説明

グリーン成形体、及び、チタン酸アルミニウム焼成体の製造方法

【課題】 その形状を保ち得る、グリーン成形体およびそれを用いるチタン酸アルミニウム焼成体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のグリーン成形体は、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含み、有機バインダは、有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となるものである。本発明にかかるチタン酸アルミニウム焼成体の製造方法は、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含む原料混合物を成形してグリーン成形体を得、得られたグリーン成形体を150〜900℃に加熱して有機バインダを除去し、有機バインダが除去されたグリーン成形体を1300℃以上で焼成する工程を備え、有機バインダは、有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリーン成形体、チタン酸アルミニウム焼成体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸アルミニウムセラミックスは、構成元素としてチタンおよびアルミニウムを含み、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウムの結晶パターンを有するセラミックスであって、耐熱性に優れたセラミックスとして知られている。チタン酸アルミニウムセラミックスは、従来からルツボのような焼結用の冶具などとして用いられてきたが、近年では、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれる微細なカーボン粒子を捕集するためのセラミックスフィルターを構成する材料として、産業上の利用価値が高まっている。
【0003】
チタン酸アルミニウムセラミックスの製造方法としては、アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む原料混合物を成形し、焼成する方法が知られている(特許文献1)。また、原料混合物として更に有機バインダ、造孔材などの有機添加物を含むものを用い、この原料混合物のグリーン成形体を酸素含有雰囲気下に150〜900℃に加熱することにより有機添加物を除去した後、1300℃以上で焼成する方法も知られている(特許文献1の段落0031〜0032)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第05/105704号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、グリーン成形体の強度(保形性)が十分ではなく、焼成炉への投入時などにおいてグリーン成形体がその形状を保てないことがあった。その結果、得られるチタン酸アルミニウム焼成体の寸法精度が十分ではなかった。
【0006】
本発明は、その形状を保ち得る、グリーン成形体およびそれを用いるチタン酸アルミニウム焼成体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の発明を完成するに至った。
【0008】
(1)アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含み、有機バインダは、有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となるものであるグリーン成形体。
【0009】
(2)アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含む原料混合物を成形してグリーン成形体を得る工程、
得られたグリーン成形体を150〜900℃に加熱して有機バインダを除去する工程、及び
有機バインダが除去されたグリーン成形体を1300℃以上で焼成する工程を備え、
有機バインダは、有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となるものである、チタン酸アルミニウム焼成体の製造方法。
【0010】
ここで、有機バインダの量がグリーン成形体100重量部に対し0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0011】
また、無機化合物源粉末は、さらにケイ素源粉末を含むことが好ましい。
【0012】
また、無機化合物源粉末は、さらにマグネシウム源粉末を含むことが好ましい。
【0013】
また、原料混合物中における、Al23換算でのアルミニウム源粉末とTiO2換算でのチタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内であることが好ましい。
【0014】
さらに、グリーン成形体は、ハニカム形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のグリーン成形体は、2重量%水溶液とした時の粘度が5000mPa・s以上となる有機バインダを含むことにより保形性に優れる。
また、本発明のチタン酸アルミニウム焼成体の製造方法によれば、原料として2重量%水溶液とした時の粘度が5000mPa・s以上となる有機バインダを使用することにより保形性に優れる成形体が得られ、また寸法精度の高いチタン酸アルミニウム焼成体を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1の(a)及び(b)は、実施形態において保形性の調べ方を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<グリーン成形体>
本発明のグリーン成形体は、無機化合物源粉末、及び、有機バインダを含む。
