説明

グルコピラノシルジフェニルメタン誘導体を含む医薬組成物、その医薬剤形、それらの調製方法及び患者の血糖コントロールを改善するためのそれらの使用

本発明は、SGLT-2阻害薬を含む医薬組成物、医薬剤形、それらの製法、それらの使用及び代謝障害の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、活性医薬成分としてSGLT-2阻害薬を含む医薬組成物に関する。さらに本発明は、該医薬組成物を含む医薬剤形に関する。加えて本発明は、該医薬剤形の調製方法に関する。加えて本発明は、選ばれた疾患及び医学的状態、特にとりわけ1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、空腹時血糖異常及び高血糖から選択される1つ以上の状態の治療及び/又は予防における該医薬組成物及び医薬剤形の使用に関する。さらに本発明は、治療及び/又は予防が必要な患者に本発明の医薬組成物又は医薬剤形を投与する、該疾患及び医学的状態の治療及び/又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
2型糖尿病は、ますます蔓延してきている疾患であり、高頻度の合併症のため平均余命の有意な減少をもたらす。糖尿病関連の微小血管合併症のため、先進工業諸国において現在2型糖尿病が成人発症の失明、腎不全、及び切断術の最多原因である。加えて、2型糖尿病の存在は、心血管疾患リスクの2〜5倍増と関係がある。
長い罹患期間後、多くの2型糖尿病患者は最終的に経口療法に失敗し、毎日の注射と毎日複数回のグルコース測定を必要とするインスリン依存性になるであろう。
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)は、メトホルミン、スルホニル尿素又はインスリンによる集中治療は血糖コントロールの限られた改善しかもたらさないことを実証した(HbA1cの差異は約0.9%)。さらに、集中治療群内の患者においてさえ、血糖コントロールが経時的に有意に低下し、これはβ細胞機能の低下に起因した。重要なことに、集中治療は、大血管合併症、すなわち心血管イベントの有意な減少と無関係だった。従って、2型糖尿病の多くの患者は、部分的には現存する抗高血糖療法の長期効力の限界、耐容性及び投薬の不便さのため十分に治療されない状態のままである。
療法(例えば一次若しくは二次、及び/又は単剤若しくは(初期又は追加)併用療法)で常用される経口抗糖尿病薬としては、限定するものではないが、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニド及びα-グルコシダーゼ阻害薬が挙げられる。
療法失敗の高い発生率は、2型糖尿病患者における高率の長期高血糖関連合併症又は慢性障害(微小血管及び大血管合併症、例えば糖尿病性腎症、網膜症若しくは神経障害など、又は心血管合併症が挙げられる)に主に起因している。
従って、血糖コントロールに関して、疾患修飾特性に関して並びに心血管性の罹患率及び死亡率の低減に関して良い効力を有しながら、同時に改善された安全性プロファイルを示す方法、薬物及び医薬組成物に対して未だ対処されていない医学的必要性がある。
SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の治療又は血糖コントロールの改善のために開発されている新分類の薬剤を代表する。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、SGLT2阻害薬として先行技術、例えばWO01/27128、WO03/099836、WO2005/092877、WO2006/034489、WO2006/064033、WO2006/117359、WO2006/117360、WO2007/025943、WO2007/028814、WO2007/031548、WO2007/093610、WO2007/128749、WO2008/049923、WO2008/055870、WO2008/055940に記載されている。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、尿糖排泄の誘発物質として及び糖尿病の治療薬として提案されている。
【0003】
グルコースの腎臓ろ過及び再取り込みは、いくつかある機構の中で特に定常状態血漿グルコース濃度に寄与するので、抗糖尿病の標的として役立ち得る。ろ過されたグルコースの腎臓の上皮細胞を横切る再取り込みは、細管内の刷子縁膜にあるナトリウム依存性グルコース共輸送体(sodium-dependent glucose cotransporter)(SGLT)を介してナトリウム勾配に従って進行する。少なくとも3つのSGLTイソ型があり、それらは発現パターンが異なるのみならず、物理化学的特性が異なる。SGLT2は腎臓内で排他的に発現されるが、SGLT1は腸、結腸、骨格筋及び心筋のような他の組織内でさらに発現される。SGLT3は、如何なる輸送機能もなく、腸の間質細胞内のグルコースセンサーであることが分かっている。他の関連するが未だ特徴づけられていない遺伝子がさらに腎臓のグルコース再取り込みに寄与する可能性がある。正常血糖下では、グルコースは腎臓内でSGLTによって完全に再吸収されるが、腎臓の再取り込み能力は10mMより高いグルコース濃度で飽和され、糖尿をもたらす(「糖尿病」)。SGLT2阻害によってこの閾値濃度を下げることができる。SGLT阻害薬フロリジンを用いた実験において、SGLT阻害は、糸球体ろ液から血中へのグルコースの再取り込みを部分的に阻害し、血糖濃度の低減及び糖尿をもたらすことが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(本発明の目的)
本発明の目的は、組成物の製造プロセス中の固着(sticking)を回避又は低減する、SGLT-2阻害薬を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、組成物の製造プロセス中のフィルミング(filming)を回避又は低減する、SGLT-2阻害薬を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、短い崩壊時間を有し、良い溶解特性を有し、及び/又は患者におけるSGLT-2阻害薬の高いバイオアベイラビリティーを可能にする、SGLT-2阻害薬を含む医薬剤形を提供することである。
本発明の別の目的は、高い含量均一性を有し、及び/又は医薬剤形の時間とコストに関して効率的に製造できる、SGLT-2阻害薬を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、代謝障害、特に2型糖尿病の予防、進行の減速、遅延又は治療のための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、血糖コントロールの改善が必要な患者、特に2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善するための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は、血糖コントロールが不十分な患者の血糖コントロールを改善するための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群から2型糖尿病への進行の予防、減速又は遅延のための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、糖尿病の合併症から成る群より選択される状態又は障害の予防、進行の減速、遅延又は治療のための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、体重の減少又は体重増加の予防が必要な患者の前記減少又は予防のための、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は、代謝障害、特に糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、及び/又は高血糖の治療のための高い効力を有し、良い乃至非常に良い薬理学的及び/又は薬物動態学的及び/又は物理化学的特性を有する、それぞれSGLT2阻害薬を含む医薬組成物及び医薬剤形を提供することである。
本発明の別の目的は、コスト及び/又は時間の効率がよい、本発明の医薬剤形の調製方法を提供することである。
当業者には前記及び以下の説明並びに実施例によって本発明のさらなる目的が明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
第1態様では本発明は、活性医薬成分としてのSGLT-2阻害薬と、1種以上の賦形剤、特に1種以上の希釈剤、及び/又は1種以上の崩壊剤とを含む医薬組成物を提供する。さらなる態様では、医薬組成物がさらに1種以上の結合剤を含む。一態様では、本発明の医薬組成物が固体医薬組成物、例えば経口投与用の固体医薬組成物である。
一実施形態では、活性成分が医薬組成物の質量の25%以下に相当する。好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の0.5%〜25%に相当する。さらに好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の1.0%〜20%に相当する。なおさらに好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の2.0%〜15%に相当する。
本発明の範囲内において、活性医薬成分としてX90<200μmの粒径分布、特に1μm<X90<200μmの粒径分布を有するSGLT-2阻害薬を含む医薬組成物は、有益な溶解プロファイル及び/又は良いバイオアベイラビリティーを示し、かつ高い含量均一性を与え、また時間とコストに関して医薬剤形の効率的な製造を可能にすることが分かった。
従って別の態様では、本発明は、活性医薬成分としてのSGLT-2阻害薬と、1種以上の賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記活性成分が、好ましくはレーザー回折法で体積によって決定されるX90<200μmの粒径分布、特に1μm<X90<200μmの粒径分布を有する医薬組成物を提供する。
一実施形態では、本発明の組成物中の崩壊剤と結合剤の比が1.5:3.5〜1:1である。一実施形態では、医薬組成物中の崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである。一実施形態では、医薬組成物中の結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである。一実施形態では、医薬組成物中の希釈剤がラクトース一水和物又は微結晶性セルロースである。一実施形態では、医薬組成物がラクトース一水和物及び微結晶性セルロースを含む。一実施形態では、医薬組成物がさらに流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素又はタルクを含む。一実施形態では、医薬組成物がさらに潤沢剤を含む。
一実施形態では、本発明の組成物中の結合剤が微細粒径の結合剤である。一実施形態では、結合剤の粒子の少なくとも99%(質量で)が250μm以下である。一実施形態では、結合剤の粒子の少なくとも99.5%(質量で)が250μm以下である。一実施形態では、結合剤の粒子の少なくとも99.9%(質量で)が60メッシュのスクリーンサイズのふるいを通過する。すなわち250μm以下である。
別の実施形態では、本発明は本発明の医薬組成物を含む剤形、例えば錠剤を提供する。
一実施形態では、剤形、例えば錠剤が下記成分を含む。
【0006】

【0007】
別の実施形態では、剤形、例えば錠剤が下記成分を含む。
【0008】

【0009】
一実施形態では、剤形、例えば錠剤が剤形1mg当たり下記成分を含む。
【0010】

【0011】
一実施形態では、剤形、例えば錠剤が剤形1mg当たり下記成分を含む。
【0012】

【0013】
一実施形態では、剤形、例えば錠剤がさらに潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを例えば0.25〜2%の濃度で含む。
一実施形態では、剤形、例えば錠剤がさらに流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素を例えば0.25〜2%の濃度で含む。
本発明の剤形、例えば錠剤をフィルムコーティングしてよい。典型的にフィルムコーティングは組成物全体の2〜5質量%に相当し、かつ好ましくは膜形成剤、可塑剤、流動促進剤及び必要に応じて1種以上の色素を含む。典型的なコーティング組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、タルク、二酸化チタン及び必要に応じて酸化鉄(酸化鉄レッド及び/又はイエローを含めて)を含んでよい。
別の態様では、本発明は、医薬組成物を作るための湿式造粒方法であって、下記工程:
(1)活性成分と、結合剤を含めた賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)造粒液、好ましくは精製水を添加することによって工程(1)の前混合物を造粒する工程;
(3)工程(2)の顆粒を流動床乾燥機又は乾燥オーブン内で乾燥させる工程;
(4)工程(3)の乾燥顆粒を必要に応じて乾式ふるい分けする工程;
(5)工程(4)の乾燥顆粒をミキサー内で流動促進剤及び潤沢剤などの残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(6)工程(5)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(7)工程(6)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、上記方法で得られる医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、医薬組成物を作るための直接圧縮方法であって、下記工程:
(1)活性成分と賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)凝集性粒子を分離するため及び含量均一性を改善するため、必要に応じて前混合物をふるいを通して乾式ふるい分けする工程;
(3)必要に応じて残りの賦形剤を混合物に添加し、混合を続けることによって、工程(1)又は(2)の前混合物をミキサー内で混合する工程;
(4)工程(3)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(5)工程(4)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、上記方法で得られる医薬組成物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、医薬組成物を作るための乾式造粒方法であって、下記工程:
(1)活性成分を全て又は一部の賦形剤とミキサー内で混合する工程;
(2)工程(1)の混合物を適切なローラー圧縮機で圧縮する工程;
(3)工程(2)中に得られたリボンを適切な製粉又はふるい分け工程によって顆粒、好ましくは小さい顆粒の状態にする工程;
(4)工程(3)の顆粒を必要に応じてミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(5)工程(3)の顆粒又は工程(4)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(6)工程(5)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、上記方法で得られる医薬組成物を提供する。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は高せん断湿式造粒によって得られる。
好ましくはSGLT2阻害薬は、下記式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、R1は、Cl、メチル又はシアノを表し;R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシを表し、かつR3は、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す)
のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体;又は前記SGLT2阻害薬の1つのプロドラッグから選択される。
【0018】
上記式(I)グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体では、置換基の下記定義が好ましい。
好ましくはR1がクロロ又はシアノ、特にクロロを表す。
好ましくはR2がHを表す。
好ましくはR3が(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す。
式(I)の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、下記化合物(I.8)〜(I.11)の群から選択される。
【0019】
【化2】

【0020】
式(I)のなおさらに好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.8)、(I.9)及び(I.11)から選択される。
式(I)のなおされに好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.8)及び(I.9)、又は化合物(I.9)の結晶形(I.9X)から選択される。
本発明の医薬組成物は、高い含量均一性を与え、かつ錠剤及びカプセル剤などの医薬剤形の時間とコストに関して効率的な製造を可能にする。さらに、一実施形態では、これらの医薬剤形は特に錠剤である。
従って別の態様では、本発明は、本発明の医薬組成物を含む医薬剤形を提供する。一態様では、本発明の医薬剤形は固体医薬剤形、例えば経口投与用の固体医薬剤形である。
別の態様では、本発明は、本発明の医薬剤形の調製方法であって、活性医薬成分を1種以上の賦形剤と共に造粒する1以上の造粒方法を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明の医薬組成物又は剤形は、例えば本明細書で後述するように、対象に投与後、特にヒトに投与後、特徴的な薬物動態プロファイルを示す。
後記定義どおりのSGLT2阻害薬を含む医薬組成物を代謝障害の予防、進行の減速、遅延又は治療のため、特に患者の血糖コントロールの改善のために有利に使用できることが分かる。これにより、2型糖尿病、過体重、肥満、糖尿病合併症及び隣接疾患状態の治療及び予防の新療法の可能性が開ける。
【0021】
従って、第1態様では、本発明は、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖、食後高血糖、過体重、肥満及び代謝症候群から成る群より選択される代謝障害の予防、進行の減速、遅延又は治療が必要な患者の前記予防、進行の減速、遅延又は治療方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明の別の態様により、血糖コントロールの改善並びに/或いは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減が必要な患者の前記改善及び/又は低減方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明の医薬組成物は耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群に関連する疾患又は状態に関して有益な疾患修飾特性をも有し得る。
本発明の別の態様により、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群から2型糖尿病への進行の予防、減速、遅延又は逆転が必要な患者の前記予防、減速、遅延又は逆転方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
この発明の医薬組成物の使用によって、血糖コントロールの改善が必要な患者の血糖コントロールの改善が得られるので、血糖値上昇に関連又は起因する当該状態及び/又は疾患を治療することもできる。
【0022】
本発明の別の態様により、糖尿病合併症、例えば白内障並びに微小血管及び大血管疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病性足病変、動脈硬化症、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心拍障害及び血管再狭窄から成る群より選択される状態又は障害の予防、進行の減速、遅延又は治療が必要な患者の前記予防、進行の減速、遅延又は治療方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。特に糖尿病性腎症の1以上の態様、例えば過灌流、タンパク尿及びアルブミン尿を治療し、それらの進行を減速させるか或いはそれらの発症を遅延又は予防することができる。用語「組織虚血」は、特に糖尿病性大血管障害、糖尿病性微小血管障害、創傷治癒障害及び糖尿病性潰瘍を含む。この出願では、用語「微小血管及び大血管疾患」並びに「微小血管及び大血管合併症」を互換的に使用する。
【0023】
この発明の医薬組成物の投与によって、かつSGLT2阻害薬の活性のため、過剰の血糖値が脂肪のような不溶性貯蔵形態に変換されるのではなく、患者の尿を介して排泄される。従って、結果として体重が増えることはなく、体重が減少さえする。
本発明の別の態様により、体重の減少又は体重の増加の予防、或いは体重の減少の促進が必要な患者の前記減少又は予防又は促進方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
この発明の医薬組成物におけるSGLT2阻害薬の薬理作用はインスリンと無関係である。従って、膵臓β細胞にさらに負担をかけずに血糖コントロールの改善が可能である。この発明の医薬組成物の投与によって、例えば膵臓β細胞のアポトーシス又は壊死のようなβ細胞変性及びβ細胞機能性低下を遅延させるか又は予防することができる。さらに、膵臓細胞の機能性を改善するか又は回復させることができ、膵臓β細胞の数及びサイズを増大させ得る。高血糖によって乱された膵臓β細胞の分化状態及び過形成を本発明の医薬組成物による治療で正常化することができることを示し得る。
【0024】
本発明の別の態様により、膵臓β細胞の変性及び/又は膵臓β細胞の機能性低下の予防、減速、遅延若しくは治療並びに/或いは膵臓β細胞の機能性の改善及び/又は回復並びに/或いは膵臓インスリン分泌の機能性の回復が必要な患者の前記予防、減速、遅延若しくは治療及び/又は改善及び/又は回復方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明の医薬組成物の投与によって、肝臓内の脂肪の異常蓄積を減少させるか又は阻害することができる。従って、本発明の別の態様により、肝臓脂肪の異常蓄積に起因する疾患又は状態の予防、減速、遅延又は治療が必要な患者の前記予防、減速、遅延又は治療方法において、前記及び後記定義どおりのSGLT2阻害薬を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。肝臓脂肪の異常蓄積に起因する疾患又は状態は、特に一般的脂肪肝、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、過栄養誘発脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール誘発脂肪肝又は中毒性脂肪肝から成る群より選択される。
その結果として、本発明の別の態様は、インスリン感受性の維持及び/又は改善並びに/或いは高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性の治療又は予防が必要な患者の前記維持及び/又は改善並びに/或いは治療又は予防方法において、本発明の医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与することを特徴とする方法を提供する。
【0025】
本発明の別の態様により、
−1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖、食後高血糖、過体重、肥満及び代謝症候群から成る群より選択される代謝障害の予防、進行の減速、遅延又は治療;又は
−血糖コントロールの改善並びに/或いは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減;又は
−耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群から2型糖尿病への進行の予防、減速、遅延又は逆転;又は
−糖尿病合併症、例えば白内障並びに微小血管及び大血管疾患、例えば腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病性足病変、動脈硬化症、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心拍障害及び血管再狭窄から成る群より選択される状態又は障害の予防、進行の減速、遅延又は治療;又は
−体重の減少、又は体重の増加の予防又は体重の減少の促進;又は
−膵臓β細胞の変性及び/又は膵臓β細胞の機能性低下の予防、減速、遅延若しくは治療並びに/或いは膵臓β細胞の機能性の改善及び/又は回復並びに/或いは膵臓インスリン分泌の機能性の回復;又は
−肝臓脂肪の異常蓄積に起因する疾患又は状態の予防、減速、遅延又は治療;又は
−インスリン感受性の維持及び/又は改善並びに/或いは高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性の治療又は予防
が必要な患者のそれらのための薬物製造のための本発明の医薬組成物又は医薬剤形の使用において、前記及び後記定義どおりのSGLT2阻害薬を投与することを特徴とする使用を提供する。
【0026】
本発明の別の態様により、前記及び後記治療及び予防方法のための薬物製造のための本発明の医薬組成物又は医薬剤形の使用を提供する。
【0027】
従って、本発明は、
空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの用量で
i. 40.3〜96.3nmol/LのCmax;及び
ii. 283〜677nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
b. 5.0mgの用量で
i. 123〜230nmol/LのCmax;及び
ii. 1,000〜1,310nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
c. 10.0mgの用量で
i. 143〜796nmol/LのCmax;及び
ii. 1,170〜3,190nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
d. 25.0mgの用量で
i. 334〜1,030nmol/LのCmax;及び
ii. 2,660〜7,640nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
e. 50.0mgの用量で
i. 722〜2,020nmol/LのCmax;及び
ii. 6,450〜14,100nmol*h/LのAUC
を示す、
下記式(I.9)
【0028】
【化3】

