説明

グルカゴン受容体アンタゴニストおよびその製造及び治療用途

本発明は、グルカゴン受容体に対するアンタゴニスト又は逆アゴニスト活性を有する、式Iで表される新規な化合物又はその製薬的に許容できる塩、並びにかかる化合物の調製方法を開示する。他の実施態様において、本発明は、式Iの化合物を含んでなる医薬組成物、並びにそれらを使用して糖尿病及び他のグルカゴンが関連する代謝異常による障害などを治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/737,979号の優先権を主張する。
【0002】
本発明はグルカゴン受容体のアンタゴニスト若しくは逆アゴニストである化合物、それを含む医薬品組成物、並びにヒト若しくは動物の身体の治療への、当該化合物及び組成物の使用に関する。本発明の化合物は、グルカゴン受容体への高い親和性及び選択的な結合を示すため、グルカゴン受容体の調節に反応した障害(例えば糖尿病及び他のグルカゴンに関連する代謝異常など)の治療において、有用である。
【背景技術】
【0003】
グルカゴンは、インシュリンと協同して血糖値の恒常性の調節に関与する、鍵となるホルモン物質である。グルカゴンは主に、血糖レベルが減少したとき、特定の細胞(これらの中で肝細胞が重要)を刺激してグルコースを放出させる機能を有する。グルカゴンは、血糖レベルが上昇した際にグルコースを取り込んで保持するように細胞を刺激するインシュリンとは反対の機能を果たす。グルカゴン及びインシュリンはペプチドホルモンであり、グルカゴンは膵臓のα小島細胞において、産生され、一方インシュリンはβ小島細胞において、産生される。グルカゴンはその受容体(7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体ファミリーのグルカゴン−セクレチン分岐のメンバーである)と結合し、活性化させる機能を有する。該受容体は、アデニリルシクラーゼの第二メッセンジャー系を活性化させ、cAMP濃度の増加をもたらすことによりその機能を果たす。グルカゴン受容体又は該受容体の天然変異体は、in vivo並びにin vitroにおいても固有の構成的な活性(すなわちアゴニストの非存在下での活性)を有すると考えられる。逆アゴニストとして作用する化合物は、この活性を阻害できる。糖尿病は、グルコース代謝に関係する一般的な障害である。該疾患は高血糖症が特徴であるインシュリン依存型の1型糖尿病、又は非インシュリン依存性が特徴である2型糖尿病に分類できる。1型糖尿病に罹患している被験者は高血糖及び低インシュリン活性が特徴であり、インシュリン投与がこのタイプの疾患の従来の治療法である。しかしながら、一部の1型又は2型糖尿病患者では、絶対的又は相対的に高いグルカゴンレベルによって、高血糖状態となることが示されている。すなわち、健常の対照動物、並びに1型及び2型糖尿病のモデル動物で、選択的及び特異的な抗体により循環するグルカゴンを除去した結果、血糖レベルの減少が生じる。グルカゴン受容体を欠失(ホモ型)するマウスではグルコース耐性が増強される。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるグルカゴン受容体発現の阻害により、db/dbマウスの糖尿病の症状が改善される。これらの知見は、グルカゴンを抑制又はアンタゴナイズする作用が、糖尿病患者の高血糖症の従来の治療に有用であることを示唆するものである。グルカゴンの作用は、アンタゴニスト又は逆アゴニスト(すなわち、グルカゴン受容体が媒介する構造的な(又はグルカゴンにより誘発された)反応を抑制又は阻害する物質)の提供により抑制できる。
【0004】
幾つかの刊行物において、グルカゴンアンタゴニストとして作用するとされるペプチドが開示されている。ペプチドホルモンに対するペプチドアンタゴニストの作用は通常強力であるが、それらはin vivoで生体内の酵素により分解されて十分に分布しないため、経口的に使用できないことが一般に知られている。したがって、経口的に利用できるペプチドホルモンに対する非ペプチドアンタゴニストが通常は好ましい。
【0005】
近年多くの刊行物において、グルカゴン受容体上で作用する非ペプチド物質が報告されている。例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1では各々、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性を有する非ペプチド化合物を開示している。グルカゴンに関連する疾患の治療方法が数多く存在するにもかかわらず、現行の治療では幾つかの課題点が存在し、例えば特定の患者集団における不十分又は不完全な有効性、許容できない副作用及び逆作用などが挙げられる。
【特許文献1】国際公開第2003/048109号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/002480号パンフレット
【非特許文献1】Kurukulasuriyaら、“Biaryl amide glucagon receptor antagonists” Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,vol.14,no.9,pages 2047−2050,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、グルカゴン受容体活性を調節して、グルカゴン受容体を調節することが有効である疾患を処理するための代替的若しくは改良された医薬品の使用に基づく、改良された治療方法に対するニーズが今なお存在する。本発明は、新規な化合物群がグルカゴン受容体に対する高い親和性、及び選択的、強力な阻害活性を有するという発見に基づき、従来技術に対する解決手段とするものである。本発明は特定の構造及びそれらの作用を特徴とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式Iで表される構造を有する化合物、
【化1】