無機化合物源粉末は、アルミニウム源粉末、及び、チタニウム源粉末を含む。無機化合物源粉末は、さらに、マグネシウム源粉末及び/又はケイ素源粉末を含むことができる。
【0018】
(アルミニウム源粉末)
アルミニウム源は、チタン酸アルミニウム焼成体を構成するアルミニウム成分となる化合物である。アルミニウム源としては、たとえば、アルミナ(酸化アルミニウム)が挙げられる。アルミナの結晶型としては、γ型、δ型、θ型、α型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。なかでも、α型のアルミナが好ましく用いられる。
【0019】
アルミニウム源は、単独で空気中で焼成することによりアルミナに導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、たとえばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられる。
【0020】
アルミニウム塩は、無機酸との無機塩であってもよいし、有機酸との有機塩であってもよい。アルミニウム無機塩として具体的には、たとえば、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩;炭酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム炭酸塩などが挙げられる。アルミニウム有機塩としては、たとえば、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0021】
アルミニウムアルコキシドとして具体的には、たとえば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。
【0022】
水酸化アルミニウムの結晶型としては、たとえば、ギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アモルファスの水酸化アルミニウムとしては、たとえば、アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシドなどのような水溶性アルミニウム化合物の水溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物も挙げられる。
【0023】
アルミニウム源としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
上記のなかでも、アルミニウム源としては、アルミナが好ましく用いられ、より好ましくは、α型のアルミナである。なお、アルミニウム源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0025】
アルミニウム源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50又は平均粒子径ということがある)が20〜60μmの範囲内である。焼成時の収縮率低減の観点からは、D50が30〜60μmの範囲内であるアルミニウム源粉末を用いることが好ましい。
【0026】
このような粒径分布を有するグリーン成形体を得るため、グリーン成形体にはアルミナゾルや後述のシリカゾルを添加することができる。このように、アルミナゾル、シリカゾル等を添加することにより、微小な粒子同士を吸着させ、成形体中の粒子径0.1μm以下の粒子の量を、無機化合物源粉末(固形分)の100重量部に対して1〜5重量部とすることができ、これにより500℃における脱脂後の成形体の強度を例えば0.2kgf以上とすることができる。
【0027】
アルミナゾルとは、微粒子状のアルミナを分散質とし、液体を分散媒とするコロイドである。アルミナゾルは、単独でアルミニウム源とすることもできるが、他のアルミニウム源と共に併用されることが好ましい。アルミナゾルの分散媒は、例えば、混合時や仮焼時に蒸発等により除去される。
【0028】
アルミナゾルの分散媒としては、水溶液や各種有機溶媒、例えば、塩酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、アルコール、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。アルミナゾルとしては、平均粒子径が1〜100nmのコロイド状アルミナゾルが好適に用いられる。このような平均粒子径を有するアルミナゾルを用いることにより、原料混合物中の粒子同士を吸着させられるといった利点がある。また、アルミナゾルの市販品としては、例えば、日産化学工業社製「アルミナゾル100」、「アルミナゾル200」、「アルミナゾル520」、シーアイ化成製「NanoTekAl23」等が挙げられる。このうち、日産化学工業社製「アルミナゾル200」を用いることが好ましい。
【0029】
アルミナゾルは、無機化合物源粉末(固形分)の100重量部に対して固形分で0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部用いることができる。アルミナゾルは、2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
(チタニウム源粉末)
チタニウム源は、チタン酸アルミニウム焼成体を構成するチタン成分となる化合物であり、かかる化合物としては、たとえば酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、たとえば、酸化チタン(IV)、酸化チタン(III)、酸化チタン(II)などが挙げられ、なかでも酸化チタン(IV)が好ましく用いられる。酸化チタン(IV)の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。より好ましくは、アナターゼ型、ルチル型の酸化チタン(IV)である。
【0031】
