相当するアルキルエステル基、マレイン酸のモノエステル基もしくは相当する単一塩、リン酸基もしくは相当する塩、スルホン酸基もしくは相当する塩、又はスルホコハク酸基もしくは相当する塩であり、或いは基Rの多くても20%までが、OH−保護基、好ましくはアセタール基もしくはtert−ブチル基、であり、
は、水素及び/又はC原子1〜6個を有する直鎖状アルキル基もしくは分岐状アルキル基及び/又はC原子4〜6個を有する環状アルキル基であり、
は、少なくとも1つのアリール基もしくはアリールアルキレン基により置換されていてもよい、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基もしくは環状アルキル基であるか、場合により置換されたアリール基もしくはアリールアルキレン基であるか、又は好ましくはC原子1〜5個のアルコキシ基を有する反復単位を好ましくは少なくとも2個、更に好ましくは2〜20個有するポリアルキレンオキシド基であり、
は、Rと同じか又は異なるものであり、OH−保護基以外の、Rを表す残基であり、
その際、構造単位は、傾斜様、ランダム又はそれぞれブロック様に配置されており、
構造単位Iは、少なくとも2倍、好ましくは2〜100倍、更に好ましくは2〜50倍存在し、構造単位Iの少なくとも1つが、芳香族基を担持し、かつ、場合により存在する構造単位IVの割合は、構造単位II〜Vの総数の高々0〜50%である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリグリシジルエーテルブロックコポリマーは、なるほど、既に先行技術で開示されているが、本発明の組成物中におけるように分散剤としては、決して使用されていない。
【0017】
例えばUS−A−4485211に、カチオン性開環重合によるポリグリシジルエーテルブロックコポリマーが記載され、これは場合により変性されて第四級アンモニウム塩を生じることが記載される。
【0018】
このUS特許明細書の開示により、これらのブロックコポリマーは、好ましくは、比較的高い分子量の線状ポリマーを製造するための二官能性鎖延長剤としての利用が見出されている。増粘剤、重合用分散剤又は鉱物用分離剤としてのその用途もそこに記載されている。
【0019】
EP−A−0406168には、フェニルグリシジルエーテル単位が、末端基として、ポリアルキレンオキシドに付加された生成物が記載される。場合により更に変性され、かつ場合により他のアニオン性又は非イオン性添加剤と併用して使用されるこのような生成物は、特に、染色助剤として使用することができる。
【0020】
出版物;Langmuir 2006,22,7465−7470及びLangmuir 2005,21,5263−5271のそれぞれには、溶解度の低い、例えばグリセオフルビンなどの医薬品有効成分の溶解度を改良する1つの可能性として、特定のグリシジルブロックコポリマーによりミセルを形成することが記載されている。しかしながら、本発明では、安定な分散系を得ることが目的とされるので、ミセルの形成は、本発明の組成物を用いて目指す作用とは対照的に、具体的には望ましくない作用である。そのため、フェニルグリシジルエーテル単位5個とエチレンオキシド単位67個とを含むグリシジルブロックコポリマー及び医薬品有効成分、例えばグリセオフルビン、を含む水性組成物は、本発明から除外され、同様に、エチレンオキシド単位71個、62個又は38個と、フェニルグリシジルエーテル単位7個、8個又は12個の中間ブロックとをそれぞれが含む2個のブロックからなるグリシジルブロックコポリマー及び低溶解性の医薬品有効成分、例えばグリセオフルビン、を含む水性組成物も本発明から除外される。
【0021】
分散剤又は乳化剤として、本発明の組成物中に存在するグリシジルエーテルコポリマーは、ランダム又は傾斜様又はブロック様構造、好ましくは傾斜様又はブロック様構造、更に好ましくはブロック様構造をしている。
【0022】
本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iを含有し、好ましくはこの反復構造単位のブロックを少なくとも1つ有し、かつその反復構造単位Iの少なくとも1つはアリール基を有する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位I及び反復構造単位IIを含有し、特に好ましくは、グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つ及び反復構造単位IIのブロックの少なくとも1つを有するか、又は反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと、反復構造単位Iと反復構造単位IIが共重合したもののブロックの少なくとも1つとを有する。
【0024】
使用分野に応じて、本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位I及び反復構造単位IIIからも構成でき、好ましくは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つ及び反復構造単位IIIのブロックの少なくとも1つ又は共重合された構造単位I及び構造単位IIIのブロックの少なくとも1つから構成できる。
【0025】
本発明組成物中に、反復構造単位I〜IIIのグリシジルエーテルコポリマーも存在してよい。グリシジルエーテルコポリマーは、好ましくは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと、共重合された反復構造単位II及び反復構造単位IIIのブロックの少なくとも1つとを有するか、又は反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと、反復構造単位IIのブロックの少なくとも1つ及び/又は反復構造単位IIIのブロックの少なくとも1つとを有する。
【0026】
分岐グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iの他に、場合により少なくとも1つの反復構造単位IVを含み、この構造単位IVは、反復構造単位II及び/又は反復構造単位III及び/又は反復構造単位Vと少なくとも共重合しており、その場合、反復構造単位は、傾斜様又はランダム、更に好ましくはランダムで配置されていてよい。
【0027】
構造単位IVが、グリシジルエーテルコポリマー中に存在する場合、構造単位IVの割合は、存在する構造単位II〜Vの総数の多くても50%、好ましくは多くても30%、非常に好ましくは多くても20%である。
【0028】
本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、好ましい疎水性構造単位I、好ましくは2倍〜100倍、更に好ましくは2倍〜50倍、非常に好ましくは2倍〜20倍を有し、そのうちの構造単位Iの少なくとも1つが芳香族基を有する。構造単位II〜Vの数が少なくとも構造単位Iの数に相当し、構造単位II〜Vの数は、好ましくは構造単位Iの数より少なくとも20%多く、更に好ましくは少なくとも50%多いグリシジルエーテルコポリマーが特に好ましい。
【0029】
構造単位Iは、好ましくは、一般式(X):
【化2】

