説明

グリップを有する圧迫ガーメント

【課題】体の一部分にガーメントの適用を容易にするためのグリップを有する圧迫ガーメントを提供する。
【解決手段】体の一部分に対する圧迫治療を提供するための圧迫ガーメント。ガーメントは、柔軟なラップと、体の一部分を圧迫するために、ラップによって保持される嚢とを含む。ガーメントはまた、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するためのファスナを含む。グリップが、体の一部分上にラップを締め付けることを容易にするために提供される。一実施形態において、グリップは、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有するラップの開口部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、圧迫ガーメントに関し、より具体的には、体の一部分にガーメントの適用を容易にするためのグリップを有する圧迫ガーメントに関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
一般的に動かない患者およびそのような人にとって主要な心配は、深部静脈血栓症(DVT)および末梢浮腫のような血液凝固を形成する医学状況である。このような患者および人は、外科手術、麻酔、長期の床上安静等を受ける人たちを含む。これらの血液凝固の状況は、概して、より低い末端および/または骨盤の深部静脈において発生する。腸骨、大腿、膝窩、および脛骨のようなこれらの静脈は、心臓に脱酸素化血液を還流する。例えば、病気、怪我または不活性のために、これらの静脈において血液循環が遅れるとき、血液が蓄積し、またはたまる傾向がある。血液の静的たまりは、血液凝固の形成を引き起こし得、血液凝固の形成は、心臓血管の循環を妨害し得る。より重大には、血液凝固のフラグメントは、壊れ得、そして移転し得る。生命を脅かし得る肺塞栓症は、主肺動脈を封鎖する可能性のあるフラグメントから生じ得る。本発明はまた、リンパ水腫のような他の状況の処置に適用され得る。
【0003】
従来の血管圧迫システムは、圧迫ガーメントを含み、圧迫ガーメントは、圧迫ガーメントを周期的に膨張させるためのコントローラに流動的に接続されている。圧迫ガーメントの周期的な膨張は、血液循環を増大し、そしてDVTの可能性を減少する。導管のシステムは、圧迫ガーメントをコントローラに接続する。より新しい血管圧迫ガーメントは、ポータブルなコントローラを有し、ポータブルなコントローラは、患者がまず圧迫ガーメントを取り外し、または圧迫ガーメントをコントローラから切断する必要なく、ほぼ自由に移動し得るように、かなり小さくなり、圧迫ガーメントにさえ取り付け可能である。これらの新しい圧迫ガーメントは、患者が静止しているまたは歩行しているときに着用され得、そして使用の便利のために患者のコンプライアンスを増大し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体の一部分(例えば、足のような四肢)に断続的な圧迫治療を適用するための能動的圧迫ガーメントは、DVT予防、水腫防止、および傷癒合を支援することを含む多くの用途を有する。このような圧迫ガーメントの性能は、ガーメントの最初の適合または締め付け、その適合および締め付けを保持するためのガーメントの能力、および体の部分の周りにそれらの本来の位置を保持するための膨張可能な嚢の能力に敏感である。このことは、圧迫ガーメントが、歩き、座り、立ち、および転がりのような移動の間およびその後に使われるときに、非常に難しくあり得る。ガーメントは、体の部分から滑り落ちる傾向があり、対応する体の部分との膨張可能な嚢の整列不良を引き起こし、このことは、結果として効果のない圧迫治療および/または不快をもたらし得る。本発明は、適用された圧迫治療を向上させるための望ましい適合性を得るために、体の一部分に対するガーメントの適用を容易にすることを対象にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(本発明の要約)
本発明の一局面は、体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントを対象にする。圧迫ガーメントは、体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、近位端の反対側の、体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップを含む。嚢は、体の一部分を圧迫するために、ラップによって保持される。嚢は、膨張可能なチャンバと、チャンバと流体連結しているポートとを有し、ポートは、チャンバを膨張させて、体の一部分を圧迫するために、流体ソースからチャンバに流体を選択的に送達する。側部エッジのうちの少なくとも1つは、フラップを規定する。