チタニウム源は、単独で空気中で焼成することによりチタニア(酸化チタン)に導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、たとえば、チタニウム塩、チタニウムアルコキシド、水酸化チタニウム、窒化チタン、硫化チタン、チタン金属などが挙げられる。
【0032】
チタニウム塩として具体的には、三塩化チタン、四塩化チタン、硫化チタン(IV)、硫化チタン(VI)、硫酸チタン(IV)などが挙げられる。チタニウムアルコキシドとして具体的には、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)t−ブトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)n−プロポキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、および、これらのキレート化物などが挙げられる。
【0033】
チタニウム源としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
上記のなかでも、チタニウム源としては、酸化チタンが好ましく用いられ、より好ましくは、酸化チタン(IV)である。なお、チタニウム源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0035】
チタニウム源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜25μmの範囲内であるものが用いられ、十分に低い焼成収縮率の達成のためには、D50が1〜20μmの範囲内であるチタニウム源粉末を用いることが好ましい。なお、チタニウム源粉末は、バイモーダルな粒径分布を示すことがあるが、このようなバイモーダルな粒径分布を示すチタニウム源粉末を用いる場合においては、レーザ回折法により測定される粒径分布における、粒径が大きい方のピークの粒径が、好ましくは20〜50μmの範囲内である。
【0036】
レーザ回折法により測定されるチタニウム源粉末のモード径は、特に限定されないが、0.3〜60μmの範囲内であるものを用いることができる。
【0037】
成形体中におけるAl23(アルミナ)換算でのアルミニウム源とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは40:60〜45:55の範囲内である。このような範囲内で、チタニウム源をアルミニウム源に対して過剰に用いることにより、焼成時の収縮率を低減させることが可能となる。
【0038】
(マグネシウム源粉末)
グリーン成形体は、マグネシウム源粉末を含有していてもよい。グリーン成形体がマグネシウム源粉末を含む場合、得られるチタン酸アルミニウム焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶からなる焼成体である。
【0039】
マグネシウム源としては、マグネシア(酸化マグネシウム)のほか、単独で空気中で焼成することによりマグネシアに導かれる化合物が挙げられる。後者の例としては、たとえば、マグネシウム塩、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、窒化マグネシウム、金属マグネシウムなどが挙げられる。
【0040】
マグネシウム塩として具体的には、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0041】
マグネシウムアルコキシドとして具体的には、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなどが挙げられる。なお、マグネシウム源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0042】
マグネシウム源として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物を用いることもできる。このような化合物としては、たとえば、マグネシアスピネル(MgAl24)が挙げられる。なお、マグネシウム源として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物を用いる場合、アルミニウム源のAl23(アルミナ)換算量、および、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物に含まれるAl成分のAl23(アルミナ)換算量の合計量と、チタニウム源のTiO2(チタニア)換算量とのモル比が、原料混合物中において上記範囲内となるように調整される。
【0043】
マグネシウム源としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
マグネシウム源粉末の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜30μmの範囲内であるものが用いられ、焼成時の収縮率低減の観点からは、D50が3〜20μmの範囲内であるマグネシウム源を用いることが好ましい。
【0045】
グリーン成形体中におけるMgO(マグネシア)換算でのマグネシウム源の含有量は、Al23(アルミナ)換算でのアルミニウム源とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源との合計量に対して、モル比で、0.03〜0.15となることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.12である。マグネシウム源の含有量をこの範囲内に調整することにより、耐熱性がより向上された、大きい細孔径および開気孔率を有するチタン酸アルミニウム焼成体を比較的容易に得ることができる。
【0046】
(ケイ素源粉末)