[式中、Rは、好ましくはC原子1〜20個を有する直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基、更に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルもしくは2−エチルヘキシル基、であるか、又は好ましくはC原子4〜12個を有する環状アルキル基、更に好ましくはシクロヘキシル基、であるか、又は短鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル及び/又はプロピル基又はハロゲン原子、好ましくは塩素、で置換されていてもよい、C原子6〜10個を有するアリール基、特に好ましくはフェニル基もしくはナフチル基、であるか、又は好ましくはC原子7〜10個を有するアリールアルキレン基であり、その場合、アリール基は、短鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル及び/又はプロピル基、で置換されていてもよく、更に好ましくは、ベンジル基であり、又は少なくとも1つの酸素もしくは窒素原子を芳香環に有するヘテロ芳香族基であり、その場合芳香環も、短鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル及び/又はプロピル基又はハロゲン、好ましくは塩素、で置換されていてもよい]のグリシジルエーテルから誘導される。
【0030】
構造単位IIは、一般式(Y):
【化3】

[式中、残基Rは、OH基のための保護基であり、好ましくはtert−ブチル基及び/又はエトキシエチル基である]のグリシジルエーテルから誘導される。
【0031】
重合後に、前に記載の官能基中で残基Rにより保護されたOH基は、部分的又は完全に変性することができる。
【0032】
構造単位IIIは、好ましくは、アルキレンオキシド、更に好ましくはC原子2〜10個を有する直鎖状アルキレンオキシド、分岐状アルキレンオキシド又は環状アルキレンオキシド、非常に好ましくはエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド及び/又は1,2−ブチレンオキシドから誘導される。
【0033】
分岐グリシジルエーテルコポリマー中に存在する構造単位IVは、好ましくは一般式(Z):
【化4】

