グレーチングの連結構造
【課題】 低コストで完璧な盗難防止を可能とし、さらに車両走行によるハネ上げ防止にも役立つグレーチングの連結構造を提供する。
【解決手段】 グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸18bを立設した鍔部材17が該グレーチング本体1aの下面側に固着されると共に、他の端板11域のグレーチング枠1a内に取付用透孔15aが設けられた鍔付きグレーチングの二つ1A,1Bが、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着して連結され、且つ該取付ナットを突起80bが設けられた異形体Kとし、該異形体に嵌合する専用治具9により取付ナット8の取付け取外しを可能とする。
【解決手段】 グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸18bを立設した鍔部材17が該グレーチング本体1aの下面側に固着されると共に、他の端板11域のグレーチング枠1a内に取付用透孔15aが設けられた鍔付きグレーチングの二つ1A,1Bが、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着して連結され、且つ該取付ナットを突起80bが設けられた異形体Kとし、該異形体に嵌合する専用治具9により取付ナット8の取付け取外しを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は側溝等に配設されるグレーチングの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝(雨水溝)等には排水を良くするためにグレーチングが用いられ、強度的な観点から一般に金属製グレーチングが多用されている。ところが、グレーチングが金属製であるため、金属価格の高騰とともに全国各地で盗難被害のニュースが報じられるようになってきている。盗難防止を企図したグレーチングはこれまでにもいくつか提案がなされている(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−336345公報
【特許文献2】特開平9−250165号公報
【特許文献3】実用新案登録第3133644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1〜3のいずれの発明もその構造から、時間さえかければグレーチングの取外しを可能にするものであった。一旦、その構造が理解されると、手際よく取り外される危険性があった。また、特許文献2はグレーチングとは別に連結金具を準備しなければならず、その分コストが高くなっていた。
さらに、グレーチング上は道路や歩道に沿って設けられたり横切ったりすることが多く、グレーチング上を車両が走行するとグレーチングがハネ上がる不具合が指摘されていた。こうしたハネ上げ防止にも役立つグレーチングの連結構造も追求されているが、例えば特許文献2の発明では対応不十分であった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、低コストで完璧な盗難防止を可能とし、さらに車両走行によるハネ上げ防止にも役立つグレーチングの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、グレーチング本体の一の端板域で板状部分を端板から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸を立設するか又は該板状部分にナットを取着した鍔部材が該グレーチング本体の下面側に固着されると共に、他の端板域のグレーチング枠内に取付用透孔が設けられた鍔付きグレーチングの二つが、一方の鍔付きグレーチングの前記透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングの前記ボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングの前記ナットに螺着して連結され、且つ該取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすることを特徴とするグレーチングの連結構造にある。請求項2の発明たるグレーチングの連結構造は、請求項1で、突起が前記取付ボルトに係る頭部の側面部分又は前記取付ナットの側面部分に設けられることを特徴とする。請求項3の発明たるグレーチングの連結構造は、請求項2で、透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明のごとく、一方の鍔付きグレーチングの透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングのボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングのナットに螺着して、鍔付きグレーチングの二つが連結されると、その連結に必要な部品は取付ナット又は取付ボルトだけで足りる。連結に要する部品点数が少なく、連結作業さらに部品管理も楽になる。連結作業現場では、取付ナットをボルトに螺着するか、取付ボルトをナットに螺着するだけであり、連結作業が容易になる。鍔付きグレーチングも簡単構成であることから、低コスト化にも対応できる。そして、取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすると、一旦鍔付きグレーチングが連結されれば、専用治具がないと外せなくなる。完璧な盗難防止対策が講じられる。取付ボルトの頭部又は該取付ナットはその螺着固定で、取付用透孔が設けられたグレーチング枠内に収まるので、パイプレンチ等で掴むことさえできない。盗難防止対策が万全となる。また、鍔付きグレーチングの二つが連結されると、一枚では車両走行でハネ上がり易くても、二枚になればその重量が倍増しハネ上げ防止に役立つ。さらに、通常は鍔付きグレーチングがいくつも数珠つなぎに連なるので、車両走行によるハネ上げ防止に一段と威力を発揮する。
請求項2の発明のごとく、突起が取付ボルトに係る頭部の側面部分又は取付ナットの側面部分に設けられると、突起を垂直方向(上下方向)に等断面形状に設けることができ、その結果、専用治具を前記頭部又は取付ナットの上方から垂直下降して突起に深く且つ十分に嵌合させ、専用治具による取付ボルト又は取付ナットの取付け取り外しが円滑に行える。
請求項3の発明のごとく、透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられると、グレーチングの連結構造が完了した状態で、取付ボルトに係る頭部の側面部分又は取付ナットの側面部分が取付口内のより深い取付板上に配されるので、パイプレンチ等で取付ボルトや取付ナットの取り外しを試みようとしても不可能になる。盗難防止対策が磐石なものになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグレーチングの連結構造は、連結に要する部品点数が少なく、しかも、簡便構成にして比較的低コストで確実な盗難防止対策が図られ、さらに、車両走行によるハネ上げ防止にも役立つなど極めて優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るグレーチングの連結構造について詳述する。図1〜図12は本発明のグレーチングの連結構造の一形態で、図1はそのグレーチングの平面図、図2は図1のIV-IV線断面図、図3は図1のV-V線断面図、図4は図1のグレーチングの二つを連結する姿態の斜視図、図5は図4の連結作業を終えた後のグレーチングの連結構造の要部断面図、図6は図1〜図5のボルトに代えてナットを取着した別態様のグレーチングで、二つの該グレーチングを連結する姿態の斜視図である。図6は図4に対応する説明斜視図である。図7は図1〜図5及び図6の鍔付きグレーチングとはまた異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図、図8は図7の正面図、図9はまた別態様の鍔付きグレーチングの平面図、図10が図9の正面図で、いずれも本グレーチングの連結構造に用いられる。図11は図4,図5とは異なる取付ナットの他態様の取付ナットと専用治具の斜視図、図12〜図14はまた別態様の取付ナットの説明図である。尚、図3でボルト軸18bは図面を分かり易くするため実線(実際は破線)で表示する。
【0010】
本実施形態のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング二つ1A,1Bと取付ナット8とを備え、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着し、且つ該取付ナットを突起80bが設けられた異形体Kとする鍔付きグレーチング1の連結構造である(図1〜図5)。
【0011】