フラップは、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、自己保持構成において、近位端が、体の一部分の近位部分の周りに巻かれ、遠位端が、体の一部分の遠位部分の周りに巻かれ、横側部エッジが、近位端と遠位端との間において体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する。ラップ上のファスナは、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するために、圧迫ガーメント上にフラップの自由端を固定する。グリップは、フラップの反対側の側部エッジ上に形成され、グリップは、体の一部分上にラップを保持するために、体の一部分の周りにラップを巻き、圧迫ガーメント上にフラップの自由端を保持するためのファスナを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためのものである。グリップは、フラップに対して長手方向にオフセットされるようにラップ上に位置決定され、グリップの上にフラップを覆うことなしに、フラップがグリップを有する側部エッジの上に締め付けられることを可能にする。
【0006】
本発明のもう1つの局面は、体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントを対象にする。圧迫ガーメントは、体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、近位端の反対側の、体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップを含む。嚢は、体の一部分を圧迫するために、ラップによって保持される。嚢は、膨張可能なチャンバと、チャンバと流体連結しているポートとを有し、ポートは、チャンバを膨張させて、体の一部分を圧迫するために、流体ソースからチャンバに流体を選択的に送達する。側部エッジのうちの少なくとも1つは、フラップを規定する。フラップは、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、自己保持構成において、近位端が、体の一部分の近位部分の周りに巻かれ、遠位端が、体の一部分の遠位部分の周りに巻かれ、横側部エッジが、近位端と遠位端との間において体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する。ラップ上のファスナは、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するために、圧迫ガーメント上にフラップの自由端を固定する。孔は、フラップの反対側のラップの側部エッジに隣接するラップの縁においてラップを完全に通って延在する。孔は、体の一部分上にラップを保持するために、体の一部分の周りにラップを巻き、フラップを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためにユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する。
【0007】
本発明のもう1つの局面は、体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、体の一部分上に圧迫ガーメントを配置する方法を対象にする。圧迫ガーメントは、膨張可能なチャンバと、ポートとを有する嚢を含み、ポートは、膨張可能なチャンバとの流体連結を提供する。方法は、圧迫ガーメントの第1の側部の縁が圧迫ガーメントの第2の側部の縁と重なるように、体の一部分の周りに圧迫ガーメントを巻くことと、第2の側部の縁を握るために、第2の側部の縁の第1の開口部内に第1の指を挿入することとを含む。方法は、体の一部分の周りに圧迫ガーメントを締め付けるために、第1の側部の縁を握っている間に、第1の側部の縁と第2の側部の縁とのうちの少なくとも1つを引っ張ることと、体の一部分の周りに締め付けられた圧迫ガーメントを固定することとをさらに含む。
【0008】
他の目的および特徴は、これ以後、一部は明白であり、一部は指摘される。
【0009】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1) 体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントであって、該圧迫ガーメントは、
該体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、該近位端の反対側の、該体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、該近位端と該遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップと、
該体の一部分を圧迫するために、該ラップによって保持される嚢であって、該嚢は、膨張可能なチャンバと、該チャンバと流体連結しているポートとを有し、該ポートは、該チャンバを膨張させて、該体の一部分を圧迫するために、流体ソースから該チャンバに流体を選択的に送達する、嚢と、