(I.9)
【0029】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。
空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの用量で
i. 52.9〜66.6nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの用量で
i. 221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの用量で
i. 490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 3,750〜6,130nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示し;及び/又は
d. 50.0mgの用量で
i. 1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示す、
下記式(I.9)
【0030】
【化4】

(I.9)
【0031】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。
空腹時のヒトに
a. 2.5mgの単一用量として投与されると、
i. 42.8〜81.2nmol/LのCmax;及び
ii. 326〜631nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
b. 5.0mgの単一用量として投与されると、
i. 123〜230nmol/LのCmax;及び
ii. 1,000〜1,310nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
c. 10.0mgの単一用量として投与されると、
i. 143〜796nmol/LのCmax;及び
ii. 1,170〜3,190nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
d. 25.0mgの単一用量として投与されると、
i. 334〜1,030nmol/LのCmax;及び
ii. 2,660〜7,170nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
e. 50.0mgの単一用量として投与されると、
i. 722〜2,020nmol/LのCmax;及び
ii. 6,450〜14,100nmol*h/LのAUC0-inf
を示す、式(I.9)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
空腹時のヒトに
a. 2.5mgの単一用量として投与されると、
i. 52.9〜61.3nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの単一用量として投与されると、
i. 221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの単一用量として投与されると、
i. 490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 3,750〜6,130nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
d. 50.0mgの単一用量として投与されると、
i. 1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示す、式(I.9)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0033】
空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの複数回投与で
i. 40.3〜96.3nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 283〜677nmol*h/LのAUCτ,ss
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの複数回投与で
i. 166〜479nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 1,350〜2,600nmol*h/LのAUCτ,ss
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの複数回投与で
i. 443〜907nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 2,790〜7,640nmol*h/LのAUCτ,ss
を示す、式(I.9)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0034】
空腹時のヒトに投与されると、
a. 10.0mgの複数回投与で
i. 252〜272nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び
ii. 1,850〜2,000nmol*h/Lの幾何平均AUCτ,ss
を示し;及び/又は
b. 25.0mgの複数回投与で
i. 622〜676nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び
ii. 4,640〜4,890nmolh/Lの幾何平均AUCτ,ss
を示す、式(I.9)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
空腹時のヒトに投与されると、13〜80nmol/L/mgの用量正規化(dose-normalized)Cmax,norm;及び106〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す、下記式(I.9)
【0035】
【化5】

(I.9)
【0036】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜50mgの用量範囲にわたって前記用量正規化Cmax,norm及び前記用量正規化AUC0-inf,normを示す。
空腹時のヒトに投与されると、下記式(I.9)
【0037】
【化6】

(I.9)
【0038】
の化合物の5mg〜25mgの用量範囲にわたって、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す、前記化合物を含む医薬組成物を提供する。
空腹時のヒトに投与されると、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す、下記式(I.9)
【0039】
【化7】

(I.9)
【0040】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜50mgの用量範囲にわたって前記用量正規化幾何平均Cmax,norm及び前記用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。
空腹時のヒトに投与されると、下記式(I.9)
【0041】
【化8】

(I.9)
【0042】
の化合物の5mg〜25mgの用量範囲にわたって20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す、前記化合物を含む医薬組成物を提供する。
単一用量として空腹時のヒトに投与されると、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜287nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す、下記式(I.9)
【0043】
【化9】

(I.9)
【0044】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、単一用量として空腹時のヒトに投与されると、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜50mgの用量範囲にわたって前記用量正規化Cmax,norm及び前記用量正規化AUC0-inf,normを示す。
単一用量として空腹時のヒトに投与されると、下記式(I.9)
【0045】
【化10】

(I.9)
【0046】
の化合物の5mg〜25mgの用量範囲にわたって13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜287nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す、前記化合物を含む医薬組成物を提供する。
単一用量として空腹時のヒトに投与されると、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す、下記式(I.9)
【0047】
【化11】

(I.9)
【0048】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、単一用量として投与されると、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜50mgの用量範囲にわたって前記用量正規化幾何平均Cmax,norm及び前記用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。
単一用量として空腹時のヒトに投与されると、下記式(I.9)
【0049】
【化12】

(I.9)
【0050】
の化合物の5mg〜25mgの用量範囲にわたって20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す、前記化合物を含む医薬組成物を提供する。
複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、16〜48nmol/L/mgの用量正規化Cmax,ss,norm;及び112〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUCτ,ss,normを示す、下記式(I.9)
【0051】
【化13】

(I.9)
【0052】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜25mgの用量範囲にわたって前記用量正規化Cmax,ss,norm及び前記用量正規化AUCτ,ss,normを示す。
複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、25〜27nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,ss,norm;及び184〜200nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUCτ,ss,normを示す、下記式(I.9)
【0053】
【化14】

(I.9)
【0054】
の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、式(I.9)の前記化合物の2.5mg〜25mgの用量範囲にわたって前記用量正規化幾何平均Cmax,ss,norm及び前記用量正規化幾何平均AUCτ,ss,normを示す。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物の粒径分布がX90<200μmである、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、式(I.9)の前記化合物が前記組成物の質量の25%以下に相当する医薬組成物を提供する。
下記式(I.9)
【0055】
【化15】

(I.9)
【0056】
の化合物を含む医薬組成物であって、前記組成物の粒径分布がX90<200μmであり、式(I.9)の前記化合物が前記組成物の質量の25%以下に相当する医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物が式(I.9)の前記化合物の結晶形(I.9X)を含む、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物の粒径分布がX90≦150μm、X90≦100μm又はX90≦90μmである、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、式(I.9)の前記化合物が前記組成物の質量の20%以下又は前記組成物の質量の15%以下に相当する、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物の粒径分布がX90<100μmであり、式(I.9)の前記化合物が前記組成物の20%以下に相当する、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物の粒径分布がX90<90μmであり、式(I.9)の化合物が前記組成物の15%以下に相当する、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物が崩壊剤及び結合剤を含み、前記崩壊剤と前記結合剤の比が1.5:3.5〜1:1(質量/質量)である、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記結合剤の粒子の少なくとも99%(質量で)が250μm以下である、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物が高せん断湿式造粒によって得られ、前記組成物がさらに希釈剤を含み、前記希釈剤の5〜20%(質量で)が前記湿式造粒後に乾燥添加物として前記組成物に添加される、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記希釈剤が微結晶性セルロースである、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記高せん断湿式造粒が下記工程:
(1)式(I.9)の化合物と、結合剤を含めた賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)造粒液、好ましくは水を添加することによって工程(1)の前混合物を造粒する工程;
(3)工程(2)の顆粒を流動床乾燥機又は乾燥オーブン内で乾燥させる工程;
(4)工程(3)の乾燥顆粒を必要に応じて乾式ふるい分けする工程;
(5)工程(4)の乾燥顆粒をミキサー内で流動促進剤及び潤沢剤などの残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(6)工程(5)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(7)工程(6)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物が下記成分を含む医薬組成物を提供する。
【0057】

【0058】
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記組成物が下記成分を含む医薬組成物を提供する。
【0059】

