説明

ケース

【課題】 胴部の内部側から何らかの力が作用しても、胴部の開口に対する閉塞状態を維持させることができるケースを提供する。
【解決手段】 一対のシート壁10a,10bで扁平筒状に形成された胴部1と、胴部1の開口を閉塞する閉塞部3とを備えたケースにおいて、閉塞部3は、一方のシート壁10aの端縁に延設された第一フラップ30と、他方のシート壁10bの端縁に延設された第二フラップ31とで構成され、第一フラップ30は、他方のシート壁10bに向けて折り曲げられた状態で胴部1の開口を閉塞する閉塞片部32を備え、第二フラップ31は、他方のシート壁10bに延設された折返片部35と、折返片部35の先端に延設された規制片部36とを備え、折返片部35は、シート壁10bに沿うように折り返され、規制片部36が胴部1の開口を閉塞した第一フラップ30に重なるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等の被収容物を収容するためのケースに関し、特には、所定形状に裁断した樹脂シートを折り曲げ加工して形成されるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品等を収容するケースには種々の形態のものがあり、その一つとして、所定形状に裁断した一枚の樹脂シートを折り曲げ加工し、図10(イ)に示す如く、扁平筒状に形成された胴部100と、該胴部100の開口端を閉塞する閉塞部101とが形成されたものがある。
【0003】
前記胴部100は、対向する一対のシート壁102a,102bの両側端同士が接続されて形成されており、該一対のシート壁102a,102b間を押し広げることで扁平筒状になっている。
【0004】
前記閉塞部101は、各シート壁102a,102bの端縁に延設された一対のフラップ103a,103bで構成されている。各フラップ103a,103bは、胴部100の内側に折り曲げた状態で、該胴部100の開口を閉塞すべく、扁平筒状をなす胴部100の開口形状に対応した形状をなしてシート壁102a,102bの端縁の全長に亘って延設されている。
【0005】
上記構成の閉塞部101は、図10(ロ)に示す如く、一方のフラップ103aを他方のシート壁102b側に折り曲げ、その後に、図8(ハ)に示す如く、他方のフラップ103bを一方のシート壁102a側に折り曲げることで、一対のフラップ103a,103bが重なり合った状態で胴部100の開口を閉塞するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記ケースの閉塞部101は、上述の如く、一対のフラップ103a,103bのそれぞれを胴部100の内側(対向するシート壁102a,102b側)に折り曲げることで胴部100の開口を閉塞するように構成されているため、輸送等によって胴部100内に収容した被収容物Bが移動し、その被収容物Bの移動で各フラップ103a,103bに衝撃等が加わると、胴部100の開口を閉塞状態で維持することが出来ず、ひいては被収容物Bが胴部100から飛び出てしまうことがある。
【0007】
つまり、胴部100の内部側から生じる衝撃等の力は、フラップ103a,103bを起き上がらせる方向に作用するため、上記構成の閉塞部101では、内部側からの力に対抗するのに限界があり、胴部100の開口を閉塞状態で維持させることができない場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、胴部の内部側から何らかの力が作用しても、該胴部の開口に対する閉塞状態を維持させることができるケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るケースは、一対のシート壁の両側端同士が接続されて扁平筒状に形成され、内部に被収容物が収容される胴部と、該胴部の両端開口の少なくとも何れか一方を閉塞する閉塞部とを備え、少なくとも前記胴部及び閉塞部が樹脂シートを折り曲げ加工して形成されたケースにおいて、前記胴部は、一方のシート壁の端縁よりも他方のシート壁の端縁が外方に位置するように形成され、前記閉塞部は、一方のシート壁の端縁に延設された第一フラップと、他方のシート壁の端縁に延設された第二フラップとで構成され、第一フラップは、他方のシート壁に向けて折り曲げられた状態で胴部の開口を閉塞する閉塞片部を備え、第二フラップは、他方のシート壁に延設され、シート壁の内面に沿うように折り返される折返片部と、該折返片部の先端に延設され、折返片部とは反対方向に折り曲げられた状態で、胴部の開口を閉塞した閉塞片部上に重なるように構成された規制片部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記ケースによれば、胴部の開口を閉塞可能に構成された第一フラップを胴部側に折り曲げることで、前記開口を閉塞することができる。そして、この状態では、胴部の内部側から力が加わると、フラップが起き上がって開口に対する閉塞状態を維持することができないが、本発明に係るケースは、第二フラップがシート壁と対向するように折り返される折返片部と、該折返片部の先端に延設された規制片部とを備え、該規制片部は、折返片部とは反対方向に折り曲げ可能に構成されると共に、折り曲げ状態で胴部の開口を閉塞した閉塞片部上に重なるように形成されているので、第一フラップ(閉塞片部)の起き上がりが防止され、胴部の開口端を閉塞状態で維持させることができる。
【0011】
即ち、第二フラップの折返片部を折り返すことで、該折返片部は胴部を構成して湾曲した他方のシート壁に沿った態様となり、これによって折返片部が起き上がらない状態となる上に、胴部の軸線方向に対する力に対する座屈強度が大きくなる。そして、該折返片部の先端に延設された規制片部が閉塞片部上に重なり合うことで、第一フラップが起き上がろうとしたときに、規制片部を介して第一フラップを起き上がらせようとする力に折返片部が対抗することになる。これにより、第一フラップの起き上がりが阻止(規制)され、閉塞部による胴部の開口端に対する閉塞を維持させることができる。
【0012】
本発明の一態様として、前記第一フラップは、閉塞片部の先端に該閉塞片部とは反対側に折り曲げられる把持片部が更に延設されると共に、第二フラップは、折返片部の先端に前記規制片部が所定間隔を有して一対設けられ、前記把持片部が一対の規制片部間に介在するように構成されてもよい。このようにすれば、胴部の開口を第一フラップの閉塞片部で閉塞した状態において、規制片部を確実に閉塞片部上に重ね合わせて閉塞状態を維持することができる一方で、把持片部を引き上げることで、規制片部を強制的に折返片部側に起き上がらせることができ、開封時において、容易に閉塞状態を解除することができる。つまり、胴部の内部側から作用する力は、被収容物の移動等によって生じる衝撃力であるため、このような力では閉塞部による閉塞は解除されないが、各構成が樹脂シートで構成されているので、該衝撃力よりも大きな人による引っ張りが作用することで、適宜箇所が変形して閉塞部の閉塞を解除することができる。