(I)
及びその製薬的に許容できる塩を提供する。
式中、Tは独立に炭素(水素で又は場合により本願明細書に示す置換基で置換された)又は窒素であり、
R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、−ハロゲン、−ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、−CN、アルコキシ−(C−C)−(C−C)アルケニル又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化2】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ、−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)2R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)2R10又は−O(C−C)アルケニルであり、
R9は独立に水素、ハロゲン、−CN−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)2R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)2R10又は、−O(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R10は独立に水素又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3がR11と同じであるか、
又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は場合により1つの二重結合を含んでもよい)。
【0008】
本発明は、グルカゴン受容体アンタゴニスト又は逆アゴニストとして有用である化合物及び医薬組成物を提供する。本発明は更に、GLP−1受容体よりもグルカゴン受容体に選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストである化合物を提供する。本発明は、式I(又はその製薬的に許容できる塩)、並びに製薬的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。本発明は更に、これらの化合物及び医薬組成物の使用、例えば糖尿病及びグルカゴン関連の代謝障害などの、グルカゴン受容体の変調に感受性の障害の治療への使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一実施態様では、本発明は本明細書に記載の式Iの化合物を提供する。本発明に記載の化合物の全てが有用であるが、具体的な化合物に関しては特に興味深く、また好適である。以下に好ましい化合物群を幾つか示す。また本明細書に記載のように、あるリスト中の各々を他のリストのものと組み合わせて更なる好ましい実施態様の群を構成してもよいことが理解できる。
【0010】
本発明の別の実施形態では、本発明は、式Iで表される構造を有する化合物を提供する
(式中、Tは独立に炭素(水素で又は場合により本願明細書に示す置換基で置換された)又は窒素であり、
R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化3】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシであり、
R9は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3がR11と同じであるか、
又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は場合により1つの二重結合を含んでもよい))。
【0011】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物を提供する
(式中、
式中、R1及びR2は水素であり、
Tは炭素であり、
R3は、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
R4及びR5は独立に水素、−ハロゲン又は−CH(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化4】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素又はハロゲンであり、
R9は独立に−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3がR11と同じであるか、
又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は場合により1つの二重結合を含んでもよい))。
【0012】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物を提供する
(式中、
Tは独立に炭素(水素で又は場合により本願明細書に示す置換基で置換された)であり、
R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は−CH(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であって、その各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する部位を占め、
R6は
【化5】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は水素であり、
R9は独立に−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、R11は水素である)。
【0013】
本発明の他の実施形態では、式Iで表される化合物を提供する
(式中、
R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3はメチル、エチル、プロピル、2−プロペニル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、3,3−ジメチルブチル、2−メチルプロピル、3−メチルブチル、tertブチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルプロピル、3−トリフルオロプロピル、4−トリフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
R4及びR5は独立に水素、メチル、エチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ペンチル、イソプロポキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、−CN、メトキシ、ヒドロキシメチル、4−メチルペンチルオキシ又はペンチルオキシであり、
R7及びR8は独立に水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、ペンチル、イソプロピル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、アセチル、2−メチルプロピル、メトキシ、シクロヘキシル又はトリフルオロメトキシであり、
R9は水素、ブロモ、フルオロ、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル又はイソプロピルであり、
R11は水素、メチル、エチル、プロピル又は2−プロペニル(但しR11がメチル、エチル、プロピル又は2−プロペニルであるとき、R3がR11と同じであるか、
又はR11及びR3は、それらが結合する炭素原子とシクロペンチル又はシクロペント−3−エニルを形成する)である)。
【0014】
本発明の他の実施態様として、本明細書の上記の実施態様の各々を以下のような更に好ましい態様に限定したものを示す。具体的には、下記の好ましい態様の各々は、上記の実施態様を各々独立に組み合わせたものであり、その具体的な組合せにより他の実施態様が提供され、それは示される置換基が好適な態様として更に限定されたものとなる。
【0015】
好ましくは、Tは窒素である。
好ましくは、Tは炭素(水素で又は場合により本願明細書に示す置換基で置換された)である。
好ましくは、Tは炭素(水素を有してもよい)である。
【0016】
好ましくは、R1は水素である。
好ましくは、R1はフッ素である。
好ましくは、R1は塩素である。
好ましくは、R2は水素である。
好ましくは、R2はフッ素である。
好ましくは、R2は塩素である。
好ましくは、R1及びR2は水素である。
好ましくは、R1はフッ素であり、R2はフッ素である。
【0017】
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R3はエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、3−メチル−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、3,3−ジメチルブチル、2−メチルプロピル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル又は4,4,4−トリフルオロブチルである。
好ましくは、R3はイソプロピル、ブチル、tert−ブチル、3−メチル−ブチル、ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−メチルプロピル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルプロピル、3−トリフルオロプロピル又は4,4,4−トリフルオロブチルである。
好ましくは、R3はイソプロピル、3−メチル−ブチル、トリフルオロプロピル又は4,4,4−トリフルオロブチルである。
【0018】
好ましくは、R3は−(C−C)アルケニルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルケニルである。
好ましくは、R3は2−プロペニルである。
好ましくは、R3は−(C−C)シクロアルキルである。
好ましくは、R3はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
好ましくは、R3はシクロプロピルである。
好ましくは、R3はシクロブチルである。
好ましくは、R3はシクロペンチルである。
好ましくは、R3はシクロヘキシルである。
【0019】
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロプロピルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロブチルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロペンチルである。
好ましくは、R3は−(C−C)アルキルシクロヘキシルである。
【0020】
好ましくは、R3は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R3は−シクロプロピル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R3は−シクロブチル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R3は−シクロペンチル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R3は−シクロヘキシル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0021】
好ましくは、R4は水素、ハロゲン、−ヒドロキシ、ヒドロキシメチル又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R4は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R4は水素、ハロゲン又は−CHである。
好ましくは、R4は水素である。
好ましくは、R4はフッ素、塩素又は臭素である。
好ましくは、R4は−CHである。
【0022】
好ましくは、R5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R5は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R5は水素、ハロゲン又は−CHである。
好ましくは、R5はシクロヘキシルである。
好ましくは、R5はフッ素、塩素又は臭素である。
好ましくは、R5は−CHである。
【0023】
好ましくは、R4及びR5は水素である。
好ましくは、R4はハロゲンであり、R5は水素である。
好ましくは、R4は水素であり、R5は−CHである。
好ましくは、R4及びR5は−CHである。
好ましくは、R4及びR5は−CHであり、その各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する位置を占める。
【0024】
好ましくは、R7はハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい、−(C−C)アルコキシ、−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニルである。
好ましくは、R7はハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルコキシである。
好ましくは、R7は水素又はハロゲンである。
好ましくは、R7は水素である。
【0025】
好ましくは、R8はハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ、−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)2R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)2R10又は−O(C−C)アルケニルである。
好ましくは、R8はハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、又は−(C−C)アルコキシである。
好ましくは、R8は水素又はハロゲンである。
好ましくは、R8は水素である。
好ましくは、R7は水素であり、R8は水素である。
【0026】
好ましくは、R9は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
好ましくは、R9はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、3−メチル−ブチル、ペンチル、ヘキシル、3,3−ジメチルブチル、2−メチルプロピル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルプロピル、3−トリフルオロプロピル又は4−トリフルオロブチルである。
好ましくは、R9はイソプロピル、tert−ブチル又はトリフルオロメチルである。
【0027】
好ましくは、R7は水素であり、R8は水素であり、R9はイソプロピル、tert−ブチル又はトリフルオロメチルである。
【0028】
好ましくは、R10は独立に−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0029】
好ましくは、R11は水素である。
好ましくは、R11は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但し、R11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3はR11と同じである。
好ましくは、R11及びR3は、それらが結合する炭素原子と炭素数5のシクロアルキル環を形成する(当該炭素数5のシクロアルキル環は、場合により1つの二重結合を含んでもよい)。
好ましくは、R11は水素、メチル、エチル、プロピル又は2−プロペニルである(但しR11がメチル、エチル、プロピル又は2−プロペニルであるとき、R3はR11と同じである)。
好ましくは、R11及びR3は、それらが結合する炭素原子とシクロペンチル又はシクロペント−3−エニルを形成する。
【0030】
本発明の他の実施形態としては、式X1からX22の化合物が挙げられる。本発明の他の実施形態は、本願明細書に記載されている全ての新規な中間調製物であり、それらは式Iの化合物、又はX1からX22に係るグルカゴン受容体アンタゴニスト又は逆アゴニストの調製にとり有用である。
Table1
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0031】
グルカゴン受容体と相互作用するため、グルカゴン受容体との相互作用が有益である一般的な症状及び障害の治療において、本発明の化合物は有用である。これらの障害及び症状は、「糖尿病性及びその他のグルカゴン関連の代謝異常」として本明細書にて定義する。当業者であれば「糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常」を、障害の病態生理学又は障害への恒常性反応のいずれにおける、グルカゴン受容体により媒介されるシグナリングに関連するものとして同定できる。このように、本発明の処理と関連した不必要な副作用の1つ以上を減少及び/又は除去する一方で、例えば内分泌系、中枢神経系、末梢神経系、心臓血管系、肺系及び胃腸系の疾患又は症状又は関連する徴候又は後遺症の予防、治療又は軽減するための該化合物の使用が考えられる。「糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常」としては、限定はされないが、糖尿病、高血糖症、高インシュリン症、β細胞休息、第1相応答の復元によるβ細胞機能の向上、食事の高血糖症、アポトーシス防止、空腹時血糖異常(IFG)、メタボリックシンドローム、低血糖症、高/低カリウム血症、正常化グルカゴン濃度、改善したLDL/HDL比率、間食の減少、摂食障害、体重減少、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)、糖尿病の結果としての肥満、成人の潜在的な自己免疫性糖尿病(LADA)、インスリン炎、小島移植、小児性糖尿病、妊娠糖尿病、遅発性糖尿病合併症、低/高蛋白尿、腎症、網膜症、神経障害、糖尿病による足潰瘍、グルカゴン投与による腸運動の低下、短小腸症候群、下痢止め、胃液分泌の増加、血流量減少、勃起障害、緑内障、手術後侵襲、虚血の後の血流の再潅流により生じる器官組織損傷の改善、虚血心傷害、心不全、うっ血性心不全、脳卒中、心筋梗塞、不整脈、早死、抗アポトーシス、創傷治癒、糖耐性(IGT)、インスリン抵抗性症候群、X症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、異脂肪血症、過トリグリセリド血症、リポ蛋白過剰血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化を含む動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心臓血管疾患、高血圧、心臓肥大症、胃腸の障害、肥満、肥満の結果としての糖尿病、糖尿病性異脂肪血症などが挙げられる。
【0032】
更に本発明は式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩、又は式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩及び製薬的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物の、グルカゴン受容体の阻害のための、哺乳類のグルカゴン受容体が媒介する細胞応答を阻害するための、哺乳類における血糖を減少させるための、過剰なグルカゴンに起因する疾患を処理するための、哺乳類における糖尿病及び他のグルカゴン関連代謝異常における、及び糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害及び創傷治癒の治療のための使用に関する。すなわち本発明の使用及び方法には、式Iの化合物の予防及び治療的な投与が包含される。
【0033】
更に本発明は式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩の、グルカゴン受容体を阻害する薬剤の製造のための、哺乳類におけるグルカゴン受容体が媒介する細胞反応を阻害する薬剤の製造のための、哺乳類における血糖レベルを減少させるための薬剤の製造のための、過剰なグルカゴンに起因する疾患を処理するための薬剤の製造のための、哺乳類における糖尿病及び他のグルカゴン関連代謝異常の治療用の薬剤の製造のための、及び糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の治療及び創傷の治療用薬剤の製造のための使用に関する。
【0034】
更に本発明は、哺乳類の過剰なグルカゴンから生じる症状の治療方法、哺乳類のグルカゴン受容体の阻害方法、哺乳類のグルカゴン受容体が媒介する細胞反応の阻害方法、哺乳類の血糖レベルの低下方法、哺乳類の糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常の治療方法、並びに糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の治療及び創傷治癒方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩、又は式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩及び製薬的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物を、グルカゴン受容体を阻害するのに十分な量で投与することを含んでなる方法を提供する。
【0035】
更に本発明は、グルカゴン受容体の阻害のための使用に適する、グルカゴン受容体が媒介する細胞反応の阻害のための使用に適する、哺乳類の血糖レベルの低下のための使用に適する、哺乳類の糖尿病性及び他のグルカゴン関連の代謝異常の治療のための使用に適する、糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の予防若しくは治療、並びに創傷治癒のための使用に適する、式Iの化合物若しくはその製薬的に許容できる塩、並びに製薬的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。
【0036】
本発明の化合物又は塩の使用により更に、グルカゴン受容体に欠陥を有する患者の同定するための診断薬、並びに、胃酸分泌を増加させ、グルカゴン投与による腸の低蠕動を好転させるための治療薬が提供される。本発明はまた、グルカゴンをアンタゴナイズする作用が有益である障害又は疾患の治療方法の提供に関し、当該方法は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる。本発明の他の実施形態は、本発明の化合物を用いた、グルカゴンにより媒介されるあらゆる症状及び疾患を治療するための薬剤の調製方法を提供する。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いて血糖症の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いて哺乳類の血糖値を低下させるための薬剤を調製する。本発明の化合物は絶食時及び食後段階の両方における血糖値を低下させる場合に有効である。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いてIGT治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いて2型糖尿病の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いてIGTから2型糖尿病への進行を遅らせ、又は抑止するための医薬組成物を調製する。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いてインスリン非依存性2型糖尿病からインスリン依存性2型糖尿病への進行を遅らせ又は抑止するための医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いてI型糖尿病の治療用の医薬組成物を調製する。かかる治療は通常インスリン療法を伴う。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いて肥満治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いて脂質代謝疾患の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いて食欲の制御又はエネルギー消費に関する疾患の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物による患者の治療は食餌療法及び/又は運動療法と組み合わされる。
【0037】
本発明の更なる実施形態において、本発明の化合物は1つ以上の更なる活性物質と任意の適当な比率で組み合わせて投与される。このような活性物質は、例えば抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗高圧剤、糖尿病、又は関連した合併症の治療用薬剤及び肥満に由来してもよいし、関連した合併症の治療用薬剤から選択してもよい。以下にグループの組合せをいくつか列挙する。当然のことながら、以下に指定される薬剤の各々と他に指定される薬剤によって、組合せを増やしてもよい。
【0038】
本発明の更なる実施形態において、一種以上の抗糖尿病剤と併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0039】
適当な抗糖尿病剤にはインスリン、インスリンアナログ及び誘導体、(例えばNεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン(欧州特許第792290号明細書(Novo Nordisk A/S)に開示)、AspB28ヒトインスリン(欧州特許第214826号明細書及び欧州特許第705275号明細書(Novo Nordisk A/S)に開示)、LysB28ProB29ヒトインスリン(米国特許第5,504,188号明細書(Eli Lilly)に開示)、Lantus(登録商標)(欧州特許第368187号明細書(Aventis)に開示)が全て本明細書に援用される。)、GLP−1及びGLP−1誘導体(国際公開第98/08871号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示、本明細書に援用される。)、その他、経口で活性のある血糖値低下剤のようなインスリンアナログ及び誘導体が挙げられる。
【0040】
経口投与で有効な血糖降下剤としては、以下のものが包含される:イミダゾリン、スルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インシュリン増感剤、インシュリン分泌促進物質(例えばグリメピリド)、α−グルコシダーゼ阻害剤、及びβ−細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質(例えばWO97/26265、WO99/03861及びWO00/37474(Novo Nordisk A/S)(本明細書に援用される)において開示されるようなカリウムチャネル開放物質、又はミチグリニド、又はカリウムチャネルブロッカー(例えばBTS−67582、ナテグリニド)、グルカゴンアンタゴニスト(例えば国際公開第99/01423号、第00/39088号(Novo Nordisk A/S及びAgouron Pharmaceuticals社)(本明細書に援用される)で開示)、GLP−1アンタゴニスト、DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)阻害剤、PTPアーゼ(チロシンホスファターゼ)阻害剤、糖新生及び/又は糖原分解の刺激に関係する肝酵素阻害剤、グルコース取り込み調節因子(国際公開第00/58293号、国際公開第01/44216号、国際公開第01/83465号、国際公開第01/83478号、国際公開第01/85706号、国際公開第01/85707号及び国際公開第02/08209号(Hoffman−La Roche社)に開示されるもの、又は国際公開第03/00262号、国際公開第03/00267号及び国際公開第03/15774号(AstraZeneca社)(本明細書に援用される)において開示されるグルコキナーゼ(GK)の活性剤)、GSK−3(グリコゲン合成酵素キナーゼ−3)阻害剤、HMG CoA阻害剤(スタチン)などの抗脂質物質のような脂質代謝調節化合物、摂食を低下させる化合物、PPAR−α、PPAR−γ及びPPAR−δサブタイプを含むPPAR(ペルオキシソーム増殖剤で活性化する受容体)リガンド及びRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト(例えばALRT−268、LG−1268又はLG−1069)。
【0041】
もう1つの実施形態では、本発明の化合物はインスリン又はNεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28ProB29ヒトインスリン、Lantus(登録商標)のようなインスリンアナログ又は誘導体、又はこれらの1つ又はそれ以上からなる混合製剤と併用して投与される。
【0042】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はグリベンクラミド、グリピジド、トルブタマイド、クロロパミデム、トラザミド、グリメプリド、グリカジド及びグリブリドのようなスルホニル尿素と併用して投与される。
【0043】
本発明の他の実施形態において、本発明の化合物はビグアニド例えばメトルミンと併用して投与される。
【0044】
本発明の更にもう1つの実施形態において、本発明の化合物はメグリチニド例えばレパグリニド又はナテグリニドと併用して投与される。
【0045】
本発明のなおもう1つの実施形態において、本発明の化合物はチアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善薬例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS−011/CI−1037又はT174又は、本明細書に引用して組み込まれている国際公開第97/41097号パンフレット、国際公開第97/41119号パンフレット、国際公開第97/41120号パンフレット、国際公開第00/41121号パンフレット及び国際公開第98/45292号パンフレット(Dr. Reddy’s Research Foundation)に開示された化合物と併用して投与される。
【0046】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は、例えばGI262570、YM−440、MCC−555、JTT−501、AR水素039242、KRP−197、GW−409544、CRE−16336、AR水素049020、LY510929、LY510929、MBX−102、CLX−0940、GW−501516のようなインスリン抵抗性改善薬と、又は、ラガグリタザール(NN 622又は(−)DRF 2725)(Dr. Reddy’s Research Foundation)などの国際公開第99/19313号パンフレット、国際公開第00/50414号パンフレット、国際公開第00/63191号パンフレット、国際公開第00/63192号パンフレット、国際公開第00/63193号パンフレット及び本明細書に引用して組み込まれている国際公開第00/23425号パンフレット、国際公開第00/23415号パンフレット、国際公開第00/23451号パンフレット、国際公開第00/23445号パンフレット、国際公開第00/23417号パンフレット、国際公開第00/23416号パンフレット、国際公開第00/63153号パンフレット、国際公開第00/63196号パンフレット、国際公開第00/63209号パンフレット、国際公開第00/63190号パンフレット及び国際公開第00/63189号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示される化合物と併用して投与してもよい。
【0047】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばボグリボース、ミグリトール又はアカルボースと併用して投与される。
【0048】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物はβ−細胞のATP−依存性のカリウムチャネルに作用する薬剤、例えばトルブタマイド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS−67582又はレパグリニドと併用して投与される。
【0049】
本発明の更に他の実施形態では、ナテグリニドと併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0050】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は抗脂血薬又は抗高脂血薬、例えばコレスチラミン、コレスチポル、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、プロブコル、デキストロチロキシン、フェノフィブレート又はアトロバスチンと併用して投与される。
【0051】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は食物摂取を低下する化合物と併用して投与される。
【0052】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は一種以上の上記化合物と併用して、例えば、メトホルミンとグリブライドのようなスルホニル尿素、スルホニル尿素とアカルボース、ナテグリニドとメトホルミン、レパグリニドとメトホルミン、アカルボースとメトホルミン、スルホニル尿素、メトホルミンとトログリタゾン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリン、メトホルミン及びスルホニル尿素、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と併用して投与される。
【0053】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物は一種以上の抗肥満剤又は食欲調整剤と併用して投与されてもよい。
【0054】
そのような薬剤は、以下の物質からなる群から選択してもよい:CART(コカイン、アンフェタミンで制御される転写産物ペプチド)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)アゴニスト、CRF BP(副腎皮質刺激ホルモン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、CL−316243、AJ−9677、GW−0604、LY362884、LY377267、のようなβ3アドレナリン作動性アゴニスト又はAZ−40140 MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、フルオキセチン、セロキサット又はシタロプラムのようなセロトニン再取り込み阻害薬、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害薬、混合セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ビンベシンアゴニスト、ゲラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、プロラクチン又は胎盤性ラクトゲンのような成長因子、成長ホルモン放出化合物、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター(活性調節因子)、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子応答性受容体)モジュレーター(活性調節因子)、RXR(レチノイドX受容体)モジュレーター(活性調節因子)、TR βアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、H3ヒスタミンアンタゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンなど)、エクセジン−4、GLP−1及び繊毛神経栄養因子(アクソキンなど)、及びカンナビド受容体アンタゴニスト例えばCB−1(リモナバントなど)、UCP2又は3(脱カップリングタンパク質2又は3)調節因子、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤により活性化される受容体)調節因子、RXR(レチノイドX受容体)調節因子、TRβアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、H3ヒスタミンアンタゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、エキセンディン−4、GLP−1及びシリア線毛神経組織栄養因子(例えば軸畜牛)、カンナボイド受容体アンタゴニスト(例えばCB−1(例えばリモナバント)。他の実施形態では、抗肥満薬はデキサフェタミン又はアンフェタミンである。他の実施形態では、抗肥満薬はレプチンである。他の実施形態では、抗肥満薬はフェンフルラミン又はエクセフェンフルラミンである。更に他の実施形態では、抗肥満薬はシブトラミンである。更なる実施形態では、抗肥満薬はオルリスタットである。他の実施形態では、抗肥満薬はマジンドール又はフェンテルミンである。更に他の実施形態では、抗肥満薬はフェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フルオキチン、ブプロピオン、トピラメート又はエコピパムである。
【0055】
更に、本発明の化合物を一種以上の血圧降下薬と併用して投与してもよい。血圧降下薬の例としては、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロールのようなβ−ブロッカー、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル及びラミプルのようなSCE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベラパミルのようなカルシウムチャネルブロッカー、並びにドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシンのようなα−ブロッカーが挙げられる。更にRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995を参照してもよい。
【0056】
本発明の化合物はFAS阻害剤と併用して投与してもよい。
【0057】
本発明の化合物は又化学脱共役剤、ホルモン感受性リパーゼ阻害剤、イミダゾリン類、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤、リポタンパク質リパーゼ活性化因子、AMPK活性化因子、免疫抑制薬、ニコチンアミド、ASIS、抗男性ホルモン、又はカルボキシペプチダーゼ阻害剤と併用して投与してもよい。
【0058】
当然のことながら、本明細書に記載の化合物は食餌及び/又は運動や、一種以上の上記化合物並びに場合により一種以上の他の活性物質との任意の適当な併用は本発明の範囲内にあるものと考える。
【0059】
本明細書に記載の化合物、組成物及び方法の記述に用いられる一般用語は通常の意味を有する。本明細書を通じて以下の用語は指摘された意味を有する。
【0060】
「GLP−1」とはグルカゴン様ペプチド1を意味する。「GLP−1」とはグルカゴン様ペプチド1を意味する。用語「グルカゴン受容体」は、特異的にグルカゴンと相互作用する1つ以上の受容体であって結果的に生体シグナルを生じさせるものを意味する。「GLP−1受容体」という用語は生体信号に結果としてなるために特にグルカゴンのようなペプチド1と対話する1つ以上の受容体を意味する。
【0061】
用語「グルカゴン受容体アンタゴニスト」とは、グルカゴン応答によるcAMP産生を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義される。用語「グルカゴン受容体逆アゴニスト」とは、グルカゴン受容体の構成的な活性を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義される。用語「選択的な」アンタゴニスト又は逆アゴニストは、GLP−1受容体への親和性と比較したグルカゴン受容体へのより大きな親和性を有する化合物を意味する。
【0062】
本発明の文書の一般の式において、一般の化学用語は、それらの通常の意味を有する。例えば、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0063】
用語「アルキル」は、特に指示されない限り、直鎖又は分枝した飽和構造の指定数の炭素原子を持つそれらアルキルを指す。「(C−C)アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、及びそれらの分枝型若しくは異性体など、1〜3個の炭素原子数の、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい基を指す。「(C−C)アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、及びそれらの分枝型若しくは異性体など、1〜6個の炭素原子数の、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい基を指す。「(C−C)アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びそれらの分枝型若しくは異性体など、1〜8個の炭素原子数の、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい基を指す。
【0064】
用語「(C−C)シクロアルキル」とは、3〜7個の炭素原子からなる1つ以上の環を含んでなる、飽和若しくは部分的に飽和した炭素環のことを指す。(C−C)シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
用語「(C−C)アルコキシ」とは、1〜6個の炭素原子数のアルキルであって、酸素原子の架橋によって結合している基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ)のことを指す。用語「(C−C)アルコシキ基」とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシなど、酸素原子の架橋で結合している、1〜7個の炭素原子数のアルキルを指し、場合により3個のハロゲンで置換されてもよい。
【0066】
用語「(C−C)アルケニル」とは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ビニル、アルキル、2−ブテニルのような、その炭素鎖に沿って任意の場所において少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝構造の、2〜7個の炭素原子数の炭化水素鎖のことを指し、場合により本明細書に列挙される実施形態に記載されるハロゲン原子3個で置換されてもよい。用語「(C−C)アルケニル」とは、2又は3個の炭素原子からなる、直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖であって、鎖に沿って任意の位置で存在してもよい少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するもの(例えばエテニル又はプロペニル)を意味する。
【0067】
本明細書に用いられる用語「場合により置換された」又は「場合により置換基」は、基が1つ以上の特定の置換基で置換されるか又は置換されないことを意味する。基が1つ以上の特定の置換基で置換される場合、それらの置換基は同一でも異なってもよい。更に、用語「独立して」、「独立して〜である」及び「独立して選択される」が用いられる場合、それらの基は同一でも異なってもよい。上記の定義済み用語の幾つかは二回以上同じ構造式で使用されてもよく、各用語はその使用ごとに他の用語と独立に定められる。
【0068】
用語「患者」には、ヒト及びペット(イヌ及びネコ等)並びに家畜動物のような非ヒト動物が包含される。家畜動物は、食用生産のために飼育される動物である。家畜動物の例として、雌ウシ、雄ウシ、子ウシ、去勢した子ウシ、ヒツジ、バッファロー、バイソン、ヤギ、及びカモシカのような反芻動物が挙げられる。家畜動物の他の例には、ブタ及びニワトリ、アヒル、七面鳥、並びにガチョウ等鳥類(家禽)が含まれる。家畜のなお他の例には養殖の魚類、貝類及び甲殻類が含まれる。ワニ、スイギュウ、及び走鳥類(例えば、エミュー、レア、又はダチョウ)等の食用生産に用いられる珍しい動物も包含される。治療を必要とする患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0069】
用語「グルカゴン受容体が媒介する細胞応答」にはグルカゴン刺激又はグルカゴン受容体活性に対する哺乳動物細胞による種々の応答が包含される。例えば、「グルカゴン受容体が媒介する細胞応答」には、これらに限定されないが、グルカゴン刺激又はグルカゴン受容体活性に応じた肝臓又は他の細胞からのグルコース放出が含まれる。当事者は、グルカゴン受容体活性が媒介する他の細胞の応答を、例えば上記細胞を有効用量のグルカゴンと接触させた後、応答性細胞の終末点における変化を観察することによって、容易に確認できる。
【0070】
本明細書に用いられる用語「治療」、「治療すること」及び「治療する」はそれらの一般的に容認される意味を包含し、即ち、本明細書に記載の病気、疾患又は病理的状態の進行又は重症化を防止、阻害、抑制、緩和、改善、緩慢化、停止、遅延又は逆転するための患者の管理及び看護を含み、症状又は合併症の緩和又は軽減、又はその病気、疾患又は病理的状態の治癒又は排除を包含する。
【0071】
「組成物」とは医薬組成物を意味し、1つ以上の式Iの化合物を含む有効成分、並びに担体を構成する1つ以上の非有効成分を含んでなる医薬生成物が包含される。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と製薬的に許容できる担体を混合して調製される組成物が包含される。
【0072】
用語「適切な溶媒」とは、反応物質を十分に可溶化して所望の反応を与える媒体であって、進行中の反応に対して不活性である溶媒又は溶媒の混合物を指す。
【0073】
用語「ユニットドーズの形態」とは被験者及び他の非ヒト動物に対する単位の薬用量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は適切な医薬担体と提携して所望の治療効果を生じると計算された活性物質の所定量を含有する。
【0074】
本発明の化合物はキラルであってもよく、精製又は部分精製された任意の鏡像異性体も、又はラセミ体混合物も本発明の範囲内に包含されるものとする。更に、二重結合、又は完全又は部分飽和の環系、又は1つ以上の不斉中心、又は回転の制限された結合が分子内に存在する場合、ジアステレオマーが形成されうる。任意のジアステレオマーであっても、分離され、精製又は部分精製されたジアステレオマー又はそれらの混合物の場合、本発明の範囲内に含まれる。更に、本発明の化合物には異なる互変異性体状で存在する可能性があり、その化合物が形成し得る任意の互変異性体状も本発明の範囲内に含まれる。本発明には式Iの又互変異性体、鏡像異性体及び他の立体異性体が包含される。かかる変異は本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0075】
式Iの化合物は、ジアステレオマーの混合物として存在する場合、例えば適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合液から分別結晶によって、鏡像異性体のジアステレオマー対に分離されうる。このようにして得られた鏡像異性体対は通常の手段により、例えば光学活性の酸を分割剤として用いて個々の立体異性体に分離することが可能である。別の方法として、式Iの化合物の何れかの鏡像異性体は、既知の立体配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いる立体特異的合成により、又は鏡像異性体特異的な合成により得ることが可能である。
【0076】
本明細書で用いられる用語「鏡像異性体富化」は、一方の鏡像異性体の量の、他方の鏡像異性体と比較しての増大を指す。達成された鏡像異性体富化を表現する簡便な方法は、鏡像異性体過剰率の概念、又は「ee」の概念であって、以下の式を用いて表される。
ee=(E1−E2)/(E1+E2)×100
式中、Eは第1の鏡像異性体の量である。そして、Eは第2の鏡像異性体の量である。このようにして、二つの鏡像異性体の第一の比がラセミ体混合物に存在するように50:50であり、かつ、70:30の最終比を生じるに十分な鏡像異性体富化が達成される場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は40%である。しかしながら、最終比が90:10である場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は80%である。90%以上のeeが好ましく、95%以上のeeが最も好ましく、99%以上のeeが特に最も好ましい。鏡像異性体富化は当事者によりキラルカラムによるガスクロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーのような標準の技法及び方法を使用して容易に決定される。鏡像異性体対の分離実施に必要な適切なキラルカラム、溶出液及び条件の選択は、当事者にとって公知である。更に、式Iの化合物の特異的な立体異性体及び鏡像異性体は当事者によって、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley and Sons、1981、及びE.L.ElielとS.H.Wilen,「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)、並びに1998年4月29日発行の欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されたような周知の技法及び分離法を利用して調製できる。分離の例には、再結晶技法又はキラルクロマトグラフィーが含まれる。特に明記しない限り、「異性体1」として示される化合物は、キラル分離カラムから溶出される第1の異性体であり、「異性体2」は第2のそれである。
【0077】
一般に、用語「製薬的」は形容詞として用いられる場合、生体には実質的に無毒であることを意味する。例えば、本明細書に用いられる用語「製薬的に許容できる塩」は式Iの化合物の塩を指し、この化合物は実質的に生体に対して無毒である。例えば、Berge,S.M,Bighley,L.D.及びMonkhouse,D.C.、「Pharmaceutical Salts,」、J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照のこと。本発明も、現在の化合物及びそれらを準備するための一般の方法論の中の薬学的に受け入れられる塩類が公知技術であることを含む。例えばP.Stahlら、“Handbook Of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,”(VCHA/Wiley−VCH,2002)、Berge,S.M,Bighley,L.D.、及びMonkhouse,D.C.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照のこと。
【0078】
本発明は又本発明の化合物のプロドラッグを含み、このプロドラッグは、投与すると代謝過程により化学的転換を受けて製薬的に活性な物質となる。一般に、かかるプロドラッグは本発明の化合物の機能的誘導体であって、生体内で本発明の化合物に容易に転換可能である。適切なプロドラッグ誘導体の選択と調製のための通常の手順は、例えば、“Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載される。
【0079】
式Iの化合物は当事者により種々の手段に従って調製することができ、それらの幾つかを下記の工程と反応式において、説明する。式Iの化合物の生成必要な具体的な工程の順序は、合成しようとする具体的な化合物、出発物質及び置換基の相対的反応性などにより変化する。試薬又は出発物質は当事者であれば容易に入手でき、市販品でない材料の場合には、当事者に公知の通常用いられる標準的な工程に従い、下記の種々の工程及びスキームに沿って容易に合成できる。
【0080】
以下の反応式、調製、実施例及び手順は本発明の実施をより詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当事者であれば、本発明の技術思想と範囲から逸脱することなく多様な改善を実施できることを認識するであろう。本明細書で言及される全ての刊行物は、本発明が属する分野の当事者のレベルを示す。
【0081】
反応式、調製、実施例及び手順における最適反応時間は、反応の進行を通常のクロマトグラフィーによりモニターすることにより決定できる。更に、本発明の化学反応は、アルゴン又は特に窒素のような不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その使用する溶媒が進行中の反応に不活性で、かつ反応物質を十分に可溶化して所望の反応を実施するものである限り、通常問題とはならない。化合物は、その後の反応に供する前に分離・精製することが好ましい。化合物形成反応の間に反応溶液から化合物を析出させ、濾過して回収してもよいし、あるいは反応溶媒を抽出、蒸発又は流出させて除去してもよい。中間体及び式Iの最終産物は、必要に応じ、再結晶又はシリカゲル又はアルミナのような固体支持体上のクロマトグラフィ等、通常の方法で更に精製してもよい。
【0082】
熟練した当業者は全ての置換基が全ての反応条件と適合するわけではないことを認識する。これらの化合物は合成の際、公知の方法により適切なタイミングで保護又は修飾してもよい。
【0083】
本明細書の反応式、調製、実施例及び工程に用いられる用語並びに略語は、特に指示されない限り通常の意味を有する。例えば、本願明細書では以下の用語はそれぞれ以下の意味を有する。「min」は分を指す。「h」又は「hr」は時間を指す。「TLC」は薄層クロマトグラフィを指す。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを指す。「R」は保持係数を指す。「R」は滞留時間を指す。「δ」はテトラメチルシランからのppmダウンフィールドを指す。「MS」は質量分析を指す。「MS(ES)」は電子スプレー質量分析を指す。「UV」は紫外線分光測定法を指す。「H NMR」は陽子核磁気共鳴分光測定法を指す。更に、「RT」は、室温を指す。「DEAD」は、ジエチルアゾジカルボキシレートを指す。「PPh」はトリフェニルホスフィンを指す。「ADDP」は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを指す。「PBu」はトリブチルホスフィンを指す。「OTF」はトリフレートを指す。「LAH」は水素化アルミニウムリチウムを指す。「DIBAL−H」は、水素化ジイソブチルアルミニウムを指す。「KOtBu」は、カリウムt−ブトキシドを指す。「THF」はテトラヒドロフランを指す。「TBP」はトリブチルホシフィンを指す。「EDCI」は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸を指す。「DMAP」はジメチルアミノピリジンを指す。「HNMe(OMe)」は、N,N,−ジメチルヒドロキシアミンを指す。「CDMT」は2−クロロ−4,6−ジメトキシ−[1,3,5]トリアジンを指す。「NMM」はN−メチルモルホリンを指す。「DCM」はジクロロメタンを指す。「DMSO」はジメチルスルホキシドを指す。「EtN」はトリエチルアミンを指す。「DMF」はジメチルホルムアミドを指す。式中の「Et」はエチルを指し、例えばEtOはジエチルエーテルを指す。EtOAcは酢酸エチルを指す。「PyBOP」はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。「Me」はメチルを指す(メタノールをMeOHのように表す)。「Pd/C」はカーボン上の10%パラジウムを指す。特に明記しない限り、異性体1はキラル分離において、溶出される第1異性体を指し、異性体2はキラル分離において、溶出される第2異性体を指す。
【0084】
(一般反応式)
本発明の全ての化合物は、例えば以下の反応式、並びに下記調製例及び/又は実施例に記載の合成経路を経て化学的に調製できる。しかしながら、以下の説明は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものではない。例えば、記載されている経路における各々の具体的な合成工程を異なる方式で組み合わせ、あるいは別の反応式中の工程と組み合わせて、式Iの化合物を別途調製してもよい。
反応式I
【化6】

