説明

ケーキ用包装容器

【課題】 ケーキの製造者にとってケーキ類のデコレーション作業がしやすく、食する者にとってケーキ類のカットが容易にでき、持ち運びに便利なケーキ用包装容器を提供する。
【解決手段】 上面にケーキ載置用の底板と、底板の外周縁より垂れ下る垂下壁と、垂下壁の外周縁にフランジを有する合成樹脂製の容器本体と、上面に天板と側壁と下端部に開口部を有する合成樹脂製の蓋体とを備え、底板が、中心部を上位とする上方向に膨れ緩やかな曲面をなす杯状又は底板の中心部を含む部分を上階とし外周縁に向かい下がる階段状に形成され、蓋体を容器本体に容器本体を蓋体で閉止可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースデーケーキやクリスマスケーキ等のデコレーションケーキ類を収容するテイクアウト用、携帯用等に用いられるケーキ用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円柱状や頂部が円錐形状となったデコレーションケーキ類を店頭で購入し持ち帰るテイクアウト用容器、あるいは自家製のデコレーションケーキ類を収容し、持ち運びするための携帯用容器としては、多種多様の構造を有する容器が知られているが、一般的には、前後両側部が全開口されたトンネル型の箱本体と、該箱本体の前後の開口部を全開,全閉するための開閉蓋部とを備えたケーキ類の紙製容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、デコレーションケーキ類を載置する四角なトレーの周縁からやゝ内側寄りに蓋体のガイドとなる低い周壁を立設した浅底の容器本体と、ケーキの高さ以上の深さの側壁を有し、容器本体の前記周壁に外嵌される蓋体とによって構成した紙製容器が慣用されている。これらの紙製容器には、厚紙台紙の中心にケーキ固定用の金具を有するトレーにケーキ類の中心を固定用の金具に突き刺して載置したケーキ類を収容して閉蓋した後、例えば、紙製容器全体にリボン等を結んで持ち運ばれる。
【0003】
しかしながら、紙製容器には紙粉が発生したり、特に紙の端面に紙粉が付着していることがあり、これらの紙粉があるとケーキ類に付着し、食品衛生上好ましいものではない。また、ケーキを載置したトレーの中心にはケーキ固定用の金具があるために、紙製容器からトレーを取出し、円形のケーキをナイフ等でカットする際にナイフ等が金具に当たり、邪魔になったり、不快感を感じたりする。また、トレーには、ケーキ類を載置する目印がなく、ケーキ類がトレーからはみださないように載置するのに手間がかかるものとなっていた。
【0004】
また、ケーキ載置用の合成樹脂製の容器底本体と、この容器底本体の上面側に被せられる合成樹脂製の透明な蓋体とを備え、容器底本体の上面には、上方向に突出する凸状部がこの容器底本体の外周縁に沿って一連に形成されている合成樹脂製の容器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。上記容器は、合成樹脂製とすることにより、紙粉の問題は解消されているが、容器底本体の上面には、この容器底本体の外周縁に沿って一連に上方向に突出する凸状部が形成されているために、ケーキを生クリーム等でデコレーションする際に邪魔になり、さらにケーキをナイフ等でカットする際に凸状部にナイフ等があたりケーキの外周縁部が一部カットできないために、ナイフ等をずらしてカットする必要があり手間がかかるという問題がある。また、容器底本体には目印がないために容器本体の中心とケーキ類の中心がほぼ一致するように載置するのに手間がかかるという問題がある。
【特許文献1】実用新案登録第3048960号公報
