説明

グルコースのためのボロン酸キレーターを使用するジオール類および炭水化物の検出のためのセンサー

本明細書に開示されるシステムおよび方法は、グルコースのような、キレート化が可能な検体の存在を検出するためのセンサー粒子を含み、該センサーは、発色団、および量子ドットのような蛍光性の構成部分を備える。該センサー粒子は、キレート化が可能な検体および発色団の両方に可逆的かつ競合的に結合する部分をさらに備える。キレート化が可能な検体の存在下で、該部分は、検体と結合して発色団を解放する。該発色団は、遊離状態では1つの波長、しかし結合状態では異なった波長の光子を吸収する。該発色団は、蛍光性の構成部分とともに動作させるために、結合または非結合状態の一方でのみ蛍光物質の発光を吸収するように選択される。ある様態において、本発明は、水、血漿および尿のような媒体におけるキレート化が可能な検体の存在を、本発明のセンサー粒子を用いて検出するための方法を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2007年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/933,724号、および発明者Heather Clarkによる表題「Sensors for the Detection of Diols and Carbohydrates」の2008年5月29日に出願された米国仮特許出願第60/933,724号の利益を主張する。参照された全出願の教示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、国家医療の危機となっている。2005年の国民糖尿病ファクト・シートによれば、米国で推定2080万人が糖尿病を患っている。糖尿病治療に係わる経費も天文学的であり、2002年に推定1320億ドルが費やされた。厳格な血糖管理がプラスになることを強調した有力な研究成果を受けて、米国糖尿病協会は、糖尿病の患者が彼らのグルコースレベルをできるだけ平常に近く管理するように努めるべきことを推奨している。厳格な血糖管理によって、心臓疾患、失明、および手足切断のような、糖尿病関連の合併症は著しく減少する。グルコースの自己モニタリングは、特にI型糖尿病の人々にとって調整をする上で欠くことができない。これは、多くの場合、指先穿刺法により1日に3回またはそれ以上行なわれる。少量とは言え、採血が1日に複数回必要なことは望ましくない。
【0003】
連続モニタリングシステムは、患者および医療提供者にとって同様にたいへん有益となろう。これがグルコースセンサー研究の目標となり、多種類の連続モニタリングシステムが当分野の数知れない研究者により追求されている。指先穿刺法に優る連続モニタリングの恩恵は数多い。第一に、指先穿刺法は患者にとって痛くてかつ不便であり、ノンコンプライアンスに繋がりかねない。第二に、一点測定は血中グルコース濃度について傾向、言い換えればレベルが上昇、或いは下降しているかどうかの知見を伴わない、静的な情報を与えるものである。第三に、レベルが危険なほど低下しかねない夜にモニタリングが行なわれないか、行ったとしてもとりわけ不便である。連続モニタリングシステムは、多くの異なる形態が追求されており、例えば、Medtronic MiniMed(Northridge,California)からのGuardianRT,およびAnimas(West Chester,PA)からのGlucoWatch Biographerなど、いくつか市販されている。これら両方のシステムは、血液よりむしろ、真皮における間質腔、細胞外隙間からグルコースを採取することによって機能する。現在、これらはグルコースの傾向を追跡するためのモニターとして認可されているが、高値および低値については、指先穿刺テストで確認されている。いくつかの報告は、グルコースが厳格に管理された患者での夜間モニタリングに精度上の疑問があると投げかけてきた。
【0004】
連続または指先穿刺測定用の市販システムは、電気化学的バイオセンサーに左右される。グルコースオキシダーゼは、生物学的な認識単位として最もよく知られており、選択性の高いセンサー・プラットフォームを提供する。この酵素は、限定的な環境にしかないために、酵素ベースのセンサーを移植可能なグルコースセンサーとして実装することは難しい。機能するために必要な酸素が局所的に枯渇して、反応の副生成物である過酸化水素が酵素分解を招く可能性がある。多くの場合、読み出しは電極に基づくが、これが小型化および生体への移植に向けた別の課題となる。ナノおよびマイクロスケールの光学的センサーも実証されているが、しかし、従来技術を置き換えるには概して選択性およびロバスト性に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それでもなお、連続的で非侵襲なグルコース・モニタリングのための方法、特に、使い易くて精度が高く、かつ無痛の方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、グルコースのような、キレート化が可能な検体の存在を検出するための センサー粒子であって、量子ドット、キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、およびキレート化が可能な検体の不在下で該部分に結合する、該ポリマーマトリクスに結合した発色団を含むセンサー粒子を開示する。いくつかの実施形態において、励起状態にある量子ドットによって放出された光子は、非結合状態にある発色団に吸収されるが、しかし結合状態にある発色団には吸収されない。該部分は、キレート化が可能な検体および発色団と可逆的かつ競合的に結合することができる。ある実施形態において、該部分は、ボロン酸類またはボロン酸エステル類である。いくつかの実施形態において、該部分および/または発色団のような、本センサーの1つまたはそれ以上の構成部分は、ポリマーマトリクスに共有結合するか、または結び付いている。いくつかの実施形態において、本センサー粒子は、生体適合性層をさらに備える。
【0007】
ある様態において、本発明は、媒体中におけるキレート化が可能な検体の存在を本発明のセンサー粒子を用いて検出するための方法を備える。ある実施形態において、キレート化が可能な検体はグルコースであり、媒体は水、血液、血漿および尿から選択される。ある実施形態において、本発明は、動物中におけるキレート化が可能な検体の存在を検出するための方法を備える。いくつかのかかる実施形態において、本センサー粒子は、真皮または表皮に移植されて、グルコースのようなキレート化が可能な検体がモニタリングされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】a.部分1に結合した発色団2であって、1つの波長の光子4を放出する、結合した発色団、およびb.検体5に結合した部分1であって、結合していない発色団2は第2の波長6の光子を放出する、部分1をもつセンサー粒子3。
【図2】a.部分1に結合した発色団2であって、量子ドットおよび/または蛍光色素7によって放出される光子4を吸収しない、結合した発色団2、およびb.検体5に結合した部分1であって、結合していない発色団2は量子ドットおよび/または蛍光色素7によって放出される光子4を吸収する、部分1をもつセンサー粒子3。
【図3】a.部分1に結合した発色団2であって、量子ドットおよび/または蛍光色素7によって放出された光子4を吸収する、結合した発色団、およびb.検体5に結合した部分1であって、結合していない発色団2は量子ドットおよび/または蛍光色素7によって放出される光子4を吸収する、部分1をもつセンサー粒子3。
【図4】ボロン酸(キレート化が可能な部分)とアリザリン(発色団)またはグルコース(検体)との競合的な相互作用の例となる実施形態。
【図5】GSQDの構成部分の分光的特徴;a. 正規化されたアリザリン吸光度と量子ドット発光とのオーバーラップ、b.内部フィルター効果における2つの構成部分の高および低グルコース濃度における個別的な寄与、および結果として生じる総合的な蛍光信号。
【図6】センサー粒子懸濁液の広視野蛍光顕微像。
【図7】内部フィルター効果を示すナノメートルサイズのセンサー粒子であり、a.発色団の結合状態によって吸光度は紫色から黄色まで変化し、b.UV励起下の同じ試料でも、視覚的に紫色であった試料は、量子ドットの525nm発光を吸収せず、明るい蛍光を発し、一方で黄色い試料は、量子ドットの蛍光発光を吸収し、発光はごく僅かである。
【図8】グルコースへの応答を評価、必須のセンシング部品、アリザリン、ピレンボロン酸および添加物を含むセンサー粒子が、キャリブレーションのために、マイクロウェルの底部に固定された。グルコースおよびフルクトースに対する応答が測定された。平均±SEMを示し、対照および単糖類に対してそれぞれn=6およびn=8であった。
