説明

グルタミン酸作動性シナプス反応を増強するための二環式アミド誘導体

本発明は、基本的挙動及び高次挙動に関与する脳ネットワークにおけるシナプスでの受容体機能の増強を含む、脳不全の予防及び治療において使用するための化合物、医薬組成物、及び方法に関する。これらの脳ネットワークは、記憶障害に関連する認知能力に関与し、記憶障害は、様々な認知症、異なる脳領域間のニューロン活動の不均衡において観察され、パーキンソン病、統合失調症、睡眠時無呼吸、注意欠陥多動性障害、及び情動若しくは気分障害のような障害、並びに神経栄養因子の欠乏が関与する障害、更に脳卒中による中枢性睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、先天性低換気症候群、肥満低換気症候群、乳幼児突然死症候群、レット症候群、脊髄損傷、外傷性脳損傷、チェイニー・ストークス呼吸、オンディーヌの呪い(先天性中枢性低換気症候群)、プラダー・ウィリー症候群、及び溺死のような病状において示される。特定の態様において、本発明は、こうした状態の治療に有用な二環式アミド化合物、及びこうした治療のためにこれらの化合物を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な挙動に関与する脳ネットワークにおけるシナプスでの受容体機能の増強を含む、脳不全の予防及び治療において使用するための化合物、医薬組成物、及び方法に関する。異なる脳領域間のニューロンの活動の不均衡は、記憶障害、パーキンソン病、統合失調症、注意欠陥及び情動又は気分障害、並びに神経栄養因子の欠乏が関係する障害などの精神及び神経障害を含む多くの障害をもたらす可能性がある。特定の態様においては、本発明は、こうした状態の治療に有用な化合物、及びこうした治療のためにこれらの化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の前脳の多くの部位におけるシナプスでのグルタミン酸の放出は、2種類のシナプス後イオンチャンネル型グルタミン酸受容体を刺激する。これらの種類は、通常、AMPA受容体及びN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体と呼ばれる。AMPA受容体は、電位非依存性高速興奮性シナプス後電流(高速EPSC)を媒介し、一方でNMDA受容体は、電位依存性低速興奮性電流を発生させる。海馬又は大脳皮質の薄片で行われる研究は、AMPA受容体媒介高速EPSCが、一般にほとんどのグルタミン酸作動性シナプスにおいてはるかに優勢な主要要素であり、AMPA受容体の活性化は、通常、NMDA受容体活性化の前提条件であることを示唆する。
【0003】
AMPA受容体は、中枢神経系の至るところに発現する。これらの受容体は、非特許文献1で報告されるように、大脳新皮質の表層、海馬の主要な各シナプス区域、及び線条体複合体において高濃度で見られる。動物及びヒトにおける研究は、これらの構造が、複雑な知覚−運動プロセスを体系化し、高次挙動のための基礎を提供することを示唆する。したがって、AMPA受容体は、多数の認知活動に関与するそれらの脳ネットワークにおいて伝達を媒介する。
【0004】
上記の理由から、AMPA受容体の機能を調節して増強する薬剤は、知的能力にとって著しい効果を上げることができ、またそのような薬剤は、記憶の符号化も促進するはずである。非特許文献2において報告されるような実験的研究は、AMPA受容体媒介シナプス反応(単数又は複数)の大きさの増大が、長期増強(LTP)の誘導を強化することを示唆する。LTPは、学習の間に脳で生じることが知られている種類の反復性生理的活性に続く、シナプス接合の強度の安定した増大である。
【0005】
グルタミン酸受容体のAMPA亜型の機能を増強する化合物は、多数の実例で測定されるように、LTPの誘導及び学習タスクの習得を促進する。例えば、非特許文献3〜15及び特許文献1を参照。LTPが記憶の基礎であることを示すかなり多数の証拠が存在する。例えば、非特許文献16において報告されるように、LTPを遮る化合物は、動物における記憶形成を妨げ、またヒトにおける学習を混乱させる特定の薬剤は、LTPの安定化に反対に作用する。単純な作業を学ぶことは、生成されたLTPを遮断する海馬において高周波刺激によってLTPを誘発し(非特許文献17)、LTPを維持する作用が空間記憶を持続する(非特許文献18)。学習の分野において非常に重要なのは、正のAMPA型グルタミン酸受容体の調節剤による生体治療が、中年動物における基底樹状突起のLTPの安定を復元させることの発見である(非特許文献19)。
【0006】
興奮性シナプス伝達は、神経栄養因子が特定の脳領域内で増大する主要経路を提供する。このように、調節剤によるAMPA受容体機能の増強作用は、神経栄養因子、特に脳由来神経栄養因子、すなわちBDNFのレベルを上昇させることが見出された。例えば、非特許文献20〜22及び特許文献2を参照。他の研究は、BDNFレベルを、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、脆弱性X症候群、及びレット症候群(RTT)のような多くの神経障害に関連付けた。例えば、非特許文献23〜26を参照。したがって、AMPA受容体増強剤は、グルタミン酸作動性不均衡又は神経栄養因子の欠陥の結果であるこれら及び他の神経系疾患の治療に有用であろう。
【0007】
AMPA受容体を選択的に助長する化合物の試作品が、非特許文献27に記載されている。これらの著者は、向知性薬剤アニラセタム(N−アニソイル−2−ピロリジノン)が、γ−アミノ酪酸(GABA)、カイニン酸(KA)、又はNMDA受容体による反応に影響を及ぼすことなく、アフリカツメガエル卵母細胞で発現される脳AMPA受容体によって媒介される電流を上昇させることを見出した。海馬の薄片へのアニラセタムの注入は、静止膜特性を変えることなく高速シナプス電位の大きさを実質的に増やすことも示された。その後、アニラセタムが、海馬のいくつかの部位でシナプス反応を増強すること、及びそれがNMDA受容体の媒介電位に影響を及ぼさないことが確認された(非特許文献28、29)。
【0008】
アニラセタムは、極めて速やかな発現及び流出を有することが分かっている。そして、明らかな持続的影響がなく繰り返し用いることができる。これらは行動に関連した薬剤にとって望ましい特徴である。しかし、アニラセタムは、いくつかの欠点を示す。アニラセタムの末梢投与は、簡単に脳受容体には影響しないと考えられる。薬剤は、高濃度(およそ1000μM)でのみ効き目があり、薬剤の約80%が、ヒトでは末梢投与後にアニソイル−GABAに変わる(非特許文献30)。代謝物質であるアニソイル−GABAは、アニラセタムより低活性であることが分かっている。これらの問題に加えて、アニラセタムは、脳における多くの他の神経伝達物質及び標的酵素に影響を与えると推測されるため、それはいずれの主張された薬剤の治療効果の作用をも不確実にする。例えば、非特許文献31〜36を参照。
【0009】
アニラセタムに特有の低効能と固有の不安定性を示さない、ある種類のAMPA受容体増強化合物が述べられている(特許文献1)。「アンパーキン」(登録商標)と呼ばれるこれらの化合物は、置換ベンズアミドであり、例えば、6−(ピペリジン−1−イルカルボニル)キノキサリン(CX516;アンパレックス(Ampalex)(登録商標))である。通常、それらはアニラセタムよりも化学的に安定であり、改善された生物学的利用能を示す。CX516は、記憶障害、統合失調症、及び鬱病の治療に有効な薬剤を見つけるために用いられる動物試験において有効である。3つの別々の臨床試験において、CX516は、ヒトの記憶の様々な状態を改善する有効性について証拠を示した(非特許文献11〜13)。
【0010】
アンパカインの別の種類、ベンズオキサジンでは、認知強化を生じさせる可能性を評価する生体外及び生体内モデルにおいて、非常に高い活性を有することが発見されている(特許文献3)。置換ベンズオキサジンは、剛性構造のベンズアミド類似体であり、柔軟性構造のベンズアミドであるCX516とは異なる受容体調節特性を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,747,492号明細書:リンチ(Lynch)及びロジャース(Rogers)
