説明

グローブボックスのロックユニット取付部構造

【課題】ロック解除時におけるロックユニット支持部の撓みを防止し、ロック解除操作時における操作フィーリングの向上を図ることのできるグローブボックスのロックユニット取付部構造を提供する。
【解決手段】ボックスリッド13の前面にノブ操作口23を設け、ノブ操作口23の下縁部に、ノブ操作口23の背部側を被うように断面略L字状のユニット支持壁25を延設し、ユニット支持壁25にロックユニット18を取り付ける。ロックユニット18は、ロック爪27と、ロック爪27を付勢する付勢スプリングと、ロック爪27と付勢スプリングを収容するユニットブロック29と、ロック爪27を後退操作させる解除操作ノブ33とから構成する。ノブ操作口23の上縁部に、ロックユニット18のユニット支持壁25を支点とした回動変位を規制する係止リブ40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のインストルメントパネルの前面に開閉可能に設けられるグローブボックスに関し、とりわけ、グローブボックスを閉状態に維持するためのロックユニットの取付部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のグローブボックスは、一般に、インストルメントパネルの前面に設けられたボックス開口に下端側を回動支点として開閉可能に取り付けられている。そして、車室内側に面するグローブボックスのボックスリッドの前面には、ノブ操作口が設けられ、そのノブ操作口内に解除操作ノブが配置されている。解除操作ノブは、ロック機構を内蔵するロックユニットに一体に組み付けられ、ロックユニットとともにノブ操作口内に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、例えば、ボックスリッドのノブ操作口の下縁部に、ノブ操作口の背部側を被うように断面略L字状のユニット支持壁が一体に延設され、その支持壁の縦壁にロックユニットがビス止め等によって固定されている。そして、ロックユニットは、ユニットブロック内に、インストルメントパネル側のストライカに係止されてボックスリッドを閉状態でロックするロック爪と、このロック爪を突出方向に付勢する付勢手段が収容されるとともに、ロック爪と連動する解除操作ノブがユニットブロックに回動操作可能に支持されている。
このグローブボックスの場合、ボックスリッドが閉じられた状態で解除操作ノブが回動操作されると、その解除操作ノブと連動するロック爪が付勢手段の力に抗して押し下げられ、それによってロック爪とストライカの係止が解除される。
【特許文献1】特開平10−100798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のグローブボックスにおいては、解除操作ノブと一体のユニットブロックがボックスリッドの断面略L字状のユニット支持壁のみにビス止め等によって固定されているため、解除操作ノブに解除操作力が加わったときにユニット支持壁やビス止め部が撓み変形し易く、このとき撓み変形が生じると、解除操作時の操作フィーリングが低下することが懸念される。
【0005】
そこで、この発明は、ロック解除時におけるロックユニット支持部の撓み変形を防止し、ロック解除操作時の操作フィーリングの向上を図ることのできるグローブボックスのロックユニット取付部構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、インストルメントパネル(例えば、後述の実施形態におけるインストルメントパネル10)のボックス開口(例えば、後述の実施形態におけるボックス開口12)に、下端側を回動支点として揺動可能に設けられるグローブボックスのボックスリッド(例えば、後述の実施形態におけるボックスリッド13)に、前記ボックスリッドの閉時に、前記ボックス開口に前記ボックスリッドを係止するロック手段(例えば、後述の実施形態におけるロック爪27)と、前記ロック手段による係合を操作者の操作により解除する解除操作ノブ(例えば、後述の実施形態における解除操作ノブ33)と、を備えたロックユニット(例えば、後述の実施形態におけるロックユニット18)を取り付けるグローブボックスのロックユニット取付部構造において、前記ボックスリッドの前面にノブ操作口(例えば、後述の実施形態におけるノブ操作口23)を設けるとともに、このノブ操作口の下縁部に、ノブ操作口の背部側を被うように断面略L字状のユニット支持壁(例えば、後述の実施形態におけるユニット支持壁25)を延設し、前記ロックユニットを前記ユニット支持壁に取付けて前記解除操作ノブを前記ノブ操作口内で操作可能とするとともに、前記ノブ操作口の上縁部に、前記ロックユニットの前記ユニット支持壁に対する変位を規制する変位規制壁(例えば、後述の実施形態における係止リブ40)を設けたことを特徴とする。
【0007】
これにより、ロック解除時に解除操作ノブが回動操作されると、その操作力は、ノブ操作口の下縁部に延設されたユニット支持壁と、ノブ操作口の上縁部に設けられた変位規制壁によって支持されるようになる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、解除操作ノブに加えられた操作力が、ノブ操作口の下縁部に延設されたユニット支持壁と、ノブ操作口の上縁部に設けられた変位規制壁とに分散して支持されるため、ロック解除時におけるユニット支持壁の撓みを防止し、ロック解除操作時における操作フィーリングを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後や上下等の向きは、特別に断らない限り、車両に取り付けられた状態での向きを指すものとする。また、前方とは、車両進行方向に対して前方を意味し、図中矢印Fが車両進行方向に対しての前方を指すものとする。
