グループ通話制御サーバ
【課題】 ネットワークリソースを効率的に利用した音声データ配信を行うことができるグループ通話制御サーバを提供する。
【解決手段】 AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、第1の呼制御チャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信する受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各メンバのBSを特定し、第2の呼制御チャネルを割り当てて、第2のチャネルに対応する受信ポート番号を第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知すると共に、AGW−PTエンジン間の音声パスとBS−AGW間のリソースとを対応付けて記憶するグループ通話制御サーバとしている。
【解決手段】 AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、第1の呼制御チャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信する受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各メンバのBSを特定し、第2の呼制御チャネルを割り当てて、第2のチャネルに対応する受信ポート番号を第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知すると共に、AGW−PTエンジン間の音声パスとBS−AGW間のリソースとを対応付けて記憶するグループ通話制御サーバとしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末を用いたグループ通話を実現するグループ通話制御サーバに係り、特にネットワークリソースを効率的に利用した音声データ配信を行うことができるグループ通話制御サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来のグループ通話システム]
従来、複数の無線携帯端末間で半二重多対多の同報通信によるグループ通話を行う自営無線システムがあり、グループ通話の方式としては、PoC(Push-to-Talk over Cellular)を用いたものがある。
また、IP網上において、複数の無線携帯端末間で半二重多対多の同報通信によるグループ通話を行う自営IPネットワークがあり、IP電話における通話プロトコルとしてはSIP(Session Initiation Protocol)/SDP(Session Description Protocol)が用いられている。
PoCを用いてグループ通話を行うシステムでは、グループ通話の制御サーバが、端末からの要求に応じてグループ通話を開始し、送信権の制御や音声データの配信制御を行う。
【0003】
ところで、グループ通話では、多くの移動端末に対して音声データを配信しなければならないが、1つのシステムで使える無線リソースには限りがある。
そのため、自営無線システムでは、グループ通話制御サーバが、基地局に1フローの音声データを配信し、当該基地局から無線チャネルを1チャネルだけ使用して、ブロードキャストするようになっている。
従って、自営無線システムにおいては、グループ通信の呼制御を行う対象として基地局を設定する。
【0004】
また、自営IPネットワークシステムでは、多種の無線方式に対応するため、グループ通話制御サーバに、AGW(Access Gateway;アクセスゲートウェイ)を備え、更にPT(Press Talk)エンジンと、呼制御エンジンとを備えている。
AGWは、各種の無線方式の違いによる制御データの相違を吸収して、無線方式毎に異なるプロトコルをIPプロトコルに変換する。
PTエンジンは、グループ通話の制御を行う。
呼制御エンジンは、発呼・着呼等の呼制御を行う。
そして、AGWと呼制御エンジン及びPTエンジンとの間は、SIP/SDPを利用して呼制御を行う。
【0005】
しかしながら、従来のグループ通話制御サーバでは、上述したように基地局毎に音声データを配信する自営系特有の配信方法を考慮していないため、同一AGWに収容されている基地局に対してグループ通話を行う場合に、ネットワークリソースを効率的に利用することができないものとなっている。
【0006】
[従来の呼制御データのセッション:図11]
従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションについて図11を用いて説明する。図11は、従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションの概略を示す模式説明図である。
図11に示すように、AGWとMS(Mobile Station;移動局)間は、BS(Base Station;基地局)を介して無線システム毎に異なる呼制御データをやり取りする。
また、AGWとPTエンジン間については、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合、AGWは、グループ通話開始を要求する端末を収容しているので発信側であり、それと同時に、当該グループ通話開始要求(グループ通信接続要求)によって呼び出される端末も収容しているため着信側となる必要がある。そのため、AGW−PTエンジン間は2つのセッションを構築する必要がある。
【0007】
[従来の音声データの配信:図12]
従来の音声データの配信について図12を用いて説明する。図12は、従来の自営IPネットワークシステムにおける音声データの配信の概略を示す模式説明図である。
図12に示すように、AGW−PTエンジン間はセッションが2つ発生するため、音声パスも2つ発生する。
【0008】
[関連技術]
尚、PoCを用いてグループ通話を行うシステムに関する先行技術としては、「PushTalkサービスのシステム開発、NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.13 No.4,P6−13」がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−141492号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】PushTalkサービスのシステム開発、NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.13 No.4、P6−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のグループ通話制御サーバでは、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合、AGW−PTエンジン間はSIPのセッションが2つ構築されるため、それぞれに対応して音声パスが2つ発生してしまい、また、音声データを基地局毎に配信する自営無線システムに特有の配信方法に対応できないため、ネットワークリソースの有効利用が図れないという問題点があった。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合に、AGW−PTエンジン間の音声パスを1つにすると共に、基地局毎に音声データを配信するようにして、ネットワークリソースの有効利用を図ることができるグループ通話制御サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ネットワーク中の移動局間のグループ通話の制御を行うグループ通話制御サーバであって、グループ通話における音声データの複製及び転送の制御を行うグループ通話手段と、複数の基地局を管理し、基地局で用いられる制御メッセージと、グループ通話手段で用いられるSIP/SDPメッセージとの相互変換を行うアクセスゲートウェイとを備え、アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してグループ通話手段に通知することにより、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、音声パスをそれぞれ対応付けて記憶することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してグループ通話手段に通知することにより、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、音声パスをそれぞれ対応付けて記憶するとしているので、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つにすると共に、当該音声パスからの音声データを基地局毎にまとめて配信することができ、ネットワークリソースの有効利用を図り、グループ通話手段における音声データ配信の制御を軽減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る自営IPネットワークの構成ブロック図である。
【図2】(a)は、チャネル管理テーブルの模式説明図であり、(b)は、リソース管理テーブルの模式説明図であり、(c)は、BS管理テーブルの模式説明図である。
【図3】メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
【図4】メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
【図5】図3,4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図である。
【図6】本グループ通話制御サーバにおけるメンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
【図7】メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図である。
【図8】メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図である。
【図9】図7,8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図である。
【図10】複数の基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
【図11】従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションの概略を示す模式説明図である。
【図12】従来の自営IPネットワークシステムにおける音声データの配信の概略を示す模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバは、AGWが、グループ通話に参加する移動局が同一の基地局に収容されている場合に、AGW−PTエンジン間に構築される上下のSIPの呼制御チャネルに対応して、AGW−PTエンジン間に1つの音声パスを形成し、当該パスに基地局−AGW間のリソースを対応付けるものであり、ネットワークリソースを効率的に運用できると共に、PTエンジンにおける音声データの転送処理を軽減することができるものである。
【0017】
