説明

グルコースによる阻害が減少したセルラーゼバリアント

ポジション103での塩基性アミノ酸、極性アミノ酸または非極性アミノ酸、ポジション136でのバリンまたはイソロイシン、ポジション186でのチロシン、ポジション365でのグルタミン酸またはグルタミンおよびポジション410でのグルタミンから選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、ファミリー6セルラーゼバリアント酵素が提供される(前記ポジションは配列番号:1と親のファミリー6のアライメントから決定される)。ファミリー6セルラーゼバリアントをコードするDNA配列を含む遺伝的コンストラクトおよび遺伝的に修飾された微生物も提供される。本発明のファミリー6セルラーゼは、親のファミリー6セルラーゼに比べてグルコースによる阻害の減少を提示する。かかるセルラーゼは、親の酵素の活性を阻害するグルコース濃度の存在下においてセルロース活性を必要とする産業における様々な用途での使用が見出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年1月18日に出願された先行予備特許出願第61/022,101号の利益を主張する。
【0002】
本発明はセルラーゼバリアントに関する。より具体的には、本発明は、グルコースによる阻害が減少したファミリー6セルラーゼバリアントに関する。本発明は、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝的コンストラクト、宿主株からのファミリー6セルラーゼバリアントの産生のための方法、およびセルロースの加水分解におけるファミリー6セルラーゼバリアントの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
セルロースは、β(1→4)−グリコシド結合によって結合するグルコースの非分岐ポリマーである。セルロース鎖は水素結合によって互いと相互作用して、高い機械強度および化学的安定性の結晶性固体を形成することができる。エタノール産生において使用される発酵微生物などの生物がセルロース鎖を代謝燃料として使用することができる前に、セルロース鎖はグルコースおよび短いオリゴ糖へと単量体に分解されなくてはならない。セルラーゼ酵素は、グルコース、セロビオース、および他のセロオリゴ糖などの産物へと原料中のセルロースの加水分解(β−1,4−D−グルカン結合の加水分解)を触媒する。セルラーゼは、多数の植物および微生物によって産生することができる、エキソ活性のあるセロビオヒドロラーゼ(CBH)、エンドグルカナーゼ(EG)およびβ−グルコシダーゼ(βG)を含む多酵素の混合物を示す総称である。トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のセルラーゼ中の酵素は、CBH1(より一般的にはCel7A)、CBH2(Cel6A)、EG1(Cel7B)、EG2(Cel5)、EG3(Cel12)、EG4(Cel61A)、EG5(Cel45A)、EG6(Cel74A)、Cip1、Cip2、β−グルコシダーゼ(例えばCel3Aを含む)、アセチルキシランエステラーゼ、β−マンナナーゼ、およびスウォレニンを含む。
【0004】
セルラーゼ酵素は、セルロースのグルコースへの加水分解に相乗的に作用する。CBH1およびCBH2はセルロース鎖の反対の末端に作用するが(Barr et al., 1996)、エンドグルカナーゼはセルロース中の内部の位置に作用する。これらの酵素の一次産物はセロビオースであり、それは1つまたは複数のβ−グルコシダーゼによってグルコースにさらに加水分解される。
【0005】
セルラーゼにより不溶性であるセルロース基質の酵素的加水分解の動態は、単純なミカエリス・メンテンの挙動に従わない(Zhang et al., 1999)。具体的には、加水分解反応におけるセルラーゼの投与量を増加させることは、規定の時間で産生されたグルコースの量の線形従属性増加を提供しない。セルロース加水分解が進行するにつれて、反応速度も有意に減少する(Tolan, 2002)。反応速度の減少について説明する複数の説明が提唱され、主要な仮説は、基質不均質性(Nidetsky and Steiner, 1993; Zhang et al., 1999)、酵素不活性化(Caminal et al., 1985; Converse et al., 1988; Gusakov and Sinitsyn, 1992; Eriksson et al., 2002)、および生産物阻害(Lee and Fan, 1983; Caminal et al., 1985; Holtzapple et al., 1990; Gusakov and Sinitsyn, 1992; Eriksson et al., 2002; Gruno et al., 2004)を含む。
【0006】
それらが触媒する反応の産物による酵素の阻害は、長年認識されてきた。この現象は、酵素学の分野におけるすべての先駆者であるHenri、MichaelisおよびMentenに知られていた(Frieden and Walter, 1963)。産物が基質と競合して同じ相互作用を酵素と形成するので、生産物阻害の性質は競合的でありえるが、阻害の他の形態は可能である。実際は、動態研究において、セルロースの不溶性性質および基質としてのセルロースがもたらす障害に起因して、セルラーゼシステムにおける阻害の性質に関する多くの矛盾する報告があった(Holtzapple et al., 1990、およびその中の参照文献)。セロビオヒドロラーゼは、それらの直接産物(セロビオース)による阻害、およびβ−グルコシダーゼによるセロビオースのさらなる加水分解によって産生されたグルコースによるより低い程度の阻害にさらされる。セロビオースはグルコースよりもセルラーゼに対してより阻害性であるので、セルラーゼ阻害を減少させることのための1つの技術は、システム中のβ−グルコシダーゼの量を増加させること(米国特許第6,015,703号)である(Holtzapple et al., 1990; Teleman et al., 1995)。阻害は、合理的デザインによって導かれるかまたはランダムに適用されるDNA変異誘発を使用して、タンパク質の一次配列を改変することによって軽減することができる。例えば、合理的デザインを使用してCel5A(エンドグルカナーゼ)中のY245残基を変異誘発のために標的化し、それはセロビオース阻害定数の増加をもたらした(米国公報第2003/0054535号)。
【0007】
望ましい特性のために、T.リーゼイ(ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)としても公知である)セルラーゼシステムの主要なセロビオヒドロラーゼである、Cel6A(セロビオヒドロラーゼIIまたはCBH2としても公知である)を操作する比較的少数の報告がある。St−Pierre et al.(米国公報第2008/0076152号)は、T.リーゼイCel6A配列のポジション231、305、410および413の同等のポジションで天然に存在するアミノ酸を、セリンもしくはスレオニン(ポジション231および305)、グルタミンもしくはアスパラギン(ポジション410)、またはプロリン(ポジション413)へ置換することは、ファミリー6セルラーゼの耐熱性、好熱性および/または好アルカリ性を増加させることを示した。Wohlfahrt et al.は、残基E107、D170およびD366での変異誘発を介してアミド−カルボキシラートペアを形成することによって、タンパク質の安定性を促進した(米国公報第2004/0152872号)。合理的デザインを関連するセロビオヒドロラーゼ(サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)からのCel6B)に対しても適用して、セロビオースによる阻害を軽減した(Zhang et al., 2000)。Cel6A配列のW269、H266およびE399に同等のCel6B残基での突然変異は、セロビオース阻害を減少させるが、結晶セルロースに対する活性に対しては有意な損失があることが示された。複数の種からのCel6A配列のアライメントに由来するコンセンサス配列に基づく他のアプローチ(米国公報第2006/0205042号)は、耐熱性の改善に関連する38のアミノ酸を同定した(具体的には:V94、P98、G118、M120、M134、T142、M145、T148、T154、L179、Q204、V206、I212、L215、G231、T232、V250、Q276、N285、S291、G308、T312、S316、V323、N325、I333、G334、S343、G360、S380、A381、S390、F411、S413、A416、Q426およびA429)。この著者は、これらの突然変異が産生物阻害および/または酵素処理能力にも影響しうると推測するが、請求された残基とこれらの特性の変化を関連づけるモデル化に基づいたデータまたは具体的な仮説を提示しない。コンセンサスアプローチは改善された熱力学的安定性を備えたタンパク質バリアントを生成するようにデザインされ(Steipe, 2004)、それは他の生化学的性質の改善のための予測力を提供しない。
【0008】
セルラーゼ組成物は以前に記述されているが、セルロースの発酵性糖への転換における使用のため、ならびにパルプおよび紙、織物ならびに飼料などのセルロース系材料加工の関連分野のための新しく改善された組成物の必要性が存続する。改善されたパフォーマンスを備えたセルラーゼは、同等の化学プロセスおよび/または物理的なプロセスと比べた場合、プロセスのコストを低下させて、典型的には、実質的な環境上の利益を提示する。例えば、セルロースからの燃料エタノールの産生は、実質的な環境上の利益および経済的な利益を達成する。燃料としてエタノールを使用することは、ガソリンと比べた場合、燃焼の間に放出された二酸化炭素を、さらなるエタノール産生のための原料として成長させた生物資源へと戻して固定することによって、正味炭素排出を有意に減少させる。原料として農業生物資源を使用することはさらに農村経済を刺激し、輸入の石油に対する依存性を減少させることができる。デンプン(トウモロコシエタノールに関しては)または糖よりもむしろ、セルロースからエタノールを産生することは、ヒトおよび動物のための食料の産生の競合を回避する追加の利益を有する。米国の農務省およびエネルギー省は、食物の収穫に影響せずにセルロース系燃料を使用することによって、アメリカ(世界における最大の石油市場)の輸送燃料使用の30%を置き換えることができると推測する(Perlack et al., 2005)。さらにセルロース系生物資源を生成するのに必要な低いエネルギー入力に起因して、セルロースエタノールの使用はガソリンと比べた場合に正味の温室効果ガス産生を88%減少させるが、トウモロコシエタノールの使用は18%の減少のみであることが推測された(Farrell et al., 2006)。
【発明の概要】
【0009】
本発明はファミリー6セルラーゼバリアントに関する。より具体的には、本発明は、グルコースによる阻害の減少を示すファミリー6セルラーゼバリアントに関する。本発明は、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝的コンストラクト、宿主株からのファミリー6セルラーゼバリアントの産生のための方法、およびセルロースの加水分解におけるファミリー6セルラーゼバリアントの使用にも関する。
【0010】
本発明は、グルコースによる阻害が減少した改善されたセルラーゼを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、ポジション103での塩基性残基、非極性残基またはプロリン残基(X103H、K、R、A、V、L、P、M)、ポジション136でのバリン残基またはイソロイシン残基(X136V、I)、ポジション186でのチロシン残基またはリジン残基(X186Y、K)、ポジション365での酸性残基、グルタミン残基またはセリン残基(X365D、E、Q、S)、およびポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基またはセリン残基(X410A、F、L、Q、S)からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含むファミリー6セルラーゼバリアントに関する。
【0012】