前記鍔付きグレーチング1は、一の端板11域で、板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、板状部分17a上にボルト軸18bを立設した鍔部材17がグレーチング本体1aの下面側に固着される一方、他の端板11域のグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられた鉄,ステンレス鋼,アルミ等の金属製品とする(図1〜図4)。
グレーチング本体1aは、その基本構成が汎用グレーチングと同じで、図1〜図4ごとくである。全体形状が規格化された長方形盤状をなし、主部材12と連結材13と側板10と端板11とを備える金属製グレーチングである。多数の金属製帯板からなる主部材12とこれに直交する連結材13とで格子状に形成して、その周囲を側板10で囲む(図3)。主部材12の両端を端板11として、直方形盤とする。側板10と端板11とで矩形枠のグレーチング枠1bを形成し、さらに該グレーチング枠1b内に主部材12と連結材13とを直交配設してグレーチング本体1aとする。符号SLはスリットを示す。連結材13は通称クロスバーとも呼ばれ、金属製棒状材を捩ったツイスト棒からなる。連結材13は、主部材12をその帯幅方向を垂直起立させ且つ所定ピッチで複数配設した状態を確保した後、これらと直交するようにして所定間隔離して主部材12上面に載置される。その後、主部材12と連結材13とを電気圧接固定して格子状した長方形盤のグレーチング本体1aに組み立てられる。
【0012】
本鍔付きグレーチング1には前記グレーチング本体1aにさらに鍔部材17が設けられる。鍔部材17は、グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11に対し直交させて且つ該端板から外方水平に舌片状に突出し、さらに、その板状部分17a上にボルト軸18bを立設して、基端部分17cがグレーチング本体1aの下面側に固着されるボルト18付き板片とする(図3〜図5)。ここでの鍔部材17は、短辺が隣り合う連結材13の間隔よりも狭い長方形板の板片で、その長辺方向の先端寄りの板状部分17aにボルト18を固着したものである。該短辺の幅をグレーチング本体1aの幅方向中央に配して、鍔部材17の基端部分17cが一の端板11及びそれに隣接する主部材12の下端面に溶接WLにて固定され、先端の板状部分17aがグレーチング本体1aの一の端板11から長手方向外方へその板面を水平にして突出する。ここで、本発明の「水平」とは鍔付きグレーチング1を側溝3に載置した図3の状況下における紙面垂直方向、「上方」とは紙面上方向、「下側」,「下面側」とは紙面下側をいう。板状部分17aの略中央には上下方向に貫通する通孔17bが設けられる(図4)。板状部分17aの下側からボルト18を該通孔17bに挿通し、該ボルト軸が板状部分17a上に垂直起立するようして、ボルト頭18aが該板状部分17aの下面に溶接WLにて固着される(図5)。
【0013】
加えて、本鍔付きグレーチング1には、前記グレーチング本体1aの他の端板11域で、そのグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられる(図1,図2)。透孔15aは端板11を一部利用して囲った取付口16の下面又は下面寄りで水平配設される取付板15に設けられる。本実施形態は、該グレーチング本体1aの他の端板11に隣接する主部材12を切欠き、この切り欠かれた該主部材12に仕切板14を固着して、該仕切板14と上記切欠き主部材に隣接する主部材12と端板11とで平面視四角形の取付口16を形成する。該取付口は前記板状部分17aに対応するグレーチング本体1aの幅方向中央部位に設けられる。そして、図4のごとく取付口16の空所を形成する端板11,主部材12,仕切板14の各下縁に、板片からなる取付板15が水平固着される。グレーチング本体1aの下面に合わすようにして取付板15を取付口16に水平配設するが、該取付板には長孔からなる透孔15aが穿設される。透孔15aはボルト軸18bを遊挿できる大きさがある。透孔15aに係る長孔の長手方向はグレーチング本体1aの長手方向(図2の紙面垂直方向)に一致する。
【0014】
かくのごとく、鍔部材17,取付板15をグレーチング本体1aに設けて、本グレーチングの連結構造に用いる鍔付きグレーチング1が出来上がる。該透孔15aと前記ボルト軸18bとの配置構成は、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aに他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bを貫通し、該ボルト軸を上方へ突出するようにして、図4のごとく二つの鍔付きグレーチング1A,1Bの端板同士11,11を突き合わせて並べることができるようになっている。そのため、図1で、鍔付きグレーチングはボルト軸18bと通孔17bとのグレーチング幅方向の位置を合わせ、且つ一の端板11からボルト軸18bまでの距離と、他の端板11から透孔15aまでの距離を同じくし、さらに本実施形態は該透孔に余裕ある長孔を設ける。ここで、前記透孔15aをグレーチング本体1aの長手方向に孔が長い長孔とするのは、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aに他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bを貫通し易くするためである。
【0015】
取付ナット8は、通常用いられる汎用ナットと同じく、ナット本体80に雌ねじ部82が設けられる。符号83は取付ナット8の貫通孔を示す。さらに、本発明の取付ナット8は突起80bが設けられた異形体とし、ナット本体80を図4ごとくの異形体Kとする。異形体Kはナット本体80に鍔80dと突起80bとを一体化した金属製品である。突起80bが取付ナット8の側面部分に設けられる。取付ナット8の外周側面にリブ状突起80bが設けられた図4,図5のような異形体とする。ナット本体80は汎用ナットの六角柱(六角形)した外形と違って円柱形(円形)とする。該円柱形は前記六角柱よりも平面視で一回り小さい。そして、該ナット本体80の下縁に外方へ張り出す鍔70dを設ける一方、ナット本体80の側面部分80aに水平外方向に延びるリブ状突起80bを突設する。突起80bは平面視で本体側面部分80aから外方へ凸状部を突出形成してなる。突起80bは側面部分から放射線状に所定間隔で複数設けられる。突起80bの下部は鍔80dに結合する。鍔80dの領域を除き、突起80bがあるナット本体80の領域では、垂直方向ほぼ等断面形状になっている。図4のように専用治具9を異形体Kの上方から矢印のごとく垂直下降して異形体Kに深く且つ十分に嵌合させ、専用治具9による異形体Kの取付ナット8の取付け取外しを円滑にする。突起80bが設けられることによって市販の汎用レンチは使用できない。該突起80bが設けられた異形体Kに嵌合する専用治具9のみによりその取付ナット8の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になっている。符号80cは突起80bの形成によって該突起と本体側面部分80aとでつくる凹所を示す。
【0016】
前記突起80bは図5のごとくナット本体80の側面部分から放射線状にいくつも形成されることによって、突起80bへの専用治具9の係止が強化されるが、該突起80bの大きさ,形状,個数等を変えてもよい。例えば図11の取付ナット8は図4,図5の取付ナット8に代わる他態様品で、ナット上部を被冠部85で帽子状に覆って雌ねじ部82が上方へ貫通しないようにしている。被冠部85で雌ねじ部82が覆われることで、取付ナット8がボルト軸18bに螺合し、鍔付きグレーチング同士を連結して永年使用しても、その螺合部分にゴミや砂等が入らない利点がある。また、図12は図4,図5や図11の取付ナット8に代わる別態様品で、多数設けたリブ状突起80bのうち、一個乃至三個(ここでは一個)を他のものよりも大きな突起80bにして不揃いとする。この不揃いの突起80bに合致する専用治具9でないと取外し不能にするためである。より盗難防止機能を高める。図12は鍔80dがない取付ナット8とする。図13は取付ナット8に設けられる突起80bの個数を図4や図12のものよりも減らし簡便化した取付ナット8の他態様品、図14は図11の取付ナット8の鍔部80dを円筒部80fにし、該円筒部の内壁にも雌ねじ部82を形成する。雌ねじ部82が長くなる分、ボルト軸18bも長くでき、両者の螺着固定がより確かなものとなる。本発明の取付ナット8に、上記いずれの異形体Kの取付ナット8を用いることができる。
【0017】
本グレーチングの連結構造へと導くには、さらに専用治具9を必要とする。図4の専用治具9は、図4の取付ナット8の専用治具9で、該取付ナットの異形体Kの外形と略同形の雌形嵌合部91を形成する。治具本体90の上端外面部には、取付ナット8への嵌合後に該専用治具9を作動させることのできる汎用レンチとの係合部92が設けられる。図4の専用治具9は六角形レンチに対応する係合部92を設け、さらにその上に四角形レンチに対応する第二係合部93を設ける。
図11の専用治具9では、同図のナット上部を被冠部85で覆った取付ナット8の外形と略同形の雌形嵌合部91を形成し、また図4の専用治具9と同様、六角形レンチに対応する係合部92の他、第二係合部93を設ける。