【特許文献2】実用新案登録第3022059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ケーキの製造者あるいは販売者にとってケーキ類のデコレーション作業がしやすく、消費者あるいは食する者にとってケーキ類のカットが容易にでき、持ち運びに便利なケーキ用包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、上面にケーキ載置用の底板を備え、前記底板の外周縁より垂れ下る垂下壁を設け、該垂下壁の外周縁にフランジを有する合成樹脂製の容器本体と、該容器本体の上面側に被せ閉蓋される上面に天板と該天板の外周縁に連なる側壁と該側壁の下端部に開口部を有する合成樹脂製の蓋体とを備え、前記容器本体の前記底板が、該底板の中心部を上位とする上方向に膨れ緩やかな曲面をなす杯状又は前記底板の中心部を含む部分を上階とし外周縁に向かい下がる階段状に形成され、前記蓋体を前記容器本体に被せ前記容器本体を前記蓋体で閉止可能に構成されていることを特徴とするケーキ用包装容器である。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のケーキ用包装容器において、前記底板の上面に該底板の中心部より外周方向に放射線状に上方向に凸状で、且つ、前記底板の中心部を最上位とし外周方向に緩やかな下り勾配の曲線をなすガイド部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載のケーキ用包装容器において、前記底板の上面に前記底板の中心部を中心とする円を描く畝が設けられ、該畝の前記底板の中心部から外周方向に向かって切断した断面が上方向に向かって山型形状であることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のケーキ用包装容器において、前記底板の上面に上方向に凸状の突起が形成され、且つ、該突起が前記底板の中心部を中心とする所定寸法の直径の円周上に複数設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のケーキ用包装容器において、前記蓋体の前記天板上面に保冷剤を収納する保冷剤収納部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明にかかるケーキ用包装容器は、上面にケーキ載置用の底板を備え、前記底板の外周縁より垂れ下る垂下壁を設け、該垂下壁の外周縁にフランジを有する合成樹脂製の容器本体と、該容器本体の上面側に被せ閉蓋される上面に天板と該天板の外周縁に連なる側壁と該側壁の下端部に開口部を有する合成樹脂製の蓋体とを備え、前記容器本体の前記底板が、該底板の中心部を上位とする上方向に膨れ緩やかな曲面をなす杯状又は前記底板の中心部を含む部分を上階とし外周縁に向かい下がる階段状に形成され、前記蓋体を前記容器本体に被せ前記容器本体を前記蓋体で閉止可能な構成とすることにより、デコレーションケーキが底板に載置されるとスポンジケーキの下部の中心部分が上方向に膨れ上位となる底板の中心部に食い込むことによりケーキの位置ズレが防止できる。
【0012】
また、請求項2記載の本発明は、底板の上面に該底板の中心部より外周方向に放射線状に上方向に凸状で、且つ、底板の中心部を最上位とし外周方向に緩やかな下り勾配の曲線をなすガイド部を設けた構成とすることにより、ケーキをカットするガイドラインの役目を果たしケーキをナイフ等で均等にカットできる。さらにガイド部がリブとなり底板の補強となると共に容器本体の成形時において底板の変形防止効果が得られる。また、ケーキの滑り防止にもなり安心して持ち運び可能となる。
【0013】
また、請求項3記載の本発明は、底板の上面に底板の中心部を中心とする円を描く畝が設けられ、該畝の底板の中心部から外周方向に向かって切断した断面が上方向に向かって山型形状であることにより、より一層ケーキの位置ズレ防止効果があり安心して持ち運びできる。また畝を山型の形状とすることにより、カットされたケーキをサーバーで取り分ける際に畝が障害とならずにスムーズにおこなえる。
【0014】
また、請求項4記載の本発明は、底板の上面に上方向に凸状の突起が形成され、且つ、該突起が底板の中心部を中心とする所定寸法の直径の円周上に複数設けられている構成とすることにより、ケーキを底板の上面に載置する目安となり、位置決めが容易にできケーキの中心と底板の中心部がほぼ一致するようケーキを載置できる。さらにケーキの滑り防止効果があり、安心してケーキを持ち運びできる。
【0015】
また、請求項5記載の本発明は、蓋体の天板上面に保冷剤を収納する保冷剤収納部を設ける構成とすることにより、保冷剤を収納した状態で持ち運ぶことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。