【図9】粒子をHEK293細胞とともに一晩インキュベーションすることによりセンサー粒子の細胞毒性の度合いを測定し、細胞損傷の度合いをMTTアッセイにより測定。粒子センサーの結果が他の粒子、例えば、金、ラテックスと比較される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
キレート化が可能な検体、例えば、グルコースの検出のためのセンサー粒子が開示される。本センサー粒子は、ポリマーマトリクス、キレート化が可能な検体と結合する部分、およびキレート化が可能な検体の不在の存在下いずれかで特定の波長の光子を放出または吸収する構成部分を備える。例となる実施形態において、発色団は、センサーの該部分に結合しているとき、1つの波長の光子を吸収し、該部分に結合していないとき、また別の波長を吸収する。発色団が結合した部分がキレート化が可能な検体に曝露されたとき発色団は解放され、キレート化が可能な検体が該部分に結合する。遊離した発色団は、結合した発色団とは異なった色に見え、視覚的に、或いは分光光度計で変化をモニターできる。代わりの例となる実施形態では、内部フィルター効果が利用され、前述の実施形態のセンサー粒子は、蛍光色素および/または量子ドットをさらに備える。該蛍光色素および/または量子ドットは、広い波長域を吸収し、狭い波長域の光子を放出する。蛍光性の構成要素によって放出された蛍光は、キレート化が可能な検体の存在に依存して、吸収されるか、或いは吸収されないかいずれかである。例えば、キレート化が可能な検体が、センサーの該部分に結合しているとき、量子ドットの蛍光は吸収され、一方、キレート化が可能な検体の不在下では吸収は生じない。
【0010】
ある実施形態において、キレート化が可能な検体の存在を検出するためのセンサー粒子は、キレート化が可能な検体を結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、およびキレート化が可能な検体の不在下で該部分に結合する、ポリマーマトリクスに結合した発色団を備える。ある実施形態において、キレート化が可能な検体はグルコースであり、該部分は、可逆的かつ競合的にグルコースおよび発色団と結合する。例となる実施形態において、センサー粒子3は、発色団2およびグルコース5の両方と結合することができる部分1をもつポリマーマトリクスを備える(図1)。第1のモードでは、部分1が発色団2に結合し、該発色団は、結合モードにおいて、第1の波長4の光子を吸収する。第2のモードでは、センサー粒子3がグルコース5と接触したとき、グルコース5は部分1に結合して発色団2と置き換わり、発色団2は、非結合状態において、第2の波長6の光子を吸収する。ある実施形態において、センサー3は、発色団2の色の変化を確かめるために視覚的にモニターされる。ある実施形態において、センサー3は、発色団2の発光スペクトルを測定するために分光光度計を用いてモニターされる。
【0011】
ある実施形態において、キレート化が可能な検体の存在を検出するためのセンサー粒子は、蛍光性の構成部分、キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、およびキレート化が可能な検体の不在下で該部分と結合する、該ポリマーマトリクスに結合した発色団、を備える。ある実施形態において、センサー粒子は、内部フィルター効果を伴って光子を放出する。内部フィルター効果は、イオン選択性をもつ光学的センサーの信号強度、および付随する感度を増加させる方法として報告されている(オプトード)。手短に言えば、2次的で不活性な蛍光性の構成部分がオプトードのポリマーマトリクスに加えられる。オプトードにおける検体の濃度が変化したとき、不活性な色素自体の蛍光強度は応答しないが、しかしセンサーの吸光度が応答する。蛍光発光がセンサーの吸光度スペクトラムと重なるように注意深く選ばれるため、不活性な色素からの発光は、次に本センサーによって吸収される。それ故に、不活性な色素の蛍光出力の減衰が、溶液中の注目すべきイオンの濃度と直接に関係する。
【0012】
ある実施形態において、キレート化が可能な検体はグルコースであり、該部分はグルコースおよび発色団と可逆的かつ競合的に結合する。ある実施形態において、蛍光性の構成部分は、1つまたはそれ以上の量子ドットおよび/または蛍光色素7から選択される。いくつかのかかる実施形態において、センサー粒子3は、蛍光性の構成部分7、並びに、発色団2およびグルコース5の両方と結合することができる部分1をもつポリマーマトリクスを備える。いくつかのかかる実施形態において、蛍光性の構成部分7は、広い波長域の光子を吸収するが、しかし放出する光子の波長域は狭い。蛍光性の構成部分7は、光源、例えば、UV光で励起することにより活性化される。励起された蛍光性の構成部分7から放出された蛍光は、センサーの構成部分、例えば、発色団2またはグルコース-部分錯体によって吸収されるか、或いは減衰することなくセンサー3から放出される。ある実施形態において、蛍光性の構成部分7の光子4は、発色団2が該部分1に結合しているとき吸収される(図3、左)。いくつかのかかる実施形態において、センサー粒子3から放出された蛍光がないことは、グルコース分子5の不在、すなわちグルコース分子がセンサーの該部分に結合していないことを示す。かかる実施形態において、グルコース5が導入されたとき、該部分1はグルコース5と結合して発色団2を解放する。蛍光性の構成部分7の光子4は、もはやセンサーの構成部分によって吸収されない、図3、右。放出された光子を検出することによって、結合されたグルコース量を標準物質と比較して計算することができる。
【0013】
ある実施形態において、センサーの構成部分、例えば、発色団2またはグルコース-部分複雑体は、部分2と結合していないとき、蛍光性の構成部分7の光子4を吸収する(図2、右)。いくつかのかかる実施形態において、センサー3からの光子4の検出は、グルコース5の不在、すなわちグルコース分子がセンサーの該部分に結合していないことを示す。いくつかのかかる実施形態において、センサー3がグルコース5と接触したとき、該部分1は、発色団2を解放してグルコース5と結合する。かかる実施形態において、グルコース5が部分1に結合しているとき、センサー粒子3から放出された光子4の検出がグルコース5の存在を示すごとく、蛍光性の構成部分7の光子4は吸収されない。
【0014】
ある実施形態において、本発明のセンサーは、キレート化が可能な多種多様な検体、例えば、溶液中、インビトロまたはインビボの糖類および関連化合物の存在を検出かつ測定するために用いることができる。本センサーは、細胞の内部、すなわち細胞内、または細胞の外部、すなわち細胞外に置かれてもよい。ある実施形態において、本センサーは、細胞膜と、例えば細胞内または細胞外で、接触している。本発明のセンサーによって検出される例となるキレート化が可能な検体は、グルコース、マンノース、および他の単糖類のような糖類、シアル酸、乳酸、グルコサミンのようなアミノ糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、糖アミノ酸類、糖ペプチド類および糖タンパク質類を含む。他の例となるキレート化が可能な検体は、グリセロール、ドーパミン、カテコール類、アスコルビン酸、ポリオール類、1,4-アンヒドロエリトリトールのようなジオール類およびエチレングリコールを含むが、これらには限定されない。生物試料で一般に注目されるキレート化が可能な検体の濃度範囲は、0〜5mMのように、5〜10mMのように、5〜20mMのように0〜25mMである。
【0015】
ある実施形態において、キレート化が可能な検体と結合する該部分は、例えば、ボロンおよびアルカリ土類ジヒドロキシド類のようなジヒドロキシド成分を備える。糖類の、例えばボロンおよびアルカリ土類ジヒドロキシド類との錯体形成は、他の出典のなかでも、特に次の文献に報告されている[S.A.Barker et al.,Carbohydrate Research),26(1973)33-40;N.Roy et al.,Carbohydrate Research),24(1972)180-183]。検体をキレート化するために、RB(OH)2構造を有する様々な異なったボロン酸を用いることができる。Rは、例えば、アリール或いは飽和または不飽和アルキル部分とすることができ、これらのいずれも置換基があってもなくてもよく、1つまたはそれ以上のヘテロ原子、例えば、N、S、O、P、B、F、Brを含むことができる。ある実施形態では、検体をキレート化するためにボロン酸エステルが用いられる。ボロン酸エステル類は、分子式RB(OR’)2を有し、OR’は典型的にアルキル基であり、Rは上記のように定義することができる。水性条件下で多くのボロン酸エステルは、加水分解してボロン酸を形成する。それ故に、OHに加水分解するOR’基が本発明に役に立つ。エステルの2つのR’基を繋げて、環状構造例えば‐CH2CH2‐を形成することができる。ある実施形態において、該部分は、1つまたはそれ以上の芳香族または脂肪族のボロン酸エステルから選択される。ある様態において、ボロン酸は、電子求引基または電子供与基のような、pKaに影響を与える置換基が付加される。ある実施形態においてボロン酸のpKaは、本センサーのダイナミック・レンジを変化させることになる。ある実施形態において本センサーのダイナミック・レンジは、グルコースのような検体への親和性に関係する。ある実施形態において、該部分は、1つまたはそれ以上の芳香族または脂肪族のボロン酸類から選択される。本発明の例となるボロン酸部分は、フェニルボロン酸、ブチルボロン酸、(3,5‐ジクロロフェニル)ボロン酸、[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸、および(4‐ブロモフェニル)ボロン酸を含む。