アミノ酸置換のポジションは、配列番号:1に定義されるようなトリコデルマ・リーゼイCel6Aアミノ酸配列を備えたファミリー6セルラーゼバリアントの配列アラインメントから決定される。ポジション103での塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン、またはポジション103での非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、メチオニンもしくはロイシンでありえる。本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、それが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも約1.4倍少ないグルコースによる阻害を示す。例えば、ファミリー6セルラーゼバリアントは、それが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも、約1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.8倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5、4倍、5倍、6、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍少ないグルコースによる阻害を示すことができる。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約45%〜約100%同一であるアミノ酸配列を有する。例えば、ファミリー6セルラーゼバリアントは、配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約55%〜約100%同一、または配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約63%〜約100%同一であるアミノ酸配列を有することができる。
【0014】
なお他の実施形態において、本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、配列番号:1のアミノ酸83〜447に少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0015】
ファミリー6セルラーゼバリアントは、ファミリー6セルラーゼバリアントのポジションに対応する置換されたポジションで1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸を含むが、他はファミリー6セルラーゼバリアントと同一である、親のファミリー6セルラーゼ、例えば、ネオカリマスチクス・パトリシアラム(Neocallimastix patriciarum)、オルピノミセス属(Orpinomyces)、またはサーモビフィダ・フスカからの生来のファミリー6セルラーゼに由来しうる。これらの置換が対応するファミリー6セルラーゼバリアント中にも存在するとすれば、親のファミリー6セルラーゼは他のポジションで1つまたは複数のアミノ酸置換を含むことができる。
【0016】
本発明は、上で定義されるようなものであり、ポジション134での1つまたは複数のイソロイシン残基、バリン残基、スレオニン残基、チロシン残基またはグルタミン残基、ポジション215でのイソロイシン残基、およびポジション413でのプロリン残基をさらに含むファミリー6セルラーゼバリアントもまた含む。これらの突然変異を含むファミリー6セルラーゼバリアントは、トリコデルマ・リーゼイなどの糸状菌からでありえる。
【0017】
本発明は、由来する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも1.4倍少ないグルコースによる阻害を示すファミリー6セルラーゼバリアントであって、
TrCel6A−Y103A−S413P(配列番号:37);
TrCel6A−Y103H−S413P(配列番号:38);
TrCel6A−Y103K−S413P(配列番号:39);
TrCel6A−Y103L−S413P(配列番号:40);
TrCel6A−Y103M−S413P(配列番号:41);
TrCel6A−Y103P−S413P(配列番号:42);
TrCel6A−Y103R−S413P(配列番号:43);
TrCel6A−Y103V−S413P(配列番号:44);
TrCel6A−L136I−S413P(配列番号:45);
TrCel6A−L136V−S413P(配列番号:46);
TrCel6A−S186K−S413P(配列番号:47);
TrCel6A−S186Y−S413P(配列番号:48);
TrCel6A−G365D−S413P(配列番号:49);
TrCel6A−G365E−S413P(配列番号:50);
TrCel6A−G365Q−S413P(配列番号:51);
TrCel6A−G365S−S413P(配列番号:52);
TrCel6A−R410A−S413P(配列番号:53);
TrCel6A−R410F−S413P(配列番号:54);
TrCel6A−R410L−S413P(配列番号:55);
TrCel6A−R410Q−S413P(配列番号:56);
TrCel6A−R410S−S413P(配列番号:57);
TrCel6A−M134V−L136I−S413P(配列番号:62);
TrCel6A−L136I−L215I−S413P(配列番号:63);
TrCel6A−M134V−L136I−L215I −S413P(配列番号:71);
HiCel6A−Y107K(配列番号:78);
HiCel6A−Y107L(配列番号:79);
HiCel6A−Q139T(配列番号:80);
HiCel6A−L141V(配列番号:81);
HiCel6A−A194Y(配列番号:82);
PcCel6A−Y98K(配列番号:83);
PcCel6A−Y98L(配列番号:84);
PcCel6A−L131I(配列番号:85);
PcCel6A−L131V(配列番号:86);
PcCel6A−S182K(配列番号:87);
PcCel6A−S182Y(配列番号:88);
PcCel6A−G359Q(配列番号:89);
PcCel6A−R404Q(配列番号:90)
からなる群から選択されるファミリー6セルラーゼバリアントにも関する。
【0018】
さらに、本発明は、トリコデルマ・リーゼイまたはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の株を含むが、これらに限定されない宿主微生物からのファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌を指令するための遺伝的コンストラクトにも関する。
【0019】
本発明は、ポジション103での塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基、ポジション136でのバリン残基もしくはイソロイシン残基、ポジション186でのチロシン残基もしくはリジン残基、ポジション365での酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基、またはポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基の1つまたは複数を有するファミリー6セルラーゼバリアントをコードするDNA配列であり、宿主微生物からのその発現および分泌を調節するDNA配列に作動可能に結合されるDNA配列を含む遺伝的コンストラクトに関する。好ましくは、ファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌を調節するDNA配列は、単離されたセルラーゼの発現のために使用する宿主微生物に由来する。宿主微生物は、サッカロミセス・セレビシエなどの酵母またはトリコデルマ・リーゼイなどの糸状菌でありえる。
【0020】
本発明は、遺伝的コンストラクトによってコードされたファミリー6セルラーゼバリアントが、ポジション134でのバリン残基またはスレオニン残基、ポジション215でのイソロイシン残基、およびポジション413でのプロリン残基の1つまたは複数をさらに含む、上で定義されるような遺伝的コンストラクトにも関する。好ましくは、ファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌を調節するDNA配列は、トリコデルマ・リーゼイを含むが、これらに限定されない糸状菌に由来する。
【0021】
本発明は、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードする遺伝的コンストラクトを含み、ポジション103での塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基、ポジション136でのバリン残基もしくはイソロイシン残基、ポジション186でのチロシン残基もしくはリジン残基、ポジション365での酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基、またはポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基の1つまたは複数を含むファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌が可能な遺伝的に修飾された微生物にも関する。1つの実施形態において、ファミリー6セルラーゼバリアントは、ポジション134でのバリン残基もしくはスレオニン残基、ポジション215でのイソロイシン残基、およびポジション413でのプロリン残基の1つまたは複数をさらに含む。好ましくは、遺伝的に修飾された微生物は酵母または糸状菌である。より好ましくは、遺伝的に修飾された微生物は、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、ヒポクレア属(Hypocrea)、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム属(Fusarium)、フミコーラ属(Humicola)またはニューロスポラ属(Neurospora)の一種である。
【0022】
本発明は、ポジション103での塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基、ポジション136でのバリン残基もしくはイソロイシン残基、ポジション186でのチロシン残基もしくはリジン残基、ポジション365での酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基、またはポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基の1つまたは複数を含む、セルロース基質の加水分解ためのファミリー6セルラーゼバリアントの使用にも関する。
【0023】
本発明は、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードするDNA配列を含む遺伝的コンストラクトを有する酵母または真菌宿主の形質転換、ファミリー6セルラーゼバリアントを発現する組換えの酵母または真菌の株の選択、およびファミリー6セルラーゼバリアントの発現を誘導する条件下で液内発酵における選択された組換え株の培養を含む、上で定義されるようなファミリー6セルラーゼバリアントを産生するプロセスにも関する。
【0024】
ポジション103での塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基、ポジション136でのバリン残基またはイソロイシン残基、ポジション186でのチロシン残基もしくはリジン残基、ポジション365での酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基、またはポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基の1つまたは複数を含む本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、それらが由来する親のファミリー6セルラーゼに比べて減少したグルコース阻害を提示する。
【0025】
本明細書において記述されるようなファミリー6セルラーゼバリアントセルラーゼは、セルロース基質の高濃度、および通常はかかる基質から産生されたグルコースの阻害濃度の存在下において高活性を保持できる酵素を必要とする産業における様々な用途での使用が見出される。例えば、本明細書において記述されたようなファミリー6セルラーゼバリアントは、発酵性糖の産生のためのリグノセルロース原料の糖化のために使用するか、または反芻動物および非反芻動物における飼料の消化率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】トリコデルマ・リーゼイCel6A(TrCel6A;配列番号:1)のアミノ酸83〜447に対する35の真菌のファミリー6セルラーゼのアミノ酸配列アライメントを示した図である。各々のセルラーゼについてのアミノ酸ナンバリングは各々の配列の左右で示された通りである。ポジション103、134、136、186、215、365、410、および413の残基(TrCel6Aに対して)は、矢印により示される。セルロース結合ドメインを備えたセルラーゼについては、触媒コア配列のみが提示される。CfCel6B(配列番号:2);HiCel6A(配列番号:3);HiCel6B(配列番号:4);MtCel6A(配列番号:5);NpCel6A(配列番号:6);OpC2Cel6F(配列番号:7);PcCel6A(配列番号:8);PE2Cel6A(配列番号:9);TfCel6A(配列番号:10);TfCel6B(配列番号:11)。
