説明

ケース用カバー部材

【課題】汚れ等の劣化を防止し、作業性や使用性を向上させ、見栄えを良好にするケース用カバー部材を提供する。
【解決手段】本発明に係るケース用カバー部材Aは、ケースの背面に接着されるマグネットシート1と、ケースの表面及びマグネットシート1の表面を被覆するように接着される保護シート2とを有する。保護シート2は、耐水性及び耐油性を有する材質で作られた基材と、粘着材とを有する。保護シート2の表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものが施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース用カバー部材に関し、特に、ラップフィルム、アルミホイル、台所用シート等の各種シート材を収納し、外部から取り出すためのケースの表面に被覆されるケース用カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図4はケースの一例を示す斜視図である。
【0003】
図4に示すように、ケースBは、上面に開口部50aを備え、正面部50b、背面部50c、側面部50d及び底面部50eからなる略直方体形状の紙製の本体50と、本体50の背面部50cの上部に連結され、本体50の開口部50aを開閉する紙製の蓋体51と、本体50の内部に収納され、回転可能に支持された円筒状のコア52と、コア52に巻かれた長尺状のシート材53とを有する。
【0004】
シート材53は、例えば合成樹脂製のラップフィルム、アルミホイル、台所用シート等である。
【0005】
蓋体51は、閉じた時に、本体50の正面部50bと重なり合う蓋片部51aと、本体50の側面部50dと重なり合う蓋側部51bと、本体50の開口部50aを覆う蓋板部51cとからなり、蓋片部51aの裏側には、金属製の切断部材54が取り付けられている。
【0006】
切断部材54の先端には、蓋体51を閉じた状態で、外部に送出されているシート材53を所望の長さで切断するための鋸歯54aを備えており、その鋸歯54aは蓋片部54の先端からわずかに突出するように配置されている(以下、この技術を従来例1という)。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2には、マグネット付きホルダーやフェライト磁石をラップケースやクッキングボックス等のケースの内部に収納することにより、ケースを冷蔵庫等の表面に着脱可能に吸着できるようにした従来技術が提案されている(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】実用新案登録第3089445号公報
【特許文献2】実用新案登録第3040804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1には次のような課題があった。
【0009】
(1)ケースの本体50及び蓋体51が紙製であるため、台所等で使用した場合、表面に水や油等が付着して、汚れ等で劣化しやすかった。
【0010】
(2)ケース全体が長形物であり場所をとるため、作業の邪魔になりやすく、また、棚等に収納しても出し入れが面倒であった。
【0011】
(3)美容院等では、毛染やパーマ等の際に髪毛をコーティングするためのラップフィルムを収納したケースを用いる場合があるが、通常台所で使用しているものであるため、見栄えが悪かった。
【0012】
従来例2では次のような課題があった。
【0013】
(4)マグネット付きホルダーやフェライト磁石はケースの内部に収納されているので、コアに巻かれたシート材に接触しやすく、シート材が取り出しにくかった。
【0014】
(5)マグネット付きホルダーやフェライト磁石が露出されているので、不安定な状態で保持されており、破損や損傷のおそれがあった。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、汚れ等の劣化を防止し、作業性や使用性を向上させ、見栄えを良好にするケース用カバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のケース用カバー部材は、ケースの表面の一部に接着されるマグネットシートと、前記ケースの表面及び前記マグネットシートの表面を被覆するように接着される保護シートとを有し、前記マグネットシートの磁力により、前記ケースを対象物に着脱可能に吸着することを特徴とするものである。
【0017】
前記保護シートは、耐水性及び耐油性を有する材質で作られた基材と、粘着材とを有してもよい。
【0018】
前記基材は、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタン系フィルムからなる群より選択される1種又は2種以上で構成されていてもよい。
【0019】
前記粘着材は、アクリル系樹脂材又はゴム系粘着材で構成されていてもよい。
【0020】
前記保護シートの表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものが施されていてもよい。
【0021】