[式中、Rは、水素又はC原子1〜4個を有するアルキル基、好ましくはメチル基、であり、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基、好ましくは末端ヒドロキシル基、を有するC〜Cアルキレン基である]のオキシラン化合物から誘導される。
【0034】
グリシジルエーテルコポリマーを分岐させるために2,3−エトキシプロパン−1−オール(グリシドール)を使用するのが特に好ましい。
【0035】
構造単位V中のRが、Hの場合、構造単位Vは、グリシドールから誘導される。これは、以下に記載のように、−OH官能基の更なる反応により、部分的又は完全に変性させることができる。
【0036】
構造単位II中のRが、Hの場合、この単位も、グリシドールから誘導され、かつ以下に記載のように、−OH基の更なる反応により、部分的又は完全に変性させることができる。
【0037】
末端基−ORは、本発明により使用されるグリシジルコポリマーの開始剤化合物から誘導され、Rは、C原子1〜10個、好ましくは、C原子1〜5個を有する直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基又は環状アルキル基を表し、これらの基は、少なくとも1つの、好ましくは末端のアリール基、更に好ましくはフェニル基、により又は好ましくは末端アリールアルキレン基、更に好ましくは置換されていてもよいベンジル基、により置換されていてもよく、或いは、Rは、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、の反復単位を好ましくは少なくとも2個、より好ましくは2〜20個、非常に好ましくは2〜12個有するアルコキシポリアルキレンオキシド基を表す。
【0038】
末端基Rは、Rと同じか又は異なり、Rについて記載の、OH−保護基以外のものを表し、かつH、カルボキシメチレン基もしくは相当するC〜Cアルキルエステル基、マレイン酸もしくはコハク酸のモノエステル基もしくは相当する単一塩、リン酸基もしくは相当する塩、スルホン酸基もしくは相当する塩、又はスルホコハク酸基もしくは相当する塩であってよい。
【0039】
本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、場合により存在するマレイン酸モノエステル基は別として、好ましくは、エステル部分を有さない。
【0040】
本発明により使用されるグリシジルエーテルブロックコポリマーは、好ましくは開環下の重合、非常に好ましくは開環下のアニオン重合により得られる。アニオン重合は、当業者に公知の慣用の工程により行われる。好適な工程パラメーター、触媒及び反応媒体は、以下の出版物及びそこに記載される引用文献に見つけることができる:
Nonionic Surfactants:Organic Chemistry,Surfactant Science Series Volume 72( Nico M. Van Os編集)。
【0041】
引用文献中の工程の説明は、開環下のアニオン重合の記述としてここに取り入れられ、本明細書の開示内容の一部と考えられる。
【0042】
以下の実施例において、本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーの基本的製造及び3工程ステップによる引き続いての変性が、該当する工程スキームにより解説される。
【0043】
疎水性構造単位Iの製造においても、多かれ少なかれ親水性である構造単位II〜Vの場合でも、グリシジルエーテル、アルキレンオキシド又はオキシラン化合物を、各構造単位又はそれらの混合物を製造するために使用することができる。
【0044】
本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーの構造に応じ、開始剤分子は、最初に、親水性構造単位を生じる出発化合物、好ましくは相当するグリシジルエーテル、又は疎水性構造単位を生じるグリシジルエーテル、好ましくはアリールグリシジルエーテルと、重合させることができる。
【0045】
開環下でアニオン重合される出発化合物の添加に応じて、傾斜様コポリマー、又は好ましくはブロック様構造のグリシジルエーテルコポリマーを得ることができる。このようにして得られたグリシジルエーテルコポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックと少なくとも1つの疎水性ブロックとを有するか、又は更に進んで、疎水性ブロック及び親水性ブロックが交互に配置されているブロック配置を有することができる。
【0046】
重合は、出発化合物のヒドロキシル基の一部が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドにより0.1%〜80%、好ましくは2%〜20%脱プロトン化されるように行われるのが好ましい。蒸留による水又はアルコールの除去後に、開始剤及び開始剤アルコラートの混合物が得られる。開環下の重合は、一般に、溶剤を添加せずに、触媒の存在下に行われる。しかしながら、アルコキシル化条件下で不活性な溶剤を併用して重合を行うこともできる。
【0047】
重合すべきグリシジルエーテルは、好ましくは徐々に混合物に添加し、40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃、更に好ましくは60℃〜90℃の温度で重合させる。開環下のリビングアニオン重合は、成長鎖のアルコール基とアルコレート基の間のプロトンの迅速な交換により制御される。重合の最後に、酸により中和が実施され、生じた生成物は濾過により単離される。これは、酸性イオン交換体を用いても成就できる。
【0048】
分岐構造は、グリシドールの重合又はグリシドールと前記グリシジルエーテル及び/又は前記アルキレンオキシドとの共重合により得ることができる。反応、反応物及び手順に関する更なる詳細は、以下の公表文献:Macromolecules 1999,32,4240−4246又はUS 2003/0120022に見い出すことができる。
【0049】
公表文献中の相当する開示が、ここに取り入れられ、本明細書の開示内容の一部であるとみなされる。
【0050】
開環下のアニオン重合の過程で、分岐構造単位も重合させるべき場合、好ましくは、相当する疎水性ブロックを形成する疎水性グリシジルエーテルの重合下に、末端ヒドロキシル基を有する開始剤分子を用いてアニオン重合を開始させるのが好ましい。
【0051】
本発明により使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、疎水性構造単位に対して、好ましくは1〜50%、特に1〜30%、非常に好ましくは1〜10%の分岐構造単位IVを有する。
【0052】
本発明により使用されるグリシジルエーテルポリマーの親水性ブロックが、構造単位IIIから構成される場合、アルキレンオキシドの重合は、公知のプロセスにより行うことができる。当業者に公知の慣用のプロセスに好適な反応条件及び加圧下での操作に好適な装置への言及及び記述は、例えば、Nikolaus Schoenfeldt,Grenzflaechenaktive Aethylenoxid−Addukte,Wissen-schaftliche Verlagsgesellschaft mbH,シュトッツガルト1984年及びそこに記載の引用文献に見られる。
【0053】
例えば、好ましくは親水性グリシジルエーテルから誘導される構造単位のエーテル部分を脱離させ、更なる反応のために官能性ヒドロキシル基を得るために、本発明に使用されるグリシジルエーテルコポリマーは、好ましくは開環下での重合後に、さらに後処理される。開環下でのアニオン重合の間、安定なままである相当する保護基の例には、エトキシエチルグリシジルエーテルのエトキシエチル基がある。親水性構造単位IIを製造するために使用できるtert−ブチルグリシジルエーテルのtert−ブチル基にも同じことが当てはまる。極めて特に好ましくは、構造単位IIは、保護基として、容易く除去できるアセタール基を有し、その場合、出発化合物としてエトキシエチルグリシジルエーテルが使用される。
【0054】
使用されるグリシジルエーテルは、保護基としてアリル基を有してもよく、そこで、アリルグリシジルエーテルを、構造単位IIの製造に使用することができる。先行技術(Makromolekuel 2007,40,3070−3079)に、保護基の除去、特に、そのような除去に必要な反応相手及び反応条件が示されている。
【0055】
保護基の除去により、コポリマー、好ましくは、構造単位Iの他に遊離ヒドロキシル基を有する構造単位を有するブロックコポリマーが、中間体として得られる。
【0056】
この中間体は、例えば、アニオン基を導入するために、遊離ヒドロキシル基を介して更に官能化することができる。
【0057】
