説明

グルタミン産生能を有する新規のBifidobacterium菌株

本発明はbifidobacteriumの新規の菌株、特にBifidobacterium infantis種(これは、腸管内で生存する、あるいは、in vivoでグルタミン及び必要に応じてアルギニンを産生する能力を有する)に、そして前記菌株を含有する組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、in vivoでグルタミン及び必要に応じてアルギニンを産生する能力を有する新規のBifidobacterium菌株に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
グルタミンは、体内で最も豊富なアミノ酸である。それは、組織間の「窒素シャトル(Nitrogen shuttle)」及び腸細胞、結腸細胞(colonocyte)、リンパ球及び増殖細胞の燃料である。グルタミン欠乏患者においては消化管の機能が害され、これは特に、腸管内腔から門脈循環への細菌及び/またはエンドトキシンのトランスロケーションに対する保護が損なわれているためである。グルタミンが欠乏すると、深刻な疾患の及び損傷を受けた患者となり、そして、高頻度の感染や筋肉の消耗の一因となり得る。
【0003】
グルタミンを腸に投与することにより、あらゆる症状の患者に健康的で有益な効果をもたらしている。集中治療室の多臓器不全患者においてグルタミン投与は、患者における感染症の併発が減少した(Houdijk et al., Lancet, 352:772-776, 1998)。同様の効果が、グルタミンを補充した非経口的栄養を受ける骨髄移植を行った患者において観察された(Ziegler et al., Annals Internal Medicine, 116:821-828, 1992)。他の例は短小腸症候群の患者でみられ、これはグルタミン補給後に吸収能が相当改善した(Byrne et al., Annals of Surgery, 222:243-255, 1995)。化学療法中及び後の経口グルタミン補給も、化学療法が関与する口内炎の持続時間及び重篤度の両方が著しく減少することが示された。経口グルタミンは、集中的癌化学療法の結果として口腔潰瘍発生のハイリスクの多くの患者の快適性を増加する単純及び有用な手段のようであると結論付けられた(Anderson et al., Cancer 1998; 83:1433-9)。激しい運動の後のグルタミンの栄養補給も、感染症の発生、特に、上気道感染を減少している(Castell , Amino acids 2001; 20(1):49-61)。しかし、免疫抑制に対するグルタミンの正確な効果はいまだ確立されていない。
【0004】
グルタミンに関する主な技術的な困難性は、加工及び保存中にグルタミンは容易にグルタミン酸(グルタメート)に変化することであり、すなわち、グルタミンは、経口投与を目的とする製剤に組み込むことが困難な比較的不安定な化合物である。さらに、経口投与したグルタミンは、胃の酸性環境ではかなりの割合がグルタミン酸に変化し、そして、決して腸に到達せず、そしてグルタミンとして吸収され得ない。
【0005】
アルギニンは免疫機能を高め、創傷治癒を助長する。アルギニン投与は、術後の患者及び集中治療下の患者に対して使用される。多くの臨床研究において、アルギニンはRNA及び魚油のような他の物質と共に投与されている。アルギニン投与は、術後の免疫応答を調節することが指摘されている。Daly, John E., et al. Surgery 112:55-67, 1992では、アルギニン、RNA及びオメガ−3−脂肪酸を補足した経腸栄養剤を術後の患者に投与すると、種々のメカニズムを通して免疫防御が改善することを示している。アルギニンは、化学放射線療法及び手術を受けた患者の合併症を軽減し(Tepaske et al., 2001; Lancet 358: 696-701)、そして、患者が集中治療室に滞在する期間を短縮する(Bauer et al., 1995, Critical Case Medicine 23: 436-449)。
【0006】
生存期間の増加は、アルギニン補給食を摂取させた動物において観察され得た。定量的なコロニー数及び残存している生菌の算出率は、アルギニンを摂取した動物において、移動した生物体を殺す能力がかなり高くなっていることを示している(Adawi, D., et al., 1997, Hepatology 25: 642-647)。
【0007】
Bifidobacterium spp.菌株、すなわちビフィズス菌(Bifidobacteria)は、ヒトの大腸、特に母乳育ちの赤ん坊に、たいてい多数存在する。Bifidobacterium spp.由来の細菌は、プロバイオティクス(すなわち、摂取することにより宿主に健康的で有益な効果を提供する生きている細菌)とみなされている。大腸中の多数のBifidobacterium spp.は、健康的で有益な効果を有すると主張されている。しかし、前記の有益な効果の作用機構はほとんど知られていない。
【0008】
先行技術
Matteuzzi et al. [Ann. Microbiol.(Inst. Pasteur)1978; 129 B, 175-181]は異なる生息地由来の多数のビフィズス菌(Bifido−bacteria)において、培養液中に遊離アミノ酸を放出するそれらの能力について調査した。得られたデータは、Bifido−bacteriaの幾つかの種は増殖に必要な全てのアミノ酸を合成でき、そしてまた、培養液中に前記化合物を放出できることを示した。B.thermophilum、B.bifidum及びB.adolescentisは最も優れた生産菌であることが分かり、そして、培養液中に最も一般的に見られるアミノ酸は主にアラニン、バリン及びアスパラギン酸であった。Bifidobacterium spp.は消化管のアミノ酸代謝を担うと推測された。
【0009】
WO01/83700(メリーランド大学)は、胃腸障害、新生児壊死性腸炎(NEC)及び細菌性敗血症の治療及び予防用の組成物及び方法を開示している。該組成物はグラム(+)細菌(特に、Lactobacillus及びBifidobacterium)とグルタミンの組み合わせを含有しており、そして、経口的に及び鼻口的に投与されるべきである。該組成物はグラム(−)細菌のような細菌性因子の移動を妨害すると言われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