【0016】
ある実施形態において、検体をキレート化する本センサーの該部分は、金属イオンを備える。水溶液中で金属イオンとキレート錯体を形成する、例えば、糖類、および他の分子の能力はよく知られている(Whitfield,D.M.et al.,”Metal coordination to carbohydrates. Structure and Function,” Coord.Chem.Reviews 122,171‐225(1993)および“Advances in CarbohydrateChemistry and Biochemistry,” Academic Press,Inc.1989,pp.1‐4におけるAngya,S.J.Complexes of Metal Cations with carbohydrates in Solutionによる概説)。Cu(II)の様々な糖α- アミノ酸類との錯体形成は、M.Angeles Diaz‐Diez et al.,Transition Met.Chem.20,402-405,1995に記載されている。糖‐α-アミノ酸類化合物は、Co(II),Ni(II),Zn(II)およびCd(II)とも錯体を形成するであろう(M.Angeles Diaz‐Diez et al.,J.Inorg.Biochem.56,243-247,1994)。加えて、様々な糖類のバナジウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、鉄、バリウム、マグネシウム、およびストロンチウムとの錯体が知られている(Sreedhara,A.etal.,Carbohydrate Res.264,227-235,1994;Caldeira, M.M.et al.,Inorg.Chim.Acta.221,69-77,1994;Tonkovic,M.and Bilinski,H.,Polyhedron 14,1025-1030,1995;Nagy,L.et al.,Inorg.Chim.Acta.124,55-59,1986;Tajmir-Riahi,H.A.,Inorg.Chim.Acta.119,227-232,1986;およびTajmir-Riahi,H.A.,J.Inorg.Biochem.,24,127-136,1985。
【0017】
ある実施形態において、キレート化が可能な検体と結合する該部分は、ポリマーマトリクスと共有結合している。ある実施形態において、該部分は、例えば、リンカー分子を通じて、マトリクスに共有結合している。例となる実施形態において、該部分は、アリール基原子またはアリールボロン酸で始まるエステル結合を通じてポリマーマトリクスに共有結合した、アリールボロン酸類を含む。他の例となる結合は、アミド類、エーテル類、スルホン酸塩類、チオエーテル類、チオエステル類および炭酸塩類を含む。ある実施形態において、該部分は、一重または二重結合のような結合を通じてポリマーマトリクスに共有結合している。例となるある実施形態において、アリールボロン酸類は、アリール基原子またはアリールボロン酸から始まる一重結合を通じてポリマーマトリクスに共有結合している。
【0018】
ある実施形態において、本センサーの発色団は、本センサーの該部分に可逆的に結合する任意の分子であり、例えば、発色団のアリザリンは、ボロン酸と結合して第1の状態にある蛍光性の構成部分の光子を吸収し、第2の状態にある蛍光性の構成部分の光子は吸収しない。発色団の状態は、該部分に結合した、および該部分に結合していない状態を含む。例えば、発色団のアリザリンは、ボロン酸に結合していないとき第1の波長、結合しているとき第2の波長を吸収する。ある実施形態において、発色団、例えばアリザリンは、ボロン酸部分と結合し、好ましくは、結合 vs. 遊離状態で異なる吸光度/蛍光特性を有する任意の色素から選択される。適切なキレート化が可能な検体が存在するとき、ボロン酸は、発色団を解放して該検体と結合する。FDAが認可したさらなる色素および着色薬は、食品および医薬品に関する米国連邦規則集(CFR:Code of Federal Regulations)に記載されている(CFR第1章のタイトル21、部分1-99を参照)。多種多様な発色団および蛍光源を用いること、例えば、結合していない発色団の吸光度の波長を蛍光性の構成部分の光子放出の波長と実質的に一致させて、例えば、非結合状態における該放出を吸収するように組み合わせることができる。多くの適切な発色団、それらのケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS:Chemical Abstract Service)登録番号、色および吸収極大を下表にリストアップする。ある実施形態において、発色団は、本センサーのキレート化部分と結合することができるように誘導体化される。
【0019】
【表1】

ある実施形態において、発色団は、ポリマーマトリクスに共有結合しており、キレート化が可能な検体に選択的な部分と可逆的に結合する反応性部位を備える。例となる実施形態において、発色団は、アリザリンであり、アリザリンはリンカーまたは結合を通じてポリマーマトリクスに共有結合している。ある実施形態において、リンカーは、アリザリンの芳香族炭素を起源とするエステルアミド、エーテル、スルホン酸塩、チオエーテル、炭酸塩またはチオエステルである。ある実施形態において、発色団は、結合を通じてポリマーマトリクスに共有結合している。ある実施形態において、発色団とポリマーマトリクスとの間の結合または連結は、発色団が、キレート化が可能な検体に結合する能力を妨げない。例えば、アリザリンの場合、ポリマーマトリクスへの連結または結合は、ヒドロキシ基をもたない多環系の環に由来する。いくつかのかかる実施形態において、アリザリンのヒドロキシル基は、キレート化が可能な検体と相互作用することを妨げられない。
【0020】
ある実施形態において、本センサーのポリマーマトリクスは、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレンビニルアセテートポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L‐乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、L‐乳酸/グリコール酸共重合体(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、D,L‐ラクチド/カプロラクトン共重合体、D、L‐ラクチド/カプロラクトン/グリコシド共重合体、D、L‐ラクチド/PEO/D,L-ラクチド共重合体、D,L‐ラクチド/PPO/D,L-ラクチド共重合体、ポリアルキルシアノアクララート、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)類、ポリ酸無水物類、ポリオルトエステル類、ポリ(エステルアミド)類、ポリアミド類、ポリ(エステルエーテル)類、ポリカーボネート類、シリコーン類、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリアルキレン類、およびポリテトラフルオロエチレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)のようなポリアルキレングリコール類、ポリアルキレン酸化物(PEO)、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリアルキレンテレフタレート類、ポリビニルアルコール類(PVA)、ポリビニルエーテル類、ポリ(酢酸ビニル)のようなポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)のようなポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン類、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン類、アルキルセルロースのような誘導体化したセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、ニトロセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、(本明細書に「ポリアクリル酸類」として共に参照される)アクリル酸類のポリマー、例えば、ポリ(アクリル酸メチル)/ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(アクリル酸エチル)/ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸ブチル)/ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)/ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸ヘキシル)/ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(アクリル酸イソデシル)/ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(アクリル酸ラウリル)/ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(アクリル酸フェニル/ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)など、およびそれらの共重合体および混合物、ポリジオキサノンおよびその共重合体、ポリヒドロキシアルカン酸類、ポリ(フマル酸プロピレン)、ポリオキシメチレン、ポロキサマー類、ポリ(オルト)エステル類、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ラクチド/カプロラクトン共重合体、炭酸トリメチレン、ポリビニルピロリドン、およびShieh et al.,1994,J.Biomed.Mater.Res.,28,1465-1475、および米国特許第4,757,128号、Hubbellら,米国特許第5,654,381号;第5,627,233号;第5,628,863号;第5,567,440号;および第5,567,435号に記載されたポリマー類を含む。他の適切なポリマーは、(例えば、Helleret al.,2000,Eur.J.Pharm.Biopharm.,50:121‐128に開示されたような)ポリオルトエステル類、(例えば、Vandorpe etal.,1997,Biomaterials,18:1147-1152に開示されたような)ポリホスファゼン、および(例えば、Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,pp45-60.Ed.E.Mathiowitz,John Wiley & Sons,Inc.New York,1999)に開示されたような)ポリりん酸エステル類、並びに2つまたはそれ以上のかかるポリマーの混合物および/またはブロック共重合体を含む。ラクチドおよびグリコリド含有ポリマーのカルボキシル末端は、例えば、エステル化によって随意的に被われてもよく、ヒドロキシル末端は、例えば、エーテル化またはエステル化によって随意的に被われてもよい。ある実施形態において、該ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはメタクリル酸デシル、或いはそれらの共重合体または任意の組み合わせを備えるか、またはそれらから本質的になる。
【0021】
ある実施形態において、本センサーのポリマーマトリクスは、例えば、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリエチレンイミン、ジオレイルトリメチアンモニウムプロパン/ジオレイル-sn-グリセロールホスホエタノールアミン、ポリセバシン酸無水物類、ポリウレタン、ナイロン類、またはそれらの共重合体から選択される、生体適合性層を備える。ある実施形態において、生体適合性層は、例えばポリマーマトリクスおよび発色団、並びに蛍光色素および/または量子ドットのような随意的な構成部分のまわりに配置されるなど、本センサーの外側に配置される。乳酸モノマー類を含むポリマーにおいて、乳酸は、D-、L-、またはD-およびL-異性体の任意の混合物であってもよい。ある様態において、本センサー粒子の生体適合性層は、PEG-脂質を備える。ある実施形態において、脂質の尾部は、製造の間に親油性のポリマーマトリクスに自ら挿入されて、該センサーの表面にPEGの頭部基が残り、例えば、検体が浸入できる親水性で生体適合性のコーティングが提供される。ある実施形態においては、アミンのような、異なった化学的部分を表面に置くか、またはさらに修飾して抗体または他の認識ユニットを付着させることができる。
【0022】
用語「生体適合性ポリマー」、「生体適合性層」および「生体適合性」は、ポリマーについて用いられるとき、当分野で認識されている。例えば、生体適合性ポリマーは、ホスト(例えば、細胞またはヒトのような動物)に対して自らも有毒でなく、また(たとえポリマーが分解したとしても)モノマーまたはオリゴマーサブユニット或いは他の副生成物がホスト中に有毒な濃度で生成される速度で分解されることもないポリマーを含む。その結果として、ある実施形態において、患者に移植または注入するような、細胞内および/またインビボの使用を意図する生分解性ポリマーの毒性については、1つまたはそれ以上の毒性分析後に判断することができる。いずれの対象組成物も、生体適合性と見做されるために100%の純度を有する必要はない。それ故に、対象組成物または層は、例えば、本明細書に記載されるポリマーおよび他の材料並びに添加剤を含めて、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%またはさらにより少ない生体適合性ポリマーを備えてもよく、依然として生体適合性であり得る。
【0023】
本センサーのポリマーマトリクスは、可塑剤、例えばセバシン酸ジオクチル(DOS)、o-ニトロフェニルオクチルエーテル、フタル酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ヘキサメチルホスホルアミド、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシル、アジピン酸ジオクチル、セバチン酸ジオクル、または他の適切な可塑剤などを備えることができる。ある実施形態において、可塑剤はポリ(セバシン酸グリセロール)、PGSである。
【0024】
ある実施形態において、例えば、特にポリマーが生体適合性のところでは生体適合性の可塑剤が用いられる。用語「生体適合性の可塑剤」は、当分野でよく認識されており、該当するポリマー中に溶けて分散しやすい材料を含み、ポリマーマトリクスの柔軟性を増加させる。使用される量では生体適合性である。適切な可塑剤は、当分野でよく知られていており、米国特許第2,784,127号および第4,444,933号に開示されたものを含む。具体的な可塑剤は、例としてアセチルクエン酸トリ−n−ブチル(約20重量パーセントまたはそれ以下)、アセチルクエン酸トリヘキシル(約20重量パーセントまたはそれ以下)、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、n-ブチリルクエン酸トリ-n-ヘキシル、ジエチレングリコールジベンゾアート(約20重量パーセントまたはそれ以下)などを含む。
【0025】
ある実施形態において、グルコースの存在を検出するための本センサー粒子は、量子ドット、選択的にグルコースと結合する部分が付加されたポリマーを含有するポリマーマトリクス、グルコースの不在下で該部分と結合する、ポリマーマトリクスに結合した発色団、および生体適合性層を備える。
【0026】
ある実施形態において、ポリマーマトリクスへの付加物は、検体(例えば、グルコース)をより効率的にポリマーマトリクスに引き込む。ある実施形態において、アミンベースの付加物のマトリクスへの付加は、本センサー粒子の有効なダイナミック・レンジを低下させる。ある実施形態において、ポリマーマトリクスへのアミン類の付加は、検体、例えば、グルコースに対するポリマーマトリクスの親和性を増加させる。
【0027】
ある実施形態において、本センサーは、1つまたはそれ以上の量子ドットを含む。該量子ドットは、特有のスペクトル放出を有する蛍光性の半導体ナノ結晶であり、そのスペクトル放出は、半導体ナノ結晶の粒子サイズ、サイズ分布および組成の選択によって所望のエネルギーへの調節が可能である。量子ドットの量子収率は高く、クラッド層つき量子ドットで90%より大きい効率が報告されており、光退色はわずかであり、一つの量子ドットを数分から数時間にわたって連続的に追跡することができる。励起波長がすべて同じで、発光帯域幅のごく狭い広範囲の色が利用できる。