【0013】
この場合、前記一対の規制片部又は把持片部の少なくとも何れか一方の基端部に切り込みが設けられ、把持片部が一対の規制片部間に介在した状態で、把持片部と規制片部とが係合するように構成されることが好ましい。このようにすれば、胴部の内部側からの力が大きくなっても、規制片部及び把持片部の基端部同士(切り込み同士)の係合によって、規制片部を確実に第一フラップに対して重なった状態(第一フラップの起き上がりを規制した状態)で維持させることができる。
【0014】
また、前記第一フラップ又は第二フラップの何れか一方の先端に、胴部内の被収容物の一部を掛止するための掛止片部が延設され、該掛止片部は、胴部内で折り曲げた状態で被収容物の一部が介在する掛止用穴が形成されることが好ましい。このようにすれば、胴部内での被収容物の移動を規制することができ、閉塞部に衝撃力が作用する機会を減らすことができ、閉塞状態を維持するのに貢献することができる。また、胴部内での被収容物の移動を規制することで、移動等による被収容物のダメージを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケースによれば、胴部の内部側から何らかの力が作用しても、該胴部の開口を確実に閉塞状態で維持させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るケースについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態に係るケースは、一枚の樹脂シートを折り曲げ加工することで作製されたものであり、図1及び図2に示す如く、被収容物(本実施形態においてはボトル)Bを収容する扁平筒状の胴部1と、該胴部1の開口端を閉塞する閉塞部2,3とを備えている。本実施形態に係るケースCは、胴部1を起立状態にして使用されるタイプのものであり、吊り下げた態様、及び載置した態様で陳列できるようになっている。なお、図1(イ)は、本実施形態に係るケースCを斜め上方から見た状態の斜視図を示し、図1(ロ)は、該ケースCを反転させた状態で斜め上方から見た斜視図を示している。また、図2(イ)は、図1(イ)におけるI−I断面図であり、図2(ロ)は、図1(イ)におけるII−II断面図を示している。
【0018】
前記胴部1は、対向した一対のシート壁10a,10bの両側端同士を接続し、その接続部分に稜線を形成して扁平筒状に形成されている。該胴部1は、内部にボトルBを収容した状態で、一対のシート壁10a,10bとボトルBとが略接触状態となるように、一対のシート壁10a,10b間の最大間隔が設定されている。なお、本実施形態に係るケースCは、胴部1にボトルBを収容した際に、該ボトルBが一対のシート壁10a,10bを押し広げ、一対のシート壁10a,10b間の間隔が最大となるように設定されている。
【0019】
前記胴部1は、後述する折返片部35の折返し代を確保すべく、上端側において、一方のシート壁(以下、第一シート壁という。)10aの一端(後述する第一直線状端縁40a)よりも他方のシート壁(以下、第二シート壁という)10bの一端が外方に位置するように形成されている。また、該胴部1は、下端側においても、第一シート壁10aの他端(後述する第二直線状端縁41a)よりも第二シート壁10bの一端が外方に位置するように形成されている
【0020】
具体的に説明すると、第一シート壁10aは、胴部1の軸心方向における両端縁が、該胴部1の軸心方向と直交する方向に直線状に延びる直線状端縁40a,41aと、該直線状端縁40a,41aの両端を始点にして第一シート壁10aの各側端に向けて傾斜した一対の傾斜状端縁40b,41bとで構成されている。なお、以下の説明において、胴部1の上端(一端)側の直線状端縁40aを第一直線状端縁といい、胴部1の下端(他端)側の直線状端縁41aを第二直線状端縁という。また、胴部1の上端(一端)側の傾斜状端縁40bを第一傾斜状端縁といい、胴部1の下端(他端)側の傾斜状端縁41bを第二傾斜状端縁という。このように両端縁が構成されることで、第一シート壁10aは、胴部1の軸線方向における両端部が台形状に切り欠かれた形状になっている。
【0021】
一方、第二シート壁10bは、矩形状に形成されており、胴部1の軸心方向の長さが第一シート壁10aの長さよりも長く設定されている。そして、該第一シート壁10a及び第二シート壁10bは、胴部1の軸心方向の他端側を一致させた状態で、互いの側端同士が接続されて扁平筒状の胴部1を形成している。これにより、第一シート壁10aは、他端縁の両端(第二傾斜状端縁41bの終端)が第二シート壁10bの他端と略一致して、該第二シート壁10bの他端縁が第二直線状端縁41aよりも胴部1の外方に位置している。その一方で、第二シート壁10bは、一端縁の両端が第一シート壁10aの一端縁の両端(第一傾斜状端縁40bの終端)、即ち、第一直線状端縁40aよりも胴部1の外方に位置している。
【0022】
そして、上記構成の第一シート壁10a及び第二シート壁10bは、これらの何れか一方の両側端に延設された貼着片部11を粘着テープや接着材等の貼着手段(図示しない)を介して他方の側端部に貼着することで、互いの両側端同士が接続された態様をしている。本実施形態において、貼着片部11は第二シート壁10bの両側端に延設されており、該第二シート壁10bとの境界で貼着片部11を折り曲げ、該貼着片部11を第一シート壁10aの側端部に貼着している。これにより、第一シート壁10a及び第二シート壁10bは、接続部分に稜線を形成して側端同士が接続されている。この状態で、前記貼着片部11の下端部は、第一シート壁10aの下端と共に胴部1を起立状態にして当該ケースCを載置できる脚部としての役割を担うようにもなっている。
【0023】
本実施形態に係るケースCは、上述の如く、胴部1を起立させた態様で使用されるため、胴部1の両端開口を閉塞する閉塞部2,3のうち、胴部1の一端開口を閉塞する一方の閉塞部2は、該ケースCの底を構成している(以下、該一方の閉塞部2を底部という。)。該底部2は、第一シート壁10aの下端から延出した第一底片20と、第二シート壁10bの下端から延出し、且つ先端が第一底片20の先端に接続された第二底片21とで構成されている。
【0024】
前記第一底片20は、第一シート壁10aの下端(第二直線状端縁41a及び第二傾斜状端縁41b)に対し、略全長に亘って接続されており、胴部1の内側に向けて折り曲げた状態で、胴部1の下端開口を略完全に閉塞できるよう形状設定されている。