図1は本発明にかかるケーキ用包装容器の一実施形態を示す斜視図、図2は本発明にかかるケーキ用包装容器の容器本体を示す平面図、図3は図2のX−X線断面図、図4は本発明にかかるケーキ用包装容器の蓋体を示す図1におけるY−Y線断面図、図5は本発明の一実施形態の使用状態を示す斜視図、図6は図5のZ−Z線断面図、図7は本発明にかかるケーキ用包装容器の容器本体のその他の実施形態を示す平面図、図8は図7のX’−X’線断面図であり、図中の符号1、1’は容器本体、2は蓋体、3はデコレーションケーキ、10、10’は底板、11は垂下壁、11aは第一垂下壁、11bは第二垂下壁、12はフランジ、13は中心部、14はヒンジ部、15は嵌合片、15aはフック部、16はガイド部、17は畝、17aは緩斜面、17bは急斜面、18は突起、20は天板、21は側壁、22は開口部、23はフック受部、24は膨出壁、25は保冷剤収納部、25aは通気口、26は把手、27は把手収納部、Aはケーキ用包装容器、θ1 、θ2 は傾斜角をそれぞれ示す。
【0017】
図1は、本発明にかかるケーキ用包装容器の一実施形態の構成を説明するために分解して示した斜視図であり、図中の一点鎖線は包装される例えばデコレーションケーキを示している。図1に示すように本発明のケーキ用包装容器Aは、デコレーションケーキ3を載置するための合成樹脂製の容器本体1と、該容器本体1の上面側に被せて閉蓋される合成樹脂製の蓋体2とを具備して構成されている。
【0018】
図2は、容器本体1の平面図であり、図3は図2のX−X線断面図である。容器本体1は、上面にケーキ載置用の底板10を備え、底板10の外周縁には外周縁より垂れ下る垂下壁11を設け、該垂下壁11の外周縁に沿って外方に蓋体2の厚さに相当する程度、水平に伸びるフランジ12等を具備して構成されている。
【0019】
また、垂下壁11には高さ方向のほぼ中間位置から底板10にいたる第一垂下壁11aと該中間位置からフランジ12にいたる部分が第一垂下壁11aよりやや外方に膨出した第二垂下壁11bから構成されている。なお、垂下壁11は、第一垂下壁11aと第二垂下壁11bとしたが、これに限定されるものではなく、任意であるが、このように2段構造の垂下壁11とした方が容器本体1のスタッキング(積上げ)適性が向上するので好ましい。
【0020】
容器本体1の底板10は、図1、図3に示すように底板10の中心部13を上位とする上方向に膨れ緩やかな曲面をなす杯状に形成されている。さらに、フランジ12の外周縁には、ヒンジ部14を介して舌片状の嵌合片15が外方に延設してほぼ外周を等分する位置に3ケ設けられている。また嵌合片15には蓋体2のフック受部に嵌合される上方に向かって逆L字形のフック部15aを備えている。嵌合片15の数は、包装するケーキの大きさ、重量により適宜設けることができる。通常3ケ〜4ケである。
【0021】
また、底板10の上面には、該底板10の中心部13より外周方向に放射線状に上方向に凸状で中心部13と外周側を結ぶ方向に対して直交する断面が角形状で且つ、底板10の中心部13を最上位とし外周方向に緩やかな下り勾配の略弓形の曲線をなすガイド部16が底板10を均等に分割するように6ケ設けられている。ガイド部16は、底板10に載置されたデコレーションケーキをカットするガイドラインとなりガイド部16に沿ってナイフ等で均等にケーキをカットできる。さらにガイド部16がリブとなり底板10の強度が補強されることによって容器本体1の変形を防ぐ効果やケーキの滑り防止効果にもなる。
【0022】
さらに底板10の上面には、底板10の中心部13を中心とする円を描くように畝17が2ケ所設けられている。図3の円内に畝17の拡大断面図を示す。該図に示すように畝17の底板10の中心部13から外周方向に向かって切断した断面が上方向に向かって山型形状をなし、底板10の外周縁側が緩斜面17aで中心部13側が急斜面17bとなっている。つまり、底板10の外周縁側の緩斜面17aが底板10の延長線となす傾斜角θ1 、中心部13側の急斜面17bが底板10の延長線となす傾斜角θ2 の関係がθ1 ≦θ2 であって、傾斜角θ1 は30〜45°が好ましく、傾斜角θ2 は45〜90°が好ましい。底板10の外周縁側を緩斜面17aとすることにより、カットされたケーキを底板10からサーバーで取り分ける際、畝17が障害とならずにスムーズに行え、底板10の中心部13側を急斜面17bとすることにより、ケーキの位置ズレ防止ができ、安心して持ち運べるものである。