また、本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバは、AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、それに含まれる発信元端末番号と発信元基地局番号とを記憶しておき、第1の呼制御チャネルを割り当て、当該第1の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンにSDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、当該メッセージに含まれる発信元端末番号に基づいて発信元基地局を検索し、発信元基地局番号があった場合には、発信元のAGWと着信側のAGWとが同一であることを認識し、第2の呼制御チャネルを割り当てて、当該第2の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を、第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知することにより、AGW−PTエンジン間に1つの音声パスを形成すると共に、当該AGW−PTエンジン間の音声パスをグループ通話に参加している基地局毎に、基地局−AGW間のリソースに対応付けて記憶しているので、AGW−PTエンジン間の音声フローを1つにし、自営系システム特有の基地局毎の音声データの配信を可能とすることができ、ネットワークリソースの有効利用を図ることができるものである。
【0018】
[実施の形態のシステム構成:図1]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバを備えた自営IPネットワークの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る自営IPネットワークの構成ブロック図である。
図1に示すように、自営IPネットワークは、複数の移動局(MS)との無線通信を行う複数の基地局(BS)1と、グループ通話全体の制御を行うグループ通話制御サーバ10とを備えている。各BS1とグループ通話サーバ10とはWAN(Wide Area Network)を介して接続されている。
グループ通話制御サーバ10は、少なくとも制御部及び記憶部を備えたコンピュータで構成され、処理手段として、AGW2と、呼制御エンジン3と、PTエンジン4とを備えている。
【0019】
AGW2は、通信に伴うセッションの制御を行うゲートウェイであり、個別通話やグループ通信の制御を行う。AGW2は、複数のBS1を管理し、BS1を介して各MSに対する制御を行う。AGW2は、無線方式によって異なる各基地局1からのグループ通話開始要求や送信権要求等の制御メッセージをSIP/SDPのメッセージに変換して、呼制御エンジン3を介してPTエンジン4に出力する。また、PTエンジン4からのSIP/SDPメッセージを各無線方式に応じた制御メッセージに変換して各基地局1に出力する。すなわち、AGW2は、無線方式の違いを吸収するものである。
尚、AGW2は、請求項におけるアクセスゲートウェイに相当している。
【0020】
また、本グループ通話制御サーバのAGW2は、グループ通話に参加するMSが同一のAGWに収容されている場合に、AGW−PTエンジン間の音声パスを1つとし、BS毎に音声データを配信する制御を行う。
【0021】
PTエンジン4は、プレストークによるグループ通話の制御を行うものであり、グループメンバの管理や、グループ通話の要求があった場合のグループメンバの呼び出し、送信権の制御、及び音声データの複製転送等を行う。PTエンジンは、請求項におけるグループ通話手段に相当する。
呼制御エンジン3は、SIPセッションの基本制御として、発呼、着呼、呼切断等の制御を行う。
【0022】
[本グループ通話制御サーバに設けられているテーブル]
次に、本グループ通話制御サーバのAGWに設けられているテーブルについて説明する。
本システムのAGWでは、効率的な音声データの配信を実現するために、グループ通話で使用される上りチャネルと下りチャネルの使用状況を管理するチャネル管理テーブルと、音声フローの使用状況を管理するリソース管理テーブルと、BSの使用状況を管理するBS管理テーブルとを備えている。
尚、「チャネル」は、SIPの呼制御(C−PLANE)を示し、「リソース」は、RTPの音声フロー制御(U−PLANE)を示している。
【0023】
[テーブルの構成:図2]
次に、各テーブルの具体的な構成について図2を用いて説明する。図2(a)は、チャネル管理テーブルの模式説明図であり、(b)は、リソース管理テーブルの模式説明図であり、(c)は、BS管理テーブルの模式説明図である。
[チャネル管理テーブル:図2(a)]
図2(a)に示すように、チャネル管理テーブルは、グループ通話に使用されているSIPの呼制御チャネル(上り、下りのそれぞれ)について、チャネル番号と、使用状態と、受信ポート番号と、リンクしているリソース情報数と、リンクしている各リソース情報の番号とを記憶している。
【0024】
チャネル番号は、チャネルの識別番号で1以上の整数であり、使用状態は当該チャネルがグループ通話に割り当てられて使用中となっているか、未使用かを示す。受信ポート番号は、AGWがPTエンジンから呼制御データを受信するポート番号であり、1024以上の整数のデータである。
【0025】
リソース情報数は、当該チャネルにリンクしているリソース情報の数であり、リソース情報0,1,…は、リンクしている個々のリソース情報の番号を記憶する。
つまり、チャネル管理テーブルは、AGWが、各グループ通話の上りと下りのチャネルについて、AGW−PTエンジン間の音声フローを対応付けて管理するものである。
尚、PTエンジンに対する送信ポート番号はAGWに記憶されている。
【0026】
[リソース管理テーブル:図2(b)]
図2(b)に示すように、リソース管理テーブルは、PTエンジンからの音声データをどのリソースを用いてどのBSに配信するかを規定するものである。
リソース管理テーブルには、リソース番号と、使用状態と、接続先IPアドレスと、接続先ポート番号と、受信ポート番号と、接続元端末番号と、リンクしているチャネル情報数と、リンクしている各チャネル情報番号とを記憶している。
【0027】
リソース番号は、リソースの識別番号で1以上の整数であり、使用状態は当該リソースが使用中か未使用かを示す。接続先IPアドレスはグループ通話に参加しているBSに対応し、接続先ポート番号及び受信ポート番号はPTエンジンに対応して記憶されている。
また、接続元端末番号は、当該グループ通話を開始した端末の識別番号であり、チャネル情報数は、当該リソースにリンクしているチャネル情報の数であり、チャネル情報0,1,…はリンクしている個々のチャネル情報の番号である。
【0028】
つまり、リソース管理テーブルは、AGW−PTエンジン間の音声パスと、BS−AGWの音声パスとを対応付けるものであり、AGWが、どのネットワークリソースを用いてどのBSに音声データを配信するかを管理するものである。本グループ通話制御サーバのAGWは、リソース管理テーブルを参照することで、自営系に特有の基地局毎の音声データ配信を可能としている。
そして、リソース情報はグループ通話毎、且つBS毎に対応している。同一グループ通話に複数のBSが参加していれば、それぞれ異なるリソース情報が割り当てられ、同一BSで複数のグループ通話が実現されている場合には、グループ通話毎に異なるリソース情報が割り当てられる。
【0029】
[BS管理テーブル:図2(c)]
図2(c)に示すように、BS管理テーブルは、AGWが管理するBSについて、BS番号と、対応しているリソース情報数と、各リソース情報とを記憶している。
つまり、BS管理テーブルは、各BSが、グループ通話毎に、どのネットワークリソースを用いてグループ通話を実現しているかを管理するものである。
【0030】
ここで、本システムにおいては、グループ通話の発信元の端末のみが当該グループ通話を切断できる構成としており、1つのグループ通話に複数のBSが参加している場合には、発信元のBSのみについてリソース番号を記憶するものとしている。
発信元のBSに対応して当該グループ通話で使用されているリソース番号を記憶しておくことにより、発信元のBSから切断要求があった場合に解放すべきリソース番号を特定できるものである。
【0031】
[グループ呼設定シーケンス(同一基地局の場合):図3、図4]
次に、本グループ通話制御サーバにおけるグループ呼設定シーケンスについて説明する。まず、グループ通話に参加するMSが全て同一の基地局に収容されている場合について図3,4を用いて説明する。図3,4は、メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
尚、本シーケンスの処理は、図3の処理に引き続いて図4の処理が行われるものであり、図3、図4の順で連続して行われるシーケンスである。
図3に示すように、本シーケンスでは、1つの基地局(ここではBS1)に、移動局MS1,MS2,MS3が収容されており、これらの移動局間でグループ通話を行う場合を示している。
【0032】
まず、いずれかの移動局(例えばMS1)からグループ通信接続要求が送信されると、AGWは、BS1を介して当該グループ通信接続要求を受信する(1100)。
グループ通信接続要求には、接続元端末番号(MS1の番号)とグループ番号とが設定されている。
【0033】
そして、AGWは、当該グループ通話に上り呼制御チャネルを割り当てるため、チャネル管理テーブルを参照して未使用のチャネルを選択して、当該チャネルのチャネル状態を使用中に遷移させる。ここでは「チャネル番号1」を使用中に遷移させる(1101)。尚、「チャネル番号1」は請求項における第1のチャネルに相当する。
【0034】
更に、AGWは、当該グループ通話にリソースを割り当てるため、リソース管理テーブルを参照して、未使用のリソースを選択して、グループ通信接続要求から取得した接続元端末番号を設定すると共に、リソースの使用状態を使用中に遷移させる。ここでは「リソース番号1」に接続元端末番号(MS1の番号)を設定して、使用状態を使用中にする(1102)。
【0035】
次に、当該グループ通話で使用される上りチャネルとリソースとをリンクさせるために、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1の「リソース情報0」に「リソース番号1」を書き込み、リソース情報数を1とする。
同様に、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1の「チャネル情報0」に「チャネル番号1」を書き込み、チャネル情報数を1とする。
これにより、「チャネル番号1」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1103)。
【0036】
そして、AGWは、当該グループ通話を開始したBS1についての使用状態を更新するため、BS管理テーブルのBS番号1に対応する「リソース情報0」に「リソース番号1」を設定し、リソース情報数を「1」とする。これにより、「BS1」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1104)。
【0037】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に設定されている受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するためのSDP情報を構築し(1105)、呼制御エンジンにINVITEメッセージを送信する(1106)。
ここで、AGWは、INVITEメッセージのP-Asserted-Identityヘッダには、発信元端末番号を設定し、Toヘッダにはグループ番号を設定する。
呼制御エンジンは、受信したINVITEメッセージをPTエンジンに転送する(1107)。
【0038】
PTエンジンは、受信したINVITEメッセージのToヘッダに設定されているグループ番号から、グループメンバ一覧を作成し、グループメンバを呼び出すためのSDP情報を作成する(1108)。