静脈を経由して投与したグルタミンは非常に効果的だが、高価で煩雑である。グルタミンを投与するより良い方法は、当然、腸内でかなりの量のグルタミンを産生できる能力を有する細菌株を使用することであろう。しかし、これまでに、このような菌株についての記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の要約
Bifidobacteriumの特定の菌株がヒト大腸内の環境を模倣した増殖培地中でグルタミンを産生できることを驚くべきことに今日発見した。そして、前記の菌株は、哺乳類、特にヒトに対して経口で、または、腸に投与した後にin vivoでグルタミンを産生するために使用し得る。菌株によってはアルギニンも産生し得る。
【0012】
本発明の記載
本発明は、腸管内で生存する能力及びin vivoでグルタミンを産生する能力を有するBifidobacterium菌株に関する。特に、グルタミンはヒトの大腸で産生される。このような環境で生存するということは、各個体由来の糞便において、異なるサンプリング時に、細菌株が分離されることを意味する。従って、細菌は、しばらくの間、それらの宿主内で明らかに増殖し、そして生存する。本発明のビフィドバクテリウム菌株(Bifidobacterial strains)は、pH7以下、特に5.5−6.5の栄養培地で増殖できる。ロゴサ寒天培地(Rogosa agar)はこのような培地の一例であり、もう一つはMRSである。
【0013】
好ましい側面に従うと、新規の菌株はアンモニアを同化する能力も有する。
【0014】
本発明は特に、Bifidobacterium infantis種に属する菌株に関する。
【0015】
特定の側面に従うと、本発明はまた、染色体DNAをHind IIIで切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子をDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで、位置506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た、分子サイズ約2840kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有するBifidobacterium菌株に関する。このような菌株は、例えば、the Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHに2002年8月23日に寄託された菌株、Bifidobacterium infantis CURE 19(DSM 15158);Bifidobacterium infantis CURE 21(DSM 15159);Bifidobacterium infantis CURE 26(DSM 15160);Bifidobacterium infantis CURE 28(DSM 15161);Bifidobacterium infantis CURE 29(DSM 15162)である。
【0016】
他の側面に従うと、本発明は、染色体DNAをEcoRIで切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子をDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た、分子サイズ約895kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有するBifidobacterium菌株にも関する。好ましい側面に従うと、前記菌株はグルタミン酸を減少させることなくグルタミンを産生できる。
【0017】
本発明は特に、菌株Bifidobacterium infantis CURE 21及びBifidobacterium infantis CURE 26(これらはthe Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH に2002年8月23日に寄託され、そして、それぞれ、アクセッション番号DSM 15159及びDSM 15160が与えられている)、またはこれらの変異株に関する。前記菌株は、グルタミン酸を減少させることなくグルタミンを産生できる。
【0018】
もう一つの側面に従うと、本発明は、染色体DNAをEcoRIで切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付け、位置506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た、分子サイズ約3420kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有するBifidobacterium菌株にも関する。好ましい側面に従うと、前記菌株はアルギニン産生能を有する。
【0019】
本発明は特に以下の菌株(これらは全てthe Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH に2002年8月23日に寄託され、そして寄託番号が与えられており、それはBifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158、Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161及びBifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162である菌株)、及び、これらの変異株にも関する。前記菌株は、グルタミンに加えてアルギニンも産生できる。
【0020】
新規の菌株は、全て幼い子供由来の糞便から分離し、そして、pH7以下の寒天上で培養することにより選択した。該菌株は、その後、リポタイピング及びREAにより特徴づけられた。
【0021】