グリーン成形体は、ケイ素源粉末をさらに含有していてもよい。ケイ素源は、シリコン成分となってチタン酸アルミニウム焼成体に含まれる化合物であり、ケイ素源の併用により、耐熱性がより向上されたチタン酸アルミニウム焼成体を得ることが可能となる。ケイ素源としては、たとえば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素などの酸化ケイ素(シリカ)が挙げられる。
【0047】
ケイ素源は、単独で空気中で焼成することによりシリカに導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、たとえば、ケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫化ケイ素、四塩化ケイ素、酢酸ケイ素、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、長石、ガラスフリットなどが挙げられる。なかでも、長石、ガラスフリットなどが好ましく用いられ、工業的に入手が容易であり、組成が安定している点で、ガラスフリットなどがより好ましく用いられる。なお、ガラスフリットとは、ガラスを粉砕して得られるフレークまたは粉末状のガラスをいう。ケイ素源として、長石とガラスフリットとの混合物からなる粉末を用いることもできる。
【0048】
ケイ素源がガラスフリットである場合、得られるチタン酸アルミニウム焼成体の耐熱分解性をより向上させるという観点から、屈伏点が700℃以上のものを用いることが好ましい。ガラスフリットの屈伏点は、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analyisis)を用いて、低温からガラスフリットの膨張を測定し、膨張が止まり、次に収縮が始まる温度(℃)と定義される。
【0049】
ガラスフリットを構成するガラスには、ケイ酸〔SiO2〕を主成分(全成分中50重量%以上)とする一般的なケイ酸ガラスを用いることができる。ガラスフリットを構成するガラスは、その他の含有成分として、一般的なケイ酸ガラスと同様、アルミナ〔Al23〕、酸化ナトリウム〔Na2O〕、酸化カリウム〔K2O〕、酸化カルシウム〔CaO〕、マグネシア〔MgO〕等を含んでいてもよい。また、ガラスフリットを構成するガラスは、ガラス自体の耐熱水性を向上させるために、ZrO2を含有していてもよい。
【0050】
ケイ素源としては、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
ケイ素源の粒径は、特に限定されないが、通常、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)が0.5〜30μmの範囲内であるものが用いられ、原料混合物の成形体の充填率をより向上させ、機械的強度のより高い焼成体を得るためには、D50が1〜20μmの範囲内であるケイ素源を用いることが好ましい。
【0052】
グリーン成形体がケイ素源を含む場合、グリーン成形体中におけるケイ素源の含有量は、Al23(アルミナ)換算でのアルミニウム源とTiO2(チタニア)換算でのチタニウム源の合計量100重量部に対して、SiO2(シリカ)換算で、通常0.1重量部〜10重量部であり、好ましくは5重量部以下である。また、グリーン成形体中におけるケイ素源の含有量は、グリーン成形体中に含まれる無機化合物源中、2重量%以上5重量%以下とすることがより好ましい。ケイ素源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0053】
マグネシアスピネル(MgAl24)などの複合酸化物のように、チタニウム、アルミニウム、ケイ素およびマグネシウムのうち、2つ以上の金属元素を成分とする化合物を原料として用いることができる。この場合、そのような化合物は、それぞれの金属源化合物を混合したものと同じであると考えることができ、このような考えに基づき、グリーン成形体中におけるアルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の量が上記範囲内に調整される。
【0054】
グリーン成形体中の無機化合物源粉末100重量部における、粒子径0.1μm以下の粒子の含有量を1〜5重量部とする場合、上述のように、グリーン成形体にアルミナゾルおよび/またはシリカゾルを添加して混合することが好ましい。シリカゾルとは、微粒子状のシリカを分散質とし、液体を分散媒とするコロイドである。シリカゾルは、単独でケイ素源とすることもできるが、他のシリカ源と共に併用されることが好ましい。シリカナゾルの分散媒は、例えば、混合時や仮焼時に蒸発等により除去される。
【0055】
シリカゾルの分散媒としては、水溶液や各種有機溶媒、例えば、アンモニア水溶液、アルコール、キシレン、トルエン、トリグリセリドなどが挙げられる。シリカゾルとしては、平均粒子径が1〜100nmのコロイド状シリカゾルが好適に用いられる。このような平均粒子径を有するシリカゾルを用いることにより、原料混合中の粒子同士を吸着させ、焼成時に融解し結合させることができるといった利点がある。
【0056】
シリカゾルの市販品としては、例えば、日産化学工業社製「スノーテックス20、30、40、50、N、O、S、C、20L、OL、XS、XL、YL、ZL、QAS−40、LSS−35、LSS−45」、旭電化社製「アデライトAT−20、AT−30、AT−40、AT−50、AT−20N、AT−20A、AT−30A、AT−20Q、AT−300、AT−300Q」、触媒化成工業社製「Cataloid S−20L、S−20H、S−30L、S−30H、SI−30、SI−40、SI−50、SI−350、SI−500、SI−45P、SI−80P、SN、SA、SC−30」、デュポン社製「ルドックスHS−40、HS−30、LS、SM−30、TM、AS、AM」等が挙げられる。このうち、中性域でコロイド状態が安定な「スノーテックスC」を用いることが好ましい。
【0057】