【特許文献2】米国特許第6,030,968号明細書;ガル(Gall)ら
【特許文献3】米国特許第5,736,543号明細書:ロジャース(Rogers)及びリンチ(Lynch)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】脳研究(Brain Research)324:160−164頁(1984年)、モナハン(Monaghan)ら
【非特許文献2】脳研究(Brain Research)598:173−184頁(1992年)、アライ(Arai)及びリンチ(Lynch)
【非特許文献3】シナプス(Synapse)15:326−329頁(1993年)、グランガー(Granger)ら
【非特許文献4】米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)91:777−781頁(1994年)、ストーブリ(Staubli)ら
【非特許文献5】脳研究(Brain Research)638:343−346頁(1994年)、アライ(Arai)ら
【非特許文献6】米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)91:11158−11162頁(1994年)、ストーブリ(Staubli)ら
【非特許文献7】神経科学論文(Neuroscience Letters)186:153−156頁(1995年)、ショル(Shors)ら
【非特許文献8】神経科学ジャーナル(The Journal of Neuroscience)15:8023−8030頁(1995年)、ラーソン(Larson)ら
【非特許文献9】シナプス(Synapse)22:332−337頁(1996年)、グランガー(Granger)ら
【非特許文献10】ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクペリメンタル・テラピューティクス(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)278:627−638頁(1996年)、アライ(Arai)ら
【非特許文献11】国際臨床精神薬理学(International clinical psychopharmacology)11:13−19頁(1996年)、リンチ(Lynch)ら
【非特許文献12】実験的神経学(Experimental Neurology)145:89−92頁(1997年)、リンチ(Lynch)ら
【非特許文献13】実験的神経学(Experimental Neurology)146:553−559頁(1997年)、イングバル(Ingvar)ら
【非特許文献14】神経科学ジャーナル(The Journal of Neuroscience)18:2748−2763頁(1998年)、ハンプソン(Hampson)ら
【非特許文献15】パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス・バイオロジー(Public Library of Science Biology)3(9):1−14頁(2006年)、ポリーノ(Porrino)ら
【非特許文献16】神経科学(Neuroscience)49:1−6頁(1992年)、デル・セロ(del Cerro)及びリンチ(Lynch)
【非特許文献17】サイエンス(Science)313:1093−1097頁(2006年)、ホイットロック(Whitlock)ら
【非特許文献18】サイエンス(Science)313:1141−1144頁(2006年)、パスタルコバ(Pastalkova)ら
【非特許文献19】神経生理学ジャーナル(Journal of neurophysiology)96:677−685頁(2006年)、レックス(Rex)ら
【非特許文献20】神経科学ジャーナル(The Journal of Neuroscience)20:8−21頁(2000年)、ローターボーン(Lauterborn)ら
【非特許文献21】ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクペリメンタル・テラピューティクス(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)307:297−305頁(2003年)、ローターボーン(Lauterborn)ら
【非特許文献22】神経薬理学(Neuropharmacology)43:1−10頁(2002年)、マクオウィック(Mackowiak)ら
【非特許文献23】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)486:163−174頁(2004年)、オニール(O'Neill)ら
【非特許文献24】分子精神医学(Molecular Psychiatry)10:939−943頁(2005年)、ケント(Kent)ら
【非特許文献25】ジャーナル・オブ・チャイルド・ニューロロジー(Journal of Child Neurology)18:693−697頁(2003年)、リイコネン(Riikonen)ら
【非特許文献26】ニューロン(Neuron)49:341−348頁(2006年)、チャン(Chang)ら
【非特許文献27】生理学ジャーナル(The Journal of Physiology)424、533−543頁(1990年)、イトー(Ito)ら
【非特許文献28】精神生物学(Psychobiology)18:377−381頁(1990年)、ストーブリ(Staubli)ら
【非特許文献29】海馬(Hippocampus)1:373−380頁(1991年)、シャオ(Xiao)ら
【非特許文献30】ジャーナル・オブ・クロマトグラフ(Journal of Chromatography)530:397−406頁(1990年)、グエンジ(Guenzi)及びサネッティ(Zanetti)
【非特許文献31】ファーマコロジー・バイオケミストリー・アンド・ビヘイビア(Pharmacology Biochemistry and Behavior)47:219−225頁(1994年)、ヒモリ(Himori)ら
【非特許文献32】神経化学ジャーナル(Journal of Neurochemistry)61:683−689頁(1993年)、ピッツイ(Pizzi)ら
【非特許文献33】ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)380:81−89頁(1999年)、ナカムラ(Nakamura)及びシラネ(Shirane)
【非特許文献34】ファーマコロジー・バイオケミストリー・アンド・ビヘイビア(Pharmacology Biochemistry and Behavior)27:491−495頁(1987年)、スピグノリ(Spignoli)及びペペウ(Pepeu)
【非特許文献35】神経薬理学(Neuropharmacology)26:1573−1579頁(1987年)、ホール(Hall)及びボン・ボイトランダー(Von Voigtlander)
【非特許文献36】ジャーナル・オブ・ファーマコバイオダイナミック(Journal of Pharmacobio-Dynamics)10:730−735頁(1987年)、ヨシモト(Yoshimoto)ら
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの置換[2,1,3]ベンゾオキサジアゾール化合物は、以前に米国特許出願公開第2002/0055508号明細書及び米国特許出願公開第2002/0099050号明細書で開示された化合物より、注意欠陥多動性障害(ADHD)、統合失調症及び
認知のモデル動物において、著しくそして驚くほどに効能があることが判明した。本明細書に詳細に記載するこの新しい種類の二環式アミド(構造A)は、AMPAが媒介するグルタミン酸作動性シナプス反応を増強する顕著な活性を示す。
【0014】
【化1】