ここでは、全てのグループメンバ(MS1,MS2,MS3)が同一のAGW配下にいるため、PTエンジンは、作成したSDP情報(グループメンバの情報を含む)を付加したINVITEメッセージを、呼制御エンジンを介して当該AGWに送信する。INVITEメッセージの発信元端末番号は、Referred-Byヘッダに設定される(1109,1110)。
【0039】
AGWは、INVITEメッセージを受信すると、当該グループ通話に下り呼制御チャネルを割り当てるために、チャネル管理テーブルから、未使用のチャネル番号を取得して、当該チャネルのチャネル状態を使用中に遷移させる(1111)。ここでは「チャネル番号2」を使用中に遷移させる。チャネル番号2は、請求項における第2のチャネルに相当する。
【0040】
更に、AGWは、INVITEメッセージのReferred-Byヘッダに設定されている発信元端末番号をキーとしてBS管理テーブルを検索し、当該発信元端末番号が記載されたリソース情報(リソース番号)を含むBSを特定して、発信元のBSを特定する(1112)。ここではBS1が特定される。
【0041】
また、AGWは、INVITEメッセージに含まれるグループメンバ(MS2,MS3)について、どのBSに収容されているかを特定する。ここでは、BS1が特定される。
そして、AGWは、グループメンバが全て(MS1,MS2,MS3)同一の基地局(BS1)に収容されていることを確認する(1113)。
本グループ通話制御サーバでは、グループメンバが全て同一の基地局に収容されている場合には、新たなリソースを取得しない。
【0042】
そして、図4に示すように、AGWは、当該グループ通話で使用される下りチャネルとリソースとをリンクさせるために、チャネル管理テーブルのチャネル番号2の「リソース情報0」に「リソース番号1」を書き込み、リソース情報数を1とする。
同様に、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1の「チャネル情報1」に「チャネル番号2」を書き込み、チャネル情報数を2とする。
これにより、「チャネル番号1」及び「チャネル番号2」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1114)。
【0043】
また、AGWは、リソース番号1にリンクされている「チャネル番号1」を読み出し、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に対応する受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するため、チャネル2のSDP情報を構築する(1115)。
【0044】
つまり、AGWは、ステップ1106でPTエンジンに送信したチャネル1のSDP情報と同一のポート番号を、チャネル2のSDP情報でも設定するものである。
これにより、AGWは、当該グループ通話に伴う音声フローを上りと下りで共通として、AGW−PTエンジン間の音声フローを1本にするものである。
【0045】
そして、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1に設定されている接続先情報(接続先IPアドレス)に基づいて、BS−AGW間の音声フローを設定する(1116)。
また、AGWは、受信したINVITEメッセージのSDP情報に基づいて、AGW−PTエンジン間の音声フローを設定する(1117)。
【0046】
つまり、本グループ通話制御サーバでは、AGWが、グループ通話の上りチャネルと下りチャネルに相当するチャネル1とチャネル2に同一のリソース情報を対応付けることにより、チャネル1とチャネル2について同一のポート番号を指定してPTエンジンに通知する。これにより、PTエンジンでは、チャネル1とチャネル2で送信先が同一になるので、1つの音声フローだけを制御するようになる。
【0047】
そして、AGWは、呼制御エンジンに200OKメッセージを送信し(1118)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをPTエンジンに転送する(1119)。尚、処理1115で構築されたSDP情報は、処理1118,1119で、200OKメッセージと共にAGWから呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信される。
PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンに送信し(1120)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをAGWに転送する(1121)。
そして、AGWは、グループ通話接続応答メッセージをBS1に送信し(1122)、この後、BS1から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した音声データをBS1に転送する(1123)。
このようにして、本グループ通話制御サーバにおける、全てのメンバが同一基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスが行われるものである。
【0048】
[各テーブルの設定状態(1):図5]
次に、図3及び図4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態について図5を用いて説明する。図5は、図3,4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図であり、(a)はチャネル管理テーブル、(b)はリソース管理テーブル、(c)はBS管理テーブルを示している。
図5(a)に示すように、チャネル管理テーブルにはチャネル番号1、チャネル番号2が設定され、チャネル番号1は、図3のステップ1101で使用中となり、チャネル番号2は、図3のステップ1111で使用中となる。
そして、チャネル番号1は、図3の1103でリソース番号1とリンクし、チャネル番号2は図4のステップ1114でリソース番号1とリンクする。
【0049】
また、図5(b)に示すように、リソース管理テーブルでは、図3のステップ1102で、リソース番号1が使用中となる。リソース番号1は、図3のステップ1103でチャネル番号1とリンクし、図4のステップ1114でチャネル番号2とリンクする。
そして、図5(c)に示すように、BS管理テーブルのBS番号1には、リソース番号1がリンクされる。
【0050】
[グループ呼解放シーケンス(同一基地局の場合):図6]
次に、本グループ通話制御サーバにおけるグループ呼解放シーケンスについて図6を用いて説明する。図6は、本グループ通話制御サーバにおけるメンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
図6に示すように、AGWは、BS1を介して発呼元端末であるMS1からグループ通信切断要求メッセージを受信する(1200)。グループ通信切断要求メッセージには、接続元端末番号、グループ番号が設定されている。
【0051】
AGWが、グループ通信切断要求メッセージに基づいて、BYEメッセージを呼制御エンジンへ送信する(1201)と、呼制御エンジンは、BYEメッセージをPTエンジンに転送する(1202)。
PTエンジンは、BYEメッセージを呼制御エンジンに送信し(1203)、呼制御エンジンは、BYEメッセージをAGWに転送する(1204)。
【0052】
AGWは、BYEメッセージ受信すると、BYEメッセージに含まれるチャネルを識別する情報(Call−ID等)に基づいてチャネル管理テーブルを検索し、チャネル番号2のチャネル情報を取得する(1205)。
【0053】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号にリンクしているリソース情報(リソース番号1)から、音声フローの設定情報を取得し、BS−AGW間、AGW−PTエンジン間の音声データの転送処理を停止する。
更に、AGWは、リソース管理テーブルのチャネル番号1、チャネル番号2を消去し、チャネル管理テーブルのチャネル番号1及び2とBS管理テーブルのBS1にリンクしているリソース情報1を消去する。そして、リソース管理テーブルのリソース番号1を未使用状態に遷移させる(1206)。
【0054】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号2を未使用状態に遷移させる(1207)。
AGWは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信し(1208,1209)、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してAGWに送信する(1210,1211)。
【0055】
AGWは、受信した200OKメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいてチャネル管理テーブルを検索して、チャネル番号1のチャネル情報を取得する(1212)。
【0056】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1を未使用状態に遷移させる(1213)。
そして、AGWは、BS1に対してグループ通信切断応答を送信する(1214)。
これにより、グループ通話が切断される。
【0057】
[グループ呼設定シーケンス(複数基地局の場合):図7]
次に、グループ通話に参加するMSが、複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスについて図7及び図8を用いて説明する。図7、図8は、メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図であり、図7、図8の順で続けて行われるシーケンスである。
【0058】
図7に示すように、ここでは、基地局BS1に移動局MS1とMS2が収容され、BS2にMS3が収容されているものとする。また、BS1とBS2とは、同一のAGWに収容されている。
そして、BS1に収容されたMS(例えばMS1)から、接続元端末番号とグループ番号とを含むグループ通信設定要求が送信されると(2100)、AGWは、チャネル管理テーブルから未使用のチャネル(チャネル番号1)を取得し、使用状態を使用中に遷移させる(2101)。
【0059】
ステップ2102〜2112は、図3に示した一つの基地局シーケンスにおけるステップ1102〜1112と同じであるため、ここでは簡単に説明する。
AGWは、チャネル番号1とリソース番号1を使用中にし(2101,2102)、チャネル番号1とリソース番号1とをリンクさせる(2103)。
【0060】
そして、AGWは、BS管理テーブルのBS1にリソース番号1をリンクさせ(2104)、チャネル番号1の受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するためのSDP情報を構築して(2105)、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信する(2106,2107)。
【0061】
そして、AGWは、PTエンジンからグループメンバ(MS2,MS3)の情報を含むINVITEメッセージを受信する(2109,2110)。
更に、AGWは、チャネル番号2を使用中にして、リソース番号1とチャネル番号2とを互いにリンクさせ、BS管理テーブルから、発信元のメンバが収容されているBS1を特定する。
【0062】