【0018】
次に、前記鍔付きグレーチング1,取付ナット8を用いて、グレーチング1の連結構造を実現する一手順を説明する。
まず、側溝3に鍔付きグレーチング1の一つを載置する(図3)。側溝3の段差面32に鍔付きグレーチング1が一つ、先に載置される。符号31は側溝の側壁、符号33は側溝の上面、符号35は側溝の流路を示す。
次に、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを、先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bが挿通するようにして、後の鍔付きグレーチング1Aを側溝3上に載置する。先の鍔付きグレーチング1Bに後の鍔付きグレーチング1Aが長手方向に連なるようにして側溝3上に載置される。透孔15aが長孔であるので、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへの先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bの挿通が容易になっている。その後、両鍔付きグレーチングの端板11同士を突き合わせるよう寄せる(図4)。
続いて、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する先の鍔付きグレーチング1Bの前記ボルト軸18bに取付ナット8を螺着する。該ボルト軸18bに異形の取付ナット8を嵌める(図4)。ボルト軸18bに取付ナット8を嵌める際は、ワッシャ4(又はズプリングワッシャ)を介在させる。そして、該取付ナット8に嵌合する専用治具9で該取付ナット8を締め付ける(図5)。手と専用治具9とを使って、ボルト軸18bに異形体の取付ナット8を螺着固定することにより、そのボルト軸18bに挿通された取付板15を板状部分17aに固定する。取付ナット8を突起80bが設けられた異形体Kとすることから、該異形体に嵌合する専用治具9のみにより取付ナット8の取付け取外しが可能になる。しかも、異形体Kに嵌合する専用治具9を使うため、異形体Kの取付ナット8でもボルト軸18bに難なく螺着固定できる。後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着して、両鍔付きグレーチング1A,1Bが連結される。取付ナット8とボルト軸18bの螺着固定により、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを設けた取付板15と、先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bが在る板状部分17aとが一体になり、両鍔付きグレーチングの連結が完了し、本発明のグレーチングの連結構造になる。ここでは二つの鍔付きグレーチングの連結構造に限って説明したが、現場では、通常、側溝3に沿って配設された複数の鍔付きグレーチング1,1,…が、前記連結構造でもって数珠つなぎに連結される。
【0019】
以上は、グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、該板状部分17a上にボルト軸18bを立設した鍔部材17が該グレーチング本体1aの下面側に固着されると共に、他の端板11域のグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられた鍔付きグレーチングの二つが、前述のごとく配されて、ボルト軸18bへの取付ナット8の螺着により両鍔付きグレーチング1A,1Bが連結されるグレーチングの連結構造であったが、これに代え、図6のようなグレーチングの連結構造とすることもできる。
【0020】
図6のグレーチングの連結構造は、図1〜図5で説明した鍔部材17に係る板状部分17a上にボルト軸18bを立設する代わりに、該板状部分17aにナット19を取着し、また、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着する代わりに、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し他方の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺着して両鍔付きグレーチングを連結する構造とする。前記ナット19は通孔17bにナット孔19aを合わせるようにして、該ナットを板状部分17aの下面に溶接WLにて固定される。そして、前記取付ナット8を突起80bが設けられた異形体Kとしたのと同様、取付ボルト7に係る頭部70を異形体Kとし、該異形体に嵌合する専用治具9によりその取付ボルト7の取付け取外しを可能とするグレーチングの連結構造とする。
【0021】
図6の取付ボルト7は、鉄やステンレス等からなる金属製で、頭部70と軸部71とを備え、該軸部に雄ねじ部72が形成される。頭部70の異形体Kは主部70aと鍔70dと突起70bとを一体化したもので、頭部70の側面部分にリブ状突起70bが設けられる。主部70aは汎用ボルトBTの六角柱(六角形)した頭部と違って円柱形(円形)とする。該円柱形は六角柱よりも平面視で一回り小さい。そして、該主部70aの下縁に外方へ張り出す鍔70dを設け、さらに主部側面部分70a1に水平外方向に張り出すリブ状突起70bを突設する。突起70bは平面視で主部側面部分70a1から外方へ凸状部を突出形成してなる。突起70bは主部側面部分70a1から放射線状に所定間隔で複数設けられる。突起70bの下部は鍔70dに結合する。鍔70dの領域を除き、主部70aと突起70bがある頭部70の領域では、垂直方向ほぼ等断面形状になっている。図6のように専用治具9が異形体Kの上方から矢印のごとく垂直下降して異形体Kに深く且つ十分に嵌合し、専用治具9による異形体Kの取付け取外しを円滑にするためである。六角形等したJIS規格のボルト頭と違って、基体部分となる主部70aに突起70bが設けられることによって、一般ボルト頭から変形した異形体Kとなり、市販の汎用レンチでは異形体Kの取付け,取外しが不可能になる。該突起70bが設けられた異形体Kに嵌合する図6ごとくの専用治具9のみによりその取付ボルト7の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になる。符号70cは突起70bの形成によって該突起70bと主部側面部分70a1とでつくる凹所を示す。
【0022】
前記突起70bはその形状,大きさ,個数等を変えることによって様々な異形体Kを簡単に造ることができる。突起70bが在ることで、異形体Kと専用治具9との嵌合後、専用治具9を回したときに突起70bに該専用治具9が係止され、取付ボルト7を簡単に取付けたり取外したりできる。主部側面部分70a1から凸状部の突起70bが放射線状に複数形成されることによって、突起70bへの専用治具9の係止が一層強化される。
【0023】
ここで、前記突起70bは、主部70aの側面部分70a1に代え、主部70aの上面部分に設けることもできる。しかし、主部側面部分70a1に突起70bを設ける方が、主部70a上面に突起70bを設ける場合と違って専用治具9の嵌合部91を深く形成することを要せず、また、突起70bの製作が容易になりより好ましい。専用治具9の柱状治具本体90の下端開口内部には該異形体Kに嵌合する凹形嵌合部91が形成される。また治具本体90の上端外部には、異形体Kに嵌合させた専用治具9を、円滑に回転作動できるようにする汎用レンチとの係合部92、例えば図示のごとくの六角柱状の頭部が形成される。該係合部92は図6のような形状に限らず例えば図4に示すような四角柱等にすることができる。尚、本突起70bに代えて凹溝とすることも構造上可能である。基体部分となる前記円柱形主部70aの上面に凹溝が設けられることによって、一般ボルト頭から変形した異形体Kとなり、市販の汎用レンチでは異形体Kの取付け,取外しが不可能になる。該円柱形主部及び該凹溝が設けられた異形体Kに嵌合する専用治具9のみによりその取付ボルト7の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になる。しかし、突起70bの方がより好ましい。凹溝が形成されると、ゴミや雨水が溜まり易く、専用治具9を使っての異形体ボルトの取外し作業が厄介になる虞があるからである。また、図示を省略するが、取付ボルト7の頭部の異形体の形状は、前述した取付ナット8の異形体のいずれの外形形状も適用できる。
【0024】
図6のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング二つ1A,1Bと取付ボルト7とを備え、一方の鍔付きグレーチング1Aの前記透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し他方の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺着し、且つ該取付ボルトに係る頭部70を突起70bが設けられた異形体Kとする鍔付きグレーチングの連結構造とする。