【0015】
従って、本発明は、1つの態様では、構造A及び他の構造で示され、以下の「発明を実施するための形態」の第II節に記載される化合物を含む。この種類の化合物の投与は、AMPAが媒介するグルタミン酸作動性シナプス反応を増強し、d−アンフェタミン刺激での歩行分析におけるげっ歯類の挙動を著しく改善することが見出されている。統合失調症及び注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する神経遮断薬の有効性評価において、この行動試験は有用であることが分かっている。これらの化合物は、生体内でのグルタミン酸作動性シナプス反応の増強において、先に記述された化合物よりも、著しくそして驚くほどに効能を有する。この活性は、先行技術の組成物に比べて著しく低い濃度で本化合物を利用する、医薬化合物及び治療方法などを含む対応する使用方法につながる。さらに本発明の化合物は、先に記述された化合物と比べて改善された薬物動態特性を示し、経口投与による良好な生物学的利用能を有する。
【0016】
AMPA受容体が媒介する反応を増大させる本発明の化合物の能力により、この化合物は様々な用途に有用である。これらには、グルタミン酸受容体に依存する挙動の学習を促進すること、AMPA受容体又はこの受容体を利用するシナプスの数又は能力が低減した状態を治療すること、及び脳亜領域間での不均衡を回復させ又は神経栄養因子のレベルを上昇させるために興奮性シナプス活性を増強することが含まれる。
【0017】
別の態様において、本発明は、低グルタミン酸作動性状態、又は興奮性シナプスの数若しくは強度の不足あるいはAMPA受容体の数の不足を患っており、記憶又は他の認知機能が損なわれている哺乳類の対象を治療する方法を含む。こうした状態は、皮質/線条体の不均衡も引き起こし、統合失調症又は統合失調症様挙動をもたらすこともある。
【0018】
これらの方法に従い、こうした対象を、薬学的に許容可能な担体中で、構造Aに示されるような、そして以下の「発明を実施するための形態」のII節に記載されるような有効量の化合物で治療する。本発明のこれらの及び他の目的並びに特徴は、以下の「発明を実施するための形態」を添付の図面と併せて読むことで、より十分に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
I.定義
以下の用語は、別途示されない限り、次の意味を有する。本発明を記載するために使用される他の用語は、それらの用語が当業者によって一般的に使用されるのと同じ定義を有する。
【0020】
本明細書において、用語「化合物」は、本明細書に開示されるいかなる特定の化学物質をも指すために使用される。文脈でのその使用の範囲内において、通常この用語は単一の安定な化合物を指すが、場合によっては、開示された化合物の立体異性体及び/又は光学異性体(エナンチオピュアな化合物、鏡像異性的に濃縮された化合物、及びラセミ混合物を含む)も指す。
【0021】
用語「有効量」とは、意図した結果を生じるために、例えば、AMPA受容体活性を増大させることによってグルタミン酸作動性シナプス反応を増強するために、その意図した用途の中で使用される選択された化学式Aの化合物の量を指す。正確な使用量は、選択された特定の化合物及びその意図した用途、対象の年齢及び重量、投与経路等によって変わるが、ありふれた実験で簡単に決定されるであろう。ある状態又は病状の治療の場合、有効量は、特定の状態又は病状を効果的に治療するために使用される量である。
【0022】
用語「薬学的に許容可能な担体」は、投与される対象に容認し難いほど有毒でない担体又は賦形剤を指す。薬学的に許容可能な賦形剤は、E.W.マーチン(E.W. Martin)により、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に詳細に記載されている。
【0023】
本発明において考慮されるアミン化合物の「薬学的に許容可能な塩」は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩等の無機アニオン又は酢酸塩、マロン酸塩、ピルビン酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、ケイ皮酸塩、トシル酸塩等の有機アニオンを対イオンとして有するアンモニウム塩である。
【0024】
用語「患者」又は「対象」は、動物、通常はヒトを含む哺乳類動物を表すために本明細書を通して使用され、それに対して本発明に従う化合物若しくは組成物での治療又はそれらの使用が提供される。特定の動物(特に、ヒトの対象又は患者など)に特有であるそれらの状態又は病状の治療若しくは使用に対しては、患者又は対象の用語は、その特定の動物を指す。
【0025】
用語「感覚運動問題」は、運動及び行動を含む適切な身体的応答を導くように既知の五感から得られる外部の情報を統合することができないことから起こる、患者又は対象における問題を表すのに使用される。
【0026】
用語「認知的作業」又は「認知機能」は、患者又は対象による思考又は認識を含む試み又は過程を表すのに使用される。全ヒト脳組織のおよそ75%を占める頭頂葉、側頭葉及び前頭葉の連合皮質の多様な機能は、感覚入力と運動出力との間で行われる情報処理の多くに関与する。連合皮質の多様な機能は、しばしば認知と呼ばれ、それは文字通り私たちが外界を知るようになる過程を意味する。特定の刺激に選択的に注意を向けること、これに関連した刺激特徴を認知して識別すること、並びに反応を計画及び経験することは、認知に関係する、ヒトの脳によって媒介される過程又は能力の一部である。
【0027】
用語「脳ネットワーク」は、神経細胞のシナプス活性を通して互いに情報伝達する脳の異なる解剖領域を表すのに使用される。
【0028】
用語「AMPA受容体」は、一部の膜に見られるタンパク質の集合体を指し、これは、NMDAでなく、グルタミン酸塩又はAMPA(DL−α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸)の結合に反応して、正イオンが膜を横切ることを可能にする。
【0029】
