説明

ケーブルのシールド機能を有す基板取付けホルダー及び表示装置

【課題】表示装置の回路基板を取付ける基板取付けホルダーであって、回路基板のLVDS部と液晶パネルを繋ぐLVDS線材から発生するノイズをシールドするシールド構造の提供。
【解決手段】基板取付けホルダー1には凹溝4を形成すると共に一方端部には穴5を貫通して設け、上記回路基板に装着したLVDS部と液晶パネルのコントロール部がLVDS線材を介して接続し、上記コントロール部から延びるLVDS線材を穴5を通して凹溝4に収容し、そして凹溝4を金属製のシールド蓋にて被覆している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板取付けホルダー及び表示装置であり、より詳しくはケーブルをシールドする機能を備えた基板取付けホルダー、及び該基板取付けホルダーを備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄型テレビなどの表示装置は、画像を形成する表示パネルと、この表示パネル裏側に配置されて該表示パネルを支持するシャーシベースと、シャーシベースの裏面側に設置される回路基板と、表示パネルとシャーシベースと回路基板を囲む為の外形を形成するケースとで構成されている。そして、該ケースは表示パネルの前側に位置するフロントパネルと、表示パネルの後側に位置するバックパネルとから成り、フロントパネルとバックパネルは互いに分離が可能なようにネジ止めされた連結構造と成っている。
【0003】
例えば薄型液晶テレビの場合、シャーシベースに装着される回路基板としては、電源回路基板、ディジタル処理基板、及び駆動回路基板等などがあるが、これらの各回路基板は、シャーシベースに多数備えられて、それぞれに対応するボス(台座)にネジ止めで固定されている。
ところで、入力映像信号はディジタル部に送られて、RGB(画像情報)をアナログからディジタルに変換し、液晶パネルに合った画素に変換される。すなわち、所定のディジタル処理を行い、LVDS(Low voltage differential signaling)のICへ送られ、液晶パネルと同期を取りながら該液晶パネルへ信号を送信して画像を表示することが出来る。
【0004】
ところで、液晶テレビでは液晶パネルとコントロール部を繋ぐLVDS線材を介して高い周波数のパルス状の高電流が流れるために不要輻射波が発生する。LVDS線材は電気的に抵抗値がなくてもコネクタ部を基点として長さに応じて高周波的に抵抗値が発生する。又、電気的に絶縁されていても金属部分に対して高周波的にコンデンサ容量が発生し、高周波的にリターン電流が生じる。このループがアンテナとなり高周波成分が輻射される。すなわち、コネクタ部からの長さ・金属部に対する距離によって、インピーダンス及びコンデンサ容量が変化し、輻射される高周波成分が変化する。
【0005】
この高周波成分がノイズとなって他に悪影響を及ぼす。例えば、受信チャンネルの映像周波数と干渉すれば、画面にビードが発生する。そこで、LVDS部と液晶パネルを繋ぐLVDS線材から発生するノズルをシールドしなくてはならず、従来においても色々な方法が講じられている。
【0006】
図8はLVDS線材をシールドする従来の方法であり、液晶パネル(ロ)に組み込まれているコントロール部(イ)からLVDS線材(ハ)が延びており、LVDS線材(ハ)の先端にはコネクタ(ニ)が取付けられている。
(a)のシールド構造は該LVDS線材(ハ)を覆い隠すように銅箔シート(ト)を貼着している。しかし、銅箔シート(ト)の貼着方法によってはシワが発生し、隙間が出来、その結果シールド効果が低下する。そして、貼着方法によってはLVDS線材を覆う面積が異なり、又、ノイズ源の液晶パネルをGNDしている為にその効果は十分でなく、シールド効果は一定とならない。
(b)のシールド構造は、上記(a)のシールド構造に金属製カバー(ホ)を組み合わせたもので、液晶パネル(ロ)の背面側全体を金属製カバー(ホ)によって被覆している。そして、金属製カバー(ホ)の一部に設けた穴(ヘ)からLVDS線材を引き出している。このような構造とする場合、LVDS線材(ハ)を穴(ヘ)から引き出す際に無理な力が作用して、貼着した銅箔シート(ト)が部分的に剥がれ、シールド効果が低下してしまう虞がある。
【0007】
コントロール部(イ)から延びている上記LVDS線材(ハ)の先端に設けたコネクタ(ニ)はLVDS部を有す基板に接続されて、液晶パネル(ロ)へLVDS線材(ハ)を介してディジタルに変換された信号が送られる。
【0008】
特開2001−92386号に係る「PDPの不要輻射防止装置」は、金属で形成した筐体にPDPのプラズマ放電電流が流れないようにし、この電流による不要輻射波の発生を防止するものである。