シリカゾルは、無機化合物源粉末(固形分)の100重量部に対して固形分で0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部用いられる。シリカゾルは、2種以上混合して用いてもよい。
【0058】
グリーン成形体は、チタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムを含むことができ、たとえば、成形体の構成成分としてチタン酸アルミニウムマグネシウムを使用する場合、チタン酸アルミニウムマグネシウムは、チタニウム源、アルミニウム源およびマグネシウム源を兼ね備えた原料に相当する。
【0059】
(有機バインダ)
グリーン成形体は、水溶性の有機バインダを含む。この有機バインダは、この有機バインダの2重量%水溶液の粘度が20℃で5000mPa・s以上、好ましくは10000mPa・s以上となる有機バインダである。水溶液の粘度は、例えば、BrookField型粘度計により測定することができる。この有機バインダは、この有機バインダの2重量%水溶液の粘度が20℃で50000mPa・s以下であることが好ましい。
【0060】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩などの塩などが挙げられる。
【0061】
有機バインダの量は、アルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の合計量、すなわち、無機化合物源粉末の100重量部に対して、通常20重量部以下であり、好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは6重量部である。また、有機バインダの下限量は、通常0.1重量部、好ましくは3重量部である。
【0062】
(その他の添加物)
グリーン成形体は、有機バインダ以外の有機添加物を含むことができる。その他の有機添加物は、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒である。
【0063】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の添加量は、アルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の合計量、すなわち、無機化合物源粉末の100重量部に対して、通常、0〜40重量部であり、好ましくは0〜25重量部である。
【0064】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤および可塑剤の添加量は、アルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の合計量、すなわち、無機化合物源粉末の100重量部に対して、通常、0〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
【0065】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、アルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の合計量、すなわち、無機化合物源粉末の100重量部に対して、通常、0〜20重量部であり、好ましくは2〜8重量部である。
【0066】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、アルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源およびケイ素源の合計量、すなわち、無機化合物源粉末の100重量部に対して、通常、10重量部〜100重量部、好ましくは20重量部〜80重量部である。
【0067】
(グリーン成形体の形状)
グリーン成形体の形状は特に限定されず、用途に応じて任意の形状を取ることができる。例えば、DPFフィルタ用のグリーン成形体の場合、いわゆるハニカム形状、すなわち、同一方向に延びる多数の貫通孔を有し、多数の貫通孔により形成される多数の流路が隔壁によって分離された形状であることが好ましい。また、棒状、チューブ状、板状、るつぼ形状等も挙げることができる。
【0068】
(グリーン成形体の製造方法)
グリーン成形体は例えば以下のようにして製造することができる。
まず、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、及び、必要に応じて配合されるマグネシウム源粉末およびケイ素源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、溶媒と、必要に応じて添加される添加物を用意する。
そして、これらを上述の比率で混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物を成形することにより、所望の形状のグリーン成形体を得ることができる。ここで、成形法は特に限定されず、例えば、一軸プレス機、押出成形機、打錠機、造粒機などが挙げられる。
【0069】
<チタン酸アルミニウム焼成体の製造方法>
上述のグリーン成形体を仮焼(脱脂)および焼成することにより、チタン酸アルミニウム焼成体を得ることができる。得られるチタン酸アルミニウム焼成体は、チタン酸アルミニウム結晶からなる焼成体である。成形してから焼成を行なうことにより、原料混合物を直接焼成する場合と比較して、焼成中の収縮を抑えることができ、得られるチタン酸アルミニウム焼成体の割れを効果的に抑制でき、また、焼成により生成した多孔質性のチタン酸アルミニウム結晶の細孔形状が維持されたチタン酸アルミニウム焼成体を得ることができる。
【0070】
仮焼(脱脂)は、グリーン成形体中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程であり、典型的には、焼成温度に至るまでの昇温段階(たとえば、150〜900℃の温度範囲)になされる。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