【0060】
上記規定どおりの医薬組成物であって、さらに1種以上の潤沢剤を含む医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記潤沢剤がステアリン酸マグネシウムである、医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、さらに1種以上の流動促進剤を含む医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素である医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、さらに1種以上のフィルムコーティング剤を含む医薬組成物を提供する。
上記規定どおりの医薬組成物であって、前記フィルムコーティング剤が1〜5%の濃度で適用され、かつヒプロメロース、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化チタン、酸化鉄を含み、必要に応じてさらに色素を含む、医薬組成物を提供する。
【0061】
上記規定どおりの医薬組成物のいずれか1つを含む医薬剤形を提供する。例えば医薬剤形は錠剤である。
本明細書に記載の疾患の治療方法であって、上記規定のいずれか1つの医薬組成物又は医薬剤形を患者に投与する工程を含む方法を提供する。
式(I.9)の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬剤形を作るための湿式造粒方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物と、結合剤を含めた賦形剤の主要部分をミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)造粒液、好ましくは水を添加することによって工程(1)の前混合物を造粒する工程;
(3)工程(2)の顆粒を流動床乾燥機又は乾燥オーブン内で乾燥させる工程;
(4)工程(3)の乾燥顆粒を必要に応じて乾式ふるい分けする工程;
(5)工程(4)の乾燥顆粒をミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(6)工程(5)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(7)工程(6)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む、湿式造粒方法を提供する。
一実施形態では、前記結合剤の粒子の少なくとも99%(質量で)が250μm以下である。一実施形態では、前記工程(1)の賦形剤が希釈剤をも含み、該希釈剤の80〜95%(質量で)を工程(1)で式(I.9)の化合物と前混合し、希釈剤の5〜20%(質量で)を工程(5)で乾燥添加物として前記組成物に添加する。
上記規定の方法によって得られる医薬組成物を提供する。
【0062】
式(I.9)の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬組成物を作るための直接圧縮方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物と賦形剤の主要部分をミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)凝集性粒子を分離するため及び含量均一性を改善するため、必要に応じて前混合物をふるいを通して乾式ふるい分けする工程;
(3)ミキサー内で工程(1)又は(2)の前混合物を混合し、必要に応じて残りの賦形剤を混合物に添加して混合を続ける工程;
(4)工程(3)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(5)工程(4)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法を提供する。
上記規定の方法によって得られる医薬組成物を提供する。
【0063】
式(I.9)の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬組成物を作るための乾式造粒方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物を全て又は一部の賦形剤とミキサー内で混合する工程;
(2)工程(1)の混合物を適切なローラー圧縮機で圧縮する工程;
(3)工程(2)中に得られたリボンを適切な製粉又はふるい分け工程によって顆粒の状態にする工程;
(4)工程(3)の顆粒を必要に応じてミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(5)工程(3)の顆粒又は工程(4)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(6)工程(5)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法を提供する。
上記規定の方法によって得られる医薬組成物を提供する。
【0064】
(定義)
本発明の医薬組成物の「活性成分」という用語は、本発明のSGLT2阻害薬を意味する。本明細書では、「活性成分」を「活性物質」と呼ぶこともある。
ヒト患者の「肥満度指数(body mass index)」又は「BMI」は、身長(メートル)の二乗で除した体重(キログラム)と定義されるので、BMIはkg/m2の単位を有する。
用語「過体重」は、個体が25kg/m2以上30kg/m2未満のBMIを有する状態と定義される。用語「過体重」と「前肥満」は互換的に使用される。
用語「肥満」は、個体が30kg/m2以上のBMIを有する状態と定義される。WHO定義によれば、用語「肥満」は以下のように分類される:用語「クラスI肥満」はBMIが30kg/m2以上35kg/m2未満の状態であり;用語「クラスII肥満」はBMIが35kg/m2以上40kg/m2未満の状態であり;用語「クラスIII肥満」はBMIが40kg/m2以上の状態である。
用語「内臓肥満」は、男性で1.0以上、女性で0.8以上のウエスト・ヒップ比が測定される状態と定義される。それはインスリン抵抗性のリスクと前糖尿病の発生を定義する。
用語「腹部肥満」は通常、ウエスト周囲が男性で>40インチ又は102cm、女性で>35インチ又は94cmの状態と定義される。日本の民族性又は日本の患者に関しては、腹部肥満は男性でウエスト周囲≧85cm、女性で≧90cmと定義される(例えば日本の代謝症候群診断調査委員会参照)。
用語「正常血糖」は、対象が70mg/dL(3.89mmol/L)より高く、100mg/dL(5.6mmoI/L)未満の正常範囲内の空腹時血糖濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という言葉は、医学用語としての通常の意味を有する。
用語「高血糖」は、対象が正常範囲超えの100mg/dL(5.6 mmoI/L)より高い空腹時血糖濃度を有する状態と定義される。「空腹時」という言葉は、医学用語としての通常の意味を有する。
用語「低血糖」は、対象が60〜115mg/dL(3.3〜6.3mmol/L)の正常範囲未満の血糖濃度を有する状態と定義される。
用語「食後高血糖」は、対象が200mg/dL(11.11mmol/L)より高い、食後2時間の血糖又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。
用語「空腹時血糖異常」又は「IFG」は、対象が100〜125mg/dl(すなわち5.6〜6.9mmol/l)の範囲、特に110mg/dLより高く126mg/dI(7.00mmol/L)未満の空腹時血糖濃度又は空腹時血清グルコース濃度を有する状態と定義される。「正常空腹時グルコース」の対象は、100mg/dl未満、すなわち5.6mmol/l未満の空腹時グルコース濃度を有する。
【0065】
用語「耐糖能障害」又は「IGT」は、対象が140mg/dL(7.78mmol/L)より高く200mg/dL(11.11mmol/L)未満の食後2時間の血糖又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。異常な耐糖能、すなわち食後2時間の血糖又は血清グルコース濃度は、絶食後75gのグルコースを摂取した2時間後の血漿1dL当たりのmgのグルコースで血糖値として測定され得る。「正常な耐糖能」の対象は、140mg/dL(7.78mmol/L)未満の食後2時間の血糖又は血清グルコース濃度を有する。
用語「高インスリン血症」は、インスリン抵抗性の対象(正常血糖を有するか又は そうでない)が、ウエスト・ヒップ比<1.0(男性)又は<0.8(女性)を有するインスリン抵抗性でない正常な痩せた個体より高い空腹時若しくは食後血清又は血漿インスリン濃度を有する状態と定義される。
用語「インスリン感作」、「インスリン抵抗性改善」又は「インスリン抵抗性低減」は同義であり、互換的に用いられる。
用語「インスリン抵抗性」は、正常血糖状態を維持するために糖負荷への正常反応を超える循環インスリンレベルが必要とされる状態と定義される(Ford ES, et al. JAMA. (2002) 287:356-9)。インスリン抵抗性の判定方法は、正常血糖-高インスリン血症クランプ試験である。併用インスリン-グルコース注入法の範囲内でインスリン対グルコースの比を決定する。グルコース吸収が、調査されるバックグラウンド集団の25位パーセンタイル未満である場合にインスリン抵抗性であることが分かる(WHO定義)。静脈内グルコース負荷試験中に、血液中のインスリンとグルコースの濃度を一定の時間間隔で測定し、これらからインスリン抵抗性を計算する、いわゆる最小モデルはクランプ試験より面倒でない。この方法では、肝性インスリン抵抗性と末梢性インスリン抵抗性を区別できない。
さらに、インスリン抵抗性の信頼できる指標である「インスリン抵抗性指数(homeostasis model assessment to insulin resistance)(HOMA-IR)」スコアを評価することによって、インスリン抵抗性、インスリン抵抗性患者の治療に対する反応、インスリン感受性及び高インスリン血症を定量化し得る(Katsuki A, et al. Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。さらにインスリン感受性についてのHOMA-指数の決定方法(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、未変化プロインスリン対インスリンの比の決定方法(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)及び正常血糖クランプ試験を参照されたい。加えて、インスリン感受性の有望な代用として血漿アディポネクチンレベルをモニターすることができる。下記式:
HOMA-IR=[空腹時血清インスリン(μU/mL)]×[空腹時血漿グルコース(mmol/L)/22.5]
を用いてインスリン抵抗性指数(HOMA)-IRスコアによってインスリン抵抗性の推定値を計算する(Galvin P, et al. Diabet Med 1992;9:921-8)。
原則として、インスリン抵抗性を評価するための毎日の診療では他のパラメーターを使用する。例えば、トリグリセリドレベル上昇はインスリン抵抗性の存在と有意に相関するので、好ましくは患者のトリグリセリド濃度を利用する。
【0066】
IGT又はIFG又は2型糖尿病の発症の素因がある患者は、正常血糖と高インスリン血症を有する当該患者であり、定義によって、インスリン抵抗性である。インスリン抵抗性の典型的患者は、通常は過体重又は肥満である。インスリン抵抗性を検出できれば、これは前糖尿病の存在の特に強い徴候である。従って、このような人はグルコース恒常性を維持するために健康な人より2〜3倍のインスリンが必要であり、そうでないと何らかの臨床症状をもたらし得る。
膵臓β細胞の機能を調査するための方法は、インスリン感受性、高インスリン血症又はインスリン抵抗性に関する上記方法と同様であり:例えばβ細胞機能についてHOMA-指数(Matthews et al., Diabetologia 1985, 28: 412-19)、未変化プロインスリン対インスリンの比(Forst et al., Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、経口糖負荷試験若しくは食事負荷試験後のインスリン/C-ペプチド分泌を決定することによって、又は高血糖クランプ試験及び/若しくは高頻度サンプリング静脈内糖負荷試験後の最小モデリング(Stumvoll et al., Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を利用することによって、β細胞機能の改善を測定することができる。
用語「前糖尿病」は、個体が2型糖尿病を発症しやすい状態である。前糖尿病は、耐糖能障害の定義を拡大して、高い正常範囲内(≧100mg/dL)の空腹時血糖(J. B. Meigs, et al. Diabetes 2003; 52:1475-1484)及び空腹時高インスリン血症(血漿インスリン濃度上昇)を有する個体を包含する。前糖尿病を重大な健康脅威として特定するための科学的及び医学的基礎は、米国糖尿病学会並びに糖尿病及び消化器及び肝臓疾患の国立研究所(American Diabetes Association and the National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)によって共同発行された表題「2型糖尿病の予防又は遅延(The Prevention or Delay of Type 2 Diabetes)」の状況声明(Position Statement)で説明されている(Diabetes Care 2002; 25:742-749)。
【0067】
インスリン抵抗性を有する可能性がある個体は、下記性状:1)過体重又は肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4)1人以上のIGT若しくはIFG若しくは2型糖尿病と診断された第一度近親者;の2つ以上を有する当該個体である。これらの個体ではHOMA-IRスコアを計算することによってインスリン抵抗性を確認することができる。この発明の目的では、インスリン抵抗性は、個体がHOMA-IRスコア>4.0又はグルコース及びインスリンアッセイを行なう検査室のために定義された正常の上限を超えるHOMA-IRスコアを有する臨床状態と定義される。
用語「2型糖尿病」は、対象が125mg/dL(6.94mmol/L)より高い空腹時血糖又は血清グルコース濃度を有する状態と定義される。血糖値の測定は、日常的医学分析の標準手順である。糖負荷試験を行なうと、糖尿病患者の血糖値は、空の胃に75gのグルコースを摂取した2時間後に血漿1dL当たり200mgのグルコース(11.1mmol/l)を超えるであろう。糖負荷試験では10〜12時間の絶食後に被験患者に75gのグルコースを経口投与し、グルコース摂取直前及びグルコース摂取1時間後と2時間後に血糖値を記録する。健康な対象では、グルコースを摂取する前の血糖値が血漿1dL当たり60〜110mgであり、グルコース摂取1時間後には200mg/dL未満であり、2時間後に140mg/dL未満である。2時間後には血糖値が140〜200mgである場合、これは耐糖能異常とみなされる。
用語「後期2型糖尿病」には、二次薬物で失敗した患者、インスリン療法が必要な患者、及び微小血管及び大血管合併症、例えば糖尿病性腎症、又は冠動脈心疾患(CHD)に進行している患者が含まれる。
【0068】
用語「HbA1c」は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化産物を意味する。当業者にはその定量法が周知である。糖尿病の治療をモニターする際にはHbA1c値が極めて重要である。その生成は本質的に血糖値及び赤血球の生命に依存するので、「血糖記憶」という意味のHbA1cは、先行する4〜6週間の平均血糖値を反映する。HbA1c値が集中的な糖尿病治療によって常に良く調整される(すなわちサンプル中の総ヘモグロビン<6.5%)糖尿病患者は、糖尿病性微小血管障害に対して有意に良く保護されている。例えば、メトホルミンはそのままで糖尿病患者のHbA1c値の1.0〜1.5%のオーダーの平均的改善を達成する。HbA1c値のこの減少は、全ての糖尿病患者が<6.5%、好ましくは<6%のHbA1c値の所望の目標範囲を達成するためには十分でない。
「不十分な血糖コントロール」又は「不適切な血糖コントロール」は本発明の範囲内では、患者が6.5%超え、特に7.0%超え、さらに好ましくは7.5%超え、特に8%超えのHbA1c値を示す状態を意味する。
「症候群X」とも呼ばれ(代謝障害の文脈で使用されるとき)、「代謝異常症候群」とも呼ばれる「代謝症候群」は、インスリン抵抗性という基本的特徴を有する複合症候群である(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol 2002;156:1070-7)。ATP III/NCEP指針(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497)によれば、以下の危険因子の3つ以上が存在する場合に代謝症候群と診断される。
1. ウエスト周囲が男性で>40インチ又は102cm、女性で>35インチ又は94cmと定義され;或いは日本の民族性又は日本の患者に関しては、ウエスト周囲が男性で≧85cm、女性で≧90cmと定義される腹部肥満;
2. トリグリセリド:≧150mg/dL
3. 男性でHDL-コレステロール<40mg/dL
4. 血圧≧130/85mmHg(SBP≧130又はDBP≧85)
5. 空腹時血糖≧100mg/dL。
NCEP定義は検証されている(Laaksonen DE, et al. Am J Epidemiol. (2002) 156:1070-7)。血液中のトリグリセリド及びHDLコレステロールを医学分析の標準的方法で決定することもでき、例えばThomas L (Editor): “Labor und Diagnose“, TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
常用されている定義によれば、収縮期血圧(SBP)が140mmHgの値を超え、かつ拡張期血圧(DBP)が90mmHgの値を超えると、高血圧と診断される。患者が顕性糖尿病を患っている場合現在は、収縮期血圧を130mmHg未満のレベルに低減させ、かつ拡張期血圧を80mmHg未満に下げることが推奨されている。
【0069】
本発明の範囲内の用語「SGLT2阻害薬」は、化合物、特にグルコピラノシル誘導体、すなわちナトリウム・グルコース輸送体2(SGLT2)、特にヒトSGLT2に対して阻害作用を示すグルコピラノシル成分を有する化合物に関連する。IC50として測定されるhSGLT2に対する阻害作用は、好ましくは1000nM未満、なおさらに好ましくは100nM未満、最も好ましくは50nM未満である。文献公知の方法によって、特に出願WO2005/092877又はWO2007/093610(ページ23/24)に記載されているように(参照によってその全体が本明細書に援用される)、hSGLT2に対する阻害作用を決定することができる。用語「SGLT2阻害薬」は、そのいずれの医薬的に許容できる塩、その水和物及び溶媒和物をも含み、それぞれの結晶形をも包含する。
【0070】
「治療」及び「治療する」という用語は、特に顕在型の前記状態を既に発症している患者の治療法を含む。治療法は、特異的な適応症の症状を軽減するための対症療法或いは適応症の状態を逆転させるか若しくは部分的に逆転させるため又は疾患の進行を停止若しくは減速させるための原因療法であってよい。従って、本発明の組成物及び方法を例えば長期間の治療法として並びに慢性療法のために使用し得る。
「予防的に治療する」、「予防的治療」及び「予防」という用語は互換的に使用され、前述した状態の発生のリスクがある患者の治療、それによって前記リスクを減少させることを含む。
用語「錠剤」はコーティングのない錠剤及び1以上のコーティングのある錠剤を含む。さらに用語「錠剤」は、1、2、3又は4以上の層を有する錠剤及びプレスコーティン錠を含み、前記タイプの各錠剤は1以上のコーティングを含まなくても含んでもよい。用語「錠剤」は、ミニ、メルト、咀嚼可能、発泡性及び経口的に崩壊する錠剤をも含む。
用語「薬局方(pharmacopoe)」及び「薬局方(pharmacopoeia)」は、標準的薬局方、例えば「第2補足によるUSP 31-NF 26」(United States Pharmacopeial Convention)又は「欧州薬局方6.3」(European Directorate for the Quality of Medicines and Health Care, 2000-2009)を指す。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】化合物(I.9)の結晶形(I.9X)のX腺粉末ディフラクトグラムを示す。
【図2】化合物(I.9)の結晶形(I.9X)のDSCによる熱分析及び融点の決定を示す。
【図3A】本発明の化合物のZDFラットへの投与の血糖値の結果を示す。
【図3B】本発明の化合物のZDFラットへの投与の血糖AUCの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
(詳細な説明)
本発明の態様、特に医薬組成物、方法及び使用は、前記及び後記定義どおりのSGLT2阻害薬に関係する。
好ましくはSGLT2阻害薬は下記式(I)
【0073】
【化16】

【0074】
(式中、R1は、Cl、メチル又はシアノを表し;R2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシを表し、かつR3は、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す)
のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体;又は前記SGLT2阻害薬の1つのプロドラッグから選択される。
式(I)の化合物及びそれらの合成方法は、例えば以下の特許出願に記載されている:WO2005/092877、WO2006/117360、WO2006/117359、WO2006/120208、WO2006/064033、WO2007/031548、WO2007/093610、WO2008/020011、WO2008/055870。
上記式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体では、置換基の以下の定義が好ましい。
好ましくはR1がクロロ又はシアノ、特にクロロを表す。
好ましくはR2がHを表す。
好ましくはR3が(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す。
式(I)の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、下記化合物(I.8)〜(I.11)の群から選択される。
【0075】
【化17】

【0076】
式(I)のなおさらに好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.8)、(I.9)及び(I.11)から選択される。
式(I)のなおさらに好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、化合物(I.8)及び(I.9)から選択される。
この発明により、式(I)の上掲グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の定義は、それらの水和物、溶媒和物及びそれらの多形相、並びにそれらのプロドラッグをも含むものと解釈すべきである。好ましい化合物(I.8)に関しては、国際特許出願WO2006/117360(これによって本明細書にその全体が援用される)に有利な結晶形が記載されている。好ましい化合物(I.9)に関しては、国際特許出願WO2006/117359(これによって本明細書にその全体が援用される)に有利な結晶形が記載されている。好ましい化合物(I.11)に関しては、国際特許出願WO2008/049923(これによって本明細書にその全体が援用される)に有利な結晶形が記載されている。これらの結晶形は、SGLT2阻害薬の良いバイオアベイラビリティーを可能にする良い溶解特性を有する。さらに、該結晶形は物理化学的に安定なので、医薬組成物の良い有効期間安定性をもたらす。
いかなる疑いも避けるため、特定したSGLT2阻害薬と関連して上で引用した前記文献のそれぞれの開示は、参照によってその全体が本明細書に具体的に援用される。
化合物(I.9)の好ましい結晶形(I.9X)は、18.84、20.36及び25.21度2Θ(±0.1度2Θ)にピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。ここで、前記X線粉末回折パターン(XRPD)は、CuKα1線を用いて作られる。
特に前記X線粉末回折パターンは、14.69、18.84、19.16、19.50、20.36及び25.21度2Θ(±0.1度2Θ)にピークを含む。ここで、前記X線粉末回折パターン(XRPD)は、CuKα1線を用いて作られる。
特に前記X線粉末回折パターンは、14.69、17.95、18.43、18.84、19.16、19.50、20.36、22.71、23.44、24.81、25.21及び25.65度2Θ(±0.1度2Θ)にピークを含む。ここで、前記X線粉末回折パターン(XRPD)は、CuKα1線を用いて作られる。
さらに詳細には、結晶形(I.9X)は、表1に記載の度2Θ(±0.1度2Θ)にピークを含む、CuKα1線を用いて作られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0077】
表1:結晶形(I.9X)のX線粉末回折パターン(30°2Θまでのピークのみを掲載):

