説明

グレーチング

【課題】 ごみなどを取り除く作業にそれほど支障を来たすことなく、且つ車などの走行でカタカタ、ガチャガチャといった音の発生を防止し得るとともに、跳ね上がりも防止し得る、特に住宅街の道路に好適に適用し得るグレーチングを提供する。
【解決手段】 外枠6内に主部材3と横部材5が格子状に形成されてなるグレーチング1において、主部材3と平行する外枠6の下部に上方が半円の切り欠き部7をその開口部8を下向きにして形成し、更にその切り欠き部7の周面に沿って上下方向に所定範囲移動可能な係止部材9を設けるとともに、当該係止部材9は、その移動範囲の最上位置に引き上げた際係止することができて前記外枠6に形成した開口部8を全開し、前記係止を解除したとき落下して前記開口部8を所定範囲閉じるように構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外枠内に主部材と横部材が格子状に形成されてなるグレーチングに関し、詳細には道路や歩道等に雨水を排水するために設けられている側溝や横断溝などの断面U字状の溝(以下、U字状溝という)に蓋として設置されるグレーチングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や歩道等には、通常、雨水を排水するため側溝や横断溝などのU字状溝が設けられている。そして、そのU字状溝には蓋として、コンクリート製や鉄板製の蓋を取付けたものもあるが、近年は開口部が多く水はけが良い上に、U字状溝内にごみが詰まっているのが容易に確認できるなどの利点のあるグレーチングが多用されている。グレーチングは、通常、外枠内に主部材と横部材を格子状に形成して構成され、外枠のエンドプレートに山形鋼を用いたグレーチングではU字状溝の上部縁に山形鋼のフランジ部を載せ置いて、外枠のエンドプレートに平鋼を用いたグレーチングではU字状溝の上部縁に形成された受部内に落とし込んでそれぞれ開閉可能に取付けられている。
【0003】
ところで、グレーチングを載せ置いて取付けるU字状溝の場合には、その載せ置くU字状溝の上部縁は、通常コンクリートのままであり、しかもグレーチングとU字状溝との間にはかなりの隙間があるため、グレーチング上を自転車や自動車などの車が走行したり、人が通ってもカタカタ、あるいはガチャガチャと音を発することがあり、特に住宅街においてはこの音が耳障りで問題となっている上に、跳ね上がりの懸念もある。音の発生を防止するため隙間にゴムなどの騒音防止材を取付けたものもあるが、耐用性が悪く交換などのメンテナンスの手間が大変である。
【0004】
また、グレーチングを落とし込んで設けるU字状溝の場合も、その受部は通常コンクリートのまま、あるいは山形鋼をアンカーを介してコンクリートに取付けた形態となっており、しかもグレーチングと受部の間にはかなりの隙間があるため、上記U字状溝の上部縁に載せ置いて取付けるグレーチングの場合と同様に、U字状溝のグレーチング上を自転車や自動車などの車が走行したり、人が通ってもカタカタ、あるいはガチャガチャと音を発することがあり、特に住宅街においてはこの音が耳障りで問題となっている上に、跳ね上がりの懸念もある。一方、これを改善して、グレーチングを受部内に落とし込んでアンカーボルト・ナットにより固定することもできるが、このようにした場合、しっかりとした固定ができ音の発生も無い反面、ごみなどを取り除く際にはその開閉に時間を要し作業性が悪いなどの問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き問題を解消するためになしたものであって、その目的は、ごみなどを取り除く作業にそれほど支障を来たすことなく、且つ車などの走行でカタカタ、ガチャガチャといった音の発生を防止し得るとともに、跳ね上がりも防止し得る、特に住宅街の道路に好適に適用し得るグレーチングを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るグレーチングは、外枠内に主部材と横部材が格子状に形成されてなるグレーチングにおいて、主部材と平行する外枠の下部に上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きにして形成し、更にその切り欠き部の周面に沿って上下方向に所定範囲移動可能な係止部材を設けるとともに、当該係止部材は、その移動範囲の最上位置に引き上げた際係止することができて前記外枠に形成した開口部を全開し、前記係止を解除したとき落下して前記開口部を所定範囲閉じるように構成されてなるものである。
【0007】
上記構成では、主部材と平行する外枠の下部に上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きにして形成し、更にその切り欠き部の周面に沿って上下方向に所定範囲移動可能な係止部材を設けているので、上方が半円の切り欠き部に対応するU字状溝の側壁面に、切り欠き部の上方の半円に係合する断面円形の係合部材を設け、当該係合部材に切り欠き部の上方の半円を係合させた後、係止部材の係止を解除し落下させて上方が半円の切り欠き部の開口部を所定範囲閉じることにより、U字状溝にグレーチングを固定して設けることができる。このように上方が半円の切り欠き部に係合部材を収容し開口部を係止部材で閉じた場合には、この係止部材を引上げ開口部の閉塞を解除して開口部を開放(全開)しないかぎりグレーチングがU字状溝の受部との間でガタツクことがなく、車などの走行でカタカタ、ガチャガチャといった音を発することが防止できる上に、グレーチングが受部内から浮き上がったり、外れたりすることの防止も図れる。