【0023】
また、底板10の上面には、上方向に凸状の突起18が形成され、且つ、該突起18が底板10の中心部13を中心とする所定寸法の直径、例えば、15cm及び18cmの円周上にそれぞれ複数設けられている。突起18の数はケーキの大きさにより適宜設けることができるが、例えば、5号ケーキや6号ケーキの場合で通常、20〜100ケでよい。突起18の形状は、先端に向かい細くなっておればよく、例えば、半球面状、円錐形状、角錐形状が好ましい。突起18は、ケーキを底板10の上面に載置する際の目安となるものであり、これにより容易に位置決めができケーキの中心と底板10の中心部13がほぼ一致するようにケーキを載置することができる。また、ケーキの滑り防止にもなり、安心してケーキを持ち運びできる。直径15cmは5号ケーキ載置用、直径18cmは6号ケーキ載置用に設けたものである。なお、畝17及び突起18で描く円は1ケ所もしくは複数設けてもよい。但し、畝17は突起18で描く円よりも底板10の中心部13側に設けることが好ましく、そうすることによりケーキの載置する位置が多少ずれても必ずケーキは畝17上に載置されることとなり、ケーキの滑り防止が確実にできる。
【0024】
次に、図1、図4を参照しながらケーキ用包装容器Aの蓋体2を説明する。蓋体2は、上面に天板20と、この天板20の外周縁に連なる側壁21を備え、この側壁21の下端部が開口部22とされたドーム状の形状である。蓋体2の側壁21の下部は側壁21の外周に沿って設けられたフック受部23を介して外方に膨出した膨出壁24が設けられている。また、フック受部23はU字溝状に形成されている。蓋体2を容器本体1に被せると膨出壁24の内面が容器本体1の第二垂下壁11bに嵌合されると共に、垂下壁11の下端縁が容器本体1のフランジ12に当接され閉蓋される構成となっている。さらに嵌合片15をヒンジ部14で折り返して嵌合片15の逆L字形のフック部15aを蓋体2のU字溝状のフック受部23に嵌合させることによりロックされ、容器本体1を蓋体2で閉止可能とするものである。なお、U字溝状のフック受部23を側壁21の外周に沿って設けられているのでフック部15aを嵌合させる際、位置合わせする必要がなく利用者に利便性を与える効果がある。
【0025】
蓋体2の天板20の上面には、中央付近に保冷剤を収納する保冷剤収納部25が設けられている。保冷剤収納部25は、保冷剤が収納できる深さ程開口部22側に矩形状に凹んで形成され、保冷剤収納部25の底面には、保冷剤の冷気がケーキ用包装容器A内に充たせるように複数のスリット状の通気口25aが形成されている。
【0026】
さらに天板20の中央部には、例えば、合成樹脂製のコの字形の把手26が付設されるとともに把手26を収納する把手収納部27が開口部22側に凹状に、且つ、把手26を収納すると天板20の面より上にはみだすことがないように形成されている。コの字形の把手26は別部品で例えば、コの字形の把手26の両端に外側に凸状の突起を設け、これと対応する把手収納部27の側部の位置に凹部を設けて相互に嵌合させることにより可動自在な構成とされている。
【0027】
次に、図1、図5、図6を参照しながら上記構成のケーキ用包装容器Aの使用方法について説明する。図5は本発明の一実施形態の使用状態を示す斜視図であり、図6は図5のZ−Z線断面図であって蓋体と容器本体がロックされた部分を示す断面図である。まず、図1に示すように容器本体1の底板10の上面に所定寸法の直径の円周上に設けられている複数の突起18に沿ってデコレーションケーキ3を載置し、その後、蓋体2の膨出壁24を容器本体1の第二垂下壁11bに嵌合させ膨出壁24の下端縁をフランジ12に当接させて閉蓋する。嵌合片15をヒンジ部14で折り返してフック部15aをフック受部23に嵌合することにより、膨出壁24を第二垂下壁11bとフランジ12と嵌合片15とで挟まれて保持され蓋体2が容器本体1に閉止される。その後、図5に示すように把手26を手で掴み持ち運びされる。フック部15aとフック受部23は図6に示すようにロックされる構成となっているので安心して持ち運べるものである。食するに際しては、フック部15aをフック受部23より外し、蓋体2を取り除き開蓋する。ナイフ等でデコレーションケーキをガイド部16に沿って、人数分をカットし、底板10に沿ってサーバーでカットされたケーキを取り分け食される。