【図2】組換えサッカロミセス・セレビシエからの親のTrCel6AおよびバリアントTrCel6Aセルラーゼの発現および分泌を指令するプラスミドベクターYEp352/PGK91−1ΔNheI−ass−TrCel6A−S413Pを図示した図である。
【図3】組換えサッカロミセス・セレビシエからの生来のおよびバリアントのHiCel6AまたはPcCel6Aの発現および分泌を指令するプラスミドベクターYep352/91−1ΔNheI−αss−6H−Hi(Pc)Cel6Aを図示した図である。
【図4】Cel7AおよびCel6Aを不含有のセルラーゼにより処理されたシグマセル(Sigmacell)50に対するTrCel6A−S413Pの活性を実証するデータを図示した図である。セロビオヒドロラーゼ不含有セルラーゼをデータ収集の開始に追加し、見かけ上の吸光度に対する認識可能な効果はない。データ収集の開始の5分後に、TrCel6A−S413Pを追加し、見かけ上の吸光度は減少し始める。Cel6Aの活性は、吸光度の減少の直線状部分の勾配に比例する。グルコースの非存在下および使用されるグルコースの最高濃度(50g/L)の存在下における活性が示される。データは、5つの重複測定の平均を表わし、エラーバーは1つの標準偏差を表わす。
【図5】TrCel6A−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加効果を示した図である。
【図6】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−Y103K−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図7】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−M134T−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図8】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−L136I−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図9】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−S186Y S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図10】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−G365Q−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図11】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−R410F−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図12】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−M134V−L136I−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図13】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−L136I−L215I−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図14】TrCel6A−S413PおよびTrCel6A−M134V−L136I−L215I−S413Pの相対的な活性に対するグルコース濃度の増加の効果を示した図である。
【図15】10g/Lグルコースの存在下におけるTrCel6A−S413PおよびTrCel6A−L215I−S413Pの活性を示した図である。
【図16】実施例8(TrCel6A−S413P)および実施例13(HiCel6Aバリアント、パネルA)及びPcCel6Aバリアント(パネルB)に記述されているように精製した、親のファミリー6セルラーゼおよびファミリー6セルラーゼバリアントのSDS−PAGE分析を示した図である。精製したファミリー6セルラーゼを、クマシーブルー染色によって可視化した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明はファミリー6セルラーゼバリアントに関する。より具体的には、本発明は、それが由来する親のファミリー6セルラーゼに比べてグルコースによる阻害が減少したファミリー6セルラーゼバリアントに関する。本発明は、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝的コンストラクト、宿主株からのファミリー6セルラーゼバリアントの産生のための方法、およびセルロースの加水分解におけるファミリー6セルラーゼバリアントの使用にも関する。
【0028】
以下の説明は、本発明を実行に移すために必要な特色の組み合わせのほんの一例として、およびこれらに限定されない好ましい実施形態である。
【0029】
定義
ファミリー6セルラーゼバリアント
ファミリー6(以前はファミリーB)セルラーゼ酵素は、アノマー炭素の立体配置の反転によりセルロース中のβ−1,4グルコシド結合を加水分解する一群の酵素である(Claeyssens, M. and Henrissat, B. 1992)。これまでに同定された大部分のファミリー6セルラーゼは中温性である。しかしながら、このファミリーは、サーモビフィダ・フスカからの耐熱性セルラーゼ(図1のTfCel6AおよびTfCel6B)およびフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)からの好アルカリ性セルラーゼ(図1のHiCel6AおよびHiCel6B)もまた含む。
【0030】
図1および表1は、ファミリー6の大部分のセルラーゼの中には高度に保存性がある一次アミノ酸配列があることを示す。現在のところ公知である35のファミリー6セルラーゼのアミノ酸配列にわたる複数のアライメントは、真菌起原の大部分の天然に存在するファミリー6セルラーゼが、TrCel6Aのアミノ酸83〜447に対して約47%〜約100%のアミノ酸配列同一性があることを示す(図1および表1)。細菌起源のファミリー6セルラーゼは、TrCel6Aに対してずっと低い程度のアミノ酸配列同一性を示す。
【0031】
触媒残基として働くことができる2つのアスパラギン酸(D)残基を含む他のファミリー6セルラーゼに共通のアミノ酸を含むならば、セルラーゼはファミリー6セルラーゼとして分類される。これらのアスパラギン酸残基はポジション175および221で見出される(図1を参照;TrCel6Aナンバリングに基づく)。「TrCel6Aナンバリング」によって、アミノ酸のポジションに対応するナンバリングがTrCel6Aのアミノ酸配列に基づくことが意味される(表1;図1;配列番号:1)。図1によって明らかであるように、ファミリー6セルラーゼはかなりの程度の配列相同性を示す。したがって、アミノ酸をアライメントさせてセルラーゼ酵素間の配列相同性を最適化することによって、およびナンバリングの基準としてTrCel6Aのアミノ酸ナンバリングを使用することによって、他のセルラーゼ酵素内のアミノ酸のポジションはTrCel6Aと比較して決定することができる。アミノ酸配列をアライメントさせる方法は当業者に周知で利用可能であり、それらは2つの配列のアライメントに有用なBLAST(基本的局所アライメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)、URL:blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiを参照)、および2つまたはそれ以上の配列のアライメントのためのCLUSTALW(URL:ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlを参照)を含む。
【0032】
全体的な三次元構造の保存性は、ファミリー6セルラーゼの一次アミノ酸配列のアライメントへのさらなるガイダンスを提供する。ファミリー6触媒ドメインのトポロジーは、5つのα−ヘリックスによって連結されている7つの平行なβ−ストランドを含む、中央のβ−バレルを備えたα/β−バレルのバリアントである。ファミリー6セロビオヒドロラーゼとエンド−β−1,4−グルカナーゼとの間の1つの重要な差は、活性部位の各々の側に存在するN末端ループおよびC末端ループの長さであり、それはらセルロースに対する機能的挙動に関与する。セロビオヒドロラーゼにおいて、大規模なC末端ループは、活性部位を囲むN末端ループと共にトンネルを形成する。これは、N末端ループおよびC末端ループが活性部位中に単一のセルロース鎖を維持し、基質の前進的な分解を促進して、結晶セルロースの末端を攻撃するというセロビオヒドロラーゼのユニークな特性を付与する。エンド−β−1,4−グルカナーゼにおいて、C末端ループの長さは減少し、N末端ループは活性部位から離れて、同様により短くなり、その結果加水分解のためにセルロースの内部のβ−1,4グリコシド結合へ接近することを可能にするより開いた活性部位をもたらす。セルロースに対するファミリー6酵素の機能的挙動におけるこれらのループの役割は、エンド−β−1,4−グルカナーゼの特性を模倣するためにセルロモナス・フィミ(Cellulomonas fimi)のセロビオヒドロラーゼCel6BのC末端ループの15アミノ酸を欠失させることによって確認された(Meinke, A., et al. 1995.)。変異により、カルボキシメチルセルロースなどの可溶性セルロースに対する酵素のエンド−β−1,4−グルカナーゼ活性を促進され、不溶性セルロースに対するそのセロビオヒドロラーゼ活性が改変された。
【0033】
本発明の目的のために、「ファミリー6セルラーゼ」は、反転機構を使用して多糖を加水分解することができる酵素として定義され、5つのα−ヘリックスによって連結される7つの平行なβ−ストランドを含む中央のβ−バレルを備えたα/β−バレル構造のTrCel6Aのファミリー6触媒ドメインを表わす、配列番号:1のアミノ酸83〜447に約47%〜約100%同一であるアミノ酸配列を有することによって特徴づけられる。例えば、ファミリー6セルラーゼは、配列番号:1のアミノ酸83〜447に約47%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列を有することができる。当業者は、1つまたは複数アミノ酸の追加、欠失または置換によって与えられたファミリー6セルラーゼのアミノ酸配列が修飾されてもなおファミリー6セルラーゼと判断できることを認識する。アミノ酸配列の改変のための技術は、部位特異的変異誘発、カセット式変異誘発、ランダム変異誘発、合成オリゴヌクレオチド構築、クローニングおよび当業者に公知であるような他の遺伝子工学手法を含むが、これらに限定されない。(Eijsink VG, et al. 2005.、参照することにより本明細書に組み入れられる)。本明細書において略述されるような一般的アプローチおよび方法論に従って修飾することができるファミリー6セルラーゼの非限定例は、表1中に提供される。
【0034】
表1:ファミリー6セルラーゼ
【表1】





【0035】
「ファミリー6セルラーゼバリアント」または「修飾されたファミリー6セルラーゼ」によって、ポジション103での塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基によるアミノ酸置換;ポジション136でのバリン残基もしくはイソロイシン残基によるアミノ酸置換;ポジション186でのチロシン残基もしくはリジン残基により置換されたアミノ酸;ポジション365での酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基によるアミノ酸置換;またはポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基によるアミノ酸置換の1つまたは複数のアミノ酸置換を含み;前記ポジションが配列番号:1において定義されるようなトリコデルマ・リーゼイCel6Aアミノ酸配列と前記単離されたセルラーゼの配列アラインメントから決定される、ファミリー6セルラーゼが意味される。ファミリー6セルラーゼバリアントがいずれかのファミリー6セルラーゼに由来し得ることが理解されるだろう。例えば、ファミリー6セルラーゼバリアントは、野生型セルラーゼ、または他のアミノ酸置換を既に含むセルラーゼに由来することができる。本発明の1つの実施形態において、ファミリー6セルラーゼバリアントは、ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する対応する親のファミリー6セルラーゼよりもグルコースによる阻害の減少を示す。