【0025】
前記第二底片21は、第二シート壁10bの下端の略中央部に接続された補強片部22と、該補強片部22の両側に連続して形成されると共に、第二シート壁10bの下端の両端部に接続された一対の被覆片部23とで構成されている。前記補強片部22は、第二シート壁10bに対向するように胴部1の内部側に折り返されており、先端の略中央部分が前記第一底片20の先端縁の略中央部分(前記境界より突出した先端縁の中央部分)に接続されている。
【0026】
一対の被覆片部23は、前記補強片部22の先端よりも第一底片20側に突出するように形成されており、第一底片20を胴部1の内側に向けて折り曲げると共に、補強片部22を胴部1内に折り返した状態で、該第一底片20の両側の領域に覆い被さるようになっている。これにより、第一底片20の起き上がりを防止すると同時に、第一底片20と胴部1との間の隙間を隠蔽して胴部1内への塵等の流入を防止している。
【0027】
胴部1の他端開口を閉塞する他方の閉塞部3は、本実施形態に係るケースCの特徴部分であり、該ケースCの蓋を構成している(以下、他方の閉塞部3を蓋部という。)。該蓋部3は、第一シート壁10aの上端に延設された第一フラップである第一蓋片30と、第二シート壁10bの上端に延設された第二フラップである第二蓋片31とで構成されている。該第一蓋片30及び第二蓋片31は、第一底片20及び第二底片21と異なり、それぞれ独立して延出している。前記第一蓋片30は、胴部1の開口形状に対応して形成され、該開口を閉塞する閉塞片部32を備えている。そして、本実施形態に係る第一蓋片30は、胴部1の開口を閉塞した閉塞片部32及び第二蓋片31を開放すべく、前記閉塞片部32の先端に延設された把持片部33を備えている。さらに、該第一蓋片30は、胴部1内に収容した被収容物(図においてはボトルB)が胴部1内で揺動するのを防止すべく、ボトルBの頭部を掛止する掛止片部34が閉塞片部32の先端に延設されている。
【0028】
前記閉塞片部32は、第一シート壁10aの上端(第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40b)の全長に亘って延設されており、前記第一底片20と同様に、第二シート壁10b側に折り曲げた状態で胴部1の開口を閉塞できるように形状設定されている。具体的には、第一シート壁10aと閉塞片部32との境界、即ち、第一シート壁10aの上端が上述の如く、第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40bにより形成されているので、該閉塞片部32は、前記境界で第二シート壁10b側に折り曲げると、第一シート壁10aと略直角をなした姿勢で維持し、扁平状の胴部1の開口を閉塞できるようになっている。また、上述の如く、閉塞片部32は、胴部1の開口を閉塞した状態において、シート壁に対して略直角をなす天部を形成するようになっており、本実施形態においては、収容したボトルBの上面に略接触した態様をなすようになっている。
【0029】
そして、把持片部33は、閉塞片部32の先端の略中央部分に延設されており、閉塞片部32の折り曲げ方向とは逆の方向に折り曲げられるようになっている。また、後述する規制片部36による該閉塞片部32の起き上がりに対する規制を確実にすべく、該把持片部33の基端部の両端には、規制片部36と係合させるための切り込み321が入れられている。本実施形態に係るケースCは、上述の如く、吊り下げ態様で陳列できるようになっているので、該把持片部33には、後述する折返片部35及び第二シート壁10bに穿設された貫通穴に対応する位置に、貫通穴が穿設されており、これらの貫通穴が連通して陳列時に吊り下げに用いられる吊下穴Hを形成している。
【0030】
前記掛止片部34は、閉塞片部32の先端に延設されており、胴部1内に収容したボトルBの頭部が挿入される掛止用穴が穿設されている。具体的には、該掛止片部34は、前記把持片部33を包囲するように、基端及び終端が閉塞片部32の先端に接続されてU字状に形成されており、該掛止片部34の内縁と閉塞片部32の先端縁とにより前記掛止用穴を画定している。本実施形態においては、閉塞片部32の先端に延設した突片に対し、該突片の基端(閉塞片部32との境界)上に始点及び終点が位置するようにU字状の切り込みを入れることで、内側に把持片部33が形成されると共に、外側に掛止片部34が形成されている。該掛止片部34は、把持片部33とは反対側(閉塞片部32と同方向)に折り曲げられることで、掛止用穴に挿入したボトルBの頭部(被収容物の一部)を掛止した状態となるように構成されている。
【0031】
前記第二蓋片31は、第二シート壁10bの上端に略全長に亘って延設された折返片部35と、該折返片部35の先端に延設された規制片部36とで構成されている。
【0032】
前記折返片部35は、第二シート壁10bとの境界(基端)からの延出量が、胴部1の軸心方向における第一シート壁10aの一端から第二シート壁10bの一端までの距離と略同等に設定され、第二シート壁10bの内面と対向するように第二シート壁10bとの境界で胴部1の内部側に折り返されている。
【0033】
前記規制片部36は、一対設けられており、本実施形態においては折返片部35の先端の両端部分に延設されている。各規制片部36は、折返片部35の折り返し方向とは逆方向に折り曲げられ、胴部1(第二シート壁10b)側に折り曲げられて胴部1の開口を閉塞している第一蓋片30(閉塞片部32)上に重なるようになっている。これにより、閉塞片部32を起き上がらせようとする力に対し、規制片部36を介して折返片部35の座屈強度で対抗できるようになっている。
【0034】
前記一対の規制片部36は、前記把持片部33を介在させることができる間隔を有して設けられており、把持片部33の基端部近傍の両端と係合可能に形成されている。具体的には、各規制片部36の基端部であって、把持片部33を介在させる側の一端に切り込み322,322が設けられている。これにより、一対の規制片部36及び把持片部33の基端部の切り込み321,322同士が噛み合うことで、把持片部33及び規制片部36の基端部同士が係合するようになっている。
【0035】
第二蓋片31及び第二シート壁10bには、第二蓋片31の基端を基準にした対称位置に貫通穴が穿設されており、把持片部33の貫通穴と共に陳列時に吊り下げ用のバーを挿通させる吊下穴Hを形成している。
【0036】