【0028】
量子ドット集団の放出スペクトルは、試料集団のサイズ分布の不均一性、およびテール領域のない対称、ガウスまたはほぼガウス型の線形によって25〜30nmの狭い線幅を有する。有利なことに、量子ドットは、励起波長の範囲が広い。従って、システムにおいて異なった発光スペクトルを有する量子ドットの様々な集団を、例えば、紫外または青色スペクトル領域の単一の光源を用いて同時に励起することが可能である。
【0029】
ある実施形態において、本明細書に記載されるセンサーの量子ドットは、例えば、直径が1nmおよび約1000nm、好ましくは約2nmおよび約50nmの間、より好ましくは、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20nmのように約5nmから20nmの間の無機の微結晶である。かかる量子ドットは、1つまたはそれ以上の第1の半導体材料の「コア」を含み、これが第2の半導体材料の「シェル」によって取り囲まれていてもよい。半導体シェルによって取り囲まれた半導体ナノ結晶コアは、「コア/シェル」半導体ナノ結晶と称される。取り囲まれた「シェル」は、最も好ましくはコア材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有し、「コア」基板に近い原子間隔を有するように選ぶことができる。コアおよび/またはシェルの材料は、II-VI族(ZnS,ZnSe、ZnTe,CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、MgTeなど)およびIII‐V族(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AlSb、AlSなど)並びにIV族(Ge、Si、Pbなど)のもの、さらにそれらの合金、またはそれらの混合物を含む半導体材料とすることができるが、これらには限定されない。
【0030】
ある様態において、センサーは、正確に1つの量子ドットを含む。ある実施形態において、センサーは、1つより多い量子ドット、例えば、2、3、4、または5つの量子ドットを含む。センサーが1つより多い量子ドットを含むある実施形態において、該センサーは、各々タイプが異なった、例えば、490、520、545、560、580、620、655nmから独立に選択された波長を有する、2つまたはそれ以上のタイプの量子ドットを含む。2つの異なった波長発光(例えば、波長が545nmの1つまたはそれ以上の量子ドット、および発光波長が655nmの1つまたはそれ以上の量子ドット)が使用できると、2つの異なった信号の比率を利用することによって、検体濃度変化の記録の仕方を改良することが可能になる。両方の信号に共通する蛍光の変動は、比率を取れば理論的にキャンセルされる筈である。量子ドット粒子の検出可能な蛍光発光は、量子ドット数、細胞内の量子ドット位置、光退色、および起こり得る励起光強度の変化、ゆっくり生じ得て検体の存在ないし濃度には関係しないすべての効果を含む変数によって変動する可能性がある。それ故に、量子ドット数、細胞内の量子ドット位置、光退色、および起こり得る励起光強度変化を含む影響を弱めることができる。
【0031】
ある実施形態において、量子ドットの蛍光信号は、検出可能な事象を細胞内に発生させることができる。例えば、蛍光は、反応性酸素種(ROS)を容易に発生させて、粒子中における2次的な色素または量子ドットを順次励起することができる。ROSは、次に細胞を攻撃して効果的に壊死(細胞死)を生じさせ、続いてこれを視覚或いは細胞死に感受性をもつマーカーによって検出することができる。或いは、粒子内に2次的な構成部分を含める代わりに、また別の粒子を細胞または細胞培養物に加えてもよい。この付加的な粒子は、例えば、光分解可能なポリマー膜を備えてもよい。蛍光性の構成部分が蛍光を発したとき、該放出光は、2次的な粒子を破裂させて内容物を放出させる。内容物は、例えば、また別の検出可能な事象を引き起こす、例えば、治療またはアポトーシス用の医薬であってもよい。
【0032】
ある様態において、本出願のセンサーは、ポリマー膜である。ある実施形態において、該膜は、蛍光性の構成部分、発色団および検体をキレート化する部分を備えるポリマーマトリクスを備える。ある実施形態において、該膜は、蛍光性の複数の構成部分、発色団、および検体をキレート化する部分を備える。ある様態において、該膜は、本発明の1つまたはそれ以上のセンサー粒子を含むポリマーマトリクスである。センサー膜は、プラスチック、金属、ペーパーまたはガラスのような任意の表面上に堆積することができる。該膜は、多ウェルプレート、攪拌ロッド、ペトリ皿または試料カップのような品目上に堆積することができる。ある実施形態において、該膜は、例えば、ポリマー膜を表面に塗るか、またはスプレーすることによって、或いはポリマー膜の要素の溶液または分散液に表面を浸漬することによって、表面に塗布することができる。ある実施形態において、該ポリマー膜は、膜が表面に塗布された後に固化する。かかる膜に用いられるポリマーは、本明細書に記載される任意の1つまたはそれ以上のポリマー、或いは任意の他の適切なポリマーであってもよい。ある実施形態において、該膜は、生体適合性のコーティングをさらに備える。該膜の蛍光性の構成部分は、1つまたはそれ以上の量子ドットであってもよい。
【0033】
本センサー粒子の量子ドットは、例えば、溶解度、生体適合性、または親水性/疎水性のような、センサー粒子の1つまたはそれ以上の特性を変えるために、表面修飾剤で修飾してもよい。ある実施形態では、表面修飾剤は、量子ドットと可逆的に結合することができる1つまたはそれ以上のリガンドを備え、一方で他の実施形態では、表面修飾は、本質的に不可逆的であってもよい。ある実施形態において、表面修飾剤は、量子ドットの親油性を改善する。いくつかのかかる実施形態において、リガンドは、デカン-チオールのようなアルカンを備える。
【0034】
ある実施形態において、本発明は、キレート化が可能な検体に対して選択的な粒子を調製する方法を備える。量子ドットを、キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーの前駆体混合物、および発色団と接触させることを備える。ある実施形態において、グルコースをキレート化する部分が選択される。ある実施形態において、キレート化が可能な検体と結合する部分は、ボロン酸類および/またはボロン酸エステル類を含む。ある実施形態において、本方法は、ポリマーマトリクスを生体適合性層で覆うことをさらに含む。
【0035】
周囲の媒体から本センサーを保護する層を堆積するために、化学気相堆積(iCVD)、コーティング技術を用いることができる。iCVD粒子コーティングの無溶剤の特質として、濡れたポリマー溶液の乾燥による溶液ベースの方法を凌ぐ利点を提供することができる。ある実施形態において、iCVD粒子コーティングには、凝集を招くことなくミクロスフェアやナノ粒子のコンフォーマルなコーティングを提供することが示されている、注文設計の回転ベッド反応器が用いられる。ある実施形態において、GSQDのiCVDコーティングのための一次モノマーは、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)モノマーである。
【0036】
ある実施形態において、ナノ粒子のiCVDコーティングは、純粋なポリマーであり、例えば、移植拒絶、刺激作用、または他の望ましくない副作用を生じるかもしれない残留溶媒は存在しない。コーティングは、1つのステップで室温塗布することができ、すべての時間が数分しかかからない。ある実施形態において、膜厚は、ガス供給組成を変えることによってシステマティックに制御でき、膜厚は、その場モニタリングによって制御できる。
【0037】
ある実施形態において、本発明は、媒体中におけるキレート化が可能な検体の存在を検出するための方法であって、本発明のセンサー粒子を媒体に接触させること、量子ドットに光子を放出させる光エネルギーに該量子ドットを曝すこと、検出器を用いて該光子を検出すること、および検出された光子に基づいて、結合したキレート化が可能な検体の存在または不在を決定することを含む、方法を含む。ある実施形態において、キレート化が可能な検体は、グルコースである。ある実施形態において、光エネルギーは、紫外、赤外、近赤外または可視放射から選択される。ある実施形態において、光エネルギーは紫外線である。ある実施形態において、媒体は、水、血液、血漿または尿を含む。ある実施形態において、本発明のセンサー粒子を用いてグルコースを検出する方法は、インビトロで行なわれる。
【0038】