【0078】
なおさらに詳細には、結晶形(I.9X)は、図1に示す度2Θ(±0.1度2Θ)にピークを含む、CuKα1線を用いて作られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
さらに結晶形(I.9X)は、約149℃±3℃(DSCによって決定;開始温度として評価;加熱速度10K/分)の融点によって特徴づけられる。得られたDSC曲線を図2に示す。
本発明の範囲内では、位置敏感型検出器(OED)及びX線源(CuKα1線、λ=1,54056Å、40kV、40mA)としてCuアノードが装着されたトランスミッションモードのSTOE-STADI P-回折計を用いて、X線粉末回折パターンを記録する。上表1中、値「2Θ[°]」は、度での回折角を表し、値「d[Å]」は、格子面間のÅでの特定距離を表す。図1に示す強度は、cps(1秒毎のカウント)の単位で与えられている。
実験誤差を考慮に入れるため、上記2Θ値は正確には±0.1度2Θ、特に±0.05度2Θと考えるべきである。すなわち、化合物(I.9)の結晶の所定サンプルが本発明の結晶形であるかを評価するとき、該サンプルについて実験的に観察された2Θ値が、上記特性値の±0.1度2Θの範囲に入れば、特に上記特性値の±0.05度2Θの範囲に入れば、そのサンプルは上記特性値と同一とみなすべきである。
融点は、DSC 821(Mettler Toledo)を用いてDSC(示差走査熱量測定)によって決定される。
【0079】
一実施形態では、本発明の医薬組成物又は剤形は化合物(I.9)を含み、該化合物(I.9)の少なくとも50質量%が前記定義どおりのその結晶形(I.9X)の形態である。好ましくは前記組成物又は剤形では、化合物(I.9)の少なくとも80質量%、さらに好ましくは少なくとも90質量%が前記定義どおりのその結晶形(I.9X)の形態である。
活性医薬成分に関しては、医薬組成物及び剤形の溶解特性がとりわけそれぞれの活性医薬成分の粒径及び粒径分布の影響を受けることが分かる。本発明の医薬組成物及び医薬剤形では、活性医薬成分は好ましくは、体積による分布に関して、それぞれの活性医薬成分粒子の少なくとも90%が200μm未満の粒径、すなわちX90<200μmを有するような粒径分布を有する。
特に、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)又はその結晶形(I.9X)に関して、粒径、特に粒径と粒径分布が製造可能性に影響し、特に小さ過ぎる粒子、特に多くの小さ過ぎる粒子(例えばいわゆる「微粒子」、すなわち63μm未満の粒子)は錠剤化中に固着(sticking)又はフィルミング(filming)によって、製造可能性に影響を及ぼすことが分かった。他方で大き過ぎる粒径は、医薬組成物及び剤形の溶解特性、ひいてはバイオアベイラビリティーに悪影響を与える。以下に粒径分布の好ましい範囲について述べる。
従って、一態様において、本発明の医薬組成物及び医薬剤形では、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)、好ましくはその結晶形(I9.X)は、好ましくはそれぞれの活性医薬成分の少なくとも90%が200μm未満の粒径を有するような粒径分布(体積による)、すなわちX90<200μm、好ましくはX90≦150μmを有する。さらに好ましくはX90≦100μm、なおさらに好ましくはX90≦90μmであるような粒径分布である。加えて、X90≧1μm、さらに好ましくはX90≧5μm、なおさらに好ましくはX90≧10μmであるような粒径分布が好ましい。従って、1μm≦X90<200μm、特に1μm≦X90≦150μm、さらに好ましくは5μm≦X90≦150μm、なおさらに好ましくは5μm≦X90≦100μm、なおさらに好ましくは10μm≦X90≦100μmであるような粒径分布が好ましい。好ましい例は、X90≦75μmである。別の好ましい例は20μm≦X90≦50μmである。本発明の別の粒径は10μm≦X90≦75μmである。本発明の別の粒径は60μm≦X90≦150μmである。
さらに本発明の医薬組成物及び医薬剤形では、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)、好ましくはその結晶形(I9.X)は、好ましくはX50≦90μm、さらに好ましくはX50≦75μm、なおさらに好ましくはX50≦50μm、最も好ましくはX50≦40μmであるような粒径分布(体積による)を有する。加えてX50≧1μm、さらに好ましくはX50≧5μm、なおさらに好ましくはX50≧8μmであるような粒径分布が好ましい。従って、好ましい粒径分布は、1μm≦X50≦90μm、特に1μm≦X50≦75μm、さらに好ましくは5μm≦X50≦75μm、なおさらに好ましくは5μm≦X50≦50μmであるようなものである。好ましい例は8μm≦X50≦40μmである。
さらに本発明の医薬組成物及び医薬剤形では、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)、好ましくはその結晶形(I9.X)は、好ましくはX10≧0.1μm、さらに好ましくはX10≧0.5μm、なおさらに好ましくはX10≧1μm、特にX10≧2μmであるような粒径分布(体積による)を有する。加えて、X10≦10μm、さらに好ましくはX10≦5μmであるような粒径分布が好ましい。従って好ましい粒径分布は0.5μm≦X10≦10μm、特に1μm≦X10≦5μmであるようなものである。
従って、この発明の医薬組成物又は医薬剤形は、好ましくは上記粒径分布X90、X50及び/又はX10或いは下記実施形態の1つによって特徴づけられる。
【0080】


【0081】
値X90は、レーザー回折計を用いて測定した体積分布の90%値を意味する。言い換えれば、本発明の目的では、X90値は、粒子の量の90%が体積分布に基づいてその粒径未満であることが分かる粒径を表す。同様にX50値は、レーザー回折計を用いて測定した体積分布の50%値(メジアン)を意味する。言い換えれば、本発明の目的では、X50値は、粒子の量の50%が体積分布に基づいてその粒径未満であることが分かる粒径を表す。同様にX10値は、レーザー回折計を用いて測定した体積分布の10%値を意味する。言い換えれば、本発明の目的では、X10値は、粒子の量の10%が体積分布に基づいてその粒径未満であることが分かる粒径を表す。
好ましくは前記及び後記の全てのX90、X50、X10値は、体積によるものであり、かつレーザー回折法、特に低角レーザー光散乱、すなわちフラウンホーファー(Fraunhofer)回折によって決定される。好ましい試験については実験セクションで記載する。レーザー回折法は、粒子の体積に敏感であり、体積-平均粒径を与える。これは密度が一定の場合は質量-平均粒径と等価である。当業者は、ある技法による粒径分布決定の結果が、例えば日常の実験による経験的根拠に基づいた別の技法による結果と相関し得ることを知っている。或いは顕微鏡、特に電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって医薬組成物又は剤形の粒径分布を決定することができる。
【0082】
以下、本発明の医薬組成物に適した賦形剤及び担体についてさらに詳述する。
本発明の医薬組成物は、典型的に1種以上の希釈剤と、1種以上の崩壊剤と、必要に応じて1種以上の結合剤とを含む。賦形剤には同時に2つ以上の機能を有するものがあり、例えば充填剤としてかつ結合剤として作用する。
本発明の適切な希釈剤(充填剤とも呼ばれる)は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、セルロースと誘導体、例えば粉末セルロース、微結晶性セルロース又はケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、デンプンと誘導体、例えばアルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、滅菌トウモロコシ、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、特に二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム又はリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストラート、デキストリン、D-ソルビトールスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリスリトール、イソマルト(isomalt)、カオリン及びラクチトールである。好ましい希釈剤はラクトース一水和物及び微結晶性セルロースである。
本発明の適切な崩壊剤は、例えば粉末セルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ドクサートナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、微結晶性セルロース、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、ナトリウムデンプングリコラート、デンプン、特にアルファ化デンプン及びトウモロコシデンプンである。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
医薬組成物で普通に使われるいずれの結合剤も本発明の文脈で使用し得る。結合剤は、例えば天然に存在するか又は部分的若しくは全体的合成ポリマーであり、アカシア、寒天、アルギン酸、カルボマー、カルメロースナトリウム、カラギーナン、セルロースアセタートフタラート、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストラート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、デンプンとその誘導体、例えばアルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、トラガカント、グアーガム、水素化植物油、イヌリン、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリラート、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにそれらの誘導体及び混合物から選択される。好ましい結合剤は微結晶性セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。
【0083】
一態様では、医薬組成物又は剤形の調製用の微細粒径の結合剤を用いて小粒子の量を減少させる。従って、一実施形態では、本発明の組成物中の結合剤が微細粒径の結合剤であり、本発明は、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)又はその結晶形(I.9X)と、微細粒径の結合剤とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、結合剤の粒子の少なくとも99%(質量で)が250μm以下である。一実施形態では、結合剤の粒子の少なくとも99.5%が250μm以下である。例えば、本発明の組成物中の結合剤がヒドロキシプロピルセルロースKlucel EXFである。微細粒径の結合剤の別の例はCopovidone Kollidon VA 64ファインである。
一態様において、本発明で低粘度のヒドロキシプロピルセルロースを使用する。異なる分子量値、例えば80,000、95,000、140,000、370,000、850,000及び1,150,000を有する数グレードのヒドロキシプロピルセルロースが利用可能である。低分子量のヒドロキシプロピルセルロースは低粘度を有し、高分子量のヒドロキシプロピルセルロースは高粘土となる。本発明の医薬組成物又は剤形では、ヒドロキシプロピルセルロースの低粘度が好ましい。従って、一実施形態では、370,000以下の分子量のヒドロキシプロピルセルロースグレードを本発明の医薬組成物又は剤形で使用する。別の実施形態では、140,000以下の分子量のヒドロキシプロピルセルロースグレードを本発明の医薬組成物又は剤形で使用する。別の実施形態では、80,000又は95,000の分子量値のヒドロキシプロピルセルロースグレードを本発明の医薬組成物又は剤形で使用する。
【0084】
本発明の医薬組成物は1種以上の潤沢剤を含んでもよい。本発明の適切な潤沢剤は、ステアリン酸及びその塩であり、タルク、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、グリセリルモノステアラート、特にステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、特に約4400〜約9000の範囲の分子量のポリエチレングリコール、水素化ヒマシ油、脂肪酸、例えばフマル酸、及び脂肪酸の塩、特に脂肪酸のカルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウム塩、例えばベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウム(例えば(例えばHyQual(登録商標)、Mallinckrodt)、グリセリド、例えばベヘン酸グリセリル(Compritol(登録商標)888)、Dynasan(登録商標)118又はBoeson(登録商標)VPが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、1種以上の流動促進剤を含んでもよい。本発明の適切な流動促進剤は、二酸化ケイ素、特にコロイド状二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、ステアリン酸並びにそれらの塩であり、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム及びタルクが挙げられる。好ましい流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素及びタルクである。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0085】

【0086】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0087】

【0088】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0089】

【0090】
活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0091】

【0092】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0093】

【0094】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0095】

【0096】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0097】

【0098】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0099】


【0100】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は下記成分を含む。
【0101】

【0102】
一態様では、活性成分が式(I)、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)である。
一実施形態では、本発明の医薬組成物中の前記崩壊剤と前記結合剤の比が、1.5:3.5〜1:1である。
一態様では、式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)又はその結晶形(I.9X)に関して、活性成分の量が医薬組成物又は剤形の製造可能性に影響すること、特に高濃度の活性成分は錠剤化中に固着又はフィルミングによって製造可能性に影響することが分かった。従って、一実施形態では、活性成分が医薬組成物の質量の25%以下に相当する。別の実施形態では、活性成分が医薬組成物の質量の20%以下、好ましくは15%以下に相当する。好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の0.5%〜25%に相当する。さらに好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の1.0%〜20%に相当する。なおさらに好ましくは、活性成分が医薬組成物の質量の2.0%〜15%に相当する。
以下、この発明の医薬剤形で使用するグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の量の好ましい範囲を示す。これらの範囲は、成人患者、特に例えば約70kgの体重のヒトについて1日に投与すべき量を表し、かつ投与については1日に2、3、4又はそれより多い回数に応じて、また他の投与経路及び患者の年齢についてそれ相応に適応させ得る。薬用量及び量の範囲は該活性成分に合わせて計算される。
グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、特に化合物(I.9)又はその結晶形(I.9X)の好ましい量は、0.5〜100mg、好ましくは0.5〜50mg、なおさらに好ましくは1〜25mg、なおさらに好ましくは5〜25mgの範囲である。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の好ましい薬用量は、例えば1mg、2mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、20mg、25mg及び50mgである。
本発明の医薬組成物を錠剤、カプセル剤又はフィルムコーティング錠に含めてよい。
一実施形態では、本発明の医薬組成物を含む錠剤がステアリン酸マグネシウム等の潤沢剤を含む。該潤沢剤は前記錠剤中に0.25〜2%の濃度で存在してよい。
一実施形態では、本発明の医薬組成物を含む錠剤がコロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤を含む。該流動促進剤は前記錠剤中に0.25〜2%の濃度で存在してよい。
本発明の錠剤をフィルムコーティングしてよい。典型的にフィルムコーティングは組成物全体の2〜5質量%に相当し、好ましくはフィルム形成剤、可塑剤、粘着防止剤及び必要に応じて1種以上の色素を含む。典型的なコーティング組成物はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、タルク、二酸化チタン及び必要に応じて酸化鉄(酸化鉄レッド及び/又はイエローを含めて)を含んでよい。
例えば、本発明のフィルムコーティングは、50%のヒプロメロース、5%のマクロゴール、24.75%の酸化チタン、20%のタルク及び0.25%の酸化鉄イエロー(Opadryイエロー02B38190)を含む。
一態様では、本発明のフィルムコーティングが下記成分を含む。
【0103】