用語「興奮性シナプス」は、1つの細胞による化学伝達物質の放出が、他の細胞の外部膜の脱分極を引き起こす、細胞−細胞間結合を表すのに使用される。興奮性シナプスは、閾値電位より正である逆転電位を有するシナプス後ニューロンを表し、その結果、こうしたシナプスにおいて、神経伝達物質は、興奮性シナプス後電位が起こるであろう可能性を上昇させる(ニューロンは発火して活動電位を生じるであろう)。逆転電位及び閾値電位は、シナプス後の興奮及び抑制を決定する。シナプス後電位(「PSP」)での逆転電位が活動電位の閾値より正であるならば、伝達物質の影響は興奮性であり、興奮性シナプス後電位(「EPSP」)及びニューロンによる活動電位の発火を生じる。シナプス後電位での逆転電位が活動電位の閾値より負であるならば、伝達物質は抑制性であり、抑制性シナプス後電位(IPSP)を生じることがあり、したがってシナプスが活動電位を発火するであろう可能性が低下する。シナプス後作用での一般的な法則は、逆転電位が閾値より正であるならば、興奮が起こり、逆転電位が閾値より負であるならば、抑制が起こる。例えば、デイル・パーベス(Dale Purves)編集、神経科学(NEUROSCIENCE)、第7章、シナウア・アソシエイツ社(Sinauer Associates Inc.)、マサチューセッツ州、サンダーランド(Sunderland)、1997年を参照。
【0030】
用語「運動作業」は、患者又は対象によってなされる運動又は行動に関係する試みを表すために使用される。
【0031】
用語「知覚作業」は、患者又は対象による感覚入力に注意を向ける行為を表すために使用される。
【0032】
用語「シナプス反応」は、密接関係にある別の細胞による化学伝達物質の放出の結果としての、ある細胞での生物物理学反応を表すのに使用される。
【0033】
用語「低グルタミン酸作動性状態」は、グルタミン酸塩(又は関連のある興奮性アミノ酸)によって媒介される伝達が正常レベル未満に低下する状況又は状態を表すために使用される。伝達は、グルタミン酸塩の放出、シナプス後受容体への結合、及びそれらの受容体に不可欠なチャネルの開口から成る。最終的に低グルタミン酸作動性状態は、興奮性シナプス後電流を低減する。それは、上記3つの伝達段階のいずれにも起因し得る。低グルタミン酸作動性状態とみなされる、本発明に従う化合物、組成物及び方法を使用して治療され得る状態又は病状としては、例えば、記憶喪失、認知症、鬱病、注意障害、性的不全、パーキンソン病を含む運動障害、統合失調症又は統合失調症様挙動、記憶及び学習障害、並びに睡眠時無呼吸であり、記憶及び学習障害は老化、外傷、脳卒中及び神経変性障害による障害を含み、神経変性障害としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病及び老化に関連するようなものなどである。これらの状態は、当業者によって容易に認知及び診断される。
【0034】
用語「皮質−線条体の不均衡」は、相互に連結した皮質及びその下の線条体の複合体でのニューロン活性のバランスが、通常見られるものから外れる状態を表すのに使用される。「活性」は、電気的記録手法又は分子生物学的手法によって評価できる。不均衡は、その2つの組織に対してこれらの測定を適用することにより、又は機能(行動又は生理学的)基準により、規定され得る。
【0035】
用語「情動障害」又は「気分障害」は、悲しみ若しくは高揚感が過度に激しく、これらが、ストレスの多い生活上の出来事での予期される影響を超えて続く状態、又は内因的に起こる状態を示す。本明細書においては、用語「情動障害」は、例えば、精神障害診断統計便覧(Diagnostic and Statistical Manual of Mental disorder)、第4版(DSM IV)、317−391頁に記載される全ての種類の気分障害を含む。
【0036】
用語「統合失調症」は、妄想及び幻覚のような思考過程における障害、並びに他の人々及び外界からの個人の関心の大きな消退、及び自分の中でのそれの封鎖(引きこもり)を特徴とする一般的な種類の精神病の状態を表すのに使用される。統合失調症は、現在、単独でなくむしろ精神障害のグループとみなされ、反応統合失調症と過程統合失調症とで区別される。本明細書においては、用語「統合失調症」又は「統合失調症様」は、外来統合失調症、緊張型統合失調症、破瓜型統合失調症、潜在統合失調症、過程統合失調症、偽神経症性統合失調症、反応統合失調症、単純型統合失調症、及び統合失調症と類似しているがそれ自体が統合失調症と必ずしも診断されるわけではない関連した精神病的障害を含むあらゆる種類の統合失調症を包括する。統合失調症及び他の精神病的障害は、例えば、精神障害診断統計便覧(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版(DSM IV)節293.81,293.82,295.10,295.20,295.30,295.40,295.60,295.70,295.90,297.1,297.3,298.8において確立されるガイドラインを使用して診断される。
【0037】
用語「脳機能」は、外部刺激及び内部動機付け過程の知覚、統合、選別及び反応の組み合わされた作業を表すのに使用される。
【0038】
用語「損なわれている」は、正常に満たない程度で働いている機能を表すのに使用される。損なわれている機能は、ほとんど実行されないか、事実上存在しないか、又は正常よりも著しく劣って働いているように、著しく影響され得る。損なわれている機能はまた、準最適なこともある。機能の障害は、患者ごと及び治療される状態で、重症度が異なるであろう。
【0039】
本明細書において、用語「睡眠時無呼吸」とは、呼吸関連睡眠障害を指し、中枢性及び閉塞性の2種類がある。中枢性睡眠時無呼吸は、通常、血液酸素飽和の減少を伴う、睡眠中の全ての呼吸努力の停止を引き起こす神経学的状態と定義され、呼吸を制御する脳幹中枢が活動停止すると、呼吸努力及び呼吸がなくなる。人は、自動呼吸反射によって睡眠から目覚め、結局、ごくわずかな睡眠しかとらないことがある。閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道の閉塞及び/又は潰れに起因する睡眠中の呼吸の反復的な中断を特徴とし、その後、呼吸するために目覚める。呼吸努力は、無呼吸の発作の間、続く。
【0040】
本明細書において、用語「プロドラッグ」は、元の形態において薬理学的に不活性であるが、ヒト又は動物血漿中において速やかに代謝され薬理学的に活性な形態になる、代謝的に不安定な誘導体を指す。本明細書において用いられるプロドラッグの例としては、ヒドロキシル含有部分のエステル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。こうしたエステルとしては、置換又は非置換の天然又は非天然アミノ酸から形成されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
II.本発明の化合物
本発明は、AMPA受容体の機能を増強する特性を有する化合物を対象とする。それらは、下記の構造Aを有する化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を含む。
【0042】
【化2】