このように、ポリリン酸との反応により、ヒドロキシル基をリン酸化でき、また濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄又はクロロスルホン酸により、スルホン酸基を導入することができる。公知の方法による、無水マレイン酸の反応、引き続きの亜硫酸ナトリウムでのスルホン化により、グリシジルコポリマーの遊離ヒドロキシル基との反応を介して、スルホコハク酸基を導入することができる。カルボキシメチレン基の導入は、水素化ナトリウム及びクロロ酢酸ナトリウムを用いて行うことができる。アルキレンブリッジを介するカルボキシル基導入の他の方法は、tert−ブチルアクリレート又はアクリロニトリルの付加反応、引き続く加水分解により行うことができる。更に、中間体の遊離ヒドロキシル基と無水環状ジカルボン酸、例えば無水マレイン酸又は無水コハク酸、との反応により、エステル結合を介してカルボキシル基を導入することも可能である。スルホン酸基、リン酸基又はカルボキシメチレン基導入の他の方法は、例えば、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry 2001,39,955−963に記載されている。
【0058】
必要な場合、かつ顔料を分散させるのに十分に官能性であるアンカー基を得るために、前記の種々の酸基を、塩基との反応により、対応する塩に変換してもよい。
【0059】
好適な塩は、アンモニウム又は好適な有機アミン、第三級アミン、好ましくはトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、との反応により製造されるアンモニウム塩、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化テトラアルキルアンモニウムである。さらに、酸基との反応に好適であるのは、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、又は対応する炭酸塩、例えば炭酸カリウムもしくはジカルボン酸カリウム等のジカーボネートである。
【0060】
本発明の組成物は、上に定義したコポリマー、好ましくは変性コポリマーを、固体用の分散剤、好ましくはハロゲン化銀を除く顔料用の分散剤として含む。これらの組成物は、分散固体、好ましくは分散顔料、を有する水性系又は溶媒型系(loesungsmittelhaltige systeme)である。
【0061】
本発明のこれらの組成物は、多数の用途に好適である。
【0062】
例えば、万能着色ペースト、顔料表面改質剤、カラーフィルター用カラーレジスト又は顔料含有組成物の製造のために、顔料分散系は、好ましくは、種々の液体媒体中、例えば有機溶剤又は水中、で安定な分散系を製造し、それに応じて、他の処方物のために、更に、水性媒体又は溶剤含有媒体中へも装入できることを要求される。このように、例えば、カラーレジストは、その製造過程で、メトキシプロピルアセテート等の有機溶剤への良好な溶解性を有すると共に、界面活性剤を含んでもよいアルカリ性水溶液に迅速に溶解することが要求される。従って、使用される本発明の組成物は、最終生成物の特性へ直接に影響を及ぼす。
【0063】
同じことが、着色ペイントの製造にも当てはまり、その加工のために、高い顔料装填にもかかわらず、低粘度が必要とされる。本発明の組成物はこれらの追加要件を満たすので、改良された特性を有しながら、問題無く、多数の用途に使用できる。
【0064】
そのようなわけで、例えばペイント、印刷インク、紙コーティング、レザー及び織物染料、ペースト、顔料濃縮物、セラミックス又は化粧品の製造又は加工の際に、これらの系が顔料及び/又は充填剤を固体として含む場合、この組成物を使用できる。合成、半合成又は天然高分子化合物、例えばポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル又は不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、エポキシ樹脂又はポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、をベースとする流延用コンパウンド及び/又は成形材料の製造又は加工にも、これらを使用できる。例として、分散顔料、充填剤、場合により他の添加剤を含む本発明の組成物は、場合によりバインダーの添加後に、流延用コンパウンド、PVCプラスチゾル、ゲルコート、ポリマーコンクリート、プリント基板、工業塗料、木材及び家具塗装、車両仕上げ、船用塗料、防食塗料、缶用塗料及びコイル塗装、装飾用塗料及び建築用塗料中に非常に効果的に分散され得る。
【0065】
代表的バインダー例は、ポリウレタン、硝酸セルロース、セルロースアセトブチレート、アルキド樹脂、メラミン、ポリエステル、塩素化ゴム、エポキシ及びアクリレートに基づく樹脂である。
【0066】
水性塗料の例は、例えば車体用の陰極電着塗装又は陽極電着塗装である。他の例は、下塗り塗料、シリケート塗料、エマルジョン塗料、水希釈性アルキド樹脂をベースとする水性ペイント、アルキドエマルジョン、ハイブリッド系、2成分系、ポリウレタン分散系及びアクリレート分散系である。
【0067】
本発明の組成物は、更に詳細には、例えば、顔料濃縮物のような、固体濃縮物のためのベースとしても好適である。そのような目的のために、前記のコポリマーを、分散媒体、例えば有機溶剤、可塑剤及び/又は水、の中に導入し、分散させるべき固体、好ましくは顔料、を撹拌しながら添加する。更に、バインダー及び/又は他の助剤も、これらの組成物中に導入できる。ところが、好ましくは、バインダー不含組成物は、既に安定な顔料濃縮物を保証する。
【0068】
本発明の組成物を流動性固体濃縮物として使用することもできる。そのような目的のために、有機溶剤、可塑剤及び/又は水をまだ含み得る顔料プレスケーキ(presskuchen)を、グリシジルエーテルコポリマーと混合し、生じた混合物を分散させる。その後、様々な方法で製造された本発明の固体濃縮物を、例えばアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂のような種々の基材に装入することができる。しかしながら、顔料は、水又は溶剤無しでも、直接にグリシジルエーテルコポリマーを用いて分散させることができる。その場合、本発明のこれらの組成物は、特に、熱可塑性及び熱硬化性高分子処方物を着色するのに好適である。
【0069】
本発明の組成物は、有利に、例えばサーマルインクジェット及びバブルジェット(登録商標)プロセス等のノンインパクト印刷プロセス用のインクの製造にも使用することができる。これらのインクは、例えば、水性インク処方物、溶剤系インク処方物、UV適用用の溶剤不含又は低溶剤インク、及びワックス状インクであってよい。
【0070】
また、本発明の組成物を、液晶ディスプレー、液晶スクリーン、色解像デバイス、センサー、プラズマスクリーン、SED(表面伝導電子放出ディスプレイ)をベースとするディスプレイ及びMLCC(多層セラミック材料)用の色フィルターの製造に使用することができる。これらの状況下で、液体色フィルター塗装材料(色レジストとも呼ばれる)は、非常に広い種々の塗装技術、例えばスピンコーティング、ナイフコーティング、両者の組み合わせ、の何れかにより、又はノンインパクト印刷プロセス、例えばインクジェットプロセス、を介して施与されよう。MLCC技術は、マイクロチップ及び印刷回路板の製造に使用される。
【0071】
本発明の組成物は、また、例えば、メイクアップ品、パウダー、口紅、ヘアカラー、クリーム、マニキュア液及び日焼け防止製品などの化粧品に使用することができる。
【0072】
これらの製品は、代表的形状で存在してよい。前に定義されたコポリマーを顔料用分散剤、例えば二酸化チタン用分散剤又は酸化鉄用分散剤として含む本発明の調合物を、美容術で慣用のベヒクル、例えば水、ヒマシ油又はシリコーン油、に装入することができる。
【0073】
従って、本発明の他の目的は、固体用分散剤、好ましくは顔料用分散剤として、又は相媒介剤(phasenvermittler)として、グリシジルエーテルコポリマーを使用することである。本発明の組成物を含む本発明のこれらの顔料分散系は、基材上に、顔料着色コーティングを製造するために使用でき、この顔料コーティング材料を基材に施与し、その上に焼き付けるか、又は硬化及び/又は架橋させる。
【0074】
従って、本発明は、更に、本発明の組成物を含むコーティング組成物及びこれから製造されるコーティングを提供する。
【0075】
本発明の顔料分散系から、これをベースとする本発明の顔料ペーストを調製することもできる。
【0076】
本発明の組成物は、単独で、又は代表的なバインダーと共に使用することができる。ポリオレフィン中で使用する際には、例えば、低分子量の対応するポリオレフィンを担体材料として、本発明の組成物に添加するのが有利であろう。
【0077】
