説明

ケース入り蛍光管の分離装置及び分離方法

【課題】 廃棄された蛍光管をリサイクル処理する際、効率的にケースと分離させ、その後の両端の口金部分の切断や、内部物質の抜き取り等の処理を確実に行えるようにするとともに、分離作業に人的労力がかからないようにする。
【解決手段】 複数本のケース入り蛍光管Uを第1のコンベア2によって整列させて搬送し、所定箇所のケース入り蛍光管Uを押出し手段5によって位置規制しながら、内部の廃蛍光管kだけを所定ストローク押出し、ケースcから露出する廃蛍光管kの露出部分を抜き取り手段6のチャック機構16で把持するとともに、ケースcをケース保持機構15で保持しておき、把持したチャック機構16を移送機構17のロッドレスシリンダ30により、ケースcから抜き取る方向に移動させてケースcから抜き取る。そしてこの廃蛍光管kを第2のコンベア3に移載し、処理部4に送り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃棄された蛍光管(以下、廃蛍光管という。)が紙製などのケース内に収容されるケース入り蛍光管を廃棄処理する際、分別処理のため廃蛍光管をケースから機械的に抜き出す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば廃蛍光管をリサイクル処理する場合、廃蛍光管の両端の口金部分を切断し、内部の水銀や蛍光粉を抜き取った後、ガラス部分だけを洗浄してカレットにしてガラスメーカーに再販し、内部の水銀等も集めてリサイクル処理しているが、廃蛍光管は、一般的に、紙製などのケース内に収容されて処理業者に出されるため、処理業者では、手作業によりケースから廃蛍光管を抜き取り、分別処理している。
【0003】
一方、中身の入ったケースの中身とケースを別々に回収する技術として、第1の反転装置により中身の入ったケースを反転させて中身とケースを別々に分離し、次いで、衝撃付与装置により振動または衝撃を与えてケースに付着する物品を落下させた後、第2の反転装置により空になったケースを元の向きに再反転させて空ケースを段積置場に積み重ね、ケースの中身を搬送コンベアにより回収するような技術が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平7−96926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような廃蛍光管をリサイクル処理する場合、手作業で廃蛍光管を紙製などのケースから抜き取ろうとすると、大勢の作業者を必要とするばかりでなく、作業に手間がかかり、効率的に作業することが出来なかった。
一方、上記の特許文献1の技術のように、反転装置等により、ケース入り蛍光管を反転させてケース内の廃蛍光管を落下させて分離しようとすると、廃蛍光管が割れて内部の水銀や蛍光粉等の有害物質が飛散し、環境に悪影響を与えるとともに、水銀や蛍光粉などの回収効率が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、蛍光管の形状を保持したまま効率的にケースと分離させ、その後の両端の口金部分の切断や、内部物質の抜き取り等の処理を確実に行えるようにするとともに、分離作業に人的労力がかからないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ケース内に蛍光管が収容されるケース入り蛍光管のケースと蛍光管とを分離するようにしたケース入り蛍光管の分離装置において、複数のケース入り蛍光管を整列させて搬送させることのできる第1のコンベアと、この第1のコンベア上の所定箇所のケース入り蛍光管から蛍光管だけを所定ストローク押出すことのできる押出し手段と、この押出し手段によってケース外に露出した蛍光管の露出部分を把持して蛍光管をケースの外部に抜き取ることのできる抜き取り手段を設けるようにした。
【0007】
そして、押出し手段により、蛍光管の少なくとも一部がケースの外に露出する程度に押出し、その後、露出部分を抜き取り手段により把持してケースの外部に抜き取るようにすれば、例えば、押出し手段によって蛍光管を一気にケース外に押出すような方式に較べて、確実に抜き取ることができるとともに、押出し手段の小型化を図ることができる。