本実施形態に係るケースCは、以上の構成からなり、規制片部36を介して折返片部35に第一蓋片30の起き上がり力に対抗させて開封状態になるのを防止するように構成されている。更に、該ケースCは、把持片部33と一対の規制片部36との係合により、第一蓋片30が開放状態になるのを防止できる確率を高めている。そして、該ケースCは、上述の如く、樹脂シートを折り曲げ加工して形成されたものであるので、把持片部33を人手によって強制的に引き上げることで規制片部36と把持片部33との係合状態が解かれ、規制片部36及び閉塞片部32を持ち上げて開封状態にできるようになっている。つまり、人手による強力な引っ張りによって開封できるが、第一蓋片30の起き上がり力や、収容した被収容物の移動によって生じる衝撃力等に対しては、規制片部36及び折返片部35によって十分に対抗することができるようになっている。
【0037】
次に、上記構成のケースCの製造工程について説明するが、該製造工程の説明に先立ってケースCを成形するための樹脂シート(原シート)について説明する。
【0038】
原シートは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂から硬質、又は半硬質に形成されたシート材を裁断して形成されており、肉厚が0.1乃至0.8mmのものが採用されている。また、本実施形態においては、収容したボトルBを視認可能とすべく、原シートには、透明な樹脂シートが採用されている。
【0039】
原シートは、折り曲げ加工することで上述の如く立体的なケースCにできるように、図3に示す如く、所定形状に裁断されており、第一シート壁10a及び第二シート壁10bを形成するための一対のシート壁形成領域50,51と、前記底部2を形成するための底部形成領域52と、蓋部3の第一蓋片30を形成するための第一蓋片形成領域53と、蓋部3の第二蓋片31を形成するための第二蓋片形成領域54と、前記貼着片部11を形成するための貼着片部形成領域55とを備えている。
【0040】
一対のシート壁形成領域50,51のうち、一方のシート壁形成領域50(以下、該シート壁形成領域50を第一シート壁形成領域という。)は、第一シート壁10aを形成するための領域であり、長方形状の領域を基準にして長手方向の両端部の略中央が反対側の端縁に向けて窪んだ形態をなしている。具体的には、第一シート壁形成領域50は、長手方向の両端縁のそれぞれが、短手方向に直線状に延びる直線端縁(第一直線状端縁40a、第二直線状端縁41a)と、該直線端縁の両端からシート壁形成領域の短手方向の両側端に向かうにつれて外方に傾斜した一対の傾斜状端縁部(第一傾斜状端縁40b、第二傾斜状端縁41b)とで構成されており、長手方向の両端部を略台形状に切り欠いた形状となっている。
【0041】
その一方で、他方のシート壁形成領域51(以下、該シート壁形成領域51を第二シート壁形成領域という。)は、第二シート壁10bを形成するための領域であり、平面視略長方形状に形成されている。該第二シート壁形成領域51は、長手方向の長さが第一シート壁形成領域50の長手方向の長さよりも長く設定されている。これにより、第一シート壁形成領域50及び第二シート壁形成領域51で胴部1を形成した際に、胴部1の上端を構成する第一シート壁10aの一端よりも第二シート壁10bの一端が外方側に位置するようになっている。また、該第二シート壁形成領域51は、他端側に貫通穴H1が穿設されており、該貫通穴H1は、ケースCを構成した状態で、把持片部33及び折返片部35に穿設された穴(貫通穴)H2,H3と連通して吊下穴Hになるように設けられている。
【0042】
前記底部形成領域52は、前記第一底片20となる第一底片形成領域56と、第二底片21となる第二底片形成領域57とで構成され、胴部1の下端となる第一シート壁形成領域50と第二シート壁形成領域51の長手方向の一端同士を接続して形成されている。
【0043】
前記第一底片形成領域56は、第一シート壁10aの下端(他端)となる第一シート壁形成領域50の長手方向の一端縁(第二直線状端縁41a及び第二傾斜状端縁41b)を基端にして延設され、前記第一シート壁形成領域50の長手方向に扁平した六角形状に形成されている。即ち、一対の第二傾斜状端縁41bの終端同士を結ぶ仮想線L1、第二直線状端縁41a及び第二傾斜状端縁41bによって包囲された台形状の領域と、該台形状の領域に対して前記仮想線L1を基準に鏡像関係にある台形状の領域とを合わせた形状、即ち、第二直線状端縁41a及び第二傾斜状端縁41bで胴部1側に折り曲げた状態で、扁平筒状の前記胴部1の開口を閉塞できる形状になっている。従って、該第一底片形成領域56の先端は、第一シート壁形成領域50の短手方向に延びる直線状の端縁(以下、第三直線状端縁という。)42aと、該第三直線状端縁42aの両端から第一シート壁形成領域50の両側端(仮想線L1の両端)に向けて傾斜した一対の傾斜状端縁(以下、第三傾斜状端縁という。)42bとで構成されている。
【0044】
前記第二底片形成領域57は、第二シート壁10bの下端となる第二シート壁形成領域51の長手方向の一端を基端にして延設されており、先端が前記第一底片形成領域56の先端(第三直線状端縁42a)に接続されている。より具体的に説明すると、該第二底片形成領域57は、前記補強片部22となる補強片部形成領域58と、前記被覆片部23となる被覆片部形成領域59とで構成されている。
【0045】
前記補強片部形成領域58は、第二シート壁形成領域51の一端の略中央に延設されており、先端が前記第一底片形成領域56の第三直線状端縁42aの全長に亘って接続されている。前記被覆片部形成領域59は、補強片部形成領域58の両側に連続して形成されており、前記補強片部形成領域58と共に一体的に第二底片形成領域57を構成している。該被覆片部形成領域59は、第二シート壁形成領域51の一端を基端にして延設されており、第二シート壁形成領域51側から第一シート壁形成領域50側に向けて先細りした形状をなしており、先端が第三傾斜状端縁42bに沿うように形成されている。つまり、被覆片部形成領域59と第一底片形成領域56との境界に切り込みが入れられた状態になっている。
【0046】
前記第一蓋片形成領域53は、第一シート壁10aの上端(一端)となる第一シート壁形成領域50の長手方向の他端に延設されており、前記閉塞片部32となる閉塞片部形成領域60と、前記把持片部33となる把持片部形成領域61と、前記掛止片部34となる掛止片部形成領域62とで構成されている。
【0047】
前記閉塞片部形成領域60は、第一シート壁形成領域50の長手方向の他端縁(第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40b)を基端にして延設されており、前記第一底片形成領域56と同様に、前記第一シート壁形成領域50の長手方向に扁平した六角形状に形成されている。即ち、一対の第一傾斜状端縁40bの終端同士を結ぶ仮想線L2、第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40bによって包囲された台形状の領域と、該台形状の領域に対して前記仮想線L2を基準にして鏡像関係にある台形状の領域とを合わせた形状、即ち、第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40bで胴部1側に折り曲げた状態で、扁平筒状の前記胴部1の開口を閉塞できる形状になっている。従って、該閉塞片部32の先端は、第一シート壁形成領域50の短手方向に延びる直線状の端縁(以下、第四直線状端縁という。)43aと、該第四直線状端縁43aの両端から第一シート壁形成領域50の両側端(前記仮想線L2の両端)に向けて傾斜した一対の傾斜状端縁43bとで構成されている。
【0048】
前記把持片部形成領域61は、前記閉塞片部形成領域60の第四直線状端縁43aを基端に延設されている。また、該把持片部形成領域61は、基端部における両端に規制片部36に対する係合用の切り込み321,321が入れられ、把持片部形成領域61内には、該原シートSを折り曲げ加工してケースCにした際に、吊下穴Hとなる貫通穴H2が穿設されている。
【0049】
前記掛止片部形成領域62は、前記把持片部形成領域61を包囲するようにU字状に形成されており、両端が閉塞片部形成領域60の第四直線状端縁43aに接続されている。即ち、前記把持片部形成領域61及び掛止片部形成領域62は、閉塞片部形成領域60の第四直線状端縁43aの全長に亘って延設された突片に、始点及び終点が閉塞片部形成領域60との境界(第四直線状端縁43a)上に位置するようにU字状に切り込むことで形成されている。これにより、該掛止片部形成領域62が包囲する領域、即ち、把持片部形成領域61の存在する領域が、前記掛止用穴になるようになっている。従って、把持片形成領域は、ボトルBの頭部(被収容物の一部)よりも大きなサイズで形成されている。
【0050】
前記第二蓋片形成領域54は、第二シート壁形成領域51の長手方向の他端(第二シート壁10bの上端となる端縁)に延設され、前記折返片部35となる折返片部形成領域63と、該折返片部形成領域63の先端に延設され、前記規制片部36となる規制片部形成領域64とで構成されている。
【0051】
前記折返片部形成領域63は、第二シート壁形成領域51の他端上に底辺を位置させた略台形状に形成されており、先端が第二シート壁形成領域51の短手方向に直線状に延びる端縁(以下、第五直線状端縁という。)44aと、該第五直線状端縁44aの両端から第二シート壁形成領域51の側端に向けて傾斜した一対の端縁(以下、第五傾斜状端縁という。)44bとで構成されている。該折返片部形成領域63は、第二シート壁形成領域51との境界から第五直線状端縁44aまでの距離(前記境界からの延出量)が、前記閉塞片部形成領域60を構成する台形状の領域を画定する前記第一直線状端縁40aから一対の第一傾斜状端縁40bの終端同士を結ぶ前記仮想線までの距離と略同等に設定されている。また、該折返片部形成領域63の略中央には、ケースCになったときに吊下穴Hとなる貫通穴H3が穿設されている。
【0052】
前記規制片部形成領域64は、第五傾斜状端縁44bを基端にして延設されており、ケースCになった際に閉塞片部32の両側端部上に重なりあうことができるように略三角形状に形成されている。また、各規制片部形成領域64の基端部であって、第五直線状端縁44a側の端部に、把持片部33に対する係合用の切り込み322が入れられている。
【0053】
前記貼着片部形成領域55は、第二シート壁形成領域51の短手方向の両端縁(両側端)に沿って延設されており、第二シート壁形成領域51との境界で折り返すことで、該第二シート壁形成領域51に重なった第一シート壁形成領域50の短手方向の両端部に重なるように形成されている。これにより、該貼着片部形成領域55を接着剤や粘着テープ等の貼着手段を介して第一シート壁形成領域50に貼着することで、第一シート壁形成領域50及び第二シート壁形成領域51の短手方向の両端(両側端)同士を接続し、第一シート壁形成領域50及び第二シート壁形成領域51を第一シート壁10a及び第二シート壁10bとした胴部1が形成できるようになっている。なお、上記原シートSは、各形成領域の基端(各領域の境界)に折曲罫線が設けられており、当該原シートSを折り曲げ加工し易くしている。
【0054】
原シートSは、以上の構成からなり、次に該原シートSからケースCを作成する工程について説明する。
【0055】
まず、図4(イ)に示す如く、原シートSを第一底片形成領域56と第二底片形成領域57との境界上の折曲罫線(第三直線状端縁42a)で折り返し、第一シート壁形成領域50と第二シート壁形成領域51とを対向状態にする。そして、図4(ロ)に示す如く、貼着片部形成領域55を第二シート壁形成領域51との境界(折曲罫線)で折り返し、貼着手段を介して貼着片部形成領域55(貼着片部11)を第一シート壁形成領域50に貼着する。この状態で胴部1及び底部2が折り畳まれたケースCとなる。
【0056】
この状態から、図4(ハ)に示す如く、第一底片形成領域56(第一底片20)と第二底片形成領域57(第二底片21)との境界部分を第一シート壁形成領域50(第一シート壁10a)と第二シート壁形成領域51(第二シート壁10b)との間に押し込むようにすると、第一シート壁10a及び第二シート壁10bが押し広げられて扁平筒状の胴部1になりつつ、第一底片20及び第二底片21が変形し、第一底片20と第二底片21との境界が第一シート壁10aの下端(第二直線状端縁41a)と第二シート壁10bの下端とを結ぶ仮想線L3を通過することになる。そうすると、第一底片20及び第二底片21に生じていた曲げ作用が解除され、図4(ニ)に示す如く、第一底片20が胴部1の開口を閉塞すると共に第二底片21が胴部1の内部側に折り返された態様となる。つまり、第一底片20は、第一シート壁10aに対して略直角をなすように第二直線状端縁41a及び第二傾斜状端縁41bで折り曲げられ、第二底片21の補強片部22が第二シート壁10bと対向するように折り返されると共に、被覆片部23が補強片部22の折り返しに追従して胴部1内側に折り返って第一底片20に覆い被さることになる。
【0057】
この状態で胴部1及び底部2が形成され、第二底片21及び第二シート壁10bの境界(稜線)部分と貼着片部11の下端とが当該ケースの脚部の役割を担い、胴部1を起立状態に載置できる状態となり、図5(イ)に示す如く、胴部1内にボトルBが収容される。その後、図5(ロ)に示す如く、掛止片部形成領域62(掛止片部34)を折曲罫線(第四直線状端縁43a)で胴部1の内側に折り返し、図5(ハ)に示す如く、掛止片部34の折り返し状態を維持しつつ第一蓋片形成領域53(第一蓋片30)を第一シート壁形成領域50(第一シート壁10a)の上端(第一直線状端縁40a及び第一傾斜状端縁40b)で胴部1側に折り曲げる。そうすると、図5(ニ)に示す如く、閉塞片部形成領域60(閉塞片部32)が第二シート壁形成領域51(第二シート壁10b)側に折り曲げられるにつれ、掛止片部34で包囲された領域(掛止用穴)内にボトルBの頭部が挿入し、最終的に掛止片部34がボトルBの頭部を掛止すると共に、閉塞片部32が胴部1の上端開口を閉塞した状態となる。この状態において、前記閉塞片部32は、第一シート壁10aの上端の形状に沿って折り曲げられて該第一シート壁10aに対して略直角となり、該シート壁の先端に延設された把持片部33は、第二シート壁10bの内面に沿うように閉塞片部32との境界状の折曲罫線(第四直線状端縁43a)で折れ曲がることになる。