【0104】
一実施形態では、本発明の医薬剤形は、45分後に医薬活性成分の少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90質量%が溶解されるような溶解特性を有する。別の実施形態では、30分後に医薬活性成分の少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90質量%が溶解される。別の実施形態では、15分後に医薬活性成分の少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%が溶解される。例えばUSP31-NF26 S2、第711章(溶解)のような薬局方に記載されているように、標準的な溶解試験で溶解特性を決定することができる。
一実施形態では、本発明の医薬剤形は、40分以内、或いは30分以内、好ましくは20分以内、さらに好ましくは15分以内、なおさらに好ましくは10分以内で医薬剤形が崩壊されるような崩壊特性を有する。例えばUSP31-NF26 S2、第701章(崩壊)のような薬局方に記載されているように、標準的な崩壊試験で崩壊特性を決定することができる。
一実施形態では、本発明の医薬剤形は、医薬成分について高い含量均一性、好ましくは85〜115%、さらに好ましくは90〜110%、なおさらに好ましくは95〜105質量%の範囲内の含量均一性を有する。例えば薬局方に記載されているように、例えばランダムに選択した10の医薬剤形を用いて、含量均一性を決定することができる。
【0105】
この発明の剤形、例えば錠剤、カプセル剤又はフィルムコーティング錠は、当業者に周知の方法で調製される。
錠剤の適切な製造方法は、粉末形態の医薬組成物の圧縮、すなわち直接圧縮、又は顆粒形態の医薬組成物と、必要な場合は追加の賦形剤との圧縮である。
本発明の医薬組成物の顆粒は、当業者に周知の方法で調製される。賦形剤と共に活性成分を造粒するための好ましい方法には、湿式造粒、例えば高せん断湿式造粒及び流動床湿式造粒、ローラーコンパクションとも呼ばれる乾式造粒がある。
湿式造粒方法では、造粒液は溶媒だけであるか或いは溶媒又は溶媒混合物中の1種以上の結合剤の製剤である。適切な結合剤については上述してある。例はヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン及びコポビドンである。適切な溶媒は、例えば精製水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、好ましくは精製水であり、その混合物が含まれる。溶媒は、揮発性成分であり、最終製品には残らない。1種以上の活性成分と、他の賦形剤、普通は潤沢剤以外、特に1種以上の希釈剤及び1種以上の崩壊剤とを前混合し、例えば高せん断造粒機を用いて造粒液で造粒する。湿式造粒工程の後に普通は1以上の乾燥及びふるい分け工程がある。例えば次に乾燥のため流動床乾燥機を使用することができる。
乾燥した顆粒を適切なふるいを通してふるい分けする。必要に応じて潤沢剤以外の他の賦形剤、特に崩壊剤、結合剤、充填剤及び/又は流動促進剤を添加後、混合物を適切なブレンダー、例えば自由落下ブレンダー内でブレンドした後、1種以上の潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを添加し、ブレンダー内で最終ブレンディングを行なう。
【0106】
本発明の医薬組成物を作るための典型的な湿式造粒方法は以下の工程を含む:
(1)活性成分と、結合剤を含めた賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)造粒液、好ましくは精製水を添加することによって工程(1)の前混合物を造粒する工程;
(3)工程(2)の顆粒を流動床乾燥機又は乾燥オーブン内で乾燥させる工程;
(4)工程(3)の乾燥顆粒を必要に応じて乾式ふるい分けする工程;
(5)工程(4)の乾燥顆粒をミキサー内で充填剤(希釈剤とも呼ばれる)、結合剤、崩壊剤及び/又は流動促進剤などの残りの賦形剤と混合して主混合物を得る工程;
(6)工程(5)の主混合物をミキサー内で潤沢剤と混合して最終混合物を得る工程;
(7)工程(6)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(8)工程(7)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程。
一態様において、湿式造粒後に希釈剤の一部を例えば乾燥添加物として供給すると、医薬組成物又は剤形の製造中の固着及び/又はフィルミングを減少させることが分かった。湿式造粒後に追加の希釈剤を添加すると、剤形の物理的安定性(錠剤硬度)を改善することもできる。従って、一実施形態では、本発明の湿式造粒方法において、湿式造粒後、例えば上記工程(5)などで乾燥添加物として希釈剤を添加する。一実施形態では、湿式造粒後、例えば上記工程(5)などで乾燥添加物として添加する希釈剤の量は、錠剤(フィルムコーティングなし)の質量の1%〜20%、好ましくは錠剤(フィルムコーティングなし)の質量の2.5%〜10%である。該希釈剤は、例えば微結晶性セルロースである。該希釈剤を上記工程(1)及び工程(5)で添加してよい。
一態様では、本発明の医薬組成物が高せん断湿式造粒で生成される。
本発明は、上記方法で得られる医薬組成物をも提供する。
【0107】
医薬組成物を作るための本発明の典型的な直接圧縮方法は以下の工程を含む:
(1)活性成分と賦形剤の主要部分をミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)凝集性粒子を分離するため及び含量均一性を改善するため、必要に応じて該前混合物をふるいを通して乾式ふるい分けする工程;
(3)ミキサー内で工程(1)又は(2)の前混合物を混合し、必要に応じて残りの賦形剤を混合物に添加して混合を続ける工程;
(4)工程(3)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(5)工程(4)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程。
本発明は、上記方法で得られる医薬組成物をも提供する。
【0108】
医薬組成物を作るための本発明の典型的な乾式造粒方法は以下の工程を含む:
(1)活性成分を賦形剤の全て又は一部とミキサー内で混合する工程;
(2)工程(1)の混合物を適切なローラー圧縮機で圧縮する工程;
(3)工程(2)中に得られたリボンを適切な製粉又はふるい分け工程によって顆粒、好ましくは小さい顆粒の状態にする工程;
(4)工程(3)の顆粒を必要に応じてミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(5)工程(3)の顆粒又は工程(4)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(6)工程(5)の錠剤コアを必要に応じて非機能性コーティング剤でフィルムコーティングする工程。
【0109】
一実施形態では、本発明の顆粒のサイズは、25〜800μm、例えば40μm〜500μmの範囲である。ふるい分析によって、例えば音波ふるいを用いて顆粒のサイズを測定できる。一実施形態では、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、又は少なくとも95質量%の顆粒が所定範囲内である。
一実施形態では、本発明の医薬組成物又は剤形は、例えば後述するように、対象に投与後、特にヒトに投与後、特徴的な薬物動態プロファイルを示す。
従って、一実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、40.3〜96.3nmol/LのCmax;及び677nmol*h/LのAUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、52.9〜66.6nmol/Lの幾何平均Cmax;及び394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、5.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、123〜230nmol/LのCmax;及び1,000〜1,310nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、10.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、143〜796nmol/LのCmax;及び1,170〜3,190nmol*h/LのAUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、10.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、25.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、334〜1,030nmol/LのCmax;及び2,660〜7,640nmol*h/LのAUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、25.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び3,750〜6,130nmol*h/Lの幾何平均AUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、50.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、722〜2,020nmol/LのCmax;及び6,450〜14,100nmol*h/LのAUCを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、50.0mgの用量で空腹時のヒトに投与されると、1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cmax;及び8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC0-infを示す。
【0110】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、
a) 2.5mgの用量で
i. 40.3〜96.3nmol/LのCmax;及び
ii. 283〜677nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
b) 5.0mgの用量で
i. 123〜230nmol/LのCmax;及び
ii. 1,000〜1,310nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
c) 10.0mgの用量で
i. 143〜796nmol/LのCmax;及び
ii. 1,170〜3,190nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
d) 25.0mgの用量で
i. 334〜1,030nmol/LのCmax;及び
ii. 2,660〜7,640nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
e) 50.0mgの用量で
i. 722〜2,020nmol/LのCmax;及び
ii. 6,450〜14,100nmol*h/LのAUC
を示す。
【0111】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの用量で
iii. 52.9〜66.6nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
iv. 394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの用量で
i. 221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの用量で
i. 490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 3,750〜6,130nmol*h/LのAUC
を示し;及び/又は
d. 50.0mgの用量で
i. 1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cma;及び
ii. 8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC
を示す。
【0112】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、42.8〜81.2nmol/LのCmax;及び326〜631nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、2.5mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、52.9〜61.3nmol/Lの幾何平均Cmax;及びof 394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、5.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、123〜230nmol/LのCmax;及び1,000〜1,310nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、10.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、143〜796nmol/LのCmax;及び1,170〜3,190nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、10.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、25.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、334〜1,030nmol/LのCmax;及び2,660〜7,170nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、25.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び3,750〜6,130nmol*h/Lの幾何平均AUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、50.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、722〜2,020nmol/LのCmax;及び6,450〜14,100nmol*h/LのAUC0-infを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、50.0mgの単一用量として空腹時のヒトにされると、1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cmax;及び8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC0-infを示す。
【0113】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに
a. 2.5mgの単一用量として投与されると、
i. 42.8〜81.2nmol/LのCmax;及び
ii. 326〜631nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
b. 5.0mgの単一用量として投与されると、
i. 123〜230nmol/LのCmax;及び
ii. 1,000〜1,310nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
c. 10.0mgの単一用量として投与されると、
i. 143〜796nmol/LのCmax;及び
ii. 1,170〜3,190nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
d. 25.0mgの単一用量として投与されると、
i. 334〜1,030nmol/LのCmax;及び
ii. 2,660〜7,170nmol*h/LのAUC0-inf
を示し;及び/又は
e. 50.0mgの単一用量として投与されると、
i. 722〜2,020nmol/LのCmax;及び
ii. 6,450〜14,100nmol*h/LのAUC0-inf
を示す。
【0114】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに
a. 2.5mgの単一用量として投与されると、
i. 52.9〜61.3nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 394〜468nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの単一用量として投与されると、
i. 221〜372nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 1,690〜2,660nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの単一用量として投与されると、
i. 490〜709nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 3,750〜6,130nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示し;及び/又は
d. 50.0mgの単一用量として投与されると、
i. 1,080〜1,140nmol/Lの幾何平均Cmax;及び
ii. 8,310〜8,460nmol*h/Lの幾何平均AUC0-inf
を示す。
【0115】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、2.5mgの複数回投与で40.3〜96.3nmol/LのCmax,ss;及び283〜677nmol*h/LのAUCτ,ssを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、10.0mgの複数回投与で166〜479nmol/LのCmax,ss;及び1,350〜2,600nmol*h/LのAUCτ,ssを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、10.0mgの複数回投与で252〜272nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び1,850〜2,000nmol*h/Lの幾何平均AUCτ,ssを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、25.0mgの複数回投与で443〜907nmol/LのCmax,ss;及び2,790〜7,640nmol*h/LのAUCτ,ssを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、25.0mgの複数回投与で622〜676nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び4,640〜4,890nmol*h/Lの幾何平均AUCτ,ssを示す。
【0116】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの複数回投与で
i. 40.3〜96.3nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 283〜677nmol*h/LのAUCτ,ss
を示し;及び/又は
b. 10.0mgの複数回投与で
i. 166〜479nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 1,350〜2,600nmol*h/LのAUCτ,ss
を示し;及び/又は
c. 25.0mgの複数回投与で
i. 443〜907nmol/LのCmax,ss;及び
ii. 2,790〜7,640nmol*h/LのAUCτ,ss
を示す。
【0117】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、
a. 10.0mgの複数回投与で
i. 252〜272nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び
ii. 1,850〜2,000nmol*h/Lの幾何平均AUCτ,ss
を示し;及び/又は
b. 25.0mgの複数回投与で
i. 622〜676nmol/Lの幾何平均Cmax,ss;及び
ii. 4,640〜4,890nmol*h/Lの幾何平均AUCτ,ss
を示す。
【0118】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、2.5mg〜50mgの活性成分の用量範囲にわたって前記用量正規化Cmax,norm;及び前記用量正規化AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、2.5mg〜50mgの活性成分の用量範囲にわたって、前記用量正規化幾何平均Cmax,norm及び前記用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに投与されると、5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜287nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、2.5mg〜50mgの活性成分の用量範囲にわたって、前記用量正規化Cmax,norm及び前記用量正規化AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び106〜287nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、2.5mg〜50mgの活性成分の用量範囲にわたって、前記用量正規化幾何平均Cmax,norm及び前記用量正規化幾何平均AUC0-inf,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、空腹時のヒトに単一用量として投与されると、5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、20〜37nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax, norm;及び150〜266nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUC0-inf, normを示す。
【0119】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、16〜48nmol/L/mgの用量正規化Cmax,ss,norm;及び112〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUCτ,ss,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、2.5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、前記用量正規化Cmax,ss,norm及び前記用量正規化AUCτ,ss,normを示す。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、25〜27nmol/L/mgの用量正規化幾何平均Cmax,ss,norm;及び184〜200nmol*h/L/mgの用量正規化幾何平均AUCτ,ss,normを示す。一実施形態では、前記医薬組成物は、複数回投与で空腹時のヒトに投与されると、2.5mg〜25mgの活性成分の用量範囲にわたって、前記用量正規化幾何平均Cmax,ss,norm及び前記用量正規化幾何平均AUCτ,ss,normを示す。
【0120】
この発明が治療又は予防を要する患者に言及する場合、主にヒトの治療及び予防に関するが、哺乳動物の獣医薬においても医薬組成物をそれ相応に使用し得る。この発明の範囲では、成人患者は好ましくは18歳以上の年齢のヒトである。
前述したように、この発明の医薬組成物の投与によって、特にその中のSGLT2阻害薬の高いSGLT2阻害活性を考慮すると、過剰の血糖が患者の尿を介して排泄されるので、結果として体重の増量がなく、体重の減量さえ起こり得る。従って、この発明の治療又は予防は、過体重及び肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓肥満及び腹部肥満から成る群より選択される1つ以上の状態と診断されている該治療又は予防が必要な当該患者に有利に適している。さらにこの発明の治療又は予防は、体重増加が禁忌となる当該患者に有利に適している。本発明の医薬組成物及び方法は、対応する単剤療法又は2種の併用相手のみを使用する療法に比し、より多数の患者及びより長い治療時間に合わせてHbA1c値を所望の目標範囲、例えば<7%、好ましくは<6.5%に低減させ得る。
この発明の医薬組成物、特にその中のSGLT2阻害薬は、血糖コントロールに関して、特に空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)の低減に鑑みて、非常に良い効力を示す。この発明の医薬組成物を投与することによって、好ましくは0.5%以上、なおさらに好ましくは1.0%以上のHbA1cの低減を達成することができ、この低減は特に1.0%〜2.0%の範囲である。
【0121】
さらに、この発明の方法及び/又は使用は、下記状態:
(a)100mg/dLより高い、特に125mg/dLより高い空腹時血糖又は血清グルコース濃度;
(b)140mg/dL以上の食後血漿グルコース;
(c)6.5%以上、特に7.0%以上、特に7.5%以上、なおさらに特に8.0%以上のHbA1c値
の1又は2つ以上を示す当該患者で有利に適用できる。
本発明は、2型糖尿病を有するか又は前糖尿病の最初の兆候を示している患者の血糖コントロールを改善するための医薬組成物の使用をも開示する。このように、本発明は糖尿病予防をも包含する。従って、前糖尿病の上記兆候の1つが現れたらすぐにこの発明の医薬組成物を用いて血糖コントロールを改善すれば、顕性2型糖尿病の発症を遅延させるか又は予防することができる。
さらに、この発明の医薬組成物は、インスリン依存性の患者、すなわちインスリン又はインスリンの誘導体又はインスリンの代用物或いはインスリン又はその誘導体若しくは代用物を含む製剤で治療しているか或いはそうでなくても治療するであろうか又はそれによる治療が必要な患者の治療に特に適している。これらの患者には2型糖尿病患者及び1型糖尿病患者が含まれる。
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、血糖コントロールの改善並びに/或いは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減が必要な、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性、代謝症候群及び/又は2型若しくは1型糖尿病と診断されている患者の前記改善及び/又は低減方法において、前記及び後記定義どおりのSGLT2阻害薬を患者に投与することを特徴とする方法が提供される。
本発明の別の実施形態によれば、食事制限及び運動の補助として、2型糖尿病の患者、特に成人患者の血糖コントロールの改善方法が提供される。
【0122】
この発明の医薬組成物を使用することによって、特に抗糖尿病薬による治療にもかかわらず、例えばメトホルミンによる最大推奨用量又は耐性用量の経口単剤療法にもかかわらず、血糖コントロールが不十分な当該患者でさえ血糖コントロールの改善を達成できることが分かる。メトホルミンに関して最大推奨用量は、例えば1日当たり2000mg又は1日3回850mg又はそのいずれかの等価用量である。
従って、この発明の方法及び/又は使用は、下記状態:
(a)食事制限と運動のみでは不十分な血糖コントロール;
(b)メトホルミンによる経口単剤療法にもかかわらず、特に最大耐性用量のメトホルミンでの経口単剤療法にもかかわらず不十分な血糖コントロール;
(c)別の抗糖尿病薬による経口単剤療法にもかかわらず、特に最大耐性用量の他の抗糖尿病薬での経口単剤療法にもかかわらず不十分な血糖コントロール
の1、2又は3つ以上を示す当該患者に有利に適用できる。
【0123】
この発明のSGLT2阻害薬の投与による血糖レベルの低減はインスリン非依存性である。従って、この発明の医薬組成物は、下記状態:
−インスリン抵抗性、
−高インスリン血症、
−前糖尿病、
−2型糖尿病、特に後期2型糖尿病を有する
−1型糖尿病
の1つ以上を有すると診断されている患者の治療に特に適している。
さらに、この発明の医薬組成物は、下記状態:
(a)肥満(クラスI、II及び/又はIII肥満を含め)、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(b)トリグリセリド血中レベル≧150mg/dL、
(c)HDL-コレステロール血中レベル<40mg/dL(女性患者)及び<50mg/dL(男性患者)、
(d)収縮期血圧≧130mmHg及び拡張期血圧≧85mmHg、
(e)空腹時血糖レベル≧100mg/dL
の1つ以上を有すると診断されている患者の治療に特に適している。
耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群と診断されている患者は、例えば心筋梗塞、冠動脈心疾患、心機能不全、血栓塞栓症などの心血管疾患を発症する高いリスクに苦しむと想定される。この発明の血糖コントロールは、心血管疾患リスクの減少をもたらし得る。
【0124】
この発明の医薬組成物は、良い安全性プロファイルを示す。従って、この発明の治療又は予防は、有利なことに例えばメトホルミン等の別の抗糖尿病薬による単剤療法が禁忌である及び/又は治療用量の該薬物に対して不耐性を有する当該患者で可能である。特に、この発明の治療又は予防は、有利なことに下記障害:腎機能不全若しくは腎疾患、心疾患、心不全、肝疾患、肺疾患、異化状態(catabolytic state)及び/又は乳酸アシドーシスの危険の1つ以上の高いリスクを示すか又は有する当該患者、或いは妊娠してるか又は授乳中の女性患者で可能である。
さらに、この発明の医薬組成物の投与は、低血糖のリスクをもたらさないか又は低いリスクをもたらす。従って、この発明の治療又は予防は、有利なことに低血糖の高いリスクを示すか又は有する当該患者でも可能である。
この発明の医薬組成物は、本明細書で前述及び後述する疾患及び/又は状態の長期治療又は予防、特に2型糖尿病患者の長期血糖コントロールに特に適している。
本明細書で前述及び後述する用語「長期」は、12週間より長い、好ましくは25週間より長い、なおさらに好ましくは1年より長い期間内の患者の治療又は投与を示す。
従って、本発明の特に好ましい実施形態は、2型糖尿病患者、特に後期2型糖尿病患者、特にさらに過体重、肥満(クラスI、クラスII及び/又はクラスIII肥満を含めて)、内臓肥満及び/又は腹部肥満と診断されている患者の血糖コントロールの改善、特に長期改善のための治療方法、好ましくは経口療法を提供する。
【0125】
当然のことながら、本発明の治療又は予防で使うために患者に投与され及び必要とされる量は、投与経路、治療又は予防が必要な状態の性質及び重症度、患者の年齢、体重及び状態、併用薬によって変化し、究極的には付き添い医師の自由裁量であろう。しかしながら、一般に、この発明のSGLT2阻害薬は、その投与によって、治療すべき患者の血糖コントロールを改善するのに十分な量で医薬組成物又は剤形中に含められる。
以下にこの発明の医薬組成物及び方法及び使用において利用すべきSGLT2阻害薬の量の好ましい範囲を示す。これらの範囲は、成人患者、特に例えば約70kgの体重のヒトについて1日に投与すべき量を表し、かつ投与については1日に2、3、4又はそれより多い回数に応じて、また他の投与経路及び患者の年齢についてそれ相応に適応させ得る。本発明の範囲内では、医薬組成物を好ましくは経口投与する。他の投与形態が可能であり、後述する。好ましくはSGLT2阻害薬を含む1つ以上の剤形は経口であるか又は一般的に周知である。
一般に、この発明の医薬組成物及び方法におけるSGLT2阻害薬の量は、好ましくは前記SGLT2阻害薬を使用する単剤療法で一般的に推奨される量である。
SGLT2阻害薬の好ましい薬用量範囲は、1日当たり0.5mg〜200mg、なおさらに好ましくは1〜100mg、最も好ましくは1〜50mgの範囲である。経口投与が好ましい。従って医薬組成物は前述した量、特に1〜50mg又は1〜25mg、なおさらに好ましくは5〜25mgを含み得る。特定の有効成分含量(dosage strength)(例えば1つの錠剤又はカプセル剤について)は、例えば1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25又は50mgのSGLT2阻害薬、例えば式(I)の化合物、特に化合物(I.9)又はその結晶形(I.9X)である。活性成分の適用は、1日3回まで、好ましくは1日1又は2回、最も好ましくは1日1回起こり得る。
別々又は複数の剤形として、好ましくは要素のキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療必要性に柔軟に適合させるための併用療法に有用である。
第1実施形態によれば、要素の好ましいキットは、SGLT2阻害薬と、少なくとも1種の医薬的に許容できる担体とを含む剤形を収容する容器(containment)を含む。
本発明のさらなる態様は、本発明の別々の剤形として存在する医薬組成物と、別々の剤形を併用して又は交互に投与すべきことの指示を含むラベル又は添付文書とを含む製品である。
第1実施形態によれば、製品は、(a)本発明のSGLT2阻害薬を含む医薬組成物と、(b)薬物を投与すべきことの指示を含むラベル又は添付文書とを含む。
この発明の医薬組成物の所望用量を便宜上1日1回で示してよく、或いは適切な間隔で投与される分割用量として、例えば1日2回、3回又は4回以上として示してよい。
【0126】
経口、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下など)、経皮、膣又は非経口(筋肉内、皮下及び静脈内など)投与用に液体若しくは固体形態又は吸入若しくはガス注入による投与に適した形態で医薬組成物を製剤化することができる。経口投与が好ましい。適切な場合、便宜上個別の投与単位で製剤を提供してよく、薬学の技術で周知のいずれの方法によっても製剤を調製し得る。全ての方法は、活性成分を、液体担体若しくは微粉化固体担体又は両方のような1種以上の医薬的に許容できる担体と会合させる工程、それから、必要な場合、生成物を所望の製剤に成形する工程を含む。
本医薬組成物を錠剤、顆粒剤、微細顆粒剤、散剤、カプセル剤、カプレット剤、軟カプセル剤、丸剤、経口溶液、シロップ、ドライシロップ、咀嚼錠、トローチ、発泡錠、ドロップ、懸濁液、速溶性錠剤、経口速分散性錠剤などの形態で製剤化し得る。
この発明の医薬組成物及び剤形は、PVC-ブリスター、PVDC-ブリスター、PVC/PVDC-ブリスター又は防湿包装材料、例えばアルミニウム箔ブリスターパック、alu/aluブリスター、小袋付き透明若しくは不透明ポリマーブリスター、ポリプロピレンチューブ、ガラス瓶、PPボトル及びHDPEボトルを用いて包装され、必要に応じて子供には扱えない特徴を含むか又は不正開封の跡がすぐ分かるものであってよい。主な包装材料は、活性医薬成分の化学的安定性を改善するため分子ふるい又はシリカゲル等の乾燥剤を含み得る。不透明な包装、例えば着色ブリスター材料、チューブ、褐色ガラス瓶などを用いて、光分解の減少によって活性医薬成分の有効期間を延長することができる。
本医薬組成物及び剤形は、好ましくは1種以上の医薬的に許容できる担体を含み、この担体は、製剤の他成分と適合でき、かつそのレシピエントに有害でないという意味で「許容」できなければならない。医薬的に許容できる担体の例は当業者に周知である。
経口投与に適した医薬組成物を便宜上個別単位、例えば軟ゼラチンカプセル剤を含めたカプセル剤、カシェー(cachet)剤又は錠剤として提供してよく、それぞれ所定量の活性成分を散剤又は顆粒剤として;溶液、懸濁液又はエマルションとして、例えばシロップ、エリキシル剤又は自己乳化型薬物送達システム(self-emulsifying delivery systems)(SEDDS)として含む。活性成分をボーラス、舐剤又はペーストとして提供してもよい。経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、通常の賦形剤、例えば結合剤、充填剤、潤沢剤、崩壊剤、又は湿潤剤を含有し得る。技術上周知の方法に従って錠剤をコーティングしてよい。経口液体製剤は、例えば、水性若しくは油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップ又はエリキシル剤の形態であってよく、或いは使用前に水又は他の適切なビヒクルで構成するためのドライ製品として提供してよい。該液体製剤は、通常の添加剤、例えば懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含んでよい)、又は保存剤を含有し得る。
【0127】
本発明の医薬組成物を非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射又は連続注入による)用に製剤化してもよく、アンプル、プレフィルドシリンジ(pre-filled syringe)、小量注入の単位用量形態又は保存剤を添加した複数回用量容器で提供し得る。組成物が、油性若しくは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルションのような形態を取ってよく、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤化剤(formulatory agent)を含有し得る。或いは、活性成分が、使用前に適切なビヒクル、例えば熱源のない滅菌水で構成するため、滅菌固体の無菌単離によって又は溶液からの凍結乾燥によって得られた粉末形態であってよい。
担体が固体である、直腸投与に適した医薬組成物は、最も好ましくは単位用量座剤として提供される。適切な担体にはココアバター及び当該技術で常用される他の材料があり、座剤は、活性化合物と軟化又は溶融担体との混合後、型内で冷却及び成形することによって好都合に形成され得る。
【0128】
この発明の医薬組成物及び方法は、前述した当該疾患及び状態の治療及び予防において有利な効果を示す。例えば効力、有効成分含量、投薬頻度、薬力学的特性、薬物動態学的特性、低副作用、利便性、コンプライアンス等に関して有利な効果を見ることができる。
この発明のSGLT2阻害薬及びそのプロドラッグの製造方法は当業者には周知である。有利には、本明細書で前に引用した特許出願を含め、文献記載の合成方法を利用して本発明の化合物を調製することができる。好ましい製造方法は、WO2006/120208及びWO2007/031548に記載されている。化合物(I.9)については、有利な結晶形が国際特許出願WO2006/117359(これによって本明細書にその全体が援用される)に記載されている。
活性成分が医薬的に許容できる塩の形態で存在してよい。医薬的に許容できる塩として、限定するものではないが、例えば塩酸、硫酸及びリン酸のような無機酸の塩;シュウ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸及びグルタミン酸のような有機カルボン酸の塩並びにメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸の塩が挙げられる。溶媒又はデコンポーザー(decomposer)中、適切な量と比で化合物と酸を混ぜ合わせることによって、塩を形成することができる。他の塩の形態からのカチオン又はアニオン交換によって塩を得ることもできる。
活性成分又はその医薬的に許容できる塩は、溶媒和物、例えば水和物又はアルコール付加物の形態で存在してよい。
【0129】
本発明の範囲内のいずれの上記医薬組成物及び方法をも技術上周知の動物モデルで試験することができる。以下、この発明の医薬組成物及び方法の薬理学的に関連性のある特性を評価するのに適しているin vivo実験について述べる。
db/dbマウス、ob/obマウス、Zucker Fatty(fa/fa)ラット又はZucker Diabetic Fatty(ZDF)ラットのような遺伝的に高インシュリン性又は糖尿病の動物でこの発明の医薬組成物及び方法を試験することができる。さらに、ストレプトゾトシンで前処理したHanWistar又はSprague Dawleyラットのような実験的に誘発した糖尿病の動物で本発明の組成物及び方法を試験することができる。
前記動物モデルの経口糖負荷試験においてSGLT2阻害薬の単一投与後にこの発明の血糖コントロールに対する効果を試験することができる。一晩絶食した動物で経口グルコース投与後に血中グルコースの時間経過を追跡する。本発明の医薬組成物は、ピークグルコース濃度の低減又はグルコースAUCの減少によって測定した場合、例えば別の単剤療法に比べてグルコース偏位を有意に改善する。さらに、前述した動物モデルにSGLT2阻害薬を複数回投与した後、血中のHbA1c値を測定することによって、血糖コントロールに及ぼす効果を決定することができる。この発明の医薬組成物は、例えば別の単剤療法又は二重併用療法に比べて有意にHbA1cを低減させる。
【0130】
前述した動物モデルの経口糖負荷試験における単回投与後に、この発明の治療の改善されたインスリン非依存性を示すことができる。一晩絶食した動物のグルコース投与後に血漿インスリンの時間経過を追跡する。
この発明の治療による単回又は複数回投与後の活性GLP-1レベルの上昇は、空腹時又は食後状態の前記動物モデルの血漿中の当該レベルを測定することによって決定され得る。同様に、血漿中のグルカゴンレベルの低減を同一条件下で測定できる。
前述した動物モデルに複数回投与後に、膵臓インスリン含量の増加を測定することによって、又は膵臓切片の免疫組織化学的染色後の形態計測分析によってβ細胞質量の増加を測定することによって、又は単離膵島におけるグルコース刺激性インスリン分泌の増加を測定することによって、本発明のSGLT2阻害薬がβ細胞の再生及び新生に及ぼす効果を判定することができる。
【実施例】
【0131】
(薬理学的実施例)
以下の実施例は、本発明の医薬組成物が血糖コントロールに及ぼす有利な効果を示す。
実施例1:
第1の実施例により、一晩絶食した9週齢の雄性Zucker Diabetic Fatty(ZDF)ラット(ZDF/Crl-Leprfa)で経口糖負荷試験を行なう。尾出血によって投与前血液サンプルを得る。グルコメーター(glucometer)で血糖を測定し、血糖について動物をランダム化する(n=5/群)。引き続き、群はビヒクルのみ(3mMのHClと0.015%のPolysorbat80を含む0.5%のヒドロキシエチルセルロース水溶液)又はSGLT2阻害薬を含むビヒクルの単一経口投与を受ける。化合物投与30分後に動物は経口グルコース負荷(2g/kg)を受ける。グルコース投与30分、60分、90分、120分、及び180分後に尾出血で血糖を測定する。反応性グルコースAUCを計算することによって、グルコース偏位を定量化する。データを平均±SEMとして表す。コントロール群と活性群の統計比較のため両側対応のないスチューデントt検定(two-sided unpaired Student t-test)を利用する。
代表実験を図3A及び3Bに示す。化合物(I.9)(1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼン)をZDFラットに0.3mg/kg、3mg/kg又は30mg/kg(体重)の用量で経口投与した。次に動物は経口グルコースボーラスを受けた。その結果のグルコース-時間プロファイルを図3Aに示す。グルコース-時間曲線下のベースライン補正面積を図3Bに示す。化合物(I.9)は、0.3mg/kgでは15%(有意でない)、3mg/kgでは62%(p<0.001)及び30mg/kgでは89%(p<0.001)だけグルコース偏位を低減させた。
【0132】
実施例2:
第2の実施例により、一晩絶食した約200gの体重の雄性Sprague Dawleyラット(Crl:CD(SD))で経口糖負荷試験を行なう。尾出血によって投与前血液サンプルを得る。グルコメーターで血糖を測定し、血糖について動物をランダム化する(n=5/群)。引き続き、群はビヒクルのみ(0.015%のPolysorbat80を含む0.5%のヒドロキシエチルセルロース水溶液)又はSGLT2阻害薬を含むビヒクルの単一経口投与を受ける。化合物投与30分後に動物は経口グルコース負荷(2g/kg)を受ける。グルコース投与30分、60分、90分、及び120分後に尾出血で血糖を測定する。反応性グルコースAUCを計算することによってグルコース偏位を定量化する。データを平均±S.E.M.として表す。統計比較はスチューデントのt検定(Student's t-test)で行なう。
【0133】
実施例3:前糖尿病の治療
病的空腹時血糖及び/又は耐糖能障害によって特徴づけられる前糖尿病の治療における本発明の医薬組成物の効力を臨床研究を利用して試験することができる。短期間(例えば2〜4週間)の研究では、空腹時血糖値及び/又は食後若しくは負荷試験(経口グルコース負荷試験又は規定食後の食物負荷試験)後血糖値を研究の治療期間の最後に測定し、それらを研究の開始前の値及び/又はプラセボ群の当該値と比較することによって、治療の成功を調べる。さらに、治療前後にフルクトサミン値を測定し、初期値及び/又はプラセボ値と比較することができる。空腹時又は非空腹時血糖値の有意な低下が治療の効力を実証する。より長期間(12週間以上)にわたる研究では、HbA1c値を決定することによって、初期値及び/又はプラセボ群の値との比較により治療の成功を調べる。初期値及び/又はプラセボ値と比べたHbA1c値の有意な変化は、前糖尿病を治療するための本発明の医薬組成物の効力を実証する。
【0134】
実施例4:顕性2型糖尿病の予防
病的空腹時血糖及び/又は耐糖能障害(前糖尿病)の患者を治療することは、顕性2型糖尿病への移行を予防するという目標をも追求する。前糖尿病患者を長期間(例えば1〜5年)にわたってこの発明の医薬組成物又はプラセボ又は非薬物療法又は他の薬物で治療する比較臨床研究で治療の効力を調査することができる。療法中又はその最後に、空腹時血糖値の定量及び/又は負荷試験(例えばoGTT)によって調べて、何名の患者が顕性2型糖尿病、すなわち>125mg/dlの空腹時血糖値及び/又は>199mg/dlのoGTTの2h値を示すかを判定する。この発明の医薬組成物で治療した場合の顕性2型糖尿病を示す患者数の他形態の治療の患者数に比べた有意な減少は、前糖尿病から顕性糖尿病への移行の予防の効力を実証する。
【0135】
実施例5:2型糖尿病の治療
本発明の医薬組成物で2型糖尿病患者を治療すると、糖代謝状況の急激な改善をもたらすことに加えて、長期間の代謝状況の悪化を予防する。このことは、患者を長期間、例えば3カ月〜1年間又は1〜6年間でさえ本発明の医薬組成物で治療し、かつ他の抗糖尿病薬で治療した患者と比較すると観察できる。空腹時血糖値及び/又はHbA1c値の上昇が観察されないか又はわずかな上昇しか観察されない場合、他の抗糖尿病薬で治療した患者に比べて治療が成功したという証拠である。他の薬物で治療した患者に比べて有意に少ない割合の、本発明の医薬組成物で治療した患者が、追加の経口抗糖尿病薬又はインスリン又はインスリン類似体による治療が必要とされる点への糖代謝位置の悪化(例えば>6.5%又は>7%へのHbA1c値の上昇)を経験する場合、治療の成功のさらなる証拠が得られる。
【0136】
実施例6:インスリン抵抗性の治療
異なる長さの時間(例えば2週間〜12カ月)行なう臨床研究では、高インスリン正常血糖クランプ(hyperinsulinaemic euglycemic glucose clamp)研究を利用して治療の成功を調べる。研究の最後に、初期値と比較し、又はプラセボ群、若しくは異なる療法を与えた群と比較したグルコース注入率の有意な上昇は、インスリン抵抗性の治療における本発明の医薬組成物の効力を証明する。
【0137】
実施例7:高血糖の治療
異なる長さの時間(例えば1日〜24カ月)行なう臨床研究では、空腹時血糖又は非空腹時血糖(例えば食後又はoGTT若しくは規定食による負荷試験後)を定量することによって、高血糖患者の治療の成功を調べる。初期値と比較し、又はプラセボ群、若しくは異なる療法を与えた群と比較した研究中又は研究の最後のこれらの血糖値の有意な低下は、高血糖の治療における本発明の医薬組成物の効力を証明する。
【0138】
実施例8:微小血管又は大血管合併症の予防
本発明の医薬組成物による2型糖尿病又は前糖尿病患者の治療は、微小血管合併症(例えば糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性足病変、糖尿病性潰瘍)又は大血管合併症(例えば心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、脳卒中、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄)を予防又は軽減するか又はその発症リスクを減少させる。2型糖尿病又は前糖尿病の患者を長期間、例えば1〜6年間、本発明の医薬組成物で治療し、他の抗糖尿病薬又はプラセボで治療した患者と比較する。他の抗糖尿病薬又はプラセボで治療した患者と比べた治療の成功の証拠は、少数の単一又は複数の合併症で分かる。大血管イベント、糖尿病性足病変及び/又は糖尿病潰瘍の場合、既往症及び種々の試験法によって数をカウントする。糖尿病性網膜症の場合、コンピューター制御照明及び眼に対する背景の評価又は他の眼科的方法によって治療の成功を判定する。糖尿病性神経障害の場合、既往症及び臨床検査に加えて、例えば較正された音叉を用いて神経伝達速度を測定することができる。糖尿病性腎症に関しては、下記パラメーターを研究開始前、研究中及び研究の最後に調査し得る:アルブミンの分泌、クレアチニン・クリアランス、血清クレアチニン値、血清クレアチニン値が二倍になるのにかかる時間、透析が必要になるまでの時間。
【0139】
実施例9:代謝症候群の治療
実行時間を変える(例えば12週間〜6年)臨床研究で空腹時血糖又は非空腹時血糖(例えば食後又はoGTT若しくは規定食による負荷試験後)又はHbA1c値を測定することによって、本発明の医薬組成物の効力を試験することができる。初期値と比較し、又はプラセボ群、若しくは異なる療法を与えた群と比較した研究中又は研究の最後のこれらの血糖値又はHbA1c値の有意な低下は、代謝症候群の治療における活性物質の効力を証明する。この例は、研究の開始時の出発値と比較するか又はプラセボ若しくは異なる療法で治療した患者群と比較した場合の収縮期及び/又は拡張期血圧の低減、血漿トリグリセリドの低減、総コレステロール又はLDLコレステロールの減少、HDLコレステロールの増加又は体重減少である。
【0140】
(製剤例)
技術上周知の方法と同様に得られる製剤の以下の例は、本発明をこれらの実施例の内容に限定することなく、本発明をさらに完全に説明するのに役立つ。用語「活性物質」は、この発明のSGLT-2阻害薬、特に式(I)の化合物、例えば式(I.9)の化合物又はその結晶形(I.9X)を意味する。
医薬組成物又は剤形の製造前に所望の粒径分布を得るため、ピンミル又はジェットミルのような適切なミルで活性医薬成分又は活性物質、すなわち好ましくは結晶形(I9.X)の化合物(I.9)を製粉する。
本発明の好ましい活性医薬成分の典型的な粒径分布値X90、X50及びX10の例を下表に示す。
【0141】
典型的粒径分布結果