また、蛍光管のケースは、一般的に断面角型の紙製のケースであることが多いため、例えば、複数のケース入り蛍光管を整列させて搬送する第1のコンベアとしては、所定間隔置きにV型溝が形成されるスラットコンベアなどにすれば、搬送中の位置決め保持等を確実に行うことができる。
【0008】
この際、前記押出し手段には、蛍光管を押出すための押出し機構と、蛍光管を押出す際、ケース入り蛍光管のケースの位置を規制しておく位置規制機構を設ければ好適である。
すなわち、第1のコンベア上のケース入り蛍光管は、単にコンベア上に載置されているだけのため、位置規制機構によってその位置を規制しておくことによって、押出し時に確実に蛍光管だけを押出すことができる。
【0009】
また、本発明では、前記抜き取り手段として、前記第1のコンベア上の所定箇所のケース入り蛍光管のケースの一部を保持しておくことのできるケース保持機構と、蛍光管の露出部分を把持することのできるチャック機構と、このチャック機構を抜き取り方向に移動させることのできる移送機構を設け、前記ケース保持機構には、蛍光管を抜き取る際に、ケースの一部に係合してケースの移動を阻止するための係止部材を設けるようにした。
【0010】
そして、ケース保持機構によりケースの一部を保持した後、チャック機構により蛍光管の露出部分を把持し、移送機構によりチャック機構を移動させることにより、蛍光管をケースから抜き取る。この際、ケース保持機構の係止部材によりケースの移動を阻止すれば、ケースと蛍光管の摩擦係数が大きい場合でも、確実に蛍光管だけを引き抜くことができる。
なお、係止部材としては、例えば、紙製などのケースの一部に喰い込んだ状態で係合することのできる刃物等を適用すれば好適である。
【0011】
また、前記第1のコンベアの隣には、抜き取った蛍光管を移載して次工程に向けて搬送することのできる第2のコンベアを設ければ、その後の蛍光管の口金部分の切断や内部の抜き取り等の処理を効率的に行うことができる。
【0012】
この際、前記第1のコンベアと第2のコンベアは別々の駆動源によって駆動されるのが一般的であり、このように別々の駆動源としてもよいが、第1のコンベアと第2のコンベアを共通の駆動源によって駆動すれば、装置の簡素化や設備費の削減が図れるため、より好ましい。
また、第1のコンベアと第2のコンベアを共通の駆動源によって駆動する場合、駆動力伝達軸の途中に、第2のコンベアの走行方向を逆転させるための切換え機構を設ければ、例えば、処理部等に連続装入しない場合などに、搬送方向を逆転させて、処理部等とは別の場所に払い出すことができる。
【発明の効果】
【0013】
ケース入り蛍光管のケースと蛍光管とを分離する装置として、第1のコンベアと、押出し手段と、抜き取り手段を設けることにより、従来手作業で行っていた分離作業を機械化することができ、労力の削減が図られる。この際、押出し手段に位置規制機構を設ければ、蛍光管を押出す際、ケース入り蛍光管が浮き上がるような不具合がなく、また、抜き取り手段として、ケース保持機構と、チャック機構と、移送機構を設ければ、確実に蛍光管をケースから抜き出すことが可能となる。
また、第1のコンベアの隣に第2のコンベアを設ければ、蛍光管のその後の処理を効率的に行えるようになり、第1のコンベアと第2のコンベアを共通の駆動源にすれば、設備の簡素化が図れ、また、駆動力伝達軸の途中に切換え機構を設ければ、処理部等に連続装入する代わりに、別の場所に払い出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで、図1は本発明に係る分離装置全体の平面図、図2は同正面図、図3は押出し手段の説明図、図4は抜き取り手段の説明図、図5は第1のコンベアのワーク受け構造を示す説明図、図6はケース保持機構の係止部材保持具を説明するための説明図、図7は第2のコンベアの走行方向を逆転させる切換え機構の一例を示す説明図である。
【0015】
本発明に係るケース入り蛍光管の分離装置は、廃蛍光管の形状を保持したまま効率的にケースと分離させ、その後の両端の口金部分の切断や、内部の物質の回収等の処理を確実に行えるようにするとともに、分離作業に人的労力がかからないようにされている。なお、以下の説明では、ケース入り蛍光管Uのケースcとして、一般的に普及率の高い断面角型の紙製等のケースcを代表例として説明する。