【0058】
そして、図5(ホ)に示す如く、第二シート壁10bに沿う把持片部33を一時的に閉塞片部32側に折り曲げ、図5(ヘ)に示す如く、折返片部形成領域63(折返片部35)を第二シート壁10bの内面に沿うように胴部1の内部側に境界で折り返す。即ち、折返片部35を第二シート壁10bに沿って折り返すのに、該折返片部35を躱すべく、把持片部33を予め傾倒させた状態で、折返片部35を折り返す。そうすると、折返片部35は第二シート壁10bの形状に沿うように胴部1の周方向に湾曲した状態になると共に、前記規制片部形成領域64(規制片部36)は、折返片部35との境界で折れ曲がり、胴部1の開口を閉塞した閉塞片部32に重なり合うことになる。その後、図5(ト)に示す如く、把持片部33を折返片部35に沿うように傾倒状態から起立状態にすると、把持片部33、折返片部35及び第二シート壁10bの貫通穴が連通状態となことになる。また、把持片部33の基端部の両端部(切り込み321,321)と、規制片部36の基端部の一端部(切り込み322,322)とが係合し、ボトルBの包装を含めたケースCの組み立てが完了する。
【0059】
この状態で、上述の如く、折返片部35は胴部1の周方向に湾曲した第二シート壁10bに沿って湾曲した状態となっているので、該第二シート壁10bと折返片部35との境界(稜線)も胴部1の周方向に湾曲した状態となっている。これにより、折返片部35が外方に向けて起き上がることがなく、しかも、胴部1の軸心方向の座屈強度が高まった状態となり、閉塞片部32に重なり合った規制片部36で閉塞片部32の起き上がりが確実に防止できるようになる。
【0060】
以上のように、本実施形態に係るケースCは、胴部1の開口を閉塞可能に構成された閉塞片部32を胴部1側に折り曲げることで、前記開口を閉塞することができる。そして、この状態では、胴部1の内部側から衝撃等によって力が加わると、閉塞片部32が起き上がって開口に対する閉塞状態を維持することができないが、第二蓋片31が第二シート壁10bと対向するように折り返される折返片部35と、該折返片部35の先端に延設された規制片部36とを備え、該規制片部36が折返片部35とは反対方向に折り曲げ可能に構成されると共に、胴部1の開口を閉塞した閉塞片部32上に重なるように形成されているので、該閉塞片部32に衝撃等の力が作用しても外方側への起き上がりが防止され、胴部1の開口に対する閉塞状態を維持することができる。
【0061】
即ち、第二シート壁10bの内面に対向するように、第二蓋片31の折返片部35を折り返すと、該折返片部35は胴部1を構成する第二シート壁10bに沿って胴部1の周方向に湾曲した態様となるので、折返片部35が起き上がらない状態となった上で胴部1の軸線方向の座屈強度が大きくなる。そして、該折返片部35の先端に延設された規制片部36が閉塞片部32に重なり合うことで、該閉塞片部32が外方に向けて起き上がろうとしたときに、該閉塞片部32を起き上がらせようとする力に対し、規制片部36を介して折返片部35が対抗することになる。従って、上述の如く、折返片部35は、折り返しによって湾曲状態になることで座屈強度が高まっているので、閉塞片部32(第一蓋片30)の起き上がりが阻止(規制)され、閉塞部2,3による胴部1の開口端に対する閉塞を維持させることができる。
【0062】
また、閉塞片部32の先端に把持片部33が延設されると共に、前記規制片部36が折返片部35の先端に所定間隔を有して一対設けられ、前記把持片部33が一対の規制片部36間に介在するように設けられることで、把持片部33と規制片部36とが係合するように構成されているので、胴部1の開口を第一蓋片30(閉塞片部32)で閉塞した状態において、規制片部36を確実に閉塞片部32(第一蓋片30)上に重ね合わせて閉塞状態を維持することができる一方で、把持片部33を引き上げることで、規制片部36を強制的に折返片部35側に起き上がらせることができ、開封時において、容易に閉塞状態を解除することができる。つまり、胴部1の内部側から作用する力は、輸送時等におきるボトルBの移動等によって生じる衝撃力であるため、このような力では閉塞部2,3による閉塞は解除されないが、各構成が樹脂シートで構成されているので、該衝撃力よりも大きな人による引っ張りが作用することで、適宜箇所が変形して閉塞部2,3の閉塞を解除することができる。
【0063】
さらに、前記一対の規制片部36及び把持片部33の基端部に切り込み321,322を入れ、規制片部36と把持片部33とが係合するように構成されているので、仮に胴部1の内部側からの大きな力が加わっても、規制片部36は把持片部33との係合によって確実に第一蓋片30に対して重なった状態で維持することができ、閉塞状態で維持させる必要のある状況において閉塞状態を維持することができる。
【0064】
前記閉塞片部32の先端に前記把持片部33を包囲する掛止片部34が延設され、該掛止片部34は、胴部1の内側に折り返すことで、胴部1内のボトルBの頭部(被収容物の一部)を掛止するように構成されれば、胴部1内での被収容物の移動範囲を規制することができ、閉塞部2,3に衝撃力が作用する機会を減らすことができ、閉塞状態を維持するのに貢献することができる。また、胴部1内での被収容物の移動を規制することで、被収容物が傷むのを極力防止することができる。さらに、本実施形態においては、収容したボトルBを視認可能とすべく、透明な樹脂シート(原シート)からケースを作成するようにしたが、上述の如く掛止片部34でボトルBの移動を規制することで、胴部1内でボトルBを適正な姿勢で維持させることができ、陳列するに際して見栄えのよいものになる。
【0065】
尚、本発明のケースは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
上記実施形態において、起立状態或いは吊り下げ状態で陳列できるケースCについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6に示す如く、胴部1を横臥状態にして陳列する、いわゆるピローケースとしてもよい。この場合、胴部1の両端開口を上記実施形態における蓋部3と同様の閉塞部で閉塞するようにしてもよい。但し、把持片部33は必要に応じて設けるようにすればよい。また、掛止片部34についても同様である