ある様態において、本発明は、本発明のセンサー粒子のいずれかを用いて、動物中における検体を検出するための方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、動物中における、キレート化が可能な検体の存在を検出するための方法を提供し、該方法は、本発明のセンサー粒子を動物細胞または組織と接触させる方法であって、該センサー粒子は、少なくとも1つの量子ドットおよび/または蛍光色素、キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーマトリクスを備えるポリマーマトリクス、およびキレート化が可能な検体の不在下で該部分に結合する、ポリマーマトリクスに結合した発色団を備える、接触させるステップ;量子ドットおよび/または蛍光色素に光子を放出させる光エネルギーに該粒子を曝すステップ;検出器を用いて該光子を検出するステップ;および該検出された光子に基づいて、結合されたキレート化が可能な検体の存在または不在を決定するステップを備える。ある実施形態において、該粒子は、動物の真皮または表皮内に移植される。ある実施形態において、キレート化が可能な検体は、グルコースである。
【0039】
ある実施形態において、該粒子は、生体適合性層を備える。用語「粒子」は、本発明の1つまたはそれ以上のセンサー粒子を指すことができる。ある実施形態において、該粒子は、多くのセンサー粒子を含むことができる。ある実施形態において、該粒子は、蛍光色素および/または量子ドットを含むことができる。ある実施形態において、該粒子は、少なくとも1つの量子ドット、発色団、およびポリマーマトリクスを備える。ある実施形態において、励起状態にある量子ドットによって放出された光子は、非結合状態にある発色団に吸収されるが、しかし結合状態にある発色団には吸収されない。いくつかの他の実施形態において、励起状態にある量子ドットによって放出された光子は、結合状態にある発色団に吸収されるが、しかし非結合状態にある発色団には吸収されない。
【0040】
ある実施形態において、動物中における検体を検出するための方法は、動物の表皮または真皮の表面下に該粒子を移植することを備える。該粒子は、細胞内に移植することができ、一方で他の実施形態では、該センサーは、細胞外に移植することができる。組織に移植されたとき、該組成物は、細胞中に取り込まれるか、または細胞外に留まる.該粒子は、動物の表皮または真皮の表面下約0.05mmおよび約4mmの間に移植されることができる。ある実施形態において、該粒子は、動物の表皮または真皮内に注入または外科的に挿入される。ある実施形態において、該粒子は、動物の表皮または真皮内に注入される。ある実施形態において、該粒子は、溶液で注入される。ある実施形態において、粒子溶液は、複数の粒子を含む。粒子溶液は10nmと10ミクロンとの間の平均粒子サイズをもつ粒子を含む。ある実施形態において、粒子溶液は、50ミクロンと200ミクロンとの間のように、10ミクロンと500ミクロンとの間の平均粒子サイズをもつ粒子を含む。ある実施形態において、移植された粒子センサーの汚れおよび浸み出しによって時間とともに生じる信号減少はごく少ない。
【0041】
ある実施形態において、移植された粒子は、キレート化が可能な検体と接触すると光学的な変化を生じる。ある実施形態において、粒子の該部分が、キレート化が可能な検体とキレート化すると光学的な変化が色に現れる、例えば、ある実施形態において、無色の粒子が、キレート化が可能な検体グルコースに接触したとき、該キレート化が可能な粒子は、赤色に変わる。該粒子が真皮または表皮中に移植されるある実施形態において、色の変化は、皮膚の表面から確かめることができる。ある他の実施形態において、センサーは、黄色、緑色、青色、紫色またはオレンジ色に変わる。
【0042】
ある実施形態において、該粒子は、キレート化が可能な検体と接触したとき、蛍光光度分析で検出が可能な光子を放出する。該粒子は、キレート化が可能な検体と接触すると、すぐに光子を放出することができる。ある実施形態において、該粒子は、キレート化が可能な検体と接触すると、1〜5秒のような短い時間の後に、光子を放出することができる。例となる実施形態において、量子ドットを含む粒子がグルコースに接触したとき、該粒子は、分光光度計で検出することができる光子を放出する。ある実施形態において、検出される光子数は、媒体、例えば、血液中に存在するキレート化が可能な検体の量と関連づけることができる。該粒子が真皮または表皮に移植されるある実施形態において、光子は、皮膚を通して検出することができる。ある実施形態において、検出器は、本センサーから放出された光子を検出するために皮膚の近くに保持することができるハンドヘルド装置である。
【0043】
表皮は、その位置および動物に依存して厚さが異なる可能性があるが、しかしヒトでは一般に約1mm厚までである。表皮に移植されるとき、該粒子は、動物の表皮の外表面下約0.05mm、約0.06mm、約0.07mm、約0.08mm、約0.09mm、約0.10mm、約0.12mm、約0.14mm、約0.16mm、約0.18mm、約0.2mm、約0.22mm、約0.24mm、約0.26mm、約0.28mm、約0.30mm、約0.32mm、約0.34mm、約0.36mm、約0.38mm、約0.40mm、約0.42mm、約0.44mm、約0.46mm、約0.48mm、約0.50mm、約0.52mm、約0.54mm、約0.56mm、約0.58mm、約0.60mm、約0.62mm、約0.64mm、約0.66mm、約0.68mm、約0.70mm、約0.72mm、約0.74mm、約0.76mm、約0.78mm、約0.80mm、約0.82mm、約0.84mm、約0.86mm、約0.88mm、約0.90mm、約0.92mm、約0.94mm、約0.96mm、または約0.98mmから約1mmまでに置かれるか、または移植されることが好ましい。また別の好ましい様態において、該粒子は、動物の表皮の表面下約0.1mmおよび0.15mmの間に移植される。好ましい動物は、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、トリ、ウシ、ウマまたはブタを含む。特に好ましい動物はヒトである。
【0044】
動物の表皮に移植されたとき、該粒子は、該粒子を含むか或いは取り囲む細胞が動物から剥落する前に、数日から数週間存在できるに過ぎない。ある実施形態において、該粒子は、移植された位置に1〜4週間留まるであろう。ある実施形態において、該粒子は、表皮層が自然に置き換わって除去される前に2週間程度まで存在することになる。
【0045】
別の実施形態において、該粒子は、動物の真皮または皮層に移植される。真皮は、その位置と動物とによって膜厚が変わり得るが、しかし、ヒトでは一般に約1mmから約4mm厚までである。真皮は、表皮の下に位置し、通常はしばしば表皮の下約1mmから始まり、通常はしばしば表皮の外表面下約1mmから始まる。真皮は、活発には剥落しないため、粒子は、半永久または永久に動物中に存在する、すなわち、何カ月も何年も真皮に留まることができる。表皮および真皮の厚さに依存して、ある実施形態において、該粒子は、表皮の外表面の下約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、約3.9mm、約4.0mm、約4.1mm、約4.2mm、約4.3mm、約4.4mm、約4.5mm、約4.6mm、約4.7mm、約4.8mm、または約4.9mmから約5.0mmまでの真皮中に移植されるか、または置かれることができる。ある好ましい実施形態において、該粒子は、該表皮の表面下約1mmから約5mmまでに移植されるであろうが、約2mmから約3mmまでが特に好ましい。
【0046】
ある実施形態において、本粒子センサーは、(例えば、移植部位の上に配置された)光学的な読み出しと連結される。ある実施形態では、小型インシュリンポンプが、光学的な読み出しデバイスに連結される。インシュリンポンプは、光学的な読み出しによって所定値以上のグルコースレベルが検出された場合、インシュリンを送達するためにインシュリンポンプを駆動するように構成することができる。
【実施例】
【0047】
ナノスケールのポリマーコート量子ドット:市販の量子ドット(Evident Technologies、Troy,NY)が、ポリマーマトリクス中に分散された。分散を均一にするために、リガンド交換が行われて量子ドットの表面にデカン-チオールが付加された。アルキル化された表面は、親油性のポリマーマトリクスとの混和性がより高かった。均一な分布が得られた後、粒子ドットを含めてすべてのセンシング要素を含みTHFに溶解させたポリマーマトリクスを、PEG‐脂質表面修飾剤の水溶液中で超音波処理することによって、ナノスケールのセンサーが作製された。結果として生じたナノセンサー溶液は、より大きいポリマー小片を除去するために濾過された。結果として生じたセンサー懸濁液は、広視野蛍光顕微鏡で観察したとき、明るい蛍光を発した(図6)。
【0048】