【0142】
実施例1:10ml当たり50mgの活性物質を含むドライアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用水 10.0mlへ
製法:
活性物質とマンニトールを水に溶かす。パッケージング後、溶液を凍結乾燥させる。すぐに使える溶液を作るため、製品を注射用水に溶かす。
実施例2:2ml当たり25mgの活性物質を含むドライアンプル
組成:
活性物質 25.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用水 2.0mlへ
製法:
活性物質とマンニトールを水に溶かす。パッケージング後、溶液を凍結乾燥させる。
すぐに使える溶液を作るため、製品を注射用水に溶かす。
実施例3:50mgの活性物質を含む錠剤
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)マンニトール 98.0mg
(3)トウモロコシデンプン 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
製法:
(1)、(2)及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液を用いて造粒する。乾燥顆粒状物質に(5)を加える。この混合物から、二平面で、両面にファセットがあり、一面に分割ノッチを有する錠剤をプレス加工する。
錠剤の直径:9mm。
実施例4:50mgの活性物質を含むカプセル剤
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 58.0mg
(3)マンニトール 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
製法:
(1)を(3)と摩砕する。この摩砕物を(2)と(4)の混合物に激しく撹拌しながら加える。この粉末混合物をカプセル充填機で3号サイズの硬ゼラチンカプセルに詰める。
【0143】