【0067】
そして、このように胴部1の両端開口を閉塞する閉塞部3を第一蓋片30(第一フラップ)及び第二蓋片31(第二フラップ)で構成する場合、一対のシート壁のそれぞれの両端に独立した第一蓋片30(第一フラップ)及び第二蓋片31(第二フラップ)を延設する必要があるので、該ケースCを形成するための原シートSは、図7(イ)及び図7(ロ)に示す如く、一対のシート壁10a,10bとなる第一シート壁形成領域50と第二シート壁形成領域51とを隣接させ、一端同士を接続したものにすることは勿論のことである。そして、図7(イ)に示す如く、第一シート壁形成領域50の両端のそれぞれに第一フラップ(第一蓋片)30を形成する領域53を延設し、第二シート壁形成領域51の両端のそれぞれに第二フラップ(第二蓋片)31を形成する領域54を延設するようにすればよい。
【0068】
また、図7(ロ)に示す如く、第一シート壁形成領域50の一端に第一フラップ(第一蓋片)30を形成する領域を延設53し、他端に第二フラップ(第二蓋片)31を形成する領域54を形成すると共に、第二シート壁形成領域51の一端に第二フラップ(第二蓋片)31を形成する領域54を延設し、他端に第一フラップ第一蓋片)30を形成する領域53を形成するようにしてもよい。そして、何れの場合においても一対のシート壁形成領域50,51で胴部1を構成すべく、一対のシート壁形成領域50,51の何れか一方の側端に、他方と接続するための貼着片部を形成する貼着片部形成領域55を延設するようにすればよい。このように原シートSを構成すれば、胴部1の両端を閉塞部2,3によって閉塞状態にすることができる。なお、図7(イ)及び図7(ロ)において、把持片部33及び掛止片部34を形成する領域を設けていないが、上記蓋部3と同様の構成にしても勿論よい。
【0069】
上記実施形態において、規制片部36を一対(二つ)設けたが、これに限定されるものではなく、上述の如く、把持片部33を設けない場合には、例えば、規制片部36を折返片部35の先端を基端にして一つ延設するようにしてもよい。このようにしても、規制片部36が折返片部35をシート壁10bから離間させるように力が作用することなく、閉塞片部32の起き上がりを規制することができ、胴部1の開口に対する閉塞を維持することができる。
【0070】
上記実施形態において、第一シート壁10aの長手方向の上端縁(一端縁)(直線状端縁40a及び傾斜状端縁40b)を基端にして、閉塞片部32を第一シート壁10aの長手方向に扁平した六角形状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、閉塞片部32の基端(第一シート壁10aの長手方向の一端縁)を、中央部分が第一シート壁10aの他端側に凸状をなすように円弧状に形成すると共に、閉塞片部32の先端縁を、中央部分が基端とは反対側に凸状をなすように円弧状に形成し、閉塞片部32を扁平した楕円状に形成するようにしてもよい。このようにしても、閉塞片部32を基端で胴部1の開口側に折り曲げた状態で、開口を閉塞した姿勢(第一シート壁10aと略直交した姿勢)で維持させることができる。
【0071】
また、第一底片20についても、第一シート壁10aの長手方向の下端縁(他端縁)(直線状端縁41a及び傾斜状端縁41b)を基端にして、前記第一シート壁10aの長手方向に扁平した六角形状に形成したが、閉塞片部32と同様に、第一底片20の基端(第一シート壁10aの長手方向の他端縁)を、中央部分が第一シート壁10aの一端側に凸状をなすように円弧状に形成すると共に、第一底片20の先端縁を、中央部分が基端とは反対側に凸状をなすように円弧状に形成し、当該第一底片20を扁平した楕円状に形成するようにしてもよい。このようにしても、第一底片20を基端で胴部1の開口側に折り曲げた状態で、開口を閉塞した姿勢(第一シート壁10aと略直交した姿勢)で維持させることができる。即ち、閉塞片部32及び第一底片20の何れも、基端となる端縁の略中央部が、該基端の両端よりもシート壁10a側に凸となった連続線状に形成することで、一対のシート壁10a,10bが扁平筒状の胴部1となって湾曲しても、閉塞片部32及び第一底片20を胴部1側に折り曲げた姿勢(胴部1の開口を閉塞した姿勢)で維持させることができる。
【0072】
上記実施形態において、被収容物たるボトルBの胴部1内での移動範囲を規制すべく、掛止片部34を設けたが、胴部1に収容した被収容物Bの移動を規制する手段は、これに限定されるものではなく、例えば、図9(イ)に示す如く、前記閉塞片部32の先端の全長に亘って、延出量を閉塞片部32の最大延出量よりも大きく設定した凸片を延設し、その凸片の基端上に始点及び終点が位置するように凸片側に凸状をなす湾曲した切り込みを入れ、該切り込みを境にして内側に把持片部33を形成し、外側に閉塞片部32の先端を基端にしてU字状をなす移動規制片100を形成するようにしてもよい。この場合、移動規制片100と被収容物Bとの接触領域を確保すべく、把持片部33の先端部分の略中央が窪んだ形状となるように切り込みを入れ、移動規制片100の一端乃至他端の間における略中央部分の幅(当該移動規制片100の先端部分の幅)が広くなるようにすることが好ましく、さらには、移動規制片100の中央部分(幅広の部分)と、その両側の領域との境界に、幅方向に(凸片の内側から外側に向けて)伸びる折曲罫線Kを設けることが好ましい。
【0073】
このようにすると、移動規制片100を胴部1の内側に向けて折り返すと共に、閉塞片部32を胴部1側に折り曲げた際に、移動規制片100は、閉塞片部32の先端縁(当該移動規制片100の基端)の形状に対応しようと変形すると共に、先端が第一シート壁10aと干渉することになる。そうすると、図9(ロ)に示す如く、該移動規制片100は、折曲罫線Kが起因して、胴部1の両側端間において先端部分(幅広に形成された一端乃至他端の間の中央部)が、被収容物Bの天面を押さえ付けると共に、その被収容物Bの天面を押さえ付けた部分の両側(一端側及び他端側)が、被収容物Bの両側面に被る(対向する)ように変形する。
【0074】
