説明

グローブボックスの蓋部開閉アシスト機構

【課題】蓋部を開けるときは勿論、閉めるときも良好な操作性を得ることのできるグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構を提供する。
【解決手段】グローブボックス側面に設けられ、グローブボックスの蓋部の開閉操作をアシストする開閉アシスト機構であって、ゼンマイ10Aが巻き取られた巻取りローラ10と、巻取りローラ10横方に回動自在に配置され、巻取りローラ10からゼンマイ10Aを引き出し外周面に巻き付ける巻付けローラ11と、前記両ローラ10,11の中間部下方に配置され上下に移動自在な移動滑車18と、移動滑車18の上方に固定された上方固定滑車15と、移動滑車18の下方に固定された下方固定滑車16と、一端側が移動滑車18下方の固定部に固定され、他端側が移動滑車18及び下方固定滑車16を介して蓋部に固定された引き側ワイヤ34と、一端側が巻付けローラ11の外周面に固定され、他端側が上方固定滑車15を介して移動滑車18に固定された引かれ側ワイヤ33とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスの蓋部を開閉する際、その開閉操作をアシストするグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車には、インストルメントパネルのうち助手席前方側にグローブボックスが設けられている。このようなグローブボックスは、車室内側が開口された箱形のグローブボックス容器本体と、グローブボックス容器本体の開口端に、該開口端下方のヒンジを介して取り付けられた蓋部とを備えている。
【0003】
上記グローブボックスにおいては、通常、蓋部はグローブボックス容器本体の開口端にロックされているが、このロックを解除すると、蓋部はその自重で前記ヒンジを中心にして回動することにより、グローブボックス容器本体は開けられた状態となり、また、蓋部をヒンジを中心にして前記とは逆方向に回動させて、蓋部をグローブボックス容器本体の開口端に密着させることにより、グローブボックス容器本体は閉められた状態となる。
【0004】
ところで、蓋部の回動動作が速すぎると、蓋部を開け閉めする際に操作音が発生して耳障りである。そこで、従来のグローブボックスにおいては、蓋部にダンパユニットを接続し、蓋部を開け閉めする際の回動動作をダンパユニットの抵抗力によって緩やかにして、操作音の発生を防ぐようにしている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−61307号公報
【特許文献2】特開2004−175151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、蓋部を開けるときはよいが、蓋部を閉めるときはダンパユニットの抵抗力に対して、蓋部をグローブボックス容器本体の開口端に強く押し付けなければならず、良好な操作性が得られないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、蓋部を開けるときは勿論、閉めるときも良好な操作性を得ることのできるグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、グローブボックス容器本体の側面に設けられ、該グローブボックス容器本体の開口端下方のヒンジを介して設けられた蓋部の開閉操作をアシストするグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構であって、ゼンマイが巻き取られたゼンマイ巻取り部と、前記ゼンマイ巻取り部の横方に回動自在に配置され、該ゼンマイ巻取り部からゼンマイを引き出して外周面に巻き付けるゼンマイ巻付け部と、前記ゼンマイ巻取り部及び前記ゼンマイ巻付け部の中間部下方に配置され、上下方向に移動自在な移動滑車と、前記移動滑車の上方に固定された上方固定滑車と、前記移動滑車の下方に固定された下方固定滑車と、一端側が前記移動滑車下方の固定部に固定され、他端側が前記移動滑車及び前記下方固定滑車を介して前記蓋部に固定された引き側ワイヤと、一端側が前記ゼンマイ巻付け部の外周面に固定され、他端側が前記上方固定滑車を介して前記移動滑車に固定された引かれ側ワイヤとを備えたことを特徴としている。
【0008】
蓋部が閉められているとき、蓋部はグローブボックス容器本体の開口端にロックされている。蓋部を開ける際、このロックを解除すると、蓋部は、その自重によってグローブボックス容器本体の開口端下方のヒンジを中心に回動し、蓋部が開いた状態となる。このとき、蓋部によって引き側ワイヤが引っ張られ、移動滑車が下方へ移動するとともに、この移動滑車の移動によって引かれ側ワイヤが引っ張られてゼンマイ巻付け部が所定方向に回動する。ゼンマイ巻付け部が所定方向に回動すると、ゼンマイ巻取り部からゼンマイが引き出され、その引き出されたゼンマイがゼンマイ巻付け部の外周面に巻き付けられていく。