【0085】
反応式Iでは、工程Aで式(1)の4−ハロフェノール(X=I又はBr)を、スズキ反応を用いて式(2)のフェニルホウ酸とカップリングさせて式(3)のビフェニルヒドロキシルを形成させる。当業者であれば、臭化アリールとフェニルホウ酸を使用するかかるスズキカップリングが、多様な反応条件の使用により実施できると認識するであろう。好ましい条件では、テトラヒドロフランなどの不活性溶剤において、パラジウム(II)酢酸塩の存在下で、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)及びフッ化カリウムを使用する。反応液を、窒素雰囲気下で約4〜48時間、50℃〜溶媒の還流温度で加熱する。シリカゲルクロマトグラフィ、更にその後のイソプロパノール/ヘプタンからの再結晶反応により、生成物を精製することができる。
【0086】
他の好適な条件としては、窒素雰囲気下でフッ化カリウムと共にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを使用することが挙げられる。不活性溶媒(例えばトルエン又はベンゼンと水の混合液)中で約4〜48時間、40℃〜還流温度の反応温度で反応させる。
【0087】
他の好適な反応条件としては、溶媒として炭酸カリウム水溶液の存在下で、パラジウム(II)酢酸塩を用いてスズキカップリング反応を行わせることが挙げられる。反応を0〜80℃で4〜24時間実施し、空気中において静置する。
【0088】
反応式II
【化7】