従って、このように移動規制片100を形成すると、被収容物Bの側面が、該移動規制片100の一端側及び他端側と、一対のシート壁10a,10bとによって規制され、被収容物Bの天面が、移動規制片100の中央部分によって規制されることになり、上記実施形態に例示した頭部(首部)を有するボトルBだけでなく、全長に亘ってストレートに形成された容器であっても移動を規制することができる。但し、閉塞片部32で被収容物Bの天面を規制できるように胴部1等の長さ寸法を設定した場合には、必ずしも移動規制片100の中央部を幅広にする必要はない。つまり、上記移動規制片100は、被収容物Bの天面との接触領域を確保すべく中央部分を幅広に形成しているが、閉塞片部32で被収容物Bの天面が規制できるのであれば、移動規制片100で被収容物Bの側面のみを規制できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係るケースであって、(イ)は、ケースを斜め上方から見た状態の斜視図を示し、(ロ)は、該ケースを反転させた状態で斜め上方から見た斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るケースであって、(イ)は、図1(イ)におけるI−I断面図を示し、(ロ)は、図1(イ)におけるII−II断面図を示す。
【図3】同実施形態に係るケースを作成するための原シートの平面図(ケースの展開図)を示す。
【図4】同実施形態に係るケースの作成工程を説明する図であって、(イ)、及び(ロ)は、原シートから胴部を作成する工程を説明するため図を示し、(ハ)、及び(ニ)は、底部を形成する工程を説明するための図を示す。
【図5】同実施形態に係るケースの作成工程を説明する図であって、(イ)は、胴部内に被収容物(ボトル)を収容した状態を示し、(ロ)は、掛止片部を胴部側に折り返した状態を示し、(ハ)は、第一蓋片(閉塞片部)を第二シート壁側に折り曲げる際の状態を示し、(ニ)は、第一蓋片(閉塞片部)を第二シート壁側に折り曲げ、掛止片部の掛止用穴に被収容物の一部(ボトルの頭部)が挿入状態になった状態を示す。(ホ)は、第二蓋片を折り返すべく、把持片部を一時的に傾倒させる際、或いは傾倒させた際の状態を示し、(ヘ)は、第二蓋片(折返片部)を内側に折り返す際の状態を示し、(ト)は、第一蓋片及び第二蓋片が胴部の開口を閉塞して閉塞部となった状態を示す。
【図6】本発明の他実施形態に係るケースの斜視図を示す。
【図7】他実施形態に係るケースを作成するための原シートの平面図であって、(イ)は、第一シート壁形成領域の両端のそれぞれに第一フラップ(第一蓋片)形成領域を延設すると共に、第二シート壁形成領域の両端のそれぞれに第二フラップ(第二蓋片)形成領域を延設した原シートを示し、(ロ)は、第一シート壁形成領域の一端に第一フラップ(第一蓋片)形成領域を延設すると共に、該第一シート壁形成領域の他端に第二フラップ(第二蓋片)形成領域を延設し、第二シート壁形成領域の一端に第二フラップ(第二蓋片)形成領域を延設すると共に、該第二シート壁形成領域の他端に第一フラップ(第一蓋片)形成領域を延設した原シートを示す。
【図8】本発明の他実施形態に係るケースの閉塞片部の形状を説明するための説明図を示す。
【図9】本発明の別の実施形態に係るケースの説明図であって、(イ)は、第一シート壁の一部を含んだ移動規制片及び把持片の正面図を示し、(ロ)は、移動規制片で被収容物を規制した状態の部分断面図を示す。
【図10】従来のケースであって、(イ)は、従来のケースの全体斜視図を示し、(ロ)、及び(ハ)は、従来のケースの作成工程を説明するための図を示す。
【符号の説明】
【0076】
1…胴部、2…底部(閉塞部)、3…蓋部(閉塞部)10a…第一シート壁(シート壁)、10b…第二シート壁(シート壁)、11…貼着片部、20…第一底片、21…第二底片、22…補強片部、23…被覆片部、30…第一蓋片(第一フラップ)、31…第二蓋片(第二フラップ)、32…閉塞片部、33…把持片部、34…掛止片部、35…折返片部、36…規制片部、40a…第一直線状端縁(直線状端縁)41a…第二直線状端縁(直線状端縁)、40b…第一傾斜状端縁(傾斜状端縁)、41b…第二直線状端縁(傾斜状端縁)、42a…第三直線状端縁(直線状端縁)、42b…傾斜状端縁、43a…第四直線状端縁(直線状端縁)、43b…傾斜状端縁、44a…第五直線状端縁(直線状端縁)、44b…第五傾斜状端縁、50…第一シート壁形成領域(シート壁形成領域)、51…第二シート壁形成領域(シート壁形成領域)、52…底部形成領域、53…第一蓋片形成領域、54…第二蓋片形成領域、55…貼着片部形成領域、56…第一底片形成領域、57…第二底片形成領域、58…補強片部形成領域、59…被覆片部形成領域、60…閉塞片部形成領域、61…把持片部形成領域、62…掛止片部形成領域、63…折返片部形成領域、64…規制片部形成領域、100…移動規制片、321,322…切り込み、B…ボトル(被収容物)、C…ケース、S…原シート、H…吊下穴、H1,H2,H3…貫通穴、L1,L2,L3…仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシート壁の両側端同士が接続されて扁平筒状に形成され、内部に被収容物が収容される胴部と、該胴部の両端開口の少なくとも何れか一方を閉塞する閉塞部とを備え、少なくとも前記胴部及び閉塞部が樹脂シートを折り曲げ加工して形成されたケースにおいて、前記胴部は、一方のシート壁の端縁よりも他方のシート壁の端縁が外方に位置するように形成され、前記閉塞部は、一方のシート壁の端縁に延設された第一フラップと、他方のシート壁の端縁に延設された第二フラップとで構成され、第一フラップは、他方のシート壁に向けて折り曲げられた状態で胴部の開口を閉塞する閉塞片部を備え、第二フラップは、他方のシート壁に延設され、シート壁の内面に沿うように折り返される折返片部と、該折返片部の先端に延設され、折返片部とは反対方向に折り曲げられた状態で、胴部の開口を閉塞した閉塞片部上に重なるように構成された規制片部とを備えていることを特徴とするケース。
【請求項2】
前記第一フラップは、閉塞片部の先端に該閉塞片部とは反対側に折り曲げられる把持片部が更に延設されると共に、第二フラップは、折返片部の先端に前記規制片部が所定間隔を有して一対設けられ、前記把持片部が一対の規制片部間に介在するように構成されている請求項1記載のケース。
【請求項3】
前記一対の規制片部又は把持片部の少なくとも何れか一方の基端部に切り込みが設けられ、把持片部が一対の規制片部間に介在した状態で、把持片部と規制片部とが係合するように構成されている請求項2記載のケース。
【請求項4】
前記閉塞片部又は折返片部の何れか一方の先端に、胴部内の被収容物の一部を掛止するための掛止片部が延設され、該掛止片部は、胴部内で折り曲げた状態で被収容物の一部が挿入される掛止用穴が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−151497(P2006−151497A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348645(P2004−348645)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】