前記ケースは、上面に開口部を備え、略直方体形状の紙製の本体と、前記本体の背面上部に連結され、前記本体の開口部を開閉する紙製の蓋体と、前記本体の内部に収納され、回転可能に支持された円筒状のコアと、前記コアに巻かれた長尺状のシート材と、前記蓋体の先端に取り付けられ、前記シート材を所望の長さで切断するための切断部材とを有し、前記マグネットシートは、前記ケースの本体の背面に接着され、前記保護シートは、前記本体、蓋体及びマグネットシートの表面を被覆するように接着されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るケース用カバー部材によれば、次のような効果を奏する。
【0023】
(1)ケースの表面を保護シートにより被覆しているので、水や油をはじいて拭き取れるため、汚れ等の劣化を防止できる。
【0024】
(2)ケースの表面を対象物(例えば冷蔵庫等)に着脱可能に吸着することができるので、作業性を向上させることができる。
【0025】
(3)保護シートの表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものを施すことができるので、美容院等のように家庭の台所以外の場所で使用しても、見栄えが良好になり、デザイン性が向上する。
【0026】
(4)マグネットシートは、ケースの表面側に接着されているので、シート材が取り出しにくくなることはなく、使用性を維持させることができる。
【0027】
(5)マグネットシートの表面は、保護シートによって被覆されているので、マグネットシートを安定した状態で保持することができるとともに、マグネットシートの破損や損傷を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)は本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材をケースに取り付けた状態を示す斜視図、(B)はその背面図、(C)は、(B)のc1−c1線断面図である。
【0029】
図1(A)〜(C)に示すように、本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材Aは、図4に示すケースBの背面に接着されるマグネットシート1と、ケースBの表面及びマグネットシート1の表面を被覆するように接着される保護シート2とを有する。
【0030】
保護シート2は、耐水性及び耐油性を有する材質で作られた基材と、粘着材とを有する。
【0031】
基材としては、例えばポリ塩化ビニル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタン系フィルムからなる群より選択される1種又は2種以上で構成されている。
【0032】
粘着材としては、例えばアクリル系樹脂材又はゴム系粘着材で構成されている。
【0033】
保護シート2の表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものが施されていてもよい。
【0034】
図2(A)は本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材のマグネットシートを示す平面図、(B)〜(F)は保護シートを示す平面図である。
【0035】
本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材AをケースBに取り付ける場合、まず、図2(A)に示すマグネットシート1を本体50の背面部50cに両面テープや接着剤等で接着する。
【0036】
次いで、図2(B)に示す2枚の保護シート2a(例えば幅2cm程度)を蓋体51aの蓋片部51a及び蓋側部51bに略L字状に接着し、図2(C)に示す2枚の保護シート2b(例えば幅3cm程度)を本体50の正面部50b、側面部50d及び背面部50cに略コ字状に接着する。これによって、ケースBの使用を繰り返すことによって剥がれやすい蓋体51の蓋側部51bや本体50の側面部50dを剥がれないように補強する。
【0037】
次いで、図2(D)に示す2枚の保護シート2cを、それぞれ蓋体51の蓋側部51b及び蓋板部51cの両端部に略L字状に接着し、図2(E)に示す2枚の保護シート2dを、それぞれ本体50の側面部50d及び底面部eの両端部に略L字状に接着する。
【0038】
その後、図2(E)に示す保護シート2eを、蓋体51の蓋片部51a、蓋板部51c、本体50の背面部50c、底面部50e、正面部50b、マグネットシート1のそれぞれの表面に被覆するように接着する。その際、保護シート2eは、蓋体51の蓋片部51aに接着された保護シート2a、蓋板部51cに接着された保護シート2c、本体50の背面部50cに接着された保護シート2b、底面部50eに接着された保護シート2d、正面部50bに接着された保護シート2bに重なり合うことになる。
【0039】
図3は、本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材Aを対象物に吸着している状態を概略的に示す側面図である。
【0040】
図3に示すように、保護シート2に被覆されたマグネットシート1の磁力により、ケースBの本体50の背面を対象物T(例えば冷蔵庫等)に着脱可能に吸着することができる。
【0041】
マグネットシート1は、保護シート2を介して対象物Tに十分に吸着できる程度の磁力を備えていることが必要である。また、マグネットシート1の接着面積が広ければ、狭い場合に比べ、マグネットシート1自体の磁力をある程度小さくすることが可能である。
【0042】
本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材Aによれば、ケースBの表面を保護シート2により被覆しているので、水や油をはじいて拭き取れるため、汚れ等の劣化を防止できる。