【0025】
図6の鍔付きグレーチング1,取付ボルト7を用いて、グレーチングの連結構造を実現する一手順としては、まず、図1〜図5と同様、側溝3に鍔付きグレーチング1の一つを載置する。側溝3の段差面32に鍔付きグレーチング1Bが一つ先に載置される。次に、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを、先の鍔付きグレーチング1Bのナット孔19aに合わせるようにして、後の鍔付きグレーチング1Aを側溝3上に載置する。先の鍔付きグレーチング1Bに後の鍔付きグレーチング1Aが長手方向に連なるように載置される。
続いて、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から前記取付ボルト7を挿入し、先の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺合させる(図6)。ナット19に取付ボルト7を螺合させる際は、ワッシャ4を介在させる。そして、該取付ボルト7に嵌合する専用治具9で該取付ボルトを締め付ける。手と専用治具9とを使って、取付ボルト7をナット19に螺着固定し、両者に挟まれた取付板15と板状部分17aを一体化する。取付ボルト7を突起70bが設けられた異形体Kとすることから、またその異形体Kがグレーチング枠1b内の端板11,仕切板14,主部材12で囲まれた取付口16内に配されることから、該異形体に嵌合する専用治具9のみにより取付ボルト7の取付け取外しが可能になる。パイプレンチ等も取付口16を形成する端板11,仕切板14,主部材12等によって邪魔され使えない。異形体Kに嵌合する専用治具9を使うため、異形体Kの取付ボルト7でもナット19に難なく螺着固定できる。後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し、先の鍔付きグレーチング1Bのナット19に該取付ボルトを螺着して、両鍔付きグレーチングを連結できる本発明のグレーチングの連結構造になる。
図6のグレーチングの連結構造の説明で、他の構成は図1〜図5中の説明と同様で、その説明を省く。
【0026】
また、本発明のグレーチング本体1aは、図1〜図5及び図6のものに限らず、例えば図7,図8のように側板10をL型鋼にしたいわゆるU字溝ツバ付グレーチングや、図9,図10のような嵩上げ部材5付きグレーチング本体1aとすることができる。大きな側溝3幅に適用する図9,図10のような大形グレーチングの場合は、鍔部材17,透孔15aを複数(ここでは二つ)設けることもできる。また図示を省くが、細目タイプのグレーチング本体1aにも適用できる。該細目タイプの場合は、取付口16を形成する際の切り欠かれる主部材12の本数が増える。図7〜図10中、図1〜図5と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0027】
このように構成したグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング同士1A,1Bが一旦取付られると、異形体Kに嵌合する専用治具9がないとグレーチング1を側溝32から取り外すことができないから盗難にあう危険がない。本グレーチングの連結構造が完成すると、複数の鍔付きグレーチング1が連結されることから、運ぶのが困難になる。車に搭載もできない。異形体Kは汎用ボルトの頭部(又は汎用ナット)と違って、突起70bによって特殊ロックの形状になっている。カギ(キー)に相当する異形体Kとカギ穴に相当する専用治具9で、カギの嵌合メカニズムを構成する。構造を複雑化してもその構造が理解されると側溝32からグレーチング1が取り外されてしまう特許文献1,3などと違って、異形体Kを見てこれに嵌合する治具を現場で造ろうとしても不可能に近い。また、パイプレンチ等で取付ボルト7(又は取付ナット8)を掴んで外そうと試みても、該取付ボルト(又は取付ナット8)はナット19(又はボルト18)との螺着固定によって、端板11,仕切板14,主部材12で囲まれた取付口16内に配されるので、パイプレンチ等で取付ボルト7(又は取付ナット8)を掴もうとしても端板11等に当たって不可能である。さらに、本発明のグレーチングの連結構造によれば、連結金具等の他部品を別途用意する必要がなく、鍔付きグレーチング1を連結するに必要な部品点数は少なく、連結作業及び部品管理も頗る容易になる。連結に必要な部品は、原則、取付ボルト7(又は取付ナット8)があれば足りる。取付板15と鍔部材17を設けた鍔付きグレーチング1とすることを要するが、その構成は既述のごとく比較的簡便である。本グレーチングの連結構造はコスト的にも安価になっている。それでいて、ほぼ完璧な盗難防止のグレーチング1の連結構造になる。加えて、突起70bはその形状,大きさ等を変えることによって異形体Kを簡単に造り変えることもでき、コストをさほどかけずに盗難に対して盤石体制となる。
【0028】
その一方で、グレーチング1の管理者はメンテナンス等でグレーチング1を外す必要がある場合は、専用治具9を用いていとも簡単に取外しできる。異形体Kの取付ナット8(又は取付ボルト7の頭部70)に専用治具9を被せるようにして嵌合部91を異形体Kに嵌合させ、後は汎用レンチを使って係合部92を回すだけである。鍔付きグレーチング1の取付け,取外しの作業性にも優れる。
【0029】
加えて、取付ナット8(又は取付ボルト7)とボルト18(又はナット19)の螺着固定により取付板15と鍔部材17を一体化させて二つの鍔付きグレーチング1A,1Bを連結した本グレーチングの連結構造が完成すると、グレーチング上の車両走行時に発生し易いグレーチングのハネ上げも解消する。本連結構造で結ばれた二つの鍔付きグレーチング1A,1Bは、車両走行によって一方の鍔付きグレーチング1Aが跳ね上がろうとしても、グレーチング重量が倍増し、しかも長手方向に連なる他方の鍔付きグレーチング1Bの梃子の作用も働く重みで抑制し、グレーチングのハネ上げを阻止する。実際のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチングが二つでなく数珠つなぎになるケースが多くなることを鑑みれば、より一層高い効果を発揮し、本グレーチングの連結構造は、グレーチングのハネ上げ防止にも極めて優れた効果を発揮する。事故防止に絶大な威力を発揮する。
【0030】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。鍔付きグレーチング1,側溝3,,取付ボルト7,取付ナット8等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のグレーチングの連結構造の一形態で、その鍔付きグレーチングの平面図である。
【図2】図1のIV-IV線断面図である。
【図3】図1のV-V線断面図である。
【図4】図1の鍔付きグレーチングの二つを連結する姿態の斜視図である。
【図5】図4の連結作業を終えた後の鍔付きグレーチングの連結構造の要部断面図である。
【図6】図1〜図5のボルトに代えてナットを取着した別態様の鍔付きグレーチングで、二つの該グレーチングを連結する姿態の斜視図である。
【図7】図1〜図5の鍔付きグレーチングとは異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図7とはまた異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図4,図5とは異なる取付ナットの他態様の取付ナットと専用治具の斜視図である。
【図12】別態様の取付ナットの説明斜視図である。
【図13】別態様の取付ナットの説明図で、(イ)がその斜視図、(ロ)が平面図である。
【図14】別態様の取付ナットの説明図で、(イ)がその斜視図、(ロ)が正面図、(ハ)が(ロ)の縦断面である。
【符号の説明】
【0032】
1,1A,1B 鍔付きグレーチング
1a グレーチング本体
1b グレーチング枠
11 端板
15a 透孔
16 取付口
17 鍔部材
17a 板状部分
18b ボルト軸
19 ナット
7 取付ボルト
70 頭部
70a1 側面部分(主部側面部分)
70b 突起
8 取付ナット
80a 側面部分(本体側面部分)
80b 突起
9 専用治具
K 異形体
【技術分野】
【0001】
本発明は側溝等に配設されるグレーチングの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝(雨水溝)等には排水を良くするためにグレーチングが用いられ、強度的な観点から一般に金属製グレーチングが多用されている。ところが、グレーチングが金属製であるため、金属価格の高騰とともに全国各地で盗難被害のニュースが報じられるようになってきている。盗難防止を企図したグレーチングはこれまでにもいくつか提案がなされている(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−336345公報
【特許文献2】特開平9−250165号公報