【0144】
実施例6:(a)錠剤の製造方法
上記実施例5の錠剤を例えば以下のように製造する。

【0145】
実施例6:(b)錠剤の製造方法
上記実施例5の錠剤を例えば以下のように製造する。

【0146】
(活性物質の造粒)
活性物質、例えば好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及び微結晶性セルロースをふるい分けし、引き続き適切な高せん断ミキサー内で前混合する。
このプレミックスを精製水で湿らせ、適切な高せん断ミキサーを用いて造粒する。この顆粒を流動床乾燥機内で乾燥させる。引き続き、顆粒を適切なふるいを通してふるい分けする。
(最終ブレンド)
予めふるい分けしたコロイド状無水シリカ及び微結晶性セルロースを顆粒に加えて適切な自由落下ブレンダー内でブレンドする。
予めふるい分けしたステアリン酸マグネシウムをブレンドに加え、引き続き適切な自由落下ブレンダー内で最終ブレンディングを行なう。
(錠剤コア)
標準的な回転式錠剤プレス機を用いて最終ブレンドを錠剤コアに圧縮する。
(フィルムコーティング懸濁液)
オパドライ(opadry)イエロー02B38190の水性懸濁液(色素懸濁液)を精製水内に分散させる。
(フィルムコーティング錠)
錠剤コアをドラムコーター内でフィルムコーティング懸濁液でコーティングしてフィルムコーティング錠を生成する。
【0147】
(製造方法)
1. 顆粒
1.1. 湿式造粒
調剤後、適切なふるい分け機を用いて下記原料を適切な高せん断ミキサー/造粒機又は拡散ブレンダー又は拡散ブレンダーに予めふるい分けし、均一になるまで前混合する:
−総量の約20〜80%(例えば50%)のラクトース
−活性物質
−総量の50〜90%(例えば80%)の
−ヒドロキシプロピルセルロース
−クロスカルメロースナトリウム
−総量の残りのラクトース
−微結晶性セルロース。
或いは、上記賦形剤を予めふるい分けしないで適切な高せん断ミキサー/造粒機又は拡散ブレンダーに移す。
或いは、上記賦形剤を予めふるい分けしないで適切な高せん断ミキサー/造粒機又は拡散ブレンダーに個々に移し、また、上記賦形剤を予めふるい分けして適切な高せん断ミキサー/造粒機又は拡散ブレンダーに個々に移す。
拡散ブレンダー内でブレンディングを行なう場合は、予めブレンドした生成物を湿式造粒前に高せん断ミキサー/造粒機に移す。
賦形剤を予めふるい分けするため、0.5mm〜1.5mm(例えば0.8mm)のふるい目のふるい分けミルを50rpm〜2500rpm(例えば970rpm)で使用できる。
或いは、0.5mm〜1.5mm(例えば0.8mm)のふるい目の手動ふるいを使用する。
【0148】
次に、前混合した賦形剤の総重量の26〜35%(w/w)の範囲の精製水(例えば28%(w/w)の精製水)で混合物を湿らせる。
高せん断ミキサー/造粒機内で前混合するためには以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
持続時間:3〜12.5分(例えば5分)
ローター速度設定:100〜600rpm(例えば114rpm)
チョッパー速度設定:0〜3000rpm(例えば1450rpm)
或いは拡散ブレンダー内で前混合するためには以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
持続時間:5〜30分
回転速度:5〜30rpm
高せん断ミキサー/造粒機内で湿らせるためには以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
湿潤:持続時間:2〜5分(例えば2.5分)
ローター速度設定:50〜600rpm(例えば114rpm)
チョッパー速度設定:1500〜3000rpm(例えば2900rpm)
造粒:持続時間:2〜5分(例えば2.5分)
ローター速度設定:100〜600rpm(例えば114rpm)
チョッパー速度設定:1500〜3000rpm(例えば2900rpm)
45〜90°(例えば60°)の噴霧角のノズルを用いて高せん断ミキサー/造粒機中に精製水を噴霧するか又は高せん断ミキサー/造粒機中に精製水を注ぐ。
【0149】
1.2. 乾燥
湿った顆粒を適切な流動床乾燥機内で乾燥させる。流動床乾燥機を予加熱するか又は予加熱せずに乾燥を行なう。
流動床乾燥機内で乾燥させるためには以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
空気体積:100〜5000m3/時間
流入空気温度:50〜75℃(例えば70℃)
プロセスの終点:生成物温度が40〜50℃の範囲のとき
乾燥減量のインプロセス制御によって終点をモニターする。
乾燥減量の適切な値:0.5〜5.0%(例えば≦1.5%)。
【0150】
1.3. 乾式ふるい分け
0.5mm〜2.0mm(例えば1.0mm)のふるい目の適切なふるい分けミルを50rpm〜2500rpm(例えば970rpm)で用いて乾燥顆粒をふるい分けするか又は0.5mm〜1.5mm(例えば0.8mm)のふるい目の手動ふるいを使用する。
【0151】
2. 最終混合物の調製
2.1. 主混合工程
ふるい分けした乾燥顆粒を適切な拡散ブレンダー内でコロイド状の無水シリカ(ふるい分けミル又は手動ふるい機を用いて予めふるい分けした)及び微結晶性セルロース(残量)(ふるい分けミル又は手動ふるい機を用いて予めふるい分けした)と混合する。
コロイド状無水シリカ及び微結晶性セルロースをふるい分けするために0.5mm〜1.5mm (例えば0.8mm)のふるい目のふるい分けミルを50rpm〜2500rpm(例えば970rpm)で使用することができる。或いは、0.5mm〜1.5mm(例えば0.8mm)のふるい目の手動ふるいを使用する。
ブレンディングのためには拡散ブレンダーを以下のプロセスパラメーターで利用可能である。
持続時間:5〜30分(例えば15分)
回転速度:5〜30rpm(例えば10rpm)
或いは高せん断ミキサー/造粒機をブレンドするため、以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
持続時間:3〜30分
ローター速度設定:50〜600rpm
チョッパー速度設定:0〜3000rpm
2.2. 最終混合工程
主ブレンドを適切な拡散ブレンダーに入れる。ステアリン酸マグネシウム(手動ふるい0.5mmで予めふるい分けし、或いは予めふるい分けしない)を主ブレンドに加える。
最終ブレンディングのため拡散ブレンダーを以下のプロセスパラメーターで利用可能である。
持続時間:5〜30分(例えば10分)
回転速度:5〜30rpm(例えば10rpm)
【0152】
3. 錠剤コア
適切な回転式錠剤プレス機で最終ブレンドを錠剤コアに圧縮する。
錠剤化のため以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
錠剤化速度:錠剤機の出力に応じて1時間毎に20,000〜300,000の錠剤。
ストリッパーブレード速度:10〜50rpm(例えば40rpm)
圧縮力:5〜26KN(錠剤サイズに応じて、例えば8〜20KN)。
4. フィルムコーティング懸濁液
精製水を適切な混合容器に入れ、OPADRY YELLOW 02B38190を加え、完全に溶解するまでプロペラスターターを用いて撹拌する。
5. フィルムコーティング
適切なパンコーター内で錠剤コアをフィルムコーティング懸濁液でコーティングする。コア錠剤のフィルムコーティングに適したサイズのパンコーターを使用する。4工程プロセスでコーティングを行なう:錠剤の予加熱、フィルムコーティング、乾燥及び冷却。
フィルムコーティングのためには、機器サイズに応じて以下のプロセスパラメーターが適用可能である。
ドラム速度:6〜18rpm
流入空気流速:50〜2000m3/時間
排気温度:40〜54℃
噴霧速度:3〜500g/分
【0153】
実施例7:他の充填剤を含む医薬組成物
コポビドンを周囲温度で精製水に溶かして造粒液を生成する。本発明のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、マンニトール、アルファ化デンプン及びトウモロコシデンプンを適切なミキサー内でブレンドしてプレミックスを生成する。プレミックスを造粒液で湿らせ、引き続き造粒する。湿潤顆粒を適切なふるいを通してふるい分けする。流動床乾燥機内で流入空気温度約60℃にて、1〜4%の乾燥減量値が得られるまで顆粒を乾燥させる。乾燥した顆粒を1.0mmのメッシュサイズのふるいを通してふるい分けする。
塊を除くためステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、顆粒に添加する。引き続き適切なブレンダー内で3分間最終ブレンディングによって最終ブレンドを生成し、錠剤コアに圧縮する。
適切なミキサー内で周囲温度にてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化チタン及び酸化鉄を精製水に懸濁させてコーティング懸濁液を生成する。錠剤コアをコーティング懸濁液で約3%増量するまでコーティングしてフィルムコーティング錠を生成する。以下の製剤変形を得ることができる。
【0154】