反応式II(ステップA)において、式(4)のフェニル酢酸エステルをジアルキル化し、式(5)(式中、R11=R3)の二置換フェニル酢酸エステルを形成させる。非置換エステルを、クラウンエーテルの存在下で、2当量の強塩基(例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムジイソプロピルアミド又はカリウムtert−ブトキシド)で処理する。他の使用可能な塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムのビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。ジメチルホルムアミド又は1−メチルピロリジノンなどの不活性溶媒中で水素化ナトリウムと反応させ、更に2当量のハロゲン化アルキル(RX)(例えばアリル臭化物、ヨードメタン、ヨードエタン等)でアルキル化を行うのが好適な反応条件である。0℃〜室温で約1〜24時間反応を実施する。
【0089】
反応式II(ステップB)において、式(5)の二置換エステルを式(6)のアルコールに還元する。カルボン酸エステルをアルコールに変換する多くの方法が当業者に公知であり、例えば“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers、1989、p549〜551、R.C.Larockの、テキストに記載されている。好適な方法としては、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)の水素化ジイソブチルアルミニウムによる還元が挙げられる。0℃〜室温で約30分〜24時間反応を実施する。酒石酸溶液を添加して反応を終了させ、公知の技術を使用して抽出した後、シリカゲルクロマトグラフィを用いて精製する。
【0090】
反応式II(ステップC)において、式(6)のアルコールを式(3)のフェノール(式中、R6=Ph(R7)(R8)(R9))とMitsinobu反応によりカップリングさせ、式(7)のエーテルを得る。ジエチルアゾジカルボン酸塩(DEAD)/トリフェニルホスフィン、N,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキシアミド(TMAD)/トリブチルホスフィン、又は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)/トリブチルホスフィンなどの一般的な酸化還元システム(当業者に公知)を用いて変換を行う。不活性溶媒において、(ADDP)/トリフェニルホスフィン、又は(ADDP)/トリブチルホスフィンを用いて0〜100℃で2〜24時間反応させるのが好適な反応条件である。当業者に公知の方法(例えばシリカゲルクロマトグラフィ)により生成物を分離する。
【0091】
反応式II(ステップD)において、式(7)の臭化フェニルをカルボニル化し、式(11)の安息香酸を形成させる。臭化フェニルを、不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中、−80〜−70℃の温度で2当量のtert−ブチルリチウムで処理する。得られるリチウム化フェニルを炭酸ガスで処理し、更に室温に加温する。当業者に共通の技術を用いて反応を酸などの添加によってクエンチし、酢酸エチルで抽出し、更にシリカゲルクロマトグラフィを行う。
【0092】
反応式II(ステップE)において、式(6)の臭化ヒドロキシエチルフェニルをカルボニル化し、式(8)の安息香酸を得る。1当量のn−ブチルリチウム及び2当量のtert−ブチルリチウムを用い、−80〜−70℃で、臭化ヒドロキシルエチルフェニルを連続処理する。ジアニオンを炭酸ガスで処理し、更に室温に加温する。酸でクエンチし、有機溶媒(例えば酢酸エチル)で抽出をして生成物を単離する。逆相C18カラムを用いて精製する。
【0093】
反応式II(ステップF)において、式(8)の安息香酸を式(9)の安息香酸メチルエステルに変換する。不活性溶媒(例えばヨードメタンを有するジメチルホルムアミド)中で、無機塩基(例えば炭酸カリウム又は炭酸セシウム)を使用するのが好適な反応条件である。0〜50℃で2〜24時間反応を実施する。当業者に公知の方法(例えばクロマトグラフィ)により生成物を分離する。
【0094】
反応式II(ステップG)において、式(9)のヒドロキシエチル安息香酸メチルエステルを、Mitsinobu反応により式(3)のフェノールとカップリングし、上記の反応式II(ステップC)で記載したのと同様の反応条件により式(10)のエーテルを得る。
【0095】
反応式II(工程H)では、式(10)の安息香酸メチルエステルを加水分解して式(11)の安息香酸を得る。エステルの加水分解は、エタノール、メタノール、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの適切な水性溶媒中、好ましくはテトラヒドロフラン中で実施する。エステルを、室温〜還流温度の溶媒中で2〜48時間、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム(リチウム)など(水酸化リチウムが好ましい)の無機塩基で処理する。式11の安息香酸を、一般の抽出技術に従い塩酸で中和しながら分離する。
【0096】
反応式III
【化8】

反応式III(ステップA)において、式(10a)(R11=R3=アリル)のジアリルを閉環反応により環化させ、式(12)のシクロペンテンを得る。ジアリルを、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中で、Grubbs’触媒(例えば1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)で30分〜12時間、0〜50℃で処理する。式(12)のエステルを更に、式(10)の反応式II(ステップH)にて説明したように加水分解する。
【0097】
反応式IV
【化9】

反応式IV(ステップA)において、式(11)の安息香酸をアシル化し、式(14)のアミドを得る。当業者であれば、カルボン酸とアミンのアミド結合形成に多く反応条件を適用できることを認識であろう。かかる方法は例えば“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers、1989、p972−976、R.C.Larockのテキストに記載されている。好適な条件は、触媒量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1,3−[(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)及び有機塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン)を使用し、不活性溶媒(例えばジクロロメタン、ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフラン)中で反応させることである。活性エステルを、0〜50℃(好ましくは室温)で約4〜48時間、式(13)のアミンで処理する。
【0098】
反応式V
【化10】

反応式V(ステップA)において、式(16)のジアリル又は式(18)のシクロペンテンを還元して式(17)のジプロピル又は式(19)のシクロペンタンを得る。オレフィンの還元は、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール又はエタノールなどの溶媒(好適にはエタノール)中で、5又は10%パラジウム/炭素を用いて実施する。混合液を1気圧の水素ガス雰囲気下で4〜24時間静置する。粗反応液をセライト(登録商標)で濾過し、触媒を除去する。次に式(17)のエステルを、反応式IV(式14のステップB)で説明したようにカルボン酸に加水分解する。
【0099】
反応式V
【化11】

反応式V(ステップA)において、式(20)の4−ホルミル−安息香酸メチルエステルをグリニャール試薬(RMgX、式中、X=Cl、又はBr)と反応させ、式(21)の第2のアルコールを得る。
【0100】
反応式V(ステップB)において、式(21)の第2アルコールを、式(22)のケトンに酸化する。当業者であれば、第2級アルコールを酸化する多くの方法を熟知している。かかる方法としては、限定されないが、過マンガン酸カリウム、酸化マンガン(IV)、四酸化ルテニウム、重クロム酸ピリジウム、Oxone(登録商標)、o−ヨード安息香酸、Dess−Martin periodinane、テトラプロピルアンモニウムペルルテナート(TPAP)などが挙げられる。好適な条件は、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中で、室温で約2〜48時間、ピリジニウムクロロクロム酸塩を使用して反応させることである。
【0101】
反応式V(ステップC)において、式(22)のケトンを、塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスフィニウムを使用して式(23)のエノールエーテルに変化させる。不活性溶媒(例えばトルエン又はベンゼン)中、強塩基(例えばカリウムtert−ブトキシド)を用いて反応させ、更に式(22)のケトンを、0℃〜溶媒の還流温度(好ましくは室温)で添加して3価のリンイリドを発生させる。通常の抽出技術(例えば塩水によるクエンチング、及び不活性有機溶媒への抽出)により生成物を分離する。
【0102】
反応式V(ステップD)において、式(23)のエノールエーテルを加水分解して式(24)のアルデヒドを得る。当業者であれば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸若しくはp−トルエンスルホン酸を用いてこの変換を行うことができると認識する。好適な方法としては、不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で濃塩酸と反応させることが挙げられる。濃縮した無機塩基(例えば水酸化カリウム)で中和し、抽出方法を用いて生成物を分離し、式(24)のアルデヒドを得る。
【0103】
反応式V(ステップE)において、式(24)のアルデヒドを式(25)の第1級アルコールに還元する。当業者であればアルデヒドを還元する多くの方法を熟知しており、例えば“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers、1989、p528−536、R.C.Larock、のテキストに記載されている。好適な方法では、エタノール中の水素化ホウ素ナトリウムを用い、室温〜60℃の温度で約30分〜24時間反応させ、メタノールを還元する。
【0104】
反応式V(工程F)では、式(25)の安息香酸メチルエステルを式(26)の安息香酸に加水分解する。エステルの加水分解は、エタノール、メタノール、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの適切な水溶性溶媒中、好ましくはテトラヒドロフラン中で実施する。エステルを、室温〜還流温度の溶媒中で2〜48時間、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなど(水酸化ナトリウムが好ましい)の無機塩基で処理する。式(26)の安息香酸を塩酸で中和し、更に通常の抽出方法を用いて分離する。
【0105】
反応式V(ステップ3)において、式(26)の安息香酸をアシル化し、式(27)のアミドを得る。当業者であれば、カルボン酸とアミンの間でのアミド結合形成に多くの反応条件を適用できると認識するであろう。かかる方法は例えば“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers、1989、p972−976、R.C.Larockのテキストに記載されている。好適な反応条件としては、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン及び有機塩基(例えば4−メチルモルホリン)の使用が挙げられる。活性エステルを、0℃〜還流温度、好ましくは室温で、約4〜48時間、溶媒中で式13のアミンと反応させる。
【0106】
反応式VI
【化12】