内部フィルター効果:溶液中におけるナノメートルサイズのグルコース感受性量子ドット(GSQD)を図7に示す。図7(左)において紫色から黄色へと吸光度の変化が肉眼で容易に確認できる。UV励起下における同じナノセンサー試料を図7(右)に示す。視覚的に紫色であった試料は、量子ドットの525nm発光を吸収せず、明るい蛍光を発する。黄色のGSQDは、量子ドットの蛍光発光を吸収し、発光はごく弱い。
【0049】
グルコースへの応答:センシング構成部分アリザリン、ピレンボロン酸および添加物を含むポリマーマトリクスが、キャリブレーションのためにマイクロウェルの底部に固定された。グルコースおよびフルクトースへの応答が測定された。平均±SEMが図8に示されており、対照および単糖類に対してそれぞれn=6および8であった。
【0050】
生体適合性:インビトロの生体適合性研究は、これまで細胞損傷の兆候を示さなかった。例えば、LIVE‐DEAD試験法では、細胞死の量に対照との差は見られなかった。加えて、ナノセンサーを一晩HEK293細胞とインキュベートし、細胞損傷の度合いをMTT試験法により測定することによって細胞毒性の度合いが測定された。これらの結果が他のナノ粒子と比較され、図9に示される。イオン感受性量子ドット(ISQD)ナノセンサーは、対照と比較して、インキュベーション後72時間にわたって細胞毒性を示していない。この結果は、100nm直径の金ナノ粒子についても同様に見られる。
【0051】
等価物
本発明はとりわけ、キレート化が可能な検体を検出するためのセンサー粒子およびその使用方法を提供する。本主題の発明の具体的な実施形態が論じられたが、以上の明細書は実例を示すもので限定的ではない。本明細書を吟味するとき、当業者には本発明の多くのバリエーションが明らかになるであろう。本発明のすべての範囲は、本請求項、およびそれらすべての範囲の等価物、並びにかかるバリエーションを参照することによって決定されるべきである。
【0052】
参照による組み込み
本明細書に挙げるすべての出版物および特許は、あたかも各個別の出版物または特許が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるように、参照により全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合、本明細書における任意の定義を含めて、本出願書が優先される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キレート化が可能な検体の存在を検出するためのセンサー粒子であって、
量子ドット、
該キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、および
該キレート化が可能な検体の不在下で該部分に結合する、該ポリマーマトリクスに結合した発色団
を含むセンサー粒子。
【請求項2】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
グルコースと結合する前記部分は、ボロン酸またはボロン酸エステル部分を含む、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
前記部分は、ボロン酸類であり、該ボロン酸類は、芳香族ボロン酸および脂肪族ボロン酸から選択される、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記部分は、ボロン酸エステル類であり、該ボロン酸エステル類は、芳香族ボロン酸エステルおよび脂肪族ボロン酸エステルから選択される、請求項3に記載の粒子。
【請求項6】
前記発色団は、前記部分に結合しているとき、第1の波長の光子を吸収し、該部分から解放されているとき、第2の波長の光子を吸収する、請求項1〜5のいずれかに記載の粒子。
【請求項7】
前記ボロン酸またはボロン酸エステル部分は、リンカーを通じて前記ポリマーマトリクスに共有結合している、請求項4〜6のいずれかに記載の粒子。
【請求項8】
前記部分は、前記キレート化が可能な検体および前記発色団と可逆的かつ競合的に結合する、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子。
【請求項9】
前記発色団は、前記ポリマーマトリクスに共有結合している、請求項1〜8のいずれかに記載の粒子。
【請求項10】
励起状態にある前記量子ドットにより放出された光子は、非結合状態にある前記発色団に吸収されるが、しかし結合状態にある該発色団には吸収されない、請求項1〜9のいずれかに記載の粒子。
【請求項11】
前記ポリマーマトリクスの少なくとも一部上に配置された生体適合性コーティングをさらに備える、請求項1〜10のいずれかに記載の粒子。
【請求項12】
キレート化が可能な検体に対して選択的なセンサー粒子を調製する方法であって、該キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマー前駆体混合物、および発色団に量子ドットを接触させることを含む、方法。
【請求項13】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キレート化が可能な検体と結合する前記部分は、ボロン酸類および/またはボロン酸エステル類を含む、請求項12〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーマトリクスの少なくとも一部分を生体適合性層で覆うことをさらに含む、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
キレート化が可能な検体の存在を検出するためのセンサー粒子であって、
該キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、
グルコースの不在下で該部分に結合する、該ポリマーマトリクスに結合した発色団
を含むセンサー粒子。
【請求項17】
蛍光色素をさらに備える、請求項16に記載の粒子。
【請求項18】
励起状態にある前記蛍光色素によって放出された光子は、非結合状態にある前記発色団に吸収されるが、しかし結合状態にある該発色団には吸収されない、請求項17に記載の粒子。
【請求項19】
前記結合した発色団は、1つの波長の光子を放出し、前記結合していない発色団は、第2の波長の光子を放出する、請求項16に記載の粒子。
【請求項20】
励起状態にある前記蛍光色素によって放出された光子は、結合状態にある前記発色団に吸収されるが、しかし非結合状態にある該発色団には吸収されない、請求項17に記載の粒子。
【請求項21】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項16〜20のいずれかに記載の粒子。
【請求項22】
前記キレート化が可能な検体と結合する前記部分は、ボロン酸類およびボロン酸エステル類のいずれかを備える、請求項16〜21のいずれかに記載の粒子。
【請求項23】
前記部分は、前記キレート化が可能な検体および前記発色団と可逆的かつ競合的に結合する、請求項16〜22のいずれかに記載の粒子。
【請求項24】
前記ポリマーマトリクスの少なくとも一部分上に配置された生体適合性コーティングをさらに備える、請求項16〜23のいずれかに記載の粒子。
【請求項25】
キレート化が可能な検体に対して選択的なセンサー粒子を調製する方法であって、
前記キレート化が可能な検体と結合する部分を備えるポリマー前駆体混合物、および発色団に蛍光色素を接触させること
を含む、方法。
【請求項26】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キレート化が可能な検体と結合する前記部分は、ボロン酸類および/またはボロン酸エステル類のいずれかを備える、請求項25〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーマトリクスの少なくとも一部分を生体適合性層で覆うことをさらに含む、請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
キレート化が可能な検体の媒体中における存在を検出するための方法であって、
請求項1〜11のいずれかに記載の粒子を該媒体に接触させること、
量子ドットに光子を放出させる光エネルギーに該量子ドットを曝すこと、
検出器を用いて該光子を検出すること、および
該検出された光子に基づいて、結合したキレート化が可能な検体の存在または不在を決定すること
を含む、方法。