式中、XはO又は(CH2nであり、
nは0又は1である。
【0043】
好ましい形態は、下記の式Bの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を含む。
【0044】
【化3】

【0045】
さらに好ましい形態は、下記の式Cの化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を含む。
【0046】
【化4】

式中、XはO又はCH2である。
【0047】
さらなる態様においては、本発明は、次から選はれる化学式Aの化合物を提供する。
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)メタノン、
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン、及び
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3,7−ジオキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン。
【0048】
III.合成
本発明の化合物の合成は、好ましくは次のスキームにより行われる。当技術分野に存在する手順により類推される代わりの合成もまた、使用されることができる。それぞれの化合物は、記載された化学合成を用い、本明細書で示される化学反応案に従うか、又は当該分野で利用可能な周知の方法を頼りにその合成化学に軽微な変更を加えることにより生産され得る。合成の方法は比較的容易であり、本明細書の教示の範囲内でたやすく変更され得る。
【0049】
酸塩化物(4)を合成するために、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸(1)から出発して、最初に漂白剤を用いて酸化することで中間体(2)を生じ、次に亜リン酸トリエチル(P(OEt)3)で還元してベンゾフラザンカルボン酸(3)を得る。カルボン酸(3)は、トルエン中の塩化チオニル及び触媒量のDMFで還流することによって、酸塩化物(4)に変換された。カルボン酸(3)は、適切な溶媒中のCDI、EDCI、HBTUのような標準的なカップリング条件を用いて、適当なアミノ基含有二環式化合物(aminobicycles)との反応によって二環式アミド(A)に変換され得る。あるいは、酸塩化物(4)が、例えばジクロロメタンのような適切な溶媒中において、トリエチルアミン又は水酸化ナトリウム水溶液などのような塩基の存在下において、二環式アミンを用いる標準的なカップリング条件で二環式アミド(A)に変換され得る。
【0050】
スキーム
【化5】

【0051】
IV.治療方法
本発明の一つの態様によれば、低グルタミン酸作動性状態、あるいは興奮性シナプスの数若しくは強度又はAMPA受容体の数の不足を患っている哺乳類対象の治療方法が提供される。こうした対象においては、記憶若しくは他の認知機能が損なわれていることがあり、又は皮質/線条体不均衡が生じていることがあり、これらは記憶喪失、認知症、鬱病、注意障害、性的不全、運動障害、統合失調症若しくは統合失調症様挙動をもたらす。本発明に従って治療できる記憶障害及び学習障害には、老化、外傷、脳卒中及び神経変性障害から起こる障害が含まれる。神経変性障害の例としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病、及び老化に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの状態は、当業者によって容易に認知及び診断され、有効量の本発明の1つ以上の化合物を患者に投与することによって治療される。
【0052】
更なる態様においては、本発明は、呼吸関連睡眠障害を軽減又は抑制するのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、睡眠時無呼吸を有する対象における呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸を軽減又は抑制する方法を提供する。
【0053】
本発明においては、治療方法は、薬学的に許容可能な担体中で、有効量の次の化学式Aを有する化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体を、治療が必要な対象に投与することを含む。
【0054】
【化6】

式中、XはO又は(CH2nであり、
nは0又は1である。
【0055】
本発明の化合物は、少なくとも部分的に本化合物によって増強された代謝安定性に起因して、ほとんどの場合、増強された生物学的利用能を示す。したがって、本化合物は、好ましくは様々な剤形、特に経口投薬形態で、医薬組成物に製剤されることができる。
【0056】
上記のように、本発明の方法による対象の治療は、AMPA受容体活性を増強するのに有用であるので、AMPA受容体に依存する挙動の学習を促進するため、並びにAMPA受容体又はこれらの受容体を利用するシナプスの数又は能力が低減する記憶障害などの状態を治療するために使用され得る。この方法は、統合失調症若しくは統合失調症様挙動又は上述される他の挙動に現れる脳亜領域間の不均衡を回復させるために、興奮性シナプス活性を増強するのにも有用である。この方法に従って投与される化合物は、下記の生体内試験に示されるように、AMPA受容体活性の増強において、前述の化合物よりも効果的であることが見出されている。
【0057】
V.生物活性
生体内のAMPA受容体機能の増強
AMPA受容体が媒介するシナプス反応は、本明細書に記載の化合物を用いて、本発明の方法により増大する。
【0058】
本発明の化合物の電気生理学的効果を、以下の手順に従って、麻酔動物において生体内で試験した。動物は、ハミルトン注射器ポンプを使用して投与されるフェノバルビタールによって麻酔下に維持される。刺激電極及び記録電極を、それぞれ海馬の貫通繊維及び歯状回に挿入する。電極が埋め込まれたら、刺激電極に1分間当たり3回送達される一様の単相パルス(パルス幅100μ秒)を使用して、誘発反応の安定した基準値を導く。安定した基準値が得られるまで(約20−30分間)フィールドEPSPを監視し、その後、試験化合物の溶液を腹腔内に注入し、誘発フィールド電位を記録する。薬剤投与後のおよそ2時間、又はフィールドEPSPの振幅が基準値に戻るまで、誘発電位を記録する。後者の場合、同じ試験化合物の適切な投与量を用いて静脈内投与が行われることも一般的である。本発明の化合物を、上述した生体内での電気生理学試験で試験した。代表的な試験化合物のデータを表に示す。本発明の化合物は、腹腔内投与後のラット歯状回におけるフィールドEPSP振幅を増大させる活性が、50mg/kgの腹腔内投与でフィールドEPSPの振幅を9%増大させたCX516(1−(キノキサリン−6−イルカルボニル)ピペリジン;米国特許第5773434号明細書、米国特許出願公開第2002/0055508号明細書)よりも、著しく高い。
【0059】
【表1】