また、係止部材は自重で落下しているだけなので、フックなどの道具を用い引っ掛けるなどして係止部材を移動範囲の最上位置に引き上げ係止することで切り欠き部を簡単に開口させることができ、ごみなどを取り除く作業が支障なく行える。また、このように騒音防止、跳ね上がり防止、清掃容易といったことから、特に住宅街の道路への適用が期待される。また、一方のグレーチングの上方が半円の切り欠き部に対応して他方のグレーチングの外枠外側面に断面円形の係合部材を設けることにより、グレーチング同士の連結が行え、これによっても騒音防止、跳ね上がり防止が図れ、清掃も容易である。なお、前記のように係止部材をフックなどの道具を用いて引き上げるのは、係止部材を主部材や外枠の上面より下に設け誰もが簡単に開けることができないようにするためである。
【0008】
また、上記グレーチングにおいては、係止部材はその外周上部に引き上げ片を有するように形成されてあってもよい(請求項2)。係止部材は上下方向に所定範囲移動可能であり、下方への移動は係止を解除することにより自重で落下して行えるが、引き上げはフックなどの道具を用い引っ掛けるなどして行う必要があり、この場合、係止部材にフックなどの道具を引っ掛けるための孔や引き上げ片を積極的に設けておくことで引き上げが円滑に行える。
【0009】
また、上記グレーチングにおいては、主部材と平行する外枠の下部に、上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きにして形成することに替えて、上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きに有する部材を設けるように構成してもよい(請求項3)。このように構成しても、上記請求項1に記載のグレーチングと同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るグレーチングによれば、係止部材を引き上げて上方が半円の切り欠き部の開口部を全開しないかぎりグレーチングがU字状溝の受部との間でガタツクことがないので、車などの走行でカタカタ、ガチャガチャといった音の発生が防止できる。また同時に、グレーチングがU字状溝の受部内から浮き上がったり、外れたりすることの防止も図れる。また、係止部材をフックなどの道具を用いて引き上げ上部に係止することにより、上方が半円の切り欠き部の開口部を全開しグレーチングを開けることができるので、U字状溝内からごみなどを取り除く作業が支障なく行える。このように騒音防止、跳ね上がり防止が図れ、清掃容易なことから、特に住宅街の道路に好適に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るグレーチングの説明図であって、aは正面図、bはaのA−A断面図、cはaのB−B断面図、図2は、図1のX部拡大説明図、図3は、図2のC−C断面図、図4は、図2のD−D断面図である。図において、1はグレーチング、2はU字状溝を示す。なお、以下の説明において、前後とは図面に向かって上を前、下を後とし、左右とは図面に向かってのものである。
【0012】
グレーチング1は、平鋼からなる主部材3を幅方向を上下にして所定間隔に配設し、その長手方向両端にエンドプレート4として平鋼を溶接固定し、更に主部材3に交差させてスクリューバーからなる横部材5を主部材3同様に所定間隔に配設するとともに、プロジェクション溶接により横部材5を主部材3の間に押し込むように且つ面一となるように溶接して製造したものである。そして、左右のエンドプレート4と前後端の主部材3とにより外枠6が構成されている。
【0013】
上記グレーチング1の外枠6を構成する主部材3の中央寄り下部には、上方が半円で下方が平行な切り欠き部7がその開口部8を下向きにして形成されている。そして、その切り欠き部7の半円の上側の主部材3の側面には、切り欠き部7の半円と同じ円弧を内周側に有する円弧状の平板製の係止部材9が、詳細を下記する構成により、切り欠き部7の半円の周面に沿って上下方向に所定範囲移動可能に設けられている。
【0014】
係止部材9は、平板(鋼板等)を、その内側円弧を切り欠き部7の半円と同心の円弧で成形した形態の円弧状の部品であって、その平板の両端部に切り欠き部7の半円に沿うように長孔10、11が形成され、主部材3の側面に取付けた際に上になる側の長孔10の中央寄りの端の上側には係止用の凹部12が形成されている。この係止部材9は、長孔10、11に通したねじ(小ねじ)13を外枠6の主部材3の側面にねじ込んで設けられており、それ故、ねじ13の軸部をガイドとして長孔10、11の長さ範囲、上下方向に移動し得る。そして、最上位地に引き上げた場合には長孔10の凹部12をねじ13の軸部に落とし込むようにして係止することができるとともに、切り欠き部7の半円より下の開口部8が全開状態となる。逆に、長孔10の凹部12とねじ13の軸部との係止が外れる方向に移動させると、係止部材9は長孔10、11の長さ分、切り欠き部7の半円に沿うように落下し、切り欠き部7の半円より下の開口部8の一部(半分程度)を切り欠き部7の半円を延長した形態で閉じる。
【0015】
上記構成のグレーチング1が取付けられるU字状溝2は、図1及び図2に二点鎖線で示すように、グレーチング1を取付けるためにU字状溝2の上部縁に断面L字状の受部14が設けられている。この受部14は、コンクリートのままの場合もあるが、本例では受部14に沿わせて山形鋼15をアンカー(図示せず)を介して取付けた形態となっている。そして、グレーチング1の切り欠き部7に対応する位置の山形鋼15の側面には、切り欠き部7の半円の曲率より僅かに小径の円柱体(管又は棒)16が溶接固定されている。