【0043】
また、ケースBの表面の一部を対象物T(例えば冷蔵庫等)に着脱可能に吸着することができるので、作業性を向上させることができる。
【0044】
また、ケースBの表面を保護シート2により被覆しているので、保護シート2の表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものを施すことができるので、美容院等のように家庭の台所以外の場所で使用しても、見栄えが良好になり、デザイン性が向上する。
【0045】
また、マグネットシート1は、ケースBの表面に接着されているので、シート材53が取り出しにくくなることはなく、使用性を向上させることができる。
【0046】
さらに、マグネットシート1の表面は、保護シート2によって被覆されているので、マグネットシート1を安定した状態で保持することができるとともに、マグネットシート1の破損や損傷を防止できる。
【0047】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、マグネットシート1及び保護シート2の材質、形状、大きさ等は例示であり、これに限定されることはなく、ケースBの材質、形状、大きさ等に応じて適宜変更される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のケース用カバー部材は、ラップフィルム、アルミホイル、台所用シート等の各種シート材を収納し、外部から取り出すためのケースの表面に被覆して利用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(A)は本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材をケースに取り付けた状態を示す斜視図、(B)はその背面図、(C)は、(B)のc1−c1線断面図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材のマグネットシートを示す平面図、(B)〜(F)は保護シートを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態例に係るケース用カバー部材を対象物に吸着している状態を概略的に示す側面図である。
【図4】ケースの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
A:ケース用カバー部材
B:ケース
1:マグネットシート
2,2a〜2e:保護シート
50:本体
50a:開口部
51:蓋体
51a:蓋片部
52:コア
53:シート材
54:切断部材
54a:鋸歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの表面の一部に接着されるマグネットシートと、
前記ケースの表面及び前記マグネットシートの表面を被覆するように接着される保護シートとを有し、
前記マグネットシートの磁力により、前記ケースを対象物に着脱可能に吸着する、
ことを特徴とするケース用カバー部材。
【請求項2】
前記保護シートは、耐水性及び耐油性を有する材質で作られた基材と、粘着材とを有することを特徴とする請求項1に記載のケース用カバー部材。
【請求項3】
前記基材は、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタン系フィルムからなる群より選択される1種又は2種以上で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のケース用カバー部材。
【請求項4】
前記粘着材は、アクリル系樹脂材又はゴム系粘着材で構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のケース用カバー部材。
【請求項5】
前記保護シートの表面には、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合したものが施されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載のケース用カバー部材。
【請求項6】
前記ケースは、上面に開口部を備え、略直方体形状の紙製の本体と、前記本体の背面上部に連結され、前記本体の開口部を開閉する紙製の蓋体と、前記本体の内部に収納され、回転可能に支持された円筒状のコアと、前記コアに巻かれた長尺状のシート材と、前記蓋体の先端に取り付けられ、前記シート材を所望の長さで切断するための切断部材とを有し、
前記マグネットシートは、前記ケースの本体の背面に接着され、
前記保護シートは、前記本体、蓋体及びマグネットシートの表面を被覆するように接着される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載のケース用カバー部材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−298457(P2009−298457A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157290(P2008−157290)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(508181272)
【Fターム(参考)】