【0009】
また、蓋部を閉める際には乗員が蓋部を手で押して、蓋部をヒンジを中心に前記とは逆方向に回動させ、蓋部をグローブボックス容器本体の開口端に密着させることにより、蓋部が閉じた状態となる。このとき、ゼンマイ巻取り部に巻き付けられたゼンマイはその復元力によって元の状態に戻ろうとし、その結果、ゼンマイはゼンマイ巻取り部に巻き取られる。ゼンマイがゼンマイ巻取り部に巻き取られると、ゼンマイ巻付け部が前記とは逆方向に回動し、引かれ側ワイヤが引っ張られて、移動滑車は上方へ移動する。これにより、引き側ワイヤが引っ張られて、蓋部の閉じ動作をスムーズに行わせることができる。
【0010】
このように、上記構成においては、蓋部がその自重によって開く際の力を利用してゼンマイ巻付け部が回動駆動され、そのゼンマイ巻付け部の外周面にゼンマイが巻き付けられるので、巻き付けられたゼンマイには蓋部を開ける際に生じたエネルギ(復元力)が蓄えられており、蓋部を閉める際にゼンマイに蓄えられた前記エネルギを使用して、蓋部をスムーズに閉めることが可能となっている。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記蓋部及び前記グローブボックス容器本体のうち、一方には磁石が、他方には磁性体が設けられ、前記蓋部が閉じられたときは、前記磁性体が前記磁石に吸着されて閉じ状態を維持し、前記蓋部が開けられたときは、前記磁性体が前記磁石から引き離されることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記ゼンマイ巻付け部の回動動作を緩やかにするためのダンパを設けたことを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明はグローブボックスの発明であり、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋部開閉アシスト機構を搭載したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓋部を開けるときは勿論、閉めるときも良好な操作性を得ることが可能なグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0016】
図1及び図2は本発明に係る蓋部開閉アシスト機構の構成を示しており、図1は蓋部開閉アシスト機構が搭載されたグローブボックスの左側面図、図2は蓋部開閉アシスト機構の斜視図である。
【0017】
グローブボックス1は、図1に示すように、車室側に開口端(開口端は図の左側に設けられている)を有する箱形のグローブボックス容器本体2と、グローブボックス容器本体2の開口端に当該開口端下方のヒンジ3を介して設けられた蓋部4とを備えている。また、蓋部4は、蓋本体4Aと、蓋本体4Aの裏面左右に設けられグローブボックス容器本体2の左右両側面の外側に沿って突出したアーム4Bとを備えている。
【0018】
アーム4Bの先端は上下に分岐し、上方に向かってアーム先端上部4Cが、下方に向かってアーム先端下部4Dがそれぞれ形成されている。また、グローブボックス容器本体2の左右両側面の周囲には車両幅方向外側に向かって突出した突条2Aが設けられており、この突条2Aのうち、グローブボックス容器本体2の開口端側(図1の左側)には切欠き部2Bが形成され、蓋部4のアーム4Bは切欠き部2Bに挿通されている。
【0019】
本発明に係る蓋部開閉アシスト機構5は平板状のモジュールベース6上に設けられ、このモジュールベース6はビス7A,7Bによってグローブボックス容器本体2の左側面に取り付けられている。
【0020】
モジュールベース6には、図1及び図2に示すように、支軸8及び支軸9が固定され、支軸8にはゼンマイ巻取りローラ(ゼンマイ巻取り部)10が、支軸9にはゼンマイ巻付けローラ(ゼンマイ巻付け部)11がそれぞれ設けられている。ゼンマイ巻取りローラ10は支軸8周りに回動自在に、また、ゼンマイ巻付けローラ11は支軸9周りに回動自在にそれぞれ取り付けられている。ゼンマイ巻取りローラ10にはゼンマイ10Aが設けられており、このゼンマイ10Aの先端はゼンマイ巻取りローラ10から引き出されてゼンマイ巻付けローラ11の外周面に固定されている。
【0021】