フラップを規定する該側部エッジのうちの少なくとも1つであって、該フラップは、自己保持構成において該体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、該自己保持構成において、該近位端が、該体の一部分の該近位部分の周りに巻かれ、該遠位端が、該体の一部分の該遠位部分の周りに巻かれ、該横側部エッジが、該近位端と該遠位端との間において該体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する、該側部エッジのうちの少なくとも1つと、
該ラップ上のファスナであって、該ラップ上のファスナは、該自己保持構成において該体の一部分上に該ラップを保持するために、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を固定する、該ラップ上のファスナと、
該フラップの反対側の該側部エッジ上に形成されたグリップであって、該グリップは、該体の一部分上に該ラップを保持するために、該体の一部分の周りに該ラップを巻き、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を保持するための該ファスナを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためのものであり、該グリップは、該フラップに対して長手方向にオフセットされるように該ラップ上に位置決定され、該グリップの上にフラップを覆うことなしに、該フラップが該グリップを有する該側部エッジの上に締め付けられることを可能にする、グリップと
を含む、圧迫ガーメント。
(項目2) 上記グリップは、上記体の一部分上に上記ラップを保持するために、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する該ラップの開口部を含む、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目3) 上記開口部は、上記ラップを完全に通って延在する孔を含む、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目4) 上記グリップは、上記ラップにおいて少なくとも2つの開口部を含み、各開口部は、上記体の一部分上に該ラップを保持するために、ユーザーのそれぞれの指を受け取るための大きさおよび形状を有し、
該開口部は、上記フラップに対して長手方向にオフセットされ、かつ該2つの開口部の間に該フラップを受け取るために、十分な距離分、互いから間隔を空けられている、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目5) 上記ファスナの少なくとも一部分は、上記フラップに取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目6) 上記ファスナは、二部分ファスナであり、該ファスナの第1の部分は、上記フラップに取り付けられ、該ファスナの第2の部分は、上記グリップに隣接して上記ラップに取り付けられ、該グリップは、該グリップ上に該フラップを覆うことなしに、該ファスナの該第1の部分が該ファスナの該第2の部分に締め付けられることを可能にする、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目7) 上記フラップは、第1のフラップであり、上記ガーメントは、該第1のフラップから第1の距離分、遠位に間隔を空けられた第2のフラップと、該第2のフラップから第2の距離分、遠位に間隔を空けられた第3のフラップとをさらに含み、
上記ファスナは、第1のファスナであり、該ガーメントは、第2のファスナと第3のファスナとをさらに含み、該第2のファスナの少なくとも一部分が、該第2のフラップに取り付けられ、該第3のファスナの少なくとも一部分が、該第3のフラップに取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目8) 上記グリップは、第1のグリップであり、上記ガーメントは、該第1のグリップから第1の距離分、遠位に間隔を空けられた第2のグリップと、該第2のグリップから第2の距離分、遠位に間隔を空けられた第3のグリップとをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目9) 体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントであって、該圧迫ガーメントは、
該体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、該近位端の反対側の、該体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、該近位端と該遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップと、