本発明のもう一つの目的は、1以上の本発明のBifidobacterium菌株を担体と組み合わせて含有する組成物である。担体の例は、オートミールかゆ、乳酸発酵食品、イヌリン、ラクツロース、フルクトオリゴ糖、レジスタントスターチ(resistent starch)、β−グルカン及びグアーガムである。ビフィズス菌(Bifidobacteria)の増殖を促進し、そしてグルタミン及びアルギニンのそれぞれの産生量を増加させ、大腸でのアンモニア同化を高めるために、食物繊維も組成物に加えられるべきである。食物繊維は、例えばイヌリン、フルクトオリゴ糖、マルトデキストリン、β−グルカン及びグアーガムである。このように、本発明は、さらに食物繊維を含有する記載したような組成物にも関する。
【0022】
本発明の組成物(懸濁液、錠剤、カプセル、粉末のような)は経口投与され得る。これらは浣腸剤としても投与され得る。
【0023】
本発明の組成物は、担体が食品である食品組成物であり得る。グルタミン産生Bifidobacterium菌株は、若い子供、年配者、筋肉機能を改善して健康を保つこと及び運動後の免疫低下を回避することを望む運動競技や通常の消費者に与えられ得る。アルギニン産生Bifidobacterium菌株は、健康を保ち、そして免疫機能における良くない影響を避けることを望む通常の消費者に与えられ得る。
【0024】
本発明の組成物は薬学的組成物であり得、ここで、担体は、治療的に許容される担体である。グルタミン産生株は(アルギニン産生株と同様に)、さらに経腸栄養法の様式で使用され得る。
【0025】
本発明のアンモニアを同化するBifidobacterium菌株は、手術及び合併症の後の、あるいは重篤な感染症、中毒のような他の疾患の後の、集中治療下の患者にみられるような一時的な腎不全を有する患者に与えられ得る。このような場合、腎機能が回復することが予測でき、そして、消化官から負荷される窒素を減少させることを目的とする治療により、透析の必要性を回避し得る。アンモニアを同化する菌株は、肝疾患や脳症(例えば、肝炎または中毒あるいはそれに続くアルコール乱用)の患者に投与され得る。消化官からの窒素含有物質の吸収が低下すると、これらの状況において、脳症及び肝機能が改善し得る。アンモニアを同化するBifidobacterium菌株は、若い子供、年配者または、アンモニアを尿素に変換する肝臓の働きを妨害する疾患を患っている、または、消化管からの窒素の吸収が増加している消費者(例えば、移植または透析の必要がまだない軽度から中程度の慢性の腎または肝不全患者)に与えられ得る。
【0026】
特定の側面に従うと、本発明の組成物は1以上のLactobacillus菌株も含有し得る。
【0027】
Lactobacilliの任意の有益な効果に加えて、前記細菌が酸素の有害な影響からビフィズス菌(bifidobacteria)を保護し得る。
【0028】
もう一方の側面に従うと、本発明は、治療での使用のための、Bifidobacterium infantis種に属する1以上の菌株に関する。
【0029】
本発明は、多臓器不全及び腸不全を有する集中治療患者を治療するための、化学療法患者及び炎症性疾患を有する患者を予防するための、及び、大手術後に術後投与するための薬剤の調製のための、1以上の菌株Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158;Bifidobacterium infantis CURE 21、DSM 15159;Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160;Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161;Bifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162;またはこれらの変異株の使用に関する。
【実施例】
【0030】
実験
菌株の分離
全ての菌株は若い子供(生後1週間〜1年)の糞便から分離した。糞便試料を希釈溶液(0.9%[w/v]NaCl、0.1%[w/v]ペプトン、0.1%[w/v]Tween80、0.02%[w/v]システイン−HCl)で連続的に希釈し、次に、ロゴサ寒天平板上に塗抹した。分離株はロゴサ寒天培地(pH5.4)上でのそれらの増殖能を考慮して選択し、そして、一個体から繰り返し分離した。37℃で72時間培養した後、ロゴサ寒天平板から分離株を採取した。これらを、属特異的なPCR(Roy et al., 2000; FEMS Microbiological Letters 191:17-24)により属レベルまで同定し、次いで、16S rDNAシークエンスにより種レベルまで同定した(Pettersson et al., 2002; Systematic and Applied Microbiology 23:332-336)。菌株は、サンプリングの間1〜4週間に、同じ個体から少なくとも2回分離され得、これは、菌株が胃腸管(GI−tract)にコロニーを形成する特定の能力を有することを強く示している。リボタイピング(すなわち、16S rRNA遺伝子の制限断片長多型(RFLP)である)により菌株を同定し、次いで、REA(すなわち、制限エンドヌクレアーゼ分析)により同定した。
【0031】
以下の菌株を分離した。:
1)Bifidobacterium infantis CURE 19;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“すっぱい(sour)”においを発する。
【0032】
2)Bifidobacterium CURE 20;ロゴサ寒天上で増殖でき、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“すっぱい”においを発する。
【0033】
3)Bifidobacterium infantis CURE 21;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“すっぱい”においを発する。
【0034】
4)Bifidobacterium CURE 22;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“よい(nice)”においを発する。
【0035】