【0010】
図1は、車両のインストルメントパネル10を正面から見たときの図であり、同図中11は、助手席の前面側にあって小物や書類等を収容するグローブボックスである。グローブボックス11は、インストルメントパネル10の前面に形成された略矩形状のボックス開口12に、下端側を回動支点として開閉可能に取り付けられている。
【0011】
図2は、グローブボックス11をインストルパネル10から取り外し、背面側から見たときの斜視図である。グローブボックス11は、ボックス開口12を車室内側から閉塞するボックスリッド13と、ボックスリッド13の裏面側に一体に結合されたボックス本体14とを備えている。ボックスリッド13とボックス本体14はそれぞれ樹脂材料によって一体に形成されている。
ボックスリッド13は、車室内に臨む化粧面を成し、ボックス開口12を閉じた状態でインストルメントパネル10とほぼ連続した面を成すようになっている。
【0012】
ボックス本体14は、ボックスリッド13の裏面を被う略矩形状の背面カバー部15と、この背面カバー部15から上方側が開口するように車体前方側に膨出して形成された収容凹部16と、を備えている。背面カバー部15の左右両側の下端には、ヒンジアーム17,17がそれぞれ一体に形成され、これらのヒンジアーム17,17がインストルメントパネル10側の図示しない支持軸に回動自在に支持されるようになっている。このグローブボックス11は、この下端側の支持軸を回動支点としてボックス開口12に開閉可能に取り付けられている。
【0013】
また、背面カバー部15の幅方向略中央の上部には、後述するロックユニット18(図3〜図5参照)を被うロックカバー部19が膨出して形成され、そのロックカバー部19の上方側の傾斜面19aにストライカ挿入窓20が形成されている。このストライカ挿入窓20には、インストルメントパネル10の内側から車室内方向に突設されたストライカ21(図5参照)がグローブボックス11の閉時に挿入されるようになっている。なお、図2中、22は、背面カバー部15の収容凹部16に臨む側の面に一体に形成されたカードホルダである。
【0014】
図3は、ボックス本体14を取り去ってグローブボックス11を背面側から見たときの斜視図であり、図4は、ロックユニット18の単体の斜視図、図5は、図3のA−A断面に対応する断面図である。
図5に示すように、ボックスリッド13の前面の上部寄りの中央位置には、略方形状のノブ操作口23が設けられ、このノブ操作口23の背面側に上方に開口するポケット状のユニット収容部24が設けられている。このユニット収容部24は、ノブ操作口23の下縁部からノブ操作口23の背面側を被うように略L字状に延出するユニット支持壁25を備え、ロックユニット18がこのユニット支持壁25に一対のビス26によって締結されるようになっている。
【0015】
ロックユニット18は、ボックスリッド13の閉時に、ストライカ21に係止されてボックスリッド13を閉状態でロックするロック爪27(ロック手段)と、このロック爪27を突出方向に付勢する付勢スプリング28(付勢手段)と、ロック爪27と付勢スプリング28を収容するユニットブロック29と、を備えている。
【0016】
ロック爪27は、上部前面側にテーパ面30を有し、テーパ面30の背部がストライカ21に係止される係止部31とされている。また、ロック爪27の下端には、付勢スプリング28の上端が嵌合されてばね反力を受けるスプリング係合部32が設けられるとともに、ノブ操作口23側に延出して後述する解除操作ノブ33から操作荷重を受ける荷重受け部34が設けられている。
【0017】
ユニットブロック29は、略長方体状のブロック本体29aの上面側に、ロック爪27を進退自在に案内するガイド孔35が設けられるとともに、ブロック本体29aの左右両側に、解除操作ノブ33を図示しない支持ピンによって回動自在に軸支するノブ支持壁29b,29bが延設されている。また、ブロック本体29aの左右両側の各ノブ支持壁29bの直下位置にはビス固定用のボス部36が一体に設けられている。さらに、ブロック本体29aの後方側の端部(車室内側の端部)には上部延出壁29cが一体に形成され、この上部延出壁29cの上端部には前方側に向かって略直角に屈曲した一対の係止壁29d,29dが突設されている。この係止壁29d,29dは左右方向に離間して配置され、それぞれの上面には一対の位置決め突起37,37が形成されている。
【0018】
また、解除操作ノブ33は、ボックスリッド13のノブ操作口23内に配置されて、操作者によって直接把持されるノブ本体33aと、ノブ本体33aの背面の左右両側に突設されて、ユニットブロック29のノブ支持壁29b,29bに回動自在に枢支される支持壁33b,33bと、ノブ本体33aの背面の中央からロック爪27の荷重受け部34の上面に向かって突設された操作伝達壁38(図5参照)と、を備えている。この操作伝達壁38は、ノブ本体33aが下端側を手前側に押し上げるように回動操作されることによって荷重受け部34を介してロック爪27を下方に押し下げ、それによってロック爪27とストライカ21の係合を解除し得るようになっている。なお、図3〜図5中cは、ユニットブロック29に対する解除操作ノブ33の回動軸心を示す。