該体の一部分を圧迫するために、該ラップによって保持される嚢であって、該嚢は、膨張可能なチャンバと、該チャンバと流体連結しているポートとを有し、該ポートは、該チャンバを膨張させて、該体の一部分を圧迫するために、流体ソースから該チャンバに流体を選択的に送達する、嚢と、
フラップを規定する該側部エッジのうちの少なくとも1つであって、該フラップは、自己保持構成において該体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、該自己保持構成において、該近位端が、該体の一部分の該近位部分の周りに巻かれ、該遠位端が、該体の一部分の該遠位部分の周りに巻かれ、該横側部エッジが、該近位端と該遠位端との間において該体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する、該側部エッジのうちの少なくとも1つと、
該ラップ上のファスナであって、該ラップ上のファスナは、該自己保持構成において該体の一部分上に該ラップを保持するために、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を固定する、該ラップ上のファスナと、
該フラップの反対側の該ラップの該側部エッジに隣接する該ラップの縁において該ラップを完全に通って延在する孔であって、該孔は、該体の一部分上に該ラップを保持するために、該体の一部分の周りに該ラップを巻き、該フラップを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためにユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する、孔と
を含む、圧迫ガーメント。
(項目10) 上記孔は、第1の孔であり、
上記ガーメントは、上記体の一部分上に上記ラップを保持するために、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する第2の孔を含み、
該第1の孔および該第2の孔は、上記フラップに対して長手方向にオフセットされ、かつ、該第1の孔と該第2の孔との間に該フラップを受け取るために、十分な距離分、互いから間隔を空けられている、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目11) 上記ファスナの少なくとも一部分が、上記フラップに取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目12) 上記ファスナは、二部分ファスナであり、該ファスナの第1の部分は、上記フラップに取り付けられ、該ファスナの第2の部分は、上記孔に隣接して上記ラップに取り付けられ、該孔は、該ファスナの該第1の部分が、該ファスナの該第2の部分に締め付けられることを可能にする、上記項目のいずれかに記載の圧迫ガーメント。
(項目13) 体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に圧迫ガーメントを配置する方法であって、該圧迫ガーメントは、膨張可能なチャンバと、ポートとを有する嚢を含み、該ポートは、該膨張可能なチャンバとの流体連結を提供し、該方法は、
該圧迫ガーメントの第1の側部の縁が該圧迫ガーメントの第2の側部の縁と重なるように、該体の一部分の周りに該圧迫ガーメントを巻くことと、
該第2の側部の縁を握るために、該第2の側部の縁の第1の開口部内に第1の指を挿入することと、
該体の一部分の周りに該圧迫ガーメントを締め付けるために、該第1の側部の縁を握っている間に、該第1の側部の縁と該第2の側部の縁とのうちの少なくとも1つを引っ張ることと、
該体の一部分の周りに該締め付けられた圧迫ガーメントを固定することと
を含む、方法。
(項目14) 上記巻くステップは、上記第1の側部の縁によって規定されるフラップを上記第2の側部の縁上に覆うことを含み、
上記引っ張るステップは、上記体の一部分の周りに上記圧迫ガーメントを締め付けるために、該1の側部の縁を握る間に、該第2の側部の縁を横切って該フラップを引っ張ることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15) 上記第2の側部の縁を握るために、第2の開口部内に第2の指を挿入することをさらに含み、上記引っ張るステップは、上記第1指と該第2の指とがそれぞれの開口部内に挿入されている場合に、該第1指と該第2の指との間に上記フラップを引っ張ることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0010】
(摘要)
体の一部分に対する圧迫治療を提供するための圧迫ガーメント。ガーメントは、柔軟なラップと、体の一部分を圧迫するために、ラップによって保持される嚢とを含む。ガーメントはまた、自己保持構成において体の一部分上にラップを保持するためのファスナを含む。グリップが、体の一部分上にラップを締め付けることを容易にするために提供される。一実施形態において、グリップは、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有するラップの開口部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、開放の、巻かれていない構成に示される本発明の圧迫ガーメントの概略的正面図である。