反応式VI(ステップA)において、式(28)(式中、X=Br又はI)の第2アルコールを、反応式III(ステップC)で記載したのと同様の反応条件においてMitsinobu反応で式(29)のフェノールとカップリングさせる。
【0107】
反応式VI(ステップB)において、式(30)の4−ハロフェニルエーテル)を、反応式I(ステップA)に記載したのと同様の反応条件を使用して、スズキ反応を使用して式(2)のフェニルホウ酸とカップリングさせ、式(31)のビフェニルエーテルを形成させる。
【0108】
あるいは反応式VI(工程C)で、式(3)のビフェニルヒドロキシルを、反応式VI(工程A)で記載したMitsinobu反応条件を使用してカップリングさせ、式(31)のビフェニルエーテルを調製する。
【0109】
反応式VI(ステップD)において、式(31)のエステルを、反応式V(ステップF)にて説明したような反応条件を使用して加水分解し、式(32)のカルボン酸を得る。
【実施例】
【0110】
本明細書に記載する実施例は本発明を例示するものであり、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。調製例及び実施例における化合物名は、ChemDrawを使用して導出した。
【0111】
1H NMRは、Varian 400 MHz分光計を用い、室温で記録した。データは以下のように出力される:内部スタンダードのテトラメチルシランからの化学シフト(ppm単位)(スケール、多重度(b=広い一重項、s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、qn=五重項及びm=多重項)、積分強度、カップリング定数(Hz)、及び解析値。1H−NMRは、満足なNMRスペクトルが試験対象の化合物に関して得られたことを示すものである。モノアイソトープによるマススペクトルデータは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI又はES)を使用してAgilent G1956B MSD single quadrapole計測器を用いて得た。分析用薄層クロマトグラフィーは、EM Reagentの0.25mmシリカゲル60−Fプレート上で実施した。視覚化は紫外線分析により実施した。全ての実施例は特に明記しない限りラセミ体に関するものである。
【0112】
(調製1)4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール
(手順A)
4−ブロモフェノール(16.3g、94.3mmol)4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸(19.7g、104mmol)及びフッ化カリウム(11.0g、189mmol)の1:1=トルエン:EtOH(378mL)中溶液は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.45g、4.71mmol)で処理し、還流加熱し、一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、EtOAc(3×)により抽出した。混合した有機抽出液をNaSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られる固体を、ヘキサン中に分散させ、濾過し、白色固体として標題化合物の8.27g(37%)を得た。H NMR(CDCl):δ7.72−7.65(m、4H)7.54−7.51(m、2H)6.98−6.94(m、2H)4.84(sbr,1H)。
(手順B)
4−ブロモフェノール(5g、28.9mmol)、4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸(6.59g、34.7mmol)、炭酸カリウム(12g、86.7mmol)及び酢酸パラジウム(II)(0.324g、1.445mmol)を水(50mL)に添加し、得られる混合液を開放状態で室温で一晩撹拌した。混合物をセライト(登録商標)で濾過し、酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。混合した有機層を1N HCl水溶液、塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。得られる生成物をシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、白色固体(6.0g、87%)として標題化合物を得た。
【0113】
(調製2)2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール
4−ヨード−3,5−ジメチル−フェノール(3.35g、13.5mmol)のTHF(81ml)溶液中に、(4−トリフルオロメチル)フェニルホウ酸(3.35g、16.2mmol)、フッ化カリウム(1.94mg、40.6mmol)、パラジウム(II)酢酸(152mg、0.67mmol)及び(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス−(ジフェニルホスフィン)(730mg、1.35mmol)を添加した。反応混合物を一晩加熱還流した。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチルと水に分割した。水性層を酢酸エチルにより再度抽出し、混合した有機層を乾燥させ、濃縮した。生成した残余物をシリカゲルに通し、0%〜70%の酢酸エチル勾配によりヘキサン溶出し、標題化合物(3.3g)を得た。
【0114】
(調製3)4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸メチルエステル
(工程A):2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン酸 エチルエステル
(4−ブロモ−フェニル)−酢酸エチルエステル(2.014g、8.26mmol)の0℃のDMF(40mL)中の溶液を、NaH(鉱油中60%の分散、0.739g、18.5mmol)、臭化アリル(1.70mL、19.6mmol)で処理し、室温で1時間加温した。反応混合物を冷水浴中に添加し、水(100mL)で希釈し、EtOAc(3×75mL)で抽出した。混合した有機抽出液を水、塩水で洗浄し、濾過し、MgSOを通じて乾燥させ濃縮し、澄んだ油状物として標題化合物2.64gを得た。粗生成物を更に精製せずに次の手順に用いた。
【0115】
(工程B):2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン−1−オール
粗2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン酸エチルエステル(2.64g)の0℃のCHCl(40mL)中の溶液を、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mのトルエン中溶液、17.5mL)を滴下して8分間処理し、室温に加温し、45分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、1Mの酒石酸(25mL)でクエンチし、一晩撹拌した。有機層を分離し、水性層をCHCl(3×50mL)で抽出した。混合した有機抽出液をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%のEtOAc〜50%のEtOAcの勾配/ヘキサンにより溶出し、淡黄色の油状物として標題化合物の1.319g(56%、2工程)を得た。H NMR(CDCl):δ7.47−7.43(m,2H)7.23−7.19(m,2H)5.59(ddt,J=17.1,10.2,6.7Hz,2H)5.09−5.01(m,4H)3.76(d,J=6.8Hz,2H)2.48(dd,J=14.1,6.8Hz)2.42(dd,J=13.6,7.2Hz,2H)1.29(t,J=6.1Hz)。
【0116】
(工程C):4−(1−アリル−1−ヒドロキシメチル−ブト−3−エニル)−安息香酸
2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン−1−オール(1.30g、4.64mmol)の−78℃のTHF(46mL)中の溶液を、n−ブチルリチウム(2.0mL、ヘキサン中2.5M、5.0mmol)で処理し、30分間撹拌した。次に反応混合物を12分以上にわたりtert−ブチルリチウム(1.7Mのペンタン中溶液、6.0mL、10.2mmol)で滴下して添加して処理した。14分後にCO(g)を溶液中に供給してバブリングし、反応液を室温に加温した。反応混合物を1N HCl(25mL)に注入し、EtOAc(50mL×3)で抽出した。混合した抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物をC18にロードし、15%のアセトニトリル〜100%のアセトニトリルの勾配を使用して水で溶出し、白色固体として標題化合物の0.793g(69%)を得た。MS(ES):245.1[M−H]
【0117】
(工程D):4−(1−アリル−1−ヒドロキシメチル−ブト−3−エニル)−安息香酸 メチルエステル
4−(1−アリル−1−ヒドロキシメチル−ブト−3−エニル)−安息香酸(0.793g、3.22mmol)のDMF(11.0mL)中の溶液を、KCO(0.685g、4.96mmol)及びヨードメタン(0.25mL、4.02mmol)で処理し、室温で一晩撹拌した。混合物をHO(25mL)に注入し、EtOAc(25mL×3)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、水及び塩水で洗浄し、濾過し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%〜75%のEtOAcの勾配を使用してヘキサンにより溶出し、澄んだシロップ状の標題化合物0.774g(92%)を得た。H NMR(CDCl):δ8.03−8.00(m,2H)7.44−7.41(m,2H)5.65−5.54(m,2H)5.11−5.06(m,4H)5.05−5.02(m,4H)3.91(s、3H)3.84(d,2H、J=6.2Hz)2.59−2.46(m,4H)1.33(t、1H、J=6.2Hz)。
【0118】
(工程E):4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸 メチルエステル
4−(1−アリル−1−ヒドロキシメチル−ブト−3−エニル)−安息香酸 メチルエステル(0.768g、2.95mmol)、2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール(0.861g、3.23mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.180g、4.50mmol)のトルエン(30mL)中の溶液を、1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(1.182g、4.68mmol)で処理し、80℃で一晩撹拌した。次に反応混合物を室温に冷却し、MeOHで希釈し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%のEtOAc〜40%のEtOAcの勾配を使用してヘキサンにより溶出し、澄んだシロップ状物として標題化合物0.964g(64%)を得た。H NMR(CDCl):δ8.02−8.00(m,2H)7.67(d,J=8.0Hz,2H)7.46−7.44(m,2H)7.26(d,J=7.8Hz,2H)6.68(s、2H)5.60−5.54(m,2H)5.08−5.00(m,4H)4.15(s、2H)3.91(s、3H)2.66(d,J=7.6Hz,4H)1.99(s、6H)。
【0119】
(調製4)4−[2−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシ)−1,1−ジメチル−エチル]−安息香酸 メチルエステル
調製3(工程A)のヨードメタンを臭化アリル物で置換したことを除き、基本的に調製3で説明した手順に従い標題化合物を調製した。H NMR(CDCl):δ8.02−7.99(m,2H)7.66(d,J=8.1Hz,2H)7.53−7.49(m,2H)7.24(d,J=8.0Hz,2H)6.64(s、2H)3.98(s、2H)3.91(s、3H)1.96(s、6H)1.49(s、6H)。
【0120】
(調製5)4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−1−エチル−プロピル]−安息香酸 メチルエステル
調製3(工程A)のヨードエタンを有するアリル臭化物を置換することによって、標題化合物は、基本的に調製3で説明した手順に従い準備した。H NMR(CDCl):δ8.02−7.98(m,2H)7.66(d,J=8.1Hz,2H)7.44−7.41(m,2H)7.25(d,J=7.8Hz,2H)6.70(s,2H)4.16(s,2H)3.91(s,3H)1.99(s,6H)1.95−1.89(m,4H)0.74(t,J=6.9Hz,6H)。
【0121】
(調製6)4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペント−3−エニル]−安息香酸 メチルエステル
4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸メチルエステル(6.0mL、CHCl中の0.11Mの貯蔵液、0.578g、1.14mmol)のCHCl(570mL)中溶液を、[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム](0.101g、0.1192mmol)で、35℃で1時間処理し、室温に冷却し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%〜40%まで酢酸エチル勾配/ヘキサンを使用して溶出し、無色のシロップ状物として標題化合物(0.458g、84%)を得た。H NMR(CDCl):δ7.98−7.96(m,2H)7.63(d,J=8.3Hz、2H)7.44−7.41(m,2H)7.20(d,J=8.1Hz、2H)6.58(s,2H)5.77(s,2H)3.99(s,2H)3.89(s,3H)2.87(d,J=14.3Hz、2H)2.77(d,J=14.9Hz、2H)1.92(s,6H)。
【0122】
(実施例1)3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化13】

(工程C):4−[2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エニルオキシ]−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル
2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エン−1−オール(調製3(工程B))(0.206g、0.734mmol)、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール(0.184g、0.772mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.286g、1.09mmol)のトルエン(7.0mL)中の溶液を、1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(0.272g、1.08mmol)で処理し、室温で一晩撹拌した。次に反応液を80℃で6時間加温し、室温に冷却し、MeOHで希釈し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%のEtOAc〜50%のEtOAcの勾配を使用してヘキサンで溶出し、黄色のシロップ状物として標題化合物0.226g(61%)を得た。H NMR(CDCl):δ7.66−7.61(m,4H)7.52−7.50(m,2H)7.46−7.44(m,2H)7.24−7.22(m,2H)7.00−6.98(m,2H)5.56(ddt、J=17.1、10.3、7.2Hz,2H)5.05−4.99(m,4H)4.12(s,2H)2.61(d,J=7.4Hz,4H)。
【0123】
(工程D):4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸
4−[2−アリル−2−(4−ブロモ−フェニル)−ペント−4−エニルオキシ]−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル(0.218g、0.434mmol)の−78℃のTHF(4.0mL)中の溶液に、tert−ブチルリチウム(1.7Mのペンタン中溶液、0.55mL、0.935mmol)を滴下して添加して処理した。10分後に炭酸ガスを溶液に供給してバブリングし、反応液を室温に加温した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、1N HCl(1.0mL)で酸性化し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%のEtOAc〜100%のEtOAcの勾配を使用してヘキサンで溶出し、白いフォーム状物として標題化合物0.044g(22%)を得た。MS(ES):465.2[M−H]
【0124】
(工程E):3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル
4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸(0.044g、0.094mmol)、β−アラニン塩酸塩(0.0189g、0.135mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.0193g、0.143mmol)のDMF(2.0mL)中の溶液を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.0480mL、0.275mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.0278g、0.145mmol)で処理し、一晩撹拌した。反応混合物をHO(5mL)に注入し、EtOAc(10mL×3)で抽出した。混合した有機抽出液をMgSOを通じて乾燥し、水及び塩水で洗浄し、濾過し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、10%のEtOAc〜75%のEtOAcの勾配を使用してヘキサンで溶出し、透明なフィルムとして標題化合物0.0298g(58%)を得た。MS(ES):552.2[M+H]
【0125】
(工程F):3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル(0.0279g、0.0506mmol)のTHF(1.0mL)中の溶液を、1N LiOH(1.0mL)で処理し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を1N HCl(2.2mL)により酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮し、白色固体として3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(0.0189g、69%)を得た。MS(ES):538.3[M+H]
【0126】
(実施例2)3−{4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化14】