【0016】
上記構成からなる本発明に係るグレーチング1は、下記の要領でU字状溝2の上部縁に形成された断面L字状の受部14(山形鋼15)内に落とし込んで開閉可能に取付け、使用される。すなわち、グレーチング1に設けられている係止部材9を最上位地に引き上げ、長孔10の凹部12をねじ13の軸部に落とし込むようにして係止しておき、その状態で半円の切り欠き部7と山形鋼15の側面の円柱体16とが係合するようにU字状溝2の山形鋼15内に落とし込む。次いで、係止部材9の上端にフックなどの道具(図示せず)を引っ掛けて長孔10の凹部12とねじ13の軸部との係止が外れる方向に移動させる。この移動により、係止部材9は長孔10、11の長さ分、円柱体16の外周面(切り欠き部7の半円)に沿うように落下し、切り欠き部7の半円より下の開口部8を切り欠き部7の半円を延長した形態で閉じ、円柱体16を把持して設置される。
【0017】
上記のようにU字状溝2内にグレーチング1を設置した状態では、係止部材9が切り欠き部7の半円と相俟って円柱体16を把持しているので、係止部材9を引き上げて開口部8を全開しないかぎりグレーチング1がU字状溝2の山形鋼15との間でガタツクことがなくなり、車などの走行でカタカタ、ガチャガチャといった音を発することが防止できる。と同時に、グレーチング1がU字状溝2内から浮き上がったり、外れたりすることの防止も図れる。
【0018】
また、グレーチング1を開ける場合には、係止部材9の下端あるいは長孔10、11にフックなどの道具(図示せず)を引っ掛けて、グレーチング1に設けられている係止部材9を最上位地に引き上げ、長孔10の凹部12をねじ13の軸部に落とし込むようにして係止することで、開口部8を全開して開けることができる。このように係止部材9を引き上げ係止することで半円の切り欠き部7の開口部8を簡単に全開させることができるので、ごみなどを取り除く作業が支障なく行える。
【0019】
なお、上記例では、半円の切り欠き部7、開口部8及び係止部材9からなる構造を、グレーチング1の前後にそれぞれ1箇所備えた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一方に2箇所、他方に1乃至2箇所備えてあってもよい。
【0020】
また、上記例では、U字状溝2の受部14に沿って山形鋼15が設けられている場合を例に説明したが、山形鋼15を設けない場合には、前もってグレーチング1の切り欠き部7に対応する位置のU字状溝2の受部14の側壁に、切り欠き部7の半円の曲率より僅かに小径の円柱体(管又は棒)16を設けるようにしてもよい。
【0021】
また、上記例では、係止部材9を引き上げるのに、係止部材9の下端あるいは長孔10、11にフックなどの道具(図示せず)を引っ掛けて引き上げる例を説明したが、図5に示すように、引き上げ用の突起17を外周面にも受けても良いし、あるいは図5に二点鎖線で併せて示すように、引き上げ用の貫通孔18(側面の突起としてもよい。)を平板本体に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るグレーチングの説明図であって、aは正面図、bはaのA−A断面図、cはaのB−B断面図である。
【図2】図1のX部拡大説明図である。
【図3】図2のC−C断面図である。
【図4】図2のD−D断面図である。
【図5】本発明に係る係止部材の別の形態の説明図であって、aは正面図、bは右側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1:グレーチング 2:U字状溝 3:主部材
4:エンドプレート 5:横部材 6:外枠
7:切り欠き部 8:開口部 9:係止部材
10、11:長孔 12:係止用の凹部 13:ねじ
14:受部 15:山形鋼 16:円柱体
17:引き上げ用の突起 18:引き上げ用の貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠内に主部材と横部材が格子状に形成されてなるグレーチングにおいて、主部材と平行する外枠の下部に上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きにして形成し、更にその切り欠き部の周面に沿って上下方向に所定範囲移動可能な係止部材を設けるとともに、当該係止部材は、その移動範囲の最上位置に引き上げた際係止することができて前記外枠に形成した開口部を全開し、前記係止を解除したとき落下して前記開口部を所定範囲閉じるように構成されてなることを特徴とするグレーチング。
【請求項2】
係止部材が、その外周上部に引き上げ片を有する請求項1に記載のグレーチング。
【請求項3】
主部材と平行する外枠の下部に、上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きにして形成することに替えて、上方が半円の切り欠き部をその開口部を下向きに有する部材を設ける請求項1又は2に記載のグレーチング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−183308(P2006−183308A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377112(P2004−377112)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】