【0155】
実施例8:他の崩壊剤を含む医薬組成物
コポビドンを精製水に周囲温度で溶かして造粒液を生成する。本発明のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、マンニトール、アルファ化デンプン及びトウモロコシデンプンを適切なミキサー内でブレンドしてプレミックスを生成する。プレミックスを造粒液で湿らせ、引き続き造粒する。湿潤顆粒を適切なふるいを通してふるい分けする。流動床乾燥機内で流入空気温度約60℃にて、1〜4%の乾燥減量値が得られるまで顆粒を乾燥させる。乾燥した顆粒を1.0mmのメッシュサイズのふるいを通してふるい分けする。
乾燥顆粒にクロスポビドンを添加し、5分間混合して主ブレンドを生成する。塊を除くためステアリン酸マグネシウムをふるいにかけ、主ブレンドに添加する。引き続き適切なブレンダー内で3分間最終ブレンディングによって最終ブレンドを生成し、16kNの圧縮力で8mmの丸錠剤コアに圧縮する。
適切なミキサー内で周囲温度にてヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化チタン及び酸化鉄を精製水に懸濁させてコーティング懸濁液を生成する。錠剤コアをコーティング懸濁液で約3%増量するまでコーティングしてフィルムコーティング錠を生成する。以下の製剤変形を得ることができる。
【0156】

【0157】
前述したように、錠剤硬度、砕けやすさ、含量均一性、崩壊時間及び溶解特性を決定する。
実施例9:直接圧縮製剤
1. 活性成分、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルセルロース又はポリエチレングリコールのどちらかの粉末を20メッシュのハンドスクリーンでふるい分けする。
2. 上記物品を高せん断ミキサーに加えて2分間混合する。
3. ラクトースとコロイド状二酸化ケイ素のプレミックス(約1/1)を作る。
4. プレミックスを20メッシュのハンドスクリーンでふるい分けしてミキサーに加える。
5. 残りのラクトースを20メッシュのハンドスクリーンでふるい分けしてミキサーに加える。
6. ミキサー内の成分を2分間混合する。
7. ステアリン酸マグネシウムを30メッシュのハンドスクリーンでふるい分けしてミキサーに加える。
8. 1分30秒間混合して最終ブレンドを得る。
9. 最終ブレンドを適切な錠剤機で錠剤化する。
10. 必要に応じて錠剤コアをフィルムコーティングする。
【0158】

【0159】
実施例10:0.5mg、5mg、25mg、100mgの活性物質を含む錠剤

【0160】
活性物質、例えば好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びクロスカルメロースナトリウムをブレンダー内で混合する。このプレミックスをラクトース一水和物及び微結晶性セルロースの一部と混合する。結果として生じるブレンドを精製水を用いて造粒する。使用するバッチサイズ及び機器によっては、必要に応じて、個々の錠剤バッチに合わせて複数の造粒サブパーツを生成してよい。顆粒を乾燥機トレイ上に放出して乾燥させる。次に顆粒を製粉する。製粉顆粒に残りの微結晶性セルロースを加え(0.5mg以外の全強度についてコロイド状二酸化ケイ素とのプレミックスとして)、混合する。ステアリン酸マグネシウムをブレンドの一部と前混合し、ふるいを通して残りの顆粒に入れて混合する。
最終錠剤ブレンドを錠剤プレス機を用いて圧縮して錠剤にする。適切な容器閉鎖システムを用いて完成錠剤を包装する。
【0161】
実施例11:1mg、5mg、25mgの活性物質を含む錠剤

【0162】
活性物質、例えば好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)をふるいにかけ、ブレンダー又は高せん断造粒機に添加する。ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスカルメロースナトリウムをふるいにかけ、薬物に添加して混合する。微結晶性セルロースの内側顆粒部をふるいを通して高せん断造粒機に入れて薬物プレミックスと混合する。次にラクトースをふるいを通して造粒機に入れることによって添加し、混合する。結果として生じるブレンドを精製水を用いて造粒する。より大きいバッチでは、使用するバッチサイズ及び機器によっては、必要に応じて個々の錠剤バッチに合わせて複数の造粒サブパーツを生成し得る。
顆粒を乾燥機トレイ上に放出して乾燥させる。次にミルを通して顆粒をブレンダーに入れる。コロイド状二酸化ケイ素を外側顆粒の微結晶性セルロースの一部と前混合する。このプレミックスをミルを通してブレンダーに入れた後、残りの外側顆粒の微結晶性セルロースを入れて粉砕顆粒と混合する。ステアリン酸マグネシウムをブレンドの一部と前混合し、ミルを通して顆粒の残りに入れて混合する。適切な錠剤プレス機を用いて最終錠剤ブレンドを圧縮して錠剤にする。適切な容器閉鎖システムを用いて完成錠剤を包装する。
【0163】
(医薬組成物及び医薬剤形の特性に関する試験例)
1. 崩壊試験
USP31-NF26 S2、第701章(崩壊)に記載されているように崩壊試験を行なった。下表は錠剤の製造工程の最初、中間及び最後に生成された錠剤の平均崩壊時間(分で)を示す。錠剤中の活性物質は、好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)である。
【0164】
1.1. 実施例10(製剤例セクション)の錠剤の崩壊

【0165】
1.2. 実施例11(製剤例セクション)の錠剤の崩壊



【0166】
2. 溶解試験
標準溶解試験はUSP31-NF26 S2、第711章(溶解)に記載されている。50rpmの撹拌速度でパドル法(Apparatus 2)を利用した。溶解媒体は900mLの0.05Mリン酸カリウム又はリン酸ナトリウム緩衝液pH 6.8、温度37℃である。45分後までサンプルを採取する。サンプルをHPLCによって分析する。錠剤中の活性物質は、好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)である。
セクション2.3の実施例では、撹拌速度が75rpmであることを除き、同じ方法を利用した。
【0167】
2.1. 実施例10(製剤例セクション)の錠剤の溶解



【0168】
2.2. 実施例11(製剤例セクション)の錠剤の溶解

【0169】
2.3. 実施例5(製剤例セクション)の錠剤の溶解

【0170】
3. レーザー回折による粒径分布の測定
例えば光散乱又はレーザー回折技術によって粒径分布の測定を行なう。粒径を決定するため、例えば分散装置を利用して粉末をレーザー回折分光計に供給する。試験法を以下に詳細に示す:
機器:Laser Diffraction Spectrometer Sympatec HELOS Particle Sizer。
レンズ:R31(0.5/0.9μm〜175μm)
サンプル分散装置:乾燥分散機RODOS/M
バキューム:Nilfisk
供給装置:ASPIROS
供給速度:60.00mm/秒
一次圧:2.00バール
注射器押下げ:最大にする(mbar)2
基準測定:10秒
サイクル時間:100ミリ秒
誘発条件:開始0.0秒後の光学濃度≧1%常に有効
光学濃度≦1%になって5.0秒後又は実時間30秒後に停止
光学濃度:約3〜12%の範囲
評価:HRLD
サンプルサイズ:約100mg
測定数:2(二つ組)
【0171】
機器を製造業者の推奨に従い、製造業者提供ソフトウェアを用いてセットアップする。サンプルの一部を取り出す前にサンプル容器を徹底的に混合かつひっくり返して、必ず代表サンプルを試験するようにする。スパーテルを用いて約100mgのサンプルをASPIROSガラスバイアルに移し、バイアルに蓋をすることによって二つ組サンプルを調製する。蓋をしたバイアルを供給装置に入れる。
4. 錠剤の硬度及び砕けやすさ
USP31-NF26 S2、第1217章(錠剤破壊力)に記載されているように錠剤の硬度及び砕けやすさの試験を行なった。
【0172】
5. 薬物動態パラメーター
健康なボランティア集団と患者集団で医薬組成物及び医薬剤形の薬物動態パラメーターを評価する。以下に示す研究では、特に断らない限り、参加者はサンプリングの日に絶食した(例えば研究.3参照)。以下の研究における活性物質は、好ましくは結晶形(I.9X)の化合物(I.9)であり、活性成分の用量をmgで示す。
活性成分の血漿濃度の定量化のため、2.7mLの血液を採取してEDTA(エチレンジアミン四酢酸)抗凝固採血管に移した。採血直後にEDTA抗凝固血液サンプルを遠心分離した。4〜8℃で約10分間(約2,000×gf〜4,000×gfで)遠心分離を続けるか又は氷上で30分以内保管した。HPLC/MS/MS法を利用してEDTAヒト血漿サンプル中の活性物質の濃度を定量化した。アッセイ法は、ヒト血漿の固相支持型液液抽出に伴い、抽出したサンプルのHPLC/MS/MS測定を含んだ。HPLC/MS/MSアッセイは、ヒト血漿中の1.11〜1110nMの範囲について有効だった。
【0173】
研究.1:N=72の健康なボランティア集団における単一用量研究。健康なボランティアに実施例10(製剤例セクション)に記載の錠剤を投与した。
研究.2:N=48の糖尿病患者集団における複数回用量漸増試験、8日間1日1回投与。患者に実施例10(製剤例セクション)に記載の錠剤を投与した。
研究.3:N=14の健康なボランティア集団における単一用量の食物効果交差研究。健康なボランティアに実施例10(製剤例セクション)に記載の錠剤を投与した。
研究.4:N=78の糖尿病患者集団の4週間の治療、4週間1日1回投与。患者に実施例10(製剤例セクション)に記載の錠剤を投与した。
研究.5:N=48の健康なボランティア集団(日本人ボランティア)における単一用量研究。健康なボランティアに実施例11(製剤例セクション)に記載の錠剤を投与した。
【0174】
AUC0-inf:0から無限大に外挿された時間間隔にわたる血漿中の分析物の濃度-時間曲線下面積。
Cmax:血漿中の分析物の最大濃度。
Tmax:投与から最大濃度になるまでの時間。
AUCτ,ss:定常状態で0〜24時間の時間間隔にわたる血漿中の分析物の濃度-時間曲線下面積。
Cmax,ss:均一な投与間隔にわたる定常状態での血漿中の分析物の最大濃度。
tmax,ss:定常状態において投与から最大濃度になるまでの時間。
【0175】
5.1. 薬物動態パラメーター、単一用量
【0176】
表:薬物動態パラメーター:0時間から無限大の血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)

【0177】
表:薬物動態パラメーター:最大血漿濃度(Cmax)

【0178】
表:薬物動態パラメーター:最大血漿濃度に達する時間(tmax)

【0179】
5.2. 薬物動態パラメーター、定常状態
【0180】
表:薬物動態パラメーター:定常状態において投与間隔にわたる血漿濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss)

【0181】
表:薬物動態パラメーター:定常状態における最大血漿濃度(Cmax,ss)

【0182】
表:薬物動態パラメーター:定常状態で最大血漿濃度に達する時間(tmax,ss)

【0183】
5.3. 薬物動態パラメーター、単一用量、用量正規化
【0184】
表:薬物動態パラメーター:0時間から無限大の用量正規化血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf,norm)及び用量正規化最大血漿濃度(Cmax,norm)

【0185】
5.4. 薬物動態パラメーター、定常状態
【0186】
表:薬物動態パラメーター:定常状態において投与間隔にわたる用量正規化血漿濃度-時間曲線下面積(AUCτ,ss, norm)及び定常状態における用量正規化最大血漿濃度(Cmax,ss,norm)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空腹時のヒトに投与されると、
a. 2.5mgの用量で
i. 40.3〜96.3nmol/LのCmax;及び
ii. 283〜677nmol*h/LのAUC
を示し;又は
b. 5.0mgの用量で
i. 123〜230nmol/LのCmax;及び
ii. 1,000〜1,310nmol*h/LのAUC
を示し;又は
c. 10.0mgの用量で
i. 143〜796nmol/LのCmax;及び
ii. 1,170〜3,190nmol*h/LのAUC
を示し;又は
d. 25.0mgの用量で
i. 334〜1,030nmol/LのCmax;及び
ii. 2,660〜7,640nmol*h/LのAUC
を示し;又は
e. 50.0mgの用量で
i. 722〜2,020nmol/LのCmax;及び
ii. 6,450〜14,100nmol*h/LのAUC
を示す、
下記式(I.9)
【化1】

(I.9)
の化合物を含む医薬組成物。
【請求項2】
空腹時のヒトに投与されると、
i. 13〜80nmol/L/mgの用量正規化Cmax,norm;及び
ii. 106〜306nmol*h/L/mgの用量正規化AUC0-inf,norm
示す、下記式(I.9)
【化2】

(I.9)
の化合物を含む医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物の粒径分布がX90<200μmである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式(I.9)の前記化合物が、前記組成物の質量の25%以下に相当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
下記式(I.9)
【化3】

(I.9)
の化合物を含む医薬組成物であって、
前記組成物の粒径分布がX90<200μmであり、式(I.9)の前記化合物が前記組成物の質量の25%以下に相当する、医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が、式(I.9)の前記化合物の結晶形(I.9X)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が崩壊剤及び結合剤を含み、前記崩壊剤と前記結合剤の比が1.5:3.5〜1:1(質量/質量)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記結合剤の粒子の少なくとも99%(質量で)が250μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が高せん断湿式造粒によって得られ、前記組成物がさらに希釈剤を含み、前記希釈剤の5〜20%(質量で)が、前記湿式造粒後に乾燥添加物として前記組成物に添加される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物が下記成分



を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
さらに1種以上の潤沢剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
さらに1種以上の流動促進剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに1種以上のフィルムコーティング剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む医薬剤形。
【請求項15】
前記剤形が錠剤である、請求項14に記載の医薬剤形。
【請求項16】
特に患者の血糖コントロールを改善するための代謝障害の治療方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物、又は請求項14若しくは15に記載の医薬剤形を患者に投与する工程を含む方法。
【請求項17】
前記代謝障害が、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、高血糖、食後高血糖、過体重、肥満及び代謝症候群から成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
下記式(I.9)
【化4】

(I.9)
の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬剤形を作るための湿式造粒方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物と、結合剤を含めた賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)造粒液、好ましくは水を添加することによって工程(1)の前混合物を造粒する工程;
(3)工程(2)の顆粒を流動床乾燥機又は乾燥オーブン内で乾燥させる工程;
(4)工程(3)の乾燥顆粒を必要に応じて乾式ふるい分けする工程;
(5)工程(4)の乾燥顆粒をミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(6)工程(5)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(7)工程(6)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって得られる医薬組成物。
【請求項20】
下記式(I.9)
【化5】

(I.9)
の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬組成物を作るための直接圧縮方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物と賦形剤の主要部分とをミキサー内で前混合して前混合物を得る工程;
(2)凝集性粒子を分離するため及び含量均一性を改善するため、必要に応じて前混合物をふるいを通して乾式ふるい分けする工程;
(3)ミキサー内で工程(1)又は(2)の前混合物を混合し、必要に応じて残りの賦形剤を混合物に添加して混合を続ける工程;
(4)工程(3)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(5)工程(4)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法によって得られる医薬組成物。
【請求項22】
下記式(I.9)
【化6】

(I.9)
の化合物と1種以上の賦形剤とを含む医薬組成物を作るための乾式造粒方法であって、下記工程:
(1)式(I.9)の前記化合物を全て又は一部の賦形剤とミキサー内で混合する工程;
(2)工程(1)の混合物を適切なローラー圧縮機で圧縮する工程;
(3)工程(2)中に得られたリボンを適切な製粉又はふるい分け工程によって顆粒の状態にする工程;
(4)工程(3)の顆粒を必要に応じてミキサー内で残りの賦形剤と混合して最終混合物を得る工程;
(5)工程(3)の顆粒又は工程(4)の最終混合物を適切な錠剤プレス機で圧縮することによって錠剤化して錠剤コアを生成する工程;
(6)工程(5)の錠剤コアを必要に応じてフィルムコーティング剤でフィルムコーティングする工程
を含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって得られる医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate


【公表番号】特表2012−523375(P2012−523375A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549563(P2011−549563)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051737
【国際公開番号】WO2010/092126
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】