そこで、 PDPの裏面側のガラス面にアルミシャーシを貼着し、駆動回路基板、ディジタル処理基板、電源回路基板を取付けアルミシャーシに接地をとる。アルミシャーシにステーを設け、各ステーに絶縁具を取付けシールド板の一か所を残してこの絶縁具を介して固定し、残る一か所は導電性部材でアルミシャーシに固定し、筐体(フロントパネル、バックカバー)はシールド板に取付ける。シールド板に取付けたビデオ基板で入力映像信号を処理し、ケーブルでディジタル処理基板に伝送するが、このケーブルにフェライトコアを被せ、高周波的にケーブルのインピーダンスを高め、アルミシャーシとシールド板とは高周波的に一点接続となるようにしている。
しかし、インピーダンスを高めると高周波的にアンテナになり、輻射成分が発生する。また、フェライトコアでは輻射成分を抑制することは出来ない。
【特許文献1】特開2001−92386号に係る「PDPの不要輻射防止装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来の液晶テレビを構成する液晶パネルのコントロール部から延びるLVDS線材から発生するノイズ対策には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、簡単な構造でLVDS線材から発生する動作クロックの高周波成分であるノイズが輻射しないようにシールドした基板取付けホルダー及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶テレビなどを含む表示装置は、枠体を形成するフロントパネルに液晶パネルが嵌って取付けられ、液晶パネルの背面側には基板取付けホルダーが設けられ、この基板取付けホルダーには各種の回路基板が取付けられている。そして、回路基板の1つに組み込まれるLVDS部と液晶パネルのコントロール部をLVDS線材によって接続され、このLVDS線材は基板取付けホルダーにてシールドした構造と成っている。すなわち、本発明は基板取付けホルダーを利用したシールド構造である。
【0011】
ところで、基板取付けホルダーは金属製としてその一部に凹溝を形成し、該凹溝の一方端には貫通した穴を設けている。液晶パネルのコントロール部から延びるLVDS線材は上記穴から導き出されて凹溝に収容され、先端に取付けたコネクタはLVDS部に接続される。そして、LVDS線材が表面化しないように、金属製のシールド板にて被覆され、ネジ止めされている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る表示装置は液晶パネルの背面側に基板取付けホルダーを設け、該基板取付けホルダーに取付けた回路基板のLVDS部と液晶パネルのコントロール部はLVDS線材にて繋がっている。そして、該LVDS線材が表面化しないようにシールドされているが、複数本ある線材全てが鉄板に対して均一に接することが出来るためにシールド効果は非常に高く、しかもシールド作業は簡単である。
【0013】
すなわち、本発明は金属製の基板取付けホルダーに凹溝を成形すると共に穴を打抜き、コントロール部から延びるLVDS線材を穴から導き出すと共に凹溝に嵌めてシールド蓋をすることで完成する。金属製の基板取付けホルダーと金属製のシールド蓋とで挟み込んだ密閉構造であるために動作クロックの高周波成分が輻射レベルを軽減してシールド効果は高く、シールド性能にバラツキを生じない。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係る基板取付けホルダー1の具体例である。同図に示す基板取付けホルダー1は金属製の概略長方形板を成し、所々には回路基板が載置される台座2,2・・が表面から僅かに突出して設けられ、台座2,2・・にはネジ止めされる穴が設けられている。この台座2はホルダー本体3の一部を打ち抜いて曲げ成形することで作られている。そして、同図の4は凹溝を示し、ホルダー本体3に形成され、該凹溝4の一方端部には穴5が貫通している。
【0015】
図2は基板取付けホルダー1に回路基板6,7を載置して取付けた場合であり、実際には回路基板6,7には各種電子部品が装着されて電子回路を構成している。回路基板6,7は台座2,2・・に載置されることでホルダー本体3の表面に接することなく取付けられる。同図の回路基板6は電源部を構成し、回路基板7はディジタル部、LVDS部、アナログ部を構成している。
【0016】
図3は上記凹溝4にLVDS線材8を収容した場合を表している。該LVDS線材は液晶パネルのコントロール部から延び、穴5を通って導き出されて凹溝4に収容される。LVDS線材8は複数本の線材を束ねて帯状とした平坦なものであり、複数本の線材全てが凹溝底に接することになる。そして、LVDS線材8の先端にはコネクタ9が取付けられ、回路基板7に装着されているLVDS部に接続される。
【0017】