【図2】図2は、圧迫ガーメントの背面図である。
【図3】図3は、巻かれた構成における圧迫ガーメントの概略的側面透視図である。
【図4】図4は、重ねられた構成における圧迫ガーメントのフラップの概略的部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
対応する参照文字は、図面を通して対応する部分を示す。
【0013】
(詳細な説明)
図面を参照して、特に図1〜3を参照すると、着用者の体の一部分に圧迫治療を適用するための圧迫ガーメントは、一般的に参照番号20で示される。圧迫ガーメント20は、体の一部分(例えば、足または腕)上に配置するために適合される。例示された圧迫ガーメント20は、足の上に配置するために適合される。圧迫ガーメント20は、体の一部分への一定または断続的な圧迫のような圧迫治療を提供するために使われ得る。
【0014】
圧迫ガーメント20は、一般的に24で示される柔軟なラップと、3つの嚢26A〜26Cとを含む。ラップ24は、ラップが自己保持構成である(図3)間に、足を圧迫するための嚢26A〜26Cを保持するために構成される。ラップ24は、足の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位末端部24Aと、近位末端部の反対側の足の遠位部分の周りを巻くための遠位末端部24Bと、近位末端部と遠位末端部との間に延在する横側部エッジ24C、24Dとを有する。
【0015】
例示された圧迫ガーメント20は、「腿まで」の大きさを有し、すなわち、圧迫ガーメントは、概ね足根関節から大腿まで延在する。嚢26A〜26Cは、従来の膨張可能なチャンバと、チャンバと流体連結しているポートとを含み、ポートは、チャンバを膨張させ、そして足を圧迫するために、流体ソースからチャンバまで流体を選択的に送り出す。嚢26A〜26Cは、概ね足の裏側、より具体的に、それぞれ足根関節、下腿および大腿の裏側上にあるようにラップ24上に位置決定される。3つの嚢26A〜26Cは、足に沿って連続的にあるように配列される。他の大きさおよび形状のガーメント20(例えば、概ね足根関節から膝以下まで延在する「膝まで」のガーメント、または嚢26A〜26Cの異なる構成(例えば、1つ、2つ、または3つ以上の嚢)を有するガーメント)は、本発明の範囲内にある。
【0016】
圧迫ガーメント20は、足上の所望の圧迫帯域上に嚢26A〜26Cを位置決定し、足の周りに圧迫ガーメントを巻くことよって足上に自己保持構成で配置され得、それにより、側部エッジ24C、24Dまたは圧迫ガーメントの側部の縁が互いに重ねる。自己保持構成において、近位末端部24Aは、足の近位部分の周りに巻かれ、遠位末端部24Bは、足の遠位部分の周りに巻かれ、横側部エッジ24C、24Dは、近位末端部と遠位末端部との間に、足に沿って概ね長手方向に延在する。嚢26A〜26Cが加圧されるときに足が圧迫されるような、概ね窮屈またはぴったりの適合が望ましい。例示された実施形態において、側部エッジ24C、24Dは、互いに間隔を空けられる、3セットの対応するフラップ22A、22Bを規定する。フラップ22A、22Bは、足の周りに圧迫ガーメントを締め付け、かつ固定することを容易にする。圧迫ガーメント20は、圧迫ガーメントの両側の縁を引っ張り、そして重ねることによって足の周りに締め付けられる。例示された実施形態において、各フラップ22Bは、それぞれのフラップ22Aで重ねられる。従って、フラップ22Aおよびフラップ22Bは、それぞれ、外側フラップおよび内側フラップと呼ばれ得る。フラップの他の構成は、本発明の範囲内にあるように予想される。例えば、ガーメントは、より少ないフラップ、またはより多いフラップを含み得、フラップ22Bは、外側フラップ22Aが、側部エッジ24Dに対応する側部の縁と重ねるように省略され得る。
【0017】
図3および図4を参照すると、ラップ24上のファスナ30が、フラップ22Aの自由端を圧迫ガーメント20上に固定するために使われる。例示された実施形態において、ファスナ30は、フラップ22Aの自由端上のフック織物30Aを含む。ファスナ30はまた、フラップ22Bの外側表面上のループ織物30Bを含む。従って、ファスナ30は、二部分ファスナである。他のタイプのファスナは、本発明の範囲から離れることなしに使われ得る。
【0018】