本発明の組成物は、粉末粒子及び/又は繊維粒子形態の固体、更に詳細には顔料又はポリマー充填剤にも関連し、これらはグリシジルエーテルコポリマーで被覆されている。有機固体上又は無機固体上のこのコーティングは、例えば、EP−A−0270126に記載されているような既知の方法で遂行することができる。分散媒体は、結果として得られた本発明の組成物から除去するか、又は残してペーストを形成することができる。
【0078】
顔料の場合には、例えばグリシジルエーテルコポリマーを顔料懸濁液に加えることにより、顔料の合成の間もしくはその後に、又は顔料仕上げの間もしくはその後に、顔料表面をコーティングすることが可能である。
【0079】
このようにして得られた本発明の組成物は、予備処理された顔料として混入させるのに非常に適しており、未処理の顔料と比較して、改善された、粘度、凝集及び光沢挙動で、並びにより高い色強度で優れている。
【0080】
顔料の例は、モノアゾ、ジアゾ、トリアゾ及びポリアゾ顔料、オキサジン、ジオキサジン及びチアジン顔料、ジケトピロロピロール、フタロシアニン、ウルトラマリン及び他の金属錯体顔料、インジゴイド顔料、ジフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、アクリジン、キナクリドン、メチン顔料、アントラキノン、ピラントロン、ペリレン及び他の多環式カルボニル顔料である。有機顔料の他の例は、以下のモノグラフ:W.Herbst,K.Hunger, “Industrial Organic Pigments”、1997年(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28836−8)に見られる。無機顔料の例は、好ましくはハロゲン化銀を除き、カーボンブラック、グラファイト、亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、リトポン、酸化鉄、ウルトラマリン、リン酸マンガン、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、酸化アンチモン、硫化アンチモン、酸化クロム、クロム酸亜鉛をベースとする顔料;ニッケル、ビスマス、バナジウム、モリブデン、カドミウム、チタン、亜鉛、マンガン、コバルト、鉄、クロム、アンチモン、マグネシウム、アルミニウムに基づく混合金属酸化物をベースとする顔料(例えば、ニッケルチタンイエロー、ビスマスバナデートモリブデートイエロー又はクロムチタンイエロー)である。他の例は、以下のモノグラフ:G.Buxbaum,“Industrial Organic Pigments”、1998年(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28878−3)に記載される。無機顔料は、また、純鉄、酸化鉄及び酸化クロム又は混合酸化物をベースとする磁気顔料;アルミニウム、亜鉛、銅又は黄銅を含む金属効果顔料;並びに、さらに、真珠光沢顔料、蛍光及び燐光顔料であってよい。
【0081】
更なる例は、100nm未満の粒径を有するナノスケールの有機固体又は無機固体であり、例えば、特定のグレードのカーボンブラック又は金属酸化物もしくは半金属の酸化物及び/又は水酸化物からなる粒子並びにまた、混合金属及び/又は半金属の酸化物及び/又は水酸化物からなる粒子などである。
【0082】
例えば、アルミニウム、 ケイ素、亜鉛、チタン等の酸化物及び/又は酸化物−水酸化物を使用して、このように極めて微細な固体を製造することが可能である。これらの酸化物 及び/又は水酸化物及び/又は酸化物−水酸化物粒子を製造する工程は、例えば、イオン交換プロセス、プラズマプロセス、ゾル−ゲルプロセス、沈殿、(例えば、磨砕による)粉砕又は火炎加水分解等の非常に幅広い様々な技術のいずれかにより実施することができる。これらのナノスケールの固体は、無機の中核と有機の外殻(逆もまた同様)からなる所謂ハイブリッド粒子であってもよい。
【0083】
粉末状充填剤または繊維状充填剤の例は、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、珪藻土、珪質土、石英、シリカゲル、タルク、カオリン、雲母、真珠岩、長石、微粉砕スレート粉、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、方解石、ドロマイト、ガラス又は炭素の粉末状もしくは繊維状粒子からなるものである。顔料又は充填剤の更なる例は、例えば、EP−A−0270126に見られる。例えば水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム等の難燃剤及び例えばシリカ等の艶消し剤も、同様に顕著に分散及び安定化させることができる。
【0084】
更に本発明は、グリシジルエーテルコポリマー及び1種以上の分散された顔料を含む本発明の調合物と、有機溶剤及び/又は水と、場合により、また、バインダー及び慣用のコーティング助剤とを含む、コーティング材料、ペースト及び成形材料を提供する。
【0085】
そのような系のために、固体含有量、好ましくは顔料含有量、に対して、0.10〜500重量%、好ましくは0.5〜300重量%、更に好ましくは1重量%〜200重量%のグリシジルエーテルコポリマーが使用される。
【0086】
油中水滴型エマルジョン形状の本発明の組成物は、前記グリシジルエーテルコポリマー、好ましくはグリシジルエーテルブロックコポリマー、を乳化剤として含んで良い。エマルジョンは、相の相互の分散が、自然には形成されず、そのかわりに、振盪、撹拌、均一化又はスプレー操作によってのみ得られる、一般的に、不安定系なので、これらの不安定な構造を安定化させるために、一般に、乳化剤を使用する。
【0087】
一般的な乳化剤を用いると、乳化剤を使用しても、分散水滴が、油相から凝集相(kohaerente Phase)へと分離する、相分離の起こる恐れがまだある。安定させるのが難しい、このような油中水滴型エマルジョンには、いわゆる、水希釈ポリエステル樹脂があり、その樹脂では、水滴が、ポリエステル相中で乳化されている。
【0088】
このような状況下で、水は、製造費用を安くする、費用効率のよい充填剤の役を務める。更に、水により、反応熱が吸収され得る。この連続相は、不飽和ポリエステル及びα、β−不飽和モノマー、例えばスチレン、を含む。エマルジョン又は不飽和ポリエステルは、フリーラジカル開始剤及び遷移金属触媒により、α,β−不飽和モノマーを用いて、硬化させる。例えば、Journal of Elastomers and Plastics 1997,29,13−33;Acta Polymerica 1987,38,226−229;Journal of Elastomers & Plastics 1986,18,62−70;US3779966;US3692724に記載されるように、一般に、水希釈ポリエステルエマルジョン自体は、種々の塩基を添加して、数時間のみ安定である。
【0089】
本発明のエマルジョンは、エマルジョンの総量に対して、好ましくは0.10重量%、更に好ましくは0.25重量%、非常に好ましくは0.5重量%〜10重量%、更に好ましくは5重量%まで、非常に好ましくは2重量%までのグリシジルエーテルコポリマーを含有する。
【0090】
本発明により乳化剤として使用されるグリシジルエーテルコポリマーを用いると、水及び不飽和ポリエステル樹脂とスチレンとの混合物を併用して、予想外にも、油中水滴型エマルジョンを何カ月も安定に維持できる。
【0091】
本発明のこの組成物を生成するために、好ましくは、グリシジルエーテル(ブロック)コポリマーを水と一緒に、ポリエステル処方物に容易く導入して、グリシジルエーテル(ブロック)コポリマーを乳化剤として有するスチレン含有水希釈ポリエステルが、油中水滴型エマルジョンとして得られる。更に、油中水滴型エマルジョン形状の相当する組成物が、本発明により提供される。
【実施例】
【0092】
コポリマーは、以下の測定法を使用して、その特性を調べた:
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
【0093】
クロマトグラフィーを、屈折率検出器(Waters 410)のもと、高圧液体クロマトグラフィーポンプ(Bishoff HPLC 2200)を使用して、40℃で実施した。
【0094】
溶離剤は、流束1mm/分のテトラヒドロフランであった。ポリスチレン標準を用いて、常用の較正が得られた。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、及び多分散性Q=Mw/Mnは、NTeqGPCプログラムにより計算した。
【0095】
NMR測定
NMR測定を、Bruker DPX 300(300 MHz(H)又は75 MHz(13C))で実施した。使用溶剤は、重水素化クロロホルム(CDCl)及び重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)であった。
【0096】
例1〜3
以下のリストの構造式により示されるグリシジルエーテルブロックコポリマーを合成した。
【表1】