図4は凹溝4に収容したLVDS線材8を被覆する為にシールド蓋10を取付けてネジ止めした場合である。従って帯状のLVDS線材8は凹溝4の底とシールド蓋10に挟まれて密閉され、LVDS線材8を構成する複数本の線材は全て凹溝底とシールド蓋10に接するように成っている。そして、回路基板7に装着したディジタル部とLVDS部も別なシールド蓋11にて被覆され、LVDS線材8が収容される凹溝4とシールド蓋11の側板縁との隙間もシールド蓋10にて塞がれている。すなわち、基板取付けホルダー1の表面側にLVDS線材8が表面化する僅かな隙間も存在しない構造としている。
【0018】
図5は基板取付けホルダー1の立体図(斜視図)であり、回路基板6及び回路基板7には各種電子部品が装着され、そしてLVDS線材8を塞ぐシールド蓋10がネジ止めされ、回路基板7に装着したディジタル部とLVDS部もシールド蓋11にて被覆されている。
【0019】
ところで、画像信号はアナログからディジタルに変換され、そして液晶パネルに合った画素に変換された信号はLVDS部へ送られ、LVDS部からLVDS線材を介して液晶パネルのコントロール部へ入る。この場合、LVDS線材8は基板取付けホルダー1に完全シールド状態で配線されている。従って、LVDS線材8から発生するノイズはシールドされる。
【0020】
図6はバックパネルを取付ける場合の支えとなるフレーム12,12を背後に備えた液晶テレビの背面図を表している。フロントパネル15の背後には固定金具13と固定金具14を取着し、この固定金具13,14に跨って基板取付けホルダー1が取付けられている。液晶テレビの型式が変わった場合、又液晶パネルのサイズが変わった場合であっても、同じ基板取付けホルダー1を使用することが可能と成る。
【0021】
図7は基板取付けホルダー1を固定金具13と固定金具14に載置して固定した場合を示している。該固定金具13,14は金属製の概略長方形板であり、薄い金属板の剛性を高める為に所々に凹部16a,16b・・を形成している。すなわち、金属板を所定の形状に打抜き加工すると共に、絞り加工を施して各凹部16a,16b・・を加工することが出来る。固定金具13はフロントパネルの背面上側にネジ止めされ、同じく固定金具14はフロントパネルの背面下側にネジ止めされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る基板取付けホルダーの具体例。
【図2】基板取付けホルダーに回路基板を取付けた場合。
【図3】基板取付けホルダーに形成した凹溝にLVDS線材を収容した場合。
【図4】LVDS線材を収容した凹溝にシールド蓋を取付けた場合。
【図5】回路基板を取付けた基板取付けホルダーの斜視図。
【図6】バックパネルを取外した状態の液晶テレビの背面図。
【図7】固定金具に取付けた基板取付けホルダー。
【図8】従来のシールド構造を備えた液晶パネル。
【符号の説明】
【0023】
1 基板取付けホルダー
2 台座
3 ホルダー本体
4 凹溝
5 穴
6 回路基板
7 回路基板
8 LVDS線材
9 コネクタ
10 シールド蓋
11 シールド蓋
12 フレーム
13 固定金具
14 固定金具
15 フロントパネル
16 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の回路基板を取付ける基板取付けホルダーにおいて、上記基板取付けホルダーには凹溝を形成すると共に一方端部には穴を貫通して設け、上記回路基板に装着したLVDS部と液晶パネルのコントロール部がLVDS線材を介して接続し、上記コントロール部から延びるLVDS線材を穴を通して凹溝に収容し、該凹溝を金属製のシールド蓋にて被覆したことを特徴とするケーブルのシールド機能を有す基板取付けホルダー。
【請求項2】
枠体を形成したフロントパネルに液晶パネルを嵌めて取付け、この液晶パネルの背面側に回路基板を取付けた基板取付けホルダーを備えた表示装置において、上記基板取付けホルダーには凹溝を形成すると共に一方端部には穴を貫通して設け、上記回路基板に装着したLVDS部と液晶パネルのコントロール部がLVDS線材を介して接続し、上記コントロール部から延びるLVDS線材を穴を通して凹溝に収容し、該凹溝を金属製のシールド蓋にて被覆し、更に基板に装着したディジタル部とLVDS部を別のシールド蓋にて被覆したことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
上記基板取付けホルダーをフロントパネルの背面上下側に取着した固定金具を介して取付けた請求項1記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−151841(P2008−151841A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336864(P2006−336864)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】