【0016】
本分離装置1は、図1、図2に示すように、ケース入り蛍光管Uを整列させて搬送することのできる第1のコンベア2と、この第1のコンベア2に隣接して配設され且つケースcと分離した廃蛍光管kを搬送する第2のコンベア3を備えており、この第2のコンベア3は、廃蛍光管kの口金部分を切断したり、内部の物質を回収処理したり、ガラスを破砕処理等するための処理部4に連続して廃蛍光管kを装入可能なように配置されている。
【0017】
そして、第1のコンベア2の搬路末端寄りの側方には、ケース入り蛍光管Uから廃蛍光管kだけを第2のコンベア3の方向に向けて所定ストローク押出すための押出し手段5が配設され、その反対側の第1のコンベア2の側方には、ケースcから露出した廃蛍光管kの露出部分を把持して、第2のコンベア3に向けて廃蛍光管kを移送した後、移載することのできる抜き取り手段6が設けられている。
【0018】
そして、第1のコンベア2により複数本のケース入り蛍光管Uを整列させて図1の下方から上方に向けて順次搬送し、押出し手段5の前方まで搬送されると、押出し手段5により複数本(本実施例では3本)の廃蛍光管kを同時に押出して廃蛍光管Kの一部をケースcの外側に露出させた状態にし、この状態のケース入り蛍光管Uを、第1のコンベア2により更に抜き取り手段6の前方まで搬送した後、抜き取り手段6によって複数本(本実施例では3本)の廃蛍光管kの露出部分を同時に把持してケースcから完全に抜き取り、これを第2のコンベア3に移載し、第2のコンベア3によって処理部4に送り込むようにしている。
【0019】
以下、分離装置1の細部について説明する。
第1のコンベア2は、図5に示すように、左右一対のコンベアチェーン7間に、お互いに反対方向に折り返された鋼板材8が交互に取り付けられて、鎖線で示すように、ケース入り蛍光管Uのケースcを位置決め状態にして搬送できるようにされている。そして、この第1のコンベア2の左右のコンベアチェーン7は上方と下方の軌道を周回する周回軌道を無限走行するようにされている。
【0020】
前記押出し手段5は、図3に示すように、ケース入り蛍光管Uのケースc内の蛍光管kだけを水平方向に押出すための押出し機構10と、ケース入り蛍光管Uのケースcの位置を位置規制するための位置規制機構11を備えており、押出し機構10の押出しシリンダユニット12は3本設けられるとともに、位置規制機構11の規制シリンダユニット13によって上下動可能な規制部材19の下面には、ケース入り蛍光管Uのケースcの上面を保持して位置規制するための3ヶ所のV型溝が設けられ、同時に3ヶ所のケース入り蛍光管Uの位置を規制しながら、ケースc内の3本の廃蛍光管kだけを押出すことができるようにされている。
【0021】
そして、押出しシリンダ12のロッドの長さは、押出し操作によって廃蛍光管kの先端側の少なくとも一部がケースc外に張り出すような長さとされている。
なお、位置規制シリンダユニット13の目的は、押出しシリンダユニット12によって廃蛍光管kを押出す際、ケースcを上から押さえ付けておくことにより、ケース入り蛍光管Uが浮き上がったり、位置変位したりするのを防止するためのものである。
【0022】
なお、この押出し手段5は、図1、図2の位置調整機構14により第1のコンベア2の方向に向けて位置変位可能とされている。そして、取り扱う廃蛍光管kの長さが変化したときにこの位置調整機構14により押出し手段5全体の位置を前進させたり、後退させたりできるようにされている。
【0023】
前記抜き取り手段6は、図4に示すように、第1のコンベア2上の所定箇所のケース入り蛍光管Uのケースcを保持することのできるケース保持機構15と、所定箇所の廃蛍光管kの露出部分を把持することのできるチャック機構16と、このチャック機構16を第2のコンベア3の方向に向けて移動させることのできる移送機構17を備えており、本実施例では、ケース保持機構15は、同時に6本のケース入り蛍光管Uのケースc端部を保持できるようにされるとともに、チャック機構16はそのうち搬路下流側の3本の廃蛍光管kを同時に把持できるようにされている。
【0024】