5)Bifidobacterium CURE 23;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“よい”においを発する。
【0036】
6)Bifidobacterium infantis CURE 24;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆをある程度まで発酵でき、発酵後は“よい”においを発する。
【0037】
7)Bifidobacterium CURE 25;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0038】
8)Bifidobacterium infantis CURE 26;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0039】
9)Bifidobacterium dentium CURE 27;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0040】
10)Bifidobacterium infantis CURE 28;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0041】
11)Bifidobacterium infantis CURE 29;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0042】
12)Bifidobacterium infantis CURE 30;ロゴサ寒天上で増殖でき、そして、オートミールかゆを発酵できる。
【0043】
グルタミン産生
以下の手順により、ブロスにおけるグルタミン産生について、分離株1−12を試験した。
【0044】
試験菌株を、Matteuzzi et al.(Ann. Microbil. (Inst. Pasteur, 1978, 129 B:175-181))により記載された培地を改良した増殖培地(ブロス)中、37℃で4日間培養した。ブロスは以下から構成された:酢酸ナトリウム、10g/l;アスコルビン酸、10g/l;硫酸アンモニウム((NHSO)、5g/l;リン酸水素二カリウム(KHPO)、3g/l;リン酸二水素カリウム(KHPO)、3g/l;MgSO×7HO、0.32g/l;FeSO×7HO、0.01g/l;MnSOO、0.007g/l;NaCl、0.01g/l;酵母エキス、0.5g/l;グルコース、20g/l;Tween 80、1ml/l。pHは、オートクレーブの前に1M NaOHで6.18−6.24に調整した。
【0045】
ブロス中のグルタミン濃度は、細菌の接種前及び試験菌株の増殖後に測定した。増殖後、培養液を遠心分離し、次いで、無菌的にろ過し、その後、細胞のない上清を−80℃で冷凍した。スルホサリチル酸を添加し、そして水酸化リチウムでpHを調整した後に、アミノ酸を自動アナライザー(Biochrom 20、Pharmacia Biotech)で分析した。
【0046】
種々の試験菌株が増殖した後のブロス中のグルタミン及びグルタミン酸濃度の増加を、以下の表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
全ての試験菌株が幾分かのグルタミンを産生したが、12の試験菌株のうち7菌株だけが比較的多量のグルタミンを産生した(>20μmol/l)。2菌株(CURE21及びCURE26)を除く全てにおいて、培地中のグルタミン酸のかなりの減少に伴いグルタミンが増加した。細菌を添加していない培地では、グルタミン酸の平均初期濃度は223μmol/lであり、一方、グルタミン含有量は0であった。CURE20、CURE23及びCURE24の3菌株は、培地中の全ての利用可能なグルタミン酸を消費し、一方、CURE28では247μmol/l、CURE29では220μmol/l、CURE22では187μmol/l、CURE19では128μmol/l、CURE30では160μmol/l、CURE27では151μmol/l及びCURE25では47μmol/lでグルタミン酸濃度が減少した。これらの細菌がグルタミン酸をグルタミンに変換したかどうか推測し得る。2つの菌株(CURE21及びCURE26)は培地中のグルタミン酸濃度を全く低下させることなくグルタミンを産生した。他の菌株とは対照的に、それらはブロス中のグルタミン酸濃度を高めた。
【0049】
アルギニン産生
各試験菌株のアミノ酸産生は、Matteuzzi et al.(1978)により記載された培地を改良した増殖培地(ブロス)中、37℃で4日間試験菌株を増殖させた後に測定した。該ブロスは以下を含む:酢酸ナトリウム、10g/l;アスコルビン酸、10g/l;硫酸アンモニウム((NHSO)、5g/l;リン酸水素二カリウム(KHPO)、3g/l;リン酸二水素カリウム(KHPO)、3g/l;MgSO×7HO、0.32g/l;FeSO×7HO、0.01g/l;MnSOO、0.007g/l;NaCl、0.01g/l;酵母エキス、0.5g/l;グルコース、20g/l;Tween 80、1ml/l。pHは、オートクレーブ処理の前に1M NaOHで6.18−6.24に調整した。
【0050】
該ブロス中のアミノ酸濃度は、細菌を接種する前及び試験菌株の増殖後に測定した。増殖後、培養液を遠心分離し、次いで無菌的にろ過し、続いて細胞のない上清を−80℃で冷凍した。アミノ酸はスルホサリチル酸を添加し、そして水酸化リチウムでpHを調整した後に、自動アナライザー(Biochrom 20、Pharmacia Biotech)で分析した。
【0051】
種々の試験菌株の増殖後のブロス中のアルギニン及びシトルリンの濃度の増加を、表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
12の試験菌株のうち3株では、アルギニン濃度が10μmol/lより多く増加した(すなわち、CURE19、CURE28及びCURE29)。前記菌株のうち2つは、シトルリンもかなり多量に産生した(>100μmol/l)(すなわち、CURE19及びCURE28)。シトルリンはアルギニンの脱アミノ化によって、もしくは、NO−合成酵素及びNO産生のいずれかによって産生される。シトルリン産生はまた、初期段階におけるアルギニン産生を反映する。