【0036】
「野生型」または「生来の」ファミリー6セルラーゼによって、何ら置換、欠失、追加または修飾の導入のない、かかるファミリー6セルラーゼを天然に産生する生物のゲノムによってコードされるようなアミノ酸配列を有するファミリー6セルラーゼが意味される。例えば、野生型TrCel6A、野生型HiCel6Aおよび野生型PcCel6Aによって、何らアミノ酸置換のない配列番号:1、配列番号:23および配列番号:30のセルラーゼがそれぞれ意味される。
【0037】
「親のファミリー6セルラーゼ」によって、少なくとも1.4倍少ないグルコースによる阻害を示し、ファミリー6セルラーゼバリアントのアミノ酸に対応する変異ポジションで1つ以上の天然に存在するアミノ酸(複数可)を含むが、他のアミノ酸はファミリー6セルラーゼバリアントと同一であるファミリー6セルラーゼが意味される。親のファミリー6セルラーゼは、ポジション103で天然に存在するアミノ酸が塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基である、ポジション136で天然に存在するアミノ酸はバリン残基もしくはイソロイシン残基である、ポジション186で天然に存在するアミノ酸はチロシン残基もしくはリジン残基である、ポジション365で天然に存在するアミノ酸は酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基である、および/またはポジション410で天然に存在するアミノ酸は、アラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基であるセルラーゼを含まない。この定義は、遺伝子工学または他の技術によって導入された他のポジションでの1つまたは複数の追加のアミノ酸置換が対応するファミリー6セルラーゼバリアント中にも存在するならば、これらの置換を含む親のファミリー6セルラーゼを包含する。例えば、親のセルラーゼは、増加した耐熱性を付与するポジション413(TrCel6Aナンバリング)でのプロリンへのアミノ酸の変異を含むことができる。ファミリー6セルラーゼバリアントの非限定例は表2中に見出すことができる。
【0038】
表2:ファミリー6セルラーゼバリアント
【表2】



【0039】
グルコース阻害の減少
セルラーゼのグルコース阻害は、阻害定数KG(セルラーゼの活性を50%減少させるグルコースの濃度として定義される)の決定によって測定される。KGの値は、産生物阻害の性質(すなわち競合型、非競合型または混合型)に依存的ではない。グルコースによってあまり阻害されないセルラーゼは、KGについてより高い値を有するだろう(すなわち、酵素活性を50%減少させるためにグルコースのより高い濃度を必要とする)。
【0040】
本発明の目的のために、ファミリー6セルラーゼバリアントが、親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも1.4倍、または少なくとも約1.8倍高いKGを有するならば、対応する親のファミリー6セルラーゼに関して減少したグルコース阻害を示す。KGは、単離された親のファミリー6セルラーゼの活性を50%減少させ、実施例9において詳述された分析によって決定されるグルコースの濃度である。
【0041】
ファミリー6セルラーゼバリアントは、対応する親のファミリー6セルラーゼよりも約1.4倍高いまたは約1.8倍高いKGを有することができる。例えば、ファミリー6セルラーゼバリアントは、対応する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも約1.4、1.5、1.6、1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、10.0、12.0、15.0または20.0倍高いKGを有することができる。
【0042】
グルコースによって減少した阻害を示すファミリー6セルラーゼバリアントの例は、表2中に示される。
【0043】
ファミリー6セルラーゼバリアントをコードする遺伝学的コンストラクト
本発明は、宿主微生物からのファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌を指令する調節性DNA配列に作動可能に結合されたファミリー6セルラーゼバリアントをコードするDNA配列を含む遺伝的コンストラクトにも関する。「調節性DNA配列」によって、プロモーターおよび分泌シグナルペプチドをコードするDNA配列が意味される。調節性DNA配列は、真菌の宿主中で好ましくは機能的である。調節性DNA配列は、工業用発酵条件下において、宿主微生物中で高度に発現されかつ分泌される遺伝子に由来し得る。好ましい実施形態において、調節配列は、いずれか1つまたは複数のトリコデルマ・リーゼイのセルラーゼ遺伝子またはヘミセルラーゼ遺伝子に由来する。
【0044】
遺伝的コンストラクトは、当業者に一般に公知であるように、コンストラクトにより形質転換された遺伝的に修飾された微生物の単離を可能にする選択可能なマーカー遺伝子をさらに含むことができる。選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質に対する耐性または特異的な栄養素を欠く培地上で増殖する能力を、これらなしにはこれらの条件下で増殖することができない宿主生物に対して付与することができる。本発明は選択可能なマーカー遺伝子の選択によって限定されておらず、当業者は適切な遺伝子を容易に決定することができる。好ましい実施形態において、選択可能なマーカー遺伝子は、ハイグロマイシン、フレオマイシン、カナマイシン、またはジェネティシン、もしくはG418に対する耐性を付与するか、trp、arg、leu、pyr4、pyr、ura3、ura5、his、もしくはade遺伝子のうちの1つの宿主微生物の欠損を補完するか、または唯一の窒素源としてのアセトアミド上で増殖する能力を付与する。
【0045】
遺伝的コンストラクトは、他のDNA配列、例えば、転写ターミネーター、ペプチドタグをコードするDNA、様々なDNA配列をともに結合する合成配列、複製起原、および同種のものをさらに含むことができる。本発明の実施は、いずれか1つまたは複数のこれらの他のDNA配列の存在によって限定されない。
【0046】
ファミリー6セルラーゼバリアントを産生する遺伝的に修飾された微生物
ファミリー6セルラーゼバリアントは、ファミリー6セルラーゼバリアントをコードする遺伝的コンストラクトによる宿主微生物の形質転換によって産生された遺伝的に修飾された微生物から発現および分泌することができる。宿主微生物は、サッカロミセス属、ピキア属、ハンゼヌラ属、トリコデルマ属、ヒポクレア属、アスペルギルス属、フザリウム属、フミコーラ属、またはニューロスポラ属の一種を含むが、これらに限定されない酵母または糸状菌でありえる。例えば、宿主微生物は、サッカロミセス・セレビシエまたはトリコデルマ・リーゼイの工業用株でありえる。典型的には、宿主微生物は、ファミリー6セルラーゼをコードする遺伝子を含んでいないもの、またはいずれかのまたはすべてのファミリー6セルラーゼをコードする遺伝子(複数可)が欠失されたものである。
【0047】
遺伝的コンストラクトは、CaCl2、エレクトロポレーション、微粒子銃砲撃、プロトプラストのPEG仲介性融合による細胞の処理を含むが、これらに限定されない微生物形質転換の当業者に公知のいずれかの数の方法によって宿主微生物へと導入することができる(例えば、White et al.、WO 2005/093072、参照することにより本明細書に組み入れられる)。ファミリー6セルラーゼバリアントを発現する組換え真菌株の選択後に、選択された組換え株は、ファミリー6セルラーゼバリアントの発現を誘導する条件下の液内発酵において培養することができる。
【0048】
セルロース基質の加水分解におけるファミリー6セルラーゼバリアントの使用
本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、セルロースの酵素的加水分解のために使用される。本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、阻害的レベルのグルコースが存在または蓄積する条件下で、セルロース含有基質の加水分解のために特に有用である。例えば、本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、セルロースの初期開始濃度が約20g/Lであり約50%のセルロースがグルコースに変換されるプロセス、またはセルロースの初期開始濃度が約200g/Lまでであり約5%のセルロースがグルコースに変換されるプロセスで有用かもしれない。例えば、初期セルロース濃度は20、30、40、50、60、80、100、120または200g/Lであり、約50%、33%、25%、20%、17%、12%、10%、8%、7%または5%のセルロースはそれぞれグルコースに変換される。かかるプロセス中で親のTrCel6A−S413Pを使用する事例において、したがって、グルコースの濃度は酵素のKGに類似し、その活性を約50%減少させるだろう(表5、図5)。
【0049】
例えば、本発明のファミリー6セルラーゼバリアントは、「前処理したリグノセルロース原料」中に存在するセルロースの酵素的加水分解のために使用することができる。前処理したリグノセルロース原料は、前処理の前に、少なくとも20%のセルロース(乾燥重量)および少なくとも10%のリグニン(乾燥重量)を含んでおり、セルロース分解性酵素の作用に対して、より接近可能なおよび/またはより感受性のある繊維を作製するために物理的および/または化学的なプロセスにさらされた植物起原の材料である。前処理後に、リグノセルロース原料は、約20%以上のセルロース、および約10%以上のリグニンを含みうる。1つの実施形態において、前処理したリグノセルロース原料は、約20%以上のセルロース、および約12%以上のリグニンを含んでいる。前処理プロセスの非限定例は、硫酸もしくは亜硫酸、もしくは他の酸;アンモニア、石灰、水酸化アンモニウム、もしくは他の塩基;エタノール、ブタノール、もしくは他の有機溶媒;または加圧水によるリグノセルロース原料の化学処理を含む(米国特許第4,461,648号、第5,916,780号、第6,090,595号、第6,043,392号、第4,600,590号、Weil et al. (1997)およびOhgren, K., et al. (2005)を参照)。
【0050】
本発明において使用し得るリグノセルロース原料は、トウモロコシ茎葉、麦わら、大麦わら、稲わら、エンバクわら、キャノーラわら、および大豆茎葉などの農業用残渣;トウモロコシ繊維、甜菜パルプ、パルプミル微粉および不良品(reject)、またはサトウキビバガスなどの繊維加工残渣;アスペン材、他の硬材、軟材およびおがくずなどの林業残渣;またはスイッチグラス、ミスカンサス(miscanthus)、コードグラス、およびリードキャナリーグラス(reed canary grass)などの草を含むが、これらに限定されない。リグノセルロース原料は、製粉、粉砕、撹拌、破砕、圧縮/膨張、または他のタイプの機械的作用を含むが、これらに限定されない方法によるサイズの減少を最初に行なうことができる。機械的作用によるサイズ減少は、例えば、ハンマーミルであるがこれに限定されない、目的に適合したいずれかの型の装置によって実行することができる。
【0051】
用語「酵素的加水分解」によって、本発明のファミリー6セルラーゼバリアントを含む酵素を含むセルラーゼ酵素または混合物がセルロースに作用して、そのすべてまたは一部分を可溶性糖質に変換するプロセスが意味される。用語「セルラーゼ混合物」によって、セルロースを分解し、かつ1つまたは複数の「エンドグルカナーゼ」(セルロース鎖内のβ−1,4グリコシド結合を加水分解する酵素)、「セロビオヒドロラーゼ」または「エキソグルカナーゼ」(セルロース鎖の還元末端または非還元末端のいずれかからセロビオースを連続して切断する酵素)、および1つまたは複数の「β−グルコシダーゼ」(セロビオースをグルコースへ加水分解する酵素)を含む酵素の混合物が意味される。セルラーゼ混合物は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼおよびβ−グルコシダーゼに加えて他の酵素またはタンパク質を含むことができる。
【0052】
酵素的加水分解プロセスは、好ましくは約80%〜約100%、またはその間のいずれかの範囲のセルロースを可溶性糖質へ変換する。例えば、酵素的加水分解プロセスは、約90%〜約100%、またはその間のいずれかの範囲のセルロースを可溶性糖質へ変換する。好ましい実施形態において、酵素的加水分解プロセスは、約98%〜約100%、またはその間のいずれかの範囲のセルロースを可溶性糖質へ変換する。