(工程A):4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸
4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸 メチルエステル(0.386g、0.758mmol)のTHF(8.0mL)中の溶液を、1N LiOH(8.0mL、8.0mmol)で処理し、70℃に加温し、一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、1N HCl(9.0mL)で、酸性化し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮し、白いフォーム状物として標題化合物の0.356g(95%)を得た。MS(ES):493.3[MH]
【0127】
(工程B):3−{4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル
4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−安息香酸(0.349g、0.705mmol)、3−アミノプロピオン酸 メチルエステル塩酸(0.112g、0.804mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt、0.121g、0.898mmol)のDMF(7.0mL)中の混合物に、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.2mmol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、0.180g、0.938mmol)を添加し、一晩撹拌した。反応混合物をHO(25mL)に注入し、EtOAc(25mL×3)で抽出した。混合した有機抽出液をMgSOを通じて乾燥させ、水及び塩水で洗浄し、濾過し、濃縮した。残余物をシリカゲルにロードし、0%〜75%の酢酸エチル勾配でヘキサンを使用して溶出し、白いフォーム状物として標題化合物0.296g(72%)を得た。MS(ES):580.4[M+H]
【0128】
(工程C):3−{4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
3−{4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル(0.0438g、0.0756mmol)のTHF(1.0mL)中の溶液を、1N LiOH(1.0mL)で処理し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を1N HCl(1.1mL)で酸性化し、水(5mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮し、白色固体として標題化合物0.0105g(24%)を得た。MS(ES):566.4[M+H]
【0129】
(実施例3)3−{4−[2−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシ)−1,1−ジメチル−エチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化15】

出発原料として4−[2−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシ)−1,1−ジメチル−エチル]−安息香酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例2で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):514.3[M+H]
【0130】
(実施例4)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−1−エチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化16】

出発原料として4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−1−エチル−プロピル]−安息香酸メチル・エステルを使用し、基本的に実施例2で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):542.4[M+H]
【0131】
(実施例5)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペント−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化17】

基本的に出発原料として4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペント−3−エニル]−安息香酸 メチルエステルを使用し、実施例2で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):538.3[M+H]
【0132】
(実施例6)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペンチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化18】

3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペント−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(0.134g、0.250mmol)のEtOH(3.0mL)中の溶液を、10%のパラジウム/炭素(26.7mg)で処理し、水素でフラッシュし、一晩1気圧下で撹拌した。混合液を次にセライト(登録商標)で濾過し、濃縮し、澄んだシロップ状物として標題化合物0.0350g(26%)を得た。MS(ES):540.4[M+H]
【0133】
(実施例7)3−{4−[1−プロピル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
【化19】

(工程A):3−{4−[1−プロピル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル
3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル(0.0731g、0.126mmol)のEtOH(4.0mL)中の溶液を、10%のパラジウム/炭素(16mg)で処理し、水素でフラッシュし、一晩1気圧下で撹拌した。混合液を次にセライト(登録商標)で濾過し、濃縮し、澄んだシロップ状物として標題化合物0.0703g(96%)を得た。MS(ES):84.4[M+H]
【0134】
(工程B):3−{4−[1−プロピル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸
3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル(0.0703g、0.120mmol)のTHF(2.0mL)中の溶液を、1N LiOH(2.0mL)で処理し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を1N HCl(2.2mL)により酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。混合抽出物をMgSOを通じて乾燥させ、濾過し、濃縮し、白色固体としての標題化合物0.0401g(58%)を得た。MS(ES):570.4[M+H]
【0135】
(調製7)4−(3−メチル−ブチリル)−安息香酸 メチルエステル
(工程A):4−(1−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−安息香酸 メチルエステル(ラセミ体)
窒素雰囲気下で撹拌しながら、4−ホルミル−安息香酸メチルエステル(32.4g、147mmol)の無水THF(800mL)中の溶液を0℃に冷却した。臭化イソブチルマグネシウム(ジエチルエーテル中2.0M、110mL、221mmol)を10分以上かけて徐々に添加した。反応液を0℃で1時間撹拌し、次に室温に加温した。HPLCによって反応をモニターし、アルデヒドの完全な消費が行われた後、1N HClで慎重に反応をクエンチした。反応液をジエチルエーテル及び水で希釈し、更に抽出した。有機相を水及び塩水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムを通じて乾燥させた。溶液を濾過し、濃縮し、更に酢酸エチル/ヘキサンを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィを使用して精製し、生成物12g(37%)を得た。
【0136】
(工程B):4−(3−メチル−ブチリル)−安息香酸 メチルエステル
4−(1−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−安息香酸 メチルエステル(19.72g、88.78mmol)のジクロロメタン(300mL)中の溶液に、ピリジニウムクロロクロム酸塩(22.03g、97.65mmol)を添加した。混合液を室温で撹拌し、溶液が時間経過とともに黒色に変化した。HPLCによって、反応をモニターした。完全に変換が行われた後、反応液をジクロロメタンで希釈し、シリカゲル(2重量%)を混合液に添加した。移動相としてジクロロメタンを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィで混合液を精製し、生成物15.79g(72%)を得た。MS(ES):221.3(M+1)
【0137】
下記の表のケトンを、基本的に調製7(工程A及びB)で説明した手順に従い調製した。市販のグリニャール試薬、又は調製7(工程A)において対応するハロゲン化物から調製した当該試薬を用いた。
【表6】

【0138】
(調製14)3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
(工程A):4−(1−メトキシメチレン−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム塩化物(10.34g、30.24mmol)を無水トルエン(75mL)中に懸濁させ、カリウムtert−ブトキシド(3.39g、30.24mmol)を慎重に添加した。溶液を室温で4時間撹拌した。次に4−ヘプタノイル−安息香酸 メチルエステル(5.0g、20.16mmol)を無水トルエン(25mL)に溶解させ、カニューレによって反応混合物に添加した。反応液を一晩室温で撹拌し、TLCでモニターした。出発原料の完全な消費後、慎重に飽和塩化アンモニウム溶液を添加して反応をクエンチし、ジエチルエーテルで抽出し、洗浄し、乾燥させ、濃縮した。標題化合物が、カラムクロマトグラフィを使用しているヘキサン/酢酸エチルにより精製されて、次の工程で直接用いられる。
【0139】
(工程B):4−(1−ホルミル−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル
4−(1−メトキシメチレン−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル(3.5g、12.68mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解させ、濃塩酸(5mL)を添加した。システムを窒素パージして空気を除去し、6時間還流加熱した。HPLCによって反応をモニターした。反応液を室温に冷却し、次に30%の水酸化カリウム溶液及び重炭酸塩で中和した。2つの相を分離し、水相をジエチルエーテルで2回抽出した。混合した有機抽出液を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通じて乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムにロードし、ヘキサン/酢酸エチルを使用して精製した。MS(ES):261.2[M+H]
【0140】
(工程C):4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル
4−(1−ホルミル−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル(3.17g、12.1mmol)をエタノール(50mL)に溶解させ、アイスバス中で0℃で窒素雰囲気下で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.457g、12.1mmol)を一部分混合液に添加した。反応液を0℃で1時間撹拌し、次に数時間かけて徐々に室温に加温し、TLCでモニターした。出発原料の完全な消費後、水を慎重に添加して反応をクエンチし、エタノールを真空除去した。残留する混合液を酢酸エチルで希釈した。2つの相を分離させ、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮した。標題化合物を、更に精製せずに次の工程で用いた。MS(ES):265.2[M+H]
【0141】
(工程D):4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−安息香酸
4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−安息香酸 メチルエステル(3.46g、12.1mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)中に溶解させ、5N水酸化ナトリウム(10mL)を添加した。反応をHPLCでモニターし、8時間以内に反応が終了した。5N HCl(10mL)で反応をクエンチし、ジエチルエーテル及び水で希釈した。2つの相を分離し、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮し、標題化合物を形成させ、更なる浄化をせずに用いた。MS(ES):249.3[M+H]
【0142】
(工程E):3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−安息香酸(500mg、2.00mmol)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(362mg、2.06mmol)及び4−メチルモルホリン(230のμL、2.10mmol)を、窒素雰囲気下で無水ジクロロメタン(10mL)中で混合した。反応液を室温で一晩、窒素雰囲気下で撹拌した。β−アラニンメチルエステル 塩酸(306mg、2.20mmol)を反応混合物に添加し、更に4−メチルモルホリン(460μL、4.2mmol)を添加し、室温で撹拌した。若干の水(<10体積%)を添加し、溶解を助長した。反応をHPLCでモニターし、4時間後、反応液を更にジクロロメタンで希釈した。反応液を水で希釈し、1N HClでリンスした。酸性化の後、2層に分離させた。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを通じて乾燥させ、濃縮した。得られる残余物をヘキサン/酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、標題化合物を得た。MS(ES):334.2[M+H]
【0143】
(調製15)3−[4−(1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
標題化合物は、出発原料として4−(3−メチル−ブチリル)−安息香酸 メチルエステルを使用して基本的に調製14で説明した手順に従い準備した。MS(ES):306.2[M+H]
【0144】
(調製16)3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
出発原料として4−ブチリル−安息香酸 メチルエステルを使用し、基本的に調製14で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):292.2[M+H]
【0145】
(調製17)3−[4−(5,5,5−トリフルオロ−1−ヒドロキシメチル−ペンチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
出発原料として4−(5,5,5−トリフルオロ−ペンタノイル)−安息香酸 メチルエステルを使用し、基本的に調製14で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):360.3[M+H]
【0146】
(調製18)3−[4−(4,4,4−トリフルオロ−1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル
標題化合物は、出発原料として4−(4,4,4−トリフルオロ−ブチリル)−安息香酸 メチルエステルを使用して基本的に調製14で説明した手順に従い準備した。MS(ES):346.3[M+H]
【0147】
(調製19)3−[4−(1−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 エチルエステル
開始材料として4−イソブチリル−安息香酸 メチルエステル及びβ−アラニン エチルエステル塩酸を使用して、基本的に調製14で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):306.2[M+H]
【0148】
(調製20)4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−オール
出発原料として4−tert−ブチル・フェニルホウ酸を用い、基本的に調製1(手順B)にて説明した手順に従い、標題の化合物を調製した。
【0149】
(調製21)4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−オール
開始材料として4−tert−ブチルフェニルホウ酸及び3,5−ジメチル−フェノールを用い、基本的に調製1(手順B)にて説明した手順に従い、標題の化合物を調製した。
【0150】
(実施例8)3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化20】

(工程A):3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール(213mg、0.90mmol)及び3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル(240mg、0.72mmol)の無水トルエン(5mL)中の溶液を脱ガスし、窒素充填を3回行った。トリブチルホスフィン(270μL、1.07mmol)を0℃で窒素雰囲気下で反応混合物に添加し、1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(271mg、1.07mmol)をその後添加した。反応混合物を室温に加温し、一晩撹拌した。混合物をシリカゲルカラムにロードし、ヘキサン/酢酸エチルを使用して精製した。若干のラセミ体エステルを次の工程で加水分解し、残留する中間体エステルをキラルクロマトグラフィに供し、分離した(実施例15(工程C)を参照)。MS(ES):554.2[M+H]
【0151】
(工程B):3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸メチルエステル(50mg、0.09mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)中に溶解させ、5N水酸化ナトリウム(1mL)を添加した。反応をHPLCでモニターした。3時間後、5N HCl(1mL)で反応をクエンチし、ジエチルエーテル及び水で希釈した。2つの相を分離させ、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮し、標題化合物を得た。MS(ES):540.3[M+H]
【0152】
(実施例9)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化21】

開始材料として4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−オール及び3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ヘプチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8で説明した手順に従い標題化合物を調製した。MS(ES):528.3[M+H]
【0153】
(実施例10)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化22】

開始材料として4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−オール及び−[4−(1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):528.3[M+H]
【0154】
(実施例11)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化23】