【0054】
また、試験菌株の増殖中、ブロス中に他のアミノ酸も浸透した(表3参照)。CURE21はシトルリンまたはアルギニンのいずれも産生しなかったが、多量のアスパラギン酸及びチロシンを産生した。CURE26はシトルリンは全く産生しなかったが、非常に少量のアルギニン、及び、広範囲のスペクトルにおいて種々のアミノ酸を産生した。さらに、CURE26は、ブロス中のプロリン濃度を増加させた唯一の試験菌株であった。全ての試験菌株はトレオニンを産生した。
【0055】
【表3】

【0056】
値は、3つまたは2つのそれぞれの培養物由来の3つまたは2つの試料の平均値を表す。
【0057】
遺伝子型の同定
REA
菌株は、染色体DNAの切断パターンについて、制限エンドヌクレアーゼ分析−REA−法(Stahl M, Molin G, Persson A, Ahrne S及びStahl S, International Journal of Systematic Bacteriology, 40:189-193, 1990に従う、及び、さらにJohansson, M-L., et al., International Journal of Systematic Bacteriology, 45:670-675, 1995により開発された方法)により試験した。REAについて、以下のように概略を示し得る:本研究に伴う菌株由来の染色体DNAを準備し、次いで、制限エンドヌクレアーゼにより切断した。0.75μgの各DNAは、10ユニットのEcoRI及びHind IIIを用いて、37℃で4時間それぞれ消化した;各エンドヌクレアーゼは別々に使用した。切断されたDNA断片は、サブマージ水平型アガロース平板ゲル(submerged horizontal agarose slab gels)を使用したゲル電気泳動によりサイズについて分離した。ゲルは150mlの0.9%アガロースからなり(超純粋DNAグレード;低電気浸透(low electroendo osmosis);BioRad Laboratories, MD, USA)、そして平板ゲルとしてキャストされた(150×235mm)。0.2μgの高分子量DNAマーカー(Bethesda Research Laboratories, MD, USA)は、0.5μgのDNA分子量マーカーVI(Roche、Germany)と共に、スタンダードとして使用した。フィコールローディングバッファー(Ficoll loading buffer)(2gのフィコール、8mlの水、0.25%のブロムフェノール)中で試料のDNAをアプライすることにより、最小のバンドの歪みと最大の鮮明さを達成した。
【0058】
約6−8℃で18時間、40Vの一定圧でゲルを泳動した。泳動中に、バッファー(89mM Tris、23mM HPO、2mM EDTAナトリウム、pH8.3)を再循環させた。その後、ゲルをエチジウムブロマイド(2μg/ml)で20分間染色し、次いで蒸留水で汚れを落とし、UVトランスイルミネーター(UVP Inc.,San Gabriel,USA)により302nmで可視化し、そして写真を撮った。ゲル電気泳動を行うこの方法では、分子量1.2×10に至るまで良好に分散し及び比較的良好に分離されたバンドが得られる。
【0059】
16S rRNA遺伝子のRFLP(リボタイピング)
染色体の調製及び染色体DNAの制限エンドヌクレアーゼ分析は、先に述べたように行った(Stahl et al., 1990, Stahl et al., 1994)。
【0060】
プローブはL.casei spp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子の420bpの断片(E.coli番号付けで、位置506〜926)であり、これは、PCRにより得られ、製造業者(Boehringer Mannheim, Bromma,Sweden)により供給される使用説明書に従ったDIG DNA標識技術により標識した。反応に使用したプローブ量は50ngであった。
【0061】
サザンブロットハイブリダイゼーション.1μgの染色体DNAを10UのEcoRI及びHind III(Boehringer Mannheim)で37℃で4時間消化した。アガロースゲル電気泳動による制限断片の分離は、Stahl et al., 1994に従って行った。DIG−標識分子量DNAマーカーII及び分子量DNAマーカーVIは、スタンダードとして使用した(Roche, Germany)。DNAは、正に帯電したナイロン膜(Roche)上に120℃で30分間ベーキングすることにより固定した。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション及び基質CSPG(登録商標)(Roche)を使用したケモルミネッセント検出は、製造業者により提供される使用説明書に従って行った。ハイブリダイゼーション温度は68℃であった。試験の結果、染色体DNAをHind IIIで切断した場合、全ての菌株(CURE19、21、26、28及び29)において、分子量約2840kbの1つのシングルバンドが生じた。染色体DNAをEcoRIで切断した場合、菌株CURE21及び26において、分子量約895kbのシングル断片上に16S rRNAに関する遺伝子が存在し、一方、分子量約3240kbのもう1つのシングルバンドが、CURE19、28及び29において得られた。
【0062】
in vivoでの試験
試験1.ラットの大腸炎を誘発するDDSに対するLactobacillus及びBifidobacterium菌株の影響
本研究の目的は、ラットの大腸炎を誘発するDDS(デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran Sodium Sulfate))に対するLactobacillus及びBifidobacterium菌株の効果を比較することであった。
【0063】