【0053】
好ましくは、一次セルラーゼは1つまたは複数の液内培養発酵において産生され、発酵の終了時に細胞から分離される。細胞は、濾過、遠心分離、または当業者が精通している他のプロセスによってセルラーゼから分離することができる。次に、細胞不含有セルラーゼ含有画分は、使用の前に、濃縮(例えば、限外濾過によって)、保存、および/または安定化することができる。あるいは、一次セルラーゼは細胞から分離されないが、細胞と共に酵素的加水分解に追加される。
【0054】
ファミリー6セルラーゼのグルコース阻害の低下
ファミリー6セルラーゼバリアントのグルコース阻害定数は、様々な濃度のグルコースで基質の存在下において酵素をインキュベーションすることによって決定された。セルラーゼの活性は、基質としての不溶性の酸膨潤されたセルロースによる濁度分析によって決定された。「濁度分析」によって、粒子により散乱されず、したがって懸濁を通して直接透過される入射光の割合が測定される、液体中の微粒子の懸濁の光学的密度の分析が意味される。「比濁分析」は、典型的には入射光から90度の観察角度からの粒子によって散乱される光の割合を測定する関連技術である。
【0055】
ポジション103、136、186、365および410でのアミノ酸置換の、ポジション413でのプロリンによるセリンの置換を備えたTrCel6Aの耐糖能に対する効果は、互いと組み合わせて、またはポジション134および215での追加のアミノ酸置換と共に、親のファミリー6セルラーゼのTrCel6AS413P、HiCel6AおよびPcCel6Aのバリアントの比較研究によって決定された。
【0056】
ファミリー6セルラーゼバリアントについてのKGの絶対値および親のファミリー6セルラーゼに対するグルコース阻害の相対的な減少は、以下の表3中に示される。
【0057】
表3:ファミリー6セルラーゼバリアントのグルコース阻害の減少
【表3】



【0058】
「相対的KG」によって、ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する親のファミリー6セルラーゼの絶対的KGに対するファミリー6セルラーゼバリアントの絶対的KGの比率が意味される。それゆえ、ファミリー6セルラーゼバリアントは、それが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも「〜倍」少ないグルコースによる阻害を示すといわれる。例えば、表3中に示されるように、P.クリソスポリウムのファミリー6セルラーゼのY98Kバリアントは、3.22の相対的KGを示し、したがって、Y98Kバリアントが由来する親の野生型P.クリソスポリウムファミリー6セルラーゼよりもグルコースによる阻害は3.22倍少ない。
【実施例】
【0059】
本発明は、以下の実施例においてさらに説明されるだろう。しかしながら、これらの実施例が説明の目的のみのためであり、いかなる方式によっても本発明の範囲を限定するために使用すべきでないことが理解されるべきである。
【0060】
実施例1は、以下の実施例において使用される株およびベクターについて記述する。実施例2〜5は、TrCel6A−S413P遺伝子のクローニングおよび酵母における形質転換、Cel6AのエラープローンPCRおよび部位飽和突然変異誘発のライブラリーの作製、ならびにコンビナトリアル変異体の生成について記述する。実施例6および7は、ミクロ培養からのTrCel6A−S413Pバリアントの発現、およびグルコースによる阻害が減少したファミリー6セルラーゼバリアントを同定するハイスループットスクリーニングについて記述する。実施例8および9は、グルコースによる阻害が減少した単離された親のファミリー6セルラーゼの発現および特性評価について記述する。実施例10〜14は、PcCel6AHis6およびHiCel6A−His6ならびにそれらのバリアントの構築、発現、精製および特性評価について記述する。実施例15は、TrCel6Aバリアントの濃度の測定のための免疫分析について記述する。
【0061】
実施例1:株およびベクター
サッカロミセス・セレビシエ株YDR483W BY4742[14317](MATα his3Δ1 leu2Δ0 lys2Δ0 ura3Δ0 Δkre2)は、ATCC(#4014317)から得た。フミコーラ・インソレンスおよびファネロカエテ・クリソスポリウムの株は、ATCC(登録商標)(それぞれ、#22082(商標)および#201542(商標))から得た。大腸菌(Escherichia coli)株DH5α(F-Φ80lacZΔM15 Δ(lacZYA−argF)U169 recA1 endA1 hsdR17(rk-, mk+) phoA supE44 thi−1 gyrA96 relA1 λ-)は、インビトロゲン(Invitrogen)社から得た。YEp352/PGK91−1ベクターは国立衛生研究所から得た。YEpFLAGΔKpn10S413Pベクターは、米国特許出願第60/841,507号中に記述される。YEpFLAG−1ベクターは、アミノ末端酵母FLAG発現キット(Amino−Terminal Yeast FLAG Expression Kit)の一部としてシグマ(Sigma)社から得た。pジェムTイージーベクター(pGEM T−easy vector)はプロメガ(Promega)社から得た。
【0062】
実施例2:YEp352/PGK91−1の中へのTrCel6A−S413P遺伝子のクローニングおよび酵母への形質転換
NheIおよびKpnIの制限酵素を使用するクローニングを促進するために、YEp352/PGK91−1ベクターのポジション1936でのユニークなNheI部位をDNAポリメラーゼI大断片(クレノウ断片)を使用してブラントにし、YEp352/PGK91−1ΔNheIを生成した。TrCel6A−S413P遺伝子は、プライマー5’NheCel6Aおよび3’BglKpnCel6Aを使用して、YEpFLAGΔKpn10S413Pベクター(米国特許出願第60/841,507号)からのPCRによって増幅された。並列して、酵母α−因子リーダー配列は、プライマー(5’BglAlphaSSおよび3’NheAlphaSS)を使用してYEpFLAG−1ベクター(シグマ社)からのPCRによって増幅して、アンプリコンの5’末端でのBglIIおよび3’末端でのNheIのための制限部位を導入した。
【0063】
酵母α−因子リーダー配列はBglII/NheI消化によって単離され、3ピースライゲーションは、TrCel6A−S413P遺伝子(NheI/BglII消化によって単離された)およびYEp352/PGK91−1ΔNheIベクター(BglII消化によって単離された)により実行された。結果として生じるベクターYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413P(図2)は、Gietz, R. D. and Woods, R. A. (2002)によって記述された手順を使用して、酵母株BY4742中に形質転換した。プライマー配列を以下にリストする。
5’BglAlphaSS:5’ACC AAA AGA TCT ATG AGA TTT CCT TCA ATT(配列番号:91)
3’NheAlphaSS:5’TGA GCA GCT AGC CCT TTT ATC CAA AGA TAC(配列番号:92)
5’NheCel6A:5’AAA AGG GCT AGC TGC TCA AGC GTC TGG GGC(配列番号:93)
3’BglKpnCel6A:5’GAG CTC AGA TCT GGT ACC TTA CAG GAA CGA TGG GTT(配列番号:94)
【0064】
実施例3:エラープローンPCRのライブラリーの作製
ランダム変異誘発ライブラリーは、2つの方法(ミュータザイム(Mutazyme)(登録商標)II DNAポリメラーゼ法、およびMn2+/バイアスデオキシリボヌクレオチド3リン酸混合法)を使用して生成された。ミュータザイム(登録商標)II DNAポリメラーゼ法のために、一連の4つの独立したPCRを、10、20、30および40ngのYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクター、ならびにプライマーYalphaN21および3’PGK−termと共にミュータザイム(登録商標)II DNAポリメラーゼを使用して実行した。増幅は25サイクルで行った。4つのPCR産物をプールし、10ng/μLに希釈した。第2のPCR変異誘発工程は、ミュータザイム(登録商標)II DNAポリメラーゼと共に30ngのプールしたPCR産物を使用し、同じプライマーを使用して、30増幅サイクルで実行した。YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413PベクターをNheIおよびKpnIにより消化し、空ベクター断片を単離した。この直線状断片および最終的なアンプリコンを同時に形質転換し、生体内組換えによって酵母株BY4742へとクローニングした(Butler et al., 2003)。
【0065】
Mn2+/バイアスをかけたデオキシリボヌクレオチド3リン酸混合法のために、PCRは、プライマーのYalphaN21および3’PGK−termとTaq DNAポリメラーゼ(シグマ社)と共に、25ngのYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクター、200μM dATP、200μM dCTP、240μM dGTP、200μM dTTPおよび640μM Mn2+を使用して、30増幅サイクルで実行した。最終的なアンプリコンは、上述されるようなYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクターへとクローン化した。
YalphaN21:5’AGC ACA AAT AAC GGG TTA TTG(配列番号:95)
3’PGK−term:5’GCA ACA CCT GGC AAT TCC TTA CC(配列番号:96)
【0066】
実施例4:部位飽和変異誘発ライブラリーの作製
グルコースに対する耐性をさらに改善するアミノ酸を見出すために、ハイスループットスクリーニング(実施例7)の間に同定されたTrCel6A−S413Pにおける7つのアミノ酸ポジション(M134、L136、L215、Y103、S186、G365、およびR410)が、部位飽和突然変異誘発について選択された。部位飽和変異誘発は、NNSプライマー(以下にリストした)、鋳型としてYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクター、およびプラチナ(Platinum)(登録商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティー(Taq DNA Polymerase High Fidelity)(インビトロゲン社)を使用して、メガプライマーPCR(2工程のPCR反応)によって実行した。第1の工程PCRを、NNSプライマーおよび相補的な外部プライマー(YalphaN21または3’PGK−term)を使用して行なった。精製アンプリコンは、第2の工程PCRのためのメガプライマーとして供給され、他の相補的な外部プライマーを使用して完全な変異遺伝子を増幅した。次に、この最終的なアンプリコンを、実施例3中に記述されているようなYEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクターへとクローニングした。
3’M134X:5’GAG TAT CTA GCC ASN NAA AAG AGG GAA C(配列番号:97)
3’L136X:5’CTT GTC AAG AGT ATC SNN CCA CAT AAA AG(配列番号:98)
3’L215X:5’GCT CAA TAA CCA GSN NGG TCC GGA TAT C(配列番号:99)
3’Y103X:5’CTT CAG AGG CGT ASN NTG CAT TGG CCC (配列番号:100)
3’S186X:5’CAC CAT CGG CAA TSN NGT ATT CGC CAT TC(配列番号:101)
5’G365X:5’CAG CAA CAG TGG NNS GAC TGG TGC AAT G(配列番号:102)
5’R410X:5’GAC AGC AGT GCG CCA NNS TTT GAC CCC CAC TGT GC (配列番号:103)
【0067】
実施例5:コンビナトリアル変異体の作製。