開始材料として4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−オール及び−[4−(1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8に記載の手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):486.2[M+H]
【0155】
(実施例12)3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化24】

開始材料として4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール及び−[4−(1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):498.2[M+H]
【0156】
(実施例13)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−5,5,5−トリフルオロ−ペンチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化25】

開始材料として4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−オール及び3−[4−(5,5,5−トリフルオロ−1−ヒドロキシメチル−ペンチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):554.2[M+H]
【0157】
(実施例14)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化26】

開始材料として2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−オール及び−[4−(1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステルを使用し、基本的に実施例8で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):540.3[M+H]
【0158】
(実施例15)3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化27】

(工程C):キラル分離
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸メチル エステル(ラセミ体)を、溶離剤としてイソプロピルアルコール/ヘプタン(30/70)を使用して、キラルpak ADHカラム(4.6×150mm)で分離した。適切なフラクションを濃縮し、純粋な鏡像異性体エステル(異性体1、ee98.6%)を得た。
【0159】
(工程B):3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル、異性体1(250mg、0.45mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、5N水酸化ナトリウム(1mL)を添加した。反応をHPLCでモニターした。3時間後、5N HCl(1mL)で反応をクエンチし、ジエチルエーテル及び水で希釈した。2つの相を分離し、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮し、標題化合物を得た。MS(ES):540.3[M+H]
【0160】
(実施例16)3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化28】

工程Cのキラル分離からの異性体2を使用して、基本的に実施例15において記載の手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):540.3[M+H]
【0161】
(実施例17)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化29】

3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸メチルエステル(ラセミ体)を使用して、基本的に実施例15で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):528.3[M+H]
【0162】
(実施例18)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化30】

実施例17のキラル分離から得た異性体2を使用して、基本的に実施例15で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):528.3[M+H]
【0163】
(実施例19)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化31】

3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 メチルエステル(ラセミ体)を使用して基本的に実施例15で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):540.3[M+H]
【0164】
(実施例20)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化32】

実施例19のキラル分離から得た異性体2を使用して、基本的に実施例15で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):540.3[M+H]
【0165】
(実施例21)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化33】

(工程A):3−{4−[1−(4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル
4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノール(818mg、4.07mmol)及び3−[4−(1−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 エチルエステル(1.0g、3.26mmol)の無水トルエン(15mL)中の溶液を脱ガスし、3回窒素充填を行った。トリブチルホスフィン(1.21mL、4.89mmol)を0℃で窒素雰囲気下で反応混合物に添加し、1,1’−(アゾジカルボニル)−ジピペリジン(1.23g、4.89mmol)をその後添加した。反応混合物を室温に加温し、一晩撹拌した。混合物をシリカゲルカラムにロードし、ヘキサン/酢酸エチルを使用して精製した。MS(ES):488.2[M+H]
【0166】
(工程B):3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(ラセミ体)
3−{4−[1−(4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(400mg、0.82mmol)のトルエン:水(1:1)溶液(4mL)に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(47mg、0.04mmol)及び4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸(311mg、1.63mmol)を添加した。反応液を窒素でパージし、還流加熱し、フッ化カリウム(95mg、1.63mmol)を添加した。HPLCで反応をモニターした。16時間後、反応液を室温に冷却した。反応液を酢酸エチルで希釈し、セライト(登録商標)、水を添加した。次いでこの混合物をセライト(登録商標)のパッドで濾過した。溶液を分離漏斗に注入し、有機層は0.1N水酸化ナトリウム水溶液及び塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムを通じて乾燥させ、濃縮した。3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(ラセミ体)(400mg、0.72mmol)をヘキサン/酢酸エチルを使用してフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、中間体のエステルの一部をキラルクロマトグラフィーに供給し、分離させた(実施例25(工程D)を参照)。
【0167】
(工程C):3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(ラセミ体)(50mg、0.09mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)中に溶解させ、5N水酸化ナトリウム(1mL)を添加した。反応をHPLCでモニターした。3時間後、5N HCl(1mL)で反応をクエンチし、ジエチルエーテル及び水で希釈した。2つの相を分離し、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮し、標題化合物を得、更に精製せずに用いた。MS(ES):526.2[M+H]
【0168】
(実施例22)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化34】

開始材料として3−{4−[1−(4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル及び4−tert−ブチルフェニルホウ酸を使用して、基本的に実施例21にて説明した手順に従い、標題の化合物を調製した。MS(ES):514.2[M+H]
【0169】
(実施例23)3−(4−{1−[6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ブチル}−ベンゾイルアミノ)−プロピオン酸(ラセミ体)
【化35】

工程Aにおける開始材料として3−[4−(1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル及び6−クロロ−ピリジン−3−オール、次に工程Bの開始材料として4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸を用いて、基本的に実施例21で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):499.2[M+H]
【0170】
(実施例24)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)
【化36】

出発原料として3−[4−(4,4,4−トリフルオロ−1−ヒドロキシメチル−ブチル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸 メチルエステル及び、4−ブロモ−3,5−ジメチル−フェノールの代わりに4−ヨード−3,5−ジメチル−フェノールを使用して、基本的に実施例21で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):580.2[M+H]
【0171】
(実施例25)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化37】

(工程D):キラル分離
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸エチルエステル(ラセミ体)を、溶離剤としてイソプロピルアルコール/ヘプタン(30/70)を使用して、キラルpak ADHカラム(4.6×150mm)で分離させた。適切なフラクションを濃縮し、純粋な鏡像異性体エステル(異性体1、ee>99%)を得た。
【0172】
(工程E):3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル、異性体1(250mg、0.462mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、5N水酸化ナトリウム(1mL)を添加した。反応をHPLCでモニターした。3時間後、5N HCl(1mL)で反応をクエンチし、ジエチルエーテル及び水で希釈した。2つの相を分離させ、有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮した。標題化合物を、更なる精製を行わずに使用した。MS(ES):526.2[M+H]
【0173】
(実施例26)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化38】

キラル分離から得た異性体2を使用して、基本的に実施例25で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):526.2[M+H]
【0174】
(実施例27)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化39】

3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(ラセミ体)を使用して、基本的に実施例25で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):514.2[M+H]
【0175】
(実施例28)3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化40】

実施例27のキラル分離から得た異性体2を使用して、基本的に実施例25で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):514.2[M+H]
【0176】
(実施例29)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)
【化41】

3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸 エチルエステル(ラセミ体)を使用して、基本的に実施例25で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):580.3[M+H]
【0177】
(実施例30)3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)
【化42】