Sprague Dawleyラットを6つの群に分け、1つは対照群(細菌を投与しない大腸炎)、そして、5つの群は異なる細菌株(それぞれ、Lactobacillus plantarum 299v、Lactobacillus paracasei 8700:2、Lactobacillus gasseri LG1、Bifidobacterium 3B1及びBifidobacterium infantis CURE 19)を投与した。大腸炎を誘発する前に、細菌株を7日間経口投与し(0日)、そして、DDS(5% w/vとなるよう水に溶解)と組み合わせて連続的に7日間投与した。大腸炎の程度は毎日DAI(疾患活動指数(Disease Activity Index))で決定した。サンプリングは14日間行い、そして、腸における細菌の移動や量を測定した。
【0064】
Lactobacillus plantarum 299v、Bifidobacterium 3B1及びBifidobacterium CURE 19を投与した群において、DAIは、対照群と比較して、4、5、6及び7日目に有意に減少した。さらに、6及び7日後、Lactobacillus paracasei 8700:2及びLactobacillus gasseri LG1を受けた群と比較して、B. infantis CURE 19を受けた群ではDAIが有意に低下した。対照の大腸炎と比較すると、腸間膜リンパ節への細菌のトランスロケーションは、Enterobacteriaceaeの肝臓への移動と同様に、全ての群において有意に低下した。
【0065】
結論として、細菌株Lactobacillus plantarum 299v、Lactobacillus paracasei 8700:2、Lactobacillus gasseri LG1、Bifidobacterium 3B1及びBifidobacterium infantis CURE 19を経口投与すると、ラットにおける実験的な大腸炎でのトランスロケーションを減少することによって、ポジティブな効果を及ぼし得る。Lactobacillus plantarum 299v、Bifidobacterium 3B1及びBifidobacterium infantis CURE 19は、DDSにより誘発された大腸炎のラットのDAIを向上する上で、最も顕著な効果を示した。Bifidobacterium infantis CURE 19は、投与後6日目及び7日目に、大腸炎を抑制する上で他のものより多少効果的であった。図6を参照のこと。
【0066】
試験2.経口投与後の胃腸管におけるLactobacillus及び/またはBifidobacteriumの生存
LactobacillusまたはBifidobacteriumを経口投与すると種々のポジティブな効果がもたらされ、例えば、抗生物質が関与した下痢を予防する(D’ Souza et al., 2002, BMJ 324:1361)。
【0067】
細菌が経口投与で生存し、そして、腸内で生存及び増殖する能力を有する場合に、ポジティブな効果が達成され得る。プロバイオティクスとして使用し得る適切な菌株を見出すために、多数の可能な見込みのありそうな菌株を健康な被験体に経口投与する。糞便中の投与した菌株の割合を測定することにより、高い生存能を有する菌株を同定した。本研究の目的は、ヒトの胃腸管内で生存及び増殖するための優れた能力を有している経口投与が可能な菌株を見出すことである。
【0068】
本願の構想
4週間、14のボランティアの被験体に、Lactobacillus及びBifidobacteriumの約20の種々の菌株の混合物を飲ませる。全ての菌株は、ヒトまたは乳酸産生食品に生息する代表的な菌株である。糞便の採取は投与前、投与した3週間後、そして、投与後の1週間に行う。細菌フローラは生菌数測定及びRAPD(ランダム増幅多型DNA(Randomly Amplified Polymorphic DNA);Johansson et al., 1995)により決定する。
【0069】
結論
選択した菌株(すなわち、Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158;Bifidobacterium CURE 21、DSM 15159;Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160;Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161;及びBifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162)は、経口投与した後、胃腸管を通過して生存し得るという結果を示している。ラットにおける研究はまた、実験的な大腸炎に対してポジティブな効果を発揮する可能性があることも示している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、染色体DNAをEcoRI及びHind IIIでそれそれ切断し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)とハイブリダイゼーションすることにより得た菌株CURE19、CURE21、CURE26、CURE28及びCURE29に関して、制限断片長多型(RFLP)で得た電気泳動パターンの略図である。Dig標識分子量DNAマーカーII(Roche)及び分子量DNAマーカーVI(Roche)はスタンダードとして使用した。
【図2】図2は、菌株CURE19(レーン1)、CURE29(レーン2)及びCURE28(レーン3)の染色体DNAを制限酵素EcoRI(制限エンドヌクレアーゼ分析、REA)で切断することにより得た分離したDNA断片の写真を示す。高分子量DNAマーカー(BRL)及びDNA分子量マーカーVI(Roche)をスタンダードとして使用した(レーン4)。
【図3】図3は、菌株CURE19(レーン2)、CURE28(レーン3)及びCURE29(レーン4)の染色体DNAを制限酵素Hind IIIで切断することにより得た分離したDNA断片の写真を示す。高分子量DNAマーカー(BRL)及びDNA分子量マーカーVI(Roche)をスタンダードとして使用した(レーン1及び5)。
【図4】図4は、菌株CURE21(レーン1)及びCURE26(レーン2)の染色体DNAを制限酵素EcoRIで切断することにより得た分離したDNA断片の写真を示す。高分子量DNAマーカー(MD、USA)及びDNA分子量マーカーVI(Roche)をスタンダードとして使用した(レーン3)。