そして、図8に示すように、AGWは、グループメンバ毎に収容先のBSを特定し、グループメンバMS1,MS2がBS1に収容され、MS3がBS2に収容されていることを認識する(2113)。
【0063】
ここで、メンバを収容している基地局が複数ある(BS1とBS2)ので、AGWは、既に使用されている「リソース番号1」に加えて、新たにリソース情報を取得する。
すなわち、AGWは、リソース管理テーブルから未使用のリソースを選択して、PTエンジンからのINVITEメッセージに含まれる接続元端末番号(MS1の番号)を設定すると共に、リソースの使用状態を使用中に遷移させる。ここでは「リソース番号2」に接続元端末番号を設定して、使用状態を使用中にする(2114)。
【0064】
次に、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1とチャネル番号2の「リソース情報1」に「リソース番号2」を書き込み、「チャネル番号1」に対応して「チャネル番号2」と「リソース番号2」とをリンクさせる(2115)。尚、チャネル番号1及びチャネル番号2とリソース番号1とは図3に示した部分において既にリンクされている。
従って、これにより、チャネル番号1と、リソース番号1及びリソース番号2がリンクし、チャネル番号2と、リソース番号1及びリソース番号2がリンクする。
【0065】
そして、AGWは、当該グループ通話に参加している別の基地局であるBS2についての使用状態を更新するため、BS管理テーブルのBS番号2に対応する「リソース情報0」に「リソース番号2」を設定し、リソース情報数を「1」とする。これにより、「BS2」と「リソース番号2」とをリンクさせる。
【0066】
そして、AGWは、ステップ2112で検索されたリソース番号1のリソース情報に基づいて、発信側のAGWと着信側のAGWが同一であると判断し、リソース番号1からチャネル番号1を読み出して、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に設定されている受信ポート番号に基づいてPTエンジンから音声データを受信するためのチャネル2のSDP情報を構築する。
つまり、チャネル2について、ステップ2106で送信したチャネル1のSDP情報と同じポート番号を設定する(2116)。これにより、当該グループ通話の上りと下りの音声フローが共通となり、PTエンジンは1つの音声フローのみを制御することになる。
【0067】
そして、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1に設定されている接続先情報からBS1−AGW間の音声フローを設定し、リソース番号2に設定されている接続先情報からBS2−AGW間の音声フローを設定する(2117)。
【0068】
そして、AGWは、受信したINVITEメッセージのSDP情報に基づいて処理2116で構築したSDP情報から、AGW−PTエンジン間の音声データセッションを設定する(2118)。
つまり、本グループ通話制御サーバでは、グループ通話に複数のBSが含まれる場合には、AGW−PTエンジン間で1つの音声フローを形成すると共に、基地局毎に配信するよう制御するものである。
【0069】
そして、AGWは、BS2にグループ通信接続要求メッセージを送信し(2119)、BS2からグループ通話応答メッセージを受信する(2122)と、呼制御エンジンに200OKメッセージを送信し(2120)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをPTエンジンに転送する(2121)。
【0070】
そして、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンに送信し(2123)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをAGWに転送し(2124)、グループ通話接続応答メッセージをBS1に送信する。
【0071】
この後、AGWは、BS1から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した合成された音声データをBS1に転送する(1125)。
また、BS2から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した合成された音声データをBS2に転送する(1126)。
このようにして、複数の基地局を利用したグループ通話における呼設定シーケンスが行われるものである。
【0072】
[各テーブルの設定状態(2):図9]
図7及び図8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態について図9を用いて説明する。図9は、図7,8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図であり、(a)はチャネル管理テーブル、(b)はリソース管理テーブル、(c)はBS管理テーブルを示している。
図9(a)に示すように、チャネル管理テーブルにはチャネル番号1、チャネル番号2が設定され、チャネル番号1,2共にリソース番号1及びリソース番号2とリンクしている。
【0073】
また、図9(b)に示すように、リソース管理テーブルでは、リソース番号1及びリソース番号2が使用中となる。リソース番号1は、チャネル番号1及びチャネル番号2とリンクし、リソース番号2も、チャネル番号1及びチャネル番号2とリンクしている。
ここで、リソース番号1はBS1に対応し、リソース番号2はBS2に対応している。
【0074】
図9(c)に示すように、BS管理テーブルのBS番号1には、リソース番号1とリソース番号2とがリンクしている。発信元のBSであるBS1から切断要求があった場合に、AGWがどのリソースを解放するのかを特定するためである。
一方、着信側のBSであるBS番号2にはどのリソース情報もリンクしていない。
仮に、着信側からも切断できる構成とするならば、着信側のBS2にもBS1と同じリソース番号を対応付けて記憶する必要がある。
【0075】
[グループ呼解放シーケンス(複数基地局の場合):図10]
次に、複数基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスについて図10を用いて説明する。図10は、複数の基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
図6に示すように、AGWは、BS1を介して発信元端末であるMS1からグループ通信切断要求メッセージを受信する(2200)。
その後、ステップ2201〜2204は、図6に示した同一基地局の場合のステップ1201〜1205と同様であるため説明を省略する。
【0076】
AGWは、受信したBYEメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいてチャネル管理テーブルを検索して、チャネル2を特定する(2205)。
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル2にリンクしているリソース情報から、音声フローの設定情報を取得し、BS−AGW間、AGW−PTエンジン間の音声データの転送処理を停止する。
更に、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1、チャネル番号2、及びBS管理テーブルのBS1にリンクしているリソース情報1及びリソース情報2を消去する。そして、リソース管理テーブルのリソース番号1とリソース番号2を未使用状態に遷移させる(2206)。
【0077】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号2を未使用状態に遷移させる(2207)。
AGWは、グループ呼切断要求をBS2に送信し(2209)、BS2からグループ呼切断応答を受信する(2210)。
そして、AGWは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信し(2211,2212)、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してAGWに送信する(2213,2214)。
【0078】
AGWは、200OKメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいて、チャネル管理テーブルを検索して、チャネル番号1のチャネル情報を取得する(2215)。
【0079】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1を未使用状態に遷移させる(2216)。
そして、AGWは、BS1に対してグループ通信切断応答を送信する(2217)。
このようにして、複数の基地局を用いたグループ通話が切断される。
【0080】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバによれば、AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、第1の呼制御チャネルを割り当て、当該第1の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されているBSを特定し、発信元のAGWと着信側のAGWとが同一であることを認識して、第2の呼制御チャネルを割り当てて、当該第2の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を、第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知するようにしているので、第1の呼制御チャネルと第2の呼制御チャネルに対応するAGW−PTエンジン間の音声フローを共通として1本にすることができ、ネットワークリソースの有効利用とPTエンジンの処理の軽減を図ることができる効果がある。
【0081】
また、本実施の形態に係るグループ通話制御サーバによれば、AGWが、グループ通話に参加しているBS毎に、AGW−PTエンジン間に形成された音声フローとBS−AGW間のリソースとを対応付けて記憶しているので、PTエンジンから受信した音声データをBS毎に配信することができ、自営系特有の音声データの配信方法を実現して、ネットワークリソースの効率的な利用を行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、ネットワークリソースを効率的に利用した音声データ配信を行うことができるグループ通話制御サーバに適している。
【符号の説明】
【0083】
1…基地局(BS)、 2…AGW、 3…呼制御エンジン、 4…PTエンジン、 5…WAN、 10…グループ通話制御サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末を用いたグループ通話を実現するグループ通話制御サーバに係り、特にネットワークリソースを効率的に利用した音声データ配信を行うことができるグループ通話制御サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来のグループ通話システム]
従来、複数の無線携帯端末間で半二重多対多の同報通信によるグループ通話を行う自営無線システムがあり、グループ通話の方式としては、PoC(Push-to-Talk over Cellular)を用いたものがある。
また、IP網上において、複数の無線携帯端末間で半二重多対多の同報通信によるグループ通話を行う自営IPネットワークがあり、IP電話における通話プロトコルとしてはSIP(Session Initiation Protocol)/SDP(Session Description Protocol)が用いられている。