また、モジュールベース6には、ゼンマイ巻取りローラ10及びゼンマイ巻付けローラ11よりも車両前後方向に沿って前方側(図1及び図2において右側)に、車両後方向から見て断面コ字状のサブベース12が設けられている。モジュールベース6とサブベース12の間には支軸13,14が固定され、図3に示すように、支軸13には上方固定滑車15が、支軸14には下方固定滑車16がそれぞれ回転自在に設けられている。
【0022】
サブベース12には、図1及び図2に示すように、その略中央部に上下方向に長い長穴12Aが形成され、この長穴12A内に支軸17が長穴12Aに沿って上下方向に移動自在に係合されている。支軸17には、図3に示すように、移動滑車18が設けられており、移動滑車18は長穴12Aに沿って上下方向に移動自在である。
【0023】
また、図1及び図2に示すように、サブベース12にはピン19を介してダンパ20が取り付けられている。ダンパ20はロッド20Aを有し、このロッド20Aの先端部材20Bはピン21によってゼンマイ巻付けローラ11の端面に取り付けられている。なお、ダンパ20はピン19周りに回動自在であるとともに、ピン21周りにも回動自在である。
【0024】
さらに、ゼンマイ巻付けローラ11の外周面には押し出しプレート22が取り付けられ、この押し出しプレート22の先端には直方体形状のスライド部材23が設けられている(図3も参照)。スライド部材23は、モジュールベース6に固定されたガイド部材24内を車両前後方向に摺動自在であるとともに、その一側端面には磁石25が取り付けられている。
【0025】
ガイド部材24とモジュールベース6との間には、図2に示すように、車室内側(図の左側)に空隙24Aが形成され、蓋部4を閉めたとき、蓋部4のアーム4Bの先端はガイド部材24の空隙24A内に入り込む。また、ガイド部材24には車室内側に鉄片(磁性体)26が取り付けられている。一方、蓋部4のアーム先端上部4Cにも鉄片(磁性体)27が取り付けられている。
【0026】
また、モジュールベース6には、図1及び図2に示すように、支軸28によって解除レバー29が取り付けられ、この解除レバー29は支軸28周りに回動自在となっている。解除レバー29の一側(図1及び図2において右側)下部にはくちばし状の係止部29Aが形成され、この係止部29Aは蓋部4のアーム先端上部4Cに当接可能となっている。また、解除レバー29には、係止部29Aの上方位置に略J字型の係合孔29Bが形成されている。
【0027】
一方、グローブボックス容器本体2の上面には解除ボタン30が設置され、この解除ボタン30の一側はL字型に折り曲げられて、その先端には解除レバー29の係合孔29Bに係合したピン30Aが設けられている。
【0028】
さらに、解除レバー29の他側(図1及び図2において左側)には2つの突条29C,29Dが上下方向に形成され、これら突条29Cと29Dの中央部にピン29Eが形成されている。そして、突条29C,29D間には移動レバー31が設けられており、この移動レバー31は、上下方向に長く且つピン29Eに係合した長孔31Aを有している。すなわち、移動レバー31は、ピン29Eが長孔31Aに係合した状態で上下方向に移動自在となっている。
【0029】
図1において、移動レバー31の下部先端は蓋部4のアーム先端上部4Cに当接している。つまり、図1の状態においては、蓋部4のアーム先端上部4Cは、解除レバー29の係止部29Aと移動レバー31の下部先端とによって挟持されている。なお、32はコイルスプリングであり、解除ボタン30を図1において左方向に付勢している。
【0030】
図3に示すように、ゼンマイ巻付けローラ11の外周面には引かれ側ワイヤ33の一端が固定され、この引かれ側ワイヤ33は上方固定滑車15に巻回されて、他端が移動滑車18の支軸17に固定されている。
【0031】
また、一端がモジュールベース6又はサブベース12に固定された引き側ワイヤ34が設けられ、この引き側ワイヤ34は移動滑車18及び下方固定滑車16に巻回されて、他端が蓋部4のアーム先端下部4D(図1参照)に固定されている。
【0032】
次に、本実施例における蓋部開閉アシスト機構の動作について、図3〜図6を用いて説明する。
【0033】
蓋部4が閉められているとき、蓋部4はグローブボックス容器本体2の開口端に、図示していないロック機構によってロックされている。また、スライド部材23はゼンマイ巻付けローラ11に近い側に位置しており、このスライド部材23端面の磁石25に蓋部4のアーム先端上部4Cの鉄片27が吸着されている。
【0034】