図1および図2に示されるように、圧迫ガーメント20は、一般的に40で示されるグリップを含み、グリップ40は、足の周りにラップ24を巻き、そして足上にラップを保持するために、フラップ22Aを締め付けるときに、それぞれの側部エッジ24Cを握るために、フラップ22Aの反対側の側部エッジ24Cの上に形成される。図3および図4を参照すると、各グリップ40は、2つの開口部を含み、より具体的に、足上の場所にラップを保持するために、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有し、ラップを完全に通って延在する1対の孔40A、40Bを含む。孔40A、40Bは、フラップ22Aの反対側のフラップ22B上またはラップ24Cの側部エッジに隣接するラップの側部の縁上に位置決定される。孔40A、40Bは、フラップ22Aから長手方向にオフセットされ、それぞれの孔40A、40B上にフラップ22Aを覆うことなしに、フラップ22Aが、グリップを有する側部エッジ24C上に締め付けられることを可能にする。孔40A、40Bは、孔の間にフラップ22Aを受け取るために、十分な距離分、互いから間隔を空けられる。従って、グリップ40は、ラップ24の締め付けを容易にするために、そしてフラップ22Aが締め付けられるときに適所にフラップ22Bを保持することを容易にするために位置決定される。従って、グリップ40は、フラップ22Aがフラップ22Bと重なり、そしてフラップ22Bに締め付けられる場合に利用可能である。他のタイプのグリップは、本発明の範囲内にある。例えば、グリップは、より多い開口部またはより少ない開口部を含み得、使われ得るガーメントを完全に通過しない開口部を含み得る。さらに、グリップが、図面に例示されるグリップと異なる形状を有する特徴を含み得ることが予想される。
【0019】
圧迫ガーメント20は、当技術分野において公知のさまざまな方法で構成され得る。一構成において、ガーメント20は、嚢26A〜26Cを形成するために、嚢ラインと一緒に溶接される概ね柔軟で、流体不浸透性の材料(例えば、PVC)の向かい合う内側シートおよび外側シートから形成される。代替的に、嚢26A〜26Cは、別々に形成され得、そして圧迫ガーメント20に取り付けられ得る。
【0020】
図2に示されるように、圧迫ガーメント20は、加圧器50を含み得、加圧器50は、嚢を膨張させるために、例えば、導管52によって、嚢26A〜26Cのポートに動作的に接続可能である。例示された加圧器50が、圧迫ガーメント20に取り付けされる。加圧器が、圧迫ガーメント上に取り外し可能に取り付けられ、かつ圧迫ガーメント上の嚢に動作的に接続される構成が、米国特許出願12/241,670および12/241,936においてより詳細に開示される。上記両方の出願は、Tyco Healthcare Group LPに譲渡され、そして全体として参照することによって組み込まれる。例えば、加圧器50が、圧迫ガーメント20に取り付けられるために構成されていない他の実施形態は、本発明の範囲内にあると想定される。
【0021】
加圧器50は、膨張および通気段階を含み得るさまざまな圧迫レジメンを実行するためにプログラム化され得る。いくつかのレジメンにおいて、加圧器は、長期間で1つ以上の嚢26A〜26Cを一定の圧力へ加圧し得る。加圧器50はまた、断続的または周期的に嚢26A〜26Cを加圧し得る。他のタイプの圧迫レジメンは、本発明の範囲内にある。
【0022】
使用の一連作業において、圧迫ガーメント20は、所望の目標圧迫帯域を覆いまたは所望の目標圧迫帯域上にある嚢26A〜26Cと共に、足のような体の一部分上に配置される。側部エッジ24C、24Dに隣接するラップの側部の縁が、互いに重なるように、ラップ24が、体の一部分の周りに巻かれる。人は、フラップ22Bを握るために、指(例えば、親指および人差し指)をそれぞれの孔40A、40B内に挿入することによってグリップ40を使用する。指孔40A、40Bを用いてフラップ22Bを握るが、側部の縁のうちの少なくとも1つ、特にフラップ22A、22Bのうちの一方は、足の周りに圧迫ガーメントを締め付けるために、側部の縁の他方に対して移動される。フラップ22Aは、開口部40A、40B内に挿入される指の間に引っ張られ、ファスナ30を用いてフラップ22Bの外側表面に締め付けられる。これらのステップが、対応するフラップ22A、22Bの各セットに対して繰り返される。従って、グリップ40は、フラップ22Aがフラップ22Bの外側表面に締め付けられる間に、足上に圧迫ガーメント20を締め付け、かつ適所にフラップ22Bを保持することを容易にする。締め付けられた圧迫ガーメント20は、結果として向上された圧迫治療のための向上された適合を生じる。
【0023】
本発明を詳細に説明したが、改変および変形が、添付の請求項において規定される本発明の範囲から離れることなしに可能であることは、明白である。
【0024】
本発明または本発明の好ましい実施形態の構成要素を紹介するとき、「a」、「an」、「the」、および「said」は、構成要素のうちの1つ以上があることを意味するように意図される。用語「comprising」、「including」および「having」は、リストされた構成要素以外に追加の構成要素があり得ることを含み、そして意味するように意図される。
【0025】
以上を考慮して、本発明のいくつかの対象が達成され、そして他の有利の結果が達成されることが理解される。
【0026】
さまざまな変更は、本発明の範囲から離れることなしに、上記構造および方法に加えられ得、上記説明に含まれ、かつ添付の図面に示される全部の事項が、例示であり、限定した意味ではないと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