PoCを用いてグループ通話を行うシステムでは、グループ通話の制御サーバが、端末からの要求に応じてグループ通話を開始し、送信権の制御や音声データの配信制御を行う。
【0003】
ところで、グループ通話では、多くの移動端末に対して音声データを配信しなければならないが、1つのシステムで使える無線リソースには限りがある。
そのため、自営無線システムでは、グループ通話制御サーバが、基地局に1フローの音声データを配信し、当該基地局から無線チャネルを1チャネルだけ使用して、ブロードキャストするようになっている。
従って、自営無線システムにおいては、グループ通信の呼制御を行う対象として基地局を設定する。
【0004】
また、自営IPネットワークシステムでは、多種の無線方式に対応するため、グループ通話制御サーバに、AGW(Access Gateway;アクセスゲートウェイ)を備え、更にPT(Press Talk)エンジンと、呼制御エンジンとを備えている。
AGWは、各種の無線方式の違いによる制御データの相違を吸収して、無線方式毎に異なるプロトコルをIPプロトコルに変換する。
PTエンジンは、グループ通話の制御を行う。
呼制御エンジンは、発呼・着呼等の呼制御を行う。
そして、AGWと呼制御エンジン及びPTエンジンとの間は、SIP/SDPを利用して呼制御を行う。
【0005】
しかしながら、従来のグループ通話制御サーバでは、上述したように基地局毎に音声データを配信する自営系特有の配信方法を考慮していないため、同一AGWに収容されている基地局に対してグループ通話を行う場合に、ネットワークリソースを効率的に利用することができないものとなっている。
【0006】
[従来の呼制御データのセッション:図11]
従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションについて図11を用いて説明する。図11は、従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションの概略を示す模式説明図である。
図11に示すように、AGWとMS(Mobile Station;移動局)間は、BS(Base Station;基地局)を介して無線システム毎に異なる呼制御データをやり取りする。
また、AGWとPTエンジン間については、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合、AGWは、グループ通話開始を要求する端末を収容しているので発信側であり、それと同時に、当該グループ通話開始要求(グループ通信接続要求)によって呼び出される端末も収容しているため着信側となる必要がある。そのため、AGW−PTエンジン間は2つのセッションを構築する必要がある。
【0007】
[従来の音声データの配信:図12]
従来の音声データの配信について図12を用いて説明する。図12は、従来の自営IPネットワークシステムにおける音声データの配信の概略を示す模式説明図である。
図12に示すように、AGW−PTエンジン間はセッションが2つ発生するため、音声パスも2つ発生する。
【0008】
[関連技術]
尚、PoCを用いてグループ通話を行うシステムに関する先行技術としては、「PushTalkサービスのシステム開発、NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.13 No.4,P6−13」がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−141492号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】PushTalkサービスのシステム開発、NTT DoCoMo テクニカルジャーナル Vol.13 No.4、P6−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のグループ通話制御サーバでは、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合、AGW−PTエンジン間はSIPのセッションが2つ構築されるため、それぞれに対応して音声パスが2つ発生してしまい、また、音声データを基地局毎に配信する自営無線システムに特有の配信方法に対応できないため、ネットワークリソースの有効利用が図れないという問題点があった。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、グループ通話に参加しているMSが同一のAGWに収容されている場合に、AGW−PTエンジン間の音声パスを1つにすると共に、基地局毎に音声データを配信するようにして、ネットワークリソースの有効利用を図ることができるグループ通話制御サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ネットワーク中の移動局間のグループ通話の制御を行うグループ通話制御サーバであって、グループ通話における音声データの複製及び転送の制御を行うグループ通話手段と、複数の基地局を管理し、基地局で用いられる制御メッセージと、グループ通話手段で用いられるSIP/SDPメッセージとの相互変換を行うアクセスゲートウェイとを備え、アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してグループ通話手段に通知することにより、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、音声パスをそれぞれ対応付けて記憶することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、第1のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してグループ通話手段に通知することにより、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、音声パスをそれぞれ対応付けて記憶するとしているので、アクセスゲートウェイとグループ通話手段との間の音声パスを1つにすると共に、当該音声パスからの音声データを基地局毎にまとめて配信することができ、ネットワークリソースの有効利用を図り、グループ通話手段における音声データ配信の制御を軽減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る自営IPネットワークの構成ブロック図である。
【図2】(a)は、チャネル管理テーブルの模式説明図であり、(b)は、リソース管理テーブルの模式説明図であり、(c)は、BS管理テーブルの模式説明図である。
【図3】メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
【図4】メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
【図5】図3,4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図である。
【図6】本グループ通話制御サーバにおけるメンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
【図7】メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図である。
【図8】メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図である。
【図9】図7,8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図である。
【図10】複数の基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
【図11】従来の自営IPネットワークシステムにおける呼制御データのセッションの概略を示す模式説明図である。
【図12】従来の自営IPネットワークシステムにおける音声データの配信の概略を示す模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバは、AGWが、グループ通話に参加する移動局が同一の基地局に収容されている場合に、AGW−PTエンジン間に構築される上下のSIPの呼制御チャネルに対応して、AGW−PTエンジン間に1つの音声パスを形成し、当該パスに基地局−AGW間のリソースを対応付けるものであり、ネットワークリソースを効率的に運用できると共に、PTエンジンにおける音声データの転送処理を軽減することができるものである。
【0017】
また、本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバは、AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、それに含まれる発信元端末番号と発信元基地局番号とを記憶しておき、第1の呼制御チャネルを割り当て、当該第1の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンにSDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、当該メッセージに含まれる発信元端末番号に基づいて発信元基地局を検索し、発信元基地局番号があった場合には、発信元のAGWと着信側のAGWとが同一であることを認識し、第2の呼制御チャネルを割り当てて、当該第2の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を、第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知することにより、AGW−PTエンジン間に1つの音声パスを形成すると共に、当該AGW−PTエンジン間の音声パスをグループ通話に参加している基地局毎に、基地局−AGW間のリソースに対応付けて記憶しているので、AGW−PTエンジン間の音声フローを1つにし、自営系システム特有の基地局毎の音声データの配信を可能とすることができ、ネットワークリソースの有効利用を図ることができるものである。
【0018】
[実施の形態のシステム構成:図1]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバを備えた自営IPネットワークの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る自営IPネットワークの構成ブロック図である。
図1に示すように、自営IPネットワークは、複数の移動局(MS)との無線通信を行う複数の基地局(BS)1と、グループ通話全体の制御を行うグループ通話制御サーバ10とを備えている。各BS1とグループ通話サーバ10とはWAN(Wide Area Network)を介して接続されている。
グループ通話制御サーバ10は、少なくとも制御部及び記憶部を備えたコンピュータで構成され、処理手段として、AGW2と、呼制御エンジン3と、PTエンジン4とを備えている。
【0019】
AGW2は、通信に伴うセッションの制御を行うゲートウェイであり、個別通話やグループ通信の制御を行う。AGW2は、複数のBS1を管理し、BS1を介して各MSに対する制御を行う。AGW2は、無線方式によって異なる各基地局1からのグループ通話開始要求や送信権要求等の制御メッセージをSIP/SDPのメッセージに変換して、呼制御エンジン3を介してPTエンジン4に出力する。また、PTエンジン4からのSIP/SDPメッセージを各無線方式に応じた制御メッセージに変換して各基地局1に出力する。すなわち、AGW2は、無線方式の違いを吸収するものである。
尚、AGW2は、請求項におけるアクセスゲートウェイに相当している。