蓋部4を開ける際に、図4に示すように、乗員が指で解除ボタン30を矢印A1方向に押すと、解除ボタン30全体が同方向へ移動して、その先端のピン30AはJ字型の係合孔29B内を車両前部側(図4において右側)に移動する。これにより、解除レバー29は支軸28を中心に矢印B1方向に回動する。解除レバー29が矢印B1方向に回動すると、解除レバー29下部のくちばし状の係止部29Aが蓋部4のアーム先端上部4Cを押して、磁石25に吸着された鉄片27が引き離される。また、解除レバー29の矢印B1方向への回動と共に移動レバー31も同方向へ回動し、移動レバー31の下部先端が蓋部4のアーム先端上部4Cから離れる。その結果、蓋部4はその自重によりヒンジ3を中心に矢印C1方向に回動する。
【0035】
蓋部4が矢印C1方向に回動すると、図3に示すように、蓋部4によって引き側ワイヤ34が矢印D1方向に引っ張られ、移動滑車18が長穴12A(図1及び図2も参照)に沿って矢印E1方向(下方)へ移動するとともに、この移動滑車18の移動によって引かれ側ワイヤ33が引っ張られてゼンマイ巻付けローラ11が矢印F1方向に回動する。
【0036】
ゼンマイ巻付けローラ11が矢印F1方向に回動すると、ゼンマイ巻取りローラ10からゼンマイ10Aが引き出され、その引き出されたゼンマイ10Aがゼンマイ巻付けローラ11の外周面に巻き付けられていく。このとき、ゼンマイ巻取りローラ10はゼンマイ10Aが引き出されるため、矢印G1方向に回動する。
【0037】
また、ゼンマイ巻付けローラ11が矢印F1方向に回動すると、一端がゼンマイ巻付けローラ11に固定された押し出しプレート22が押し出され、この押し出しプレート22によってスライド部材23は矢印H1方向に移動する。そして、図5に示すように、スライド部材23端面の磁石25がガイド部材24に設けられた鉄片26を吸着する。ゼンマイ巻付けローラ11の外周面に巻き付けられたゼンマイ10Aは復元力により元の状態に、つまりゼンマイ巻取りローラ10側へ巻き付こうとするが、スライド部材23端面の磁石25がガイド部材24の鉄片26を吸着しているので、ゼンマイ10Aのゼンマイ巻取りローラ10側への巻き付きが阻止され、蓋部4の開状態が保持される。
【0038】
なお、乗員が解除ボタン30から指を離すと、解除ボタン30はコイルスプリング32の付勢力によって矢印A2方向に移動する。これにより、解除ボタン30先端のピン30Aが解除レバー29の係合孔29B内を移動し、解除レバー29は支軸28を中心に矢印B2方向に回動して元の状態に戻る。
【0039】
また、蓋部4を閉める際には、図6に示すように、乗員が手で蓋本体4Aを矢印C2方向へ押して、蓋部4をヒンジ3を中心に同方向に回動させる。すると、アーム4Bの先端がガイド部材24の空隙24A(図2参照)に入り込み、アーム上部先端4Cの鉄片27がスライド部材23端面の磁石25に吸着されるとともに、アーム4Bが、図3に示すように、スライド部材23を矢印H2方向へ押して、ガイド部材24に設けられた鉄片26と磁石25との吸着を引き離す(図6も参照)。
【0040】
スライド部材23が矢印H2方向に押されると、ゼンマイ巻付けローラ11は矢印F2方向への回動が許容され、図3に示すように、ゼンマイ10Aの復元力(ゼンマイ巻取りローラ10側に戻ろうとする力)によって実際にゼンマイ巻付けローラ11は矢印F2方向へ回動する。このとき、ゼンマイ巻取りローラ10は矢印G2方向に回動する。
【0041】
ゼンマイ巻付けローラ11が矢印F2方向へ回動すると、引かれ側ワイヤ33が引っ張られ、移動滑車18は矢印E2方向(上方向)に移動する。そして、移動滑車18の矢印E2方向への移動によって引き側ワイヤ34が引っ張られ、引き側ワイヤ34は蓋部4のアーム先端下部4Dとの連結点を矢印D2方向に移動させ、蓋部4を引っ張って蓋本体4Aをグローブボックス容器本体2の開口端に密着させる。
【0042】
また、蓋部4を閉める際に、アーム4Bのアーム先端上部4Cが移動レバー31に当たるが、移動レバー31の下部は解除レバー29の突条29Cに近い側が円弧状に形成されているので、アーム4Bのアーム先端上部4Cが移動レバー31に当たると、移動レバー31は上方へ押し上げられ、蓋部4のヒンジ3を中心とした回動を妨げることはない。蓋部4が完全に閉められたときは、移動レバー31はその自重により下方へ移動して元の位置に戻る。
【0043】
このように、本実施例によれば、蓋部4がその自重によって開く際の力を利用してゼンマイ巻付けローラ11が回動駆動され、そのゼンマイ巻付けローラ11の周囲にゼンマイ10Aが巻き付けられるので、巻き付けられたゼンマイ10Aには蓋部4を開ける際に生じたエネルギが蓄えられており、蓋部4を閉める際にゼンマイ10Aに蓄えられた前記エネルギを使用して、蓋部4をスムーズに閉めることが可能となる。
【0044】
本実施例によれば、ゼンマイ巻付けローラ11にダンパ20が取り付けられているので、ゼンマイ巻付けローラ11の矢印F1及びF2方向への回動を緩やかにすることができ、その結果、蓋部4の開閉動作も緩やかで且つ静かなものとすることができる。