【0071】
グリーン成形体の焼成における焼成温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。グリーン成形体がケイ素源粉末を含む場合には、焼成工程の前に、1100〜1300℃の温度範囲で3時間以上保持する工程を設けることが好ましい。これにより、ケイ素源粉末の融解、拡散を促進させることができる。
【0072】
焼成は通常、大気中で行なわれるが、用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
【0073】
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0074】
焼成に要する時間は、グリーン成形体がチタン酸アルミニウム結晶に遷移するのに十分な時間であればよく、グリーン成形体の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
【0075】
以上のようにして、目的のチタン酸アルミニウム焼成体を得ることができる。このようなチタン酸アルミニウム焼成体は、成形直後のグリーン成形体の形状をほぼ維持した形状を有する。得られたチタン酸アルミニウム焼成体は、研削加工等により、所望の形状に加工することもできる。
【0076】
上述の方法により得られるチタン酸アルミニウム焼成体は、たとえば、ルツボ、セッター、コウ鉢、炉材などの焼成炉用冶具;ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガス浄化に用いられる排ガスフィルターや、触媒担体、ビールなどの飲食物の濾過に用いる濾過フィルター、石油精製時に生じるガス成分、たとえば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるための選択透過フィルターなどのセラミックスフィルター;基板、コンデンサーなどの電子部品などに好適に適用することができる。なかでも、セラミックスフィルターなどとして用いる場合、チタン酸アルミニウム焼成体は、高い細孔容積および開気孔率を有することから、良好なフィルター性能を長期にわたって維持することができる。
【0077】
チタン酸アルミニウム焼成体は、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウムまたはチタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶パターンのほか、アルミナ、チタニアなどの結晶パターンを含んでいてもよい。なお、チタン酸アルミニウム焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶からなる場合、組成式:Al2(1−x)MgxTi(1+x)5で表すことができ、xの値は0.03以上であり、好ましくは0.03以上0.15以下、より好ましくは0.03以上0.12以下である。また、本発明により得られるチタン酸アルミニウム焼成体は、原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
保形性、収縮率、及び粘度は下記方法により測定した。
【0079】
(1)グリーン成形体の保形性1.図1の(a)に示すように、グリーン成形体から、水平長さ100mm×幅20mm×高さ20mmの大きさの試験片10を切り出した。2.試験片10の長手方向の一端(左端)から0〜40mmの部分10aを台座5の水平面5a上に固定した。固定操作の間に試験片10の他端(右端)側(40〜100mm)の部分10bが変形しないように、試験片10の他端側の部分10bの下面を図示しない支持台により保持した。3.支持台を外し、図1の(b)に示すように試験片10の他端側の部分10bを変形させた。支持台を外してから60秒後の試験片10の他端側の部分10bの下面の鉛直方向の変位Xを測定した。ここで、鉛直方向の変位Xは、台座5の水平面5aの端面5bから25mm水平方向にはなれた位置で測定した。合計3つの試験片について変位を測定し、その平均値を求めた。
【0080】
(2)焼成前後の収縮率
脱脂および焼成前(押し出し成形後)のグリーン成形体と、脱脂および焼成後の焼成品の押し出し断面方向(成形体における押し出し方向とは垂直な方向の断面)の長さを、それぞれ2点測定し、それらの値を平均することに得られる焼成前の平均長さおよび焼成後の平均長さから、下記式に基づき収縮率を算出した。
収縮率(%)={1−(焼成後の平均長さ)/(焼成前の平均長さ)}×100
【0081】
(3)有機バインダの2重量%水溶液の粘度
有機バインダを2重量%となるように純水に溶解し、その粘度をB型粘度計を用い、20℃の条件下で測定した。
【0082】
<実施例1>
無機化合物源粉末として以下のものを用いて、グリーン成形体を得た。無機化合物源粉末の仕込み組成は、アルミナ〔Al23〕、チタニア〔TiO2〕、マグネシア〔MgO〕およびシリカ〔SiO2〕換算のモル百分率で、〔Al23〕/〔TiO2〕/〔MgO〕/〔SiO2〕=35.1%/51.3%/9.6%/4.0%であった。アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、4.0重量%であった。
(1)アルミニウム源粉末
表1に示される平均粒子径を有するα−アルミナ粉末 24.6重量部
(2)チタニウム源粉末
表1に示される平均粒子径を有するルチル型チタニア粉末 42.0重量部
(3)マグネシウム源粉末
表1に示される平均粒子径を有するマグネシアスピネル粉末 15.7重量部
(4)ケイ素源粉末
表1に示される平均粒子径を有するガラスフリット(タカラスタンダード社製「CK0832」) 3.4重量部
【0083】
アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末からなる混合物に、造孔剤として表1に示される平均粒子径を有するコーンスターチを14.3部、有機バインダとしてメチルセルロース(商品名:メトローズ 90SH−30000、2重量%の水溶液の粘度が20℃で30000mPa・s) 3.9重量部、可塑剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:ユニルーブ50MB−72) 1.9重量部、ならびに、潤滑剤としてグリセリン 0.2重量部を加え、さらに、分散媒(溶媒)として水を27.3重量部、分散剤としてセラミゾール(商品名:C−08)0.2gを加えた後、混練機を用いて25℃で混練することにより、坏土(成形用原料混合物)を調製した。ついで、この坏土を押出成形することにより、グリーン成形体を作製した。グリーン成形体は、保形性が9.8mmであった。
【0084】
グリーン成形体をマイクロ波乾燥機にて速やかに加熱させた後、100℃で5時間保持して乾燥し、次いで、大気雰囲気下でバインダを除去する仮焼(脱脂)工程を含む焼成を行ってチタン酸アルミニウムマグネシウム多孔質焼成体を得た。焼成時の最高温度は、1450℃とし、最高温度での保持時間は5時間とした。このときの収縮率は8.9%であった。
【0085】
【表1】

【0086】
<実施例2>
メチルセルロース(商品名:メトローズ 90SH−30000)の量を3.9重量部から4.9重量部に変更した以外、実施例1と同様な操作を行って、グリーン成形体および多孔質な焼成体を得た。グリーン成形体は、保形性が8.2mmであった。焼成時の収縮率は9.1%であった
【0087】
<実施例3>
メチルセルロース(商品名:メトローズ 90SH−30000)の量を3.9重量部から5.9重量部に変更した以外、実施例1と同様な操作を行って、グリーン成形体および多孔質な焼成体を得た。グリーン成形体は、保形性が8.7mmであった。焼成時の収縮率は9.6%であった。
<実施例4>
有機バインダとして、メチルセルロース(商品名:メトローズ 90SH−30000)3.9重量部に代えて、メチルセルロース(商品名:メセロース PMB−15UFF、2重量%の水溶液の粘度が20℃で15000mPa・s)に代え、メチルセルロースの量を6.0重量部に変更した以外、実施例1と同様な操作を行って、グリーン成形体および多孔質な焼成体を得た。グリーン成形体は、保形性が10.0mmであった。焼成時の収縮率は9.4%であった。
【0088】
<比較例1>
有機バインダとしてメチルセルロース(商品名:メトローズ 90SH−30000)3.9重量部に代えて、メチルセルロース(商品名:メトローズ 60SH−4000、2重量%の水溶液の粘度が20℃で4000mPa・s)7.8重量部を使用した以外、実施例1と同様な操作を行って、グリーン成形体および多孔質焼成体を得た。グリーン成形体は、保形性が18.7mmであった。焼成時の収縮率は12.0%であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含み、
前記有機バインダは、前記有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となるものであるグリーン成形体。
【請求項2】
前記有機バインダの量は、無機化合物源粉末100重量部に対し0.1〜20重量部である請求項1記載のグリーン成形体。
【請求項3】
前記無機化合物源粉末は、さらにケイ素源粉末を含む請求項1又は2記載のグリーン成形体。
【請求項4】
前記無機化合物源粉末は、さらにマグネシウム源粉末を含む請求項1〜3のいずれか一項記載のグリーン成形体。
【請求項5】
Al23換算での前記アルミニウム源粉末とTiO2換算での前記チタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内である請求項1〜4いずれか一項記載のグリーン成形体。
【請求項6】
ハニカム形状を有する請求項1〜5のいずれか一項記載のグリーン成形体。
【請求項7】
アルミニウム源粉末およびチタニウム源粉末を含む無機化合物源粉末と、有機バインダと、を含む原料混合物を成形してグリーン成形体を得る工程、
前記グリーン成形体を150〜900℃に加熱して前記有機バインダを除去する工程、及び
前記有機バインダが除去された前記グリーン成形体を1300℃以上で焼成する工程を備え、
前記有機バインダは、前記有機バインダの2重量%水溶液の20℃での粘度が5000mPa・s以上となるものである、チタン酸アルミニウム焼成体の製造方法。
【請求項8】
前記有機バインダの量は、前記無機化合物源粉末100重量部に対し0.1〜20重量部である請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記無機化合物源粉末は、さらにケイ素源粉末を含む請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記無機化合物源粉末は、さらにマグネシウム源粉末を含む請求項7〜9の何れか一項記載の方法。
【請求項11】
前記原料混合物中における、Al23換算でのアルミニウム源粉末とTiO2換算でのチタニウム源粉末とのモル比は、35:65〜45:55の範囲内である請求項7〜10いずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記成形体は、ハニカム形状を有する請求項7〜11いずれか一項記載の方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−207750(P2011−207750A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50670(P2011−50670)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】