【0020】
また、本グループ通話制御サーバのAGW2は、グループ通話に参加するMSが同一のAGWに収容されている場合に、AGW−PTエンジン間の音声パスを1つとし、BS毎に音声データを配信する制御を行う。
【0021】
PTエンジン4は、プレストークによるグループ通話の制御を行うものであり、グループメンバの管理や、グループ通話の要求があった場合のグループメンバの呼び出し、送信権の制御、及び音声データの複製転送等を行う。PTエンジンは、請求項におけるグループ通話手段に相当する。
呼制御エンジン3は、SIPセッションの基本制御として、発呼、着呼、呼切断等の制御を行う。
【0022】
[本グループ通話制御サーバに設けられているテーブル]
次に、本グループ通話制御サーバのAGWに設けられているテーブルについて説明する。
本システムのAGWでは、効率的な音声データの配信を実現するために、グループ通話で使用される上りチャネルと下りチャネルの使用状況を管理するチャネル管理テーブルと、音声フローの使用状況を管理するリソース管理テーブルと、BSの使用状況を管理するBS管理テーブルとを備えている。
尚、「チャネル」は、SIPの呼制御(C−PLANE)を示し、「リソース」は、RTPの音声フロー制御(U−PLANE)を示している。
【0023】
[テーブルの構成:図2]
次に、各テーブルの具体的な構成について図2を用いて説明する。図2(a)は、チャネル管理テーブルの模式説明図であり、(b)は、リソース管理テーブルの模式説明図であり、(c)は、BS管理テーブルの模式説明図である。
[チャネル管理テーブル:図2(a)]
図2(a)に示すように、チャネル管理テーブルは、グループ通話に使用されているSIPの呼制御チャネル(上り、下りのそれぞれ)について、チャネル番号と、使用状態と、受信ポート番号と、リンクしているリソース情報数と、リンクしている各リソース情報の番号とを記憶している。
【0024】
チャネル番号は、チャネルの識別番号で1以上の整数であり、使用状態は当該チャネルがグループ通話に割り当てられて使用中となっているか、未使用かを示す。受信ポート番号は、AGWがPTエンジンから呼制御データを受信するポート番号であり、1024以上の整数のデータである。
【0025】
リソース情報数は、当該チャネルにリンクしているリソース情報の数であり、リソース情報0,1,…は、リンクしている個々のリソース情報の番号を記憶する。
つまり、チャネル管理テーブルは、AGWが、各グループ通話の上りと下りのチャネルについて、AGW−PTエンジン間の音声フローを対応付けて管理するものである。
尚、PTエンジンに対する送信ポート番号はAGWに記憶されている。
【0026】
[リソース管理テーブル:図2(b)]
図2(b)に示すように、リソース管理テーブルは、PTエンジンからの音声データをどのリソースを用いてどのBSに配信するかを規定するものである。
リソース管理テーブルには、リソース番号と、使用状態と、接続先IPアドレスと、接続先ポート番号と、受信ポート番号と、接続元端末番号と、リンクしているチャネル情報数と、リンクしている各チャネル情報番号とを記憶している。
【0027】
リソース番号は、リソースの識別番号で1以上の整数であり、使用状態は当該リソースが使用中か未使用かを示す。接続先IPアドレスはグループ通話に参加しているBSに対応し、接続先ポート番号及び受信ポート番号はPTエンジンに対応して記憶されている。
また、接続元端末番号は、当該グループ通話を開始した端末の識別番号であり、チャネル情報数は、当該リソースにリンクしているチャネル情報の数であり、チャネル情報0,1,…はリンクしている個々のチャネル情報の番号である。
【0028】
つまり、リソース管理テーブルは、AGW−PTエンジン間の音声パスと、BS−AGWの音声パスとを対応付けるものであり、AGWが、どのネットワークリソースを用いてどのBSに音声データを配信するかを管理するものである。本グループ通話制御サーバのAGWは、リソース管理テーブルを参照することで、自営系に特有の基地局毎の音声データ配信を可能としている。
そして、リソース情報はグループ通話毎、且つBS毎に対応している。同一グループ通話に複数のBSが参加していれば、それぞれ異なるリソース情報が割り当てられ、同一BSで複数のグループ通話が実現されている場合には、グループ通話毎に異なるリソース情報が割り当てられる。
【0029】
[BS管理テーブル:図2(c)]
図2(c)に示すように、BS管理テーブルは、AGWが管理するBSについて、BS番号と、対応しているリソース情報数と、各リソース情報とを記憶している。
つまり、BS管理テーブルは、各BSが、グループ通話毎に、どのネットワークリソースを用いてグループ通話を実現しているかを管理するものである。
【0030】
ここで、本システムにおいては、グループ通話の発信元の端末のみが当該グループ通話を切断できる構成としており、1つのグループ通話に複数のBSが参加している場合には、発信元のBSのみについてリソース番号を記憶するものとしている。
発信元のBSに対応して当該グループ通話で使用されているリソース番号を記憶しておくことにより、発信元のBSから切断要求があった場合に解放すべきリソース番号を特定できるものである。
【0031】
[グループ呼設定シーケンス(同一基地局の場合):図3、図4]
次に、本グループ通話制御サーバにおけるグループ呼設定シーケンスについて説明する。まず、グループ通話に参加するMSが全て同一の基地局に収容されている場合について図3,4を用いて説明する。図3,4は、メンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンス図である。
尚、本シーケンスの処理は、図3の処理に引き続いて図4の処理が行われるものであり、図3、図4の順で連続して行われるシーケンスである。
図3に示すように、本シーケンスでは、1つの基地局(ここではBS1)に、移動局MS1,MS2,MS3が収容されており、これらの移動局間でグループ通話を行う場合を示している。
【0032】
まず、いずれかの移動局(例えばMS1)からグループ通信接続要求が送信されると、AGWは、BS1を介して当該グループ通信接続要求を受信する(1100)。
グループ通信接続要求には、接続元端末番号(MS1の番号)とグループ番号とが設定されている。
【0033】
そして、AGWは、当該グループ通話に上り呼制御チャネルを割り当てるため、チャネル管理テーブルを参照して未使用のチャネルを選択して、当該チャネルのチャネル状態を使用中に遷移させる。ここでは「チャネル番号1」を使用中に遷移させる(1101)。尚、「チャネル番号1」は請求項における第1のチャネルに相当する。
【0034】
更に、AGWは、当該グループ通話にリソースを割り当てるため、リソース管理テーブルを参照して、未使用のリソースを選択して、グループ通信接続要求から取得した接続元端末番号を設定すると共に、リソースの使用状態を使用中に遷移させる。ここでは「リソース番号1」に接続元端末番号(MS1の番号)を設定して、使用状態を使用中にする(1102)。
【0035】
次に、当該グループ通話で使用される上りチャネルとリソースとをリンクさせるために、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1の「リソース情報0」に「リソース番号1」を書き込み、リソース情報数を1とする。
同様に、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1の「チャネル情報0」に「チャネル番号1」を書き込み、チャネル情報数を1とする。
これにより、「チャネル番号1」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1103)。
【0036】
そして、AGWは、当該グループ通話を開始したBS1についての使用状態を更新するため、BS管理テーブルのBS番号1に対応する「リソース情報0」に「リソース番号1」を設定し、リソース情報数を「1」とする。これにより、「BS1」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1104)。
【0037】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に設定されている受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するためのSDP情報を構築し(1105)、呼制御エンジンにINVITEメッセージを送信する(1106)。
ここで、AGWは、INVITEメッセージのP-Asserted-Identityヘッダには、発信元端末番号を設定し、Toヘッダにはグループ番号を設定する。
呼制御エンジンは、受信したINVITEメッセージをPTエンジンに転送する(1107)。
【0038】
PTエンジンは、受信したINVITEメッセージのToヘッダに設定されているグループ番号から、グループメンバ一覧を作成し、グループメンバを呼び出すためのSDP情報を作成する(1108)。
ここでは、全てのグループメンバ(MS1,MS2,MS3)が同一のAGW配下にいるため、PTエンジンは、作成したSDP情報(グループメンバの情報を含む)を付加したINVITEメッセージを、呼制御エンジンを介して当該AGWに送信する。INVITEメッセージの発信元端末番号は、Referred-Byヘッダに設定される(1109,1110)。
【0039】
AGWは、INVITEメッセージを受信すると、当該グループ通話に下り呼制御チャネルを割り当てるために、チャネル管理テーブルから、未使用のチャネル番号を取得して、当該チャネルのチャネル状態を使用中に遷移させる(1111)。ここでは「チャネル番号2」を使用中に遷移させる。チャネル番号2は、請求項における第2のチャネルに相当する。
【0040】
更に、AGWは、INVITEメッセージのReferred-Byヘッダに設定されている発信元端末番号をキーとしてBS管理テーブルを検索し、当該発信元端末番号が記載されたリソース情報(リソース番号)を含むBSを特定して、発信元のBSを特定する(1112)。ここではBS1が特定される。
【0041】
また、AGWは、INVITEメッセージに含まれるグループメンバ(MS2,MS3)について、どのBSに収容されているかを特定する。ここでは、BS1が特定される。
そして、AGWは、グループメンバが全て(MS1,MS2,MS3)同一の基地局(BS1)に収容されていることを確認する(1113)。
本グループ通話制御サーバでは、グループメンバが全て同一の基地局に収容されている場合には、新たなリソースを取得しない。
【0042】
そして、図4に示すように、AGWは、当該グループ通話で使用される下りチャネルとリソースとをリンクさせるために、チャネル管理テーブルのチャネル番号2の「リソース情報0」に「リソース番号1」を書き込み、リソース情報数を1とする。
同様に、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1の「チャネル情報1」に「チャネル番号2」を書き込み、チャネル情報数を2とする。
これにより、「チャネル番号1」及び「チャネル番号2」と「リソース番号1」とをリンクさせる(1114)。
【0043】
また、AGWは、リソース番号1にリンクされている「チャネル番号1」を読み出し、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に対応する受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するため、チャネル2のSDP情報を構築する(1115)。
【0044】