グルコースに対する耐性について実施例7において同定されたTrCel6A−S413P陽性バリアントに基づいて、1セットの3つの複数変異体および1つの単一変異体を、親TrCel6A−S413P上にデザインした(M134V−L136I、L136I−L215I、M134V−L136I−L215I、およびM134V)。M134V−L136I変異体については、YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413PベクターはメガプライマーPCRの2工程の反応のための鋳型として供給され、変異誘発プライマー5’M134V−L136I、外部プライマー3’PGK−term、およびプラチナ(登録商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティー(インビトロゲン社)を使用した。精製アンプリコンは第2の工程PCRのためのメガプライマーとして供給され、YalphaN21外部プライマーを使用して完全な変異遺伝子を増幅する。XhoIおよびNruIにより消化したこの最終的なアンプリコンおよび精製YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクターを同時に形質転換し、生体内組換えによって酵母株BY4742へとクローニングした。L136I−L215I変異体については、NheI−EcoRV精製断片、ならびにXhoIおよびNruIにより消化した精製YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413P−L215Iベクター(実施例7において単離された)を同時に形質転換し、生体内組換えによって酵母株BY4742へとクローニングした。M134V−L136I−L215I変異体については、上述された精製メガプライマー、ならびにXhoIおよびNruIにより消化した精製YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413P−L215Iベクター(実施例7において単離された)を同時に形質転換し、生体内組換えによって酵母株BY4742へとクローニングした。最後にM134V変異体については、YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413PベクターはメガプライマーPCRの2工程の反応のための鋳型として供給され、変異誘発プライマー5’M134V、外部プライマー3’PGK−term、およびプラチナ(登録商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティー(インビトロゲン社)を使用した。精製アンプリコンは第2の工程PCRのためのメガプライマーとして供給され、YalphaN21外部プライマーを使用して完全な変異遺伝子を増幅した。この最終的なアンプリコン、ならびにXhoIおよびNruIにより消化した精製YEp352/PGK91−1ΔNheI−αss−TrCel6A−S413Pベクターを同時に形質転換し、生体内組換えによって酵母株BY4742へとクローニングした。
5’M134V−L136I:5’GTT CCC TCT TTT GTG TGG ATA GAT ACT CTT GAC(配列番号:104)
5’M134V:5’GTT CCC TCT TTT GTG TGG CTA GAT ACT(配列番号:105)
【0068】
実施例6:マイクロプレート培養からのTrCel6A−S413Pおよびそのバリアントの発現および単離
この実施例は、ハイスループットスクリーニング分析(実施例7)で使用されるサッカロミセス・セレビシエからのTrCel6A−S413Pバリアントの選択および発現について記述する。
【0069】
サッカロミセス・セレビシエ形質転換体(実施例2〜5からの)を、合成完全培地(SC:2%寒天w/v、0.17%酵母窒素ベースw/v、0.078%−Uraドロップアウトサプリメントw/v、2%グルコースw/v、2%カザミノ酸w/v、0.5%硫酸アンモニウムw/v、pH 5.5)および0.12%アゾ−大麦−β−グルカン(メガザイム(Megazyme)社)を含むプレート上で30℃で4日間増殖した。
【0070】
45℃での一晩のインキュベーション後に目視可能な透明なハローを示すコロニーを、96ウェルマイクロプレート中の150μLの合成完全培地(SC:0.17%酵母窒素ベースw/v、0.078%−Uraドロップアウトサプリメントw/v、2%グルコースw/v、2%カザミノ酸w/v、0.5%硫酸アンモニウムw/v、pH 5.5)の爪楊枝接種によって、液体培地の前培養のために選択した。前培養を、30℃および300rpmで一晩(16〜18時間)静止相まで増殖した。発現培養の接種については、25μLの前培養を使用して1つのガラスビーズを含むディープウェルマイクロプレート中に1mLのSC培地を接種した。発現培養は湿度管理しながら30℃および250rpmで3日間増殖させた。プレートを5分間3000rpmで遠心分離して細胞をペレットにし、スクリーニング分析(実施例7)のために上清を吸引した。残りの前培養に、15%の最終的な濃度までグリセロールを追加することによってストックを調製し、−80℃で保存した。
【0071】
実施例7:グルコースに対する耐性を備えたファミリー6セルラーゼバリアントについてのトリコデルマ・リーゼイCel6A遺伝子ライブラリーのスクリーニング
この実施例は、グルコースによる阻害が減少したトリコデルマ・リーゼイCel6A−S413Pバリアントのスクリーニングについて、サッカロミセス・セレビシエへとクローニングされた親のTrCel6A−S413Pと比較して記述する。
【0072】
実施例6中に記述されているような酵母ミクロ培養からのTrCel6−S413Pバリアントは、96ウェルマイクロプレート形式を使用して、0.25mLのクエン酸塩で緩衝した(pH5)セルロース加水分解の分析において検査された。各々のバリアントからの上清のアリコートを30g/Lグルコースを含む第1のウェルおよびグルコースが存在しない第2のウェルに追加し、濃度0.067%w/vのセルロースと共に50℃で19時間インキュベートした。酵母上清に、トリコデルマ・リーゼイのCel7BおよびCel5A(40mgタンパク質/gセルロース)、および125IU/gセルロースの黒色コウジ菌β−グルコシダーゼを補充した。比較のために使用した6つの親のTrCel6A−S413P対照が、各々の96のウェルマイクロプレート中に含まれた。セルラーゼ活性は濁度測定によって測定した。±グルコース活性比は、グルコースの非存在下におけるセルラーゼ活性でグルコースの存在下におけるセルラーゼ活性を割ることによって、すべてのTrCel6Aバリアントおよび親のTrCel6A−S413Pについて計算された。各々のTrCel6A−S413Pバリアントについての±グルコース活性比は、特定のマイクロプレートに対する6つの親のTrCel6A−S413P対照の平均と比較され、陽性のものはt−検定を使用して95%信頼度で選択された。すべての陽性バリアントをミクロ培養において再び産生し、再スクリーニングして偽陽性の数を減少させた。表4は、EP−PCRライブラリー(実施例3)および7つのSSMライブラリー(実施例4)について得られたスクリーニング結果を要約する。
【0073】
表4:Ep−PCRおよびSSMライブラリーのスクリーニング結果
【表4】

【0074】
実施例8:大量培養からのTrCel6A−S413Pおよびそのバリアントの発現および濃縮
2つの体積500mLの滅菌したSC*−Ura培地(0.77g/L−Uraドロップアウトサプリメント、1.7g/L酵母窒素ベース、5g/L(NH42SO4、20g/Lカザミノ酸、20g/Lグルコース)に、寒天プレートから新たに採集した細胞から増殖させた形質転換サッカロミセス・セレビシエの10mLの一晩の培養を接種した。次に培養は200rpmで振盪しながら30℃で96時間インキュベートした。
【0075】
インキュベーション後に、500mL酵母培養の各ペアをプールし、9000rpmで10分間遠心分離し、沈殿(酵母細胞を含む)は廃棄した。上清pHを5.0に調節し、次に1時間4℃まで冷却した。冷却に続いて、625gの(NH42SO4を追加して、酵母上清を93%飽和にした。持続的に撹拌しながら4℃で16時間にわたり沈降を生じさせた。翌日、沈殿を9000rpmで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0076】
沈殿をピペッティングにより全体積10mLの50mMリン酸ナトリウム(pH 7.0)中に再懸濁した。一旦沈殿を再懸濁したならば、30分間の緩やかな反転により溶液を混合した。次に溶液を3分間3000rpmで遠心分離していずれかの不溶性物質をペレットにした。沈殿を破壊しないように上清をピペットにより注意深く除去し、保存した。この上清中のTrCel6A−S413Pの濃度は、実施例15中に記述されているような精製TrCel6A−S413Pの標準曲線と共にTrCel6A特異的抗体を使用して、ELISAによって決定された。サンプルの純度は、図16中にTrCel6A−S413Pについて示されるもののようなSDS−PAGE分析によって実証された。
【0077】
実施例9:ファミリー6セルラーゼバリアントの酵素的特性評価
酸膨潤セルロース(ASC)は、当業者に公知のシグマセル50を使用する手順から産生された。ASCを1.8gセルロース/Lの最終的な濃度に150mMクエン酸塩(pH5.0)中でスラリー化し、持続的な撹拌をしながら5分間真空下で脱気した。
【0078】
TrCel6A−S413Pの活性は、セルラーゼの追加後に600nmで水またはグルコース溶液のいずれかによって0.6gセルロース/Lに希釈されて、スラリーの吸光度の減少としてモニタリングされた。サンプルは50℃で維持し、データ収集の間に持続的に撹拌した。ツインビーム吸光度装置を使用して、各サンプルについて酵素のない対照スラリーの吸光度をリアルタイムで引いた。データ収集の開始後に、Cel7AおよびCel6Aを欠くトリコデルマ属セルラーゼを、50mg/gセルロースで、すべてのキュベットに追加した。セロビオヒドロラーゼの非存在下において、基質粒子のサイズの有意な変化はなく、したがって散乱体が近似的に一定のサイズであるために見かけ上の吸光度の差はない。この間に、セロビオヒドロラーゼ不含有酵素混合物は、セロビオヒドロラーゼによる酵素作用の部位である新しい鎖末端を生成する。データ収集の開始5分後に、親のファミリー6セルラーゼまたはファミリー6セルラーゼバリアントを全用量で50mg/gまで追加する。親のファミリー6セルラーゼまたはファミリー6セルラーゼバリアントのようなセロビオヒドロラーゼは、加水分解によって基質粒子のサイズの減少をもたらし、吸光度減少の初期勾配は活性の測定値として記録された。活性トレースの直線状部分のみが使用され、親のファミリー6セルラーゼまたはファミリー6セルラーゼバリアントのようなセロビオヒドロラーゼのみが基質の見かけ上の吸光度を減少させることができるので、分析はCel6A単独の活性について特異的であり、非セロビオヒドロラーゼ酵素のいずれかの可能な阻害によって影響を受けない。さらに、ファミリー6セルラーゼバリアントに対して親のファミリー6セルラーゼのグルコースによる阻害の低下を比較する場合、これらの酵素のいずれかの影響は同一であるだろう。TrCel6A−S413Pによる典型的な実験の間に回収されたデータは、図4中に図示される。
【0079】
活性データは、グルコースの非存在下、ならびに10、20、30、40および50g/Lグルコースの存在下において回収された。5つの重複したデータセットをこれらの各々の条件について回収した。データは吸光度勾配vsグルコース濃度としてプロットし、マイクロソフトエクセル中のソルバー機能を使用して単純な直線状阻害のモデルに適応させる。KGの最適値および95%信頼区間は標準の統計的手法を使用して計算された。グルコースの非存在下において測定された勾配の平均値は、比活性の測定値として採用された。タイプ2の両側検定のt検定を使用して、検査された各TrCel6A−S413PバリアントのKGおよび比活性を親の酵素のパラメータ値に対して比較した。
【0080】
下記の表5および図5〜15中の結果によって示されるように、TrCel6A−S413Pバリアントはすべて、親のTrCel6Aよりもグルコース阻害の少なくとも1.8倍〜6.73倍の減少を示す。
【0081】
表5:TrCel6A−S413Pに由来するファミリー6セルラーゼバリアントについてのグルコース阻害定数
【表5】

【0082】
実施例10:HiCel6AおよびPcCel6Aの生成、ならびにYep352/PGK91−1−αss−6Hisベクターへのそれらのクローニング
YEp352/PGK91−1−αss−6Hisベクターの構築
SpeI、NheI、KpnIおよびEcoRI制限部位を含むDNAアダプターを、プライマーAT044およびAT045をともにアニールすることによって調製した。アダプターは、SpeI部位の下流のおよびNheI部位の上流に6つのヒスチジン残基をコードする配列を含む。アダプターをpgk1プロモーター、α接合因子分泌シグナル、およびpgk1ターミネーター配列を含む、YEpベースのプラスミド(YEp352/PGK91−1αss)の中に挿入して、プラスミドYEp352/PGK91−1/αss6HNKEを作製する。具体的には、リンカーは、NheI/EcoRI断片として、α接合因子分泌シグナルの下流およびpgk1ターミネーターの上流に位置するNheIおよびEcoRIの部位の中に挿入した。プライマー配列を以下に示す。