20 圧迫ガーメント
22A、22B フラップ
24A 近位端
24B 遠位端
24C、24D 横側部エッジ
26A、26B、26C 嚢
30A フック織物
40 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントであって、該圧迫ガーメントは、
該体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、該近位端の反対側の、該体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、該近位端と該遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップと、
該体の一部分を圧迫するために、該ラップによって保持される嚢であって、該嚢は、膨張可能なチャンバと、該チャンバと流体連結しているポートとを有し、該ポートは、該チャンバを膨張させて、該体の一部分を圧迫するために、流体ソースから該チャンバに流体を選択的に送達する、嚢と、
フラップを規定する該側部エッジのうちの少なくとも1つであって、該フラップは、自己保持構成において該体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、該自己保持構成において、該近位端が、該体の一部分の該近位部分の周りに巻かれ、該遠位端が、該体の一部分の該遠位部分の周りに巻かれ、該横側部エッジが、該近位端と該遠位端との間において該体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する、該側部エッジのうちの少なくとも1つと、
該ラップ上のファスナであって、該ラップ上のファスナは、該自己保持構成において該体の一部分上に該ラップを保持するために、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を固定する、該ラップ上のファスナと、
該フラップの反対側の該側部エッジ上に形成されたグリップであって、該グリップは、該体の一部分上に該ラップを保持するために、該体の一部分の周りに該ラップを巻き、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を保持するための該ファスナを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためのものであり、該グリップは、該フラップに対して長手方向にオフセットされるように該ラップ上に位置決定され、該グリップの上にフラップを覆うことなしに、該フラップが該グリップを有する該側部エッジの上に締め付けられることを可能にする、グリップと
を含む、圧迫ガーメント。
【請求項2】
前記グリップは、前記体の一部分上に前記ラップを保持するために、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する該ラップの開口部を含む、請求項1に記載の圧迫ガーメント。
【請求項3】
前記開口部は、前記ラップを完全に通って延在する孔を含む、請求項2に記載の圧迫ガーメント。
【請求項4】
前記グリップは、前記ラップにおいて少なくとも2つの開口部を含み、各開口部は、前記体の一部分上に該ラップを保持するために、ユーザーのそれぞれの指を受け取るための大きさおよび形状を有し、
該開口部は、前記フラップに対して長手方向にオフセットされ、かつ該2つの開口部の間に該フラップを受け取るために、十分な距離分、互いから間隔を空けられている、請求項1に記載の圧迫ガーメント。
【請求項5】
前記ファスナの少なくとも一部分は、前記フラップに取り付けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧迫ガーメント。
【請求項6】
前記ファスナは、二部分ファスナであり、該ファスナの第1の部分は、前記フラップに取り付けられ、該ファスナの第2の部分は、前記グリップに隣接して前記ラップに取り付けられ、該グリップは、該グリップ上に該フラップを覆うことなしに、該ファスナの該第1の部分が該ファスナの該第2の部分に締め付けられることを可能にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧迫ガーメント。
【請求項7】
前記フラップは、第1のフラップであり、前記ガーメントは、該第1のフラップから第1の距離分、遠位に間隔を空けられた第2のフラップと、該第2のフラップから第2の距離分、遠位に間隔を空けられた第3のフラップとをさらに含み、
前記ファスナは、第1のファスナであり、該ガーメントは、第2のファスナと第3のファスナとをさらに含み、該第2のファスナの少なくとも一部分が、該第2のフラップに取り付けられ、該第3のファスナの少なくとも一部分が、該第3のフラップに取り付けられている、請求項5に記載の圧迫ガーメント。
【請求項8】