実施例29のキラル分離から得た異性体2を使用して、基本的に実施例25で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。MS(ES):580.3[M+H]
【0178】
式Iの化合物は、投与前にユニットドーズの形態で製剤化するのが好ましい。ゆえに、本発明の更に別の実施形態は、式Iの化合物と1つ以上の製薬的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤からなる医薬組成物を提供する。かかる形態では、製剤は適切な量(例えば所望の効果を得るための有効量)の有効成分を含む適切なサイズのユニットドーズに分割した。かかる医薬品組成物及びその調製方法は公知技術である。例えば「REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY」(A.Gennaroら編、19版 Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。本発明の有効量を構成するのに必要となる、式(I)の化合物又はその薬学的に受け入れられる塩の具体的な量は、治療しようとする症状の具体的な状況により変化する。上記化合物は好ましくは経口投与用である。製剤のユニットドーズにおける有効成分の量は、具体的な投与にも依るが、一般に約0.01mg〜約1,000mg、好ましくは約0.01mg〜約950mg、好ましくは約0.01mg〜約500mg、典型的には約1mg〜約250mgで変化させ、若しくは調節してもよい。実際の用量は、患者の年齢、性別、体重及び症状の重症度に応じて変動させてもよい。かかる方法は当業者に周知である。通常、有効成分を含む経口投与剤形をヒトに投与する場合、一日当たり1〜2回投与とすることができる。投与量、投与経路及び投与頻度などは、最終的には主治医により決定される。
【0179】
グルカゴンがグルコースホメオスタシスにおいて、重要な役割を果たすことを裏付ける証拠が年々得られている。式Iの化合物は、グルカゴン受容体のアンタゴニスト又は逆アゴニストとして効果的であり、すなわちグルカゴン受容体の活性を阻害する。より具体的には、これらの化合物はグルカゴン受容体の選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストである。式Iの化合物は、選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストとして機能するため、糖尿病及び他のグルカゴン関連の障害など(これらに限定されない)、グルカゴン受容体の不活化に感受性の疾患、障害又は症状の治療に有用である。グルカゴン受容体の選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストの使用により、血漿中のグルコース濃度が低下し、それにより糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝障害などの予防若しくは治療が可能となる。
【0180】
薬理学的方法
以下に、本発明の化合物の効率の評価に有用な結合試験並びに機能試験について記載する。グルカゴン受容体への化合物の結合は、クローニングされたヒトのグルカゴン受容体に対する選択性を用いる競合結合アッセイにおいて決定することができる。拮抗作用は、5nMのグルカゴンの存在下にアッセイにおいて形成されるcAMPの量を阻害する本発明の化合物の能力として決定してもよい。
【0181】
グルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイ
本受容体結合アッセイは、クローニングされた293HEK膜から分離されたヒトのグルカゴン受容体を使用した(Lok S,Kuijper JL,Jelinek LJ,Kramer JM,Whitmore TE,Sprecher CA,Mathewes S,Grant FJ,Biggs SH,Rosenberg GB,ら、Gene140、2),203−209、1994。hGlp1−R cDNAを、発現プラスミドphD(完全にγ−カルボキシル化された組換えヒトのプロテインC、抗血液凝固性因子のトランス活性化因子のトランス活性化発現。Grinnell,B.W.,Berg,D.T.,Walls,J.及びYan,S.B.Bio/Technology 5:1189−1192(1987)を参照)にサブクローニングした。このプラスミドDNAを239HEK細胞にトランスフェクションし、200μg/mLのハイグロマイシンを用いて選抜した。
【0182】
懸濁培養した細胞を用いて粗原形質膜を調製した。上記細胞を25mM トリスHCl(pH7.5)、1mM MgCl、DNase1 20μg/mL、及びComplete Inhibitors(EDTAフリー)(Roche社)を含有する低張バッファ中で氷上で溶解した。その細胞懸濁液をガラス製のダウンスのホモジナイザーによりテフロン棒を用いて25回上下してホモジナイズした。このホモジネートを4℃では、1800×gで15分間遠心した。上清を回収し、ペレットを低張バッファに再懸濁して再びホモジナイズした。混合物を1800×gで15分間遠心した。第2の上清を第1の上清と合わせた。混合した上清を1800×gで15分間再遠心して清澄化した。清澄化した上清を高速遠心管に移して4℃、25000×gで30分間遠心した。ホモジネーションバッファに再懸濁して必要となるまで−80℃の冷凍室に凍結アリコートとして膜ペレットを貯蔵した。
【0183】
グルカゴンを、125I−ラクトペルオキシダーゼ法によって、放射性ヨードで標識し、Perkin−Elmer/NEN (NEX207)で逆相HPLCにより精製した。比活性は2200Ci/mmolであった。125I−グルカゴン物質中にプロパノールの含量が高いため、Kdの決定は飽和結合ではなく均一競合により実施した。Kdは3nMと推定され、全ての試験化合物についてKi値の計算に使用した。
【0184】
脂肪酸フリーの1%のBSA(ICN)で予めブロッキングしたWGAビーズによるシンチレーション近接アッセイ(Amersham)により結合アッセイを行った。結合バッファの組成は25mM Hepes(pH7.4)、2.5mM CaCl、1mM MgCl、0.1%の脂肪酸不含BSA(ICN)、0.003%のTween−20及びEDTAフリーのComplete Inhibitors(Roche社)とした。グルカゴンを0.01N HCl溶液中に1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLのアリコートに分割して直ちに−80℃で凍結させた。上記グルカゴンのアリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用した。試験化合物をDMSOに溶解し、DMSOによる希釈系列を調製した。10μLの希釈化合物、又はDMSOを、Corning3632(90μLのアッセイ用結合バッファ又は非放射性グルカゴン(NSB、最終濃度1μM)を含む、不透明で底が透明なアッセイプレート)中に移した。50μLの125Iグルカゴン(反応液中の最終濃度:0.15nM)、50μLのメンブレン(300μg/ウェル)の及び40μLのWGAビーズ(150mg/ウェル)を添加し、プレートの端から端までを被覆した。プレートを室温で14時間静置した後、MicroBetaで測定した。
【0185】
化合物の存在下における、125Iグルカゴンの特異的な結合パーセントとして算出した。化合物の絶対EC50用量を、添加した化合物の用量に対する125I−グルカゴンの特異的結合パーセントを非線形回帰することによって導出した。EC50用量をCheng−Prusoffの式(Cheng Y.,Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973)を用いてKiに変換した。
【0186】
グルカゴン様ペプチド1(Glp1−R)受容体結合アッセイ
受容体結合アッセイでは、293HEK細胞膜から分離し、クローニングしたヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(hGlp1−R)(Graziano,MP,Hey,PJ,Borkowski,D,Chicchi,GG,Strader,CD,Biochem Biophys Res Commun.1993 Oct 15、196(1):141−6)を使用した。hGlp1−R cDNAを、発現プラスミドphD(完全にγ−カルボキシル化された組換えヒトプロテインC(抗血液凝固性因子のトランス活性化因子)のトランス活性化発現、Grinnell,B.W.,Berg,D.T.,Walls,J.及びYan,S.B.Bio/Technology 5:1189−1192(1987)を参照)にサブクローニングした。このプラスミドDNAを239HEK細胞にトランスフェクションし、200μg/mLのハイグロマイシンを用いて選抜した。
【0187】
懸濁培養した細胞を使用して粗製の原形質膜を調製した。25mMのトリスHCl(pH7.5)、1mMのMgCl、DNAse 20μ/mL及びEDTAフリーのロシュ社製Complete Inhibitorsを含有する低張バッファ中で、氷上で細胞を溶解させた。その細胞懸濁液をガラス製のダウンスのホモジナイザーによりテフロン棒を用いて25回上下してホモジナイズした。このホモジネートを4℃で1800×gで15分間遠心分離した。上清を回収し、ペレットを低張バッファに再懸濁して再びホモジナイズした。混合物を1800×gで15分間遠心した。第2の上清を第1の上清と混合した。混合した上清を1800×gで15分間再度遠心分離して清澄化した。清澄化した上清を高速遠心管に移し、4℃で25000×gで30分間遠心分離した。ホモジネーションバッファに再懸濁し、使用直前まで−80℃の冷凍室に凍結アリコートとして膜ペレットを保存した。
【0188】
グルカゴン様ペプチド1(Glp−1)を、125I−ラクトペルオキシダーゼ法により放射性ヨードで標識し、Perkin−Elmer/NEN(NEX308)を用いた逆相HPLCで精製した。比活性は2200Ci/mmolであった。125I−グルカゴン物質中にプロパノールの含量が高いため、Kdの決定は飽和結合ではなく均一競合により実施した。Kdは3nMと推定され、全ての試験化合物についてKi値の計算に使用した。
【0189】
脂肪酸フリーの1%BSA(ICN)で予めブロッキングした小麦麦芽アグルチニン(WGA)ビーズによるシンチレーション近接アッセイ(Amersham)により結合アッセイを行った。結合バッファの組成は25mM Hepes(pH7.4)、2.5mM CaCl、1mM MgCl、0.1%の脂肪酸不含BSA(ICN)、0.003%のTween−20及びEDTAフリーのComplete Inhibitors(Roche社)とした。グルカゴン様ペプチド1(Glp−1)をPBS中に1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLに分割して直ちに−80℃で凍結させた。上記グルカゴン様ペプチドのアリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用した。試験化合物をDMSOに溶解し、DMSOによる希釈系列を調製した。10μLの希釈された化合物、又はDMSOを、Corning3632(90μLのアッセイ用結合バッファ又は非放射性グルカゴン様ペプチド1(NSB、最終濃度1μM)を含む、不透明で底が透明なアッセイプレート)中に移した。50μLの125Iグルカゴン様ペプチド1(反応液中の最終濃度:0.15nM)、50μLのメンブレン(300μg/ウェル)の及び40μLのWGAビーズ(150mg/ウェル)を添加し、プレートの端から端までを被覆した。プレートを室温で14時間静置した後、MicroBetaで測定した。
【0190】
化合物の存在下における、125Iグルカゴン様ペプチド1の特異的な結合パーセントとして算出した。化合物の絶対EC50用量を、添加した化合物の用量に対する125I−グルカゴン様ペプチド1の特異的結合パーセントを非線形回帰することによって導出した。EC50用量をCheng−Prusoffの式(Cheng Y.,Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973)を用いてKiに変換した。
【0191】
グルカゴン刺激によるcAMP機能アンタゴニストアッセイ
cAMP機能アッセイでは、上記hGlucR結合アッセイ用に単離したヒトグルカゴン受容体細胞系と同一のクローンを使用した。化合物の存在下で、EC80用量のグルカゴン含有混合物を用い、細胞を刺激した。細胞内で生じたcAMPを、Perkin Elmer社製のAmplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay,Alpha Screen(6760625R)を用いて定量した。当該システムは簡潔には、細胞内のcAMPとキット由来のビオチン化cAMPとで、抗cAMP抗体被覆アクセプター側ビーズ及びストレプトアビジンコーティングされたドナー側ビーズとの結合を競合させるものである。細胞内のcAMP濃度の増加にしたがい、アクセプター側ビーズ−ビオチン化cAMP−ドナー側ビーズ複合体が減少するため、シグナルが減少する。
【0192】
グルカゴンを0.01N HClに1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLのアリコートに分割し、直ちに−80℃で凍結した。グルカゴンのアリコートを希釈し、1時間以内に機能アッセイに使用した。コンフルエント状態前の組織培養ディッシュから、酵素フリーの細胞分離溶液(特製培地5−004−B)を用いて細胞を回収した。細胞を低速で沈殿させ、アッセイバッファ(Mg及びCa添加HBSS中、25mM Hepes(GIBCO、14025−092)、0.1%の脂肪酸フリーのBSA(ICN社製)を含む)で3回洗浄し、次いで希釈して1mL当たり250,000細胞の最終濃度にした。化合物をDMSO中に段階希釈し、次いで3倍濃度のグルカゴン及び3%DMSOを含むアッセイバッファで希釈した。グルカゴンのEC80を最大グルカゴン用量応答から決定し、グルカゴンが最大グルカゴン反応の80%を引き起こす用量として表した。Alphaスクリーンキットのビオチン化cAMP(最終量、ウエル当たり1単位)と3×IBMX(1500μM)のアッセイバッファ中混合液を調製した。
【0193】
96ウエル、低容量、白色、ポリスチレンのコスタープレート(3688)にて機能アッセイを行った。ビオチン化cAMP/IBMX混合物(0.02mL)を各ウエルに添加し、続いてグルカゴン用量応答cAMP標準曲線の、又は化合物/グルカゴン混合物の0.02mLを添加した。0.02mLの細胞懸濁液(最終5000個/ウエル)を添加して反応を開始させた。室温で60分後、0.03mLの溶解バッファ[10mMHepes(pH7.4)、1% NP40及びAlphaスクリーンキットのアクセプター及びドナービーズをウエル当たり各1ユニット含有する0.01%の脂肪酸フリーBSA(ICN)]を添加して反応を停止させた。溶解バッファの添加を緑色光下で行い、検出ビーズの退色を防止した。プレートを(アルミ)箔で包み、室温に一晩放置して平衡状態にした。Packard Fusion(商標)−αInstrumentでプレートを解析した。
【0194】
Alphaスクリーンにおける単位を、cAMP標準曲線に基づき、ウエル当たりで生じたcAMPのpモル値に変換した。化合物の存在下で生じたcAMPのpモル値を、EC80用量のグルカゴンのみによる最大反応に対するパーセンテージに変換した。各実験について、cAMPのpモル値の50%の反応を起こすのに必要なグルカゴン量を測定した。このEC50用量を使用して、改変Cheng−Prusoffの式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973、
Kb=(化合物のEC50)/[1+(使用したグルカゴンのpM/pMで表したグルカゴン用量応答のEC50)]
を用いて結果をKbとして標準化した。
【0195】
本明細書に記載の化合物は好ましくは、本明細書に開示されるグルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイで測定した結果、50μM以下のKi値を有する。好ましくは、本明細書に記載の化合物は本明細書に開示されるグルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイで測定した結果、5μM以下、好ましくは500nM以下、更に好ましくは100nM以下のKi値を有する。本明細書に記載の化合物は通常、GLP−1受容体と比較してグルカゴン受容体に対してより高い親和性、好ましくはGLP−1受容体よりもグルカゴン受容体に対して10〜10,000倍高い結合親和性を示すことが好ましい。本願明細書に記載の全ての実施例は、5μM未満のKi値を有する。開示する化合物に関する結果を以下に記す。
【表7】

【0196】
上記より、当事者であれば本発明の本質的な特徴を理解し、本発明の技術的思想と範囲から逸脱することなく本発明を種々変更及び修正し、多様な用途及び状況に適応させることができる。したがって、他の実施形態も又本発明の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される構造を有する化合物
【化1】

(I)
又はその製薬的に許容できる塩。
(式中、Tは独立に炭素(水素で又は示された置換基で置換されていてもよい)又は窒素であり、
R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3は
−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−(C−C)シクロアルキル、
−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は
−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)
であり、
R4及びR5は独立に、水素、−ハロゲン、−ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、−CN、−(C−C)アルコキシ、−(C−C)アルケニル又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化2】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に、水素、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ、−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニルであり、
R9は独立に、水素、ハロゲン、−CN、−(C−C)シクロアルキル、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は、−O(C−C)アルケニル、−(C−C)アルコキシ(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R10は独立に、水素又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に、水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3はR11と同じであるか、又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は1つの二重結合を含んでもよい。)
【請求項2】
請求項1記載の化合物又は塩。
(式中、Tは独立に炭素(水素で又は示された置換基で置換されていてもよい)又は窒素であり、
R1及びR2は水素であり、
R3は、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化3】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に、水素、−ハロゲン、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシであり、
R9は独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に、水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3がR11と同じであるか、又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は1つの二重結合を含んでもよい)。)
【請求項3】
請求項1記載の化合物又は塩。
(式中、R1及びR2は水素であり、
R3は
−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
−(C−C)シクロアルキル、
−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、
R4及びR5は独立に、水素、−ハロゲン又は−CH(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化4】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素又はハロゲンであり、
R9は独立に−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は独立に、水素、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
但しR11が−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルケニル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である場合、R3がR11と同じであるか、又はR11及びR3が、それらが結合する炭素原子と5個の炭素数のシクロアルキル環を形成する(式中、当該5個の炭素数のシクロアルキル環は1つの二重結合を含んでもよい。)
【請求項4】
請求項1記載の化合物又は塩。
(式中、Tは独立に炭素原子(水素で又は示された置換基で置換されていてもよい)であり、
R1及びR2は水素であり、
R3は、−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は−CH(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であって、その各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する部位を占め、
R6は
【化5】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は水素であり、
R9は独立に−(C−C)アルキル(1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R11は水素である)
【請求項5】
請求項1記載の化合物又は塩。
(式中、R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3はメチル、エチル、プロピル、2−プロペニル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、3,3−ジメチルブチル、2−メチルプロピル、3−メチルブチル、tertブチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルプロピル、3−トリフルオロプロピル、4−トリフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、
R4及びR5は独立に、水素、メチル、エチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ペンチル、イソプロポキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、−CN、メトキシ、ヒドロキシメチル、4−メチルペンチルオキシ又はペンチルオキシであり、
R7及びR8は独立に水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、ペンチル、イソプロピル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、アセチル、2−メチルプロピル、メトキシ、シクロヘキシル又はトリフルオロメトキシであり、
R9は水素、ブロモ、フルオロ、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル又はイソプロピルであり、
R11は水素、メチル、エチル、プロピル又は2−プロペニル(但しR11がメチル、エチル、プロピル又は2−プロペニルであるとき、R3がR11と同じであるか、又はR11及びR3は、それらが結合する炭素原子とシクロペンチル又はシクロペント−3−エニルを形成する)である。)
【請求項6】
式X1からX22からなる群から選択される、請求項1記載の化合物、
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

又はその製薬的に許容できる塩。
【請求項7】
以下の群から選択される、請求項1記載の化合物:
3−{4−[1−アリル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−アリル−1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブト−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[2−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシ)−1,1−ジメチル−エチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−1−エチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペント−3−エニル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−シクロペンチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−プロピル−1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸、
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−5,5,5−トリフルオロ−ペンチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)、
3−{4−[1−(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ヘプチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−3−メチルブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−(4−{1−[6−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルオキシメチル]−ブチル}−ベンゾイルアミノ)−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(ラセミ体)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)、
3−{4−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−2−メチル−プロピル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体1)及び
3−{4−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−4,4,4−トリフルオロ−ブチル]−ベンゾイルアミノ}−プロピオン酸(異性体2)、
又はその製薬的に許容できる塩。
【請求項8】
請求項1から7記載のいずれか1項記載の化合物及び製薬的に許容できる担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
哺乳類のグルカゴン受容体を阻害する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類に、グルカゴン受容体の阻害に必要な量の、請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
哺乳類の血糖レベルを選択的に低下させる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類に、グルカゴン受容体の阻害に必要な量の、請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項11】
2型糖尿病の治療方法であって、かかる治療又は予防を必要とする哺乳類に、有効量の請求項1から8のいずれか1項記載の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項12】
2型糖尿病の治療方法であって、かかる治療又は予防を必要とする哺乳類に、有効量の請求項8記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項13】
2型糖尿病の治療において使用するための、請求項1から7のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩。
【請求項14】
2型糖尿病の治療のための医薬の製造のための、請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩の使用。

【公表番号】特表2009−519227(P2009−519227A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541450(P2008−541450)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/060769
【国際公開番号】WO2007/114855
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】