AT044:5’ CTA GTC ATC ACC ATC ACC ATC ACG CTA GCT GAT CAC TGA GGT ACC G
(配列番号:106)
AT045:5’ AAT TCG GTA CCT CAG TGA TCA GCT AGC GTG ATG GTG ATG GTG ATG A
(配列番号:107)
【0083】
YEp352/PGK91−1−αss−6H−HiCel6Aの生成
凍結乾燥したH.インソレンスを300μLの滅菌H2O中に再懸濁し、50μLをエマーソンYPSSのpH7の寒天プレート(0.4%酵母抽出物、0.1%K2HPO4、0.05%MgSO4・7H2O、1.5%グルコース、1.5%寒天)上に広げた。真菌は45℃で6日間インキュベートし、次に胞子をノボ(Novo)培地(BarbesgaardによるUSP第4,435,307号の通り)中に接種した:100mLの増殖相用培地(2.4%CSL、2.4%グルコース、0.5%大豆油、pH5.5に調節した0.5%CaCO3)中で37℃で48時間インキュベーションし、次に6mLの前培養を100mLの生産相用培地(0.25%NH4NO3、0.56%KH2SO4、0.44%K2HPO4、0.075% MgSO4・7H2O、2%シグマセル、pH7に調節した0.25%CaCO3)へと移し、培養をバイオマス採取の前に最大4日間インキュベートした。次に、50mgのバイオマスを使用して、製造業者手順に従ってアブソルートリーRNA(Absolutely RNA)(登録商標)ミニプレップキット(Miniprep Kit)(ストラタジーン(Stratagene)社)により全RNAを単離した。製造業者手順に従ってスーパースクリプト(SuperScript)(商標)II逆転写酵素(インビトロゲン社)を使用して、全cDNAを全RNAから生成した。HiCel6Aをコードする遺伝子を以下のプライマーを使用してcDNAから増幅した。
5’HiCel6A−cDNA 5’CTA TTG CTA GCT GTG CCC CGA CTT GGG GCC AGT GC(配列番号:108)
3’HiCel6A−cDNA 5’CTA TTG AAT TCG GTA CCT CAG AAC GGC GGA TTG GCA TTA CGA AG(配列番号:109)
【0084】
PCRアンプリコンは、製造業者の推奨に従ってTAクローニングによってpジェム(登録商標)−Tイージー(T Easy)ベクターの中へクローン化した。プラスミドpGEM−HiCel6AをNheIおよびEcoRIにより消化してHiCel6A遺伝子を遊離した。この断片を精製し、YEp352/PGK91−1/αss6HNKEのNheIおよびEcoRIの部位の中へライゲーションしてYEp352/PGK91−1/αss6H−HiCel6Aを得た。
【0085】
YEp352/PGK91−1−αss−6H−PcCel6Aの生成
凍結乾燥したP.クリソスポリウムを300μLの滅菌H2O中に再懸濁し50μLをPDAプレート上に広げた。プレートは4日間24℃でインキュベートした。P.クリソスポリウムの胞子はPDAプレートの上のセロハン円の上に接種し、バイオマスは24℃で4〜6日後に採取した。次に50mgのバイオマスを使用して、製造業者手順に従ってアブソルートリーRNA(登録商標)ミニプレップキット(ストラタジーン社)により全RNAを単離した。製造業者手順に従ってスーパースクリプト(商標)II逆転写酵素(インビトロゲン社)を使用して、全cDNAを全RNAから生成した。PcCel6Aをコードする遺伝子を以下のプライマーを使用してcDNAから増幅した(それはN末端にNheI部位およびC末端にKpnIおよびEcoRIの部位を導入した)。
5’PcCel6A−cDNA 5’CTA TTG CTA GCT CGG AGT GGG GAC AGT GCG GTG GC
(配列番号:110)
3’PcCel6A−cDNA 5’CTA TTG AAT TCG GTA CCC TAC AGC GGC GGG TTG GCA GCA GAA AC
(配列番号:111)
【0086】
PCRアンプリコンは、製造業者の推奨に従ってTAクローニングによってpGEM(登録商標)−Tイージーベクターの中へクローン化した。プラスミドpGEM−PcCel6AをNheIおよびEcoRIにより消化してPcCel6A遺伝子を遊離した。この断片を精製し、YEp352/PGK91−1/αss6HNKEのNheIおよびEcoRIの部位の中へライゲーションしてYEp352/PGK91−1/αss6H−PcCel6Aを得た。
【0087】
実施例11:PcCel6A−His6およびHiCel6A−His6ならびにそれらのバリアントを備えたベクターの変異誘発
HiCel6AおよびPcCel6Aのバリアントは、メガプライマー合成と後続するPCR仲介性オーバーラップ伸長を含む2工程PCR方法を使用して構築した(Vallejo et al., 1994)。すべてのPCR反応はハイフィデリティーiプルーフ(iProof)Taqポリメラーゼ(バイオラッド(BioRad)社)を使用して実行した。プラスミドYEp352/PGK91−1−αss−6H−HiCel6AおよびYEp352/PGK91−1−αss−6H−PcCel6Aが、フミコーラ・インソレンスおよびファネロカエテ・クリソスポリウムの両方についての鋳型としてそれぞれ供給された。変異誘発部位の(およびそれを含む)上流のメガプライマーは、与えられたグルコース耐性バリアントに特異的な内部のリバースプライマー(すなわちHiCel6A Y107LについてはDK022;表6を参照)と組み合わせて外部プライマーYαN21を使用して増幅された。同様に、変異誘発部位の(およびそれを含む)下流のメガプライマーは、特定のグルコース耐性バリアントにユニークな内部フォワードプライマー(すなわちHiCel6A Y107LについてはDK021;表6を参照)と共に外部プライマーPGKtermを使用して増幅された。内部プライマーは、Cel6Aホモログの中へ所望されるグルコース耐性変異を導入するようにデザインされた。メガプライマーは、ウィザード(Wizard)(登録商標)SVゲルおよびPCRクリーンアップシステム(Clean−Up System)(プロメガ社)を使用して精製された。
【0088】
表6:H.インソレンスおよびP.クリソスポリウムのCel6Aホモログ内へのグルコース耐性変異の導入のために使用したプライマーのリスト。相同のT.リーゼイ配列中に見出される残基ともとの残基が異なる場合は、アミノ酸をイタリック体にしてある。プライマー配列に関して、下線を引いたヌクレオチドは所望されるアミノ酸置換をもたらす。外部プラスミドプライマーが含まれる。
【表6】





【0089】
PCRの第2ラウンドの間に、所望されるコンストラクトの両方のメガプライマーをアニールさせ10サイクルで伸長させて、最終的な鋳型を生成した。次に、外部プライマーのYαN21およびPGKtermを別の25サイクルのために追加して最終的な産物を増幅し、続いてウィザード(登録商標)SVゲルおよびPCRクリーンアップシステムを使用して精製した。精製したPCR産物および直線化したベクターYEp352/PGK91−1αss−6HNKE(NheI+KpnIにより消化した)の両方は、Gietz and Woods (2002)によって記述された手順を使用して、BY4742酵母株内で生体内組換えによって、形質転換およびクローニングした。各々のコンストラクトについては、ベクターを、Hoffman and Winston(Hoffman and Winston, 1987を修飾した方法を使用して形質転換した酵母から単離し、大腸菌DH5αの化学的にコンピテントな細胞中に形質転換した。プラスミドは、ウィザード(登録商標)プラスSVミニプレップDNA精製システム(Plus SV Minipreps DNA Purification System)(プロメガ社)を使用して大腸菌細胞から単離した。すべてのバリアントのクローン化された領域の全体性をDNA配列分析によって確認した。
【0090】
実施例12:大量培養からのPcCel6A−His6およびHiCel6A−His6ならびにそれらのバリアントの発現および濃縮
2つの体積500mLの滅菌したSC*−Ura培地(0.77g/L−Uraドロップアウトサプリメント、1.7g/L酵母窒素ベース、5g/L(NH42SO4、20g/Lカザミノ酸、20g/Lグルコース)に、寒天プレートから新たに採集した細胞から増殖させた形質転換サッカロミセス・セレビシエの10mLの一晩の培養を接種した。次に培養は200rpmで振盪しながら30℃で96時間インキュベートした。
【0091】
インキュベーション後に、500mL酵母培養の各ペアをプールし、9000rpmで10分間遠心分離し、沈殿(酵母細胞を含む)を廃棄した。上清pHを5.0に調節し、次に1時間4℃まで冷却した。BSA(0.1g)を追加してCel6Aの共沈殿を支援した。冷却に続いて、559gの(NH42SO4を追加して、酵母上清を85%飽和にした。持続的に撹拌しながら4℃で16時間にわたり沈降を生じさせた。 翌日、沈殿を9000rpmで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。持続的に撹拌しながら4℃で16時間にわたり沈降を生じさせた。翌日、沈殿は9000rpmで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。
【0092】
沈殿をピペッティングにより全体積50mLの結合緩衝液(200mM NaCl、20mMリン酸ナトリウム、30mMイミダゾール(pH7.4))中に再懸濁した。一旦沈殿が再懸濁されたならば、4℃で30分間の緩やかな反転により溶液を混合した。次に、実施例13中に記述されているような精製の前に、溶液をガラス繊維濾紙により濾過して不溶性物質を除去した。
【0093】
実施例13:PcCel6A−His6およびHiCel6A−His6ならびにそれらのバリアントの精製
活性分析(実施例14)については、His−タグを付加した親のフミコーラ属Cel6Aおよびファネロカエテ属Cel6Aセルラーゼならびにそれぞれのバリアントを、固定化した金属親和性クロマトグラフィーを使用して、培養上清から精製した。His−トラップカラム上にタンパク質をロードする前に、Ni2+樹脂を結合緩衝液(200mM NaCl、20mMリン酸ナトリウム、30mMイミダゾール(pH7.4))により平衡化した。培養上清を結合緩衝液と同じ塩濃度およびpHに調節し、0.5〜1.0 mL/分の流速で1mLのHis−トラップカラム(GEヘルスケア(GE Healthcare))に適用した。次にOD280nmが安定したベースラインに達するまで、カラムを同じ結合緩衝液により洗浄した。結合されたHis−タグ付加Cel6Aを、溶出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、500mMイミダゾール(pH7.4))によりカラムから溶出した。
【0094】
溶出緩衝液を緩衝液交換によって精製さタンパク質から除去し、5mLの溶出した画分を15mLの50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)に追加し、セントリコンプラス−20(Centricon Plus−20)(ポリエーテルスルフォン膜、公称5kDaの分子量カットオフ)上にロードした。カラムは、10分間1600×gでまたはカラム中の残りの体積2.5mLがなるまで遠心分離した。この時点で、17.5mLの50mMクエン酸緩衝液(pH 5.0)をカラムにさらに追加し、遠心分離を繰り返した。1〜2 mLのみがカラム中に残るまで、最後の遠心分離を同じ様式で行なった。この最終的な上清のタンパク質濃度は、既知のタンパク質濃度のトリコデルマ・リーゼイセルラーゼを使用してバイオラッド社のタンパク質分析を使用して決定した。親およびバリアントのPcCel6AおよびHiCel6Aの純度はSDS−PAGE分析によって確認した(図16)。
【0095】
実施例14:PcCel6A−His6およびHiCel6A−His6ならびにそれらのバリアントの酵素的特性評価
上記の実施例13中に記述されているような酵母培養濾過液から精製された親のPcCel6A−His6セルラーゼおよびHiCel6A−His6セルラーゼならびにそれから由来するバリアントを使用して、実施例9中に記述されているように活性分析を実行した。下記の表7中に結果によって示されるように、HiCel6AおよびPcCel6Aのバリアントはすべて、対応する親のファミリー6セルラーゼの対照よりも少なくとも1.43倍〜3.22倍少ないグルコースによる阻害を示す。
【0096】
表7:親のPcCel6AセルラーゼおよびHiCel6Aセルラーゼ、ならびにPcCel6AおよびHiCel6Aに由来するファミリー6セルラーゼバリアントについてのグルコース阻害定数。