【特許文献3】実用新案登録第3133644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1〜3のいずれの発明もその構造から、時間さえかければグレーチングの取外しを可能にするものであった。一旦、その構造が理解されると、手際よく取り外される危険性があった。また、特許文献2はグレーチングとは別に連結金具を準備しなければならず、その分コストが高くなっていた。
さらに、グレーチング上は道路や歩道に沿って設けられたり横切ったりすることが多く、グレーチング上を車両が走行するとグレーチングがハネ上がる不具合が指摘されていた。こうしたハネ上げ防止にも役立つグレーチングの連結構造も追求されているが、例えば特許文献2の発明では対応不十分であった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、低コストで完璧な盗難防止を可能とし、さらに車両走行によるハネ上げ防止にも役立つグレーチングの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、グレーチング本体の一の端板域で板状部分を端板から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸を立設するか又は該板状部分にナットを取着した鍔部材が該グレーチング本体の下面側に固着されると共に、他の端板域のグレーチング枠内に取付用透孔が設けられた鍔付きグレーチングの二つが、一方の鍔付きグレーチングの前記透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングの前記ボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングの前記ナットに螺着して連結され、且つ該取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすることを特徴とするグレーチングの連結構造にある。請求項2の発明たるグレーチングの連結構造は、請求項1で、突起が前記取付ボルトに係る頭部の側面部分又は前記取付ナットの側面部分に設けられることを特徴とする。請求項3の発明たるグレーチングの連結構造は、請求項2で、透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明のごとく、一方の鍔付きグレーチングの透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングのボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングのナットに螺着して、鍔付きグレーチングの二つが連結されると、その連結に必要な部品は取付ナット又は取付ボルトだけで足りる。連結に要する部品点数が少なく、連結作業さらに部品管理も楽になる。連結作業現場では、取付ナットをボルトに螺着するか、取付ボルトをナットに螺着するだけであり、連結作業が容易になる。鍔付きグレーチングも簡単構成であることから、低コスト化にも対応できる。そして、取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすると、一旦鍔付きグレーチングが連結されれば、専用治具がないと外せなくなる。完璧な盗難防止対策が講じられる。取付ボルトの頭部又は該取付ナットはその螺着固定で、取付用透孔が設けられたグレーチング枠内に収まるので、パイプレンチ等で掴むことさえできない。盗難防止対策が万全となる。また、鍔付きグレーチングの二つが連結されると、一枚では車両走行でハネ上がり易くても、二枚になればその重量が倍増しハネ上げ防止に役立つ。さらに、通常は鍔付きグレーチングがいくつも数珠つなぎに連なるので、車両走行によるハネ上げ防止に一段と威力を発揮する。
請求項2の発明のごとく、突起が取付ボルトに係る頭部の側面部分又は取付ナットの側面部分に設けられると、突起を垂直方向(上下方向)に等断面形状に設けることができ、その結果、専用治具を前記頭部又は取付ナットの上方から垂直下降して突起に深く且つ十分に嵌合させ、専用治具による取付ボルト又は取付ナットの取付け取り外しが円滑に行える。
請求項3の発明のごとく、透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられると、グレーチングの連結構造が完了した状態で、取付ボルトに係る頭部の側面部分又は取付ナットの側面部分が取付口内のより深い取付板上に配されるので、パイプレンチ等で取付ボルトや取付ナットの取り外しを試みようとしても不可能になる。盗難防止対策が磐石なものになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグレーチングの連結構造は、連結に要する部品点数が少なく、しかも、簡便構成にして比較的低コストで確実な盗難防止対策が図られ、さらに、車両走行によるハネ上げ防止にも役立つなど極めて優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るグレーチングの連結構造について詳述する。図1〜図12は本発明のグレーチングの連結構造の一形態で、図1はそのグレーチングの平面図、図2は図1のIV-IV線断面図、図3は図1のV-V線断面図、図4は図1のグレーチングの二つを連結する姿態の斜視図、図5は図4の連結作業を終えた後のグレーチングの連結構造の要部断面図、図6は図1〜図5のボルトに代えてナットを取着した別態様のグレーチングで、二つの該グレーチングを連結する姿態の斜視図である。図6は図4に対応する説明斜視図である。図7は図1〜図5及び図6の鍔付きグレーチングとはまた異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図、図8は図7の正面図、図9はまた別態様の鍔付きグレーチングの平面図、図10が図9の正面図で、いずれも本グレーチングの連結構造に用いられる。図11は図4,図5とは異なる取付ナットの他態様の取付ナットと専用治具の斜視図、図12〜図14はまた別態様の取付ナットの説明図である。尚、図3でボルト軸18bは図面を分かり易くするため実線(実際は破線)で表示する。
【0010】
本実施形態のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング二つ1A,1Bと取付ナット8とを備え、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着し、且つ該取付ナットを突起80bが設けられた異形体Kとする鍔付きグレーチング1の連結構造である(図1〜図5)。
【0011】
前記鍔付きグレーチング1は、一の端板11域で、板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、板状部分17a上にボルト軸18bを立設した鍔部材17がグレーチング本体1aの下面側に固着される一方、他の端板11域のグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられた鉄,ステンレス鋼,アルミ等の金属製品とする(図1〜図4)。
グレーチング本体1aは、その基本構成が汎用グレーチングと同じで、図1〜図4ごとくである。全体形状が規格化された長方形盤状をなし、主部材12と連結材13と側板10と端板11とを備える金属製グレーチングである。多数の金属製帯板からなる主部材12とこれに直交する連結材13とで格子状に形成して、その周囲を側板10で囲む(図3)。主部材12の両端を端板11として、直方形盤とする。側板10と端板11とで矩形枠のグレーチング枠1bを形成し、さらに該グレーチング枠1b内に主部材12と連結材13とを直交配設してグレーチング本体1aとする。符号SLはスリットを示す。連結材13は通称クロスバーとも呼ばれ、金属製棒状材を捩ったツイスト棒からなる。連結材13は、主部材12をその帯幅方向を垂直起立させ且つ所定ピッチで複数配設した状態を確保した後、これらと直交するようにして所定間隔離して主部材12上面に載置される。その後、主部材12と連結材13とを電気圧接固定して格子状した長方形盤のグレーチング本体1aに組み立てられる。
【0012】
本鍔付きグレーチング1には前記グレーチング本体1aにさらに鍔部材17が設けられる。鍔部材17は、グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11に対し直交させて且つ該端板から外方水平に舌片状に突出し、さらに、その板状部分17a上にボルト軸18bを立設して、基端部分17cがグレーチング本体1aの下面側に固着されるボルト18付き板片とする(図3〜図5)。ここでの鍔部材17は、短辺が隣り合う連結材13の間隔よりも狭い長方形板の板片で、その長辺方向の先端寄りの板状部分17aにボルト18を固着したものである。該短辺の幅をグレーチング本体1aの幅方向中央に配して、鍔部材17の基端部分17cが一の端板11及びそれに隣接する主部材12の下端面に溶接WLにて固定され、先端の板状部分17aがグレーチング本体1aの一の端板11から長手方向外方へその板面を水平にして突出する。ここで、本発明の「水平」とは鍔付きグレーチング1を側溝3に載置した図3の状況下における紙面垂直方向、「上方」とは紙面上方向、「下側」,「下面側」とは紙面下側をいう。板状部分17aの略中央には上下方向に貫通する通孔17bが設けられる(図4)。板状部分17aの下側からボルト18を該通孔17bに挿通し、該ボルト軸が板状部分17a上に垂直起立するようして、ボルト頭18aが該板状部分17aの下面に溶接WLにて固着される(図5)。