【図5】図5は、菌株CURE21(レーン2)及びCURE26(レーン3)の染色体DNAを制限酵素Hind IIIで切断することにより得た分離したDNA断片の写真を示す。高分子量DNAマーカー(MD、USA)及びDNA分子量マーカーVI(Roche)をスタンダードとして使用した(レーン1及び4)。
【図6】図6.4、5、6及び7日目の疾患活動指数。*は大腸炎コントロールと比較してp<0.05を意味する。
【0071】
【化1】

【0072】
はL.gasseriと比較してp<0.05を意味し、#はL.paracasieと比較してp<0.05を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸管内で生存する、及び、in vivoでグルタミンを産生する能力を有するBifidobacterium菌株。
【請求項2】
アンモニアを同化する能力を有する請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
該菌株がBifidobacterium infantis種に属する請求項1または2に記載の菌株。
【請求項4】
Hind IIIで染色体DNAを切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約2840kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−3のいずれかに記載の菌株。
【請求項5】
EcoRIで染色体DNAを切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)でのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約895kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−4のいずれかに記載の菌株。
【請求項6】
EcoRIで染色体DNAを切断し、アガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約3420kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−4のいずれかに記載の菌株。
【請求項7】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 21、DSM 15159、または同一のREA−パターンを本質的に有するこれらの変異株である請求項1−5のいずれかに記載の菌株。
【請求項8】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160、または同一のREA−パターンを本質的に有するこれらの変異株である請求項1−5のいずれかに記載の菌株。
【請求項9】
アルギニン産生能を有する請求項1−4及び6のいずれかに記載の菌株。
【請求項10】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158、または同一のREA−パターンを本質的に有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項11】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161、または同一のREA−パターンを本質的に有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項12】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162、または同一のREA−パターンを本質的に有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項13】
担体と組み合わせた請求請1−12のいずれかに記載の1菌株以上のBifidobacteriumを含む組成物。
【請求項14】
担体がオートミールかゆであることを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
食物繊維も含有することを特徴とする請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
食品組成物であることを特徴とする請求項13−15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
薬学的組成物であることを特徴とし、ここで、担体が治療的に許容される担体であることを特徴とする請求項13−15のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
1以上のLactobacillus菌株もまた含有することを特徴とする請求項13−17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
治療に使用するためのBifidobacterium infantis種に属する1以上の菌株。
【請求項20】
多臓器不全及び腸不全を有する患者の集中治療処理のための、化学療法患者及び炎症性疾患を有する患者における予防のための、または大手術後の術後投与のための薬剤を調製のための、1以上の菌株Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158;Bifidobacterium infantis CURE 21、DSM 15159;Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160;Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161;Bifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162;または、これらの変異株の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸管内で生存する、及び、in vivoでグルタミンを産生する能力を有するBifidobacterium菌株。
【請求項2】