1.10mpk腹腔内投与でのラット歯状回におけるフィールドEPSPの振幅の増加率(%)
NT:未測定
【0060】
VI.投与、用量、及び剤形
上記のように、本発明の化合物及び方法は、AMPA受容体が媒介するグルタミン酸作動性シナプス反応を増大させ、低グルタミン酸作動性状態の治療に有用である。これらは、興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数の不足によってもたらされる、記憶又は他の認知機能の障害のような状態の治療にも有用である。これらはまた、皮質/線条体不均衡から生じる統合失調症又は統合失調症様挙動の治療において、及びAMPA受容体に依存する挙動の学習の促進においても使用できる。
【0061】
本化合物、医薬組成物及び方法で治療される対象においては、記憶喪失、認知症、鬱病、注意障害、性的不全、運動障害、統合失調症若しくは統合失調症様挙動をもたらす、記憶若しくは他の認知機能が損なわれている可能性又は皮質/線条体不均衡が起こっている可能性がある。本発明に従って治療可能な記憶障害及び学習障害は、老化、外傷、脳卒中及び神経変性障害から生じる障害を含む。神経変性障害の例としては、薬剤誘発状態、神経毒剤、アルツハイマー病、及び老化に関連したものを含むが、これらに限定されない。これらの状態は、当業者により容易に認知及び診断され、有効量の1つ以上の本発明の化合物を患者に投与することによって治療される。
【0062】
一般に、化合物の投与の用量及び経路は、標準薬務に従って、対象の大きさ及び状態に従って決定されるであろう。用いる投与レベルは大きく異なることがあるが、当業者により容易に決定され得る。通常は、グラム量までのミリグラムの量が採用される。組成物は、例えば、経口的に、経皮的に、周囲神経的に又は非経口的に、すなわち静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内注射によって、とりわけ口腔、直腸、経皮投与を含む、様々な経路で対象に投与されてよい。本発明の方法の治療が考慮される対象は、ヒト、ペット、実験動物等である。
【0063】
本発明の化合物を含有する製剤は、固体、半固体、凍結乾燥粉末、又は液体の剤形の形態をとることができ、例えば、錠剤、カプセル、粉末、持続放出性製剤、溶液、懸濁液、乳濁液、坐薬、クリーム、軟膏、ローション、エアゾール、パッチ等であり、好ましくは正確な用量の簡単な投与に適した単位剤形である。
【0064】
本発明の医薬組成物は、有効量の1つ以上の本発明の化合物を含み、通常は従来の医薬担体又は賦形剤を含み、さらに他の薬剤、担体、補助剤、添加物等を含有できる。好ましくは、組成物は、約0.5〜75重量%又はそれ以上が本発明の1つ又は複数の化合物であり、残りは基本的に適した医薬賦形剤からなる。経口投与用のこうした賦形剤には、医薬品等級のマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、ブドウ糖、ゼラチン、ショ糖、炭酸マグネシウム等が含まれる。必要に応じて、組成物は、湿潤剤、乳化剤、又は緩衝剤のような少量の非中毒性補助物質を含有してもよい。
【0065】
液体組成物は、例えば、水性塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール又はエタノールのような担体中に、化合物(約0.5重量%〜約20重量%又はそれ以上)及び任意の補助薬を溶解又は分散させ、溶液又は懸濁液を形成することにより調製できる。経口液体製剤で使用するために、組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液又はシロップとして調製されることができ、水又は生理食塩水での水和に適した液体状又は乾燥形態で供給される。
【0066】
組成物が、経口投与のための固体製剤の形態で用いられる場合、製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセル等にできる。錠剤の剤形では、組成物は、通常は添加剤と共に製剤される。添加剤は、例えば、糖類又はセルロース製剤のような賦形剤、澱粉ペースト又はメチルセルロースのような結合剤、増量剤、崩壊剤、及び調合薬剤の製造において一般的に使用される他の添加剤である。
【0067】
非経口投与のための注入可能な組成物は、通常は、滅菌生理食塩水のような適した静注溶液中に化合物を含有する。また組成物は、脂質又はリン脂質中、リポソーム型懸濁液中、又は水性乳濁液中の懸濁液として製剤されてもよい。
【0068】
こうした剤形の調製方法は、既知であるか又は当業者に明らかであろう。例えば、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical science)(17版、Mack Pub. Co.,1985年)を参照。投与される組成物は、対象においてAMPA受容体の電流の増大をもたらす薬学的な有効量で、選択された化合物の量を含有する。
【0069】
以下の実施例において実例を示すが、これらは決して本発明を限定することを意図しない。特に明記されない限り、全ての温度は摂氏温度で与えられる。特に明記されない限り、全てのNMRスペクトルは、1H NMRスペクトルであり、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としての重水素化クロロホルム又は重水素化DMSO中で得られる。実施例の化合物の全ての名称は、エーシーディー・ラブズ(ACD Labs)によるコンピュータソフトウェア、ケムスケッチ(ChemSketch)で提供されるような、IUPAC命名法に従う。
【0070】
I.化学的方法
中間体1
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボン酸
【0071】
【化7】