【0013】
加えて、本鍔付きグレーチング1には、前記グレーチング本体1aの他の端板11域で、そのグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられる(図1,図2)。透孔15aは端板11を一部利用して囲った取付口16の下面又は下面寄りで水平配設される取付板15に設けられる。本実施形態は、該グレーチング本体1aの他の端板11に隣接する主部材12を切欠き、この切り欠かれた該主部材12に仕切板14を固着して、該仕切板14と上記切欠き主部材に隣接する主部材12と端板11とで平面視四角形の取付口16を形成する。該取付口は前記板状部分17aに対応するグレーチング本体1aの幅方向中央部位に設けられる。そして、図4のごとく取付口16の空所を形成する端板11,主部材12,仕切板14の各下縁に、板片からなる取付板15が水平固着される。グレーチング本体1aの下面に合わすようにして取付板15を取付口16に水平配設するが、該取付板には長孔からなる透孔15aが穿設される。透孔15aはボルト軸18bを遊挿できる大きさがある。透孔15aに係る長孔の長手方向はグレーチング本体1aの長手方向(図2の紙面垂直方向)に一致する。
【0014】
かくのごとく、鍔部材17,取付板15をグレーチング本体1aに設けて、本グレーチングの連結構造に用いる鍔付きグレーチング1が出来上がる。該透孔15aと前記ボルト軸18bとの配置構成は、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aに他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bを貫通し、該ボルト軸を上方へ突出するようにして、図4のごとく二つの鍔付きグレーチング1A,1Bの端板同士11,11を突き合わせて並べることができるようになっている。そのため、図1で、鍔付きグレーチングはボルト軸18bと通孔17bとのグレーチング幅方向の位置を合わせ、且つ一の端板11からボルト軸18bまでの距離と、他の端板11から透孔15aまでの距離を同じくし、さらに本実施形態は該透孔に余裕ある長孔を設ける。ここで、前記透孔15aをグレーチング本体1aの長手方向に孔が長い長孔とするのは、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aに他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bを貫通し易くするためである。
【0015】
取付ナット8は、通常用いられる汎用ナットと同じく、ナット本体80に雌ねじ部82が設けられる。符号83は取付ナット8の貫通孔を示す。さらに、本発明の取付ナット8は突起80bが設けられた異形体とし、ナット本体80を図4ごとくの異形体Kとする。異形体Kはナット本体80に鍔80dと突起80bとを一体化した金属製品である。突起80bが取付ナット8の側面部分に設けられる。取付ナット8の外周側面にリブ状突起80bが設けられた図4,図5のような異形体とする。ナット本体80は汎用ナットの六角柱(六角形)した外形と違って円柱形(円形)とする。該円柱形は前記六角柱よりも平面視で一回り小さい。そして、該ナット本体80の下縁に外方へ張り出す鍔70dを設ける一方、ナット本体80の側面部分80aに水平外方向に延びるリブ状突起80bを突設する。突起80bは平面視で本体側面部分80aから外方へ凸状部を突出形成してなる。突起80bは側面部分から放射線状に所定間隔で複数設けられる。突起80bの下部は鍔80dに結合する。鍔80dの領域を除き、突起80bがあるナット本体80の領域では、垂直方向ほぼ等断面形状になっている。図4のように専用治具9を異形体Kの上方から矢印のごとく垂直下降して異形体Kに深く且つ十分に嵌合させ、専用治具9による異形体Kの取付ナット8の取付け取外しを円滑にする。突起80bが設けられることによって市販の汎用レンチは使用できない。該突起80bが設けられた異形体Kに嵌合する専用治具9のみによりその取付ナット8の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になっている。符号80cは突起80bの形成によって該突起と本体側面部分80aとでつくる凹所を示す。
【0016】
前記突起80bは図5のごとくナット本体80の側面部分から放射線状にいくつも形成されることによって、突起80bへの専用治具9の係止が強化されるが、該突起80bの大きさ,形状,個数等を変えてもよい。例えば図11の取付ナット8は図4,図5の取付ナット8に代わる他態様品で、ナット上部を被冠部85で帽子状に覆って雌ねじ部82が上方へ貫通しないようにしている。被冠部85で雌ねじ部82が覆われることで、取付ナット8がボルト軸18bに螺合し、鍔付きグレーチング同士を連結して永年使用しても、その螺合部分にゴミや砂等が入らない利点がある。また、図12は図4,図5や図11の取付ナット8に代わる別態様品で、多数設けたリブ状突起80bのうち、一個乃至三個(ここでは一個)を他のものよりも大きな突起80bにして不揃いとする。この不揃いの突起80bに合致する専用治具9でないと取外し不能にするためである。より盗難防止機能を高める。図12は鍔80dがない取付ナット8とする。図13は取付ナット8に設けられる突起80bの個数を図4や図12のものよりも減らし簡便化した取付ナット8の他態様品、図14は図11の取付ナット8の鍔部80dを円筒部80fにし、該円筒部の内壁にも雌ねじ部82を形成する。雌ねじ部82が長くなる分、ボルト軸18bも長くでき、両者の螺着固定がより確かなものとなる。本発明の取付ナット8に、上記いずれの異形体Kの取付ナット8を用いることができる。
【0017】
本グレーチングの連結構造へと導くには、さらに専用治具9を必要とする。図4の専用治具9は、図4の取付ナット8の専用治具9で、該取付ナットの異形体Kの外形と略同形の雌形嵌合部91を形成する。治具本体90の上端外面部には、取付ナット8への嵌合後に該専用治具9を作動させることのできる汎用レンチとの係合部92が設けられる。図4の専用治具9は六角形レンチに対応する係合部92を設け、さらにその上に四角形レンチに対応する第二係合部93を設ける。
図11の専用治具9では、同図のナット上部を被冠部85で覆った取付ナット8の外形と略同形の雌形嵌合部91を形成し、また図4の専用治具9と同様、六角形レンチに対応する係合部92の他、第二係合部93を設ける。
【0018】
次に、前記鍔付きグレーチング1,取付ナット8を用いて、グレーチング1の連結構造を実現する一手順を説明する。
まず、側溝3に鍔付きグレーチング1の一つを載置する(図3)。側溝3の段差面32に鍔付きグレーチング1が一つ、先に載置される。符号31は側溝の側壁、符号33は側溝の上面、符号35は側溝の流路を示す。
次に、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを、先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bが挿通するようにして、後の鍔付きグレーチング1Aを側溝3上に載置する。先の鍔付きグレーチング1Bに後の鍔付きグレーチング1Aが長手方向に連なるようにして側溝3上に載置される。透孔15aが長孔であるので、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへの先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bの挿通が容易になっている。その後、両鍔付きグレーチングの端板11同士を突き合わせるよう寄せる(図4)。
続いて、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する先の鍔付きグレーチング1Bの前記ボルト軸18bに取付ナット8を螺着する。該ボルト軸18bに異形の取付ナット8を嵌める(図4)。ボルト軸18bに取付ナット8を嵌める際は、ワッシャ4(又はズプリングワッシャ)を介在させる。そして、該取付ナット8に嵌合する専用治具9で該取付ナット8を締め付ける(図5)。手と専用治具9とを使って、ボルト軸18bに異形体の取付ナット8を螺着固定することにより、そのボルト軸18bに挿通された取付板15を板状部分17aに固定する。取付ナット8を突起80bが設けられた異形体Kとすることから、該異形体に嵌合する専用治具9のみにより取付ナット8の取付け取外しが可能になる。しかも、異形体Kに嵌合する専用治具9を使うため、異形体Kの取付ナット8でもボルト軸18bに難なく螺着固定できる。後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着して、両鍔付きグレーチング1A,1Bが連結される。取付ナット8とボルト軸18bの螺着固定により、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを設けた取付板15と、先の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bが在る板状部分17aとが一体になり、両鍔付きグレーチングの連結が完了し、本発明のグレーチングの連結構造になる。ここでは二つの鍔付きグレーチングの連結構造に限って説明したが、現場では、通常、側溝3に沿って配設された複数の鍔付きグレーチング1,1,…が、前記連結構造でもって数珠つなぎに連結される。