【0028】
図7は本発明にかかるケーキ用包装容器の容器本体のその他の実施形態を示す平面図であり、図8は図7のX’−X’線断面図である。図7、図8に示すように、本発明のその他の実施形態であるケーキ用包装容器は、容器本体1’の構成が一実施形態と異なる。すなわち、容器本体1’の底板10’が、この底板10’の中心部13を含む部分を上階とし外周縁に向かい下がる5段の階段状に形成されている。各階は中心部13を中心とする同心円の円板状である。階段の数は2〜7段程度でよいが、各段の高さ方向の面は下方から上方に向かって緩やかな登る緩斜面にするほうが好ましく、カットされたデコレーションケーキをサーバーで取り分け易い。
【0029】
また、底板10’の上面には、該底板10’の中心部13より外周方向に放射線状に上方向に凸状で中心部13と外周側を結ぶ方向に対して直交する断面が角形状で且つ、底板10’の中心部13を最上位とし外周方向に向かって緩やかな下り勾配の略弓形の曲線をなすガイド部16が底板10’を均等に分割するように6ケ設けられている。ガイド部16は、底板10’に載置されたデコレーションケーキをカットするガイドラインとなりガイド部16に沿ってナイフ等でケーキを均等にカットできる。さらにガイド部16がリブとなり底板10’の強度が補強されることによって容器本体1の変形を防ぐ効果やケーキの滑り防止効果にもなる。
【0030】
また、底板10’の上面には、上方向に凸状の突起18が形成され、且つ、該突起18が底板10’の中心部13を中心とする所定寸法の直径、例えば、15cm及び18cmの円周上にそれぞれ複数設けられている。突起18の数、形状、作用は一実施形態と同じであり、説明を省略する。また、容器本体1’のその他の構成及び蓋体2は一実施形態と同様である。
【0031】
本発明のケーキ用包装容器は、透明若しくは着色された合成樹脂を用いて所定の金型を用いて射出成形することにより製造される。使用できる合成樹脂としては、食品安全衛生法に合格し、射出成形適性を有する樹脂であれば限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が使用できる。なお、容器本体と蓋体との嵌合方法は、上記の形状に限られることなく、周知の嵌合形状を用いることができる。
【0032】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0033】
所定の金型を用いてポリプロピレンを射出成形して、図1に示すケーキ用包装容器Aを作製した。なお、寸法は下記の通りとした。
容器本体:外径230mmφ
底板 :高さ5mmとし外周部に向かって緩やかな曲線をなす杯状
第二垂下壁 :外径223mmφ
第一垂下壁 :外径220mmφ
畝外径 :170mmφ、150mmφの位置に2つ設けた。
高さ0.5mm、傾斜角θ1 、θ2 =45°
ガイド部 :中心より60°間隔で放射線状に6本形成。
高さ2mm、幅2mm
突起の位置と数:中心より180mmφの位置に72ケ
中心より160φの位置に72ケ
高さ0.5mm半球状
嵌合片の数 :120°の位置に逆L字形フックを3ケ設けた。
蓋体 :外径226mmφ、高さ168mm
膨出壁 :内径223.6mmφ、高さ21mm
フック受部 :U字溝の深さ1mm
天板 :外径160mmφ
【実施例2】
【0034】
所定の金型を用いてポリプロピレンを射出成形して、図7、図8に示す容器本体1’と図1に示す蓋体2を備えたケーキ用包装容器を作製した。なお、寸法は下記の通りとした。
容器本体:外径230mmφ
底板 :高さ5mmとし、1mm高さの階段を5段設けた。
第一垂下壁 :外径220mmφ
第二垂下壁 :外径223mmφ
ガイド部 :中心より60°間隔で放射線状に6本形成。
高さ2mm、幅2mm
突起の位置と数:中心より180mmφの位置に72ケ
中心より160φの位置に72ケ
高さ0.5mm半球状
嵌合片の数 :120°の位置に逆L字形フックを3ケ設けた。
蓋体 :高さ168mm外径226mmφ
膨出壁 :内径223.6mmφ、高さ21mm
フック受部 :U字溝の深さ1mm
天板 :外径160mmφ
【0035】