【0072】
機械的攪拌、還流冷却器、温度計及び窒素注入口を備えた3Lの反応器において、水酸化カリウム(72.46g)をエタノール(250ml)及び水(250ml)に溶解した。4−アミノ−3−ニトロ安息香酸(100g)を加え、橙色のこの懸濁液を30分以内に65から70℃に加熱した。得られた懸濁液を同じ温度で45分間攪拌し、30分以内に0℃±5℃に冷却した。市販の次亜塩素酸ナトリウム(448.93g)の溶液(13重量%)を、0℃±5℃で1.5時間以内に滴加した。この反応混合物を同じ温度で2時間攪拌し、薄層クロマトグラフィー(CHCl3 100/アセトン 2/酢酸 1)で管理した。水(350ml)を15分以内に0℃±5℃で加え、黄色の微細懸濁液を得た。次にこの反応混合物を、6規定の塩酸溶液(239ml)で0.5<pH<1に達するまで酸性化した。塩化ナトリウム(58.44g)を添え、得られた懸濁液を窒素下で0℃±5℃で1.5時間攪拌した。ろ過によって固体を回収し、400mlの水で3回洗浄し、乾燥して(40℃、30ミリバール、12時間)、83.6gの[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボン酸N−オキシドを得た(収率88.8%)。
【0073】
機械的攪拌、温度計、滴下漏斗、還流冷却器及び窒素注入口を備えた2Lの反応器において、[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボン酸N−オキシド(80g)を無水エタノール(800ml)に溶解した。この溶液に亜リン酸トリエチル(114.05g)を70℃±2℃で10分以内に添加した。得られた混合物を加熱して還流し(76から78℃)、2時間維持した。薄層クロマトグラフィー(CHCl3 100/アセトン 2/酢酸 1)でモニターして、反応の完了を確認した。この溶媒を真空下(30ミリバール、40℃)で除去し、黒色の油状物質(180g)を得た。水(400ml)を加え、この混合物を酢酸エチル(400及び160ml)で抽出した。有機相を、水酸化ナトリウムを含む850mlの水(9.5<pH<10)で抽出した。水相を分離し、酢酸エチル(240ml)で3回抽出した。該水相を5℃±2℃で1<pH<2に酸性化すると(78mlの6規定塩酸)、黄色生成物が結晶化した。この結晶をろ過、乾燥し(40℃、30ミリバール、12時間)、65.56g(収率90%)の[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボン酸を得た:融点=160−161℃、1H NMR(300MHz,DMSO)δ13.8(s,1H);8.57(s,1H);8.56(d,1H,J=0.6Hz);7.87ppm(d,1H,J=0.6Hz)。
【0074】
中間体2
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボニルクロリド
【0075】
【化8】

【0076】
機械的攪拌、温度計、滴下漏斗、還流冷却器及び窒素注入口を備えた500mlの反応器において、[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボン酸(28g)をトルエン(245ml)に懸濁した。この懸濁液に塩化チオニル(39.4g)及びDMF(0.35ml)を加えた。得られた混合物を加熱して還流し、3時間維持した。短経路型カラムを取り付けてトルエンを蒸留し(大気圧、124ml)、過剰な試薬を除去した。冷却後、残りのトルエンを蒸留除去し、濃い油状物質を得た。この油状物質を蒸留し(90℃、2mmHg)、不純物を除去し、生成物を放置して結晶化した(収率79.8%)。融点:55−58℃。
【0077】
実施例1
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)メタノン
【0078】
【化9】

【0079】
シス−1−ベンジル−2,5−(ジヒドロキシメチル)ピロリジン塩酸塩(3.0g、13.5mmol、米国特許第7012074号明細書参照)を濃硫酸(10ml)に溶解し、120℃で9時間加熱した。冷却したこの溶液を10規定の水酸化ナトリウムで塩基性化し(pH10まで)、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して、1.5gの無色油状物質を得た。前記の生成物をジクロロメタン(50ml)及びメタノール(50ml)中に溶解し、10%Pd/C(0.5g)を加えた。この混合物を60psiで一晩水素化した。固体をろ過し、塩酸を含むジオキサン溶液(2ml、4規定)を加え、溶媒を蒸発させた。残留物をジクロロメタン(100ml)及びトリエチルアミン(3ml)中に溶解し、[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボニルクロリド(1.27g、7mmol)を含むジクロロメタン(10ml)溶液を加えた。この混合物を0.3時間攪拌した後、水(100ml)及び塩酸(pH2まで)を加え、有機相を重炭酸ナトリウム溶液(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。この物質をシリカゲルクロマトグラフィーによりヘキサン/THF(60/40)で溶出して精製し、ジクロロメタン/MTBEでの結晶化後に847mgの表題の化合物を白色固体として得た:融点=139−140℃、LC−MS、MH+=260.2;1H NMR(300MHz、CDCl3)δ7.96−7.92(m,2H);7.56−7.52(m,1H);4.82−4.69(s,1H);4.06−3.60(m,5H);2.18−1.95ppm(m,4H)。
【0080】
実施例2
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン
【0081】
【化10】

【0082】
9−ベンジル−3−オキサ−9−アザビシクロ−(3.3.1)ノナン(3.0g、13.8mmol、国際公開第03/004503号パンフレット参照)をエタノール(100ml)に溶解し、10%Pd/C(0.56g)を加えた。この混合物を100psiで一晩水素化した。固体をろ過し、塩酸を含むジオキサン溶液(4ml、4規定)を加え、溶媒を蒸発させた。残留物をジクロロメタン(100ml)及びトリエチルアミン(8ml)中に溶解し、[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボニルクロリド(3.5g、19.2mmol)を含むジクロロメタン(10ml)溶液を加えた。この混合物を20分間攪拌した後、水(100ml)及び硫酸(pH2まで)を加え、有機相を重炭酸ナトリウム溶液(100ml)で洗浄し、水相をジクロロメタン(100ml)で再抽出し、混合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーによりヘキサン/THF(70/30)で溶出して粗製物を精製した。溶媒をゆっくりと蒸発させると生成物が結晶化し、標題の化合物が白色固体(3.13g)として得られた:融点=128−130℃、LC−MS、MH+=274.2;1H NMR(300MHz、CDCl3)δ7.94(dd,2H,J=9.0及び1.2Hz);7.89(t,1H,J=1.2Hz);7.47(dd,1H,J=9.0及び1.2Hz);4.62(s,1H);4.05(d,1H,J=11.7Hz);3.95−3.89(m,2H);3.79(d,1H,J=11.7Hz);3.66(s,1H);2.71−2.54(m,1H);2.14−1.69ppm(m,5H)。
【0083】
実施例3
[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3,7−ジオキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン
【0084】
【化11】