つまり、AGWは、ステップ1106でPTエンジンに送信したチャネル1のSDP情報と同一のポート番号を、チャネル2のSDP情報でも設定するものである。
これにより、AGWは、当該グループ通話に伴う音声フローを上りと下りで共通として、AGW−PTエンジン間の音声フローを1本にするものである。
【0045】
そして、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1に設定されている接続先情報(接続先IPアドレス)に基づいて、BS−AGW間の音声フローを設定する(1116)。
また、AGWは、受信したINVITEメッセージのSDP情報に基づいて、AGW−PTエンジン間の音声フローを設定する(1117)。
【0046】
つまり、本グループ通話制御サーバでは、AGWが、グループ通話の上りチャネルと下りチャネルに相当するチャネル1とチャネル2に同一のリソース情報を対応付けることにより、チャネル1とチャネル2について同一のポート番号を指定してPTエンジンに通知する。これにより、PTエンジンでは、チャネル1とチャネル2で送信先が同一になるので、1つの音声フローだけを制御するようになる。
【0047】
そして、AGWは、呼制御エンジンに200OKメッセージを送信し(1118)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをPTエンジンに転送する(1119)。尚、処理1115で構築されたSDP情報は、処理1118,1119で、200OKメッセージと共にAGWから呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信される。
PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンに送信し(1120)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをAGWに転送する(1121)。
そして、AGWは、グループ通話接続応答メッセージをBS1に送信し(1122)、この後、BS1から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した音声データをBS1に転送する(1123)。
このようにして、本グループ通話制御サーバにおける、全てのメンバが同一基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスが行われるものである。
【0048】
[各テーブルの設定状態(1):図5]
次に、図3及び図4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態について図5を用いて説明する。図5は、図3,4に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図であり、(a)はチャネル管理テーブル、(b)はリソース管理テーブル、(c)はBS管理テーブルを示している。
図5(a)に示すように、チャネル管理テーブルにはチャネル番号1、チャネル番号2が設定され、チャネル番号1は、図3のステップ1101で使用中となり、チャネル番号2は、図3のステップ1111で使用中となる。
そして、チャネル番号1は、図3の1103でリソース番号1とリンクし、チャネル番号2は図4のステップ1114でリソース番号1とリンクする。
【0049】
また、図5(b)に示すように、リソース管理テーブルでは、図3のステップ1102で、リソース番号1が使用中となる。リソース番号1は、図3のステップ1103でチャネル番号1とリンクし、図4のステップ1114でチャネル番号2とリンクする。
そして、図5(c)に示すように、BS管理テーブルのBS番号1には、リソース番号1がリンクされる。
【0050】
[グループ呼解放シーケンス(同一基地局の場合):図6]
次に、本グループ通話制御サーバにおけるグループ呼解放シーケンスについて図6を用いて説明する。図6は、本グループ通話制御サーバにおけるメンバが全て同一の基地局に収容されている場合のグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
図6に示すように、AGWは、BS1を介して発呼元端末であるMS1からグループ通信切断要求メッセージを受信する(1200)。グループ通信切断要求メッセージには、接続元端末番号、グループ番号が設定されている。
【0051】
AGWが、グループ通信切断要求メッセージに基づいて、BYEメッセージを呼制御エンジンへ送信する(1201)と、呼制御エンジンは、BYEメッセージをPTエンジンに転送する(1202)。
PTエンジンは、BYEメッセージを呼制御エンジンに送信し(1203)、呼制御エンジンは、BYEメッセージをAGWに転送する(1204)。
【0052】
AGWは、BYEメッセージ受信すると、BYEメッセージに含まれるチャネルを識別する情報(Call−ID等)に基づいてチャネル管理テーブルを検索し、チャネル番号2のチャネル情報を取得する(1205)。
【0053】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号にリンクしているリソース情報(リソース番号1)から、音声フローの設定情報を取得し、BS−AGW間、AGW−PTエンジン間の音声データの転送処理を停止する。
更に、AGWは、リソース管理テーブルのチャネル番号1、チャネル番号2を消去し、チャネル管理テーブルのチャネル番号1及び2とBS管理テーブルのBS1にリンクしているリソース情報1を消去する。そして、リソース管理テーブルのリソース番号1を未使用状態に遷移させる(1206)。
【0054】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号2を未使用状態に遷移させる(1207)。
AGWは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信し(1208,1209)、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してAGWに送信する(1210,1211)。
【0055】
AGWは、受信した200OKメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいてチャネル管理テーブルを検索して、チャネル番号1のチャネル情報を取得する(1212)。
【0056】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1を未使用状態に遷移させる(1213)。
そして、AGWは、BS1に対してグループ通信切断応答を送信する(1214)。
これにより、グループ通話が切断される。
【0057】
[グループ呼設定シーケンス(複数基地局の場合):図7]
次に、グループ通話に参加するMSが、複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスについて図7及び図8を用いて説明する。図7、図8は、メンバが複数の基地局に収容されている場合のグループ呼設定シーケンスを示すシーケンス図であり、図7、図8の順で続けて行われるシーケンスである。
【0058】
図7に示すように、ここでは、基地局BS1に移動局MS1とMS2が収容され、BS2にMS3が収容されているものとする。また、BS1とBS2とは、同一のAGWに収容されている。
そして、BS1に収容されたMS(例えばMS1)から、接続元端末番号とグループ番号とを含むグループ通信設定要求が送信されると(2100)、AGWは、チャネル管理テーブルから未使用のチャネル(チャネル番号1)を取得し、使用状態を使用中に遷移させる(2101)。
【0059】
ステップ2102〜2112は、図3に示した一つの基地局シーケンスにおけるステップ1102〜1112と同じであるため、ここでは簡単に説明する。
AGWは、チャネル番号1とリソース番号1を使用中にし(2101,2102)、チャネル番号1とリソース番号1とをリンクさせる(2103)。
【0060】
そして、AGWは、BS管理テーブルのBS1にリソース番号1をリンクさせ(2104)、チャネル番号1の受信ポート番号に基づいて、PTエンジンから音声データを受信するためのSDP情報を構築して(2105)、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信する(2106,2107)。
【0061】
そして、AGWは、PTエンジンからグループメンバ(MS2,MS3)の情報を含むINVITEメッセージを受信する(2109,2110)。
更に、AGWは、チャネル番号2を使用中にして、リソース番号1とチャネル番号2とを互いにリンクさせ、BS管理テーブルから、発信元のメンバが収容されているBS1を特定する。
【0062】
そして、図8に示すように、AGWは、グループメンバ毎に収容先のBSを特定し、グループメンバMS1,MS2がBS1に収容され、MS3がBS2に収容されていることを認識する(2113)。
【0063】
ここで、メンバを収容している基地局が複数ある(BS1とBS2)ので、AGWは、既に使用されている「リソース番号1」に加えて、新たにリソース情報を取得する。
すなわち、AGWは、リソース管理テーブルから未使用のリソースを選択して、PTエンジンからのINVITEメッセージに含まれる接続元端末番号(MS1の番号)を設定すると共に、リソースの使用状態を使用中に遷移させる。ここでは「リソース番号2」に接続元端末番号を設定して、使用状態を使用中にする(2114)。
【0064】
次に、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1とチャネル番号2の「リソース情報1」に「リソース番号2」を書き込み、「チャネル番号1」に対応して「チャネル番号2」と「リソース番号2」とをリンクさせる(2115)。尚、チャネル番号1及びチャネル番号2とリソース番号1とは図3に示した部分において既にリンクされている。
従って、これにより、チャネル番号1と、リソース番号1及びリソース番号2がリンクし、チャネル番号2と、リソース番号1及びリソース番号2がリンクする。
【0065】
そして、AGWは、当該グループ通話に参加している別の基地局であるBS2についての使用状態を更新するため、BS管理テーブルのBS番号2に対応する「リソース情報0」に「リソース番号2」を設定し、リソース情報数を「1」とする。これにより、「BS2」と「リソース番号2」とをリンクさせる。
【0066】
そして、AGWは、ステップ2112で検索されたリソース番号1のリソース情報に基づいて、発信側のAGWと着信側のAGWが同一であると判断し、リソース番号1からチャネル番号1を読み出して、チャネル管理テーブルのチャネル番号1に設定されている受信ポート番号に基づいてPTエンジンから音声データを受信するためのチャネル2のSDP情報を構築する。
つまり、チャネル2について、ステップ2106で送信したチャネル1のSDP情報と同じポート番号を設定する(2116)。これにより、当該グループ通話の上りと下りの音声フローが共通となり、PTエンジンは1つの音声フローのみを制御することになる。
【0067】
そして、AGWは、リソース管理テーブルのリソース番号1に設定されている接続先情報からBS1−AGW間の音声フローを設定し、リソース番号2に設定されている接続先情報からBS2−AGW間の音声フローを設定する(2117)。
【0068】
そして、AGWは、受信したINVITEメッセージのSDP情報に基づいて処理2116で構築したSDP情報から、AGW−PTエンジン間の音声データセッションを設定する(2118)。