アンモニアを同化する能力を有する請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
該菌株がBifidobacterium infantis種に属する請求項1または2に記載の菌株。
【請求項4】
Hind IIIで染色体DNAを切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約2840kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−3のいずれかに記載の菌株。
【請求項5】
EcoRIで染色体DNAを切断し、続いてアガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで位置506〜926)でのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約895kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−4のいずれかに記載の菌株。
【請求項6】
EcoRIで染色体DNAを切断し、アガロースゲル電気泳動により断片を分離し、そして、サザンブロットハイブリダイゼーションを利用して、L.casei subsp.pseudoplantarum DSM 20008の16S rRNA遺伝子のDIG標識した420bp断片プローブ(E.coli番号付けで506〜926)とのハイブリダイゼーションにより得た分子サイズ約3420kbのシングルDNA断片上に位置する16S rRNA遺伝子を有する請求項1−4のいずれかに記載の菌株。
【請求項7】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 21、DSM 15159、または同一のREA−パターンを本質的に有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株である請求項1−5のいずれかに記載の菌株。
【請求項8】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160、または同一のREA−パターンを本質的に有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株である請求項1−5のいずれかに記載の菌株。
【請求項9】
アルギニン産生能を有する請求項1−4及び6のいずれかに記載の菌株。
【請求項10】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158、または同一のREA−パターンを本質的に有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項11】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161、または同一のREA−パターンを本質的に有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項12】
菌株Bifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162、または同一のREA−パターンを本質的に有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株である請求項1−4、6及び9のいずれかに記載の菌株。
【請求項13】
担体と組み合わせた請求請1−12のいずれかに記載の1菌株以上のBifidobacteriumを含む組成物。
【請求項14】
担体がオートミールかゆであることを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
食物繊維も含有することを特徴とする請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
食品組成物であることを特徴とする請求項13−15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
薬学的組成物であることを特徴とし、ここで、担体が治療的に許容される担体であることを特徴とする請求項13−15のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
1以上のLactobacillus菌株もまた含有することを特徴とする請求項13−17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
薬剤として使用するための請求項1〜12のいずれかに記載の1以上の菌株。
【請求項20】
多臓器不全及び腸不全を有する患者の集中治療処理のための、化学療法患者及び炎症性疾患を有する患者における予防のための、または大手術後の術後投与のための薬剤を調製のための、1以上の菌株Bifidobacterium infantis CURE 19、DSM 15158;Bifidobacterium infantis CURE 21、DSM 15159;Bifidobacterium infantis CURE 26、DSM 15160;Bifidobacterium infantis CURE 28、DSM 15161;Bifidobacterium infantis CURE 29、DSM 15162;または、同じREA−パターンを有し、そして、腸管内で生存し及びin vivoでグルタミンを産生する同じ能力を有するこれらの変異株の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−516405(P2006−516405A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502776(P2006−502776)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000098
【国際公開番号】WO2004/067731
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(500045257)プロビ エービー (6)
【Fターム(参考)】