【0045】
また、本実施例によれば、移動滑車17を用いているので、蓋部4を開閉する際に、引き側ワイヤ34と蓋部4のアーム先端下部4Dとの連結点においては、移動滑車17を用いない場合に比べて、移動距離は半分となり、力は2倍となる。
【0046】
また、ゼンマイ10Aとして定トルクゼンマイバネを使用すれば、巻き始めから巻き終わりまで一定のトルクが得られる。
【0047】
また、ゼンマイ巻取りローラ10の横方にゼンマイ巻付けローラ11を配置したので、前記両ローラ10,11における上下方向の専有面積を小さくすることができ、その分、モジュールベース6のコンパクト化を実現できる。
【0048】
さらに、本実施例の蓋部開閉アシスト機構はモジュール化できるので、各製品毎に設計し直すという手間が省ける。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0050】
例えば、本発明の蓋部開閉アシスト機構は、垂直状態であったものを、使用するときだけ倒して水平状態とするカップホルダやアームレスト等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る蓋部開閉アシスト機構が搭載されたグローブボックスの左側面図である。
【図2】蓋部開閉アシスト機構の斜視図である。
【図3】蓋部開閉アシスト機構の要部構成図である。
【図4】グローブボックスの蓋部を開け始めたとき様子を示す図である。
【図5】グローブボックスの蓋部が全開したときの様子を示す図である。
【図6】グローブボックスの蓋部を閉めている途中の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 グローブボックス
2 グローブボックス容器本体
3 ヒンジ
4 蓋部
10 ゼンマイ巻取りローラ(ゼンマイ巻取り部)
10A ゼンマイ
11 ゼンマイ巻付けローラ(ゼンマイ巻付け部)
15 上方固定滑車
16 下方固定滑車
18 移動滑車
20 ダンパ
22 押し出しプレート
23 スライド部材
25 磁石
26,27 鉄片(磁性体)
29 解除レバー
30 解除ボタン
31 移動レバー
33 引かれ側ワイヤ
34 引き側ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グローブボックス容器本体の側面に設けられ、該グローブボックス容器本体の開口端下方のヒンジを介して設けられた蓋部の開閉操作をアシストするグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構であって、
ゼンマイが巻き取られたゼンマイ巻取り部と、
前記ゼンマイ巻取り部の横方に回動自在に配置され、該ゼンマイ巻取り部からゼンマイを引き出して外周面に巻き付けるゼンマイ巻付け部と、
前記ゼンマイ巻取り部及び前記ゼンマイ巻付け部の中間部下方に配置され、上下方向に移動自在な移動滑車と、
前記移動滑車の上方に固定された上方固定滑車と、
前記移動滑車の下方に固定された下方固定滑車と、
一端側が前記移動滑車下方の固定部に固定され、他端側が前記移動滑車及び前記下方固定滑車を介して前記蓋部に固定された引き側ワイヤと、
一端側が前記ゼンマイ巻付け部の外周面に固定され、他端側が前記上方固定滑車を介して前記移動滑車に固定された引かれ側ワイヤとを備えたことを特徴とするグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構。
【請求項2】
前記蓋部及び前記グローブボックス容器本体のうち、一方には磁石が、他方には磁性体が設けられ、前記蓋部が閉じられたときは、前記磁性体が前記磁石に吸着されて閉じ状態を維持し、前記蓋部が開けられたときは、前記磁性体が前記磁石から引き離されることを特徴とする請求項1に記載のグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構。
【請求項3】
前記ゼンマイ巻付け部の回動動作を緩やかにするためのダンパを設けたことを特徴とする請求項1に記載のグローブボックスの蓋部開閉アシスト機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓋部開閉アシスト機構を搭載したことを特徴とするグローブボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−189262(P2008−189262A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28363(P2007−28363)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】