実施例1、2で作製したケーキ用包装容器を用いてそれぞれの容器本体の底板上面に5号デコレーションケーキを載置し、蓋体を被せ閉蓋した。実施例1、2のケーキ用包装容器とも突起が目印となり、デコレーションケーキを容器本体の中心に簡単に載置できた。ケーキ用包装容器の把手を手で掴み、腕を振り幅約60cmとして前後に振りながら振り子運動を往復50回させた後、開蓋したところデコレーションケーキの位置ずれは殆ど認められなかった。さらに、ケーキナイフをガイド部の位置に合せて切取ることにより簡単にケーキを6等分することができ、カットされたケーキを形崩れすることなくサーバーで容易に取り分けることができた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかるケーキ用包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかるケーキ用包装容器の容器本体を示す平面図である。
【図3】図2のX−X線断面図である。
【図4】本発明にかかるケーキ用包装容器の蓋体を示す図1のY−Y線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図6】図5のZ−Z線断面図である。
【図7】本発明にかかるケーキ用包装容器の容器本体のその他の実施形態を示す平面図である。
【図8】図7のX’−X’線断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1、1’ 容器本体
2 蓋体
3 デコレーションケーキ
10、10’ 底板
11 垂下壁
11a 第一垂下壁
11b 第二垂下壁
12 フランジ
13 中心部
14 ヒンジ部
15 嵌合片
15a フック部
16 ガイド部
17 畝
17a 緩斜面
17b 急斜面
18 突起
20 天板
21 側壁
22 開口部
23 フック受部
24 膨出壁
25 保冷剤収納部
25a 通気口
26 把手
27 把手収納部
A ケーキ用包装容器
θ1 、θ2 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にケーキ載置用の底板を備え、前記底板の外周縁より垂れ下る垂下壁を設け、該垂下壁の外周縁にフランジを有する合成樹脂製の容器本体と、該容器本体の上面側に被せ閉蓋される上面に天板と該天板の外周縁に連なる側壁と該側壁の下端部に開口部を有する合成樹脂製の蓋体とを備え、
前記容器本体の前記底板が、該底板の中心部を上位とする上方向に膨れ緩やかな曲面をなす杯状又は前記底板の中心部を含む部分を上階とし外周縁に向かい下がる階段状に形成され、
前記蓋体を前記容器本体に被せ前記容器本体を前記蓋体で閉止可能に構成されていることを特徴とするケーキ用包装容器。
【請求項2】
前記底板の上面に該底板の中心部より外周方向に放射線状に上方向に凸状で、且つ、前記底板の中心部を最上位とし外周方向に緩やかな下り勾配の曲線をなすガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のケーキ用包装容器。
【請求項3】
前記底板の上面に前記底板の中心部を中心とする円を描く畝が設けられ、該畝の前記底板の中心部から外周方向に向かって切断した断面が上方向に向かって山型形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のケーキ用包装容器。
【請求項4】
前記底板の上面に上方向に凸状の突起が形成され、且つ、該突起が前記底板の中心部を中心とする所定寸法の直径の円周上に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケーキ用包装容器。
【請求項5】
前記蓋体の前記天板上面に保冷剤を収納する保冷剤収納部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のケーキ用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−13158(P2010−13158A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175164(P2008−175164)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】