そして、ケース保持機構15は、第1のコンベア2側の基台18に取り付けられる左右一対の縦向きのスライドシャフト20と、それぞれのスライドシャフト20に沿ってリンク機構21や上下一対のスライダ22a、22bによって上下方向に開閉自在な一対のゲート23a、23bと、下方側のゲート23bを昇降させることのできるゲート開閉用シリンダユニット24を備えており、このゲート開閉用シリンダユニット24によって下方のゲート23bを上昇させると、リンク機構21によって、上方のゲート23aが降下してゲート23が閉じることにより、ケース入り蛍光管Uのケースc端部を上下方向に挟み込んで保持し、ゲート開閉用シリンダユニット24によって下方のゲート23bを降下させると、リンク機構21により上方のゲート23aが上昇してゲート23が開くようにされている。
そして、上方のゲート23aの下面と、下方のゲート23bの上面には、ゲート23が閉じた状態で、ケースcの外部に露出する廃蛍光管kの露出部分との干渉を避けるための半円形の切欠き部がそれぞれ6ヶ所に形成されている。
なお、図4の状態は、ゲート23が閉じた状態を示している。
【0025】
また、上側のゲート23aの裏側には、図6に示すような係止部材保持具25が設けられており、この係止部材保持具25の下端部には、ケースcの上面側の形状に対応した形状のV型溝25kが6箇所形成されるとともに、長手方向に沿って、刃物を収容するための収容溝25mが設けられ、この収容溝25mの一部がV型溝25kの頂部の一部を通過するようにされ、この収容溝25m内に、カッター刃のような薄くて長い係止部材としての刃物26が収容されている。
【0026】
このため、ゲート23a、23bを閉じた状態にすると、係止部材保持具25のV型溝25kの頂部から僅かに下方に張り出す刃物26が、紙製のケースcの頂部に僅かに切り込まれた状態となり、ケースcから廃蛍光管kを抜き出しても、摩擦力等によってケースcごと引き出されることはない。
【0027】
前記チャック機構16は、図4に示すように、左右一対のチャックシリンダ27a、27bによって水平方向に開閉自在な3ヶ所のチャック部を備えており、ケースcから外部に露出した3本の廃蛍光管kの露出部分を、それぞれ左右に挟み込んで同時にチャックできるようにされている。
【0028】
前記移送機構17は、第1のコンベア2と第2のコンベア3間に架け渡される複数本のガイドロッド28に沿って移動自在なロッドレスシリンダ30を備えており、このロッドレスシリンダ30の本体部に昇降シリンダユニット31を介して前記チャック機構16が取り付けられている。
そして、廃蛍光管kをケースcから抜き取るときは、昇降シリンダユニット31によってチャック機構16を降下させて廃蛍光管kの露出部を把持し、ロッドレスシリンダ30の作動によってチャック機構16を第2のコンベア3の方向に移動させた後、廃蛍光管kを第2のコンベア3に移載し、移載が終えると、昇降シリンダユニット31の作動によってチャック機構16を上昇させ、ロッドレスシリンダ30によってチャック機構16を第1のコンベア2近傍の元の位置に復元させて上方で待機させるようにしている。
【0029】
また、図2に示すように、第1のコンベア2を駆動する駆動源32は、駆動力伝達軸33を介して第2のコンベア3も同時に駆動できるようにされている。
そして、この駆動力伝達軸33に途中には、ワンタッチで第2のコンベア3の走行方向を逆転させることのできる切換え機構35が設けられており、例えば処理部4に連続装入しない場合などにおいて、第2のコンベア3の搬送方向を逆転させて、処理部4とは反対側の払出し部34(図1)に払い出すことができるようにされている。
以下、切換え機構35の細部について図7に基づき説明する。
【0030】
切換え機構35は、図7に示すように、断面コの字型のケーシング36と、このケーシング36の対向面に回転自在に支持される第1のコンベア2側の駆動力伝達軸33a、及び第2のコンベア3側の駆動力伝達軸33bと、これらとは直交するケーシング36面に回転自在に支持される中間軸37を備えており、各駆動力伝達軸33a、33bの先端に取り付けられる傘歯車38、39が、中間軸37先端の傘歯車40に噛合している。そして、中間軸37は、クランプ部材41によりケーシング36に対して固定状態になったり、またはケーシング36に対して回転可能な状態になるようにされ、また、ケーシング36の近傍には、ケーシング36に係合してケーシング36の位置を規制することのできるストッパ部材42が出没自在に設けられている。