前記グリップは、第1のグリップであり、前記ガーメントは、該第1のグリップから第1の距離分、遠位に間隔を空けられた第2のグリップと、該第2のグリップから第2の距離分、遠位に間隔を空けられた第3のグリップとをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧迫ガーメント。
【請求項9】
体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に配置するために適合された圧迫ガーメントであって、該圧迫ガーメントは、
該体の一部分の近位部分の周りを巻くための大きさを有する近位端と、該近位端の反対側の、該体の一部分の遠位部分の周りを巻くための遠位端と、該近位端と該遠位端との間に延在する横側部エッジとを有する柔軟なラップと、
該体の一部分を圧迫するために、該ラップによって保持される嚢であって、該嚢は、膨張可能なチャンバと、該チャンバと流体連結しているポートとを有し、該ポートは、該チャンバを膨張させて、該体の一部分を圧迫するために、流体ソースから該チャンバに流体を選択的に送達する、嚢と、
フラップを規定する該側部エッジのうちの少なくとも1つであって、該フラップは、自己保持構成において該体の一部分上にラップを保持するための自由端を有し、該自己保持構成において、該近位端が、該体の一部分の該近位部分の周りに巻かれ、該遠位端が、該体の一部分の該遠位部分の周りに巻かれ、該横側部エッジが、該近位端と該遠位端との間において該体の一部分に沿って概ね長手方向に延在する、該側部エッジのうちの少なくとも1つと、
該ラップ上のファスナであって、該ラップ上のファスナは、該自己保持構成において該体の一部分上に該ラップを保持するために、該圧迫ガーメント上に該フラップの該自由端を固定する、該ラップ上のファスナと、
該フラップの反対側の該ラップの該側部エッジに隣接する該ラップの縁において該ラップを完全に通って延在する孔であって、該孔は、該体の一部分上に該ラップを保持するために、該体の一部分の周りに該ラップを巻き、該フラップを締め付ける場合に、それぞれの側部エッジを握るためにユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する、孔と
を含む、圧迫ガーメント。
【請求項10】
前記孔は、第1の孔であり、
前記ガーメントは、前記体の一部分上に前記ラップを保持するために、ユーザーの指を受け取るための大きさおよび形状を有する第2の孔を含み、
該第1の孔および該第2の孔は、前記フラップに対して長手方向にオフセットされ、かつ、該第1の孔と該第2の孔との間に該フラップを受け取るために、十分な距離分、互いから間隔を空けられている、請求項9に記載の圧迫ガーメント。
【請求項11】
前記ファスナの少なくとも一部分が、前記フラップに取り付けられている、請求項9または10に記載の圧迫ガーメント。
【請求項12】
前記ファスナは、二部分ファスナであり、該ファスナの第1の部分は、前記フラップに取り付けられ、該ファスナの第2の部分は、前記孔に隣接して前記ラップに取り付けられ、該孔は、該ファスナの該第1の部分が、該ファスナの該第2の部分に締め付けられることを可能にする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の圧迫ガーメント。
【請求項13】
体の一部分に対する圧迫治療を提供するために、該体の一部分上に圧迫ガーメントを配置する方法であって、該圧迫ガーメントは、膨張可能なチャンバと、ポートとを有する嚢を含み、該ポートは、該膨張可能なチャンバとの流体連結を提供し、該方法は、
該圧迫ガーメントの第1の側部の縁が該圧迫ガーメントの第2の側部の縁と重なるように、該体の一部分の周りに該圧迫ガーメントを巻くことと、
該第2の側部の縁を握るために、該第2の側部の縁の第1の開口部内に第1の指を挿入することと、
該体の一部分の周りに該圧迫ガーメントを締め付けるために、該第1の側部の縁を握っている間に、該第1の側部の縁と該第2の側部の縁とのうちの少なくとも1つを引っ張ることと、
該体の一部分の周りに該締め付けられた圧迫ガーメントを固定することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記巻くステップは、前記第1の側部の縁によって規定されるフラップを前記第2の側部の縁上に覆うことを含み、
前記引っ張るステップは、前記体の一部分の周りに前記圧迫ガーメントを締め付けるために、該1の側部の縁を握る間に、該第2の側部の縁を横切って該フラップを引っ張ることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の側部の縁を握るために、第2の開口部内に第2の指を挿入することをさらに含み、前記引っ張るステップは、前記第1指と該第2の指とがそれぞれの開口部内に挿入されている場合に、該第1指と該第2の指との間に前記フラップを引っ張ることを含む、請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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