【0019】
ところで、ボックスリッド13の背面のうちの、ノブ操作口23の上縁側の左右に離間した二位置には、略L字状の係止リブ40,40(変位規制壁)の対がそれぞれ一体に形成されている。これらの係止リブ40,40の対は、ユニットブロック29の左右の係止壁29d,29dに対応して設けられ、ユニットブロック29がユニット支持壁25にビス止めされるときに、係止リブ40の延出部40aの下面が対応する係止壁29dの上面に当接するようになっている。なお、各対の係止リブ40,40は、対応する係止壁29d上の位置決め突起37,37間に配置される。また、係止リブ40…は、ボックスリッド13の背面に略水平に延設された板状の補強リブ41によって補強されている。
【0020】
以上の構成において、グローブボックス11のボックスリッド13が閉じられた状態から操作者によって解除操作ノブ33が上方に押し上げ操作されると、解除操作ノブ33の操作伝達壁38が付勢スプリング28の力に抗してロック爪27を下方に押し下げ、それによってロック爪27とストライカ21の係合が解除されることになる。
【0021】
このとき、解除操作ノブ33に加えられた力は、回動軸心cを中心としてロック爪27に入力されるとともに、ユニットブロック29とユニット支持壁25のビス止め部に支持されることになる。また、このときボックスリッド13のノブ操作口23の上縁部に突設された複数の係止リブ40…がユニットブロック29の係止壁29dに上面側から当接しているため、ユニットブロック29の上方側への回動変位は係止リブ40…によって規制される。このため、解除操作ノブ33に加えられた操作力は、ノブ操作口23の下縁部に延設されたユニット支持壁25と、ノブ操作口23の上縁部に突設された係止リブ40…によって分散して支持されることになり、このときユニット支持壁25の撓み変形は係止リブ40…によって規制される。これにより、解除操作ノブ33に加えられた解除操作力が迅速にロック爪27に伝達されることになり、ロック解除操作時における操作フィーリングは向上する。
【0022】
このロックユニット18の取付部構造においては、上記のようロック解除操作時におけるユニット支持壁25の撓み変形を規制して、ロック解除操作のフィーリングを向上させることができるが、ノブ操作口23の上縁部の係止リブ40をユニットブロック29の係止壁29dに上面側から当接させるだけでビス止め箇所を増加させるものでないため、部品点数の増加や組立ての煩雑化を招くことがない。このため、この取付部構造を採用することによって製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
さらに、この取付部構造にあっては、ボックスリッド13に突設された係止リブ40の下面にユニットブロック29の係止壁29dを当接させて位置決めした状態において、ユニットブロック29をユニット支持壁25にビス止めすることができるため、ロックユニット18の組付時における作業性を向上させることができる。
特に、この実施形態においては、ユニットブロック29の各係止壁29dの上面に位置決め突起37,37を形成し、対を成す係止リブ40,40を位置決め突起37,37間で係止壁29dの上面に当接させるようになっているため、組付時に、ユニットブロック29を幅方向についても正確に位置決めすることができる。したがって、組付作業性をさらに向上させることができる。
【0024】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態を示す車両のインストルメントパネルの正面図。
【図2】同実施形態を示すグローブボックスを背面側から見た斜視図。
【図3】同実施形態を示すロックユニット取付部を背面側から見た斜視図。
【図4】同実施形態を示すロックユニットの単体を背面側から見た斜視図。
【図5】同実施形態を示す図3のA−A断面に対応する断面図。
【符号の説明】
【0026】
10…インストルメントパネル
11…グローブボックス
12…ボックス開口
13…ボックスリッド
18…ロックユニット
23…ノブ操作口
25…ユニット支持壁
27…ロック爪(ロック手段)
33…解除操作ノブ
40…係止リブ(変位規制壁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルのボックス開口に、下端側を回動支点として揺動可能に設けられるグローブボックスのボックスリッドに、前記ボックスリッドの閉時に、前記ボックス開口に前記ボックスリッドを係止するロック手段と、前記ロック手段による係合を操作者の操作により解除する解除操作ノブと、を備えたロックユニットを取り付けるグローブボックスのロックユニット取付部構造において、
前記ボックスリッドの前面にノブ操作口を設けるとともに、このノブ操作口の下縁部に、ノブ操作口の背部側を被うように断面略L字状のユニット支持壁を延設し、前記ロックユニットを前記ユニット支持壁に取付けて前記解除操作ノブを前記ノブ操作口内で操作可能とするとともに、
前記ノブ操作口の上縁部に、前記ロックユニットの前記ユニット支持壁に対する変位を規制する変位規制壁を設けたことを特徴とするグローブボックスのロックユニット取付部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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