【0097】
例1〜3のブロックコポリマーを、以下に記載の3工程ステップで製造した。
第一工程ステップ
【化5】

この工程スキームにより、無水ジグリム[ビス(2−メトキシエチル)エーテル]を窒素下に導入した。開始剤:3−フェニルプロパン−1−オール(3−PP)をこの最初の装填物に添加し、THF中のカリウムtert−ブチレート(KOtBu)(1mol/l)の溶液を添加した。溶液を40℃で約20分間撹拌し、結果として得られたtert−ブタノールは、減圧下に取り除いた。モノマー:エトキシエチルグリシジルエーテル(EEGE)を添加し、この溶液を100℃で3時間保持した(H NMR分析により完全な反応)。次いで、モノマー:フェニルグリシジルエーテル(PhGE)を添加し、反応混合物を更に20時間撹拌する(H NMR分析によりモノマーの完全な反応)。オイル真空ポンプにより、温度40〜80℃で溶剤を蒸留により除去し、生成物として赤色油が生じた。
【0098】
この第一工程ステップの量の数値、多分散性、また分子量及び分子量分布は、以下の表2(表1)に見ることができる。
【表2】

【0099】
第二工程ステップ
以下の反応スキームにより、アセタール保護基が除去される。
【化6】

アセタール保護基を除去するために、第一工程ステップ後に得られた、ブロックコポリマーを工業用(technischem)THFに溶解させ、濃塩酸溶液(37重量%濃度)で処理する。20分後に、無水KCOを添加し、撹拌を5分間続ける。その後、固体成分を濾過により除去し、溶液を減圧下に蒸発させる。油状残留物をオイル真空ポンプにより45℃で一晩乾燥させて、暗色油が得られた。
【0100】
以下の表3(表2)は、第一工程ステップにより得られたブロックコポリマーを処理するための出発化合物に関する量の数値を示し、かつ処理の際に得られた収量、分子量及び分子量分布(多分散性)を記載する。
【表3】

【0101】
第三工程ステップ
以下の工程スキームにより、第三工程ステップで、第二工程ステップ後に得られたブロックコポリマーをカルボキシメチル化し、次いでカルボキシル基を塩化した。
【化7】

乾燥500mlフラスコ中に水素化ナトリウム(NaH)懸濁液(鉱油中60%)を導入し、かつ窒素雰囲気下にペンタンで洗浄して、反応を実施した。第二工程ステップでそれぞれ得られたブロックコポリマーのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液をこの分散液に、撹拌しながら、ゆっくりと(30〜35分にわたり)導入し、この撹拌は、室温で2.5時間続けた。引き続いて、クロロ酢酸ナトリウム(NaOAcCl)を添加した。反応混合物を60℃で24時間撹拌した。NaHの残分は、固体塩化アンモニウムを添加して中和させた。溶剤は、減圧下に除去し、残留物は水に溶解させた。HCl水溶液(5重量%)を添加して、ポリマーを沈殿させ、水で洗浄した。洗浄後、水30mlを添加し、水酸化ナトリウム水溶液(12mol/l)によりpHを7〜8のレベルに調節した。次いで溶液を蒸発させて、容積60mlまで濃縮した。ポリマー濃度を測定するため、ポリマーをこの溶液から取り出した。以下の表4(表3)に、第三工程ステップのための出発化合物の量と、結果として導入されたクロロ酢酸ナトリウムの濃度を記載する。
【表4】

【0102】
例4’/4〜9’/9
以下に示されるブロックコポリマーは、異なる出発化合物の使用と、種々のモノマーの重合順序以外は、前に説明した工程ステップ1〜3に従って製造した。ブロックコポリマーの相当する構造は、以下のとおりである。
【表5A】

【表5B】

【表5C】

【0103】
例10、例11及び比較例12
【表6】

【0104】
例10
分散剤の製造のために、撹拌機、冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた250ml4つ口フラスコに76.6g(0.15mol)のMPEG500(メタノールから出発して製造されたモノヒドロキシ官能性EOポリエーテル:Mn500g/mol:Clariant製)と1.68g(0.015mol)のカリウムtert−ブチレートを装填した。この最初の装填物を、N下で、撹拌しながら、100℃まで加熱した。100℃で形成されたtert−ブタノールを緩やかなN流により1時間で除去した。
【0105】
次いで、温度を110℃まで上げ、67.68g(0.45mol)のフェニルグリシジルエーテルを、3時間にわたり滴加した。計量添加(metered addition)終了後に、撹拌を110℃で5時間以上続けた。次いで、生じたコポリマーをメタノールに溶解させ、酸性イオン交換体Amberlite IR−120Hで中和させた。イオン交換体を濾過により除去後、メタノールを減圧下に除去した。
【0106】
例11
ベンジルグリシジルエーテルをフェニルグリシジルエーテルモノマーの替わりに使用する以外は、例10の方法と同様の方法で、分散剤を合成した。
【0107】
比較例12
スチレンオキシドをフェニルグリシジルエーテルモノマーの替わりに使用した以外は、例10に記載の製造仕様により分散剤(本発明のものではない)を合成した。
【0108】
以下の表7(表4)は、上記クロマトグラフ法による、例10、例11、比較例12のブロックコポリマーの数・重量平均分子量及び多分散性を示す。
【表7】

【0109】
例13
第一工程ステップで、還流冷却器、温度計及び窒素注入口を備えた4つ口丸底フラスコに38g(0.28mol)の3−フェニルプロパン−1−オールを開始剤として装填し、そこに、室温、窒素雰囲気下に、3.2g(0.028mol)のカリウムtert−ブチレートを添加した。反応混合物の温度を110℃まで上げ、形成されたtert−ブタノールは、窒素ガス処理で蒸発させた。引き続いて、85.6g(0.57mol)のフェニルグリシジルエーテルをモノマーとして1時間にわたり滴加し、混合物が完全に反応するまで(H NMR分析により確認)更に2時間重合させた。
【0110】
21.11g(0.28mol)のグリシドール及び166.64g(1.14mol)のエトキシエチルグリシジルエーテルを、5時間にわたり混合物に滴加した。添加後、完全に変換するまで(H NMR分析により決定)、2時間以上の間、加熱を行った。この中間体(例13’)に関して、前記のクロマトグラフ法を使用して、ブロックコポリマーの数・重量平均分子量及び多分散性をつきとめた。これらを以下の表8(表5)に記載する。
【0111】
更なる工程ステップで、ブロックコポリマー、例13’、を、ブロックコポリマーのアセタール保護基の脱離により、更に変性させた。これは、120gの中間体(例13’)を360mlのTHF及び30mlのHO中に溶解させて行った。清澄溶液を16gのHCl(37重量%)と混合した。溶液を40℃で1時間撹拌した。引き続き、混合物は、撹拌しながら、NaCOを添加して中和させた。塩化ナトリウムの添加後に、THF相を分離した。得られたTHF溶液を蒸発乾固させた。引き続いて、THFを再度添加し、溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。最後に、油状生成物(例13)が得られるまで、THFを蒸発させた。このブロックコポリマーについて、前記のクロマトグラフ法により、ブロックコポリマーの数重量平均分子量及び多分散性を決定した。相当する値を以下の表8(表5)に記載する。
【表8】