【0031】
そして、図7(a)に示すように、クランプ部材41が中間軸37をクランプした状態では、傘歯車38、40、39の相互の噛合回転が規制されてケーシング36とともに全体が一体に回転するようになり、第1のコンベア2側の正回転がそのまま第2のコンベア3側に正回転として伝達されるが、図7(b)に示すように、クランプ部材41によるクランプを解除し、ストッパ部材42がケーシング36に係合した状態では、ケーシング26の回転が不能となって傘歯車38、40、39が相互に噛合回転を始めるようになり、第1のコンベア2側の正回転が、傘歯車40を通して第2のコンベア3側には逆回転として伝達されるようになる。
このため、本実施例では、クランプ部材41とストッパ部材42を連動させてワンタッチで図7(a)の状態から図7(b)の状態に、あるいはその逆に移行できるようにしている。
【0032】
以上のような分離装置1による分離方法について説明する。
第1のコンベア2に複数のケース入り蛍光管Uが載置されると、第1の工程として、これらが間歇的に搬送され、最初の3本のケース入り蛍光管kが押出し手段5の前方に来ると、第2の工程として、押出し手段5の位置規制機構11が作動して3ヶ所のケース入り蛍光管Uのケースc端部の上面を規制した後、押出しシリンダユニット12が伸張作動して3本の廃蛍光管kを所定ストローク押出した後、押出しシリンダユニット12は退動する。
【0033】
次いで、第1のコンベア2は更にケース入り蛍光管Uを前方に搬送し、ケースcから一部が露出した3本の廃蛍光管kが抜き取り手段6のチャック機構16の前方まで来ると、第3の工程として、それまで開いていたケース保持機構15のゲート23a、23bが閉じられるとともに、上方で待機していたチャック機構16が降下して3本の廃蛍光管kの端部を同時にチャックする。
そして、チャックが完了すると、ロッドレスシリンダ30が作動して、把持した廃蛍光管kを第2のコンベア3に向けて移送し、第2のコンベア3上に移載する。そして、移載が完了すると、チャック機構16は再び上昇するとともに、ロッドレスシリンダ30が作動して元の位置に復元し待機する。
【0034】
第2のコンベア3では、第4の工程として、移載された廃蛍光管kを処理部4に向けて搬送し、処理部4で両端の口金部分の切断や、水銀、蛍光粉等の回収や、ガラスのカレット処理等が行われる。この間、すべての作業が機械化されているため、大量の廃蛍光管がある場合でも効率的に処理することができ、人的労力もかからない。
また、チャック機構16で廃蛍光管kを把持してケースc外に抜き取る場合に、ケース保持機構15によりケースcがしっかり保持されているため、確実に抜き取ることができる。
また第1のコンベア2と第2のコンベア3の駆動力が共有化されているため、設備構成が簡素でしかも安価に構成できる。
【0035】
そして、何らかの関係で、廃蛍光管kを処理部4に連続装入したくない場合には、切換え機構35により第2のコンベア3の走行方向を逆転させて、廃蛍光管kを払出し部34に払い出す。
【0036】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えばケースの形状は断面角型に限られるものでなく、また、チャック機構16や移送機構17で同時に取り扱う本数等は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
蛍光管を再利用処理するにあたり、大幅な人員削減や、労力削減が図れるため、再処理工場等における今後の需要の増大が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る分離装置全体の平面図
【図2】同正面図
【図3】押出し手段の説明図
【図4】抜き取り手段の説明図
【図5】第1のコンベアのワーク受け構造を示す説明図
【図6】ケース保持機構の係止部材保持具を説明するための説明図