【0019】
以上は、グレーチング本体1aの一の端板11域で板状部分17aを端板11から外方水平に突出し、該板状部分17a上にボルト軸18bを立設した鍔部材17が該グレーチング本体1aの下面側に固着されると共に、他の端板11域のグレーチング枠1b内に取付用透孔15aが設けられた鍔付きグレーチングの二つが、前述のごとく配されて、ボルト軸18bへの取付ナット8の螺着により両鍔付きグレーチング1A,1Bが連結されるグレーチングの連結構造であったが、これに代え、図6のようなグレーチングの連結構造とすることもできる。
【0020】
図6のグレーチングの連結構造は、図1〜図5で説明した鍔部材17に係る板状部分17a上にボルト軸18bを立設する代わりに、該板状部分17aにナット19を取着し、また、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチング1Bのボルト軸18bに取付ナット8を螺着する代わりに、一方の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し他方の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺着して両鍔付きグレーチングを連結する構造とする。前記ナット19は通孔17bにナット孔19aを合わせるようにして、該ナットを板状部分17aの下面に溶接WLにて固定される。そして、前記取付ナット8を突起80bが設けられた異形体Kとしたのと同様、取付ボルト7に係る頭部70を異形体Kとし、該異形体に嵌合する専用治具9によりその取付ボルト7の取付け取外しを可能とするグレーチングの連結構造とする。
【0021】
図6の取付ボルト7は、鉄やステンレス等からなる金属製で、頭部70と軸部71とを備え、該軸部に雄ねじ部72が形成される。頭部70の異形体Kは主部70aと鍔70dと突起70bとを一体化したもので、頭部70の側面部分にリブ状突起70bが設けられる。主部70aは汎用ボルトBTの六角柱(六角形)した頭部と違って円柱形(円形)とする。該円柱形は六角柱よりも平面視で一回り小さい。そして、該主部70aの下縁に外方へ張り出す鍔70dを設け、さらに主部側面部分70a1に水平外方向に張り出すリブ状突起70bを突設する。突起70bは平面視で主部側面部分70a1から外方へ凸状部を突出形成してなる。突起70bは主部側面部分70a1から放射線状に所定間隔で複数設けられる。突起70bの下部は鍔70dに結合する。鍔70dの領域を除き、主部70aと突起70bがある頭部70の領域では、垂直方向ほぼ等断面形状になっている。図6のように専用治具9が異形体Kの上方から矢印のごとく垂直下降して異形体Kに深く且つ十分に嵌合し、専用治具9による異形体Kの取付け取外しを円滑にするためである。六角形等したJIS規格のボルト頭と違って、基体部分となる主部70aに突起70bが設けられることによって、一般ボルト頭から変形した異形体Kとなり、市販の汎用レンチでは異形体Kの取付け,取外しが不可能になる。該突起70bが設けられた異形体Kに嵌合する図6ごとくの専用治具9のみによりその取付ボルト7の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になる。符号70cは突起70bの形成によって該突起70bと主部側面部分70a1とでつくる凹所を示す。
【0022】
前記突起70bはその形状,大きさ,個数等を変えることによって様々な異形体Kを簡単に造ることができる。突起70bが在ることで、異形体Kと専用治具9との嵌合後、専用治具9を回したときに突起70bに該専用治具9が係止され、取付ボルト7を簡単に取付けたり取外したりできる。主部側面部分70a1から凸状部の突起70bが放射線状に複数形成されることによって、突起70bへの専用治具9の係止が一層強化される。
【0023】
ここで、前記突起70bは、主部70aの側面部分70a1に代え、主部70aの上面部分に設けることもできる。しかし、主部側面部分70a1に突起70bを設ける方が、主部70a上面に突起70bを設ける場合と違って専用治具9の嵌合部91を深く形成することを要せず、また、突起70bの製作が容易になりより好ましい。専用治具9の柱状治具本体90の下端開口内部には該異形体Kに嵌合する凹形嵌合部91が形成される。また治具本体90の上端外部には、異形体Kに嵌合させた専用治具9を、円滑に回転作動できるようにする汎用レンチとの係合部92、例えば図示のごとくの六角柱状の頭部が形成される。該係合部92は図6のような形状に限らず例えば図4に示すような四角柱等にすることができる。尚、本突起70bに代えて凹溝とすることも構造上可能である。基体部分となる前記円柱形主部70aの上面に凹溝が設けられることによって、一般ボルト頭から変形した異形体Kとなり、市販の汎用レンチでは異形体Kの取付け,取外しが不可能になる。該円柱形主部及び該凹溝が設けられた異形体Kに嵌合する専用治具9のみによりその取付ボルト7の取付けや取外しができるグレーチング1の連結構造になる。しかし、突起70bの方がより好ましい。凹溝が形成されると、ゴミや雨水が溜まり易く、専用治具9を使っての異形体ボルトの取外し作業が厄介になる虞があるからである。また、図示を省略するが、取付ボルト7の頭部の異形体の形状は、前述した取付ナット8の異形体のいずれの外形形状も適用できる。
【0024】
図6のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング二つ1A,1Bと取付ボルト7とを備え、一方の鍔付きグレーチング1Aの前記透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し他方の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺着し、且つ該取付ボルトに係る頭部70を突起70bが設けられた異形体Kとする鍔付きグレーチングの連結構造とする。
【0025】
図6の鍔付きグレーチング1,取付ボルト7を用いて、グレーチングの連結構造を実現する一手順としては、まず、図1〜図5と同様、側溝3に鍔付きグレーチング1の一つを載置する。側溝3の段差面32に鍔付きグレーチング1Bが一つ先に載置される。次に、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aを、先の鍔付きグレーチング1Bのナット孔19aに合わせるようにして、後の鍔付きグレーチング1Aを側溝3上に載置する。先の鍔付きグレーチング1Bに後の鍔付きグレーチング1Aが長手方向に連なるように載置される。
続いて、後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から前記取付ボルト7を挿入し、先の鍔付きグレーチング1Bの前記ナット19に螺合させる(図6)。ナット19に取付ボルト7を螺合させる際は、ワッシャ4を介在させる。そして、該取付ボルト7に嵌合する専用治具9で該取付ボルトを締め付ける。手と専用治具9とを使って、取付ボルト7をナット19に螺着固定し、両者に挟まれた取付板15と板状部分17aを一体化する。取付ボルト7を突起70bが設けられた異形体Kとすることから、またその異形体Kがグレーチング枠1b内の端板11,仕切板14,主部材12で囲まれた取付口16内に配されることから、該異形体に嵌合する専用治具9のみにより取付ボルト7の取付け取外しが可能になる。パイプレンチ等も取付口16を形成する端板11,仕切板14,主部材12等によって邪魔され使えない。異形体Kに嵌合する専用治具9を使うため、異形体Kの取付ボルト7でもナット19に難なく螺着固定できる。後の鍔付きグレーチング1Aの透孔15aへ上方から取付ボルト7を挿入し、先の鍔付きグレーチング1Bのナット19に該取付ボルトを螺着して、両鍔付きグレーチングを連結できる本発明のグレーチングの連結構造になる。
図6のグレーチングの連結構造の説明で、他の構成は図1〜図5中の説明と同様で、その説明を省く。
【0026】