【表7】

【0097】
実施例15:ELISAによるTrCel6A−S413P濃度の決定。
上清および精製スタンダードをリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.2)中に希釈し、マイクロタイタープレート(コースター(Costar)社EIA#9018)中で4℃で一晩インキュベートした。一晩のインキュベーションに後続して、これらのプレートを0.1%ツイーン−20含有PBS(PBS/ツイーン)により洗浄し、次に室温で1時間1%ウシ血清アルブミン含有PBS(PBS/BSA)中でインキュベートした。ブロッキングしたマイクロタイターウェルをPBS/ツイーンにより洗浄した。TrCel6Aに特異的なウサギポリクローナル抗血清をPBS/BSA中で希釈し、マイクロタイタープレートに追加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、PBS/BSA中で1/2000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼにカップリングしたヤギ抗ウサギ抗体(シグマ社#A6154)により室温で1時間インキュベートした。洗浄後に、100μLのテトラメチルベンジジン(シグマ社#8665)をウェルに追加し、室温で30分間インキュベートした。360nmでの吸光度を各ウェルにおいて測定し、TrCel6A標準曲線を使用してタンパク質濃度に変換した。

PBSは以下のものを含む。
構成要素 g/L
NaCl 80
KCl 2
Na2HPO4 14.4
KH2PO4 2.4
【0098】
参考文献
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【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジション103での塩基性残基、非極性残基またはプロリン残基(X103H、K、R、A、V、L、P、M);
ポジション136でのバリン残基またはイソロイシン残基(X136V、I);
ポジション186でのチロシン残基またはリジン残基(X186Y、K);
ポジション365での酸性残基、グルタミン残基またはセリン残基(X365D、E、Q、S);および
ポジション410でのアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基またはセリン残基(X410A、F、L、Q、S)
からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含むファミリー6セルラーゼバリアントであって、
前記ポジションが配列番号:1において定義されるようなトリコデルマ・リーゼイCel6Aアミノ酸配列と親のファミリー6セルラーゼのアライメントから決定され、該ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも約1.4倍より少ないグルコースによる阻害を示す、前記ファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項2】
配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約45%〜約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項3】
配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約55%〜約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項4】
前記ファミリー6セルラーゼバリアントのアミノ酸配列が、配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約63%同一である、請求項3に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項5】
前記ファミリー6セルラーゼバリアントのアミノ酸配列が、配列番号:1のアミノ酸83〜447と少なくとも約95%同一である、請求項4に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項6】
ポジション103での前記塩基性残基が、ヒスチジン残基、アルギニン残基またはリジン残基である、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項7】
ポジション103での前記非極性残基が、アラニン残基、バリン残基、メチオニン残基またはロイシン残基である、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項8】
ポジション365での前記酸性残基が、アスパラギン酸またはグルタミン酸である、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項9】
ポジション134でイソロイシン残基、バリン残基、スレオニン残基、チロシン残基またはグルタミン残基をさらに含む、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項10】
ポジション215でイソロイシン残基をさらに含む、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項11】
ポジション413でプロリン残基をさらに含む、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項12】
請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアントであって、該ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも約1.8倍少ないグルコースによる阻害を示す、前記ファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項13】
前記ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する前記親のファミリー6セルラーゼが、ポジション103で、天然に存在する塩基性残基、非極性残基もしくはプロリン残基、ポジション136で、天然に存在するバリン残基もしくはイソロイシン残基、ポジション186で、天然に存在するチロシン残基もしくはリジン残基、ポジション365で、天然に存在する酸性残基、グルタミン残基もしくはセリン残基、またはポジション410で、天然に存在するアラニン残基、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、グルタミン残基もしくはセリン残基を有しない、請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアント。
【請求項14】
請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアントをコードするDNAを含む遺伝的コンストラクト。
【請求項15】
ファミリー6セルラーゼバリアントの分泌の発現を指令する調節性DNA配列をさらに含む、請求項14に記載の遺伝的コンストラクト。
【請求項16】
前記調節性DNA配列が、ファミリー6セルラーゼバリアントの産生のために使用される宿主生物と相同である、請求項15に記載の遺伝的コンストラクト。
【請求項17】
請求項14に記載の遺伝的コンストラクトを含む遺伝的に修飾された微生物。
【請求項18】
前記微生物が、酵母または糸状菌の一種である、請求項17に記載の遺伝的に修飾された微生物。
【請求項19】
前記微生物が、サッカロミセス属、ピキア属、トリコデルマ属、ヒポクレア属、アスペルギルス属、フザリウム属、フミコーラ属、ニューロスポラ属の一種である、請求項18に記載の遺伝的に修飾された微生物。
【請求項20】
前記微生物が、サッカロミセス・セレビシエまたはトリコデルマ・リーゼイである、請求項19に記載の遺伝的に修飾された微生物。
【請求項21】
請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアントを産生するプロセスであって、ファミリー6セルラーゼバリアントの発現および分泌を誘導する条件下で請求項17に記載の遺伝的に修飾された微生物を増殖すること、並びに培養培地からファミリー6セルラーゼバリアントを回収することを含む、前記プロセス。
【請求項22】
セルロース基質をグルコースへ加水分解するプロセスであって、セルロースのグルコースへの転換を達成するようにセルラーゼ組成物でセルロース基質を処理することを含み、前記セルラーゼ組成物が請求項1に記載のファミリー6セルラーゼバリアントを含む、前記プロセス。
【請求項23】
前記セルロース基質が、前処理したリグノセルロース原料である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記前処理したリグノセルロース原料が、トウモロコシ茎葉、麦わら、大麦わら、稲わら、エンバクわら、キャノーラわら、大豆茎葉;トウモロコシ繊維、甜菜パルプ、パルプミル微粉および不良品、サトウキビバガス、硬材、軟材、おがくず、スイッチグラス、ミスカンサス、コードグラス、およびリードキャナリーグラスを含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
TrCel6A−Y103A−S413P(配列番号:37);
TrCel6A−Y103H−S413P(配列番号:38);
TrCel6A−Y103K−S413P(配列番号:39);
TrCel6A−Y103L−S413P(配列番号:40);
TrCel6A−Y103M−S413P(配列番号:41);
TrCel6A−Y103P−S413P(配列番号:42);
TrCel6A−Y103R−S413P(配列番号:43);
TrCel6A−Y103V−S413P(配列番号:44);
TrCel6A−L136I−S413P(配列番号:45);
TrCel6A−L136V−S413P(配列番号:46);
TrCel6A−S186K−S413P(配列番号:47);
TrCel6A−S186Y−S413P(配列番号:48);
TrCel6A−G365D−S413P(配列番号:49);
TrCel6A−G365E−S413P(配列番号:50);
TrCel6A−G365Q−S413P(配列番号:51);
TrCel6A−G365S−S413P(配列番号:52);
TrCel6A−R410A−S413P(配列番号:53);
TrCel6A−R410F−S413P(配列番号:54);
TrCel6A−R410L−S413P(配列番号:55);
TrCel6A−R410Q−S413P(配列番号:56);
TrCel6A−R410S−S413P(配列番号:57);
TrCel6A−M134V−L136I−S413P(配列番号:62);
TrCel6A−L136I−L215I−S413P(配列番号:63);
TrCel6A−M134V−L136I−L215I−S413P(配列番号:71);
HiCel6A−Y107K(配列番号:78);
HiCel6A−Y107L(配列番号:79);
HiCel6A−Q139T(配列番号:80);
HiCel6A−L141V(配列番号:81);
HiCel6A−A194Y(配列番号:82);
PcCel6A−Y98K(配列番号:83);
PcCel6A−Y98L(配列番号:84);
PcCel6A−L131I(配列番号:85);
PcCel6A−L131V(配列番号:86);
PcCel6A−S182K(配列番号:87);
PcCel6A−S182Y(配列番号:88);
PcCel6A−G359Q(配列番号:89);および
PcCel6A−R404Q(配列番号:90)
からなる群から選択されるファミリー6セルラーゼバリアントであって、
該ファミリー6セルラーゼバリアントが由来する親のファミリー6セルラーゼよりも少なくとも1.4倍少ないグルコースによる阻害を示す、前記ファミリー6セルラーゼバリアント。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公表番号】特表2011−509662(P2011−509662A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542488(P2010−542488)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000053
【国際公開番号】WO2009/089630
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(509047409)アイオジェン エナジー コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】