【0112】
例14、16及び18並びに比較例15、17及び19
【表9】

【0113】
例14
a)分散剤の製造のために、第一段階で、3−フェニルプロパン−1−オールから出発して、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)高分子開始剤を製造した(高分子開始剤14)。
この目的のために、撹拌機、冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた500ml4つ口フラスコに136.2g(1.0mol)の3−フェニルプロパン−1−オールと4.48g(0.04mol)のカリウムtert−ブチレートを装填した。この最初の装填物を、N下で、撹拌しながら、105℃まで加熱した。105℃で形成されたtert−ブタノールを緩やかなN流により1時間で除去した。
次いで、温度を120℃まで上げ、300.34g(2.0mol)のフェニルグリシジルエーテルを、1時間にわたって滴加した。計量添加終了後に、H NMR分析によりモノマーの完全な変換を確認できるまで、撹拌を120℃で4時間続けた。
【0114】
b)生じた高分子開始剤14を引き続いてエトキシル化した。
このアルコキシル化は撹拌機及びサーモスタットを備えた圧力反応器中で実施した。392.8g(0.9mol)の高分子開始剤を導入し、反応器を閉じて、排気し、Nを使用して不活性にした。135℃まで加熱後、396.0g(9.0mol)のエチレンオキシドを、最大圧5barを超えないような割合で計量導入した。計量添加を終了させ、圧力が一定のままになるまで135℃で後反応させた後、室温まで冷却した。得られたブロックコポリマーは、次いで、メタノールに溶解させ、酸性イオン交換体Amberlite IR−120Hで中和させた。イオン交換体を濾過により除去後、メタノールを減圧下に除去した。
【0115】
例16
a)分散剤の製造のために、例14a)により3−フェニルプロパン−1−オールから出発して得られたポリ(フェニルグリシジルエーテル)高分子開始剤を、アルコキシル化反応の開始剤として使用した。
【0116】
b)高分子開始剤14のエトキシル化/プロポキシル化
このアルコキシル化は撹拌機及びサーモスタットを備えた圧力反応器中で実施した。392.8g(0.9mol)の高分子開始剤14を導入し、反応器を閉じて、排気し、Nを使用して不活性にした。135℃まで加熱後、396.0g(9.0mol)のエチレンオキシドを、最大圧5barを超えないような割合で計量導入した。計量添加を終了させ、圧力が一定のままになるまで135℃で後反応させた後、104.4g(1.8mol)のプロピレンオキシドを、同じようにして計量導入した。計量添加を終了させ、引き続き、圧力が一定のままになるまで135℃で後反応させた後、室温まで冷却した。得られたブロックコポリマーは、次いで、メタノールに溶解させ、酸性イオン交換体Amberlite IR−120Hで中和させた。イオン交換体を濾過により除去後、メタノールを減圧下に除去した。
【0117】
例18
還流冷却器及び撹拌機を備えた3つ口フラスコ中で、例14により得られたブロックコポリマー60gをポリリン酸8gと60℃で混合した。引き続いて、温度を80℃まで3時間かけて上昇させ、冷却後、末端基変性ブロックコポリマーが得られた。
【0118】
比較例15、17及び19
スチレンオキシドをフェニルグリシジルエーテルモノマーの替わりに使用した以外は、例14、例16及び例18の分散剤と同じようにして分散剤(本発明のものではない)を合成した。
【0119】
以下の表6は、上記クロマトグラフ法により決定された、例14、例16、比較例15及び比較例17のブロックコポリマーの分子量の数・重量平均及び多分散性を示す。
【表10】

【0120】
以下の利用例では、本発明により使用される分散剤の、顔料ペースト及び対応するペイント中の添加剤としての利用が、本発明により使用できない分散剤と比較して、テストされた。
【0121】
I.顔料ペーストの製造(バインダー不含分散状態)
【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【0122】
Proxel GLX 殺生物剤、製造者:ICI
Hostaperm Pink E 顔料、製造者:Clariant
Heliogen Blue L 7101F 顔料、製造者:BASF
Flammruss 101 顔料、製造者:Degussa
Bayferrox 130M 顔料、製造者: Lanxess
BYK−017(登録商標) 消泡剤、製造者:Byk Chemie
BYK−420(登録商標) レオロジー添加剤、製造者:Byk Chemie
DMEA ジメチルエタノールアミン
【0123】
II.レットダウン(Letdown)
この目的のために、市販の白色ペイント2種を使用した。
1.Zero PU白色ペイント、水性1成分ポリウレタン(繻子光沢ペイントデザイン、製造者:Zero−Lack)
2.Caparol白色ペイント、溶剤型、アルキド樹脂系(Capalac 高光沢有色ペイント、製造者:Caparol)
【表15】