また、本発明のグレーチング本体1aは、図1〜図5及び図6のものに限らず、例えば図7,図8のように側板10をL型鋼にしたいわゆるU字溝ツバ付グレーチングや、図9,図10のような嵩上げ部材5付きグレーチング本体1aとすることができる。大きな側溝3幅に適用する図9,図10のような大形グレーチングの場合は、鍔部材17,透孔15aを複数(ここでは二つ)設けることもできる。また図示を省くが、細目タイプのグレーチング本体1aにも適用できる。該細目タイプの場合は、取付口16を形成する際の切り欠かれる主部材12の本数が増える。図7〜図10中、図1〜図5と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0027】
このように構成したグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチング同士1A,1Bが一旦取付られると、異形体Kに嵌合する専用治具9がないとグレーチング1を側溝32から取り外すことができないから盗難にあう危険がない。本グレーチングの連結構造が完成すると、複数の鍔付きグレーチング1が連結されることから、運ぶのが困難になる。車に搭載もできない。異形体Kは汎用ボルトの頭部(又は汎用ナット)と違って、突起70bによって特殊ロックの形状になっている。カギ(キー)に相当する異形体Kとカギ穴に相当する専用治具9で、カギの嵌合メカニズムを構成する。構造を複雑化してもその構造が理解されると側溝32からグレーチング1が取り外されてしまう特許文献1,3などと違って、異形体Kを見てこれに嵌合する治具を現場で造ろうとしても不可能に近い。また、パイプレンチ等で取付ボルト7(又は取付ナット8)を掴んで外そうと試みても、該取付ボルト(又は取付ナット8)はナット19(又はボルト18)との螺着固定によって、端板11,仕切板14,主部材12で囲まれた取付口16内に配されるので、パイプレンチ等で取付ボルト7(又は取付ナット8)を掴もうとしても端板11等に当たって不可能である。さらに、本発明のグレーチングの連結構造によれば、連結金具等の他部品を別途用意する必要がなく、鍔付きグレーチング1を連結するに必要な部品点数は少なく、連結作業及び部品管理も頗る容易になる。連結に必要な部品は、原則、取付ボルト7(又は取付ナット8)があれば足りる。取付板15と鍔部材17を設けた鍔付きグレーチング1とすることを要するが、その構成は既述のごとく比較的簡便である。本グレーチングの連結構造はコスト的にも安価になっている。それでいて、ほぼ完璧な盗難防止のグレーチング1の連結構造になる。加えて、突起70bはその形状,大きさ等を変えることによって異形体Kを簡単に造り変えることもでき、コストをさほどかけずに盗難に対して盤石体制となる。
【0028】
その一方で、グレーチング1の管理者はメンテナンス等でグレーチング1を外す必要がある場合は、専用治具9を用いていとも簡単に取外しできる。異形体Kの取付ナット8(又は取付ボルト7の頭部70)に専用治具9を被せるようにして嵌合部91を異形体Kに嵌合させ、後は汎用レンチを使って係合部92を回すだけである。鍔付きグレーチング1の取付け,取外しの作業性にも優れる。
【0029】
加えて、取付ナット8(又は取付ボルト7)とボルト18(又はナット19)の螺着固定により取付板15と鍔部材17を一体化させて二つの鍔付きグレーチング1A,1Bを連結した本グレーチングの連結構造が完成すると、グレーチング上の車両走行時に発生し易いグレーチングのハネ上げも解消する。本連結構造で結ばれた二つの鍔付きグレーチング1A,1Bは、車両走行によって一方の鍔付きグレーチング1Aが跳ね上がろうとしても、グレーチング重量が倍増し、しかも長手方向に連なる他方の鍔付きグレーチング1Bの梃子の作用も働く重みで抑制し、グレーチングのハネ上げを阻止する。実際のグレーチングの連結構造は、鍔付きグレーチングが二つでなく数珠つなぎになるケースが多くなることを鑑みれば、より一層高い効果を発揮し、本グレーチングの連結構造は、グレーチングのハネ上げ防止にも極めて優れた効果を発揮する。事故防止に絶大な威力を発揮する。
【0030】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。鍔付きグレーチング1,側溝3,,取付ボルト7,取付ナット8等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のグレーチングの連結構造の一形態で、その鍔付きグレーチングの平面図である。
【図2】図1のIV-IV線断面図である。
【図3】図1のV-V線断面図である。
【図4】図1の鍔付きグレーチングの二つを連結する姿態の斜視図である。
【図5】図4の連結作業を終えた後の鍔付きグレーチングの連結構造の要部断面図である。
【図6】図1〜図5のボルトに代えてナットを取着した別態様の鍔付きグレーチングで、二つの該グレーチングを連結する姿態の斜視図である。
【図7】図1〜図5の鍔付きグレーチングとは異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図7とはまた異なる別態様の鍔付きグレーチングの平面図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図4,図5とは異なる取付ナットの他態様の取付ナットと専用治具の斜視図である。
【図12】別態様の取付ナットの説明斜視図である。
【図13】別態様の取付ナットの説明図で、(イ)がその斜視図、(ロ)が平面図である。
【図14】別態様の取付ナットの説明図で、(イ)がその斜視図、(ロ)が正面図、(ハ)が(ロ)の縦断面である。
【符号の説明】
【0032】
1,1A,1B 鍔付きグレーチング
1a グレーチング本体
1b グレーチング枠
11 端板
15a 透孔
16 取付口
17 鍔部材
17a 板状部分
18b ボルト軸
19 ナット
7 取付ボルト
70 頭部
70a1 側面部分(主部側面部分)
70b 突起
8 取付ナット
80a 側面部分(本体側面部分)
80b 突起
9 専用治具
K 異形体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレーチング本体の一の端板域で板状部分を端板から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸を立設するか又は該板状部分にナットを取着した鍔部材が該グレーチング本体の下面側に固着されると共に、他の端板域のグレーチング枠内に取付用透孔が設けられた鍔付きグレーチングの二つが、一方の鍔付きグレーチングの前記透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングの前記ボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングの前記ナットに螺着して連結され、且つ該取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすることを特徴とするグレーチングの連結構造。
【請求項2】
前記突起が前記取付ボルトに係る頭部の側面部分又は前記取付ナットの側面部分に設けられる請求項1記載のグレーチングの連結構造。
【請求項3】
前記透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられる請求項2記載のグレーチングの連結構造。
【請求項1】
グレーチング本体の一の端板域で板状部分を端板から外方水平に突出し、該板状部分上にボルト軸を立設するか又は該板状部分にナットを取着した鍔部材が該グレーチング本体の下面側に固着されると共に、他の端板域のグレーチング枠内に取付用透孔が設けられた鍔付きグレーチングの二つが、一方の鍔付きグレーチングの前記透孔を貫通し上方へ突出する他方の鍔付きグレーチングの前記ボルト軸に取付ナットを螺着するか又は一方の鍔付きグレーチングの前記透孔へ上方から取付ボルトを挿入し他方の鍔付きグレーチングの前記ナットに螺着して連結され、且つ該取付ボルトに係る頭部又は該取付ナットを突起が設けられた異形体とし、該異形体に嵌合する専用治具によりその取付ボルト又は取付ナットの取付け取外しを可能とすることを特徴とするグレーチングの連結構造。
【請求項2】
前記突起が前記取付ボルトに係る頭部の側面部分又は前記取付ナットの側面部分に設けられる請求項1記載のグレーチングの連結構造。
【請求項3】
前記透孔が端板を利用して囲った取付口の下面又は下面寄りで水平配設される取付板に設けられる請求項2記載のグレーチングの連結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−299376(P2009−299376A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156289(P2008−156289)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(599147218)東北岡島工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(599147218)東北岡島工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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