【図7】第2のコンベアの走行方向を逆転させる切換え機構の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0039】
1…分離装置、2…第1のコンベア、3…第2のコンベア、5…押出し手段、6…抜き取り手段、10…押出し機構、11…位置規制機構、15…ケース保持機構、16…チャック機構、17…移送機構、26…刃物(係止部材)、35…切換え機構、U…ケース入り蛍光管、c…ケース、k…廃蛍光管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に蛍光管が収容されるケース入り蛍光管のケースと蛍光管とを分離するようにしたケース入り蛍光管の分離装置であって、複数のケース入り蛍光管を整列させて搬送させることのできる第1のコンベアと、この第1のコンベア上の所定箇所のケース入り蛍光管から蛍光管だけを所定ストローク押出すことのできる押出し手段と、この押出し手段によってケース外に露出した蛍光管の露出部分を把持して蛍光管をケースの外部に抜き取ることのできる抜き取り手段を備えたことを特徴とするケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項2】
前記押出し手段には、蛍光管を押出すための押出し機構と、蛍光管を押出す際、ケース入り蛍光管のケースの位置を規制しておく位置規制機構が設けられることを特徴とする請求項1に記載のケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項3】
前記抜き取り手段には、前記第1のコンベア上の所定箇所のケース入り蛍光管のケースの一部を保持しておくことのできるケース保持機構と、蛍光管の露出部分を把持することのできるチャック機構と、このチャック機構を抜き取り方向に移動させることのできる移送機構が設けられ、前記ケース保持機構には、蛍光管を抜き取る際に、ケースの一部に係合してケースの移動を阻止するための係止部材が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項4】
前記第1のコンベアの隣には、抜き取った蛍光管を移載して次工程に向けて搬送することのできる第2のコンベアが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項5】
前記第1のコンベアと第2のコンベアは共通の駆動源によって駆動されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項6】
前記第1のコンベアと第2のコンベアを共通の駆動源によって駆動させるための駆動力伝達軸の途中には、第2のコンベアの走行方向を逆転させるための切換え機構が設けられることを特徴とする請求項5に記載のケース入り蛍光管の分離装置。
【請求項7】
ケース内に蛍光管が収容されるケース入り蛍光管のケースと蛍光管とを分離するようにしたケース入り蛍光管の分離方法であって、第1のコンベアにより複数のケース入り蛍光管を整列させて搬送させる第1の工程と、第1のコンベア上のケース入り蛍光管のうち所定箇所の蛍光管だけを押出し手段により所定ストローク押出す第2の工程と、押出し手段によってケース外に露出した蛍光管の露出部分を把持して抜き取り手段によって蛍光管をケースの外部に抜き取る第3の工程を備えたことを特徴とするケース入り蛍光管の分離方法。
【請求項8】
前記第3の工程の後に、第2のコンベアによって蛍光管を次工程に送り込む第4の工程が行われることを特徴とする請求項6に記載のケース入り蛍光管の分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−29428(P2009−29428A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191947(P2007−191947)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(500570427)JFE環境株式会社 (21)
【出願人】(501298904)株式会社パワー工業 (5)
【出願人】(303030483)株式会社エヌ・アイ・シー (5)
【Fターム(参考)】