5分間振盪して均一化を行った。
【表16】

5分間振盪して均一化を行った。
【0124】
何れの場合にも、顔料Flammruss 101(表7)、顔料Hostaperm Pink E(表8)又はHeliogen Blue L 7101F(表9)を含む、前記顔料濃縮物I.1〜I.3並びにレットダウンIIA及びIIBの評価を、以下に記載する。
【0125】
Byk Gardner社のcolor−guide sphere d/8° spinを用いる光沢度及びΔE値の測定
【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【0126】
例10、11、14、16、18の結果が示すように、分散剤としてグリシジルエーテルブロックコポリマーを使用すると、粘度はより低いが、高い顔料濃度を有し、そうでなければ貯蔵安定性等の性質が変化しない顔料濃縮物及びペイントを得ることができる。
【0127】
顔料ペーストの低粘度及び高い貯蔵安定性は、濃縮物への高い顔料充填度が達成できるという利点を有する。
【0128】
V.グリシジルエーテルブロックコポリマーを含むエマルジョン
V.1.例3のブロックコポリマーを乳化剤として含む油中水滴型エマルジョンを製造するために、採用された手順は以下のとおりである:
不飽和ポリエステル(Cray Valley社のNORSODYNE S 22263 TAE(登録商標))75gをポリプロピレン容器に装入した。高速撹拌機を1980rpmで使用して撹拌しながら、乳化剤(即ちブロックコポリマー例3)を水溶液として添加した。ポリエステルの量に対して、1重量%濃度の乳化剤溶液を添加した。引き続いて、更に水をポリエステル−乳化剤−水プレエマルジョン(Pre‐Emulsion)に徐々に添加した。処方物中の水:ポリエステルの総量の比は、25:75であった。全ての水を添加してしまうと、エマルジョンを30秒休ませて、含まれた空気を逃し、次いで、ガラス製バイアルに移し、バイアル中に密閉して室温で貯蔵した。
【0129】
V.2.油中水滴型エマルジョンは、288 M.Pa.sの粘度を有した(Brookfield RVT−型粘度計、スピンドル5、50 rpm、23°C)。エマルジョンは少なくとも3カ月の間貯蔵安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤及び少なくとも1つの分散固体として又は乳化剤及び油中水滴型エマルジョン形状の硬化性不飽和ポリマー系として、以下の構造単位Iと、以下の構造単位II〜V:
【化1】

の少なくとも1つと、末端基−O−R及び/又はRとから構成される両親媒性グリシジルエーテルコポリマーの少なくとも1つを含む組成物であって、但し構造単位IVは、常に、構造単位II、III及びVの少なくとも1つと一緒に配置され、
式中、Rは、好ましくはC原子1〜20個を有する直鎖状アルキル基もしくは分岐状アルキル基又は好ましくはC原子4〜10個を有する環状アルキル基、アリール基、アリールアルキレン基、ヘテロアリール基もしくはヘテロアリールアルキレン基であり、其々のアリール環もしくはヘテロアリール環は、置換されていてもよく、
は、それぞれ同じか又は異なり、水素及び/又はカルボキシメチレン基もしくは相当する塩もしくは相当するアルキルエステル基、マレイン酸のモノエステル基もしくは相当する単一塩、リン酸基もしくは相当する塩、スルホン酸基もしくは相当する塩、又はスルホコハク酸基もしくは相当する塩であり、或いはRの多くても20%までが、OH−保護基、好ましくはアセタール基又はtert-ブチル基、であり、
は、水素及び/又はC原子1〜6個を有する直鎖状アルキル基もしくは分岐状アルキル基及び/又はC原子4〜6個を有する環状アルキル基であり、
は、少なくとも1つのアリール基もしくはアリールアルキレン基により置換されていてもよい、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基もしくは環状アルキル基であるか、場合により置換されたアリール基もしくはアリールアルキレン基であるか、又は好ましくはC原子1〜5個を有するアルコキシ基を有する反復単位を好ましくは少なくとも2個、更に好ましくは2〜5個を有するポリアルキレンオキシド基であり、
は、Rと同じか又は異なるものであり、OH−保護基以外のRを表す残基であり、
その際、構造単位は、傾斜様、ランダム又はそれぞれブロック様に配置されており、構造単位Iは、少なくとも2倍、好ましくは2〜100倍、更に好ましくは2〜50倍存在し、構造単位Iの少なくとも1つが、芳香族基を担持し、かつ場合により存在する構造単位IVの割合は、構造単位II〜Vの総数の0〜最大50%である、組成物。
【請求項2】
前記グリシジルエーテルコポリマーの構造単位II〜IVの数は、少なくとも構造単位Iの数に対応付けられ、好ましくは構造単位Iの数より少なくとも20%多く、更に好ましくは構造単位Iの数より少なくとも50%多いことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの分散顔料が前記分散固体として存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、ブロック様に構成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iのブロックを少なくとも1つ有し、前記反復構造単位Iの少なくとも1つは、芳香族基を担持することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと反復構造単位IIのブロックの少なくとも1つとを有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと反復構造単位IIIのブロックの少なくとも1つとを有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、反復構造単位Iのブロックの少なくとも1つと、反復構造単位II及び反復構造単位IIIのブロックの少なくとも1つとを有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、開始剤分子と結合した出発ブロックとして、反復構造単位Iのブロックを有し、末端基の1つと結合した最終ブロックとして、構造単位IVのブロックと、少なくとも1つの共重合された構造単位II、III又はVのブロックとを有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
構造単位IVの割合は、存在する構造単位II〜Vの総数の多くても30%、好ましくは多くても20%であることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
構造単位中、
は、場合により置換されていてよいフェニル基もしくはナフチル基であるか、又はベンジル基であり、
は、請求項1に記載のものを表し、その場合、存在する塩は、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩もしくはカリウム塩、又はアンモニウム塩であり、
は、水素又はメチル基であり、
は、C原子1〜10個を有するアルキル基、C原子7〜10個を有するフェニルアルキレン基、又はそれぞれアルキレンオキシド反復単位2〜5個を有する、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーの基もしくはポリエチレンオキシド基であり、
は、Rと同じか又は異なり、OH−保護基以外の、Rについて記載のものを表す基であり、
その際、構造単位Iは、2〜20倍、好ましくは2〜10倍存在することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記グリシジルエーテルコポリマーは、アニオン重合により製造されたことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
水性分散液として存在することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のグリシジルエーテルコポリマーの、分散剤又は相媒介剤としての使用。
【請求項15】
固体、好ましくは顔料、を分散させるための、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物の製造への、請求項14又は15に記載の使用。
【請求項17】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物を含む、顔料分散系。
【請求項18】
請求項17に記載の顔料分散系を含む、顔料ペースト。
【請求項19】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物を含む、コーティング組成物。
【請求項20】
請求項19に記載のコーティング組成物の、コーティング。
【請求項21】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物、好ましくは請求項17に記載の顔料分散系、を含む、成形材料。
【請求項22】
請求項21に記載の成形材料から形成される、成形品。
【請求項23】
不飽和ポリマー系は、不飽和ポリエステル及びα,β−不飽和モノマーを含むことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−509946(P2012−509946A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536787(P2011−536787)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008281
【国際公開番号】WO2010/057654
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】