【0085】
9−ベンジル−3,7−ジオキサ−9−アザビシクロ−(3.3.1)ノナン(650mg、2.96mmol、「ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry)」、2006年、第71巻、第1号、p.413−415参照)をメタノール(20ml)及びギ酸(4ml)に溶解した。10%Pd/C(0.3g)を加え、この混合物を一晩水素化した。固体をろ過し、溶媒を蒸発させた。残留物をメタノール(20ml)に溶解し、塩酸を含むジオキサン溶液(2ml、4規定)を加え、溶媒を蒸発させた。残留物をジクロロメタン(80ml)、THF(20ml)及びトリエチルアミン(3ml)に溶解し、[2,1,3]−ベンゾオキサジアゾール−5−カルボニルクロリド(1.0g、5.5mmol)を含むジクロロメタン(10ml)溶液を加えた。この混合物を0.5時間攪拌した後、水(100ml)及び硫酸(pH2まで)を加え、有機相を重炭酸ナトリウム溶液(100ml)で抽出し、水相をジクロロメタン(50ml)で再抽出し、混合した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーによりヘキサン/THF(50/50)で溶出して粗製物を精製した。ジクロロメタン/エタノールで生成物を結晶化し、標題の化合物を灰白色固体(590mg)として得た:融点=197−199℃、LC−MS、MH+=276.2;1H NMR(300MHz、CDCl3)δ7.98(dd,2H,J=9.0及び1.2Hz);7.94(t,1H,J=1.2Hz);7.50(dd,1H,J=9.0及び1.2Hz);4.52(s,2H);4.21(d,2H,J=11.4Hz);4.09−4.02(m,4H);3.90(dd,2H,J=10.8及び2.4Hz);3.61ppm(s,2H)。
【0086】
II.生物学的手法
生体内電気生理学
次の手順に従って、本発明の化合物の電気生理学的効果を、麻酔動物の生体内で試験した。
【0087】
動物を、ハミルトン注射器ポンプを使用して投与されるフェノバルビタールにより麻酔下に維持する。刺激電極及び記録電極を、それぞれ海馬の貫通繊維及び歯状回に挿入する。電極が埋め込まれたら、刺激電極に1分間当たり3回送達される一様の単相パルス(パルス幅100μ秒)を使用して、誘発反応の安定した基準値を導く。安定した基準値が得られるまで(約20−30分間)フィールドEPSPを監視し、その後、試験化合物の溶液を腹膜内に注入し、誘発フィールド電位を記録する。薬剤投与後のおよそ2時間、又はフィールドEPSPの振幅が基準値に戻るまで、誘発電位を記録する。後者の場合、同じ試験化合物の適切な投与量を用いて静脈内投与が行われることも一般的である。
【0088】
本発明は、特定の方法及び実施形態に関して記載されたが、当然ながら、本発明から逸脱することなく様々な変更がなされ得るであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式Aの化合物であって、
【化1】

式中、XはO又は(CH2nであり、
nは0又は1である、
化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体。
【請求項2】
化学式Bである請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体。
【化2】

【請求項3】
化学式Cの化合物であって、
【化3】

式中、XはO又はCH2である、
請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは多形体。
【請求項4】
2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)メタノン、
2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3−オキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン、又は
2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル(3,7−ジオキサ−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル)メタノン、
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の有効量を、薬学的に受容可能な担体、添加物又は賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物は、前記医薬組成物の約0.5重量%〜約75重量%であり、前記担体、添加物又は賦形剤は、前記医薬組成物の約25%〜約95.5%である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
哺乳類対象の治療方法であって、前記哺乳類対象は、低グルタミン酸作動性状態又は興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数における欠乏を患って、記憶又は他の認知機能が損なわれており、前記治療方法が、薬学的に許容可能な担体中で、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記哺乳類対象に投与することを含む、哺乳類対象の治療方法。
【請求項8】
哺乳類対象の治療方法であって、前記哺乳類対象は、低グルタミン酸作動性状態又は興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数における欠乏を患って、統合失調症又は統合失調症様挙動をもたらす皮質/線条体不均衡が生じており、前記治療方法が、薬学的に許容可能な担体中で、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記哺乳類対象に投与することを含む、哺乳類対象の治療方法。
【請求項9】
症状が統合失調症である、請求項7に記載の治療方法。
【請求項10】
症状がパーキンソン病である、請求項8に記載の治療方法。
【請求項11】
治療が必要な患者におけるADHDの治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項12】
治療が必要な患者におけるレット症候群の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項13】
治療が必要な患者における脆弱性X症候群の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項14】
治療が必要な患者における呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項15】
治療が必要な患者におけるアルツハイマー病の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項16】
治療が必要な患者におけるアルツハイマー病の治療方法であって、前記治療方法が、少なくとも1つのアセチルコリンエステラーゼ抑制剤と組み合わせて、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項17】
治療が必要な患者における鬱病の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項18】
治療が必要な患者における双極性障害の治療方法であって、前記治療方法が、有効量の請求項1〜4に記載の化合物を前記患者に投与することを含む治療方法。
【請求項19】
低グルタミン酸作動性状態、又は興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数における欠乏を患って、記憶若しくは他の認知機能が損なわれている哺乳類対象の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項20】
低グルタミン酸作動性状態、又は興奮性シナプスの数若しくは強度あるいはAMPA受容体の数における欠乏を患って、統合失調症又は統合失調症様挙動をもたらす皮質/線条体不均衡が生じている哺乳類対象の治療に使用する薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項21】
統合失調症の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項22】
パーキンソン病の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項23】
ADHDの治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項24】
レット症候群の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項25】
認知障害の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項26】
呼吸関連睡眠障害又は睡眠時無呼吸の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項27】
脆弱X症候群の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項28】
アルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項29】
鬱病の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項30】
双極性障害の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−516845(P2012−516845A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547981(P2011−547981)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/000255
【国際公開番号】WO2010/087981
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500195208)コーテックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】