つまり、本グループ通話制御サーバでは、グループ通話に複数のBSが含まれる場合には、AGW−PTエンジン間で1つの音声フローを形成すると共に、基地局毎に配信するよう制御するものである。
【0069】
そして、AGWは、BS2にグループ通信接続要求メッセージを送信し(2119)、BS2からグループ通話応答メッセージを受信する(2122)と、呼制御エンジンに200OKメッセージを送信し(2120)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをPTエンジンに転送する(2121)。
【0070】
そして、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンに送信し(2123)、呼制御エンジンは、200OKメッセージをAGWに転送し(2124)、グループ通話接続応答メッセージをBS1に送信する。
【0071】
この後、AGWは、BS1から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した合成された音声データをBS1に転送する(1125)。
また、BS2から受信した音声データをPTエンジンに転送すると共に、PTエンジンから受信した合成された音声データをBS2に転送する(1126)。
このようにして、複数の基地局を利用したグループ通話における呼設定シーケンスが行われるものである。
【0072】
[各テーブルの設定状態(2):図9]
図7及び図8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態について図9を用いて説明する。図9は、図7,8に示したグループ呼設定シーケンスに伴う各テーブルの設定状態を示す模式説明図であり、(a)はチャネル管理テーブル、(b)はリソース管理テーブル、(c)はBS管理テーブルを示している。
図9(a)に示すように、チャネル管理テーブルにはチャネル番号1、チャネル番号2が設定され、チャネル番号1,2共にリソース番号1及びリソース番号2とリンクしている。
【0073】
また、図9(b)に示すように、リソース管理テーブルでは、リソース番号1及びリソース番号2が使用中となる。リソース番号1は、チャネル番号1及びチャネル番号2とリンクし、リソース番号2も、チャネル番号1及びチャネル番号2とリンクしている。
ここで、リソース番号1はBS1に対応し、リソース番号2はBS2に対応している。
【0074】
図9(c)に示すように、BS管理テーブルのBS番号1には、リソース番号1とリソース番号2とがリンクしている。発信元のBSであるBS1から切断要求があった場合に、AGWがどのリソースを解放するのかを特定するためである。
一方、着信側のBSであるBS番号2にはどのリソース情報もリンクしていない。
仮に、着信側からも切断できる構成とするならば、着信側のBS2にもBS1と同じリソース番号を対応付けて記憶する必要がある。
【0075】
[グループ呼解放シーケンス(複数基地局の場合):図10]
次に、複数基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスについて図10を用いて説明する。図10は、複数の基地局を用いたグループ通話におけるグループ呼解放シーケンスを示すシーケンス図である。
図6に示すように、AGWは、BS1を介して発信元端末であるMS1からグループ通信切断要求メッセージを受信する(2200)。
その後、ステップ2201〜2204は、図6に示した同一基地局の場合のステップ1201〜1205と同様であるため説明を省略する。
【0076】
AGWは、受信したBYEメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいてチャネル管理テーブルを検索して、チャネル2を特定する(2205)。
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル2にリンクしているリソース情報から、音声フローの設定情報を取得し、BS−AGW間、AGW−PTエンジン間の音声データの転送処理を停止する。
更に、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1、チャネル番号2、及びBS管理テーブルのBS1にリンクしているリソース情報1及びリソース情報2を消去する。そして、リソース管理テーブルのリソース番号1とリソース番号2を未使用状態に遷移させる(2206)。
【0077】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号2を未使用状態に遷移させる(2207)。
AGWは、グループ呼切断要求をBS2に送信し(2209)、BS2からグループ呼切断応答を受信する(2210)。
そして、AGWは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してPTエンジンに送信し(2211,2212)、PTエンジンは、200OKメッセージを呼制御エンジンを介してAGWに送信する(2213,2214)。
【0078】
AGWは、200OKメッセージに含まれるチャネルを識別する情報に基づいて、チャネル管理テーブルを検索して、チャネル番号1のチャネル情報を取得する(2215)。
【0079】
そして、AGWは、チャネル管理テーブルのチャネル番号1を未使用状態に遷移させる(2216)。
そして、AGWは、BS1に対してグループ通信切断応答を送信する(2217)。
このようにして、複数の基地局を用いたグループ通話が切断される。
【0080】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係るグループ通話制御サーバによれば、AGWが、グループ通信開始要求を受信すると、第1の呼制御チャネルを割り当て、当該第1の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、PTエンジンに当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、PTエンジンからグループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されているBSを特定し、発信元のAGWと着信側のAGWとが同一であることを認識して、第2の呼制御チャネルを割り当てて、当該第2の呼制御チャネルに対応してPTエンジンから音声データを受信するための受信ポート番号を、第1の呼制御チャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築してPTエンジンに通知するようにしているので、第1の呼制御チャネルと第2の呼制御チャネルに対応するAGW−PTエンジン間の音声フローを共通として1本にすることができ、ネットワークリソースの有効利用とPTエンジンの処理の軽減を図ることができる効果がある。
【0081】
また、本実施の形態に係るグループ通話制御サーバによれば、AGWが、グループ通話に参加しているBS毎に、AGW−PTエンジン間に形成された音声フローとBS−AGW間のリソースとを対応付けて記憶しているので、PTエンジンから受信した音声データをBS毎に配信することができ、自営系特有の音声データの配信方法を実現して、ネットワークリソースの効率的な利用を行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、ネットワークリソースを効率的に利用した音声データ配信を行うことができるグループ通話制御サーバに適している。
【符号の説明】
【0083】
1…基地局(BS)、 2…AGW、 3…呼制御エンジン、 4…PTエンジン、 5…WAN、 10…グループ通話制御サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク中の移動局間のグループ通話の制御を行うグループ通話制御サーバであって、
グループ通話における音声データの複製及び転送の制御を行うグループ通話手段と、
複数の基地局を管理し、前記基地局で用いられる制御メッセージと、前記グループ通話手段で用いられるSIP/SDPメッセージとの相互変換を行うアクセスゲートウェイとを備え、
前記アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、前記第1のチャネルに対応して前記グループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、前記グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、前記グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、前記第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、前記第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築して前記グループ通話手段に通知することにより、前記アクセスゲートウェイと前記グループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、前記発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、前記アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、前記音声パスをそれぞれ対応付けて記憶することを特徴とするグループ通話制御サーバ。
【請求項1】
ネットワーク中の移動局間のグループ通話の制御を行うグループ通話制御サーバであって、
グループ通話における音声データの複製及び転送の制御を行うグループ通話手段と、
複数の基地局を管理し、前記基地局で用いられる制御メッセージと、前記グループ通話手段で用いられるSIP/SDPメッセージとの相互変換を行うアクセスゲートウェイとを備え、
前記アクセスゲートウェイが、発信元端末を収容する基地局からグループ通話の開始要求を受信すると、SIPの上り呼制御チャネルとして第1のチャネルを割り当て、前記第1のチャネルに対応して前記グループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を含むSDP情報を構築して、前記グループ通話手段に当該SDP情報を含むINVITEメッセージを送信し、前記グループ通話手段から、グループメンバが付加されたINVITEメッセージを受信すると、各グループメンバが収容されている基地局を特定して、SIPの下り呼制御チャネルとして第2のチャネルを割り当て、前記第2のチャネルに対応してグループ通話手段から音声データを受信するための受信ポート番号を、前記第1のチャネルの受信ポート番号と同一とするSDP情報を構築して前記グループ通話手段に通知することにより、前記アクセスゲートウェイと前記グループ通話手段との間の音声パスを1つ形成すると共に、前記発信元端末を収容する基地局及び前記グループメンバが収容されている基地局と、前記アクセスゲートウェイ間に割り当てられたリソースに、前記音声パスをそれぞれ対応付けて記憶することを特徴とするグループ通話制御サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−109259(P2011−109259A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260157(P2009−260157)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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