【請求項30】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記光エネルギーは、UV放射である、請求項29〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記媒体は、水、血液、血漿または尿を含む、請求項29〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、インビトロで行なわれる、請求項29〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、インビボで行なわれる、請求項29〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記粒子は、細胞内に位置する、請求項29〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記粒子は、細胞外に位置する、請求項29〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
キレート化が可能な検体の媒体中における存在を検出するための方法であって、
請求項16〜24のいずれかに記載の粒子を該媒体に接触させること、
蛍光色素に光子を放出させる光エネルギーに該色素を曝すこと、
検出器を用いて該光子を検出すること、および
該検出された光子に基づいて、結合したキレート化が可能な検体の存在または不在を決定すること
を含む、方法。
【請求項38】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記光エネルギーは、UV放射である、請求項37〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記媒体は、水、血液、血漿または尿を含む、請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、インビトロで行なわれる、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、インビボで行なわれる、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記粒子は、細胞内に位置する、請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記粒子は、細胞外に位置する、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
キレート化が可能な検体の動物中における存在を検出するための方法であって:
センサー粒子を動物細胞または組織と接触させるステップであって、該センサー粒子は、少なくとも1つの量子ドットおよび/または蛍光色素、キレート化が可能な検体と結合する部分を含むポリマーを含有するポリマーマトリクス、および該キレート化が可能な検体の不在下で該部分に結合する、該ポリマーマトリクスに結合した発色団を備える、ステップ;
該量子ドットおよび/または蛍光色素に光子を放出させる光エネルギーに該粒子を曝すステップ;
検出器を用いて該光子を検出するステップ;および
該検出された光子に基づいて、結合したキレート化が可能な検体の存在または不在を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項46】
前記粒子は、前記動物の真皮または表皮内に移植される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記粒子は、少なくとも1つの量子ドットを含む、請求項45〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記粒子は、少なくとも1つの蛍光色素を含む、請求項45〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
粒子溶液は、1つまたはそれ以上のセンサー粒子を含む、請求項45〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記粒子溶液は、動物の真皮内に注入される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記粒子溶液は、動物の表皮内に注入される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記粒子は、細胞内に配置される、請求項45〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記粒子は、細胞外に配置される、請求項45〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記動物はヒトである、請求項45〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記粒子溶液は、平均粒子サイズが10nmと10ミクロンとの間である粒子を含む、請求項49〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記粒子溶液は、平均粒子サイズが10ミクロンと500ミクロンとの間である粒子を含む、請求項49〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記粒子溶液は、平均粒子サイズが50ミクロンと200ミクロンとの間である粒子を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記粒子は、キレート化が可能な検体と接触すると光学的な変化を生じる、請求項45〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記粒子は、前記キレート化が可能な検体と接触すると蛍光の変化を生じる、請求項45〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記部分は、前記キレート化が可能な検体および前記発色団と可逆的かつ競合的に結合する、請求項45〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記キレート化が可能な検体は、グルコースである、請求項45〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記部分は、ボロン酸類またはボロン酸エステルを備える、請求項45〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記ボロン酸類は、芳香族ボロン酸類および脂肪族ボロン酸類から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ボロン酸エステル類は、芳香族ボロン酸エステル類および脂肪族ボロン酸エステル類から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記ボロン酸またはボロン酸エステルは、リンカーを通じて前記ポリマーマトリクスに共有結合している、請求項62〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記発色団は、前記ポリマーマトリクスに共有結合している、請求項45〜65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記発色団は、前記部分に結合しているとき、第1の波長の光子を吸収し、該部分から解放されているとき、第2の波長の光子を吸収する、請求項45〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
励起状態にある前記量子ドットによって放出された光子は、非結合状態にある前記発色団に吸収されるが、しかし結合状態にある該発色団には吸収されない、請求項45〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
励起状態にある前記量子ドットによって放出された光子は、結合状態にある前記発色団に吸収されるが、しかし非結合状態にある該発色団には吸収されない、請求項45〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記粒子は、前記ポリマーマトリクスの少なくとも一部分上に配置された生体適合性コーティングをさらに備える、請求項45〜69のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−531436(P2010−531436A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511199(P2010−511199)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/007108
【国際公開番号】WO2008/153930
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(591016976)ザ・チャールズ・スターク・ドレイパ・ラボラトリー・インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】